以下、本発明の実施の形態1について、図面を用いて詳細に説明する。
図1はタッチセンサユニットを備えた車両のテールゲートの正面図を、図2は図1の車両の後方側の部分を側方から見た図を、図3はタッチセンサユニットを示す斜視図を、図4はタッチセンサユニットの先端側の部分を示す斜視図を、図5はタッチセンサユニットの長手方向と直交する方向に沿う断面図を、図6はタッチセンサユニットの先端側の部分(モールド樹脂無)をチップ抵抗側から見た斜視図を、図7はタッチセンサユニットの先端側の部分(モールド樹脂無)をチップ抵抗側とは反対側から見た斜視図を、図8はセパレータの詳細構造を説明する平面図を、図9はセパレータの絶縁チューブへの装着手順を示す図を、図10は第1,第2芯線の第1,第2接続部への装着手順を示す図を、図11は導電性接着剤による固定手順を示す図をそれぞれ示している。
図1および図2に示される車両10は、所謂ハッチバックタイプの車両であって、車両10の後方側には、大きな荷物を車室内に出し入れ可能な開口部11が設けられている。開口部11は、車両10の天井部の後方側に設けられたヒンジ(図示せず)を中心に回動されるテールゲート(開閉体)12により、図2の実線矢印および破線矢印に示されるように開閉される。
また、車両10の後方側には、パワーテールゲート装置13が搭載されている。パワーテールゲート装置13は、テールゲート12を開閉させる棒状の一対のアクチュエータ13aと、操作スイッチ(図示せず)からの操作信号に基づきアクチュエータ13aを制御するコントローラ13bと、障害物BLの接触を検出する一対のタッチセンサユニット20と、を備えている。
図1に示されるように、タッチセンサユニット20は、テールゲート12の車幅方向両側(図中左右側)にそれぞれ設けられている。具体的には、一対のタッチセンサユニット20は、テールゲート12の車室内側でかつ車幅方向両側に、テールゲート12の枠に沿わせて配置されている。これにより、開口部11とテールゲート12との間において、障害物BLがタッチセンサユニット20に接触すると、タッチセンサユニット20は直ぐに弾性変形される。
そして、一対のタッチセンサユニット20は、コントローラ13bにそれぞれ電気的に接続されており、一対のタッチセンサユニット20の弾性変形時に発生する検出信号は、コントローラ13bに入力される。コントローラ13bは、一対のタッチセンサユニット20からの検出信号の入力に基づき、操作スイッチの操作に依らず閉駆動されているテールゲート12を開駆動させるか、または閉駆動されているテールゲート12をその場で停止させる。これにより、障害物BLの挟み込みが未然に防げる。
ここで、タッチセンサユニット20は、図4に示されるように、第1電極32aおよび第2電極32bを備えている。そして、これらの第1,第2電極32a,32bの先端側(図中左側)には、チップ抵抗(抵抗器)CRが設けられている。これにより、タッチセンサユニット20が弾性変形していない状態では、第1,第2電極32a,32bは互いに接触せず、コントローラ13bにはチップ抵抗CRの抵抗値が入力される。つまり、コントローラ13bは、チップ抵抗CRの抵抗値が入力されている場合には、障害物BLの挟み込みが無いと判断し、テールゲート12の閉駆動を継続して実行する。
これに対し、タッチセンサユニット20に障害物BLが接触して、タッチセンサユニット20が弾性変形すると、第1,第2電極32a,32bが互いに接触して短絡される。すると、コントローラ13bには、チップ抵抗CRを介さない抵抗値(無限大)が入力されるようになる。このように、コントローラ13bは抵抗値の変化を検出し、当該抵抗値の変化をトリガとしてテールゲート12を開駆動させるか、またはテールゲート12をその場で停止させる制御を実行する。
図3ないし図7に示されるように、タッチセンサユニット20は、センサ本体30と、当該センサ本体30を保持するセンサホルダ40と、を備えている。また、図3に示されるように、タッチセンサユニット20の基端側の部分には配線21が設けられ、配線21の先端側の部分には、コントローラ13bのメス型コネクタ(図示せず)に差し込まれるオス型コネクタ21aが設けられている。
さらに、配線21の長手方向略中央部には、テールゲート12に設けられた固定穴(図示せず)に固定されるゴム製のグロメット21bが設けられている。これにより、車室外に設けられるセンサホルダ40側と、車室内に設けられるオス型コネクタ21a側との間がシール(密封)される。
図5ないし図7に示されるように、センサ本体30は、可撓性を有する絶縁ゴム材等よりなる絶縁チューブ(管状絶縁体)31を備えており、絶縁チューブ31は外力の付加により弾性変形される。そして、絶縁チューブ31の径方向内側(内部)には、外力を付加していない状態で第1電極32aおよび第2電極32bが互いに非接触の状態となるよう螺旋状に固定されている。
第1,第2電極32a,32bは、可撓性を有する導電ゴム等よりなる導電チューブ33を備えており、導電チューブ33の内部には、黄銅等よりなる複数の細線(図示せず)を撚ってなる導電線34が設けられている。そして、図5に示されるように、絶縁チューブ31の内径寸法は、第1,第2電極32a,32bの直径寸法の略3倍となっている。すなわち、絶縁チューブ31の内部に対向配置された第1,第2電極32a,32bの間には、第1,第2電極32a,32bが略1本入る程度の隙間Sが形成されている。
このように、絶縁チューブ31の径方向内側には、第1,第2電極32a,32bが、絶縁チューブ31の周方向に180度間隔で対向配置されるとともに、絶縁チューブ31の長手方向に螺旋状に固定され、さらには絶縁チューブ31の中心に第1,第2電極32a,32bが略1本入る程度の隙間Sが形成されている。これにより、センサ本体30の周方向におけるどの位置に障害物BL(図1参照)が接触しても、絶縁チューブ31の弾性変形に伴って、第1,第2電極32a,32bは互いに確実に接触して短絡される。
図4ないし図7に示されるように、センサホルダ40は、可撓性を有する絶縁ゴム材等によって所定形状に形成され、テールゲート12に固定される土台部41と、センサ本体30を保持するセンサ部42とを備えている。土台部41は、センサホルダ40の長手方向と直交する方向(短手方向)における断面形状が略台形形状とされ、土台部41の底面41aには、センサホルダ40をテールゲート12に固定するための両面テープや接着剤等(図示せず)が設けられる。
土台部41の底面41a側とは反対側(図5の上側)には、センサホルダ40の短手方向に沿う断面形状が略半円形状に形成されたセンサ部42が一体に設けられている。そして、図5の左右方向におけるセンサ部42の幅寸法は、図5の左右方向における土台部41の幅寸法よりも小さい幅寸法となっている。また、センサ部42の肉厚(厚み寸法)は、センサホルダ40のその他の部分に対して最も薄肉とされ、容易に弾性変形可能となっている。
これにより、センサ部42の内側に保持されたセンサ本体30も容易に弾性変形することができ、ひいてはセンサ本体30の十分な検出性能が確保される。なお、土台部41およびセンサ部42は、互いに滑らかに連結されるようにすべく、一対のテーパ面TPを介して連結されている。これにより、土台部41とセンサ部42との間に、応力が集中する角部の形成を抑えて、センサホルダ40の寿命を延ばすことができる。
このように、センサホルダ40は、センサ本体30の長手方向と直交する方向における断面形状が非円形となっている。これにより、センサ部42の柔軟性を確保しつつ、土台部41の剛性を十分なものとして、両面テープや接着剤等によるセンサホルダ40のテールゲート12への固定強度を確保している。
図4,図6および図7に示されるように、タッチセンサユニット20の先端側の部分には、平板状のセパレータ50が設けられている。セパレータ50はセンサホルダ40に対して正規の位置に位置決めされた状態で、第1モールド樹脂60および第2モールド樹脂61(図4参照)の内部に、インサート成形により埋設されている。
ここで、図6および図7に示されるように、絶縁チューブ31(導電チューブ33)の端部からは、第1,第2電極32a,32bに対応した導電線34がそれぞれ突出されている。これらの外部に露出された導電線34の部分は、それぞれ第1,第2電極32a,32bに対応した第1芯線34aおよび第2芯線34bとなっている。つまり、第1,第2芯線34a,34bは、それぞれ第1,第2電極32a,32bの端部に設けられている。
そして、第1芯線34aには、第1導電部54を介してチップ抵抗CRの一端が電気的に接続され、第2芯線34bには、第2導電部55を介してチップ抵抗CRの他端が電気的に接続されている。これらの第1,第2芯線34a,34bにおいても、第1,第2モールド樹脂60,61の内部に埋設されている。
ここで、図6ないし図13では、その詳細構造を分かり易くするために、電気を通す部品(通電部品)に網掛けを施している。
図6ないし図8に示されるように、セパレータ50は、略長方形の板状に形成されたセパレータ本体51を備えており、当該セパレータ本体51の厚み寸法はTとなっている。具体的には、セパレータ本体51の厚み寸法Tは、第1,第2芯線34a,34bの直径の略2倍の寸法となっている。
セパレータ本体51は、絶縁チューブ31の長手方向において互いに対向配置された第1短辺部51aおよび第2短辺部51bを備えている。また、セパレータ本体51は、第1,第2短辺部51a,51bの長手方向において互いに対向配置された第1長辺部51cおよび第2長辺部51dを備えている。ここで、第1短辺部51aは、本発明における対向辺部を構成しており、第1短辺部51aは、絶縁チューブ31の端部31aと対向し、かつ端部31aに突き当てられている。
なお、図6ないし図8において、管状絶縁体としての絶縁チューブ31の長手方向は、一点鎖線Xの延在方向(X軸方向)となっている。また、対向辺部としての第1短辺部51aの長手方向は、一点鎖線Yの延在方向(Y軸方向)となっている。ここで、本実施の形態では、第1短辺部51aの長手方向(Y軸方向)は、土台部41の底面41aに対して直交する方向となっている。
そして、第1,第2短辺部51a,51bの長さ寸法は、絶縁チューブ31の直径寸法よりも若干小さい寸法となっている。これにより、セパレータ50は、絶縁チューブ31を長手方向から見たときに、当該絶縁チューブ31の投影範囲に収まる。このように、本実施の形態におけるセパレータ50は、従前に比して大幅に小型化が図られている。
図6に示されるように、セパレータ本体51の第1芯線34aが配置される側には、第1配置面部52が設けられている。一方、図7に示されるように、セパレータ本体51の第2芯線34bが配置される側には、第2配置面部53が設けられている。これらの第1,第2配置面部52,53は、セパレータ本体51の表裏で互いに対向配置された平坦面であって、第1配置面部52上に第1芯線34aが設けられ、第2配置面部53上に第2芯線34bが設けられている。このように、セパレータ本体51は、第1芯線34aと第2芯線34bとの間に設けられ、第1芯線34aと第2芯線34bとが短絡することを防止している。
絶縁チューブ31の長手方向(X軸方向)と直交する方向、具体的には、第1短辺部51aの長手方向(Y軸方向)における第1,第2配置面部52,53の両側(図中上下側の部分)には、第1導電部54および第2導電部55がそれぞれ設けられている。これらの第1,第2導電部54,55は、銅板等の導電体からなり、セパレータ50を射出成形する際に、図示しない金型の内部でセパレータ本体51と一体化される。
なお、第1短辺部51aの長手方向において第1導電部54と第2導電部55との間には、プラスチック等の絶縁体からなる絶縁部56が設けられている。よって、第1,第2導電部54,55は互いに短絡することがない。絶縁部56は、第1短辺部51aの長手方向において幅広となった幅広部56aと、当該幅広部56aよりも幅狭となった幅狭部56bと、を備えている。幅広部56aはセパレータ本体51の第1短辺部51a寄りの部分に設けられ、幅狭部56bはセパレータ本体51の第2短辺部51b寄りの部分に設けられている。
また、図6に示されるように、第1配置面部52における幅広部56aの部分、つまり第1短辺部51a寄りの部分には、第1芯線34aの基端側(導電チューブ33寄り)の部分を支持する第1支持部57が一体に設けられている。第1支持部57は、カニ(蟹)の爪のような形状に形成され、第1配置面部52から所定の高さで突出されている。具体的には、第1支持部57は、絶縁チューブ31を長手方向から見たときに、当該絶縁チューブ31の投影範囲に収まる高さで突出されている。
そして、第1短辺部51aの長手方向中央部で、かつ第1支持部57の中央部分に第1支持凹部57aが設けられ、当該第1支持凹部57aの内部に第1芯線34aが配置されている。すなわち、第1芯線34aは、第1短辺部51aを横断して第1配置面部52上に引き出されている。
さらに、図7に示されるように、第2配置面部53における幅広部56aの部分、つまり第1短辺部51a寄りの部分には、第2芯線34bの基端側(導電チューブ33寄り)の部分を支持する第2支持部58が一体に設けられている。第2支持部58は、第1支持部57に対して、セパレータ本体51を中心に鏡像対称となるように同一形状に形成されている。
そして、第1短辺部51aの長手方向中央部で、かつ第2支持部58の中央部分に第2支持凹部58aが設けられ、当該第2支持凹部58aの内部に第2芯線34bが配置されている。すなわち、第2芯線34bは、第1短辺部51aを横断して第2配置面部53上に引き出されている。
また、図6に示されるように、セパレータ本体51の第1長辺部51cの部分で、かつ第1導電部54には、第1芯線34aが接続される第1接続部としての第1切欠溝(切欠溝)54aが設けられている。具体的には、第1切欠溝54aは、セパレータ本体51の中央部分に向けて、所定の深さとなるように窪んでいる。第1切欠溝54aの深さ寸法は、第1芯線34aの先端側の第1固定部F1が入り込める深さ寸法となっている。すなわち、第1芯線34aの直径寸法よりも大きい深さ寸法となっている。
ここで、第1切欠溝54aは第1長辺部51cの長手方向における略中央部に設けられ、第1切欠溝54aには第1固定部F1が引っ掛けられている。なお、第1固定部F1は、第1芯線34aの先端側の部分を折り曲げて形成され、第1配置面部52側から第2配置面部53側に向けて延在されている。具体的には、図7に示されるように、第1固定部F1の先端部分は、第2配置面部53の部分にまで到達している。
このように、第1芯線34aは、第1支持凹部57aから第1切欠溝54aに向けて傾斜されるようにして第1配置面部52上に延在されている。つまり、第1配置面部52上に引き出された第1芯線34aを、絶縁チューブ31の内部の螺旋状に倣って延在させることが可能となっている。具体的には、第1芯線34aを無理に折り曲げたりすることをせずに、絶縁チューブ31の内部の螺旋状と同じ形状を維持しながら、第1芯線34aの第1固定部F1を第1切欠溝54aに引っ掛けることが可能となっている(図4参照)。
言い換えれば、絶縁チューブ31の内部に螺旋状に設けられた第1電極32aの延長線上に大きくずれることなく第1切欠溝54aが設けられるため、第1芯線34aに大きな負荷を与えずに済み、ひいては第1芯線34aに与えるダメージを軽減することが可能となっている。
さらに、図7に示されるように、セパレータ本体51の第2長辺部51dの部分で、かつ第2導電部55には、第2芯線34bが接続される第2接続部としての第2切欠溝(切欠溝)55aが設けられている。具体的には、第2切欠溝55aは、セパレータ本体51の中央部分に向けて、所定の深さとなるように窪んでいる。第2切欠溝55aの深さ寸法は、第2芯線34bの先端側の第2固定部F2が入り込める深さ寸法となっている。すなわち、第2芯線34bの直径寸法よりも大きい深さ寸法となっている。
ここで、第2切欠溝55aは第2長辺部51dの長手方向における略中央部に設けられ、第2切欠溝55aには第2固定部F2が引っ掛けられている。なお、第2固定部F2は、第2芯線34bの先端側の部分を折り曲げて形成され、第2配置面部53側から第1配置面部52側に向けて延在されている。具体的には、図6に示されるように、第2固定部F2の先端部分は、第1配置面部52の部分にまで到達している。
このように、第2芯線34bは、第2支持凹部58aから第2切欠溝55aに向けて傾斜されるようにして第2配置面部53上に延在されている。つまり、第2配置面部53上に引き出された第2芯線34bを、絶縁チューブ31の内部の螺旋状に倣って延在させることが可能となっている。具体的には、第2芯線34bを無理に折り曲げたりすることをせずに、絶縁チューブ31の内部の螺旋状と同じ形状を維持しながら、第2芯線34bの第2固定部F2を第2切欠溝55aに引っ掛けることが可能となっている。
言い換えれば、絶縁チューブ31の内部に螺旋状に設けられた第2電極32bの延長線上に大きくずれることなく第2切欠溝55aが設けられるため、第2芯線34bに大きな負荷を与えずに済み、ひいては第2芯線34bに与えるダメージを軽減することが可能となっている。
図6および図7に示されるように、第1固定部F1と第1切欠溝54aとの電気的な固定、および第2固定部F2と第2切欠溝55aとの電気的な固定には、導電性接着剤CA(濃色網掛部)が用いられている。導電性接着剤CAは、例えば、エポキシ樹脂と導電性材料とを混合したものであって、半田付けの代替となっている。これにより、セパレータ本体51が受ける加熱によるダメージが最小限に抑えられている。
ここで、導電性材料の混合量を増やすことで導電性は向上する。その一方で、接着強度は低下する。本実施の形態においては、セパレータ本体51が第1,第2モールド樹脂60,61(図4参照)の内部に埋設される。したがって、接着強度が若干低下する程度であれば、何ら問題を生じない。
また、図6および図8に示されるように、セパレータ本体51の第1配置面部52には、略直方体形状に形成されたチップ抵抗CRが装着されている。具体的には、チップ抵抗CRは、絶縁チューブ31の長手方向において第1短辺部51a側とは反対側の第2短辺部51b寄りの部分に配置され、かつ第1導電部54と第2導電部55との間に設けられている。ここで、セパレータ本体51の第2短辺部51b寄りの部分には、比較的大きなスペースが存在し、チップ抵抗CRを設けるには十分な広さとなっている。
そして、チップ抵抗CRの一端が、半田部SD(濃色網掛部)を介して第1導電部54に電気的に接続され、チップ抵抗CRの他端が、半田部SD(濃色網掛部)を介して第2導電部55に電気的に接続されている。ここで、チップ抵抗CRは、絶縁部56の幅狭部56bを跨いでおり、これにより第1,第2導電部54,55は、チップ抵抗CRを介して互いに確実に電気的に接続される。なお、半田付け(半田部SD)に替えて、導電性接着剤CAで電気的に接続しても良い。この場合、セパレータ本体51が受ける加熱によるダメージをより抑えることが可能となる。
このように、本実施の形態におけるチップ抵抗CRは、従前のような一対のリード線を有する抵抗ではなく、略箱形状の小型の抵抗器となっている。そのため、絶縁チューブ31の長手方向におけるセパレータ50の長さ寸法も詰めることが可能となっている。これにより、タッチセンサユニット20の長手方向において障害物BL(図1参照)が接触したことを検出できる領域を、従前に比して広げる(大きくする)ことが可能となっている。
図6および図8に示されるように、第1配置面部52の略中央部で、かつ第1導電部54と第2導電部55との間には、略円柱形状に形成された第1絶縁凸部59aが設けられている。また、図7に示されるように、第2配置面部53の略中央部で、かつ第1導電部54と第2導電部55との間には、第1絶縁凸部59aと同じ形状に形成された第2絶縁凸部59bが設けられている。これらの第1,第2絶縁凸部59a,59bは、何れも絶縁部56に一体に設けられ、プラスチック等の絶縁体により形成されている。
そして、第1絶縁凸部59aは第1配置面部52から、また、第2絶縁凸部59bは第2配置面部53から、それぞれ高さ寸法Hで突出されている。ここで、第1,第2絶縁凸部59a,59bの高さ寸法Hは、セパレータ本体51の厚み寸法Tと略同じ寸法であり(H≒T)、かつチップ抵抗CRの厚み寸法t(図6参照)よりも若干大きい寸法となっている(H>t)。また、第1,第2絶縁凸部59a,59bの高さ寸法Hは、第1,第2芯線34a,34bの直径よりも大きい寸法となっている。
第1絶縁凸部59aは、図6に示されるように、第1芯線34aと第2導電部55との間、および第1芯線34aとチップ抵抗CRとの間に配置されている。つまり、第1絶縁凸部59aは、第1芯線34aと第2導電部55とが接触して短絡することを防止し、かつ第1芯線34aとチップ抵抗CRとが接触して短絡することを防止している。
これに対し、第2絶縁凸部59bは、図7に示されるように、第2芯線34bと第1導電部54との間に配置されている。つまり、第2絶縁凸部59bは、第2芯線34bと第1導電部54とが接触して短絡することを防止している。
また、第1,第2モールド樹脂60,61(図4参照)を成形する際に、溶融樹脂の圧力が第1,第2芯線34a,34bに掛かった場合に、例えば、第1,第2芯線34a,34bは、それぞれ第1,第2絶縁凸部59a,59bに支持される。よって、製造工程において第1,第2芯線34a,34bが断線したり、第1,第2芯線34a,34bと他の通電部品とが短絡した不良品が発生したりすることが、確実に抑制される。
さらに、図8に示されるように、セパレータ本体51の第1短辺部51aには、略円柱形状に形成され、かつ先端部が半球状となった第1差し込み部P1が設けられている。これにより、第1,第2電極32a,32bの間に、第1差し込み部P1を容易に差し込めるようになっている。第1差し込み部P1は、第1短辺部51aの長手方向中央部に設けられ、第1短辺部51aから絶縁チューブ31の長手方向に突出されている。
第1差し込み部P1は、絶縁チューブ31の内部に対向配置された第1,第2電極32a,32bの間の隙間S(図5参照)に差し込まれ、その直径寸法Dは、隙間Sの内径寸法よりも若干大きい寸法に設定されている。すなわち、第1差し込み部P1は、第1,第2電極32a,32bを弾性変形させつつ、隙間Sに差し込まれる。
また、絶縁チューブ31の長手方向における第1差し込み部P1の長さ寸法L1は、絶縁チューブ31の長手方向におけるセパレータ本体51の長さ寸法L2よりも若干長い長さ寸法に設定されている(L1>L2)。これにより、セパレータ50をセンサ本体30に組み付けた状態(図6および図7参照)において、セパレータ50のセンサ本体30に対するがたつきが、効果的に抑えられる。
さらに、図8に示されるように、セパレータ本体51の第1短辺部51aには、略平板状に形成された第2差し込み部P2が設けられている。第2差し込み部P2は、第1短辺部51aの長手方向に延在され、その中央部に第1差し込み部P1が設けられている。そして、第2差し込み部P2においても、第1差し込み部P1と同様に、第1短辺部51aから絶縁チューブ31の長手方向に突出されている。
第2差し込み部P2は、絶縁チューブ31の周方向において隣り合う第1,第2電極32a,32bの間(図5参照)に差し込まれる。そして、絶縁チューブ31の長手方向における第2差し込み部P2の長さ寸法L3は、絶縁チューブ31の長手方向におけるセパレータ本体51の長さ寸法L2の略1/4の長さ寸法に設定されている(L3≒L2/4)。これによっても、セパレータ50をセンサ本体30に組み付けた状態(図6および図7参照)において、セパレータ50のセンサ本体30に対するがたつきを、効果的に抑えている。
次に、以上のように形成されたタッチセンサユニット20の先端側の部分の組み立て手順について、図面を用いて詳細に説明する。
図9に示されるように、センサ本体30が組み込まれたセンサホルダ40を準備するとともに、チップ抵抗CRが装着されたセパレータ50を準備する。次いで、第1電極32aに対応した第1芯線34aの先端側を、破線矢印(1)の方向に向け、かつ第2電極32bに対応した第2芯線34bの先端側を、破線矢印(2)の方向に向ける。このとき、破線矢印(1),(2)の方向は、絶縁チューブ31の内部における第1,第2電極32a,32bの螺旋状に倣う方向となっている。よって、第1,第2芯線34a,34bが無理に引っ張られたり折り曲げられたりすることはない。
その後、破線矢印(3)に示されるように、セパレータ50の第1差し込み部P1を、センサ本体30の端部に臨ませる。そして、第1差し込み部P1を、第1,第2電極32a,32bの間に差し込んでいく。このとき、第1差し込み部P1の先端部は半球状となっているので、差し込み作業を容易に行うことができる。さらに、セパレータ50の第2差し込み部P2を、絶縁チューブ31の周方向において隣り合う第1,第2電極32a,32bの間に差し込んでいく。
そして、セパレータ本体51の第1短辺部51aを、絶縁チューブ31の端部31aに突き当てる。これにより、セパレータ50のセンサ本体30への装着が完了する。なお、第1短辺部51aの端部31aへの突き当て時において、第1芯線34aを、第1支持部57の第1支持凹部57aの内部に配置するようにし、第2芯線34bを、第2支持部58の第2支持凹部58a(図7参照)の内部に配置するようにする。
次に、図10の破線矢印(4)に示されるように、第1芯線34aの先端側の部分を、第1導電部54の第1切欠溝54aに引っ掛ける。また、図10の破線矢印(5)に示されるように、第2芯線34bの先端側の部分を、第2導電部55の第2切欠溝55aに引っ掛ける。このとき、第1,第2芯線34a,34bを無理に引っ張らずに、第1,第2芯線34a,34bの先端側の部分のみを折り曲げて、第1,第2切欠溝54a,55aに入れ込むようにする。
これにより、第1芯線34aに第1固定部F1が形成されるとともに、当該第1固定部F1が第1切欠溝54aに引っ掛けられる。また、第2芯線34bに第2固定部F2が形成されるとともに、当該第2固定部F2が第2切欠溝55aに引っ掛けられる。このとき、第1,第2芯線34a,34bの何れもが、絶縁チューブ31の内部における螺旋状に倣って延在しているため、第1,第2芯線34a,34bに掛かる負荷が最小限に抑えられている。よって、複数の細線(銅線)を撚ってなる第1,第2芯線34a,34bに与えるダメージが最小限とされる。
その後、図11の符号(6)に示されるように、第1切欠溝54aに引っ掛けられた第1芯線34aの第1固定部F1に、導電性接着剤CAを塗布して、第1導電部54と第1芯線34aとを電気的に接続(固定)する。また、図11の符号(7)に示されるように、第2切欠溝55aに引っ掛けられた第2芯線34bの第2固定部F2に、導電性接着剤CAを塗布して、第2導電部55と第2芯線34bとを電気的に接続(固定)する。これにより、センサ本体30に対するセパレータ50の固定工程が完了する。
次いで、詳細には図示しないが、タッチセンサユニット20の先端側の部分(セパレータ50の部分)を、上下金型の内部にセットする。そして、上下金型の内部に形成されたキャビティに、溶融した2種類の樹脂材料を所定圧で充填し、図4に示されるような第1,第2モールド樹脂60,61を形成(インサート成形)する。これにより、第1,第2モールド樹脂60,61の内部に、セパレータ50の部分が埋設されて、タッチセンサユニット20の先端側の部分の組み立てが完了する。
以上詳述したように、本実施の形態によれば、セパレータ50は、絶縁チューブ31の長手方向(X軸方向)において絶縁チューブ31の端部31aと対向する第1短辺部51aと、第1芯線34aが配置される第1配置面部52と、第2芯線34bが配置される第2配置面部53と、第1短辺部51aの長手方向(Y軸方向)において第1,第2配置面部52,53の両側にそれぞれ設けられた第1,第2導電部54,55と、を有し、第1導電部54に第1芯線34aが接続される第1切欠溝54aが設けられ、第2導電部55に第2芯線34bが接続される第2切欠溝55aが設けられ、第1芯線34aは第1短辺部51aを横断して第1切欠溝54aに向けて延在され、第2芯線34bは第1短辺部51aを横断して第2切欠溝55aに向けて延在されている。
これにより、螺旋状に設けられた第1,第2電極32a,32bの延長線上に、大きくずれることなく第1,第2切欠溝54a,55aをそれぞれ設けることができ、タッチセンサユニット20の組み立ての際に、第1,第2芯線34a,34bを従前のように真っ直ぐに伸ばしたり曲げたりする必要がなくなる。したがって、第1,第2芯線34a,34bに大きな負荷を与えずに済み、第1,第2芯線34a,34bに与えるダメージを軽減して、製品毎に仕様がばらつくことを抑制できる。
また、本実施の形態によれば、第1芯線34aの先端側に、第1配置面部52側から第2配置面部53側に向けて延在され、かつ第1切欠溝54aに入り込む第1固定部F1が設けられ、第2芯線34bの先端側に、第2配置面部53側から第1配置面部52側に向けて延在され、かつ第2切欠溝55aに入り込む第2固定部F2が設けられている。
これにより、第1,第2芯線34a,34bの先端側の部分のみを折り曲げて、第1,第2切欠溝54a,55aに入れ込むことができる。よって、複数の細線(銅線)を撚ってなる第1,第2芯線34a,34bに与えるダメージを最小限に抑えることができる。
さらに、本実施の形態によれば、第1,第2固定部F1,F2が、第1,第2切欠溝54a,55aのそれぞれに対して導電性接着剤CAにより固定されているので、セパレータ本体51が受ける半田付け等に起因した加熱によるダメージを、最小限に抑えることができる。よって、セパレータ50が損傷したり変形したりすること等を、確実に防止することができる。
また、本実施の形態によれば、チップ抵抗CRが、絶縁チューブ31の長手方向において第1短辺部51a側とは反対側の第2短辺部51b寄りの部分に設けられているので、セパレータ本体51の比較的大きなスペースを有効に利用して、当該部分に余裕を持たせてチップ抵抗CRを配置することができる。よって、セパレータ50の無用な大型化を避けることができる。
さらに、本実施の形態によれば、第1配置面部52の第1導電部54と第2導電部55との間に、第1芯線34aと第2導電部55との短絡を防止する第1絶縁凸部59aが設けられ、第2配置面部53の第1導電部54と第2導電部55との間に、第2芯線34bと第1導電部54との短絡を防止する第2絶縁凸部59bが設けられている。
これにより、タッチセンサユニット20の製造工程において、第1,第2芯線34a,34bと他の通電部品とが短絡した不良品が発生すること等が、確実に抑制される。
次に、本発明の実施の形態2について、図面を用いて詳細に説明する。なお、上述した実施の形態1と同様の機能を有する部分については同一の記号を付し、その詳細な説明を省略する。
図12は実施の形態2のセパレータを示す斜視図を、図13は図12のセパレータの組み立て手順を示す図をそれぞれ示している。
図12および図13に示されるように、実施の形態2においては、実施の形態1に比して、セパレータ70の形状のみが異なっている。具体的には、セパレータ70の第1差し込み部P1の長さ寸法L4は、セパレータ本体51の長さ寸法L2(図8参照)よりも短い長さ寸法に設定されている(L4<L2)。
また、セパレータ本体51の第2短辺部51b寄りの部分には、第1配置面部52側と第2配置面部53側(図7参照)とを連通する連通孔71が設けられている。連通孔71の大きさは、その内部にチップ抵抗CRを装着し得る大きさに設定され、破線矢印(8)に示されるように、チップ抵抗CRが嵌め込まれるようになっている。具体的には、連通孔71は、第1,第2導電部54,55の間に跨ぐようにして設けられ、これにより、第1,第2導電部54,55は、チップ抵抗CRを介して互いに確実に電気的に接続される。
ここで、チップ抵抗CRの一端は、半田部SDを介して第1導電部54に電気的に接続され、チップ抵抗CRの他端は、半田部SDを介して第2導電部55に電気的に接続されている。
そして、実施の形態2のセパレータ70においては、第1絶縁凸部59aは、第1芯線34a(図6参照)と第2導電部55との間、および第1芯線34aとチップ抵抗CRとの間に配置される。また、第2絶縁凸部59b(図7参照)は、第2芯線34b(図7参照)と第1導電部54との間、および第2芯線34bとチップ抵抗CRとの間に配置される。
以上のように形成した実施の形態2においても、上述した実施の形態1と同様の作用効果を奏することができる。これに加えて、実施の形態2では、第1差し込み部P1の絶縁チューブ31への差し込み荷重を小さくすることができる。したがって、第1,第2電極32a,32b(導電線34)に与えるダメージをより軽減することができる。
また、実施の形態2では、厚み寸法Tの連通孔71の内部に、厚み寸法t(t<T)のチップ抵抗CRを隠すように設けることができるので、第1,第2モールド樹脂60,61(図4参照)を成形する際に、溶融樹脂の圧力によってチップ抵抗CRが外れるようなことを、確実に防止することができる。
本発明は上記実施の形態1,2に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば、上記実施の形態1,2では、絶縁チューブ31の内部に1本ずつの第1,第2電極32a,32bを螺旋状に固定したものを示したが、本発明はこれに限らない。例えば、必要とされる検出性能等に応じて、絶縁チューブの内部に2本ずつの第1,第2電極を螺旋状に固定したものにも、本発明を適用することができる。要するに、第1,第2電極は1本ずつに限らない。
また、上記実施の形態1,2では、タッチセンサユニット20を、車両10のテールゲート12に設けた場合を示したが、本発明はこれに限らず、車両のサンルーフや車両の側方にあるスライドドアにも設けることができる。さらには、車両に設けられる開閉体に限らず、建物の出入り口を開閉する自動ドア等にも設けることができる。
その他、上記実施の形態1,2における各構成要素の材質,形状,寸法,数,設置箇所等は、本発明を達成できるものであれば任意であり、上記実施の形態1,2に限定されない。