JP2021098272A - 樹脂成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】高い耐衝撃性を有し、かつ、金属蒸着膜との密着性に優れる樹脂成形品を提供する。【解決手段】共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位とを含有し、ブチレン単位の含有量が0mol%である共重合体を含む樹脂組成物からなる基体と、該基体上に形成された金属蒸着層と、を備える樹脂成形品。【選択図】なし
Description
本発明は、樹脂成形品に関する。
従来から耐衝撃性、耐薬品性等に優れるポリプロピレン系樹脂を用いて種々の樹脂成形品が製造されている。
例えば、耐衝撃性と両立した耐傷付き性を有することにより、無塗装樹脂成形材料として使用するに適したポリプロピレン系樹脂組成物を得る観点から、ポリプロピレン樹脂75〜90重量%と、スチレン含有量が18〜42重量%の水素添加スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体エラストマー(A)7〜15重量%と、スチレン含有量が12〜15重量%の水素添加スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体エラストマー(B)3〜10重量%とを含むポリプロピレン系樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
例えば、耐衝撃性と両立した耐傷付き性を有することにより、無塗装樹脂成形材料として使用するに適したポリプロピレン系樹脂組成物を得る観点から、ポリプロピレン樹脂75〜90重量%と、スチレン含有量が18〜42重量%の水素添加スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体エラストマー(A)7〜15重量%と、スチレン含有量が12〜15重量%の水素添加スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体エラストマー(B)3〜10重量%とを含むポリプロピレン系樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、高い耐衝撃性及び透明性を有する樹脂製品を得る観点から、共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを含有する多元共重合体であって、芳香族ビニル単位の含有量が、多元共重合体全体の50mol%以上100mol%未満である多元共重合体を含有する樹脂組成物が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
樹脂からなる成型品は更に、装飾性、導電性、電磁波遮蔽性などの種々の特性の付与などを目的として、金属蒸着による皮膜形成が施される場合がある。
本発明は、高い耐衝撃性を有し、かつ、金属蒸着膜との密着性に優れる樹脂成形品を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、以下の[1]〜[6]を提供する。
[1]共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位とを含有し、ブチレン単位の含有量が0mol%である共重合体を含む樹脂組成物からなる基体と、該基体上に形成された金属蒸着層と、を備える樹脂成形品。
[2]前記共重合体は、前記共役ジエン単位の含有量が0mol%を超え50mol%以下、かつ、前記非共役オレフィン単位の含有量が50mol%以上100mol%未満である[1]に記載の樹脂成形品。
[3]前記共重合体が、更に芳香族ビニル単位を含有する[1]または[2]に記載の樹脂成形品。
[4]前記共重合体が、前記共役ジエン単位の含有量が1mol%以上50mol%以下、前記非共役オレフィン単位の含有量が40mol%以上97mol%以下、かつ、前記芳香族ビニル単位の含有量が2mol%以上35mol%以下である[3]に記載の樹脂成形品。
[5]前記金属蒸着膜が、銅、金、銀、亜鉛、アルミニウム、クロム、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、コバルト、インジウム、スズ、マグネシウム及びこれらの合金から選ばれる1種以上の金属からなる[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂成形品。
[6]前記基体が、前記共重合体と、オレフィン系樹脂とを含有する樹脂を含む[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂成形品。
[1]共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位とを含有し、ブチレン単位の含有量が0mol%である共重合体を含む樹脂組成物からなる基体と、該基体上に形成された金属蒸着層と、を備える樹脂成形品。
[2]前記共重合体は、前記共役ジエン単位の含有量が0mol%を超え50mol%以下、かつ、前記非共役オレフィン単位の含有量が50mol%以上100mol%未満である[1]に記載の樹脂成形品。
[3]前記共重合体が、更に芳香族ビニル単位を含有する[1]または[2]に記載の樹脂成形品。
[4]前記共重合体が、前記共役ジエン単位の含有量が1mol%以上50mol%以下、前記非共役オレフィン単位の含有量が40mol%以上97mol%以下、かつ、前記芳香族ビニル単位の含有量が2mol%以上35mol%以下である[3]に記載の樹脂成形品。
[5]前記金属蒸着膜が、銅、金、銀、亜鉛、アルミニウム、クロム、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、コバルト、インジウム、スズ、マグネシウム及びこれらの合金から選ばれる1種以上の金属からなる[1]〜[4]のいずれかに記載の樹脂成形品。
[6]前記基体が、前記共重合体と、オレフィン系樹脂とを含有する樹脂を含む[1]〜[5]のいずれかに記載の樹脂成形品。
本発明に依れば、高い耐衝撃性を有し、かつ、金属蒸着膜との密着性に優れる樹脂成形品を得ることができる。
[樹脂成形品]
本発明の樹脂成形品は、共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位とを含有し、ブチレン単位の含有量が0mol%である共重合体を含む樹脂組成物からなる基体と、該基体上に形成された金属蒸着層と、を備える。
本発明の樹脂成形品は、共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位とを含有し、ブチレン単位の含有量が0mol%である共重合体を含む樹脂組成物からなる基体と、該基体上に形成された金属蒸着層と、を備える。
共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位とを含有し、ブチレン単位の含有量が0mol%である共重合体は、水素添加スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体エラストマーよりも耐衝撃性に優れる。この共重合体を含む樹脂組成物からなる基体の表面に金属蒸着層を形成することにより、耐衝撃性に優れる樹脂成形品に更に、金属による装飾性、導電性、電磁波遮蔽性などの種々の特性を付与することができる。
[基体]
本発明の基体は、後述する共重合体を含む樹脂組成物を用いてなる。基体の形状は特に限定されず、樹脂成形品の用途に応じて所望の形状に成形されている。例えば、基体は、フィルム、シート、板状体、チューブ、複雑な形状の三次元形状等であっても良い。
本発明の基体は、後述する共重合体を含む樹脂組成物を用いてなる。基体の形状は特に限定されず、樹脂成形品の用途に応じて所望の形状に成形されている。例えば、基体は、フィルム、シート、板状体、チューブ、複雑な形状の三次元形状等であっても良い。
〔共重合体〕
本発明で用いる共重合体は、共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位とを含有し、ブチレン単位の含有量が0mol%である。また、本発明の共重合体は、更に芳香族ビニル単位を有していても良い。
特許文献1で用いられている水素添加スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体エラストマーは、ブチレン単位を含む水添スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)が用いられている。本発明の共重合体は、ブチレン単位の含有量が0mol%であり、本発明の共重合体にはSEBSは含まれない。
本発明の共重合体は、共役ジエン単位を含み、弾性を有するため、ゴム成分として機能する。
本発明で用いる共重合体は、共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位とを含有し、ブチレン単位の含有量が0mol%である。また、本発明の共重合体は、更に芳香族ビニル単位を有していても良い。
特許文献1で用いられている水素添加スチレン・ブタジエン・スチレン共重合体エラストマーは、ブチレン単位を含む水添スチレン−エチレン・ブチレン−スチレン共重合体(SEBS)が用いられている。本発明の共重合体は、ブチレン単位の含有量が0mol%であり、本発明の共重合体にはSEBSは含まれない。
本発明の共重合体は、共役ジエン単位を含み、弾性を有するため、ゴム成分として機能する。
なお、本発明の共重合体が、共役ジエン単位及び非共役オレフィン単位の2単位のみを含有する場合、本発明の共重合体を「二元共重合体」と称することがある。「二元」は共重合体が2つの異なる構成単位を含有することを意味する。
また、本発明の共重合体が、共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位との3単位のみを含有する場合、本発明の共重合体を「三元共重合体」と称することがある。「三元」は共重合体が3つの異なる構成単位を含有することを意味する。
共重合体が、共役ジエン単位、非共役オレフィン単位、及び芳香族ビニル単位の3単位に加え、更に1つ以上の他の単位を含有する場合、構成単位の数に応じて、「四元」、「五元」のように称する。三元以上を多元と称する。従って、共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位との少なくとも3単位を含む共重合体を、「多元共重合体」と称する場合もある。
また、本発明の共重合体が、共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位との3単位のみを含有する場合、本発明の共重合体を「三元共重合体」と称することがある。「三元」は共重合体が3つの異なる構成単位を含有することを意味する。
共重合体が、共役ジエン単位、非共役オレフィン単位、及び芳香族ビニル単位の3単位に加え、更に1つ以上の他の単位を含有する場合、構成単位の数に応じて、「四元」、「五元」のように称する。三元以上を多元と称する。従って、共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位との少なくとも3単位を含む共重合体を、「多元共重合体」と称する場合もある。
本発明の共重合体は、少なくとも共役ジエン単位と非共役オレフィン単位とのみからなっていても良いし、少なくとも共役ジエン単位、非共役オレフィン単位及び芳香族ビニル単位からなっていても良いし、更に、これらにブチレン単位以外の他の単量体単位が含まれていても良い。
共重合体は、共役ジエン単位を含むことで、ガラス転移温度(Tg)が低いために、高い低温衝撃性を達成することができる。また、共重合体が非共役オレフィン単位を含むことで、樹脂成形品が大きく歪んだ際に、非共役オレフィン単位に由来する結晶成分が崩壊する。このときの融解エネルギーによって、共重合体は、エネルギーを散逸することができる。その結果、樹脂成形品は、高い靭性を実現することができる。
<共役ジエン単位>
共役ジエン単位は、単量体としての共役ジエン化合物に由来する構成単位である。
ここで、共役ジエン化合物とは、共役系のジエン化合物を指す。共役ジエン化合物は、炭素数が4〜8であることが好ましい。かかる共役ジエン化合物として、具体的には、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。共役ジエン化合物は、一種単独であってもよいし、二種以上の組み合わせであってもよい。
共役ジエン単位は、単量体としての共役ジエン化合物に由来する構成単位である。
ここで、共役ジエン化合物とは、共役系のジエン化合物を指す。共役ジエン化合物は、炭素数が4〜8であることが好ましい。かかる共役ジエン化合物として、具体的には、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。共役ジエン化合物は、一種単独であってもよいし、二種以上の組み合わせであってもよい。
共重合体の単量体としての共役ジエン化合物は、樹脂成形品の耐衝撃性及び靭性を向上させる観点から、1,3−ブタジエン及びイソプレンからなる群より選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、1,3−ブタジエン及びイソプレンからなる群より選択される少なくとも1つのみからなることがより好ましく、1,3−ブタジエンのみからなることがさらに好ましい。
すなわち、共重合体における共役ジエン単位は、1,3−ブタジエン単位及びイソプレン単位からなる群より選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、1,3−ブタジエン単位及びイソプレン単位からなる群より選択される少なくとも1つのみからなることがより好ましく、1,3−ブタジエン単位のみからなることがさらに好ましい。
すなわち、共重合体における共役ジエン単位は、1,3−ブタジエン単位及びイソプレン単位からなる群より選択される少なくとも1つを含むことが好ましく、1,3−ブタジエン単位及びイソプレン単位からなる群より選択される少なくとも1つのみからなることがより好ましく、1,3−ブタジエン単位のみからなることがさらに好ましい。
共重合体は、共役ジエン単位の含有量が、0molより大きいことが好ましく、1mol%以上であることがより好ましく、5mol%以上であることがより好ましく、7mol%以上であることがさらに好ましく、10mol%以上であることが特に好ましい。また、共役ジエン単位の含有量は、50mol%以下であることが好ましく、45mol%以下であることがより好ましく、40mol%以下であることが更に好ましい。
共重合体が共役ジエン単位を含有することにより、耐衝撃性に優れる樹脂成形品を得ることができる。特に、共役ジエン単位の含有量が共重合体全体の1mol%以上であると、優れた伸びを有する樹脂成形品を得ることができる。また、共役ジエン単位の含有量を50mol%以下とすることにより、良好な耐候性を有する樹脂成形品とすることができる。
共重合体が共役ジエン単位を含有することにより、耐衝撃性に優れる樹脂成形品を得ることができる。特に、共役ジエン単位の含有量が共重合体全体の1mol%以上であると、優れた伸びを有する樹脂成形品を得ることができる。また、共役ジエン単位の含有量を50mol%以下とすることにより、良好な耐候性を有する樹脂成形品とすることができる。
<非共役オレフィン単位>
非共役オレフィン単位は、単量体としての非共役オレフィン化合物に由来する構成単位である。
ここで、非共役オレフィン化合物とは、脂肪族不飽和炭化水素で、炭素−炭素二重結合を1個以上有する化合物を指す。非共役オレフィン化合物は、炭素数が2〜10であることが好ましい。かかる非共役オレフィン化合物として、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等のα−オレフィン、ピバリン酸ビニル、1−フェニルチオエテン、N−ビニルピロリドン等のヘテロ原子置換アルケン化合物等が挙げられる。非共役オレフィン化合物は、一種単独であってもよいし、二種以上の組み合わせであってもよい。
非共役オレフィン単位は、単量体としての非共役オレフィン化合物に由来する構成単位である。
ここで、非共役オレフィン化合物とは、脂肪族不飽和炭化水素で、炭素−炭素二重結合を1個以上有する化合物を指す。非共役オレフィン化合物は、炭素数が2〜10であることが好ましい。かかる非共役オレフィン化合物として、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等のα−オレフィン、ピバリン酸ビニル、1−フェニルチオエテン、N−ビニルピロリドン等のヘテロ原子置換アルケン化合物等が挙げられる。非共役オレフィン化合物は、一種単独であってもよいし、二種以上の組み合わせであってもよい。
共重合体の単量体としての非共役オレフィン化合物は、樹脂成形品の耐衝撃性を向上させる観点から、非環状の非共役オレフィン化合物であることが好ましく、また、非環状の非共役オレフィン化合物は、α−オレフィンであることがより好ましく、エチレンを含むα−オレフィンであることがさらに好ましく、エチレンのみからなることが特に好ましい。
すなわち、共重合体における非共役オレフィン単位は、非環状の非共役オレフィン単位であることが好ましく、また、当該非環状の非共役オレフィン単位は、α−オレフィン単位であることがより好ましく、エチレン単位を含むα−オレフィン単位であることがさらに好ましく、エチレン単位のみからなることが特に好ましい。
すなわち、共重合体における非共役オレフィン単位は、非環状の非共役オレフィン単位であることが好ましく、また、当該非環状の非共役オレフィン単位は、α−オレフィン単位であることがより好ましく、エチレン単位を含むα−オレフィン単位であることがさらに好ましく、エチレン単位のみからなることが特に好ましい。
共重合体は、非共役オレフィン単位の含有量が、50mol%以上であることが好ましく、55mol%以上であることがより好ましく、60mol%以上であることが更に好ましい。また、共役ジエン単位の含有量は、100mol%未満であることが好ましく、95mol%以下であることがより好ましく、90mol%以下であることがさらに好ましい。
非共役オレフィン単位の含有量が、共重合体全体の50mol%以上であると、結果として共役ジエン単位(更には芳香族ビニル単位)の含有量が減少して、樹脂成形品の耐候性が向上する。また、非共役オレフィン単位の含有量が100mol%未満であれば、結果として共役ジエン単位(及び芳香族ビニル単位)が含まれることになる。
非共役オレフィン単位の含有量が、共重合体全体の50mol%以上であると、結果として共役ジエン単位(更には芳香族ビニル単位)の含有量が減少して、樹脂成形品の耐候性が向上する。また、非共役オレフィン単位の含有量が100mol%未満であれば、結果として共役ジエン単位(及び芳香族ビニル単位)が含まれることになる。
(芳香族ビニル単位)
芳香族ビニル単位は、単量体としての芳香族ビニル化合物に由来する構成単位である。
共重合体が芳香族ビニル単位を含有することで、非共役オレフィン単位由来の過度の結晶化が抑制され、樹脂成形品の剛性を向上しつつも、弾性を損ねにくくすることができる。
ここで、芳香族ビニル化合物とは、少なくともビニル基で置換された芳香族化合物を指し、共役ジエン化合物には包含されないものとする。芳香族ビニル化合物は、炭素数が8〜10であることが好ましい。かかる芳香族ビニル化合物としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン等が挙げられる。芳香族ビニル化合物は、一種単独であってもよいし、二種以上の組み合わせであってもよい。
芳香族ビニル単位は、単量体としての芳香族ビニル化合物に由来する構成単位である。
共重合体が芳香族ビニル単位を含有することで、非共役オレフィン単位由来の過度の結晶化が抑制され、樹脂成形品の剛性を向上しつつも、弾性を損ねにくくすることができる。
ここで、芳香族ビニル化合物とは、少なくともビニル基で置換された芳香族化合物を指し、共役ジエン化合物には包含されないものとする。芳香族ビニル化合物は、炭素数が8〜10であることが好ましい。かかる芳香族ビニル化合物としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン等が挙げられる。芳香族ビニル化合物は、一種単独であってもよいし、二種以上の組み合わせであってもよい。
共重合体の単量体としての芳香族ビニル化合物は、樹脂成形品の耐衝撃性を向上させる観点から、スチレンを含むことが好ましく、スチレンのみからなることがより好ましい。すなわち、共重合体における芳香族ビニル単位は、スチレン単位を含むことが好ましく、スチレン単位のみからなることがより好ましい。
なお、芳香族ビニル単位における芳香族環は、隣接する単位と結合しない限り、共重合体の主鎖には含まれない。
なお、芳香族ビニル単位における芳香族環は、隣接する単位と結合しない限り、共重合体の主鎖には含まれない。
多元共重合体の場合、芳香族ビニル単位の含有量が、2mol%以上であることが好ましく、5mol%以上であることがより好ましい。また、芳香族ビニル単位の含有量は、35mol%以下であることが好ましく、30mol%以下であることがより好ましい。芳香族ビニル単位の含有量が2mol%以上であると、樹脂成形品の耐衝撃性に優れる。また、芳香族ビニル単位の含有量が35mol%以下であると、共役ジエン単位及び非共役オレフィン単位による効果が顕著になる。
多元共重合体の場合、樹脂成形品の耐衝撃性を向上させる観点から、共役ジエン単位の含有量が1mol%以上50mol%以下、非共役オレフィン単位の含有量が40mol%以上97mol%mol%、且つ、芳香族ビニル単位の含有量が2mol%以上35mol%以下であることが好ましい。特に、共役ジエン単位の含有量が5mol%以上30mol%以下、非共役オレフィン単位の含有量が50mol%以上90mol%mol%、且つ、芳香族ビニル単位の含有量が5mol%以上25mol%以下であることが好ましい。
共重合体の単量体の種類の数としては、共重合体が、共役ジエン単位及び非共役オレフィン単位、あるいは、共役ジエン単位、非共役オレフィン単位及び芳香族ビニル単位を含有し、ブチレン単位を含まない構成である限り、特に制限はない。共重合体は、共役ジエン単位、非共役オレフィン単位、及び芳香族ビニル単位以外の、その他の構成単位(ブチレン単位を除く)を有していてもよいが、その他の構成単位の含有量は、所望の効果を得る観点から、共重合体全体の30mol%以下であることが好ましく、20mol%以下であることがより好ましく、10mol%以下であることがさらに好ましく、含有しないこと、即ち、含有量が0mol%であることが特に好ましい。
共重合体は、樹脂成形品の耐衝撃性を向上させる観点から、単量体として、一種のみの共役ジエン化合物、一種のみの非共役オレフィン化合物、及び一種の芳香族ビニル化合物を少なくとも用いて重合してなる重合体であることが好ましい。
すなわち、共重合体は、一種のみの共役ジエン単位及び一種のみの非共役オレフィン単位、あるいは、一種のみの共役ジエン単位、一種のみの非共役オレフィン単位、及び一種のみの芳香族ビニル単位を含有する共重合体であることが好ましく、1,3−ブタジエン単位及びエチレン単位のみからなる二元共重合体、あるいは、1,3−ブタジエン単位、エチレン単位、及びスチレン単位のみからなる三元共重合体であることがさらに好ましい。ここで、「一種のみの共役ジエン単位」には、異なる結合様式の共役ジエン単位が包含される。
すなわち、共重合体は、一種のみの共役ジエン単位及び一種のみの非共役オレフィン単位、あるいは、一種のみの共役ジエン単位、一種のみの非共役オレフィン単位、及び一種のみの芳香族ビニル単位を含有する共重合体であることが好ましく、1,3−ブタジエン単位及びエチレン単位のみからなる二元共重合体、あるいは、1,3−ブタジエン単位、エチレン単位、及びスチレン単位のみからなる三元共重合体であることがさらに好ましい。ここで、「一種のみの共役ジエン単位」には、異なる結合様式の共役ジエン単位が包含される。
共重合体は、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が10,000〜10,000,000であることが好ましく、100,000〜9,000,000であることがより好ましく、150,000〜8,000,000であることが更に好ましい。前記多元共重合体のMwが10,000以上であることにより、樹脂成形品の機械的強度を十分に確保することができ、また、Mwが10,000,000以下であることにより、高い作業性を保持することができる。
共重合体は、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)がポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が10,000〜10,000,000であることが好ましく、50,000〜9,000,000であることがより好ましく、100,000〜8,000,000であることが更に好ましい。前記多元共重合体のMnが10,000以上であることにより、樹脂成形品の機械的強度を十分に確保することができ、また、Mnが10,000,000以下であることにより、高い作業性を保持することができる。
共重合体は、分子量分布[Mw/Mn(重量平均分子量/数平均分子量)]が1.00〜4.00であることが好ましく、1.50〜3.70であることがより好ましく、2.00〜3.50であることがさらに好ましい。共重合体の分子量分布が4.00以下であれば、共重合体の物性に十分な均質性をもたらすことができる。
なお、共重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準物質として求める。
共重合体は、0〜120℃における示差走査熱量計(DSC)で測定した吸熱ピークエネルギーが10〜150J/gであることが好ましく、30〜120J/gであることがさらに好ましい。共重合体の吸熱ピークエネルギーが10J/g以上であれば、共重合体の結晶性が高くなり、靭性をさらに向上することができる。また、共重合体の吸熱ピークエネルギーが150J/g以下であれば、樹脂組成物の作業性が向上する。
共重合体の吸熱ピークエネルギーは、示差走査熱量計を用い、JIS K 7121−1987に準拠して、例えば、10℃/分の昇温速度で−150℃から150℃まで昇温して測定すればよい。
共重合体の吸熱ピークエネルギーは、示差走査熱量計を用い、JIS K 7121−1987に準拠して、例えば、10℃/分の昇温速度で−150℃から150℃まで昇温して測定すればよい。
共重合体は、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が30〜130℃であることが好ましく、35〜120℃であることがより好ましく、40〜110℃であることがさらに好ましい。共重合体の融点が30℃以上であれば、共重合体の結晶性が高くなり、樹脂成形品の靭性をさらに向上することができる。また、共重合体の融点が130℃以下であれば、樹脂組成物の作業性が向上する。
共重合体の融点は、示差走査熱量計を用い、JIS K 7121−1987に準拠して測定すればよい。
共重合体の融点は、示差走査熱量計を用い、JIS K 7121−1987に準拠して測定すればよい。
共重合体は、示差走査熱量計(DSC)で測定したガラス転移温度(Tg)が0℃以下であることが好ましく、−130〜−10℃であることがより好ましく、−120〜−15℃であることがさらに好ましい。共重合体のガラス転移温度が0℃以下であれば、樹脂成形品の耐衝撃性をさらに向上することができる。
共重合体のガラス転移温度は、示差走査熱量計を用い、JIS K 7121−1987に準拠して測定すればよい。
共重合体のガラス転移温度は、示差走査熱量計を用い、JIS K 7121−1987に準拠して測定すればよい。
共重合体は、結晶化度が0.5〜50%であることが好ましく、3〜45%であることがさらに好ましく、5〜45%であることがより一層好ましい。共重合体の結晶化度が0.5%以上であれば、非共役オレフィン単位に起因する共重合体の結晶性を十分に確保して、樹脂成形品の靭性をさらに向上することができる。また、共重合体の結晶化度が50%以下であれば、樹脂組成物の混練の際の作業性、及び押出加工性が向上する。
共重合体の結晶化度は、100%結晶成分のポリエチレンの結晶融解エネルギーと、共重合体の融解ピークエネルギーを測定し、ポリエチレンと共重合体とのエネルギー比率から、結晶化度を算出すればよい。また、融解ピークエネルギーは、示差走査熱量計で測定することができる。
共重合体の結晶化度は、100%結晶成分のポリエチレンの結晶融解エネルギーと、共重合体の融解ピークエネルギーを測定し、ポリエチレンと共重合体とのエネルギー比率から、結晶化度を算出すればよい。また、融解ピークエネルギーは、示差走査熱量計で測定することができる。
共重合体は、主鎖が非環状構造のみからなることが好ましい。これにより、樹脂成形品の耐衝撃性をさらに向上することができる。
なお、共重合体の主鎖が環状構造を有するか否かの確認には、NMRが主要な測定手段として用いられる。具体的には、主鎖に存在する環状構造に由来するピーク(例えば、三員環〜五員環については、10〜24ppmに現れるピーク)が観測されない場合、その共重合体の主鎖は、非環状構造のみからなることを示す。
なお、本発明において、重合体の主鎖とは、それ以外のすべての分子鎖(長分子鎖または短分子鎖、あるいはその両方)が、ペンダントのように連なる線状分子鎖を意味する〔「Glossary of Basic Terms in Polymer Science IUPAC Recommendations 1996」, Pure Appl. Chem., 68, 2287-2311 (1996) のセクション1.34参照〕
また、非環状構造とは、直鎖状構造又は分岐状構造を意味する。
なお、共重合体の主鎖が環状構造を有するか否かの確認には、NMRが主要な測定手段として用いられる。具体的には、主鎖に存在する環状構造に由来するピーク(例えば、三員環〜五員環については、10〜24ppmに現れるピーク)が観測されない場合、その共重合体の主鎖は、非環状構造のみからなることを示す。
なお、本発明において、重合体の主鎖とは、それ以外のすべての分子鎖(長分子鎖または短分子鎖、あるいはその両方)が、ペンダントのように連なる線状分子鎖を意味する〔「Glossary of Basic Terms in Polymer Science IUPAC Recommendations 1996」, Pure Appl. Chem., 68, 2287-2311 (1996) のセクション1.34参照〕
また、非環状構造とは、直鎖状構造又は分岐状構造を意味する。
共重合体は、共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物、及び、芳香族ビニル化合物を単量体として用いる重合工程を経て製造でき、さらに、必要に応じ、カップリング工程、洗浄工程、及びその他の工程を経てもよい。
ここで、多元共重合体の製造においては、重合触媒の存在下で、共役ジエン化合物を添加せずに非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物のみを添加し、これらをまず重合させることが好ましい。特に後述の触媒組成物を使用する場合には、非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物より共役ジエン化合物の方が、反応性が高いことから、共役ジエン化合物の存在下で非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物のいずれか一方または両方を重合させにくい。また、先に共役ジエン化合物を重合させ、後に非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物を付加的に重合させることも、触媒の特性上困難となり易い。
ここで、多元共重合体の製造においては、重合触媒の存在下で、共役ジエン化合物を添加せずに非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物のみを添加し、これらをまず重合させることが好ましい。特に後述の触媒組成物を使用する場合には、非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物より共役ジエン化合物の方が、反応性が高いことから、共役ジエン化合物の存在下で非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物のいずれか一方または両方を重合させにくい。また、先に共役ジエン化合物を重合させ、後に非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物を付加的に重合させることも、触媒の特性上困難となり易い。
重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法、液相塊状重合法、乳化重合法、気相重合法、固相重合法等の任意の方法を用いることができる。また、重合反応に溶媒を用いる場合、かかる溶媒としては、重合反応において不活性なものであればよく、例えば、トルエン、シクロヘキサン、ノルマルヘキサン等が挙げられる。
重合工程は、一段階で行ってもよく、二段階以上の多段階で行ってもよい。
一段階の重合工程とは、重合させる全ての種類の単量体、即ち、共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物、芳香族ビニル化合物、及びその他の単量体、好ましくは、共役ジエン化合物及び非共役オレフィン化合物、あるいは、共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物、及び芳香族ビニル化合物を一斉に反応させて重合させる工程である。
また、多段階の重合工程とは、1種類又は2種類の単量体の一部又は全部を最初に反応させて重合体を形成し(第1重合段階)、次いで、第1重合段階で添加しなかった種類の単量体、第1重合段階で添加した単量体の残部等を添加して重合させる1以上の段階(第2重合段階〜最終重合段階)を行って重合させる工程である。特に、共重合体の製造では、重合工程を多段階で行うことが好ましい。
一段階の重合工程とは、重合させる全ての種類の単量体、即ち、共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物、芳香族ビニル化合物、及びその他の単量体、好ましくは、共役ジエン化合物及び非共役オレフィン化合物、あるいは、共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物、及び芳香族ビニル化合物を一斉に反応させて重合させる工程である。
また、多段階の重合工程とは、1種類又は2種類の単量体の一部又は全部を最初に反応させて重合体を形成し(第1重合段階)、次いで、第1重合段階で添加しなかった種類の単量体、第1重合段階で添加した単量体の残部等を添加して重合させる1以上の段階(第2重合段階〜最終重合段階)を行って重合させる工程である。特に、共重合体の製造では、重合工程を多段階で行うことが好ましい。
重合工程において、重合反応は、不活性ガス、好ましくは窒素ガス又はアルゴンガスの雰囲気下において行われることが好ましい。重合反応の重合温度は、特に制限されないが、例えば、−100℃〜200℃の範囲が好ましく、室温程度とすることもできる。また、上記重合反応の圧力は、共役ジエン化合物を十分に重合反応系中に取り込むため、0.1〜10.0MPaの範囲が好ましい。
また、重合反応の反応時間も特に制限がなく、例えば、1秒〜10日の範囲が好ましいが、重合触媒の種類、重合温度等の条件によって適宜選択することができる。
また、共役ジエン化合物の重合工程においては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の重合停止剤を用いて、重合を停止させてもよい。
また、重合反応の反応時間も特に制限がなく、例えば、1秒〜10日の範囲が好ましいが、重合触媒の種類、重合温度等の条件によって適宜選択することができる。
また、共役ジエン化合物の重合工程においては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の重合停止剤を用いて、重合を停止させてもよい。
多元共重合体を製造する場合、重合工程は、多段階で行うことが好ましい。より好ましくは、少なくとも芳香族ビニル化合物を含む第1単量体原料と、重合触媒とを混合して重合混合物を得る第1工程と、前記重合混合物に対し、共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を含む第2単量体原料を導入する第2工程とを実施することが好ましい。さらに、第1単量体原料が共役ジエン化合物を含まず、且つ第2単量体原料が共役ジエン化合物を含むことがより好ましい。
第1工程で用いる第1単量体原料は、芳香族ビニル化合物とともに、非共役オレフィン化合物を含有してもよい。また、第1単量体原料は、使用する芳香族ビニル化合物の全量を含有してもよく、一部のみを含有してもよい。また、非共役オレフィン化合物は、第1単量体原料及び第2単量体原料の少なくともいずれかに含有される。
第1工程は、反応器内で、不活性ガス、好ましくは窒素ガス又はアルゴンガスの雰囲気下において行われることが好ましい。第1工程における温度(反応温度)は、特に制限はないが、例えば、−100℃〜200℃の範囲が好ましく、室温程度とすることもできる。また、第1工程における圧力は、特に制限はないが、芳香族ビニル化合物を十分に重合反応系中に取り込むため、0.1〜10.0MPaの範囲が好ましい。また、第1工程に費やす時間(反応時間)は、重合触媒の種類、反応温度等の条件によって適宜選択することができるが、例えば、反応温度を25〜80℃とした場合には、5分〜500分の範囲が好ましい。
第1工程において、重合混合物を得るための重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法、液相塊状重合法、乳化重合法、気相重合法、固相重合法等の任意の方法を用いることができる。また、重合反応に溶媒を用いる場合、かかる溶媒としては、重合反応において不活性なものであればよく、例えば、トルエン、シクロヘキサノン、ノルマルヘキサン等が挙げられる。
第2工程で用いる第2単量体原料は、共役ジエン化合物のみ、又は、共役ジエン化合物及び非共役オレフィン化合物、又は、共役ジエン化合物及び芳香族ビニル化合物、又は、共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物であることが好ましい。
なお、第2単量体原料が、共役ジエン化合物以外に非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物よりなる群から選択される少なくとも1つを含む場合には、予めこれらの単量体原料を溶媒等と共に混合した後に重合混合物に導入してもよく、各単量体原料を単独の状態から導入してもよい。また、各単量体原料は、同時に添加してもよく、逐次添加してもよい。
第2工程において、重合混合物に対して第2単量体原料を導入する方法としては、特に制限はないが、各単量体原料の流量を制御して、重合混合物に対して連続的に添加すること(所謂、ミータリング)が好ましい。ここで、重合反応系の条件下で気体である単量体原料(例えば、室温、常圧の条件下における非共役オレフィン化合物としてのエチレン等)を用いる場合には、所定の圧力で重合反応系に導入することができる。
なお、第2単量体原料が、共役ジエン化合物以外に非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物よりなる群から選択される少なくとも1つを含む場合には、予めこれらの単量体原料を溶媒等と共に混合した後に重合混合物に導入してもよく、各単量体原料を単独の状態から導入してもよい。また、各単量体原料は、同時に添加してもよく、逐次添加してもよい。
第2工程において、重合混合物に対して第2単量体原料を導入する方法としては、特に制限はないが、各単量体原料の流量を制御して、重合混合物に対して連続的に添加すること(所謂、ミータリング)が好ましい。ここで、重合反応系の条件下で気体である単量体原料(例えば、室温、常圧の条件下における非共役オレフィン化合物としてのエチレン等)を用いる場合には、所定の圧力で重合反応系に導入することができる。
第2工程は、反応器内で、不活性ガス、好ましくは窒素ガス又はアルゴンガスの雰囲気下において行われることが好ましい。第2工程における温度(反応温度)は、特に制限はないが、例えば、−100℃〜200℃の範囲が好ましく、室温程度とすることもできる。なお、反応温度を上げると、共役ジエン単位におけるシス−1,4結合の選択性が低下することがある。また、第2工程における圧力は、特に制限はないが、共役ジエン化合物等の単量体を十分に重合反応系に取り込むため、0.1〜10.0MPaの範囲が好ましい。また、第2工程に費やす時間(反応時間)は、重合触媒の種類、反応温度等の条件によって適宜選択することができるが、例えば、0.1時間〜10日の範囲が好ましい。
また、第2工程においては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の重合停止剤を用いて、重合反応を停止させてもよい。
また、第2工程においては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の重合停止剤を用いて、重合反応を停止させてもよい。
ここで、上記の共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物、芳香族ビニル化合物の重合工程は、触媒成分として、下記(A)〜(F)成分の1種以上の存在下で、各種単量体を重合させる工程を含むことが好ましい。なお、重合工程には、下記(A)〜(F)成分を1種以上用いることが好ましいが、下記(A)〜(F)成分の2種以上を組み合わせて、触媒組成物として用いることがさらに好ましい。
(A)成分:希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物
(B)成分:有機金属化合物
(C)成分:アルミノキサン
(D)成分:イオン性化合物
(E)成分:ハロゲン化合物
(F)成分:置換又は無置換のシクロペンタジエン(シクロペンタジエニル基を有する化合物)、置換又は無置換のインデン(インデニル基を有する化合物)、及び、置換又は無置換のフルオレン(フルオレニル基を有する化合物)から選択されるシクロペンタジエン骨格含有化合物
上記(A)〜(F)成分については、例えば、国際公開第2018/092733等を参照することによって、重合工程に用いることができる。
(A)成分:希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物
(B)成分:有機金属化合物
(C)成分:アルミノキサン
(D)成分:イオン性化合物
(E)成分:ハロゲン化合物
(F)成分:置換又は無置換のシクロペンタジエン(シクロペンタジエニル基を有する化合物)、置換又は無置換のインデン(インデニル基を有する化合物)、及び、置換又は無置換のフルオレン(フルオレニル基を有する化合物)から選択されるシクロペンタジエン骨格含有化合物
上記(A)〜(F)成分については、例えば、国際公開第2018/092733等を参照することによって、重合工程に用いることができる。
カップリング工程は、重合工程において得られた共重合体の高分子鎖の少なくとも一部(例えば、末端)を変性する反応(カップリング反応)を行う工程である。
カップリング工程において、重合反応が100%に達した際にカップリング反応を行うことが好ましい。
カップリング反応に用いるカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビス(マレイン酸−1−オクタデシル)ジオクチルスズ(IV)等のスズ含有化合物;4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;グリシジルプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ビス(マレイン酸−1−オクタデシル)ジオクチルスズ(IV)が、反応効率と低ゲル生成の点で、好ましい。
なお、カップリング反応を行うことにより、多元重合体の数平均分子量(Mn)を増加することができる。
カップリング工程において、重合反応が100%に達した際にカップリング反応を行うことが好ましい。
カップリング反応に用いるカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビス(マレイン酸−1−オクタデシル)ジオクチルスズ(IV)等のスズ含有化合物;4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;グリシジルプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ビス(マレイン酸−1−オクタデシル)ジオクチルスズ(IV)が、反応効率と低ゲル生成の点で、好ましい。
なお、カップリング反応を行うことにより、多元重合体の数平均分子量(Mn)を増加することができる。
洗浄工程は、重合工程において得られた共重合体を洗浄する工程である。
なお、洗浄に用いる媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどが挙げられるが、重合触媒としてルイス酸由来の触媒を使用する際は、特にこれらの溶媒に対して酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸等)を加えて使用することができる。添加する酸の量は溶媒に対して15mol%以下が好ましい。添加量が15mol%以下であることで、酸が共重合体中に残存しにくく、樹脂組成物の混練及び加硫時の反応に悪影響を及ぼしにくい。
この洗浄工程により、共重合体中の触媒残渣量を好適に低下させることができる。
なお、洗浄に用いる媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどが挙げられるが、重合触媒としてルイス酸由来の触媒を使用する際は、特にこれらの溶媒に対して酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸等)を加えて使用することができる。添加する酸の量は溶媒に対して15mol%以下が好ましい。添加量が15mol%以下であることで、酸が共重合体中に残存しにくく、樹脂組成物の混練及び加硫時の反応に悪影響を及ぼしにくい。
この洗浄工程により、共重合体中の触媒残渣量を好適に低下させることができる。
本発明の基体を構成する樹脂組成物は、更にオレフィン系樹脂を含有していても良い。樹脂組成物がオレフィン系樹脂を更に含むことにより、樹脂成形品の靭性及び耐衝撃性を向上させることができるとともに、樹脂との接着性及び金属蒸着膜との密着性を良好にするとの効果を奏する。
〔オレフィン系樹脂〕
オレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂等が挙げられ、オレフィン樹脂は、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。
〔オレフィン系樹脂〕
オレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂等が挙げられ、オレフィン樹脂は、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂からなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。
ポリプロピレン系樹脂は、主鎖に、プロピレン単位を主成分(例えば、50mol%超)として含む重合体を意味し、更にエチレン単位等の他の単位を含んでいてもよい。また、ポリプロピレン系樹脂は、熱硬化性であっても、熱可塑性であってもよい。具体的には、ポリプロピレン(単独重合体)、エチレン−プロピレン共重合体(ただし、プロピレン単位が50mol%超)等が挙げられる。
ポリエチレン系樹脂は、主鎖に、エチレン単位を主成分(例えば、50mol%超)として含む重合体を意味し、更にプロピレン単位等の他の単位を含んでいてもよい。また、ポリエチレン系樹脂は、熱硬化性であっても、熱可塑性であってもよい。具体的には、ポリエチレン(単独重合体)、エチレン−プロピレン共重合体(ただし、エチレン単位が50mol%超)等が挙げられる。ポリエチレン単独重合体の場合、密度に特に制限はない。
樹脂成形品の耐衝撃性を向上する観点から、オレフィン系樹脂は、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が、5,000〜10,000,000であることが好ましく、7,000〜1,000,000であることがより好ましく、10,000〜1,000,000であることが更に好ましい。
オレフィン系樹脂のMnが5,000以上であることで、樹脂成形品の耐衝撃性に優れ、10,000,000以下であることで、樹脂成形品の靭性に優れる。
オレフィン系樹脂のMnが5,000以上であることで、樹脂成形品の耐衝撃性に優れ、10,000,000以下であることで、樹脂成形品の靭性に優れる。
上記特性を有するポリプロピレン系樹脂としては、例えば、市販品のプライムポリマー社製のプライムPP(登録商標)及び日本ポリプロピレン社製のノバテックPP(登録商標)、ウィンテック(登録商標)等を用いることができる。
上記特性を有するポリエチレン系樹脂としては、例えば、市販品の宇部興産社製のユリメリット(登録商標)等を用いることができる。
上記特性を有するポリエチレン系樹脂としては、例えば、市販品の宇部興産社製のユリメリット(登録商標)等を用いることができる。
組成物中の共重合体の含有量は、特に限定はされないが、本発明の共重合体とオレフィン系樹脂との合計質量中、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることが更に好ましく、また、81質量%以下であることが好ましく、78質量%以下であることがより好ましく、74質量%以下であることが更に好ましい。
共重合体の含有量が、本発明の共重合体とオレフィン系樹脂との合計質量中、1質量%以上であれば、共重合体による作用が十分に発揮され、樹脂成形品の耐衝撃性を十分確保することができる。また、共重合体の含有量が、本発明の共重合体とオレフィン系樹脂との合計質量中、81質量%以下であれば、オレフィン樹脂による作用により樹脂成形品の靭性を十分確保することができる。
共重合体の含有量が、本発明の共重合体とオレフィン系樹脂との合計質量中、1質量%以上であれば、共重合体による作用が十分に発揮され、樹脂成形品の耐衝撃性を十分確保することができる。また、共重合体の含有量が、本発明の共重合体とオレフィン系樹脂との合計質量中、81質量%以下であれば、オレフィン樹脂による作用により樹脂成形品の靭性を十分確保することができる。
一方、組成物中のオレフィン系樹脂の含有量は、本発明の共重合体とオレフィン系樹脂との合計質量中、19質量%以上であることが好ましく、22質量%以上であることがより好ましく、26質量%以上であることが更に好ましく、また、99質量%以下であることが好ましく、97質量%以下であることがより好ましく、95質量%以下であることが更に好ましい。
オレフィン系樹脂の含有量が、本発明の共重合体とオレフィン系樹脂との合計質量中、19質量%以上であれば、オレフィン樹脂による作用が十分に発揮され、樹脂成形品の靭性を十分確保することができる。また、オレフィン樹脂の含有量が、本発明の共重合体とオレフィン系樹脂との合計質量中、99質量%以下であれば、共重合体による作用を十分確保することができる。
オレフィン系樹脂の含有量が、本発明の共重合体とオレフィン系樹脂との合計質量中、19質量%以上であれば、オレフィン樹脂による作用が十分に発揮され、樹脂成形品の靭性を十分確保することができる。また、オレフィン樹脂の含有量が、本発明の共重合体とオレフィン系樹脂との合計質量中、99質量%以下であれば、共重合体による作用を十分確保することができる。
〔各種成分〕
樹脂組成物は、樹脂工業界で通常使用される配合剤、例えば、老化防止剤、充填剤、架橋剤、軟化剤、ステアリン酸、亜鉛華、架橋促進剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して含有していてもよい。
樹脂組成物は、樹脂工業界で通常使用される配合剤、例えば、老化防止剤、充填剤、架橋剤、軟化剤、ステアリン酸、亜鉛華、架橋促進剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して含有していてもよい。
<老化防止剤>
樹脂組成物は、樹脂成形品の耐衝撃性をより向上する観点から、老化防止剤を含有していることが好ましい。また、樹脂組成物を溶融混練等する際に、共役ジエン単位が高温でゲル化を生じることを抑制するため含有していることが望ましい。
老化防止剤としては、例えば、アミン−ケトン系化合物、イミダゾール系化合物、アミン系化合物、フェノール系化合物、硫黄系化合物及びリン系化合物等が挙げられる。
樹脂組成物中の老化防止剤の含有量は、本発明の共重合体とオレフィン系樹脂との合計100質量部に対して0.1〜5質量部であることが好ましく、0.5〜3質量部であることがより好ましい。
樹脂組成物は、樹脂成形品の耐衝撃性をより向上する観点から、老化防止剤を含有していることが好ましい。また、樹脂組成物を溶融混練等する際に、共役ジエン単位が高温でゲル化を生じることを抑制するため含有していることが望ましい。
老化防止剤としては、例えば、アミン−ケトン系化合物、イミダゾール系化合物、アミン系化合物、フェノール系化合物、硫黄系化合物及びリン系化合物等が挙げられる。
樹脂組成物中の老化防止剤の含有量は、本発明の共重合体とオレフィン系樹脂との合計100質量部に対して0.1〜5質量部であることが好ましく、0.5〜3質量部であることがより好ましい。
<充填剤>
組成物は、充填剤を含有していてもよい。
組成物が充填剤を含有することで、樹脂成形品の耐摩耗等の特性を向上することができる。
充填剤は、特に制限されず、例えば、組成物を補強する補強性充填剤が用いられる。補強性充填剤としては、例えば、シリカ、カーボンブラック、タルク、繊維、炭酸カルシウム、酸化チタン、黒鉛、金属粉、クレー、マイカ、ガラスフレーク、チタン酸カルシウム、アルミナ、エバール、吸水用高分子ゲル等が挙げられ、これらのいずれか1つを単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。中でも、シリカ、カーボンブラック、タルク、繊維、及び炭酸カルシウムがより好ましい。
組成物は、充填剤を含有していてもよい。
組成物が充填剤を含有することで、樹脂成形品の耐摩耗等の特性を向上することができる。
充填剤は、特に制限されず、例えば、組成物を補強する補強性充填剤が用いられる。補強性充填剤としては、例えば、シリカ、カーボンブラック、タルク、繊維、炭酸カルシウム、酸化チタン、黒鉛、金属粉、クレー、マイカ、ガラスフレーク、チタン酸カルシウム、アルミナ、エバール、吸水用高分子ゲル等が挙げられ、これらのいずれか1つを単独で用いてもよいし、組み合わせて用いてもよい。中でも、シリカ、カーボンブラック、タルク、繊維、及び炭酸カルシウムがより好ましい。
<<カーボンブラック>>
カーボンブラックは、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。カーボンブラックは、例えば、FEF、SRF、HAF、ISAF、SAFグレードのものが好ましく、HAF、ISAF、SAFグレードのものがより好ましい。
カーボンブラックは、特に限定されず、目的に応じて適宜選択することができる。カーボンブラックは、例えば、FEF、SRF、HAF、ISAF、SAFグレードのものが好ましく、HAF、ISAF、SAFグレードのものがより好ましい。
<<シリカ>>
シリカは特に限定されず、一般グレードのシリカ、シランカップリング剤などで表面処理を施した特殊シリカなど、用途に応じて使用することができる。シリカは、例えば、湿式シリカを用いることが好ましい。
シリカは特に限定されず、一般グレードのシリカ、シランカップリング剤などで表面処理を施した特殊シリカなど、用途に応じて使用することができる。シリカは、例えば、湿式シリカを用いることが好ましい。
<<繊維>>
繊維は特に限定されず、ガラス繊維、セルロース繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、石膏繊維を目的に応じて選択することができる。中でも、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、及びセルロース繊維がより好ましい。
繊維は特に限定されず、ガラス繊維、セルロース繊維、炭素繊維、金属繊維、アラミド繊維、石膏繊維を目的に応じて選択することができる。中でも、ガラス繊維、炭素繊維、アラミド繊維、及びセルロース繊維がより好ましい。
<架橋剤>
架橋剤は、特に制限はなく、通常、過酸化物、硫黄、オキシム、アミン、紫外線硬化剤、等が挙げられる。
本発明の共重合体は、共役ジエン単位を含むことから、硫黄により架橋(加硫)することができる。硫黄としては、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄等を挙げることができる。
架橋剤は、特に制限はなく、通常、過酸化物、硫黄、オキシム、アミン、紫外線硬化剤、等が挙げられる。
本発明の共重合体は、共役ジエン単位を含むことから、硫黄により架橋(加硫)することができる。硫黄としては、例えば、粉末硫黄、沈降硫黄、コロイド硫黄、表面処理硫黄、不溶性硫黄等を挙げることができる。
樹脂組成物は、本発明の共重合体のほか、老化防止剤等の各成分、必要に応じてオレフィン系樹脂を配合して、バンバリーミキサー、ロール、インターナルミキサー、単軸押出混練機、2軸押出混練機等の混練機を用いて混練することによって、製造することができる。
樹脂組成物の製造で配合する各成分は、樹脂組成物中の各成分の含有量として示した量を配合量として配合することが好ましい。
各成分の混練は、全一段階で行ってもよいし、二段階以上に分けて行ってもよい。
樹脂組成物の製造で配合する各成分は、樹脂組成物中の各成分の含有量として示した量を配合量として配合することが好ましい。
各成分の混練は、全一段階で行ってもよいし、二段階以上に分けて行ってもよい。
押出混練機により溶融混練して樹脂組成物を押出した場合、押し出された樹脂組成物は、直接切断してペレットにしてもよいし、ストランドを形成した後、ストランドをペレタイザーで切断してペレットにしてもよい。ペレットの形状は、円柱、角柱、および球状など一般的な形状を取り得る。
本発明の樹脂成形品は、本発明の樹脂組成物を用いてなる。
例えば、ペレットにした樹脂組成物を、射出成形、押出し成形等により成形することで、樹脂成形品が得られる。
また、樹脂組成物を、既述の架橋剤等を用いて架橋してもよいし、架橋剤を用いずに、電子線架橋、マイクロ波照射等をして架橋して、樹脂成形品を得てもよい。
例えば、ペレットにした樹脂組成物を、射出成形、押出し成形等により成形することで、樹脂成形品が得られる。
また、樹脂組成物を、既述の架橋剤等を用いて架橋してもよいし、架橋剤を用いずに、電子線架橋、マイクロ波照射等をして架橋して、樹脂成形品を得てもよい。
射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、多色成形、サンドイッチ成形、超高速射出成形等によって成型体を得てもよい。また成形は、コールドランナー方式及びホットランナー方式のいずれも選択することができる。
また押出成形では、各種異形押出成形品、シート、フィルム等が得られる。シート、フィルムの成形にはインフレーション法、カレンダー法、キャスティング法等も使用することができる。
樹脂成形品は更に延伸してもよい。
また押出成形では、各種異形押出成形品、シート、フィルム等が得られる。シート、フィルムの成形にはインフレーション法、カレンダー法、キャスティング法等も使用することができる。
樹脂成形品は更に延伸してもよい。
[金属蒸着膜]
上述した基材上に、金属蒸着膜が形成される。金属蒸着膜は、基材上に直接形成されていても良いし、例えば公知の方法により基材上に設けられたアンカーコート層上に形成されていても良い。また、金属蒸着膜を形成する前に、基材表面には、公知の方法により洗浄、表面処理などの前処理が施されていても良い。
金属蒸着膜の形成方法は特に限定されず、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的気相成長法(PVD)、または、化学的気相成長法(CVD)を用いることができる。
上述した基材上に、金属蒸着膜が形成される。金属蒸着膜は、基材上に直接形成されていても良いし、例えば公知の方法により基材上に設けられたアンカーコート層上に形成されていても良い。また、金属蒸着膜を形成する前に、基材表面には、公知の方法により洗浄、表面処理などの前処理が施されていても良い。
金属蒸着膜の形成方法は特に限定されず、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの物理的気相成長法(PVD)、または、化学的気相成長法(CVD)を用いることができる。
金属蒸着膜は、銅、金、銀、亜鉛、アルミニウム、クロム、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、コバルト、インジウム、スズ、マグネシウム及びこれらの合金から選ばれる1種以上の金属からなることが好ましい。また、金属蒸着膜は、銅、コバルト、ニッケル、クロム及びこれらの合金から選ばれる1種以上の金属からなることがより好ましい。これらの金属は、樹脂成形品の用途や、外観、要求性能などの仕様に応じて選択することができる。
本発明者らが検討した結果、ブタジエンゴム、シリコーンゴムなどの弾性を有する基体上に金属蒸着膜を形成した場合、金属蒸着膜と基体との密着性が悪いことが判明した。一方で、上述した共重合体を含む基体は、弾性を有するにもかかわらず、他のゴム基体とは異なり金属蒸着膜との密着性が良好となることが分かった。この理由は定かではないが、樹脂の構造や、基体を成形した際の表面状態などが影響していると推察される。
樹脂成形品の用途や、要求仕様に応じて、金属蒸着膜の厚みは適宜変更可能である。金属蒸着膜の厚さは、基体を被覆するとの観点から20nm以上であることが好ましい。また、金属蒸着膜が厚くなりすぎると、樹脂成形品の延伸や、異物などの衝突により樹脂成形品が変形した場合に、金属蒸着膜が樹脂成形品の変形に追従することができず、ヒビや剥離などの損傷が発生する虞がある。さらに、金属蒸着膜が厚い場合には、形成時間が長くなり、製造コストが増大する。これらの観点から、金属蒸着膜は、500nm以下であることが好ましく、300nm以下であることがより好ましい。
金属蒸着膜が形成される場所は特に限定されない。例えば、基材がフィルム状、シート状などである場合、基材の一方の面のみに形成されていても良い。
[樹脂成形品の用途]
本発明における樹脂成形品は、例えば、自動車用部品(エンブレム、自動車構造体(バンパー、シャーシ、フロントグリル、加飾グリル、エンジンコントロールユニット(ECU)等)など)、自動車用電池(リチウムイオン電池等)等)などである。
その他、本発明の樹脂成形品は、事務機器用精密部品(OAローラー等)、自転車用フレーム、ゴルフシャフトなどである。
また、本発明の樹脂成型品は、医療器具(医療用チューブ等)、建築材料(フロア材など)、電子材料、電子ケーブル、電子デバイス、通信機器、航空機部品、機械部品、電子部品、農業用資材、繊維(ウェアラブル基盤)、樹脂配管、日用品(眼鏡、双眼鏡、玩具等)、ロボット部品、光学部品、道路資材(ポール、標識等)、電気機器外装部品、OA外装部品、高周波用基板材料等であり得る。
本発明における樹脂成形品は、例えば、自動車用部品(エンブレム、自動車構造体(バンパー、シャーシ、フロントグリル、加飾グリル、エンジンコントロールユニット(ECU)等)など)、自動車用電池(リチウムイオン電池等)等)などである。
その他、本発明の樹脂成形品は、事務機器用精密部品(OAローラー等)、自転車用フレーム、ゴルフシャフトなどである。
また、本発明の樹脂成型品は、医療器具(医療用チューブ等)、建築材料(フロア材など)、電子材料、電子ケーブル、電子デバイス、通信機器、航空機部品、機械部品、電子部品、農業用資材、繊維(ウェアラブル基盤)、樹脂配管、日用品(眼鏡、双眼鏡、玩具等)、ロボット部品、光学部品、道路資材(ポール、標識等)、電気機器外装部品、OA外装部品、高周波用基板材料等であり得る。
以下、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、これらの実施例は、本発明の例示を目的とするものであり、本発明を何ら限定するものではない。
〔共重合体の製造方法〕
十分に乾燥した2000mL耐圧ステンレス反応器に、スチレン52gとトルエン762gを加えた。
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にモノ(ビス(1,3−tert−ブチルジメチルシリル)インデニル)ビス(ビス(ジメチルシリル)アミド)ガドリニウム錯体1,3−[(t−Bu)Me2Si]2C9H5Gd[N(SiHMe2)2] 0.031mmol、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[Me2NHPhB(C6F5)4] 0.031mmolを仕込み、トルエン 21gを加えて触媒溶液とした。その触媒溶液を前記耐圧ステンレス反応器に加え、60℃に加温した。なお、「t−Bu」はtert−ブチル基、「Me」はメチル基、「Ph」はフェニル基を意味する(重合体2、及び3の合成方法において同じ)。
次いで、エチレンを圧力1.0MPaでその耐圧ステンレス反応器に投入し、75℃で計9時間共重合を行った。1,3−ブタジエンは、連続的に0.6mL/min.の速度で1,3−ブタジエン 27gを含むトルエン溶液 108gを加えた。。
次いで、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5) 5質量%のイソプロパノール溶液1mLをその耐圧ステンレス反応器に加えて反応を停止させた。
次いで、大量のメタノールを用いて共重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、共重合体を得た。
十分に乾燥した2000mL耐圧ステンレス反応器に、スチレン52gとトルエン762gを加えた。
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にモノ(ビス(1,3−tert−ブチルジメチルシリル)インデニル)ビス(ビス(ジメチルシリル)アミド)ガドリニウム錯体1,3−[(t−Bu)Me2Si]2C9H5Gd[N(SiHMe2)2] 0.031mmol、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[Me2NHPhB(C6F5)4] 0.031mmolを仕込み、トルエン 21gを加えて触媒溶液とした。その触媒溶液を前記耐圧ステンレス反応器に加え、60℃に加温した。なお、「t−Bu」はtert−ブチル基、「Me」はメチル基、「Ph」はフェニル基を意味する(重合体2、及び3の合成方法において同じ)。
次いで、エチレンを圧力1.0MPaでその耐圧ステンレス反応器に投入し、75℃で計9時間共重合を行った。1,3−ブタジエンは、連続的に0.6mL/min.の速度で1,3−ブタジエン 27gを含むトルエン溶液 108gを加えた。。
次いで、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5) 5質量%のイソプロパノール溶液1mLをその耐圧ステンレス反応器に加えて反応を停止させた。
次いで、大量のメタノールを用いて共重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、共重合体を得た。
〔共重合体の物性測定方法〕
(1)数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、ピークトップ分子量(Mp)及び分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー社製HLC−8121GPC/HT、カラム:東ソー社製GMHHR−H(S)HT×2本、検出器:示差屈折率計(RI)]で単分散ポリスチレンを基準として、共重合体のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、ピークトップ分子量(Mp)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。なお、溶媒として1,2,4-トリクロロベンゼンを用いた。測定温度は40℃である。結果を表1に示す。
(1)数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、ピークトップ分子量(Mp)及び分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー社製HLC−8121GPC/HT、カラム:東ソー社製GMHHR−H(S)HT×2本、検出器:示差屈折率計(RI)]で単分散ポリスチレンを基準として、共重合体のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、ピークトップ分子量(Mp)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。なお、溶媒として1,2,4-トリクロロベンゼンを用いた。測定温度は40℃である。結果を表1に示す。
(2)エチレン単位、ブタジエン単位、スチレン単位、ブチレン単位の含有量
共重合体中のエチレン単位、ブタジエン単位、スチレン単位、ブチレン単位の含有量(mol%)を、1H−NMRスペクトル(100℃、d−テトラクロロエタン標準:6ppm)の各ピークの積分比より求めた。結果を表1に示す。
合成した共重合体は、エチレン単位、ブタジエン単位、及びスチレン単位の各含有量の合計が100mol%であり、ブチレン単位の含有量は0mol%であった。
共重合体中のエチレン単位、ブタジエン単位、スチレン単位、ブチレン単位の含有量(mol%)を、1H−NMRスペクトル(100℃、d−テトラクロロエタン標準:6ppm)の各ピークの積分比より求めた。結果を表1に示す。
合成した共重合体は、エチレン単位、ブタジエン単位、及びスチレン単位の各含有量の合計が100mol%であり、ブチレン単位の含有量は0mol%であった。
(3)融点
示差走査熱量計(DSC、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、「DSCQ2000」)を用い、JIS K 7121:1987に準拠して、共重合体の融点を測定した。結果を表1に示す。
示差走査熱量計(DSC、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、「DSCQ2000」)を用い、JIS K 7121:1987に準拠して、共重合体の融点を測定した。結果を表1に示す。
(4)主鎖構造の確認
合成した共重合体について、13C−NMRスペクトルを測定した。
合成した共重合体は、13C−NMRスペクトルチャートにおいて、10〜24ppmにピークが観測されなかったことから、合成した共重合体は、主鎖が非環状構造のみからなることを確認した。
合成した共重合体について、13C−NMRスペクトルを測定した。
合成した共重合体は、13C−NMRスペクトルチャートにおいて、10〜24ppmにピークが観測されなかったことから、合成した共重合体は、主鎖が非環状構造のみからなることを確認した。
〔基体の作製〕
合成した共重合体(実施例1)、ポリエチレン樹脂(比較例2)、及び、水添スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS、比較例3)を、それぞれ単独で溶融混練した。各樹脂を、2mm厚みのモールドを用いて180℃で5分間プレスした後、5分間急冷して、150mm×150mm×2mmの基体を作製した。
なお、シリコーンゴム(比較例1)として、以下のものを150mm×150mmに切り出して基体とした。ポリエチレン樹脂及びSEBSとして、以下のものを使用した。
(1)シリコーンゴム:株式会社十川ゴム製、シリコーンゴムシート、品番:K−125(50)、厚み1mm
(2)ポリエチレン系樹脂(PE樹脂):宇部丸善ポリエチレン(株)製、商品名「ユメリット(登録商標)1540F」
(3)水添スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS):旭化成(株)製、商品名「タフテック(登録商標)H1062」
合成した共重合体(実施例1)、ポリエチレン樹脂(比較例2)、及び、水添スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS、比較例3)を、それぞれ単独で溶融混練した。各樹脂を、2mm厚みのモールドを用いて180℃で5分間プレスした後、5分間急冷して、150mm×150mm×2mmの基体を作製した。
なお、シリコーンゴム(比較例1)として、以下のものを150mm×150mmに切り出して基体とした。ポリエチレン樹脂及びSEBSとして、以下のものを使用した。
(1)シリコーンゴム:株式会社十川ゴム製、シリコーンゴムシート、品番:K−125(50)、厚み1mm
(2)ポリエチレン系樹脂(PE樹脂):宇部丸善ポリエチレン(株)製、商品名「ユメリット(登録商標)1540F」
(3)水添スチレン系熱可塑性エラストマー(SEBS):旭化成(株)製、商品名「タフテック(登録商標)H1062」
〔銅蒸着膜の形成〕
実施例及び比較例の成型体から、75mm×25mmのシートを切り出した。該シートの一方の面上に膜厚220nmの銅薄膜を形成し、実施例及び比較例の樹脂成形品を得た。
実施例及び比較例の成型体から、75mm×25mmのシートを切り出した。該シートの一方の面上に膜厚220nmの銅薄膜を形成し、実施例及び比較例の樹脂成形品を得た。
〔密着性評価〕
実施例及び比較例の樹脂成形品の銅薄膜の密着性を、JIS H 8504:1999に準拠して評価した。試験用テープとして、積水化学工業(株)製、商品名「セキスイセロテープ(登録商標)No.252」(幅12mm)を用いた。約12mm角の銅薄膜との接触面が確保できるように試験テープを切り取り、該テープを銅薄膜表面に貼り付けた。その後、該テープの非接触部分を銅薄膜表面に対して略垂直方向に引き剥がした(90°剥離)。
銅薄膜の密着性を、下記の基準で評価した。密着性評価は、後述の耐衝撃性評価試験の実施前、及び、実施後の銅薄膜について行った。結果を表2に示す。
A:テープに銅薄膜の付着が見られなかった。
B:テープにわずかに銅薄膜が付着した。
C:テープのほぼ全面に銅薄膜が付着した。
実施例及び比較例の樹脂成形品の銅薄膜の密着性を、JIS H 8504:1999に準拠して評価した。試験用テープとして、積水化学工業(株)製、商品名「セキスイセロテープ(登録商標)No.252」(幅12mm)を用いた。約12mm角の銅薄膜との接触面が確保できるように試験テープを切り取り、該テープを銅薄膜表面に貼り付けた。その後、該テープの非接触部分を銅薄膜表面に対して略垂直方向に引き剥がした(90°剥離)。
銅薄膜の密着性を、下記の基準で評価した。密着性評価は、後述の耐衝撃性評価試験の実施前、及び、実施後の銅薄膜について行った。結果を表2に示す。
A:テープに銅薄膜の付着が見られなかった。
B:テープにわずかに銅薄膜が付着した。
C:テープのほぼ全面に銅薄膜が付着した。
表2に示すように、上記共重合体を用いた実施例1の樹脂成形品では、ポリエチレン系樹脂を基体とした比較例2と同程度に、基体と銅薄膜との優れた密着性を得ることができた。また、実施例1の樹脂成形品は、SEBSを基体とした比較例3の樹脂成形品よりも銅薄膜の密着性が良好であった。一般的なゴム基体は、未架橋であると収縮により、基体である成形体表面に凹凸が形成されるために、銅薄膜との密着性が悪くなったと考えられる。一方で、実施例1では、成型体(基体)に未架橋のゴム成分である本発明の共重合体が含まれていても、共重合体とポリエチレン樹脂(オレフィン樹脂)とが分子レベルで結合しているために、収縮が起こらず成型体表面がより平滑であるために、銅薄膜との密着性が良好であったと推測される。
Claims (6)
- 共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位とを含有し、ブチレン単位の含有量が0mol%である共重合体を含む樹脂組成物からなる基体と、
該基体上に形成された金属蒸着層と、
を備える樹脂成形品。 - 前記共重合体は、前記共役ジエン単位の含有量が0mol%を超え50mol%以下、かつ、前記非共役オレフィン単位の含有量が50mol%以上100mol%未満である請求項1に記載の樹脂成形品。
- 前記共重合体が、更に芳香族ビニル単位を含有する請求項1または請求項2に記載の樹脂成形品。
- 前記共重合体が、前記共役ジエン単位の含有量が1mol%以上50mol%以下、前記非共役オレフィン単位の含有量が40mol%以上97mol%以下、かつ、前記芳香族ビニル単位の含有量が2mol%以上35mol%以下である請求項3に記載の樹脂成形品。
- 前記金属蒸着膜が、銅、金、銀、亜鉛、アルミニウム、クロム、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、コバルト、インジウム、スズ、マグネシウム及びこれらの合金から選ばれる1種以上の金属からなる請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の樹脂成形品。
- 前記基体が、前記共重合体と、オレフィン系樹脂とを含有する樹脂を含む請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の樹脂成形品。
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