JP2022085547A - 記録紙、記録紙の解繊方法及び記録紙の製造方法 - Google Patents

記録紙、記録紙の解繊方法及び記録紙の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】解繊した際に、繊維長が短くなりにくい記録紙を提供すること。【解決手段】繊維と、一般式CnH2n+2(nは16以上23以下の自然数である。)で表わされる飽和炭化水素と、を含む、記録紙。【選択図】図1

Description

本発明は、記録紙、記録紙の解繊方法及び記録紙の製造方法に関する。
紙等の繊維原料を乾式法と称する水を全く又はほとんど用いない方法で解繊して、得られる繊維を用いて紙等のシートを製造する方法が期待されている。乾式の解繊方法として、例えば、特許文献1には、気体流路の内面に断面波形の壁面を設け、この気体流路内に壁面と平行方向の速度成分と、該壁面に衝突する垂直方向の速度成分とを有した気流を流過させ、細かく裁断した原料古紙を、気流に伴送させて気体流路内を流過させる古紙の乾式解繊方法が提案されている。
特開平7-102493号公報
しかしながら、乾式の解繊においては、解繊前の紙等の原料に含まれる繊維の繊維長が、解繊後には短くなってしまう場合があり、当該繊維を用いて紙等のシートを形成した場合には、その機械的強度が著しく低下する場合があった。そのため、乾式の解繊を経ても繊維の短繊維化が生じにくい紙等の原料や解繊方法が求められている。
本発明に係る記録紙の一態様は、
繊維と、
一般式C2n+2(nは16以上23以下の自然数である。)で表わされる飽和炭化水素と、
を含む。
本発明に係る記録紙の解繊方法の一態様は、
上記の記録紙を解繊し、繊維を得ることを含む。
本発明に係る記録紙の製造方法の一態様は、
繊維原料と、一般式C2n+2(nは16以上23以下の自然数である。)で表わされる飽和炭化水素とが共存した状態で解繊する工程を含む。
実施形態に係るシート製造装置を模式的に示す図。
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の一例を説明するものである。本発明は以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形形態も含む。なお以下で説明される構成の全てが本発明の必須の構成であるとは限らない。
1.記録紙
本実施形態に係る記録紙は、繊維と、一般式C2n+2(nは16以上23以下の自然数である。)で表わされる飽和炭化水素と、を含む。
1.1.繊維
本実施形態の記録紙は、繊維を含む。繊維は、記録紙の主成分であり、記録紙の形状の保持に寄与するとともに、記録紙の機械的強度、紙力等を発現させる成分の一つである。
繊維は、水酸基、カルボニル基、アミノ基のうちの少なくとも1つの化学構造を含む物質で構成されることが好ましい。これにより、繊維と繊維との間や、繊維とバインダーとの間に、水素結合を形成しやすくなり、記録紙全体としての強度、例えば、引っ張り強度等をより優れたものとすることができる。
繊維としては、特に限定されないが、天然由来の繊維、すなわち、バイオマス由来繊維であることが好ましく、セルロース繊維であることがより好ましい。
セルロースは、植物由来で豊富な天然素材であり、セルロースを用いることにより、環境問題や埋蔵資源の節約、安定供給、コスト低減等の観点からも好ましい。また、セルロース繊維は、各種繊維の中でも、理論上の強度が高く、記録紙の機械的強度を高めやすい点でも有利である。なお、繊維は、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン等を含む合成繊維であってもよい。
また、繊維は、紫外線照射処理、オゾン処理、プラズマ処理等の処理が施されたものであってもよい。これにより、繊維の親水性を高めることができ、バインダー等との親和性を高めることができる。より具体的には、これらの処理により、繊維の表面に水酸基等の官能基を導入することができ、水素結合を形成しやすくなる場合がある。
繊維の平均長さ、すなわち平均繊維長は、特に限定されないが、0.1mm以上50mm以下であることが好ましく、0.2mm以上5.0mm以下であることがより好ましく、0.5mm以上3.0mm以下であることがさらに好ましい。
これにより、記録紙の形状の安定性、機械的強度等をより優れたものとすることができる。特に、繊維の平均繊維長が0.3mm以上、好ましくは0.5mm以上であると、記録紙を解繊した場合の平均繊維長がより長くなるので、記録紙を解繊した繊維を用いて記録紙を再生する等により、紙を製造した場合の製品の機械的強度をより良好とすることができる。
繊維の平均太さは、特に限定されないが、0.005mm以上0.5mm以下であることが好ましく、0.010mm以上0.05mm以下であることがより好ましい。
これにより、記録紙の形状の安定性、機械的強度等をより優れたものとすることができる。また、記録紙の表面に繊維の太さのムラ等に起因した不本意な凹凸が生じにくく好ましい。
繊維の平均アスペクト比、すなわち、平均太さに対する平均長さの比は、特に限定されないが、10以上1000以下であることが好ましく、15以上500以下であることがより好ましい。
記録紙における繊維の含有量は、特に限定されないが、60.0質量%以上99.9質量%以下であることが好ましく、85.0質量%以上99.0質量%以下であることがより好ましく、88.0質量%以上97.0質量%以下であることがさらに好ましい。
これにより、記録紙の形状の安定性や機械的強度をより優れたものとすることができる。また、記録紙の製造時の成形性もより優れたものとすることができ、記録紙の生産性を向上させる上でも有利である。
1.2.飽和炭化水素
本実施形態の記録紙は、一般式C2n+2(nは16以上23以下の自然数である。)で表わされる飽和炭化水素を含む。一般式C2n+2で表わされる飽和炭化水素は、アルカンであり、炭素-炭素二重結合等の二重結合を含まない。
一般式C2n+2(nは16以上23以下の自然数である。)で表わされる飽和炭化水素としては、特に限定されないが、の標準状態において単体で液体、又は、固体であることが好ましく、1気圧、10.0℃以上で固体であることがより好ましく、標準状態で固体であることがさらに好ましい。また、一般式C2n+2で表わされる飽和炭化水素の融点(凝固点)は、記録紙の保存安定性の点から、好ましくは5.0℃以上、より好ましくは10.0℃以上、さらに好ましくは25.0℃以上である。さらに、一般式C2n+2で表わされる飽和炭化水素の標準沸点は、揮発、蒸散を抑制する観点から、好ましくは200.0℃以上、より好ましくは250.0℃以上、さらに好ましくは280.0℃以上である。
飽和炭化水素の分子構造は、直鎖であっても分岐を含んでもよい。飽和炭化水素の分子構造を選ぶことにより、上述の融点、沸点を調節することができる。直鎖の分子構造を有する飽和炭化水素として、上記好ましい融点、沸点を有するものとしては、ヘキサデカン、ヘプタデカン、オクタデカン、ノナデカン、エイコサン、ヘンイコサン、ドコサン、トリコサンを挙げることができる。また、より炭素数が大きい飽和炭化水素であっても上記好ましい融点、沸点が得られる場合がある。
一方、飽和炭化水素の融点や沸点が高すぎると、記録紙を解繊する際の装置の負荷が大きくなる場合があり、記録紙の硬さも高まりやすいので、飽和炭化水素の沸点は、例えば、好ましくは400.0℃以下、より好ましくは390.0℃以下、さらに好ましくは380.0℃以下である。
これらのことから、記録紙に含有される一般式C2n+2で表わされる飽和炭化水素の炭素数nは、好ましくは18以上22以下である。また、飽和炭化水素の分子構造が直鎖である場合には、飽和炭化水素の炭素数nは、18以上22以下であることがより好ましい。
記録紙における飽和炭化水素の含有量は、記録紙の全体に対して、好ましくは0.1質量%以上5.0質量%以下、より好ましくは0.2質量%以上4.5質量%以下、さらに好ましくは0.3質量%以上4.0質量%以下である。記録紙における飽和炭化水素の含有量がこの範囲であれば、解繊時の短繊維化を抑制する効果をより確実に得ることができ、かつ、記録紙の硬さも硬すぎないようにすることができる。さらに、。記録紙における飽和炭化水素の含有量がこの範囲であれば、例えば、水系インクを用いたインクジェット記録の用途において、インクをはじきにくく好適である。
記録紙における飽和炭化水素の存在位置は、特に限定されず、例えば、記録紙の厚さ方向の全体に存在してもよいし、記録紙の表面及び/又は裏面に局在してもよい。さらに、記録紙の厚さ方向に垂直な方向から見た場合に、飽和炭化水素の存在が、均一であってもよいし、例えば斑点状にムラを有していてもよい。しかし、記録紙における飽和炭化水素の存在位置は、記録紙の厚さ方向の全体に存在することがより好ましい。飽和炭化水素がこのように配置されることで、飽和炭化水素の分布のばらつきが小さくなり、解繊時の繊維の短繊維化をさらに抑制することができる。
記録紙における飽和炭化水素の検出、同定は、例えば、赤外線振動分光、熱重量測定、示差走査熱分析、質量分析、ガスクロマトグラフ質量分析計、等の装置を用いて、定法により行うことができる。なお、飽和炭化水素の融点の温度、沸点の温度は、熱分析においては昇温過程のチャートでベースラインから外れ始める温度とする。
1.3.その他の成分
記録紙は、上記繊維及び飽和炭化水素以外の成分を含んでもよい。そのような成分としては、結合材、紙力増強剤、着色剤、添加剤等が挙げられる。
結合材は、繊維と繊維とを結合するバインダーの機能を有する。結合材としては、例えば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂であり、例えば、AS樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリフェニレンエーテル、ポリブチレンテレフタレート、ナイロン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、などである。これらの樹脂は、単独または適宜混合して用いてもよい。
紙力増強剤は、記録紙の成分間の水素結合を形成しやすくする機能を有する。紙力増強剤としては、例えば、水溶性樹脂が挙げられ、より具体的には、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、セルロースの変性体等を挙げることができる。
着色剤としては、顔料や染料が挙げられ、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、有機顔料等を例示できる。また、その他の添加剤としては、帯電防止剤、難燃剤等が挙げられる。さらに、本実施形態の記録紙は、適宜、表面にコーティングが施されてもよい。
1.4.記録紙の用途
本実施形態の記録紙は、文字、画像等の情報を記録する用途に用いられる。記録紙は、インクジェットプリンター、レーザープリンター、その他の印刷装置に好適に用いられ、ボールペン、フェルトペン、鉛筆等による記録にも好適に用いることができる。これらの用途のうち、記録紙は、インクジェット記録に用いられることがより好ましい。本実施形態の記録紙は、特に水系のインクによる画像のにじみが生じにくいので、例えば、水系インクを用いたインクジェット記録にも好適に用いることができる。本実施形態の記録紙は、乾式の解繊により、繊維の平均繊維長が短くなりにくいので、例えば情報が記録された記録紙は、解繊して繊維を得る用途にも適している。
1.5.作用効果
本実施形態の記録紙によれば、解繊の際に繊維長が短くなりにくく、比較的長い解繊された繊維を得ることができる。したがって、かかる記録紙を用いて紙を製造した場合に、機械的強度の良好な紙を得ることができる。また、この記録紙によれば、インクジェットインク等のにじみを抑制することができる。
2.記録紙の解繊方法及び記録紙の製造方法
本実施形態に係る記録紙の解繊方法は上述の記録紙を解繊し、繊維を得ることを含む。本実施形態に係る記録紙の製造方法は、繊維原料と、一般式C2n+2(nは16以上23以下の自然数である。)で表わされる飽和炭化水素とが共存した状態で解繊する工程を含む。まず、実施形態の記録紙の解繊方法及び記録紙の製造方法を好適に実施できる装置の一例として、シート製造装置100について説明する。
2.1.シート製造装置
図1は、シート製造装置の好適な例を示す概略側面図である。なお、以下では、図1の上側を「上」又は「上方」、下側を「下」又は「下方」と言うことがある。また、図1は、概略構成図であり、シート製造装置100の各部の位置関係は、実際の位置関係とは異なる場合がある。また、各図において、繊維原料M1、粗砕片M2、解繊物M3、第1選別物M4-1、第2選別物M4-2、第1ウェブM5、細分体M6、混合物M7、第2ウェブM8、シートSが搬送される方向、すなわち、矢印で示す方向を搬送方向とも言う。また、矢印の先端側を搬送方向下流側、矢印の基端側を搬送方向上流側とも言う。
図1に示すシート製造装置100は、繊維原料M1を粗砕、解繊して繊維(解繊物M3)を得て、混合部17において繊維と結合材料とを混合し、これを堆積させ、この堆積物である第2ウェブM8を成形部20によって成形することで、製品としてシートSを得る装置である。
繊維原料M1としては、例えば、パルプ、上述の記録紙及び一般的な紙の少なくとも一種を用いることができる。記録紙や紙は、使用済み又は不要となったものでもよい。本実施形態では繊維原料M1は、上述の記録紙であってもよいし、一般的な紙等のシート状の原料シートであってもよい。
図1に示すシート製造装置100は、原料シート供給装置11と、粗砕部12と、解繊部13と、選別部14と、第1ウェブ形成部15と、細分部16と、混合部17と、分散部18と、第2ウェブ形成部19と、成形部20と、切断部21と、ストック部22と、回収部27と、これらの作動を制御する制御部28と、を備えている。粗砕部12、解繊部13、選別部14、第1ウェブ形成部15、細分部16、混合部17、分散部18、第2ウェブ形成部19、成形部20、切断部21及びストック部22の各々が、シートを処理する処理部である。
また、原料シート供給装置11と、粗砕部12又は解繊部13とにより、原料シート処理装置10Aが構成される。また、原料シート処理装置10Aと、第2ウェブ形成部19とにより、ウェブ堆積装置10Bが構成される。
また、シート製造装置100は、加湿部231と、加湿部232と、加湿部233と、加湿部234と、加湿部235と、加湿部236とを備えている。その他、シート製造装置100は、ブロアー261と、ブロアー262と、ブロアー263とを備えている。
また、加湿部231~加湿部236及びブロアー261~ブロアー263は、制御部28と電気的に接続されており、制御部28によってその作動が制御される。すなわち、本実施形態では、1つの制御部28によってシート製造装置100の各部の作動が制御される構成である。ただし、これに限定されず、例えば、原料シート供給装置11の各部の作動を制御する制御部と、原料シート供給装置11以外の部位の作動を制御する制御部と、をそれぞれ有する構成であってもよい。
また、シート製造装置100では、原料供給工程と、粗砕工程と、解繊工程と、選別工程と、第1ウェブ形成工程と、分断工程と、混合工程と、放出工程と、堆積工程と、シート形成工程と、切断工程とが実行される。
以下、各部の構成について説明する。原料シート供給装置11は、粗砕部12に繊維原料M1を供給する原料供給工程を行う部分である。繊維原料M1としては、繊維としてセルロース繊維を含むものを用いるが、上述の記録紙や、本実施形態の製造方法により製造された記録紙を用いてもよい。
粗砕部12は、原料シート供給装置11から供給された繊維原料M1を大気中等の気中で粗砕する粗砕工程を行う部分である。粗砕部12は、一対の粗砕刃121と、シュート122とを有している。
一対の粗砕刃121は、互いに反対方向に回転することにより、これらの間で繊維原料M1を粗砕して、すなわち、裁断して粗砕片M2にすることができる。粗砕片M2の形状や大きさは、解繊部13における解繊処理に適していることが好ましく、例えば、1辺の長さが100mm以下の小片であることが好ましく、10mm以上70mm以下の小片であることがより好ましい。
シュート122は、一対の粗砕刃121の下方に配置され、例えば漏斗状をなすものとなっている。これにより、シュート122は、粗砕刃121によって粗砕されて落下してきた粗砕片M2を受けることができる。
また、シュート122の上方には、加湿部231が一対の粗砕刃121に隣り合って配置されている。加湿部231は、シュート122内の粗砕片M2を加湿するものである。この加湿部231は、水分を含むフィルターを有し、フィルターに空気を通過させることにより、湿度を高めた加湿空気を粗砕片M2に供給する気化式の加湿器で構成されている。加湿空気が粗砕片M2に供給されることにより、上記説明した加湿工程を行うことができ、上記のような効果を得ることができる。また、粗砕片M2が静電気によってシュート122等に付着するのを抑制することができる。
シュート122は、管241を介して、解繊部13に接続されている。シュート122に集められた粗砕片M2は、管241を通過して、解繊部13に搬送される。
解繊部13は、粗砕片M2を気中で、すなわち、乾式で解繊する解繊工程を行う部分である。この解繊部13での解繊処理により、粗砕片M2から解繊物M3を生成することができる。ここで「解繊する」とは、複数の繊維が結着されてなる粗砕片M2を、繊維1本1本に解きほぐすことをいう。そして、この解きほぐされたものが解繊物M3となる。解繊物M3の形状は、線状や帯状である。また、解繊物M3同士は、絡み合って塊状となった状態、すなわち、いわゆる「ダマ」を形成している状態で存在してもよい。
解繊部13は、例えば本実施形態では、高速回転する回転刃と、回転刃の外周に位置するライナーとを有するインペラーミルで構成されている。解繊部13に流入してきた粗砕片M2は、回転刃とライナーとの間に挟まれて解繊される。
また、解繊部13は、回転刃の回転により、粗砕部12から選別部14に向かう空気の流れ、すなわち、気流を発生させることができる。これにより、粗砕片M2を管241から解繊部13に吸引することができる。また、解繊処理後、解繊物M3を、管242を介して選別部14に送り出すことができる。
管242の途中には、ブロアー261が設置されている。ブロアー261は、選別部14に向かう気流を発生させる気流発生装置である。これにより、選別部14への解繊物M3の送り出しが促進される。
選別部14は、解繊物M3を、繊維の長さに応じて選別する選別工程を行う部分である。選別部14では、解繊物M3は、第1選別物M4-1と、第1選別物M4-1よりも大きい第2選別物M4-2とに選別される。第1選別物M4-1は、その後のシートSの製造に適した大きさのものとなっている。その平均長さは、1μm以上30μm以下であることが好ましい。一方、第2選別物M4-2は、例えば、解繊が不十分なものや、解繊された繊維同士が過剰に凝集したもの等が含まれる。
選別部14は、ドラム部141と、ドラム部141を収納するハウジング部142とを有する。
ドラム部141は、円筒状をなす網体で構成され、その中心軸回りに回転する篩である。このドラム部141には、解繊物M3が流入してくる。そして、ドラム部141が回転することにより、網の目開きよりも小さい解繊物M3は、第1選別物M4-1として選別され、網の目開き以上の大きさの解繊物M3は、第2選別物M4-2として選別される。第1選別物M4-1は、ドラム部141から落下する。
一方、第2選別物M4-2は、ドラム部141に接続されている管243に送り出される。管243は、ドラム部141と反対側、すなわち、上流側が管241に接続されている。この管243を通過した第2選別物M4-2は、管241内で粗砕片M2と合流して、粗砕片M2とともに解繊部13に流入する。これにより、第2選別物M4-2は、解繊部13に戻されて、粗砕片M2とともに解繊処理される。
また、ドラム部141から落下した第1選別物M4-1は、気中に分散しつつ落下して、ドラム部141の下方に位置する第1ウェブ形成部15に向かう。第1ウェブ形成部15は、第1選別物M4-1から第1ウェブM5を形成する第1ウェブ形成工程を行う部分である。第1ウェブ形成部15は、メッシュベルト151と、3つの張架ローラー152と、吸引部153とを有している。
メッシュベルト151は、無端ベルトであり、第1選別物M4-1が堆積する。このメッシュベルト151は、3つの張架ローラー152に掛け回されている。そして、張架ローラー152の回転駆動により、メッシュベルト151上の第1選別物M4-1は、下流側に搬送される。
第1選別物M4-1は、メッシュベルト151の目開き以上の大きさとなっている。これにより、第1選別物M4-1は、メッシュベルト151の通過が規制され、よって、メッシュベルト151上に堆積することができる。また、第1選別物M4-1は、メッシュベルト151上に堆積しつつ、メッシュベルト151ごと下流側に搬送されるため、層状の第1ウェブM5として形成される。
また、第1選別物M4-1には、例えば塵や埃等が混在しているおそれがある。塵や埃は、例えば、粗砕や解繊によって生じることがある。そして、このような塵や埃は、回収部27に回収されることとなる。
吸引部153は、メッシュベルト151の下方から空気を吸引するサクション機構である。これにより、メッシュベルト151を通過した塵や埃を空気ごと吸引することができる。
また、吸引部153は、管244を介して、回収部27に接続されている。吸引部153で吸引された塵や埃は、回収部27に回収される。
回収部27には、管245がさらに接続されている。また、管245の途中には、ブロアー262が設置されている。このブロアー262の作動により、吸引部153で吸引力を生じさせることができる。これにより、メッシュベルト151上における第1ウェブM5の形成が促進される。この第1ウェブM5は、塵や埃等が除去されたものとなる。また、塵や埃は、ブロアー262の作動により、管244を通過して、回収部27まで到達する。
ハウジング部142は、加湿部232と接続されている。加湿部232は、気化式の加湿器で構成されている。これにより、ハウジング部142内には、加湿空気が供給される。この加湿空気により、上記の加湿工程を行うことができ、上記のような効果を得ることができる。また、第1選別物M4-1を加湿することができ、よって、第1選別物M4-1がハウジング部142の内壁に静電力によって付着してしまうのを抑制することもできる。
選別部14の下流側には、加湿部235が配置されている。加湿部235は、水を噴霧する超音波式加湿器で構成されている。これにより、第1ウェブM5に水分を供給することができ、上述の加湿工程を行うことができ、上記のような効果を得ることができる。また、静電力による第1ウェブM5のメッシュベルト151への吸着を抑制することができる。これにより、第1ウェブM5は、メッシュベルト151が張架ローラー152で折り返される位置で、メッシュベルト151から容易に剥離される。
加湿部235の下流側には、細分部16が配置されている。細分部16は、メッシュベルト151から剥離した第1ウェブM5を分断する分断工程を行う部分である。細分部16は、回転可能に支持されたプロペラ161と、プロペラ161を収納するハウジング部162とを有している。そして、回転するプロペラ161により、第1ウェブM5を分断することができる。分断された第1ウェブM5は、細分体M6となる。また、細分体M6は、ハウジング部162内を下降する。
ハウジング部162は、加湿部233と接続されている。加湿部233は、気化式の加湿器で構成されている。これにより、ハウジング部162内には、加湿空気が供給される。この加湿空気により加湿工程を行うことができ、上記のような効果を得ることができる。また、細分体M6がプロペラ161やハウジング部162の内壁に静電力によって付着してしまうのを抑制することもできる。
細分部16の下流側には、混合部17が配置されている。混合部17は、細分体M6と結合材料P1とを混合する混合工程を行う部分である。この混合部17は、添加剤供給部171と、管172と、ブロアー173とを有している。
管172は、細分部16のハウジング部162と、分散部18のハウジング182とを接続しており、細分体M6と結合材料P1との混合物M7が通過する流路である。
管172の途中には、添加剤供給部171が接続されている。添加剤供給部171は、結合材料が収容されたハウジング部170と、ハウジング部170内に設けられたスクリューフィーダー174とを有している。スクリューフィーダー174の回転により、ハウジング部170内の結合材料P1がハウジング部170から押し出されて管172内に供給される。管172内に供給された結合材料P1は、細分体M6と混合されて混合物M7となる。
また、添加剤供給部171から供給される結合材料P1には、例えば、繊維を着色するための着色剤、繊維の凝集を抑制するための凝集抑制剤、繊維等を燃えにくくするための難燃剤、シートSの紙力を増強するための紙力増強剤、解繊物等が配合されてもよく、これらのうちの一種又は複数種を組み合わせて用いてもよい。
添加剤供給部171から結合材料P1を供給することにより、シートSを構成する繊維に結合材料P1を均一性高く付着させることができる。すなわち、結合材料P1の粉末の平均粒子径が小さいので、混合物中での組成のムラや、最終的に得られるシートとしてのシートSでの組成のばらつき等を抑制することができ、シートSの信頼性をより優れたものとすることができる。
また、管172の途中には、添加剤供給部171よりも下流側にブロアー173が設置されている。ブロアー173が有する羽根等の回転部の作用により、細分体M6と結合材料P1との混合が促進される。また、ブロアー173は、分散部18に向かう気流を発生させることができる。この気流により、管172内で、細分体M6と結合材料P1とを撹拌することができる。これにより、混合物M7は、細分体M6と結合材料P1とが均一に分散した状態で、分散部18に搬送される。また、混合物M7中の細分体M6は、管172内を通過する過程でほぐされて、より細かい繊維状となる。
なお、図1に示すように、ブロアー173は、制御部28と電気的に接続されており、その作動が制御される。また、ブロアー173の送風量を調整することにより、ドラム181内に送り込む空気の量を調整することができる。
なお、図示はしないが、管172は、ドラム181側の端部が2股に分岐しており、分岐した端部は、ドラム181の端面に形成された図示しない導入口にそれぞれ接続されている。
図1に示す分散部18は、混合物M7における、互いに絡み合った繊維同士をほぐして放出する放出工程を行う部分である。分散部18は、解繊物である混合物M7を導入及び放出するドラム181と、ドラム181を収納するハウジング182と、ドラム181を回転駆動する駆動源183と、を有する。
ドラム181は、円筒状をなす網体で構成され、その中心軸回りに回転する篩である。ドラム181が回転することにより、混合物M7のうち、網の目開きよりも小さい繊維等が、ドラム181を通過することができる。その際、混合物M7がほぐされて空気とともに放出される。すなわち、ドラム181が、繊維を含む材料を放出する放出部として機能する。
駆動源183は、図示はしないが、モーターと、減速機と、ベルトと、を有する。モーターは、モータードライバーを介して制御部28と電気的に接続されている。また、モーターから出力された回転力は、減速機によって減速される。ベルトは、例えば、無端ベルトで構成されており、減速機の出力軸及びドラムの外周に掛け回されている。これにより、減速機の出力軸の回転力がベルトを介してドラム181に伝達される。
またハウジング182は、加湿部234と接続されている。加湿部234は、気化式の加湿器で構成されている。これにより、ハウジング182内には、加湿空気が供給される。この加湿空気により、ハウジング182内を加湿することができ、加湿工程を行うことができ、上記のような効果を得ることができる。また、混合物M7がハウジング182の内壁に静電力によって付着してしまうのを抑制することもできる。
また、ドラム181で放出された混合物M7は、気中に分散しつつ落下して、ドラム181の下方に位置する第2ウェブ形成部19に向かう。第2ウェブ形成部19は、混合物M7を堆積させて堆積物である第2ウェブM8を形成する堆積工程を行う部分である。第2ウェブ形成部19は、メッシュベルト191と、張架ローラー192と、吸引部193とを有している。
メッシュベルト191は、メッシュ部材であり、図示の構成では、無端ベルトで構成される。また、メッシュベルト191には、分散部18が分散、放出した混合物M7が堆積する。このメッシュベルト191は、4つの張架ローラー192に掛け回されている。そして、張架ローラー192の回転駆動により、メッシュベルト191上の混合物M7は、下流側に搬送される。
なお、図示の構成では、メッシュ部材の一例としてメッシュベルト191を用いる構成であるが、本発明ではこれに限定されず、例えば、平板状をなすものであってもよい。
また、メッシュベルト191上のほとんどの混合物M7は、メッシュベルト191の目開き以上の大きさである。これにより、混合物M7は、メッシュベルト191を通過してしまうことが規制され、よって、メッシュベルト191上に堆積することができる。また、混合物M7は、メッシュベルト191上に堆積しつつ、メッシュベルト191ごと下流側に搬送されるため、層状の第2ウェブM8として形成される。
吸引部193は、メッシュベルト191の下方から空気を吸引するサクション機構である。これにより、メッシュベルト191上に混合物M7を吸引することができ、よって、混合物M7のメッシュベルト191上への堆積が促進される。
吸引部193には、管246が接続されている。また、この管246の途中には、ブロアー263が設置されている。このブロアー263の作動により、吸引部193で吸引力を生じさせることができる。
分散部18の下流側には、加湿部236が配置されている。加湿部236は、加湿部235と同様の超音波式加湿器で構成されている。これにより、第2ウェブM8に水分を供給することができる。これにより、加湿工程を行うことができ、上記のような効果を得ることができる。また、静電力による第2ウェブM8のメッシュベルト191への吸着を抑制することができる。これにより、第2ウェブM8は、メッシュベルト191が張架ローラー192で折り返される位置で、メッシュベルト191から容易に剥離される。
なお、加湿部231~加湿部236までに加えられる合計水分量は、特に限定されないが、加湿工程終了時におけるウェブの水分率、すなわち、加湿部236で加湿された状態の第2ウェブM8の質量に対する、当該第2ウェブM8が含む水分の質量の割合は、1.0質量%以上30.0質量%以下であることが好ましい。
第2ウェブM8が形成されるまでに少なくとも1回の加湿工程が行われ、第2ウェブM8は、結合材料P1の少なくとも一部が繊維に付着するものとなっている。また、第2ウェブM8が形成されるまでに加湿工程が行われなかった場合には、第2ウェブM8に対して加湿部236による加湿工程が行われ、第2ウェブM8に水分が付与される。
第2ウェブ形成部19の下流側には、成形部20が配置されている。成形部20は、混合物である第2ウェブM8からシートSを形成するシート形成工程を行う部分である。この成形部20は、加圧部201と、加熱部202とを有している。
加圧部201は、一対のカレンダーローラー203を有し、カレンダーローラー203の間で第2ウェブM8を加熱せずに加圧することができる。これにより、第2ウェブM8の密度が高められる。この第2ウェブM8は、加熱部202に向けて搬送される。なお、一対のカレンダーローラー203のうちの一方は、図示しないモーターの作動により駆動する主動ローラーであり、他方は、従動ローラーである。
加熱部202は、一対の加熱ローラー204を有し、加熱ローラー204の間で第2ウェブM8を加熱しつつ、加圧することができる。この加熱及び加圧により、第2ウェブM8内では、加湿により吸水している結合材料が繊維に付着しており、この結合材料とともに第2ウェブM8が加圧・加熱されることによって、結合材料を介して繊維同士が結着する。これにより、シートSが形成される。そして、このシートSは、切断部21に向けて搬送される。なお、一対の加熱ローラー204の一方は、図示しないモーターの作動により駆動する主動ローラーであり、他方は、従動ローラーである。
成形部20の下流側には、切断部21が配置されている。切断部21は、シートSを切断する切断工程を行う部分である。この切断部21は、第1カッター211と、第2カッター212とを有する。
第1カッター211は、シートSの搬送方向と交差する方向、特に直交する方向にシートSを切断するものである。
第2カッター212は、第1カッター211の下流側で、シートSの搬送方向に平行な方向にシートSを切断するものである。この切断は、シートSの幅方向の両側端部の不要な部分を除去して、シートSの幅を整えるものであり、切断除去された部分は、いわゆる「みみ」と呼ばれる。
このような第1カッター211と第2カッター212との切断により、所望の形状、大きさのシートSが得られる。そして、このシートSは、さらに下流側に搬送されて、ストック部22に蓄積される。
このようなシート製造装置100が備える各部は、後述する制御部28と電気的に接続されている。そして、これら各部の作動は、制御部28によって制御される。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、シートの製造に用いるシート製造装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
2.2.記録紙の解繊方法の態様
上記シート製造装置100を用い、繊維原料M1を上記実施形態の記録紙とし、解繊部13により、粗砕片M2を乾式で解繊して、繊維を得ることで、記録紙の解繊方法の一態様とすることができる。
本実施形態の解繊方法によれば、解繊後、解繊前に比較して繊維長が短くなることを抑制することができる。
2.3.記録紙の製造方法における解繊工程の態様
上記シート製造装置100を用い、繊維原料M1を上記実施形態の記録紙とし、解繊部13により、粗砕片M2を乾式で解繊して、繊維を得ることで、記録紙の製造方法における解繊工程としてもよい。
一方、繊維原料M1を上記実施形態の記録紙とせず、古紙等とする場合には、記録紙の製造方法における解繊工程の態様としては、解繊部13又は解繊部13よりも上流で、上述の飽和炭化水素を添加し、解繊部13により、乾式で解繊して、繊維を得ることが挙げられる。すなわち、繊維原料と、一般式C2n+2(nは16以上23以下の自然数である。)で表わされる飽和炭化水素とが共存した状態で解繊部13により解繊しても記録紙の製造方法における解繊工程の一態様となる。
繊維原料M1を上記実施形態の記録紙とせずに古紙等とする場合には、飽和炭化水素は、原料シート供給装置11、粗砕部12、シュート122、菅241及び解繊部13から選ばれる少なくとも一部において添加することができる。このようにすれば、繊維原料と、一般式C2n+2(nは自然数)で表わされる飽和炭化水素とが共存した状態で解繊部13により解繊することができる。
飽和炭化水素の添加の手法としては、特に限定されないが、飽和炭化水素を粉体として添加することや、飽和炭化水素の溶液を付与することで行われる。飽和炭化水素の溶液の溶媒としては、ヘキサン、メタノール、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
飽和炭化水素を粉体として添加する場合、例えば、原料シート供給装置11において、粉末状の飽和炭化水素を繊維原料M1に振り掛け、必要に応じて、例えば飽和炭化水素の融点以上に加熱することで繊維原料M1に染み込ませて付与することができる。また、粗砕部12、シュート122、菅241等において飽和炭化水素を繊維原料M1や粗砕片M2に振りかけ、必要に応じて例えば飽和炭化水素の融点以上に加熱して添加することもできる。さらに解繊部13において飽和炭化水素を振りかけてもよいし、必要に応じて例えば飽和炭化水素の融点以上に解繊部13を加熱して行ってもよい。
飽和炭化水素の溶液を付与する場合には、スプレー法、並びに、スリットコート及びローラーコート等の塗布法の少なくとも一つの手法で繊維原料M1、粗砕片M2に付与することができる。例えば、原料シート供給装置11においては、スプレー及び塗布により、繊維原料M1に飽和炭化水素の溶液を付与することで、解繊部13において繊維原料と飽和炭化水素とを共存させることができる。粗砕部12、シュート122又は菅241において飽和炭化水素の溶液を付与する場合には、スプレーによることが好ましい。解繊部13において飽和炭化水素の溶液を付与する場合には、スプレー及び塗布の少なくとも一つの手法で粗砕片M2に付与することができる。解繊部13においては、回転刃やライナーに対して飽和炭化水素の溶液を塗布してもよい。
2.4.記録紙の製造方法における他の工程
本実施形態の記録紙の製造方法では、上記解繊工程を経た後に、飽和炭化水素を添加する工程を有する。飽和炭化水素は、選別部14の下流であればどの段階で添加されてもよい。例えば、第1ウェブM5、細分体M6、混合物M7、第2ウェブM8、及び、シートSの少なくとも1つに飽和炭化水素を粉体として添加することや、飽和炭化水素の溶液を付与することで添加できる。また、添加剤供給部171から飽和炭化水素を供給してもよい。この場合、添加剤供給部171から供給される結合材料P1に、飽和炭化水素が含まれるようにしてもよい。
飽和炭化水素を添加する工程は、シートSが製造された後、装置外で飽和炭化水素溶液を塗布する等により行われてもよい。また、飽和炭化水素を添加する工程は、繊維原料M1を上述の記録紙とした場合であって、選別部14により飽和炭化水素が第1ウェブM5に残存する場合には、これを考慮して添加量を調節することができる。
本実施形態の記録紙の製造方法によれば、繊維原料の平均繊維長を短くしすぎることなく上述の記録紙を製造することができる。また、得られる記録紙は、飽和炭化水素を用いずに解繊する場合に比べて、機械的強度に優れる。
3.実施例及び比較例
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をさらに説明するが、本発明は以下の例によってなんら限定されるものではない。
3.1.評価試料の作成
各例について、図1に示すようなシート製造装置100を用いて記録紙としてのシートSを製造した。なお、シート製造装置100は、繊維原料M1が原料シート供給装置11から解繊部13を経て、解繊部13から解繊物M3となって排出され、そのままウェブ堆積装置10Bのドラム181に導入されるように改造して用いた。
繊維原料M1として、トッパン・フォームズ社製、リサイクルカット判G80(平均繊維長:820μm、平均繊維幅20μm)を準備した。 各例では、表1に示した飽和炭化水素を用い、ヘキサンを溶媒とした2.0質量%の溶液を、各例における溶媒を除く飽和炭化水素の含有量となるように、シュート122内にスプレーして付与した。
Figure 2022085547000002
各例の飽和炭化水素は、試薬として、富士フイルム和光純薬株式会社から入手した。実施例6の飽和炭化水素は、3種の試薬を混合した。実施例7の飽和炭化水素は、2-メチルオクタデカンであり、分岐を有している。その他の例の飽和炭化水素は、直鎖が90%以上である。なお表1には、飽和炭化水素の平均分子量及び融点を記載した。
3.2.評価
各実施例及び各比較例で得られた記録紙(シートS)について、平均繊維長を「Fiber Tester Plus」(Lorentzen & Wette Products社製)を用いてISOモードで定法に従い測定した。なお平均繊維長は、長さ重みづけ繊維長である。繊維原料の平均繊維長(800μm)に対する平均繊維長の減少量を指標に、以下の基準で評価し、結果を表1に記載した。
A:平均繊維長の減少が20μm未満
B:平均繊維長の減少が20μm以上100μm以下
C:平均繊維長の減少が100μm超
各実施例及び各比較例で得られた記録紙(シートS)について、インクジェット印刷特性を評価した。インクジェットプリンター(セイコーエプソン株式会社製:EW-M770T)を用いて、水系インク(セイコーエプソン株式会社製:HNA-PB,HNA-C,HNA-M,HNA-Y)により、テストパターンとして0.25ptから3ptまでの直線および5ptから10ptの漢字「綺麗」を印刷した。印刷面をデジタルマイクロスコープ「VHX-500」(Keyence社製)で観察し、目視にて以下の基準で評価し、結果を表1に記載した。
A:にじみが少ない
B:にじみが中程度
C:にじみが顕著
表1から明らかなように、繊維と、一般式C2n+2(nは16以上23以下の自然数である。)で表わされる飽和炭化水素と、を含む各実施例の記録紙は、解繊前に比較して平均繊維長が短くなりにくいことが判明した。
本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
上述した実施形態及び変形例から以下の内容が導き出される。
記録紙は、
繊維と、
一般式C2n+2(nは16以上23以下の自然数である。)で表わされる飽和炭化水素と、
を含む。
この記録紙によれば、解繊の際に繊維長が短くなりにくく、比較的長い解繊された繊維を得ることができる。かかる記録紙を用いて紙を製造した場合に、機械的強度の良好な紙を得ることができる。また、この記録紙によれば、インクジェットインク等のにじみを抑制することができる。また、この記録紙によれば、飽和炭化水素の融点が適切な範囲となりやすく、より良好な上記効果を得ることができるとともに、保存安定性もより良好である。またこの記録紙は適度な硬さとしやすい。
上記記録紙において、
前記飽和炭化水素の分子構造は、直鎖であってもよい。
この記録紙によれば、飽和炭化水素の融点がさらに適切な範囲となりやすく、より優れた上記効果を得ることができる。
上記記録紙において、
前記繊維の平均繊維長は、0.5mm以上3.0mm以下であってもよい。
この記録紙によれば、より十分な機械的強度が得られ、解繊した繊維を用いて紙を製造した場合の紙の機械的強度もより良好とすることができる。
上記記録紙において、
前記飽和炭化水素の含有量は、前記記録紙の全体に対して0.1質量%以上5.0質量%以下であってもよい。
この記録紙によれば、解繊時の短繊維化を抑制する効果をより確実に得ることができ、かつ、記録紙の硬さも硬すぎないようにすることができる。さらに、飽和炭化水素の含有量が少ないので、水系インクによる記録を行った場合に、インクのにじみをさらに抑制することができる。
上記記録紙において、
前記飽和炭化水素は、前記記録紙の厚さ方向の全体に存在してもよい。
この記録紙によれば、飽和炭化水素の分布のばらつきが小さいので、解繊時の短繊維化をさらに抑制することができる。
上記記録紙において、
前記記録紙は、インクジェット記録に用いられてもよい。
この記録紙によれば、にじみの少ない画像をインクジェット法により記録することができる。
記録紙の解繊方法の一態様は、
上記いずれかの記録紙を解繊し、繊維を得ることを含む。
この解繊方法によれば、解繊後、解繊前に比較して繊維長が短くなることを抑制することができる。
記録紙の製造方法の一態様は、
繊維原料と、一般式C2n+2(nは16以上23以下の自然数である。)で表わされる飽和炭化水素とが共存した状態で解繊する工程を含む。
この製造方法によれば、繊維原料の平均繊維長を短くしすぎることなく上記の記録紙を製造することができる。また、得られる記録紙は、飽和炭化水素を用いずに解繊する場合に比べて、機械的強度に優れる。
100…シート製造装置、10A…原料シート処理装置、10B…ウェブ堆積装置、11…原料シート供給装置、12…粗砕部、13…解繊部、14…選別部、15…第1ウェブ形成部、16…細分部、17…混合部、18…分散部、19…第2ウェブ形成部、20…成形部、21…切断部、22…ストック部、27…回収部、28…制御部、121…粗砕刃、122…シュート、141…ドラム部、142…ハウジング部、151…メッシュベルト、152…張架ローラー、153…吸引部、161…プロペラ、162…ハウジング部、170…ハウジング部、171…添加剤供給部、172…管、173…ブロアー、174…スクリューフィーダー、181…ドラム、182…ハウジング、183…駆動源、191…メッシュベルト、192…張架ローラー、193…吸引部、201…加圧部、202…加熱部、203…カレンダーローラー、204…加熱ローラー、211…第1カッター、212…第2カッター、231…加湿部、232…加湿部、233…加湿部、234…加湿部、235…加湿部、236…加湿部、241…管、242…管、243…管、244…管、245…管、246…管、261…ブロアー、262…ブロアー、263…ブロアー、281…CPU、282…記憶部、M1…繊維原料、M2…粗砕片、M3…解繊物、M4-1…第1選別物、M4-2…第2選別物、M5…第1ウェブ、M6…細分体、M7…混合物、M8…第2ウェブ、S…シート、P1…結合材料

Claims (8)

  1. 繊維と、
    一般式C2n+2(nは16以上23以下の自然数である。)で表わされる飽和炭化水素と、
    を含む、記録紙。
  2. 請求項1において、
    前記飽和炭化水素の分子構造は、直鎖である、記録紙。
  3. 請求項1又は請求項2のいずれか一項において、
    前記繊維の平均繊維長は、0.5mm以上3.0mm以下である、記録紙。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれか一項において、
    前記飽和炭化水素の含有量は、前記記録紙の全体に対して0.1質量%以上5.0質量%以下である、記録紙。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれか一項において、
    前記飽和炭化水素は、前記記録紙の厚さ方向の全体に存在する、記録紙。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれか一項において、
    前記記録紙は、インクジェット記録に用いられる、記録紙。
  7. 請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載の記録紙を解繊し、繊維を得ることを含む、記録紙の解繊方法。
  8. 繊維原料と、一般式C2n+2(nは16以上23以下の自然数である。)で表わされる飽和炭化水素とが共存した状態で解繊する工程を含む、記録紙の製造方法。
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