JP2022082890A - 触媒及びその製造方法並びにアルコールの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明では、カルボン酸を水素化反応させアルコールを得る反応において、高いカルボン酸の水素化反応活性と高いアルコール選択性とを示す触媒、及びその製造方法並びに該触媒を用いるアルコールの製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】スズ、ルテニウム及び担体を含有する触媒であって、前記触媒におけるハロゲンの含有量が500質量ppm以下であり、ルテニウムに対するスズのモル比率(スズ/ルテニウム)が1.5以上5.0以下であり、COを用いた昇温脱離測定における600~800℃のCO脱離量(CO-high(μmol/g))を400~600℃のCO脱離量(CO-low(μmol/g))で除した値(CO-high/CO-low)が3以上である、触媒。【選択図】なし
Description
本発明はスズ、ルテニウム及び担体を含有する触媒及びその製造方法並びに該触媒を用いるアルコールの製造方法に関する。
カルボン酸からアルコールを製造する方法において、カルボン酸をエステル化触媒存在下で生成物のアルコールとエステル化し、次いで水素化触媒によってエステル化物を水素化する工程を経ると、比較的穏やかな条件で水素化が進行することが知られている。しかし、カルボン酸をエステル化する工程を経ることなく直接水素化できれば工業的に望ましい。
カルボン酸を直接水素化する反応において、例えば、特許文献1、2では、ルテニウム及びスズを担体に担持した触媒が高活性であることが開示されている。
スズ、ルテニウム及び担体を含有する触媒を製造する場合、スズとルテニウムとの比率や、触媒に含まれる不純物塩素量、スズとルテニウムとの担持順序は触媒活性に大きく影響する。
例えば、特許文献1に示す触媒の製造法では、スズ及びルテニウムのどちらか一方、又は両方が塩化物である前駆体をアルカリ溶液により処理し、水洗した後に水素還元を行うことでスズ及びルテニウムを含む担持触媒を製造する方法が開示されている。しかしながら、特許文献1の実施例ではスズとルテニウムとのモル比率(Sn/Ru)が1.1である触媒の製造法のみが開示されており、それ以外のスズとルテニウムとのモル比率をもつ触媒の製造法は開示されていない。特許文献1のスズ及びルテニウム担持触媒の製造法では、アルカリ溶液によりスズ及びルテニウムを担持する工程の後、直接水洗を行っているが、スズは両性元素であるため、強アルカリ溶液中ではイオンとして存在している。本条件では、水によって強アルカリ性溶液が中性に変化するまでの間にスズが溶出するため、高いスズとルテニウムとのモル比率(Sn/Ru)で触媒を製造することは実質的に困難である。また、特許文献1で開示されているスズ及びルテニウムを含む担持触媒は塩素が500質量ppm以上残留している。一般に、触媒中の塩素の残留量が多いと、触媒活性の低下を引き起こすだけでなく、反応器を腐食するため、工業的に好ましくない。
特許文献2では、担体にスズを担持した後にルテニウムを担持することでスズ及びルテニウムを含む担持触媒を製造する方法が開示されている。特許文献2の実施例では前記触媒を用いて種々のカルボン酸をアルコールに還元する方法が開示されている。しかし、特許文献2に開示されている方法で製造した触媒は、スズを担持した後にルテニウムを担持しているため、ルテニウムは露出している。一般に、スズ及びルテニウムを含む触媒において、スズはルテニウムの高い水素化活性を抑制するために添加する元素であり、ルテニウム上にスズが担持されずルテニウムが露出している場合、水素化分解反応などの望ましくない副反応が進行しやすい。そのため、水素化を行いたい基質によっては本触媒を適用すると、望ましくない副反応が進行しやすくなると考えられる。
そこで、本発明では、カルボン酸を水素化反応させアルコールを得る反応において、高いカルボン酸の水素化反応活性と高いアルコール選択性とを示す触媒、及びその製造方法並びに該触媒を用いるアルコールの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決するため鋭意検討を行った結果、ルテニウムに対するスズのモル比率(スズ/ルテニウム)が1.5以上5.0以下であり、ハロゲンの含有量が500質量ppm以下であり、COを用いた昇温脱離測定において、600~800℃のCO脱離量を400~600℃のCO脱離量で除した値が3以上である、スズ、ルテニウム及び担体を含有する触媒が、高いカルボン酸の水素化反応活性と高いアルコール選択性とを有することを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は以下の通りである。
[1]
スズ、ルテニウム及び担体を含有する触媒であって、
前記触媒におけるハロゲンの含有量が500質量ppm以下であり、
ルテニウムに対するスズのモル比率(スズ/ルテニウム)が1.5以上5.0以下であり、
COを用いた昇温脱離測定における600~800℃のCO脱離量(CO-high(μmol/g))を400~600℃のCO脱離量(CO-low(μmol/g))で除した値(CO-high/CO-low)が3以上である、触媒。
[2]
前記担体が炭素質担体である、[1]に記載の触媒。
[3]
アルカリ性物質とスズ化合物とを混合して反応液を得る工程、
ルテニウム化合物と担体と前記反応液とを、仕込みの各化合物において、スズ及びルテニウムのモル比(スズ:ルテニウム)が1.00:0.22~1.00:0.75の範囲内、且つ、ハロゲンの総量及び前記アルカリ性物質の仕込みモル比(ハロゲン:アルカリ性物質)が1.0:1.5~1.0:3.0の範囲内となるように配合し加熱して混合液を得る工程、及び
前記混合液に酸を加えてpHを5~8に調整する工程を含む製造方法により得られる、[1]又は[2]に記載の触媒。
[4]
アルカリ性物質とスズ化合物とを混合して反応液を得る工程、
ルテニウム化合物と担体と前記反応液とを、仕込みの各化合物において、スズ及びルテニウムのモル比(スズ:ルテニウム)が1.00:0.22~1.00:0.75の範囲内、且つ、ハロゲンの総量及び前記アルカリ性物質の仕込みモル比(ハロゲン:アルカリ性物質)が1.0:1.5~1.0:3.0の範囲内となるように配合し加熱して混合液を得る工程、及び
前記混合液に酸を加えてpHを5~8に調整する工程を含む、スズ、ルテニウム及び担体を含有する触媒の製造方法。
[5]
前記アルカリ性物質が水酸化ナトリウムである、[4]に記載の触媒の製造方法。
[6]
前記酸が有機酸である、[4]又は[5]に記載の触媒の製造方法。
[7]
[1]~[3]のいずれかに記載の触媒の存在下、カルボン酸を水素化反応させアルコールを得る反応工程を含む、アルコールの製造方法。
[8]
前記カルボン酸が、6-ヒドロキシカプロン酸及びアジピン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、[7]に記載のアルコールの製造方法。
[1]
スズ、ルテニウム及び担体を含有する触媒であって、
前記触媒におけるハロゲンの含有量が500質量ppm以下であり、
ルテニウムに対するスズのモル比率(スズ/ルテニウム)が1.5以上5.0以下であり、
COを用いた昇温脱離測定における600~800℃のCO脱離量(CO-high(μmol/g))を400~600℃のCO脱離量(CO-low(μmol/g))で除した値(CO-high/CO-low)が3以上である、触媒。
[2]
前記担体が炭素質担体である、[1]に記載の触媒。
[3]
アルカリ性物質とスズ化合物とを混合して反応液を得る工程、
ルテニウム化合物と担体と前記反応液とを、仕込みの各化合物において、スズ及びルテニウムのモル比(スズ:ルテニウム)が1.00:0.22~1.00:0.75の範囲内、且つ、ハロゲンの総量及び前記アルカリ性物質の仕込みモル比(ハロゲン:アルカリ性物質)が1.0:1.5~1.0:3.0の範囲内となるように配合し加熱して混合液を得る工程、及び
前記混合液に酸を加えてpHを5~8に調整する工程を含む製造方法により得られる、[1]又は[2]に記載の触媒。
[4]
アルカリ性物質とスズ化合物とを混合して反応液を得る工程、
ルテニウム化合物と担体と前記反応液とを、仕込みの各化合物において、スズ及びルテニウムのモル比(スズ:ルテニウム)が1.00:0.22~1.00:0.75の範囲内、且つ、ハロゲンの総量及び前記アルカリ性物質の仕込みモル比(ハロゲン:アルカリ性物質)が1.0:1.5~1.0:3.0の範囲内となるように配合し加熱して混合液を得る工程、及び
前記混合液に酸を加えてpHを5~8に調整する工程を含む、スズ、ルテニウム及び担体を含有する触媒の製造方法。
[5]
前記アルカリ性物質が水酸化ナトリウムである、[4]に記載の触媒の製造方法。
[6]
前記酸が有機酸である、[4]又は[5]に記載の触媒の製造方法。
[7]
[1]~[3]のいずれかに記載の触媒の存在下、カルボン酸を水素化反応させアルコールを得る反応工程を含む、アルコールの製造方法。
[8]
前記カルボン酸が、6-ヒドロキシカプロン酸及びアジピン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、[7]に記載のアルコールの製造方法。
本発明によれば、カルボン酸を水素化反応させアルコールを得る反応において、高いカルボン酸の水素化反応活性と高いアルコール選択性とを示す触媒、及びその製造方法並びに該触媒を用いるアルコールの製造方法を提供することができる。
本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について以下詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態の触媒は、スズ、ルテニウム及び担体を含有し、ハロゲンの含有量が500質量ppm以下であり、ルテニウムに対するスズのモル比率(スズ/ルテニウム)が1.5以上5.0以下であり、COを用いた昇温脱離測定(以下、単に「CO-TPD測定」という。)における600~800℃のCO脱離量(以下、「CO-high」という。)を400~600℃のCO脱離量(以下、「CO-low」という。)で除した値(以下、[CO-high/CO-low]値という。)が3以上である。
本実施形態の触媒は、このような構成を有することにより、カルボン酸を水素化反応させアルコールを得る反応において、高いカルボン酸の水素化反応活性と高いアルコール選択性とを示す。
[1]スズ、ルテニウム及び担体を含有する触媒
(CO-TPD)
本実施形態の触媒において、CO-TPD測定における[CO-high/CO-low]値が3以上である。[CO-high/CO-low]値が、当該範囲であることで、本実施形態の触媒は、カルボン酸を水素化反応させアルコールを得る反応において、高いカルボン酸の水素化反応活性と高いアルコール選択性とを示す。
(CO-TPD)
本実施形態の触媒において、CO-TPD測定における[CO-high/CO-low]値が3以上である。[CO-high/CO-low]値が、当該範囲であることで、本実施形態の触媒は、カルボン酸を水素化反応させアルコールを得る反応において、高いカルボン酸の水素化反応活性と高いアルコール選択性とを示す。
[CO-high/CO-low]値は、カルボン酸の水素化反応活性をより向上させる観点及びアルコール選択性をより向上させる観点から、好ましくは3.5以上10.0以下であり、より好ましくは3.5以上8.0以下であり、さらに好ましくは3.8以上6.0以下である。
CO-TPD測定において、400~600℃のピークは触媒表面上のルテニウムに吸着するCOの脱離、600~800℃のピークは触媒表面上のスズに吸着するCOの脱離に起因するものが主である。そのため、前述の触媒全体におけるルテニウムに対するスズのモル比率(スズ/ルテニウム)とは異なり、[CO-high/CO-low]値は触媒表面に露出しているスズとルテニウムとの比率を表すことができる。本実施形態の触媒は、CO-TPD測定における[CO-high/CO-low]値が上記の範囲内であることで、カルボン酸を水素化反応させアルコールを得る反応において、高いカルボン酸の水素化反応活性と高いアルコール選択性とを示す。
この理由は明らかではないが本発明者らは以下のように推定している。
CO-TPD測定において、吸着させるCOはカルボン酸のカルボキシル基と同様の吸着挙動を示すと考えられる。COの脱離温度が高いほど触媒とCOとの相互作用が強いことが示唆され、COの脱離量が多いほど触媒の活性サイト数が多いことが示唆される。ルテニウムに対するスズのモル比率(スズ/ルテニウム)が同じ触媒を比べた場合、ルテニウムが触媒表面に露出している触媒のCO-TPD測定を行うと、COがルテニウム上に吸着できるため、[CO-high/CO-low]値は減少する。一方、ルテニウムが触媒表面に露出していない触媒のCO-TPD測定を行うと、ルテニウム上にCOが吸着しにくいため、[CO-high/CO-low]値が増大する。そのため、[CO-high/CO-low]値を算出すれば、水素化活性が高いルテニウム、及び触媒活性を抑制するスズの最適な表面状態を見積もることができる。
CO-TPD測定において、吸着させるCOはカルボン酸のカルボキシル基と同様の吸着挙動を示すと考えられる。COの脱離温度が高いほど触媒とCOとの相互作用が強いことが示唆され、COの脱離量が多いほど触媒の活性サイト数が多いことが示唆される。ルテニウムに対するスズのモル比率(スズ/ルテニウム)が同じ触媒を比べた場合、ルテニウムが触媒表面に露出している触媒のCO-TPD測定を行うと、COがルテニウム上に吸着できるため、[CO-high/CO-low]値は減少する。一方、ルテニウムが触媒表面に露出していない触媒のCO-TPD測定を行うと、ルテニウム上にCOが吸着しにくいため、[CO-high/CO-low]値が増大する。そのため、[CO-high/CO-low]値を算出すれば、水素化活性が高いルテニウム、及び触媒活性を抑制するスズの最適な表面状態を見積もることができる。
CO-highは、アルコール選択性をより向上させる観点から、前項に示す[CO-high/CO-low]値の範囲内で任意に調整することができ、1600μmol/g以上3000μmol/g以下が好ましく、1700μmol/g以上2500μmol/g以下がより好ましい。
CO-lowは、カルボン酸の水素化反応活性をより向上させる観点から、前項に示す[CO-high/CO-low]値の範囲内で任意に調整することができ、100μmol/g以上850μmol/g以下が好ましく、200μmol/g以上550μmol/g以下がより好ましい。
[CO-high/CO-low]値を前記範囲内に制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、後述の触媒の製造方法が挙げられる。具体的には、特に限定されないが、例えば、ルテニウムとスズとの担体への担持順序、各原料化合物のモル比、反応混合液のpHを適宜調整する方法が挙げられる。
なお、本実施形態において、CO-TPD測定における[CO-high/CO-low]値は、具体的には後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
(スズ)
本実施形態の触媒に含まれるスズは、特に限定しないが、例えば、スズ金属、スズ化合物(例えば、水酸化スズ、酸化スズ、有機スズなど)及びスズ錯体(例えば、アセチルアセトナートを配位子とするSn(acac)2など)のいずれの形態であってもよい。その中でも、ルテニウムの触媒活性を適度に抑制できる酸化スズや水酸化スズが好ましいが、特に限定しない。この要因は、スズがルテニウム表面の一部を覆うことでルテニウムの連続する活性点を減らし、過剰な水素化分解を抑制するほか、スズに由来するルイス酸が官能基を適度に活性化し、水素化を促進できることが考えられるが要因はこれに限定しない。
本実施形態の触媒に含まれるスズは、特に限定しないが、例えば、スズ金属、スズ化合物(例えば、水酸化スズ、酸化スズ、有機スズなど)及びスズ錯体(例えば、アセチルアセトナートを配位子とするSn(acac)2など)のいずれの形態であってもよい。その中でも、ルテニウムの触媒活性を適度に抑制できる酸化スズや水酸化スズが好ましいが、特に限定しない。この要因は、スズがルテニウム表面の一部を覆うことでルテニウムの連続する活性点を減らし、過剰な水素化分解を抑制するほか、スズに由来するルイス酸が官能基を適度に活性化し、水素化を促進できることが考えられるが要因はこれに限定しない。
(ルテニウム)
本実施形態の触媒に含まれるルテニウムは、特に限定しないが、例えば、ルテニウム金属、ルテニウム化合物、(例えば、水酸化ルテニウム、二酸化ルテニウム、四酸化ルテニウム、ルテニウムアセテートなど)及びルテニウム錯体(例えば、アセチルアセトナートを配位子とするRu(acac)3など)のいずれの形態であってもよい。その中でも、触媒活性の観点から、ルテニウム金属が好ましいが、特に限定しない。この要因は、上記の形態のルテニウムの中でも、特に水素化活性の高い形態がルテニウム金属であるためと考えられるが、要因はこれに限定しない。
本実施形態の触媒に含まれるルテニウムは、特に限定しないが、例えば、ルテニウム金属、ルテニウム化合物、(例えば、水酸化ルテニウム、二酸化ルテニウム、四酸化ルテニウム、ルテニウムアセテートなど)及びルテニウム錯体(例えば、アセチルアセトナートを配位子とするRu(acac)3など)のいずれの形態であってもよい。その中でも、触媒活性の観点から、ルテニウム金属が好ましいが、特に限定しない。この要因は、上記の形態のルテニウムの中でも、特に水素化活性の高い形態がルテニウム金属であるためと考えられるが、要因はこれに限定しない。
(担体)
本実施形態の触媒に含まれる担体は、特に限定しないが、比表面積が高く、ルテニウム及びスズの分散性に優れる観点から、例えば、炭素質担体、シリカ、アルミナ、ジルコニア、セリア、チタニア、及びニオビアが挙げられる。これらの担体の中でも、より高いカルボン酸の水素化反応活性を得る観点から、炭素質担体が好ましい。
本実施形態の触媒に含まれる担体は、特に限定しないが、比表面積が高く、ルテニウム及びスズの分散性に優れる観点から、例えば、炭素質担体、シリカ、アルミナ、ジルコニア、セリア、チタニア、及びニオビアが挙げられる。これらの担体の中でも、より高いカルボン酸の水素化反応活性を得る観点から、炭素質担体が好ましい。
炭素質担体としては、特に限定しないが、例えば、活性炭、アセチレンブラック、グラファイト、カーボンナノチューブ、カーボンブラックが挙げられる。これらの中でも、より高いカルボン酸の水素化反応活性を得る観点から、活性炭が好ましい。
(スズとルテニウムとのモル比率(Sn/Ru))
本実施形態の触媒において、スズとルテニウムとのモル比率(スズ/ルテニウム)は、1.5以上5.0以下であり、好ましくは1.7以上4.5以下であり、より好ましくは1.7以上4.0以下であり、さらに好ましくは1.7以上3.4以下である。本実施形態の触媒は、スズとルテニウムとのモル比率(スズ/ルテニウム)が1.5以上であると、カルボン酸水素化反応において水素化分解反応による副生物の量が減少し、工業的に好ましい。この要因は、ルテニウム上に存在するスズの量が多いと、水素化活性が高いルテニウムの触媒能を抑制することができるためであると考えられるが要因はこれに限定しない。また、本実施形態の触媒は、スズとルテニウムとのモル比率(スズ/ルテニウム)が5.0以下であると、カルボン酸の水素化反応において基質の転化率が上がるため、工業的に好ましい。この要因は、ルテニウム上に存在するスズの量が多過ぎない条件では、スズによってルテニウムの触媒能が過大に抑制されないためであると考えられるが要因はこれに限定しない。
本実施形態の触媒において、スズとルテニウムとのモル比率(スズ/ルテニウム)は、1.5以上5.0以下であり、好ましくは1.7以上4.5以下であり、より好ましくは1.7以上4.0以下であり、さらに好ましくは1.7以上3.4以下である。本実施形態の触媒は、スズとルテニウムとのモル比率(スズ/ルテニウム)が1.5以上であると、カルボン酸水素化反応において水素化分解反応による副生物の量が減少し、工業的に好ましい。この要因は、ルテニウム上に存在するスズの量が多いと、水素化活性が高いルテニウムの触媒能を抑制することができるためであると考えられるが要因はこれに限定しない。また、本実施形態の触媒は、スズとルテニウムとのモル比率(スズ/ルテニウム)が5.0以下であると、カルボン酸の水素化反応において基質の転化率が上がるため、工業的に好ましい。この要因は、ルテニウム上に存在するスズの量が多過ぎない条件では、スズによってルテニウムの触媒能が過大に抑制されないためであると考えられるが要因はこれに限定しない。
スズとルテニウムとのモル比率(スズ/ルテニウム)を前記範囲内に制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、後述の触媒の製造方法が挙げられる。具体的には、特に限定されないが、例えば、各原料化合物のモル比、反応混合液のpHを適宜調整する方法が挙げられる。
なお、本実施形態において、スズとルテニウムとのモル比率(スズ/ルテニウム)は、具体的には後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
(スズ及びルテニウムの担持量)
本実施形態の触媒において、スズ及びルテニウムの担持量は、前項に示すスズとルテニウムとのモル比率(スズ/ルテニウム)の範囲内で任意に調整することができる。本実施形態の触媒において、スズ及びルテニウムの担持量は、触媒上のスズ及びルテニウムの分散性に優れる観点から、特に限定しないが、例えば、触媒全体に対して0.5~50質量%であることが好ましく、1~40質量%であることがより好ましく、5~30質量%であることが更に好ましい。
本実施形態の触媒において、スズ及びルテニウムの担持量は、前項に示すスズとルテニウムとのモル比率(スズ/ルテニウム)の範囲内で任意に調整することができる。本実施形態の触媒において、スズ及びルテニウムの担持量は、触媒上のスズ及びルテニウムの分散性に優れる観点から、特に限定しないが、例えば、触媒全体に対して0.5~50質量%であることが好ましく、1~40質量%であることがより好ましく、5~30質量%であることが更に好ましい。
(ハロゲンの含有量)
本実施形態の触媒におけるハロゲンの含有量は500質量ppm以下であり、好ましくは100質量ppm以下であり、より好ましくは10質量ppm以下である。本実施形態の触媒は、ハロゲンの含有量が500質量ppm以下であると、触媒活性の低下を抑制でき、工業的に好ましい。この要因は、水素化反応における主金属であるルテニウムがハロゲンによって被毒されることを抑制でき、基質の活性点への吸着性能を維持できるためであると考えられるが要因はこれに限定しない。
本実施形態の触媒におけるハロゲンの含有量は500質量ppm以下であり、好ましくは100質量ppm以下であり、より好ましくは10質量ppm以下である。本実施形態の触媒は、ハロゲンの含有量が500質量ppm以下であると、触媒活性の低下を抑制でき、工業的に好ましい。この要因は、水素化反応における主金属であるルテニウムがハロゲンによって被毒されることを抑制でき、基質の活性点への吸着性能を維持できるためであると考えられるが要因はこれに限定しない。
本実施形態の触媒におけるハロゲンの含有量の下限は、特に限定されないが、例えば、0質量ppmである。
ハロゲンの含有量を前記範囲内に制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、後述の触媒の製造方法が挙げられる。具体的には、特に限定されないが、例えば、各原料化合物のモル比を適宜調整する方法が挙げられる。
なお、本実施形態において、ハロゲンの含有量は、具体的には後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
[2]触媒の製造方法
本実施形態の触媒の製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下の方法を挙げることができる。
本実施形態の触媒の製造方法において、例えば、浸漬法、イオン交換法、析出沈殿法などが適用可能であるが、触媒上のスズ及びルテニウムの分散性に優れる観点から、析出沈殿法を用いることが好ましい。析出沈殿法とは金属塩の溶液にアルカリ性物質(例えば、水酸化ナトリウム水溶液)を加え、難溶性の水酸化物を担体上に析出沈殿させることにより、担体に各成分を担持させる方法である。析出沈殿法において、担体に各成分を担持させる順序については特に制限はない。全ての触媒成分を同時に担持しても、各成分を個別に担持してもよいが、水素化反応の選択性に優れる観点から、最初にアルカリ性物質による処理でルテニウムを、続いて、酸性溶液による処理でスズを析出させることによって、担体に担持させてもよい。
本実施形態の触媒の製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下の方法を挙げることができる。
本実施形態の触媒の製造方法において、例えば、浸漬法、イオン交換法、析出沈殿法などが適用可能であるが、触媒上のスズ及びルテニウムの分散性に優れる観点から、析出沈殿法を用いることが好ましい。析出沈殿法とは金属塩の溶液にアルカリ性物質(例えば、水酸化ナトリウム水溶液)を加え、難溶性の水酸化物を担体上に析出沈殿させることにより、担体に各成分を担持させる方法である。析出沈殿法において、担体に各成分を担持させる順序については特に制限はない。全ての触媒成分を同時に担持しても、各成分を個別に担持してもよいが、水素化反応の選択性に優れる観点から、最初にアルカリ性物質による処理でルテニウムを、続いて、酸性溶液による処理でスズを析出させることによって、担体に担持させてもよい。
本実施形態の触媒の製造方法において、スズ及びルテニウムの担持順序は特に限定しないが、ルテニウムを担持した後にスズを担持することが好ましい。この要因は、スズ及びルテニウムを含む触媒において、スズはルテニウムの高い水素化活性を抑制するために添加する元素であり、ルテニウム上にスズが担持されずルテニウムが露出している場合、水素化分解反応などの望ましくない副反応が進行しやすいためであると考えられるが要因はこれに限定しない。
本実施形態の触媒の製造方法は、好ましくは、
アルカリ性物質とスズ化合物とを混合して反応液を得る工程、
ルテニウム化合物と担体と前記反応液とを、仕込みの各化合物において、スズとルテニウムとのモル比(スズ:ルテニウム)が1.00:0.22~1.00:0.75の範囲内、且つ、ハロゲンの総量及び前記アルカリ性物質とのモル比(ハロゲン:アルカリ性物質)が1.0:1.5~1.0:3.0の範囲内となるように配合し加熱して混合液を得る工程、及び
前記混合液に酸を加えてpHを5~8に調整する工程を含む。
アルカリ性物質とスズ化合物とを混合して反応液を得る工程、
ルテニウム化合物と担体と前記反応液とを、仕込みの各化合物において、スズとルテニウムとのモル比(スズ:ルテニウム)が1.00:0.22~1.00:0.75の範囲内、且つ、ハロゲンの総量及び前記アルカリ性物質とのモル比(ハロゲン:アルカリ性物質)が1.0:1.5~1.0:3.0の範囲内となるように配合し加熱して混合液を得る工程、及び
前記混合液に酸を加えてpHを5~8に調整する工程を含む。
上述の本実施形態の触媒の製造方法によれば、触媒全体におけるスズとルテニウムとの比率や、触媒に含まれるハロゲン含有量、触媒表面におけるスズとルテニウムとの比率を所定の範囲に制御でき、カルボン酸を水素化反応させアルコールを得る反応において、高いカルボン酸の水素化反応活性と高いアルコール選択性とを示す触媒が得られる。当該製造方法により、上述のルテニウムに対するスズのモル比率(スズ/ルテニウム)の範囲内において、任意のスズとルテニウムとのモル比でスズ及びルテニウムを担持することができ、ハロゲン含有量を低減させつつ、高いカルボン酸の水素化反応活性と高いアルコール選択性とを示す触媒が得られる。
上述の本実施形態の触媒の製造方法によれば、アルカリ性物質とスズ化合物とを含む液を反応させることでスズを溶解させ、該反応液とルテニウム化合物と担体と混合しながら加熱して混合液を得る工程を経てルテニウムを担体に担持し、次いで、溶解しているスズを担体上に析出させるために、スズ及びルテニウム及び担体を含有する混合液に酸を加えてpHを上述のとおり中性領域に調整する。このため、当該製造方法により得られる触媒は、担体上に担持されたルテニウム上にスズが担持されると考えられる。
(ルテニウム化合物)
本実施形態の触媒の製造方法において、原料のルテニウム化合物(ルテニウムの前駆体)としては、水素化反応活性に優れる観点から、特に限定しないが、ハロゲン化ルテニウムを用いることが好ましく、塩化ルテニウムを用いることがより好ましい。この要因は、ハロゲン化ルテニウムは水溶性が高く、アルカリ性物質との反応性も高いためであるが、要因はこれに限定しない。また、ハロゲン化ルテニウムは無水物であっても、水和物であってもよい。
本実施形態の触媒の製造方法において、原料のルテニウム化合物(ルテニウムの前駆体)としては、水素化反応活性に優れる観点から、特に限定しないが、ハロゲン化ルテニウムを用いることが好ましく、塩化ルテニウムを用いることがより好ましい。この要因は、ハロゲン化ルテニウムは水溶性が高く、アルカリ性物質との反応性も高いためであるが、要因はこれに限定しない。また、ハロゲン化ルテニウムは無水物であっても、水和物であってもよい。
(スズ化合物)
本実施形態の触媒の製造方法において、原料のスズ化合物(スズの前駆体)としては、水素化反応活性に優れる観点から、特に限定しないが、ハロゲン化スズを用いることが好ましく、塩化スズを用いることがより好ましい。この要因は、ハロゲン化スズは水溶性が高いためであるが、要因はこれに限定しない。また、これらのハロゲン化スズは無水物であっても、水和物であってもよい。
本実施形態の触媒の製造方法において、原料のスズ化合物(スズの前駆体)としては、水素化反応活性に優れる観点から、特に限定しないが、ハロゲン化スズを用いることが好ましく、塩化スズを用いることがより好ましい。この要因は、ハロゲン化スズは水溶性が高いためであるが、要因はこれに限定しない。また、これらのハロゲン化スズは無水物であっても、水和物であってもよい。
(スズ、ルテニウムの仕込み比)
本実施形態の触媒の製造方法において、スズとルテニウムとを担体に固定化する観点から、仕込みの各化合物において、スズとルテニウムとのモル比(スズ:ルテニウム)は、特に限定しないが、例えば、1.00:0.22~1.00:0.75が好ましく、1.00:0.25~1.00:0.75がより好ましく、1.00:0.25~1.00:0.60がさらに好ましい。仕込みの各化合物において、スズとルテニウムとのモル比が前記範囲であると、製造した触媒におけるスズとルテニウムとの割合が適切に調整される。
本実施形態の触媒の製造方法において、スズとルテニウムとを担体に固定化する観点から、仕込みの各化合物において、スズとルテニウムとのモル比(スズ:ルテニウム)は、特に限定しないが、例えば、1.00:0.22~1.00:0.75が好ましく、1.00:0.25~1.00:0.75がより好ましく、1.00:0.25~1.00:0.60がさらに好ましい。仕込みの各化合物において、スズとルテニウムとのモル比が前記範囲であると、製造した触媒におけるスズとルテニウムとの割合が適切に調整される。
(アルカリ性物質)
本実施形態の触媒の製造方法において、アルカリ性物質は、特に限定しないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムを用いることが好ましく、水酸化ナトリウムを用いることがより好ましい。この要因は、ルテニウム化合物及びスズ化合物との反応性が高いためであるが、要因はこれに限定しない。また、これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の触媒の製造方法において、アルカリ性物質は、特に限定しないが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウムを用いることが好ましく、水酸化ナトリウムを用いることがより好ましい。この要因は、ルテニウム化合物及びスズ化合物との反応性が高いためであるが、要因はこれに限定しない。また、これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
アルカリ性物質は、アルカリ性物質の溶液を用いることが好ましい。アルカリ性物質の溶液のpHは、特に限定しないが、例えば、12以上15以下が好ましく、13以上14以下がより好ましい。
(ハロゲンの総量及びアルカリ性物質の仕込みモル比)
本実施形態の触媒の製造方法において、仕込みの各化合物において、ハロゲンの総量及びアルカリ性物質のモル比(ハロゲン:アルカリ性物質)は特に限定しないが、例えば、1.0:1.5~1.0:3.0が好ましく、1.0:1.5~1.0:2.1がより好ましい。
本実施形態の触媒の製造方法において、仕込みの各化合物において、ハロゲンの総量及びアルカリ性物質のモル比(ハロゲン:アルカリ性物質)は特に限定しないが、例えば、1.0:1.5~1.0:3.0が好ましく、1.0:1.5~1.0:2.1がより好ましい。
この要因は明らかでないが本発明者らは以下のように推定している。スズ化合物及びルテニウム化合物等の原料に含まれるハロゲンのモル量以上(例えば、1.5モル以上)の量でアルカリ性物質を使用すると、ハロゲンとアルカリ性物質とが反応し、各原料化合物において、ルテニウム及びスズとハロゲンの結合が切断される。一方、その後の工程で混合液を中和する酸の使用量を抑制する観点から、使用するアルカリ性物質のモル量は、仕込みの各化合物におけるハロゲンの総モル量に対して、3.0以下であることが好ましい。
本実施形態の触媒の製造方法において、上述の比率でアルカリ性物質を使用すると、原料化合物に含まれるハロゲンが良好に反応し、且つ、その後の工程での酸の使用量も抑制できるため好ましい。
ルテニウム化合物と担体と前記反応液との配合後の加熱温度は、50~100℃であることが好ましく、70~90℃であることがより好ましい。
(酸)
本実施形態の触媒の製造方法において、酸は、特に限定しないが、有機酸を用いることが好ましく、具体的には、特に限定しないが、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、トルエンスルホン酸を用いることが好ましい。この要因は、副反応を引き起こすことなく反応混合液のpHを調整することができるためであるが、要因はこれに限定しない。また、これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の触媒の製造方法において、酸は、特に限定しないが、有機酸を用いることが好ましく、具体的には、特に限定しないが、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、トルエンスルホン酸を用いることが好ましい。この要因は、副反応を引き起こすことなく反応混合液のpHを調整することができるためであるが、要因はこれに限定しない。また、これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酸を加えた反応混合液のpHの範囲は5~8であることが好ましく、5.5~8であることがより好ましく、6~7.5であることがさらに好ましい。
(水洗工程)
本実施形態の触媒の製造方法は、反応混合液のpHを5~8に調整する工程の後、水洗を行う工程を含むことで、反応中に生じた不純物を洗浄してもよい。さらに、水洗を行うことで、ハロゲンとアルカリ性溶液とが反応して生成した塩が触媒上から除去できる。
本実施形態の触媒の製造方法は、反応混合液のpHを5~8に調整する工程の後、水洗を行う工程を含むことで、反応中に生じた不純物を洗浄してもよい。さらに、水洗を行うことで、ハロゲンとアルカリ性溶液とが反応して生成した塩が触媒上から除去できる。
[3]アルコールの製造方法
本実施形態のアルコールの製造方法は、上述の触媒の存在下、カルボン酸を水素化反応させアルコールを得る反応工程を含む。
本実施形態のアルコールの製造方法は、上述の触媒の存在下、カルボン酸を水素化反応させアルコールを得る反応工程を含む。
(カルボン酸の種類)
本実施形態のアルコールの製造方法において、カルボン酸は特に限定しないが、例えば、6-ヒドロキシカプロン酸などのモノカルボン酸、フランジカルボン酸、アジピン酸などのジカルボン酸などが好ましく、6-ヒドロキシカプロン酸及びアジピン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
本実施形態のアルコールの製造方法において、カルボン酸は特に限定しないが、例えば、6-ヒドロキシカプロン酸などのモノカルボン酸、フランジカルボン酸、アジピン酸などのジカルボン酸などが好ましく、6-ヒドロキシカプロン酸及びアジピン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
(触媒の使用量)
本実施形態のアルコールの製造方法において、触媒の使用量は特に限定しない。反応速度に優れるとともに、反応後の触媒を分離しやすいという観点から、触媒の使用量は、例えば、カルボン酸1質量部に対して、0.1~5質量部であることが好ましく、0.2~3質量部であることがより好ましく、0.3~2質量部であることが更に好ましい。
本実施形態のアルコールの製造方法において、触媒の使用量は特に限定しない。反応速度に優れるとともに、反応後の触媒を分離しやすいという観点から、触媒の使用量は、例えば、カルボン酸1質量部に対して、0.1~5質量部であることが好ましく、0.2~3質量部であることがより好ましく、0.3~2質量部であることが更に好ましい。
(水素)
本実施形態のアルコールの製造方法において、水素化反応を、水素を添加することにより行うことが好ましい。
本実施形態のアルコールの製造方法において、水素化反応を、水素を添加することにより行うことが好ましい。
水素化反応に用いる水素の純度は特に限定しないが、例えば、目的物の収率の観点から、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましい。水素化反応に用いる水素の純度の上限は特に限定しないが、例えば、100質量%である。また、窒素や希ガスから選ばれる少なくとも一種以上の不活性ガスで希釈した水素を用いてもよい。
(溶媒)
本実施形態のアルコールの製造方法において、特に限定しないが、水素化反応を無溶媒で行ってもよく、必要に応じて溶媒を用いてもよい。使用できる溶媒は特に限定しないが、例えば、メタノール、エタノール、オクタノール、ドデカノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類、水が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。カルボン酸の反応性を高めるため、これらの中でも水が特に好ましいが、特に限定しない。この要因は、カルボン酸が溶解しやすいことや、カルボン酸の水素化反応において水が生成することであると考えられるが、要因はこれに限定しない。
本実施形態のアルコールの製造方法において、特に限定しないが、水素化反応を無溶媒で行ってもよく、必要に応じて溶媒を用いてもよい。使用できる溶媒は特に限定しないが、例えば、メタノール、エタノール、オクタノール、ドデカノール等のアルコール類、テトラヒドロフラン、ジオキサン、テトラエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、ヘキサン、シクロヘキサン等の炭化水素類、水が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。カルボン酸の反応性を高めるため、これらの中でも水が特に好ましいが、特に限定しない。この要因は、カルボン酸が溶解しやすいことや、カルボン酸の水素化反応において水が生成することであると考えられるが、要因はこれに限定しない。
溶媒の使用量は、特に限定しないが、反応性及び取り扱いの容易性の観点から、カルボン酸1質量部に対して、例えば、0~50質量部であることが好ましく、0.5~30質量部であることがより好ましく、1~16質量部であることが更に好ましい。
(反応条件)
本実施形態のアルコールの製造方法において、反応温度は、アルコールを収率よく得る観点から、特に限定しないが、例えば、100~270℃が好ましく、130~250℃であることがより好ましく、160~220℃であることが更に好ましい。
本実施形態のアルコールの製造方法において、反応温度は、アルコールを収率よく得る観点から、特に限定しないが、例えば、100~270℃が好ましく、130~250℃であることがより好ましく、160~220℃であることが更に好ましい。
反応圧力(水素圧)は、反応速度及び安全性に優れる観点から、特に限定しないが、例えば、ゲージ圧表示で1~20MPaであることが好ましく、3~15MPaであることがより好ましく、5~10MPaであることが更に好ましい。
反応の形式は、特に限定しないが、例えば、回分式、半回分式、連続式等の慣用の反応の形式により行うことができる。
反応時間としては、特に限定しないが、例えば、0.1~24時間であることが好ましく、0.5~10時間であることがより好ましく、1~4時間であることが更に好ましい。
(アルコールの収率)
本実施形態のアルコールの製造方法は、前述の通り、アルコールの収率に優れる。アルコールの収率は、例えば、50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更に好ましく、90%以上であることが特に好ましい。当該アルコールの収率の上限は、例えば100%である。
本実施形態のアルコールの製造方法は、前述の通り、アルコールの収率に優れる。アルコールの収率は、例えば、50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることが更に好ましく、90%以上であることが特に好ましい。当該アルコールの収率の上限は、例えば100%である。
なお、本実施形態において、アルコールの収率等、各生成物の収率は後述の実施例に記載の方法により測定することができる。
以下に実施例を示して、本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下に記載の実施例によって制限されるものではない。
蛍光X線、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー及びCO-TPDの分析条件を以下に示す。
(分析条件)
(蛍光X線)
装置:リガク社製、蛍光X線分析装置(ZSXPrimusII)
条件:検量線法
・ルテニウム(Ru)の標準物質としては酸化ルテニウム(IV)を、スズ(Sn)の標準物質としては酸化スズ(IV)を、塩素(Cl)の標準物質としては塩化スズ(IV)五水和物を用いた。各標準物質を活性炭(クラレ製、クラレコールPW-D)と混合し、標準試料を作成した。前記の標準試料をアルミナ(和光純薬製、γ-アルミナ)で10倍に希釈し、蛍光X線分析を行った。
・検量線作成用の標準試料は、ルテニウムが1~8質量%、スズが5~35質量%、塩素が10~5000質量ppmの濃度範囲とした。
(分析条件)
(蛍光X線)
装置:リガク社製、蛍光X線分析装置(ZSXPrimusII)
条件:検量線法
・ルテニウム(Ru)の標準物質としては酸化ルテニウム(IV)を、スズ(Sn)の標準物質としては酸化スズ(IV)を、塩素(Cl)の標準物質としては塩化スズ(IV)五水和物を用いた。各標準物質を活性炭(クラレ製、クラレコールPW-D)と混合し、標準試料を作成した。前記の標準試料をアルミナ(和光純薬製、γ-アルミナ)で10倍に希釈し、蛍光X線分析を行った。
・検量線作成用の標準試料は、ルテニウムが1~8質量%、スズが5~35質量%、塩素が10~5000質量ppmの濃度範囲とした。
(ガスクロマトグラフィー)
装置:島津製作所製、GC-2010plusATF
カラム:HP-1
条件:
・インジェクション温度:220℃
・ディテクション温度:280℃
・キャリアガス:窒素(カラム流量43.4mL/分、SP比27.0)
・昇温速度:80℃(18分保持)~(10℃/分)~150℃(10分保持)~(20℃/分)~280℃(9.5分保持)
内標:アニソール、バレルアミド
装置:島津製作所製、GC-2010plusATF
カラム:HP-1
条件:
・インジェクション温度:220℃
・ディテクション温度:280℃
・キャリアガス:窒素(カラム流量43.4mL/分、SP比27.0)
・昇温速度:80℃(18分保持)~(10℃/分)~150℃(10分保持)~(20℃/分)~280℃(9.5分保持)
内標:アニソール、バレルアミド
各生成物の収率及び選択率は以下の式で求めた。
生成物の収率(%)=生成物の生成量(モル)/出発物質の仕込み量(モル)×100
生成物の選択率(%)=生成物の生成量(モル)/出発物質の転化量(モル)×100
ダイマーなどのオリゴマーを用いた場合、仕込み量、転化量は、モノマー換算での量を意味する。
生成物の収率(%)=生成物の生成量(モル)/出発物質の仕込み量(モル)×100
生成物の選択率(%)=生成物の生成量(モル)/出発物質の転化量(モル)×100
ダイマーなどのオリゴマーを用いた場合、仕込み量、転化量は、モノマー換算での量を意味する。
(逆相液体クロマトグラフィー)
装置:島津製作所製、LC-20AD
カラム:ODS-80Ts
条件:
・溶離液:アセトニトリル/0.01Mリン酸水溶液=30/70(v/v)
・検出器:UV (使用波長:190nm)
・カラム温度:40℃
・流量:1mL/分
内標: バレルアミド
装置:島津製作所製、LC-20AD
カラム:ODS-80Ts
条件:
・溶離液:アセトニトリル/0.01Mリン酸水溶液=30/70(v/v)
・検出器:UV (使用波長:190nm)
・カラム温度:40℃
・流量:1mL/分
内標: バレルアミド
(CO-TPD測定)
実施例及び比較例で得られた触媒について、COを用いた昇温脱離測定(CO-TPD測定)を以下のとおり行った。
装置:マイクロトラック・ベル(株)製 全自動昇温脱離スペクトル装置 TPD-1-ATw
〔前処理及び測定条件〕
試料量:約50mg
測定条件:
(i)H2を50mL/分でフローし、10℃/分で180℃まで昇温後、60分保持した。
(ii)50℃まで冷却後、10%CO/Heを100mL/分で30分間フローした。
(iii)Heにガスを切り替え、50mL/分で30分間フローした。
(iv)10℃/分で800℃まで加熱し、四重極質量分析計にてm/z=28を検出した。
(v)「400~600℃のCO脱離量」を「CO-low」、「600~800℃のCO脱離量」を「CO-high」と定義し、各々測定した。
測定範囲:50℃~800℃
測定雰囲気:He(50mL/分)
実施例及び比較例で得られた触媒について、COを用いた昇温脱離測定(CO-TPD測定)を以下のとおり行った。
装置:マイクロトラック・ベル(株)製 全自動昇温脱離スペクトル装置 TPD-1-ATw
〔前処理及び測定条件〕
試料量:約50mg
測定条件:
(i)H2を50mL/分でフローし、10℃/分で180℃まで昇温後、60分保持した。
(ii)50℃まで冷却後、10%CO/Heを100mL/分で30分間フローした。
(iii)Heにガスを切り替え、50mL/分で30分間フローした。
(iv)10℃/分で800℃まで加熱し、四重極質量分析計にてm/z=28を検出した。
(v)「400~600℃のCO脱離量」を「CO-low」、「600~800℃のCO脱離量」を「CO-high」と定義し、各々測定した。
測定範囲:50℃~800℃
測定雰囲気:He(50mL/分)
(6-ヒドロキシカプロン酸及びそのオリゴマーの合成)
ガラス製容器にスターラーチップ、ε-カプロラクトン15g(131mmol)、ベータ(beta)ゼオライト(日産ガードラー社製品、H-beta-100)3g、水150gを加え、80℃にて1.5時間攪拌して反応液を得た。その後、反応液を室温まで冷却し、反応液から不溶物を濾過にて取り除いて濾液を得た。次いで、得られた濾液に含まれる水分をエバポレーターで除去し、6-ヒドロキシカプロン酸及びそのダイマーが含まれる固体を14.2g得た。本固体の一部にエタノールとバレルアミドとを加え、液相を均一にした後に液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて分析したところ、本固体において、6-ヒドロキシカプロン酸の純度は97%であり、6-ヒドロキシカプロン酸ダイマーの純度は3%であった。なお、6-ヒドロキシカプロン酸の純度は、上述したとおり液体クロマトグラフィーを使用して内部標準法で測定した。
ガラス製容器にスターラーチップ、ε-カプロラクトン15g(131mmol)、ベータ(beta)ゼオライト(日産ガードラー社製品、H-beta-100)3g、水150gを加え、80℃にて1.5時間攪拌して反応液を得た。その後、反応液を室温まで冷却し、反応液から不溶物を濾過にて取り除いて濾液を得た。次いで、得られた濾液に含まれる水分をエバポレーターで除去し、6-ヒドロキシカプロン酸及びそのダイマーが含まれる固体を14.2g得た。本固体の一部にエタノールとバレルアミドとを加え、液相を均一にした後に液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて分析したところ、本固体において、6-ヒドロキシカプロン酸の純度は97%であり、6-ヒドロキシカプロン酸ダイマーの純度は3%であった。なお、6-ヒドロキシカプロン酸の純度は、上述したとおり液体クロマトグラフィーを使用して内部標準法で測定した。
[実施例1]
(触媒Aの調製)
スターラーチップ、1.0M水酸化ナトリウム水溶液523.1mL(523.1mmol)の入ったガラス製容器に、塩化スズ(IV)五水和物17.7g(50.5mmol)を水100.0gに溶解させた塩化スズ水溶液を室温で滴下して反応液Iを得た。その後、得られた反応液Iを、80℃まで昇温し、80℃で2時間攪拌後、35℃まで冷却して反応液IIを得た(反応液II:pH=13)。水300.0gの入った別のガラス製容器に、塩化ルテニウム(III)水和物(ルテニウム40質量%)5.0g(19.8mmol)、活性炭(クラレ製、クラレコールPW-D)32.0g、を加え、室温で攪拌して、懸濁液IIIを調製した。調製した懸濁液IIIを反応液IIの入ったガラス容器に加えた後、80℃まで昇温し、80℃で2時間攪拌して、ルテニウム化合物を活性炭に固定化し、35℃まで冷却して懸濁液IVを得た(懸濁液IV:pH=12)。シュウ酸11.8g(131mmol)を水100gへと溶解させた水溶液を懸濁液IVに滴下して、懸濁液のpHを6に調整することで、スズ化合物を活性炭及びルテニウム化合物表面に固定化した。懸濁液を、そのまま30分攪拌した後、懸濁液を濾過し、濾過残渣を水で洗浄して固形成分を得た。得られた固形成分を120℃にて2時間、真空下乾燥させることで4質量%Ru-11質量%Sn/活性炭(PW-D)の触媒(以下、触媒Aとする)を調製した。なお、仕込みの各化合物において、スズとルテニウムと水酸化ナトリウムのモル比(スズ:ルテニウム:水酸化ナトリウム)を1.000:0.392:10.362とし、ハロゲン総量と水酸化ナトリウムとのモル比(ハロゲン:水酸化ナトリウム)を1.000:2.002とした。触媒Aにおけるハロゲン(塩素)の含有量は10質量ppm以下であった。なお、ルテニウム、スズ及びハロゲン(塩素)の含有量は、上述したとおり蛍光X線装置を使用した検量線法で測定した。
(反応工程)
SUS316製の耐圧オートクレーブに、前記の方法で調製した触媒A8.4g、水72.0g、前記の方法で合成した6-ヒドロキシカプロン酸4.7g、6-ヒドロキシカプロン酸ダイマー0.1gを加え、水素圧10MPa(ゲージ圧)下、180℃、1000rpmで2時間攪拌して水素化反応を行って反応液を得た。その後、反応液を室温まで冷却し、濾過によって反応液から触媒を取り除いて濾液を得た。得られた濾液にアニソールとバレルアミドとを加え、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行ったところ、反応生成物において、6-ヒドロキシカプロン酸及びそのダイマーの転化率は100%、1,6-ヘキサンジオールの収率は97.6%であり、1-ペンタノールが収率2.2%であった。なお、1,6-ヘキサンジオール及び1-ペンタノールの収率は、上述したとおりガスクロマトグラフィーを使用して内部標準法で測定した。反応結果を表3に示す。
(触媒AのCO-TPD測定)
上述したとおり触媒AのCO-TPD測定を行ったところ、CO-highは2036μmol/g、CO-lowは348μmol/gであったため、[CO-high/CO-low]値は5.86であった。
(触媒Aの調製)
スターラーチップ、1.0M水酸化ナトリウム水溶液523.1mL(523.1mmol)の入ったガラス製容器に、塩化スズ(IV)五水和物17.7g(50.5mmol)を水100.0gに溶解させた塩化スズ水溶液を室温で滴下して反応液Iを得た。その後、得られた反応液Iを、80℃まで昇温し、80℃で2時間攪拌後、35℃まで冷却して反応液IIを得た(反応液II:pH=13)。水300.0gの入った別のガラス製容器に、塩化ルテニウム(III)水和物(ルテニウム40質量%)5.0g(19.8mmol)、活性炭(クラレ製、クラレコールPW-D)32.0g、を加え、室温で攪拌して、懸濁液IIIを調製した。調製した懸濁液IIIを反応液IIの入ったガラス容器に加えた後、80℃まで昇温し、80℃で2時間攪拌して、ルテニウム化合物を活性炭に固定化し、35℃まで冷却して懸濁液IVを得た(懸濁液IV:pH=12)。シュウ酸11.8g(131mmol)を水100gへと溶解させた水溶液を懸濁液IVに滴下して、懸濁液のpHを6に調整することで、スズ化合物を活性炭及びルテニウム化合物表面に固定化した。懸濁液を、そのまま30分攪拌した後、懸濁液を濾過し、濾過残渣を水で洗浄して固形成分を得た。得られた固形成分を120℃にて2時間、真空下乾燥させることで4質量%Ru-11質量%Sn/活性炭(PW-D)の触媒(以下、触媒Aとする)を調製した。なお、仕込みの各化合物において、スズとルテニウムと水酸化ナトリウムのモル比(スズ:ルテニウム:水酸化ナトリウム)を1.000:0.392:10.362とし、ハロゲン総量と水酸化ナトリウムとのモル比(ハロゲン:水酸化ナトリウム)を1.000:2.002とした。触媒Aにおけるハロゲン(塩素)の含有量は10質量ppm以下であった。なお、ルテニウム、スズ及びハロゲン(塩素)の含有量は、上述したとおり蛍光X線装置を使用した検量線法で測定した。
(反応工程)
SUS316製の耐圧オートクレーブに、前記の方法で調製した触媒A8.4g、水72.0g、前記の方法で合成した6-ヒドロキシカプロン酸4.7g、6-ヒドロキシカプロン酸ダイマー0.1gを加え、水素圧10MPa(ゲージ圧)下、180℃、1000rpmで2時間攪拌して水素化反応を行って反応液を得た。その後、反応液を室温まで冷却し、濾過によって反応液から触媒を取り除いて濾液を得た。得られた濾液にアニソールとバレルアミドとを加え、ガスクロマトグラフィーを用いて分析を行ったところ、反応生成物において、6-ヒドロキシカプロン酸及びそのダイマーの転化率は100%、1,6-ヘキサンジオールの収率は97.6%であり、1-ペンタノールが収率2.2%であった。なお、1,6-ヘキサンジオール及び1-ペンタノールの収率は、上述したとおりガスクロマトグラフィーを使用して内部標準法で測定した。反応結果を表3に示す。
(触媒AのCO-TPD測定)
上述したとおり触媒AのCO-TPD測定を行ったところ、CO-highは2036μmol/g、CO-lowは348μmol/gであったため、[CO-high/CO-low]値は5.86であった。
[実施例2]
(触媒Bの調製)
使用する1.0M水酸化ナトリウム水溶液の量を388.3mL(388.3mmol)に、使用する塩化スズ(IV)五水和物の量を11.8g(33.7mmol)に、使用する塩化ルテニウム(III)水和物(ルテニウム40質量%)の量を5.0g(19.8mmol)に、使用する活性炭(クラレ製、クラレコールPW-D)の量を34.0gに、使用するシュウ酸の量を8.7g(97.1mmol)としたこと以外は実施例1と同様の方法で4質量%Ru-8質量%Sn/活性炭(PW-D)の触媒(以下、触媒Bとする)を調製した。なお、仕込みの各化合物において、スズとルテニウムと水酸化ナトリウムとのモル比(スズ:ルテニウム:水酸化ナトリウム)を1.000:0.588:11.537とし、ハロゲンの総量と水酸化ナトリウムとのモル比(ハロゲン:水酸化ナトリウム)を1.000:2.002とした。蛍光X線装置を用いて分析を行ったところ、触媒Bにおけるハロゲン(塩素)の含有量は10質量ppm以下であった。
(反応工程)
表1及び表2に示すとおり、触媒として前記の方法で調製した触媒Bを用いたこと以外は、実施例1と同条件で反応を行った。反応結果を表3に示す。表3中の1,6-ヘキサンジオール、1-ペンタノールで表される項目は各々の収率を表している。
(触媒BのCO-TPD測定)
上述したとおり触媒BのCO-TPD測定を行ったところ、CO-highは1731μmol/g、CO-lowは437μmol/gであったため、[CO-high/CO-low]値は3.96であった。
(触媒Bの調製)
使用する1.0M水酸化ナトリウム水溶液の量を388.3mL(388.3mmol)に、使用する塩化スズ(IV)五水和物の量を11.8g(33.7mmol)に、使用する塩化ルテニウム(III)水和物(ルテニウム40質量%)の量を5.0g(19.8mmol)に、使用する活性炭(クラレ製、クラレコールPW-D)の量を34.0gに、使用するシュウ酸の量を8.7g(97.1mmol)としたこと以外は実施例1と同様の方法で4質量%Ru-8質量%Sn/活性炭(PW-D)の触媒(以下、触媒Bとする)を調製した。なお、仕込みの各化合物において、スズとルテニウムと水酸化ナトリウムとのモル比(スズ:ルテニウム:水酸化ナトリウム)を1.000:0.588:11.537とし、ハロゲンの総量と水酸化ナトリウムとのモル比(ハロゲン:水酸化ナトリウム)を1.000:2.002とした。蛍光X線装置を用いて分析を行ったところ、触媒Bにおけるハロゲン(塩素)の含有量は10質量ppm以下であった。
(反応工程)
表1及び表2に示すとおり、触媒として前記の方法で調製した触媒Bを用いたこと以外は、実施例1と同条件で反応を行った。反応結果を表3に示す。表3中の1,6-ヘキサンジオール、1-ペンタノールで表される項目は各々の収率を表している。
(触媒BのCO-TPD測定)
上述したとおり触媒BのCO-TPD測定を行ったところ、CO-highは1731μmol/g、CO-lowは437μmol/gであったため、[CO-high/CO-low]値は3.96であった。
[実施例3]
(触媒Cの調製)
使用する1.0M水酸化ナトリウム水溶液の量を657.9mL(657.9mmol)に、使用する塩化スズ(IV)五水和物の量を23.6g(67.4mmol)に、使用する塩化ルテニウム(III)水和物(ルテニウム40質量%)の量を5.0g(19.8mmol)に、使用する活性炭(クラレ製、クラレコールPW-D)の量を30.0gに、使用するシュウ酸の量を14.8g(164.5mmol)としたこと以外は実施例1と同様の方法で4質量%Ru-16質量%Sn/活性炭(PW-D)の触媒(以下、触媒Cとする)を調製した。なお、仕込みの各化合物において、スズとルテニウムと水酸化ナトリウムとのモル比(スズ:ルテニウム:水酸化ナトリウム)を1.000:0.294:9.774とし、ハロゲン総量と水酸化ナトリウムとのモル比(ハロゲン:水酸化ナトリウム)を1.000:2.002とした。蛍光X線装置を用いて分析を行ったところ、触媒Cにおけるハロゲン(塩素)の含有量は10質量ppm以下であった。
(反応工程)
表1及び表2に示すとおり、触媒として前記の方法で調製した触媒Cを用いたこと以外は、実施例1と同条件で反応を行った。反応結果を表3に示す。表3中の1,6-ヘキサンジオール、1-ペンタノールで表される項目は各々の収率を表している。
(触媒CのCO-TPD測定)
上述したとおり触媒CのCO-TPD測定を行ったところ、CO-highは2380μmol/g、CO-lowは523μmol/gであったため、[CO-high/CO-low]値は4.55であった。
(触媒Cの調製)
使用する1.0M水酸化ナトリウム水溶液の量を657.9mL(657.9mmol)に、使用する塩化スズ(IV)五水和物の量を23.6g(67.4mmol)に、使用する塩化ルテニウム(III)水和物(ルテニウム40質量%)の量を5.0g(19.8mmol)に、使用する活性炭(クラレ製、クラレコールPW-D)の量を30.0gに、使用するシュウ酸の量を14.8g(164.5mmol)としたこと以外は実施例1と同様の方法で4質量%Ru-16質量%Sn/活性炭(PW-D)の触媒(以下、触媒Cとする)を調製した。なお、仕込みの各化合物において、スズとルテニウムと水酸化ナトリウムとのモル比(スズ:ルテニウム:水酸化ナトリウム)を1.000:0.294:9.774とし、ハロゲン総量と水酸化ナトリウムとのモル比(ハロゲン:水酸化ナトリウム)を1.000:2.002とした。蛍光X線装置を用いて分析を行ったところ、触媒Cにおけるハロゲン(塩素)の含有量は10質量ppm以下であった。
(反応工程)
表1及び表2に示すとおり、触媒として前記の方法で調製した触媒Cを用いたこと以外は、実施例1と同条件で反応を行った。反応結果を表3に示す。表3中の1,6-ヘキサンジオール、1-ペンタノールで表される項目は各々の収率を表している。
(触媒CのCO-TPD測定)
上述したとおり触媒CのCO-TPD測定を行ったところ、CO-highは2380μmol/g、CO-lowは523μmol/gであったため、[CO-high/CO-low]値は4.55であった。
[比較例1]
(触媒Dの調製)
使用する1.0M水酸化ナトリウム水溶液の量を280.5mL(280.5mmol)に、使用する塩化スズ(IV)五水和物の量を7.1g(20.2mmol)に、使用する塩化ルテニウム(III)水和物(ルテニウム40質量%)の量を5.0g(19.8mmol)に、使用する活性炭(クラレ製、クラレコールPW-D)の量を35.6gに、使用するシュウ酸の量を6.3g(70.1mmol)としたこと以外は実施例1と同様の方法で4質量%Ru-5質量%Sn/活性炭(PW-D)の触媒(以下、触媒Dとする)を調製した。なお、仕込みの各化合物において、スズとルテニウムと水酸化ナトリウムとのモル比(スズ:ルテニウム:水酸化ナトリウム)を1.000:0.977:13.851とし、ハロゲン総量と水酸化ナトリウムとのモル比(ハロゲン:水酸化ナトリウム)を1.000:1.998とした。蛍光X線装置を用いて分析を行ったところ、触媒Dにおけるハロゲン(塩素)の含有量は10質量ppm以下であった。
(反応工程)
表1及び表2に示すとおり、前記方法で調製した触媒Dを触媒として用いたこと以外は、実施例1と同条件で反応を行った。反応結果を表3に示す。
(触媒DのCO-TPD測定)
上述したとおり触媒DのCO-TPD測定を行ったところ、CO-highは1574μmol/g、CO-lowは585μmol/gであったため、[CO-high/CO-low]値は2.69であった。
本比較例より、触媒において、[CO-high/CO-low]値が低く、ルテニウムに対するスズのモル比率が小さい場合には、ルテニウムの高い触媒活性を抑制することができず、反応結果は、実施例1の触媒を用いた場合と比較すると、1,6-ヘキサンジオールの収率及び選択率が低下し、1-ペンタノールの収率が増加していた。
(触媒Dの調製)
使用する1.0M水酸化ナトリウム水溶液の量を280.5mL(280.5mmol)に、使用する塩化スズ(IV)五水和物の量を7.1g(20.2mmol)に、使用する塩化ルテニウム(III)水和物(ルテニウム40質量%)の量を5.0g(19.8mmol)に、使用する活性炭(クラレ製、クラレコールPW-D)の量を35.6gに、使用するシュウ酸の量を6.3g(70.1mmol)としたこと以外は実施例1と同様の方法で4質量%Ru-5質量%Sn/活性炭(PW-D)の触媒(以下、触媒Dとする)を調製した。なお、仕込みの各化合物において、スズとルテニウムと水酸化ナトリウムとのモル比(スズ:ルテニウム:水酸化ナトリウム)を1.000:0.977:13.851とし、ハロゲン総量と水酸化ナトリウムとのモル比(ハロゲン:水酸化ナトリウム)を1.000:1.998とした。蛍光X線装置を用いて分析を行ったところ、触媒Dにおけるハロゲン(塩素)の含有量は10質量ppm以下であった。
(反応工程)
表1及び表2に示すとおり、前記方法で調製した触媒Dを触媒として用いたこと以外は、実施例1と同条件で反応を行った。反応結果を表3に示す。
(触媒DのCO-TPD測定)
上述したとおり触媒DのCO-TPD測定を行ったところ、CO-highは1574μmol/g、CO-lowは585μmol/gであったため、[CO-high/CO-low]値は2.69であった。
本比較例より、触媒において、[CO-high/CO-low]値が低く、ルテニウムに対するスズのモル比率が小さい場合には、ルテニウムの高い触媒活性を抑制することができず、反応結果は、実施例1の触媒を用いた場合と比較すると、1,6-ヘキサンジオールの収率及び選択率が低下し、1-ペンタノールの収率が増加していた。
[比較例2]
(触媒Eの調製)
使用する1.0M水酸化ナトリウム水溶液の量を927.4mL(927.4mmol)に、使用する塩化スズ(IV)五水和物の量を35.4g(101.1mmol)に、使用する塩化ルテニウム(III)水和物(ルテニウム40質量%)の量を5.0g(19.8mmol)に、使用する活性炭(クラレ製、クラレコールPW-D)の量を26.0gに、使用するシュウ酸の量を20.9g(231.9mmol)に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で4質量%Ru-25質量%Sn/活性炭(PW-D)の触媒(以下、触媒Eとする)を調製した。なお、仕込みの各化合物において、スズとルテニウムと水酸化ナトリウムとのモル比(スズ:ルテニウム:水酸化ナトリウム)を1.000:0.196:9.185とし、ハロゲン総量と水酸化ナトリウムとのモル比(ハロゲン:水酸化ナトリウム)を1.000:2.002とした。蛍光X線装置を用いて分析を行ったところ、触媒Eにおけるハロゲン(塩素)の含有量は10質量ppm以下であった。
(反応工程)
表1及び表2に示すとおり、前記方法で調製した触媒Eを触媒として用いたこと以外は、実施例1と同条件で反応を行った。反応結果を表3に示す。
(触媒EのCO-TPD測定)
上述したとおり触媒EのCO-TPD測定を行ったところ、CO-highは3187μmol/g、CO-lowは1455μmol/gであったため、[CO-high/CO-low]値は2.19であった。
本比較例より、触媒において、ルテニウムに対するスズのモル比率が大きく、[CO-high/CO-low]値が低い場合は、反応結果は、実施例1の触媒を用いた場合と比較すると、6-ヒドロキシカプロン酸の転化率、1,6-ヘキサンジオールの収率及び選択率が低下することが分かった。
(触媒Eの調製)
使用する1.0M水酸化ナトリウム水溶液の量を927.4mL(927.4mmol)に、使用する塩化スズ(IV)五水和物の量を35.4g(101.1mmol)に、使用する塩化ルテニウム(III)水和物(ルテニウム40質量%)の量を5.0g(19.8mmol)に、使用する活性炭(クラレ製、クラレコールPW-D)の量を26.0gに、使用するシュウ酸の量を20.9g(231.9mmol)に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で4質量%Ru-25質量%Sn/活性炭(PW-D)の触媒(以下、触媒Eとする)を調製した。なお、仕込みの各化合物において、スズとルテニウムと水酸化ナトリウムとのモル比(スズ:ルテニウム:水酸化ナトリウム)を1.000:0.196:9.185とし、ハロゲン総量と水酸化ナトリウムとのモル比(ハロゲン:水酸化ナトリウム)を1.000:2.002とした。蛍光X線装置を用いて分析を行ったところ、触媒Eにおけるハロゲン(塩素)の含有量は10質量ppm以下であった。
(反応工程)
表1及び表2に示すとおり、前記方法で調製した触媒Eを触媒として用いたこと以外は、実施例1と同条件で反応を行った。反応結果を表3に示す。
(触媒EのCO-TPD測定)
上述したとおり触媒EのCO-TPD測定を行ったところ、CO-highは3187μmol/g、CO-lowは1455μmol/gであったため、[CO-high/CO-low]値は2.19であった。
本比較例より、触媒において、ルテニウムに対するスズのモル比率が大きく、[CO-high/CO-low]値が低い場合は、反応結果は、実施例1の触媒を用いた場合と比較すると、6-ヒドロキシカプロン酸の転化率、1,6-ヘキサンジオールの収率及び選択率が低下することが分かった。
[比較例3]
(触媒Fの調製)
使用する1.0M水酸化ナトリウム水溶液の量を258.8mL(258.3mmol)に、使用するシュウ酸の量を5.8g(64.7mmol)に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で4質量%Ru-12質量%Sn/活性炭(PW-D)の触媒(以下、触媒Fとする)を調製した。なお、仕込みの各化合物において、スズとルテニウムと水酸化ナトリウムとのモル比(スズ:ルテニウム:水酸化ナトリウム)を1.000:0.392:5.126とし、ハロゲン総量と水酸化ナトリウムとのモル比(ハロゲン:水酸化ナトリウム)を1.000:0.990とした。蛍光X線を用いて分析を行ったところ、触媒Fにおけるハロゲン(塩素)の含有量は1400質量ppmであった。
(反応工程)
表1及び表2に示すとおり、実施例1と同様の方法で合成した6-ヒドロキシカプロン酸14.0g及び6-ヒドロキシカプロン酸ダイマー0.4gを原料とし、前記方法で調製した触媒Fを触媒として用いたこと以外は、実施例1と同条件で反応を行った。
(触媒FのCO-TPD測定)
上述したとおり触媒FのCO-TPD測定を行ったところ、CO-highは1686μmol/g、CO-lowは572μmol/gであったため、[CO-high/CO-low]値は2.95であった。
本比較例より、触媒において、[CO-high/CO-low]値が低い場合には、反応結果は、実施例1の触媒を用いた場合と比較すると、6-ヒドロキシカプロン酸の転化率、1,6-ヘキサンジオールの収率及び選択率が低下することが分かった。
(触媒Fの調製)
使用する1.0M水酸化ナトリウム水溶液の量を258.8mL(258.3mmol)に、使用するシュウ酸の量を5.8g(64.7mmol)に変更したこと以外は実施例1と同様の方法で4質量%Ru-12質量%Sn/活性炭(PW-D)の触媒(以下、触媒Fとする)を調製した。なお、仕込みの各化合物において、スズとルテニウムと水酸化ナトリウムとのモル比(スズ:ルテニウム:水酸化ナトリウム)を1.000:0.392:5.126とし、ハロゲン総量と水酸化ナトリウムとのモル比(ハロゲン:水酸化ナトリウム)を1.000:0.990とした。蛍光X線を用いて分析を行ったところ、触媒Fにおけるハロゲン(塩素)の含有量は1400質量ppmであった。
(反応工程)
表1及び表2に示すとおり、実施例1と同様の方法で合成した6-ヒドロキシカプロン酸14.0g及び6-ヒドロキシカプロン酸ダイマー0.4gを原料とし、前記方法で調製した触媒Fを触媒として用いたこと以外は、実施例1と同条件で反応を行った。
(触媒FのCO-TPD測定)
上述したとおり触媒FのCO-TPD測定を行ったところ、CO-highは1686μmol/g、CO-lowは572μmol/gであったため、[CO-high/CO-low]値は2.95であった。
本比較例より、触媒において、[CO-high/CO-low]値が低い場合には、反応結果は、実施例1の触媒を用いた場合と比較すると、6-ヒドロキシカプロン酸の転化率、1,6-ヘキサンジオールの収率及び選択率が低下することが分かった。
本発明は、カルボン酸を直接水添してアルコールを製造するために好適なスズ及びルテニウムを含む担持触媒及びその製造方法について提供することができ、産業上の利用可能性がある。
Claims (8)
- スズ、ルテニウム及び担体を含有する触媒であって、
前記触媒におけるハロゲンの含有量が500質量ppm以下であり、
ルテニウムに対するスズのモル比率(スズ/ルテニウム)が1.5以上5.0以下であり、
COを用いた昇温脱離測定における600~800℃のCO脱離量(CO-high(μmol/g))を400~600℃のCO脱離量(CO-low(μmol/g))で除した値(CO-high/CO-low)が3以上である、触媒。 - 前記担体が炭素質担体である、請求項1に記載の触媒。
- アルカリ性物質とスズ化合物とを混合して反応液を得る工程、
ルテニウム化合物と担体と前記反応液とを、仕込みの各化合物において、スズ及びルテニウムのモル比(スズ:ルテニウム)が1.00:0.22~1.00:0.75の範囲内、且つ、ハロゲンの総量及び前記アルカリ性物質の仕込みモル比(ハロゲン:アルカリ性物質)が1.0:1.5~1.0:3.0の範囲内となるように配合し加熱して混合液を得る工程、及び
前記混合液に酸を加えてpHを5~8に調整する工程を含む製造方法により得られる、請求項1又は2に記載の触媒。 - アルカリ性物質とスズ化合物とを混合して反応液を得る工程、
ルテニウム化合物と担体と前記反応液とを、仕込みの各化合物において、スズ及びルテニウムのモル比(スズ:ルテニウム)が1.00:0.22~1.00:0.75の範囲内、且つ、ハロゲンの総量及び前記アルカリ性物質の仕込みモル比(ハロゲン:アルカリ性物質)が1.0:1.5~1.0:3.0の範囲内となるように配合し加熱して混合液を得る工程、及び
前記混合液に酸を加えてpHを5~8に調整する工程を含む、スズ、ルテニウム及び担体を含有する触媒の製造方法。 - 前記アルカリ性物質が水酸化ナトリウムである、請求項4に記載の触媒の製造方法。
- 前記酸が有機酸である、請求項4又は5に記載の触媒の製造方法。
- 請求項1~3のいずれか一項に記載の触媒の存在下、カルボン酸を水素化反応させアルコールを得る反応工程を含む、アルコールの製造方法。
- 前記カルボン酸が、6-ヒドロキシカプロン酸及びアジピン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を含む、請求項7に記載のアルコールの製造方法。
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