以下、この発明の実施形態について図面に基づいて説明する。図1~図5はこの発明の第一実施形態を示すもので、この実施形態の筒形包装用箱10は、紙製のシートを打ち抜いて形成された箱体形成片12を組み立てて設けられている。図2は箱体形成片12を表面から見た展開図であり、箱体形成片12は、ほぼ同じ大きさの矩形の側面14,16が、互いに平行に連接して設けられている。側面16の、側面14とは反対側の側縁部には、筒形包装用箱10の組立状態で側面14の表面に糊付けされる糊付片18が設けられている。側面14,16、糊付片18は、各々折罫線20,22で区切られている。
側面14は、側面16との連接方向に対して直角な方向に長い矩形であり、側面16との連接方向に対して直角な一方の端部14aは、筒形包装用箱10を組み立てて使用する時に上方に位置し、側面16との連接方向に対して平行な直線である。端部14aの折罫線20に接する角部と、折罫線20とは反対の側縁部14cに接する角部は、略矩形に切り欠かれて各々段差24が生じている。各段差24は、端部14aに対して略直角に連続する側縁部24aと、側縁部24aに連続し側縁部14cまたは折罫線20に達する端部24bにより形成される。側縁部24aは、端部14aに対して略直角な直線であり、端部24bは、側縁部14又は折罫線20に近づくにつれて端部14aから離れるように傾斜して設けられ、端部14a側に僅かに膨らむ円弧で形成されている。一対の端部24bの間には、開封用の破断線26が設けられている。破断線26は、端部14a側に僅かに膨らむ円弧であり、破断線26の中心には、端部14aと離れる方向に膨出する小さい円弧の切込線28が設けられている。側面14の、破断線26に近い部分には折罫線30が設けられている。折罫線30の両端部は、端部24bが、側縁部14cまたは折罫線20に連続する位置付近にあり、中心部が端部14aから離れ、下方に凸となる三角形である。
側面14の、端部14aと反対側の端部14bには、端部14bの中心付近に、係止フラップ32が折罫線34で区切られて設けられている。係止フラップ32は、端部14bに沿う方向に長い変形した矩形であり、側面14の側面16との連接方向の長さより少し短い。係止フラップ32と側縁部14bとの間は、切り欠かれて細い首状部33で繋がり、短い折罫線34で区切られる。係止フラップ32の、折罫線34とは反対側の端部32aは、端部14bと折罫線34に対して平行な直線であり、端部32aの中心には、浅い凹部35が切り欠かれている。係止フラップ32の、端部32aに交差する一対の側縁部32bは、端部32aから離れるにつれて互いに離れるようにわずかに傾斜している。側縁部32bの端部32aとは反対側の端部は、端部14bに達することがなく、首状部33を残して切り欠かれている。首状部33の、側縁部14bに沿う方向の長さは、端部14bから離れるに従って長くなり、幅広になっている。係止フラップ32には、首状部33の側縁の延長線上に、折り曲げ線36が一対設けられている。一対の折り曲げ線36の間隔は、端部14bから離れるに従って長く、幅広になり、側縁部14bとは反対側の端部は、端部32aと側縁部32bが交差する角部に達している。
側面16の、側面14の端部14aの延長上は端部16aであり、折罫線20の延長線に位置する側縁部16cと、折罫線20とは反対側の側縁部16dに、略直角に交差している。側面16の、端部16aと反対側の端部16bには、端部16bの中心付近に、穴あきフラップ38が首状部40を介して折罫線42で区切られて設けられている。穴あきフラップ38と首状部40は、係止フラップ32と首状部33と同じ形状である。穴あきフラップ38には、折り曲げ線36と同じ形状の折り曲げ線44が一対設けられ、首状部40とは反対側の端部は、端部16bに対して平行な端部38aと端部38aに連続する側縁部38bが交差する角部に達している。端部38aの中心には、台形状のフラップ糊付け部46が折罫線48を介して設けられている。
穴あきフラップ38の中央には、後述する収容物64を挿入する開口部50が設けられている。開口部50は、変形した円形であり、一部が折罫線48を超えてフラップ糊付け部46に達し、フラップ糊付け部46に位置する周縁部50aは、径が大きい直線に近い円弧で形成され、係止フラップ32の凹部35と同じ弧状で、端部32aを軸とする対称の形状である。開口部50の、穴あきフラップ38に位置する周縁部50bは、折罫線48に沿う方向が直径となる半円形状であって、円の中心が折罫線48よりも穴あきフラップ38の中央側に平行移動したような半円形状であり、折罫線48に接する部分は直線部50cとなる。
半円形の周縁部50bには、4か所に、開口部50の中央に向って互いに対称な位置で突出する小さい半円形の舌片52が設けられて内径が狭くなっている。つまり、4つの舌面52の頂点を結ぶ包絡線の径である挿通径は、開口部50の内径よりも小さい。周縁部50bには、舌片52の基端部に一致して、舌片52の突出方向に沿う短い切込線54が設けられている。切込線54は、一つの舌片52の基端部から延長して2本設けられ、舌片52は、周縁部50bの直径方向に沿う直線で形成されている。
側面16のほぼ中央には、矩形の窓部56が設けられている。窓部56は、側面16を開口して形成され、端部16aに対して平行な2辺を有し、この2辺に交差する2辺は、端部16aから離れるに従い、互いの間隔が狭くなるように傾斜している。
糊付片18は、折罫線22に沿って長細い形状であり、端部16aに近い端部18aは、側面14の折罫線30よりも少し端部16b側に位置し、筒形包装用箱10の組み立て状態で折罫線30の下側に沿う形状であり、折罫線22から離れるにつれて端部16bに近づくように傾斜している。端部18aとは反対側の端部18bは、隣接する側面16の端部16bの延長線上に位置する直線である。
次に、この実施形態の筒形包装用箱10の組立方法の一例について説明する。なお、ここでは、図2が筒形包装用箱10の箱体形成片12の表面を見たものであり、箱体形成片12の表面が凸になる折り方を正折り、そして裏面が凸になる折り方を逆折りと称する。
まず、穴あきフラップ38を折罫線42で正折りして側面16の裏面に重ねる。また、係止フラップ32を折罫線34で正折りして側面14の裏面に重ねる。更にフラップ糊付け部46を折罫線48で逆折りして穴あきフラップ38の表面に重ねる。これにより、図3に示す状態となる。なお、図3は、箱体形成片12の裏面を見たものである。そして、フラップ糊付け部46の裏面に糊58を塗布し、側面16の裏面で端部16aの近傍に糊60を塗布する。次に、折罫線20を正折りし、フラップ糊付け部46の折り返した裏面は、糊58により係止フラップ32の表面に糊付けされる。また、側面16の裏面は、糊60により側面14の裏面の端部14a近傍に糊付けされる。さらに、糊付片18の裏面に糊62を塗布し、折罫線22を正折りして、糊付片18の裏面が、側面14の表面に糊付けされる。これにより、一対の側面14,16が重ねられて糊付片18により糊付けされ、両側の一対の側縁部が互いに連続して筒状に形成され、筒形包装用箱10の折り畳み状態となる。
次に商品の包装工程で、折罫線20,22を近づけるように押して側面14,16を互いに離れる方に湾曲させて筒体にして内側空間を作る。この時、図4に示すように、互いに糊付けされた係止フラップ32と穴あきフラップ38は、折罫線34,42で側面14,16から鋭角に開き、側面14,16の端部を閉鎖し、底部となる。開口部50は底部に開口し、内側空間に連通するので、図5(a)に示すように、開口した開口部50から、細い円筒状の商品である収容物64を挿入することができる。
開口部50の内径は、収容物64の端面の外径よりも大きいが、4つの舌片52が設けられて内径が狭くなり、舌片52により狭くなった挿通径、つまり4つの舌片52の頂点を結んだ包絡線の径は、収容物64の外径より小さい。よって、収容物64が開口部50を通過する時、舌片52は収容物64に押されて弾性変形し、内側空間に向かって湾曲し、収容物64は円滑に挿入される。舌片52の基端部には切込線54が形成され、舌片52の突出長さは長くなっているので、容易に弾性変形し、開口部50の周縁部50bを破損することがない。収容物64の挿入に伴い、係止フラップ32は収容物64に押されて、側面14の裏面側に移動する。係止フラップ32の凹部35と、係止フラップ32に糊付けされたフラップ糊付け部46の周縁部50aは一致して重なるが、係止フラップ32が側面14の裏面側に移動することで収容物64は通過可能となる。
収容物64が開口部50を通過した後、図5(b)に示すように、収容物64の下端は、互いに糊付けされた係止フラップ32と穴あきフラップ38で保持され、収容される。舌片52は弾性変形が復元し、収容物64は開口部50を通過不可となり、封滅シール貼り等の作業が不要であり、包装が完了する。この包装状態で収容物64を無理に開口部50から取り出そうとすると、穴あきフラップ38が裂けたりしわになったりする。収容物64は、穴あきフラップ38の、所定角度で逆折りされた折罫線48に当接して支持される。折罫線48には、開口部50の周縁部50aが係止フラップ32の凹部35に一致して設けられ、周縁部50aと凹部35に収容物64の下端が嵌合され、折罫線48に沿う方向へのがたつきを防ぐ。
収容物64の側面の一部は側面16の窓部56に対面し、外から視認可能となる。側面14の折罫線30は、収容物64の厚みで緩やかに正折りされ、側面14の端部14aと側面16の端部16aが重ねられても断面が凸レンズ形の筒体になり、自然な外観となる。
開封する時は、側面14に形成されている切込線28に指をかけ、引き起こすことで破断線26が切断され開口し、開口から収容物64を取り出す。
この実施形態の筒形包装用箱10は、簡単な作業で包装することができ、包装状態の外観が綺麗である。底部に舌片52を有する開口部50が開口し、収容物64を開口部50から挿入して容易に収容可能であり、舌片52により収容物64が保持され、確実に包装される。底部が係止フラップ32と穴あきフラップ38で閉鎖され、側面14と側面16の間に空間を有して保形されるため、店頭で棚などに自立することができ、販売や展示に適している。収容後は、底部からは収容物64を取り出すことができず、無理に収容物64を取り出そうとすると、底部が破損したり、皺ができたりするため、改ざん防止効果もある。従って、封滅シールなどが不要であり、包装工程が簡単である。収容物64の下端は、係止フラップ32の端部32aの凹部35と、穴あきフラップ38の折罫線48の周縁部50aに差し込まれ、がたつき無く、安定して収容される。収容物64は、窓部56から視認することができる。収容物64を挿入する際にしわなどができず、また折罫線30が滑らかに正折りされて側面14,16がきれいな曲面となり、断面が凸レンズ形の筒体になり、外観が良好である。開封用の破断線26が設けられ、破断線26を切断して容易に開封することができる。
次にこの発明の第二実施形態について図6~図9に基づいて説明する。なお、ここで、上記実施形態と同様の部材は同様の符号を付して説明を省略又は簡略にする。この実施形態の筒形包装用箱66は、紙製のシートを打ち抜いて形成された箱体形成片を組み立てて設けられている。
図7は箱体形成片を表面から見た展開図であり、ほぼ同じ大きさの矩形の側面14,16が、互いに平行に連接して設けられている。側面16の、側面14とは反対側の側縁部には、筒形包装用箱66の組立状態で側面14の表面に糊付けされる糊付片72が設けられている。側面14,16、糊付片72は、各々折罫線20,22で区切られている。
側面16のほぼ中央には、矩形の窓部67が設けられている。窓部67は、第一実施形態の窓部56よりも上下方向に長い矩形であり、側面16を開口して形成され、端部16aに対して平行な2辺を有し、この2辺に交差する2辺は、途中まで端部16aに対して直角な直線で形成され、途中からは端部16aから離れるに従い、互いの間隔が狭くなるように傾斜している。端部16aに近い端部67aの両端部の角部は90°に形成され、収容物64の上端の一部が嵌合される。端部16bに近い一対の角部は面取りされている。
係止フラップ32の、折罫線34とは反対側の端部32aには、両側の側縁部32bに接する位置に、ガイド片68が一体に設けられている。ガイド片68は、台形状であり、端部32aから突出している。一対のガイド片68の間には、各ガイド片68に隣接する位置に、筒形包装用箱66の組立状態でフラップ糊付け部46の開口部50周縁部50aに一致する凹部35が各々設けられ、一対の凹部35の間は、端部32aが切り残されて、矩形のガイド突起70となる。ガイド突起70は、ガイド片68より突出量の小さい矩形である。
糊付片72は、側面16との連接方向の長さが側面16とほぼ同じ大きさの矩形状であり、上方の端部72aは、側面14の側縁部14cと端部24bが交差する高さと同じ高さに設けられ、端部72aの中間が糊付片72の中央に近づくように湾曲した曲線である。反対側の端部72bは、隣接する側面16の端部16bの延長線上に位置する直線である。
この実施形態の筒形包装用箱66は、上記実施形態と同様の方法により組み立てられ、同様の使用方法により同様の効果を有するものである。ただし、糊付片72は上記実施形態の糊付片18よりも大きいため、糊付片72は、折罫線22の近傍と、折罫線22とは反対側の側縁部72cの近傍に、各々塗布され、側面14の表面を覆って糊付けされる。これにより、強度が高く、外観も良好となる。糊付片72の端部72aは、側面14の破断線26と切込線28より下方に位置しているため、破断線26と切込線28は露出し、切込線28と破断線26から容易に開封することができる。
また、組立状態で、図6に示すように、穴あきフラップ38の周縁部50aから、ガイド突起70が開口部50の中央に向かって突出する。このため、収容物64の底部にガイド突起70が当接し、安定して支持することができる。係止フラップ32に設けられた一対のガイド片68は、収容物64の下端の両側に、立設する。これにより、折罫線48に沿う方向へのがたつきをより確実に防ぐことができる。
この他、図8に示すように、底部に開口した開口部50の周縁部50aから、ガイド突起70が突出しているが、図9(a)に示すように、開口部50から収容物64を挿入する時、舌片52は収容物64に押されて弾性変形し、ガイド突起70も収容物64に押されて弾性変形し、内側空間に向かって湾曲し、収容物64は円滑に挿入される。収容物64が開口部50を通過した後、図9(b)に示すように、舌片52は弾性変形が復元し、収容物64は通過不可となる。ガイド突起70も弾性変形が復元し、収容物64の下端に当接する。そして、穴あきフラップ38の、所定角度で逆折りされた折罫線48が、収容物64の下端に当接し、ガイド片68は、収容物64の下端の両側に、折罫線48から上方に向かって突出するため、折罫線48に沿う方向へのがたつきを確実に防ぎ、より安全に収容物64を緩衝的に収容することができる。
窓部67は長く設けられ、収容物64の上端は辺67aに当接するため、上端をがたつき無く保持することができる。収容物64の下端は、一対のガイド片68に挟まれてがたつきを抑えることができる。これにより、収容物64を緩衝的に収容することができる。
なお、筒形包装用箱66には、面積が広い糊付片72が設けられているが、第一実施形態の筒形包装用箱10のような細い糊付片18が設けられたものでも良い。
次にこの発明の第三実施形態について図10に基づいて説明する。なお、ここで、上記実施形態と同様の部材は同様の符号を付して説明を省略又は簡略にする。この実施形態の筒形包装用箱74は、紙製のシートを打ち抜いて形成された箱体形成片を組み立てて設けられている。
図10は箱体形成片を表面から見た展開図であり、ほぼ同じ大きさの矩形の側面14,16が、互いに平行に連接して設けられている。側面16の、側面14とは反対側の側縁部には、筒形包装用箱74の組立状態で側面14の裏面に糊付けされる糊付片76が設けられている。側面14,16、糊付片76は、各々折罫線20,22で区切られている。
糊付片76は、収容物64を支持する機能も備えている。糊付片76は、側面16との連接方向の長さが側面16とほぼ同じ大きさの矩形状であり、上方の端部76aは、側面16の、端部16aと端部16bの中間付近に位置し、端部16aに対して平行な直線で形成されている。端部76aの、折罫線22に近い部分は、折罫線22に対して平行な直線で端部16aに向かって延出する側縁部76bと、端部16aに近い位置で折罫線22に向かう端部76cが連続し、側縁部76bと端部76cで囲まれた細長い矩形が、端部76aから突出して折罫線22に連接して形成されている。端部76cは、組み立て状態で折罫線30の下側に沿う形状であり、折罫線22から離れるにつれて端部16bに近づくように傾斜している。端部76aとは反対側の端部76dは、隣接する側面16の端部16bの延長線上に位置する直線である。
糊付片76の中央には、端部76aに連通する溝部78が設けられている。溝部78は、収容物64の側面の一部が差し込まれる任意の幅であり、端部76aとは反対側の先端部には、端部76aに交差する方向に幅が広い幅広部80が形成されている。幅広部80の、端部76d側の底部80aは、端部76dに対して平行な直線である。
側面14の側縁部14bには、その他の部材は何も設けられていない。糊付片76の端部76dには、係止フラップ32が折罫線34で区切られて設けられている。係止フラップ32には、一対のガイド片68と、一対のガイド片68の間に位置するガイド突起70が設けられている。
次に、この実施形態の筒形包装用箱74の組立方法の一例について説明する。なお、ここでは図10が筒形包装用箱74の箱体形成片の表面を見たものである。まず、穴あきフラップ38を折罫線42で正折りして側面16の裏面に重ねる。また、係止フラップ32を折罫線34で正折りして糊付片76の裏面に重ねる。更にフラップ糊付け部46を折罫線48で逆折りして穴あきフラップ38の表面に重ねる。そして、フラップ糊付け部46の裏面に糊58を塗布し、側面16の裏面で端部16aの近傍に、糊60を塗布する。
この後、折罫線22を正折りし、フラップ糊付け部46の折り返した裏面が、糊58により係止フラップ32の表面に糊付けされる。次に、糊付片76の表面に、糊62を塗布する。糊62は、折罫線22に沿って、端部76cから端部76dにわたって直線に塗布し、また折罫線22とは反対側の側縁部76eに沿って、端部76aから端部76dにわたって直線に塗布する。次に折罫線20を正折りし、側面16の裏面は糊60により側面14の裏面の端部14a近傍に糊付けされ、糊付片76の表面は糊62により側面14の裏面に糊付けされる。これにより筒形包装用箱74の折り畳み状態となる。
この後、商品の包装工程で、上記実施形態と同様に、折罫線20,22を近づけるように押して側面14,16を互いに離れる方に湾曲させ、筒体にして内側空間を作り、収容物64を、開口部50から挿入して内側空間に収容する。この実施形態の筒形包装用箱66の使用方法は、上記各実施形態と同様である。
この実施形態の筒形包装用箱66は、上記各実施形態と同様の効果を有するものである。さらに、側面14の裏面に糊付けされた糊付片76の溝部78が内側空間に位置し、収容物64の側面が溝部78内に保持される。特に、溝部78では、紙シート1枚分の段差が生じているため、収容物64が左右方向に振動を受けても移動することがない。また、収容物64の下端は溝部78の幅広部80の底部80aに当接し、上下方向に振動を受けても移動することがない。
次に、この発明の第四実施形態について図11~図13に基づいて説明する。なお、ここで、上記実施形態と同様の部材は同様の符号を付して説明を省略又は簡略にする。この実施形態の筒形包装用箱82は、断面形状が楕円筒状の収容物92を入れるものであり、紙製のシートを打ち抜いて形成された箱体形成片を組み立てて設けられている。
図12は箱体形成片を表面から見た展開図であり、ほぼ同じ大きさの矩形の側面14,16が、互いに平行に連接して設けられている。側面16の、側面14とは反対側の側縁部には、筒形包装用箱74の組立状態で側面14の裏面に糊付けされる糊付片76が設けられている。側面14,16、糊付片76は、各々折罫線20,22で区切られている。
糊付片76は、側面16との連接方向の長さが側面16とほぼ同じ大きさの矩形状であり、糊付片76の中央には、端部76aに連通する溝部78が設けられている。溝部78の、端部76aとは反対側の先端部は、端部76aに交差する方向に幅が広い幅広部80が形成され、幅広部80の、端部76d側の底部80aは、端部76dに対して平行な直線である。
糊付片76の端部76dには、係止フラップ32が折罫線34で区切られて設けられている。係止フラップ32には、一対のガイド片68と、一対のガイド片68の間に位置してガイド突起70が設けられている。
側面14の、破断線26に近い部分には、端部24bが、側面14の側縁部14bまたは折罫線20に連続する位置の間に折罫線84が設けられている。折罫線84は、中心が端部14aから離れるような円弧形である。
側面16の端部16bの中心付近に、穴あきフラップ38が首状部40を介して折罫線42で区切られて設けられている。穴あきフラップ38には折り曲げ線44が一対設けられ、一対の折り曲げ線44の間には、穴あきフラップ38の中心付近を通過する切断線86が設けられている。切断線86の折り曲げ線44に連続する両端部は、折り曲げ線44に沿って、折罫線42に近づく方へ曲げられている。穴あきフラップ38の中央には、開口部88が設けられている。開口部88は、折罫線42側の周縁部は切断線86に一致し、切断線86に対して交差する両側の周縁部88aは、僅かに外側に膨らむ円弧で形成されている。一対の周縁部88aには、開口部88の中心に向って突出する小さい半円形の舌片52が各1つ設けられている。周縁部88aの、舌片52の周縁部に一致する部分には、短い切込線54が設けられている。切込線54は、一つの舌片52の基端部から延長して2本設けられ、舌片52は、周縁部88aの直径方向に沿う直線で形成されている。周縁部88aの外側には、舌片52と折罫線48の間の位置と、折り曲げ線44と切断線86が交差する位置を結ぶ開口用曲げ線90が設けられている。開口用曲げ線90は、折罫線48へ向かって膨出する円弧で形成されている。
穴あきフラップ38の首状部40とは反対側の端部38aの中心には、台形状のフラップ糊付け部46が折罫線48を介して設けられている。開口部88は、一部が折罫線48を超えてフラップ糊付け部46に達し、フラップ糊付け部46に位置する周縁部88bは、径が大きい直線に近い円弧で形成されている。
この実施形態の筒形包装用箱82は、上記実施形態と同様の方法により組み立てられ、同様に使用するものである。ただし、穴あきフラップ38には切断線86と開口用曲げ線90が設けられているため、開口部88を底部に開口させた時、開口部88は切断線86が開くことで内径が大きくなる。また、開口用曲げ線90で周縁部88bの舌片52が設けられている部分を正折りすることで、開口用曲げ線90の内側と舌片52を大きく弾性変形させることができる。
次に、断面形状が楕円筒状の収容物92を挿入する工程について説明する。図13(a)に示すように、折罫線20,22を近づけるように押して側面14,16を互いに離れる方に湾曲させて内部空間を作り、係止フラップ32と穴あきフラップ38が底部となる。開口部88は底部に開口し、内部空間に連通する。図13(b)に示すように、開口した開口部88から、断面形状が楕円形状の収容物92を挿入する。収容物92の長径方向を切断線86に対して直角な方向にする。開口部88は、収容物92の長径より径が小さいが、収容物92に押されて切断線86が開いて大きくなり、通過可能となる。開口部88を通過する時、舌片52は収容物64に押されて弾性変形し、開口用曲げ線90が僅かに正折りされて開口部88がより広くなり、収容物92は円滑に挿入される。収容物92が開口部88を通過した後、図13(c)に示すように、収容物92の長径方向を切断線86に対して平行にする。これにより切断線86は閉じられ、開口用曲げ線90の正折りが復元し、収容物92は開口部88を通過不可となり、包装が完了する。
この実施形態の筒形包装用箱82によれば、上記実施の形態と同様の効果を有するものである。しかも、断面形状が楕円形状の収容物92を、筒形包装用箱82の底部を破損することなく、挿入して収容することができる。楕円形状の収容物92を挿入するためには開口部88を左右方向に楕円にすることが考えられるが、穴あきフラップ38が大形になり、箱体形成片が大きくなるという問題がある。しかし筒形包装用箱82は、箱体形成片を大きくせずに、収容物92の長径方向を切断線86に対して直角にして、ねじ込んでから長径方向を切断線86に対して平行に戻すことで、収容可能となる。
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。側面や窓部、開口部の大きさや形状は、収容物に合わせて変更可能である。舌片や切込線の数や形状も、自由に変更可能である。例えば、舌片の基端部に、舌片の突出方向に対して交差する破断線や押し罫線を設けて折り曲げやすくしてもよい。その他、開口部の周縁部に、放射方向に複数の切断線を設け、一対の切断線の間の部分が舌片となるものでも良い。係止フラップと穴あきフラップは、隣接している側面又は糊付片の、どの順に設けられてもよい。なお、窓部は、穴明きのままでも良く、フィルムを貼ってもよい。窓部は、筒形包装用箱のデザインや多少の収容物のがたつきが問題ない場合に使用し、窓部が無くてもよい。