以下、本発明の建設機械の実施の形態について図面を用いて説明する。本実施の形態においては、建設機械の一例として油圧ショベルを例に挙げて説明する。
[第1の実施の形態]
まず、本発明の建設機械の第1の実施の形態としての油圧ショベルの構成について図1を用いて説明する。図1は本発明の建設機械の第1の実施の形態を適用した油圧ショベルを示す側面図である。ここでは、運転席に着座したオペレータから見た方向を用いて説明する。
図1において、建設機械としての油圧ショベル1は、自走可能な下部走行体2と下部走行体2上に旋回可能に搭載された上部旋回体3とで構成された機体を備えている。上部旋回体3の前部には、掘削作業等を行うフロント作業機4が俯仰動可能に設けられている。
下部走行体2は、左右にクローラ式の走行装置11(左側のみ図示)を備えている。左右の走行装置11はそれぞれ、油圧アクチュエータとしての走行油圧モータ12により駆動する。
上部旋回体3は、例えば、油圧アクチュエータとしての旋回油圧モータ(図示せず)によって下部走行体2に対して旋回駆動される。上部旋回体3は、支持構造体である旋回フレーム21と、旋回フレーム21上の前部左側に設置された運転室22と、旋回フレーム21の後端部に取り付けられたカウンタウェイト23と、旋回フレーム21上において運転室22とカウンタウェイト23との間の位置に設けられた機械室24とを含んで構成されている。運転室22内には、操作装置71(後述の図2参照)等の油圧ショベル1を操作するための各種装置が配置されている。カウンタウェイト23は、フロント作業機4との重量バランスをとるためのものである。機械室24には、後述の油圧ポンプ51及び電動機52(後述の図2参照)を含む各種装置等が収容されている。
フロント作業機4は、複数のリンク部材で構成された多関節型の作業装置である。例えば、ブーム31、アーム32、アタッチメントとしてのバケット33を備えている。ブーム31は、その基端部が上部旋回体3の旋回フレーム21の前端部に回動可能に支持されている。ブーム31の先端部には、アーム32の基端部が回動可能に支持されている。アーム32の先端部には、バケット33の基端部が回動可能に支持されている。ブーム31、アーム32、バケット33はそれぞれ、ブームシリンダ35、アームシリンダ36、バケットシリンダ37によって駆動される。ブームシリンダ35、アームシリンダ36、バケットシリンダ37は、圧油の供給によって伸縮可能な油圧アクチュエータである。
次に、本発明の建設機械の第1の実施の形態における油圧システムの概略構成について図2~図4を用いて説明する。図2は本発明の建設機械の第1の実施の形態における油圧システムの概略構成を示す回路図である。図3は図2に示す本発明の建設機械の第1の実施の形態の一部を構成する油圧ポンプにおけるポンプ容量の各段の設定容量への切換条件を示す表である。図4は図2に示す本発明の建設機械の第1の実施の形態における電動機の回転数と油圧ポンプの流量との関係の一例を示す特性図である。
図2において、油圧ショベル1は、下部走行体2、上部旋回体3、フロント作業機4(共に図1参照)を駆動させる油圧システム50と、オペレータの操作に応じて油圧システム50を介して、下部走行体2、上部旋回体3、フロント作業機4の動作を制御するコントローラ80とを備えている。
油圧システム50は、タンク55から作動油を吸い込んで圧油を吐出する油圧ポンプ51と、油圧ポンプ51を駆動する原動機としての電動機52と、油圧ポンプ51から吐出された圧油により駆動する各種の油圧アクチュエータ53(1つのみ図示)と、油圧ポンプ51から各種の油圧アクチュエータ53に対して供給される圧油の流れ(方向及び流量)をそれぞれ制御する各種の方向制御弁54(1つのみ図示)とを備えている。油圧ポンプ51の構造の詳細は後述する。電動機52は、回転数を連続的に自在に変更可能なものである。電動機52は、コントローラ80に電気的に接続されており、コントローラ80の回転数指令に応じて回転数が制御される。各種の油圧アクチュエータ53は、前述したように、走行油圧モータ12、旋回油圧モータ(図示せず)、ブームシリンダ35、アームシリンダ36、バケットシリンダ37などである。各種の方向制御弁54は、走行油圧モータ12、旋回油圧モータ(図示せず)、ブームシリンダ35、アームシリンダ36、バケットシリンダ37などにそれぞれ対応するものであり、組み付けられて集合体としての制御弁ユニットを構成する。
各種の油圧アクチュエータ53に対するオペレータの操作は、操作装置71を介して行われる。操作装置71は、各種の方向制御弁54の駆動を介して対応する各種の油圧アクチュエータ53の駆動をオペレータの操作(操作方向や操作量)に応じて指示するものである。操作装置71は、例えば、電気式のレバーであり、操作(操作方向及び操作量)を検出する検出装置を備えており、検出した操作をコントローラ80へ出力する。
油圧ポンプ51と方向制御弁54は、吐出ライン56を介して接続されている。吐出ライン56には、油圧ポンプ51から吐出された圧油の圧力(吐出圧)を検出する圧力センサ72が設置されている。圧力センサ72は、検出した油圧ポンプ51の吐出圧(検出圧力P)をコントローラ80へ出力する。
電動機52には、電動機52の回転数を検出する回転数センサ73が設置されている。回転数センサ73は、検出した電動機52の回転数(検出回転数N)をコントローラ80へ出力する。
油圧ポンプ51は、1回転当たりの吐出流量であるポンプ容量(押し除け容積)を段階的に異なる複数の設定容積のいずれかに切り替えることが可能なものである。具体的には、油圧ポンプ51は、傾転角が変更されることでポンプ容量の変更を可能とする可変機構61aを有するポンプ本体61と、可変機構61aを駆動させることでポンプ容量を複数の設定容量のいずれかに切り替える容量切換機構62とを備えている。ポンプ本体61の可変機構61aとしては、例えば、斜板や斜軸が挙げられる。ポンプ本体61は、斜板又は斜軸(可変機構61a)の傾転角が変更されることで、ポンプ容量の大きさが調整される。容量切換機構62は、例えば、サーボシリンダ63のサーボピストン631を可変機構61aに連結し、且つ、当該サーボピストン631の変位可能な位置を複数の位置に構造的に規制することで、可変機構61aの傾転角をサーボピストン631の限定された位置に対応した角度のみに設定するものである。
油圧ポンプ51は、ポンプ容量を段階的に異なる複数(図2では、例えば3段)の設定容積のいずれかに切換可能に構成されている。3段の設定容積は、ポンプ容量が最小となる第1段設定容量と、ポンプ容量が最大となる第3段設定容量と、第1段設定容量よりも大きく且つ第3段設定容量よりも小さくポンプ容量が中間となる第2段設定容量である。
容量切換機構62は、例えば、ポンプ本体61からの吐出圧を操作圧としてサーボピストン631が変位するサーボシリンダ63を備えており、サーボピストン631の変位可能な位置が3つの位置に構造的に規制されるように構成されている。具体的には、サーボシリンダ63は、第1シリンダチューブ633内に摺動可能に配置されたサーボピストンとしての第1ピストン631と、第2シリンダチューブ634内に摺動可能に配置された第2ピストン632とを有している。
第1ピストン631は、第1シリンダチューブ633内を第1受圧室635と第2受圧室636に分離するピストンヘッド部631aと、ピストンヘッド部631aの第2受圧室636側の受圧面から延び、横断面の断面積がピストンヘッド部631aよりも小さいピストンロッド部631bとで構成されている。第1ピストン631のピストンヘッド部631aは、第1受圧室635側の受圧面積の方が第2受圧室636側の受圧面積よりもピストンロッド部631bの分だけ大きくなっている。第1ピストン631は、ピストンロッド部631bがリンク部材67を介して可変機構61aに連結されており、移動位置に応じて可変機構61aの傾転角を変更する。
第2ピストン632は、第2シリンダチューブ634内を第3受圧室637と第4受圧室638に分離している。第3受圧室637には、第1ピストン631のピストンロッド部631bの先端部が位置している。第2ピストン632は、第3受圧室637側の受圧部分が第1ピストン631のピストンロッド部631bの先端部に当接可能となるように構成されている。ここで、第2ピストン632の第4受圧室638側の面積は、第1ピストン631のピストンヘッド部631aの第1受圧室635側の面積から第2受圧室636側の面積を引いた面積より大きくなるよう設定されている。
容量切換機構62は、さらに、サーボシリンダ63の第1受圧室635に対する作動油(操作圧)の供給及び排出を選択的に切り換える第1切換弁64と、サーボシリンダ63の第4受圧室638に対する作動油(操作圧)の供給及び排出を選択的に切り換える第2切換弁66とを備えている。第1切換弁64、第2切換弁66はそれぞれ、コントローラ80に電気的に接続されており、コントローラ80からの位置指令に応じて位置を切り換えるものである。
第1切換弁64は、サーボシリンダ63の第1受圧室635の接続先を、吐出ライン56から分岐したパイロット供給ライン68及びタンク55に接続されているパイロット排出ライン69のいずれか一方に切り換えるものである。第1切換弁64は、例えば、3ポート2位置の電磁弁であり、位置指令の入力の有無(ON/OFF)により第1位置F及び第2位置Sのいずれかに選択的に切り換えられるように構成されている。例えば、位置指令の入力が無いとき(OFFのとき)には第1位置Fに、位置指令が入力されたとき(ONのとき)には第2位置Sに切り換えられる。第1位置Fは第1受圧室635をパイロット供給ライン68に接続する位置であり、第2位置Sは第1受圧室635をパイロット排出ライン69に接続する位置である。
第2切換弁66は、サーボシリンダ63の第4受圧室638の接続先をパイロット供給ライン68及びパイロット排出ライン69のいずれか一方に切り換えるものである。第2切換弁66は、例えば、3ポート2位置の電磁弁であり、位置指令の入力の有無(ON/OFF)により第1位置F及び第2位置Sのいずれかに選択的に切り換えられるように構成されている。例えば、位置指令の入力が無いとき(OFFのとき)には第1位置Fに、位置指令が入力されたとき(ONのとき)には第2位置Sに切り換えられる。第1位置Fは第4受圧室638をパイロット排出ライン69に接続する位置であり、第2位置Sは第4受圧室638をパイロット供給ライン68に接続する位置である。
容量切換機構62は、サーボシリンダ63のサーボピストン631の移動位置が2つの切換弁64、66の切換位置(ON又はOFF)に応じて3つの位置に限定されるように構成されている。この構成によって、油圧ポンプ51はポンプ容量を段階的に異なる3段の設定容量(第1段設定容量、第2段設定容量、第3段設定容量)に切り換えることが可能となっている。
ところで、ポンプ容量を連続的に変更可能な可変容量型の油圧ポンプのレギュレータでは、サーボシリンダの圧力室内の操作圧を弁操作や絞りを介して調圧することで、サーボピストンの移動位置を調整して斜板に生じるモーメントの釣合いを図りポンプ容量の制御を行っている。この構成の場合、作動油の温度変化などによって斜板に作用するモーメントの釣合い位置が変化することで、ポンプ容量の制御特性が変化することがある。
それに対して、本実施の形態に係る容量切換機構62は、サーボシリンダ63の受圧室635、636、638内の操作圧を調圧して可変機構61aの釣合いを図る必要がなく、サーボピストン631を機械的に規制した位置に変位させることで、可変機構61aの傾転角を段階的に異なる所定の角度に切り換えることが可能である。したがって、作動油の温度変化によってポンプ容量の制御特性が変化しないので、油圧ポンプ51の容量制御における応答性や精度が低下することはない。
本実施の形態の容量切換機構62においては、図3に示すように、ポンプ容量が2つの切換弁64、66の切換位置(ON又はOFF)に応じて3段の設定容量(第1段設定容量、第2段設定容量、第3段設定容量)のいずれかに切り換わる。詳細には、以下のとおりである。
第1に、図2に示す第1切換弁64が第1位置F(OFF)、第2切換弁66が第1位置F(OFF)の場合、サーボシリンダ63の第1受圧室635への作動油(操作圧)の供給が可能となると共に、第4受圧室638からの作動油(操作圧)の排出が可能となる。なお、第2受圧室636には操作圧が常時供給されている。第1ピストン631のピストンヘッド部631aに作用する力は、第1受圧室635側の受圧面積と第2受圧室636側の受圧面積の差によって、第1受圧室635側から第2受圧室636側へ向かう方が優勢となる。これにより、第1ピストン631は、ピストンロッド部631bが第2ピストン632に当接して第2ピストン632を第4受圧室638の端壁(ストッパ)に押し当てるまで第2ピストン632と共に移動する。すなわち、第1ピストン631は、第2ピストン632の移動が第4受圧室638の端壁により規制される第1位置まで移動する。第1ピストン631の第1位置への変位により、可変機構61aの傾転角が或る第1角度に変化してポンプ容量が最小容量である第1段設定容量に切り換わる。
第2に、第1切換弁64が第1位置F(OFF)、第2切換弁66が第2位置S(ON)の場合、サーボシリンダ63の第1受圧室635及び第4受圧室638への操作圧の供給が可能になる。第2受圧室636には操作圧が常時供給されているが、第1受圧室635側の受圧面積と第2受圧室636側の受圧面積の差によって第1ピストン631のピストンヘッド部631aに作用する力は第1受圧室635側から第2受圧室636側へ向かう方が優勢となる。これにより、第1ピストン631は、ピストンロッド部631bが第2ピストン632に当接する第2位置まで変位する。ただし、第1受圧室635と第4受圧室638の操作圧の圧力が同じなので、第1ピストン631のピストンヘッド部631aの第1受圧室635側の面積から第2受圧室636側の面積を引いた面積より大きくなるよう設定された第2ピストン632の第4受圧室638側の面積との面積差より、第2ピストン632は、第1ピストン631のピストンロッド部631bが当接しても移動せず、第1ピストン631の移動を規制するストッパとして機能する。この第1ピストン631の第2位置への移動により、可変機構61aの傾転角が第1角度よりも大きな第2角度に変化してポンプ容量が中間容量である第2段設定容量に切り換わる。
第3に、第1切換弁64が第2位置S(ON)、第2切換弁66が第1位置F(OFF)の場合、第1受圧室635からの操作圧の排出が可能となる。サーボシリンダ63の第2受圧室636には操作圧が常時供給されている。これにより、第1ピストン631は、ピストンヘッド部631aが第1受圧室635の端壁(ストッパ)に当接して移動が規制される第3位置まで移動する。この第1ピストン631の第3位置への移動により、可変機構61aの傾転角が第2角度よりも大きな第3角度に変化してポンプ容量が最大容量である第3段設定容量に切り換わる。
本実施の形態に係る油圧ポンプ51において、各段の設定容量と各段の設定容量から1段異なる設定容量は、電動機52の調整可能な回転数範囲に応じて定まる調整可能な流量範囲が互いに一部の領域において重なる共通流量領域を生じさせるように設定される。すなわち、各段の設定容積に対して定まる調整可能な流量範囲と各段の設定容量から1段異なる設定容積に対して定まる調整可能な流量範囲は、互いに一部の領域で重なる共通流量領域を有している。
例えば、油圧ポンプ51のポンプ容量が3段の設定容積のいずれかに切換可能である場合、図4に示すように、電動機52の調整可能な回転数に対する油圧ポンプの流量の関係を示す特性図M1が第1段~第3段の設定容量(最小容量、中間容量、最大容量)の各々に対して定まる。図4中、横軸Nは電動機52の回転数を、縦軸Qは油圧ポンプの流量を示している。
特性図M1では、油圧ポンプ51及び電動機52の仕様に応じて、コントローラ80による電動機52の調整可能な回転数範囲が設定される。具体的には、調整可能な回転数範囲として、最小回転数Nnが下限であると共に最大回転数Nxが上限である第1回転数範囲が設定されている。設定された第1回転数範囲に対して、油圧ポンプ51の第1段~第3段の設定容量のそれぞれにおける調整可能な流量範囲(第1段流量範囲、第2段流量範囲、第3段流量範囲)が定まる。すなわち、各段の設定容量における調整可能な流量範囲は、第1回転数範囲の最小回転数Nnに対応する流量の下限値から最大回転数Nxに対応する流量の上限値までの領域である。
本特性図M1における第1段設定容量に対して定まる第1段流量範囲と第2段設定容量に対して定まる第2段流量範囲は、第1段流量範囲のうち最大流量を含むその近傍の流量領域と第2段流量範囲のうち最小流量を含むその近傍の流量領域とが互いに重なる第1共通流量領域Fc1を有している。また、第2段設定容量に対して定まる第2段流量範囲と第3段設定容量に対して定まる第3段流量範囲は、第2段流量範囲のうち最大流量を含むその近傍の流量領域と第3段流量範囲のうち最小流量を含むその近傍の流量領域とが互いに重なる第2共通流量領域Fc2を有している。
本特性図M1に示されているように、油圧ポンプ51の調整可能な全流量範囲が3段の設定容量に対して区分して振り分けられる。したがって、固定容量型の油圧ポンプと比べて、電動機52の調整可能な回転数範囲を限定的にすることが可能である。調整可能な回転数範囲を狭くすることで、電動機52の最大動力を抑制することが可能であると共に、電動機52の回転数制御の応答時間の短縮が可能となることがある。また、本特性図M1では、油圧ポンプ51の流量が第1共通流量領域Fc1または第2共通流量領域Fc2上にある場合には、油圧ポンプ51のポンプ容量として共通流量領域Fc1、Fc2を共有する設定容量の中から選択することが可能となる。
図2に戻り、コントローラ80は、第1切換弁64、第2切換弁66にそれぞれ電気的に接続されており、第1切換弁64、第2切換弁66を介して油圧ポンプ51のポンプ容量の切換制御を行う。また、コントローラ80は、電動機52に電気的に接続されており、電動機52の回転数を調整する回転数制御を行う。本実施の形態に係るコントローラ80は、特性図M1を基に油圧ポンプ51のポンプ容量の切換制御および電動機52の回転数制御を行うことで、油圧ポンプ51の流量を調整する流量制御を実行するものである。コントローラ80は、油圧ポンプ51の流量制御において、操作装置71が検出した操作、圧力センサ72の検出圧力(油圧ポンプ51の吐出圧)、回転数センサ73の検出回転数(電動機52の実回転数)に基づき、所定の演算処理や比較判定を行うように構成されている。
次に、本発明の建設機械の第1の実施の形態を構成するコントローラの構成及び機能について図4及び図5を用いて説明する。図5は図2に示す本発明の建設機械の第1の実施の形態の一部を構成するコントローラの機能の一例を示すブロック図である。なお、図5において、図1~図4に示す符号と同符号のものは、同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
図5において、コントローラ80は、ハード構成として例えば、RAMやROM等からなる記憶装置81と、CPU等からなる演算処理装置82とを備えている。記憶装置81には、油圧ポンプ51の流量制御や他の制御に必要なプログラムや各種情報が予め記憶されている。演算処理装置82は、記憶装置81からプログラムや各種情報を適宜読み込み、当該プログラムに従って処理を実行することで後述する機能を含む各種の機能を実現する。
コントローラ80では、油圧ポンプ51の流量制御のために、電動機52の回転数Nに対する油圧ポンプ51の流量Qの関係を示す特性図M1が記憶装置81に記憶されている。特性図M1は、前述したように、各段の設定容量(第1段設定容量、第2段設定容量、第3段設定容量)ごとに回転数に対する流量が定められている(図4参照)。本実施の形態の特性図M1においては、前述したように、各段の設定容積に対して定まる流量範囲と各段の設定容量から1段異なる設定容積に対して定まる流量範囲とが一部で重なる共通流量領域Fc1、Fc2が設けられている。このため、コントローラ80は、油圧ポンプ51の流量が特性図M1の共通流量領域Fc1、Fc2上にある場合には、油圧ポンプ51のポンプ容量として共通流量領域Fc1、Fc2を共有する設定容量のいずれかを選択することが可能である。これにより、コントローラ80は、油圧ポンプ51の流量制御の際に、応答性を考慮したポンプ容量の選択が可能となる。コントローラ80による油圧ポンプ51の流量制御の機能の詳細は以下のとおりである。
コントローラ80は、油圧ポンプ51の流量制御を実行する機能として、例えば、目標流量演算部91、容量回転数選択部92、容量制御部93、及び、回転数制御部94を備えている。
目標流量演算部91は、操作装置71の操作L、圧力センサ72の検出圧力P、及び電動機52の許容動力Waに基づき、油圧ポンプ51の目標ポンプ流量Qtを演算するものである。具体的には、目標流量演算部91は、操作装置71の操作Lに基づき指示ポンプ流量QLを演算する。例えば、操作装置71の操作Lに対する指示ポンプ流量QLの関係が規定された特性図(図示せず)が記憶装置81に予め記憶されている。さらに、演算結果の指示ポンプ流量QLと圧力センサ72の検出圧力Pとを積算することで、油圧ポンプ51の必要動力を演算する。加えて、演算結果の油圧ポンプ51の必要動力が電動機52の許容動力Wa以下か否かを判定する。電動機52の許容動力Waは、電動機52の仕様によって決定されるものであり、記憶装置81に予め記憶されている。
判定結果が許容動力Wa以下である場合には、演算結果の指示ポンプ流量QLを油圧ポンプ51の目標ポンプ流量Qtとして設定する。判定結果がそれ以外の場合には、目標ポンプ流量Qtと圧力センサ72の検出圧力Pとの積算結果が許容動力Waとなるように目標ポンプ流量Qtを設定する。
容量回転数選択部92は、油圧ポンプ51の各段の設定容量(本実施の形態では、第1段設定容量、第2段設定容量、第3段設定容量)ごとに回転数に対する流量が定められている特性図M1(図4参照)を基に、目標流量演算部91の演算結果の目標ポンプ流量Qtを実現可能な設定容量と回転数の組み合わせを選択する。具体的には、容量回転数選択部92は、特性図M1を参照して目標ポンプ流量Qtを実現可能な設定容量と回転数の組み合わせをすべて抽出する。目標ポンプ流量Qtが特性図M1の共通流量領域Fc1、Fc2上にない場合には、目標ポンプ流量Qtを実現可能な設定容量と回転数の組み合わせが唯1つに決まるので、当該組み合わせを選択する。一方、目標ポンプ流量Qtが特性図M1の共通流量領域Fc1、Fc2上にある場合には、目標ポンプ流量Qtを実現可能な回転数と回転数センサの検出回転数Nとの偏差量が最も小さくなる組み合わせを選択する。これは、電動機52の目標回転数への変更時間を最短にすることで、油圧ポンプ51の流量制御における応答性の向上を図るものである。
容量制御部93は、容量回転数選択部92の選択結果の設定容量を油圧ポンプ51の目標ポンプ容量とする容量指令を油圧ポンプ51の容量切換機構62に対して出力する。具体的には、容量制御部93は、容量回転数選択部92により選択された設定容量を目標ポンプ容量に設定し、ポンプ容量が目標ポンプ容量となるように、第1、第2の切換弁64、66に対してそれぞれON又はOFFの位置指令を出力する(図3参照)。
回転数制御部94は、容量回転数選択部92の選択結果の回転数を電動機52の目標回転数とする回転数指令を電動機52に対して出力する。これにより、電動機52の実回転数が目標回転数になるように変更される。
次に、本発明の建設機械の第1の実施の形態を構成するコントローラが実行する制御手順の一例について図5~図7を用いて説明する。図6は図5に示す本発明の建設機械の第1の実施の形態に係るコントローラのポンプ流量制御の手順の一例を示すフローチャートである。図7は本発明の建設機械の第1の実施の形態に係るコントローラのポンプ流量制御におけるポンプ容量と電動機回転数の組み合わせの選択方法を示す説明図である。なお、図7に示す特性図は図5に示す特性図と同じものである。
図5に示すコントローラ80は、まず、操作装置71が検出した操作Lを取り込み(図6に示すステップS10)、指示ポンプ流量QLを演算する(図6に示すステップS20)。具体的には、コントローラ80の目標流量演算部91が、記憶装置81に予め記憶されている特性図(図示せず)を参照し、操作装置71の操作Lに応じた油圧ポンプ51の指示ポンプ流量QLを演算する。
次に、コントローラ80は、圧力センサ72の検出圧力P(油圧ポンプ51の吐出圧)を取り込み(図6に示すステップS30)、油圧ポンプ51の必要動力が電動機52の許容動力Wa以下であるか否かを判定する(図6に示すステップS40)。具体的には、目標流量演算部91が、演算結果の指示ポンプ流量QLと圧力センサ72の検出圧力Pとを積算することで油圧ポンプ51の必要動力を演算し、演算結果の必要動力(P×QL)が記憶装置81に予め記憶されている電動機52の許容動力Wa以下であるかを判定する。ステップS40において、YESの場合にはステップS50に進む一方、NOの場合にはステップS60に進む。
ステップS40において、必要動力(P×QL)が許容動力Wa以下である(YES)の場合には、目標流量演算部91は、演算結果の指示ポンプ流量QLを目標ポンプ流量Qtとして設定する(図6に示すステップS50)。一方、ステップS40において、必要動力(P×QL)が許容動力Waよりも大きい(NO)の場合には、目標ポンプ流量Qtと圧力センサ72の検出圧力Pとの積算値(油圧ポンプ51の動力)が電動機52の許容動力Waとなるように、目標ポンプ流量Qtを設定する(図6に示すステップS60)。これにより、演算結果の目標ポンプ流量Qtが指示ポンプ流量QLよりも小さな値となり、油圧ポンプ51の動力制限を図っている。
ステップS50又はステップS60に続いて、コントローラ80は、回転数センサ73の検出回転数N(電動機52の実回転数)を取り込み(図6に示すステップS70)、油圧ポンプ51の各段の設定容量ごとに回転数に対する流量が定められている特性図M1(図4又は図7参照)を参照して目標流量演算部91の演算結果の目標ポンプ流量Qtを実現可能な設定容量と回転数の組み合わせの1つを選択する(図6に示すステップS80及びS90)。具体的には、コントローラ80の容量回転数選択部92が、記憶装置81に予め記憶されている特性図M1(図4又は図7参照)を参照し、目標ポンプ流量Qtを実現可能な設定容量と回転数の組み合わせを抽出する(図6に示すステップS80)。次いで、抽出した組み合わせのうち、目標ポンプ流量Qtを実現可能な回転数と回転数センサ73の検出回転数Nとの偏差量が最小となる組み合わせの設定容量及び回転数を目標ポンプ容量及び目標回転数として選択する(図6に示すステップS90)。
図7に示す特性図M1は、第1段設定容量と第2段設定容量の流量範囲に対して第1共通流量領域Fc1を有している共に、第2段設定容量と第3段設定容量の流量範囲に対して第2共通流量領域Fc2を有している。したがって、目標ポンプ流量Qtが第1共通流量領域Fc1または第2共通流量領域Fc2上にある場合には、選択可能な設定容量と回転数の組み合わせが複数存在することになる。この場合、特性図M1において選択可能な回転数と回転数センサ73の検出回転数N(電動機52の実回転数)との偏差量が小さいほど、電動機52の実回転数を目標回転数に一致させるための動力を小さくすることができると共に、実回転数を目標回転数に一致させるまでの応答時間を短くすることができる。
例えば、実際のポンプ流量がQ0であり、ポンプ容量が第1段設定容量である場合を想定する。このとき、図7に示す特性図M1を参照すると、制御点C0の電動機52の回転数(回転数センサ73の検出回転数N)はN0となる。
この状況からポンプ流量を新たにQ1へ変更する場合を想定する(目標ポンプ流量Qt=Q1)。この場合、図7に示す特性図M1を参照すると、各段の設定容量のうち、流量範囲が流量Q1を含むものは第3段設定容量のみである。したがって、容量回転数選択部92は、ポンプ容量として第3段設定容量を選択すると共に、第3段設定容量の特性図における流量Q1に対応する回転数N1を目標回転数として選択する。
また、ポンプ流量をQ0から新たにQ2(目標ポンプ流量Qt=Q2)へ変更する場合を想定する。この場合、図7に示す特性図M1を参照すると、目標ポンプ流量Q2は第1段設定容量及び第2段設定容量の流量範囲における第1共通流量領域Fc1上にある。つまり、各段の設定容量のうち流量範囲が目標ポンプ流量Q2を含む設定容量は、第1段設定容量及び第2設定容量である。したがって、容量回転数選択部92は、ポンプ容量として第1段設定容量及び第2設定容量のいずれか一方を選択することが可能である。換言すると、コントローラ80は、図7に示す特性図M1における目標ポンプ流量Q2に対する2つの交点C2f、C2sのいずれか一方を制御点として選択可能である。
この場合、容量回転数選択部92は、目標ポンプ流量Q2を実現可能な第1段設定容量に対応する回転数N2fと回転数センサ73の検出回転数N0(当該演算時点での電動機52の実回転数)との偏差量である第1偏差量と、目標ポンプ流量Q2を実現可能な第2段設定容量に対応する回転数N2sと回転数センサ73の検出回転数N0との偏差量である第2偏差量の大小を比較する。容量回転数選択部92は、偏差量が最小の回転数を目標回転数として選択すると共に、選択した回転数に対応する設定容量を目標ポンプ容量として選択する。第1偏差量の方が第2偏差量よりも小さい場合には、図7に示す特性図M1上の第2段設定容量とそれに対応した回転数N2sが選択される。
次に、コントローラ80は容量回転数選択部92により選択された設定容量を目標ポンプ容量とする容量指令を容量切換機構62に対して出力する(図6に示すステップS100)。具体的には、コントローラ80の容量制御部93が、ポンプ容量が容量回転数選択部92によって選択された設定容量になるように、第1、第2の切換弁64、66に対してそれぞれON又はOFFの位置指令を出力する。これにより、図2に示す第1、第2の切換弁64、66の各切換位置が位置指令に応じた位置となる。その結果、サーボシリンダ63の受圧室635、638に対して第1、第2切換弁64、66を介した操作圧の給排が生じることで、サーボシリンダ63のサーボピストン631の位置が機械的に規制された所定の3つの位置のいずれかに定まる。これにより、可変機構61aの傾転角がサーボピストン631の位置に応じて設定され、ポンプ容量が選択された設定容量となる。
次いで、コントローラ80は、容量回転数選択部92により選択された回転数を目標回転数とする回転数指令を電動機52に対して出力する(図6に示すステップS110)。これにより、図2に示す電動機52の実回転数が目標回転数となるように変更される。その結果、油圧ポンプの回転数も電動機52の回転数の変更に連動して変更される。したがって、油圧ポンプ51の流量が選択された設定容量と回転数の組み合わせに応じて変更されて目標ポンプ流量に一致するように調整される。
本説明では、コントローラ80による油圧ポンプ51の流量制御について、流量を増加させる場合について言及した。ただし、流量を減少させる場合であっても、流量を増加させる場合と同様に、コントローラ80は、目標ポンプ流量を実現可能なポンプ容量と電動機回転数の組み合わせのうち、回転数センサ73の検出回転数Nとの偏差量が最小となる組み合わせを選択する。
本実施の形態においては、ポンプ容量が複数段の設定容積のいずれかに切換可能となるように油圧ポンプ51を構成している。さらに、各段の設定容量および各段の設定容量から1段異なる設定容量の両方の流量範囲に対して共通流量領域Fc1、Fc2を設けている。
この構成の油圧ポンプ51の流量制御では、共通流量領域Fc1、Fc2を設けることで、油圧ポンプ51の調整可能な流量範囲の連続性が担保されている。さらに、共通流量領域Fc1、Fc2を設けることで、ポンプ容量の切換頻度を減らせることがある。
また、この構成の油圧ポンプ51の容量制御では、可変容量型の油圧ポンプのようなレギュレータの調圧工程が無いので、容量制御(容量切換)の応答性が可変容量型の油圧ポンプと比べて向上する。したがって、油圧ポンプ51の流量制御の応答性は、電動機52の回転数制御の応答性によって大きく左右される。そこで、油圧ポンプ51の流量制御において、電動機52の回転数の制御変化量が最小となるようにポンプ容量と回転数の組み合わせの制御点を選択することで、応答性の向上を図っている。
油圧ショベル1では、掘削や走行、旋回の動作時に各種のアクチュエータ53に対して負荷が掛かるので、油圧回路の圧力が増加する。油圧ポンプの吐出圧が高い状態において、油圧ポンプ51の流量制御のために電動機52の回転数を大きく変化させると、その分、電動機52の必要動力やトルクが増加する。油圧ポンプ51の流量制御において電動機52の回転数の制御変化量を少なくすることで、電動機52の必要動力やトルクの増加を抑制することができる。その結果、電動機52などの小型化が可能となる。
上述したように、本発明の第1の実施の形態においては、建設機械としての油圧ショベル1が、電動機52(原動機)と、電動機52(原動機)によって駆動され、ポンプ容量を段階的に異なる3段(複数)の設定容量のいずれかに切換可能な油圧ポンプ51と、油圧ポンプ51が吐出する圧油によって駆動される油圧アクチュエータ53と、油圧アクチュエータ53の駆動を指示するための操作装置71と、電動機52(原動機)の回転数を検出する回転数センサ73と、電動機52(原動機)の回転数を調整すると共に油圧ポンプ51のポンプ容量の切換を行うことで、油圧ポンプ51の流量を制御する流量制御を実行するコントローラ80とを備えている。油圧ポンプ51の各段の設定容量は、各段の設定容量から1段異なる設定容量に対して、電動機52(原動機)の調整可能な回転数範囲に応じて定まる調整可能な流量範囲が互いに一部の領域において重なる共通流量領域Fc1、Fc2を生じさせるように設定されている。コントローラ80は、油圧ポンプ51の流量を所定の目標流量に変更するときに、目標流量が共通流量領域上にある場合には、回転数センサ73により検出された回転数に基づき、目標ポンプ流量(目標流量)を実現することが可能な油圧ポンプ51のポンプ容量と電動機52(原動機)の回転数の組み合わせの中から1つを選択する。
この構成よれば、ポンプ容量を3段(複数)の設定容量のいずれかに切換可能とすることで、可変容量型の油圧ポンプのような容量制御の応答遅れがなく、また、電動機52の調整可能な回転数範囲を固定容量型の油圧ポンプよりも限定的に設定可能で、その分、油圧ポンプ51の流量制御のおける応答時間の短縮が可能となる。また、前後段の設定容量の両方の流量範囲に対して共通流量領域Fc1、Fc2を設けることで、共通流量領域Fc1、Fc2上の目標ポンプ流量(目標流量)を実現可能なポンプ容量と電動機回転数の組み合わせを複数の選択肢から選択可能となり、電動機52の実回転数を基に当該組み合わせを選択することで、応答時間の短縮やポンプ容量の切換頻度の低減が可能になることがある。したがって、油圧ポンプ51の流量制御において、応答性の向上を図りつつ操作の違和感を抑制することができる。
また、本実施の形態に係るコントローラ80は、目標ポンプ流量(目標流量)が共通流量領域Fc1、Fc2上にある場合には、当該目標ポンプ流量(目標流量)を実現することが可能な油圧ポンプ51のポンプ容量と電動機52(原動機)の回転数の組み合わせのうち、回転数センサ73により検出された回転数と目標ポンプ流量(目標流量)を実現可能な電動機52(原動機)の回転数との偏差量が最も小さくなる組み合わせを選択するように構成されている。
この構成によれば、目標ポンプ流量(目標流量)を実現可能な電動機52の回転数のうち、選択された回転数が電動機52の変更前の回転数に最も近接しているので、油圧ポンプ51の目標ポンプ流量(目標流量)への変更時間(応答時間)が最短となると共に、油圧ポンプ51の流量を目標流量に変更するときに電動機52を加減速するために必要な動力を低減することができる。
さらに、本実施の形態においては、油圧ポンプ51が、傾転角が変更されることでポンプ容量の変更を可能とする可変機構61aと、可変機構61aを駆動させることでポンプ容量を複数の設定容量のいずれかに切り換える容量切換機構62とを有している。容量切換機構62は、作動油の給排が行われる複数の受圧室635、638及び複数の受圧室635、638に対する作動油の給排により変位するサーボピストン631を有するサーボシリンダ63と、サーボシリンダ63の複数の受圧室635、638に対してそれぞれ作動油の供給又は排出を選択的に切り換える複数の切換弁64、66とを有している。サーボピストン631は可変機構61aに連結されており、サーボシリンダ63は複数の受圧室635、638に対する作動油の給排によるサーボピストン631の変位可能な位置が構造的に規制されるように構成されている。
この構成によれば、油圧ポンプ51のポンプ容量の切換を簡易な構成の容量切換機構62により確実に行うことができる。
[第2の実施の形態]
次に、本発明の建設機械の第2の実施の形態の構成を図8及び図9を用いて説明する。図8は本発明の建設機械の第2の実施の形態におけるコントローラの機能の一例を示すブロック図である。図9は本発明の建設機械の第2の実施の形態における電動機の回転数と油圧ポンプの流量との関係の一例を示す特性図である。なお、図8及び図9において、図1~図7に示す符号と同符号のものは、同様な部分であるので、その詳細な説明は省略する。
本発明の建設機械の第2の実施の形態が第1の実施の形態に対して相違する点は、図8に示すコントローラ80Aが、油圧ポンプ51の流量制御において、操作装置71の操作が「微操作」であるか否かを判定し、「微操作」であると判定した場合には、微操作以外の場合に用いる特性図M1(図4参照)と比較して電動機52の調整可能な回転数範囲を拡張した特性図M2(図9参照)を用いることである。なお、本実施の形態における「微操作」とは、油圧ポンプ51の流量を微調整すること、すなわち、操作装置71の操作量の変化量がわずかであることを意味している。つまり、当該相違点は、油圧ポンプ51の流量調整が微調整である場合に限って、各段の設定容量の調整可能な流量範囲を拡張することである。これにより、油圧ポンプ51の流量調整が微調整のときに、電動機52の回転数の調整代の拡張に応じて調整可能な流量範囲を拡張することで、ポンプ容量の切換を抑制しようとするものである。
具体的には、図8において、コントローラ80Aは、油圧ポンプ51の流量制御を実行する機能として、目標流量演算部91、容量回転数選択部92A、容量制御部93、回転数制御部94の他に、微操作判定部96の機能を更に備えている。微操作判定部96は、操作装置71の操作が「微操作」であるか否か、本実施の形態においては、操作装置71の操作量の変化量が所定値未満であるか否かを判定するものである。詳細には、微操作判定部96は、操作装置71の操作に対応する指示ポンプ流量QLと油圧ポンプ51の実流量との差分が油圧ポンプ51の最大流量の30%以内にある場合を「微操作」である、すなわち操作装置71の操作量の変化量が所定値未満である(YES)と判定し、それ以外の場合を「微操作」でない、すなわち操作装置71の操作量の変化量が所定値以上である(NO)と判定する。指示ポンプ流量QLは、目標流量演算部91による演算と同様に、記憶装置81に予め記憶されている特性図(図示せず)を参照して操作装置71の操作に基づき演算される。油圧ポンプ51の実流量は、回転数センサ73の検出回転数Nと実ポンプ容量との積算により求められる。実ポンプ容量は、油圧ポンプ51の容量切換機構62(各切換弁64、66)に対して出力している容量指令(位置指令)に対応する設定容量として推定される。なお、ここでの操作装置71の「微操作」は、操作装置71の基準位置(例えば、中立位置)からの操作量ではないことに留意する。
また、容量回転数選択部92Aは、油圧ポンプ51の各段の設定容量(第1段設定容量、第2段設定容量、第3段設定容量)ごとに回転数に対する流量が定められている特性図M2(図9参照)を基に、目標流量演算部91の演算結果の目標ポンプ流量Qtを実現可能な設定容量と回転数の組み合わせを選択する。ただし、容量回転数選択部92Aは、図9に示す特性図M2における電動機52の調整可能な回転数範囲を操作装置71の「微操作」の有無に応じて選択する。
容量回転数選択部92Aは、操作装置71の操作が「微操作」ではない(操作装置71の操作量の変化量が所定値以上)と判定された場合には、第1の実施の形態と同様に、最小回転数Nnが下限であると共に最大回転数Nxが上限である第1回転数範囲が電動機52の調整可能な回転数範囲として設定された特性図M2を選択する。この場合、第1の実施の形態と同様に、容量回転数選択部92Aは、第1回転数範囲が調整可能な回転数範囲である特性図M2を参照して目標ポンプ流量Qtを実現可能な設定容量と回転数の組み合わせをすべて抽出する。目標ポンプ流量Qtが特性図M2の共通流量領域Fc1、Fc2上にない場合には、目標ポンプ流量Qtを実現可能な設定容量と回転数の組み合わせが唯1つに決まる。一方、目標ポンプ流量Qtが特性図M2の共通流量領域Fc1、Fc2上にある場合には、目標ポンプ流量Qtを実現可能な回転数と回転数センサの検出回転数Nとの偏差量が最小となる組み合わせを選択する。
一方、操作装置71の操作が「微操作(操作装置71の操作量の変化量が所定値未満)」であると判定された場合には、容量回転数選択部92Aは、第1回転数範囲に回転数拡張領域を追加した第2回転数範囲が電動機52の調整可能な回転数範囲として設定された特性図M2(図9)を選択する。回転数拡張領域は、最小回転数Nnよりも低い回転数の拡張最小回転数Nneから最小回転数Nnまでの最小側拡張領域と、最大回転数Nxよりも高い回転数の拡張最大回転数Nxeから最大回転数Nxまでの最大側拡張領域とで構成される。すなわち、第2回転数範囲は、拡張最小回転数Nneを下限とすると共に拡張最大回転数Nxeを上限とするものである。拡張最小回転数Nne及び拡張最大回転数Nxeは、例えば、油圧ポンプ51及び電動機52の仕様の許容値を基に設定されるものであり、最小回転数Nn及び最大回転数Nxは油圧ポンプ51及び電動機52の仕様の許容値に対して裕度をもって設定される。
本特性図M2では、電動機52の調整可能な回転数範囲として最小側拡張領域および最大側拡張領域の分だけ拡張された第2回転数範囲が選択されることで、第2回転数範囲に応じて定まる各段の設定容量の調整可能な流量範囲(第1段拡大流量範囲、第2段拡大流量範囲、第3段拡大流量範囲)もそれぞれ拡張されている。各段の設定容量の調整可能な流量範囲を拡張することで、操作装置71の「微操作」時におけるポンプ容量の切換を抑制しようとするものである。
この場合、容量回転数選択部92Aは、回転数拡張領域を含む第2回転数範囲が調整可能な回転数範囲である特性図M2を参照して目標ポンプ流量Qtを実現可能な設定容量と回転数の組み合わせをすべて抽出する。さらに、抽出した組み合わせのうち、ポンプ容量を変更しない組み合わせを優先的に選択する。これは、設定容量ごとに回転数に対する流量の特性が異なるので、ポンプ流量の微調整に相当する操作装置71の「微操作」時にポンプ容量を切り換えると、流量特性が変化して操作の違和感が生じる懸念があるためである。
次に、本発明の建設機械の第2の実施の形態を構成するコントローラが実行する制御手順の一例について図8、図10及び図11を用いて説明する。図10は図8に示す本発明の建設機械の第2の実施の形態に係るコントローラのポンプ流量制御の手順の一例を示すフローチャートである。図11は本発明の建設機械の第2の実施の形態に係るコントローラのポンプ流量制御におけるポンプ容量と電動機回転数の組み合わせの微操作時の選択方法を示す説明図である。図10及び図11において、図1~図9に示す符号と同符号のものは、同様な部分であるので、その詳細な説明は省略する。
図8に示すコントローラ80Aでは、目標ポンプ流量Qtを演算する手順(ステップS10~S60)が第1の実施の形態の場合と同様であり、その説明を省略する。
次に、コントローラ80Aは、回転数センサ73からの検出回転数N(電動機52の実回転数)を取り込み(図10に示すステップS70)、回転数センサ73の検出回転数N及び実際のポンプ容量に基づき油圧ポンプ51の実流量を演算し(図10に示すステップS72)、操作装置71の操作が「微操作」であるか否かを判定する(ステップS74)。具体的には、コントローラ80Aの微操作判定部96が、油圧ポンプ51の容量切換機構62(各切換弁)に対して出力している容量指令(位置指令)に対応する設定容量を実ポンプ容量と推定する。さらに、推定した実ポンプ容量と回転数センサ73の検出回転数Nとを積算して油圧ポンプ51の実流量を演算する。さらに、演算した油圧ポンプ51の実流量と目標ポンプ流量Qtとの差分が油圧ポンプ51の最大流量の30%以下であるかを判定する。当該差分が最大流量の30%以下の場合には操作装置71の操作が「微操作」である(YES)と判定する一方、当該差分が最大流量の30%を超えている場合には操作装置71の操作は「微操作」でない(NO)と判定する。ステップS74にて、YESの場合にはステップS76に進む一方、NOの場合にはステップS80に進む。なお、上述した「微操作」の有無の判定は、操作装置71の操作量の変化量が所定値未満であるか否かを判定することと同様なものである。
ステップS74にて、操作装置71の操作が「微操作」でない(NO)と判定した場合には、第1の実施の形態と同様な制御手順を実行する。すなわち、コントローラ80Aは、最小回転数Nnが下限であると共に最大回転数Nxが上限である回転数拡張領域の無い第1回転数範囲を調整可能な回転数範囲とする特性図M2(図11参照)を選択して参照することで、目標ポンプ流量Qtを実現可能な設定容量と回転数を抽出し(図10に示すステップS80)、目標ポンプ流量Qtを実現可能な回転数と回転数センサ73の検出回転数Nとの偏差量が最小となる組み合わせの設定容量及び回転数を目標ポンプ容量及び目標回転数として選択する(図10に示すステップS90)。その後、選択した目標ポンプ容量及び目標回転数を制御指令としてそれぞれ容量切換機構62(各切換弁64、66)及び電動機52へ出力する(図10に示すステップS100~S110)。
一方、ステップS74にて操作装置71の操作が「微操作」である(YES)と判定した場合には、コントローラ80Aの容量回転数選択部92Aが、拡張最小回転数Nneを下限とすると共に拡張最大回転数Nxeを上限とする回転数拡張領域有りの第2回転数範囲が調整可能な回転数範囲として設定された特性図M2(図11参照)を選択して参照することで、目標ポンプ流量Qtを実現可能な設定容量と回転数を抽出する(図10に示すステップS82)。次いで、抽出した組み合わせのうち、ポンプ容量を変更しない組み合わせが存在するか否かを判定する(図10に示すステップS84)。ステップS84にて、YESの場合にはステップS92に進む一方、NOの場合にはステップS90に進む。ステップS90の制御手順の実行は第1の実施の形態と同様なので説明を省略する。
ステップS84にて、ポンプ容量を変更しない組み合わせが存在する場合(YESの場合)には、コントローラ80Aの容量回転数選択部92Aがポンプ容量を変更しないで目標ポンプ流量Qtを実現可能な組み合わせの回転数を目標回転数として選択する(図10に示すステップS92)。
例えば、実際のポンプ流量がQ3であり、ポンプ容量が第1段設定容量である場合を想定する。このとき、図11に示す特性図M2を参照すると、制御点C3の電動機52の回転数N(回転数センサ73の検出値)は、回転数拡張領域を含まない回転数範囲における最大回転数Nxの近傍に位置するN3fとなっている。この状況から油圧ポンプ51の流量をQ4(目標ポンプ流量Qt=Q4)へ変更する場合を想定する。
もし、最小回転数Nnが下限であると共に最大回転数Nxが上限である回転数拡張領域の無い第1回転数範囲を調整可能な回転数範囲とする特性図M2が選択された場合、つまり、第1の実施の形態の場合と同じ特性図を用いる場合、目標ポンプ流量Q4は第2段設定容量の流量範囲のみに位置している。したがって、第2段設定容量の特性図M2上の制御点C4sが選択される。すなわち、目標ポンプ容量として第2段設定容量が選択されると共に、制御点C4sに対応する回転数N4sが目標回転数として選択されることになる。この場合、ポンプ容量が第1段設定容量から第2段設定容量に切り換わり、電動機52の回転数がN3fからN4sへと変更される。
ポンプ流量をQ3からQ4へと変更する流量調整が操作装置71の「微操作」に相当する場合、回転数に対する流量の特性が異なる第1段設定容量から第2段設定容量への切換を行うと、流量特性が変化することで操作の違和感が生じる懸念がある。
そこで、本実施の形態においては、操作装置71の操作が「微操作」である場合、拡張最小回転数Nneを下限とすると共に拡張最大回転数Nxeを上限とする回転数拡張領域を追加した第2回転数範囲を調整可能な回転数範囲とする特性図M2を参照する。最大側拡張領域および最大側拡張領域を含む第2回転数範囲を調整可能とする特性図M2では、各段の設定容量に対して定まる流量範囲が拡大される。そのため、拡張領域の回転数範囲が無い特性図M2を選択する場合と異なり、目標ポンプ流量Q4が第2段設定容量の流量範囲に位置するだけでなく、第1段設定容量における拡張された第1段拡張流量範囲内に位置するようになる。
したがって、目標ポンプ流量Q4を実現可能な設定容量と回転数の組み合わせとして、第2段設定容量と回転数N4sの組み合わせ(制御点C4s)に加えて、第1段設定容量と回転数N4fの組み合わせ(制御点C4f)が抽出される。当該時点でのポンプ容量が第1段設定容量なので、ポンプ容量を変更しない組み合わせとして第1段設定容量および回転数N4fが存在している。したがって、ポンプ容量を変更しない組み合わせである第1段設定容量および回転数N4fが目標ポンプ容量および目標回転数として選択される。これにより、ポンプ容量が変更されずに第1段設定容量が維持されると共に、電動機52の回転数がN3fからN4fへ変更されることで、油圧ポンプ51の実流量が目標ポンプ流量Q4へと調整される。
本実施の形態においては、操作装置71の操作が「微操作」である場合に、調整可能な回転数範囲として拡張領域を追加した特性図M2を参照して目標ポンプ流量を実現可能な設定容量と回転数の組み合わせを選択する。したがって、油圧ポンプ51の流量制御において、ポンプ容量が第1段設定容量である場合には、電動機52の回転数が最大回転数Nxの近傍にあるときに回転数の調整代を拡張することができる。また、ポンプ容量が第2段設定容量である場合には、電動機52の回転数が最小回転数Nnの近傍及び最大回転数Nxの近傍にあるときに回転数の調整代を拡張することができる。また、ポンプ容量が第3段設定容量である場合には、電動機52の回転数が最小回転数Nnの近傍にあるときに回転数の調整代を拡張することができる。このことから、油圧ポンプ51の流量の微調整のときに、ポンプ容量の切換頻度を低減することができる。これにより、ポンプ容量の切換による流量特性の変化を抑制することができるので、操作装置71の「微操作」のときの操作性の違和感を抑制することができる。
また、本実施の形態においては、操作装置71の操作が「微操作」である場合に、ポンプ容量を変更しない設定容量及び回転数の組み合わせを目標ポンプ容量及び目標回転数として優先的に選択するので、操作装置71の操作が「微操作」のときのポンプ容量の切換頻度を低減することができる。
なお、油圧ポンプ51の流量をQ3からQ5(目標ポンプ流量Qt=Q5)へと変更する場合には、当該操作が「微操作」に相当する場合であっても、ポンプ容量を第1段設定容量のまま維持して目標ポンプ流量Q5を実現することは不可能である。なぜなら、調整可能な回転数範囲として拡張領域を含む特性図M2において、目標ポンプ流量Q5が第1段設定容量の第1段拡張流量範囲内に含まれていないからである。そのため、目標ポンプ流量Q5を実現可能である第2段設定容量と回転数N5sの組み合わせ(制御点C5s)が選択される。これにより、ポンプ容量が第1段設定容量から第2段設定容量に切り換わり、電動機52の回転数がN3fからN5sへ変更される。
上述した本発明の建設機械の第2の実施の形態によれば、前述した第1の実施の形態と同様に、ポンプ容量を3段(複数)の設定容量のいずれかに切換可能とすることで、可変容量型の油圧ポンプのような容量制御の応答遅れがなく、また、電動機52の調整可能な回転数範囲を固定容量型の油圧ポンプよりも限定的に設定可能で、その分、油圧ポンプ51の流量制御のおける応答時間の短縮が可能となる。また、前後段の設定容量の両方の流量範囲に対して共通流量領域Fc1、Fc2を設けることで、共通流量領域Fc1、Fc2上の目標ポンプ流量(目標流量)を実現可能なポンプ容量と電動機回転数の組み合わせを複数の選択肢から選択可能となり、操作装置71の操作量を基に当該組み合わせを選択することで、応答時間の短縮やポンプ容量の切換頻度の低減が可能になることがある。したがって、油圧ポンプ51の流量制御において、応答性の向上を図りつつ操作の違和感を抑制することができる。
また、本実施の形態においては、コントローラ80Aが、操作装置71の操作が微操作(操作量の変化量が所定値未満)であるか否かを判定し、微操作ではない(操作量の変化量が所定値以上である)と判定された場合には電動機52(原動機)の調整可能な回転数範囲として最小回転数Nn(第1回転数)が下限であると共に最大回転数Nx(第2回転数)が上限である第1回転数範囲を選択して油圧ポンプ51の流量制御を実行する一方、微操作(操作量の変化量が所定値未満)であると判定された場合には電動機52(原動機)の調整可能な回転数範囲として最小回転数Nn(第1回転数)よりも低い回転数Nneを下限とすると共に最大回転数Nx(第2回転数)よりも高い回転数Nxeを上限とする第2回転数範囲を選択して油圧ポンプ51の流量制御を実行するように構成されている。コントローラ80Aは、第1回転数範囲を電動機52(原動機)の調整可能な回転数範囲として選択した場合において目標流量が共通流量領域Fc1、Fc2上にあるときには、回転数センサ73により検出された回転数Nに基づき目標ポンプ流量(目標流量)を実現することが可能な油圧ポンプ51のポンプ容量と電動機52(原動機)の回転数の組み合わせの中から1つを選択し、第2回転数範囲を電動機52(原動機)の調整可能な回転数範囲として選択した場合には、目標ポンプ流量(目標流量)を実現することが可能な油圧ポンプ51のポンプ容量と電動機52(原動機)の回転数の組み合わせのうち、油圧ポンプ51のポンプ容量を変更せずに維持可能な組み合わせが存在する場合には、油圧ポンプ51のポンプ容量を維持可能な設定容量と電動機52(原動機)の回転数の組み合わせを優先的に選択するように構成されている。
この構成によれば、操作装置71の操作が微操作(操作量の変化量が所定値未満)である場合、油圧ポンプ51の流量制御における電動機52の回転数の調整代が微操作以外のときよりも拡張されるので、微操作以外のときにはポンプ容量を切り換える条件であっても、ポンプ容量を切り換えずに維持することが可能な場合がある。したがって、操作装置71の操作が微操作のときに、ポンプ容量の切換頻度を低減することができ、ポンプ容量の切換による流量特性の変化に起因した操作の違和感を抑制することができる。
なお、本発明は本実施の形態に限られるものではなく、様々な変形例が含まれる。上記した実施形態は本発明をわかり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。ある実施形態の構成の一部を他の実施の形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施の形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加、削除、置換をすることも可能である。
例えば、上述した第1及び第2の実施の形態においては、本発明を油圧ショベル1に適用した例を示したが、本発明は油圧クレーンやホイールローダ等の各種の建設機械に広く適用することができる。
また、上述した第1および第2の実施の形態においては、油圧ポンプ51の容量切換機構62がサーボシリンダ63と第1、第2の切換弁64、66とを備える構成の例を示した。しかし、容量切換機構62は、段階的に異なる複数の設定容量のいずれかに機械的に切り換えることが可能な構成であるならば、どのような構成も可能である。
また、上述した実施の形態においては、操作装置71の操作(操作方向及び操作量)を電気的に検出して操作信号をコントローラ80、80Aへ出力する構成の例を示した。しかし、操作装置71の操作を操作装置71が生成する操作パイロット圧によって検出する構成も可能である。操作装置71が生成する操作パイロット圧は、例えば、圧力センサによって検出する。
また、上述した実施の形態においては、油圧ポンプ51を駆動する原動機として電動機52を採用した構成の例を示した。しかし、油圧ポンプ51を駆動する原動機は、回転数を連続的に変更可能なものである構成であれば、任意である。
また、本実施の形態においては、サーボシリンダ63の第1、第2、第4受圧室635、636、638へ供給される操作圧が吐出ライン56を介して供給されている例を示した。しかし、リリーフ弁で吐出圧力を設定できる、例えばギヤポンプ等の外部油圧源を用いて、当該第1、第2、第4受圧室635、636、638に操作圧を供給することも可能である。