JP2022083299A - 電解質及びデュアルイオン電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】エネルギー密度に優れるデュアルイオン電池を製造可能な電解質、及びエネルギー密度に優れるデュアルイオン電池を提供する。【解決手段】ビニレンカーボネート及びリチウム塩を含み、アニオンを挿入脱離可能な正極活物質を含む正極及びカチオンを挿入脱離可能な負極活物質を含む負極を備えるデュアルイオン電池に用いるための電解質。【選択図】なし

Description

本発明は、電解質及びデュアルイオン電池に関する。
近年、各種モビリティ、スマートグリッド等向けに高性能な二次電池が必要とされている。中でも小型電気自動車のようなパーソナルモビリティ、電力周波数平準化等に用いられる二次電池にはさらなる入出力特性の改善が求められている。
入出力特性に優れる二次電池としてデュアルイオン電池(DIB)が注目されている。デュアルイオン電池は、正極に電解質中のアニオンが挿入脱離し、負極に電解質中のカチオンが挿入脱離することで充放電が進行する二次電池である。DIBの中でも特に正極及び負極に炭素材料が用いられる電池をデュアルカーボン電池(DCB)という。
例えば、特許文献1には、アニオンを挿入乃至脱離可能な正極活物質を含む正極と、負極活物質を含む負極と、非水溶媒、ハロゲン原子を含む電解質塩、ハロゲン原子を含むアニオンを結合可能な部位を有する化合物、及び環状スルホン酸エステルを含有する非水電解液と、を有することを特徴とする非水電解液蓄電素子が提案されている。特許文献1にて提案されている非水電解液蓄電素子では、非水電解液の分解を防止することで充放電効率、放電容量、及びサイクル特性をいずれも向上させることができる。
特開2014-96528号公報
DIBは高い入出力特性と高い電圧とを示す一方、容量が小さいためエネルギー密度が低いという欠点がある。DIBの容量は正極活物質の結晶子に挿入されるアニオンの量で決まるため、改善には物理的な限界があった。
特許文献1では、DIBの一種である非水電解液蓄電素子中の非水電解液に特定の化合物を添加することで容量の低下を抑制できることが記載されている。しかし、特許文献1に記載されている方法以外にも、容量が好適に維持されることでエネルギー密度に優れるデュアルイオン電池、及びそのデュアルイオン電池を製造可能な電解質が求められている。
本開示の一形態は上記従来の事情に鑑みてなされたものであり、エネルギー密度に優れるデュアルイオン電池を製造可能な電解質、及びエネルギー密度に優れるデュアルイオン電池を提供することを目的とする。
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> ビニレンカーボネート及びリチウム塩を含み、アニオンを挿入脱離可能な正極活物質を含む正極及びカチオンを挿入脱離可能な負極活物質を含む負極を備えるデュアルイオン電池に用いるための電解質。
<2> サルファイト化合物、有機ボラン化合物、環状スルホン酸エステル及びジニトリル化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物をさらに含む<1>に記載の電解質。
<3> ビニレンカーボネートの含有率は、電解質全量に対して0.05質量%~3.0質量%である<1>又は<2>に記載の電解質。
<4> イオン液体をさらに含む<1>~<3>のいずれか1つに記載の電解質。
<5> 前記イオン液体は、ピロリジニウムカチオン及びビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンを含む<4>に記載の電解質。
<6> アニオンを挿入脱離可能な正極活物質を含む正極と、カチオンを挿入脱離可能な負極活物質を含む負極と、<1>~<5>のいずれか1つの電解質と、を備えるデュアルイオン電池。
<7> 前記負極活物質は、炭素材料及び金属化合物の少なくとも一方を含む<1>~<6>のいずれか1つに記載のデュアルイオン電池。
<8> 前記負極活物質は、グラファイト及びチタン酸リチウムの少なくとも一方を含む<7>に記載のデュアルイオン電池。
本開示の一形態によれば、エネルギー密度に優れるデュアルイオン電池を製造可能な電解質、及びエネルギー密度に優れるデュアルイオン電池を提供することができる。
本開示のデュアルイオン電池の一例を示す斜視図である。 電極群を構成する正極板、負極板、セパレータ及びガス吸蔵部材を示す斜視図である。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。また、本開示中の技術的思想の範囲内において、当業者による様々な変更及び修正が可能である。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率は、特に断らない限り、当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含んでいてもよい。各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示において「層」又は「膜」との語には、当該層又は膜が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本開示において、正極合剤又は負極合剤の「固形分」とは、正極合剤のスラリー又は負極合剤のスラリーから有機溶媒等の揮発性成分を除いた残りの成分を意味する。
本開示において、「アニオンを挿入脱離可能な正極活物質」とは正極活物質の結晶子中にアニオンが可逆的に挿入及び脱離することが可能な正極活物質を意味する。
本開示において、「カチオンを挿入脱離可能な負極活物質」とは負極活物質の結晶子中にカチオンが可逆的に挿入及び脱離することが可能な負極活物質を意味する。そのため、リチウム金属のようにリチウムイオンの析出及び析出したリチウム金属の溶解を繰り返す負極活物質は、本開示のカチオンを挿入脱離可能な負極活物質に含まれない。
<電解質>
本開示の電解質は、ビニレンカーボネート及びリチウム塩を含み、アニオンを挿入脱離可能な正極活物質を含む正極及びカチオンを挿入脱離可能な負極活物質を含む負極を備えるデュアルイオン電池に用いるための電解質である。
本開示の電解質を用いることでエネルギー密度に優れるデュアルイオン電池を製造可能である。上記効果が得られる詳細なメカニズムは不明であるが、以下のように推測される。本開示の電解質を前述のデュアルイオン電池に用いる際、電解質がビニレンカーボネートを含むことで、正極活物質表面が改質されたり、リチウム塩の乖離度が向上したりする。これらにより、アニオンが正極活物質に挿入される際の活性化エネルギーが下がり、正極活物質に挿入されるアニオンの量が増加する。以上により、デュアルイオン電池の容量が好適に維持されることでエネルギー密度に優れる、と推測される。
(ビニレンカーボネート)
本開示の電解質は、ビニレンカーボネートを含む。電解質がビニレンカーボネートを含むことでエネルギー密度に優れるデュアルイオン電池を製造可能と考えられる。
本開示の電解質にて、ビニレンカーボネートの含有率は、電解質全量に対して0.05質量%~3.0質量%であることが好ましく、0.2質量%~1.5質量%であることがより好ましく、0.3質量%~1.2質量%であることがさらに好ましく、0.4質量%~0.9質量%であることが特に好ましい。
ビニレンカーボネートの含有率が0.05質量%~3.0質量%であることにより、エネルギー密度により優れるデュアルイオン電池を製造可能である傾向にあり、特にビニレンカーボネートの含有率が1.5質量%以下であることにより、エネルギー密度にさらに優れるデュアルイオン電池を製造可能である傾向にある。
(リチウム塩)
本開示の電解質は、リチウム塩を含む。リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiFSI(リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド)、LiTFSI(リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド)、LiClO、LiB(C、LiCHSO、LiCFSO、LiN(SOCFCF等が挙げられる。リチウム塩は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
電解質におけるリチウム塩の濃度は、0.5mol/L以上であることが好ましく、1.5mol/L以上であることがより好ましい。リチウム塩の濃度の上限値は特に制限はなく、4.0mol/L以下であってもよく、3.0mol/L以下であってもよく、2.5mol/L以下であってもよい。リチウム塩の濃度を0.5mol/L以上とすることで、デュアルイオン電池の充放電サイクル特性をより向上させることができる。
(特定の化合物)
本開示の電解質は、デュアルイオン電池のサイクル特性を向上させる観点から、サルファイト化合物、有機ボラン化合物、環状スルホン酸エステル及びジニトリル化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物(以下、「特定の化合物」とも称する。)をさらに含むことが好ましい。特定の化合物を、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
サルファイト化合物としては、特に限定されず、エチレンサルファイト、プロピレンサルファイト、ブチレンサルファイト、ペンテンサルファイト、ジメチルサルファイト、ジプロパルギルサルファイト等が挙げられる。これらの中でも、容量を好適に維持しつつ、副反応を抑制することが可能となる観点から、エチレンサルファイトが好ましい。
有機ボラン化合物としては、特に限定されず、トリス(ぺンタフルオロフェニル)ボラン、トリス(ヘキサフルオロイソプロピル)ボレート、トリメシチルボラン、トリス(1,2ジメチルプロピル)ボラン、トリス(パラフルオロフェニル)ボラン、トリス(パラクロロフェニル)ボラン、(CHO)B、(CCHO)B、[(CFCHO]B、[(CFC(C)O]B、(CO)B、(FCO)B、(FO)B、(FHO)B、(CO)B、(CFO)B、[(CFO]B、[(CFCHO]B、[CFCHO]B、(CFO)B等が挙げられる。これらの中でも、トリス(ぺンタフルオロフェニル)ボランが好ましい。
環状スルホン酸エステルとしては、特に限定されず、1,3-プロパンスルトン、1,4-ブタンスルトン、1,3-ブタンスルトン、2,4-ブタンスルトン等のモノスルホン酸エステル;メチレンメタンジスルホン酸エステル、エチレンメタンジスルホン酸エステル等のジスルホン酸エステルなどが挙げられる。これらの中でも、1,3-プロパンスルトンが好ましい。
ジニトリル化合物としては、特に限定されず、マロノニトリル、スクシノニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、スベロニトリル、アゼラニトリル、セバコニトリル、ウンデカンジニトリル、ドデカンジニトリル等が挙げられる。
本開示の電解質にて、特定の化合物の含有率は、電解質全量に対して0.1質量%~5.0質量%であることが好ましく、0.3質量%~4.0質量%であることがより好ましく、0.5質量%~3.0質量%であることがさらに好ましい。
特定の化合物の含有率が0.1質量%以上であることにより、サイクル特性により優れるデュアルイオン電池を製造可能である傾向にあり、特定の化合物の含有率が5.0質量%以下であることにより、副反応が抑制できる傾向にある。
(その他の環状カーボネート)
本開示の電解質は、ビニレンカーボネート以外のその他の環状カーボネートを含んでいてもよい。その他の環状カーボネートとしては、例えば、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ブチレンカーボネート(BC)、及びフルオロエチレンカーボネート(FEC)が挙げられる。
その他の環状カーボネートを、1種単独で使用してもよいし、2種以上併用してもよい。
その他の環状カーボネートの含有率は、電解質全量に対して0.1質量%~3質量%であってもよい。
(イオン液体)
本開示の電解質は、イオン液体をさらに含むことが好ましい。イオン液体をリチウム塩の溶媒として用いた場合、イオン液体は安定性に優れ、溶媒の揮発等が抑制される。
本開示において、イオン液体とは、カチオン及びアニオンで構成され、比較的低温、例えば、25℃程度にて液体状態となる塩をいう。
イオン液体に含まれるカチオンとしては、特に限定されず、例えば、窒素元素、リン元素、硫黄元素及び酸素元素からなる群より選択される少なくとも1つの元素を構造中に含み、鎖状構造、5員環、6員環等の環状構造などを骨格中に含むカチオンが好ましく、安定性の観点から、窒素元素を構造中に含み、鎖状構造、5員環、6員環等の環状構造などを骨格中に含むカチオン(以下、「窒素含有カチオン」とも称する。)がより好ましい。
イオン液体に含まれるカチオンは一種であってもよく、二種以上であってもよい。
5員環、6員環等の環状構造としては、フラン、チオフェン、ピロール、ピリジン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、フラザン、イミダゾール、ピラゾール、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、ピロリジン、ピペリジン等の複素単環化合物に由来する構造、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、インドール、イソインドール、インドリジン、カルバゾール等の縮合複素環化合物に由来する構造などが挙げられる。
窒素含有カチオンとしては、トリエチルアンモニウムカチオン等のアルキルアンモニウムカチオン、エチルメチルイミダゾリウムカチオン、ブチルメチルイミダゾリウムカチオン等のイミダゾリウムカチオン、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムカチオン、1-メチル-1-プロピルピロリジニウムカチオン等のピロリジニウムカチオン、1-ブチル-1-メチルピペリジニウムカチオン、1-メチル-1-プロピルピペリジニウムカチオン等のピペリジニウムカチオン、1-エチルピリジニウムカチオン等のピリジニウムカチオンなどが挙げられる。中でも、電気化学的な安定性の観点から、1-ブチル-1-メチルピロリジニウムカチオン、1-メチル-1-プロピルピロリジニウムカチオン等のピロリジニウムカチオンが好ましい。
イオン液体に含まれるアニオンとしては、特に限定されず、例えば、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン((CFSO)、ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン(〔N(SOF))、BF 、PF 、AsF 、ClO、NO 、CFSO 、CFCO 及びCHCO が挙げられる。中でも、電気化学的な安定性の観点から、(CFSOが好ましい。
イオン液体に含まれるアニオンは一種であってもよく、二種以上であってもよい。
イオン液体に含まれるカチオン及びアニオンの組み合わせは、前述の電気化学的な安定性の観点から、ピロリジニウムカチオン及びビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンの組み合わせが好ましい。
(非水溶媒)
本開示の電解質は、イオン液体以外の非水溶媒を含んでいてもよい。非水溶媒としては、特に限定されず、リチウム塩の溶解性の観点から、鎖状カーボネートが好ましい。
鎖状カーボネートとしては、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピオネート等が挙げられる。中でも、耐酸化性及び耐還元性の観点から、エチルメチルカーボネートが好ましい。
<デュアルイオン電池>
本開示のデュアルイオン電池は、アニオンを挿入脱離可能な正極活物質を含む正極と、カチオンを挿入脱離可能な負極活物質を含む負極と、本開示の電解質と、を備える。本開示のデュアルイオン電池は、前述の本開示の電解質を備えることによりエネルギー密度に優れる。
本開示のデュアルイオン電池にて用いる正極及び負極の好ましい構成について以下に説明する。
(正極)
本開示のデュアルイオン電池は、アニオンを挿入脱離可能な正極活物質を含む正極を備える。例えば、正極は、正極集電体と、前記正極集電体の表面に配置され、かつ正極活物質を含む正極合剤層と、を有する構成であってもよい。
正極活物質は、アニオンを挿入脱離可能な活物質であれば特に限定されない。正極活物質としては、グラファイト、カーボンナノチューブ、グラフェン、ナノカーボン、酸化グラファイト、酸化グラフェン、ハードカーボン、ソフトカーボン等の炭素材料が挙げられる。
正極活物質は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正極活物質が炭素材料、好ましくはグラファイトである場合、炭素材料の平均粒子径は、2μm~30μmであることが好ましく、2.5μm~25μmであることがより好ましく、3μm~20μmであることがさらに好ましく、5μm~20μmであることが特に好ましい。平均粒子径が30μm以下であると、放電容量及び放電特性が向上する傾向にある。平均粒子径が2μm以上であると、初回充放電効率が向上する傾向にある。
粒子の平均粒子径(d50)は、例えば、レーザー光散乱法を利用した粒子径分布測定装置(SALD-3000、株式会社島津製作所)を用いて体積基準の粒度分布を測定し、d50(メジアン径)として求められる体積平均粒子径である。
炭素材料、好ましくはグラファイトの比表面積の範囲は、0.5m/g~10m/gであることが好ましく、0.8m/g~8m/gであることがより好ましく、1m/g~7m/gであることがさらに好ましく、1.5m/g~6m/gであることが特に好ましい。
比表面積が0.5m/g以上であると、優れた電池性能が得られる傾向にある。また、比表面積が10m/g以下であると、タップ密度が上がりやすく、結着剤、導電剤等のほかの材料との混合性が良好になる傾向にある。
比表面積は、JIS Z 8830:2013に準じて窒素吸着能から測定することができる。比表面積の測定を行う際には、試料表面及び構造中に吸着している水分がガス吸着能に影響を及ぼすと考えられることから、まず、加熱による水分除去の前処理を行うことが好ましい。
前処理では、0.05gの測定試料を投入した測定用セルを、真空ポンプで10Pa以下に減圧した後、110℃で加熱し、3時間以上保持した後、減圧した状態を保ったまま常温(25℃)まで自然冷却する。この前処理を行った後、評価温度を77Kとし、評価圧力範囲を相対圧(飽和蒸気圧に対する平衡圧力)にて1未満として測定する。窒素吸着を多点法で測定し、BET法により比表面積を算出する。
正極合剤層が正極活物質を含む場合、正極活物質の含有率は、電池の高容量化の観点から、正極合剤層全量に対して80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
次に、正極合剤層及び正極集電体について詳細に説明する。正極合剤層は、正極活物質、結着剤等を含有し、正極集電体上に配置される。正極合剤層の形成方法に制限はなく、例えば、次のように形成される。正極活物質、結着剤及び必要に応じて用いられる導電剤、増粘剤等の他の材料を乾式で混合してシート状にし、これを正極集電体に圧着する(乾式法)ことで正極合剤層を形成することができる。また、正極活物質、結着剤及び必要に応じて用いられる導電剤、増粘剤等の他の材料を分散溶媒に溶解又は分散させて正極合剤のスラリーとし、これを正極集電体に塗布し、乾燥する(湿式法)ことで正極合剤層を形成することができる。
正極用の導電剤としては、銅、ニッケル等の金属材料;天然黒鉛、人造黒鉛等の黒鉛(グラファイト);アセチレンブラック等のカーボンブラック;ニードルコークス等の無定形炭素等の炭素材料などが挙げられる。なお、正極用の導電剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正極合剤層の質量に対する導電剤の含有率は、0.01質量%~10質量%であってもよく、0.1質量%~5質量%であってもよく、1質量%~3質量%であってもよい。導電剤の含有率が0.01質量%以上であると充分な導電性を得やすい傾向にある。導電剤の含有率が10質量%以下であれば、電池容量の低下を抑制することができる傾向にある。
正極用の結着剤としては、特に限定されず、湿式法により正極合剤層を形成する場合には、分散溶媒に対する溶解性又は分散性が良好な材料が選択される。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、セルロース等の樹脂系高分子;SBR(スチレン-ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル-ブタジエンゴム)等のゴム状高分子;ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン-フッ化ビニリデン共重合体、フッ素化ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系高分子;ポリアクリロニトリル骨格にアクリル酸及び直鎖エーテル基を付加した共重合体;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物などが挙げられる。なお、正極用の結着剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
正極の安定性の観点から、結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン-フッ化ビニリデン共重合体等のフッ素系高分子、ポリアクリロニトリル骨格を有する共重合体、セルロースなどを用いることが好ましい。
正極合剤層の質量に対する結着剤の含有率は、0.1質量%~10質量%であることが好ましく、0.5質量%~5質量%であることがより好ましく、1質量%~3質量%であることがさらに好ましい。
結着剤の含有率が0.1質量%以上であると、正極活物質を充分に結着でき、充分な正極合剤層の機械的強度が得られ、サイクル特性等の電池性能が向上する傾向にある。結着剤の含有率が10質量%以下であると、充分な電池容量及び導電性が得られる傾向にある。
湿式法又は乾式法を用いて正極集電体上に形成された正極合剤層は、正極活物質の充填密度を向上させるため、ハンドプレス又はローラープレスにより圧密化することが好ましい。
圧密化した正極合剤層の密度は、入出力特性のさらなる向上の観点から、0.7g/cm~2g/cmであることが好ましく、0.8g/cm~1.9g/cmであることがより好ましく、0.9g/cm~1.8g/cmであることがさらに好ましい。
また、正極合剤層を形成する際の正極合剤のスラリーの正極集電体への片面塗布量は、エネルギー密度及び入出力特性の観点から、正極合剤の固形分として、20g/m~100g/mであることが好ましく、30g/m~80g/mであることがより好ましく、40g/m~60g/mであることがさらに好ましい。
正極集電体の材質としては特に制限はなく、中でも金属材料が好ましく、アルミニウム、モリブデン、窒化チタンをコートしたステンレス鋼等がより好ましい。正極集電体の形状としては特に制限はなく、種々の形状に加工された材料を用いることができる。金属材料については、金属箔、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル等が挙げられ、中でも、金属薄膜を用いることが好ましい。なお、薄膜は適宜メッシュ状に形成してもよい。
正極集電体の平均厚さは特に限定されるものではなく、正極集電体として必要な強度及び良好な可とう性が得られる観点から、1μm~1mmであることが好ましく、3μm~100μmであることがより好ましく、5μm~100μmであることがさらに好ましい。
(負極)
本開示のデュアルイオン電池は、カチオンを挿入脱離可能な負極活物質を含む負極を備える。例えば、負極は、負極集電体と、前記負極集電体の表面に配置され、かつ負極活物質を含む負極合剤層と、を有する構成であってもよい。
負極活物質は、カチオンを挿入脱離可能な活物質であれば特に限定されない。負極活物質としては、炭素材料及び金属化合物の少なくとも一方を含むことが好ましく、グラファイト及びチタン酸リチウムの少なくとも一方を含むことがより好ましい。
負極活物質は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
炭素材料としては、グラファイト、カーボンナノチューブ、グラフェン、ナノカーボン、酸化グラファイト、酸化グラフェン、ハードカーボン、ソフトカーボン等が挙げられる。
金属化合物としては、LiTi12等のリチウムチタン複合酸化物、酸化モリブデン、五酸化ニオブ、硫化鉄、硫化チタン、二酸化チタン、チタンニオブ酸化物(TiNb)、酸化鉄(Fe)、バナジウム酸リチウム(LiVO)、酸化タングステン(WO)、酸化マンガン(Mn)及びYTiが挙げられる。これらの中でも、リチウムチタン複合酸化物(LTO)であることが好ましい。リチウムチタン複合酸化物としては、例えば、LiTi12等のチタン酸リチウムが挙げられる。
負極活物質が炭素材料、好ましくはグラファイトである場合、炭素材料の平均粒子径、比表面積等の条件は、前述の正極活物質が炭素材料、好ましくはグラファイトである場合と同様である。
負極合剤層が負極活物質を含む場合、負極活物質の含有率は、電池の高容量化の観点から、負極合剤層全量に対して80質量%以上であることが好ましく、85質量%以上であることがより好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
次に、負極合剤層及び負極集電体について詳細に説明する。負極合剤層は、負極活物質、結着剤等を含有し、負極集電体上に配置される。負極合剤層の形成方法に制限はなく、例えば、次のように形成される。負極活物質、結着剤及び必要に応じて用いられる導電剤、増粘剤等の他の材料を分散溶媒に溶解又は分散させて負極合剤のスラリーとし、これを負極集電体に塗布し、乾燥する(湿式法)ことで負極合剤層を形成することができる。
負極用の導電剤としては、アセチレンブラック等のカーボンブラック、ニードルコークス等の無定形炭素などを用いることができる。負極用の導電剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。このように、負極合剤に導電剤を添加することにより、電極の抵抗を低減する等の効果が得られる傾向にある。
負極合剤層の質量に対する導電剤の含有率は、導電性の向上及び初期不可逆容量の低減の観点から、1質量%~10質量%であることが好ましく、2質量%~7質量%であることがより好ましく、3質量%~5質量%であることがさらに好ましい。導電剤の含有率が1質量%以上であると充分な導電性を得やすい傾向にある。導電剤の含有率が10質量%以下であると電池容量の低下を抑制することができる傾向にある。
負極用の結着剤としては、非水電解液又は電極の形成の際に用いる分散溶媒に対して安定な材料であれば、特に制限はない。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、セルロース、ニトロセルロース等の樹脂系高分子;SBR(スチレン-ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニトリル-ブタジエンゴム)等のゴム状高分子;ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン等のフッ素系高分子;アルカリ金属イオン(特にリチウムイオン)のイオン伝導性を有する高分子組成物などが挙げられる。なお、負極用の結着剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、セルロース、SBR、ポリフッ化ビニリデンに代表されるフッ素系高分子等を用いることが好ましい。
負極合剤層の質量に対する結着剤の含有率は、0.1質量%~20質量%であることが好ましく、0.5質量%~15質量%であることがより好ましく、0.6質量%~10質量%であることがさらに好ましい。
結着剤の含有率が0.1質量%以上であると、負極活物質を充分に結着でき、充分な負極合剤層の機械的強度が得られる傾向にある。結着剤の含有率が20質量%以下であると、充分な電池容量及び導電性が得られる傾向にある。
なお、結着剤として、ポリフッ化ビニリデンに代表されるフッ素系高分子を主要成分として用いる場合の負極合剤層の質量に対する結着剤の含有率は、1質量%~15質量%であることが好ましく、2質量%~10質量%であることがより好ましく、3質量%~8質量%であることがさらに好ましい。
増粘剤は、スラリーの粘度を調整するために使用される。増粘剤としては、特に制限はなく、具体的には、例えば、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン及びこれらの塩が挙げられる。増粘剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
負極合剤層の質量に対する増粘剤の含有率は、入出力特性及び電池容量の観点から、0.1質量%~5質量%であることが好ましく、0.5質量%~3質量%であることがより好ましく、0.6質量%~2質量%であることがさらに好ましい。
スラリーを形成するための分散溶媒としては、負極活物質、結着剤、及び必要に応じて用いられる導電剤、増粘剤等を溶解又は分散することが可能な溶媒であれば、その種類に制限はなく、水系溶媒又は有機系溶媒のどちらを用いてもよい。水系溶媒の例としては、水、アルコール、水とアルコールとの混合溶媒等が挙げられる。有機系溶媒の例としては、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、アクリル酸メチル、テトラヒドロフラン(THF)、トルエン、アセトン、ジエチルエーテル、ジメチルスルホキシド、ベンゼン、キシレン、ヘキサン等が挙げられる。特に水系溶媒を用いる場合、増粘剤を用いることが好ましい。
負極合剤層の密度は、0.7g/cm~2g/cmであることが好ましく、0.8g/cm~1.9g/cmであることがより好ましく、0.9g/cm~1.8g/cmであることがさらに好ましい。
負極合剤層の密度が0.7g/cm以上であると、負極活物質間の導電性が向上し電池抵抗の増加を抑制することができ、単位容積あたりの容量を向上できる傾向にある。負極合剤層の密度が2g/cm以下であると、初期不可逆容量の増加及び負極集電体と負極活物質との界面付近への非水電解液の浸透性の低下による放電特性の劣化を招くおそれが少なくなる傾向にある。
また、負極合剤層を形成する際の負極合剤のスラリーの負極集電体への片面塗布量は、エネルギー密度及び入出力特性の観点から、負極合剤の固形分として、20g/m~100g/mであることが好ましく、30g/m~80g/mであることがより好ましく、40g/m~60g/mであることがさらに好ましい。
負極集電体の材質としては特に制限はなく、具体例としては、銅、ニッケル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等の金属材料が挙げられる。中でも、加工のし易さとコストの観点から銅が好ましい。
負極集電体の形状としては特に制限はなく、種々の形状に加工された材料を用いることができる。具体例としては、金属箔、金属板、金属薄膜、エキスパンドメタル等が挙げられる。中でも、金属箔が好ましく、銅箔がより好ましい。銅箔には、圧延法により形成された圧延銅箔と、電解法により形成された電解銅箔とがあり、どちらも負極集電体として好適である。
負極集電体の平均厚さは特に限定されるものではない。例えば、5μm~50μmであることが好ましく、8μm~40μmであることがより好ましく、9μm~30μmであることがさらに好ましい。
なお、負極集電体の平均厚さが25μm未満の場合、純銅よりも強銅合金(リン青銅、チタン銅、コルソン合金、Cu-Cr-Zr合金等)を用いることでその強度を向上させることができる。
(セパレータ)
本開示のデュアルイオン電池は、正極と負極との間に正極及び負極間を絶縁するセパレータを備えていてもよい。セパレータとしては、正極及び負極間を絶縁しつつ、イオン透過性を有し、かつ、正極側における酸化性及び負極側における還元性に対する耐性を備えるものであれば特に制限はない。このような特性を満たすセパレータの材料(材質)としては、樹脂、無機物等が用いられる。
樹脂としては、オレフィン系高分子、フッ素系高分子、セルロース系高分子、ポリイミド、ナイロン等が用いられる。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンを原料とする多孔性シート又は不織布などをセパレータとして用いることが好ましい。
無機物としては、アルミナ、二酸化ケイ素等の酸化物類、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の窒化物類、ガラスなどが用いられる。例えば、繊維形状又は粒子形状の上記無機物を、不織布としたもの、織布としたもの又は微多孔性フィルム等の薄膜形状の基材に付着させたものをセパレータとして用いることができる。薄膜形状の基材としては、孔径が0.01μm~1μmであり、平均厚さが5μm~50μmのものが好適に用いられる。また、繊維形状又は粒子形状の上記無機物を、樹脂等の結着剤を用いて複合多孔層としたものをセパレータとして用いることもできる。また、この複合多孔層を他のセパレータの表面に形成し、多層セパレータとしてもよい。さらに、この複合多孔層を、正極又は負極の表面に形成し、セパレータとしてもよい。
<デュアルイオン電池の製造方法>
本開示のデュアルイオン電池の製造方法は、アニオンを挿入脱離可能な正極活物質を含む正極と、カチオンを挿入脱離可能な負極活物質を含む負極と、前述の本開示の電解質と、を電池容器に収容する工程(収容工程)を有する。
(収容工程)
本開示の製造方法は、正極と、負極と、前述の本開示の電解質と、を電池容器に収容する工程(収容工程)を有する。この工程では、デュアルイオン電池の各構成部材が電池容器に収容される。また、正極と負極との間に正極及び負極間を絶縁するセパレータが配置されるように、セパレータを電池容器に収容してもよい。
例えば、正極及び負極、並びに必要に応じて正極と負極との間にセパレータを電池容器内に配置した状態にて、電池容器内に前述の本開示の電解質を供給すればよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
以下のようにして電解質、正極及び負極を作製し、それぞれを用いてデュアルイオン電池を作製した。
(正極の作製)
正極活物質であるグラファイト(昭和電工マテリアルズ株式会社)を98質量部、結着剤であるカルボキシメチルセルロース(#2200、株式会社ダイセル)を2質量部混合して混合物を得た。混合物に適量の水を添加して混練することでペースト状の正極合剤スラリーを得た。正極合剤の固形分が45g/mとなるように、正極用の集電体である厚さ15μmのアルミニウム箔の片面に正極合剤スラリーを塗布した。その後、乾燥処理を施し、集電体上に乾燥塗膜を得た。この乾燥塗膜を、正極合剤の固形分の密度が1.6g/cmになるまでプレスにより圧密化し、集電体上に正極合剤層が形成された正極積層体を作製した。集電体及び正極合剤層の合計の厚さは30μmであった。作製された正極積層体を幅30mm、長さ45mmに切断して正極板とし、この正極板に正極集電タブを取り付けることで正極を作製した。
(負極の作製)
負極活物質であるグラファイト(昭和電工マテリアルズ株式会社)を98質量部、結着剤であるスチレン・ブタジエンゴム(TDR2001、JSR株式会社)を1質量部、増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(#2200、株式会社ダイセル)を1質量部混合して混合物を得た。混合物に適量の水を添加して混練することでペースト状の負極合剤スラリーを得た。負極合剤の固形分が45g/mとなるように、負極用の集電体である厚さ10μmの銅箔の片面に負極合剤スラリーを塗布した。その後、乾燥処理を施し、乾燥塗膜を得た。この乾燥塗膜を、負極合剤の固形分の密度が1.6g/cmになるまでプレスにより圧密化し、集電体の上に負極合剤層が形成された負極積層体を作製した。集電体及び負極合剤層の合計の厚さは30μmであった。作製された負極積層体を幅31mm、長さ46mmに切断して負極板とし、この負極板に負極集電タブを取り付けることで負極を作製した。
(電極群の作製)
作製した正極と負極とを、セパレータである厚さ680μm、幅35mm、長さ50mmのガラス繊維ろ紙(Whatman、GF/D)を介して対向させ、積層状の電極群を作製した。
(電解液の調製)
溶媒である1-ブチル-1-メチルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Pyr14TFSI)に、2.0mol/Lの濃度となるように電解質塩であるリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)を添加した。次いで、Pyr14TFSI及びLiTFSIの混合液にエチレンサルファイト(ES)及びビニレンカーボネート(VC)をそれぞれ添加して電解液を調製した。電解液中にて、エチレンサルファイトの濃度は電解液全体の2.0質量%であり、ビニレンカーボネートの濃度は電解液全体の0.5質量%であった。
(デュアルイオン電池の作製)
上記積層状の電極群を、アルミニウム製のラミネートフィルムで構成された電池容器である電池外装体内に収容し、調製された電解液を注入した。その後、上記の正極集電タブと負極集電タブとを開口部から外部に取り出した状態にて電池容器の開口部を封口させて、実施例1のデュアルイオン電池を作製した。なお、アルミニウム製のラミネートフィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム/アルミニウム箔/シーラント層(ポリプロピレン)の積層体であった。
作製したデュアルイオン電池及び電極群の構成を図1及び図2にそれぞれ示す。
図1に示すデュアルイオン電池10は、電池外装体6内に、電極群20と電解液を収容したものであり、正極集電タブ2と負極集電タブ4が電池外装体6の外に取り出されるように構成されている。
図2に示す電極群20は、正極集電タブ2を取り付けた正極板1、セパレータ5、及び負極集電タブ4を取り付けた負極板3が積層されたものである。
[実施例2及び3]
実施例1にて電解液中でのビニレンカーボネートの濃度が電解液全体のそれぞれ0.7質量%及び1.0質量%となるように電解液を調製した以外は実施例1と同様にして実施例2及び3の電解液を調製した。さらに、それぞれ調製された電解液を用いて実施例1と同様にして実施例2及び3のデュアルイオン電池を作製した。
[実施例4]
実施例1にてPyr14TFSIの替わりに1-メチル-1-プロピルピロリジニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(Pyr13TFSI)を用いた以外は実施例1と同様にして電解液を調製し、調製された電解液を用いて実施例1と同様にして実施例4のデュアルイオン電池を作製した。
[比較例1]
実施例1にてビニレンカーボネートを用いなかった以外は実施例1と同様にして電解液を調製し、調製された電解液を用いて実施例1と同様にして比較例1のデュアルイオン電池を作製した。
[実施例5]
実施例1にて作製した負極の替わりに、以下の手順で作製したチタン酸リチウム負極(LTO負極)を用いた以外は実施例1と同様にして実施例5のデュアルイオン電池を作製した。
(LTO負極の作製)
負極活物質であるチタン酸リチウムを91質量部、導電剤であるアセチレンブラック(デンカ株式会社製)を4質量部、結着剤であるポリフッ化ビニリデンを5質量部混合して混合物を得た。混合物に適量のN-メチル-2-ピロリドンを添加して混練することでペースト状の負極合剤スラリーを得た。負極合剤の固形分が100g/mとなるように、負極用の集電体である厚さ10μmの銅箔の片面に負極合剤スラリーを塗布した。その後、乾燥処理を施し、乾燥塗膜を得た。この乾燥塗膜を、負極合剤の固形分の密度が1.9g/cmになるまでプレスにより圧密化し、集電体の上に負極合剤層が形成された負極積層体を作製した。集電体及び負極合剤層の合計の厚さは45μmであった。作製された負極積層体を幅31mm、長さ46mmに切断して負極板とし、この負極板に負極集電タブを取り付けることでLTO負極を作製した。
[比較例2]
実施例5にてビニレンカーボネートを用いなかった以外は実施例5と同様にして電解液を調製し、調製された電解液を用いて実施例5と同様にして比較例2のデュアルイオン電池を作製した。
(容量の測定)
作製されたデュアルイオン二次電池について、充放電装置(BATTERY TEST UNIT、株式会社IEM)を用い、以下の条件にて定電流充電及び定電流放電を3サイクル行い、3サイクル目の容量を測定した。
実施例1~4及び比較例1、3、4では、25℃、電流値0.1Cで3.0V~4.98Vの電圧範囲で定電流充電及び定電流放電を3サイクル行った。
実施例5及び比較例2では、25℃、電流値0.1Cで2.0V~3.5Vの電圧範囲で定電流充電及び定電流放電を3サイクル行った。
Figure 2022083299000001
実施例1~4にて作製されたデュアルイオン電池は、比較例1にて同じ種類の負極を用いて作製されたデュアルイオン電池と比較して容量が高く、エネルギー密度に優れていた。
さらに、実施例5にて作製されたデュアルイオン電池は、比較例2にて同じ種類の負極を用いて作製されたデュアルイオン電池と比較して容量が高く、エネルギー密度に優れていた。
[比較例3]
実施例1にて作製された負極の替わりに、負極活物質がリチウムであるリチウム金属負極を準備し、このリチウム金属負極を用いて実施例1と同様にして比較例3のデュアルイオン電池を作製した。
[比較例4]
比較例3にてビニレンカーボネートを用いなかった以外は比較例3と同様にして電解液を調製し、調製された電解液を用いて比較例3と同様にして比較例4のデュアルイオン電池を作製した。
比較例3及び4について、実施例1及び比較例1と同様にして容量の測定を行った。比較例3及び4での容量は、ともに85mAh/gであり、実施例1~5と比較して容量が低かった。さらに、比較例3及び4では、ビニレンカーボネートの有無による容量の差がほとんど見られなかった。
<実施例6>
(正極の作製)
正極活物質であるグラファイト(昭和電工マテリアルズ株式会社)を80質量部、結着剤であるポリフッ化ビニリデン(#1120、株式会社クレハ)を10質量部、導電剤でるアセチレンブラック(Li400、デンカ株式会社)を10質量部混合し、適量のN-メチルピロリドン(NMP)を添加して混練することでペースト状の正極合剤スラリーを得た。正極合剤の固形分が20g/mとなるように、正極用の集電体である厚さ15μmのアルミニウム箔の片面に正極合剤スラリーを塗布した。その後、乾燥処理を施し、乾燥塗膜を得た。この乾燥塗膜を、正極合剤の固形分として密度が1.6g/cmになるまでプレスにより圧密化し、集電体の上に正極合剤層が形成された正極積層体を作製した。集電体と正極合剤層の合計の厚さは25μmであった。作製された正極積層体を幅30mm、長さ45mmに切断して正極板とし、この正極板に正極集電タブを取り付けることで正極を作製した。
(負極の作製)
負極活物質であるグラファイト(昭和電工マテリアルズ株式会社)を98質量部、結着剤であるスチレン・ブタジエンゴム(TDR2001、JSR株式会社)を1質量部、増粘剤であるカルボキシメチルセルロース(#2200、株式会社ダイセル)を1質量部混合して混合物を得た。混合物に適量の水を添加して混練することでペースト状の負極合剤スラリーを得た。負極合剤の固形分が20g/mとなるように、負極用の集電体である厚さ10μmの銅箔の片面に負極合剤スラリーを塗布した。その後、乾燥処理を施し、乾燥塗膜を得た。この乾燥塗膜を、負極合剤の固形分として密度が1.6g/cmになるまでプレスにより圧密化し、集電体の上に負極合剤層が形成された負極積層体を作製した。集電体と負極合剤層の合計の厚さは25μmであった。作製された負極積層体を幅31mm、長さ46mmに切断して負極板とし、この負極板に負極集電タブを取り付けることで負極を作製した。
(電極群の作製)
作製した正極板と負極板とを、セパレータである厚さ20μm、幅35mm、長さ50mmのポリプロピレン微多孔膜(JNC株式会社、S0120)を介して対向させ、積層状の電極群を作製した。
(電解液の調製)
溶媒であるエチルメチルカーボネート(EMC)に、電解質塩であるヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)を3.0mol/Lの濃度で溶解させ、添加剤としてビニレンカーボネート(VC)を電解液全体の1.0質量%となる量で添加し、電解液を調製した。
(デュアルイオン電池の作製)
上記積層状の電極群を、アルミニウム製のラミネートフィルムで構成された電池外装体内に収容し、調製された電解液を注入した。その後、上記の正極集電タブと負極集電タブとを開口部から外部に取り出した状態にて電池容器の開口部を封口させて、実施例6のデュアルイオン電池を作製した。なお、アルミニウム製のラミネートフィルムは、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム/アルミニウム箔/シーラント層(ポリプロピレン)の積層体であった。
作製したリチウムイオン二次電池及び電極群の構成は、図1及び図2にそれぞれ示されている通りである。
[実施例7]
溶媒であるエチルメチルカーボネート(EMC)に、電解質塩であるヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)を3.0mol/Lの濃度で溶解させ、添加剤としてビニレンカーボネート(VC)及びフルオロエチレンカーボネートを電解液全体の0.5質量%となる量でそれぞれ添加し、電解液を調製した。さらに、調製された電解液を用いて実施例6と同様にして実施例7のデュアルイオン電池を作製した。
[実施例8]
実施例6にて電解液中でのビニレンカーボネートの濃度が電解液全体の0.5質量%となるように電解液を調製した以外は実施例6と同様にして実施例8の電解液を調製した。さらに、調製された電解液を用いて実施例6と同様にして実施例8のデュアルイオン電池を作製した。
[比較例5]
溶媒であるエチルメチルカーボネート(EMC)に、電解質塩であるヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF)を3.0mol/Lの濃度で溶解させ、添加剤としてフルオロエチレンカーボネートを電解液全体の1.0質量%となる量で添加し、電解液を調製した。さらに、調製された電解液を用いて実施例6と同様にして比較例5のデュアルイオン電池を作製した。
[比較例6]
実施例6にて電解液の調製にてビニレンカーボネートを使用せずに電解液を調製した以外は実施例6と同様にして比較例6のデュアルイオン電池を作製した。
(容量の測定)
作製されたデュアルイオン二次電池について、充放電装置(BATTERY TEST UNIT、株式会社IEM)を用いて、25℃、電流値0.1Cで3.0V~4.98Vの電圧範囲で定電流充電及び定電流放電を3サイクル行った。3サイクル目の容量を測定した。
Figure 2022083299000002
実施例6~8にて作製されたデュアルイオン電池は、比較例5、6にて作製されたデュアルイオン電池と比較して容量が高く、エネルギー密度に優れていた。
なお、実施例6~8では、実施例1~5と比較して容量が低かった。これは、実施例1~5にて作製されたデュアルイオン電池は、正極に挿入脱離されるアニオンがTFSIであるのに対し、実施例6~8にて作製されたデュアルイオン電池は、正極に挿入脱離されるアニオンがPF であるためと考えられる。PF はTFSIと比較して、正極活物質中に挿入できる量が少ないため、容量が小さかったと考えられる。
1 正極板、2 正極集電タブ、3 負極板、4 負極集電タブ、5 セパレータ、6 電池外装体、10 デュアルイオン電池、20 電極群

Claims (8)

  1. ビニレンカーボネート及びリチウム塩を含み、
    アニオンを挿入脱離可能な正極活物質を含む正極及びカチオンを挿入脱離可能な負極活物質を含む負極を備えるデュアルイオン電池に用いるための電解質。
  2. サルファイト化合物、有機ボラン化合物、環状スルホン酸エステル及びジニトリル化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物をさらに含む請求項1に記載の電解質。
  3. ビニレンカーボネートの含有率は、電解質全量に対して0.05質量%~3.0質量%である請求項1又は請求項2に記載の電解質。
  4. イオン液体をさらに含む請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の電解質。
  5. 前記イオン液体は、ピロリジニウムカチオン及びビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオンを含む請求項4に記載の電解質。
  6. アニオンを挿入脱離可能な正極活物質を含む正極と、
    カチオンを挿入脱離可能な負極活物質を含む負極と、
    請求項1~請求項5のいずれか1項の電解質と、を備えるデュアルイオン電池。
  7. 前記負極活物質は、炭素材料及び金属化合物の少なくとも一方を含む請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のデュアルイオン電池。
  8. 前記負極活物質は、グラファイト及びチタン酸リチウムの少なくとも一方を含む請求項7に記載のデュアルイオン電池。
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