JP2022080566A - 笠木の取付構造 - Google Patents

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Abstract

【課題】 構造が簡単かつ施工費用が安価であり、強風等に対する破損及び飛散を効果的に防止することが可能である、笠木の構造体への取付構造を提供する。【解決手段】 パラペット10(被被覆材)に対して、その上面から笠木20を取り付ける笠木の取付構造Kであって、笠木20は、パラペット10の頂部を覆う笠木本体21と、幅方向の少なくとも一方の端部に、一体的に設けられた側板部22と、を備え、側板部22は、互いに近接する下方向に斜設されており、側板部22の先端は、パラペット10の側面部12と着接している、笠木の取付構造Kとした。【選択図】 図2

Description

本発明は、建築物の構成部材への笠木の取付構造に関する。
建築物に関し、大型の台風等の強風時及び暴風時において、最も被害が発生するのは外装材である。外装材のうち、外壁、ガラス及び屋根材等の主要外装材に関しては、各種規基準及び風洞実験法等の耐風設計用風力の評価方法が確立されているため、設計風速以下で破壊又は飛散等することは稀である。しかし、ディテールを構成する笠木等の比較的軽微な部材は、作用する風力を精度良く予測できないため、適切に耐風設計を行うことが困難である。
ところで、建築用外装材である笠木は、主として防水機能を奏させるために、建築物におけるバルコニー又は屋根部のパラペット上などに取り付けられる仕上げ部材である。一般的に、笠木は、取付金具を介して、対象建築物との間に間隙が形成された状態で取り付けられていることから、強風等に起因して、破損及び飛散の被害が生じることも多く、飛散物よる2次被害を防止する上でも、笠木の耐風性能を向上させる必要性がある。
このような笠木に関し、壁に沿って通気層が設けられたパラペット部に笠木取付金具を介して笠木を取り付けて構成した笠木構造において、上記パラペット部と笠木との間に換気通路を設け、かつ換気通路に開閉弁を取り付けて構成した笠木構造が存在している(特許文献1)。
また、笠木被取付壁の上面を覆う上面覆い部及び側面を覆う側面覆い部を有する笠木本体と、当該笠木本体の側面覆い部に取り付けられ、笠木被取付壁の側面との間に通気部を有する弾性変形可能な弾性体と、笠木被取付壁に取り付けられ、弾性体の上方に位置し、当該弾性体との間及び側面覆い部との間に通気部を有する遮障体とを備え、上記弾性体が風力で上方側に弾性変形した場合に、弾性体が遮障体に接触して、当該弾性体と遮障体との間の通気部の少なくとも一部が塞がる構造の笠木装置が存在している(特許文献2)。
特開2003-206606号公報 特開2007-308917号公報
しかし、従来の笠木構造及び従来の笠木装置は、雨天時に雨水が笠木被取付壁の内部に浸入することを抑制するための構造であり、強風等に対応する構造ではないことから、強風等に対する破損及び飛散を効果的に防止する技術の開発が望まれていた。
なお、従来の笠木構造は、孔部の風切音、金属衝突音等の騒音発生(風切音、部材の衝突音等)の可能性があるとともに、開閉弁構造の機構が複雑であり、施工費用が高価であるという問題点を有していた。
また、従来の笠木装置は、弾性体の劣化及び脱落の可能性があるとともに、構成部品が多く、施工費用が高価であるという問題点を有していた。
本発明は、上記各問題点を解決するためになされたものであり、構造が簡単かつ施工費用が安価であり、強風等に対する破損及び飛散を効果的に防止することが可能である、建築物の構成部材への笠木の取付構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために用いられる本発明の笠木の取付構造(以下、「本取付構造」という場合がある。)は、建築物の外面に位置する被被覆材に対して、上記被被覆材の上面から笠木を取り付ける笠木の取付構造であって、上記笠木は、上記被被覆材の頂部を覆う笠木本体と、上記笠木本体における幅方向の少なくとも一方の端部に、一体的に設けられた側板部と、を備え、上記側板部は、上記被被覆材の側面部に近接する下方向に斜設されており、上記側板部の先端は、上記被被覆材の側面部と着接していること、を特徴としている。
また、本取付構造は、建築物の外面に位置する被被覆材に対して、上記被被覆材の上面から笠木を取り付ける笠木の取付構造であって、上記笠木は、上記被被覆材の頂部を覆う笠木本体と、上記笠木本体における幅方向の少なくとも一方の端部に、一体的に設けられた側板部と、を備え、上記側板部は、上記被被覆材の側面部に近接する下方向に斜設されており、風力の作用時において、上記被被覆材の側面部に当接し、通常時(無風時又は微風時をいう)において、上記被被覆材の側面部から離反可能に構成されていること、を特徴としている。
ここで、被被覆材とは、笠木により被覆される構造部材である。通常、建築物の外面に設けられる屋根部、外壁部及び手摺部(例えば、パラペット、腰壁、手摺壁、屋上部の立ち上がり等)等を構成する構造部材であり、形状及び材質等に制限はなく、その名称等を問うものではない。
なお、被被覆材の頂部とは、当該被被覆材の上面から所定高さの範囲であり、対象となる建築物及び被被覆材の態様によって異なるものである。
また、笠木は、笠木本体と左右少なくとも一方の側板部を備えており、クリアランスを確保する関係上、被被覆材の上面部及び側面部との間に所定の間隙を有するように取り付けられる形状に形成されている。なお、笠木は、細長形状に形成されていることが多いが、所定の個片状等に形成されているもの(それらを組み合わせたもの)等を使用することが可能であり、その形態は問わない。
笠木本体は、被被覆材の頂部を覆うように、平板形状、山形形状(ヘ字断面形状)、門型形状(90度回転させたコ字門型形状又は90度回転させた 〕字形状)等とすることが好適である。
また、側板部は、笠木本体における幅方向の少なくとも一方に設けられている必要があり、その形状に制限はない。被被覆材の構造によっては、建築物の外面側の側面に設けることで足りる場合、及び、両側面に設けることが望ましい場合もあることから、被被覆材の態様により、適宜定めることができる。
上記側板部は、被被覆材の側面部において、斜め下方向になるように(下方になるにしたがって先端幅が狭くなるように)、所定の角度(被被覆材の側面部の先端と笠木の側板部のなす角が鋭角となる角度)で延設されていることが好適である。
設けられている側板部の先端は、被被覆材の側面部と常時、移動することなく接していても、風力の作用により、当該被被覆材の側面部に接触しながら摺動するものであってもよい。また、側板部の先端は、風力の作用時において、被被覆材の側面部に接触することができる構造であればよく、通常時において、被被覆材の側面部に近接するように設けられている構造、あるいは、風力の大きさにより、被被覆材の側面部に対して、適宜、当接及び離反することが許容されている構造であってもよい。
さらに、笠木本体と側板部は、ヒンジ等による接合ではなく、変形可能ではあるが、一体的に形成されていることが好ましい。
なお、笠木には、種々の構成材料を使用することが可能であるが、防水性及び耐久性の観点から、鋼板、ステンレス及びアルミニウム等の金属材料を使用することが好適である。特に、笠木本体と側板部とを同一の材料で一体的に成形することにより、簡易に加工することが可能となり、低コストで製作することができることになるため、特に好適である。
本取付構造によれば、笠木が、笠木本体と、当該笠木本体における幅方向の少なくとも一方の端部に、一体的に設けられた側板部とを備え、当該側板部は、被被覆材の側面部に近接する下方向に斜設されており、被被覆材の側面部の先端と笠木の側板部のなす角度が鋭角となっている。このため、風力の作用時であっても、笠木と被被覆材との間に形成される間隙に、気流が侵入しにくい構造とすることができる。
また、笠木の側板部の先端は、被被覆材の側面部と接している、又は、風力の作用時において、被被覆材の側面部に接触し、通常時において、被被覆材の側面部から離反可能に構成されている。そのため、風力が作用した際であっても、笠木の側板部が被被覆材の側面部に接することになり、笠木と被被覆材との間に形成される間隙に気流が流入することを抑制できる。したがって、被被覆材に作用する下記正圧力が、笠木と被被覆材との間に形成される間隙に伝播することを防止し、当該間隙における内圧の上昇を抑制することが可能となることから、強風時における笠木の破損及び飛散を防止することができる。
本発明によれば、構造が簡単かつ施工費用が安価であり、強風等に対する破損及び飛散を効果的に防止することが可能である笠木の取付構造を提供することができる。
本発明の笠木の取付構造の主要部を示す斜視図である。 本発明の笠木の取付構造を示す断面図である。 一般的な笠木の取付構造を模式的に示す断面図(取付金具等の細部は省略)であり、(a)は、無風時であり、(b)は、強風時である。 本発明の笠木の取付構造に風力が作用した場合を示す断面図である。 実施例で使用した笠木の取付構造を示す断面図(取付金具等の細部は省略)であり、(a)は、本発明の笠木の取付構造であり、(b)は、比較例の笠木の取付構造である。 実施例に基づくグラフであり、(a)は、本発明の笠木の取付構造と比較例の笠木の取付構造における笠木本体の上面の風圧係数分布を示し、(b)は、本発明の笠木の取付構造の取付間隙部と比較例の笠木の取付構造における間隙部の風圧係数分布を示し、(c)は、本発明の笠木の取付構造と比較例の笠木の取付構造における笠木に作用する風力係数分布を示す。
以下、図面を参照しつつ、本取付構造Kの実施形態の一例について、建築物の外面に位置する被被覆材として、ビル5(建築物)の屋上部7におけるバラペット10(被被覆材)に笠木20を取り付ける場合を例として、詳細に説明する。なお、図面に基づく説明では、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
[本取付構造]
本取付構造Kは、ビル5の屋上部7におけるバラペット10に笠木20が取り付けられている(図1)。
ビル5は、屋上面を形成する屋上部7と、当該屋上部7の周縁部に沿って、鉛直方向に立設するパラペット10を備えている。パラペット10は、ビル5における外壁6と連続するように、段差なくその上方に設けられており、細長の直方体の壁状に形成されている。
図2に示すように、笠木20は、笠木本体21と、左右の側板部22を備えている(図2)。
笠木本体21は、パラペット10の上面である水平部11(頂部)を覆うために、90度回転した ]字断面形状であり、細長状に形成されている。笠木20の取付施工時におけるクリアランスを確保するために、笠木本体21の幅寸法は、当該パラペット10の水平部11の幅寸法と比べて、少し幅広に形成されており、笠木20とパラペット10との間に所定の間隙(以下、「取付間隙部30」という。)が形成されることになる。
また、左右の側板部22は、パラペット10の側面部12の一部(上部)を覆うために、笠木本体21の両方の下端部における先端に一体的に設けられており、細長の薄板状に形成されている。
上記左右の側板部22は、その先端が互いに近接する方向であるパラペット10の側面部12に向かうように下方の内向きに斜設され、パラペット10の側面部12と笠木20の各側板部22の先端22aのなす角が鋭角となっており、風力の作用を低減させることができる形状となっている。そして、笠木20の各側板部22の先端22aは、通常時において、パラペット10の側面部12に当接しているとともに、強風時においても、パラペット10の側面部12と当接しながら、上下方向に摺動可能となっている。
笠木20の側板部22は、笠木本体21との接合部21aを支点として、パラペット10の側面部12と当接した状態で、弓状に変形可能に形成されている。すなわち、笠木20の側板部22は、風力を受けた場合において変形可能となっており、笠木20とパラペット10との間に形成される取付間隙部30に、気流が侵入しにくい構造となっている。そのため、笠木20の側板部22は、風上方向から風下方向(風力による後記正圧力の作用方向)に風力を受けた場合において、取付間隙部30を塞ぐように、上方向に変形し、通常時となった場合には、現状に復帰可能となっている。
本取付構造Kでは、パラペット10の水平部11及び側面部12の上方の一部が、笠木20の笠木本体21及び側板部22に被覆された状態で、内側から取付金具26を介して取り付けられている。なお、取付金具26は、パラペット10及び笠木20の長手方向に、所定間隔で設けられている。
上記取付金具26は、パラペット10の水平部11に取り付けられる基体部26aと、笠木20の笠木本体21を下側から支持する、2本の支持部26bを有している。上記基体部26aは、90度回転した〔 字形状に形成されている。また、各支持部26bは、基体部26aの上面における幅方向に、所定間隔を空け立設している。
[本取付構造の作用効果]
図3は、本取付構造Kを採用していない、一般的な笠木の取付構造を示す断面図である(この取付構造は、下記実施例で使用する取付構造と同様であるため、「比較例取付構造K’」という場合がある。)。
一般的に、笠木20’は、パラペット10’との間に、取付金具(図示せず)により取り付けられており、笠木20’とパラペット10’との間に所定の間隙(上記の取付間隙部に相当する。図3では、「間隙部30’」という。)が形成されることになる。そのため、本発明を適用しない場合において、笠木20’とパラペット10’との間に形成される間隙部30’は、外気と連通しており、周囲の気流状態に応じて、当該間隙部30’及び笠木20’の外表面に所定の風圧が作用することになる。
このとき、パラペット10’に風力が作用する場合において、風力が直接に作用する側の面(図3では、符号12A’を付す[以下、「風上面」という場合がある])。では、気流の侵入により、通常の大気圧と比較して圧力が高い状態(以下、「正圧」という場合がある。)となると同時に、周囲の気流の剥離等により、風下面又は背面等は、通常の大気圧と比較して圧力が低い状態(以下「負圧」という場合がある。)となる。そのため、笠木20’には、正圧力と負圧力の圧力差に相当する過大な風力が作用することになる。この風上面12A’に作用する正圧力は、間隙部30’に伝播する。そして、外面において局所的に負圧力が作用する場合に風力が最大となり、笠木20’の剥離が生じやすくなる。
しかし、本取付構造Kによれば、笠木20が、笠木本体21と、当該笠木本体21における幅方向の両縁部に、一体的に設けられた左右の側板部22とを備えている。そして、左右の側板部22は、互いに近接する方向に斜設される(パラペット10の側面部12と笠木20の側板部22の先端22aがなす角が鋭角となる)構造であり、風力の作用時であっても、取付間隙部30に気流が侵入しにくい構造となっている。そして、笠木20の側板部22の先端は、パラペット10の側面部12に接触しており、風上方向から風下方向に風力を受けた場合において、取付間隙部30を塞ぐ方向に変形可能となっている(図4)。
そのため、ビル5に、風力が作用した場合において、笠木20の側板部22が、適宜に変形しながらパラペット10の側面部12に当接する状態が維持され、取付間隙部30の入口部を塞ぐことになるため、当該取付間隙部30に気流が流入することを抑制できる。したがって、パラペット10の側面部12に作用する正圧力が取付間隙部30に伝播することを防止し、当該取付間隙部における内圧の上昇を抑制することが可能となることから、強風時における笠木20の破損及び飛散を防止することができる。
このように、本取付構造Kによれば、複雑な構造である笠木20を使用することがなく、特別な付属品の取付が不要となる。そのため、構成要素の破損及び飛散を防止することができ、安全性に資するとともに、簡易に施工することができるため、低コストを実現することができる。
以上、本発明について、好適な実施形態についての一例を説明したが、本発明は当該実施形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各要素に関して、適宜設計変更が可能である。
上記のとおり、被被覆材及び笠木の態様に制限はなく、最適な構成要素を採用することができる。また、笠木及びその取付構造に関しては、必要最小限の構成要素を例示したものであり、本発明の作用効果を阻害しない限り、必要となる他の構成要素を付加するものであってもよい。
なお、上記実施形態では、笠木の側板部の先端は、通常時において、被被覆材(パラペット)の側面部と接しているが、風力の作用時においてのみ被被覆材の側面部に接触し、通常時において、被被覆材の側面部から離反可能に構成されていることとするものであってもよい。また、笠木の側板部は、建築物における外側の一方に設けるものであってもよい。
[本取付構造の効果の検証]
本取付構造の効果を検証するために、実施例で採用した本取付構造Jと、比較例の笠木の取付構造(比較例取付構造K’)に関し、数値流体解析(CFD:Computational Fluid Dynamics)による風圧の簡易評価試験(RANSモデルによる定常解析(シミュレーション))を行った。
数値流体解析については詳説しないが、上記本取付構造Jと比較例取付構造K’に関し、各パラペット10,10’の長手方向に対する中心断面において、それぞれ、笠木20,20’を構成する笠木本体21,21’の上面と、取付間隙部30及び間隙部30’の各位置の風圧を求め、風圧係数を算出した。すなわち、笠木本体21,21’の各位置に対応する風圧を求め、式(1)に基づき、風圧係数(Cp)を算出した。
Cp= P/qH (1)
Cp:風圧係数
P :風圧
qH:速度圧(作用する風自体の基準圧力)
qH=(1/2)×ρ×V
ρ:空気密度
V:シミュレーションで流入させたパラペット高さにおける平均風速
実施例の本取付構造Jは、上記実施形態で説明した本取付構造Kにおいて、建築物の内面側である図中右側の側板部が設けられていない構造を用いている(図5(a))。
また、比較例取付構造K’は、本取付構造Jを採用していない一般的な笠木の取付構造を用いている(図3(a),図5(b))。
[検証結果]
図6(a)は、本取付構造Jと比較例取付構造K’における笠木本体21,21’の幅方向の位置(横軸)と、笠木本体21,21’の上面の風圧係数(縦軸)の関係を示したグラフ(風圧係数分布図)である(以下、上面の圧力を「外圧」という。)。また、図6(b)は、本取付構造Jと比較例取付構造K’における笠木本体21,21’の幅方向の位置(横軸)と、取付間隙部30及び間隙部30’の風圧係数の関係を示したグラフ(風圧係数分布図)である(以下、取付間隙部の圧力を「内圧」という。)。なお、各図において、横軸(X軸)は、笠木本体21,21’の内幅を1とした上で、風上側の端部の座標を(0,0)、風下側の端部の座標を(1,0)として表示している。また、図6(a)~図6(c)において、図中の実線は、本取付構造Jの値(図中では、「本発明」と表示する)を示し、点線は、比較例取付構造K’の値(図中では、「比較例」と表示する)を示している。
上記結果によれば、笠木本体21,21’の上面における幅方向の風圧係数は、ともに気流の剥離等による同様の負圧力が作用するため、本取付構造J及び比較例取付構造K’ともに、ほぼ同様の値となっている(図6(a))。
一方、パラペット10’の左右の両側面部12’の近傍において、風の作用を受けているため、比較例取付構造K’における間隙部30’の風圧係数は、非常に大きくなっている。しかし、本取付構造Jでは、笠木20の側板部22がパラペット10の側面部12に接しており風の影響を受けないことから、取付間隙部30の風圧係数は、ほぼ一定値となっている(図6(b))。
また、図6(c)は、本取付構造Jと比較例取付構造K’における笠木20,20’の幅方向の位置での笠木本体20,20’の上面と、取付間隙部30及び間隙部30’の風圧係数差(『「図6(a)の風圧係数」-「図6(b)の風圧係数』の値)のグラフ(風力係数圧分布図[上向きを正とする])であり、笠木に作用する風力を示している。
各笠木20,20’には、上記「外圧-内圧」の圧力差の差圧が作用し、これが笠木20,20’に作用する風力となる。図6(c)によれば、比較例取付構造K’における風力は、笠木20’の両端部の近傍において非常に大きくなっており、この風力により笠木20’が剥離しやすくなっている。しかし、本取付構造Jでは、風力係数は、0.2程度とほぼ一定値となっており、剥離力が作用しない構造が実現されていることが確認された。
このように、本取付構造Jを採用することにより、強風が作用した場合であっても、笠木20が飛散することを効果的に防止することが可能となる。
なお、実施例で使用した本取付構造Jは、笠木20に対して、風力が直接的に作用するパラペット10の外側面にのみ側板部22を設けており、その場合であっても、笠木20に対しうる充分な飛散防止効果を有することが確認された。
K,J 笠木の取付構造(本取付構造)
5 ビル(建築物)
6 外壁
7 屋上部
10 バラペット(被被覆材)
11 水平部
12 側面部
20 笠木
21 笠木本体
21a 接合部
22 側板部
22a 先端
26 取付金具
26a 基体部
26b 支持部
30 取付間隙部


Claims (2)

  1. 建築物の外面に位置する被被覆材に対して、前記被被覆材の上面から笠木を取り付ける笠木の取付構造であって、
    前記笠木は、
    前記被被覆材の頂部を覆う笠木本体と、
    前笠木本体における幅方向の少なくとも一方の端部に、一体的に設けられた側板部と、を備え、
    前記側板部は、前記被被覆材の側面部に近接する下方向に斜設されており、
    前記側板部の先端は、前記被被覆材の側面部と着接していること、を特徴とする笠木の取付構造。
  2. 建築物の外面に位置する被被覆材に対して、前記被被覆材の上面から笠木を取り付ける笠木の取付構造であって、
    前記笠木は、
    前記被被覆材の頂部を覆う笠木本体と、
    前笠木本体における幅方向の少なくとも一方の端部に、一体的に設けられた側板部と、を備え、
    前記側板部は、前記被被覆材の側面部に近接する下方向に斜設されており、
    風力の作用時において、前記被被覆材の側面部に当接し、通常時において、前記被被覆材の側面部から離反可能に構成されていること、を特徴とする笠木の取付構造。


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