JP2022084377A - ワインダ制御システム - Google Patents
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Abstract
【課題】シート材の張力変動を抑えるための調整量を少なくする。【解決手段】一態様にかかるワインダ制御システムは、張力検出部が検出した張力と張力基準値との偏差に基づくPI制御によって算出されたアンワインダへの操作量に対応する補正量が所定値以上であり、アンワインダが加減速をしていない場合に、張力検出部が検出した張力に基づく補正量を補償し、コイル径がアンワインダのスプール径の所定数倍以下であり、アンワインダが減速している場合に、所定値以上の補正量を補償し、アンワインダが減速している場合に、所定値以上の補正量をコイル径に基づいて補償し、アンワインダが加速している場合に、所定値以上の補正量をコイル径に基づいて補償する。【選択図】図2
Description
本発明は、ワインダ制御システムに関する。
例えば、巻取された紙、フィルム、又は金属からなるシート材を所定の幅に裁断して巻き直すワインダ設備は、シート材の張力を所定範囲内に保つようにPI制御を行うことにより、巻取りズレ、シワの発生、及びスリッタのズレ(裁断面のズレ)などを防ぐように動作を安定化させていることが知られている。
シート材を巻き取るワインダに向けてシート材を巻き戻すアンワインダは、加減速運転中であっても、シート材の張力を保つために、トルク制御(電流制御)が行われている(例えば特許文献1参照)。
また、トルク制御を行う場合、シート材の比重設定や部材の物理的な誤差などにより、トルク演算において基準値に対する偏差が生じることがある。
特に、運転開始時、停止時、加減速の開始時・終了時には偏差が生じやすい。この偏差に対しては、補正制御を行って、補正出力をトルクの演算値に上乗せする制御を行われることが一般的である。つまり、算出したトルクに対して補正を行う1つのフィードバック制御が行われている。
アンワインダのトルク制御を行う場合、シート材の設定されたコイル径(巻径)に対する演算遅れ、シート材の幅や密度の代入ミスによる加減速補償トルク値のズレ、メカロス要素となるスプール(巻き芯)の機械駆動が異なることによるメカロス分(スプール分など)ズレ、アンワインダの駆動電動機の発熱等によるトルク値のズレ、機械的要因による演算トルク値のズレなどが発生することがある。
よって、制御の基準値に対する偏差を小さくするためには、調整員が補正出力の具合を監視して、ゲインや時限調整を設定していたため、多くの時間と労力が必要となっていた。例えば、アンワインダの速度によって、ロールとシート材の摩擦係数が変わるような場合や、機械的要素により張力が不安定になって変動する場合、調整に多くの時間を要していた。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、シート材の張力変動を抑えるための調整量を少なくすることができるワインダ制御システムを提供することを目的とする。
本発明の一態様にかかるワインダ制御システムは、シート材を巻き取るワインダに向けてアンワインダが巻き戻すシート材の張力を所定範囲内に保つようにPI制御を行うワインダ制御システムにおいて、前記アンワインダが巻き戻すシート材の張力を検出する張力検出部と、前記張力検出部が検出した張力と張力基準値との偏差に基づくPI制御によって算出された前記アンワインダへの操作量に対応する補正量が所定値以上であり、前記アンワインダが加減速をしていない場合に、前記張力検出部が検出した張力に基づく前記補正量を補償する張力分補償部と、コイル径が前記アンワインダのスプール径の所定数倍以下であり、前記アンワインダが減速している場合に、所定値以上の前記補正量を補償するスプール分補償部と、前記アンワインダが減速している場合に、所定値以上の前記補正量をコイル径に基づいて補償する減速コイル分補償部と、前記アンワインダが加速している場合に、所定値以上の前記補正量をコイル径に基づいて補償する加速コイル分補償部と
を有することを特徴とする。
を有することを特徴とする。
本発明によれば、シート材の張力変動を抑えるための調整量を少なくすることができる。
以下に、図面を用いてワインダ制御システム(ワインダ設備)の一実施形態を説明する。図1は、一実施形態にかかるワインダ制御システム100の構成例を示す図である。ワインダ制御システム100は、例えばアンワインダ1、中間ロール2、中間ロール3、スリッタ4、ドラム5,5、ワインダ6、及び制御部7を有し、シート材Sを巻き取るワインダ6に向けてアンワインダ1が巻き戻すシート材Sの張力を所定範囲内に保つようにPI制御を行う。
具体的には、アンワインダ1は、ワインダ制御システム100の最上流に設けられ、ギヤ8を介して駆動電動機9により駆動されて、紙又はフィルムなどのシート材Sをワインダ6に向けて巻き戻す。また、アンワインダ1には、圧力によって当該アンワインダ1の回転を抑制するブレーキ10が設けられている。
中間ロール2,3は、アンワインダ1の下流側に設けられ、それぞれシート材Sに張力を与えつつ、シート材Sをワインダ6に向けて搬送する。また、中間ロール3には、シート材Sにかかる張力を検出し、検出した張力を制御部7に対して出力する張力検出部11が設けられている。つまり、張力検出部11は、アンワインダ1が巻き戻すシート材Sの張力を検出する。
スリッタ4は、中間ロール3の下流側に設けられ、シート材Sを所定の幅に裁断する。ドラム5,5は、スリッタ4の下流側に設けられ、それぞれギヤ12を介して駆動電動機13により駆動されて、最下流に設けられたワインダ6がシート材Sを巻き取るように回転する。また、ドラム5,5は、圧力によって当該ドラム5,5の回転を抑制するブレーキ14がそれぞれ設けられている。
制御部7は、CPU15及びメモリ16を備え、ワインダ制御システム100を構成する各部を制御する。例えば、制御部7は、張力検出部11が検出したシート材Sの張力に基づいて、駆動電動機9,13,13及びブレーキ10,14,14を制御する。
例えば、制御部7は、ブレーキ10,14,14がそれぞれ備える張力アンプ(図示せず)に対し、操作量を電流値として補正量を補償しつつトルク制御(電流制御)を行い、アンワインダ1及びワインダ6の回転を制御するPI制御を行う。例えば、ワインダ制御システム100は、1~8倍に可変のトルク比が必要な設備である。
次に、制御部7が有する機能について説明する。図2は、制御部7が有する機能及び情報の流れを例示する機能ブロック図である。図2に示すように、制御部7は、補正量判定部20、速度変動判定部21、張力分補償部22、コイル径判定部23、スプール分補償部24、加減速判定部25、減速コイル分補償部26、加速コイル分補償部27、及び出力部28を有する。
補正量判定部20は、張力検出部11が検出した張力と、メモリ16が記憶している張力基準値との偏差に基づくPI制御によって算出されたアンワインダ1への操作量(電流値)に対応する補正量が所定値(例えば±5%)以内であるか否かを判定する。
速度変動判定部21は、補正量が所定値以上である場合に、アンワインダ1が速度変動をしているか否か、すなわちアンワインダ1が加減速中であるか否かを判定する。
張力分補償部22は、張力検出部11が検出した張力と張力基準値との偏差に基づくPI制御によって算出されたアンワインダ1への操作量に対応する補正量が所定値以上であり、アンワインダ1が加減速をしていない場合に、張力検出部11が検出した張力に基づく補正量を補償する。
コイル径判定部23は、アンワインダ1が加減速中である場合に、コイル径がアンワインダ1のスプール径の例えば1.1倍以下であるか否かを判定する。
スプール分補償部24は、コイル径がアンワインダ1のスプール径の例えば1.1倍以下であり、アンワインダ1が減速している場合に、所定値以上のスプール分の補正量を補償する。
加減速判定部25は、コイル径がアンワインダ1のスプール径の例えば1.1倍以下でない場合に、アンワインダ1が加速中又は減速中のいずれであるかを判定する。
減速コイル分補償部26は、コイル径がアンワインダ1のスプール径の例えば1.1倍以下でなく、アンワインダ1が減速している場合に、所定値以上の補正量をコイル径に基づいて補償する。
加速コイル分補償部27は、コイル径がアンワインダ1のスプール径の例えば1.1倍以下でなく、アンワインダ1が加速している場合に、所定値以上の補正量をコイル径に基づいて補償する。
出力部28は、張力分補償部22、スプール分補償部24、減速コイル分補償部26、及び加速コイル分補償部27が補償した結果を加算して、アンワインダ1に対するブレーキ10(図1)を操作する信号を出力する。
次に、図2及び図3を用いて、制御部7がブレーキ10に対して行う制御例について説明する。図3は、制御部7がブレーキ10に対して行う制御を例示する制御ブロック図である。
スプール分補償部24は、ライン基準となるMRH(マスター速度基準)aに基づいて、スプール加減速トルク演算bを行ってスプール加減速補償ゲインcを算出する。
また、減速コイル分補償部26及び加速コイル分補償部27は、MRHaに基づいて、コイル分加減速トルク演算dを行ってコイル分加減速補償ゲインeを算出する。
また、張力分補償部22は、メモリ16(図1)が記憶しているシート材Sの張力設定値fに対する張力フィードバックgを用いたPI制御張力補正hの補正量に基づいて、張力分トルク演算iを行って張力分トルクjを算出する。
また、制御部7は、アンワインダ速度kとメカロスカーブlとに基づいて、その他のメカロス分トルクを算出する。
そして、出力部28は、上述した算出結果を加算して、アンワインダ1に対するトルク基準に総合トルク分の補正量を出力する。なお、アンワインダ1が加速している場合には力行側へトルクが発生し、アンワインダ1が定速である場合には張力分により回生側トルクが要求され、アンワインダ1が減速中にはさらなる回生側トルクが要求される。
次に、ワインダ制御システム100の動作例について説明する。図4は、ワインダ制御システム100の動作例を示すフローチャートである。
まず、S100の処理において、制御部7は、ワインダ制御システム100が張力制御を開始しているか否かを判定し、張力制御を開始していない場合(S100:No)には処理を継続し、張力制御を開始している場合(S100:Yes)にはS102の処理に進む。
S102の処理において、補正量判定部20は、張力補正の出力(補正量)が例えば±5%以内であるか否かを判定し、±5%以内である場合(S102:Yes)には処理を継続し、±5%以内でない場合(S102:No)にはS104の処理に進む。
S104の処理において、速度変動判定部21は、アンワインダ1が加減速中であるか否かを判定し、加減速中でない(定速である)場合(S104:No)にはS106の処理に進み、加減速中である場合(S104:Yes)にはS108の処理に進む。
S106の処理において、張力分補償部22は、張力検出部11が検出した張力に基づく補正量を補償する。張力分補償部22は、張力補正が+(張り方向)である場合、デッドバンド(±5%程度)を設けて、張力分補償が力行方向に効きすぎているので、ゲインを上げ方向に(張力補正)変化させて、張力補正をデッドバンド内(安定制御内)へ移行させるように張力分補償ゲインを与える。このときの変化は、±100%偏差に対して10%/1秒程度の緩いレート定数とする。また、張力分補償部22は、補正極性が緩めである場合には、ゲインを下げ方向へ制御する。
例えば、張力分補償部22は、下式(1)に示したように補償を行う。
張力分補償ゲイン+(張力補正×差出した補償ゲイン)
→張力分補償ゲイン・・・(1)
→張力分補償ゲイン・・・(1)
S108の処理において、コイル径判定部23は、コイル径がアンワインダ1のスプール径の例えば1.1倍以下であるか否かを判定し、1.1倍以下である場合(S108:Yes)にはS110の処理に進み、1.1倍以下でない場合(S108:No)にはS112の処理に進む。
S110の処理において、スプール分補償部24は、スプール分の補正量を補償する。スプール分補償部24は、スプール分のトルクがアンワインダ1の軸駆動トルク全体に対して小さいので、コイル径が小さく、減速中にのみスプール分補償ゲインを与える。
スプール分補償部24は、コイル径がアンワインダ1のスプール径の1.1倍以下であり、張力補正が+(張り方向)である場合、デッドバンド(±5%程度)を設けて、スプール分補償が回生方向に効きすぎているので、ゲインを下げ方向に変化させて、張力補正をデッドバンド内(安定制御内)へ移行させるようにスプール分補償ゲインを与える。このときの変化は、±100%偏差に対して10%/1秒程度の緩いレート定数とする。
例えば、スプール分補償部24は、下式(2)に示したように補償を行う。
スプール分補償ゲイン+(張力補正×差出した補償ゲイン)
→スプール分補償ゲイン・・・(2)
→スプール分補償ゲイン・・・(2)
S112の処理において、加減速判定部25は、アンワインダ1が加速中又は減速中のいずれであるかを判定し、加速中である場合にはS114の処理に進み、減速中である場合にはS116の処理に進む。
S114の処理において、加速コイル分補償部27は、補正量をコイル径に基づいて補償する。
例えば、加速コイル分補償部27は、下式(3)に示したように補償を行う。
加速コイル分補償ゲイン-(張力補正×差出した補償ゲイン)
→加速コイル分補償ゲイン・・・(3)
→加速コイル分補償ゲイン・・・(3)
S116の処理において、減速コイル分補償部26は、補正量をコイル径に基づいて補償する。
例えば、減速コイル分補償部26は、下式(4)に示したように補償を行う。
減速コイル分補償ゲイン+(張力補正×差出した補償ゲイン)
→減速コイル分補償ゲイン・・・(4)
→減速コイル分補償ゲイン・・・(4)
なお、加速コイル分補償部27及び減速コイル分補償部26は、張力補正が+(張り方向)である場合、デッドバンド(±5%程度)を設け、コイル分補償が力行方向に効きすぎているので、ゲインを下げ方向へ変化させて、張力補正をデッドバンド内(±5%程度の安定制御内)へ移行させるようにコイル分補償ゲインを与える。このときの変化は、ハンチングをさせないように、±100%偏差に対して10%/1秒程度の緩いレート定数とする。また、加速コイル分補償部27及び減速コイル分補償部26は、補正極性が緩めである場合には、ゲインを上げ方向へ制御する。
また、アンワインダ1に対するゲインの補償そのものがシート材Sに対する張力制御への外乱となることを避けるため、制御部7は、ゲインの補償を小さくするように制御を行ってもよい。
また、制御部7は、張力制御そのものの応答により、例えば10秒に一回程度で応答時間を1/100秒程度にしたゲインの補償を行うように構成されてもよい。また、制御部7は、アンワインダ1が定速である場合には、張力補正量が±30%以上であればロードセル異常とみなして、ゲインの補償を行わず、故障をアナウンスするように構成されてもよい。また、制御部7は、張力補正量が演算ゲインの±50%以上である場合には、ゲインの補償を行わず、故障をアナウンスするように構成されてもよい。
このように、ワインダ制御システム100は、張力検出部11が検出した張力と張力基準値との偏差に基づくPI制御によって算出されたアンワインダ1への操作量に対応する補正量が所定値以上である場合に、張力分補償、スプール分補償、減速コイル分補償、加速コイル分補償などを行うので、シート材Sの張力変動を抑えるための調整量を少なくすることができる。
また、ワインダ制御システム100は、補償を行いつつ運転を継続することにより、さらに張力補正出力が小さくなり、シート材Sの張力変動を抑えるための調整量を少なくすることができる。
なお、ワインダ制御システム100における張力応答は、例えばドラム5,5の速度応答の3倍以上の時限とする。アンワインダ1の速度応答を1秒とすると、制御部7が補償する応答は、重みの補償を含めて5秒程度とする。
また、シート材Sの厚みが50μmm~500μmmである場合には、コイル径の変化率が小さいため、ハンチングを防止するために、補正量を補償する追従性を遅くすることも有効である。
また、ワインダ制御システム100は、シート材Sの密度定数や、制御部7に入力されるロードセル信号にズレ、張力アンプのゼロ調整ズレ、又はスパン調整異常などが発生するような場合であっても、アンワインダ1の加減速時におけるシート材Sの張力変動を抑えることができる。
また、ワインダ制御システム100は、ワインダ6のスプール(巻取り芯)の機械トルクが異なる場合でも、巻き取り回数を増やすことにより、シート材Sの張力変動を抑えることができる。
そして、ワインダ制御システム100は、動作を安定させるために調整員が行う調整を削減することができ、調整時間の短縮化を可能にする。
なお、制御部7が行う制御の各機能は、それぞれ一部又は全部がPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアによって構成されてもよいし、CPU等のプロセッサが実行するプログラムとして構成されてもよい。
1・・・アンワインダ、2・・・中間ロール、3・・・中間ロール、4・・・スリッタ、5・・・ドラム、6・・・ワインダ、7・・・制御部、8,12・・・ギヤ、9,13・・・駆動電動機、10,14・・・ブレーキ、11・・・張力検出部、15・・・CPU、16・・・メモリ、20・・・補正量判定部、21・・・速度変動判定部、22・・・張力分補償部、23・・・コイル径判定部、24・・・スプール分補償部、25・・・加減速判定部、26・・・減速コイル分補償部、27・・・加速コイル分補償部、28・・・出力部、100・・・ワインダ制御システム
Claims (1)
- シート材を巻き取るワインダに向けてアンワインダが巻き戻すシート材の張力を所定範囲内に保つようにPI制御を行うワインダ制御システムにおいて、
前記アンワインダが巻き戻すシート材の張力を検出する張力検出部と、
前記張力検出部が検出した張力と張力基準値との偏差に基づくPI制御によって算出された前記アンワインダへの操作量に対応する補正量が所定値以上であり、前記アンワインダが加減速をしていない場合に、前記張力検出部が検出した張力に基づく前記補正量を補償する張力分補償部と、
コイル径が前記アンワインダのスプール径の所定数倍以下であり、前記アンワインダが減速している場合に、所定値以上の前記補正量を補償するスプール分補償部と、
前記アンワインダが減速している場合に、所定値以上の前記補正量をコイル径に基づいて補償する減速コイル分補償部と、
前記アンワインダが加速している場合に、所定値以上の前記補正量をコイル径に基づいて補償する加速コイル分補償部と
を有することを特徴とするワインダ制御システム。
Priority Applications (1)
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JP2020196220A JP2022084377A (ja) | 2020-11-26 | 2020-11-26 | ワインダ制御システム |
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2020
- 2020-11-26 JP JP2020196220A patent/JP2022084377A/ja active Pending
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