JP2022085427A - 水性インク - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂フィルムに対して優れた定着性を有する水性インクを提供する。【解決手段】顔料、定着用樹脂、及び水を含有する水性インクであって、定着用樹脂が、(メタ)アクリル酸(A)由来の構成単位、シクロアルキル(メタ)アクリレート(B)由来の構成単位、及びホモポリマーにした時のガラス転移温度(Tg)が0℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート(C)由来の構成単位を含み、(メタ)アクリル酸(A)由来の構成単位の含有量が、定着用樹脂の全構成単位中、6~25質量%であり、シクロアルキル(メタ)アクリレート(B)由来の構成単位の含有量が、定着用樹脂の全構成単位中、30~90質量%である、水性インクである。【選択図】なし

Description

本発明は、水性インクに関する。
パッケージ印刷等の産業印刷市場においては、耐久性の観点から印刷媒体として主に樹脂フィルムが用いられている。印刷媒体が樹脂フィルムの場合、紙媒体とは異なり樹脂フィルムがインクを吸液しない、インクの濡れ性が悪い、樹脂フィルムの構成樹脂が低極性である等の点からインクの定着性が課題として挙げられる。樹脂フィルムへのインクの定着性不足とは、インク塗膜が樹脂フィルムから剥離し易いことを意味し、インクの剥離は、印刷物の美粧性を損ない、食料品等の内容物の保存性を低下させる。そのため、樹脂フィルムへのインクの定着性が求められる。
従来、溶剤インクやUVインクを用いることで樹脂フィルムへの定着を可能としていたが、揮発性有機溶剤や残留モノマーによる環境や人体への負荷が大きい。そのため環境負荷の小さい水性インクの使用が進められている。しかし、樹脂フィルムへの水性インクの定着性が大きな課題であり、水性インクの新たな定着性付与技術が必要となる。
例えば、定着性、耐擦過性に優れた画像を記録することができるインクジェット用水性インクとして、特許文献1には、特定量の環状脂肪族基含有エチレン性不飽和モノマーに由来するユニットを含む第1樹脂で形成された第1層(内側)、及び特定量のイオン性基含有エチレン性不飽和モノマーに由来するユニットを有する第2樹脂で形成された第2層(外側)を有する樹脂粒子を含有する水性インクが開示されている。
特開2017-210604号公報
水性インクを用いて樹脂フィルムへ印刷する場合、水性インクが樹脂フィルムに十分に定着している必要があるが、特許文献1の技術ではインクの定着性が不十分であった。
本発明は、樹脂フィルムに対して優れた定着性を有する水性インクを提供することを課題とする。
本発明者は、定着用樹脂として(メタ)アクリル酸由来の構成単位、シクロアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位、及びホモポリマーにした時のガラス転移温度が0℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を含有する樹脂を用いることにより、上記課題を解決しうることを見出した。
すなわち、本発明は、顔料、定着用樹脂、及び水を含有する水性インクであって、
定着用樹脂が、(メタ)アクリル酸(A)由来の構成単位、シクロアルキル(メタ)アクリレート(B)由来の構成単位、及びホモポリマーにした時のガラス転移温度(Tg)が0℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート(C)由来の構成単位を含み、
(メタ)アクリル酸(A)由来の構成単位の含有量が、定着用樹脂の全構成単位中、6質量%以上25質量%以下であり、
シクロアルキル(メタ)アクリレート(B)由来の構成単位の含有量が、定着用樹脂の全構成単位中、30質量%以上90質量%以下である、水性インクを提供する。
本発明によれば、樹脂フィルムに対して優れた定着性を有する水性インクを提供することができる。
[水性インク]
本発明の水性インクは、顔料、定着用樹脂、及び水を含有する水性インクであって、
定着用樹脂が、(メタ)アクリル酸(A)由来の構成単位、シクロアルキル(メタ)アクリレート(B)由来の構成単位、及びホモポリマーにした時のガラス転移温度(Tg)が0℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート(C)由来の構成単位を含み、
(メタ)アクリル酸(A)由来の構成単位の含有量が、定着用樹脂の全構成単位中、6質量%以上25質量%以下であり、
シクロアルキル(メタ)アクリレート(B)由来の構成単位の含有量が、定着用樹脂の全構成単位中、30質量%以上90質量%以下である。
なお、「水性」とは、媒体中で、水が最大割合を占めていることを意味する。
本発明によれば、樹脂フィルムに対して優れた定着性を有する水性インクを提供することができる。その理由は必ずしも明らかではないが、以下のように考えられる。
本発明の水性インクに含まれる定着用樹脂は、シクロアルキル(メタ)アクリレート(B)由来の構成単位を含む。このシクロアルキル(メタ)アクリレート(B)のシクロアルキルエステル部位は、樹脂フィルムと密接に相互作用するため、定着性が向上したと考えられる。
また、定着用樹脂は、ホモポリマーにした時のガラス転移温度(Tg)が0℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート(C)由来の構成単位を含有するため、定着用樹脂のTgを下げることが可能となり、樹脂フィルムへの濡れ性が向上し、定着性が向上すると考えられる。
<水性インク>
本発明の水性インクは、少なくとも顔料、定着用樹脂、及び水を含有し、インクジェット印刷において優れた定着性を発揮するため、インクジェット印刷用として使用することが好ましい。
本発明の水性インクに用いられる顔料の好適な形態としては、(i)分散剤なしで分散状態を保つことができる顔料、すなわち自己分散型顔料の形態、(ii)顔料を低分子又は高分子の界面活性剤で分散させた顔料粒子の形態、(iii)顔料を含有するポリマー粒子の形態が挙げられる。これらの中では、顔料の分散安定性及び定着性の観点から、顔料を含有するポリマー粒子の形態が好ましい。
ここで、「顔料を含有するポリマー粒子」(以下、「顔料含有ポリマー粒子」ともいう)とは、ポリマーが顔料を包含した形態の粒子、ポリマーと顔料からなる粒子の表面に顔料の一部が露出している形態の粒子、ポリマーが顔料の一部に吸着している形態の粒子を意味し、これらの混合物であってもよい。これらの中では、ポリマーが顔料を包含した形態の粒子がより好ましい。
〔顔料〕
本発明に用いられる顔料は、無機顔料及び有機顔料のいずれであってもよい。
無機顔料としては、例えば、カーボンブラック、金属酸化物等が挙げられ、黒色インクにおいては、カーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等が挙げられる。白色インクにおいては、二酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム等の金属酸化物等が挙げられる。
有機顔料としては、例えば、アゾ顔料、ジアゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、イソインドリノン顔料、ジオキサジン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、チオインジゴ顔料、アントラキノン顔料、キノフタロン顔料等が挙げられる。
色相は特に限定されず、有彩色インクにおいては、イエロー、マゼンタ、シアン、レッド、ブルー、オレンジ、グリーン等の有彩色顔料をいずれも用いることができる。
前記顔料は単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
〔顔料含有ポリマー粒子〕
顔料含有ポリマー粒子を構成するポリマー(以下、「ポリマーa」ともいう)は、少なくとも顔料分散能を有するものであれば特に制限はない。
ポリマーaとしては、ビニル単量体の付加重合により得られるビニル系樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、顔料の分散安定性及び定着性の観点から、ビニル系樹脂及びポリエステル樹脂から選ばれる1種以上が好ましく、ビニル系樹脂がより好ましい。
ポリマーaは、適宜合成したものを用いてもよいし、市販品を用いてもよい。
顔料含有ポリマー粒子は、顔料を含有するポリマー粒子を更に架橋剤で架橋してなる、顔料を含有する架橋ポリマー粒子(以下、「顔料含有架橋ポリマー粒子」ともいう)であることがより好ましく、顔料を含有する架橋ビニルポリマー粒子であることが更に好ましい。
架橋前のポリマーaは、水溶性ポリマーでも水不溶性ポリマーでもよいが、水不溶性ポリマーがより好ましい。使用するポリマーが水溶性ポリマーであっても、架橋処理すれば該ポリマーは水不溶性ポリマーとなる。
本明細書においてポリマーの「水不溶性」とは、105℃で2時間乾燥させ、恒量に達したポリマーを、25℃の水100gに溶解させたときに、その溶解量が10g未満であることを意味する。ポリマーがアニオン性ポリマーの場合、その溶解量は、ポリマーのアニオン性基を水酸化ナトリウムで100%中和した時の溶解量である。
〔ビニル系樹脂〕
ポリマーaがビニル系樹脂である場合、ビニル系樹脂は、顔料の分散安定性を向上させる観点から、(a-1)イオン性モノマー由来の構成単位を含有することが好ましく、更に(a-2)疎水性モノマー及び/又は(a-3)ノニオン性モノマー由来の構成単位を有することが好ましい。
〔(a-1)イオン性モノマー〕
(a-1)イオン性モノマーとしては、アニオン性モノマーが好ましく、カルボン酸モノマー、スルホン酸モノマー等が挙げられ、カルボン酸モノマーがより好ましい。
カルボン酸モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、及びシトラコン酸から選ばれる1種以上が挙げられるが、好ましくは(メタ)アクリル酸である。「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる少なくとも1種を意味する。
〔(a-2)疎水性モノマー〕
(a-2)疎水性モノマーの「疎水性」とは、モノマーを25℃のイオン交換水100gへ飽和するまで溶解させたときに、その溶解量が10g未満であることをいう。
(a-2)疎水性モノマーの具体例としては、特開2018-83938号公報の段落〔0020〕~〔0022〕に記載のものが挙げられる。これらの中では、炭素数1以上18以下、特に炭素数1以上10以下のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、炭素数6以上22以下の芳香族基を有する芳香族基含有モノマー、片末端に重合性官能基を有するマクロモノマー等が好ましく、スチレン、α-メチルスチレン及びベンジル(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上がより好ましい。
片末端に重合性官能基を有するマクロモノマーは、数平均分子量が500以上10万以下、好ましくは1,000以上1万以下の化合物であり、重合性官能基としては、アクリロイルオキシ基又はメタクリロイルオキシ基が挙げられる。
マクロモノマーとしては、芳香族基含有モノマー系マクロモノマーが好ましく、それを構成する芳香族基含有モノマーとしては、前記の芳香族基含有モノマーが挙げられる。
商業的に入手しうるスチレン系マクロモノマーの具体例としては、東亞合成株式会社製のAS-6(S)、AN-6(S)、HS-6(S)等が挙げられる。
〔(a-3)ノニオン性モノマー〕
(a-3)ノニオン性モノマーは、水や水溶性有機溶剤との親和性が高いモノマーであり、例えば水酸基やポリアルキレングリコール鎖を含むモノマーである。
(a-3)成分の具体例としては、特開2018-83938号公報の段落〔0018〕に記載のものが挙げられる。これらの中では、メトキシポリエチレングリコール(n=1~30)(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(n=2~30)(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上が好ましい。
上記(a-1)~(a-3)成分は、それぞれ、各成分に含まれるモノマー成分を単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
(ビニル系樹脂中における各構成単位の含有量)
ビニル系樹脂中における(a-1)~(a-3)成分由来の構成単位の含有量は、顔料の分散安定性を向上させる観点から、次のとおりである。
(a-1)成分の含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは12質量%以上であり、そして、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。
(a-2)成分の含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
(a-3)成分を含有する場合、その含有量は、好ましくは2質量%以上、より好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上であり、そして、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは35質量%以下である。
(a-2)成分に対する(a-1)成分の質量比[(a-1)成分/(a-2)成分]は、好ましくは0.2以上、より好ましくは0.25以上であり、そして、好ましくは1.2以下、より好ましくは0.8以下、更に好ましくは0.5以下である。
(ビニル系樹脂の製造)
ビニル系樹脂は、モノマー混合物を公知の重合法により共重合させることによって製造できる。重合法としては溶液重合法が好ましい。
溶液重合法で用いる溶媒に制限はないが、水、脂肪族アルコール、ケトン類、エーテル類、エステル類等の極性溶媒が好ましく、水、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン等がより好ましい。
重合の際には、重合開始剤や重合連鎖移動剤を用いることができる。重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩や水溶性アゾ重合開始剤等が挙げられ、重合連鎖移動剤としてはメルカプタン類等が挙げられる。
重合温度は、使用する重合開始剤、モノマー、溶媒の種類等によって異なるが、好ましくは30℃以上、より好ましくは50℃以上であり、そして、好ましくは95℃以下、より好ましくは80℃以下である。
重合雰囲気は、好ましくは窒素ガスや不活性ガス雰囲気である。
ビニル系樹脂は、後述するように中和剤で中和することが好ましい。
ビニル系樹脂の重量平均分子量は、分散安定性、定着性の観点から、好ましくは5000以上、より好ましくは8000以上、更に好ましくは1万以上であり、そして、好ましくは15万以下、より好ましくは10万以下、更に好ましくは8万以下である。
ポリマーaの酸価は、上記と同様の観点から、好ましくは50mgKOH/g以上、より好ましくは70mgKOH/g以上、更に好ましくは90mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは400mgKOH/g以下、より好ましくは300mgKOH/g以下、更に好ましくは200mgKOH/g以下である。
ポリマーの重量平均分子量及び酸価の測定は、実施例に記載の方法により行うことができる。
〔ポリエステル樹脂〕
ポリマーaがポリエステル樹脂である場合、ポリエステル樹脂は、アルコール成分由来の構成単位とカルボン酸由来の構成単位を含有する。
(アルコール成分)
ポリエステル樹脂の原料モノマーであるアルコール成分としては、芳香族ポリオール、脂肪族ポリオール等のポリオールが挙げられるが、芳香族ジオールを含むことが好ましい。
芳香族ジオールとしては、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物が好ましい。
ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物は、具体的には下記一般式(I-1)で表される化合物が好ましい。
Figure 2022085427000001
一般式(I-1)において、OR1、R2Oはいずれもオキシアルキレン基であり、好ましくは、それぞれ独立に炭素数1以上4以下のオキシアルキレン基であり、より好ましくはオキシエチレン基又はオキシプロピレン基である。
x及びyは、アルキレンオキシドの付加モル数であり、カルボン酸成分との反応性の観点から、xとyの和の平均値は、好ましくは2以上であり、そして、好ましくは7以下、より好ましくは5以下、更に好ましくは3以下である。
また、x個のOR1とy個のR2Oは、各々同一であっても異なっていてもよいが、印刷媒体への定着性の観点から、同一であることが好ましい。このビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物は、プロピレンオキシド付加物及びエチレンオキシド付加物が好ましく、ビスフェノールAのプロピレンオキシド付加物がより好ましい。
アルコール成分中におけるビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物の含有量は、定着性を向上させる観点から、好ましくは50モル%以上、より好ましくは60モル%以上、更に好ましくは70モル%以上であり、そして、100モル%以下である。
ポリエステル樹脂の原料モノマーであるアルコール成分には、ビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物以外に、その他のアルコール成分を用いてもよい。その他のアルコール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、水素添加ビスフェノールA、ソルビトール、又はそれらのアルキレン(炭素数2以上4以下)オキシド付加物(平均付加モル数1以上16以下)等が挙げられる。
(カルボン酸成分)
ポリエステル樹脂の原料モノマーであるカルボン酸成分には、カルボン酸、並びにそれらの酸の無水物及びそれらのアルキル(炭素数1以上3以下)エステル等が含まれる。
カルボン酸成分としては、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸及び3価以上の多価カルボン酸等が挙げられるが、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸から選ばれる1種以上が好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸が好ましく、テレフタル酸がより好ましい。
脂肪族ジカルボン酸としては、不飽和脂肪族ジカルボン酸及び飽和脂肪族ジカルボン酸が挙げられ、不飽和脂肪族ジカルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸が好ましく、フマル酸がより好ましく、飽和脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、コハク酸が好ましい。脂環式ジカルボン酸としては、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、テトラヒドロフタル酸が好ましく、3価以上の多価カルボン酸としては、トリメリット酸、ピロメリット酸が好ましい。
前記カルボン酸成分は、単独で又は2種以上を併用してもよい。
上記のカルボン酸成分の中でも、芳香族ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸が好ましく、脂肪族ジカルボン酸がより好ましく、不飽和脂肪族ジカルボン酸が更に好ましく、フマル酸がより更に好ましい。また、不飽和脂肪族ジカルボン酸と芳香族ジカルボン酸及び/又は脂環式ジカルボン酸とを併用することも好ましい。
カルボン酸成分中における不飽和脂肪族ジカルボン酸の含有量は、好ましくは25モル%以上、より好ましくは40モル%以上、更に好ましくは60モル%以上、より更に好ましくは70モル%以上であり、そして、100モル%以下である。
(ポリエステル樹脂の製造)
ポリエステル樹脂は、少なくともアルコール成分とカルボン酸成分とを縮重合して得ることができる。例えば、前記アルコール成分と前記カルボン酸成分とを不活性ガス雰囲気中にて、必要に応じてエステル化触媒を用いて、180℃以上250℃以下の温度で縮重合することにより製造することができる。該アルコール成分及び該カルボン酸成分の好適な態様及び好適な含有量は、それぞれ、前記のとおりである。
ポリエステル樹脂の縮重合反応には、エステル化触媒を用いることが好ましい。
エステル化触媒としては、スズ触媒、チタン触媒、三酸化アンチモン、酢酸亜鉛、二酸化ゲルマニウム等の金属化合物等が挙げられるが、エステル化反応効率の観点から、スズ触媒が好ましい。スズ触媒としては、酸化ジブチルスズ、ジ(2-エチルヘキサン酸)スズ(II)、又はこれらの塩等が好ましく、ジ(2-エチルヘキサン酸)スズ(II)がより好ましい。
また、必要に応じて、更に、3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸等のエステル化助触媒を用いてもよく、4-tert-ブチルカテコール、ヒドロキノン等のラジカル重合禁止剤を併用してもよい。
ポリエステル樹脂の酸価は、定着性を向上させる観点から、好ましくは5mgKOH/g以上、より好ましくは10mgKOH/g以上、更に好ましくは15mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは70mgKOH/g以下、より好ましくは50mgKOH/g以下、更に好ましくは40mgKOH/g以下である。
ポリエステル樹脂の重量平均分子量は、定着性を向上させる観点から、好ましくは8000以上、より好ましくは1万以上、更に好ましくは1.2万以上であり、そして、顔料の分散安定性の観点から、好ましくは20万以下、より好ましくは10万以下、更に好ましくは5万以下である。
ポリエステル樹脂の酸価、重量平均分子量は、用いるモノマーの種類、配合比率、重縮合の温度、反応時間を適宜調節することにより所望のものを調製できる。また、ポリエステル樹脂の酸価、重量平均分子量は、実施例に記載の方法により測定される。
〔顔料含有ポリマー粒子の製造〕
顔料含有ポリマー粒子は、顔料水分散体として下記の工程1及び2を有する方法により、効率的に製造することができる。
工程1:顔料、ポリマーa、有機溶媒、及び水を含む顔料混合物を分散処理して分散処理物を得る工程
工程2:工程1で得られた分散処理物から有機溶媒を除去して顔料含有ポリマー粒子Aの水分散体(以下、「顔料水分散体(i)」ともいう)を得る工程
ポリマーaがビニル系樹脂である場合は、更に下記の工程3を行うことが好ましい。
工程3:工程2で得られた顔料水分散体(i)に架橋剤を添加し、顔料含有ポリマー粒子を架橋させて、顔料含有架橋ポリマー粒子の水分散体(I)(以下、「顔料水分散体(I)」ともいう)を得る工程
本発明に係る顔料含有ポリマー粒子は、工程3で得られる顔料含有架橋ポリマー粒子をも包含する。
(工程1)
工程1における顔料混合物は、ポリマーaを有機溶媒に溶解させ、次に顔料、水、及び必要に応じて中和剤、界面活性剤等を、得られた有機溶媒溶液に加えて混合し、水中油型の分散液を得る方法により得ることが好ましい。
工程1で用いる有機溶媒に制限はないが、ケトン類、エーテル類、エステル類、炭素数1以上3以下の脂肪族アルコール等が好ましく、顔料への濡れ性、ポリマーaの顔料への吸着性を向上させる観点から、炭素数4以上8以下のケトンがより好ましく、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンが更に好ましく、メチルエチルケトンがより更に好ましい。ポリマーaとしてビニル系樹脂を溶液重合法で合成した場合には、重合で用いた溶媒をそのまま用いてもよい。
ポリマーaが酸基を有する場合、該酸基の少なくとも一部は、中和剤を用いて中和されていることが好ましい。これにより、中和後に発現する電荷反発力が大きくなり、水性インクにおける顔料粒子の凝集を抑制し、顔料の分散安定性を向上できると考えられる。
中和する場合は、pHが7以上11以下になるように中和することが好ましい。
中和剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、各種アミン等の塩基が挙げられ、好ましくは水酸化ナトリウム及びアンモニアである。
また、ポリマーaを予め中和しておいてもよい。
中和剤の使用当量は、分散安定性を向上させる観点から、好ましくは20モル%以上、より好ましくは30モル%以上、更に好ましくは40モル%以上であり、そして、好ましくは150モル%以下、より好ましくは120モル%以下、更に好ましくは100モル%以下である。
ここで中和剤の使用当量は、中和前のポリマーaを「ポリマーa’」とする場合、次式によって求めることができる。
中和剤の使用当量(モル%)=〔{中和剤の添加質量(g)/中和剤の当量}/[{ポリマーa’の酸価(mgKOH/g)×ポリマー(B)の質量(g)}/(56×1,000)]〕×100
工程1における分散処理は、剪断応力による本分散だけで顔料粒子を所望の粒径となるまで微粒化することもできるが、均一な顔料水分散体を得る観点から、顔料混合物を予備分散した後、さらに本分散することが好ましい。
予備分散に用いる分散機としては、アンカー翼、ディスパー翼等の一般に用いられている混合撹拌装置を用いることができる。
本分散に用いる剪断応力を与える手段としては、例えば、ロールミル、ニーダー等の混練機、マイクロフルイダイザー等の高圧ホモジナイザー、ペイントシェーカー、ビーズミル等のメディア式分散機が挙げられる。これらの中でも、顔料を小粒子径化する観点から、高圧ホモジナイザー、ビーズミルを用いることが好ましい。
高圧ホモジナイザーを用いて分散処理を行う場合、20MPa以上の分散圧力でパス回数の制御により、顔料を所望の粒径になるように制御することができ、後述する顔料水散体(I)の平均粒径も調整することができる。
(工程2)
工程2における有機溶媒の除去は、公知の方法で行うことができる。得られた顔料水分散体(i)中の有機溶媒は実質的に除去されていることが好ましいが、本発明の目的を損なわない限り、例えば0.1質量%以下残留していてもよい。
また、粗大粒子等を除去する目的で、有機溶媒を除去した水分散体を、更に遠心分離した後、液層部分をフィルター等で濾過し、該フィルター等を通過してなるものを、顔料水分散体(i)として得ることが好ましい。
(工程3)
工程3は、任意であるが、工程2で得られた顔料水分散体(i)に架橋剤を添加し、顔料含有ポリマー粒子を構成するポリマーaのカルボキシ基の一部を架橋し、顔料含有ポリマー粒子の表層部に架橋構造を形成させて、顔料含有架橋ポリマー粒子の顔料水分散体(I)を得る。これにより、ポリマーaが架橋されてなるポリマーが顔料表面に強固に吸着又は固定化され、顔料の凝集が抑制され、結果として、得られるインクの分散安定性がより向上すると考えられる。
架橋剤としては、好ましくは分子中にエポキシ基を2以上有する多官能エポキシ化合物、より好ましくはグリシジルエーテル基を2以上有する化合物、更に好ましくは炭素数3以上4以下の炭化水素基を有する多価アルコールのポリグリシジルエーテル化合物である。
架橋剤の分子量は、反応容易性等を向上させる観点から、好ましくは120以上、より好ましくは150以上であり、そして、好ましくは2,000以下、より好ましくは1,500以下である。
架橋剤のエポキシ当量は、好ましくは90以上、より好ましくは100以上であり、そして、好ましくは300以下、より好ましくは200以下である。
架橋剤の好適例としては、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル(水溶率27質量%)、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル(水溶率0質量%)等のポリグリシジルエーテル等が挙げられる。
工程3における架橋率は、定着性等を向上させる観点から、ポリマーaのカルボキシ基のモル当量数に対する架橋剤の架橋性官能基のモル当量数の比で、好ましくは15モル%以上、より好ましくは20モル%以上、更に好ましくは25モル%以上であり、そして、好ましくは80モル%以下、より好ましくは60モル%以下、更に好ましくは50モル%以下である。
架橋処理の温度は、前記と同様の観点から、好ましくは40℃以上、より好ましくは50℃以上であり、そして、好ましくは90℃以下、より好ましくは80℃以下である。
工程3によって得られる顔料含有架橋ポリマー粒子の顔料水分散体(I)において、顔料含有架橋ポリマー粒子を構成するポリマーが架橋構造を有している場合の酸価は、該顔料水分散体(I)を本発明の水性インクに用いた際の保存安定性を確保する観点から、好ましくは40mgKOH/g以上、より好ましくは60mgKOH/g以上、更に好ましくは80mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは160mgKOH/g以下、より好ましくは130mgKOH/g以下、更に好ましくは100mgKOH/g以下である。本発明においてポリマーが架橋構造を有している場合の酸価は架橋前のポリマーaの酸価に対して架橋率を乗ずることで算出することができる。
得られる顔料水分散体(I)の不揮発成分濃度(固形分濃度)は、顔料水分散体の分散安定性を向上させる観点から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上であり、そして、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。
固形分濃度は、実施例に記載の方法により測定される。
顔料水分散体(I)中の顔料の含有量は、分散安定性の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは12質量%以上であり、そして、好ましくは45質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。
顔料水分散体(I)中の顔料含有(架橋)ポリマー粒子を構成する(架橋)ポリマーと顔料の質量比[(架橋)ポリマー/顔料]は、好ましくは0.08以上、より好ましくは0.1以上であり、そして、好ましくは0.8以下、より好ましくは0.7以下である。
顔料含有(架橋)ポリマー粒子の平均粒径は、分散安定性の観点から、好ましくは50nm以上、より好ましくは70nm以上、更に好ましくは80nm以上であり、そして、好ましくは400nm以下、より好ましくは300nm以下、更に好ましくは200nm以下である。
平均粒径は、実施例に記載の方法により測定される。
<定着用樹脂>
本発明の水性インクは、定着性を向上し、得られる印刷物の耐擦過性を向上させる観点から、定着用樹脂を含有する。
定着用樹脂は、(メタ)アクリル酸由来の構成単位、シクロアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位、及びホモポリマーにした時のガラス転移温度(Tg)が0℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート由来の構成単位を含み、樹脂のみで構成されていることがより好ましい。すなわち、定着用樹脂は、顔料を含有しない樹脂粒子(以下、「樹脂粒子B」ともいう)の形態であることが好ましい。
樹脂粒子Bの構造は、樹脂粒子の中心から外殻部に向かって組成が変化している構造、例えばコアシェル構造であってもよいし、樹脂粒子の中心から外殻部に向かって組成がほぼ均質の構造であってもよいが、均質構造であるものがより好ましい。
定着用樹脂は、樹脂粒子Bが水中に分散した水分散体として用いることが好ましい。
定着用樹脂を構成する(メタ)アクリル酸(A)は、アクリル酸及びメタクリル酸から選ばれる1種以上である。これらの中でもアクリル酸が好ましい。
定着用樹脂を構成するシクロアルキル(メタ)アクリレート(B)のシクロアルキル基の炭素数は、好ましくは4以上12以下、より好ましくは5以上8以下である。シクロアルキル(メタ)アクリレートの好適例としては、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びシクロヘプチル(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上が挙げられる。これらの中でもシクロペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、及びシクロヘプチルアクリレートから選ばれる1種以上が好ましく、シクロヘキシルアクリレートがより好ましい。
ホモポリマーにした時のガラス転移温度(Tg)が0℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート(C)としては、好ましくは炭素数1以上10以下、より好ましくは炭素数2以上8以下のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。その好適例としては、エチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(イソ)ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、及び2-エチルヘキシル(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上が挙げられ、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、及びヘキシルアクリレートから選ばれる1種以上が好ましい。
上記モノマー(A)~(C)成分は、それぞれ、各成分に含まれるモノマーを単独で又は2種以上を混合して用いることができる。
定着用樹脂は、本発明の効果を阻害しない範囲内で、前記モノマーA~C以外の他のモノマー由来の構成単位を含有することができる。他のモノマーとしては、前記モノマーA~C以外のイオン性モノマー、芳香族基を有する疎水性モノマー、ノニオン性モノマーが挙げられる。
(定着用樹脂中における各構成単位の含有量)
定着用樹脂中における各モノマー由来の構成単位の含有量は、印刷媒体への定着性を向上させる観点から、次のとおりである。
(メタ)アクリル酸(A)由来の構成単位の含有量は、6質量%以上であり、好ましくは7質量%以上、より好ましくは8質量%以上、更に好ましくは9質量%以上であり、そして、25質量%以下であり、好ましくは24質量%以下、より好ましくは23質量%以下、更に好ましくは22質量%以下である。
シクロアルキル(メタ)アクリレート(B)由来の構成単位の含有量は、30質量%以上であり、好ましくは35質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは45質量%以上であり、そして、90質量%以下であり、好ましくは85質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは75質量%以下である。
アルキル(メタ)アクリレート(C)由来の構成単位の含有量は、好ましくは2質量%以上、より好ましくは4質量%以上、更に好ましくは6質量%以上であり、そして、好ましくは60質量%以下、より好ましくは55質量%以下、更に好ましくは50質量%以下である。
定着用樹脂は、前記モノマー(A)、モノマー(B)、モノマー(C)等を含むモノマー混合物を公知の重合法等により共重合させることにより製造できる。
定着用樹脂の重量平均分子量は、定着性を向上させる観点から、好ましくは2万以上、より好ましくは4万以上、更に好ましくは8万以上であり、そして、好ましくは200万以下、より好ましくは100万以下、更に好ましくは50万以下、より更に好ましくは20万以下である。
定着用樹脂の酸価は、定着性を向上させる観点から、好ましくは20mgKOH/g以上、より好ましくは30mgKOH/g以上、更に好ましくは40mgKOH/g以上であり、そして、好ましくは200mgKOH/g以下、より好ましくは180mgKOH/g以下、更に好ましくは150mgKOH/g以下、より更に好ましくは120mgKOH/g以下である。
定着用樹脂の重量平均分子量、酸価は、実施例に記載の方法により測定される。
定着用樹脂のガラス転移温度(Tg)は、定着性を向上させる観点から、好ましくは-20℃、より好ましくは-15℃以上、更に好ましくは-10℃以上、より更に好ましくは-5℃以上であり、そして、好ましくは50℃以下、より好ましくは40℃以下、更に好ましくは30℃以下、より更に好ましくは20℃以下である。
定着用樹脂のガラス転移温度は、下記のFox式に従い、各重合体部分の単量体の質量比率から算出することができる。
1/Tg=(W/Tg)+(W/Tg)+・・・+(W/Tg
+W+・・・W=1
前記Fox式中、Tgは重合体のガラス転移温度であり、Tg、Tg、・・・、Tgは各重合単量体のガラス転移温度である。温度の単位はKである。また、W、W、・・・、Wは各単量体の質量比率を表わす。
前記Fox式における各単量体のガラス転移温度としては、例えば、Polymer Handbook Third Edition (Wiley-Interscience 1989) 記載の値を用いることができる。
樹脂粒子Bの水性インク中における平均粒径は、インクの保存安定性の観点から、好ましくは10nm以上、より好ましくは20nm以上、更に好ましくは30nm以上であり、そして、好ましくは300nm以下、より好ましくは200nm以下、更に好ましくは150nm以下である。
なお、樹脂粒子Bの平均粒径は、実施例に記載の方法により測定される。
本発明の水性インクは、水性インクに通常用いられる水溶性有機溶剤、界面活性剤、保湿剤、湿潤剤、粘度調整剤、消泡剤、防腐剤、防黴剤、防錆剤等の各種添加剤を含有することができる。
(水溶性有機溶剤)
水溶性有機溶剤としては、グリコールエーテル、多価アルコール、2-ピロリドン等の含窒素複素環化合物、アルカノールアミン等が挙げられるが、これらの中ではグリコールエーテル及び多価アルコールから選ばれる1種以上が好ましい。
グリコールエーテルとしては、アルキレングリコールモノアルキルエーテル、アルキレングリコールジアルキルエーテルが好ましく、アルキレングリコールモノアルキルエーテルがより好ましい。アルキレングリコールモノアルキルエーテルの好適例としては、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル等が挙げられる。
多価アルコールとしては、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,2-ヘキサンジオール等の炭素数2以上6以下のアルカンジオール、及びグリセリン等が挙げられる。
(界面活性剤)
界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤が好ましく、アセチレングリコール系界面活性剤及びシリコーン系界面活性剤から選ばれる1種以上がより好ましい。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、2,4,7,9-テトラメチル-5-デシン-4,7-ジオール、3,6-ジメチル-4-オクチン-3,6-ジオール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、2,4-ジメチル-5-ヘキシン-3-オール等のアセチレン系ジオール、及びそれらのエチレンオキシド付加物が挙げられる。
アセチレングリコール系界面活性剤の市販品例としては、日信化学工業株式会社製の「サーフィノール」シリーズ、「オルフィン」シリーズ等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、ポリエーテル変性シリコーンが好ましく、その市販品例としては、信越化学工業株式会社製のKFシリーズ;KF-353、KF-355A、KF-642、KF-6011等、日信化学工業株式会社製のシルフェイスSAGシリーズ、ビックケミー・ジャパン株式会社製のBYKシリーズ等が挙げられる。
本発明の水性インクは、顔料、定着用樹脂、水、及び必要に応じて、水溶性有機溶剤、界面活性剤、更にその他の添加剤等を混合することにより、効率的に製造することができる。それらの混合方法に特に制限はない。
<水性インク中の各成分の含有量等>
本発明の水性インク中の各成分の含有量、インク物性は、印刷媒体への定着性を向上させる観点から、以下のとおりである。
(顔料の含有量)
水性インク中の顔料の含有量は、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、更に好ましくは4質量%以上であり、そして、好ましくは15質量%以下、より好ましくは12質量%以下、更に好ましく10質量%以下である。
(顔料含有ポリマー粒子の含有量)
水性インク中の顔料含有ポリマー粒子の含有量は、好ましくは3質量%以上、より好ましくは4質量%以上、更に好ましくは5質量%以上であり、そして、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは12質量%以下である。
(定着用樹脂の含有量)
水性インク中の定着用樹脂の含有量は、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、更に好ましくは2質量%以上であり、そして、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、更に好ましくは6質量%以下である。
顔料含有ポリマー粒子に対する定着用樹脂の質量比〔定着用樹脂/顔料含有ポリマー粒子〕は、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上であり、そして、好ましくは2以下、より好ましくは1以下である。
水性インク中の水溶性有機溶媒の含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上であり、そして、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。
水性インク中の界面活性剤の合計含有量は、好ましくは0.1質量%以上であり、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.8質量%以上であり、そして、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
水性インク中の水の含有量は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上であり、そして、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下、更に好ましくは70質量%以下である。
(水性インクの物性)
水性インクの32℃における粘度は、定着性の観点から、好ましくは2mPa・s以上、より好ましくは3mPa・s以上、更に好ましくは4mPa・s以上であり、そして、好ましくは20mPa・s以下、より好ましくは15mPa・s以下、更に好ましくは12mPa・s以下である。
20℃における水性インクのpHは、定着性の観点から、好ましくは5.5以上、より好ましくは6.0以上、更に好ましくは6.5以上であり、そして、部材耐性、皮膚刺激性の観点から、好ましくは11.0以下、より好ましくは10.5以下、更に好ましくは10.0以下である。
本発明の水性インクは、公知のインクジェット印刷装置に装填し、樹脂フィルム等の印刷媒体にインク液滴として吐出させて画像等を印刷することができる。インク液滴の吐出方式としては、ピエゾ式、サーマル式、静電式のいずれも採用することができる。
樹脂フィルムとしては、透明合成樹脂フィルムが挙げられ、例えば、ポリエステルフィルム、塩化ビニルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ナイロンフィルム等が挙げられる。これらのフィルムは、二軸延伸フィルム、一軸延伸フィルム、無延伸フィルムであってもよい。これらの中では、ポリエステルフィルム、延伸ポリプロピレンフィルムが好ましく、コロナ放電処理されたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、コロナ放電処理された二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム等がより好ましい。
以下の製造例、調製例、実施例及び比較例において、「部」及び「%」は特記しない限り「質量部」及び「質量%」である。なお、各物性等の測定、算出方法は以下のとおりである。
(1)ポリマーの数平均分子量、重量平均分子量の測定
N,N-ジメチルホルムアミドに、リン酸及びリチウムブロマイドをそれぞれ60mmol/Lと50mmol/Lの濃度となるように溶解した液を溶離液として、ゲル浸透クロマトグラフィー法〔東ソー株式会社製GPC装置(HLC-8320GPC)、東ソー株式会社製カラム(TSKgel SuperAWM-H、TSKgel SuperAW3000、TSKgel guardcolum Super AW-H)、流速:0.5mL/min〕により、標準物質として分子量既知の単分散ポリスチレンキット〔PStQuick B(F-550、F-80、F-10、F-1、A-1000)、PStQuick C(F-288、F-40、F-4、A-5000、A-500)、東ソー株式会社製〕を用いて測定した。
測定サンプルは、ガラスバイアル中にポリマー0.1gを前記溶離液10mLと混合し、25℃で10時間、マグネチックスターラーで撹拌し、シリンジフィルター(DISMIC-13HP、PTFE製、0.2μm、アドバンテック株式会社製)で濾過したものを用いた。
(2)水分散体中の顔料含有ポリマー粒子の平均粒径の測定
レーザー粒子解析システム「ELS-8000」(大塚電子株式会社製)を用いてキュムラント解析を行い、平均粒径を測定した。測定する粒子の濃度が5×10-3重量%(固形分濃度換算)になるよう水で希釈した分散液を用いた。測定条件は、温度25℃、入射光と検出器との角度90°、積算回数100回であり、分散溶媒の屈折率として水の屈折率(1.333)を入力し、得られたキュムラント平均粒径を顔料含有ポリマー粒子の平均粒径とした。
(3)水分散体の固形分濃度の測定
赤外線水分計「FD-230」(株式会社ケツト科学研究所製)を用いて、測定試料5gを乾燥温度150℃、測定モード96(監視時間2.5分/変動幅0.05%)の条件にて乾燥させた後、測定試料の水分(%)を測定し、下記式により固形分濃度を算出した。
固形分濃度(%)=100-測定試料の水分(%)
(4)ポリマーの酸価の測定
電位差自動滴定装置(京都電子工業株式会社製、電動ビューレット、型番:APB-610)に樹脂をトルエンとアセトン(2:1)を混合した滴定溶剤に溶かし、電位差滴定法により0.1N水酸化カリウム/エタノール溶液で滴定し、滴定曲線上の変曲点を終点とした。 水酸化カリウム溶液の終点までの滴定量から酸価(mgKOH/g)を算出した。
製造例1(定着用樹脂エマルション1の製造)
(1)撹拌機、還流冷却器、及び滴下槽を備えた反応容器に初期仕込みとして、アクリル酸0.96部、シクロヘキシルアクリレート4.80部、イソブチルアクリレート2.24部、メチルエチルケトン(MEK)5.89部、及び水0.65部を投入し、反応容器の温度を77℃に維持して10分間撹拌した。
次いで、表1に記載された単量体等混合物、すなわち、アクリル酸8.64部、シクロヘキシルアクリレート43.2部、イソブチルアクリレート20.16部、MEK53.0部、水5.89部、及び重合開始剤である4,4’-アゾビス(4-シアノ吉草酸)2.64部を5時間かけて反応容器に連続的に添加した。添加終了後、1時間重合反応を継続させ、室温まで冷却を行うことで重合反応を終了させた。
(2)上記で得られた共重合体15.8部に、ポリマー溶液の固形分濃度が40wt%になるようにMEKを4.2部添加し、希釈した。次いで、5N水酸化ナトリウム水溶液を1.6部添加し、25℃で十分撹拌した。その後、水70.8部を1時間かけて添加した。添加終了後、MEKをエバポレーターにて蒸発させ、定着用樹脂エマルション1を得た。
製造例2~9、11、12及び比較製造例1~4
製造例1において、定着用樹脂を構成するモノマー組成を表1に示す条件に変えた以外は、製造例1と同様にして、定着用樹脂エマルション2~9、11、12、21~24を得た。
製造例10(定着用樹脂エマルション10の製造)
(1)撹拌機、還流冷却器、及び滴下槽を備えた反応容器に初期仕込みとして、アクリル酸0.36部、シクロヘキシルアクリレート1.80部、イソブチルアクリレート0.84部、乳化剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム、花王株式会社製、ラテムルE-118B)4.29部、重合開始剤(ペルオキソ二硫酸カリウム)7.44部、及び水98.11部を投入し、反応容器の温度を80℃に維持して30分間撹拌した。
次いで、表1に記載された単量体等混合物、すなわち、アクリル酸6.84部、シクロヘキシルアクリレート34.2部、イソブチルアクリレート15.96部、前記乳化剤(ラテムルE-118B)2.63部、重合開始剤(ペルオキソ二硫酸カリウム)4.56部、及び水24.89部を3時間かけて反応容器に連続的に添加した。添加終了後、3時間重合反応を継続させ、室温まで冷却を行うことで重合反応を終了させた。
(2)上記で得られた乳化共重合体10.0部に5N水酸化ナトリウム水溶液を1.35部添加し、25℃で十分撹拌し、定着用樹脂エマルション10を得た。
Figure 2022085427000002
調製例1(顔料含有ポリマー粒子1の水分散体の調製)
(1)水不溶性ポリマーの合成
メタクリル酸16部、スチレン44部、スチレンマクロモノマー(東亞合成株式会社製、商品名:AS-6S、数平均分子量6,000、固形分50%)30部、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(日油株式会社、商品名:ブレンマーPME-200)25部を混合し、モノマー混合液115部を調製した。
反応容器内に、MEK18部、連鎖移動剤(2-メルカプトエタノール)0.03部、及び前記モノマー混合液の10%(11.5部)を入れて混合し、窒素ガス置換を十分に行った。
一方、モノマー混合液の残りの90%(103.5部)と前記連鎖移動剤0.27部、MEK42部、及び重合開始剤(2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、富士フイルム和光純薬株式会社製、商品名:V-65)3部を混合した混合液を滴下ロートに入れ、窒素雰囲気下、反応容器内の混合溶液を攪拌しながら75℃まで昇温し、滴下ロート中の混合溶液を3時間かけて滴下した。その後75℃で2時間経過後、前記重合開始剤3部をMEK5部に溶解した溶液を加え、更に75℃で2時間、80℃で2時間熟成させ、更にMEK50部を加え、水不溶性ポリマー(重量平均分子量:50,000、酸価:104mgKOH/g)の溶液(固形分濃度:45%)を得た。
(2)顔料含有ポリマー粒子1の水分散体の調製
上記(1)で得られた水不溶性ポリマー溶液95.2部をMEK53.7部に溶かし、そこに中和剤として5N水酸化ナトリウム水溶液13.7部と25%アンモニア水0.5部、及びイオン交換水341.8部を加え、更にシアン顔料(DIC株式会社製、商品名:Fastogen Blue CA5380 15:3)100部を加え、顔料混合液を得た(ポリマー中和度:72モル%)。
得られた顔料混合液を、ディスパー翼を用いて7000rpm、20℃の条件下で1時間混合した後、更にマイクロフルイダイザー(Microfluidics社製、高圧ホモジナイザー、商品名:M-140K)を用いて、180MPaの圧力で15パス分散処理した。
得られた顔料含有ポリマー粒子の分散液を、減圧下60℃でMEKを除去し、更に一部の水を除去し、遠心分離し、液層部分をメンブランフィルター(ザルトリウス社製、商品名:ミニザルトシリンジフィルター、孔径:5μm、材質:酢酸セルロース)でろ過して粗大粒子を除き、顔料含有ポリマー粒子の水分散体(固形分濃度:22%)を得た。
得られた顔料含有ポリマー粒子の水分散体100部に対して、架橋剤(ナガセケムテックス株式会社製、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、商品名:デナコールEX321L、エポキシ当量:130)0.45部(架橋率30モル%に相当)、イオン交換水15.23部を加え、撹拌しながら70℃、3時間の加熱処理を行った(固形分濃度:22%)。室温まで冷却後、液層部分をメンブランフィルター(商品名:ミニザルトシリンジフィルター)でろ過して粗大粒子を除き、顔料含有ポリマー粒子1の水分散体(固形分濃度:22%、顔料:15.2%、ポリマー:6.8%、平均粒径:110nm)を得た。
調製例2(顔料含有ポリマー粒子2の水分散体の製造)
(1)ポリエステル樹脂の製造
アルコール成分としてポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、カルボン酸成分としてフマル酸、エステル化触媒としてジ(2-エチルヘキサン酸)スズ(II)、エステル化助触媒として3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸を用いて、210℃で10時間反応させて、酸価22.4mgKOH/g、重量平均分子量13700のポリエステル樹脂(〔カルボン酸成分/アルコール成分〕のモル比:1.04)を得た。
(2)顔料含有ポリマー粒子2の水分散体の製造
内容積2Lの容器内で、上記(1)で得られたポリエステル樹脂66.7gをMEK198.6gに溶かし、その中にポリエステル樹脂の酸価の85モル%が中和されるように5N水酸化ナトリウム水溶液を加えた。さらにイオン交換水390.5gを30分間かけて滴下し、10~15℃でディスパー翼を用いて1,500r/minで15分間撹拌混合を行った。
続いて、C.I.ピグメント・ブルー15:3(大日精化工業株式会社製、商品名:CFB6338JC)100gを加え、10~15℃でディスパー翼を用いて、6,500r/minで2時間撹拌混合し、予備分散体を得た。
得られた予備分散体を200メッシュ濾過し、イオン交換水を36.1g添加して希釈した後に、マイクロフルイダイザー(Microfluidics社製、高圧ホモジナイザー、商品名:M-110EH-30XP)を用いて、150MPaの圧力で15パス分散処理し、顔料含有ポリマー粒子2の水分散液を得た。
得られた顔料水分散液全量を2Lナスフラスコに入れ、固形分濃度15%になるようにイオン交換水を添加し、回転式蒸留装置(東京理化器械株式会社製、ロータリーエバポレーター、商品名:N-1000S)を用いて、回転数50r/minで、32℃に調整した温浴中、0.09MPa(abs)の圧力で3時間保持して、有機溶媒を除去した。更に、温浴を62℃に調整し、圧力を0.07MPa(abs)に下げて固形分濃度25%になるまで濃縮して濃縮物を得た。
得られた濃縮物を500mLアングルローターに投入し、高速冷却遠心機(日立工機株式会社製、商品名:himac CR22G、設定温度20℃)を用いて3,660r/minで20分間遠心分離した後、液層部分をメンブランフィルター(商品名:ミニザルトシリンジフィルター)でろ過し、固形分濃度が22%になるように水で希釈し、顔料含有ポリマー粒子2の水分散体(固形分濃度:22%、顔料:13.2%、ポリマー:8.8%、平均粒径:95nm)を得た。
実施例1(水性インク1の調製)
表2に記載のインク組成(合計100部)となるように、シアン顔料8.17部、製造例1で得られた定着用樹脂エマルション2.83部、プロピレングリコール32部、ジエチレングリコールモノイソブチルエーテル(iBDG)2部、アセチレングリコール系界面活性剤(日信化学工業株式会社製、商品名:サーフィノール440(EO平均付加モル数:3.5))1部、ポリエーテル変性シリコーン界面活性剤(信越化学工業株式会社製、商品名:KF-6011)0.25部、ポリエーテル変性シリコーン界面活性剤(信越化学工業株式会社製、商品名:KF-353A)0.2部、及びイオン交換水53.55部を添加し十分撹拌し、メンブランフィルター(商品名:ミニザルトシリンジフィルター)でろ過して水性インク1(固形分濃度:11%、顔料:5.6%、ポリマー:5.4%)を得た。
実施例2~14及び比較例1~4
実施例1において、表2に示す条件に変えた以外は、実施例1と同様にして、水性インク2~14、21~24を得た。
なお、表2に記載の自己分散顔料は、キャボット社製、シアン顔料(商品名:CAB-O-JET 450C)である。
上記の実施例、比較例で得られた水性インク1~14、21~24を用いて、下記(1)に示す方法で印刷物を作製し、下記(2)、(3)に示す方法で剥離強度、セロハンテープ剥離の評価を行った。結果を表2に示す。
なお、表2中の数値は有効分量(固形分量)である。
(1)印刷物の作製
PETフィルム(フタムラ化学株式会社製、商品名:FE2001#25)及びOPPフィルム(フタムラ化学株式会社製、商品名:FOR-AQ#25)のコロナ放電処理面に、卓上コーター(三井電機精機株式会社製、商品名:TC-1型)及びバーコーターNo.3を用いて、水性インクを塗布し、50℃で3分間乾燥を行い、印刷物を作製した。
なお、インクジェット印刷試験の代用として、簡易的な評価法である卓上コーター試験を行った。卓上コーター試験は、定着性に関しては、インクジェット印刷試験と相関があると考えられる。
(2)剥離強度の測定
得られた印刷物に両面テープ(ニチバン株式会社製、商品名:ナイスタック、No.4)を貼付し、テンシロン万能材料試験機(株式会社エー・アンド・デイ製、商品名:RTC―1150A)を用いてT型剥離試験を行い、剥離強度(N/15mm)を測定した。
剥離強度は1.5N/15mm以上が好ましく、2N/15mm以上がより好ましい。
(3)セロハンテープ剥離の測定
得られた印刷物にセロハンテープ(ニチバン株式会社製、商品名:CT-18)を貼付し、急速に剥離。剥離後のサンプルを目視で確認し、以下の基準により評価した。
(評価基準)
〇:インクの剥離がない。
△:インクの剥離箇所がある。
×:インクがすべて剥離した。
評価が〇又は△であれば実用上支障がない。
なお、前記(2)剥離強度と(3)セロハンテープ剥離には強い相関が見られず、(2)剥離強度1.5N/15mm以上で、かつセロハンテープ剥離の評価が〇又は△であることが望ましい。
Figure 2022085427000003
表2から、実施例で得られた水性インク1~14は、比較例で得られた水性インク21~24に比べて、定着性が優れているため、剥離強度に優れた印刷物を得ることができることが分かる。

Claims (8)

  1. 顔料、定着用樹脂、及び水を含有する水性インクであって、
    定着用樹脂が、(メタ)アクリル酸(A)由来の構成単位、シクロアルキル(メタ)アクリレート(B)由来の構成単位、及びホモポリマーにした時のガラス転移温度(Tg)が0℃以下であるアルキル(メタ)アクリレート(C)由来の構成単位を含み、
    (メタ)アクリル酸(A)由来の構成単位の含有量が、定着用樹脂の全構成単位中、6質量%以上25質量%以下であり、
    シクロアルキル(メタ)アクリレート(B)由来の構成単位の含有量が、定着用樹脂の全構成単位中、30質量%以上90質量%以下である、水性インク。
  2. シクロアルキル(メタ)アクリレート(B)が、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びシクロヘプチル(メタ)アクリレートから選ばれる1種以上である、請求項1に記載の水性インク。
  3. アルキル(メタ)アクリレート(C)が、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、及びヘキシルアクリレートから選ばれる1種以上である、請求項1又は2に記載の水性インク。
  4. アルキル(メタ)アクリレート(C)由来の構成単位の含有量が、定着用樹脂の全構成単位中、4質量%以上60質量%以下である、請求項1~3のいずれかに記載の水性インク。
  5. 定着用樹脂のガラス転移温度Tgが-20℃以上50℃以下である、請求項1~4のいずれかに記載の水性インク。
  6. 顔料が、顔料を含有するポリマー粒子の形態である、請求項1~5のいずれかに記載の水性インク。
  7. 樹脂フィルム用である、請求項1~6のいずれかに記載の水性インク。
  8. インクジェット印刷用である、請求項1~7のいずれかに記載の水性インク。
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