JP2020050796A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】低発熱性が保持されつつ、耐クラック性及び耐カット性が向上した空気入りタイヤを提供する。【解決手段】トレッド部に溝が形成されている空気入りタイヤであって、前記溝の底部を含むトレッドゴム表層に、表層ゴムが配置されており、共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを有する多元共重合体をゴム成分中10〜30質量%の割合で含有するゴム組成物を、前記表層ゴムに用いたことを特徴とする、空気入りタイヤ。【選択図】なし
Description
本発明は、空気入りタイヤに関する。
近年、省エネルギーの社会的な要請及び環境問題への関心の高まりに伴う世界的な二酸化炭素の排出規制の動きに関連して、自動車の低燃費化に対する要求はより過酷なものとなりつつある。このような要求に対応するため、タイヤ性能についても、転がり抵抗の低減及び耐久性(耐摩耗性、耐クラック性等)の向上が求められてきている。
これまでは、タイヤの転がり抵抗の低減を達成するために、タイヤ構造の最適化が種々検討されてきた。しかしながら、近年は、タイヤの転がり抵抗を下げるための最も一般的な手法として、ゴム組成物に適用可能でより発熱性の低い材料の追求が行われている。
そのような手法としては、例えば、充填剤としてカーボンブラックを用いるとともに、重合活性末端をスズ化合物で修飾してなる合成ゴム成分を用いる手法(例えば、特許文献1)、及び、充填剤としてカーボンブラックを用いるとともに、重合活性末端にアミノ基を導入した合成ゴム成分を用いる手法(例えば、特許文献2)などが挙げられる。
しかしながら、上述した手法を用いて得られたゴム組成物をタイヤのトレッド部に適用したタイヤは、耐クラック性及び耐カット性が十分でなく、特に上記トレッド部が溝を有する場合には、当該溝の底部においてこの問題が一層顕著となる傾向があった。
そこで、本発明の目的は、低発熱性が保持されつつ、耐クラック性及び耐カット性が向上した空気入りタイヤを提供することにある。
本発明の空気入りタイヤは、トレッド部に溝が形成されている空気入りタイヤであって、
前記溝の底部を含むトレッドゴム表層に、表層ゴムが配置されており、
共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを有する多元共重合体をゴム成分中10〜30質量%の割合で含有するゴム組成物を、前記表層ゴムに用いたことを特徴とする。かかる本発明の空気入りタイヤは、低発熱性が保持されつつ、耐クラック性及び耐カット性が向上している。
前記溝の底部を含むトレッドゴム表層に、表層ゴムが配置されており、
共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを有する多元共重合体をゴム成分中10〜30質量%の割合で含有するゴム組成物を、前記表層ゴムに用いたことを特徴とする。かかる本発明の空気入りタイヤは、低発熱性が保持されつつ、耐クラック性及び耐カット性が向上している。
本発明の空気入りタイヤにおいて、前記ゴム組成物は、充填剤を更に含有し、前記ゴム組成物における前記充填剤の含有量が、ゴム成分100質量部に対して45質量部以上であることが好ましい。この場合、タイヤの耐クラック性及び耐カット性をより効果的に向上させることができる。
本発明の空気入りタイヤにおいて、前記充填剤は、シリカを含み、前記充填剤中の前記シリカの割合が80質量%以上であることが好ましい。この場合、タイヤの耐クラック性及び耐カット性を向上させつつ、タイヤの低発熱性を高めることができる。
本発明の空気入りタイヤにおいて、前記ゴム組成物は、天然ゴムを含有し、ゴム成分中の前記天然ゴムの割合が50質量%以上であることが好ましい。この場合、低発熱性及び耐クラック性、特には溝の底部における耐クラック性をバランスよく効果的に向上させることができる。
本発明の空気入りタイヤにおいて、前記多元共重合体は、前記共役ジエン単位の割合が1〜50mol%であり、前記非共役オレフィン単位の割合が40〜97mol%であり、且つ、前記芳香族ビニル単位の割合が2〜35mol%であることが好ましい。この場合、タイヤの耐クラック性及び耐カット性を更に向上させるとともに、タイヤの耐候性を向上させることができる。
本発明の空気入りタイヤにおいて、前記多元共重合体は、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が30〜130℃であることが好ましい。この場合、架橋後の耐久性を更に向上させるとともに、ゴム組成物の作業性を向上させることができる。
本発明の空気入りタイヤにおいて、前記多元共重合体は、0〜120℃における示差走査熱量計(DSC)で測定した吸熱ピークエネルギーが10〜150J/gであることが好ましい。この場合、架橋後の耐久性を更に向上させるとともに、ゴム組成物の作業性を向上させることができる。
本発明の空気入りタイヤにおいて、前記多元共重合体は、示差走査熱量計(DSC)で測定したガラス転移温度が0℃以下であることが好ましい。この場合、ゴム組成物の作業性を向上させることができる。
本発明の空気入りタイヤにおいて、前記多元共重合体は、結晶化度が0.5〜50%であることが好ましい。この場合、タイヤの耐クラック性及び耐カット性を更に向上させるとともに、タイヤを成形する際の作業性を向上させることができる。
本発明の空気入りタイヤにおいては、前記多元共重合体における前記非共役オレフィン単位が、非環状の非共役オレフィン単位であることが好ましい。この場合、ゴム組成物及びタイヤの耐候性を向上させることができる。
本発明の空気入りタイヤにおいて、前記多元共重合体は、主鎖が非環状構造のみからなることが好ましい。この場合、ゴム組成物の耐クラック性及び耐カット性を更に向上させることができ、架橋後の耐久性を更に向上させることができる。
本発明の空気入りタイヤにおいては、前記非共役オレフィン単位が、エチレン単位のみからなることが好ましい。この場合、ゴム組成物及びタイヤの耐候性を向上させることができる。
本発明の空気入りタイヤにおいては、前記多元共重合体における前記芳香族ビニル単位が、スチレン単位を含むことが好ましい。この場合、ゴム組成物及びタイヤの耐候性を向上させることができる。
本発明の空気入りタイヤにおいては、前記多元共重合体における前記共役ジエン単位が、1,3−ブタジエン単位及び/又はイソプレン単位を含むことが好ましい。この場合、ゴム組成物及びタイヤの耐久性を効果的に向上させることができる。
本発明によれば、低発熱性が保持されつつ、耐クラック性及び耐カット性が向上した空気入りタイヤを提供することができる。
本発明の一実施形態の空気入りタイヤ(以下、「本実施形態のタイヤ」と称することがある。)は、トレッド部に溝が形成されており、上記溝の底部を含むトレッドゴム表層に表層ゴムが配置されている。そして、本実施形態のタイヤは、共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを有する多元共重合体(以下、単に「多元共重合体」と称することがある。)をゴム成分中10〜30質量%の割合で含有するゴム組成物が、上記表層ゴムに用いられている。換言すると、本実施形態のタイヤは、上記表層ゴムが、共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを有する多元共重合体をゴム成分中10〜30質量%の割合で含有する。
上記多元共重合体は、非共役オレフィン単位中に、非共役オレフィン化合物に由来する結晶部分を含む。そのため、上記多元共重合体は、低歪に晒された場合には、当該結晶部分が擬似架橋点としてふるまうことで、ロスを低減することが可能となる。また、上記多元共重合体は、当該結晶成分により高弾性化されており、また、高歪に晒された場合には、当該結晶部分の融解によりエネルギーが散逸するため、相乗的に高い耐クラック性及び耐カット性を発揮することができる。よって、本実施形態のタイヤによれば、上述した多元共重合体を含有するゴム組成物を表層ゴムに適用し、溝の底部を含むトレッドゴム表層に当該表層ゴムを配置することで、タイヤの低発熱性を保持しつつ、耐クラック性及び耐カット性を向上させることができる。
なお、本実施形態のタイヤにおける、表層ゴム以外の部材、例えば、トレッド部におけるトレッドゴム(トレッド部のベース部分を構成するゴム)、サイドウォール部、ビード部などの構造及び組成等については、特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。
また、本実施形態のタイヤのトレッド部における溝の構造(例えば、幅、深さ、ピッチ等)についても特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。
(表層ゴム用ゴム組成物)
以下、表層ゴムに用いられるゴム組成物(以下、「表層ゴム用ゴム組成物」と称することがある。)について説明する。当該表層ゴム用ゴム組成物は、少なくとも、共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを有する多元共重合体を含有し、また、必要に応じて、当該多元共重合体以外のゴム成分、充填剤、架橋剤、その他の成分を含有することができる。
以下、表層ゴムに用いられるゴム組成物(以下、「表層ゴム用ゴム組成物」と称することがある。)について説明する。当該表層ゴム用ゴム組成物は、少なくとも、共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを有する多元共重合体を含有し、また、必要に応じて、当該多元共重合体以外のゴム成分、充填剤、架橋剤、その他の成分を含有することができる。
<多元共重合体>
上記表層ゴム用ゴム組成物は、ゴム成分として、共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを有する多元共重合体を含有する。なお、当該多元共重合体は、共役ジエン単位、非共役オレフィン単位、及び芳香族ビニル単位のみからなっていてもよいし、共役ジエン単位、非共役オレフィン単位、及び芳香族ビニル単位を有するとともに、更に他の単量体単位を有してもよい。
上記表層ゴム用ゴム組成物は、ゴム成分として、共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを有する多元共重合体を含有する。なお、当該多元共重合体は、共役ジエン単位、非共役オレフィン単位、及び芳香族ビニル単位のみからなっていてもよいし、共役ジエン単位、非共役オレフィン単位、及び芳香族ビニル単位を有するとともに、更に他の単量体単位を有してもよい。
上記共役ジエン単位は、単量体としての共役ジエン化合物に由来する構成単位である。該共役ジエン単位は、多元共重合体の加硫を可能とし、また、ゴムとしての伸びや強度を発現することができる。ここで、共役ジエン化合物とは、共役系のジエン化合物を指す。該共役ジエン化合物は、炭素数が4〜8であることが好ましい。かかる共役ジエン化合物として、具体的には、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。上記共役ジエン化合物は、一種単独であってもよいし、二種以上の組み合わせであってもよい。そして、多元共重合体の単量体としての共役ジエン化合物は、得られる多元共重合体を用いた表層ゴム用ゴム組成物及びタイヤの耐久性を効果的に向上させる観点から、1,3−ブタジエン及び/又はイソプレンを含むことが好ましく、1,3−ブタジエン及び/又はイソプレンのみからなることがより好ましく、1,3−ブタジエンのみからなることが更に好ましい。別の言い方をすると、多元共重合体における共役ジエン単位は、1,3−ブタジエン単位及び/又はイソプレン単位を含むことが好ましく、1,3−ブタジエン単位及び/又はイソプレン単位のみからなることがより好ましく、1,3−ブタジエン単位のみからなることが更に好ましい。
上記多元共重合体は、共役ジエン単位の割合が、1mol%以上であることが好ましく、3mol%以上であることがより好ましく、また、50mol%以下であることが好ましく、40mol%以下であることがより好ましく、30mol%以下であることが更に好ましく、25mol%以下であることが一層好ましく、15mol%以下であることが特に。共役ジエン単位の割合が、多元共重合体全体の1mol%以上であると、伸びに優れる表層ゴム用ゴム組成物及びタイヤが得られるので好ましく、また、50mol%以下であると、耐候性に優れる。また、共役ジエン単位の割合は、多元共重合体全体の1〜50mol%の範囲が好ましく、3〜40mol%の範囲がより好ましい。
上記非共役オレフィン単位は、単量体としての非共役オレフィン化合物に由来する構成単位であり、それゆえ、上述の通り、非共役オレフィン化合物に由来する結晶部分を含む。ここで、非共役オレフィン化合物とは、脂肪族不飽和炭化水素で、炭素−炭素二重結合を1個以上有する化合物を指す。該非共役オレフィン化合物は、炭素数が2〜10であることが好ましい。かかる非共役オレフィン化合物として、具体的には、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン等のα−オレフィン、ピバリン酸ビニル、1−フェニルチオエテン、N−ビニルピロリドン等のヘテロ原子置換アルケン化合物等が挙げられる。上記非共役オレフィン化合物は、一種単独であってもよいし、二種以上の組み合わせであってもよい。そして、多元共重合体の単量体としての非共役オレフィン化合物は、得られる多元共重合体を用いた表層ゴム用ゴム組成物及びタイヤの耐候性を向上させる観点から、非環状の非共役オレフィン化合物であることが好ましく、α−オレフィンであることがより好ましく、エチレンを含むα−オレフィンであることが更に好ましく、エチレンのみからなることが一層好ましい。別の言い方をすると、多元共重合体における非共役オレフィン単位は、非環状の非共役オレフィン単位であることが好ましく、α−オレフィン単位であることがより好ましく、エチレン単位を含むα−オレフィン単位であることが更に好ましく、エチレン単位のみからなることが一層好ましい。
上記多元共重合体は、非共役オレフィン単位の割合が、40mol%以上であることが好ましく、45mol%以上であることがより好ましく、55mol%以上であることが更に好ましく、60mol%以上であることが一層好ましく、また、97mol%以下であることが好ましく、95mol%以下であることがより好ましく、90mol%以下であることが更に好ましい。非共役オレフィン単位の割合が、多元共重合体全体の40mol%以上であると、結果として共役ジエン単位又は芳香族ビニル単位の割合が減少して、耐候性が向上したり、破壊特性(特には、破断強度(Tb))が向上したりする。また、非共役オレフィン単位の割合が97mol%以下であると、結果として共役ジエン単位又は芳香族ビニル単位の割合が増加し、高温での破壊特性(特には、破断伸び(Eb))が向上する。また、非共役オレフィン単位の割合は、多元共重合体全体の40〜97mol%の範囲が好ましく、45〜95mol%の範囲がより好ましく、55〜90mol%の範囲が更に好ましい。
上記芳香族ビニル単位は、単量体としての芳香族ビニル化合物に由来する構成単位である。該芳香族ビニル単位は、多元共重合体の作業性を向上させることができる。ここで、芳香族ビニル化合物とは、少なくともビニル基で置換された芳香族化合物を指し、共役ジエン化合物には包含されないものとする。該芳香族ビニル化合物は、炭素数が8〜10であることが好ましい。かかる芳香族ビニル化合物としては、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、o,p−ジメチルスチレン、o−エチルスチレン、m−エチルスチレン、p−エチルスチレン等が挙げられる。上記芳香族ビニル化合物は、一種単独であってもよいし、二種以上の組み合わせであってもよい。そして、多元共重合体の単量体としての芳香族ビニル化合物は、得られる多元共重合体を用いた表層ゴム用ゴム組成物及びタイヤの耐候性を向上させる観点から、スチレンを含むことが好ましく、スチレンのみからなることがより好ましい。別の言い方をすると、多元共重合体における芳香族ビニル単位は、スチレン単位を含むことが好ましく、スチレン単位のみからなることがより好ましい。
なお、芳香族ビニル単位における芳香族環は、隣接する単位と結合しない限り、多元共重合体の主鎖には含まれない。
なお、芳香族ビニル単位における芳香族環は、隣接する単位と結合しない限り、多元共重合体の主鎖には含まれない。
上記多元共重合体は、芳香族ビニル単位の割合が、2mol%以上であることが好ましく、3mol%以上であることがより好ましく、また、35mol%以下であることが好ましく、30mol%以下であることがより好ましく、25mol%以下であることが更に好ましい。芳香族ビニル単位の割合が2mol%以上であると、高温における破壊特性が向上する。また、芳香族ビニル単位の割合が35mol%以下であると、共役ジエン単位及び非共役オレフィン単位による効果が顕著になる。また、芳香族ビニル単位の割合は、多元共重合体全体の2〜35mol%の範囲が好ましく、3〜30mol%の範囲がより好ましく、3〜25mol%の範囲が更に好ましい。
上記多元共重合体の単量体の種類の数としては、多元共重合体が共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを有する限り、特に制限はない。該多元共重合体は、共役ジエン単位、非共役オレフィン単位、及び芳香族ビニル単位以外の、その他の構成単位を有してもよいが、その他の構成単位の割合は、所望の効果を得る観点から、多元共重合体全体の30mol%以下であることが好ましく、20mol%以下であることがより好ましく、10mol%以下であることが更に好ましく、含まないこと、即ち、割合が0mol%であることが一層好ましい。
上記多元共重合体は、耐クラック性、耐カット性及び結晶性をより好ましいものとする観点から、単量体として、一種のみの共役ジエン化合物、一種のみの非共役オレフィン化合物、及び一種のみの芳香族ビニル化合物を少なくとも用いて重合してなる重合体であることが好ましい。別の言い方をすると、上記多元共重合体は、一種のみの共役ジエン単位、一種のみの非共役オレフィン単位、及び一種のみの芳香族ビニル単位を有する多元共重合体であることが好ましく、一種のみの共役ジエン単位、一種のみの非共役オレフィン単位、及び一種のみの芳香族ビニル単位のみからなる三元共重合体であることがより好ましく、1,3−ブタジエン単位、エチレン単位、及びスチレン単位のみからなる三元共重合体であることが更に好ましい。ここで、「一種のみの共役ジエン単位」には、異なる結合様式の共役ジエン単位を含む場合が包含される。より具体的に、例えば、「一種のみの1,3−ブタジエン単位」には、1,2ビニル結合、シス−1,4結合及びトランス−1,4結合の1,3−ブタジエン単位が混在する場合が包含される。
上記多元共重合体は、上記共役ジエン単位の割合が1〜50mol%であり、上記非共役オレフィン単位の割合が40〜97mol%であり、且つ、上記芳香族ビニル単位の割合が2〜35mol%であることが好ましい。かかる多元共重合体を表層ゴム用ゴム組成物に適用することで、タイヤの耐クラック性及び耐カット性を更に向上させるとともに、タイヤの耐候性を向上させることができる。
上記多元共重合体は、ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が10,000〜10,000,000であることが好ましい。上記多元共重合体のMwが10,000以上であることにより、表層ゴム用ゴム組成物の機械的強度を十分に確保することができ、また、10,000,000以下であることにより、高い作業性を保持することができる。同様の観点から、上記多元共重合体のMwは、100,000以上であることがより好ましく、150,000以上であることが更に好ましく、また、9,000,000以下であることがより好ましく、8,000,000以下であることが更に好ましい。
上記多元共重合体は、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が10,000〜10,000,000であることが好ましい。上記多元共重合体のMnが10,000以上であることにより、表層ゴム用ゴム組成物の機械的強度を十分に確保することができ、また、Mnが10,000,000以下であることにより、高い作業性を保持することができる。同様の観点から、上記多元共重合体のMnは、50,000以上であることがより好ましく、100,000以上であることが更に好ましく、また、9,000,000以下であることがより好ましく、8,000,000以下であることが更に好ましい。
上記多元共重合体は、分子量分布[Mw/Mn(重量平均分子量/数平均分子量)]が1.00〜4.00であることが好ましい。上記多元共重合体の分子量分布が4.00以下であれば、多元共重合体の物性により十分な均質性をもたらすことができる。同様の観点から、上記多元共重合体の分子量分布は、3.50以下であることが撚り好ましく、3.00以下であることが更に好ましい。また、上記多元共重合体の分子量分布は、1.50以上であることがより好ましく、1.80以上であることが更に好ましい。
なお、上述した重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)及び分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレンを標準物質として求める。
上記多元共重合体は、0〜120℃における示差走査熱量計(DSC)で測定した吸熱ピークエネルギーが10〜150J/gであることが好ましい。多元共重合体の吸熱ピークエネルギーが10J/g以上であれば、多元共重合体の結晶性が高くなり、架橋後の耐久性を更に向上させることができる。また、多元共重合体の吸熱ピークエネルギーが150J/g以下であれば、表層ゴム用ゴム組成物の作業性が向上する。同様の観点から、上記多元共重合体の吸熱ピークエネルギーは、30J/g以上であることがより好ましく、また、120J/g以下であることがより好ましい。
ここで、該吸熱ピークエネルギーは、実施例に記載の方法で測定することができる。
ここで、該吸熱ピークエネルギーは、実施例に記載の方法で測定することができる。
上記多元共重合体は、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が30〜130℃であることが好ましい。多元共重合体の融点が30℃以上であれば、多元共重合体の結晶性が高くなり、架橋後の耐久性を更に向上させることができる。また、多元共重合体の融点が130℃以下であれば、表層ゴム用ゴム組成物の作業性が向上する。同様の観点から、上記多元共重合体の融点は、110℃以下であることがより好ましい。
ここで、該融点は、実施例に記載の方法で測定することができる。
ここで、該融点は、実施例に記載の方法で測定することができる。
上記多元共重合体は、示差走査熱量計(DSC)で測定したガラス転移温度(Tg)が0℃以下であることが好ましい。多元共重合体のガラス転移温度が0℃以下であれば、表層ゴム用ゴム組成物の作業性が向上する。同様の観点から、上記多元共重合体のガラス転移温度は、−10℃以下であることがより好ましい。また、上記多元共重合体のガラス転移温度は、−100℃以上であることが好ましい。
ここで、該ガラス転移温度は、実施例に記載の方法で測定することができる。
ここで、該ガラス転移温度は、実施例に記載の方法で測定することができる。
上記多元共重合体は、結晶化度が0.5〜50%であることが好ましい。多元共重合体の結晶化度が0.5%以上であれば、非共役オレフィン単位に起因する結晶性を十分に確保して、タイヤの耐クラック性及び耐カット性を更に向上させることができる。また、多元共重合体の結晶化度が50%以下であれば、表層ゴム用ゴム組成物の混練の際の作業性が向上し、また、多元共重合体を配合した表層ゴム用ゴム組成物のタッキネスが向上するため、表層ゴム用ゴム組成物から作製したゴム部材同士を貼り付け、タイヤを成形する際の作業性も向上する。同様の観点から、上記多元共重合体の結晶化度は、3%以上であることがより好ましく、5%以上であることが更に好ましく、また、45%以下であることがより好ましい。
ここで、該結晶化度は、実施例に記載の方法で測定することができる。
ここで、該結晶化度は、実施例に記載の方法で測定することができる。
上記多元共重合体は、主鎖が非環状構造のみからなることが好ましい。これにより、表層ゴム用ゴム組成物の耐クラック性及び耐カット性を更に向上させることができ、架橋後の耐久性を更に向上させることができる。
なお、多元共重合体の主鎖が環状構造を有するか否かの確認には、NMRが主要な測定手段として用いられる。具体的には、主鎖に存在する環状構造に由来するピーク(例えば、三員環〜五員環については、10〜24ppmに現れるピーク)が観測されない場合、その多元共重合体の主鎖は、非環状構造のみからなることを示す。
なお、多元共重合体の主鎖が環状構造を有するか否かの確認には、NMRが主要な測定手段として用いられる。具体的には、主鎖に存在する環状構造に由来するピーク(例えば、三員環〜五員環については、10〜24ppmに現れるピーク)が観測されない場合、その多元共重合体の主鎖は、非環状構造のみからなることを示す。
上記多元共重合体は、共役ジエン化合物と、非共役オレフィン化合物と、芳香族ビニル化合物とを単量体として用いる重合工程を経て製造でき、更に、必要に応じ、カップリング工程、洗浄工程、その他の工程を経てもよい。
ここで、上記多元共重合体の製造においては、重合触媒の存在下で、共役ジエン化合物を添加せずに非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物のみを添加し、これらをまず重合させることが好ましい。特に後述の触媒成分又は触媒組成物を使用する場合には、非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物よりも共役ジエン化合物の方が反応性が高いことから、共役ジエン化合物の存在下で非共役オレフィン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物を重合させることが困難となり易い。また、先に共役ジエン化合物を重合させ、後に非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物を付加的に重合させることも、触媒の特性上困難となり易い。
ここで、上記多元共重合体の製造においては、重合触媒の存在下で、共役ジエン化合物を添加せずに非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物のみを添加し、これらをまず重合させることが好ましい。特に後述の触媒成分又は触媒組成物を使用する場合には、非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物よりも共役ジエン化合物の方が反応性が高いことから、共役ジエン化合物の存在下で非共役オレフィン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物を重合させることが困難となり易い。また、先に共役ジエン化合物を重合させ、後に非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物を付加的に重合させることも、触媒の特性上困難となり易い。
重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法、液相塊状重合法、乳化重合法、気相重合法、固相重合法等の任意の方法を用いることができる。また、重合反応に溶媒を用いる場合、かかる溶媒としては、重合反応において不活性なものであればよく、例えば、トルエン、シクロヘキサン、ノルマルヘキサン等が挙げられる。
重合工程は、一段階で行ってもよく、二段階以上の多段階で行ってもよい。一段階の重合工程とは、重合させる全ての種類の単量体、即ち、共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物、芳香族ビニル化合物、及び任意のその他の単量体、好ましくは、共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物、及び芳香族ビニル化合物を一斉に反応させて重合させる工程である。また、多段階の重合工程とは、1種類又は2種類の単量体の一部又は全部を最初に反応させて重合体を形成し(第1重合段階)、次いで、残る種類の単量体や上記1種類又は2種類の単量体の残部を添加して重合させる1以上の段階(第2重合段階〜最終重合段階)を行って重合させる工程である。特に、多元共重合体の製造では、重合工程を多段階で行うことが好ましい。
重合工程において、重合反応は、不活性ガス、好ましくは窒素ガスやアルゴンガス等の雰囲気下において行われることが好ましい。上記重合反応の重合温度は、特に制限されないが、例えば、−100℃〜200℃の範囲が好ましく、室温程度とすることもできる。また、上記重合反応の圧力は、共役ジエン化合物を十分に重合反応系中に取り込むため、0.1〜10.0MPaの範囲が好ましい。また、上記重合反応の反応時間も特に制限がなく、例えば、1秒〜10日の範囲が好ましいが、重合触媒の種類、重合温度等の条件によって適宜選択することができる。
また、上記共役ジエン化合物の重合工程においては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の重合停止剤を用いて、重合を停止させてもよい。
また、上記共役ジエン化合物の重合工程においては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の重合停止剤を用いて、重合を停止させてもよい。
上記重合工程は、上述の通り、多段階で行うことが好ましい。より好ましくは、少なくとも芳香族ビニル化合物を含む第1単量体原料と、重合触媒とを混合して重合混合物を得る第1工程と、上記重合混合物に対し、共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を含む第2単量体原料を導入する第2工程とを実施することが好ましい。更に、上記第1単量体原料が共役ジエン化合物を含まず、且つ、上記第2単量体原料が共役ジエン化合物を含むことがより好ましい。
上記第1工程で用いる第1単量体原料は、芳香族ビニル化合物とともに、非共役オレフィン化合物を含有してもよい。また、第1単量体原料は、使用する芳香族ビニル化合物の全量を含有してもよく、一部のみを含有してもよい。また、非共役オレフィン化合物は、第1単量体原料及び第2単量体原料の少なくともいずれかに含有される。
上記第1工程は、反応器内で、不活性ガス、好ましくは窒素ガス又はアルゴンガス等の雰囲気下において行われることが好ましい。第1工程における温度(反応温度)は、特に制限はないが、例えば、−100℃〜200℃の範囲が好ましく、室温程度とすることもできる。また、第1工程における圧力は、特に制限はないが、芳香族ビニル化合物を十分に重合反応系中に取り込むため、0.1〜10.0MPaの範囲が好ましい。また、第1工程に費やす時間(反応時間)は、重合触媒の種類、反応温度等の条件によって適宜選択することができるが、例えば、反応温度を25〜80℃とした場合には、5分〜500分の範囲が好ましい。
上記第1工程において、重合混合物を得るための重合方法としては、溶液重合法、懸濁重合法、液相塊状重合法、乳化重合法、気相重合法、固相重合法等の任意の方法を用いることができる。また、重合反応に溶媒を用いる場合、かかる溶媒としては、重合反応において不活性なものであればよく、例えば、トルエン、シクロヘキサノン、ノルマルヘキサン等が挙げられる。
上記第2工程で用いる第2単量体原料は、共役ジエン化合物のみ、又は、共役ジエン化合物及び非共役オレフィン化合物、又は、共役ジエン化合物及び芳香族ビニル化合物、又は、共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物であることが好ましい。
なお、第2単量体原料が、共役ジエン化合物以外に非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物よりなる群から選択される少なくとも1つを含む場合には、予めこれらの単量体原料を溶媒等と共に混合した後に重合混合物に導入してもよく、各単量体原料を単独の状態から導入してもよい。また、各単量体原料は、同時に添加してもよく、逐次添加してもよい。第2工程において、重合混合物に対して第2単量体原料を導入する方法としては、特に制限はないが、各単量体原料の流量を制御して、重合混合物に対して連続的に添加すること(所謂、ミータリング)が好ましい。ここで、重合反応系の条件下で気体である単量体原料(例えば、室温、常圧の条件下における非共役オレフィン化合物としてのエチレン等)を用いる場合には、所定の圧力で重合反応系に導入することができる。
なお、第2単量体原料が、共役ジエン化合物以外に非共役オレフィン化合物及び芳香族ビニル化合物よりなる群から選択される少なくとも1つを含む場合には、予めこれらの単量体原料を溶媒等と共に混合した後に重合混合物に導入してもよく、各単量体原料を単独の状態から導入してもよい。また、各単量体原料は、同時に添加してもよく、逐次添加してもよい。第2工程において、重合混合物に対して第2単量体原料を導入する方法としては、特に制限はないが、各単量体原料の流量を制御して、重合混合物に対して連続的に添加すること(所謂、ミータリング)が好ましい。ここで、重合反応系の条件下で気体である単量体原料(例えば、室温、常圧の条件下における非共役オレフィン化合物としてのエチレン等)を用いる場合には、所定の圧力で重合反応系に導入することができる。
上記第2工程は、反応器内で、不活性ガス、好ましくは窒素ガス又はアルゴンガス等の雰囲気下において行われることが好ましい。第2工程における温度(反応温度)は、特に制限はないが、例えば、−100℃〜200℃の範囲が好ましく、室温程度とすることもできる。なお、反応温度を上げると、共役ジエン単位におけるシス−1,4結合の選択性が低下することがある。また、第2工程における圧力は、特に制限はないが、共役ジエン化合物等の単量体を十分に重合反応系に取り込むため、0.1〜10.0MPaの範囲が好ましい。また、第2工程に費やす時間(反応時間)は、重合触媒の種類、反応温度等の条件によって適宜選択することができるが、例えば、0.1時間〜10日の範囲が好ましい。
また、第2工程においては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の重合停止剤を用いて、重合反応を停止させてもよい。
また、第2工程においては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等の重合停止剤を用いて、重合反応を停止させてもよい。
ここで、上記の共役ジエン化合物、非共役オレフィン化合物、芳香族ビニル化合物の重合工程では、触媒成分として、下記(A)〜(F)成分の1種以上の存在下で、各種単量体を重合させることが好ましい。なお、重合工程では、下記(A)〜(F)成分を1種以上用いることが好ましいが、下記(A)〜(F)成分の2種以上を組み合わせて、触媒組成物として用いることがより好ましい。
(A)成分:希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物
(B)成分:有機金属化合物
(C)成分:アルミノキサン
(D)成分:イオン性化合物
(E)成分:ハロゲン化合物
(F)成分:置換又は無置換のシクロペンタジエン(シクロペンタジエニル基を有する化合物)、置換又は無置換のインデン(インデニル基を有する化合物)、及び、置換又は無置換のフルオレン(フルオレニル基を有する化合物)から選択されるシクロペンタジエン骨格含有化合物
上記(A)〜(F)成分については、例えば、国際公開第2018/092733号等を参照することによって、重合工程に用いることができる。
(A)成分:希土類元素化合物又は該希土類元素化合物とルイス塩基との反応物
(B)成分:有機金属化合物
(C)成分:アルミノキサン
(D)成分:イオン性化合物
(E)成分:ハロゲン化合物
(F)成分:置換又は無置換のシクロペンタジエン(シクロペンタジエニル基を有する化合物)、置換又は無置換のインデン(インデニル基を有する化合物)、及び、置換又は無置換のフルオレン(フルオレニル基を有する化合物)から選択されるシクロペンタジエン骨格含有化合物
上記(A)〜(F)成分については、例えば、国際公開第2018/092733号等を参照することによって、重合工程に用いることができる。
上記カップリング工程は、上記重合工程において得られた多元共重合体の高分子鎖の少なくとも一部(例えば、末端)を変性する反応(カップリング反応)を行う工程である。
上記カップリング工程においては、カップリング反応を、重合反応が100%に達した際に行うことが好ましい。
上記カップリング反応に用いるカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビス(マレイン酸−1−オクタデシル)ジオクチルスズ(IV)等のスズ含有化合物;4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;グリシジルプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ビス(マレイン酸−1−オクタデシル)ジオクチルスズ(IV)が、反応効率と低ゲル生成の点で、好ましい。
なお、カップリング反応を行うことにより、数平均分子量(Mn)を増大させることができる。
上記カップリング工程においては、カップリング反応を、重合反応が100%に達した際に行うことが好ましい。
上記カップリング反応に用いるカップリング剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ビス(マレイン酸−1−オクタデシル)ジオクチルスズ(IV)等のスズ含有化合物;4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネート化合物;グリシジルプロピルトリメトキシシラン等のアルコキシシラン化合物、などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、ビス(マレイン酸−1−オクタデシル)ジオクチルスズ(IV)が、反応効率と低ゲル生成の点で、好ましい。
なお、カップリング反応を行うことにより、数平均分子量(Mn)を増大させることができる。
上記洗浄工程は、上記重合工程において得られた多元共重合体を洗浄する工程である。なお、洗浄に用いる媒体としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノールなどが挙げられるが、重合触媒としてルイス酸由来の触媒を使用する際は、特にこれらの溶媒に対して酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸等)を加えて使用することができる。添加する酸の量は溶媒に対して15mol%以下が好ましい。これ以上では、酸が多元共重合体中に残存してしまうことで混練及び加硫時の反応に悪影響を及ぼす可能性がある。
この洗浄工程により、多元共重合体中の触媒残渣量を好適に低下させることができる。
この洗浄工程により、多元共重合体中の触媒残渣量を好適に低下させることができる。
上記表層ゴム用ゴム組成物において、ゴム成分中の多元共重合体の割合は、10〜30質量%である。ゴム成分中の多元共重合体の含有量が10質量%未満であると、タイヤの耐クラック性及び耐カット性を十分に向上させることができない。また、ゴム成分中の多元共重合体の含有量が30質量%超であると、タイヤの低発熱性が悪化する虞がある。
<多元共重合体以外のゴム成分>
上記表層ゴム用ゴム組成物は、多元共重合体以外のゴム成分を含有してもよい。多元共重合体以外のゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。これらは、一種単独であってもよいし、二種以上の組み合わせであってもよい。
上記表層ゴム用ゴム組成物は、多元共重合体以外のゴム成分を含有してもよい。多元共重合体以外のゴム成分としては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。これらは、一種単独であってもよいし、二種以上の組み合わせであってもよい。
特に、上記表層ゴム用ゴム組成物は、天然ゴムを含有し、ゴム成分中の天然ゴムの割合が50質量%以上であることが好ましい。上記表層ゴム用ゴム組成物が天然ゴムを上述した割合で含有することにより、低発熱性及び耐クラック性、特には溝の底部における耐クラック性をバランスよく効果的に向上させることができる。一方、ゴム成分中の天然ゴムの割合は、多元共重合体による効果を十分に得る観点から、80質量%以下であることが好ましい。
<充填剤>
上記表層ゴム用ゴム組成物は、充填剤を含有することが好ましい。充填剤としては、例えば、カーボンブラック、シリカ、水酸化アルミニウム、クレー、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、ガラスバルーン、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、硫酸バリウム等が挙げられる。上記シリカとしては、例えば、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカ等が挙げられる。充填剤は、一種単独であってもよいし、二種以上の組み合わせであってもよい。
上記表層ゴム用ゴム組成物は、充填剤を含有することが好ましい。充填剤としては、例えば、カーボンブラック、シリカ、水酸化アルミニウム、クレー、アルミナ、タルク、マイカ、カオリン、ガラスバルーン、ガラスビーズ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、チタン酸カリウム、硫酸バリウム等が挙げられる。上記シリカとしては、例えば、湿式シリカ、乾式シリカ、コロイダルシリカ等が挙げられる。充填剤は、一種単独であってもよいし、二種以上の組み合わせであってもよい。
上記表層ゴム用ゴム組成物における充填剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して45質量部以上であることが好ましい。充填剤の含有量がゴム成分100質量部に対して45質量部以上であれば、タイヤの耐クラック性及び耐カット性をより効果的に向上させることができる。また、上記表層ゴム用ゴム組成物における充填剤の含有量は、タイヤの低発熱性を良好に保持する観点から、ゴム成分100質量部に対して120質量部以下であることが好ましく、80質量部以下であることがより好ましい。
また、上記表層ゴム用ゴム組成物が充填剤を含有する場合、当該充填剤は、シリカの割合が80質量%以上であることが好ましい。充填剤におけるシリカの割合が80質量%以上であれば、タイヤの耐クラック性及び耐カット性を向上させつつ、タイヤの低発熱性を高めることができる。
なお、充填剤としてシリカを用いる場合には、シランカップリング剤を併用することが好ましい。
なお、充填剤としてシリカを用いる場合には、シランカップリング剤を併用することが好ましい。
<架橋剤>
上記表層ゴム用ゴム組成物は、架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硫黄系架橋剤、有機過酸化物系架橋剤、無機架橋剤、ポリアミン架橋剤、樹脂架橋剤、硫黄化合物系架橋剤、オキシム−ニトロソアミン系架橋剤等が挙げられる。これらの中でも、架橋剤としては、硫黄系架橋剤(加硫剤)が好ましく、硫黄がより好ましい。
上記表層ゴム用ゴム組成物における架橋剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対して0.1〜20質量部であることが好ましい。
上記表層ゴム用ゴム組成物は、架橋剤を含有することが好ましい。架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硫黄系架橋剤、有機過酸化物系架橋剤、無機架橋剤、ポリアミン架橋剤、樹脂架橋剤、硫黄化合物系架橋剤、オキシム−ニトロソアミン系架橋剤等が挙げられる。これらの中でも、架橋剤としては、硫黄系架橋剤(加硫剤)が好ましく、硫黄がより好ましい。
上記表層ゴム用ゴム組成物における架橋剤の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ゴム成分100質量部に対して0.1〜20質量部であることが好ましい。
架橋剤として加硫剤を用いる場合には、更に加硫促進剤を併用することができる。加硫促進剤としては、グアニジン系、アルデヒド−アミン系、アルデヒド−アンモニア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系、チウラム系、ジチオカルバメート系、ザンテート系等の化合物が挙げられる。
<その他の成分>
上記表層ゴム用ゴム組成物は、上述した成分以外のその他の成分を含有することができる。その他の成分としては、例えば、樹脂成分、軟化剤、加硫助剤、着色剤、難燃剤、滑剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、紫外線防止剤、帯電防止剤、着色防止剤等が挙げられる。
上記表層ゴム用ゴム組成物は、上述した成分以外のその他の成分を含有することができる。その他の成分としては、例えば、樹脂成分、軟化剤、加硫助剤、着色剤、難燃剤、滑剤、老化防止剤、スコーチ防止剤、紫外線防止剤、帯電防止剤、着色防止剤等が挙げられる。
上記表層ゴム用ゴム組成物は、上述した各成分を、バンバリーミキサー、ニーダー等の装置を用いて混練することにより、調製することができる。
(空気入りタイヤの製造)
本実施形態のタイヤは、上記表層ゴム用ゴム組成物を表層ゴムに用い、溝の底部を含むトレッドゴム表層に当該表層ゴムを配置すること以外、特に制限されず、常法に従って製造することができる。本実施形態のタイヤは、例えば、実施例に記載された手順により製造することができる。
本実施形態のタイヤは、上記表層ゴム用ゴム組成物を表層ゴムに用い、溝の底部を含むトレッドゴム表層に当該表層ゴムを配置すること以外、特に制限されず、常法に従って製造することができる。本実施形態のタイヤは、例えば、実施例に記載された手順により製造することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は下記の実施例になんら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更可能である。
(多元共重合体の合成)
十分に乾燥した1000mLの耐圧ステンレス反応器に、スチレン160gと、トルエン600mLを加えた。
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にモノ(ビス(1,3−tert−ブチルジメチルシリル)インデニル)ビス(ビス(ジメチルシリル)アミドガドリニウム錯体{1,3−[(t−Bu)Me2Si]2C9H5Gd[N(SiHMe2)2]2}0.25mmol、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[Me2NHPhB(C6F5)4]0.275mmol、及びジイソブチルアルミニウムハイドライド1.1mmolを仕込み、トルエン40mLに溶解させて触媒溶液とした。
該触媒溶液を、上記耐圧ステンレス反応器に加え、70℃に加温した。
次いで、エチレンを圧力1.5MPaで、該耐圧ステンレス反応器に投入し、更に1,3−ブタジエン20gを含むトルエン溶液80mLを8時間かけて該耐圧ステンレス反応器に投入し、70℃で計8.5時間共重合を行った。
次いで、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mlを、該耐圧ステンレス反応器に加えて反応を停止させた。
次いで、大量のメタノールを用いて共重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、多元共重合体(三元共重合体)を得た。得られた多元共重合体について、以下の測定を行った。
十分に乾燥した1000mLの耐圧ステンレス反応器に、スチレン160gと、トルエン600mLを加えた。
窒素雰囲気下のグローブボックス中で、ガラス製容器にモノ(ビス(1,3−tert−ブチルジメチルシリル)インデニル)ビス(ビス(ジメチルシリル)アミドガドリニウム錯体{1,3−[(t−Bu)Me2Si]2C9H5Gd[N(SiHMe2)2]2}0.25mmol、ジメチルアニリニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート[Me2NHPhB(C6F5)4]0.275mmol、及びジイソブチルアルミニウムハイドライド1.1mmolを仕込み、トルエン40mLに溶解させて触媒溶液とした。
該触媒溶液を、上記耐圧ステンレス反応器に加え、70℃に加温した。
次いで、エチレンを圧力1.5MPaで、該耐圧ステンレス反応器に投入し、更に1,3−ブタジエン20gを含むトルエン溶液80mLを8時間かけて該耐圧ステンレス反応器に投入し、70℃で計8.5時間共重合を行った。
次いで、2,2’−メチレン−ビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)(NS−5)5質量%のイソプロパノール溶液1mlを、該耐圧ステンレス反応器に加えて反応を停止させた。
次いで、大量のメタノールを用いて共重合体を分離し、50℃で真空乾燥し、多元共重合体(三元共重合体)を得た。得られた多元共重合体について、以下の測定を行った。
(1)数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー社製HLC−8121GPC/HT、カラム:東ソー社製GMHHR−H(S)HT×2本、検出器:示差屈折率計(RI)]で単分散ポリスチレンを基準として、多元共重合体のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。なお、測定温度は40℃である。結果を表1に示す。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー[GPC:東ソー社製HLC−8121GPC/HT、カラム:東ソー社製GMHHR−H(S)HT×2本、検出器:示差屈折率計(RI)]で単分散ポリスチレンを基準として、多元共重合体のポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)を求めた。なお、測定温度は40℃である。結果を表1に示す。
(2)1,3−ブタジエン単位、エチレン単位、スチレン単位の割合
多元共重合体中の1,3−ブタジエン単位、エチレン単位、スチレン単位の割合(mol%)を、1H−NMRスペクトル(100℃、d−テトラクロロエタン標準:6ppm)の各ピークの積分比より求めた。結果を表1に示す。
多元共重合体中の1,3−ブタジエン単位、エチレン単位、スチレン単位の割合(mol%)を、1H−NMRスペクトル(100℃、d−テトラクロロエタン標準:6ppm)の各ピークの積分比より求めた。結果を表1に示す。
(3)融点
示差走査熱量計(DSC、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、「DSCQ2000」)を用い、JIS K 7121−1987に準拠して、多元共重合体の融点を測定した。結果を表1に示す。
示差走査熱量計(DSC、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、「DSCQ2000」)を用い、JIS K 7121−1987に準拠して、多元共重合体の融点を測定した。結果を表1に示す。
(4)吸熱ピークエネルギー
示差走査熱量計(DSC、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、「DSCQ2000」)を用い、JIS K 7121−1987に準拠して、10℃/分の昇温速度で−150℃から150℃まで昇温し、その時(1st run)の0〜120℃における吸熱ピークエネルギーを測定した。結果を表1に示す。
示差走査熱量計(DSC、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、「DSCQ2000」)を用い、JIS K 7121−1987に準拠して、10℃/分の昇温速度で−150℃から150℃まで昇温し、その時(1st run)の0〜120℃における吸熱ピークエネルギーを測定した。結果を表1に示す。
(5)ガラス転移温度(Tg)
示差走査熱量計(DSC、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、「DSCQ2000」)を用い、JIS K 7121−1987に準拠して、多元共重合体のガラス転移温度(Tg)を測定した。結果を表1に示す。
示差走査熱量計(DSC、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、「DSCQ2000」)を用い、JIS K 7121−1987に準拠して、多元共重合体のガラス転移温度(Tg)を測定した。結果を表1に示す。
(6)結晶化度
100%結晶成分のポリエチレンの結晶融解エネルギーと、得られた多元共重合体の融解ピークエネルギーとを測定し、ポリエチレン及び多元共重合体の上記エネルギーの比率から、結晶化度を算出した。なお、融解ピークエネルギーは、示差走査熱量計(DSC、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、「DSCQ2000」)で測定した。結果を表1に示す。
100%結晶成分のポリエチレンの結晶融解エネルギーと、得られた多元共重合体の融解ピークエネルギーとを測定し、ポリエチレン及び多元共重合体の上記エネルギーの比率から、結晶化度を算出した。なお、融解ピークエネルギーは、示差走査熱量計(DSC、ティー・エイ・インスツルメント・ジャパン社製、「DSCQ2000」)で測定した。結果を表1に示す。
(7)主鎖構造の確認
合成した多元共重合体について、13C−NMRスペクトルを測定した。得られた13C−NMRスペクトルチャートにおいて、10〜24ppmにピークが観測されなかった。このことから、合成した多元共重合体は、主鎖が非環状構造のみからなることを確認した。
合成した多元共重合体について、13C−NMRスペクトルを測定した。得られた13C−NMRスペクトルチャートにおいて、10〜24ppmにピークが観測されなかった。このことから、合成した多元共重合体は、主鎖が非環状構造のみからなることを確認した。
(トレッドゴム用ゴム組成物の調製)
表2に示す配合処方に従い、通常のバンバリーミキサーを用いて、トレッドゴム用ゴム組成物を調製する。そして、上述したトレッドゴム用ゴム組成物を用い、常法に従って、トレッドゴムを備える供試タイヤ前駆体を準備する。
表2に示す配合処方に従い、通常のバンバリーミキサーを用いて、トレッドゴム用ゴム組成物を調製する。そして、上述したトレッドゴム用ゴム組成物を用い、常法に従って、トレッドゴムを備える供試タイヤ前駆体を準備する。
変性スチレン−ブタジエンゴムA:以下の方法で合成。
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン67.5g及びスチレン7.5gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.6mmolを加え、0.8mmolのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率がほぼ100%となった重合反応系に対し、〔N,N−ビス(トリメチルシリル)−(3−アミノ−1−プロピル)〕(メチル)(ジエトキシ)シランを0.72mmol添加し、50℃で30分間、変性反応を行った。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液2mLを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して、変性スチレン−ブタジエンゴムAを得た。
得られた変性スチレン−ブタジエンゴムAのミクロ構造を測定した結果、結合スチレン量が10質量%、ブタジエン部分のビニル結合量が40%、ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算ピーク分子量が200,000であった。
乾燥し、窒素置換した800mLの耐圧ガラス容器に、1,3−ブタジエンのシクロヘキサン溶液、及びスチレンのシクロヘキサン溶液を、1,3−ブタジエン67.5g及びスチレン7.5gになるように加え、2,2−ジテトラヒドロフリルプロパン0.6mmolを加え、0.8mmolのn−ブチルリチウムを加えた後、50℃で1.5時間重合を行った。この際の重合転化率がほぼ100%となった重合反応系に対し、〔N,N−ビス(トリメチルシリル)−(3−アミノ−1−プロピル)〕(メチル)(ジエトキシ)シランを0.72mmol添加し、50℃で30分間、変性反応を行った。その後、2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(BHT)のイソプロパノール5質量%溶液2mLを加えて反応を停止させ、常法に従い乾燥して、変性スチレン−ブタジエンゴムAを得た。
得られた変性スチレン−ブタジエンゴムAのミクロ構造を測定した結果、結合スチレン量が10質量%、ブタジエン部分のビニル結合量が40%、ゲル浸透クロマトグラフィーによるポリスチレン換算ピーク分子量が200,000であった。
カーボンブラック:東海カーボン株式会社製、「N234」
シリカ:東ソー・シリカ株式会社製、「ニプシールAQ」
シランカップリング剤:EVONIK社製、「Si69」
加硫促進剤A:大内新興化学工業株式会社製、「ノクセラーD」、1,3−ジフェニルグアニジン
加硫促進剤B:大内新興化学工業株式会社製、「ノクセラーCZ」、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
加硫促進剤C:大内新興化学工業株式会社製、「ノクセラーDM」、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド
シリカ:東ソー・シリカ株式会社製、「ニプシールAQ」
シランカップリング剤:EVONIK社製、「Si69」
加硫促進剤A:大内新興化学工業株式会社製、「ノクセラーD」、1,3−ジフェニルグアニジン
加硫促進剤B:大内新興化学工業株式会社製、「ノクセラーCZ」、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
加硫促進剤C:大内新興化学工業株式会社製、「ノクセラーDM」、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド
(表層ゴム用ゴム組成物の調製及び空気入りタイヤの作製)
表3,4に示す配合処方に従い、通常のバンバリーミキサーを用いて、表層ゴム用ゴム組成物を調製する。次いで、この表層ゴム用ゴム組成物を、表2に示す配合処方で得るトレッドゴム組成物と共に一体押出し、ゴムシートを得る。そして、所定のモールドで、ゴムシートの上からトレッド部に対して刻み込みを入れることにより、表面に表層ゴムが配置されたタイヤ周方向の溝を、トレッド部に形成する(なお、比較例1では、表層ゴムを配置していない)。次いで、加硫を行い、空気入りタイヤを製造する。
得られた空気入りタイヤ、又は表層ゴム用ゴム組成物を用い、以下の評価を行う。
表3,4に示す配合処方に従い、通常のバンバリーミキサーを用いて、表層ゴム用ゴム組成物を調製する。次いで、この表層ゴム用ゴム組成物を、表2に示す配合処方で得るトレッドゴム組成物と共に一体押出し、ゴムシートを得る。そして、所定のモールドで、ゴムシートの上からトレッド部に対して刻み込みを入れることにより、表面に表層ゴムが配置されたタイヤ周方向の溝を、トレッド部に形成する(なお、比較例1では、表層ゴムを配置していない)。次いで、加硫を行い、空気入りタイヤを製造する。
得られた空気入りタイヤ、又は表層ゴム用ゴム組成物を用い、以下の評価を行う。
(1)耐クラック性
作製したタイヤをリムに組み付け、車両で規定される内圧にて装着し、3年間に相当する走行を行う。その後、トレッド部にある1つの溝について、単位長さ当たりに生じたクラックの数を求める。そして、表3においては、比較例1におけるクラックの数の逆数を100とし、表4においては、比較例4におけるクラックの数の逆数を100とし、それぞれ指数評価する。結果を表3、表4に示す。指数値が大きいほど、耐クラック性に優れることを示す。
作製したタイヤをリムに組み付け、車両で規定される内圧にて装着し、3年間に相当する走行を行う。その後、トレッド部にある1つの溝について、単位長さ当たりに生じたクラックの数を求める。そして、表3においては、比較例1におけるクラックの数の逆数を100とし、表4においては、比較例4におけるクラックの数の逆数を100とし、それぞれ指数評価する。結果を表3、表4に示す。指数値が大きいほど、耐クラック性に優れることを示す。
(2)耐カット性
表層ゴム用ゴム組成物から、縦60mm×横70mm×高さ30mmのゴムブロックを作製し、これを160℃で40分間加硫して、サンプルを得る。次いで、室温で、サンプルから垂直方向に80cm離れた高さより、質量15kgの錘を付けた先端角度60度の鋭利な刃を落下させ、生じた亀裂深さ(mm)を測定する。表3においては、比較例1における亀裂深さの逆数を100とし、表4においては、比較例4における亀裂深さの逆数を100とし、それぞれ指数表示する。結果を表3、表4に示す。指数値が大きいほど、耐カット性に優れることを示す。
表層ゴム用ゴム組成物から、縦60mm×横70mm×高さ30mmのゴムブロックを作製し、これを160℃で40分間加硫して、サンプルを得る。次いで、室温で、サンプルから垂直方向に80cm離れた高さより、質量15kgの錘を付けた先端角度60度の鋭利な刃を落下させ、生じた亀裂深さ(mm)を測定する。表3においては、比較例1における亀裂深さの逆数を100とし、表4においては、比較例4における亀裂深さの逆数を100とし、それぞれ指数表示する。結果を表3、表4に示す。指数値が大きいほど、耐カット性に優れることを示す。
(3)低発熱性
表層ゴム用ゴム組成物を160℃で40分間加硫して、サンプルを得る。得られたサンプルについて、粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を用い、温度60℃、動歪5%、周波数15Hzにて、tanδを測定する。表3においては、比較例1におけるtanδの逆数を100とし、表4においては、比較例4におけるtanδの逆数を100とし、それぞれ指数表示する。結果を表3、表4に示す。指数値が大きいほど、低発熱性に優れることを示す。
表層ゴム用ゴム組成物を160℃で40分間加硫して、サンプルを得る。得られたサンプルについて、粘弾性測定装置(レオメトリックス社製)を用い、温度60℃、動歪5%、周波数15Hzにて、tanδを測定する。表3においては、比較例1におけるtanδの逆数を100とし、表4においては、比較例4におけるtanδの逆数を100とし、それぞれ指数表示する。結果を表3、表4に示す。指数値が大きいほど、低発熱性に優れることを示す。
ブタジエンゴム:JSR株式会社製、「BR01」
スチレン−ブタジエンゴム:JSR株式会社製、「HP755B」
カーボンブラック:東海カーボン株式会社製、「N234」
シリカ:東ソー・シリカ株式会社製、「ニプシールAQ」
シランカップリング剤:EVONIK社製、「Si69」
加硫促進剤A:大内新興化学工業株式会社製、「ノクセラーD」、1,3−ジフェニルグアニジン
加硫促進剤B:大内新興化学工業株式会社製、「ノクセラーCZ」、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
加硫促進剤C:大内新興化学工業株式会社製、「ノクセラーDM」、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド
スチレン−ブタジエンゴム:JSR株式会社製、「HP755B」
カーボンブラック:東海カーボン株式会社製、「N234」
シリカ:東ソー・シリカ株式会社製、「ニプシールAQ」
シランカップリング剤:EVONIK社製、「Si69」
加硫促進剤A:大内新興化学工業株式会社製、「ノクセラーD」、1,3−ジフェニルグアニジン
加硫促進剤B:大内新興化学工業株式会社製、「ノクセラーCZ」、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド
加硫促進剤C:大内新興化学工業株式会社製、「ノクセラーDM」、ジ−2−ベンゾチアゾリルジスルフィド
表3、表4より、実施例のタイヤにおいては、低発熱性が良好に保持されつつ、耐クラック性及び耐カット性が高いことが分かる。
本発明によれば、低発熱性が保持されつつ、耐クラック性及び耐カット性が向上した空気入りタイヤを提供することができる。
Claims (14)
- トレッド部に溝が形成されている空気入りタイヤであって、
前記溝の底部を含むトレッドゴム表層に、表層ゴムが配置されており、
共役ジエン単位と、非共役オレフィン単位と、芳香族ビニル単位とを有する多元共重合体をゴム成分中10〜30質量%の割合で含有するゴム組成物を、前記表層ゴムに用いたことを特徴とする、空気入りタイヤ。 - 前記ゴム組成物は、充填剤を更に含有し、前記ゴム組成物における前記充填剤の含有量が、ゴム成分100質量部に対して45質量部以上である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記充填剤は、シリカを含み、前記充填剤中の前記シリカの割合が80質量%以上である、請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記ゴム組成物は、天然ゴムを含有し、ゴム成分中の前記天然ゴムの割合が50質量%以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記多元共重合体は、前記共役ジエン単位の割合が1〜50mol%であり、前記非共役オレフィン単位の割合が40〜97mol%であり、且つ、前記芳香族ビニル単位の割合が2〜35mol%である、請求項1〜4のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記多元共重合体は、示差走査熱量計(DSC)で測定した融点が30〜130℃である、請求項1〜5のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記多元共重合体は、0〜120℃における示差走査熱量計(DSC)で測定した吸熱ピークエネルギーが10〜150J/gである、請求項1〜6のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記多元共重合体は、示差走査熱量計(DSC)で測定したガラス転移温度が0℃以下である、請求項1〜7のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記多元共重合体は、結晶化度が0.5〜50%である、請求項1〜8のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記多元共重合体における前記非共役オレフィン単位が、非環状の非共役オレフィン単位である、請求項1〜9のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記多元共重合体は、主鎖が非環状構造のみからなる、請求項1〜10のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記非共役オレフィン単位が、エチレン単位のみからなる、請求項1〜11のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記多元共重合体における前記芳香族ビニル単位が、スチレン単位を含む、請求項1〜12のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
- 前記多元共重合体における前記共役ジエン単位が、1,3−ブタジエン単位及び/又はイソプレン単位を含む、請求項1〜13のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2018182877A JP2020050796A (ja) | 2018-09-27 | 2018-09-27 | 空気入りタイヤ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2018182877A JP2020050796A (ja) | 2018-09-27 | 2018-09-27 | 空気入りタイヤ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2020050796A true JP2020050796A (ja) | 2020-04-02 |
Family
ID=69995911
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2018182877A Pending JP2020050796A (ja) | 2018-09-27 | 2018-09-27 | 空気入りタイヤ |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2020050796A (ja) |
-
2018
- 2018-09-27 JP JP2018182877A patent/JP2020050796A/ja active Pending
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