JP2022083438A - 硬化性組成物 - Google Patents

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靖之 石井
Yasuyuki Ishii
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Abstract

【課題】 本発明は、湿気によって効果して防汚効果に優れた硬化物を生成すると共に、製造後に長期間に亘って保存された後に使用した場合にあっても、優れた防汚効果を有する硬化物を生成することができる(貯蔵安定性)硬化性組成物を提供する。【解決手段】 本発明の硬化性組成物は、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)と、アクリル系重合体(B)と、アミン化合物(C)と、ポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤とを含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、湿気により硬化し、長期間保管された後に使用しても、防汚効果を発揮することができる硬化物を与える硬化性組成物に関する。
従来から、架橋可能な加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン系重合体を含有する硬化性組成物が知られている(特許文献1)。硬化性組成物は、雰囲気中に含まれる湿気により架橋可能な加水分解性シリル基が加水分解した後に脱水縮合することによって、接着性に優れた硬化物を生じる。
このような硬化性組成物は、例えば、建築構造物の外壁などにおいて、モルタル板、コンクリート板、ALC(Autoclaved Light-weight Concrete)板、金属板などの外壁部材間の接合部(いわゆる「目地部」)に充填することによって、外壁部材同士を接合するために用いられている。このように硬化性組成物を使用することによって、外壁部材間の接合部から建築構造物内部へ雨水が浸入することを抑制している。
近年では建築構造物の外壁を構成している外壁部材の表面に防汚処理が施されていることがある。このような場合、外壁部材は汚れが付着し難く、長期間において外壁の美観を保つことが出来る。
しかしながら、目地部に充填された硬化性組成物の硬化物には防汚処理が施されていない。このような場合、硬化性組成物の硬化物表面にタックが残るため、硬化性組成物の硬化物の表面に埃や汚染物質によって汚れが付着してしまう。そのため、外壁全体で見た場合に外観が損なわれるという問題があった。従って、硬化性組成物の硬化物にも長期間に亘って防汚効果を発揮できることが求められている。
また、硬化性組成物は、製造されてから使用されるまでに長期間に亘って保存される場合がある。
特許文献2には、ジアミン化合物(C2)を用いることで、硬化性組成物の硬化物表面を親水化させ、自浄作用による防汚効果が得られることが開示されている。
特許文献3には、ジアミン化合物(C2)に加えて、フッ素含有界面活性剤をさらに用いることで、硬化性組成物の硬化物表面をより高く親水化させ、自浄作用による防汚効果を向上できることが開示されている。
特開平2008-1833号公報 特開2004-059870号公報 特開平2008-291159号公報
しかしながら、特許文献2の硬化性樹脂組成物は、製造後の保存期間が長期間に亘った場合、硬化性樹脂組成物の硬化物の防汚効果が失われるという問題点を有する。
特許文献3の硬化性組成物は、ジアミン化合物(C2)に加えて、フッ素含有界面活性剤を更に用いることで、硬化性組成物の硬化物表面をより高く親水化させ、自浄作用による防汚効果を向上できることが開示されているが、フッ素含有界面活性剤の使用は、大幅な価格上昇を招き、コスト面で実用的ではない。
本発明は、湿気によって効果して防汚効果に優れた硬化物を生成すると共に、製造後に長期間に亘って保存された後に使用した場合にあっても、優れた防汚効果を有する硬化物を生成することができる(貯蔵安定性)硬化性組成物を提供する。
本発明の硬化性組成物は、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)と、アクリル系重合体(B)と、アミン化合物(C)と、式(3)で示される構造式を有するポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤とを含有する。
5-O-(R6-O)-H (3)
但し、R5は、炭素数が13以上のアルキル基であり、R6は、アルキレン基を表し、pは、繰り返し単位の数であって正の整数である。
[加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)]
硬化性組成物は、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)を含む(以下、単に「ポリオキシアルキレン系重合体(A)」ということがある)。加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)によれば、雰囲気中や目地部などに存在する湿気により硬化することができる硬化性組成物を提供することが可能となる。
本発明において、加水分解性シリル基とは、珪素原子に1~3個の加水分解性基が結合してなる基である。加水分解性シリル基の加水分解性基としては、特に限定されず、例えば、水素原子、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、ケトキシメート基、アミノ基、アミド基、酸アミド基、アミノオキシ基、メルカプト基、アルケニルオキシ基などが挙げられる。
ポリオキシアルキレン系重合体(A)の加水分解性シリル基としては、加水分解反応が穏やかであることから、アルコキシシリル基が好ましい。アルコキシシリル基としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、及びトリフェノキシシリル基などのトリアルコキシシリル基;メチルジメトキシシリル基、及びメチルジエトキシシリル基などのジアルコキシシリル基;並びに、ジメチルメトキシシリル基、及びジメチルエトキシシリル基などのモノアルコキシシリル基が挙げられる。なかでも、ポリオキシアルキレン系重合体(A)の加水分解性シリル基としては、ジアルコキシシリル基がより好ましく、メチルジメトキシシリル基が特に好ましい。
ポリオキシアルキレン系重合体(A)は、1分子中に平均して、好ましくは1~3個、より好ましくは1~2個の加水分解性シリル基を有している。ポリオキシアルキレン系重合体(A)の主鎖が直鎖状である場合、ポリオキシアルキレン系重合体(A)は、1分子中に平均して、1~2個の加水分解性シリル基を有していることが好ましい。また、ポリオキシアルキレン系重合体(A)の主鎖が分岐状である場合、ポリオキシアルキレン系重合体(A)は、1分子中に平均して、1~3個の加水分解性シリル基を有していることが好ましい。ポリオキシアルキレン系重合体(A)における加水分解性シリル基の数が1個以上であると、硬化性組成物の硬化性が向上する。また、ポリオキシアルキレン系重合体(A)における加水分解性シリル基の数が上記上限値以下であると、硬化性組成物の硬化物のゴム弾性が向上する。又、ポリオキシアルキレン系重合体(A)は、その主鎖の両末端のうち少なくとも一方に加水分解性シリル基を有していることが好ましい。
なお、ポリオキシアルキレン系重合体(A)中における、1分子当たりの加水分解性シリル基の平均個数は、1H-NMRにより求められるポリオキシアルキレン系重合体(A)中の加水分解性シリル基の濃度、及びGPC法により求められるポリオキシアルキレン系重合体(A)の数平均分子量に基づいて算出することができる。
ポリオキシアルキレン系重合体(A)としては、主鎖が、一般式:-(R1-O)n-(式中、R1は炭素数が1~14のアルキレン基を表し、nは、繰り返し単位の数であって正の整数である。)で表される繰り返し単位を含有する重合体が好ましく挙げられる。ポリオキシアルキレン系重合体(A)の主鎖骨格は一種のみの繰り返し単位からなっていてもよいし、二種以上の繰り返し単位からなっていてもよい。なお、本発明において、主鎖とは、最も長い分子鎖をいい、分子鎖を構成している原子数に基づいて判断され、原子数が多いほど、分子鎖が長いとする。
ポリオキシアルキレン系重合体(A)の主鎖骨格としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド-ポリプロピレンオキサイド共重合体、及びポリプロピレンオキサイド-ポリブチレンオキサイド共重合体などが挙げられる。なかでも、ポリプロピレンオキサイドが好ましい。ポリプロピレンオキサイドによれば、硬化後に優れたゴム弾性又は接着性に優れる硬化性組成物を提供することができる。
ポリオキシアルキレン系重合体(A)の重量平均分子量は、25,000~60,000が好ましく、26,000~40,000がより好ましい。ポリオキシアルキレン系重合体(A)の重量平均分子量が25,000以上であると、硬化性組成物の硬化物のゴム弾性が向上する。ポリオキシアルキレン系重合体(A)の重量平均分子量が60,000以下であると、硬化性組成物の塗工性が向上する。
ポリオキシアルキレン系重合体(A)の数平均分子量は、15,000~50,000が好ましく、16,000~30,000がより好ましい。ポリオキシアルキレン系重合体(A)の数平均分子量が15,000以上であると、硬化性組成物の硬化物のゴム弾性が向上する。ポリオキシアルキレン系重合体(A)の数平均分子量が50,000以下であると、硬化性組成物の塗工性が向上する。
なお、本発明において、ポリオキシアルキレン系重合体(A)の数平均分子量及び重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって測定されたポリスチレン換算した値である。具体的には、ポリオキシアルキレン系重合体6~7mgを採取し、採取したポリオキシアルキレン系重合体を試験管に供給した上で、試験管に0.05質量%のBHT(ジブチルヒドロキシトルエン)を含むo-DCB(オルトジクロロベンゼン)溶液を加えてポリオキシアルキレン系重合体の濃度が1mg/mLとなるように希釈して希釈液を作製する。
溶解濾過装置を用いて145℃にて回転速度25rpmにて1時間に亘って上記希釈液を振とうさせてポリオキシアルキレン系重合体をBHTを含むo-DCB溶液に溶解させて測定試料とする。この測定試料を用いてGPC法によってポリオキシアルキレン系重合体の数平均分子量及び重量平均分子量を測定することができる。
なお、本発明において、ポリオキシアルキレン系重合体における数平均分子量及び重量平均分子量は、例えば、下記測定装置及び測定条件にて測定することができる。
測定装置 TOSOH社製 商品名「HLC-8121GPC/HT」
測定条件 カラム:TSKgelGMHHR-H(20)HT×3本
TSKguardcolumn-HHR(30)HT×1本
移動相:o-DCB 1.0mL/分
サンプル濃度:1mg/mL
検出器:ブライス型屈折計
標準物質:ポリスチレン(TOSOH社製 分子量:500~8420000)
溶出条件:145℃
SEC温度:145℃
加水分解性シリル基を含有しているポリオキシアルキレン系重合体(A)は、市販されているものを用いることができる。例えば、主鎖骨格がポリプロピレンオキサイドであり、主鎖骨格の末端にメチルジメトキシシリル基を有しているポリオキシアルキレン系重合体(A)としては、AGC社製 商品名「エクセスター S4530」、「エクセスター S2730C」、「エクセスター S2420」などが挙げられる。
加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の総量中における加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)の含有量は、30質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、55質量%以上がより好ましい。加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)の含有量が30質量%以上であると、硬化性組成物の塗工性が向上する。
加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の総量中における加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)の含有量は、80質量%以下が好ましく、70質量%以下がより好ましく、70質量%以下がより好ましい。加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)の含有量が80質量%以下であると、硬化性組成物の硬化物は長期間に亘って優れたゴム弾性を維持する。
[アクリル系重合体(B)]
硬化性組成物は、アクリル系重合体(B)を含有する。アクリル系重合体(B)を用いることにより、アクリル系樹脂(B)と相溶性の低い、後述するポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤が表面移行しやすくなり、硬化性組成物の硬化物の防汚効果を高めることができる。
アクリル系重合体(B)は、加水分解性シリル基を有していてもよい。アクリル系重合体(B)又はその一部が加水分解性シリル基を有していることによって、硬化性組成物の硬化物の防汚性が向上する。
アクリル系重合体(B)は、主鎖骨格の両末端に加水分解性シリル基を有するアクリル系重合体と、主鎖骨格の何れか一方の末端のみに加水分解性シリル基を有するアクリル系重合体とを含むことが好ましい。硬化性組成物の貯蔵安定性が向上し、後述するポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤を硬化性組成物の硬化物表面に円滑に移行させることができ、硬化物は優れた防汚性を発揮するので好ましい。
アクリル系重合体(B)が有している加水分解性シリル基としては、硬化性組成物の硬化物が長期間に亘って優れたゴム弾性を維持することができるので、アルコキシシリル基が好ましい。アルコキシシリル基としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、及びトリフェノキシシリル基などのトリアルコキシシリル基;メチルジメトキシシリル基、及びメチルジエトキシシリル基などのジメトキシシリル基;並びに、ジメチルメトキシシリル基、及びジメチルエトキシシリル基などのモノアルコキシシリル基が挙げられる。なかでも、ジアルコキシシリル基及びトリアルコキシリル基がより好ましく、ジアルコキシシリル基がより好ましく、ジメトキシシリル基が特に好ましい。
アクリル系重合体(B)は、1分子中に平均して、好ましくは0.1個以上、より好ましくは0.5個以上、より好ましくは0.6個以上、より好ましくは、1個以上の加水分解性シリル基を有している。アクリル系重合体(B)は、1分子中に平均して、好ましくは4個以下、より好ましくは3個以下、より好ましくは2個以下、より好ましくは1.5個以下の加水分解性シリル基を有している。アクリル系重合体(B)において、1分子中における加水分解性シリル基の平均個数が0.1個以上であると、硬化性組成物の硬化性が向上する。アクリル系重合体(B)において、1分子中における加水分解性シリル基の平均個数が4個以下であると、硬化性組成物の硬化物のゴム弾性が向上する。
なお、アクリル系重合体(B)中における、1分子当たりの加水分解性シリル基の平均個数は、1H-NMRにより求められるアクリル系重合体(B)中の加水分解性シリル基の濃度、及びGPC法により求められるアクリル系重合体(B)の数平均分子量に基づいて算出することができる。
アクリル系重合体(B)の主鎖骨格としては、(メタ)アクリレート系モノマーをラジカル重合して得られるアクリル系重合体(B)が挙げられる。なお、(メタ)アクリレートは、メタクリレート又はアクリレートを意味する。
アクリル系重合体(B)の主鎖を構成する(メタ)アクリレート系モノマーとして、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-3-メチルブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-[アクリロイルオキシ]エチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸、及び2-[アクリロイルオキシ]エチル-2-ヒドロキシプロピルフタル酸などが挙げられる。(メタ)アクリレート系モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート及びブチル(メタ)アクリレートが好ましい。これらの(メタ)アクリレート系モノマーは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
アクリル系重合体(B)において、他のモノマーを共重合することも可能である。このようなモノマーとしては、例えば、スチレン、インデン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、p-クロロスチレン、p-クロロメチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-tert-ブトキシスチレン、ジビニルベンゼンなどのスチレン誘導体、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、安息香酸ビニル、珪皮酸ビニルなどのビニルエステル基を持つ化合物、無水マレイン酸、N-ビニルピロリドン、N-ビニルモルフォリン、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-ラウリルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、n-プロピルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、tert-ブチルビニルエーテル、tert-アミルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、オクタデシルビニルエーテル、2-クロロエチルビニルエーテル、エチレングリコールブチルビニルエーテル、トリエチレングリコールメチルビニルエーテル、安息香酸(4-ビニロキシ)ブチル、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリエチレングリコールジビニルエーテル、テトラエチレングリコールジビニルエーテル、ブタン-1,4-ジオール-ジビニルエーテル、ヘキサン-1,6-ジオール-ジビニルエーテル、シクロヘキサン-1,4-ジメタノール-ジビニルエーテル、イソフタル酸ジ(4-ビニロキシ)ブチル、グルタル酸ジ(4-ビニロキシ)ブチル、コハク酸ジ(4-ビニロキシ)ブチルトリメチロールプロパントリビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル、6-ヒドロキシヘキシルビニルエーテル、シクロヘキサン-1,4-ジメタノールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、3-アミノプロピルビニルエーテル、2-(N,N-ジエチルアミノ)エチルビニルエーテル、ウレタンビニルエーテル、ポリエステルビニルエーテルなどのビニロキシ基を持つ化合物などを挙げることができる。これらのモノマーは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
なかでも、アクリル系重合体(B)の主鎖骨格としては、ブチル(メタ)アクリレート及びメチル(メタ)アクリレートの共重合体が好ましく、ブチルアクリレート及びメチルメタクリレートの共重合体がより好ましい。主鎖骨格が上記共重合体からなるアクリル系重合体(B)によれば、硬化後に優れたゴム弾性を有する硬化物を形成することが可能な硬化性組成物が得られる。
アクリル系重合体(B)は、分子内にポリオキシアルキレン鎖を有していないことが好ましい。アクリル系重合体(B)が分子内にポリオキシアルキレン鎖を有していないことによって、硬化性組成物の貯蔵安定性が向上し、後述するポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤を硬化性組成物の硬化物表面に円滑に移行させることができ、硬化物は優れた防汚性を発揮する。
上記ポリオキシアルキレン鎖としては、一般式:-(R7-O)m-(式中、R7は炭素数が1~14のアルキレン基を表し、mは、繰り返し単位の数であって正の整数である。)で表される繰り返し単位を含有する重合体が挙げられる。ポリオキシアルキレン鎖は、一種のみの繰り返し単位からなっていてもよいし、二種以上の繰り返し単位からなっていてもよい。
上記ポリオキシアルキレン鎖としては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド-ポリプロピレンオキサイド共重合体、及びポリプロピレンオキサイド-ポリブチレンオキサイド共重合体などが挙げられる。
アクリル系重合体(B)の重合方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができ、例えば、フリーラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法、UVラジカル重合法、リビングアニオン重合法、リビングカチオン重合法、リビングラジカル重合法などの各種重合法が挙げられる。
アクリル系重合体(B)への加水分解性シリル基の導入方法としては、特に限定されず、例えば、分子中に不飽和基を導入したアクリル系重合体(B)に、加水分解性シリル基を有するヒドロシランを作用させてヒドロシリル化する方法など、公知の方法を利用することができる。
アクリル系重合体(B)の重量平均分子量は、1,000以上が好ましく、2,000以上がより好ましく、5,000以上がより好ましく、8,000以上がより好ましく、11,000以上がより好ましい。アクリル系重合体(B)の重量平均分子量は、50,000以下が好ましく、30,000以下がより好ましく、29,000以下がより好ましく、28,500以下がより好ましく、28,000以下がより好ましい。アクリル系重合体(B)の重量平均分子量が50,000以下であると、硬化性組成物の塗工性が向上する。アクリル系重合体(B)の重量平均分子量が1,000以上であると、硬化性組成物の硬化物のゴム弾性が向上する。
アクリル系重合体(B)の数平均分子量は、1,000~50,000が好ましく、2,000~30,000がより好ましい。アクリル系重合体(B)の数平均分子量が50,000以下であると、硬化性組成物の塗工性が向上する。アクリル系重合体(B)の数平均分子量が1,000以上であると、硬化性組成物の硬化物のゴム弾性が向上する。
なお、本発明において、アクリル系重合体(B)の数平均分子量及び重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって測定されたポリスチレン換算した値を意味する。GPC法による測定においては、例えば、GPCカラムとして東ソー製Shodex KF800Dを用い、溶媒としてクロロホルムなどを用いることができる。
なお、本発明において、アクリル系重合体における数平均分子量及び重量平均分子量は、例えば、下記測定装置及び測定条件にて測定することができる。
測定装置 TOSOH社製 商品名「HLC-8121GPC/HT」
測定条件 カラム:TSKgelGMHHR-H(20)HT×3本
TSKguardcolumn-HHR(30)HT×1本
移動相:o-DCB 1.0mL/分
サンプル濃度:1mg/mL
検出器:ブライス型屈折計
標準物質:ポリスチレン(TOSOH社製 分子量:500~8420000)
溶出条件:145℃
SEC温度:145℃
加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の総量中におけるアクリル系重合体(B)の含有量は、20質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましい。アクリル系重合体(B)の含有量が20質量%以上であると、硬化性組成物の硬化物は長期間に亘って優れたゴム弾性を維持する。
加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の総量中におけるアクリル系重合体(B)の含有量は、70質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、45質量%以下がより好ましい。アクリル系重合体(B)の含有量が70質量%以下であると、硬化性組成物の塗工性が向上する。
[アミン化合物(C)]
硬化性組成物は、アミン化合物(C)を含んでいる。アミン化合物(C)は、一分子中に1個のアミノ基(-NH2)を有しているモノアミン化合物(C1)、又は、一分子中に2個のアミノ基(-NH2)を有しているジアミン化合物(C2)を含有していることが好ましく、一分子中に2個のアミノ基(-NH2)を有しているジアミン化合物(C2)を含有していることがより好ましい。アミン化合物(C)においてアミノ基が有している水素原子は、アルキル基やアリール基などの有機基によって置換されていてもよい。又、モノアミン化合物(C1)及びジアミン化合物(C2)は、珪素原子を含有していないことが好ましい。
硬化性組成物において、モノアミン化合物(C1)又はジアミン化合物(C2)を用いることによって、硬化性組成物の硬化物の表面のべとつきを抑制することが可能となり、防汚性を向上させることができる。
更に、硬化性組成物において、アミン化合物(C)と後述するポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤とを併用している。アミン化合物(C)のみを用いると、硬化性組成物の硬化物の親水性が不足して防汚性が低下し、又は、貯蔵安定性が低下して、製造後に長期間に亘って保存された後に使用した場合に、硬化性組成物の硬化物の防汚性が低下するという問題を生じる。又、ポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤のみを用いると、硬化性組成物の硬化物にべとつき(タック)が発生し、硬化物の防汚性が低下するという問題を生じる。
硬化性組成物において、アミン化合物(C)と後述するポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤とを併用することによって、両者の何れかを用いた場合に生じる問題の発生を抑制し、硬化性組成物の硬化物に優れた親水性を付与しつつ、べとつきが発生するのを抑制し且つ貯蔵安定性を向上させることができる。
よって、硬化性組成物の硬化物は、貯蔵安定性に優れ、硬化性組成物を長期間に亘って保存した後においても、硬化性組成物の硬化物は、優れた防汚性を発揮することができる。
モノアミン化合物(C1)としては、下記式(1)で示されるモノアミン化合物(C1)が好ましく挙げられる。
2-NH2 (1)
(式(1)において、R2は、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、一価の飽和脂環式炭化水素基である。)
式(1)において、R2は、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましい。R2における直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基としては、例えば、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ラウリル基、イソドデシル基、トリデシル基、ミリスチル基、ペンタデシル基、パルミチル基、ヘプタデシル基、n-ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ステアリル基、イソオクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、及びベヘニル基などが挙げられ、ラウリル基、イソドデシル基、トリデシル基、ミリスチル基、ペンタデシル基、パルミチル基、ヘプタデシル基、n-ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ステアリル基、イソオクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ベヘニル基が好ましい。
式(1)で示されるモノアミン化合物(C1)において、R2の炭素数は、12~40個が好ましく、15~30個がより好ましく、15~25個が特に好ましい。R2の炭素数が上記範囲内であるモノアミン化合物(C1)を用いることにより、硬化性組成物の硬化物表面のタックを短時間で低くすることができると共に、硬化性組成物の硬化物が長期間に亘って優れた防汚効果を発揮することができる。
モノアミン化合物(C1)として、ラウリルアミン(C1225-NH2、融点28℃)、ステアリルアミン(C1837-NH2、融点50℃)、ミリスチルアミン(融点 38℃)、及びセチルアミン(n-ヘキサデシルアミン、C1633-NH2、融点47℃)が好ましい。モノアミン化合物(C1)は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
ジアミン化合物(C2)としては、下記式(2)で示されるジアミン化合物(C2)が好ましく挙げられる。
3-NH-R4-NH2 (2)
(式(2)において、R3は、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、一価の不飽和脂肪族炭化水素基、一価の飽和脂環式炭化水素基、又はアリール基であり、R4は、アルキレン基である。)
式(2)において、R3としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、及び、一価の不飽和脂肪族炭化水素基が好ましい。R3における直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基としては、例えば、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ラウリル基、イソドデシル基、トリデシル基、ミリスチル基、ペンタデシル基、パルミチル基、ヘプタデシル基、イソヘキサデシル基、ステアリル基、イソオクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、及びベヘニル基などが挙げられる。R3における一価の不飽和脂肪族炭化水素基としては、ウンデセニル基、cis-4-テトラデセニル基、cis-5-テトラデセニル基、cis-9-テトラデセニル基、cis-6-ヘキサデセニル基、パルミトレイル基、cis-6-オクタデセニル基、オレイル基、trans-9-オクタデセニル基、cis-11-オクタデセニル基、trans-11-オクタデセニル基、ミリストレイル基、パルミトレイル基、及びリノレイル基などが挙げられる。
式(2)において、R4はアルキレン基である。R4のアルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、エチリデン基、トリメチレン基、プロピレン基、イソプロピレン基、テトラメチレン基、ブチレン基、イソブチレン基、ペンチレン基、ヘキサメチレン基、及びヘキシレン基などが挙げられる。
式(2)で示されるジアミン化合物(C2)において、R3及びR4の合計の炭素数は、15~40個が好ましく、15~30個がより好ましく、15~25個が特に好ましい。R3及びR4の合計の炭素数を上記範囲内とすることにより、硬化性組成物の硬化物表面が優れた防汚効果を長期間に亘って発揮できると共に、高温下において硬化性組成物の硬化物表面にタックが発生することも低減できる。
式(2)で示されるジアミン化合物(C2)としては、具体的には、ベヘニルプロピレンジアミン(C2245-NH-C36-NH2、融点63℃)、融点が40~45℃である硬化牛脂プロピレンジアミン、融点が25~34℃である牛脂プロピレンジアミン、及びオレイルプロピレンジアミン(C1835-NH-C36-NH2、融点20℃)などが挙げられ、融点が40~45℃である硬化牛脂プロピレンジアミンが好ましい。ジアミン化合物(C2)は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
なお、本発明において、ジアミン化合物(C2)の融点は、JIS K7121(1987年)に準拠して、示差走査熱量測定(DSC)によって測定された温度をいう。具体的には、示差走査熱量測定装置(例えば、株式会社島津製作所社製 装置名「DSC-60」など)を用いて、ジアミン化合物(C2)を10℃から150℃まで昇温速度5℃/分で加熱し、この加熱過程におけるDSC曲線の融解ピーク温度を、ジアミン化合物(C2)の融点とする。なお、融解ピークが複数ある場合には、最も吸熱の大きい融解ピークの頂点の温度を融点とする。
牛脂プロピレンジアミンは、脂肪酸として牛脂を用いて公知の方法により製造されたジアミン化合物(C2)である。牛脂は、好ましくは、ミリスチン酸、パルミチン酸、及びステアリン酸などの飽和脂肪酸と、オレイン酸、及びリノール酸などの不飽和脂肪酸とを含む。又、硬化牛脂プロピレンジアミンは、脂肪酸として硬化牛脂を用いて公知の方法により製造されたものである。硬化牛脂は、牛脂に含まれる不飽和脂肪酸の不飽和二重結合の少なくとも一部を水素添加することにより得られる。
牛脂プロピレンジアミン及び硬化牛脂プロピレンジアミンは、好ましくは、上記式(2)において、R3が脂肪酸残基であり、R4がプロピレン基であるジアミン化合物(C2)である。ここで、脂肪酸残基とは、脂肪酸からカルボキシ基(-COOH)を除いた部分からなる基を意味する。脂肪酸残基としては、ミリスチル基、パルミチル基、ステアリル基、オレイル基、及びリノレイル基などが挙げられる。
硬化性組成物中におけるアミン化合物(C)の含有量は、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の総量100質量部に対して、0.1~20質量部が好ましく、0.5~10質量部がより好ましく、1~5質量部が特に好ましい。アミン化合物(C)の含有量が0.1質量部以上であると、硬化性組成物の硬化物表面が優れた防汚効果を長期間に亘って発揮することができると共に、硬化性組成物の貯蔵安定性が向上し、硬化性組成物の長期保存後の使用によっても硬化物は優れた防汚性を発揮する。又、アミン化合物(C)の含有量が20質量部以下であると、高温下において硬化性組成物の硬化物表面にタックが発生することを低減することができ、優れた防汚性を発揮する。
[ポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(D)]
硬化性組成物は、ポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(D)を含んでいる。界面活性剤(D)は、硬化性組成物の硬化物表面の表面張力を減少させる。硬化性組成物がポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(D)を含有していると、長期保存後の硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物において、ポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(D)が硬化物表面に移行し易く、硬化物表面の表面張力を減少させて親水性を向上させることができ、硬化物は優れた防汚性を有する。ポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(D)は、加水分解性シリル基を含有していないことが好ましい。
ポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(D)が含むポリオキシアルキレン骨格とは、一般式:-(R6-O)p-(式中、R6はアルキレン基を表し、pは、繰り返し単位の数であって正の整数である。)で表される繰り返し単位を含有する重合体が好ましく挙げられる。ポリオキシアルキレン骨格は一種のみの繰り返し単位からなっていてもよいし、二種以上の繰り返し単位からなっていてもよい。
ポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(D)は、非イオン性の界面活性剤であることが好ましい。ポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(D)が非イオン性であると、硬化物表面の親水性をより向上させることができ、硬化物はより優れた防汚性を有する。
ポリオキシアルキレン骨格を有する非イオン性の界面活性剤(D)としては、ポリオキシアルキレン骨格を有しておればよく、例えば、ポリオキシエチレンオクチルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンミリステルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテルなどが挙げられる。長期保存後の硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物において、ポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(D)を硬化物表面に更に移行し易くし、硬化物表面の親水性をより向上させることができ、硬化物はより優れた防汚性を有するので、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルが好ましく、ポリオキシアルキレントリデシルエーテルが好ましい。
ポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(D)としては、式(3)で示される構造式を有している。
5-O-(R6-O)-H (3)
(式(3)において、R5は、炭素数が13以上のアルキル基であり、R6は、アルキレン基を表し、pは、繰り返し単位の数であって正の整数である。)
ポリオキシアルキレン骨格[-(R6-O)-]を構成しているR6は、アルキレン基であり、炭素数が1~14のアルキレン基が好ましく、炭素数が1~10のアルキレン基がより好ましく、炭素数が1~5のアルキレン基がより好ましく、炭素数が1~3のアルキレン基がより好ましい。炭素数が14以下であると、長期保存後の硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物において、ポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(D)を硬化物表面に更に移行し易くし、硬化物表面の親水性をより向上させることができ、硬化物はより優れた防汚性を有する。
ポリオキシアルキレン骨格[-(R6-O)-]としては、例えば、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド-ポリプロピレンオキサイド共重合体、及びポリプロピレンオキサイド-ポリブチレンオキサイド共重合体などが挙げられ、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイドが好ましく、ポリエチレンオキサイドがより好ましい。ポリエチレンオキサイド及びポリプロピレンオキサイドによれば、長期保存後の硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物において、ポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(D)を硬化物表面に更に移行し易くし、硬化物表面の親水性をより向上させることができ、硬化物はより優れた防汚性を有する。
5は、炭素数が13以上のアルキル基である。R5は、炭素数が13以上のアルキル基であると、長期保存後の硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物において、ポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(D)を硬化物表面に更に移行し易くし、硬化物表面の親水性をより向上させることができ、硬化物はより優れた防汚性を有する。
5は、炭素数が20以下のアルキル基が好ましい。炭素数が20以下であると、硬化性組成物の硬化物の親水性が向上し、硬化物の防汚性が向上するので好ましい。
5としては、特に限定されず、例えば、トリデシル基(炭素数:13)、ミリスチル基(炭素数:14)、セチル基(炭素数:16)、ステアリル基(炭素数:18)などが挙げられ、トリデシル基がより好ましい。
式(3)で示される構造式を有するポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(D)としては、例えば、ポリオキシエチレントリデシルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンミリスチルエーテルなどが挙げられ、長期保存後の硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物において、ポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(D)を硬化物表面に更に移行し易くし、硬化物表面の親水性をより向上させることができ、硬化物はより優れた防汚性を有するので、ポリオキシエチレントリデシルエーテルが好ましい。
ポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(D)のHLBは、8以上が好ましく、8.5以上がより好ましく、9以上がより好ましく、10以上がより好ましい。ポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(D)のHLBは、18以下が好ましく、16以下がより好ましく、15以下がより好ましく、14以下がより好ましい。ポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(D)のHLBが上記範囲内であると、長期保存後の硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物において、ポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(D)を硬化物表面に更に移行し易くし、硬化物表面の親水性をより向上させることができ、硬化物はより優れた防汚性を有する。
なお、HLBとは、疎水性基と親水性基のバランスを表す数値であり、0~20の数値で表される。HLBの数値が高いほど、親水性基の割合が高くなることを示す。HLBは、25℃におけるHLB値を意味し、J.Soc.Cosm.Chem.,1954,5:249-256において定義されており、下記グリフィン法で算出することができる。
HLB=20×親水基の分子量/界面活性剤の分子量
硬化性組成物中において、ポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(D)の含有量は、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の総量100質量部に対して、0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、2質量部以上がより好ましく、4質量部以上がより好ましく、10質量部以上がより好ましく、15質量部以上がより好ましく、20質量部以上がより好ましく、23質量部以上がより好ましい。ポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(D)の含有量が0.1質量部以上であると、長期保存後の硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物において、ポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(D)を硬化物表面に更に移行し易くし、硬化物表面の親水性をより向上させることができ、硬化物はより優れた防汚性を有する。
硬化性組成物中において、ポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(D)の含有量は、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の総量100質量部に対して、50質量部以下が好ましく、45質量部以下がより好ましく、40質量部以下がより好ましく、37質量部以下がより好ましく、34質量部以下がより好ましく、30質量部以下がより好ましい。ポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(D)含有量が50質量部以下であると、硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物の防汚性が向上する。
[可塑剤(E)]
硬化性組成物は、可塑剤(E)を含んでいることが好ましい。硬化性組成物が可塑剤(E)を含んでいると、硬化性組成物の硬化物の塑性柔軟性を向上させることができる。可塑剤は、硬化性組成物の硬化物の表面張力を減少させる作用は奏しない。可塑剤として、具体的には、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレート、ブチルベンジルフタレートなどのフタル酸エステル類、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールなどのポリアルキレングリコール類、及びアクリル系重合体などが挙げられ、アクリル系重合体、ポリアルキレングリコール類を含むことが好ましく、アクリル系重合体を含むことが好ましい。
可塑剤(E)がポリアルキレングリコール類を含む場合、可塑剤(E)中におけるポリアルキレングリコール類の含有量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%がより好ましい。
可塑剤(E)がアクリル系重合体を含む場合、可塑剤(E)中におけるアクリル系重合体の含有量は、50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がより好ましく、90質量%以上がより好ましく、100質量%がより好ましい。
可塑剤が重合体である場合、可塑剤の重量平均分子量は、1,000以上が好ましく、2,000以上がより好ましい。可塑剤の重量平均分子量が1,000以上であると、硬化性組成物の硬化物の優れたゴム弾性が向上する。
可塑剤が重合体である場合、可塑剤の重量平均分子量は、10,000以下が好ましく、8,000以下がより好ましい。可塑剤の重量平均分子量が10,000以下であると、長期保存後の硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物において、可塑剤(E)を硬化物表面に更に移行し易くし、硬化物表面の親水性をより向上させることができ、硬化物はより優れた防汚性を有する。
なお、可塑剤(E)が重合体である場合、可塑剤(E)の重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって測定されたポリスチレン換算した値を意味する。GPC法による測定においては、例えば、GPCカラムとして東ソー製Shodex KF800Dを用い、溶媒としてクロロホルムなどを用いることができる。
アクリル系重合体は、側鎖にポリオキシアルキレン鎖を有しているアクリル系重合体(E1)及び/又は分子内にポリオキシアルキレン鎖を有していないアクリル系重合体(E2)を含有していることが好ましく、側鎖にポリオキシアルキレン鎖を有しているアクリル系重合体(E1)、及び、分子内にポリオキシアルキレン鎖を有していないアクリル系重合体を含有していることがより好ましい。なお、側鎖にポリオキシアルキレン鎖を有するアクリル系重合体(E1)を単に「アクリル系重合体(W1)」ということがある。
可塑剤(E)に、側鎖にポリオキシアルキレン鎖を有するアクリル系重合体(E1)を含んでいると、硬化性組成物の硬化物が優れた防汚効果をより長期に亘って発揮することができる。さらに、硬化性組成物の硬化物が優れたゴム弾性をより長期間に亘って維持することが可能となる。
アクリル系重合体(E1)では、主鎖となるアクリル系重合体に、側鎖としてポリオキシアルキレン鎖が結合している。ポリオキシアルキレン鎖によってアクリル系重合体(E1)の親水性を向上させることができる。
アクリル系重合体(E1)の主鎖は、アルキル(メタ)アクリレートを含むモノマーの重合体が好ましく挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、sec-ブチル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n-デシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)メタクリレートなどが挙げられる。これらのアルキル(メタ)アクリレートは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
アクリル系重合体(E1)が側鎖に有するポリオキシアルキレン鎖としては、一般式:-(R8-O)q-(式中、R8は炭素数が1~14のアルキレン基を表し、qは、繰り返し単位の数であって正の整数である。)で表される繰り返し単位を含有する重合体が挙げられる。ポリオキシアルキレン鎖は、一種のみの繰り返し単位からなっていてもよいし、二種以上の繰り返し単位からなっていてもよい。
上記ポリオキシアルキレン鎖としては、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、ポリブチレンオキサイド、ポリテトラメチレンオキサイド、ポリエチレンオキサイド-ポリプロピレンオキサイド共重合体、及びポリプロピレンオキサイド-ポリブチレンオキサイド共重合体などが挙げられ、ポリメチレンオキサイド鎖、ポリエチレンオキサイド鎖、ポリプロピレンオキサイド鎖、ポリブチレンオキサイド鎖などが挙げられ、ポリエチレンオキサイド鎖が好ましい。
アクリル系重合体(E1)の重量平均分子量は、1,000以上が好ましく、2,000以上がより好ましい。アクリル系重合体(E1)の重量平均分子量が1,000以上であると、硬化性組成物の硬化物の優れたゴム弾性が向上する。
アクリル系重合体(E1)の重量平均分子量は、10,000以下が好ましく、8,000以下がより好ましい。アクリル系重合体(E1)の重量平均分子量が10,000以下であると、長期保存後の硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物において、アクリル系重合体(E1)を硬化物表面に更に移行し易くし、硬化物表面の親水性をより向上させることができ、硬化物はより優れた防汚性を有する。
なお、本発明において、アクリル系重合体(E1)の重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって測定されたポリスチレン換算した値を意味する。GPC法による測定においては、例えば、GPCカラムとして東ソー製Shodex KF800Dを用い、溶媒としてクロロホルムなどを用いることができる。
アクリル系重合体(E1)は、加水分解性シリル基をさらに有していてもよい。
加水分解性シリル基としては、硬化性組成物の硬化物が長期間に亘って優れたゴム弾性を維持することができるので、アルコキシシリル基が好ましい。アルコキシシリル基としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、及びトリフェノキシシリル基などのトリアルコキシシリル基;メチルジメトキシシリル基、及びメチルジエトキシシリル基などのジメトキシシリル基;並びに、ジメチルメトキシシリル基、及びジメチルエトキシシリル基などのモノアルコキシシリル基が挙げられる。なかでも、ジアルコキシシリル基が好ましく、ジメトキシシリル基がより好ましく、メチルジメトキシシリル基がより好ましい。
アクリル系重合体(E1)としては、加水分解性シリル基を有しておらず且つ側鎖にポリオキシアルキレン鎖を有するアクリル系重合体(E11)、及び加水分解性シリル基を有すると共に側鎖にポリオキシアルキレン鎖を有するアクリル系重合体(E12)が好ましく挙げられる。
アクリル系重合体(E1)として、アクリル系重合体(E11)及びアクリル系重合体(E12)は、いずれか一方のみが用いられてもよいが、双方が用いられることが好ましい。すなわち、アクリル系重合体(E1)は、アクリル系重合体(E11)及びアクリル系重合体(E12)の双方を含んでいることが好ましい。このようなアクリル系重合体(E1)によれば、硬化性組成物の硬化物が優れた防汚効果をより長期に亘って発揮することができる。このような効果が得られるメカニズムは不明であるが、本発明者の推測によると、アクリル系重合体(E1)を、硬化性組成物の硬化物表面へ徐々に移行させることが可能となり、これにより硬化性組成物の硬化物表面がより長期間に亘って高い親水性を維持することができると考えられる。さらに、上記アクリル系重合体(E1)によれば、硬化性組成物の硬化物が優れたゴム弾性をより長期に亘って発揮することもできる。
アクリル系重合体(E11)は、加水分解性シリル基を有しておらず、且つ側鎖にポリオキシアルキレン鎖を有するアクリル系重合体である。
アクリル系重合体(E12)は、加水分解性シリル基を有すると共に、側鎖にポリオキシアルキレン鎖を有するアクリル系重合体である。
アクリル系重合体(E12)の加水分解性シリル基としては、硬化性組成物の硬化物が長期間に亘って優れたゴム弾性を維持することができるので、アルコキシシリル基が好ましい。アルコキシシリル基としては、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、及びトリフェノキシシリル基などのトリアルコキシシリル基;メチルジメトキシシリル基、及びメチルジエトキシシリル基などのジメトキシシリル基;並びに、ジメチルメトキシシリル基、及びジメチルエトキシシリル基などのモノアルコキシシリル基が挙げられる。なかでも、ジアルコキシシリル基がより好ましく、メチルジメトキシシリル基が特に好ましい。
アクリル系重合体(E1)がアクリル系重合体(E11)及びアクリル系重合体(E12)の双方を含む場合、アクリル系重合体(E1)は、1分子中に平均して、好ましくは0.1個以上1.0個未満、より好ましくは0.12~0.7個、特に好ましくは0.13~0.4個の加水分解性シリル基を有していることが好ましい。アクリル系重合体(E1)の加水分解性シリル基の平均個数が0.1個以上であると、硬化性組成物の硬化物の優れたゴム弾性を確保することができる。アクリル系重合体(E1)の加水分解性シリル基の数が1.0個未満であると、硬化性組成物の硬化物表面がより長期間に亘って高い親水性を維持することができる。
なお、アクリル系重合体(E1)中における、1分子当たりの加水分解性シリル基の平均個数は、1H-NMRにより求められるアクリル系重合体(E1)中の加水分解性シリル基の濃度、及びGPC法により求められるアクリル系重合体(E1)の数平均分子量に基づいて算出することができる。
アクリル系重合体(E1)の重合方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができ、例えば、フリーラジカル重合法、アニオン重合法、カチオン重合法、UVラジカル重合法、リビングアニオン重合法、リビングカチオン重合法、リビングラジカル重合法などの各種重合法が挙げられる。
アクリル系重合体(E1)にポリオキシアルキレン鎖を側鎖として導入する方法としては、特に限定されず、グラフト重合法など、公知の方法を用いて行うことができる。
アクリル系重合体(E1)への加水分解性シリル基の導入方法としては、特に限定されず、例えば、分子中に不飽和基を導入したアクリル系重合体に、加水分解性シリル基を有するヒドロシランを作用させてヒドロシリル化する方法など、公知の方法を利用することができる。
硬化性組成物中におけるアクリル系重合体(E1)の含有量は、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の総量100質量部に対して、5質量部以上が好ましく、10質量部以上がより好ましく、12質量部以上がより好ましく、13質量部以上がより好ましい。アクリル系重合体(E1)の含有量が5質量部以上であると、硬化性組成物の硬化物が長期間に亘って優れた防汚効果を維持することができる。
硬化性組成物中におけるアクリル系重合体(E1)の含有量は、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の総量100質量部に対して、50質量部以下が好ましく、40質量部以下がより好ましく、30質量部以下がより好ましく、25質量部以下がより好ましく、20質量部以下がより好ましい。アクリル系重合体(E1)の含有量が50質量部以下であると、硬化性組成物の硬化物の優れたゴム弾性を確保することができる。
次に、分子内にポリオキシアルキレン鎖を有していないアクリル系重合体(E2)について説明する。なお、分子内にポリオキシアルキレン鎖を有していないアクリル系重合体(E2)を単に「アクリル系重合体(E2)」ということがある。
アクリル系重合体(E2)は、分子内に加水分解性シリル基を有していないことが好ましい。なお、加水分解性シリル基及びポリオキシアルキレン鎖は、アクリル系重合体(B)において説明した加水分解性シリル基及びポリオキシアルキレン鎖と同様であるので説明を省略する。
アクリル系重合体(E2)の主鎖骨格としては、(メタ)アクリレート系モノマーをラジカル重合して得られるアクリル系重合体が挙げられる。
アクリル系重合体(E2)の主鎖を構成する(メタ)アクリレート系モノマーとして、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-3-メチルブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-[アクリロイルオキシ]エチル-2-ヒドロキシエチルフタル酸、及び2-[アクリロイルオキシ]エチル-2-ヒドロキシプロピルフタル酸などが挙げられる。これらの(メタ)アクリレート系モノマーは、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
アクリル系重合体(E2)の重量平均分子量は、1,000~50,000が好ましく、2,000~30,000がより好ましく、2,500~10,000がより好ましく、2,600~5,000がより好ましく、3,000~4,000がより好ましい。可塑剤として用いられるアクリル系重合体(E2)の重量平均分子量が50,000以下であると、硬化性組成物の塗工性が向上する。アクリル系重合体(E2)の重量平均分子量が1,000以上であると、硬化性組成物の硬化物のゴム弾性が向上する。
なお、本発明において、アクリル系重合体(E2)の重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)法によって測定されたポリスチレン換算した値を意味する。GPC法による測定においては、例えば、GPCカラムとして東ソー製Shodex KF800Dを用い、溶媒としてクロロホルムなどを用いることができる。
硬化性組成物中におけるアクリル系重合体(E2)の含有量は、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の総量100質量部に対して、100質量部以下が好ましく、70質量部以下がより好ましく、1~70質量部がより好ましく、20~50質量部が特に好ましい。可塑剤の含有量が100質量部以下であると、硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物の防汚性が向上する。
硬化性組成物中において、可塑剤(E)の総含有量は、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の総量100質量部に対して、1質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、10質量部以上がより好ましく、12質量部以上がより好ましく、15質量部以上がより好ましい。可塑剤の含有量が1質量部以上であると、硬化性組成物の硬化物が長期間に亘って優れた防汚効果を維持することができる。
硬化性組成物中において、可塑剤(E)の総含有量は、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の総量100質量部に対して、150質量部以下が好ましく、130質量部以下がより好ましく、100質量部以下がより好ましく、70質量部以下がより好ましく、50質量部以下がより好ましい。可塑剤の含有量が150質量部以下であると、硬化性組成物の硬化物の優れたゴム弾性を確保することができる。
[充填剤]
硬化性組成物は、充填剤を更に含んでいるのが好ましい。硬化性組成物が、上記ポリオキシアルキレン系重合体(A)及び上記アクリル系重合体(B)の樹脂配合中において、充填剤を含有していると、硬化性組成物の硬化物の硬度を向上させて汚れを付着しにくくして、硬化性組成物の硬化物は、長期間に亘って優れた防汚性を維持することができる。
充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、含水ケイ酸、無水ケイ酸、微粉末シリカ、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、クレー、タルク、カーボンブラック、及びガラスバルーンなどを挙げることができる。これらの充填剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。なかでも、炭酸カルシウムが好ましく、コロイダル炭酸カルシウム及び重質炭酸カルシウムがより好ましい。
炭酸カルシウムの一次粒子の平均粒子径は、0.01~5μmが好ましく、0.05~2.5μmがより好ましい。このような平均粒子径を有している炭酸カルシウムによれば、ゴム弾性に優れている硬化物を得ることができ、且つ優れた接着性を有している硬化性組成物を提供することができる。なお、炭酸カルシウムの一次粒子の平均粒子径は、レーザー回折法によって測定された体積基準の粒度分布においての粒子径の小さい側からの頻度の累積が50質量%となる粒子径D50をいう。
炭酸カルシウムは、脂肪酸や脂肪酸エステルなどにより表面処理されているのが好ましい。脂肪酸や脂肪酸エステルなどにより表面処理されている炭酸カルシウムによれば、硬化性組成物にチキソトロピー性を付与できると共に炭酸カルシムが凝集することを抑制することができると共に、炭酸カルシウムの疎水性を向上させることによって、ポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(D)を硬化性組成物の硬化物表面に更に円滑に移行させて、硬化物表面の親水性を向上させ、硬化物の防汚性を向上させることができる。
硬化性組成物中における充填剤の含有量は、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の総量100質量部に対して、1~700質量部が好ましく、10~200質量部がより好ましい。充填剤の含有量が1質量部以上であると、充填剤の添加による効果が十分に得られる。又、充填剤の含有量が700質量部以下であると、硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物が優れたゴム弾性を有する。
[脱水剤]
硬化性組成物は、脱水剤をさらに含んでいるのが好ましい。脱水剤によれば、硬化性組成物を保存している際に、空気中などに含まれている水分によって硬化性組成物が硬化することを抑制することができる。
脱水剤としては、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、及びジフェニルジメトキシシランなどのシラン化合物;並びにオルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、及びオルト酢酸エチル等のエステル化合物などを挙げることができる。これらの脱水剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。なかでも、ビニルトリメトキシシランが好ましい。
硬化性組成物中における脱水剤の含有量は、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の総量100質量部に対して、0.5~20質量部が好ましく、1~15質量部がより好ましい。脱水剤の含有量が0.5質量部以上であると、脱水剤による効果が十分に得られる。又、脱水剤の含有量が20質量部以下であると、硬化性組成物が優れた硬化性を有する。
[シラノール縮合触媒]
硬化性組成物は、シラノール縮合触媒を含有していることが好ましい。シラノール縮合触媒とは、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体などが含有する加水分解性シリル基などが加水分解することにより形成されたシラノール基同士の脱水縮合反応を促進させるための触媒である。
シラノール縮合触媒としては、1,1,3,3-テトラブチル-1,3-ジラウリルオキシカルボニル-ジスタノキサン、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫フタレート、ビス(ジブチル錫ラウリン酸)オキサイド、ジブチル錫ビス(アセチルアセトナート)、ジブチル錫ビス(モノエステルマレート)、オクチル酸錫、ジブチル錫オクトエート、ジオクチル錫オキサイド、ジブチル錫ビス(トリエトキシシリケート)、ビス(ジブチル錫ビストリエトキシシリケート)オキサイド、及びジブチル錫オキシビスエトキシシリケートなどの有機錫系化合物;テトラ-n-ブトキシチタネート、及びテトライソプロポキシチタネートなどの有機チタン系化合物などが挙げられる。これらのシラノール縮合触媒は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
シラノール縮合触媒としては、1,1,3,3-テトラブチル-1,3-ジラウリルオキシカルボニル-ジスタノキサンが好ましい。このようなシラノール縮合触媒によれば、硬化性組成物の硬化速度を容易に調整することができる。
硬化性組成物中におけるシラノール縮合触媒の含有量は、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の総量100質量部に対して、1~10質量部が好ましく、1~5質量部がより好ましい。シラノール縮合触媒の含有量が1質量部以上であると、硬化性組成物の硬化速度を速くして、硬化性組成物の硬化に要する時間の短縮化を図ることができる。又、シラノール縮合触媒の含有量が10質量部以下であると、硬化性組成物が適度な硬化速度を有し、硬化性組成物の貯蔵安定性及び取扱性を向上させることができる。
[他の添加剤]
硬化性組成物は、チキソ性付与剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、沈降防止剤、及び溶剤など他の添加剤を含んでいてもよい。なかでも、チキソ性付与剤、紫外線吸収剤、及び酸化防止剤が好ましく挙げられる。
[チキソ性付与剤]
チキソ性付与剤は、硬化性組成物にチキソトロピー性を発現せることができるものであればよい。チキソ性付与剤としては、水添ひまし油、脂肪酸ビスアマイド、ヒュームドシリカなどが好ましく挙げられる。
硬化性組成物中におけるチキソ性付与剤の含有量は、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の総量100質量部に対して、0.1~200質量部が好ましく、1~150質量部がより好ましい。チキソ性付与剤の含有量が0.1質量部以上であると、硬化性組成物にチキソトロピー性を効果的に付与することができる。又、チキソ性付与剤の含有量が200質量部以下であると、硬化性組成物が適度な粘度を有し、硬化性組成物の取扱性が向上する。
[紫外線吸収剤]
紫外線吸収剤としては、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤などが挙げられ、及びベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤が好ましい。硬化性組成物中における紫外線吸収剤の含有量は、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の総量100質量部に対して、0.1~20質量部が好ましく、0.1~10質量部がより好ましい。
[酸化防止剤]
酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、モノフェノール系酸化防止剤、ビスフェノール系酸化防止剤、及びポリフェノール系酸化防止剤などが挙げられ、ヒンダードフェノール系酸化防止剤が好ましく挙げられる。硬化性組成物中における酸化防止剤の含有量は、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の総量100質量部に対して、0.1~20質量部が好ましく、0.3~10質量部がより好ましい。
[光安定剤]
硬化性組成物は、ヒンダードアミン系光安定剤を含んでいることが好ましい。ヒンダードアミン系光安定剤によれば、硬化後に優れたゴム弾性をより長期間に亘って維持することができる硬化性組成物を提供することができる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、例えば、ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケート及びメチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケートの混合物、ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)セバケート、ジブチルアミン・1,3,5-トリアジン・N,N’-ビス(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル-1,6-ヘキサメチレンジアミンとN-(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)ブチルアミンとの重縮合物、ポリ[{6-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)アミノ-1,3,5-トリアジン-2,4-ジイル}{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}ヘキサメチレン{(2,2,6,6-テトラメチル-4-ピペリジル)イミノ}]、コハク酸ジメチルと4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジンエタノールとの重縮合物などが挙げられる。
ヒンダードアミン系光安定剤としては、NOR型ヒンダードアミン系光安定剤が好ましく挙げられる。NOR型ヒンダードアミン系光安定剤によれば、硬化後に経時的なゴム弾性の低下が抑制されている硬化性組成物を提供することができる。
NOR型ヒンダードアミン系光安定剤は、ピペリジン環骨格に含まれている窒素原子(N)に酸素原子(O)を介してアルキル基(R)が結合しているNOR構造を有している。NOR構造におけるアルキル基の炭素数は、1~20が好ましく、1~18がより好ましく、18が特に好ましい。アルキル基としては、直鎖状のアルキル基、分岐鎖状のアルキル基、及び、環状のアルキル基(飽和脂環式炭化水素基)が挙げられる。
直鎖状のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基などが挙げられる。分岐鎖状のアルキル基としては、例えば、イソプロピル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基などが挙げられる。環状のアルキル基(飽和脂環式炭化水素基)としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基などが挙げられる。又、アルキル基を構成している水素原子が、ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)又はヒドロキシル基などで置換されていてもよい。
NOR型ヒンダードアミン系光安定剤としては、下記式(4)で示されるヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。
Figure 2022083438000001
NOR型ヒンダードアミン系光安定剤を用いる場合、NOR型ヒンダードアミン系光安定剤と、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤又はトリアジン系紫外線吸収剤とを組み合わせて用いることが好ましい。これにより、硬化後に経時的なゴム弾性の低下がより高く抑制されている硬化性組成物を提供することができる。
硬化性組成物中におけるヒンダードアミン系光安定剤の含有量は、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の総量100質量部に対して、0.01~20質量部が好ましく、0.1~10質量部がより好ましい。
[アミノシランカップリング剤]
硬化性組成物は、アミノシランカップリング剤を含有していることが好ましい。アミノシランカップリング剤を用いることにより、硬化性組成物の硬化物のゴム弾性や接着性を向上させることができる。なお、アミノシランカップリング剤とは、一分子中にアルコキシ基が結合した珪素原子と、窒素原子を含有する官能基とを含有している化合物を意味する。
アミノシランカップリング剤として、具体的には、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’-ビス-〔3-(トリメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’-ビス-〔3-(トリエトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’-ビス-〔3-(メチルジメトキシシリル)プロピル〕エチレンジアミン、N,N’-ビス-〔3-(トリメトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン、N,N’-ビス-〔3-(トリエトキシシリル)プロピル〕ヘキサメチレンジアミン等が挙げられる。これらのアミノシランカップリング剤は、単独で用いられても二種以上が併用されてもよい。
なかでも、アミノシランカップリング剤としては、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、及びN-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシランが好ましく挙げられ、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシランがより好ましく挙げられる。
硬化性組成物中におけるアミノシランカップリング剤の含有量は、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の総量100質量部に対して、1~10質量部が好ましく、1~5質量部がより好ましい。アミノシランカップリング剤の含有量が上記範囲内であると、硬化性組成物の硬化物のゴム弾性や接着性を向上させることができる。
硬化性組成物は、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)、アクリル系重合体(B)、アミン化合物(C)及びポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤、並びに、必要に応じて添加される添加剤を汎用の手段を用いて真空雰囲気下にて均一に混合することによって製造することができる。
硬化性組成物は、接着性に優れていると共に、優れたゴム弾性を長期間に亘って維持することができる硬化物を形成することができることから、シーリング材、コーティング材、接着剤、及び塗料など各種用途に使用することができる。
特に、硬化性組成物を湿気によって硬化させて得られる硬化物は、優れた防汚性を有している。従って、特に屋外での使用にあっても、長期間に亘って美麗な外観を保持することができる。従って、硬化性組成物は、シーリング材又は接着剤として用いられることが好ましく、目地構造用シーリング材として用いられることがより好ましい。
又、硬化性組成物は、製造後に長期間に亘って保存される場合があるが、上記硬化性組成物は、長期間に亘って保存された後に使用された場合にあっても、硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物は、優れた防汚性を発現する。
硬化性組成物を目地部に施工して目地構造を得る方法としては、硬化性組成物を目地部に充填した後に養生させて硬化させる方法が用いられる。得られる目地構造は、建築構造物の壁部を構成している壁部材と、互いに隣接する壁部材間に形成された目地部に充填された、硬化性組成物の硬化物とを有している。建築構造物の壁部としては、例えば、外壁、内壁、天井部などが挙げられ、なかでも外壁が好ましい。壁部材としては、例えば、外壁部材、内壁部材、天井部材などが挙げられ、外壁部材が好ましい。
目地部は、特に制限されないが、建築構造物の外壁、内壁、及び天井における目地部などが挙げられる。本発明の硬化性組成物は、硬化後に長期間に亘って優れた防汚効果を維持することができる。従って、建築構造物の外壁における目地部など、所謂、「ワーキングジョイント」とも呼ばれる埃や汚染物質によって汚れ易い目地部をシーリングするために好適に用いられる。
建築構造物の外壁における目地部としては、例えば、モルタル板、コンクリート板、窯業系サイディングボード、金属系サイディングボード、ALC板、及び金属板などの外壁部材間の接合部にできる目地部が挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、上述の如き構成を有しているので、長期間に亘って優れた防汚効果を発揮することができる。従って、硬化性組成物の硬化物は、長期間に亘って美麗な外観を維持することができる。
更に、本発明の硬化性組成物は、製造後に長期間に亘って保存された後に使用された場合にあっても、硬化性組成物を硬化させて得られる硬化物は、優れた防汚性を発現する。
以下に、本発明を実施例を用いてより具体的に説明するが、本発明はこれに限定されない。
実施例及び比較例の硬化性組成物の製造において下記の原料を使用した。
[加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)]
・加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)(メチルジメトキシシリル基を有すると共に主鎖骨格がポリプロピレンオキサイド(直鎖状)であるポリオキシアルキレン、AGC株式会社製 商品名「エクセスター S2420」、1分子当たりのメチルジメトキシシリル基の平均個数:1.7個、分子量分布:1.49、数平均分子量:18,990、重量平均分子量:28,295)
[加水分解性シリル基を有するアクリル系重合体(B)]
・アクリル系重合体(B)(主鎖骨格の両末端にジメトキシシリル基を有するアクリル系重合体(分子内にポリオキシアルキレン鎖を有しない)と、主鎖骨格の何れか一方の末端にのみジメトキシシリル基を有するアクリル系重合体(分子内にポリオキシアルキレン鎖を有しない)とを含むアクリル系重合体、カネカ社製 製品名「SA310S」、数平均分子量:28,000、重量平均分子量:24,000、1分子当たりのジメトキシメチルシリル基の平均個数:1.7個)
[アミン化合物(C)]
・モノアミン化合物(C1)(ステアリルアミン、融点50℃、花王社製 商品名「ファーミン80S」)
・ジアミン化合物(C2)(硬化牛脂プロピレンジアミン、融点43℃、日油社製 商品名「ニッサンアミンDT-H」)
なお、硬化牛脂プロピレンジアミン(日油社製 商品名「ニッサンアミンDT-H」)は、上記式(2)(式(2)中、R3が炭素数13~18の直鎖状のアルキル基であり、R4がプロピレン基である)で示されると共に融点が55~80℃であるジアミン化合物47~55質量%と、上記式(2)(式(2)中、R3が炭素数15~18の不飽和脂肪族炭化水素基であり、R4がプロピレン基である)で示されると共に融点が28℃以下であるジアミン化合物45~53質量%とを含んでいた。
[ポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(D)]
・ポリオキシエチレントリデシルエーテル1(C1327-O-(CH2CH2O)-H、日本乳化剤株式会社製 商品名「ニューコール1305」、HLB:10.5)
・ポリオキシエチレントリデシルエーテル2(C1327-O-(CH2CH2O)-H、日本乳化剤株式会社製 商品名「ニューコール1310」、HLB:13.7)
・ポリオキシエチレンオクチルエーテル(C817-O-(CH2CH2O)-H、日本乳化剤株式会社製 商品名「ニューコール1008」、HLB:14.6)
・ポリオキシエチレンデシルエーテル(C1019-O-(CH2CH2O)-H、第一工業製薬株式会社製 商品名「ノイゲンXL-50」、HLB:11.6)
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル(C1219-O-(CH2CH2O)-H、第一工業製薬株式会社製 商品名「ノイゲンLP-70」、HLB:12.0)
[可塑剤(E)]
・アクリル系重合体(E1)(加水分解性シリル基を有しておらず且つ側鎖にポリオキシエチレン鎖を有するアクリル系重合体(E11)と、加水分解性シリル基としてメチルジメトキシシリル基を有すると共に側鎖にポリオキシエチレン鎖を有するアクリル系重合体(E12)とを含むアクリル系重合体、アクリル系重合体の重量平均分子量:7,000、アクリル系重合体の粘度(25℃)800mPa・s、アクリル系重合体1分子当たりの加水分解性シリル基の平均個数:0.3個)
・アクリル系重合体(E2)(分子内に加水分解性シリル基及びポリオキシアルキレン鎖を有していないアクリル系重合体、重量平均分子量:3,500、東亜合成株式会社製 製品名「UP-1110」)
・ポリプロピレングリコール(E3)(AGC社製 商品名「エクセノール3020」、重量平均分子量:3,000、数平均分子量:3,000、界面活性剤の作用なし)
[充填剤]
・コロイダル炭酸カルシウム(一次粒子の平均粒子径:80nm、脂肪酸による表面処理、丸尾カルシウム社製 商品名「カルファイン200M」)
・重質炭酸カルシウム1(一次粒子の平均粒子径:1.0μm、脂肪酸による表面処理、日東粉化社製 商品名「NCC2310」)
・重質炭酸カルシウム2(一次粒子の平均粒子径:5μm、東洋ファインケミカル社製 商品名「ホワイトンP-30」、表面処理は施されていない)
[脱水剤]
・ビニルトリメトシシラン(信越化学工業株式会社製 商品名「KBM-1003」)
[シラノール縮合触媒]
・シラノール縮合触媒(1,1,3,3-テトラブチル-1,3-ジラウリルオキシカルボニル-ジスタノキサン、日東化成株式会社製 商品名「ネオスタンU-130」)
[紫外線吸収剤]
・ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤(BASFジャパン社製 商品名「チヌビン326」)
[酸化防止剤]
・ヒンダードフェノール系酸化防止剤(BASFジャパン社製 商品名「イルガノックス1010」)
[光安定剤]
・NH型ヒンダードアミン系光安定剤(BASFジャパン社製 商品名「チヌビン770」)
・アミノシランカップリング剤(N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業株式会社製 商品名「KBM-603」)
・揺変剤(脂肪酸アマイドワックス、楠本化成社製 商品名「ディスパロン#6500」
[溶剤]
・エチレングリコールターシャリーブチルエーテル(ETB)
(実施例1~12、比較例1~7)
上述した、加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)、アクリル系重合体(B)、モノアミン化合物(C1)、ジアミン化合物(C2)、ポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤(D)、可塑剤(E)、充填剤、脱水剤、シラノール縮合触媒、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、NH型ヒンダードアミン系光安定剤、アミノシランカップリング剤、揺変剤及びエチレングリコールターシャリーブチルエーテル(ETB)をそれぞれ表1に示した配合量となるようにして、密封した攪拌機中で減圧しながら均一になるまで混合することにより硬化性組成物を得た。なお、表1において、「加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)」は、単に「ポリオキシアルキレン系重合体(A)」と表記した。
製造直後の硬化性組成物について、水の接触角、赤土付着性及び水浸漬後の体積変化率を下記の要領で測定し、その結果を表1の「製造直後」の欄に示した。
製造から6カ月間、23℃の雰囲気下にて保存された(長期保存)後の硬化性組成物について、水の接触角及び赤土付着性を下記の要領で測定し、その結果を表1の「長期保存後」の欄に示した。
(水の接触角)
硬化性組成物を、温度23℃及び相対湿度50%の雰囲気下で14日間に亘って養生させて硬化させて硬化物を得た。硬化物表面における水の接触角をJIS R3257(1999)「基板ガラス表面のぬれ性試験方法」の静滴法に準拠した測定方法で接触角θ値を得た。滴下液は蒸留水で、液量は4μL、滴下から2分後の接触角を測定することにより求めた。接触角の計算はθ/2法により算出した。硬化性組成物の硬化物表面における任意の10箇所において水の接触角を測定し、全ての接触角の測定値の相加平均値を、硬化性組成物の硬化物表面における水の接触角(W)とした。接触角の測定雰囲気は、温度23℃、相対湿度50%とした。固液界面解析装置として、協和界面科学株式会社から商品名「DMs-401」にて市販されている装置を用いた。接触角の計算は、協和界面科学株式会社から商品名「DMs-401」にて市販されている固液界面解析装置に付属しているソフト「FAMAS」を用いて行った。得られた硬化物の表面における水の接触角(W1)を下記基準に基づいて評価した。
◎・・水の接触角(W1)が30°未満であった。
○・・水の接触角(W1)が30°以上で且つ40°未満であった。
△・・水の接触角(W1)が40°以上で且つ50°未満であった。
×・・水の接触角(W1)が50°を超えていた。
(赤土付着性)
ステンレス板上に硬化性組成物を温度23℃及び相対湿度50%の雰囲気下で厚さ5mmとなるように塗工して14日間養生して硬化させて硬化物を得た。赤土を硬化性組成物の硬化物の表面に振り掛けた。赤土の表面の色差(ΔE)を測色計を用いて測定し、下記基準に基づいて評価した。色差が小さくなるほど、赤土の付着が少ないことが分かる。
○・・ΔEが10未満であった。
△・・ΔEが10以上で且つ13未満であった。
×・・ΔEが13以上であった。
(水浸漬後の体積変化率)
温度23℃及び相対湿度50%の雰囲気下にて、一辺が5cmの平面正方形状で且つ厚さ5mmとなるように、硬化性組成物をポリプロピレンフィルム上に塗工して28日間養生した後、更に、70℃で7日間養生して硬化させて試験体を得た。次に、試験体を23℃の水に7日間浸漬した。下記式に基づき、試験体の体積変化率ΔVを算出した。体積変化率ΔVが1%未満であった場合を「○」、体積変化率ΔVが1%以上で且つ3%未満であった場合を「△」、体積変化率ΔVが3%以上であった場合を「×」とした。体積変化率ΔVが小さいほど、試験体が水分を吸収しておらず、耐水性に優れていると判断でき、硬化性組成物の硬化物は、止水性及びゴム弾性に優れ、シーリング材に好適に用いることができる。
ΔV={(m3-m4)-(m-m}/(m-m
:試験体作成直後に、大気中で測定した試験体の質量(g)
:試験体作成直後に、純水中で測定した試験体の質量(g)
:水に7日間浸漬した直後に、大気中で測定した試験体の質量(g)
:水に7日間浸漬した直後に、純水中で測定した試験体の質量(g)
Figure 2022083438000002

Claims (6)

  1. 加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)と、アクリル系重合体(B)と、アミン化合物(C)と、式(3)で示される構造式を有するポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤とを含有することを特徴とする硬化性組成物。
    5-O-(R6-O)-H (3)
    但し、R5は、炭素数が13以上のアルキル基であり、R6は、アルキレン基を表し、pは、繰り返し単位の数であって正の整数である。
  2. 加水分解性シリル基を有するポリオキシアルキレン系重合体(A)及びアクリル系重合体(B)の総量100質量部に対してポリオキシアルキレン骨格を有する界面活性剤0.1~50質量部を含有していることを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. アミン化合物(C)がモノアミン化合物(C1)又はジアミン化合物(C2)を含有することを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  4. モノアミン化合物(C1)は、式(1)で示される構造式を有することを特徴とする請求項3に記載の硬化性組成物。
    2-NH2 (1)
    但し、式(1)において、R2は、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基、又は、一価の飽和脂環式炭化水素基である。
  5. ジアミン化合物(C2)は、式(2)で示される構造式を有することを特徴とする請求項3に記載の硬化性組成物。
    3-NH-R4-NH2 (2)
    但し、式(2)において、R3は、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基、一価の不飽和脂肪族炭化水素基、一価の飽和脂環式炭化水素基、又はアリール基であり、R4は、アルキレン基である。
  6. 可塑剤を含有することを特徴とする請求項1~5の何れか1項に記載の硬化性組成物。
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