JP2022087006A - 前処理液組成物及び印刷方法 - Google Patents

前処理液組成物及び印刷方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高いラミネート強度及び優れた分散安定性が得られ、色滲みが少ない高画質な画像を形成できる前処理液組成物の提供。【解決手段】樹脂粒子、水溶性金属塩、及び水を含む前処理液組成物であって、前記樹脂粒子が、芳香族含有ポリエステルポリオールに由来する構造を有する、ノニオン性の樹脂粒子であり、前記樹脂粒子のガラス転移温度が-30℃以上10℃以下である前処理液組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、前処理液組成物及び印刷方法に関する。
従来より、インクジェットプリンターは低騒音、低ランニングコスト、カラー印刷が容易であるなどの利点を有するので、デジタル信号の出力機器として一般家庭に広く普及している。近年では、家庭用のみならず、例えば食品、飲料、日用品などの包装材料にインクジェットで作像する技術が発展してきている。
前記インクジェットプリンターの用途の多様化に伴い、印刷する基材も多様化しており、例えば、プラスチックフィルムの様な非浸透性基材に印刷されることもある。包装材料においては、プラスチックフィルムに画像を印刷した後、印刷層の上からラミネート加工されることが多い。前記非浸透性基材への印刷では、基材上の液体が基材に浸透せず乾燥し難いことで、インク滴が過剰に広がって色滲みの様な画像品質の低下に繋がることがある。
密着性、色滲み、色ムラ等が無く画像品質等に優れた印刷部を得ることができる前処理液組成物に関して、樹脂粒子と、界面活性剤と、多価金属塩及びカチオン性高分子化合物のいずれかを含む凝集剤と、水と、を含む前処理液組成物が提案されている(例えば、特許文献1参照)。前記樹脂粒子は、水媒体中に安定して分散させるために、イオン性基による電荷反発型樹脂粒子が汎用的に用いられる。
また、電荷反発ではなく立体反発により水媒体中に安定して分散させ、多価金属塩の様な凝集剤存在下での分散安定性を確保するために、ノニオン性の親水性部位を含有する樹脂粒子を含む前処理液組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
また、コート紙や板紙のような低吸収性の記録媒体において、前処理液組成物による層とインク層との相溶性が増し、密着性が向上することで耐摩擦性が向上する前処理液組成物とインクとのセットに関して、前処理液組成物とインクとが特定のノニオン性の樹脂粒子を共通に含む、前処理液組成物とインクとのセットが提案されている(例えば、特許文献3参照)。
また、プラスチックフィルム等の非吸収性メディアにインクジェット記録用インク組成物で画像や文字等を印刷して印刷層を形成する際に、色滲みや色ムラを抑えることができ、保存安定性、密着性、耐水性及びラミネート性に優れた印刷層を形成し得る水性プライマーが提案されている(例えば、特許文献4参照)。
本発明は、高いラミネート強度及び優れた分散安定性が得られ、色滲みの少ない高画質な画像を形成できる前処理液組成物を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の前処理液組成物は、樹脂粒子、水溶性金属塩、及び水を含む前処理液組成物であって、前記樹脂粒子が、芳香族含有ポリエステルポリオールに由来する構造を有する、ノニオン性の樹脂粒子であり、前記樹脂粒子のガラス転移温度が-30℃以上10℃以下であることを特徴とする。
本発明によると、高いラミネート強度及び優れた分散安定性が得られ、色滲みの少ない高画質な画像を形成できる前処理液組成物を提供することができる。
(前処理液組成物)
本発明の前処理液組成物は、樹脂粒子、水溶性金属塩、及び水を含む前処理液組成物であって、前記樹脂粒子が、芳香族含有ポリエステルポリオールに由来する構造を有する、ノニオン性の樹脂粒子であり、前記樹脂粒子のガラス転移温度が-30℃以上10℃以下であることを特徴とする。
特許文献1に記載の前処理液組成物では、多価金属塩の様な凝集剤存在下では、電荷反発型樹脂粒子は十分な分散安定性を確保できないという問題がある。
また、特許文献2及び3に記載の前処理液組成物では、樹脂粒子がノニオン性であるが、芳香族含有ポリエステルポリオールに由来する構造を有しないため、前処理層の強度が弱くラミネート強度に劣るという問題がある。また、特許文献2に記載の前処理液組成物に含まれる樹脂粒子は、長鎖であるノニオン性親水基を有するため分子量が大きくなり、構造的に自由度が高いため、ラミネート強度に劣るという問題がある。
また、特許文献4に記載の水性プライマーでは、水溶性の多価金属塩及びポリエステル系ポリウレタンエマルションを含むが、ガラス転移温度については言及しておらずラミネート強度に劣るという問題がある。
そこで、本発明者らが鋭意検討したところ、本発明の前処理液組成物において、ノニオン性の親水性部位を含有することで、立体反発を利用し分散させたノニオン性の樹脂粒子を用いることができ、イオン性基による静電反発ではなく、ノニオン性基による立体反発を主とした樹脂粒子とすることにより、凝集剤としての水溶性金属塩の存在下においても分散安定性を確保することができることを知見した。
これにより、前処理層の強度が向上し、またインクや接着剤成分に含まれる溶剤による前処理層の膨潤を抑制することができ、優れたラミネート強度を得ることができる。
一方で、立体反発を付与出来るようなノニオン性基を有するノニオン性の樹脂粒子を用いた場合、ラミネート強度に劣る場合があることも知見した。この理由は定かではないが、水媒体中に広がり立体反発を付与するために分子の自由度が大きく構造的にも大きな部位を有することで、前処理液組成物を乾燥させて前処理層を形成した際、分子の自由度が大きく構造的にも大きな部位が存在することで前処理層の強度が低下し、ラミネート強度の低下に繋がると考えられる。また、前処理層上にインクを付与した際、インク中の溶剤によって前処理層が膨潤することでも前処理層の強度が低下し、ラミネート強度の低下に繋がると考えられる。また、ラミネート加工時に塗布される接着剤成分としても溶剤が用いられる場合があり、接着剤成分中の溶剤による前処理層の膨潤によっても前処理層の強度が低下し、ラミネート強度の低下に繋がると考えられる。
本発明における前処理液組成物は、ノニオン性の樹脂粒子、水溶性金属塩、及び水を含有し、必要に応じてその他の成分を含有することができる。
<ノニオン性の樹脂粒子>
前記ノニオン性の樹脂粒子としては、例えば、ポリオレフィン樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ウレタン樹脂、スチレンブタジエン樹脂、及びこれらの樹脂の共重合体などが挙げられ、これらの中でも基材密着性及びラミネート強度に優れる前処理層を形成することができる点から、ウレタン樹脂が好ましい。これらの樹脂は単独で使用しても良く、2種類以上を併用しても良い。
前記ノニオン性の樹脂粒子としては、芳香族含有ポリエステルポリオールに由来する構造を有するノニオン性の樹脂粒子である。
前記ノニオン性の樹脂粒子が、ノニオン性の親水性部位を含有することで、立体反発を利用して分散し、イオン性基による静電反発ではなく、ノニオン性基による立体反発を主とした樹脂粒子とすることができる。これにより、凝集剤としての水溶性金属塩の存在下においても分散安定性を確保することができる。イオン性基とノニオン性基を併用することもできるが、イオン性基による静電反発ではなくノニオン性基による立体反発を主とした樹脂粒子とすることから、本発明における樹脂粒子は、ゼータ電位の絶対値が10mV以下であることが好ましく、5mV以下であることがより好ましい。
立体反発を付与出来るようなノニオン性基を用いた場合、ラミネート強度に劣る場合がある。理由は定かではないが、水媒体中に広がり立体反発を付与するために分子の自由度が大きく構造的にも大きな部位を有することで、前処理液組成物を乾燥させて前処理層を形成した際、分子の自由度が大きく構造的にも大きな部位が存在することで、前処理層の強度が低下し、ラミネート強度の低下に繋がると考えられる。
前記ノニオン性の樹脂粒子のガラス転移温度としては、-30℃以上10℃以下である。前記ガラス転移温度が-30℃以上10℃以下であることにより、基材密着性や溶剤による膨潤抑制を良好な前処理層とすることができ、より優れたラミネート強度を発現することができる。
前記ノニオン性のウレタン樹脂粒子は、少なくともポリマーポリオール、ノニオン性基含有多価アルコール、多価イソシアネート、多価アミンを反応させて得ることができる。
前記ノニオン性の樹脂粒子の製造方法としては、従来一般的に用いられている方法を用いることができ、例えば、無溶剤下または有機溶剤存在下で、ポリマーポリオール、ノニオン性基を有する多価アルコールと多価イソシアネート(D)を反応させてイソシアネート末端ウレタンプレポリマーを製造し、次いで、水を入れて分散させ、さらに末端に残ったイソシアネートと多価アミンと反応さて鎖伸長反応を行い、最後に必要に応じて系内の有機溶剤を除去することによって得ることができる。
反応時の水酸基に対するイソシアネートの比率は、1.1以上1.7以下であることが好ましく、1.2以上1.5以下であることがより好ましい。前記イソシアネートの比率は、1.1以上1.7以下とすることにより、優れた耐溶剤性を有する樹脂粒子を得ることができる。
前記ポリマーポリオールとしては、芳香族含有ポリエステルポリオールを含有する。前記ポリマーポリオール部分に芳香族構造を含有させることにより、水中に分散させるために自由度が大きく構造的にも大きな官能基存在下においても、前処理層の強度を向上させることができる。
前記ポリマーポリオールの分子量としては、1,000以上3,000以下であることが好ましく、1,000以上2,000以下であることがより好ましい。前記分子量を1,000以上3,000以下とすることで、優れた耐溶剤性を有する樹脂粒子を得ることができ、前処理層上にインクを付与したとき、インク中の溶剤による樹脂の膨潤、前処理層の強度低下を抑制し、優れたラミネート強度を得ることができる。
前記ノニオン性の樹脂粒子が、前記芳香族含有ポリエステルポリオールに由来する構造を有するか否かは、以下のようにして確認することができる。
まず、前記ノニオン性の樹脂粒子を乾燥させて樹脂膜を得る。得られた前記樹脂膜に対して、FT-IR測定(Nicolet6700、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製)を行い、カルボキシル基由来のピークが検出されたか否か、且つ、熱分解温度400度での熱分解ガスクロマトグラフ質量分析(JMS-Q1000GC2、日本電子社製)を行い、芳香族環を有する多価カルボン酸化合物、芳香族環を有する多価アルコール化合物などに由来するピークが検出されたか否かによって確認することができる。
前記ウレタン樹脂粒子としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、1,8-オクタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの炭素数2~15の多価アルコール類などの短鎖多価アルコール類を含有しても良い。
前記多価イソシアネートとしては、例えば、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート(TDI)、2,6-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、2,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナトビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジイソシアナトジフェニルメタン、1,5-ナフチレンジイソシアネート、4,4‘4’‘-とリフェニルメタントリイソシアネート、m-イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート、p-イソシアナトフェニルスルホニルイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート化合物;エチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ドデカメチレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、2,6-ジイソシアナトメチルカプロエート、ビス(2-イソシアナトエチル)フマレート、ビス(2-イソシアナトエチル)カーボネート、2-イソシアナトエチル-2,6-ジイソシアナトヘキサノエート等の脂肪族ポリイソシアネート化合物;イソホロンジイソシアネート(IPDI)、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI)、シクロヘキシレンジイソシアネート、メチルシクロヘキシレンジイソシアネート(水素添加TDI)、ビス(2-イソシアナトエチル)-4-ジクロヘキセン-1,2-ジカルボキシレート、2,5-ノルボルナンジイソシアネート、2,6-ノルボルナンジイソシアネーネート等の脂環式ポリシアネート化合物等が挙げられ、これらは単独で使用または2種類以上を併用して使用することができる。
これらの中でも、脂肪族ポリイソシアネート、脂環式ポリイソシアネートが好ましく、脂環式ポリイソシアネートがより好ましく、イソホロンジイソシアネート、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートが特に好ましい。
前記多価アミンとしては、例えば、エチレンジアミン、1,2-プロパンジアミン、1,6-ヘキサメチレンジアミン、ピペラジン、2,5-ジメチルピペラジン、イソホロンジアミン、4,4’-ジシクロヘキシルメタンジアミン、1,4-シクロヘキサンジアミン等のジアミン類、ジエチレントリアミン、ジプロピレントリアミン、トリエチレンテトラミン等のポリアミン類、ヒドラジン、N,N’-ジメチルヒドラジン、1,6-ヘキサメチレンビスヒドラジン等のヒドラジン類、コハク酸ジヒドラジッド、アジピン酸ジヒドラジド、グルタル酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のジヒドラジド類などが挙げられる。これらの中でも特に3官能アミンを用いることが好ましい。
立体反発を付与するノニオン性親水基構造としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどに由来する構造が好ましく、ポリエチレングリコールに由来する構造がより好ましい。
前記ノニオン性の樹脂粒子が、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどに由来する構造を有するかどうかは、例えば、ノニオン性の樹脂粒子を乾燥させて得た樹脂膜に対して、熱分解温度400度での熱分解ガスクロマトグラフ質量分析(JMS-Q1000GC2、日本電子社製)を行い、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどに由来するピークが検出されか否かによって確認することができる。
前記前処理液組成物に対する、前記ノニオン性の樹脂粒子の含有量として、5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、7質量%以上25質量%以下であることがより好ましく、10質量%以上20質量%以下であることが特に好ましい。前記含有量が5質量%以上30質量%以下であることで、濡れ性や密着性に優れ、また形成される前処理層の透明性に優れたものとすることができる。
<水溶性金属塩>
前記水溶性金属塩としては、凝集剤として用いることができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、カラーブリード、滲み、発色性の点でより優れた画像を形成することができる点から、多価金属塩であることがより好ましい。
前記水溶性金属塩としては、例えば、チタン塩、クロム塩、銅塩、コバルト塩、ストロンチウム塩、バリウム塩、鉄塩、アルミニウム塩、カルシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、ニッケル塩、及びマグネシウム塩等が挙げられる。具体例としては、炭酸カルシウム、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硫酸カルシウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウム、塩化ニッケル、硫酸バリウム、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、乳酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硫酸鉄(III)、硫酸カリウムアルミニウム、カリウム鉄ミョウバン、アンモニウム鉄ミョウバンなどが挙げられる。
前記金属塩は、インク中の色材の分散を不安定化させて、凝集させる機能を有しており、インクが着滴した後にインク中の色材を速やかに凝集させ、カラーブリード、滲みを抑制するとともに、発色性に優れた画像を形成することができる。
<有機溶剤>
前記有機溶剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶性有機溶剤を用いることができる。
前記水溶性有機溶剤としては、例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エチル-1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物等が挙げられる。
前記炭素数8以上のポリオール化合物としては、例えば、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールなどが挙げられる。
前記グリコールエーテル化合物としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
前記前処理液組成物に対する、前記有機溶剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、5質量%以上60質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましく、10質量%以上25質量%以下が特に好ましい。
前記有機溶剤は、必要に応じて単独で用いても良く2種類以上を併用しても良い。
<界面活性剤>
前記界面活性剤としては、例えば、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤などが挙げられる。
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられる。これらの中でも、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基が、水系界面活性剤として良好な性質を示す点で好ましい。
前記シリコーン系界面活性剤としては、例えば、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)等が挙げられる。
前記両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
前記ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
前記アニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S-1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
Figure 2022087006000001
[一般式(S-1)]
(ただし、一般式(S-1)式中、m、n、a、及びbは整数を表わす。R及びR’はアルキル基、アルキレン基を表わす。)
前記一般式(S-1)式における、m及びnは、1以上10以下の整数が好ましく、a及びbは、1以上30以下の整数が好ましい。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF-618、KF-642、KF-643(信越化学工業株式会社)、EMALEX-SS-5602、SS-1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ-2105、FZ-2118、FZ-2154、FZ-2161、FZ-2162、FZ-2163、FZ-2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK-33、BYK-387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、フッ素置換した炭素数が2~16の化合物が好ましく、フッ素置換した炭素数が4~16である化合物がより好ましい。
前記フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F-1)及び一般式(F-2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
Figure 2022087006000002


[一般式(F-1)]
上記一般式(F-1)で表される化合物において、水溶性を付与するためにmは0~10の整数が好ましく、nは0~40の整数が好ましい。
[一般式(F-2)]
2n+1-CHCH(OH)CH-O-(CHCHO)-Y
上記一般式(F-2)で表される化合物において、YはH、又はC2n+1でnは1~6の整数、又はCHCH(OH)CH-C2n+1でnは4~6の整数、又はC2p+1でpは1~19の整数である。aは4~14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。
前記市販品としては、例えば、サーフロンS-111、S-112、S-113、S-121、S-131、S-132、S-141、S-145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC-93、FC-95、FC-98、FC-129、FC-135、FC-170C、FC-430、FC-431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF-470、F-1405、F-474(いずれも、DIC株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN-100、FSN、FSO-100、FSO、FS-300、UR(いずれも、DuPont社製);FT-110、FT-250、FT-251、FT-400S、FT-150、FT-400SW(いずれも、株式会社ネオス製)、ポリフォックスPF-136A,PF-156A、PF-151N、PF-154、PF-159(オムノバ社製)、ユニダインDSN-403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、DuPont社製のFS-300、株式会社ネオス製のFT-110、FT-250、FT-251、FT-400S、FT-150、FT-400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF-151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN-403Nが特に好ましい。
前処理液組成物に対する、界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
<消泡剤>
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<防腐防黴剤>
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンなどが挙げられる。
<防錆剤>
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
<pH調整剤>
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
前処理液組成物を基材上に付与する方法としては、特に制限はなく、公知のあらゆる方法を用いることができ、例えば、インクジェット法、ブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本ロールコート法、5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法などが挙げられる。
前処理液組成物の付与量としては、1g/m以上6g/m以下であることが好ましい。前記付与量が、1g/m以上6g/m以下であることで、密着性、ラミネート強度やヘイズに優れ、また滲みを抑制した高品質な画像を得ることができる。
<インク>
本発明の前処理液組成物と組み合わせて用いるインクに付いて説明する。
前記インクは、水、色材、有機溶剤、樹脂粒子を含有することが好ましい。
<有機溶剤>
インクに使用する有機溶剤としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、水溶性有機溶剤を用いることができる。例えば、多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類や多価アルコールアリールエーテル類などのエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類が挙げられる。
水溶性有機溶剤の具体例としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、2,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,3-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,5-ヘキサンジオール、グリセリン、1,2,6-ヘキサントリオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、エチル-1,2,4-ブタントリオール、1,2,3-ブタントリオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、ペトリオール等の多価アルコール類、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類、2-ピロリドン、N-メチル-2-ピロリドン、N-ヒドロキシエチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、ε-カプロラクタム、γ-ブチロラクトン等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール等の含硫黄化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン等が挙げられる。
湿潤剤として機能するだけでなく、良好な乾燥性を得られることから、沸点が250℃以下の有機溶剤を用いることが好ましい。
炭素数8以上のポリオール化合物、及びグリコールエーテル化合物も好適に使用される。炭素数8以上のポリオール化合物の具体例としては、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールなどが挙げられる。
グリコールエーテル化合物の具体例としては、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等の多価アルコールアルキルエーテル類;エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル等の多価アルコールアリールエーテル類などが挙げられる。
有機溶剤のインク中における含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<水>
インクにおける水の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、インクの乾燥性及び吐出信頼性の点から、10質量%以上90質量%以下が好ましく、20質量%以上60質量%以下がより好ましい。
<色材>
色材としては特に限定されず、顔料、染料を使用可能である。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができる。これらは、1種単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。また、混晶を使用しても良い。
顔料としては、例えば、ブラック顔料、イエロー顔料、マゼンダ顔料、シアン顔料、白色顔料、緑色顔料、橙色顔料、金色や銀色などの光沢色顔料やメタリック顔料などを用いることができる。
無機顔料として、酸化チタン、酸化鉄、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、バリウムイエロー、カドミウムレッド、クロムイエローに加え、コンタクト法、ファーネス法、サーマル法などの公知の方法によって製造されたカーボンブラックを使用することができる。
また、有機顔料としては、アゾ顔料、多環式顔料(例えば、フタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、インジゴ顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフラロン顔料など)、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレートなど)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラックなどを使用できる。これらの顔料のうち、溶媒と親和性の良いものが好ましく用いられる。その他、樹脂中空粒子、無機中空粒子の使用も可能である。
顔料の具体例として、黒色用としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、または銅、鉄(C.I.ピグメントブラック11)、酸化チタン等の金属類、アニリンブラック(C.I.ピグメントブラック1)等の有機顔料があげられる。
さらに、カラー用としては、C.I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、17、24、34、35、37、42(黄色酸化鉄)、53、55、74、81、83、95、97、98、100、101、104、108、109、110、117、120、138、150、153、155、180、185、213、C.I.ピグメントオレンジ5、13、16、17、36、43、51、C.I.ピグメントレッド1、2、3、5、17、22、23、31、38、48:2(パーマネントレッド2B(Ca))、48:3、48:4、49:1、52:2、53:1、57:1(ブリリアントカーミン6B)、60:1、63:1、63:2、64:1、81、83、88、101(べんがら)、104、105、106、108(カドミウムレッド)、112、114、122(キナクリドンマゼンタ)、123、146、149、166、168、170、172、177、178、179、184、185、190、193、202、207、208、209、213、219、224、254、264、C.I.ピグメントバイオレット1(ローダミンレーキ)、3、5:1、16、19、23、38、C.I.ピグメントブルー1、2、15(フタロシアニンブルー)、15:1、15:2、15:3、15:4(フタロシアニンブルー)、16、17:1、56、60、63、C.I.ピグメントグリーン1、4、7、8、10、17、18、36等がある。
染料としては、特に限定されることなく、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー 17,23,42,44,79,142、C.I.アシッドレッド 52,80,82,249,254,289、C.I.アシッドブルー 9,45,249、C.I.アシッドブラック 1,2,24,94、C.I.フードブラック 1,2、C.I.ダイレクトイエロー 1,12,24,33,50,55,58,86,132,142,144,173、C.I.ダイレクトレッド 1,4,9,80,81,225,227、C.I.ダイレクトブルー 1,2,15,71,86,87,98,165,199,202、C.I.ダイレクドブラック 19,38,51,71,154,168,171,195、C.I.リアクティブレッド 14,32,55,79,249、C.I.リアクティブブラック 3,4,35が挙げられる。
インク中の色材の含有量は、画像濃度の向上、良好な定着性や吐出安定性の点から、0.1質量%以上20質量%以下が好ましく、より好ましくは1質量%以上15質量%以下である。
顔料をインク中に分散させるには、顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法、顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法、分散剤を用いて分散させる方法、などが挙げられる。
顔料に親水性官能基を導入して自己分散性顔料とする方法としては、例えば、顔料(例えばカーボン)にスルホン基やカルボキシル基等の官能基を付加し水中に分散可能とした自己分散性顔料等が使用できる。
顔料の表面を樹脂で被覆して分散させる方法としては、顔料をマイクロカプセルに包含させ、水中に分散可能なものを用いることができる。これは、樹脂被覆顔料と言い換えることができる。この場合、インクに配合される顔料はすべて樹脂に被覆されている必要はなく、本発明の効果が損なわれない範囲において、被覆されない顔料や、部分的に被覆された顔料がインク中に分散していてもよい。
分散剤を用いて分散させる方法としては、界面活性剤に代表される、公知の低分子型の分散剤、高分子型の分散剤を用いて分散する方法が挙げられる。
分散剤としては、顔料に応じて例えば、アニオン性界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等を使用することが可能である。
竹本油脂社製RT-100(ノニオン性界面活性剤)や、ナフタレンスルホン酸Naホルマリン縮合物も、分散剤として好適に使用できる。
分散剤は、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
<顔料分散体>
色材に、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを得ることが可能である。また、顔料と、その他水や分散剤などを混合して顔料分散体としたものに、水や有機溶剤などの材料を混合してインクを製造することも可能である。
前記顔料分散体は、水、顔料、顔料分散剤、必要に応じてその他の成分を分散し、粒径を調整して得られる。分散は分散機を用いると良い。
顔料分散体における顔料の粒径については特に制限はないが、顔料の分散安定性が良好となり、吐出安定性、画像濃度などの画像品質も高くなる点から、最大個数換算で最大頻度が、20nm以上500nm以下が好ましく、20nm以上150nm以下がより好ましい。顔料の粒径は、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
前記顔料分散体における顔料の含有量は、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な吐出安定性が得られ、また、画像濃度を高める点から、0.1質量%以上50質量%以下が好ましく、0.1質量%以上30質量%以下がより好ましい。
前記顔料分散体は、必要に応じて、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、脱気することが好ましい。
<樹脂>
インク中に含有する樹脂の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、スチレン系樹脂、ブタジエン系樹脂、スチレン-ブタジエン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、アクリルスチレン系樹脂、アクリルシリコーン系樹脂などが挙げられる。
これらの樹脂からなる樹脂粒子を用いても良い。樹脂粒子を、水を分散媒として分散した樹脂エマルションの状態で、色材や有機溶剤などの材料と混合してインクを得ることが可能である。前記樹脂粒子としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。また、これらは、1種を単独で用いても、2種類以上の樹脂粒子を組み合わせて用いてもよい。
樹脂粒子の体積平均粒径としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、良好な定着性、高い画像濃度を得る点から、10nm以上1,000nm以下が好ましく、10nm以上200nm以下がより好ましく、10nm以上100nm以下が特に好ましい。
前記体積平均粒径は、例えば、粒度分析装置(ナノトラック Wave-UT151、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて測定することができる。
樹脂の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、定着性、インクの保存安定性の点から、インク全量に対して、1質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。
樹脂粒子は、ガラス転移温度が30℃以上100℃以下であることが好ましく、40℃以上80℃以下であることがより好ましい。
これにより、更にブロッキング抑制や耐擦過性等に優れた画像を形成することができる。
インクは、必要に応じて、界面活性剤、消泡剤、防腐防黴剤、防錆剤、pH調整剤等を加えても良い。
<界面活性剤>
界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤のいずれも使用可能である。
シリコーン系界面活性剤には特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができる。中でも高pHでも分解しないものが好ましく、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサン等が挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが、水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。また、前記シリコーン系界面活性剤として、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤を用いることもでき、例えば、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルシロキサンのSi部側鎖に導入した化合物等が挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物が、起泡性が小さいので特に好ましい。前記パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩等が挙げられる。前記パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩等が挙げられる。これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルアミノプロピオン酸塩、ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタインなどが挙げられる。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンプロピレンブロックポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、アセチレンアルコールのエチレンオキサイド付加物などが挙げられる。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、ドデシルベンゼンスルホン酸塩、ラウリル酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルサルフェートの塩などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
前記シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤が水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
このような界面活性剤としては、適宜合成したものを使用してもよいし、市販品を使用してもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー株式会社、信越化学工業株式会社、東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社、日本エマルジョン株式会社、共栄社化学などから入手できる。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、一般式(S-1)式で表わされる、ポリアルキレンオキシド構造をジメチルポリシロキサンのSi部側鎖に導入したものなどが挙げられる。
Figure 2022087006000003
一般式(S-1)
(但し、一般式(S-1)式中、m、n、a、及びbは整数を表わす。R及びR’はアルキル基、アルキレン基を表わす。)
前記一般式(S-1)式における、m及びnは、1以上10以下の整数が好ましく、a及びbは、1以上30以下の整数が好ましい。
上記のポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤としては、市販品を用いることができ、例えば、KF-618、KF-642、KF-643(信越化学工業株式会社)、EMALEX-SS-5602、SS-1906EX(日本エマルジョン株式会社)、FZ-2105、FZ-2118、FZ-2154、FZ-2161、FZ-2162、FZ-2163、FZ-2164(東レ・ダウコーニング・シリコーン株式会社)、BYK-33、BYK-387(ビックケミー株式会社)、TSF4440、TSF4452、TSF4453(東芝シリコン株式会社)などが挙げられる。
前記フッ素系界面活性剤としては、フッ素置換した炭素数が2~16の化合物が好ましく、フッ素置換した炭素数が4~16である化合物がより好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、及びパーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物などが挙げられる。 これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少ないため好ましく、特に一般式(F-1)及び一般式(F-2)で表わされるフッ素系界面活性剤が好ましい。
Figure 2022087006000004
一般式(F-1)
上記一般式(F-1)で表される化合物において、水溶性を付与するためにmは0~10の整数が好ましく、nは0~40の整数が好ましい。
一般式(F-2)
2n+1-CHCH(OH)CH-O-(CHCHO)-Y
上記一般式(F-2)で表される化合物において、YはH、又はC2n+1でnは1~6の整数、又はCHCH(OH)CH-C2n+1でnは4~6の整数、又はC2p+1でpは1~19の整数である。aは4~14の整数である。
上記のフッ素系界面活性剤としては市販品を使用してもよい。
この市販品としては、例えば、サーフロンS-111、S-112、S-113、S-121、S-131、S-132、S-141、S-145(いずれも、旭硝子株式会社製);フルラードFC-93、FC-95、FC-98、FC-129、FC-135、FC-170C、FC-430、FC-431(いずれも、住友スリーエム株式会社製);メガファックF-470、F-1405、F-474(いずれも、大日本インキ化学工業株式会社製);ゾニール(Zonyl)TBS、FSP、FSA、FSN-100、FSN、FSO-100、FSO、FS-300、UR(いずれも、DuPont社製);FT-110、FT-250、FT-251、FT-400S、FT-150、FT-400SW(いずれも、株式会社ネオス製)、ポリフォックスPF-136A,PF-156A、PF-151N、PF-154、PF-159(オムノバ社製)、ユニダインDSN-403N(ダイキン工業株式会社製)などが挙げられ、これらの中でも、良好な印字品質、特に発色性、紙に対する浸透性、濡れ性、均染性が著しく向上する点から、DuPont社製のFS-300、株式会社ネオス製のFT-110、FT-250、FT-251、FT-400S、FT-150、FT-400SW、オムノバ社製のポリフォックスPF-151N及びダイキン工業株式会社製のユニダインDSN-403Nが特に好ましい。
インク中における界面活性剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、濡れ性、吐出安定性に優れ、画像品質が向上する点から、0.001質量%以上5質量%以下が好ましく、0.05質量%以上5質量%以下がより好ましい。
<消泡剤>
消泡剤としては、特に制限はなく、例えば、シリコーン系消泡剤、ポリエーテル系消泡剤、脂肪酸エステル系消泡剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で用いても、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、破泡効果に優れる点から、シリコーン系消泡剤が好ましい。
<防腐防黴剤>
防腐防黴剤としては、特に制限はなく、例えば、1,2-ベンズイソチアゾリン-3-オンなどが挙げられる。
<防錆剤>
防錆剤としては、特に制限はなく、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウムなどが挙げられる。
<pH調整剤>
pH調整剤としては、pHを7以上に調整することが可能であれば、特に制限はなく、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミンなどが挙げられる。
<インクセット>
前記表面処理用液体組成物と、前記インクとからなるインクセットとすることができる。前記インクセットのインクとしては、非白色インク及び/又は白色インクを用いることができる。
<被印刷物>
本発明に用いる被印刷物としては、特に制限なく用いることができ、普通紙、光沢紙、特殊紙、布などを用いることもできるが、非浸透性基材に対して特に好適に用いることが出来る。本発明における非浸透性基材とは、水透過性、吸収性及び/又は吸着性が低い表面を有する基材を指しており、内部に多数の空洞があっても外部に開口していない材質も含まれる。より定量的には、ブリストー(Bristow)法において接触開始から30msec1/2までの水吸収量が10mL/m以下である基材を指す。
前記非浸透性基材としては、例えば、塩化ビニル樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリカーボネートフィルム、ナイロンフィルム等のプラスチックフィルム、生分解性プラスチック(バイオプラスチック)などが挙げられる。
<記録方法、記録装置>
発明の記録方法は、被印刷物を表面改質する表面改質工程と、前記前処理液組成物を被印刷物に付与する、前処理液組成物付与工程と、前記インクを、前記前処理液組成物を付与した被印刷物に付与するインク付与工程とを有することが好ましい。
<表面改質工程>
前記表面改質工程においては、液体組成物を付与した時のムラをなくし、密着性をあげることの出来る処理方法のいずれを用いてもよく、例えばコロナ処理、大気圧プラズマ処理、フレーム処理、紫外線照射処理、等が挙げられる。
これらの処理方法は、公知の装置を用いて実施することができる。
上記の処理方法の中でも、記録面の表面改質は、記録面にコロナ放電処理を行うコロナ処理工程かストリーマ放電処理を行うストリーマ処理(プラズマ処理)が好ましい。これらは、大気圧プラズマ処理、フレーム処理および紫外線照射処理と比較して、コロナ放電の出力安定性に優れていることや、記録面に対して均一に表面処理が行えるということから、好ましく用いられる。
<前処理液組成物付与工程>
前記前処理液組成物付与工程における前処理液組成物の塗布方法としては、特に制限無く公知のあらゆる方法を用いる事ができる。例えば、インクジェット法、ブレードコート法、グラビアコート法、グラビアオフセットコート法、バーコート法、ロールコート法、ナイフコート法、エアナイフコート法、コンマコート法、Uコンマコート法、AKKUコート法、スムージングコート法、マイクログラビアコート法、リバースロールコート法、4本ロールコート法、5本ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法などが挙げられるが、前処理液組成物としては、その付着量が1g/m~6g/mであるとき最も高品位な画像が得られるため、使用する基材の材質や厚みに応じて適切な塗布方法を選択する事が好ましい。
<インク付与工程>
前記インク付与工程は、インクジェット方式が好適に用いられる。
前記インク付与工程が、インクを吐出するノズルと、前記ノズルに連通する複数の個別液室と、インクを個別液室に流入させるための流入流路と、インクを前記個別液室から流出させるための流出流路と、を有するインク吐出ヘッドを用い、インクを吐出して印刷する印刷工程と、前記インクを前記流出流路から前記流入流路に向かって循環させる循環工程とを含むことが好ましい。
樹脂成分が含まれているインクにおいては、経時の変動で、吐出乱れが起き易い場合があるが、循環工程を有することで、吐出乱れといった画像欠陥の少ない高品位な画像を、高い生産性で得ることができる。
前記インク付与工程の後に、加熱処理工程を有することが好ましい。
インクとして、非白色インクと白色インクを用いる場合は、インクの付与は非白色インク、白色インクの順に行う態様と、白色インク、非白色インクの順に行う態様がある。また、前記非白色インク付与工程の後に、及び、前記白色インク付与工程の後に、加熱処理工程を有することが好ましい。
<記録装置及び記録方法>
本発明のインクは、インクジェット記録方法による各種記録装置、例えば、プリンタ、ファクシミリ装置、複写装置、プリンタ/ファックス/コピア複合機、立体造形装置などに好適に使用することができる。
本願において、記録装置及び記録方法とは、記録媒体に対してインクや各種処理液等を吐出することが可能な装置、当該装置を用いて記録を行う方法である。記録媒体とは、インクや各種処理液が一時的にでも付着可能なものを意味する。
この記録装置には、インクを吐出するヘッド部分だけでなく、記録媒体の給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
前記記録装置、及び前記記録方法は、加熱工程に用いる加熱手段、乾燥工程に用いる乾燥手段を有しても良い。加熱手段、乾燥手段には、例えば、記録媒体の印字面や裏面を加熱、乾燥する手段が含まれる。加熱手段、乾燥手段としては、特に限定されないが、例えば、温風ヒーター、赤外線ヒーターを用いることができる。加熱、乾燥は、印字前、印字中、印字後などに行うことができる。
また、記録装置、記録方法は、インクによって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、幾何学模様などのパターン等を形成するもの、3次元像を造形するものも含まれる。また、記録装置には、特に限定しない限り、吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、吐出ヘッドを移動させないライン型装置のいずれも含まれる。
更に、この記録装置には、卓上型だけでなく、A0サイズの記録媒体への印刷も可能とする広幅の記録装置や、例えばロール状に巻き取られた連続用紙を記録媒体として用いることが可能な連帳プリンタも含まれる。
この記録装置には、インクを吐出する部分だけでなく、前処理装置、後処理装置と称される装置などを含むことができる。
前処理装置、後処理装置の一態様として、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)などのインクの場合と同様に、前処理液組成物や、後処理液を有する液体収容部と液体吐出ヘッドを追加し、前処理液組成物や、後処理液をインクジェット記録方法で吐出する態様がある。
前処理装置、後処理装置の他の態様として、インクジェット記録方法以外の、例えば、ブレードコート法、ロールコート法、スプレーコート法による前処理装置、後処理装置を設ける態様がある。
なお、インクの使用方法としては、インクジェット記録方法に制限されず、広く使用することが可能である。インクジェット記録方法以外にも、例えば、ブレードコート法、グラビアコート法、バーコート法、ロールコート法、ディップコート法、カーテンコート法、スライドコート法、ダイコート法、スプレーコート法などが挙げられる。
以下、実施例および比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、例中の「部」は「質量部」であり、「%」は、評価基準中のものを除き、「質量%」である。
<前処理液組成物の調製>
[ポリエステルポリオール1]
0.5Lのセパラブルフラスコに、窒素を導入しながら、1,6-ヘキサンジオール114g、ネオペンチルグリコール100g、イソフタル酸ジメチル267gを仕込み、130℃で溶融した。これらが溶融したところで、チタンテトライソプロポキシド0.14gを加え、攪拌しながら230℃まで3~4時間かけて昇温し、230℃でさらに2~3時間反応させた。その後、チタンテトライソプロポキシド0.07gを追加して2時間保持した後、窒素導入を止め、1kPa減圧下でさらに2時間反応させることで、ポリエステルポリオール1を得た。
[樹脂粒子1]
攪拌翼、温度計、還流管を備えた0.5Lのセパラブルフラスコに、窒素を導入しながら、ポリエステルポリオール1 100g、ポリオキシエチレン側鎖含有ジオール13g、アセトン90gを仕込み、40℃に加熱して原材料を溶解させた。次いで、イソホロンジイソシアネート35g、2-エチルヘキサン酸すず(II)を1滴加え、80℃に昇温し、4時間反応させた。その後、40℃まで降温し、水270gを加えて微粒子化し、さらにジエチレントリアミン2gを加え、4時間反応させた。最後に、アセトンを除去することにより樹脂粒子1を得た(ウレタン樹脂、ガラス転移温度:-5℃、ノニオン性の樹脂粒子)。
得られた前記樹脂粒子1を乾燥させて得た樹脂膜に対して、FT-IR測定においてカルボキシル基のピークを確認し、熱分解温度400℃での熱分解ガスクロマトグラフ質量分析において芳香族環を有する多価カルボン酸化合物(イソフタル酸ジメチル)のピークを確認し、芳香族含有ポリエステルポリオールに由来する構造を有することを確認した。また、前記樹脂粒子1を乾燥させて得た樹脂膜に対して、熱分解温度400℃での熱分解ガスクロマトグラフ質量分析においてポリエチレングリコール構造のピークを確認し、ポリエチレングリコールに由来する構造を有することを確認した。
[ポリエステルポリオール2]
5Lのセパラブルフラスコに、窒素を導入しながら、1,6-ヘキサンジオール118g、ネオペンチルグリコール104g、イソフタル酸ジメチル110g、アジピン酸ジメチル149gを仕込み、130℃で溶融した。これらが溶融したところで、チタンテトライソプロポキシド0.14gを加え、攪拌しながら230℃まで3~4時間かけて昇温し、230℃でさらに2~3時間反応させた。その後、チタンテトライソプロポキシド0.07gを追加して2時間保持した後、窒素導入を止め、1kPa減圧下でさらに2時間反応させることで、ポリエステルポリオール2を得た。
[樹脂粒子2]
攪拌翼、温度計、還流管を備えた0.5Lのセパラブルフラスコに、窒素を導入しながら、ポリエステルポリオール2 100g、ポリオキシエチレン側鎖含有ジオール13g、アセトン90gを仕込み、40℃に加熱して原材料を溶解させた。次いで、イソホロンジイソシアネート33g、2-エチルヘキサン酸すず(II)を1滴加え、80℃に昇温し、4時間反応させた。その後、40℃まで降温し、水265gを加えて微粒子化し、さらにジエチレントリアミン2gを加え、4時間反応させた。最後に、アセトンを除去することにより樹脂粒子2を得た(ウレタン樹脂、ガラス転移温度-16℃、ノニオン性の樹脂粒子)。
得られた前記樹脂粒子2を乾燥させて得た樹脂膜に対して、FT-IR測定においてカルボキシル基のピークを確認し、熱分解温度400℃での熱分解ガスクロマトグラフ質量分析において芳香族環を有する多価カルボン酸化合物(イソフタル酸ジメチル)のピークを確認し、芳香族含有ポリエステルポリオールに由来する構造を有することを確認した。また、前記樹脂粒子2を乾燥させて得た樹脂膜に対して、熱分解温度400℃での熱分解ガスクロマトグラフ質量分析においてポリエチレングリコール構造のピークを確認し、ポリエチレングリコールに由来する構造を有することを確認した。
[ポリエステルポリオール3]
0.5Lのセパラブルフラスコに、窒素を導入しながら、1,6-ヘキサンジオール116g、ネオペンチルグリコール102g、イソフタル酸ジメチル190g、アジピン酸ジメチル73gを仕込み、130℃で溶融した。これらが溶融したところで、チタンテトライソプロポキシド0.14gを加え、攪拌しながら230℃まで3~4時間かけて昇温し、230℃でさらに2~3時間反応させた。その後、チタンテトライソプロポキシド0.07gを追加して2時間保持した後、窒素導入を止め、1kPa減圧下でさらに2時間反応させることで、ポリエステルポリオール3を得た。
[樹脂粒子3]
攪拌翼、温度計、還流管を備えた0.5Lのセパラブルフラスコに、窒素を導入しながら、ポリエステルポリオール3 100g、ポリオキシエチレン側鎖含有ジオール13g、アセトン90gを仕込み、40℃に加熱して原材料を溶解させた。次いで、イソホロンジイソシアネート35g、2-エチルヘキサン酸すず(II)を1滴加え、80℃に昇温し、4時間反応させた。その後、40℃まで降温し、水270gを加えて微粒子化し、さらにジエチレントリアミン2gを加え、4時間反応させた。最後に、アセトンを除去することにより樹脂粒子3を得た(ウレタン樹脂、ガラス転移温度-10℃、ノニオン性の樹脂粒子)。
得られた前記樹脂粒子3を乾燥させて得た樹脂膜に対して、FT-IR測定においてカルボキシル基のピークを確認し、熱分解温度400℃での熱分解ガスクロマトグラフ質量分析において芳香族環を有する多価カルボン酸化合物(イソフタル酸ジメチル)のピークを確認し、芳香族含有ポリエステルポリオールに由来する構造を有することを確認した。また、前記樹脂粒子3を乾燥させて得た樹脂膜に対して、熱分解温度400℃での熱分解ガスクロマトグラフ質量分析においてポリエチレングリコール構造のピークを確認し、ポリエチレングリコールに由来する構造を有することを確認した。
[ポリエステルポリオール4]
0.5Lのセパラブルフラスコに、窒素を導入しながら、1,6-ヘキサンジオール120g、ネオペンチルグリコール106g、アジピン酸ジメチル254gを仕込み、130℃で溶融した。これらが溶融したところで、チタンテトライソプロポキシド0.14gを加え、攪拌しながら230℃まで3~4時間かけて昇温し、230℃でさらに2~3時間反応させた。その後、チタンテトライソプロポキシド0.07gを追加して2時間保持した後、窒素導入を止め、1kPa減圧下でさらに2時間反応させることで、ポリエステルポリオール4を得た。
[樹脂粒子4]
攪拌翼、温度計、還流管を備えた0.5Lのセパラブルフラスコに、窒素を導入しながら、ポリエステルポリオール4 100g、ポリオキシエチレン側鎖含有ジオール13g、アセトン90gを仕込み、40℃に加熱して原材料を溶解させた。次いで、イソホロンジイソシアネート35g、2-エチルヘキサン酸すず(II)を1滴加え、80℃に昇温し、4時間反応させた。その後、40℃まで降温し、水270gを加えて微粒子化し、さらにジエチレントリアミン2gを加え、4時間反応させた。最後に、アセトンを除去することにより樹脂粒子4を得た(ウレタン樹脂、ガラス転移温度-31℃、ノニオン性の樹脂粒子)。
得られた前記樹脂粒子4を乾燥させて得た樹脂膜に対して、熱分解温度400℃での熱分解ガスクロマトグラフ質量分析においてポリエチレングリコール構造のピークを確認し、ポリエチレングリコールに由来する構造を有することを確認した。
[樹脂粒子5]
攪拌翼、温度計、還流管を備えた0.5Lのセパラブルフラスコに、窒素を導入しながら、ポリエステルポリオール2 100g、2,2-ビスヒドロキシメチルプロピオン酸5.5g、トリエチルアミン4g、アセトン80gを仕込み、40℃に加熱して原材料を溶解させた。次いで、イソホロンジイソシアネート35g、2-エチルヘキサン酸すず(II)を1滴加え、80℃に昇温し、4時間反応させた。その後、40℃まで降温し、水270gを加えて微粒子化し、さらにジエチレントリアミン2.3gを加え、4時間反応させた。最後に、アセトンを除去することにより樹脂粒子5を得た(ウレタン樹脂、ガラス転移温度7℃、アニオン性の樹脂粒子)。
得られた前記樹脂粒子5を乾燥させて得た樹脂膜に対して、FT-IR測定においてカルボキシル基のピークを確認し、熱分解温度400℃での熱分解ガスクロマトグラフ質量分析において芳香族環を有する多価カルボン酸化合物(イソフタル酸ジメチル)のピークを確認し、芳香族含有ポリエステルポリオールに由来する構造を有することを確認した。
[樹脂粒子6]
メタクリル酸メチル44質量部、アクリル酸2エチルヘキシル52質量部、メトキシポリエチレングリコールモノメタクリレート4質量部、反応性乳化剤としてのアクアロンHS-10(第一工業製薬株式会社製)1.5質量部、及びイオン交換水43質量部からなる混合物を、ホモミキサーを用いて乳化し、均一な乳白色のエマルションを得た。
次に、攪拌機、温度計、窒素ガス導入管、及び還流管を備えた1Lのフラスコ内に、予めイオン交換水、及び硫酸により調整しておいたpH3の水89質量部を仕込み、窒素を導入しつつ70℃に昇温した。
次いで、反応性乳化剤としての10質量%アクアロンHS-10(第一工業製薬株式会社製)水溶液13質量部、5質量%過硫酸アンモニウム水溶液2.6質量部を投入した後、予め調整しておいたエマルションを2.5時間かけて連続的に滴下した。
また、滴下開始から3時間経過するまでの間、1時間毎に5質量%過硫酸アンモニウム水溶液1.8質量部を投入した。
滴下終了後70℃で2時間熟成した後冷却し、水酸化ナトリウム水溶液でpHを7~8となるように調整し、樹脂粒子6の分散液を得た(ガラス転移温度-18℃、アニオン性の樹脂粒子)。
前記樹脂粒子6は、樹脂粒子6の調製においてメトキシポリエチレングリコールモノメタクリレートを用いていることから、ポリエチレングリコールに由来する構造を有するアクリル系樹脂である。
[ポリエステルポリオール5]
0.5Lのセパラブルフラスコに、窒素を導入しながら、1,2-プロパンジオール177g、テレフタル酸ジメチル160g、アジピン酸ジメチル144gを仕込み、130℃で溶融した。これらが溶融したところで、チタンテトライソプロポキシド0.14gを加え、攪拌しながら230℃まで3~4時間かけて昇温し、230℃でさらに2~3時間反応させた。その後、チタンテトライソプロポキシド0.07gを追加して2時間保持した後、窒素導入を止め、1kPa減圧下でさらに2時間反応させることで、ポリエステルポリオール5を得た。
[樹脂粒子7]
攪拌翼、温度計、還流管を備えた0.5Lのセパラブルフラスコに、窒素を導入しながら、ポリエステルポリオール5 100g、ポリオキシエチレン側鎖含有ジオール13g、アセトン90gを仕込み、40℃に加熱して原材料を溶解させた。次いで、イソホロンジイソシアネート33g、2-エチルヘキサン酸すず(II)を1滴加え、80℃に昇温し、4時間反応させた。その後、40℃まで降温し、水270gを加えて微粒子化し、さらにジエチレントリアミン2.3gを加え、4時間反応させた。最後に、アセトンを除去することにより樹脂粒子7を得た(ウレタン樹脂、ガラス転移温度18℃、ノニオン性の樹脂粒子)。
得られた前記樹脂粒子7を乾燥させて得た樹脂膜に対して、FT-IR測定においてカルボキシル基のピークを確認し、熱分解温度400℃での熱分解ガスクロマトグラフ質量分析において芳香族環を有する多価カルボン酸化合物(テレフタル酸ジメチル)のピークを確認し、芳香族含有ポリエステルポリオールに由来する構造を有することを確認した。また、前記樹脂粒子7を乾燥させて得た樹脂膜に対して、熱分解温度400℃での熱分解ガスクロマトグラフ質量分析においてポリエチレングリコール構造のピークを確認し、ポリエチレングリコールに由来する構造を有することを確認した。
[ポリエステルポリオール6]
0.5Lのセパラブルフラスコに、窒素を導入しながら、1,6-ヘキサンジオール112g、ネオペンチルグリコール105g、イソフタル酸ジメチル20g、アジピン酸ジメチル231gを仕込み、130℃で溶融した。これらが溶融したところで、チタンテトライソプロポキシド0.14gを加え、攪拌しながら230℃まで3~4時間かけて昇温し、230℃でさらに2~3時間反応させた。その後、チタンテトライソプロポキシド0.07gを追加して2時間保持した後、窒素導入を止め、1kPa減圧下でさらに2時間反応させることで、ポリエステルポリオール6を得た。
[樹脂粒子8]
攪拌翼、温度計、還流管を備えた0.5Lのセパラブルフラスコに、窒素を導入しながら、ポリエステルポリオール6 100g、ポリオキシエチレン側鎖含有ジオール13g、アセトン90gを仕込み、40℃に加熱して原材料を溶解させた。次いで、イソホロンジイソシアネート33g、2-エチルヘキサン酸すず(II)を1滴加え、80℃に昇温し、4時間反応させた。その後、40℃まで降温し、水265gを加えて微粒子化し、さらにジエチレントリアミン2gを加え、4時間反応させた。最後に、アセトンを除去することにより樹脂粒子8を得た(ウレタン樹脂、ガラス転移温度-35℃、ノニオン性の樹脂粒子)。
得られた前記樹脂粒子8を乾燥させて得た樹脂膜に対して、FT-IR測定においてカルボキシル基のピークを確認し、熱分解温度400℃での熱分解ガスクロマトグラフ質量分析において芳香族環を有する多価カルボン酸化合物(イソフタル酸ジメチル)のピークを確認し、芳香族含有ポリエステルポリオールに由来する構造を有することを確認した。また、前記樹脂粒子8を乾燥させて得た樹脂膜に対して、熱分解温度400℃での熱分解ガスクロマトグラフ質量分析においてポリエチレングリコール構造のピークを確認し、ポリエチレングリコールに由来する構造を有することを確認した。
表1から表3に記載の処方に従って混合攪拌し、5μmのフィルター(ザルトリウス社製ミニザルト)で濾過して前処理液組成物を調製した。
なお、表1から表3に記載した固形分量となるように樹脂粒子分散液を投入するが、その際合計が100質量部となるように、樹脂粒子の投入量に応じてイオン交換水の投入量を調製した。
Figure 2022087006000005
Figure 2022087006000006
Figure 2022087006000007
前記表1から表3における各成分の詳細については、以下のとおりである。
・FS-300:フッ素系界面活性剤、シグマアルドリッチ社製
・プロキセルLV:防黴剤、Lonza社製
[顔料分散液の調製]
<シアン顔料分散液の調製例>
以下の処方に従って各材料を混合し、更にディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製、KDL型、メディア:直径0.3mmのジルコニアボール)で7時間循環分散させて、顔料分散液を得た(顔料固形分15質量%)。
・ピグメントブルー15:3(商品名:LIONOL BLUE FG-7351、東洋インキ株式会社製):15質量部
・アニオン性界面活性剤(パイオニンA-51-B、竹本油脂株式会社製):2質量部
・イオン交換水:83質量部
<マゼンタ顔料分散液の調製例>
シアン顔料分散液の調製例において、ピグメントブルー15:3(商品名:LIONOL BLUE FG-7351、東洋インキ株式会社製)を、ピグメントレッド122(商品名:トナーマゼンタEO02、クラリアントジャパン株式会社製)に変更した以外は、シアン顔料分散液の調製例と同様にして、マゼンタ顔料分散液を調製した(顔料固形分15質量%)。
<イエロー顔料分散液の調製例>
シアン顔料分散液の調製例において、ピグメントブルー15:3(商品名:LIONOL BLUE FG-7351、東洋インキ株式会社製)を、ピグメントイエロー74(商品名:ファーストイエロー531、大日精化工業株式会社製)に変更した以外は、シアン顔料分散液の調製例と同様にして、マゼンタ顔料分散液を調製した(顔料固形分15質量%)。
<ブラック顔料分散液の調製例>
シアン顔料分散液の調製例において、ピグメントブルー15:3(商品名:LIONOL BLUE FG-7351、東洋インキ株式会社製)をカーボンブラック顔料(商品名:Monarch800、キャボット社製)に変更した以外は、シアン顔料分散液の調製例と同様にして、ブラック顔料分散液を調製した(顔料固形分15質量%)。
<ホワイト顔料分散液の調製例>
酸化チタン(商品名:STR-100W、堺化学工業株式会社製)25質量部、顔料分散剤(商品名:TEGO Dispers651、エボニック社製)5質量部、及び水70質量部を混合し、ビーズミル(商品名:リサーチラボ、株式会社シンマルエンタープライゼス製)にて、直径0.3mmのジルコニアビーズを充填率60%、8m/sにて5分間分散し、ホワイト顔料分散液を得た(顔料固形分25質量%)。
表4に記載の処方に従って各材料を混合攪拌し、0.2μmのポリプロピレンフィルターでろ過して各インクを調製した。
Figure 2022087006000008
前記表4における各成分の詳細については、以下のとおりである。
・スーパーフレックス210:ウレタン樹脂、第一工業製薬株式会社製
・FS-300:フッ素系界面活性剤、シグマアルドリッチ社製
・プロキセルLV:防黴剤、Lonza社製
(実施例1~22及び比較例1~7)
実施例1~22及び比較例1~7では、バーコーターを用いて表5~表8に示す前処理液組成物をPETフィルム(E5100、東洋紡株式会社製)に塗工乾燥させ、その上に作製したインクをインクジェットプリンター(株式会社リコー製IPSiO GXe5500)に充填し、インクを用いてベタ画像を印刷し、乾燥させた。印刷した画像にドライラミネート用接着剤(主剤TM-320/硬化剤CAT-13B、東洋モートン社製)をバーコーターで塗工し、CPP(P1128、東洋紡株式会社製)を貼りあわせた後、40℃で48時間エージングし、積層物を得た。
次に、実施例1~22及び比較例1~7において、以下のようにして「印字部ラミネート強度」、「色滲み」、「保存安定性(分散安定性)」及び「表面粗さ」を評価した。結果を表5から表8に示す。
<印字部ラミネート強度>
積層物を、15mm幅にカットしたのち、オートグラフAGS-5kNX(株式会社島津製作所製)を用いて、剥離強度を測定した。
[評価基準]
A:5N/15mm以上の強度が得られる。
B:3N/15mm以上5N/15mm未満の強度が得られる。
C:1N/15mm以上3N/15mm未満の強度が得られる。
D:1N/15mm未満の強度しか得られない。
<色滲み>
バーコーターで前処理液をPETフィルム(E5100、東洋紡株式会社製)に塗工乾燥させ、その上に作製したインクをインクジェットプリンター(IPSiO GXe5500、株式会社リコー製)に充填し、ブラックインクを用いてゴシック体の白抜け文字を印刷し、乾燥させた。得られた画像の文字の可読性を肉眼で判断し、以下の基準で目視評価した。なお、実施例5から8における「-」は、ブラックインクを用いていないため評価を実施していないことを示す。
[評価基準]
A:3ptは可読である。
B:3ptは非可読であるが、4ptは可読である。
C:4ptは非可読であるが、5ptは可読である。
D:5ptが非可読である。
<保存安定性(分散安定性)>
作製した前処理液組成物を密閉容器に入れ、70℃の恒温槽で7日間静置し、保管前後の粘度を測定し、粘度変化率から前処理液組成物の保存安定性(分散安定性)を評価した。粘度は、動的粘弾性測定装置(TAInstruments社製、AR2000 Rheometer)を用いて25℃50%RHの環境にて測定した。コーンプレート(φ40mm、1°)を使用し、ギャップ38μm、せん断速度200(1/s)の粘度を測定した。
[評価基準]
A:粘度変化率が10%以内である。
B:粘度変化率が10%を超え、20%以内である。
C:粘度変化率が20%を超え、50%以内である。
D:粘度変化率が50%を超えているか、目視可能な凝集物が発生している。
Figure 2022087006000009
Figure 2022087006000010
Figure 2022087006000011
Figure 2022087006000012
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1> 樹脂粒子、水溶性金属塩、及び水を含む前処理液組成物であって、
前記樹脂粒子が、芳香族含有ポリエステルポリオールに由来する構造を有する、ノニオン性の樹脂粒子であり、
前記樹脂粒子のガラス転移温度が-30℃以上10℃以下であることを特徴とする前処理液組成物である。
<2> 前記ノニオン性の樹脂粒子が、ウレタン樹脂である、前記<1>に記載の前処理液組成物である。
<3> 前記前処理液組成物に対する、前記ノニオン性の樹脂粒子の含有量が5質量%以上25質量%以下である、前記<1>から<2>のいずれかに記載の前処理液組成物である。
<4> 前記水溶性金属塩が、二価又は三価の金属イオンからなる、前記<1>から<3>のいずれかに記載の前処理液組成物である。
<5> 前記樹脂粒子が、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールの少なくともいずれかに由来する構造を有する、前記<1>から<4>のいずれかに記載の前処理液組成物である。
<6> 前記<1>から<5>のいずれかに記載の前処理液組成物を、前記前処理液を非浸透性基材上に付与する前処理液組成物付与工程と、
インクジェット方式でインクを付与するインク付与工程と、
を有することを特徴とする印刷方法である。
<7> 前記前処理液組成物付与工程において、前記前処理液組成物の付与量が1g/m以上6g/m以下である、前記<6>に記載の印刷方法である。
<8> 前記インクが、第1のインク及び第2のインクの少なくともいずれかを有し、
前記第1のインク及び前記第2のインクのいずれかが、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックのいずれかから選ばれるインクであり、他方が白インクである、前記<6>から<7>のいずれかに記載の印刷方法である。
<9> 前記前処理液組成物付与工程の後に前記第1のインクを付与し、
前記第1のインクを付与した後に前記第2のインクを付与する、前記<8>に記載の印刷方法である。
前記<1>から<5>のいずれかに記載の前処理液組成物、及び前記<6>から<9>のいずれかに記載の印刷方法によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
特開2019-111763号公報 特開2017-222833号公報 特開2018-154118号公報 特開2020-075954号公報

Claims (9)

  1. 樹脂粒子、水溶性金属塩、及び水を含む前処理液組成物であって、
    前記樹脂粒子が、芳香族含有ポリエステルポリオールに由来する構造を有する、ノニオン性の樹脂粒子であり、
    前記樹脂粒子のガラス転移温度が-30℃以上10℃以下であることを特徴とする前処理液組成物。
  2. 前記ノニオン性の樹脂粒子が、ウレタン樹脂である、請求項1に記載の前処理液組成物。
  3. 前記前処理液組成物に対する、前記ノニオン性の樹脂粒子の含有量が5質量%以上25質量%以下である、請求項1から2のいずれかに記載の前処理液組成物。
  4. 前記水溶性金属塩が、二価又は三価の金属イオンからなる、請求項1から3のいずれかに記載の前処理液組成物。
  5. 前記樹脂粒子が、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコールの少なくともいずれかに由来する構造を有する、請求項1から4のいずれかに記載の前処理液組成物。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の前処理液組成物を非浸透性基材上に付与する前処理液組成物付与工程と、
    インクジェット方式でインクを付与するインク付与工程と、
    を有することを特徴とする印刷方法。
  7. 前記前処理液組成物付与工程において、前記前処理液組成物の付与量が1g/m以上6g/m以下である、請求項6に記載の印刷方法。
  8. 前記インクが、第1のインク及び第2のインクの少なくともいずれかを有し、
    前記第1のインク及び前記第2のインクのいずれかが、シアン、マゼンタ、イエロー、及びブラックのいずれかから選ばれるインクであり、他方が白インクである、請求項6から7のいずれかに記載の印刷方法。
  9. 前記前処理液組成物付与工程の後に前記第1のインクを付与し、
    前記第1のインクを付与した後に前記第2のインクを付与する、請求項8に記載の印刷方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023085038A1 (ja) * 2021-11-15 2023-05-19 富士フイルム株式会社 非浸透性基材用インクジェットインクセット、画像記録方法、ラミネート体の製造方法、画像記録物、及びラミネート体

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