JP2022092543A - ニオブ板材及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】高耐力化を実現したニオブ板材、及びその製造方法を提供する。【解決手段】ニオブ板材は、耐力が65MPa以上であって、表面硬さがHV60以下であり、厚さ方向の中央部の内部硬さが表面硬さより小さく、表面硬さと内部硬さとの差が内部硬さの15%~50%にある。ニオブ板材の製造方法は、ニオブ板素材を反り加工する際の搬送方向のニオブ板素材の寸法である板幅をW、厚さをt、反り加工された際の平面からの反り量をhとした場合、ニオブ板素材の反りの幾何学的な曲率半径をRとし、レベラー加工でニオブ板素材に残留する表面曲げひずみ量をε、レベラー加工を行った回数をnとした反り加工の際に、以下の式(1)で表される曲率半径Rと、式(2)で表される総表面ひずみ量εsumとを用いて、耐力付与加工を管理することを特徴とする。R=h/2+W2/(8h)(1)εsum=nε=n(t/2)/R(2)【選択図】なし

Description

本発明は、超伝導加速器空洞などに用いられるニオブ板材及びその製造方法に関し、高耐力化を実現したニオブ板材及びその製造方法に関する。
従来より、超伝導加速空洞の製造方法として、ニオブ(Nb)板材を用いたスピニング成形法が知られている。このスピニング成形法は、空洞形状を有する型材を回転させながら、ニオブ板材を型材の表面に沿って変形させて加工する方法である(例えば、特許文献1参照)。
そして、このような超伝導加速空洞に用いられるニオブ板材の作製は、ニオブインゴットを鍛造してニオブブロックを製造した後、このニオブブロックを圧延し、続いて熱処理する工程を複数回実施し、その後、圧延し、レベラー加工し、最後に熱処理する工程を実施するというフローで行われている。ニオブ板材の機械特性を調整するためのポイントとして、圧延による圧下率(加工度)と熱処理条件が挙げられる。一般的に、加工度と再結晶温度と結晶粒は密接な関係があり、材料メーカーはこれらの条件をノウハウとして保有している。
超伝導加速器は極低温下で高周波電力をかけるため、加速空洞にはその負荷に耐え得る強度が求められ、これに用いるニオブ板材としては、機械特性として引張強さ90MPa以上、耐力50~100MPa、伸び35%以上、表面硬さ60HV以下が求められる。
日本ではJIS規格に準じて強度計算を行う。JIS規格では、クリープ温度以下の許容応力は最大引張強さの1/4、耐力の1/1.5のうち最小値が求められる。しかし、最近の要求特性としては、テスラ型空洞より大きな内径の空洞が求められており(例えばクラブ空洞など)、耐力65MPa以上が求められている。
ニオブは展延性が優れているが、強度は低い材料である。また、超伝導加速器空洞向けとなるとニオブ材料は、不純物が極めて少ない高純度であるため、強度を上げることは容易ではない。
ニオブ板材に限らず板材の高耐力化の方法として、圧下率(加工度)の調整と熱処理温度を調整するのが一般的である。しかしながら、加工度と再結晶温度と結晶粒の関係を考慮した上で圧下率、熱処理温度を調整する必要があり、それを満たす条件の範囲は狭く、調整が難しいという現状がある。
特開2002-141196号公報
本発明は、上述した事情に鑑み、高耐力化を実現したニオブ板材及びその製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成する本発明の第1の態様は、耐力が65MPa以上のニオブ板材であって、表面硬さがHV60以下であり、厚さ方向の中央部の内部硬さが前記表面硬さより小さく、前記表面硬さと前記内部硬さとの差が内部硬さの15%~50%にあることを特徴とするニオブ板材にある。
ここで、残留抵抗比RRRが300以上である。
また、平均粒径が63.5μm以下の結晶組織を有する。
また、引張強さが90MPa以上である。
また、伸びが35%以上である。
本発明の第2の態様は、耐力が65MPa以上のニオブ板材の製造方法であって、耐力が40~60MPaのニオブ板素材に対し、反り加工し、その後平坦化加工するレベラー加工を少なくとも2回繰り返す耐力付与加工を行い、耐力が65MPa以上のニオブ板材を得ることを特徴とするニオブ板材の製造方法にある。
ここで、前記ニオブ板素材は、鍛造、圧延、熱処理工程を経て製作した素材であり、前記レベラー加工は、前記ニオブ板素材の板厚を変えない程度の残留応力を蓄積する加工である。
また、前記レベラー加工を繰り返す際に、反り加工において凸となる面が交互に異なるように繰り返す。
また、前記ニオブ板素材を反り加工する際の搬送方向の前記ニオブ板素材の寸法である板幅をW、厚さをt、反り加工された際の平面からの反り量をhとした場合、前記ニオブ板素材の反りの幾何学的な曲率半径をRとし、当該レベラー加工で前記ニオブ板素材に残留する表面曲げひずみ量をε、レベラー加工を行った回数をnとした反り加工の際に、以下の式(1)で表される曲率半径Rと、式(2)で表される総表面ひずみ量εsumとを用いて、前記耐力付与加工を管理する。
R=h/2+W/(8h) (1)
εsum=nε=n(t/2)/R (2)
また、前記レベラー加工を行った後の処理後ニオブ板素材の表面硬度と、当該処理後ニオブ板素材の耐力との関係を用いて、前記表面硬度で前記耐力付与加工を管理する。
かかる本発明は、表面硬さがHV60以下であり、厚さ方向の中央部の硬さが表面硬さより小さく、表面硬さの厚さ方向の中央部の内部硬さが前記表面硬さより小さく、前記表面硬さと前記内部硬さとの差が内部硬さの15%~50%にあるニオブ板材とすることにより、耐力が65MPa以上のニオブ板材を実現した。
このようなニオブ板材は、例えば、耐力が40~60MPaのニオブ板素材に対し、反り加工し、その後平坦化加工するレベラー加工を少なくとも2回繰り返す耐力付与加工を行うことにより、製造できる。
耐力付与加工をレベラー機を用いて行う際の各工程の簡略図である。 反り工程後の板と曲率半径の関係を模式的に示す図である。 耐力付与加工を施す前後の組織観察の結果の一例を示す図である。 耐力付与加工を施した後の厚さ方向のビッカース硬度の変化を示す図である。 耐力と表面硬さとの相関関係を示す図である。
以下、本発明の実施形態を説明する。
本発明のニオブ板材は、耐力が65MPa以上を有するものであるが、表面硬さがHV60以下であり、厚さ方向の中央部の硬さが表面硬さより小さく、表面硬さの厚さ方向の中央部の内部硬さが前記表面硬さより小さく、前記表面硬さと前記内部硬さとの差が内部硬さの15%~50%にあるという特徴を有する。
このような表面硬さに対して、厚さ方向の中央部の硬さが小さいニオブ板材は、例えば、ニオブ板材に対して、反り加工し、その後平坦化加工するレベラー加工を少なくとも2回繰り返す耐力付与加工を行うことにより得ることができる。そして、耐力付与加工を施すニオブ板素材として、耐力が40~60MPaのニオブ板素材を用いることにより、耐力付与加工を施した後、耐力65MPa以上、100MPa以下が実現できる。
以下、本発明のニオブ板材について、製造方法の一例とともに説明する。
ここで、上述したように耐力を改善する耐力付与加工は、結晶粒径に影響を与えることなく残留応力を付与する工程である。一般的に、加工を加えて金属物を変形させた時に、その荷重を除くと物の形状が元に戻る弾性域とその荷重を除いても元の形状に戻らない塑性域と呼ばれる領域がある。本発明において結晶粒径に影響を与えることなく残留応力を付与させる加工、すなわち、耐力付与加工は弾性域内での加工、つまり板の厚みを変えることなく残留応力を付与させる加工方法である。
このような条件を満たす耐力付与加工を実現できる加工機としては、レベラー機または3本ロール機を挙げることができる。レベラー機は上下に複数個配置されているロールの間に板製品を通すことで板製品を平らにする加工機である。3本ロール機は3本のロールを用いて、板製品をロール間に通すことで板製品を曲げてコイル状にするときに用いられる加工機である。
本発明の耐力付与加工は、上述したレベラー機または3本ロール機の何れか一方を用いて曲げ加工と平坦加工を繰り返す加工(以下レベリング加工ともいう)によってニオブ板素材に残留応力を付与させる。この耐力付与加工をレベラー機を用いて行う際の各工程の簡略図を図1に示す。
図1に示すように、レベラー機10は、上側に3本の上ロール11、下側に4本の下ロール12を具備し、上ロール11と下ロール12との間にニオブ板素材1を通すことでレベリング加工を行うものである。そして、図1(a)の上反り工程に続いて、図1(b)の平坦化工程を実施した後、ニオブ板素材1の表裏を入れ替えた後、図1(c)の上反り工程及び図1(d)の平坦化工程を実施し、耐力付与加工とする。耐力付与加工は、図1(a)~(d)の4工程を一セットとして複数回繰り返しても良いし、図1(a)及び(b)、図1(c)及び(d)のそれぞれを一セットとして複数回、好ましくは交互に繰り返しても良い。
このような耐力付与加工(レベリング加工)は、その加工量、特に反り工程の反り量で加工量を管理する場合、使用機械が異なる場合や、ニオブ板素材の厚み、幅、長さが異なると反り量が同じでも、ニオブ板素材への残留応力が付与される量が異なってくる。
よって、耐力付与加工の加工量の管理方法として、以下のように反り工程後の曲率半径で管理を行うのが好ましい。
図2は、反り工程後の板と曲率半径の関係を模式的に示す図である。曲率半径をR、曲率した板の搬送方向の幅をW、平面からの反り量をhとすると、幾何学的に曲率半径Rは下記の式(1)で求められる。
R=h/2+W/(8h) (1)
ここで、一般的に表面曲げひずみ量εについて曲率半径Rと板の厚みtを用いて次式(2-1)で示すことができる。
ε=(t/2)/R (2-1)
この表面ひずみ量εに板を反らした回数nをかけることでレベラー加工における表面ひずみ量εsumが以下の式(2-2)から算出できる。
εsum=nε (2-2)
ここで、3点曲げロール機とレベラー機の違いを次に述べる。3点曲げロール機は板を曲率させることが本来の使用方法であり、曲率半径Rでの管理がし易い。一方、レベラー機は曲率した板を平坦にすることが目的であり、反り量を大きくすると、加工品の排出ができなくなったりして、曲率半径Rでの管理が難しいため、前述したとおりひずみ量が確認できない場合が多い。
また、耐力付与加工を上述したように管理したとしても、耐力付与加工後のニオブ板素材が、耐力65MPa以上を実現できたか否かを確認する必要がある。このような最終的なニオブ板材の耐力の管理は、耐力を測定することにより行うことができるが、耐力を測定するには大きな労力を伴う。
本発明では、耐力付与加工により加工されたニオブ板部材の耐力と、ニオブ板部材の表面硬度との間に比例関係があることを以下に示すとおり知見したので、両者の関係を予め求めておけば、耐力付与加工後にニオブ板素材の表面硬度を管理することで、最終的な耐力が65MPa以上となったか否かを確認することができる。
本発明の耐力付与加工を施す前後の組織観察の結果の一例を図3に示す。
組織観察を行うにあたり、サンプルは以下のように準備を行った。まず、15mm×15mm程度に切り出したサンプルをスペシフィック樹脂(ストルアス製)を用いて、硬化剤:樹脂=1:2の割合(wt%)で混合し、60℃に設定した乾燥炉で30分熱硬化させ、樹脂埋めを行った。樹脂埋めしたサンプルを自動研磨機Tegramin-25(ストルアス製)を用いて、研磨紙#500,#1000の順番で研磨を行い、次いでMD-Dac、MD-Nap、MD-Chemのバフ(すべてストルアス製)を用いて鏡面仕上げを実施した。鏡面仕上げしたサンプルをフッ酸:硝酸:純水=1:2:7の割合(Vol%)で混合した水溶液を10~15℃で管理し、その中に2分間浸漬させてエッチングを行った。
結晶粒径の平均結晶粒径はASTM規格に乗っ取り、以下のようにして算出した。観察した組織写真から任意の円範囲を指定し、その範囲内にある結晶粒を数える。このとき、任意の円範囲に1個の結晶粒が少なくとも50個は入るようにする。個数の計測について、任意の円範囲内に完全に収まっているものを1個、円の境界線をまたぐものを1/2個として計測する。計測した個数を以下の式に代入して平均結晶粒径Nを算出した。
= f (NInside + 0.5NIntercepted
ここで、fはレンズ倍率に対する補正値、NInsideは1個として計測した結晶粒の個数、NInterceptedは1/2個として計測した結晶粒の個数である。
図3(a)、(b)は、加工前のニオブ板素材を50倍及び300倍で観察した結果であり、図3(c)、(d)は、加工後の観察結果である。また、図3(a)、(c)は厚さ4mmのニオブ板素材の表面部分を観察したものであり、図3(b)、(d)は、厚さ方向の中心部を観察したものである。
この結果、本発明の耐力付与加工を行っても、表面部分も中心部も加工により結晶粒が破壊されていないことが確認できた。これは耐力付与加工の大きな特徴である。
図4は、本発明の耐力付与加工を施した後の厚さ方向のビッカース硬度の変化を示す図である。図4で表面からの距離が0又は4は表面を示す。
加工後のニオブ板素材の厚さ方向の中心部、すなわち、板内部のビッカース硬さは、レベラー加工前と同等のビッカース硬さであることが確認できた。また、加工後のニオブ板素材の厚さ方向のビッカース硬さは、中心部から表面に向かって徐々に増大していることが確認された。このことから、本レベラー加工は結晶粒を壊さずに表面近傍にひずみを与えていると推測される。
よって、このような耐力付与加工を施すことにより、表面硬さは、加工前の硬さと同等な内部硬さより高く、表面硬さと内部硬さとの差は、最大で内部硬さの50%程度であることが確認された、このようなビッカース硬さの厚さ方向の変化は、本レベラー加工の特徴の一つである。
よって、このような耐力付与加工により製造されたニオブ板材は、表面硬さが内部硬さより高く、表面硬さと内部硬さとの差は、内部硬さの15%~50%、好ましくは、17%~40%となる。
本発明のニオブ板材は、超伝導加速器の加速空洞に用いられるためには、加速空洞の負荷に耐えうる強度が求められ、耐力の他の機械特性としては、引張強さ90MPa以上、伸び35%以上、表面硬さ60HV以下が求められる。
一方、上述した耐力付与加工を施す、耐力40~60MPaのニオブ板素材としては、超伝導加速器空洞向けとなる一般的なニオブ板素材を入手すればよい。このようなニオブ板素材を形成するニオブ材料は不純物が極めて少ない高純度のものであり、不純物の含有量の一例は以下のとおりである。なお、不純物がこれより多くなると、耐力が大きなニオブ板となるが、残留抵抗比RRRが300以上というものは得られ難くなる。
よって、本発明は、高純度で耐力が40~60MPaのニオブ板素材を材料として、耐力が650MPa以上のニオブ板を得るものである。
したがって、材料とするニオブ板素材の純度は、以下のように、不純物金属元素としてのZrが100ppm以下、Taが1000ppm以下、Wが70ppm以下、Niが30ppm以下、Fe、Si、TiおよびAlのそれぞれが50ppm以下で、Cr+Coの総量が50ppm以下で、不純物ガス成分元素の含有量が、酸素が30ppm以下、窒素が30ppm以下、炭素が40ppm以下、および水素5ppm以下のニオブ板素材を用いるのが好ましい。また、ニオブ板素材の残留抵抗値RRRが300以上であるものを用いるのが好ましい。
分析値の評価について、金属成分は島津製作所製ICPS-8100または日立ハイテクサイエンス製SPS3520UVによるICP発光分光分析法を用いて評価した。OとN元素はLECO製TC600による不活性ガス融解―赤外線吸収法を用いて評価した。C元素はLECO製CS844による非分散型赤外線吸収法を用いて評価した。H元素はLECO製RH404による不活性ガス融解-熱伝導度法を用いて評価した。
Figure 2022092543000001
以下、具体的な実施例を説明する。
なお、各物性値は以下の通り測定した。
硬さ:マイクロビッカース硬度計(AKASHI製MVK-E hardness tester)を用いて測定した。測定条件は荷重1000gf、保持時間は15秒とした。
引張強さ:引張試験について、試験機は島津製作所製AG―50kNG引張試験機を用いた。引張試験片はJIS規格13号Bに加工した。引張速度は弾性域で0.177mm/min、塑性域で1.27mm/minとした。
残留抵抗比RRR:RRRの測定は、サンプルを冷凍機で冷却しながら温度と4端子法による抵抗値を測定し、9.3Kと293Kの時の抵抗値で293Kの抵抗値を基準とした抵抗比をRRR値とした。
(実施例1~3)
3点曲げロール機を用い、図1に示す耐力付与加工を行った。
4×190×336mm(実施例1)、4×890×890mm(実施例2)、4×890×750mm(実施例3)の寸法の3種類のニオブ板素材に対し、それぞれ図1(a)~(d)の工程を2セット行って耐力付与加工とした。ニオブ板素材の規格値、加工前、加工後の各種物性値を表2に示す。
ここで、実施例1では、図2のWを336mm、hを30mmに設定し、実施例2では、Wを890mm、hを60mmに設定し、実施例3では、Wを750mm、hを60mmに設定して、それぞれ耐力付与加工を行った。この結果、式(1)、式(2-1)及び(2-2)に基づいて算出したひずみ量(表面ひずみ(εsum))は表2に示すとおりであった。
この結果、耐力付与加工を施すことにより、表面にひずみが十分入って耐力を大きく改善でき、65MPa以上の耐力が実現できることが確認できた。
また、式(1)、(2-1)、(2-2)より算出したひずみ量(表面ひずみ)が多いほど、耐力もより向上するという関係が認められた。
なお、残留抵抗比RRRは、耐力付与加工前後で大きく変化しないことも確認できた。
また、ひずみ量の増加に伴い、表面が硬くなっていることが分かった。
ここで、耐力と表面硬さとの相関関係を図5に示すとおりプロットした。●でプロットされた値は上述した実施例と同様に3点曲げロール機を用いて図1(a)~(d)の工程を2セット行った結果であり、▲でプロットされた値は、レベラー機でレベラー加工した値である。レベラー機での加工は、レベラー機へ1回通し、矯正力の違いで評価した。
まず、●の3点曲げロール機による評価結果に着目すると、耐力と表面硬さが比例していることが分かる。これは表面にひずみが蓄積されることで加工硬化が発生したからである。この結果より、表面硬さHV46付近が管理値になることが確認できたため、表面硬さHV46前後になるようにレベラー機でレベラー加工を施したところ、表面硬さHV46を下回った場合、耐力は改善されたが目標値である65MPaを満たさなかった。よってレベラー機で耐力を管理する場合、表面硬さがHV46以上になるようにレベラー加工を施す必要がある。上限値について、ひずみを付与することでRRR値が低下する可能性があるので、RRR値が規格値を下回らないところが上限値であると推定され、それを考慮すると上限値は表面硬さHV55程度に収めることが良いと考えられる。
(実施例4)
寸法が4×190×336mmのニオブ板素材を用い、3点曲げロール機を用いて、図1(a)~(d)の工程を2セット行って耐力付与工程とした結果を表3に示す。
(実施例5)
ニオブ板素材の搬送方向を実施例4とは90度ずらして同様な耐力付与加工を施した結果を表3に示す。
実施例4、5の結果から、レベラー加工方向を90度変化させても、機械特性に違いがないことが確認された。
Figure 2022092543000002
Figure 2022092543000003
1 ニオブ板素材
10 レベラー機
11 上ロール
12 下ロール

Claims (10)

  1. 耐力が65MPa以上のニオブ板材であって、表面硬さがHV60以下であり、厚さ方向の中央部の内部硬さが前記表面硬さより小さく、前記表面硬さと前記内部硬さとの差が内部硬さの15%~50%にあることを特徴とするニオブ板材。
  2. 残留抵抗比RRRが300以上であることを特徴とする請求項1記載のニオブ板材。
  3. 平均粒径が63.5μm以下の結晶組織を有することを特徴とする請求項1又は2記載のニオブ板材。
  4. 引張強さが90MPa以上であることを特徴とする請求項1~3の何れか一項記載のニオブ板材。
  5. 伸びが35%以上であることを特徴とする請求項1~4の何れか一項記載のニオブ板材。
  6. 耐力が65MPa以上のニオブ板材の製造方法であって、耐力が40~60MPaのニオブ板素材に対し、反り加工し、その後平坦化加工するレベラー加工を少なくとも2回繰り返す耐力付与加工を行い、耐力が65MPa以上のニオブ板材を得ることを特徴とするニオブ板材の製造方法。
  7. 前記ニオブ板素材は、鍛造、圧延、熱処理工程を経て製作した素材であり、前記レベラー加工は、前記ニオブ板素材の板厚を変えない程度の残留応力を蓄積する加工である請求項6記載のニオブ板材の製造方法。
  8. 前記レベラー加工を繰り返す際に、反り加工において凸となる面が交互に異なるように繰り返すことを特徴とする請求項6又は7記載のニオブ板材の製造方法。
  9. 前記ニオブ板素材を反り加工する際の搬送方向の前記ニオブ板素材の寸法である板幅をW、厚さをt、反り加工された際の平面からの反り量をhとした場合、前記ニオブ板素材の反りの幾何学的な曲率半径をRとし、当該レベラー加工で前記ニオブ板素材に残留する表面曲げひずみ量をε、レベラー加工を行った回数をnとした反り加工の際に、以下の式(1)で表される曲率半径Rと、式(2)で表される総表面ひずみ量εsumとを用いて、前記耐力付与加工を管理することを特徴とする請求項6~8の何れか一項記載のニオブ板材の製造方法。
    R=h/2+W/(8h) (1)
    εsum=nε=n(t/2)/R (2)
  10. 前記レベラー加工を行った後の処理後ニオブ板素材の表面硬度と、当該処理後ニオブ板素材の耐力との関係を用いて、前記表面硬度で前記耐力付与加工を管理することを特徴とする請求項6~8の何れか一項記載のニオブ板材の製造方法。
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