JP2022085278A - 基材、赤外線吸収層形成用組成物及び赤外線吸収フィルター - Google Patents

基材、赤外線吸収層形成用組成物及び赤外線吸収フィルター Download PDF

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幸恵 大橋
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Abstract

【課題】、長期に亘って、劣化をおこすことなく安定に保持でき、耐久性に優れた基材と、当該基材に含まれる赤外線吸収層形成用組成物と、さらに当該基材に誘電体多層膜を形成した赤外線吸収フィルターを提供することである。【解決手段】本発明は、ポリカーボネートまたはポリスルホンのいずれか一方と、ポリメチン系色素を含む赤外吸収層を有する基材であり、該基材に含まれる赤外線吸収層形成用組成物と、さらに当該基材に誘電体多層膜を形成した赤外線吸収フィルターによって達成される。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリカーボネートまたはポリスルホンのいずれか一方と、ポリメチン系色素を含む赤外吸収層を有する基材、当該基材に含まれる赤外線吸収層形成用組成物、及び当該基材を含む赤外線吸収フィルターに関する。
赤外線吸収フィルター(近赤外線吸収フィルター)としては、蒸着膜処理したガラスや金属イオンを含んだリン酸塩ガラスやシクロオレフィン等の透明樹脂基板の上に赤外線吸収層を形成したフィルターが知られている。
しかし、これらのガラス製の赤外線吸収フィルターは近赤外線吸収性能が乏しく、シクロオレフィン等の透明樹脂基板は耐熱性に劣る等の問題がある。
これらの問題を解決するために近年、赤外線吸収フィルターとして多くの材料が提案されている。このような近赤外線吸収フィルター材料としては、例えば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチレン系樹脂、アモルファスポリオレフィン樹脂、ポリイソシアネート樹脂、ポリアリレート樹脂、セルロース系樹脂等のバインダー樹脂と、赤外線吸収色素及び色調補正用可視光吸収色素とを溶剤に溶解または均一分散させた塗工液をポリエステル等の透明フィルム上にコーティングし、溶剤を乾燥除去したフィルムが挙げられる。
これらのプラスチック赤外線吸収フィルターには、より薄い膜厚で赤外線吸収能を発現することが求められており、このため、溶剤を除去した後に形成される薄膜中の色素に偏在、凝集、表面への析出等が生じないようにバインダー樹脂中に色素が高濃度かつ均一に分散した状態である必要がある。さらにバインダー樹脂中に分散した色素は長期間の耐久性が要求され、色素間の反応、熱や光、湿分等環境による劣化がないことが必要である。
ガラス基板上にバインダー樹脂と色素を含む赤外線級層形成する赤外線級フィルターが知られているが、この場合も同様に、バインダー樹脂中に分散した色素の長期間の耐久性が要求されている。しかし、十分な性能を有しておらず、その対策として種々の樹脂と色素の組み合わせが提案されている。
特開平11-116826号公報 特開2000-227515号公報 特許第3308545号公報 特許第5936299号公報
本発明の目的は、赤外線吸収能を有する色素を均一に含有又は分散させることができ、かつ耐久性に優れた赤外線吸収フィルターに用いる基材およびこの基材に誘電体多層膜を形成した赤外線吸収フィルターを提供することにある。
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであり、ポリカーボネートまたはポリスルホンのいずれか一方と、ポリメチン系色素を含む赤外吸収層を有する基材は、長期に亘って耐久性に優れ、劣化をおこすことなく安定に保持できる。そのため当該基材に誘電体多層膜を形成することにより耐久性に優れた赤外線吸収フィルターを提供することができることを見出した。
上記課題を解決するためになされた発明は、
ポリカーボネートまたはポリスルホンのいずれか一方と、ポリメチン系色素を含む赤外吸収層を有する基材である。
上記課題を解決するためになされた発明は
さらに、下記式(1)で示されるスクアリリウム系色素を含む基材によって達成される。
Figure 2022085278000001

(式(1)中、Xは単結合または酸素原子を示す。Yは、独立して、1つ以上の水素原子が、炭素数1~12 のアルキル基またはアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から12のアルカンジイル基である。Zはスルホニル基またはカルボニル基を示す。
は、独立して、飽和環構造を含んでもよく、分岐を有してもよい炭素数1~12 の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素数3~12の飽和環状炭化水素基、炭素数6 ~12のアリール基または炭素数7~13のアルアリール基を示す。
は、独立して、1つ以上の水素原子がハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、またはシアノ基で置換されていてもよく、炭素原子間に不飽和結合、酸素原子、飽和もしくは不飽和の環構造を含んでよい炭素数1~25の炭化水素基である。また、Rは相互に結合して環構造を形成してもよい。
およびRは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1~10のアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。)
前記ポリメチン系色素が下記式(2-1)又は下記式(2-2)で示される基材によって達成される。
Figure 2022085278000002

(式(2-1)中、RからR、Y1a、Y1b、Y1c、Z1a、Z1bはそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~20のシクロアルキル基、炭素原子数6~10のアリール基、炭素原子数7~14のアラルキル基、炭素原子数2~6のアルケニル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、炭素原子数1~10のアシル基、炭素原子数1~4のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれる基を表す。Z1a及びZ1bが結合して環を形成していてもよく、Y1a、Y1b、Y1cのうち隣接した2つが相互に結合して環を形成していてもよい。Aは一価のアニオンである。
式(2-2)中、R11からR16、Y2a、Y2b、Y2c、Z2a、Z2bはそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~20のシクロアルキル基、炭素原子数6~10のアリール基、炭素原子数7~14のアラルキル基、炭素原子数2~6のアルケニル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、炭素原子数1~10のアシル基、炭素原子数1~4のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれる基を表す。Z1a及びZ1bが結合して環を形成していてもよく、Y1a、Y1b、Y1cのうち隣接した2つが相互に結合して環を形成していてもよい。Aは一価のアニオンである。
さらに本発明は、前記ポリカーボネートが下記式(3)で示される繰り返し単位を含む基材によって達成される。
Figure 2022085278000003

式中、Wはそれが結合している炭素原子と一緒になって、原子数5~15の環状炭化水素基を示す。R1aおよびR1bは同一又は異なり、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~20のシクロアルキル基、炭素原子数6~10のアリール基、炭素原子数7~14のアラルキル基、炭素原子数2~6のアルケニル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、炭素原子数1~10のアシル基、炭素原子数1~4のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれる基を表す。m1及びm2は同一又は異なる0~4の整数を示す。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、当該基材の赤外線吸収層を形成するためのポリカーボネートまたはポリスルホンのいずれか一方と、ポリメチン系色素を含む赤外線吸収層形成用組成物によって達成される。
上記課題を解決するためになされた別の発明は、当該基材の少なくとも一方に誘電体多層膜を有する赤外線吸収フィルターによって達成され、さらにて上記課題を解決するためになされた別の発明は、当該赤外線吸収フィルターを固体撮像装置または、環境光センサーに用いることによって達成される。
本発明によれば、ポリカーボネートまたはポリスルホンのいずれか一方と、スクアリリウム系色素及びポリメチン系色素を含む赤外吸収層を有する基材は、長期に亘って、劣化をおこすことなく安定に保持でき,耐久性に優れた基材と、さらに当該基材に誘電体多層膜を形成した色シューティング性性に優れる赤外線吸収フィルターを提供することである。
一実施形態の基材の一例を概略的に示す断面図である。 一実施形態の基材の他の例を概略的に示す断面図である。 一実施形態の基材の他の例を概略的に示す断面図である。 実施例に用いた基材の分光透過率曲線を示す図である。 実施例に用いた近赤外線フィルムの分光透過率曲線を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の説明において、赤外線吸収フィルターを「NIRフィルター」、赤外線吸収色素を「IR吸収色素」または「IR 色素」、紫外線吸収色素を「UV吸収色素」または「UV色素」と略記することもある。
< 基材>
本発明の一実施形態の基材は、赤外線吸収フィルターの製造にも用いられる基材であり、当該基材の一面に誘電体多層膜を形成することで赤外線吸収フィルタ( 以下、「本フィルタ」という)となる。
本発明の赤外線吸収層は、赤外線吸収色素と樹脂を有する層である。赤外線吸収層はポリマー、ポリメチン色素等の赤外線吸収色素を含む赤外線吸収層形成用組成物をガラス基板上に塗布することで形成される(基材の第一の実施形態ともいう)。また前記赤外線吸収層形成用組成物を透明樹脂基板の上に塗布することによっても形成することができる(基材の第2の実施形態ともいう)。
さらに、前記赤外線吸収層形成用組成物を用いて、キャスト法等により樹脂基板を直接的に形成し、赤外線吸収層自体が基板(基材) として形成することができる(基材の第3の実施形態ともいう)。
前記赤外線吸収層形成用組成物に含まれる赤外線吸収色素としては、式(1)で示される色素及び、式(2-1)又は式(2-2)から選ばれる少なくとも一方である。樹脂としては、ポリカーボネートまたはポリスルホンのいずれか一方である。
本発明の一実施形態の基材は、赤外線吸収層の他に基材と赤外線級層の密着性を向上させる等の目的で他の層を有していてもよい。
本基材の少なくとも一方に誘電体多層膜を形成することで赤外線吸収フィルターとなる。誘電体多層膜は異なる無機材料からなる多層膜であり、例えば、ガ特定の波長領域の光を遮蔽する誘電体多層膜からなる選択波長遮蔽層、可視域の透過率損失を抑制する誘電体多層膜からなる反射防止層等として機能する。
以下、本発明の基材の構成例を、図面を用いて説明する。
図1A は、ガラス基材12の一面に、赤外線吸収層11が形成された基材10の構成例である。図1B は、透明樹脂基板13の一面、に赤外線吸収層11が形成された基材10の構成例である。図1Cは、基材が赤外線吸収層となる赤外線吸収色素含有樹脂基板14の構成例である。
<基材の製造方法>
本発明の基材は、ポリカーボネートまたはポリスルホンのいずれか一方と、赤外線(特に近赤外線)吸収能を有する色素(赤外線吸収色素ということがある)とで構成されている。ポリカーボネートはさらに特定構造のポリカーボネート樹脂であることでさらに基材としての優れた効果、例えば耐久性の向上等を、高めることができる。この赤外線吸収色素(近赤外線吸収色素)は、赤外線吸収層に含有されており、通常、前記ポリマー中に分散している。
(ポリカーボネート)
本発明で使用できるポリカーボネートは、-O-(C=O)-O-で示されるカーボネート結合の繰り返し単位を含有しているポリマーである。その代表例として、下記式に示すビスフェノールAとホスゲンとの脱塩化水素重縮合で合成される重合体を挙げることができきる。
Figure 2022085278000004
(ポリスルホン)
本発明で使用できるポリスルホンは、-SO-で示されるスルホニル結合を繰り返し単位に含有しているポリマーである。その代表例として、4,4‘-ジクロロジフェニルスルホンと、ビスフェノールAのナトリウム塩との脱塩重縮合により合成される。
下記式にポリスルホンの繰り返し単位を示す。
Figure 2022085278000005
上記ポリカーボネート及び、ポリスルホンは市販品を使用することができる。
本発明では、前記ポリカーボネートが下記式(3)で示される繰り返し単位を含む特定構造を有するポリカーボネートを使用することができる。
Figure 2022085278000006
式中、Wはそれが結合している炭素原子と一緒になって、原子数5~15の環状炭化水素基を示す。R1aおよびR1bは同一又は異なり、水素原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~20のシクロアルキル基、炭素原子数6~10のアリール基、炭素原子数7~14のアラルキル基、炭素原子数2~6のアルケニル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、炭素原子数1~10のアシル基、炭素原子数1~4のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれる基を表す。m1及びm2は同一又は異なる0~4の整数を示す。
前記式(3)において、Wとしては、炭素数5~15の置換基を有してもよい環状炭化水素基であり、芳香族炭化水素基やシクロアルキリデン基が好まし。特に好ましくはフルオレン基、シクロヘキシリデン基などがあげられる。
前記式(1)において、置換基R1aおよびR1bとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、s-ブチル基、イソブチル基、t-ブチル基などの炭素数1から20のアルキル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基などの炭素数5から10のシクロアルキル基、フェニル基、アルキルフェニル基(メチルフェニル基(トリル基)、ジメチルフェニル基(キシリル基)など)などの炭素数6から10のアリール基、ベンジル基、フェネチル基など、ビニル基、プロぺニル基などのアルケニル基、炭素数1から10の炭化水素基、メトキシ基などの炭素数1から4のアルコキシ基、アセチル基などの炭素数1から6のアシル基)、メトキシカルボニル基などのアルコキシカルボニル基など、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基などが挙げられる。
好ましい置換数m1およびm2は、0又は1~3、さらに好ましくは0又は1~2である。なお、置換数m1およびm2は、異なっていてもよいが、通常、同一である場合が多い。
前記式(3)において、好ましい組合せとしては、例えば、Wがシクロヘキシリデン基であり、m1およびm2が0又は1であり、置換基R1aおよびR1bが水素原子である組合せや、Wがフルオレン基であり、m1およびm2が0又は1であり、置換基R1aおよびR1bが水素原子である組合せ等が挙げられる。
特に好ましい前記式(3)で表される繰り返し単位は、下記式(4)または下記氏(5)で示される繰り返し単位が挙げられる。
Figure 2022085278000007
本発明のポリカーボネート樹脂は、前記式(3)で表される繰り返し単位を、50モル%以上、より好ましくは75モル%以上、最も好ましくは100モル%含むことが好ましい。このとき、前記式(3)で表される繰り返し単位の中で、前記式(4)で示される繰り返し単位である場合が、耐熱性と透明性を両立する観点から好ましい。
前記ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、例えば、5,000~100,000、好ましくは8,000~50,000、さらに好ましくは10,000~30,000程度である。ここでいう粘度平均分子量(M)とは、塩化メチレンに前記ポリカーボネート樹脂を20℃で0.7g/dlの濃度で溶解した溶液から求めた比粘度(ηsp)を次式に挿入して求めたものである。Cはポリマー溶液の濃度を示す。
ηsp/C=[η]+0.45×[η]2C
[η]=1.23×10-4M0.83
粘度平均分子量が小さすぎる(例えば、5,000よりも小さい)場合、前記ポリカーボネート樹脂の耐熱性が低下する場合がある。また、粘度平均分子量が大きすぎる(例えば、100,000よりも大きい)場合、前記ポリカーボネート樹脂の合成が困難となるだけでなく、溶融混練により、本発明の赤外線吸収フィルターを製造する際には溶融混練が困難となる場合があり、キャスト法もしくはコーティング法にて赤外線吸収層を形成する際には溶媒に対する溶解性が低下する場合がある。
前記ポリカーボネート樹脂のガラス転移点(Tg)は、例えば、80~250℃、好ましくは100~200℃程度である。Tgが低すぎる(例えば、80℃よりも小さい)場合、本発明の赤外線吸収層の耐熱性が低下する場合があり、Tgが高すぎる(250℃より大きい)場合、溶融混練にて本発明の赤外線吸収層を形成する際には溶融混練が困難となる場合がある。
前記ポリカーボネート樹脂は、通常のポリカーボネート樹脂を製造するそれ自体公知の反応手段により製造することができる。例えば、カーボネート形成性化合物としてホスゲンを使用する反応では、通常、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ化合物、および塩化メチレン、クロロベンゼン等の溶媒の存在下でジヒドロキシ化合物とホスゲンの反応を行ってもよい。この際、反応促進のために、例えばトリエチルアミン等の第三級アミンまたはテトラ-n-ブチルアンモニウムブロマイド等の第四級アンモニウム塩、テトラ-n-ブチルホスホニウムブロマイド等のホスホニウム塩等の触媒を用いることもできる。
<赤外線吸収層>
赤外線吸収層は、赤外線吸収色素と、前記樹脂とを含有する層であり、典型的には、樹脂中に赤外線吸収色素が均一に溶解または分散した層または樹脂基板である。赤外線吸収層は、さらに紫外線吸収色素を含有してもよい。本発明の基材において、赤外線吸収層は、場合により複数設けてもよい。本発明においては、当該赤外線吸収層は、前記ポリカーボネートまたはポリスルホンのいずれか一方と、ポリメチン色素等の赤外線吸収色素を含む組成物(以下、赤外線吸収層形成用組成物とも言う。)によって形成される。以下に赤外線吸収層形成用の組成物に含まれる式外線吸収色素、ポリマー、その他の任意化合物について記載する。
<赤外線吸収色素>
赤外線吸収色素は、赤外線吸収能を有する色素は、少なくとも赤外線領域、特に、近赤外線領域(例えば、塩化メチレンの溶解した溶液中の吸収スペクトルにおいて、700~1100nm程度)において吸収または吸収域を有する色素であり、下記式(1)で示されるスクアリリウム系色素及び下記式(2-1)、(2-2)でそれぞれ示されるポリメチン系色素である。
Figure 2022085278000008
式(1)中、Xは単結合または酸素原子を示す。Yは、独立して、1つ以上の水素原子が、炭素数1~12 のアルキル基またはアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から12のアルカンジイル基である。Zはスルホニル基またはカルボニル基を示す。
は、独立して、飽和環構造を含んでもよく、分岐を有してもよい炭素数1~12 の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素数3~12の飽和環状炭化水素基、炭素数6 ~12のアリール基または炭素数7~13のアルアリール基を示す。
は、独立して、1つ以上の水素原子がハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、またはシアノ基で置換されていてもよく、炭素原子間に不飽和結合、酸素原子、飽和もしくは不飽和の環構造を含んでよい炭素数1~25の炭化水素基である。また、Rは相互に結合して環構造を形成してもよい。
およびRは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1~10のアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。
Figure 2022085278000009
式(2-1)中、RからR、Y1a、Y1b、Y1c、Z1a、Z1bはそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~20のシクロアルキル基、炭素原子数6~10のアリール基、炭素原子数7~14のアラルキル基、炭素原子数2~6のアルケニル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、炭素原子数1~10のアシル基、炭素原子数1~4のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれる基を表す。Z1a及びZ1bが結合して環を形成していてもよく、Y1a、Y1b、Y1cのうち隣接した2つが相互に結合して環を形成していてもよい。Aは一価のアニオンである。
式(2-2)中、R11からR16、Y2a、Y2b、Y2c、Z2a、Z2bはそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~20のシクロアルキル基、炭素原子数6~10のアリール基、炭素原子数7~14のアラルキル基、炭素原子数2~6のアルケニル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、炭素原子数1~10のアシル基、炭素原子数1~4のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれる基を表す。Z1a及びZ1bが結合して環を形成していてもよく、Y1a、Y1b、Y1cのうち隣接した2つが相互に結合して環を形成していてもよい。Aは一価のアニオンである。
上記式(1)で示されるスクアリルム系色素 は、分子構造の中央にスクアリリウム骨格を有し、スクアリリウム骨格の左右に各1個のベンゼン環が結合し、そのベンゼン環は4 位で窒素原子と結合し、該窒素原子とベンゼン環の4 位と5 位の炭素原子を含む複素環が形成された縮合環構造を左右に有する。さらに、上記式(1)で示されるスクアリルム系色素は、式(1)中のXが酸素原子の場合は、左右の各1 個のベンゼン環の2 位でウレタン基(-NH-(C=O)-O-)と結合する。
スクアリリウム骨格の左右に結合するベンゼン環の2 位にウレタン基が結合して場合は、従来のスクアリリウム系色素と同等もしくはそれ以上の赤外域および可視域での分光透過率特性を有しながら、当該色素を含む赤外線吸収層として、特にガラスや誘電体多層膜等の無機材料からなる層に対する密着性を高められる。
さらに、上記式(1)で示されるスクアリルム系色素は、有機溶媒に対する溶解性が良好で、したがって、透明樹脂への相溶性も良好である。その結果、吸収層の厚さを薄くしても優れた分光特性を有し、赤外線吸収フィルターを小型化、薄型化できる。また、有機溶媒に対する溶解性、透明樹脂への相溶性の観点から、式(1)中の置換基Rは、分岐構造を有する基が好ましく、分岐構造を有するアルキル基またはアルコキシ基がより好ましい。置換基R が、フッ素原子を有するフッ化アルキル基の場合、ポリカーボネートやポリスルホン等の樹脂中での分散性が向上し、当該色素を含む赤外線吸収層の耐熱性が向上する。フッ化アルキル基の具体例としては、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等が挙げられる。
式(1 ) におけるYとしては、式(1-1)~(1-6 )で示される2価の有機基のいずれかがとくに好ましい。ただし、式(1-1)~(1-6)は、いずれも左側がベンゼン環に結合し右側がNに結合する2価の基を示す。
-C(CH-CH(CH)- (1-1)
-C(CH-CH- (1-2)
-C(CH-CH(C )- (1-3)
-C(CH-CH-CH- (1-4)
-C(CH-CH-CH(CH)- (1-5)
-C(CH-CH(CH)-CH- (1-6)
これらのうちでも、式(1) におけるYとしては、基(1-1)~(1-3)のいずれかが好ましく、基(1-1) がより好ましい。
式(1)で示されるスクアリリウム系色素としては、下記に示す式(1a)、式(1b)、式(1c)を挙げることができる。
Figure 2022085278000010
前記赤外線吸収色素の割合は、ポリカーボネートまたはポリスルホン(又は樹脂成分)100質量部に対して、0.01~30質量部、好ましくは0.1~15質量部、さらに好ましくは1~10質量部程度である。通常、0.01~10質量部程度であってもよい。
次に、上記式(2-1)、(2-2)でそれぞれ示されるポリメチン系色素について、
式(2-1)、式(2-2)中、RからR、Y1a、Y1b、Y1c、Z1a、Z1bはそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~20のシクロアルキル基、炭素原子数6~10のアリール基、炭素原子数7~14のアラルキル基、炭素原子数2~6のアルケニル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、炭素原子数1~10のアシル基、炭素原子数1~4のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれる基を表す。Z1a及びZ1bが結合して環を形成していてもよく、Y1a、Y1b、Y1cのうち隣接した2つが相互に結合して環を形成していてもよい。Aは一価のアニオンである。
前記RからR、Y1a、Y1b、Y1c、Z1a、Z1bは、それぞれ独立に、好ましくは、水素原子、塩素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、水酸基、アミノ基、ジメチルアミノ基、シアノ基、ニトロ基、アセチルアミノ基、プロピオニルアミノ基、N-メチルアセチルアミノ基、トリフルオロメタノイルアミノ基、ペンタフルオロエタノイルアミノ基、tert-ブタノイルアミノ基、シクロヘキシノイルアミノ基、n-ブチルスルホニル基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、メトキシ基であり、より好ましくは水素原子、塩素原子、フッ素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、アミノ基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、メトキシ基である。
前記Aとしては、一価のアニオンであれば特に制限されないが、好ましくは、塩素イオン、臭素イオン、PF 、過塩素酸アニオン、トリストリフルオロメタンスルホニルメチドアニオン、テトラフルオロボレートアニオン、ヘキサフルオロリン酸アニオン、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガレートアニオン、テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートアニオンなどが挙げられ、より好ましくは、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、トリストリフルオロメタンスルホニルメチドアニオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオン、テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートアニオンであり、耐熱性により優れる化合物(Z)を容易に得ることができる等の点から、さらに好ましくは、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、トリストリフルオロメタンスルホニルメチドアニオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオン、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ガレートアニオン、テトラキス(3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル)ボレートアニオンであり、特に好ましくはテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレートアニオンである。
式(2-1)、式(2-2)で示されるポリメチン系色素としては、下記に示す式(2a)から式(2h)を挙げることができる。
Figure 2022085278000011
本組成物中の、式(2-1)、式(2-2)の化合物の含有量は、樹脂100質量部に対して、好ましくは0.02~1.0質量部、より好ましくは0.02~0.80質量部、特に好ましくは0.03~0.60質量部である。
式(2-1)、式(2-2)の化合物の含有量が前記範囲にあると、波長700~740nmの範囲の近赤外線を効率よくカットできるほか、可視光透過性により優れる組成物を容易に得ることができる。
式(1)、式(2-1)、式(2-2)の化合物は、有機溶剤可溶の化合物であることが好ましく、特にジクロロメタン可溶の化合物であることが好ましい。
ここで、有機溶剤可溶とは、25℃の有機溶剤100gに対し、式(2-1)、式(2-2)の化合物は0.1g以上溶解する場合のことをいう。
尚、樹脂板の厚みは90~110μmの範囲内であり、樹脂に対する、式(1)、 式(2-1)、式(2-2)の化合物の量は該樹脂板の極大吸収波長λaにおける吸光度Aiが0.1~4.0の範囲内に入るように調整されるものであり、樹脂膜100質量部に対して0.3部のIrganox1010(BASFジャパン(株)製)を含むものとする。
本発明の基材の赤外線線吸収層を構成する赤外線吸収色素は、スクアリリウム系色素、ポリメチン系色素以外の色素を一種以上組みあわせてもよい。通常、色素の赤外線吸収波長域(特に近赤外線の吸収波長域)や最大吸収波長はやや異なるため、二種類以上の色素を用いることが好ましい。特に、フタロシアニン色素、ジチオール系色素、およびジインモニウム系色素から選択された少なくとも2種の色素を用いるのが好ましく、さらに好ましい態様では、これら3種の各色素を全て組みあわせてもよい。
フタロシアニン色素の具体例としては、下記式(F)で示される構造の化合物や市販品として、イーエクスカラー810K(日本触媒社製)を用いることができる。
Figure 2022085278000012

ジチオール系色素としては、、ニッケル-ビス-1,2-ジフェニル-1,2-エテンジチオラト(MIR101、みどり化学社製)等を用いることができる。またジインモニウム系色素としては、例えばIRG022(日本化薬社製)を用いることができる。
前記赤外線吸収色素の含有量は、赤外線吸収層形成用組成物中、ポリカーボネートまたはポリスルホン(又は樹脂成分)100質量部に対して、0.01~30質量部、好ましくは0.1~15質量部、さらに好ましくは1~10質量部程度である。通常、0.01~10質量部程度であってもよい。
本発明の基材の赤外線吸収層形成用組成物中には、必要に応じて、酸化防止剤、熱安定剤、難燃剤等を本発明の効果を損なわない範囲で適宜添加して用いることができる。用いることができる酸化防止剤は、通常、知られた酸化防止剤でよく、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤等が挙げられる。これらの中でもフェノール系酸化防 止剤、特にアルキル置換フェノール系酸化防止剤が好ましい。具体的には、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-tert-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール-テトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシヒドロシンナマイド)、3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネートジエチルエステル、トリス(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、3,9-ビス{1,1-ジメチル-2-[β-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン等が挙げられる。これらの酸化防止剤は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。これらの酸化防止剤の好ましい添加量の範囲は、赤外線吸収フィルターの構成成分全体に対して0.0001~0.05質量部であってもよい。
熱安定剤は、リン系安定剤が好ましく、例えば、ホスファイト化合物、ホスフェート化合物、ホスホナイト化合物が挙げられる。ホスファイト化合物としては、例えば、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2-メチレンビス(4,6-ジ-tert-ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等が挙げられる。
ホスフェート化合物としては、例えば、トリブチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリフェニルホスフェート、トリクロルフェニルホスフェート、トリエチルホスフェート、ジフェニルクレジルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート等が挙げられる。
ホスホナイト化合物としては、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,4’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4,3’-ビフェニレンジホスホナイト、テトラキス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-3,3’-ビフェニレンジホスホナイト、ビス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)-4-ビフェニレンジホスホナイト等が挙げられる。
これらの中でもトリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスフェート、トリメチルホスフェートが好ましい。
これらの熱安定剤は、単独で用いてもよく、二種類以上を併用してもよい。熱安定剤は、赤外線吸収層形成用組成物中のポリマー100質量部に対して、0.001から0.5質量部であることが好ましく、0.005から0.3質量部の範囲で含むことがより好ましい。
本発明の基材の赤外線吸収層形成用組成物には、さらに、難燃剤、紫外線吸収剤、離型剤、帯電防止剤、抗菌剤、滑剤、充填剤等の添加剤やもしくは他の熱可塑性樹脂を本発明の目的を損なわない範囲で含有してもよい。
本発明の基材の赤外線吸収層は、前記のように、通常、特定の繰り返し単位を有するポリカーボネートやポリスルホン中に赤外線吸収能を有する色素を分散させたものを含む組成物であり、赤外線吸収層は形状又は形態などに応じて、慣用の方法、例えば、キャスト法、コーティング法、溶融押出法(押出成形法など)などを利用して製造又は製膜できる。
詳細には、赤外線吸収層を形成する組成物は、前記ポリカーボネートやポリスルホンの溶液に近赤外線吸収能を有する色素を均一に分散させて得られる塗工液からキャスト法によって成膜(製膜)する方法、ガラス、スチレン系樹脂、アクリル樹脂、アモルファスポリオレフィン樹脂、セルロース系樹脂、ポリエステル樹脂やポリカーボネート樹脂等の透明なシートまたはフィルム上にコーティングして製膜するコーティング法、赤外線吸収能を有する色素と前記ポリカーボネートまたはポリスルホンとをブレンドし、溶融押し出し法によって成膜する方法等の方法によって得ることができる。中でも、キャスト法又はコーティング法により製膜する(フィルム状に製膜する)方法、すなわち、前記ポリカーボネートまたはポリスルホンの溶液に近赤外線吸収能を有する色素を均一に分散させて得られる塗工液からキャスト法によって成膜する方法、または前記塗工液を透明なフィルム上にコーティングして得るコーティング法が好ましい。すなわち、通常の溶融押し出し法では高温(例えば、200℃以上の温度)で成膜するため色素の熱分解が発生する虞があるのに対し、キャスト法又はコーティング法では比較的低温(例えば、150℃以下)で成膜・乾燥することが可能なため、赤外線吸収能を有する色素の熱分解を抑制又は防止することができ、溶媒に可溶もしくは均一分散さえできれば耐熱性の低い色素でも使用することができるためである。
キャスト法では、ガラス板、鏡面仕上げした金属板またはポリエステルフィルム等の上に赤外線吸収層形成用組成物(以下、塗工液ともいう)を注ぎ、一定の隙間を持った棒で塗工液を該板の表面上に延ばした後乾燥し、適当な方法でフィルムを当該表面より剥離し、フィルムを得ることができる。このようなキャスト法では、機械化したキャスト機を用いてフィルムを作成してもよい。また、例えば、浸漬コーティング法、キャストコーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング法、ローラーコーティング法、カーテンコーティング法、スリットダイコーター法、グラビアコーター法、スリットリバースコーター法、マイクログラビア法、インクジェット法、またはコンマコーター法等のコーティング法を使用できる。
コーティング法では、バーコート法、スプレーコート法、ディップコート法、フローコート法等によってフィルム又はパネルの上に塗工液を塗布し、乾燥することで赤外線吸収層を形成することができる。なお、連続でフィルム上にコーティングする場合は、各種のロールコーターを好ましく使用することができる。このようなコーティングでは、例えば、所定の速さ(例えば、分速数メートルから数十メートル程度)で動いているフィルム上に、T型ダイから一定速度で該塗工液を押し出し、次の乾燥ゾーンで溶媒を除去し、フィルムを巻き取る一連の工程を行う機械を用いてもよい。
前記赤外線吸収層形成用組成物の溶媒(詳細には、本発明の近赤外線吸収フィルターをキャスト法又はコーティング法にて作成する際に用いるポリカーボネート樹脂を溶解させ、色素を分散させる溶媒)としては、樹脂と色素との実用的な溶解性だけでなく、色素に対して不活性で、沸点が実用的に好ましい溶媒を好適に選択すればよい。このような溶剤としては、例えば、ハロゲン系有機溶媒(例えば、クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタンなどの脂肪族ハロゲン化合物)、非ハロゲン系有機溶剤(例えば、トルエン、キシレン、メシチレンなどの芳香族炭化水素類、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノンなどのケトン類、テトラヒドロフランなどのエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類)が挙げられる。溶媒は、単独で又は2種以上組みあわせてもよい。
前記赤外線吸収層形成用組成物の濃度は、溶媒の種類、作成するフィルターの膜厚および作成方法などにより調節する必要があるため一概にはいえないが、例えば、1~30重量%の範囲であればよく、好ましくは5~25重量%程度であってもよい。
本発明の赤外線吸収層の膜厚は、用いる色素の種類および濃度等により適宜調節する必要があるため一概にはいえないが、1~100μmの範囲であればよく、好ましくは1~50μm、さらに好ましくは1~20μm程度であってもよい。
<基材の実施形態>
本発明の基材の実施形態は、ガラス基板上に赤外吸収層が形成された基材、透明樹脂基板上に赤外吸収層が形成された基材、または赤外吸収色素を含有する樹脂基板の三種である。
第一の基材の形態として、ガラス基板上に赤外吸収層が形成された基材について
基板となるガラス基板は、フツリン酸塩系ガラスやリン酸塩系ガラス等にCuO等を添加した吸収型のガラス( 近赤外線吸収ガラス基材)、ソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス、石英ガラス等が挙げられる。なお、「リン酸塩ガ
ラス」には、ガラスの骨格の一部がSiOで構成されるケイリン酸塩ガラスも含むものとする。また、透明基材に使用できる結晶材料としては、水晶、ニオブ酸リチウム、サファイヤ等の複屈折性結晶が挙げられる。
上記ガラス基板上に、上記の色素 、ポリカ―ボネートまたはポリスルホンを含む塗工液を塗布する。塗工液には、界面活性剤も含有できる。界面活性剤を含有させることにより、外観、とくに、微小な泡によるボイド、異物等の付着による凹み、乾燥工程でのはじきを改善できる。界面活性剤は、とくに限定されず、カチオン系、アニオン系、ノニオン系等の公知のものを任意に使用できる。
赤外線吸収色素等の固形分濃度が、塗工液全量に対して2から50質量%となる範囲が好ましく、5から40質量% となる範囲がより好ましい。固形分濃度が低すぎると、塗工ムラが生じやすくなる。逆に、固形分濃度が高すぎると、塗工外観が不良となりやすくなる。
塗工液の塗工にあたって、ガラス基材に前処理を施してもよく、前処理剤としては、上記のシランカップリング剤等を、1種を単独または2 種以上を混合して使用できる。塗工する赤外線吸収層の厚さは、0.1から100μm が好ましい。吸収層が複数の吸収層からなる場合、各吸収層の合計の厚さが0.1から100μm となることが好ましい。吸収層の厚さは、配置スペース等適宜定められる。
厚さが0.1μm 未満では、所望の光学特性を十分に発現できないおそれがある。また、厚さが100μm 超では層の平坦性が低下し、吸収率に面内のバラツキが生じたり、反射防止層等に割れ等が生じたりするおそれがある。そのため、吸収層の厚さは、0.3から50μm がより好ましく、0。3から10μm がさらに好ましい。
ガラス基板上に赤外線級層を形成し、加熱乾燥することもができる。加熱乾燥後に公知の透明保護膜材料により保護膜を形成することができる。
ガラス基板上に赤外吸収層が形成された基材に誘電体多層膜を形成することで赤外線吸収フィルターを作成することができる。
第二の基材の形態として、透明樹脂基板上に赤外吸収層が形成された基材について
基板となる透明樹脂基としては、塗工液に用いるポリカーボネート、ポリスルホン、さらにはポリカーボネートが上記式(3)で示される繰り返し単位を含むポリカーボネートと同じポリマーを使用することができる。
また、下記に示すポリマーも、耐熱性が劣る場合があるが使用条件を工夫することで、使用することができる。ポリエステル、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィンおよびエポキシ樹脂から選ばれる1種以上が好ましい。このような透明樹脂としては、市販品を用いてもよい。市販品としては、アクリル樹脂として、オグソール(登録商標)EA-F5003(大阪ガスケミカル 株)製、商品名) 、ポリメチルメタクリレート、ポリイソブチルメタクリレート( 以上、いずれも東京化成工業( 株) 製、商品名)、BR50(三菱レイヨン 株) 製、商品名)、ARTON(JSR(株)製、商品名)、ゼオネックス、ゼオノア(日本ゼオン(株)製、商品名) 等が挙げられる。
透明樹脂基板上への赤外線吸収層の形成は、上記のガラス基板上の赤外線級層の形成と同様に行うことができる。
第三の基材の形態として、赤外吸収色素を含有する樹脂基板について、溶融成形またはキャスト成形により形成することができ、さらに、必要により、成形後に、オーバーコート層、反射防止剤、ハードコート剤および/または帯電防止剤等のコーティング剤をコーティングしてもよい。
塗工液を溶融成形またはキャスト成形することで、好ましくはスピンコート、スリットコート、インクジェットなどの方法にて塗工した後に溶媒を乾燥除去し、必要に応じてさらに光照射や加熱を行うことで、支持体上に本樹脂層が形成された基材を製造することができる。
・溶融成形
前記溶融成形としては、具体的には、本組成物を溶融混練りして得られたペレットを溶融成形する方法、本組成物を溶融成形する方法、溶剤を含む液状の本組成物から溶剤を除去して得られたペレットを溶融成形する方法などが挙げられる。溶融成形方法としては、射出成形、溶融押出成形またはブロー成形などを挙げることができる。
・キャスト成形
前記キャスト成形としては、溶剤を含む液状の本組成物を適当な支持体の上にキャスティングして溶剤を除去する方法;前記樹脂として光硬化性樹脂および/または熱硬化性樹脂を含む、硬化性の本組成物を適当な支持体の上にキャスティングして溶媒を除去した後、紫外線照射や加熱などの適切な手法により硬化させる方法などが挙げられる。キャスト成形後、支持体から塗膜を剥離することにより得ることができる。適当な支持体としては、例えば、ガラス板、スチールベルト、スチールドラムおよび樹脂(例えば、ポリエステルフィルム、環状オレフィン系樹脂フィルム)製支持体が挙げられる。
上記のように形成した赤外吸収色素を含有する樹脂基板に、さらにオーバーコート層を形成することができる。オーバーコート層などの樹脂層は、赤外線吸収色素を含まない樹脂層のことをいう。赤外線吸収色素を含まない樹脂層は、樹脂を含めば特に制限されず、該樹脂としては、前記本組成物の欄に記載の樹脂と同様の樹脂等が挙げられる。また、赤外線吸収色素を含まない樹脂層は、その他の機能膜であってもよい。
<誘電体多層膜>
赤外線吸収フィルターは、前記基材と誘電体多層膜とを有する。該誘電体多層膜としては、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した積層体等が挙げられる。
該誘電体多層膜は、前記基材の片面に設けてもよいし、両面に設けてもよい。片面に設ける場合、製造コストや製造容易性に優れ、両面に設ける場合、高い強度を有し、反りやねじれが生じにくい光学フィルターを得ることができる。本フィルターを固体撮像素子などに使用する場合、該フィルターの反りやねじれが小さい方が好ましいことから、誘電体多層膜を基材の両面に設けることが好ましい。片面に誘電体多層膜を設ける場合は、フィルターの反りやねじれが生じにくいガラス基板の基材が好ましい。
前記高屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.7以上の材料が挙げられ、屈折率が通常は1.7~2.5の材料が選択される。このような材料としては、例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、五酸化タンタル、五酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化イットリウム、酸化亜鉛、硫化亜鉛または酸化インジウム等を主成分とし、酸化チタン、酸化錫および/または酸化セリウム等を少量(例えば、主成分に対して0~10質量%)含有させたものが挙げられる。
前記低屈折率材料層を構成する材料としては、屈折率が1.6以下の材料を用いることができ、屈折率が通常は1.2~1.6の材料が選択される。このような材料としては、例えば、シリカ、アルミナ、フッ化ランタン、フッ化マグネシウムおよび六フッ化アルミニウムナトリウムが挙げられる。
前記高屈折率材料層と低屈折率材料層とを積層する方法については、これらの材料層を積層した誘電体多層膜が形成される限り特に制限はない。例えば、基材(i)上に、直接、CVD法、スパッタ法、真空蒸着法、イオンアシスト蒸着法またはイオンプレーティング法等により、高屈折率材料層と低屈折率材料層とを交互に積層した誘電体多層膜を形成することができる。
前記高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚さは、通常、遮断しようとする近赤外線波長をλ(nm)とすると、0.1λ~0.5λの厚さが好ましい。λ(nm)の値としては、赤外線吸収フィルターの場合、例えば700~1400nm、好ましくは750~1300nmである。高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚さがこの範囲にあると、屈折率(n)と膜厚(d)との積(n×d)である光学的膜厚が、λ/4とほぼ同じ値となって、反射・屈折の光学的特性の関係から、特定波長の遮断・透過を容易にコントロールできる傾向にある。
誘電体多層膜における高屈折率材料層と低屈折率材料層との合計の積層数は、例えば赤外線吸収フィルターの場合、フィルター全体として16~70層であることが好ましく、20~60層であることがより好ましい。各層の厚み、フィルター全体としての誘電体多層膜の厚みや合計の積層数が前記範囲にあると、十分な製造マージンを確保できる上に、フィルターの反りや誘電体多層膜のクラックを低減することができる。
赤外線吸収フィルターでは、赤外線吸収色素の吸収特性等に合わせて、高屈折率材料層および低屈折率材料層を構成する材料種、高屈折率材料層および低屈折率材料層の各層の厚さ、積層の順番、積層数を適切に選択することで、透過したい波長域(例:可視域)に十分な透過率を確保した上で、カットしたい近赤外波長域に十分な光線カット特性を有し、かつ、斜め方向から近赤外線が入射した際の反射率を低減することができる。
ここで、誘電体多層膜の条件を最適化するには、例えば、光学薄膜設計ソフト(例えば、Essential Macleod、Thin Film Center社製)を用い、透過したい波長域(例:可視域)の反射防止効果と、カットしたい近赤外域の光線カット効果を両立できるようにパラメーターを設定すればよい。前記ソフトの場合、例えば、赤外線吸収フィルターの誘電体多層膜を形成する場合には、波長400~700nmの目標透過率を100%、Target Toleranceの値を1とした上で、波長705~950nmの目標透過率を0%、Target Toleranceの値を0.5にするなどのパラメーター設定方法が挙げられる。
これらのパラメーターは基材(i)の各種特性などに合わせて波長範囲をさらに細かく区切ってTarget Toleranceの値を変えることもできる。
<その他の機能膜>
本フィルターは、本発明の効果を損なわない範囲において、基材と誘電体多層膜との間、基材の誘電体多層膜が設けられた面と反対側の面、または、誘電体多層膜の基材が設けられた面と反対側の面に、基材や誘電体多層膜の表面硬度の向上、耐薬品性の向上、帯電防止および傷消しなどの目的で、反射防止膜、ハードコート膜や帯電防止膜などの機能膜を適宜設けることができる。
本フィルターは、前記機能膜を1層含んでもよく、2層以上含んでもよい。本フィルターが、前記機能膜を2層以上含む場合には、同様の膜を2層以上含んでもよいし、異なる膜を2層以上含んでもよい。
前記機能膜を積層する方法としては特に制限されないが、反射防止剤、ハードコート剤および/または帯電防止剤等のコーティング剤などを基材または誘電体多層膜に、前記と同様に溶融成形またはキャスト成形する方法等を挙げることができる。
また、前記コーティング剤などを含む硬化性組成物をバーコーター等で基材または誘電体多層膜上に塗布した後、紫外線照射等により硬化することによっても製造することができる。
前記コーティング剤としては、紫外線(UV)/電子線(EB)硬化型樹脂や熱硬化型樹脂などが挙げられ、具体的には、ビニル化合物類や、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、アクリレート系、エポキシ系およびエポキシアクリレート系樹脂などが挙げられる。コーティング剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。 これらのコーティング剤を含む前記硬化性組成物としては、ビニル系、ウレタン系、ウレタンアクリレート系、アクリレート系、エポキシ系およびエポキシアクリレート系硬化性組成物などが挙げられる。
前記硬化性組成物は、重合開始剤を含んでいてもよい。前記重合開始剤としては、公知の光重合開始剤または熱重合開始剤を用いることができ、光重合開始剤と熱重合開始剤を併用してもよい。重合開始剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
前記硬化性組成物中、重合開始剤の配合割合は、硬化性組成物の全量を100質量%とした場合、好ましくは0.1~10質量%、より好ましくは0.5~10質量%、さらに好ましくは1~5質量%である。重合開始剤の配合割合が前記範囲にあると、硬化特性および取り扱い性等に優れる硬化性組成物を容易に得ることができ、所望の硬度を有する反射防止膜、ハードコート膜や帯電防止膜などの機能膜を容易に得ることができる。
さらに、前記硬化性組成物には溶剤として有機溶剤を加えてもよく、有機溶剤としては、公知の溶剤を使用することができる。有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、オクタノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエステル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類が挙げられる。
これら溶剤は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。
前記機能膜の厚さは、好ましくは0.1~20μm、より好ましくは0.5~10μm、特に好ましくは0.7~5μmである。
また、基材と機能膜および/または誘電体多層膜との密着性や、機能膜と誘電体多層膜との密着性を上げる目的で、基材、機能膜または誘電体多層膜の表面にコロナ処理やプラズマ処理等の表面処理をしてもよい。
<赤外線吸収フィルターの用途>
本フィルターは、例えば、カットしたい領域の波長の光のカット能と、透過したい波長の光の透過能に優れる。従って、カメラモジュールのCCDやCMOSイメージセンサー等の固体撮像素子の視感度補正用として有用である。特に、デジタルスチルカメラ、スマートフォン用カメラ、携帯電話用カメラ、デジタルビデオカメラ、ウェアラブルデバイス用カメラ、PCカメラ、監視カメラ、自動車用カメラ、赤外線カメラ、テレビ、カーナビゲーション、携帯情報端末、ビデオゲーム機、携帯ゲーム機、指紋認証システム、デジタルミュージックプレーヤー、各種センシングシステム、赤外線通信等に有用である。さらに、自動車や建物等のガラス板等に装着される熱線カットフィルターなどとしても有用である。
≪固体撮像装置≫
本発明に係る固体撮像装置は、本フィルターを具備する。ここで、固体撮像装置とは、CCDやCMOSイメージセンサー等といった固体撮像素子を備えた装置であり、具体的にはデジタルスチルカメラ、スマートフォン用カメラ、携帯電話用カメラ、ウェアラブルデバイス用カメラ、デジタルビデオカメラ等の用途に用いることができる。
≪光学センサー装置≫
本発明に係る光学センサー装置は、本フィルターを具備すれば特に制限されず、従来公知の構成とすればよい。
例えば、受光素子と本フィルターとを有する装置が挙げられ、具体的には、受光素子(半導体基板)、保護膜、本フィルターおよび他のフィルター等を有する装置が挙げられる。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら限定されるものではない。
<分子量>
樹脂の分子量は、各樹脂の溶剤への溶解性等を考慮し、下記の(a)または(b)の方法にて測定を行った。
(a)ウォーターズ(WATERS)社製のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)装置(150C型、カラム:東ソー(株)製Hタイプカラム、展開溶剤:o-ジクロロベンゼン)を用い、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定した。
(b)東ソー(株)製GPC装置(HLC-8220型、カラム:TSKgelα-M、展開溶剤:THF)を用い、標準ポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)を測定した。
ガラス転移温度(Tg)や分光透過率の測定が下記方法によって行った。
< ガラス転移温度( Tg)>
エスアイアイ・ナノテクノロジエスアイアイ・ナノテクノロジーズ株式会社製の示差走査熱量計(DSC6200)を用いて、昇温速度: 毎分20℃ 、窒素気流下で測定した。
<分光透過率>
吸収極大、各波長域における透過率は、株式会社日立ハイテクノロジーズ製の分光光度計(U-4100)を用いて測定した。ここで、光学フィルターの垂直方向から測定した場合の透過率は、フィルターに対し垂直に透過した光を測定した。また、光学フィルターの垂直方向に対して30°の角度から測定した場合は、フィルターの垂直方向に対して30°の角度で透過した光を測定した。
なお、この透過率は、光が基板およびフィルターに対して垂直に入射する条件で、該分光光度計を使用して測定したものである。垂直方向に対して30°の角度で入射する条件で測定する場合には、光が基材やフィルターの垂直方向に対して30°の角度で入射する条件で該分光光度計を使用して測定したものである。
なお、後述する樹脂合成例で合成した樹脂については、前記方法による分子量の測定ではなく、下記方法(c)による対数粘度の測定を行った。
(c)ポリイミド溶液の一部を無水メタノールに投入してポリイミドを析出させ、ろ過することで未反応単量体から分離した後、80℃で12時間真空乾燥した。得られたポリイミド0.1gをN-メチル-2-ピロリドン20mLに溶解(希薄ポリイミド溶液)し、キャノン・フェンスケ粘度計を使用して30℃における対数粘度(μ)を下記式により求めた。
μ={ln(ts/t0)}/C
t0:溶媒(N-メチル-2-ピロリドン)の流下時間
ts:希薄ポリイミド溶液の流下時間
C:0.5g/dL
ポリマーの合成例を下記に示す。
[合成例1]
温度計、攪拌機、および還流冷却器を備えた反応器にイオン交換水14863部、48%水酸化ナトリウム水溶液5772部を加え、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン2148部およびナトリウムハイドロサルファイト4部を溶解し、塩化メチレン8518部を加えた後、攪拌しながら23~27℃にてホスゲン1000部を60分間かけて吹き込んだ。ホスゲン吹き込み終了後、p-tert-ブチルフェノール38部を加え、さらにトリエチルアミン2部を添加して20~27℃で40分間攪拌して反応を終了した。生成物を含む塩化メチレン層を希塩酸、純水にて洗浄後、塩化メチレンを蒸発させ、下記式(4)で示される繰り返し単位を有するポリカーボネートを得た。得られたポリカーボネートの平均分子量は21,000であった。これをポリマーAとする。
Figure 2022085278000013
[合成例2]
合成例1で、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンの代わりに、9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレンを使用し、その他は同様な操作を行うことで、下記式(5)で示される繰り返し単位を有するポリカーボネートを得た。得られたポリカーボネートの平均分子量は23,000であった。得られたポリマーをポリマーBとする。
Figure 2022085278000014
[合成例3]
下記式(a)で表される8-メチル-8-メトキシカルボニルテトラシクロ[4. 4.0.12, 5 .17, 1 0 ]ドデカ-3-エン( 以下「DNM 」ともいう。) 10 0g 、1-ヘキセン( 分子量調節剤)18gおよびトルエン(開環重合反応用溶媒)300gを、窒素置換した反応容器に仕込み、この溶液を80℃ に加熱した。次いで、反応容器内の溶液に、重合触媒として、トリエチルアルミニウムのトルエン溶液(0 .6mol /リットル)0.2gと、メタノール変性の六塩化タングステンのトルエン溶液(濃度0 .025 mol/リットル)0.9 gとを添加し、この溶液を8 0 ℃ で3 時間加熱攪拌することにより開環重合反応させて開環重合体溶液を得た。この重合反応における重合転化率は97% であった。
Figure 2022085278000015
このようにして得られた開環重合体溶液1 ,000gをオートクレーブに仕込み、この開環重合体溶液に、RuHCl(C O )[ P(C 6 H 5 )3 ]3 を0 .12 g添加し、水素ガス圧100kg/cm2 、反応温度165℃ の条件下で、3時間加熱撹拌して水素添加反応を行った。得られた反応溶液(水素添加重合体溶液) を冷却した後、水素ガスを放圧した。この反応溶液を大量のメタノール中に注いで凝固物を分離回収し、これを乾燥して、水素添加重合体( 以下「樹脂A 」ともいう。) を得た。得られた樹脂Aは、数平均分子量(Mn)が32 ,000 、重量平均分子量Mw)が137 ,000 であり、ガラス転移温度(Tg)が165℃ であった。
得られたポリマーをポリマーDとする。
色素の合成例を下記に示す。
下記実施例で用いた赤外線吸収色素は、市販品で購入できる色素以外は、一般的に知られている方法で合成した。一般的合成方法としては、例えば、特開昭60-228448号公報、特開平1-146846号公報、特開平1-228960号公報、特許第4081149号公報、「フタロシアニン-化学と機能― 」(アイピーシー、1997年)、特開2009-108267号公報、特開2010-241873号公報、特許第3699464号公報、特許第4740631号公報、特開2020-152915号公報などに記載されている方法を挙げることができる。
[実施例1]
本発明の基材の実施形態の1つであるガラス基板上に赤外吸収層が形成された基材及び当該基材に誘電体多層膜が形成された赤外線吸収フィルターに関する実施例を示す。以下の手順および条件で作成した。
<ガラス基板上に赤外吸収層が形成された基材の作成>
スクアリリウム系色素として色素Aを1.4質量部、ポリメチン系色素として色素Bを1.4質量部、合成例1で得られたポリマーA100質量部をクロロベンゼン733質量部に溶解させて溶液を調製した(ポリマー溶液1)。
縦60mm、横60mmの大きさにカットした透明ガラス基板「OA-10G(厚み150μm )」(日本電気硝子(株)製)上に、上記ポリマー溶液1をスピンコーターで塗布した。その後塗膜をホットプレート上110℃で3分間加熱した後、さらにホットプレート上で、160℃20分加熱した。以上により、ポリマーA、色素A、色素Bを赤外線吸収層に含む、ガラス基板上に赤外吸収層が形成された基材1を作成した。
<吸光度算出用基材の作成>
ポリマーとして合成例1で得られたポリマーA 100質量部にクロロベンゼンを733質量部 加えて溶液を調製した(ポリマー溶液1R)。
縦60mm、横60mmの大きさにカットした透明ガラス基板「OA-10G(厚み150μm )」(日本電気硝子(株)製)上に、上記ポリマー溶液をスピンコーターで塗布し、ホットプレート上110℃で3分間加熱した後、さらにホットプレート上で、160℃20分に加熱しポリマーA、色素A、色素Bを赤外線吸収層に含む、ガラス基板上に赤外線吸収層が形成された基材1Rを作成した。
<透過率の測定>
その後、得られた基材1について日本分光(株)製の分光光度計(V-7200)を用いて、300~1200nmの波長範囲にて、基材の面に対して垂直方向から1nmごとに透過率(Ti)を測定し、波長430~580nmにおける1nmごとの透過率の平均透過率(Xa1)、および波長700~750nmにおける1nmごとの透過率の平均透過率(Xa2)を算出した。また、基材1Rについても同様に300~1200nmの波長範囲にて、基材の面に対して垂直方向から測定した1nmごとの透過率(Tr)を測定し、下記式を用いて700~750nmの各波長における吸光度(Ai)を算出した。波長600nmから750nmの領域において透過率が50%超から50%以下となる際の透過率が50%となる最も短い波長をXcとする。上記基材の光学特性を表1に示す。
Figure 2022085278000016
<耐久性試験>
その後、光洋サーモシステム製VF-1000Bを用いて、透過率の測定で作成した基板を酸素濃度が50ppm以下となる条件にて200℃で6時間加熱し、その後室温まで放冷させた。得られた基板について、再度、日本分光(株)製の分光光度計(V-7200)を用いて、光が基材に対して垂直に入射する条件で測定し、(Tf)を測定した。
その後、下記式に基づき波長700~750nmの各波長における吸光度(Af)を算出し、200℃6時間加熱前後の各波長域における吸光度保持率平均値(Xb)を下記式により算出した。結果を表1に示す。
Figure 2022085278000017

Figure 2022085278000018
<ガラス基板上に赤外吸収層が形成された基材の両面に誘電体多層膜を形成した赤外線吸収フィルターの作成>
実施例1で作成した基材の片面に第一光学層としてシリカ(SiO)層とチタニア(TiO)層とが交互に積層されてなる(合計26層)誘電体多層膜(IX)を形成し、さらに基材のもう一方の面に第二光学層としてシリカ(SiO)層とチタニア(TiO)層とが交互に積層されてなる(合計20層)誘電体多層膜(X)を形成し、厚さ約0 .107mm の赤外線吸収フィルターを得た。
誘電体多層膜 は、蒸着温度100℃でシリカ(SiO) 層とチタニア(TiO)層とが交互に積層されてなる。誘電体多層膜は、蒸着温度100 ℃ でシリカ(SiO)層とチタニア(TiO) 層とが交互に積層されてなる。誘電体多層膜は、シリカ層およびチタニア層は、基材側からチタニア層、シリカ層、チタニア、・・・シリカ層、チタニア層、シリカ層の順で交互に積層されており、赤外線吸収フィルターの最外層をシリカ層とした。
各層の厚さと層数については、可視域の反射防止効果と近赤外域の選択的な透過・反射性能を達成できるよう基材屈折率の波長依存特性や、適用した色素の吸収特性に合わせて光学薄膜設計ソフト( Essential Macleod、Thin Film Center社製)を用いて最適化を行った。
<赤外線吸収フィルターの分光評価>
上記に記載した両面に誘電体多層膜が形成された赤外線吸収フィルターについて、日本分光(株)製の分光光度計(V-7200)を用いて、光が赤外線吸収フィルターに対して垂直に入射する条件で測定し、波長430~580nmの範囲における1nmごとの透過率の平均透過率(Xd1)および波長700~1050nmの範囲における最大透過率(Xd2)を算出した。結果を表1に示す。
<色シェーティングの評価>
上記に記載した両面に誘電体多層膜が形成された赤外線吸収フィルターについて、日本分光(株)製の分光光度計(V-7200)を用いて、当該フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合の波長600~750nmの範囲における透過率が50%に最も近くなる波長の値(Ya)、並びに当該フィルターの面に対して垂直方向に対して30°の角度から測定した場合の波長600~750nmの範囲における透過率が50%に最も近くなる波長の値(Yb)を算出し、(Ya)、(Yb)の差の絶対値|(Ya)―(Yb)|を算出した。|(Ya)―(Yb)|の値が1より大きくなると固体撮像素子に赤外線吸収フィルター適用した場合の色ばらつきが多くなり、色シューティング性が劣る。色シューティング性の評価結果を表1に示す。
[実施例2から実施例5、比較例1から比較例3]
表1に記載した通りの割合でポリマー、スクアリリウム系色素、ポリメチン系色素、その他の色素、溶剤を加えて固形分濃度が12質量%の溶液を調製した。実施例1と同様にしてガラス基板上に赤外吸収層が形成された基材、及び当該基材を使用し、上記同様にして基材の両面に誘電体多層膜が形成された赤外線吸収フィルターを形成した。
その後、実施例1の場合と同様にして、基材の光学特性評価、耐久性試験、誘電体多層膜の形成した赤外線吸収フィルター、赤外線吸収フィルターの光学特性評価を行った。結果を表1に示す。
[実施例6]
<ガラス基板上に赤外吸収層が形成された基材を使用し、基材の片面に誘電体多層膜を形成した赤外線吸収フィルターの作成>
表1に記載した通りの割合でポリマー、スクアリリウム系色素、ポリメチン系色素、その他の色素、溶剤を加えて固形分濃度が12質量%の溶液を調製した。実施例1と同様にしてガラス基板上に赤外吸収層が形成された基材を形成し、基材の片面に第一光学層としてシリカ(SiO)層とチタニア(TiO)層とが交互に積層されてなる(合計40層)誘電体多層膜(IX)を形成した。誘電体多層膜 は、蒸着温度100℃でシリカ(SiO) 層とチタニア(TiO)層とが交互に積層されてなる。誘電体多層膜は、蒸着温度100 ℃ でシリカ(SiO)層とチタニア(TiO) 層とが交互に積層されてなる。誘電体多層膜は、シリカ層およびチタニア層は、基材側からチタニア層、シリカ層、チタニア、シリカ層、チタニア層、シリカ層の順で交互に積層されており、赤外線吸収フィルターの最外層をシリカ層とした。
各層の厚さと層数については、可視域の反射防止効果と近赤外域の選択的な透過・反射性能を達成できるよう基材屈折率の波長依存特性や、適用した色素の吸収特性に合わせて光学薄膜設計ソフト( Essential Macleod、Thin Film Center社製)を用いて最適化を行った。
赤外線吸収フィルターの光学特性の評価、色シェーティングの評価の評価は実施例1と同様にして行った。結果を表1に示す。
[実施例7]
本発明の基材の実施形態の1つである透明樹脂基板上に赤外吸収層が形成された基材及び当該基材に誘電体多層膜が形成された赤外線吸収フィルターに関する実施例を示す。以下の手順および条件で作成した。
<透明樹脂基板上に赤外吸収層が形成された基材の作成>
透明樹脂基板を以下の手順および条件で作成した。
容器に、ポリマーE100質量部を塩化メチレンに溶解させ、ポリマー濃度が20質量%の溶液を調製した。得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、20 ℃ で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した塗膜をさらに減圧下100℃ で8時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの透明樹脂製基板からなる基材を得た。
別に、スクアリリウム系色素として色素Aを1.4質量部、ポリメチン系色素として色素Bを1.4質量部、樹脂として合成例1で得られたポリマーA100質量部にクロロベンゼンを733質量部 加えて溶液を調製した(ポリマー溶液2)。
得られた透明樹脂製基板の片面に、上ポリマー溶液2をバーコーターで塗布し、オーブン中110℃で3分間加熱し、さらに130℃で30分加熱することにより、溶剤を除去した。この際、乾燥後の厚みが5μmとなるように、バーコーターの塗布条件を調整した。
<透過率の測定>
その後、得られた基材1について日本分光(株)製の分光光度計(V-7200)を用いて、300~1200nmの波長範囲にて、基材の面に対して垂直方向から1nmごとに透過率(Ti)を測定し、波長430~580nmにおける1nmごとの透過率の平均透過率(Xa1)、および波長700~750nmにおける1nmごとの透過率の平均透過率(Xa2)を算出した。また、基材1Rについても同様に300~1200nmの波長範囲にて、基材の面に対して垂直方向から測定した1nmごとの透過率(Tr)を測定し、下記式を用いて700~750nmの各波長における吸光度(Ai)を算出した。波長600nmから750nmの領域において透過率が50%超から50%以下となる際の透過率が50%となる最も短い波長をXcとする。上記基材の光学特性を表2に示す。
Figure 2022085278000019
<耐久性試験>
耐久性試験について
その後透過率の測定で作成した基板を、エスペック製PV-212を用いて、150℃で1000時間加熱し、その後室温まで放冷させた。
得られた基板について、再度、日本分光(株)製の分光光度計(V-7200)を用いて、光が基材に対して垂直に入射する条件で測定し、(Tf)を測定した。その後、下記式に基づき波長700~750nmの各波長における吸光度(Af)を算出し、150℃で1000時間加熱前後の各波長域における吸光度保持率平均値(Xb)を下記式により算出した。結果を表2に示す。
Figure 2022085278000020

Figure 2022085278000021
<透明樹脂基板上に赤外吸収層が形成された基材を使用した赤外線吸収フィルターの作成>
実施例7で作成した基材の片面に第一光学層としてシリカ(SiO)層とチタニア(TiO)層とが交互に積層されてなる(合計26層)誘電体多層膜(IX)を形成し、さらに基材のもう一方の面に第二光学層としてシリカ(SiO)層とチタニア(TiO)層とが交互に積層されてなる(合計20層)誘電体多層膜(X)を形成し、厚さ約0 .107mm の赤外線吸収フィルターを得た。
誘電体多層膜 は、蒸着温度100℃でシリカ(SiO) 層とチタニア(TiO)層とが交互に積層されてなる。誘電体多層膜は、蒸着温度100 ℃ でシリカ(SiO)層とチタニア(TiO) 層とが交互に積層されてなる。誘電体多層膜は、シリカ層およびチタニア層は、基材側からチタニア層、シリカ層、チタニア、・・・シリカ層、チタニア層、シリカ層の順で交互に積層されており、赤外線吸収フィルターの最外層をシリカ層とした。
各層の厚さと層数については、可視域の反射防止効果と近赤外域の選択的な透過・反射性能を達成できるよう基材屈折率の波長依存特性や、適用した色素の吸収特性に合わせて光学薄膜設計ソフト( Essential Macleod、Thin Film Center社製)を用いて最適化を行った。
<赤外線吸収フィルターの分光評価>
上記に記載した両面に誘電体多層膜が形成された赤外線吸収フィルターについて、日本分光(株)製の分光光度計(V-7200)を用いて、光が赤外線吸収フィルターに対して垂直に入射する条件で測定し、波長430~580nmの範囲における1nmごとの透過率の平均透過率(Xd1)および波長700~1050nmの範囲における最大透過率(Xd2)を算出した。結果を表2に示す。
<色シェーティングの評価>
上記に記載した両面に誘電体多層膜が形成された赤外線吸収フィルターについて、日本分光(株)製の分光光度計(V-7200)を用いて、当該フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合の波長600~750nmの範囲における透過率が50%に最も近くなる波長の値(Ya)、並びに当該フィルターの面に対して垂直方向に対して30°の角度から測定した場合の波長600~750nmの範囲における透過率が50%に最も近くなる波長の値(Yb)を算出し、(Ya)、(Yb)の差の絶対値|(Ya)―(Yb)|を算出した。|(Ya)―(Yb)|の値が1より大きくなると固体撮像素子に赤外線吸収フィルター適用した場合の色ばらつきが多くなり、色シューティング性が劣る。色シューティング性の評価結果を表2に示す。
[実施例8から実施例11、比較例4から比較例6]
表2に記載した通りの割合でポリマー、スクアリリウム系色素、ポリメチン系色素、その他の色素、溶剤を加えて溶液を調製した。実施例7と同様にして透明樹脂基板上に赤外吸収層が形成された基材、及び当該基材を使用し、上記同様にして基材の両面に誘電体多層膜が形成された赤外線吸収フィルターを形成した。
その後、実施例7の場合と同様にして、基材の光学特性評価、耐久性試験、誘電体多層膜の形成した赤外線吸収フィルター、赤外線吸収フィルターの光学特性評価を行った。結果を表2に示す。
[実施例12]
本発明の基材の実施形態の1つである赤外吸収色素を含有する樹脂基板及び当該基材に誘電体多層膜が形成された赤外線吸収フィルターに関する実施例を示す。以下の手順および条件で作成した。
<赤外吸収色素を含有する樹脂基板の作成>
表3に記載した通りの割合でポリマーE、スクアリリウム系色素として色素A、ポリメチン系色素として色素C及びクロロベンゼンを加えて溶液を調製した(ポリマー溶液3)。
得られた溶液を平滑なガラス板上にキャストし、20 ℃ で8時間乾燥した後、ガラス板から剥離した。剥離した塗膜をさらに減圧下100℃ で8時間乾燥して、厚さ0.1mm、縦60mm、横60mmの赤外吸収色素を含有する樹脂の基材を得た。
<透過率の測定>
その後、得られた基材1について日本分光(株)製の分光光度計(V-7200)を用いて、300~1200nmの波長範囲にて、基材の面に対して垂直方向から1nmごとに透過率(Ti)を測定し、波長430~580nmにおける1nmごとの透過率の平均透過率(Xa1)、および波長700~750nmにおける1nmごとの透過率の平均透過率(Xa2)を算出した。また、基材1Rについても同様に300~1200nmの波長範囲にて、基材の面に対して垂直方向から測定した1nmごとの透過率(Tr)を測定し、下記式を用いて700~750nmの各波長における吸光度(Ai)を算出した。波長600nmから750nmの領域において透過率が50%超から50%以下となる際の透過率が50%となる最も短い波長をXcとする。上記基材の光学特性を表3に示す。
Figure 2022085278000022
<耐久性試験>
耐久性試験について
その後透過率の測定で作成した基板を、エスペック製PV-212を用いて、150℃で1000時間加熱し、その後室温まで放冷させた。
得られた基板について、再度、日本分光(株)製の分光光度計(V-7200)を用いて、光が基材に対して垂直に入射する条件で測定し、(Tf)を測定した。その後、下記式に基づき波長700~750nmの各波長における吸光度(Af)を算出し、150℃で1000時間加熱前後の各波長域における吸光度保持率平均値(Xb)を下記式により算出した。結果を表3に示す。
Figure 2022085278000023

Figure 2022085278000024
<赤外吸収色素を含有する樹脂基板の赤外線級フィルターの作成>
実施例9で作成した基材の片面に第一光学層としてシリカ(SiO)層とチタニア(TiO)層とが交互に積層されてなる(合計26層)誘電体多層膜(IX)を形成し、さらに基材のもう一方の面に第二光学層としてシリカ(SiO)層とチタニア(TiO)層とが交互に積層されてなる(合計20層)誘電体多層膜(X)を形成し、厚さ約0 .107mm の赤外線吸収フィルターを得た。
誘電体多層膜 は、蒸着温度100℃でシリカ(SiO) 層とチタニア(TiO)層とが交互に積層されてなる。誘電体多層膜は、蒸着温度100 ℃ でシリカ(SiO)層とチタニア(TiO) 層とが交互に積層されてなる。誘電体多層膜は、シリカ層およびチタニア層は、基材側からチタニア層、シリカ層、チタニア、・・・シリカ層、チタニア層、シリカ層の順で交互に積層されており、赤外線吸収フィルターの最外層をシリカ層とした。
各層の厚さと層数については、可視域の反射防止効果と近赤外域の選択的な透過・反射性能を達成できるよう基材屈折率の波長依存特性や、適用した色素の吸収特性に合わせて光学薄膜設計ソフト( Essential Macleod、Thin Film Center社製)を用いて最適化を行った。
<赤外線吸収フィルターの分光評価>
上記に記載した両面に誘電体多層膜が形成された赤外線吸収フィルターについて、日本分光(株)製の分光光度計(V-7200)を用いて、光が赤外線吸収フィルターに対して垂直に入射する条件で測定し、波長430~580nmの範囲における1nmごとの透過率の平均透過率(Xd1)および波長700~1050nmの範囲における最大透過率(Xd2)を算出した。結果を表3に示す。
<色シェーティングの評価>
上記に記載した両面に誘電体多層膜が形成された赤外線吸収フィルターについて、日本分光(株)製の分光光度計(V-7200)を用いて、当該フィルターの面に対して垂直方向から測定した場合の波長600~750nmの範囲における透過率が50%に最も近くなる波長の値(Ya)、並びに当該フィルターの面に対して垂直方向に対して30°の角度から測定した場合の波長600~750nmの範囲における透過率が50%に最も近くなる波長の値(Yb)を算出し、(Ya)、(Yb)の差の絶対値|(Ya)―(Yb)|を算出した。|(Ya)―(Yb)|の値が1より大きくなると固体撮像素子に赤外線吸収フィルター適用した場合の色ばらつきが多くなり、色シューティング性が劣る。色シューティング性の評価結果を表3に示す。
[実施例13から実施例16、比較例7から比較例9]
表3に記載した通りの割合でポリマー、スクアリリウム系色素、ポリメチン系色素、その他の色素、溶剤を加えて溶液を調製した。実施例12と同様にして赤外吸収色素を含有する樹脂基材、及び当該基材を使用し、上記同様にして基材の両面に誘電体多層膜が形成された赤外線吸収フィルターを形成した。
その後、実施例12の場合と同様にして、基材の光学特性評価、耐久性試験、誘電体多層膜の形成した赤外線吸収フィルター、赤外線吸収フィルターの光学特性評価を行った。結果を表3に示す。
表1、表2、表3に示す赤外線吸収層形成用組成物に含まれる色素、ポリマーを示す。
スクアリリウム系色素A
Figure 2022085278000025

スクアリリウム系色素X
Figure 2022085278000026

スクアリリウム系色素K
Figure 2022085278000027

ポリメチン系色素C
Figure 2022085278000028

ポリメチン系色素D
Figure 2022085278000029

ポリメチン系色素E
Figure 2022085278000030

ポリメチン系色素F
Figure 2022085278000031

ポリメチン系色素G
Figure 2022085278000032

ポリメチン系色素H
Figure 2022085278000033

ポリメチン系色素J
Figure 2022085278000034

その他の色素B
Figure 2022085278000035
その他の色素L 日本化薬社製、IRG022 ジイモニウム
その他の色素M 日本触媒社製、イーエクスカラー810K フタロシアニン
その他の色素N みどり化学社製、MIR101 S系色素
ポリマーA 合成例1で得られたポリマー
ポリマーB 合成例2で得られたポリマー
ポリマーC ポリスルホン(Solvay社製、UdelP-1700NT11)
ポリマーD 合成例3で得られたポリマー
ポリマーE ポリカーボネート(帝人社製、パンライト K-1300Y)
表中の溶剤の略称PGMEAは、プロピレングリコールものチルエーテルアセテートである。
表1にガラス基板上に赤外線吸収層を有する基材ならびに当該基材に誘電体多層膜を形成した赤外線吸収フィルターの評価結果を示す。
Figure 2022085278000036
表2に透明樹脂基板上に赤外線吸収層を有する基材ならびに当該基材に誘電体多層膜を形成した赤外線吸収フィルターの評価結果を示す。
Figure 2022085278000037
表3に赤外線吸収色素を含む樹脂基板ならびに当該基材に誘電体多層膜を形成した赤外線吸収フィルターの評価結果を示す。
Figure 2022085278000038
表1、表2、表3の結果から本発明の基材及び基材に誘電体多層膜を積層した赤外線吸収フィルターは、長期に亘って、劣化を起こすことなく安定に保持でき,耐久性に優れ、さらに当該基材に誘電体多層膜を形成した赤外線吸収フィルターは色シューティング性に優れることが示された。そのため、本発明の基材及び赤外線吸収フィルターは、使用環境が広がってきている固体撮像素子や光センサー用赤外線吸収フィルターとして有用である。

Claims (12)

  1. ポリカーボネートまたはポリスルホンのいずれか一方と、ポリメチン系色素を含む赤外吸収層を有する基材。
  2. さらに、下記式(1)で示されるスクアリリウム系色素を含む請求項1記載の基材。
    Figure 2022085278000039

    (式(1)中、Xは単結合または酸素原子を示す。Yは、独立して、1つ以上の水素原子が、炭素数1~12 のアルキル基またはアルコキシ基で置換されていてもよい炭素数1から12のアルカンジイル基である。Zはスルホニル基またはカルボニル基を示す。
    は、独立して、飽和環構造を含んでもよく、分岐を有してもよい炭素数1~12 の飽和もしくは不飽和炭化水素基、炭素数3~12の飽和環状炭化水素基、炭素数6 ~12のアリール基または炭素数7~13のアルアリール基を示す。
    は、独立して、1つ以上の水素原子がハロゲン原子、水酸基、カルボキシ基、スルホ基、またはシアノ基で置換されていてもよく、炭素原子間に不飽和結合、酸素原子、飽和もしくは不飽和の環構造を含んでよい炭素数1~25の炭化水素基である。また、Rは相互に結合して環構造を形成してもよい。
    およびRは、独立して、水素原子、ハロゲン原子、または炭素数1~10のアルキル基もしくはアルコキシ基を示す。)
  3. 前記ポリメチン系色素が下記式(2-1)又は下記式(2-2)で示される請求項1または請求項2に記載の基材。
    Figure 2022085278000040

    (式(2-1)中、RからR、Y1a、Y1b、Y1c、Z1a、Z1bはそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~20のシクロアルキル基、炭素原子数6~10のアリール基、炭素原子数7~14のアラルキル基、炭素原子数2~6のアルケニル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、炭素原子数1~10のアシル基、炭素原子数1~4のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれる基を表す。Z1a及びZ1bが結合して環を形成していてもよく、Y1a、Y1b、Y1cのうち隣接した2つが相互に結合して環を形成していてもよい。Aは一価のアニオンである。
    式(2-2)中、R11からR16、Y2a、Y2b、Y2c、Z2a、Z2bはそれぞれ独立に、水素原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~20のシクロアルキル基、炭素原子数6~10のアリール基、炭素原子数7~14のアラルキル基、炭素原子数2~6のアルケニル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、炭素原子数1~10のアシル基、炭素原子数1~4のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれる基を表す。Z1a及びZ1bが結合して環を形成していてもよく、Y1a、Y1b、Y1cのうち隣接した2つが相互に結合して環を形成していてもよい。Aは一価のアニオンである。
  4. 前記ポリカーボネートが下記式(3)で示される繰り返し単位を含む請求項1から請求項3のいずれかに記載の基材。
    Figure 2022085278000041

    (式中、Wはそれが結合している炭素原子と一緒になって、原子数5~15の環状炭化水素基を示す。R1aおよびR1bは同一又は異なり、水素原子、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数6~20のシクロアルキル基、炭素原子数6~10のアリール基、炭素原子数7~14のアラルキル基、炭素原子数2~6のアルケニル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基、炭素原子数1~10のアシル基、炭素原子数1~4のアルコキシカルボニル基、ハロゲン原子、ニトロ基及びシアノ基からなる群から選ばれる基を表す。m1及びm2は同一又は異なる0~4の整数を示す。)
  5. ポリカーボネートの繰り返し単位100モル%中、式(3)で示される繰り返し単位が50モル%以上である請求項1から請求項4のいずれかに記載の基材。
  6. 前記式(1)で示される繰り返し単位が、下記式(4)または下記式(5)で示される繰り返し単位の少なくとも一方を含む請求項1から請求項5に記載の基材。
    Figure 2022085278000042
  7. さらに、フタロシアニン系色素、ジチオール系色素およびジインモニウム系色素からなる群より選ばれる少なくとも一種の色素を含む請求項1から請求項6に記載の基材。
  8. 前記基材が、ガラス基板上に前記赤外吸収層が形成された基材、透明樹脂基板上に前記赤外吸収層が形成された基材、または赤外吸収色素を含有する樹脂基板のいずれかである請求項1から請求項7に記載の基材。
  9. 請求項1から請求項8に記載の基材の赤外線吸収層を形成するためのポリカーボネートまたはポリスルホンのいずれか一方と、ポリメチン系色素を含む赤外線吸収層形成用組成物。
  10. 請求項1から請求項8に記載の基材の少なくとも一方に誘電体多層膜を有する赤外線吸収フィルター。
  11. 固体撮像装置用である請求項10に記載の赤外線吸収フィルター。
  12. 環境光センサー用である請求項10に記載の赤外線吸収フィルター。
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