JP2022087612A - ナノメッシュ積層体 - Google Patents

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Naoya Ninomiya
千寛 原田
Kazuhiro Harada
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Abstract

【課題】本発明は、貼付け時間が短く、所望の位置に貼付することが容易で、且つ耐久性の高いナノメッシュ積層体を提供することを課題とする。【解決手段】網目状基材、第1ナノメッシュ層、第2ナノメッシュ層、及び導電性物質層がこの順に積層されたナノメッシュ積層体であって、第1ナノメッシュ層と第2ナノメッシュ層の溶媒への溶解速度が異なる、ナノメッシュ積層体により課題を解決する。【選択図】図1

Description

本発明は導電性物質層を有するナノメッシュ積層体に関する。
フレキシブルな基材上にエレクトロニクスデバイスを形成する、フレキシブルエレクトロニクスが研究されており、生体への適用についても研究が進んでいる。
例えば、高い表面追従性を有し、長期間安定的に使用可能なものとして、開口部を有する基材と、開口部の周囲を外枠として懸架された繊維網を有する電子機能部材が提案されている(特許文献1参照)。
また、通気性と伸縮性を兼ね備えた皮膚貼り付け型ナノメッシュセンサーを、生体適合性がありかつ生分解性も期待できるポリビニルアルコール(PVA)樹脂を用いて作成することが提案されている(非特許文献1参照)。
さらに、特許文献2では水溶性樹脂、及び、難水溶性樹脂を含んでなるポリビニルアルコール(PVA)樹脂繊維を用いた皮膚貼り付け型ナノメッシュセンサーが開示されており、加熱圧着工程によりPVA樹脂繊維を構成する2種の繊維を水溶性と難水溶性とすることで耐摩耗性に優れた電子機能部材が提案されている。
非特許文献1に開示されたナノメッシュセンサーは、エレクトロスピニング法により作成されたPVAナノファイバーのメッシュの一方の面に、導電性の金属等をコートしたものである。このナノメッシュセンサーを皮膚上におき、水を吹きかけるとPVAナノファイバーが溶解し、導電性金属等のナノファイバーメッシュが皮膚表面に接着する。接着した導電性金属等のナノファイバーメッシュは皮膚の変形等に追随し、関節等への適用が可能で、各種センサーへの配線等に使用することができる。特に導電性金属等として金を用いること、メッシュ構造であり皮膚呼吸等を妨げないこと、により、ナノメッシュ装着に起因する不快感、炎症が発生することがきわめて少なくなるものである。
特開2016-112246号公報 国際公開第2020/179907号
"皮膚呼吸が可能な皮膚貼り付け型ナノメッシュセンサーの開発に成功"、[online]、東京大学、科学技術振興機構、慶應義塾大学、理化学研究所、[平成31年2月25日検索]、インターネット<URL:http://www.jst.go.jp/pr/announce/20170718/>
上述の通り、非特許文献1のナノメッシュセンサーは、水を吹きかけることによって皮膚などの被着体表面に接着することができる。しかしながら、当該ナノメッシュセンサーは、被着体表面に貼り付けた後、十分に固定されるまでに長時間を要していたため、ナノメッシュ積層体が貼付け位置からずれるといった問題が生じていた。そこで、より貼付け時間の短いナノメッシュ積層体が求められていた。
貼付け時間を短くする方法として、接着機能を有する水溶性樹脂繊維層の繊維径を細くすることで、短時間で溶媒に溶解させることが考えられる。しかしながら、短時間で水溶性樹脂繊維層が溶解すると、ナノメッシュ積層体の流動性が上がりすぎるため、ナノメッシュ積層体が所望の位置からずれたり、導電性物質層と被着体とが水溶性樹脂によって十分に接着されない部分が生じたりする。さらに、水溶性樹脂層の繊維径が細すぎると、その樹脂繊維に沿って形成された導電性物質層同士の接触面積が少なくなり、電子部材としての抵抗が高くなってしまうという課題があった。このようなナノメッシュ積層体は、耐久性が低く、例えば1週間以上の長期使用に適さない。
本発明は、貼付け時間が短く、所望の位置に貼付することが容易で、且つ耐久性の高いナノメッシュ積層体を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく検討を重ね、網目状基材、ナノメッシュ層、及び導電性物質層が隣接して積層されたナノメッシュ積層体において、ナノメッシュ層を溶解速度の異なる2つの層から構成されるものとすることで、又は、ナノメッシュ層を構成する樹脂繊維の繊維径及び目付量を特定の範囲とすることで、貼付け時間が短く、所望の位置に貼付することが容易で、且つ耐久性の高いナノメッシュ積層体を提供できることを見出した。
すなわち本発明は、以下のものを含む。
[1]網目状基材、ナノメッシュ層、及び導電性物質層がこの順に積層されたナノメッシュ積層体であって、
前記ナノメッシュ層は、網目状基材側の第1ナノメッシュ層と導電性物質層側の第2ナノメッシュ層からなり、第1ナノメッシュ層及び第2ナノメッシュ層は、同一の水溶性樹脂繊維を主成分とし、第2ナノメッシュ層の第1ナノメッシュ層に対する繊維径比が1.5以上である、ナノメッシュ積層体。
[2]網目状基材、ナノメッシュ層、及び導電性物質層がこの順に積層されたナノメッシュ積層体であって、
前記ナノメッシュ層は、網目状基材側の第1ナノメッシュ層と導電性物質層側の第2ナノメッシュ層からなり、第1ナノメッシュ層及び第2ナノメッシュ層は、異なる種類の水溶性樹脂繊維を主成分とし、繊維径が50nm以上1000nm以下である、ナノメッシュ積層体。
[3]網目状基材、ナノメッシュ層、及び導電性物質層がこの順に積層されたナノメッシュ積層体であって、
前記ナノメッシュ層は、網目状基材側の第1ナノメッシュ層と導電性物質層側の第2ナノメッシュ層からなり、第1ナノメッシュ層及び第2ナノメッシュ層は、異なる種類の水溶性樹脂繊維を主成分とし、第2ナノメッシュ層の第1ナノメッシュ層に対する繊維径比が1.5以上である、ナノメッシュ積層体。
[4]網目状基材、ナノメッシュ層、及び導電性物質層がこの順に積層されたナノメッシュ積層体であって、
前記ナノメッシュ層は、水溶性樹脂繊維を主成分とし、繊維径が200nm以上600nm以下であり、目付量が0.3g/m以上3.0g/m以下である、ナノメッシュ積層体。
[5]前記水溶性樹脂繊維は、平均重合度が200以上3000以下である、[1]~[4]のいずれかに記載のナノメッシュ積層体。
[6]前記水溶性樹脂繊維がポリビニルアルコール系樹脂を含む、[1]~[5]のいずれかに記載のナノメッシュ積層体。
[7]前記ポリビニルアルコール系樹脂は、ケン化度が70モル%以上100モル%以下である、[6]に記載のナノメッシュ積層体。
[8]前記導電性物質層が金を含む、[1]~[7]のいずれかに記載のナノメッシュ積層体。
[9]前記網目状基材は、弾性率が0.5GPa以上8.0GPa以下である、[1]~[8]のいずれかに記載のナノメッシュ積層体。
[10]前記ナノメッシュ層は、目付量が0.3g/m以上3.0g/m以下である、[1]~[9]のいずれかに記載のナノメッシュ積層体。
[11]前記ナノメッシュ層を溶解させ、被着体と貼付けた後に形成される水溶性樹脂皮膜の厚さと、前記導電性物質層の厚さと、の比が、1以上10以下である、[1]~[10]のいずれかに記載のナノメッシュ積層体。
本発明により、貼付け時間が短く、所望の位置に貼付することが容易で、且つ耐久性の高いナノメッシュ積層体を提供することができる。
また、特許文献2の導電部材を備えたナノメッシュセンサーでは水溶性樹脂及び難水溶性樹脂を含んだ繊維網とすることで耐摩耗性を向上させることを可能としているが、水を付与して被着体へ貼った後も難水溶性樹脂が残存してしまい、難水溶性樹脂繊維上に形成した導電部材同士の接点間で同繊維が導電パスの阻害となってしまい、電子部材としての抵抗が高くなってしまう傾向にあった。
本発明の好ましい形態に係るナノメッシュ積層体は、導電性物質層同士が多くの接点を持ったネットワーク構造を形成するため、上記の問題を生じることがなく、電子部材として適度な抵抗を有する。
本発明の実施形態に係るナノメッシュ積層体を示す断面模式図である。 本発明の第四の実施形態に係るナノメッシュ積層体を被着体と貼付けた状態を示す断面模式図である。
以下、本発明について詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施形態の一例(代表例)であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本発明の第一の実施形態は、網目状基材、ナノメッシュ層、及び導電性物質層がこの順に積層されたナノメッシュ積層体であって、前記ナノメッシュ層は、網目状基材側の第1ナノメッシュ層と導電性物質層側の第2ナノメッシュ層からなり、第2ナノメッシュ層の第1ナノメッシュ層に対する繊維径比が1.5以上である、ナノメッシュ積層体である。
上記ナノメッシュ積層体は、網目状基材側を上にして被着体上に設置した後、霧吹きを用いて、また、水などを含ませた脱脂綿等の担持体を用いて水などを積層体に供給することで、毛管作用により第1及び第2ナノメッシュ層に素早く水などを浸透させることができる。第1ナノメッシュ層が比較的早く溶解することで、第2ナノメッシュ層のうち溶解せずに残った部分と導電性物質層とを被着体に素早く結着することができる。
このように、第1ナノメッシュ層は溶解速度が比較的早く薄い水溶性樹脂皮膜となるため、被着体への密着性に寄与する一方、第2ナノメッシュ層は適度に溶解し、かつ、導電性物質層同士が多くの接点を持ったネットワーク構造を形成することに寄与するため、ナノメッシュ積層体総体にこれらの特性を付与することができる。
<ナノメッシュ層>
第1及び第2ナノメッシュ層は、同一の水溶性樹脂繊維を主成分とする。本明細書で「主成分」とは最も多い成分をいい、主成分は各ナノメッシュ層中、50重量%以上であっ
てよく、70重量%以上であってよく、90重量%以上であってよく、100重量%であってよい。水溶性樹脂繊維としては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミドなどの合成高分子や、ゼラチン、プルラン、水溶性コラーゲンなどの天然高分子及びその化学変性高分子(但し、増粘性多糖類を除く)が挙げられる。特に、繊維化した際の引張強度、摩擦強度を高めることができる点から、PVA系樹脂が好ましい。
PVA系樹脂としては、無変性PVAや、カルボキシル基含有PVA、スルホ基含有PVA、アセトアセチル基含有PVA、側鎖に1,2-ジオール構造などを有する変性PVAが挙げられる。中でも生体への適合性の点で、無変性PVAが好ましい。
PVA系樹脂は、ビニルエステル系モノマーを重合して得られるビニルエステル系樹脂をケン化して得られる、ビニルアルコール構造単位を主体とする樹脂であり、ケン化度相当のビニルアルコール構造単位とケン化されずに残存したビニルエステル構造単位から構成される。
なお、無変性PVAは、ビニルアルコール構造単位とビニルエステル構造単位のみからなり、変性PVAは、ビニルアルコール構造単位とビニルエステル構造単位とさらにそれ以外の構造単位を有するPVAである。
第1及び第2ナノメッシュ層がPVA系樹脂から構成される場合、そのケン化度は70モル%以上が好ましく、より好ましくは75モル%以上である。通常100モル%以下であり、好ましくは98モル%以下、より好ましくは95モル%以下である。PVA系樹脂のケン化度を上記範囲内とすることで柔軟性と粘着性が適正な範囲に保たれ、成形物が使用しやすくなる。一方、PVA系樹脂は完全ケン化物(すなわち、ケン化度100モル%)であってもよいが、上記範囲とすることでナノメッシュ層の製造が容易となる。また、ケン化度を上記範囲で調整することで、水溶性樹脂繊維の水溶性、耐溶剤性、結晶性を適正な範囲に調整することができる。
なお、本実施形態において、PVA系樹脂のケン化度は、JIS K 6726に準拠する方法で求められた値とする。
第1及び第2ナノメッシュ層を構成する水溶性樹脂繊維の平均重合度は、通常200以上であり、300以上が好ましく、より好ましくは500以上である。平均重合度を大きくすることで、ナノメッシュの強度が向上する。一方、平均重合度は通常3000以下、好ましくは2500以下、より好ましくは2300以下である。平均重合度を小さくすることで、水溶性樹脂繊維を容易に製造することができ、大きすぎると溶液粘度を適度な粘度に調整した場合に濃度が低くなるため、生産性が低下する傾向が見られる。また、平均重合度を上記範囲で調整することで、水溶性樹脂繊維の水溶性、引張強度を適正な範囲に調整することができる。
なお、本実施形態において、水溶性樹脂繊維の平均重合度は、JIS K 6726に準拠する方法で求めた平均重合度を用いるものとする。
第1ナノメッシュ層を構成する水溶性樹脂繊維の繊維径は、50nm以上が好ましく、より好ましくは100nm以上、更に好ましくは150nm以上、特に好ましくは200nm以上である。また、通常1000nm以下であり、好ましくは800nm以下、より好ましくは700nm以下、さらに好ましくは500nm以下、特に好ましくは400nm以下である。かかる繊維径とすることで、第1ナノメッシュ層が十分な水溶性を有し、積層体の貼付け性を良好なものとしやすいため好ましく、また導電性物質層の密度を十分なものとしやすいため好ましい。
第2ナノメッシュ層を構成する水溶性樹脂繊維の繊維径は、50nm以上が好ましく、より好ましくは200nm以上、更に好ましくは300nm以上、特に好ましくは500
nm以上である。また、通常1000nm以下であり、好ましくは950nm以下、より好ましくは900nm以下、さらに好ましくは800nm以下である。かかる繊維径とすることで、積層体の耐久性が十分となる点、及び、第2ナノメッシュ層を構成する繊維上に形成された導電性物質の幅が広くなるため積層体貼付け後の導電性物質のネットワーク構造が強固になる点で好ましい。
第2ナノメッシュ層の第1ナノメッシュ層に対する繊維径比は、1.5以上が好ましく、より好ましくは1.8以上、特に好ましくは2以上である。また、通常5以下であり、好ましくは4以下であり、特に好ましくは3.5以下である。繊維径比を上記範囲とすることで、第1ナノメッシュ層が第2ナノメッシュ層よりも溶媒に早く溶解し、第2ナノメッシュ層による被着体と導電層の接着を促進するため好ましい。
繊維径は、エレクトロスピニング法においては、例えばナノメッシュ層製造時に用いる紡糸液の濃度、液供給速度によって調整できる。紡糸液中の水溶性樹脂の濃度の増加と共に繊維径は太くなる。また、メルトブロー法においては、例えばナノメッシュ層製造時に用いる紡糸液の吐出量によって調整できる。水溶性樹脂からなる紡糸液の吐出量の増加と共に繊維径は太くなる。
第1及び第2ナノメッシュ層の目付量は、特段限定されないが、導電性物質を密に形成させるため0.3g/m以上が好ましく、より好ましくは0.5g/m以上、特に好ましくは0.8g/m以上である。また、溶媒への十分な溶解性を得るため、通常3.0g/m以下であり、好ましくは2.8g/m以下であり、特に好ましくは2.5g/m以下である。また、ナノメッシュ層の目付量を上記範囲とすることで、積層体を被着体へ貼り付けた際の通気性を十分なものとすることができる。ナノメッシュ層の目付量は、エレクトロスピニング法においては、例えば印加電圧、紡糸時間により制御することができる。目付量を低減させたい場合は、印可電圧を低くする、および/または、紡糸時間を短くすることで制御できる。一方で、目付量を増加させたい場合は、印加電圧を高くする、および/または、紡糸時間を長くすることで制御できる。
第1及び第2ナノメッシュ層の厚さは、目的に応じて適宜設定すればよく、特段限定されないが、通常0.1μm以上、1μm以上であってよく、通常100μm以下、好ましくは80μm以下であってもよい。ナノメッシュ層の厚さを上記範囲とすることで、積層体を被着体へ貼り付ける際の密着強度を確保することができる。
第1ナノメッシュ層と第2ナノメッシュ層の厚さは、特に限定されないが、同一であってもよく、異なっていてもよい。第2ナノメッシュ層に対する第1ナノメッシュ層の厚さの比は、通常0.5~2、好ましくは1~2である。
その他、第1及び第2ナノメッシュ層を構成する成分として、可塑剤や増粘剤等が挙げられる。
可塑剤としては、例えば、グリセリン、ソルビトール、ポリエチレングリコール等の多価アルコール、あるいはこれらのアルキレンオキサイド付加物を配合することができる。水溶性樹脂に対する可塑剤として特に好ましくは、グリセリンである。可塑剤の添加量は、目的とする柔軟性および溶解性を得るために十分な量を添加すればよく、特に限定されないが、通常水溶性樹脂100重量部に対し、30重量部以下が好ましく、さらに好ましくは10~15重量部である。フィルム変形の許容度が小さい用途においては、可塑剤の添加量は、水溶性樹脂100重量部に対し、2重量部以下とすることが好ましい。
増粘剤としては、例えば、多糖類、グアーガム、タラガム、ローカストビーンガム等のガラクトマンナン類、キタンサンガム、低アシル型ジェランガム(以下「LAジェランガム」ともいう。)等のジェランガム、ウェランガム、ラムザンガム、ダイユータンガム等の発酵多糖類、デンプン、デキストリン等のグルコース類、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等のセ
ルロース誘導体、オウルラン等が挙げられるが、上記増粘性を有する限りこれら以外の増粘性多糖類も使用することができる。
第1及び第2ナノメッシュ層の製造方法としては、エレクトロスピニング法(電界紡糸法)、メルトブロー法、海島溶融紡糸法等が挙げられ、典型的にはエレクトロスピニング法によって作製される。
エレクトロスピニング法は、周知の手段によって行うことができ、例えば、特許文献1で用いられた方法によって行われる。
エレクトロスピニング法は、周知の手段によって行うことができ、一般的に、高分子材料を溶解した溶液(紡糸液)をシリンジに充填し、シリンジのノズルと導電性のコレクターとの間に高電圧を印加して、溶液をジェット状に飛散させ、飛散の過程で溶媒が揮発することで繊維をコレクターに堆積させる。
支持体上にナノメッシュ層を形成するために、支持体を導電性にしてそのままコレクターとして用いてもよいが、ノズルとコレクターとの間に支持体を置いてもよい。
メルトブロー法は一般的な不織布の製造方法であるが、ナノメッシュを製造するためには、ノズル径を小さくして、樹脂の吐出量を小さくし、製造する。
海島溶融紡糸法は、海ポリマー中に多数の島ポリマーを配置できる口金を用いて、島数が数十~数百の海島複合繊維を作製し、これから海ポリマーを溶剤で除去することで島ポリマーからなる極細繊維を得る方法である。
エレクトロスピニング法を行う条件は、特に限定されず、紡糸液の種類や得られる微細繊維の用途等に応じて適宜調整すればよい。一般的な条件としては、例えば、印加電圧は5~30kV、吐出速度は0.01~1.00mL/分、ノズルと基板の間の垂直距離は100~200mmとすることができ、ノズルは15~25Gの径のものを使用することができる。紡糸環境は、特段厳密に制御を行わなくてもよいが、相対湿度10~50RH%、温度を10~25℃とすることが好ましい。
エレクトロスピニング法に供する紡糸液に用いる溶媒としては、水溶性樹脂の良溶媒であることが好ましい。さらに増粘多糖類を加える場合には、水溶性樹脂の良溶媒であって且つ増粘性多糖類の貧溶媒である溶媒を用いることが好ましい。このような溶媒として水又はアルコール類が好ましい。このような溶媒を用いて水溶性樹脂を溶解させ増粘性多糖類を添加することで、増粘性多糖類が分散した水溶性樹脂の溶液を得ることができ、得られた分散液をエレクトロスピニング法で紡糸することで、水溶性樹脂の繊維中に増粘性多糖類が粒子状に存在する積層シートを得ることができる。
紡糸液中の水溶性樹脂の濃度は、使用する溶媒と水溶性樹脂の種類と平均分子量によって種々変更することができるが、通常5~20重量%程度である。水溶性樹脂の濃度が低すぎる場合にはノズル先端から液滴が飛散しても繊維が形成されず、濃度が高すぎる場合にはノズルから吐出した溶液がコレクターに到達するまでにジェット状に飛散せずノズルから溶液のままコレクターに到達してしまう、あるいはノズル先端で溶液が固化し溶液が吐出しないため、繊維シートが得られない。
紡糸液中の増粘性多糖類の添加量は、水溶性樹脂100重量部に対して好ましくは10~900重量部、より好ましくは20~600重量部、さらに好ましくは50~400重量部である。シートの目付量にもよるが、添加量が10部以下であると水を添加しても十分な増粘効果が得られず、900重量部以上であるとシートの骨格となる繊維が少ないため強度が低下し、ハンドリングが困難となる。
紡糸液には任意に導電剤や界面活性剤を含有させてもよい。これらの添加量は紡糸液に対して通常0.0001~5重量%である。導電剤や界面活性剤を添加することで繊維の形成性を向上させることができる。導電剤としては溶媒に可溶な塩が好ましく、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、アンモニウム塩などが挙げられる。また界面活性剤としてはアニオン性、カチオン性、ノニオン性、両性のものが挙げられるが、紡糸への影響が小さいことからノニオン性の界面活性剤が好ましい。
さらに、紡糸液には、パラフィンワックス、スクワラン、ワセリン等の炭化水素類、カルナウバロウ、ミツロウ等の天然ロウ類、パルミチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸イソプロピル、トリオクタン酸グリセリル等のエステル類、ステアリン酸、ベヘニン酸等の脂肪酸類、ラノリン誘導体類、アミノ酸誘導体類などの油脂類、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、アルキル変性オルガノポリシロキサン、アルコキシ変性オルガノポリシロキサン、高級脂肪酸変性オルガノポリシロキサン、フッ素変性オルガノポリシロキサン等のシリコーン化合物類、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン等のフッ素系油剤類、デキストリン脂肪酸エステル、蔗糖脂肪酸エステル、デンプン脂肪酸エステル、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム等の油性ゲル化剤類、ベンゾフェノン系、PABA系、パケイ皮酸系、サリチル酸系、酸化チタン、酸化セリウム等の紫外線防止剤、コラーゲンペプチド、シルクフィブロイン、ヒアルロン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、アルブチン、クエン酸、リン酸Lアスコルビン酸マグネシウム、ラクトフェリン、テトラヘキシルデカン酸アスコ
ルビル、アルブチン、ガンマオリザノール、ビタミンAアセテート、パンテノール、アラントイン、ベタイントリメチルグリシン等の美容成分、香料などを、エレクトロスピニング法による紡糸を阻害しない範囲で配合してもよい。
第1ナノメッシュ層と第2ナノメッシュ層の製造方法は同一であってよく、異なるものであってよい。異なる方法の場合、特に限定されないが、第1ナノメッシュ層は溶解性向上のため繊維径を細く制御し易いことからエレクトロスピニング法(電界紡糸法)が挙げられ、第2ナノメッシュ層は繊維径を太く制御し易いという観点からメルトブロー法、(海島)溶融紡糸法等を用いることができる。
<網目状基材>
網目状基材は、液体や蒸気を通過させ得る網目を有する基材であり、その開孔率は特に限定されないが、短時間での貼付けのためには水、アルコール水溶液、水蒸気、アルコール蒸気などの透過率を高くするため、開孔率が55%~80%が好ましい。
一方、ナノメッシュにより転写するパターンに正確さを求められる場合、例えば抵抗値を測定するような場合や、転写されるパターンに細かい部分がある場合、例えば転写されるパターンの一部に太さが2mm以下、特に1mm以下の幅しかないような部分がある場合には、パターンを正確に転写するため、貼り付け時にナノメッシュ積層体、特に導電性物質層にかかる圧力が分散し、ナノメッシュ積層体、特に導電性物質層へのダメージを抑制するため、基体のメッシュの開孔率は10%以上45%以下が好ましく、40%以下が
より好ましく、35%以下がさらに好ましい。
開孔率を低くすることで、網目状基材を液体の状態で通過するものより、水蒸気やアルコール蒸気のような気体で通過し、貼付面で結露し、貼り付け面側からナノメッシュ層を溶解し貼り付けるものが増えるため、より正確な転写が可能になると考えられる。
また、網目状基材の材質としては、一般的に用いられる熱可塑性樹脂が挙げられ、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリエステルなどが挙げられる。ナノメッシュ層の剥離の容易性の点から、疎水性が高いポリエチレン、ポリプロピレンが好ましい。また、柔軟性の点で好ましくはポリエチレンである。さらに、
強度の点からはポリプロピレンが好ましい。
網目状基材の厚さは、通常10μm以上、好ましくは50μm以上、より好ましくは100μm以上であり、通常500μm以下、好ましくは400μm以下、より好ましくは300μm以下である。網目状基材の厚さをこの範囲にすることで、ナノメッシュ層の支持が十分になり、かつ被着体への追随が容易になる。また、網目状基材は、液体を透過できればその網目の粗さは特段限定されないが、通常目開き50nm以上、好ましくは目開き100nm以上であり、また通常目開き20mm以下、好ましくは目開き10mm以下である。
網目状基材の弾性率は、通常0.5GPa以上、好ましくは0.8GPa以上、より好ましくは1.0GPa以上であり、通常8.0GPa以下、好ましくは6.0GPa以下、より好ましくは4.0GPa以下である。網目状基材の弾性率をこの範囲にすることで、ナノメッシュ層の支持が十分になり、かつ被着体への追随が容易になる。
なお、本実施形態において、網目状基材の弾性率は、応力-歪曲線の弾性変形領域から求めた弾性率を用いるものとする。
<導電性物質層>
導電性物質層は、導電性材料からなる。導電性材料は、導電性を有する限り特段限定されず、具体的には金、白金、銀、塩化銀、銅、チタン、パラジウム、クロム又はコバルト等の金属あるいはその合金、カーボン(炭素)等を用いることができ、導電性材料を透明にしたい場合にはITO(酸化インジウムスズ)を使用してもよい。これ以外の、酸化ニッケル、酸化スズ、酸化インジウム、インジウム-ジルコニウム酸化物(IZO)、酸化チタン、又は酸化亜鉛等の導電性金属酸化物を使用してもよい。ポリチオフェン誘導体にポリスチレンスルホン酸をドーピングしたPEDOT:PSSや、ポリチオフェン誘導体にパラトルエンスルホン酸をドーピングしたPEDOT:PTS、ポリピロール又はポリアニリン等にヨウ素等をドーピングした導電性高分子材料を用いてもよい。これらのうち、生体への適用を考慮すると、金、カーボン、チタン、PEDOT:PSS、およびPEDOT:PTSが好ましく、特に好ましくは金である。
導電性物質層の厚さは特段限定されないが、通常5nm以上であり、10nm以上であってよく、また通常2μm以下であり、1μm以下であってよく、500nm以下であってよい。上記ナノメッシュ層を溶解させ、被着体と貼付けた後に形成される水溶性樹脂皮膜の厚さと、導電性物質層の厚さと、の比は、通常1以上、好ましくは1.5以上、特に好ましくは2以上であり、通常10以下、好ましくは8以下、特に好ましくは5以下である。水溶性樹脂皮膜と導電性物質層の厚さの比を上記範囲とすることで、導電性物質層のネットワーク構造が形成され、水溶性樹脂皮膜上での抵抗を低抵抗化、かつ、均一にすることができる。貼付けた直後の抵抗値(以下、「初期抵抗値」とも称する)は、特に限定されないが、好ましくは150Ω以下であり、より好ましくは100Ω以下であり、特に好ましくは70Ω以下である。また、通常10Ω以上であり、好ましくは15Ω以上であり、より好ましくは20Ω以上である。
上記抵抗値は、連続的に形成した導電性物質層の面方向の2点間に対し、市販のテスターにより直流電圧測定方法によって測定することができる。
導電性物質層の形成方法は特に限定されず、ドライプロセス又は塗布法により形成される。ドライプロセスとしては、蒸着、スパッタリング、CVDなどが用いられる。このうち、蒸着により導電性物質層を形成することが最も簡単である。塗布法に特段の制限はないが、具体的には、ワイヤーバーコート法、ブレードコート法、ダイコート法、スリットダイコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、キスコート法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアナイフコート法、パイプドクター法、含浸・コート法
、カーテンコート法、フレキソ印刷、スクリーン印刷、インクジェット等が挙げられる。
本発明の第二の実施形態は、網目状基材、ナノメッシュ層、及び導電性物質層がこの順に積層されたナノメッシュ積層体であって、前記ナノメッシュ層は、網目状基材側の第1ナノメッシュ層と導電性物質層側の第2ナノメッシュ層からなり、前記第1ナノメッシュ層及び第2ナノメッシュ層は、異なる種類の水溶性樹脂繊維を主成分とし、繊維径が50nm以上1000nm以下である、ナノメッシュ積層体である。
本実施形態における第1及び第2ナノメッシュ層は、互いに異なる種類の水溶性樹脂繊維を主成分とする。ただし、「異なる種類」とは、ケン化度、平均重合度、組成のいずれかが異なれば足り、必ずしも組成が大きく異なることを要しない。水溶性樹脂繊維としては、第一の実施形態と同様のものが挙げられる。
第1及び第2ナノメッシュ層を構成する水溶性樹脂繊維のケン化度は、第一の実施形態と同様の範囲であってよいが、第1ナノメッシュ層のケン化度が第2ナノメッシュ層よりも大きいことが好ましい。
第1及び第2ナノメッシュ層を構成する水溶性樹脂繊維の平均重合度は、第一の実施形態と同様の範囲であってよいが、第1ナノメッシュ層の平均重合度が第2ナノメッシュ層よりも小さいことが好ましい。
第1及び第2ナノメッシュ層を構成する水溶性樹脂繊維の繊維径は、50nm以上が好ましく、より好ましくは100nm以上、さらに好ましくは200nm以上、特に好ましくは300nm以上である。また、通常1000nm以下であり、好ましくは900nm以下、より好ましくは800nm以下、さらに好ましくは600nm以下、特に好ましくは500nm以下である。かかる繊維径とすることで、積層体の耐久性が十分になり、また導電性物質層の密度が十分なものとしやすいため好ましい。
第1及び第2ナノメッシュ層の目付、厚さ及び製造方法は第一の実施形態と同様のものが挙げられる。また、網目状基材及び導電性物質層の好ましい態様も第一の実施形態と同様である。
本発明の第三の実施形態は、網目状基材、第1ナノメッシュ層、第2ナノメッシュ層、及び導電性物質層がこの順に積層されたナノメッシュ積層体であって、前記第1ナノメッシュ層及び第2ナノメッシュ層は、異なる種類の水溶性樹脂繊維を主成分とし、第2ナノメッシュ層の第1ナノメッシュ層に対する繊維径比が1.5以上である、ナノメッシュ積層体である。
本実施形態における第1及び第2ナノメッシュ層の主成分である水溶性樹脂繊維の種類、ケン化度、及び重合度は、第二の実施形態と同様のものを挙げることができる。一方、水溶性樹脂繊維の繊維径及びその比は、第一の実施形態と同様の範囲が好ましい。
第1及び第2ナノメッシュ層の目付、厚さ及び製造方法は第一の実施形態と同様のものが挙げられる。また、網目状基材及び導電性物質層の好ましい態様も第一の実施形態と同様である。
本発明の第四の実施形態は、網目状基材、ナノメッシュ層、及び導電性物質層がこの順に積層されたナノメッシュ積層体であって、前記ナノメッシュ層は、水溶性樹脂繊維を主成分とし、繊維径が200nm以上600nm以下であり、目付量が0.3g/m以上3.0g/m以下である、ナノメッシュ積層体である。
上記ナノメッシュ積層体は、網目状基材側を下にして被着体上に設置した後、霧吹きを用いて、また、水などを含ませた脱脂綿等の担持体を用いて水などを積層体に供給することで、毛管作用によりナノメッシュ層に素早く水などを浸透させることができる。ナノメッシュ層の繊維径を上記範囲とすることで、積層体の耐久性と溶解性を十分なものとすることができる。また、ナノメッシュ層の目付量を上記範囲とすることで、導電性物質層を形成する際に導電性物質がナノメッシュ層を通過しづらくなり、導電性物質層の密度が十分なものとなるため、導電性物質層同士が多くの接点を持ったネットワーク構造を形成しやすい。
図2に本発明の第四の実施形態に係るナノメッシュ積層体を被着体と貼付けた状態を示す断面模式図を示す。ナノメッシュ層は溶解した結果、水溶性樹脂皮膜11’となり、導電性物質層12と被着体13を結着する。図2には、水溶性樹脂皮膜11’の内部に導電性物質層12が封入されてなる態様が開示されているが、これに限定されず、水溶性樹脂皮膜11’の上部表面に導電性物質層12が存在してもよく、水溶性樹脂皮膜11’と被着体13との間に導電性物質層が存在してもよい。上記の通り、ナノメッシュ層が適度な繊維径及び目付量を有するため、貼付け後においても、導電性物質層のネットワーク構造が維持される。
ナノメッシュ層を構成する水溶性樹脂繊維は、第一の実施形態と同様のものが挙げられる。
ナノメッシュ層を構成する水溶性樹脂繊維の繊維径は、50nm以上が好ましく、より好ましくは100nm以上、さらに好ましくは200nm以上、特に好ましくは300nm以上である。また、通常1000nm以下であり、好ましくは900nm以下、より好ましくは800nm以下、さらに好ましくは600nm以下、特に好ましくは500nm以下である。かかる繊維径とすることで、積層体の耐久性が十分になり、また導電性物質層の密度が十分なものとしやすいため好ましい。
ナノメッシュ層の目付量は、導電性物質を密に形成させるため0.3g/m以上が好ましく、より好ましくは0.5g/m以上、特に好ましくは0.8g/m以上である。また、溶媒への十分な溶解性を得るため、通常3.0g/m以下であり、好ましくは2.8g/m以下であり、特に好ましくは2.5g/m以下である。また、ナノメッシュ層の目付量を上記範囲とすることで、積層体を被着体へ貼り付けた際の通気性を十分なものとすることができる。
ナノメッシュ層の厚さ及び製造方法は第一の実施形態と同様のものが挙げられる。また、網目状基材及び導電性物質層の好ましい態様も第一の実施形態と同様である。
第一乃至第四の実施形態における好ましい例では、ナノメッシュ層が生分解性樹脂であるPVA(ポリビニルアルコール)系樹脂からなり、導電性材料が金からなるため生体に好ましく適用され得るが、フレキシブルエレクトロニックデバイスとして適用できるものに用いられてもよい。生体に適用される場合、生体の温度、圧力、筋電などを測定するセンサーとして用いることができる。以下、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、第一乃至第四の実施形態に係るナノメッシュ積層体の一例を示す断面模式図である。
ナノメッシュ積層体100は、網目状基材10上に、ナノメッシュ層11(第1ナノメッシュ層及び第2ナノメッシュ層であってよい)並びに導電性物質層12が積層される。
網目状基材10は、ナノメッシュ層11並びに導電性物質層12が積層された積層体を支持する。網目状基材としては、上記説明したとおり、難溶性であり、網目から液体や蒸
気を透過できるものであれば特に限定されない。
網目状基材10は、多孔質フィルムなどの市販品を用いてもよく、既知の方法で製造してもよい。
本実施形態のナノメッシュ積層体を、網目状基材側を上にして皮膚などの対象物に貼付し、ナノメッシュ層に水やアルコールを接触させると、ナノメッシュ層の少なくとも一部が溶け、液体の乾燥と共に水溶性樹脂が接着剤として作用し、対象物に導電性物質層、即ち配線や導電回路を形成できる。第一乃至第三の実施形態においては、第1ナノメッシュ層が比較的早く溶解することで、第2ナノメッシュ層のうち溶解せずに残った部分と導電性物質層とを被着体に素早く結着することができる。また、第一、第三及び第四の実施形態においては、導電性物質層同士が多くの接点を持ったネットワーク構造を形成し、初期抵抗値を低く抑えることができる。
この時、水を使用してもよいが、水ではなくアルコール水溶液を用いることで、液体の乾燥速度が向上し、水溶性樹脂繊維の丸まりなどが起こりにくく、位置ずれが抑制されるため、好ましい。
アルコールは、水を含む液体の蒸発を加速し得るものが好ましく、エチルアルコール又はメチルアルコール、イソプロピルアルコールを含むことが好ましく、これらが混合されていてもよい。また水との混合割合は5:95-98:2の範囲で選択することができる。このうち好ましくはエタノールの割合が90%~50%であり、特に消毒用に使用されるアルコール(エチルアルコール70%以上、90%以下)が好ましい。また、界面活性剤等を含有することもできる。
また、本実施形態に係るナノメッシュ積層体に対して、霧吹きを用いて、また、水などを含ませた脱脂綿等の担持体を用いて水などを供給することができる。ナノメッシュ積層体と担持体を一体的に用いることによって、容易に人体に導電回路を形成できるため、例えば病気患者の各種パラメータを測定するためのセンサーを取り付けることが非常に容易となる。また、多くの患者に対して、安定して同じ回路を設けることができる。また、患者毎に形成された回路のバラツキが小さく、回路形成ミスを減少させることもできる。
また、ナノメッシュ積層体に水などの液体を供給する際に、被着体への密着性を向上させ、また、貼付け位置を固定する観点から、ナノメッシュ積層体の少なくとも一部を押圧してもよい。押圧する圧力、時間は特に限定されず、ナノメッシュ層の溶解速度、液体の供給方法、液体の組成、被着体などに応じて適宜調整できる。担持体を用いる場合は、担持体を積層体に押し当てることによって、液体を供給しつつ押圧してもよい。
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の範囲が実施例の記載により限定されないことはいうまでもない。まずは、本実施例で行なった測定・評価試験について説明する。
<ナノメッシュシート電極の溶解速度評価>
ナノメッシュシート電極の溶解速度は、ナノメッシュシートをガラスプレートに設置し、網目状基材層側から所定の秒数で水を供給することでガラスプレート上にナノメッシュ層が溶解した水溶性樹脂皮膜を介して導電性物質層を貼着し、乾燥後に網目状基材層を除去し、ガラスプレート上に導電性物質層が転写されたかどうかを判断し、溶解速度として評価した。
○:20秒の水供給時間でガラスプレート上に導電性物質層が転写可能であった
×:20秒の水供給時間でガラスプレート上への導電性物質層が転写困難であった
<ナノメッシュシート電極の耐久性評価>
ナノメッシュシート電極の耐久性評価サンプルの作成方法について説明する。まず、電
極として0.4cm×3cmの導電性物質を3本蒸着した約35mm×35mmのナノメッシュシート電極を準備する。次に、EVA(Ethylene-Vinyl Acetate)スポンジシート(厚さ2mm)上に人工皮膚(ビューラックス社製、厚さ100μm)を貼り付け、EVAスポンジシートの反対側の面に電極が接するようにナノメッシュシート電極を載置し、網目状基材層の上から医療用アルコール綿(エチルアルコール80%、水20%を含ませたアルコール綿)を1分間押し当て、網目状基材層を取り除くこ
とで人工皮膚へナノメッシュシート電極を形成した。
耐久性評価はトリニティーラボ社製静動摩擦測定機TL201Ttを用いて、摩擦摩耗試験前後の電極の抵抗について評価した。摩擦摩耗測定は、一定の荷重で測定用圧子を押し付けて摺動させる試験方法である。抵抗値は人工皮膚上の電極1本の両端に対し、HIOKI社製デジタルマルチメーターDT4282を用い、直流電圧測定方法により測定した。上記静動摩擦測定機を用いて、測定用圧子をウレタンボール(3/8インチ)、荷重負荷を50g、摺動速度20mm/秒の条件で、電極の長辺方向に垂直に所定回数往復摺動させ、各摺動試験後の抵抗値を評価した。
ナノメッシュシート電極の耐久性評価は、人工皮膚上に貼付けた直後の電極の両端間の抵抗を初期抵抗としたとき、初期抵抗の3倍以上となった場合の摺動回数によって判定した。摺動回数は3本の電極で評価した際の平均値とした。
◎:摺動回数2000回以上
○:摺動回数1000回以上
△:摺動回数200回以上
×:摺動回数200回未満
(実施例1)
〔網目状基材の準備〕
網目状基材(開孔率26%、角穴並列型網、ポリプロピレン製、厚さ240μm)をカトーテック社製ドラム型エレクトロスピニング装置のナノメッシュ形成部(ドラム上)に装着した。
〔ナノメッシュシートの製造〕
PVA(未変性、ケン化度88モル%、10重量%水溶液粘度860mPa・s)を純水に溶解させ、10重量%のPVA水溶液を作製し、紡糸液1とした。
上記で準備した網目状基材を設置したエレクトロスピニング装置に、かかる紡糸液1を4ml、シリンジ中に投入し、シリンジ先端のノンベベル針18G(テルモ社製)に電極を取り付けて、エレクトロスピニングにより繊維径260nm、目付量1.1g/mのナノメッシュ層1を作成し、ナノメッシュシート1を得た。エレクトロスピニング装置の設定は以下の通りである。
<ナノメッシュ層1の製造条件>
Target speed:5m/min
Traverse speed:10cm/min
シリンジ speed:0.10~0.15mm/min
電圧:15~20kV
成膜時間:30min
続いてPVA(未変性、ケン化度88モル%、15重量%水溶液粘度8600mPa・s)を純水に溶解させ、15重量%のPVA水溶液を作製し、紡糸液2とした。
上記で作成したナノメッシュシート1を設置したエレクトロスピニング装置に、かかる紡糸液2を4ml、シリンジ中に投入し、シリンジ先端のノンベベル針18G(テルモ社製)に電極を取り付けて、繊維径750nm、目付量1.2g/mのエレクトロスピニングによりナノメッシュ層2を製造し、ナノメッシュシート2を得た。エレクトロスピニング装置の設定は以下の通りである。
<ナノメッシュ層2の製造条件>
Target speed:5m/min
Traverse speed:10cm/min
シリンジ speed:0.15~0.22mm/min
電圧:15~20kV
成膜時間:10min
[ナノメッシュシート電極の作成および評価]
上記で製造したナノメッシュシート2上に、4mm×30mmの開口部を2.5mm間隔で3箇所設けたメタルマスクを載置した状態で、ULVAC社真空蒸着機EX-400により、前記開口部に厚さ100nmとなるように蒸着時間を調整し、金薄膜(導電層)を形成し、ナノメッシュシート電極を得た。その後、上述のナノメッシュシート電極の溶解速度評価、耐久性評価を行なった。結果を表1に示す。
(実施例2)
ナノメッシュ層2の繊維径を550nmとしたこと以外は実施例1と同様の方法によりナノメッシュシート電極を作成し、同様の評価を行なった。得られた結果を表1に示す。
(実施例3)
ナノメッシュ層1の繊維径を300nm、ナノメッシュ層2のPVA樹脂をPVA(アセトアセチル変性、変性度4.5mol、ケン化度92.0~94.0モル%、推定重合度1,700、4重量%水溶液粘度19~24mPa・s)とし、10重量%のPVA水溶液とし、繊維径を550nmとしたこと以外は実施例1と同様の方法によりナノメッシュシート電極を作成し、同様の評価を行なった。得られた結果を表1に示す。
(比較例1)
ナノメッシュ層1とナノメッシュ層2のPVA樹脂および製造条件を入れ替えたこと以外は実施例1と同様の方法によりナノメッシュシート電極を作成し、同様の評価を行なった。得られた結果を表1に示す。
(比較例2)
ナノメッシュ層2を繊維径300nm、シリンジ speed:0.15~0.22mm/min、成膜時間:10minとしたこと以外は実施例1と同様の方法によりナノメッシュシート電極を作成し、同様の評価を行なった。得られた結果を表1に示す。
(実施例4)
〔網目状基材の準備〕
網目状基材(開孔率26%、角穴並列型網、ポリプロピレン製、厚さ240μm)をカトーテック社製ドラム型エレクトロスピニング装置のナノメッシュ形成部(ドラム上)に装着した。
〔ナノメッシュシートの製造〕
PVA(未変性、ケン化度88モル%、10重量%水溶液粘度860mPa・s)を純水に溶解させ、10重量%のPVA水溶液を作製し、紡糸液3とした。
上記で準備した網目状基材を設置したエレクトロスピニング装置に、かかる紡糸液3を4ml、シリンジ中に投入し、シリンジ先端のノンベベル針18G(テルモ社製)に電極を取り付けて、エレクトロスピニングにより繊維径240nm、目付量2.2g/mのナノメッシュ層を作成し、ナノメッシュシートを得た。エレクトロスピニング装置の設定は以下の通りである。
<ナノメッシュ層の製造条件>
Target speed:5m/min
Traverse speed:10cm/min
シリンジ speed:0.10~0.15mm/min
電圧:15~20kV
成膜時間:60min
[ナノメッシュシート電極の作成および評価]
上記で製造したナノメッシュシート上に、4mm×30mmの開口部を2.5mm間隔で3箇所設けたメタルマスクを載置した状態で、ULVAC社真空蒸着機EX-400により、前記開口部に厚さ100nmとなるように蒸着時間を調整し、金薄膜(導電層)を形成し、ナノメッシュシート電極を得た。その後、上述のナノメッシュシート電極の溶解速度評価、耐久性評価を行なった。結果を表2に示す。
(実施例5)
成膜時間を15分、ナノメッシュ層の繊維径を550nm、目付量0.6g/mとしたこと以外は実施例4と同様の方法によりナノメッシュシート電極を作成し、同様の評価を行なった。得られた結果を表2に示す。
(比較例3)
シリンジ speedを0.03~0.08mm/min、ナノメッシュ層の繊維径を140nmとしたこと以外は実施例4と同様の方法によりナノメッシュシート電極を作成し、同様の評価を行なった。得られた結果を表2に示す。
(比較例4)
成膜時間を7分、目付量0.2g/mとしたこと以外は実施例4と同様の方法によりナノメッシュシート電極を作成し、同様の評価を行なった。得られた結果を表2に示す。
(比較例5)
シリンジ speedを0.15~0.22mm/min、成膜時間を15分、ナノメッシュ層の繊維径を750nm、目付量1.9g/mとしたこと以外は実施例4と同様の方法によりナノメッシュシート電極を作成し、同様の評価を行なった。得られた結果を表2に示す。
Figure 2022087612000002
Figure 2022087612000003
100ナノメッシュ積層体
10 網目状基材
11 ナノメッシュ層
11’水溶性樹脂皮膜
12 導電性物質層
13 被着体

Claims (11)

  1. 網目状基材、ナノメッシュ層、及び導電性物質層がこの順に積層されたナノメッシュ積層体であって、
    前記ナノメッシュ層は、網目状基材側の第1ナノメッシュ層と導電性物質層側の第2ナノメッシュ層からなり、第1ナノメッシュ層及び第2ナノメッシュ層は、同一の水溶性樹脂繊維を主成分とし、第2ナノメッシュ層の第1ナノメッシュ層に対する繊維径比が1.5以上である、ナノメッシュ積層体。
  2. 網目状基材、ナノメッシュ層、及び導電性物質層がこの順に積層されたナノメッシュ積層体であって、
    前記ナノメッシュ層は、網目状基材側の第1ナノメッシュ層と導電性物質層側の第2ナノメッシュ層からなり、第1ナノメッシュ層及び第2ナノメッシュ層は、異なる種類の水溶性樹脂繊維を主成分とし、繊維径が50nm以上1000nm以下である、ナノメッシュ積層体。
  3. 網目状基材、ナノメッシュ層、及び導電性物質層がこの順に積層されたナノメッシュ積層体であって、
    前記ナノメッシュ層は、網目状基材側の第1ナノメッシュ層と導電性物質層側の第2ナノメッシュ層からなり、第1ナノメッシュ層及び第2ナノメッシュ層は、異なる種類の水溶性樹脂繊維を主成分とし、第2ナノメッシュ層の第1ナノメッシュ層に対する繊維径比が1.5以上である、ナノメッシュ積層体。
  4. 網目状基材、ナノメッシュ層、及び導電性物質層がこの順に積層されたナノメッシュ積層体であって、
    前記ナノメッシュ層は、水溶性樹脂繊維を主成分とし、繊維径が200nm以上600nm以下であり、目付量が0.3g/m以上3.0g/m以下である、ナノメッシュ積層体。
  5. 前記水溶性樹脂繊維は、平均重合度が200以上3000以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載のナノメッシュ積層体。
  6. 前記水溶性樹脂繊維がポリビニルアルコール系樹脂を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のナノメッシュ積層体。
  7. 前記ポリビニルアルコール系樹脂は、ケン化度が70モル%以上100モル%以下である、請求項6に記載のナノメッシュ積層体。
  8. 前記導電性物質層が金を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載のナノメッシュ積層体。
  9. 前記網目状基材は、弾性率が0.5GPa以上8.0GPa以下である、請求項1~8のいずれか1項に記載のナノメッシュ積層体。
  10. 前記ナノメッシュ層は、目付量が0.3g/m以上3.0g/m以下である、請求項1~9のいずれか1項に記載のナノメッシュ積層体。
  11. 前記ナノメッシュ層を溶解させ、被着体と貼付けた後に形成される水溶性樹脂皮膜の厚さと、前記導電性物質層の厚さと、の比が、1以上10以下である、請求項1~10のいずれか1項に記載のナノメッシュ積層体。
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