JP2022086276A - 組成物、並びに、該組成物を用いたタイヤ、ゴム製品、及び、樹脂製品 - Google Patents

組成物、並びに、該組成物を用いたタイヤ、ゴム製品、及び、樹脂製品 Download PDF

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Abstract

【課題】高い引張強度を有するとともに、モジュラスが高く、伸びに優れる架橋物を得ることができる組成物、並びに、該組成物を用いたタイヤ、ゴム製品、及び、樹脂製品を提供する。【解決手段】共役ジエン単位、非共役オレフィン単位及び芳香族ビニル単位を含有し、ブチレン単位の含有量が0mol%である共重合体と、パーオキサイド架橋剤とを含む組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、組成物、並びに、該組成物を用いたタイヤ、ゴム製品、及び、樹脂製品に関する。
従来から耐衝撃性、耐薬品性等に優れるオレフィン系樹脂等を用いて、種々の樹脂製品(成型体)が製造されている。例えば、特許文献1に、耐衝撃性及び耐傷付き性を有することにより、無塗装樹脂成形材料としての使用に適したポリプロピレン系組成物として、ポリプロピレン樹脂75~90重量%と、スチレン含有量が18~42重量%の水素添加スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体エラストマー(「SEBS」)(A)7~15重量%と、スチレン含有量が12~15重量%の水素添加スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体エラストマー(B)3~10重量%とを含むポリプロピレン系組成物が開示されている。
また、高い耐衝撃性及び透明性を有する樹脂製品を得る観点から、共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを含有する多元共重合体であって、芳香族ビニル単位の含有量が、多元共重合体全体の50mol%以上100mol%未満である多元共重合体を含有する組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
特開2012-246366号公報 国際公開第2017/065300号
しかしながら、引張強度の観点から、特許文献1の樹脂及び特許文献2の共重合体は十分とは言えず、更なる改良が求められていた。
本発明は、高い引張強度を有するとともに、モジュラスが高く、伸びに優れる架橋物を得ることができる組成物、並びに、該組成物を用いたタイヤ、ゴム製品、及び、樹脂製品を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、以下の[1]~[17]を提供する。
[1] 共役ジエン単位、非共役オレフィン単位及び芳香族ビニル単位を含有し、ブチレン単位の含有量が0mol%である共重合体と、パーオキサイド架橋剤とを含む組成物。
[2] 前記パーオキサイド架橋剤の含有量が、前記共重合体に対して、1~20質量%である[1]に記載の組成物。
[3] 前記パーオキサイド架橋剤が、有機過酸化物である、[1]または[2]に記載の組成物。
[4] 前記共重合体は、前記共役ジエン単位の含有量が4~70mol%で、前記非共役オレフィン単位の含有量が25~95mol%で、且つ、前記芳香族ビニル単位の含有量が1~30mol%である[1]~[3]のいずれかに記載の組成物。
[5] 前記共重合体は、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が30~130℃である[1]~[4]のいずれかに記載の組成物。
[6] 前記共重合体は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が50,000~2,000,000である[1]~[5]のいずれかに記載の組成物。
[7] 前記共重合体は、結晶化度が0.5~50%である[1]~[6]のいずれかに記載の組成物。
[8] 前記非共役オレフィン単位が非環状の非共役オレフィン単位である[1]~[7]のいずれかに記載の組成物。
[9] 前記非環状の非共役オレフィン単位がエチレン単位のみからなる[8]に記載の組成物。
[10] 前記芳香族ビニル単位がスチレン単位を含む[1]~[9]のいずれかに記載の組成物。
[11] 前記共役ジエン単位が1,3-ブタジエン単位及びイソプレン単位からなる群より選択される少なくとも1つを含む[1]~[10]のいずれかに記載の組成物。
[12] 更に、エチレン-プロピレン-ジエンゴムを含有する[1]~[11]のいずれかに記載の組成物。
[13] 前記組成物が、更に老化防止剤を含有する[1]~[12]のいずれかに記載の組成物。
[14] 前記老化防止剤が、分岐アルキル基を有するフェニル基を2つ以上含む老化防止剤を含有する[13]に記載の組成物。
[15] [1]~[14]のいずれかに記載の組成物を用いたタイヤ。
[16] [1]~[14]のいずれかに記載の組成物を用いたゴム製品。
[17] [1]~[14]のいずれかに記載の組成物を用いた樹脂製品。
本発明によれば、高い引張強度を有するとともに、モジュラスが高く、伸びに優れる架橋物を得ることができる組成物を得ることができる。また、本発明の組成物を用いることにより、高い引張強度とモジュラスを有するタイヤ及びゴム製品を得ることができる。また、本発明の組成物を用いることにより、高い引張強度と伸びとを両立させた樹脂製品を得ることができる。
以下に、本発明をその実施形態に基づき詳細に例示説明する。なお、以下の説明において、数値範囲を示す「A~B」の記載は、端点であるA及びBを含む数値範囲を表し、「A以上B以下」(A<Bの場合)、又は「A以下B以上」(A>Bの場合)を表す。
また、質量部及び質量%は、それぞれ、重量部及び重量%と同義である。
[組成物]
本発明の組成物は、共役ジエン単位、非共役オレフィン単位及び芳香族ビニル単位を含有し、ブチレン単位の含有量が0mol%である共重合体と、パーオキサイド架橋剤とを含む。
上記の共重合体は、構造中に共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを有することにより、優れた引張強度を有する架橋物を得ることができる。また、一般的なゴムと比較して、モジュラスが高いという特徴を有する。更に、本発明の組成物は、架橋剤としてパーオキサイド架橋剤を用いることにより、硫黄架橋した場合に比べて、架橋物の引張強度及び伸びを向上させることができる。
<共重合体>
共重合体は、共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを含有し、ブチレン単位の含有量が0mol%である(以下、「本発明の共重合体」と称することがある)。本発明の共重合体には、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン(SEBS)といった、スチレン-ブタジエン共重合体の水添物は含まれない。
本発明の共重合体は、共役ジエン単位を含むことから、ゴム成分としても機能する。
なお、本発明の共重合体が、共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位との3単位のみを含有する場合、本発明の共重合体を「三元共重合体」と称することがある。「三元」は共重合体が3つの異なる構成単位を含有することを意味する。共重合体が、共役ジエン単位、非共役オレフィン単位、及び芳香族ビニル単位の3単位に加え、更に1つ以上の他の単位を含有する場合、構成単位の数に応じて、「四元」、「五元」のように称する。三元以上を多元と称する。従って、本発明の共重合体は、共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位との少なくとも3単位を含む多元共重合体である。
本発明の共重合体は、少なくとも共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを含有するが、共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位のみからなっていてもよいし、さらにブチレン単位以外の他の単量体単位を含有していてもよい。
(共役ジエン単位)
共役ジエン単位は、単量体としての共役ジエン化合物に由来する構成単位である。
ここで、共役ジエン化合物とは、共役系のジエン化合物を指す。共役ジエン化合物は、炭素数が4~8であることが好ましい。かかる共役ジエン化合物として、具体的には、1,3-ブタジエン、イソプレン、1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、ミルセン等が挙げられる。共役ジエン化合物は、一種単独であってもよいし、二種以上の組み合わせであってもよい。
共重合体の単量体としての共役ジエン化合物は、優れた引張強度及び伸びを得るとともに、柔軟性を高めるとの観点から、1,3-ブタジエン及びイソプレンからなる群より選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、1,3-ブタジエン及びイソプレンからなる群より選択される少なくとも1つのみからなることがより好ましく、1,3-ブタジエンのみからなることがさらに好ましい。
別の言い方をすると、共重合体における共役ジエン単位は、1,3-ブタジエン単位及びイソプレン単位からなる群より選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、1,3-ブタジエン単位及びイソプレン単位からなる群より選択される少なくとも1つのみからなることがより好ましく、1,3-ブタジエン単位のみからなることがさらに好ましい。
共重合体は、共役ジエン単位の含有量が、4mol%以上であることが好ましく、5mol%以上であることがさらに好ましく、6mol%以上であることがより好ましく、また、70mol%以下であることが好ましく、60mol%以下であることがさらに好ましく、50mol%以下であることがより一層好ましい。
共役ジエン単位の含有量が、共重合体全体の4mol%以上であることにより、引張強度が高く、伸びに優れる架橋物が得られ、また、70mol%以下であると、モジュラスの高い架橋物が得られる。
共役ジエン単位の含有量は、共重合体全体の4~70mol%の範囲がより好ましく、5~60mol%の範囲が更に好ましく、6~50mol%の範囲が特に好ましい。
(非共役オレフィン単位)
非共役オレフィン単位は、単量体としての非共役オレフィン化合物に由来する構成単位である。
ここで、非共役オレフィン化合物とは、脂肪族不飽和炭化水素で、炭素-炭素二重結合を1個以上有する化合物を指す。非共役オレフィン化合物は、炭素数が2~10であることが好ましい。かかる非共役オレフィン化合物として、具体的には、エチレン、プロピレン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン等のα-オレフィン、ピバリン酸ビニル、1-フェニルチオエテン、N-ビニルピロリドン等のヘテロ原子置換アルケン化合物等が挙げられる。非共役オレフィン化合物は、一種単独であってもよいし、二種以上の組み合わせであってもよい。
共重合体の単量体としての非共役オレフィン化合物は、引張強度及びモジュラスを向上させるとの観点から、非環状の非共役オレフィン化合物であることが好ましく、また、非環状の非共役オレフィン化合物は、α-オレフィンであることがより好ましく、エチレンを含むα-オレフィンであることがさらに好ましく、エチレンのみからなることが特に好ましい。
別の言い方をすると、共重合体における非共役オレフィン単位は、非環状の非共役オレフィン単位であることが好ましく、また、当該非環状の非共役オレフィン単位は、α-オレフィン単位であることがより好ましく、エチレン単位を含むα-オレフィン単位であることがさらに好ましく、エチレン単位のみからなることが特に好ましい。
共重合体は、非共役オレフィン単位の含有量が、25mol%以上であることが好ましく、35mol%以上であることが好ましく、45mol%以上であることがよりに好ましく、また、95mol%以下であることが好ましく、90mol%以下であることがより好ましい。
非共役オレフィン単位の含有量が、共重合体全体の25mol%以上であると、結果として共役ジエン単位又は芳香族ビニル単位の含有量が減少して、架橋物の引張強度及びモジュラスが向上する。また、非共役オレフィン単位の含有量が95mol%以下であると、結果として共役ジエン単位又は芳香族ビニル単位の含有量が増加し、架橋物の伸びが向上する。
また、非共役オレフィン単位の含有量は、共重合体全体の25~95mol%の範囲が好ましく、35~95mol%の範囲が好ましく、45~90mol%の範囲がより好ましい。
(芳香族ビニル単位)
芳香族ビニル単位は、単量体としての芳香族ビニル化合物に由来する構成単位である。共重合体が芳香族ビニル単位を含有することで、引張強度を向上させることができるとともに、共重合体に柔軟性を付与することができる。
ここで、芳香族ビニル化合物とは、少なくともビニル基で置換された芳香族化合物を指し、共役ジエン化合物には包含されないものとする。芳香族ビニル化合物は、炭素数が8~10であることが好ましい。かかる芳香族ビニル化合物としては、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、o,p-ジメチルスチレン、o-エチルスチレン、m-エチルスチレン、p-エチルスチレン等が挙げられる。芳香族ビニル化合物は、一種単独であってもよいし、二種以上の組み合わせであってもよい。
共重合体の単量体としての芳香族ビニル化合物は、引張強度、柔軟性、及び、モノマーの入手容易性の観点から、スチレンを含むことが好ましく、スチレンのみからなることがより好ましい。別の言い方をすると、共重合体における芳香族ビニル単位は、スチレン単位を含むことが好ましく、スチレン単位のみからなることがより好ましい。
なお、芳香族ビニル単位における芳香族環は、隣接する単位と結合しない限り、共重合体の主鎖には含まれない。
共重合体は、芳香族ビニル単位の含有量が、1mol%以上であることが好ましく、2mol%以上であることがより好ましく、また、30mol%以下であることが好ましく、25mol%以下であることがより好ましく、20mol%以下であることが更に好ましく,15mol%以下であることが特に好ましい。芳香族ビニル単位の含有量が1mol%以上であると、モジュラスに優れつつ、引張強度及び伸びも優れる架橋物となる。また、芳香族ビニル単位の含有量が30mol%以下であると、共役ジエン単位及び非共役オレフィン単位による効果が顕著になる。また、芳香族ビニル単位の含有量は、共重合体全体の1~30mol%の範囲が好ましく、1~25mol%の範囲がより好ましく、2~20mol%の範囲がより一層好ましく、2~15mol%の範囲が特に好ましい。
共重合体の単量体の種類の数としては、共重合体が共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを含有し、ブチレン単位を含まない構成である限り、特に制限はない。共重合体は、共役ジエン単位、非共役オレフィン単位、及び芳香族ビニル単位以外の、その他の構成単位(ブチレン単位を除く)を有していてもよいが、その他の構成単位の含有量は、所望の効果を得る観点から、共重合体全体の30mol%以下であることが好ましく、20mol%以下であることがより好ましく、10mol%以下であることがさらに好ましく、含有しないこと、即ち、含有量が0mol%であることが特に好ましい。
前記共重合体は、架橋物の引張強度及び伸びを高くするとともに、高いモジュラスを有する架橋物とする観点から、単量体として、一種のみの共役ジエン化合物、一種のみの非共役オレフィン化合物、及び一種の芳香族ビニル化合物を少なくとも用いて重合してなる重合体であることが好ましい。
別の言い方をすると、共重合体は、一種のみの共役ジエン単位、一種のみの非共役オレフィン単位、及び一種のみの芳香族ビニル単位を含有する共重合体であることが好ましく、一種のみの共役ジエン単位、一種のみの非共役オレフィン単位、及び一種のみの芳香族ビニル単位のみからなる三元共重合体であることがより好ましく、1,3-ブタジエン単位、エチレン単位、及びスチレン単位のみからなる三元共重合体であることがさらに好ましい。ここで、「一種のみの共役ジエン単位」には、異なる結合様式の共役ジエン単位が包含される。
共重合体は、架橋物のモジュラス、引張強度及び伸びをバランスさせる観点から、共役ジエン単位の含有量が4~70mol%で、非共役オレフィン単位の含有量が25~95mol%で、且つ、前記芳香族ビニル単位の含有量が1~30mol%であることが好ましい。
共重合体は、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が50,000~2,000,000であることが好ましく、100,000~2,000,000であることがより好ましく、150,000~1,000,000であることがさらに好ましい。共重合体のMwが50,000以上であることにより、架橋物の機械的強度を十分に確保することができ、また、Mwが2,000,000以下であることにより、組成物の作業性を損ねにくい。
共重合体は、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が30,000~1,500,000であることが好ましく、50,000~1,200,000であることがより好ましく、60,000~1,000,000であることがさらに好ましい。共重合体のMnが30,000以上であることにより、架橋物の引張強度及び伸びを十分に確保することができ、また、Mnが1,500,000以下であることにより、組成物の作業性を損ねにくい。
共重合体は、分子量分布[Mw/Mn(重量平均分子量/数平均分子量)]が1.00~4.00であることが好ましく、1.30~3.70であることがより好ましく、1.50~3.50であることがさらに好ましい。共重合体の分子量分布が4.00以下であれば、共重合体の物性に十分な均質性をもたらすことができる。
なお、共重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準物質として求める。
共重合体は、0~120℃における示差走査熱量計(DSC)で測定した吸熱ピークエネルギーが10~150J/gであることが好ましく、30~120J/gであることがさらに好ましい。共重合体の吸熱ピークエネルギーが10J/g以上であれば、共重合体の結晶性が高くなり、共重合体のモジュラス及び引張強度をさらに向上することができる。また、共重合体の吸熱ピークエネルギーが150J/g以下であれば、組成物の作業性が向上する。
共重合体の吸熱ピークエネルギーは、示差走査熱量計を用い、JIS K 7121-1987に準拠して、例えば、10℃/分の昇温速度で-150℃から150℃まで昇温して測定すればよい。
共重合体は、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が30~130℃であることが好ましく、35~120℃であることがより好ましく、40~110℃であることがさらに好ましい。共重合体の融点が30℃以上であれば、共重合体の結晶性が高くなり、共重合体のモジュラス及び引張強度をさらに向上することができる。また、共重合体の融点が130℃以下であれば、組成物の作業性が向上する。
共重合体の融点は、示差走査熱量計を用い、JIS K 7121-1987に準拠して測定すればよい。
なお、共重合体は融点を有さなくても良い。融点を有さないことにより、加工性及び柔軟性が向上するという効果を奏する。
共重合体は、示差走査熱量計(DSC)で測定したガラス転移温度(Tg)が0℃以下であることが好ましく、-130~-10℃であることがより好ましく、-120~-15℃であることがさらに好ましい。共重合体のガラス転移温度が0℃以下であれば、作業性をさらに向上することができる。
共重合体のガラス転移温度は、示差走査熱量計を用い、JIS K 7121-1987に準拠して測定すればよい。
共重合体は、結晶化度が0.5~50%であることが好ましく、3~45%であることがさらに好ましく、5~45%であることがより一層好ましい。共重合体の結晶化度が0.5%以上であれば、非共役オレフィン単位に起因する共重合体の結晶性を十分に確保して、架橋物のモジュラス及び引張強度をさらに向上することができる。また、共重合体の結晶化度が50%以下であれば、組成物の混練の際の作業性、及び押出加工性が向上する。
共重合体の結晶化度は、100%結晶成分のポリエチレンの結晶融解エネルギーと、共重合体の融解ピークエネルギーを測定し、ポリエチレンと共重合体とのエネルギー比率から、結晶化度を算出すればよい。また、融解ピークエネルギーは、示差走査熱量計で測定することができる。
共重合体は、主鎖が非環状構造のみからなることが好ましい。これにより、架橋物の伸びをさらに向上することができるとともに、柔軟性を付与することができる。
なお、共重合体の主鎖が環状構造を有するか否かの確認には、NMRが主要な測定手段として用いられる。具体的には、主鎖に存在する環状構造に由来するピーク(例えば、三員環~五員環については、10~24ppmに現れるピーク)が観測されない場合、その共重合体の主鎖は、非環状構造のみからなることを示す。
なお、本発明において、重合体の主鎖とは、それ以外のすべての分子鎖(長分子鎖または短分子鎖、あるいはその両方)が、ペンダントのように連なる線状分子鎖を意味する〔「Glossary of Basic Terms in Polymer Science IUPAC Recommendations 1996」, Pure Appl. Chem., 68, 2287-2311 (1996) のセクション1.34参照〕
また、非環状構造とは、直鎖状構造又は分岐状構造を意味する。
共重合体は、共役ジエン化合物と、非共役オレフィン化合物と、芳香族ビニル化合物とを単量体として用いる重合工程を経て製造でき、さらに、必要に応じ、カップリング工程、洗浄工程、及びその他の工程を経てもよい。
ここで、共重合体の製造においては、重合触媒の存在下で、共役ジエン化合物を添加せずに非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物のみを添加し、これらをまず重合させることが好ましい。特に後述の触媒組成物を使用する場合には、非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物より共役ジエン化合物の方が、反応性が高いことから、共役ジエン化合物の存在下で非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物のいずれか一方または両方を重合させにくい。また、先に共役ジエン化合物を重合させ、後に非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物を付加的に重合させることも、触媒の特性上困難となり易い。
重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法、液相塊状重合法、乳化重合法、気相重合法、固相重合法等の任意の方法を用いることができる。また、重合反応に溶媒を用いる場合、かかる溶媒としては、重合反応において不活性なものであればよく、例えば、トルエン、シクロヘキサン、ノルマルヘキサン等が挙げられる。
重合工程は、一段階で行ってもよく、二段階以上の多段階で行ってもよい。
一段階の重合工程とは、重合させる全ての種類の単量体、即ち、共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物、芳香族ビニル化合物、及びその他の単量体、好ましくは、共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物、及び芳香族ビニル化合物を一斉に反応させて重合させる工程である。
また、多段階の重合工程とは、1種類又は2種類の単量体の一部又は全部を最初に反応させて重合体を形成し(第1重合段階)、次いで、第1重合段階で添加しなかった種類の単量体、第1重合段階で添加した単量体の残部等を添加して重合させる1以上の段階(第2重合段階~最終重合段階)を行って重合させる工程である。特に、共重合体の製造では、重合工程を多段階で行うことが好ましい。
重合工程において、重合反応は、不活性ガス、好ましくは窒素ガス又はアルゴンガスの雰囲気下において行われることが好ましい。重合反応の重合温度は、特に制限されないが、例えば、-100℃~200℃の範囲が好ましく、室温程度とすることもできる。また、上記重合反応の圧力は、共役ジエン化合物を十分に重合反応系中に取り込むため、0.1~10.0MPaの範囲が好ましい。
また、重合反応の反応時間も特に制限がなく、例えば、1秒~10日の範囲が好ましいが、重合触媒の種類、重合温度等の条件によって適宜選択することができる。
また、共役ジエン化合物の重合工程においては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の重合停止剤を用いて、重合を停止させてもよい。
重合工程は、多段階で行うことが好ましい。より好ましくは、少なくとも芳香族ビニル化合物を含む第1単量体原料と、重合触媒とを混合して重合混合物を得る第1工程と、前記重合混合物に対し、共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を含む第2単量体原料を導入する第2工程とを実施することが好ましい。さらに、第1単量体原料が共役ジエン化合物を含まず、且つ第2単量体原料が共役ジエン化合物を含むことがより好ましい。
第1工程で用いる第1単量体原料は、芳香族ビニル化合物とともに、非共役オレフィン化合物を含有してもよい。また、第1単量体原料は、使用する芳香族ビニル化合物の全量を含有してもよく、一部のみを含有してもよい。また、非共役オレフィン化合物は、第1単量体原料及び第2単量体原料の少なくともいずれかに含有される。
第1工程は、反応器内で、不活性ガス、好ましくは窒素ガス又はアルゴンガスの雰囲気下において行われることが好ましい。第1工程における温度(反応温度)は、特に制限はないが、例えば、-100℃~200℃の範囲が好ましく、室温程度とすることもできる。また、第1工程における圧力は、特に制限はないが、芳香族ビニル化合物を十分に重合反応系中に取り込むため、0.1~10.0MPaの範囲が好ましい。また、第1工程に費やす時間(反応時間)は、重合触媒の種類、反応温度等の条件によって適宜選択することができるが、例えば、反応温度を25~80℃とした場合には、5分~500分の範囲が好ましい。
第1工程において、重合混合物を得るための重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法、液相塊状重合法、乳化重合法、気相重合法、固相重合法等の任意の方法を用いることができる。また、重合反応に溶媒を用いる場合、かかる溶媒としては、重合反応において不活性なものであればよく、例えば、トルエン、シクロヘキサノン、ノルマルヘキサン等が挙げられる。
第2工程で用いる第2単量体原料は、共役ジエン化合物のみ、又は、共役ジエン化合物及び非共役オレフィン化合物、又は、共役ジエン化合物及び芳香族ビニル化合物、又は、共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物であることが好ましい。
なお、第2単量体原料が、共役ジエン化合物以外に非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物よりなる群から選択される少なくとも1つを含む場合には、予めこれらの単量体原料を溶媒等と共に混合した後に重合混合物に導入してもよく、各単量体原料を単独の状態から導入してもよい。また、各単量体原料は、同時に添加してもよく、逐次添加してもよい。
第2工程において、重合混合物に対して第2単量体原料を導入する方法としては、特に制限はないが、各単量体原料の流量を制御して、重合混合物に対して連続的に添加すること(所謂、ミータリング)が好ましい。ここで、重合反応系の条件下で気体である単量体原料(例えば、室温、常圧の条件下における非共役オレフィン化合物としてのエチレン等)を用いる場合には、所定の圧力で重合反応系に導入することができる。
第2工程は、反応器内で、不活性ガス、好ましくは窒素ガス又はアルゴンガスの雰囲気下において行われることが好ましい。第2工程における温度(反応温度)は、特に制限はないが、例えば、-100℃~200℃の範囲が好ましく、室温程度とすることもできる。なお、反応温度を上げると、共役ジエン単位におけるシス-1,4結合の選択性が低下することがある。また、第2工程における圧力は、特に制限はないが、共役ジエン化合物等の単量体を十分に重合反応系に取り込むため、0.1~10.0MPaの範囲が好ましい。また、第2工程に費やす時間(反応時間)は、重合触媒の種類、反応温度等の条件によって適宜選択することができるが、例えば、0.1時間~10日の範囲が好ましい。
また、第2工程においては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の重合停止剤を用いて、重合反応を停止させてもよい。
ここで、上記の共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物、芳香族ビニル化合物の重合工程は、触媒成分として、下記(A)~(F)成分の1種以上の存在下で、各種単量体を重合させる工程を含むことが好ましい。なお、重合工程には、下記(A)~(F)成分を1種以上用いることが好ましいが、下記(A)~(F)成分の2種以上を組み合わせて、触媒組成物として用いることがさらに好ましい。
(A)成分:希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物
(B)成分:有機金属化合物
(C)成分:アルミノキサン
(D)成分:イオン性化合物
(E)成分:ハロゲン化合物
(F)成分:置換又は無置換のシクロペンタジエン(シクロペンタジエニル基を有する化合物)、置換又は無置換のインデン(インデニル基を有する化合物)、及び、置換又は無置換のフルオレン(フルオレニル基を有する化合物)から選択されるシクロペンタジエン骨格含有化合物
上記(A)~(F)成分については、例えば、国際公開第2018/092733等を参照することによって、重合工程に用いることができる。
カップリング工程は、重合工程において得られた共重合体の高分子鎖の少なくとも一部(例えば、末端)を変性する反応(カップリング反応)を行う工程である。
カップリング工程において、重合反応が100%に達した際にカップリング反応を行うことが好ましい。
カップリング反応に用いるカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビス(マレイン酸-1-オクタデシル)ジオクチルスズ(IV)等のスズ含有化合物;4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;グリシジルプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ビス(マレイン酸-1-オクタデシル)ジオクチルスズ(IV)が、反応効率と低ゲル生成の点で、好ましい。
なお、カップリング反応を行うことにより、多元重合体の数平均分子量(Mn)を増加することができる。
洗浄工程は、重合工程において得られた共重合体を洗浄する工程である。
なお、洗浄に用いる媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどが挙げられるが、重合触媒としてルイス酸由来の触媒を使用する際は、特にこれらの溶媒に対して酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸等)を加えて使用することができる。添加する酸の量は溶媒に対して15mol%以下が好ましい。添加量が15mol%以下であることで、酸が共重合体中に残存しにくく、組成物の混練及び加硫時の反応に悪影響を及ぼしにくい。
この洗浄工程により、共重合体中の触媒残渣量を好適に低下させることができる。
<パーオキサイド架橋剤>
本発明で用いられるパーオキサイド架橋剤は、有機過酸化物であることがより好ましい。
有機過酸化物としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、1,3-ビス[(t-ブチルパーオキシ)イソプロピル]ベンゼン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサン、ジイソブチリルパーオキサイド、クミルパーオキシネオデカノエート、ジ-n-プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジ(4-t-ブチルシクロへキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジコハク酸パーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ(3-メチルベンゾイル)パーオキサイド、ベンゾイル(3-メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)-2-メチルシクロヘキサン、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、2,2-ジ(4,4-ジ-(t-ブチルパーオキシ)シクロへキシル)プロパン、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシマレイン酸、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート、t-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシ2-エチルヘキシルモノカーボネート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5-ジ-メチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシアセテート、2,2-ジ-(t-ブチルパーオキシ)ブタン、t-ブチルパーオキシベンゾエート、n-ブチル4,4-ジ-(t-ブチルパーオキシ)バレレート、ジ(2-t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジ-t-ヘキシルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、p-メンタンヒドロパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、1,1,3,3-テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t-ブチルヒドロパーオキサイド、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
中でも、ジクミルパーオキサイド、1,3-ビス[(t-ブチルパーオキシ)イソプロピル]ベンゼン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)-3,5,5-トリメチルシクロヘキサンが特に好ましい。
パーオキサイド架橋剤の含有量は、本発明の共重合体に対して1~20質量%であることが好ましい。パーオキサイド架橋剤の含有量が、共重合体に対して1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であることにより、該共重合体を十分に架橋させることができる。また、高い引張強度と優れた伸びを有する共重合体を得るとの観点から、パーオキサイド架橋剤の含有量は、共重合体に対して20質量%以下であることが好ましく、18質量%以下であることがより好ましく、15質量%以下であることが更に好ましい。
<老化防止剤>
組成物は、架橋物の引張強度及び伸びをより向上する観点から、老化防止剤を含有していることが好ましい。また、組成物を溶融混練等する際に、共役ジエン単位が高温でゲル化を生じることを抑制するため、組成物は老化防止剤を含有していることが望ましい。
老化防止剤としては、例えば、アミン-ケトン系化合物、イミダゾール系化合物、アミン系化合物、フェノール系化合物、硫黄系化合物及びリン系化合物等が挙げられる。
組成物は、分岐アルキル基を有するフェニル基を2つ以上含む老化防止剤を含有することが特に好ましい。分岐アルキル基を有するフェニル基を2つ以上含む老化防止剤を用いることにより、共重合体のゲル化を効果的に抑制することもできる。
より具体的には、当該老化防止剤は、下記式(1)又は(2)で表される構造を有していることが好ましい。
Figure 2022086276000001
Figure 2022086276000002
式(1)及び式(2)において、R~R、R11~R18、及び、R21~R24は、水素原子、直鎖アルキル基、環状アルキル基、又は分岐アルキル基であり、R~Rのうち少なくとも1つ;並びに、R11~R18及びR21~R24のうち少なくとも1つは、分岐アルキル基である。R~R、R11~R18、及び、R21~R24は、互いに同じであってもよいし、異なっていてもよい。Rは、炭化水素基である。A及びAは、連結基である。Eは、3価のヘテロ原子である。
直鎖アルキル基は、炭素数が1~12であることが好ましく、1~8であることがより好ましく、1~5であることが更に好ましく、1~3であることがより更に好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ぺンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ドデシル基等が挙げられる。直鎖アルキル基は、ハロゲン原子等の置換基を更に有していてもよい。
直鎖アルキル基は、以上の中でも、無置換の直鎖アルキル基であることが好ましく、メチル基、エチル基、又はn-プロピル基がより好ましい。
環状アルキル基は、炭素数が5~12であることが好ましく、6~12であることがより好ましく、6~8であることが更に好ましい。具体的には、例えば、シクロぺンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。環状アルキル基は、炭素数1~3のアルキル基、ハロゲン原子等の置換基を更に有していてもよい。
環状アルキル基は、以上の中でも、無置換の環状アルキル基であることが好ましく、シクロヘキシル基がより好ましい。
分岐アルキル基は、炭素数が3~12であることが好ましく、3~8であることがより好ましく、4~8であることが更に好ましく、4~6であることがより更に好ましい。具体的には、例えば、イソプロピル基、2-ブチル基、tert-ブチル基、tert-ペンチル基、2-ヘキシル基、2-ヘプチル基、2-オクチル基、2-ドデシル基等が挙げられる。分岐アルキル基は、ハロゲン原子等の置換基を更に有していてもよい。
分岐アルキル基は、以上の中でも、無置換の分岐アルキル基であることが好ましく、イソプロピル基、2-ブチル基、tert-ブチル基、又はtert-ペンチル基がより好ましく、tert-ブチル基又はtert-ペンチル基が更に好ましい。
で表される炭化水素基は、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基等が挙げられる。
アルキル基としては、R~R等で例示した直鎖アルキル基、環状アルキル基、及び分岐アルキル基が挙げられ、好ましい範囲も同様である。
アルケニル基及びアルキニル基は、炭素数2~8であることが好ましく、例えば、ビニル基等が挙げられる。
及びAで表される連結基としては、炭素数1~6の2価の炭化水素基が挙げられ、2価以上のヘテロ原子を含んでもよい。炭化水素基の炭化水素は、飽和炭化水素であっても、不飽和炭化水素であってもよい。中でも、連結基は、飽和炭化水素基であることが好ましく、炭素数は1~5であることが好ましく、1~4であることがより好ましい。
2価以上のヘテロ原子は、例えば、酸素原子、硫黄原子等が挙げられる。
連結基は、更に、ハロゲン原子、メチル基、エチル基等の置換基を有していてもよい。
Eで表される3価のヘテロ原子としては、硫黄原子、リン原子等が挙げられ、中でも、リン原子であることが好ましい。
式(1)においては、R~Rのうち少なくとも1つ、及び、R~Rのうち少なくとも1つが、それぞれ、分岐アルキル基を有することが好ましい。また、式(2)においては、R11~R14から選択される基Ra;R15~R18から選択される基Rb;及び、R21~R24から選択される基Rcからなる群より選択される少なくとも2つが、分岐アルキル基を有することが好ましい。
更に、分岐アルキル基を有するフェニル基は、複数の分岐アルキル基を有することが好ましい。
中でも、R~Rのうち少なくとも2つ;R~Rのうち少なくとも2つ;R11~R14のうち少なくとも2つ;及び、R15~R18のうち少なくとも2つが、分岐アルキル基であることが好ましい。
式(1)は次の構造であることが好ましい。
及びRが分岐アルキル基;R、R、R及びRが水素原子;R及びRが分岐アルキル基又は直鎖アルキル基;Rが不飽和炭化水素基;Aが2価の飽和炭化水素基。
式(1)は次の構造であることがより好ましい。
及びRが炭素数3~6の無置換の分岐アルキル基;R、R、R及びRが水素原子;R及びRが炭素数4~5の無置換の分岐アルキル基又は炭素数1~3の無置換の直鎖アルキル基;Rが無置換のビニル基;Aがアルキル基で置換された、もしくは無置換のメチレン基。
式(2)は次の構造であることが好ましい。
11、R13、R16、R18及びR21が分岐アルキル基;R12、R14、R15、R17、R22及びR23が水素原子;R24が直鎖アルキル基;Aが酸素原子を含む2価の飽和炭化水素基;Eが硫黄原子又はリン原子。
式(2)は次の構造であることがより好ましい。
11、R13、R16、R18及びR21が炭素数3~5の無置換の分岐アルキル基;R12、R14、R15、R17、R22及びR23が水素原子;R24が炭素数1~3の無置換の直鎖アルキル基;Aが炭素数2~5の無置換のアルキレンオキシ基(-OR-において、Rが炭素数2~5の無置換のアルキレン);Eがリン原子。
式(1)で表される構造を有する化合物は、下記式(3)又は(4)で表される構造を有する化合物であることが更に好ましい。
また、式(2)で表される構造を有する化合物は、下記式(5)で表される構造を有する化合物であることが更に好ましい。
Figure 2022086276000003
Figure 2022086276000004
Figure 2022086276000005
分岐アルキル基を有するフェニル基を2つ以上含む老化防止剤としては、以上の中でも、上記式(4)又は(5)で表される構造を有する化合物であることがより更に好ましい。
分岐アルキル基を有するフェニル基を2つ以上含む老化防止剤は、既述の構造の化合物を、1種のみ用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
組成物中の老化防止剤の含有量は、本発明の共重合体100質量部に対して0.1~15質量部であることが好ましく、0.5~10質量部であることがより好ましく、1.0~8質量部であることが更に好ましい。
<各種成分>
組成物は、樹脂工業界で通常使用される配合剤、例えば、エラストマー成分、樹脂成分、充填剤、軟化剤、ステアリン酸、亜鉛華、架橋促進剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で架橋物の特性を向上させるために、適宜選択して含有していてもよい。
<<エラストマー成分>>
エラストマー成分としては、本発明の共重合体以外のゴム成分、及び、熱可塑性エラストマーが挙げられる。
(1)ゴム成分
本発明の共重合体以外のゴム成分としては、例えば、ジエン系ゴムが挙げられる。
ジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)及び合成ジエン系ゴムが挙げられる。
合成ジエン系ゴムは、具体的には、ポリイソプレンゴム(IR)、ポリブタジエンゴム(BR)、スチレン-ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニリトル-ブタジエンゴム(NBR)、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)等が挙げられる。
ジエン系ゴムは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。また、ジエン系ゴムは変性されていてもよい。また、ジエン系ゴムは水添されていてもよい。
ゴム成分は、非ジエン系ゴムを含んでいてもよい。
例えば、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)を含有する非共役ジエン化合物-非共役オレフィン共重合体と、本発明の共重合体とを含む組成物を架橋させた場合は、耐候性、耐破壊性及び耐亀裂性に優れるゴムとなる。更に、組成物がパーオキサイド架橋剤により架橋されることにより、モジュラス及び引張強度にも優れるゴムとすることができる。
なお、EPDMを含む共重合体の含有量は、EPDMを含む共重合体及び本発明の共重合体の合計量中、28質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、35質量%以上であることが更に好ましく、90質量%未満であることが好ましく、85質量%以下であることがより好ましく、80質量%未満であることが更に好ましい。
EPDMを含む共重合体は、非共役ジエン化合物と非共役オレフィンとの共重合体であり、共重合体におけるモノマー単位成分として非共役オレフィンを含む。また、EPDMを含む共重合体中のジエン含有量は、10%以下であることが好ましい。
EPDMは、エチレンとプロピレンとの共重合体であるエチレンプロピレンゴム(EPM)に、少量の第3成分を導入し、主鎖中に二重結合をもたせた構造を有する。第3成分の種類、量等の違いにより様々な合成ゴムがあり、代表的な第3成分としては、エチリデンノルボルネン(ENB)、1,4-ヘキサジエン(1,4-HD)、ジシクロペンタジエン(DCP)等が挙げられる。
また、EPDMを含む共重合体中のEPDMの含有量は、10質量%以上であることが好ましく、40質量%以上であることがより好ましく、70質量%以上であることが更に好ましく、100質量%であってもよい。
EPDMを含む共重合体において、モノマーとして用いる非共役オレフィンは、共役ジエン化合物以外の非共役オレフィンであり、EPDMを含む共重合体に優れた耐熱性をもたらす。また、EPDMを含む共重合体が非共役オレフィンを含むことで、該共重合体の主鎖中に占める二重結合の割合を減らし、結晶性を低下させ、エラストマーとしての設計自由度を高めることが可能となる。
非共役オレフィンは、非環状オレフィンであることが好ましく、また、該非共役オレフィンの炭素数は2~10であることが好ましい。従って、上記非共役オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン等のα-オレフィンが好適に挙げられ、これらの中でも、エチレン、プロピレン及び1-ブテンが好ましく、エチレンが特に好ましい。α-オレフィンはオレフィンのα位に二重結合を有するため、共役ジエンとの共重合を効率よく行うことができる。これら非共役オレフィンは、単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、オレフィンは、脂肪族不飽和炭化水素で、炭素-炭素二重結合を1個以上有する化合物を指す。また、非共役オレフィンのモノマー単位からなるブロック部分を備える場合には、静的結晶性を示すため、破断強度等の機械的性質に優れることができる。
なお、非環状とは、直鎖状又は分岐状であることを意味する。
EPDMを含む共重合体において、モノマーとして用いる非共役ジエン化合物は、エチリデンノルボルネン(ENB)、1,4-ヘキサジエン(1,4-HD)、ジシクロペンタジエン(DCP)等が挙げられ、この中でも、エチリデンノルボルネン(ENB)が好ましい。
(2)熱可塑性エラストマー
熱可塑性エラストマーとして、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、エステル系エラストマー、ウレタン系エラストマー、アミド系エラストマー、及び、硬質塩ビ系エラストマーが挙げられる。本発明では、これらのエラストマーを単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
<<樹脂成分>>
本発明の組成物は、本発明の共重合体以外の樹脂成分を含んでいてもよい。本発明に適用できる樹脂成分としては、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいずれであっても良い。例えば、樹脂成分としては、ポリアミド系樹脂;ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂等のオレフィン系樹脂;エポキシ系樹脂;ウレタン系樹脂;シリコン系樹脂;塩ビ系樹脂;メラミン樹脂;フェノール系樹脂等が挙げられる。本発明の組成物に樹脂成分を含有させる場合には、必要に応じて相溶剤を添加することが好ましい。
<<充填剤>>
組成物は、充填剤を含有していてもよい。
組成物が充填剤を含有することで、架橋物の耐摩耗等の特性を向上することができる。
充填剤は、特に制限されず、例えば、組成物を補強する補強性充填剤が用いられる。補強性充填剤としては、例えば、シリカ、カーボンブラック、タルク、繊維、炭酸カルシウム、酸化チタン、黒鉛、金属粉、クレー、マイカ、ガラスフレーク、チタン酸カルシウム、アルミナ、エバール、吸水用高分子ゲル等が挙げられ、これらのいずれか1つを単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。中でも、シリカ、カーボンブラック、タルク、繊維、及び炭酸カルシウムがより好ましい。
(カーボンブラック)
カーボンブラックは、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。カーボンブラックは、例えば、FEF、SRF、HAF、ISAF、SAFグレードのものが好ましく、HAF、ISAF、SAFグレードのものがより好ましい。
(シリカ)
シリカは特に限定されず、一般グレードのシリカ、シランカップリング剤などで表面処理を施した特殊シリカなど、用途に応じて使用することができる。シリカは、例えば、湿式シリカを用いることが好ましい。
(繊維)
繊維は特に限定されず、ガラス繊維、セルロース繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、石膏繊維を目的に応じて選択することができる。中でも、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、及びセルロース繊維がより好ましい。
[組成物の製造方法]
本発明の組成物は、本発明の共重合体及び架橋剤のほか、老化防止剤等の各成分を配合して、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサー、単軸押出混練機、2軸押出混練機等の混練機を用いて混練することによって、製造することができる。
組成物の製造で配合する各成分は、組成物中の各成分の含有量として示した量を配合量として配合することが好ましい。
各成分の混練は、全一段階で行ってもよいし、二段階以上に分けて行ってもよい。
[架橋物]
本発明の架橋物は、本発明の組成物を用いてなる。本発明の組成物から得た架橋物は、引張強度及び伸びに優れるとともに、高いモジュラスを有する。
本発明の架橋物は、種々のゴム製品及び樹脂製品に適用することができる。
例えば、タイヤ及び自動車用部品(自動車用シート、自動車用電池(リチウムイオン電池等)、ウェザーストリップ類、ホースチューブ類、防振ゴム類、ケーブル類、シール材等)に好適である。
その他、本発明の組成物は、コンベアベルト、クローラー、防振ゴム、ホース、樹脂配管、吸音材、寝具、事務機器用精密部品(OAローラー)、自転車用フレーム、ゴルフボール、テニスラケット、ゴルフシャフト、樹脂添加剤、フィルター、接着剤、粘着剤、インキ、医療器具(医療用チューブ、バック、マイクロニードル、ゴムスリーブ、人工臓器、キャップ、パッキン、注射器ガスケット、薬栓、義足、義肢)、化粧品(UVパウダー、パフ、容器、ワックス、シャンプー、コンディショナー)、洗剤、建築材料(フロア材、制震ゴム、免震ゴム、建築フィルム、吸音材、防水シート、断熱材、目地材、シール材)、包装材、液晶材料、有機EL材料、有機半導体材料、電子材料、電子デバイス、通信機器、航空機部品、機械部品、電子部品、農業用資材、電線、ケーブル、繊維(ウェアラブル基盤)、日用品(歯ブラシ、靴底、眼鏡、疑似餌、双眼鏡、玩具、防塵マスク、ガーデンホース)、ロボット部品、光学部品、道路資材(アスファルト、ガードレール、ポール、標識)、保護具(靴、防弾チョッキ)、電気機器外装部品、OA外装部品、ソール、シール材等に好適である。
なお、上記において、OAはoffice automation、UVはultraviolet、ELはelectro- luminescenceを意味する。
例えば、本発明の共重合体を他のゴム成分(天然ゴムなど)と混合し、パーオキサイド架橋剤により架橋させて得た本発明の架橋物をタイヤに適用した場合、タイヤの耐久性を向上させることができる。
また、本発明の共重合体をポリアミド系樹脂と混合し、パーオキサイド架橋剤により架橋させて得た架橋物は、引張強度及び伸びに優れ、高いモジュラスを示すことから、バン
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
[共重合体1~3の製造]
1.共重合体1(本発明の共重合体)の合成方法
十分に乾燥した2000mL耐圧ステンレス反応器に、スチレン70gとトルエン613gを加えた。
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にモノ((1-ベンジルジメチルシリル-3-メチル)インデニル)ビス(ビス(ジメチルシリル)アミド)ガドリニウム錯体(1-BenzyldimethylSi-3-Methyl]Gd[N(SiHMe])0.075mmol、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[PhCB(C]0.075mmol、トリイソブチルアルミニウム0.75mmolを仕込み、トルエン20mLを加えて触媒溶液とした。該触媒溶液を耐圧ステンレス反応器に加え、60℃に加温した。
次いで、エチレンを圧力1.5MPaにて上記耐圧ステンレス反応器に投入し、75℃で計4時間共重合を行った。反応中、1,3-ブタジエン18gを含むトルエン溶液67gを、連続的に0.3~0.4mL/minの速度でを加えた。
次いで、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)(NS-5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLを耐圧ステンレス反応器に加え、反応を停止させた。
次いで、大量のメタノールを用いて共重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、共重合体1を得た。
2.共重合体2(本発明の共重合体)の合成方法
十分に乾燥した2000mL耐圧ステンレス反応器に、スチレン140g及びトルエン430gを加えた。
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にモノ(ビス(1,3-tert-ブチルジメチルシリル)インデニル)ビス(ビス(ジメチルシリル)アミド)ガドリニウム錯体(1,3-[(t-Bu)MeSi]Gd[N(SiHMe])0.150mmol、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[PhCB(C]0.075mmol、トリイソブチルアルミニウム0.90mmolを仕込み、トルエン95mLを加えて触媒溶液とした。該触媒溶液を耐圧ステンレス反応器に加え、60℃に加温した。
次いで、エチレンを圧力1.5MPaで似て上記耐圧ステンレス反応器に投入し、75℃で計4時間共重合を行った。反応中、1,3-ブタジエン34gを含むトルエン溶液133gを、連続的に0.6~0.8mL/minの速度でを加えた。
次いで、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)(NS-5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLを耐圧ステンレス反応器に加え、反応を停止させた。
次いで、大量のメタノールを用いて共重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、共重合体2を得た。
3.共重合体3(本発明の共重合体)の合成方法
十分に乾燥した2000mL耐圧ステンレス反応器に、スチレン30g及びトルエン443gを加えた。
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にモノ(ビス(1,3-tert-ブチルジメチルシリル)インデニル)ビス(ビス(ジメチルシリル)アミド)ガドリニウム錯体(1,3-[(t-Bu)MeSi]Gd[N(SiHMe])0.038mmol、トリチルテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[PhCB(C]0.075mmol、トリイソブチルアルミニウム0.76mmolを仕込み、トルエン24mLを加えて触媒溶液とした。該触媒溶液を耐圧ステンレス反応器に加え、60℃に加温した。
次いで、エチレンを圧力1.5MPaで耐圧ステンレス反応器に投入し、75℃で計3時間共重合を行った。反応中、1,3-ブタジエン70gを含むトルエン溶液280gを、連続的に2.0~5.0mL/minの速度で加えた。
次いで、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)(NS-5)5質量%のイソプロパノール溶液1mLを耐圧ステンレス反応器に加え、反応を停止させた。
v次いで、大量のメタノールを用いて共重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、共重合体3を得た。
得られた共重合体1~3は、表1に示す物性を有した。
Figure 2022086276000006
共重合体1~3は、13C-NMRスペクトルチャートにおいて、10~24ppmにピークが観測されなかったことから、合成した三元共重合体は、主鎖が非環状構造のみからなることを確認した。
これらの物性は、下記の方法で測定した。
<共重合体の物性測定方法>
(1)数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、ピークトップ分子量(Mp)及び分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー社製HLC-8121GPC/HT、カラム:東ソー社製GMHHR-H(S)HT×2本、検出器:示差屈折率計(RI)]で単分散ポリスチレンを基準として、共重合体のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、ピークトップ分子量(Mp)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。なお、測定温度は40℃である。
(2)エチレン単位、ブタジエン単位、スチレン単位の含有量
共重合体中のエチレン単位、ブタジエン単位、スチレン単位の含有量(mol%)を、H-NMRスペクトル(100℃、d-テトラクロロエタン標準:6ppm)の各ピークの積分比より求めた。
なお、共重合体1~3は、いずれも、エチレン単位、ブタジエン単位、及びスチレン単位の各含有量の合計が100mol%であり、ブチレン単位の含有量は0mol%であった。
(3)融点
示差走査熱量計(DSC、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、「DSCQ2000」)を用い、JIS K 7121-1987に準拠して、共重合体の融点を測定した。
(4)結晶化度
100%結晶成分のポリエチレンの結晶融解エネルギーと、得られた共重合体の0~120℃の融解ピークエネルギーを測定し、ポリエチレンと共重合体とのエネルギー比率から、結晶化度を算出した。なお、融解ピークエネルギーは、示差走査熱量計(DSC、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、「DSCQ2000」)で測定した。
(5)主鎖構造の確認
合成した共重合体について、13C-NMRスペクトルを測定した。
[評価]
(1)引張強度(TB)
引張強さ(TB)は、JIS K 6251:2017に基づいて、試験片(ダンベル状試験片7号形)を25℃で100%伸長し、破断させるのに要した最大の引張り力(MPa)として測定した。
(2)モジュラス
100%モジュラス値(M100)は、JIS K 6251:2017に基づいて、試験片(ダンベル状試験片7号形)を25℃で100%伸長した時のモジュラス引張モジュラス(MPa)として測定した。
[実施例1~6、比較例1~4]
表2の配合に従って、実施例1~6及び比較例1~4の組成物を調製した。表2中、架橋剤の配合量は、共重合体に対する質量%で表した。その他の各成分の配合は、質量部で表した。
表2中の成分の詳細は次のとおりである。なお、表2には主な配合を示している。
共重合体1:上述の製造方法により製造した共重合体
共重合体2:上述の製造方法により製造した共重合体
共重合体3:上述の製造方法により製造した共重合体
EPDM1:JSR(株)製、「エチレン・プロピレンゴム JSR EP35」
EPDM2:JSR(株)製、「エチレン・プロピレンゴム JSR EP24」
架橋剤:ジクミルパーオキサイド、日油社製、商品名「パークミルD-40」
カーボンブラック:旭カーボン(株)製、商品名「カーボンN134」
シリカ:東ソー・シリカ株式会社製、商品名「ニプシルAQ」(BET比表面積=205m /g)
シランカップリング剤:ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド
老化防止剤1:住友化学(株)製、「SUMILIZER(登録商標)GS(F)」
老化防止剤2:住友化学(株)製、「SUMILIZER(登録商標)GP」
老化防止剤3:N-フェニル-N'-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン、大内新興化学工業(株)製、商品名「ノクラック6C」
調製した組成物をそれぞれ、140℃で15分間加熱し、架橋物を得た。得られた架橋物について、上述の方法で引張強度及びモジュラスを測定した。比較例1の数値を100として、実施例1~6、比較例1~4の引張強度及びモジュラスをそれぞれ指数として表した。結果を表2に示す。
Figure 2022086276000007
実施例1~3及び比較例1,4は、架橋剤の配合量を5質量部とした結果である。実施例4~6及び比較例2は、架橋剤の配合量を8質量部とした結果である。実施例はいずれも、比較例に対してモジュラスが高い結果が得られた。実施例のモジュラスは、架橋剤配合量が多いほど高くなった。また、実施例の引張強度は、比較例よりも大きい、もしくは、比較例と同程度となった。

Claims (17)

  1. 共役ジエン単位、非共役オレフィン単位及び芳香族ビニル単位を含有し、ブチレン単位の含有量が0mol%である共重合体と、パーオキサイド架橋剤とを含む組成物。
  2. 前記パーオキサイド架橋剤の含有量が、前記共重合体に対して、1~20質量%である請求項1に記載の組成物。
  3. 前記パーオキサイド架橋剤が、有機過酸化物である、請求項1または請求項2に記載の組成物。
  4. 前記共重合体は、前記共役ジエン単位の含有量が4~70mol%で、前記非共役オレフィン単位の含有量が25~95mol%で、且つ、前記芳香族ビニル単位の含有量が1~30mol%である請求項1~3のいずれか1項に記載の組成物。
  5. 前記共重合体は、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が30~130℃である請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。
  6. 前記共重合体は、ポリスチレン換算の重量平均分子量が50,000~2,000,000である請求項1~5のいずれか1項に記載の組成物。
  7. 前記共重合体は、結晶化度が0.5~50%である請求項1~6のいずれか1項に記載の組成物。
  8. 前記非共役オレフィン単位が非環状の非共役オレフィン単位である請求項1~7のいずれか1項に記載の組成物。
  9. 前記非環状の非共役オレフィン単位がエチレン単位のみからなる請求項8に記載の組成物。
  10. 前記芳香族ビニル単位がスチレン単位を含む請求項1~9のいずれか1項に記載の組成物。
  11. 前記共役ジエン単位が1,3-ブタジエン単位及びイソプレン単位からなる群より選択される少なくとも1つを含む請求項1~10のいずれか1項に記載の組成物。
  12. 更に、エチレン-プロピレン-ジエンゴムを含有する請求項1~11のいずれか1項に記載の組成物。
  13. 前記組成物が、更に老化防止剤を含有する請求項1~12のいずれか1項に記載の組成物。
  14. 前記老化防止剤が、分岐アルキル基を有するフェニル基を2つ以上含む老化防止剤を含有する請求項13に記載の組成物。
  15. 請求項1~14のいずれか1項に記載の組成物を用いたタイヤ。
  16. 請求項1~14のいずれか1項に記載の組成物を用いたゴム製品。
  17. 請求項1~14のいずれか1項に記載の組成物を用いた樹脂製品。
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