JP2022091016A - サブバッテリーを有する車両の走行充電システム - Google Patents

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Abstract

【課題】オルタネーターの能力を効率良く引き出して、リチウムイオン電池を用いたサブバッテリーを効率良く充電できるようにする。【解決手段】メインバッテリー20はエンジンのオルタネーター11に直接接続され、複数のサブバッテリー31~33はメインバッテリー20とは独立したケーブル41によって直接オルタネーター11に接続して充電される走行充電システムにおいて、オルタネーター11のS端子12cに帰還されるメインバッテリー20の電圧を、ALT-Sコントローラ50Aによってわずかに降圧させることで、オルタネーター11の出力電圧を高めるようにした。この制御によって、リチウムイオンバッテリー(31~33)を効率良く充電できる。オルタネーター11には温度センサ78を設け、ALT-Sコントローラ50Aはオルタネーター11の温度上昇に応じて、帰還電圧を降下させるように制御する。【選択図】図3

Description

本発明は、メインバッテリーに加えてサブバッテリーを有する車両の走行充電システムに関し、特にキャンピングカー等で用いられるサブバッテリーとして鉛バッテリー以外のものを用い、車両のエンジンを用いて効率良く急速に充電できるようにしたものである。
走行可能な車両に、休憩及び就寝できる設備を備えたキャンピングカーが広く用いられている。キャンピングカーでは、車両用に用いられるバッテリー(以下、「メインバッテリー」と呼ぶ)に加えて、特許文献1にて知られるように居室部分で用いられる電気機器の電源としてのバッテリー(以下、「サブバッテリー」と呼ぶ)が用いられる。近年のキャンピングカーでは、居室内に家庭用エアコンを備え、サブバッテリーに蓄えた電気で稼働させることが普及している。駐車場やキャンプ場ではエンジンを切ることは当たり前のことであり、外部電源コンセントがないところでは家庭用エアコンの電源をサブバッテリーだけで賄う。そのためサブバッテリーを多数の大容量バッテリーで構成することが行われ、ソーラーパネルを用いてサブバッテリーを充電することも行われている。
特許文献1には、キャンピングカー等のサブバッテリーを有する車両の電源システムが開示され、その車両は、発電電圧に制御するレギュレータを内蔵した車両用発電機(オルタネーター)3と、チャージランプ4と、イグニッションスイッチ5と、常閉リレー6と、常開リレー7と、逆流防止ダイオード8、9と、スタータ10と、一般車両用負荷11と、生活用負荷12とを含んで構成される。メインバッテリー1とサブバッテリー2の接続方法は、メインバッテリー1の陽極と車両用発電機3の発電端子Bを結ぶとともにサブバッテリー2の陽極と車両用発電機3の発電端子Bの間に常開リレー7を接続し、両バッテリー1、2を分断する。車両用発電機(オルタネーター)3の「センシング端子Sは発電端子Bとともにメインバッテリー1の陽極に接続され、発電端子Bの電圧はセンシング端子Sで設定した調整電圧(約14.5V)に従うようにオルタネーターの出力が調整される(公開公報第3カラム第5~9行参照)。
図1は本願発明が適用される車両の一例であり、いわゆるキャブコンバージョンタイプのキャンピングカー1の側面図である。キャンピングカー1は、荷台のついていない状態のトラック(ベース車両5)に、キャンピングカーの特徴となる居室部分の外枠を形成するFRPまたはアルミパネル複合材によるシェル6を搭載したものである。シェル6には、入口ドア8や複数の開閉式の窓9が設けられ、内部には図示しないキッチン設備、ベッド設備、ダイニング設備、トイレ設備等が設けられる。ベース車両5はエンジン10によって自走可能な車両であって、前方に運転席及び助手席を有するキャビン7が配置される。図1では、エンジン10の上に運転席と助手席を配置したキャブオーバータイプの車両の例を示しているが、ベース車両5はキャブオーバータイプだけに限られずに、メインバッテリーとオルタネーターを有するエンジン付きの車両であれば本願発明の適用対象である。ベース車両5には、前輪3及び後輪4を保持する図示しない金属製のシャシにエンジン10を始動するためのメインバッテリー20が固定される。メインバッテリー20は、通常の自動車で必ず使われるもので、電解液に希硫酸(HSO)を用いた公称電圧12Vの鉛電池が広く用いられる。キャンピングカー1の特徴の一つとして、居室部分で用いるために1つ以上のバッテリー(サブバッテリー31~33)がさらに設けられる。サブバッテリー31~33は、エンジン10の停止時にメインバッテリー20と電気的に切り離され、居室部分の利用者が使用する電源となる。
従来のサブバッテリー31~33は、メインバッテリー20と同様に鉛バッテリーが用いられ、設置されるサブバッテリーの数は、居室部分で使用する電気機器の使用に必要とされる容量が確保される。サブバッテリー31~33の搭載位置は任意であるので、図1にて示す位置に限定されない。また、サブバッテリー31~33をシェル6の内部空間だけでなく外部空間や、ベース車両5のいずれかの位置に設置することも可能である。サブバッテリー31~33は、居室部分での電気使用量によってその放電量が大きく変動し、深い放電状態まで使われる場合がある。そこで、メインバッテリー20で使われるような開放型の鉛バッテリーと異なり、繰り返しの充電及び放電に強く、充電された電気を空状態近くまで使い切ることができるディープサイクルバッテリー(例えば容量100Ah(Ah20Hr率))のものを複数個並列接続している。通常、車両のメインバッテリー20は、エンジン10により常に充電され、ほぼ満充電に近い状態で使用される。
図10は、特許文献2のキャンピングカーにおけるメインバッテリー及びサブバッテリーの基本的な接続回路図である。車両走行用のエンジン10(図1参照)にはオルタネーター11が設けられている。オルタネーター11は、エンジン10の動力によりプーリーとベルトを介して駆動されるものであり、通常は三相式の交流発電機であって、発電された交流電流をダイオードによって整流し、メインバッテリー20や車内の各電気機器に電力を供給する。オルタネーター11は、正極側の出力端子となる+B端子12aを有し、ケーブル14によってメインバッテリー20の正極端子20aに接続される。本明細書の例では、オルタネーター11の負極端子12bはケーブル16によってメインバッテリー20の負極側と接続されるように図示しているが、オルタネーター11の負極端子12bをアース線21によってベース車両5のシャシに接続し、メインバッテリー20の負極端子20bをアース線22によってベース車両5のシャシに接地されるようにして、実際のケーブル16を省略しても良い。ここでいう「接地」という意味は、ベース車両5の金属製のシャシ又はボディにケーブルによって電気的に接続することを意味する。
オルタネーター11からメインバッテリー20に接続するケーブル14、信号線15の経路中にはヒューズ13、17がそれぞれ設けられる。ベース車両の+電源はメインバッテリー20の正極端子20aからプラス線18で取り出され、-電源はアース線19により車体に設置される。オルタネーター11にはさらに、センシング端子S(S端子12c)が設けられ、メインバッテリー20の正極端子20aとS端子12cが信号線15によって接続されることにより、メインバッテリー20の電圧がオルタネーター11にフィードバックされる。
キャンピングカー1のエンジン10として、例えば発電能力130Aのオルタネーター11を有する2000ccのガソリンエンジン、又は、発電能力130Aのオルタネーター11を有する3000ccのディーゼルエンジンが用いられる。これらは一例であって、エンジンの種類や排気量、オルタネーター11の発電容量は任意である。また、エンジン5からオルタネーター11への動力伝達方法は任意である。図10に示す従来のサブバッテリーの充電システムでは、ベース車両5が有するメインバッテリー20側の配線には実質的に手を加えずに、メインバッテリー20とは独立させたサブバッテリー231~233側の配線を追加したものである。つまり、オルタネーター11の+B端子12aから専用のケーブル241を用いてサブバッテリー231~233の正極端子に接続する。ケーブル241には、ヒューズ242とリレー243が設けられる。
リレー243は、遅延式のリレーであり、ベース車両5のエンジン10が始動してオルタネーター11の発電が始まると、わずかな時間(例えば3秒)の遅延時間を経過した後にオン(接続状態)になる。また、ベース車両5のエンジン10が停止したり、アイドリングストップ等でオルタネーター11の発電が止まると直ちにリレー243はオフ(遮断状態)になる。従来のオルタネーター11からサブバッテリー231~233に直接接続する方法の利点は、メインバッテリー20側の電圧に左右されること無くサブバッテリー231~233を効率よく充電できることである。また、ベース車両5のケーブル14が細い場合であっても、サブバッテリー231~233への接続用のケーブル241を十分太い線にすれば、効率良くサブバッテリー231~233を充電できる。サブバッテリー231~233は、それぞれの正極と、それぞれの負極が太いケーブル234a、234b、235a、235bによって接続された並列接続とされている。シェル6(図1参照)内の電源は、サブバッテリー231の正極端子231aからケーブル236で、サブバッテリー233の負極端子233bからケーブル237から引き出される。また、負極端子233bはアース線234によってベース車両5(図1参照)のシャシに接地される。
以上のようなキャンピングカー1のサブバッテリーとして、近年、リチウムイオンバッテリーを用いることが提案されている。リチウムイオンバッテリーは、鉛バッテリーに比べて体積エネルギー密度(wh/l)、質量エネルギー密度(wh/kg)が優れている上、自己放電率が小さく、充電サイクル回数が多いという特徴を有する。リチウムイオンバッテリーを採用する上での障害は、鉛バッテリーに比べて価格が高いことと、1セルあたりの電圧が異なるため、鉛バッテリーと同じ条件では十分な走行充電ができないことである。
実用新案登録第2507111号公報 特開2017-139914号公報
ベース車両5のエンジン10に搭載されているオルタネーター11は、鉛バッテリーを充電することを前提に設計されている。従来のサブバッテリーを、鉛方式のディープサイクルバッテリーから、リチウムイオンバッテリーに置き換えると、オルタネーター11の充電電圧がリチウムイオンバッテリーの充電用には不足するため、リチウムイオンバッテリーへの充電電流が小さくなり、充電に要する時間(充電時間)が長くなってしまう。一般的な対策として、オルタネーター11の発電電圧を、昇圧装置などで昇圧してからリチウムイオンバッテリーの充電に最適な電圧にする方法がある。しかしながら、昇圧して充電する方法では電気的なロスが大きくなるため、短時間での大電流充電方法を実現する上では満足のいく結果が得られなかった。
本発明は上記背景に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、鉛バッテリー用のオルタネーター搭載の車両において、鉛バッテリーによるメインバッテリーと、鉛バッテリーとは異なる種類のサブバッテリーの双方を効率良く充電できるようにした走行充電システムを提供することにある。
本発明の別の目的は、エンジンのオルタネーターの能力を効率良く引き出すことにより、鉛バッテリーに最適化されたオルタネーターを使って、鉛バッテリーよりも高い充電電圧を必要とする非鉛バッテリーを用いたサブバッテリーを効率良く充電できるようにした走行充電システムを提供することにある。
本発明のさらに別の目的は、ベース車両に標準装備されているオルタネーター11の内部構成を改造することなく、サブバッテリーとしてリチウムイオン電池を用いた走行充電システムを実現することにある。
本願において開示される発明のうち代表的なものの特徴を説明すれば次の通りである。
本発明の一つの特徴によれば、オルタネーターを有するエンジンと、エンジンの始動用及び車両用の電源として用いられるメインバッテリーと、エンジンの停止時にメインバッテリーと切り離して使用可能であってメインバッテリーよりも高い充電電圧が必要とされるサブバッテリーを有し、サブバッテリーは、メインバッテリーとは独立した配線にてオルタネーターに接続され、メインバッテリーとサブバッテリーはエンジンの運転時にオルタネーターの出力により同時に充電されるようにしたサブバッテリーを有する車両において、メインバッテリーからオルタネーターのS端子への接続回路内に降圧手段を設け、オルタネーターの温度を測定するセンサを、オルタネーターの筐体に付加し、センサの検出温度に応じて降圧手段による降圧の稼働又は停止を切り替えるように構成した。降圧手段は、メインバッテリーからオルタネーターのS端子への接続回路内に直列に挿入される複数の抵抗器又は複数のダイオードで構成でき、センサの検出温度に応じて降圧手段の稼働時の降圧レベルを複数設定するようにした。
本発明の他の特徴によれば、降圧手段の入力側と出力側を短絡又は開放可能なバイパス回路を設け、切り替え回路によってバイパス回路の接続又は遮断を切り替えることによって、降圧手段を稼働させるか、又は、停止させるかを切り替え可能とした。降圧手段を停止させると、オルタネーターのS端子への帰還電圧は、本発明適用前の状態と同じとなる。降圧手段による降圧レベルは、サブバッテリーの状態(例えば、サブバッテリーの電圧、残容量、又は、温度のいずれか一つ以上)に応じて段階的に切り替えられる。また、可変抵抗器を用いて降圧手段による降圧を連続可変に制御しても良い。
本発明の他の特徴によれば、オルタネーターとサブバッテリーの接続経路として、オルタネーターの出力に直接接続される直結充電経路と、オルタネーターの直流出力を交流に変換するインバーター装置及びサブバッテリーを充電するバッテリー充電器を介して充電されるインバーター充電経路を有し、車両の走行中にサブバッテリーは、直結充電経路又はインバーター充電経路のいずれかで切り替えて充電できるように構成した。また、車両の走行中にインバーター装置からのAC出力を利用する機器を使用する場合は、直結充電経路を切り離して、インバーター充電経路だけを接続するように構成した。
本発明の走行充電システムにより、オルタネーターの能力を効率良く引き出すことにより、鉛バッテリーよりも高い充電電圧を必要とするサブバッテリーを急速に充電できる。また、オルタネーターによる大電流の発電においても、オルタネーターがオーバーヒートしないようにALT-S電圧をコントロールするので、オルタネーターを定格温度内で動作させることができ、オルタネーターを保護することができ、信頼性の高く効率の良い走行充電システムを実現できた。
さらに、リチウムイオンバッテリーが得意とする大電流充電と大電流放電を小刻みに繰り返す状態を避けるために、オルタネーターからインバーター回路を介してバッテリー充電器を稼働させる経路も設けたので、車両のエンジンの稼働中にエアコンや電子レンジ等の大電流電気機器を使用するような状況では、「インバーター充電モード」に切り替えることにより、サブバッテリーから大電流の放電をしながら同時に充電するという事象を回避でき、リチウムイオンバッテリー式のサブバッテリーの長寿命化を達成できた。
本願発明が適用される車両(キャンピングカー1)の側面図であって、一部にバッテリーの搭載状況を示した図である。 本発明の実施例に係るバッテリーの走行充電システムの基本的な接続回路図である。 本発明の実施例であって、図2のシステムを更に発展させた走行充電システムの接続回路図である。 図3の降圧手段50の構成を示す回路図である。 (A)は減圧素子51~53としてダイオード51A、52A、53Aを用いる例を示した回路図であり、(B)は減圧素子51~53として抵抗器51B、52B、53Bを用いる例を示した回路図である。 図4の降圧停止信号の適用例をまとめた表である。 本発明の実施例に係る走行充電システムの制御手順を示すフローチャートである。 本発明の第二の実施例に係る走行充電システムの接続回路図である。 本発明の第三の実施例に係る走行充電システムの接続回路図である。 従来例の車両におけるメインバッテリー及びサブバッテリーの基本的な接続回路図である。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。以下の図において、同一の部分には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。図1は、本願発明が適用される車両(キャンピングカー1)の側面図であって、一部にバッテリーの搭載状況を示した図である。図1に示すレベルの構成は、従来のキャンピングカーと同じである。
メインバッテリー20は、図10で示した従来例と同じく鉛バッテリーが用いられる。一方、サブバッテリー31~33は「リチウムイオンバッテリー」、ここでは3つのリン酸鉄リチウムイオン(LiFePO4)バッテリーを用いた。サブバッテリーの数は、1つ以上であって6個程度までの範囲とすると好ましい。また、サブバッテリー31~33を複数個接続する場合は、同一タイプ、同一容量のものを並列接続すると好ましい。サブバッテリー31~33の個々は、例えば容量100Ah(Ah20Hr率)である。
リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは、リチウムイオンバッテリーの一種で、正極材料にリン酸鉄リチウムを使用する二次バッテリーである。市販されているリン酸鉄リチウムイオンバッテリーは、鉛バッテリーに比べてエネルギー密度が高い一方で、放電率が低く、サイクル寿命が長いという特徴を有する。また、1セルあたりの電圧が3.2~3.3Vであるため、自動車用バッテリーとして使用するには4セルの直列接続とし、その定格電圧は12.8~13.2Vとなる。また、市販されている自動車用のリン酸鉄リチウムイオンバッテリーには、過充電防止、過放電防止のBMS(Battery Management System)が内蔵されているため、車両用の鉛バッテリーをリン酸鉄リチウムイオンバッテリーに置き換えることが可能である。しかしながら、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは鉛バッテリー(定格電圧12.6V)との違いにより、高い充電電圧が必要となるので、鉛バッテリーの充電用に最適化されたオルタネーター11との直結接続だけでは、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーを用いたサブバッテリー31~33を短時間に満充電させることが難しい。
公知のリン酸鉄リチウムイオンバッテリーをサブバッテリー31~33として用いた場合は、発明者らの実験によれば、オルタネーター11からサブバッテリー31~33をケーブル41にて直接接続しても、オルタネーター11の出力電圧が足りずに必要な充電終端電圧14.6Vまでなかなか到達しないことが判明した。そこで、本実施例ではオルタネーター11の出力電圧を高めるように制御し、オルタネーター11が有する発電能力を効果的に引き出すようにした。
図2は本実施例に係るバッテリーの走行充電システムの原理を説明するための接続回路図である。図2において、サブバッテリー31~33の種類と、降圧手段50を追加したこと以外は、図10に示す従来の走行充電システムと同じ回路である。メインバッテリー20の正極端子20aは、オルタネーター11の+B端子12aとヒューズ13を介してケーブル14で直接接続され、負極端子20bは、オルタネーター11の負極端子12b部分とケーブル16にて直接接続される。オルタネーター11の負極端子12bとメインバッテリー20の負極端子20bは、それぞれ車体の金属部分にアース線21、22にて接地される。
キャンピングカー1の居室部分と別の車体(以下、「ベース車両」という)側の電源は、メインバッテリー20の正極端子20aから接続されるプラス線18と、アース線19から取り出され、例えば、エンジンコントロールユニット(ECU)、イグニッション、ヘッドライト、リアライト、ウインカー、ワイパーと、キャブ内に設けられる室内灯、エアーコンディショナー、オーディオ機器等の電源となる。これらは通常の乗用車や小型トラック、小型貨物自動車等で用いられている電源システムと同じである。尚、プラス線18には、図示しないヒューズや電流検知回路等が設けられるが、それらの説明は省略する。
サブバッテリー31~33はリン酸鉄リチウムイオンバッテリーを用いたものである。サブバッテリー31~33の合計バッテリー容量は、メインバッテリー20のバッテリー容量よりも十分大きく、例えば2倍以上、好ましくは数倍以上になるように構成する。サブバッテリー31~33のプラス出力36、マイナス出力37は、キャンピングカー1の居室部分(シェル内)で使用される電源となるものである。使用される機器としては、12V駆動の冷蔵庫、室内灯、入口灯、換気扇、オーディオ機器、水道のポンプ、FFヒーター等である。また、プラス出力36、マイナス出力37に公知のインバーター機器(後述するインバーター81と同じもの)を接続して、直流12Vから交流100Vに変換して、家庭用エアコン、家庭用テレビ、家庭用電子レンジ、その他100Vにて動作する機器の電源として用いられる。
降圧手段50は、メインバッテリー20からオルタネーター11のセンシング端子S(S端子)12cに帰還させるバッテリー電位を、見かけ上低くなるように伝達させる手段である。例えば、メインバッテリー20の実電圧が13.3Vの場合、オルタネーター11のS端子11cに0.数ボルト~2V程度降下させた電圧が伝わるように伝達させる。降圧手段50とメインバッテリー20の正極端子20aとの間には、例えば容量7~10A程度のヒューズ17が設けられる。このようにS端子12cへの帰還信号(電圧信号)が低くなるように制御すると、オルタネーター11が高い発電能力を発揮するようになる。一方、オルタネーター11自体の改造を行っている訳ではないので、メインバッテリー20の充電や、ベース車両電源への影響は無視できる。降圧手段50は、様々な構成により実現できる。
以上、図2の接続回路によってオルタネーター11は、メインバッテリー20に最適な出力よりも高い電圧を出力することができるので、リチウムイオンバッテリー31~33を効率よく充電できる。しかしながら、オルタネーター11を高い負荷領域で長時間使用することになるため、そのための安全機構を設けることが重要になる。また、充電される側のリチウムイオンバッテリー31~33についても、適切な充放電管理をすることが望ましい。
図3は本発明の実施例であって、図2のシステムを更に発展させた走行充電システムの接続回路図である。ここでは降圧手段50を具体化して、ALT-Sコントローラ50Aとして示した。ALT-Sコントローラ50Aの基本的な動作は、センシング端子S(S端子12c)への信号をメインバッテリー20の電圧(通常電圧)そのままで帰還させる、又は、通常電圧よりも低くなるように降圧させて帰還させるかのいずれかである。ここでは降圧させる電圧レベルを多段階(ここでは3段階)設けて、どのレベルまで降圧させるかをオルタネーター11の温度によって調整できるようにした。このため、オルタネーター11のハウジングに温度センサ78を設け、温度センサ78の出力値を温度モニター79にて監視し、オルタネーター11の温度に応じた制御信号79aをALT-Sコントローラ50Aに入力させる。温度センサ78は、オルタネーター11のハウジングの外側に取り付けたサーミスタ等の公知の温度センサであり、ネジ、接着剤、両面テープ等を用いてオルタネーター11に固定される。この際、オルタネーター11を分解することなく、内部構成には何ら手を加えないことが重要である。オルタネーター11の内部には、ベース車両5のエンジンコントロールユニット(ECU:engine control unit)に伝達される温度センサが設けられるものがある。しかしながら、本実施例ではオルタネーター11の内部に設けられる温度センサとは別に、ハウジングの外側に追加の温度センサ25を設けるようにして、オルタネーター11自体の分解を行わないようにした。
サブバッテリー31~33の充放電状態を監視するために充放電モニター70が設けられる。充放電モニター70は、シェル6(図1参照)にて使用者に対してサブバッテリー31~33の状態を表示するために用いられることが多いが、その監視データを降圧停止信号70aとしてALT-Sコントローラ50Aに伝達する。さらに、サブバッテリー31~33の急速充電が不要な場合は、使用者(運転手)が手動式の停止スイッチ76で、ALT-Sコントローラ50Aの動作をオフにできるようにした。そのための停止信号76aがALT-Sコントローラ50Aに伝達される。このようにベース車両5に標準装備されているオルタネーター11自体を改良することなく、単に、センシング端子S(S端子12c)への帰還信号を調整することによって、オルタネーター11からの発電出力を増大させるように制御できた。さらに、サブバッテリー31~33をオルタネーター11に直結する直結充電モードを有する充電システムにおいて、本実施例による発電出力を増大させる制御によって大容量のオルタネーター11の出力を十分生かしたリチウムイオンバッテリーの急速充電が可能となった。
充放電モニター70は、サブバッテリー31~33の充電及び放電状態をモニターする機器であり、バッテリー残量(容量%)、出力/入力電圧(V)、出力/入力電流(A)、バッテリー温度(℃)等をモニターする公知の機器である。バッテリー温度(℃)のモニターはオプションであり、サブバッテリー温度を測定する場合は、サブバッテリー31~33のいずれかに温度センサ72を追加する。積算電流計74は、サブバッテリー33の負極端子33bから接地するアース線の間に設けられ、サブバッテリー31~33への充電電流又は放電電流の値を測定すると共に、その積算値を計算する。積算電流計74bの出力は、信号線74aを介して充放電モニター70に出力される。尚、温度センサ72と積算電流計74は、サブバッテリー31に予め組み込まれた図示しないBMS(Battery Management System)にそれらの機能が含まれている場合があるので、BMSからそれらの値を充放電モニター70に入力させるようにしても良い。また、サブバッテリー31~33の温度検出値をALT-Sコントローラ50Aの制御に利用しないことも任意である。
手動式の停止スイッチ76は、運転手によってALT-Sコントローラ50Aを稼働させるか、停止させるかを選択するスイッチであり、車両の任意の位置、例えば運転席や、居室内に設置することができる。停止スイッチ76の表示としては、“急速充電”(ALT-Sコントローラ50Aを稼働)と、“通常充電”(ALT-Sコントローラ50Aの稼働の停止)として、これらを手動にて切り替えられるようにする。
図4は図3の降圧手段50の詳細回路図である。降圧手段50は、3つの減圧素子51~53と、4つの自動復帰式のリレースイッチ(54~57)と、一つのリレースイッチ58により構成される。降圧手段50はメインバッテリー20の+端子に接続される信号線15aと、オルタネーター11のS端子に接続される信号線15b(図の経路中に設けられる。信号線15aと15bの間には、3つの減圧素子51~53が直列に介在される。減圧素子51~53は、それを通過することによって電圧が所定の大きさだけ降下させることができる電子部品であって、例えばダイオードや、固定抵抗器、可変抵抗器を用いることができる。
減圧素子51~53のそれぞれには並列するバイパス回路が設けられ、そこに自動復帰式のリレースイッチ54~56がそれぞれ設けられる。リレースイッチ54~56は、外部から電気信号(ここでは制御信号79a)を入力し、電気回路のオン/オフの切り替えを行う部品である。リレースイッチ54~56は、有接点リレー(メカニカルリレー)と無接点リレー(MOS FETリレー、ソリッドステート・リレー)のいずれで構成しても良いが、外部からの電気信号(ここでは制御信号79a)を入れた時だけ接点がオンとなるリレースイッチを用いると良い。このように、各減圧素子51~53のそれぞれに個別のバイパス回路を設け、リレースイッチ54~56の接続数で、稼働させる減圧素子を0~3個の間で切り替え、S端子12cへの帰還電圧を段階的に降圧する。具体的には、オルタネーター11の温度が高くなったら少しずつ降圧レベルを減らすように制御して、オルタネーター11が高負荷(高電流)によって連続使用上限温度(例えば90℃)を越えないように制御する。
冷間時にエンジンを始動して、エンジン稼働中に温度センサ78で検出された温度が80℃を越えたら、温度モニター79は、信号線79aによってリレースイッチ56の接点をオンにする制御信号を出力し、リレースイッチ54、55の接点はオフのままとする。この状態では、信号線15aと15bの間に、減圧素子51と52が介在されている状態である。その後、エンジン稼働中に温度センサ78で検出された温度が85℃を越えたら、温度モニター79は、信号線79aによってリレースイッチ55、56の接点をオンにする制御信号を出力し、リレースイッチ54の接点はオフのままとする。この状態では、信号線15aと15bの間に、減圧素子51だけが介在されている状態である。その後、エンジン稼働中に温度センサ78で検出された温度が90℃を越えたら、温度モニター79は、信号線79aによってリレースイッチ54、55、56の接点をすべてオンにする制御信号を出力する。つまり、検出温度が90℃以上の場合は、信号線15aと15bが直結された状態となり、減圧素子51~53は作用しない。
高温のオルタネーター11の温度が88℃まで低下したら、リレースイッチ54の接点だけがオフになり、温度が83℃まで低下したらリレースイッチ54と55の接点がオフになり、温度が78℃まで低下したらリレースイッチ54、55、56の接点のすべがオフになる。このような制御をエンジン10の稼働中に繰り返すことになる。
各減圧素子51~53と並列に設けられる個別のバイパス回路に加えて、減圧素子51~53全体をまとめてバイパスさせる回路も設けられ、そこにリレースイッチ57が設けられる。リレースイッチ57は通常状態、即ち、ALT-Sコントローラ50Aの外部からALT-Sコントローラ50Aの降圧停止信号70a及び76aのいずれも入力されていない際には、リレースイッチ57の接点がオフとなる。一方、降圧停止信号70a及び76aが入力されたら、リレースイッチ57がオンとなることにより、信号線15aと15bが直結状態となることで、ALT-Sコントローラ50Aの動作が停止される。このように、本実施例のALT-Sコントローラ50Aは、減圧素子51~53を個別に稼働又は停止させるモードと、全体としてALT-Sコントローラ50Aを稼働又は停止させるモードを有するように構成した。そして、個別に稼働又は停止させるモードは、オルタネーター11の計測温度によって制御され、全体を稼働又は停止させるモードは、サブバッテリー31~33の状態や手動停止スイッチ等で切り替えられるようにした。ここで、サブバッテリー31~33の状態とは、サブバッテリー31~33の電圧、残容量(%)、温度センサ72による計測温度のいずれか一つ以上を示す。
図5(A)は減圧素子51~53として複数のダイオード51A、52A、53Aを用いた例を示す回路図である。ここではダイオード51A、52A、53Aのアノード側がメインバッテリー20側になり、カソード側がオルタネーター11側になるように直列に接続する。ダイオード51A、52A、53Aは、それぞれを通過する毎に約0.5V程度の電圧降下が生ずる。従って、通過させるダイオードの数を1~3個に切り替えることによって、センシング端子S(S端子12c)への帰還信号を、メインバッテリー20の電圧から0.5V降圧、1.0V降圧、又は、1.5V降圧させた電圧に変換できる。また、それぞれのダイオード51A、52A、53Aにバイパスさせる回路(54aと54b、55aと55b、56aと56b)を設け、各バイパス回路にリレースイッチ54、55、56を介在させているので、オルタネーター11の測定温度(図3の信号線79a)に基づいてリレースイッチ54、55、56の接続又は開放を個別に制御できる。
図5(B)は減圧素子51~53として複数の抵抗器51B、52B、53Bを用いる例を示した回路図である。抵抗器51B、52B、53Bを用いることによって、降下させる電圧の範囲を任意に設定することが可能となる。抵抗器51B、52B、53Bを用いる場合は、ダイオード51A、52A、53Aのような接続の極性はない。抵抗器51B、52B、53Bには、それぞれバイパス回路(54aと54b、55aと55b、56aと56b)が設けられ、それぞれのバイパス回路にリレースイッチ54、55、56が介在される。リレースイッチ54、55、56はオルタネーター11の測定温度(図3の信号線79a)に基づいて接続又は遮断が制御される。
図5(A)、(B)では使用する減圧素子の数をそれぞれ3つずつとした。直列接続されるこれらの減圧素子の数は任意であるが、減圧素子を挿入してもメインバッテリー20の充電可能範囲、オルタネーター11の使用上の許容範囲内での発電及び充電が行えることが重要である
図6は、オルタネーター11の温度上昇からの保護の為に降圧手段50の介在を解除させるだけでなく、その他の要因によって降圧手段50の動作を停止させる適用例をまとめた表である。ALT-Sコントローラ50A等の降圧手段50を介在させることは、オルタネーター11が持つ能力を十分に引き出すことになるが、メインバッテリー20及びサブバッテリー31~33が満充電又は満充電に近い場合には、降圧手段50を動作させない方が良い場合がある。また、サブバッテリー31~33の急速充電の必要が無いような場合、例えば、到達目的地にて外部AC電源が使用可能な場合や、ソーラーバッテリー等の別の充電手段によって充電量が十分確保できるような場合も、急速充電の必要性は低い。それらの場合は、降圧手段50による降圧を停止できるようにすれば、オルタネーター11の負荷増大を抑制でき、エンジン10の燃費向上に貢献できる。このように降圧手段50の動作停止を、どの信号に基づいて、又は、どのような状態で実行するのか、いくつかの制御パターンが考えられる。
一つ目は、(1)サブバッテリー31~33の電圧に依存させるものである。ALT-Sコントローラ50Aを設ける目的は、サブバッテリー31~33を急速に、且つ、容量100%まで充電させるためである。従って、サブバッテリー31~33の電圧が充電終了電圧に到達したら、ALT-Sコントローラ50A全体の動作をキャンセル、即ち、降圧停止信号(信号線70a)をハイにすることにより、リレー57を接続状態にすることにより、信号線15aと15bを短絡状態にする。充電終了電圧は、用いられるサブバッテリー31~33の種類によって異なり、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーの場合は14.6Vである。従って、サブバッテリー31~33の電圧が14.6V以上の場合に降圧停止信号(信号線70a)をハイにすることによりリレー57を接続状態にする。また、サブバッテリー31~33の電圧が13.4V未満の場合に、降圧停止信号(信号線70a)をローにすることにより、リレー57をオフ状態(開放状態)に切り替える。尚、充放電モニター70によって検出されたサブバッテリー31~33の電圧が13.4V~14.6Vの間の場合は、その直前の降圧停止信号(信号線70a)の出力状態(ハイ又はロー)を維持するようにして、わずかな電圧変動等で頻繁に降圧停止信号(信号線70a)が切り替わらないように制御する。
ALT-Sコントローラ50A全体の動作をキャンセルする2つめの信号は、(2)サブバッテリー31~33の温度である。この温度に応じた停止信号(図3の信号線70a)は、サブバッテリー31~33に取り付けられた温度センサ72の検出温度に基づいて、充放電モニター(図3参照)70によって出力される。この場合、サブバッテリー31~33の温度が45℃を越える、又は、0℃未満になったら降圧停止信号(信号線70a)をハイにすることによりリレー57を接続状態にして、信号線15aと15bを短絡状態にする。また、温度が2℃~43℃の場合に降圧停止信号(信号線70a)をローにしてリレー57(図4参照)を開放状態にする。温度が0℃以上2℃未満、又は、43℃より大きく45℃未満の場合は、その時の降圧停止信号(信号線70a)の出力状態を維持して切り替えが行われないようにする。
ALT-Sコントローラ50A全体の動作をキャンセルする3つめの信号は、(3)サブバッテリー31~33の充電容量(残容量)である。この充電容量は、積算電流計74の出力に基づいて充放電モニター70が算出し、設定された残容量値に基づいて充放電モニター70は降圧停止信号(信号線70a)をハイにする。充電容量に基づく制御は種々考えられ、例えば充電容量が75%を下回ったらリレー57(図4参照)を開放状態にし、充電容量(残容量)が80%を越えたら降圧停止信号(信号線70a)をハイにすることによりリレー57を接続状態にする。さらに、充電容量が20%を下回ったら、深放電状態での急速充電の回避のために、降圧手段50の動作を停止させて通常のオルタネーター11の発電能力での充電を開始し、残容量が22%を越えた時点でリレー57(図4参照)を開放状態にする。尚、降圧停止信号(信号線70a)をハイにしても、オルタネーター11からの出力増大が停止されて通常の発電能力に戻るだけであるので、通常出力でのサブバッテリー31~33の充電は継続されることになる。図6の例では充電容量に基づくリレー57を接続又は遮断の切り替え閾値を20%、75%、80%としたが、この閾値だけに限られずに任意に設定できる。また、深放電時(残容量20%未満)にリレー57(図4参照)を開放状態にする制御は省略しても良い。
ALT-Sコントローラ50A全体の動作をキャンセルする4つめの信号は、(4)停止スイッチ76の指示である。停止スイッチ76をONにすると、信号線76aによりハイ信号がALT-Sコントローラ50Aに入力されるので、リレー57がオンになる。また、停止スイッチ76をOFFにすると、信号線76aがローになり、ALT-Sコントローラ50Aの、リレー57がオフになる。停止スイッチ76を設けることで、運転手はサブバッテリー31~33の充電を、停止スイッチ76をオフにする急速充電モード(S端子12cへの帰還電圧を降圧するモード)と、停止スイッチ76をオンにする通常充電モード(S端子12cへの帰還電圧を降圧しないモード)を切り替えることができる。リチウムイオンバッテリーでは、大電流による急速充電よりも、小電流による充電のほうがバッテリーの寿命を延ばすことができる場合が多い。そのようなタイプのサブバッテリーを用いる場合は、運転手が急速充電の必要性がないと判断した場合は、急速充電モードを解除しておく使い方が可能である。
以上、図6のテーブルを用いて降圧停止信号の一例を説明したが、これら(1)~(3)の条件の共通点は、メインバッテリー20とは別の接続経路に設けられるサブバッテリー31~33の状態に応じて切り替えるようにしたことである。メインバッテリー20の状態に応じて切り替えるのでは、サブバッテリー31~33側の充電状況が降圧停止制御に正しく反映されないので、必ずサブバッテリー31~33側から反映される値を用いることが重要である。
本実施例ではさらに、(4)のように運転手の意図によって切り替える手動式の停止スイッチ76を設けたので、使いやすい走行充電システムを実現できた。尚、図6で例示した要素以外で降圧手段50の動作をキャンセルするか否かを判断するようにしても良い。例えば、サブバッテリー31~33が、図8で後述する直結充電モードではALT-Sコントローラ50Aのリレー57をオフにして、インバーター充電モードではALT-Sコントローラ50Aのリレー57をオンにするような制御を行っても良い。さらには、なんらかの理由でサブバッテリー31~33への接続経路が遮断されたことが検知されたら、ALT-Sコントローラ50Aのリレー57をオンにして、減圧素子51~53の動作を停止させても良い。
次に図7のフローチャートを用いて本実施例に係る走行充電システムの充電制御手順を説明する。最初に運転手はエンジン10を始動することにより、走行充電が開始される(ステップ100)。本明細書でいう「走行充電」は、実際に車両が走行しているかどうかは重要では無く、エンジン10が回転していればアイドリング状態でも良い。次に、エンジンが始動したらリレー43をONにすることによりサブバッテリー31~33の充電を開始する(ステップ101)。リレー43はエンジン10の始動数秒後(例えば3秒後)に自動でON(接続)となり、エンジン10が停止されオルタネーター11による発電が停止されたら自動でOFF(遮断)となるような自動復帰型のリレーを用いると良い。また、ステップ101では、リレー58もエンジン始動後に遅延してオンになる。いずれにもオフリレーである。リレー58がオンになると、ALT-Sコントローラ50Aに含まれるリレー54~57(図4参照)の動作電圧を供給する。尚、リレー58のオン又はオフの制御は、リレー43と独立しても制御しても良いし、同期又は連動させるように制御しても良い。
図4に示すALT-Sコントローラ50Aでは、エンジン10の冷間時(オルタネーター11の温度が低い場合)には、リレー54~56がすべてオフ(非導通)の状態になるので、信号線15aと15bの間には3つのダイオード51A、52A、52Aが直列に接続され、S端子12cに電圧させる電圧が、メインバッテリー20の電圧よりも所定量だけ降下する(ステップ102)。
次に、エンジン10が停止したかどうかを判断し(ステップ103)、エンジン10が停止したらステップ109に移りリレー43をOFFにしてサブバッテリー31~33側とオルタネーター11との接続状態を解除すると共に、リレー58をオフにすることによりリレー54~57への動作電圧供給を解除する。この結果、リレー54~57は初期状態(ここでは接点開放たるオフ状態)に戻る。
ステップ103においてエンジン10が運転中であったら、ALT-Sコントローラ50Aに降圧停止信号(70a又は76a)が出力されているか否かを判定する(ステップ104)。ステップ104で、降圧停止信号がありの場合は、リレー57の接点がオンになることにより、信号線57aと57bを導通状態にすることにより、信号線15aと15bを直結状態として、減圧素子51~53による減圧降下が作用しないようにする。このステップ105の状態では、メインバッテリー20の電圧がS端子12cにそのまま伝達される。
ステップ104で、降圧停止信号が無しの場合は、リレー57がオフ(信号線57aと57bが遮断状態)となるため、信号線15aと15bの間に介在される減圧素子51~53の数に応じて信号線15bに伝達される電圧が、信号線15aの電圧に対して低くなる。次に、温度モニター79によるオルタネーター11の検出温度が変化したか否かを監視し、温度変化が無い場合は、リレー54~56の接続状態を維持したままステップ103に戻る(ステップ107)。ステップ107において、リレー54~57のリレーの接続状態切り替えが必要となるようなオルタネーター11の温度変化があった場合は、その温度変化に応じて該当するリレー55~56のいずれか又は全部をオンにするように制御信号79aが入力され(ステップ108)、その後、ステップ103に戻る。
以上の手順によりエンジン10の稼働中に連続してALT-Sコントローラ50Aの状態が制御される。尚、本実施例のようにALT-Sコントローラ50A内の制御をリレースイッチ54~57を用いたメカスイッチによる電気回路で実現するのではなく、降圧手段50部分以外を、又は、降圧手段50部分を含めてマイクロコンピュータを用いて電子的に制御する回路で実現しても良い。
図8は本発明の第二の実施例に係る走行充電システムの接続回路図である。第2の実施例では図3に示した基本的な走行充電システムに改良を施したものである。エンジン10に設けられるオルタネーター11を用いてメインバッテリー20とサブバッテリー31~33を同時に充電できる点は第一の実施例と同じである。オルタネーター11は、ここでは130Aの容量を持ち、ノーマル状態(ALT-Sコントローラを挿入しない状態)では14.1V~13.5V程度の出力電圧を有する。電圧値が一定でないのは、出力電圧がエンジン回転数の高さに依存し、また、オルタネーター11に接続されるバッテリーの充電電流量にも依存するためである。メインバッテリー20は、例えばディーゼルエンジンでは形式85D26Lが、ガソリンエンジンの場合は形式50D20Lが用いられるが、メインバッテリー20の形式はこれだけに限られない。また、メインバッテリー20を同一タイプの2つのバッテリーの並列接続で構成しても良い。
サブバッテリー31~33は、ケーブル45、47に比べて細めで、必要な長さよりも長めのケーブル34a、34b、35a、35bによって並列に接続される。ここでは、ケーブル34aと35bの長さを1とすると、ケーブル34bと35aの長さを2とする比率にする。また、ケーブル45及びプラス出力36の接続はサブバッテリー31の正極端子31aに行い、アース線34とマイナス出力37はサブバッテリー33の負極端子33bに接続する。このように複数のサブバッテリー31~33を等長配線とすることにより各サブバッテリー間の充放電のばらつきを抑えることができる。
オルタネーター11の+B端子12aの出力は、切替スイッチ44を介して、インバーター81側への経路(インバーター充電経路)か、サブバッテリー31への経路(直結充電経路)に切り替えられる。リレー43は、ここではエンジン10の運転に連動してON又はOFFになるスイッチであり、エンジン10の始動後に所定時間(例えば2~3秒)遅延させた後にON状態となるような遅延リレーとすると良い。エンジン10を停止させるとリレー43はOFF状態(非導通状態)となる。リレー43の上流側にはヒューズ42が設けられる。切替スイッチ44の出力の一方は、ケーブル47を介してインバーター81に接続され、出力の他方は、ケーブル45を介してサブバッテリー31の正極端子31aに直接接続(直結)される。
インバーター81はDC-ACインバーターであって、DC10.0V-16.0V程度の直流から50Hz又は60Hzの100Vの交流を生成して出力する。ここでは最大連続出力1500W以上のものを用いるようにした。インバーター81のアース線49とサブバッテリー33の負極端子33bに接続されるアース線34、メインバッテリー20に接続されるアース線22(又はオルタネーター11のアース線21)のシャシへのコンタクトポイントを共通とすると、電圧ロスを少なくできて送電効率を高めるができる。インバーター81には、ACコード83を用いてバッテリー充電器82が接続される。ACコード83の経路中にはリレー73が設けられる。
バッテリー充電器82はAC電源を用いて自動車等のバッテリーを充電する公知の機器である。ここではバッテリー充電器82はインバーター81の交流出力を入力とし、プラス側出力はケーブル85を介してサブバッテリー31の正極端子31aに接続され、マイナス側出力はケーブル86を介してサブバッテリー33の負極端子33bに接続される。ケーブル85に経路中にはヒューズ84が設けられる。ここで、サブバッテリー31~33を充電するのに当たり、インバーター81とバッテリー充電器82を用いる経路(インバーター充電経路)を設けたのは、リチウムイオンタイプのサブバッテリー31~33に対する充電と大電流放電を同時に行うことを避けるためである。リチウムイオンバッテリーは、種類によっては充電をしながら大電流を取り出すようにすると、バッテリーが高温になったり、寿命が短くなってしまう。そこで本実施例では、サブバッテリー31~33の急速充電を主目的とした第1の充電モード(「直結充電モード」:切替スイッチ44はケーブル45側に接続)と、高電流AC機器(主にAC100V駆動のエアコン)を使用しながらリチウムイオンバッテリーを充電する第2の充電モード(「インバーター充電モード」:切替スイッチ44はケーブル47側に接続)を設けて、エンジン10の運転中に切替スイッチ44によっていずれかの充電モードを切り替え可能とした。
インバーター81の出力側の一方には、ACコード88を介してコンセント93aが設けられる。コンセント93aには、AC100Vで駆動する家庭用エアコンや電池レンジ等が接続される。また、インバーター81のAC出力の他方は、リレー73を介してバッテリー充電器82に接続される。バッテリー充電器82は、サブバッテリー31~33の種類(ここではリチウムイオンバッテリー)に合わせた専用の充電器であって、例えば、電池温度補正制御、定電流充電、定電圧充電を用いた充電を行うことができる。
ここで直結充電モードだけでなくインバーター充電モードを併用すると以下のようなメリットがある。
(1)サブバッテリー31~33からみると、大電流による充電と放電が同時に発生せずに、インバーター充電モードではほぼ充電だけとなるので、サブバッテリー31~33の充電時に余計な負荷がかからず、バッテリーに対してやさしい充電状態が維持できるので、リチウムイオンバッテリーの長寿命化が期待できる。
(2)バッテリー充電器82としてサブバッテリー31~33の種類に応じた専用品を採用すれば、最終充電電圧もリチウムバッテリーに合わせた最適電圧(例えば14.6V)とすることができる。
(3)バッテリー充電器82の電源は、リレー73によって走行中でもオン又はオフの切り替えが可能であるので、AC100Vの負荷が大きい場合(例えば、室温が高い状態で家庭用エアコンを始動したような急速冷却時)には、バッテリー充電器82をオフにする制御が可能となる。
(4)バッテリー充電器82の出力はメインバッテリー20の充電には影響しない上、サブバッテリー31~33は切替スイッチ44によってオルタネーター11との直結状態が解除された状態で充電が可能となる。例えば、インバーター充電モードでは、サブバッテリー31の充電電流が最大でも45A、エアコンを使いながらの充電ではサブバッテリー31~33への充電電流が20A程度のゆっくりとした充電となる。
以上、第2の実施例によれば、ベース車両5の電源システムには影響すること無く、メインバッテリー20とは独立した充電回路によりサブバッテリー31~33を充電することができる。尚、本実施例では「インバーター充電モード」を実現するのに当たり、DC-AC方式のインバーター81と、商用交流を入力とするバッテリー充電器82を用いて実現したが、必ずしもこれらの組合せを用いる昇圧充電手段に限定されるものではない。例えば、オルタネーター11の出力電圧を昇圧する昇圧回路と、昇圧された電源から最適な充電電流、充電電圧でサブバッテリー31~33を充電できるようにした充電回路を有すれば、一体型の機器にて昇圧充電手段を実現しても良い。また、製造コスト低減のために、直結充電モードを省略(切替スイッチ44とケーブル45を省略)して、インバーター充電モードだけの構成とすることも可能である。サブバッテリー31~33の充電をインバーター充電モードだけで行う構成であっても、ALT-Sコントローラ50Aを挿入することによって、サブバッテリー31~33の迅速な充電が可能となる。
図9は本発明の第三の実施例に係る走行充電システムの接続回路図である。第三の実施例における「直結充電モード」と「インバーター充電モード」の制御は第二の実施例と同じである。しかしながら、第三の実施例では図8に示した切替スイッチ44を用いずに2つのリレー(63、64)を用いて同等の機能を実現したことと、インバーター81とバッテリー充電器82の接続の仕方を工夫し、さらには、温度センサ78のオルタネーター11への取付位置を変更した。第1リレー63、第2リレー64は、有接点リレー(メカニカルリレー)か無接点リレー(ソリッドステート・リレー)のいずれかで構成でき、外部からの制御信号が入力されると接点が切り替わる。ここでは、第1リレー63をオンリレー(外部からの制御信号が入力されると接続)とし、第2リレーをオンリレーとし、第2リレー64の接続又は遮断を制御装置60から制御できるようにすると良い。また第三の実施例では、ソーラーパネル95や、外部電源(プラグ90a)からの接続回路も図示している。尚、図3、図8と同じ構成部品には同じ番号の参照符号を付しているので、繰り返しの説明を省略する。
温度センサ78の取付位置は、オルタネーター11の外面であって最も高温になる場所付近とすると良い。第3の実施例ではオルタネーター11の+B端子12aの螺子に端子を用いて温度センサ78を取り付けるようにした。発明者らの検証によると、+B端子12aの螺子部分が、オルタネーター11のケースボディーの外側部分において最も高い温度を敏感に測定することが出来ることがわかった。また、+B端子12aの螺子を用いることによって、温度センサ78を長期間安定してオルタネーター11に固定できることができる利点がある。オルタネーター11の種類や取付位置によっては、他の場所(但し、オルタネーター11の外側)に温度センサ78を設ける方がオルタネーター11の温度変化を敏感に観測できる場合もあので、そのような場合は、敏感に観測できる位置に温度センサ78を設けると良い。尚、車両によってはオルタネーター11の内部に最初から設けられている温度センサの出力信号(例えば、ECUに伝達される温度信号)を取得できるかもしれない。その場合は、温度センサ78を設ける代わりに、オルタネーター11から出力される温度信号を利用してその信号を直接、又は、制御装置60を介して制御信号79aとして、ALT-Sコントローラ50Aに入力させても良い。
キャンピングカー1では、駐車時にサブバッテリー31~33を充電するために、外部からACコード90にて取り込まれたAC電源を用いてバッテリー充電器82を稼働できる。そのため、車両の外面に接続コネクタ92aが設けられ、駐車時にACコード90のコネクタ90bが接続される。また、サブバッテリー31~33を充電するために屋根に設置しているソーラーパネル95も接続される。
ソーラーパネル95による充電は、走行中又はエンジン停止中を問わずに太陽の出ている日中におこなうことができる。ソーラーパネル95の出力は電源コード96a、96bを介してソーラーコントローラー97に入力される。ソーラーコントローラー97はソーラーパネル95から得た電力でサブバッテリー31~33を最適な電圧、電流にて充電を行うようにする目的で取り付けられ、過充電を防ぐように制御する。ソーラーコントローラー97としてはPWM制御方式のものや、MPPT制御(Maximum Power Point Tracking:最大電力点追従制御方式)などのものが知られている。ソーラーコントローラー97のプラス出力はヒューズ99を介した電源コード98aによりサブバッテリー31の正極端子31aに接続され、ソーラーコントローラー97のマイナス出力は電源コード98bによりサブバッテリー33の負極端子33bに接続される。
ACマルチ91は、複数入力されるAC電源の自動切りかえ装置であって、ACコード90とインバーター81の出力のある方を選択する。入力電圧が両方ある場合は優先順位(ここではAC電源が優先順位1位)に従っていずれか一方を選択する。ACマルチ91の出力の一方はACコード93を用いてシェル6内のコンセント93aに接続され、他方はACコード89を介してバッテリー充電器82に接続される。ACコード89の経路中には、接続状態又は開放状態に切り替えるためのリレー73が設けられる。リレー73のオンオフは、制御装置60によって制御可能である。
オルタネーター11の+B端子12aからメインバッテリー20側への接続は図2~図7で示した第一の実施例と同じ構成である。オルタネーター11の+B端子12aの出力は、ケーブル41から第一リレー63を介し、ケーブル87をさらに介してインバーター81に接続される。ケーブル87の接続経路中にはヒューズ48が設けられる。一方、第一リレー63の出力側は第二リレー64を介してケーブル45によってサブバッテリー31の正極端子31aに直接接続される。第一リレー63は、ここでは遅延リレーとするもので、エンジン10の始動後に所定時間(例えば3秒)遅延させた後に接続状態となる。
第二リレー64はオンリレーであり、サブバッテリー31~33を直結状態で充電する「直結充電モード」時には接続状態にされる。一方、「インバーター充電モード」をする際には、第二リレー64を開放状態に切り替える。第一リレー63の出力はケーブル87を介してインバーター81に印加されるので、「直結充電モード」及び「インバーター充電モード」のいずれの場合であってもインバーター81を稼働させることができる。また、インバーター81の電源スイッチによって、いずれの充電モード時でもインバーター81の電源をオフにできる。インバーター81の出力はACコード88を介してACマルチ91に入力される。尚、ACコード88、89、90、92、93は2線コードであるが、ここでは1本線で図示しているので注意されたい。このような接続構成とすることで、様々な使用方法が実現できる。
まず、エンジン10の運転時に「直結充電モード」を実行する場合は、第一リレー63と第二リレー64をON(接続状態)にし、リレー73をOFFにする。するとオルタネーター11の電圧がケーブル41、45を介してサブバッテリー31~33の充電が開始される。この際、サブバッテリー31~33の容量が少ない場合は、ALT-Sコントローラ50Aによってオルタネーター11のS端子12cにフィードバックされる電圧が実際のメインバッテリー20の電圧よりも低くなるため、オルタネーター11は充電不足であると判断してその出力を上げるように動作する。この結果、オルタネーター11の能力を十分引き出すことができ、鉛バッテリーよりも高い充電電圧を必要とするサブバッテリー31~33を急速に充電することが可能となる。また、インバーター81にもオルタネーター11の電圧が入力されているため、インバーター81のスイッチをONにすることでAC100Vを使用することが可能となる。この際のインバーター81の出力はACコード88を介してACマルチ91に接続され、ACマルチ91からACコード93を介して、シェル内の電源として使用可能である。尚、エンジン10の運転中にインバーター81からの出力されるAC電力をコンセント93aを介して、家庭用エアコンや電子レンジ等の消費電力の高い機器で使用する場合は、制御装置60がリレー73を連動してオフ(遮断状態)にするようにして、バッテリー充電器82を動作させないように制御しても良い。
「直結充電モード」において、コンセント93aからの電力消費が無い場合(例えば家庭用エアコンや電子レンジ等のAC機器がすべてオフの場合)は、インバーター81の電源をオフにすると良い。インバーター81の電源のオンオフは、制御装置60によって切り替えるか、インバーター81が出力電流の有無により自動的にオフ状態又はスリープ状態に移行させるか、又は、インバーター81のスイッチを手動で切り替えれば良い。
エンジン10の運転時に「インバーター充電モード」を実行する場合は、第二リレー64をオフ(遮断)にする。この第二リレー64の切り替えによってケーブル45によるオルタネーター11との直結経路が電気的に遮断される。この状態であっても、シェル内のDC電源は、サブバッテリー31~33から供給を受けることが可能である。リレー73は制御装置60によって、サブバッテリー31~33への充電の必要性に応じてオン(充電時)にされ、充電不要の場合はリレー73がオフ(遮断)にされる。
インバーター81とバッテリー充電器82の双方の電源をオンにすると、インバーター81の出力が、ACマルチ91とリレー73を介してバッテリー充電器82に入力されるので、バッテリー充電器82によってサブバッテリー31~33が充電される。サブバッテリー31~33が所定の容量まで充電されると、制御装置60はリレー73をオフ(遮断状態)にして充電を停止する。
バッテリー充電器82を用いてサブバッテリー31~33を充電する際には、ソーラーコントローラー97の出力を停止させるほうが良い場合がある。そのため、第三の実施例ではソーラーパネル95とソーラーコントローラー97の間にリレー94を設けて、リレー73がオンの時には、ソーラーコントローラー97からの出力が停止されるようにリレー94をオフ(開放状態)にしても良い。また、「直結充電モード」においても、制御装置60はリレー94を開放状態としてソーラーコントローラー95によるサブバッテリー31~33の充電動作が行われないように制御しても良い。
手動スイッチ(第1の手動スイッチ)68は、「インバーター充電モード」か、「直結充電モード」か、を運転手が手動で切り替えるスイッチであり、手動スイッチ(第1の手動スイッチ)68を切り替えると、制御装置60にその旨の指示信号が入力される。制御装置60は、手動スイッチにより「直結充電モード」が選択されたらリレー64を接続し、リレー94をオフ(開放状態)にする。尚、制御装置60を介さずに、手動スイッチ(第1の手動スイッチ)68によってリレー64を直接制御するように構成しても良い。
第三の実施例の利点は、インバーター81をサブバッテリー31~33の充電用にも、エンジン10の停止時のシェル内電源用にも兼用できる点である。エンジン10の停止時には、リレー63がオフ(開放状態)となるが、リレー64をオン(接続状態)に維持することでインバーター81が使用できる。また、ACマルチ91を介して外部電源も入力されるため、(1)エンジン10の運転時、(2)エンジン10の停止時であって外部電源が非接続時(プラグ90aが図示しないコンセントに差さっていない場合)、(3)外部電源が接続時、のいずれにおいてもACコード93を介して適切にAC電源を得ることができる。
プラス出力36から電気機器への間には、バッテリプロテクタと呼ばれる公知の低電圧遮断装置(図示せず)が設けられ、サブバッテリー31~33の電圧が所定値(例えばリン酸鉄リチウムイオンバッテリーの場合は12.0V)に低下したら自動的にプラス出力36から電気機器への接続が遮断されるように構成すると良い。同様にして、エンジン10の停止時に、サブバッテリー31~33から接続状態のリレー64を介してインバーター81を稼働させている場合は、制御装置60が充放電モニター70の出力からサブバッテリー31~33の状態を監視し、その電圧(又は残容量)が所定値以下、例えば残容量20%以下に低下したことを検出したら、リレー64を接続から開放状態に切り替えることによってサブバッテリー31~33の過放電を防止するように制御すると良い。
エンジン10の停止中において、制御装置60は、充放電モニター70から出力される信号に基づいてリレー94のオン又はオフを制御する。例えば、リチウムイオンバッテリーは常に100%まで満充電するよりも80%程度の充電量に抑えるようにしたほうがバッテリーの長寿命化が期待できる。そこで制御装置60は、ソーラーパネル95によってサブバッテリー31~33が充電されている際、外部充電AC100Vで充電されている際、バッテリー充電器82によってサブバッテリー31~33を充電している際に、サブバッテリー31~33の残容量(%)が所定量(例えば80%)に到達したら、リレー94とリレー73をオフ(開放状態)にするように制御して、ソーラーパネル95とバッテリー充電器82によるサブバッテリー31~33の充電を停止させることができる。制御装置60の電源は、サブバッテリー31~33から供給されるため、ソーラーパネル95によるサブバッテリー31~33の充電を何%までとするか(100%も含む)は、制御装置60にて任意に設定可能に構成すれば良い。
第3の実施例ではキャンピングカー1に搭載されるソーラーパネル95と、ソーラー充電器(例えば、ソーラーコントローラ97)の間に、制御装置60から制御可能なリレー94を設け、さらにはACマルチ91とバッテリー充電器82の間にリレー73を設けることで、制御装置60は、長期間駐車中にリン酸鉄リチウムイオンバッテリーの充電量を、保管に適した最適な充電量に維持することができる。
本発明の車両用の走行充電システムは、オルタネーターを有するエンジンと、エンジンの始動用のバッテリー(メインバッテリー)と、エンジン停止時に主に利用するサブバッテリーを有し、エンジンの運転時にオルタネーターによってメインバッテリーとサブバッテリーを同時に充電するようにした車両、船舶、その他のエンジン動作機器において広く適用できる。
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上述の実施例ではキャンピングカー1の例としてキャブコンバージョンタイプのものを説明したが、キャンピングカー1はバンコンバージョンタイプやバスコンバージョンタイプで良い。また、車両はキャンピングカーだけに限られず、エンジンの始動用のバッテリー(メインバッテリー)と、エンジン停止時に主に利用するサブバッテリーを有する車両、船舶、エンジン機器であれば同様に適用できる。さらに、牽引されるキャンピングトレーラーにサブバッテリーが設けられ、牽引する車両側のオルタネーターによってメインバッテリーとサブバッテリーの双方を充電する充電システムにおいても本発明を同様に適用できる。
1 キャンピングカー 3 前輪 4 後輪 5 ベース車両
6 シェル 7 キャビン 8 入口ドア 9 窓 10 エンジン
11 オルタネーター 12a +B端子 12b 負極端子(車体接地)
13 ヒューズ 14、16 ケーブル 15、15a、15b 信号線
17 ヒューズ 18 プラス線 19 アース線
20 メインバッテリー 20a 正極端子 20b 負極端子
21、22 アース線 25 温度センサ 31 サブバッテリー
31a 正極端子 33 サブバッテリー 33b 負極端子
34 アース線 34a、34b、35a、35b ケーブル
36 プラス出力 37 マイナス出力 41 ケーブル
42 ヒューズ 43 リレー 44 切替スイッチ
45、47 ケーブル 48 ヒューズ 49 アース線 50 降圧手段
50A ALT-Sコントローラ 51、52、53 減圧素子
51A、52A、53A ダイオード 51B、52B、53b 抵抗器
63 第一リレー 64 第二リレー 68 手動スイッチ
70 充放電モニター 70a 信号線(降圧停止信号) 72 温度センサ
73 リレー 74 積算電流計 76 停止スイッチ
76a 信号線(降圧停止信号) 78 温度センサ 79 温度モニター
79a 信号線(降圧停止信号) 81 インバーター
82 バッテリー充電器 83 電源コード 84 ヒューズ
85、86、88、89 ACコード 87 ケーブル
90、92、93 ACコード 90a プラグ 90b コネクタ
91 ACマルチ 92a コンセント 92a 接続コネクタ
93a コンセント 94 リレー 95 ソーラーパネル
96a、96b 電源コード 97 ソーラーコントローラー
98a、98b 電源コード 99 ヒューズ
231~233 サブバッテリー 231a 正極端子 233b 負極端子
234 アース線 234a、234b、235a、235b ケーブル
236、237 ケーブル 241 ケーブル
242 ヒューズ 243 リレー

Claims (8)

  1. オルタネーターを有するエンジンと、前記エンジンの始動用及び車両用の電源として用いられるメインバッテリーと、前記エンジンの停止時に前記メインバッテリーと切り離して使用可能であって前記メインバッテリーよりも高い充電電圧が必要とされるサブバッテリーを有し、
    前記サブバッテリーは、前記メインバッテリーとは独立した配線にて前記オルタネーターに接続され、
    前記メインバッテリーと前記サブバッテリーは前記エンジンの運転時に前記オルタネーターの出力により同時に充電されるようにしたサブバッテリーを有する車両において、
    前記メインバッテリーから前記オルタネーターのS端子への接続回路内に降圧手段を設け、
    前記オルタネーターの温度を測定するセンサを、前記オルタネーターの筐体に付加し、
    前記センサの検出温度に応じて前記降圧手段による降圧の稼働又は停止を切り替える
    ことを特徴とするサブバッテリーを有する車両の走行充電システム。
  2. 前記降圧手段は、前記メインバッテリーから前記オルタネーターのS端子への接続回路内に直列に挿入される複数の抵抗器又は複数のダイオードであって、前記センサの検出温度に応じて前記降圧手段の稼働時の降圧レベルを複数設定することを特徴とする請求項1に記載のサブバッテリーを有する車両の走行充電システム。
  3. 前記降圧手段は、前記メインバッテリーから前記オルタネーターのS端子への接続回路内に直列に挿入される可変抵抗器であって、前記センサの検出温度に応じて前記降圧レベルを設定することを特徴とする請求項2に記載のサブバッテリーを有する車両の走行充電システム。
  4. 前記降圧手段の入力側と出力側を短絡又は開放可能なバイパス回路を設け、
    切り替え回路によって前記バイパス回路の接続又は遮断を切り替えるようにしたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のサブバッテリーを有する車両の走行充電システム。
  5. 前記バイパス回路の接続及び遮断を、前記サブバッテリーの状態に応じて切り替えることを特徴とする請求項4に記載のサブバッテリーを有する車両の走行充電システム。
  6. 前記状態は、前記サブバッテリーの電圧、残容量、又は、温度のいずれか一つ以上で判断されることを特徴とする請求項5に記載のサブバッテリーを有する車両の走行充電システム。
  7. 前記オルタネーターと前記サブバッテリーの接続経路として、
    前記オルタネーターの出力に直接接続される直結充電経路と、
    前記オルタネーターの直流出力を交流に変換するインバーター装置と、前記インバーター装置の交流出力を用いて前記サブバッテリーを充電するバッテリー充電器を介して充電されるインバーター充電経路を有し、
    前記車両の走行中に前記サブバッテリーは、前記直結充電経路又は前記インバーター充電経路のいずれかで充電されることを特徴とする請求項6に記載のサブバッテリーを有する車両の走行充電システム。
  8. 前記車両の走行中に前記インバーター装置からのAC出力を利用する機器を使用する場合は、前記直結充電経路を切り離して、前記インバーター充電経路を接続するようにしたことを特徴とする請求項7に記載のサブバッテリーを有する車両の走行充電システム。
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