JP2022080087A - 異形断面ポリエステル繊維 - Google Patents

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Abstract

【課題】リサイクルポリエステル原料を高比率で含有する再生ポリエステル樹脂を少なくとも一部に使用した異形断面ポリエステル繊維であって、バージンポリエステル樹脂のみを使用したときと同様の機械的特性値を有するとともに、生産性よく得ることができる異形断面ポリエステル繊維を提供する。【解決手段】リサイクルポリエステル原料を40質量%以上含有してなる再生ポリエステル樹脂からなるマルチフィラメントであって、マルチフィラメントを構成する単糸は、単糸の長手方向に対して垂直方向に切断した断面形状において、外周部に1個以上の凸部を有しており、前記再生ポリエステル樹脂はリサイクルポリエステル原料から由来する成分を含み、全グリコール成分の合計量を100モル%とするとき、ジエチレングリコールの含有量が4モル%以下であり、カルボキシル末端基濃度が30当量/t以下であることを特徴とする異形断面ポリエステル繊維。【選択図】図1

Description

本発明は、使用済ポリエステル製品やポリエステル製品を製造する工程で発生する未採用ポリエステルなどに由来するリサイクルポリエステル原料を含む再生ポリエステル樹脂を用いた異形断面ポリエステル繊維であって、製織や製編をすることで、表面品位や吸水拡散性や防透性に優れ、清涼感を奏する織物や編物を得ることができる異形断面ポリエステル繊維に関するものである。
ポリエチレンテレフタレート(PET)は、高融点で耐薬品性があり、また比較的低コストであるため、繊維、フィルム、ペットボトル等の成形品等に幅広く用いられている。これらのポリエステル製品は、製造段階又は加工段階で屑の発生が避けられず、また使用後に廃棄処分される場合が多い。ところが、焼却する場合には高熱が発生するため、焼却炉の傷みが大きく、寿命が短くなる。一方、焼却しない場合には、腐敗分解しないために半永久的に残ることになる。
近年、一度使用されたポリエステル製品のうち、ゴミとして捨てられたプラスチック容器等が河川を経由して海洋へ流出し、波又は潮流の作用で細かく破砕されてマイクロプラスチックとして海洋生物の体内に蓄積、食物連鎖で濃縮され海洋生物の生態系に悪影響が出ていること、プラスチックが海洋汚染の一大原因となっていることが問題視されていることから、その使用量の削減、生分解性プラスチックへの切り替え等の動きが全世界的に起きている。
このような環境上の問題の観点から、資源を再利用するリサイクルが様々な方法で行われている。PETに代表されるポリエステル製品に関しても、その製造工程で発生したポリエステル屑をリサイクルする方法に加え、一度市場に出回って廃棄された製品を回収し、それを原料として再使用する方法が検討されている。特に、近年においては、繊維製品について、一定のリサイクル率を達成することで認定されるエコマークを付与した製品が普及している。
リサイクルポリエステル原料として、製造工程で発生したポリエステル屑あるいは使用済みのポリエステル製品を回収したものを用いてリサイクルする方法としては、各種の方法が提案されている。
例えば、PET屑にメタノールを添加してジメチレンテレフタレート(以下「DMT」と表記することがある。)とエチレングリコール(以下「EG」と表記することがある。)に分解する方法(特許文献1)、PET屑にEGを添加して解重合した後、メタノールを添加してDMTを回収する方法(特許文献2)、PET屑をEGで解重合してオリゴマーとし、これを重縮合反応に用いる方法(特許文献3)等が提案されている。
ところで、一旦製品となったPETボトル等を再生する際に問題になる不純物としては、ポリエステル樹脂中に添加されている各種の添加剤のほか、ボトル本体に付属するものとして、a)キャップ(アルミニウム、ポリプロピレン、ポリエチレン)、b)中栓、c)ライナー(ポリプロピレン、ポリエチレン)、d)ラベル(紙、ポリスチレン等の樹脂、インク)、e)接着剤、f)印字用インク等がある。
一般に、再生工程の前処理としては、回収されたPETボトルを振動ふるいにかけて砂、金属等を除去する。その後、PETボトルを洗浄し、着色ボトルを分離した上で、荒い粉砕を行う。そして、風力分離によりラベル等を取り除く。さらに、キャップ等に由来するアルミニウム片を除いて、PETボトル片を細かく粉砕する。高温アルカリ洗浄により接着剤、蛋白質、かび等の成分を除き、比重差によりポリプロピレン、ポリエチレン等の異種成分を分離する工程が行われる。
しかしながら、これらの工程を経たとしても、特にポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン等の非ポリエステル樹脂をPET樹脂から完全に分離・除去することは困難である。
例えば、特許文献1~4に記載のリサイクル方法で再生ポリエステル樹脂の製造を試みたとしても、非ポリエステル樹脂由来の異物の除去が十分に行えず、異物の混入量が十分に低減できたものとはいえず、バージンポリエステル樹脂同様の品質を有する製品を得ることは困難である。このように異物の混入量が十分に低減されていないと、紡糸工程又は製膜工程における濾過フィルターの昇圧速度が速く、長期の連続運転ができず、加工操業性が非常に悪くなる。しかも、特許文献1~3のような方法では、回収装置の設置、運転、維持等に多額のコストもかかり、実用性という点でも改善の余地がある。
特許文献4記載の発明には、ポリエステル屑をエチレングリコールで解重合した後に、平均目開きが10~50μmのフィルターでろ過した後、再重合反応を行う方法が記載されている。そして、得られた再生ポリエステル樹脂は、異物の混入量が少なく、加工時の操業性に優れるものであることが示されている。
しかしながら、この方法においても、上記のような非ポリエステル樹脂由来の異物の除去が十分に行えておらず、異物の混入量が十分に低減できたものではなかった。
このように、各種の無機物のみならず、非ポリエステル樹脂由来の異物の除去が十分に行えており、バージンポリエステル樹脂と同様に各種の製品を得ることが可能で、かつ品質の高い製品を得ることができる再生ポリエステル樹脂は未だに得られていない。
中でもポリエステル樹脂を用いて溶融紡糸を行い、繊維を得る際には、異物の混入量や熱安定性が生産性に大きく影響を及ぼす。繊維の形状を複雑にしたり、細繊度化するほど、これらの影響を大きく受けることとなり、生産が困難となったり、また得られる繊維の機械的特性値が劣るものとなるという問題点がある。
特公昭42-8855号公報 特開昭48-62732号公報 特開昭60-248646号公報 特開2005-171138号公報
本発明は、上記の問題点を解決し、使用済ポリエステル製品やポリエステル製品を製造する工程で発生する未採用ポリエステルなどに由来するリサイクルポリエステル原料を高比率で含有する再生ポリエステル樹脂を少なくとも一部に使用した異形断面ポリエステル繊維であって、繊維の断面形状が特殊なものであっても、生産性よく得ることができ、かつバージンポリエステル樹脂のみを使用したときと同様の機械的特性値を有する異形断面ポリエステル繊維を提供しようとするものである。
本発明者等は、上記の課題を解決するために、鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、次の(1)~(4)を要旨とするものである。
(1)リサイクルポリエステル原料を40質量%以上含有してなる再生ポリエステル樹脂からなるマルチフィラメントであって、マルチフィラメントを構成する単糸は、単糸の長手方向に対して垂直方向に切断した断面形状において、外周部に1個以上の凸部を有しており、前記再生ポリエステル樹脂は、a)使用済ポリエステル製品及びb)ポリエステル樹脂又はポリエステル製品を製造する工程で発生するポリエステル屑の少なくとも1種のリサイクルポリエステル原料から由来する成分を含み、全グリコール成分の合計量を100モル%とするとき、ジエチレングリコールの含有量が4モル%以下であり、カルボキシル末端基濃度が30当量/t以下である異形断面ポリエステル繊維。
(2)単糸の長手方向に対して垂直方向に切断した断面形状において、外周部に1~6個の凸部を有し、かつ扁平度が1~5である(1)に記載の異形断面ポリエステル繊維。
(3)単糸の長手方向に対して垂直方向に切断した断面形状において、外周部に6~10個の凸部を有し、凸部と略同形状の凹部が交互に連続して形成される多葉形状を呈する、(1)に記載の異形断面ポリエステル繊維。
(4)(1)~(3)のいずれかの異形断面ポリエステル繊維を含有する織編物。
本発明の異形断面ポリエステル繊維は、少なくとも一部に用いる再生ポリエステル樹脂が、異物の混入量が少なく、かつカルボキシル末端基濃度、ジエチレングリコールの含有量が特定の範囲を満足するものであるため、熱安定性に優れており、溶融紡糸により繊維を得る工程において、長期の連続運転が可能となり、特殊な断面形状の繊維であっても操業性よく生産することができる。さらに、本発明の異形断面ポリエステル繊維は、バージンポリエステル樹脂を用いたものと同様の機械的特性値を有し、本発明の異形断面ポリエステル繊維を用いた織編物は、様々な衣料用途に使用することが可能である。
本発明の異形断面ポリエステル繊維(単糸)の横断面の一実施態様(態様A)を示す模式図である。 本発明の異形断面ポリエステル繊維(単糸)の横断面の一実施態様(態様B)を示す模式図である。 本発明の態様Aの異形断面ポリエステル繊維を紡糸する際に用いうる紡糸口金の紡糸孔の形状の一実施態様を示す模式図である。 本発明の態様Bの異形断面ポリエステル繊維を紡糸する際に用いうる紡糸口金の紡糸孔の形状の一実施態様を示す模式図である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の異形断面ポリエステル繊維は、a)使用済ポリエステル製品及びb)ポリエステル樹脂又はポリエステル製品を製造する工程で発生するポリエステル屑の少なくとも1種のリサイクルポリエステル原料に由来する成分を含む再生ポリエステル樹脂を含有するものである。
本発明の異形断面ポリエステル繊維を構成する再生ポリエステル樹脂(以下、「本発明樹脂」と表記することがある)は、a)使用済ポリエステル製品及びb)ポリエステル製品を製造する工程で発生する未採用ポリエステルの少なくとも1種のリサイクルポリエステル原料に由来する成分を含む。
上記a)の使用済みポリエステル製品としては、例えば一度市場に出回り、使用後に回収されたポリエステル成形品(繊維を含む。)等が挙げられる。その代表例としては、PETボトル等のような容器又は包装材料が挙げられる。
上記b)のポリエステル製品を製造する工程で発生する未採用ポリエステルは、製品化に至らなかったポリエステルであり、例えば規格を外れた樹脂ペレット、成形時に不要になった材料、成形時に切断された断片、成形時、加工時等に発生した屑、銘柄変更時に発生する移行品の裁断物、試作品・不良品の裁断物等が挙げられる。
上記a)及びb)は、その形態等は限定されず、必要に応じてさらに粉砕、切断等の加工を行うことによりペレット化されていても良いし、あるいは溶融してペレット化されていても良い。
また、上記a)及びb)のリサイクルポリエステル原料としては、結晶質又は非晶質のいずれのものであっても良い。従って、例えば熱処理を行っていない非晶質のポリエステル屑のペレット、熱処理を施した結晶質ペレット、結晶質ペレットと非晶質ペレットとの混合品等を使用することができる。本発明では、特に缶内への投入や解重合反応時にペレット同士の融着を防止する目的で結晶性のリサイクルポリエステル原料を用いることが好ましい。従って、上記a)又はb)の材料を熱処理により結晶化したもの(結晶化ペレット等)を好適に用いることができる。
本発明樹脂としては、前記リサイクルポリエステル原料を40質量%以上含有することが好ましく、中でも50質量%以上含有することが好ましい。リサイクルポリエステル原料の含有量が40質量%未満であると、環境問題に配慮するという目的を果たすことができないものとなる。リサイクルポリエステル原料の含有量の上限については、特に限定するものではないが、後述する再生ポリエステル樹脂の製造方法によれば、リサイクルポリエステル原料の含有量が40~80質量%の再生ポリエステル樹脂まで容易に得ることが可能である。
本発明樹脂は、下記(1)~(2)に示す特性値を有するものである。
(1)全グリコール成分の合計量を100モル%とするとき、ジエチレングリコールの含有量が4モル%以下。
(2)カルボキシル末端基濃度が30当量/t以下。
また、本発明樹脂は下記(3)に示す特性値を有することが好ましい。
(3)平均昇圧速度が0.6MPa/h以下。
ただし、平均昇圧速度は、下記の手順によって算出される値である。エクストルーダー及び圧力センサーを含む昇圧試験機を用い、エクストルーダーの先端にステンレス鋼製フィルター(呼び寸法メッシュ:1400メッシュ、織り方:綾畳織、縦メッシュ:165メッシュ、横メッシュ:1400メッシュ、縦線径:0.07mm、横線径:0.04mm、濾過粒度:12μm)をセットし、ポリエステル樹脂をエクストルーダーにて300℃で溶融し、前記フィルターからの吐出量29.0g/分で当該溶融物を押し出した時の前記フィルターにかかる圧力値として、押し出し開始時の圧力値を「初期圧力値(MPa)」とし、その後連続して12時間押し出しをした時点の圧力値を「最終圧力値(MPa)」とした場合、それらの圧力値に基づいて下記計算式(i)により上記平均昇圧速度を算出する。
平均昇圧速度(MPa/h)=(最終圧力値-初期圧力値)/12)・・・(i)
本発明樹脂は、全グリコール成分の合計量を100モル%とするとき、ジエチレングリコールの含有量が4モル%以下であり、その中でも3.5モル%以下であることが好ましい。特に、後述する製造方法により得られる本発明樹脂においては、エチレングリコールを原料の一つとして用いるが、その際の副生成物としてジエチレングリコールが生じ得る。本発明樹脂は、その副生するジエチレングリコールの量が少ないものであり、ジエチレングリコールの含有量が4モル%以下であることにより、結晶性にすぐれた性能を有している。このため、バージンポリエステルと同様に生産性よく溶融紡糸を行うことができ、強度、伸度等の機械的特性値に優れた繊維を得ることが可能となる。なお、ジエチレングリコールの含有量の下限値は、例えば0.5モル%程度とすることができるが、これに限定されない。
本発明樹脂は、カルボキシル末端基濃度が30当量/t以下であり、特に25当量/t以下であることが好ましく、その中でも20当量/t以下であることが最も好ましい。カルボキシル末端基濃度が30当量/t以下とすることにより、耐熱性に優れた性能を有しており、バージンポリエステルと同様に生産性よく溶融紡糸を行うことができ、強度、伸度等の機械的特性値に優れた繊維を得ることが可能となる。なお、カルボキシル末端基濃度の下限値は、例えば5当量/t程度とすることができるが、これに限定されない。
本発明樹脂は、次の方法により測定される平均昇圧速度が0.6MPa/h以下であることが好ましく、0.5MPa/h以下であることがより好ましく、中でも0.4MPa/h以下であることが好ましい。本発明における平均昇圧速度は、各種無機物に由来する異物や非ポリエステル樹脂に由来する異物の混入量の多さの指標となるものであり、平均昇圧速度が小さいほど異物の混入量が少ないことを示すものである。平均昇圧速度が0.6MPa/h以下であることにより、バージンポリエステルと同様に生産性よく溶融紡糸を行うことができ、強度、伸度等の機械的特性値に優れた繊維を製造することも可能となる。なお、平均昇圧速度の下限値は、例えば0.01MPa/h程度とすることができるが、これに限定されない。
平均昇圧速度の測定方法は、エクストルーダー及び圧力センサーを含む昇圧試験機を用い、エクストルーダーの先端に濾過粒度12μmのステンレス鋼製綾畳織フィルターをにセットし、ポリエステル樹脂をエクストルーダーにて300℃で溶融し、前記フィルターからの吐出量29.0g/分で当該溶融物を押し出した時の前記フィルターにかかる圧力値として、押し出し開始時の圧力値を「初期圧力値(MPa)」とし、その後連続して12時間押し出しをした時点の圧力値を「最終圧力値(MPa)」とした場合、それらの圧力値に基づいて下記計算式(i)により上記平均昇圧速度を算出する:
平均昇圧速度(MPa/h)=(最終圧力値-初期圧力値)/12)・・・(i)
という方法によるものである。
本発明樹脂は、特に種類は限定されないが、その中でもポリエチレンテレフタレート(PET)を主体とするものであることが好ましい。本発明のポリエステル樹脂中におけるPETの含有量は70質量%以上であることが好ましく、中でも80質量%以上であることが好ましく、さらには90~100質量%であることが好ましい。従って、例えばPET含有量95~99質量%の再生ポリエステル樹脂も、本発明に包含される。
特に、後記の本発明樹脂の製造方法においては、通常はエチレングリコールとテレフタル酸の重縮合物であるPETを得ることができるが、リサイクルポリエステル原料において、エチレングリコールとテレフタル酸以外の成分が存在する際には、PET以外のポリエステル樹脂が重縮合反応により生成する場合もある。このため、本発明樹脂としては、主体となるPET以外に、酸成分又はグリコール成分として、以下に示す成分が共重合されていても良い。これらの成分は2種以上含まれていても良い。
酸成分としては、例えばイソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、1、4-シクロヘキサンジカルボン酸、ドデカン二酸等、ダイマー酸、更には無水トリメリット酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、1、4-シクロヘキサンジカルボン酸、セバシン酸、ダイマー酸等が挙げられ、
グリコール成分としては、例えばネオペンチルグリコール、1、4-ブタンジオール、1、2-プロピレングリコール、1、5-ペンタンジオール、1、3-プロパンジオール、1、6-ヘキサメチレンジオール、ジエチレングリコール、1、4-シクロヘキサンジメタノール、ダイマージオール、ブチルエチルプロパンジオール、(2-メチル1、3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールA又はビスフェノールSのエチレンオキシド付加体等を挙げることができる。
本発明の異形断面ポリエステル繊維は、繊維を構成する樹脂として、本発明樹脂のみを用いたもの、本発明樹脂とそれ以外の樹脂を用いたもののいずれであってもよいが、本発明樹脂を40質量%以上含有するものであることが好ましく、中でも50質量%以上含有することが好ましい。再生ポリエステル樹脂の含有量が40質量%未満であると、環境問題に配慮するという目的を果たすことができないものとなる。
再生ポリエステル樹脂とそれ以外の樹脂を用いる際には、両樹脂を混合して用いたり、再生ポリエステル樹脂とそれ以外の樹脂をそれぞれ用いた複合形態を呈する繊維とすることができる。
上記した本発明樹脂以外の樹脂としては、各種の熱可塑性樹脂(バージンの樹脂)を用いることができるが、中でもポリエステル樹脂が好ましい。
本発明の異形断面ポリエステル繊維を構成する単糸は、単糸の長手方向に対して垂直方向に切断した断面形状において、外周部に1個以上の凸部を有するものである。
本発明では、特に限定されないが、上記断面形状において2つの好ましい態様があり、以下に説明する。
〔態様A〕
1つ目の態様Aは、当該断面形状が扁平断面のものである。態様Aの単糸断面の外周部の凸部の数については1個以上であればよいが、具体的には、1~6個、好ましくは1~4個、更に好ましくは1又は2個が挙げられる。態様Aの単糸の断面形状の一例として、図1に示す形状が挙げられる。図1の(a)、(b)、及び(d)は、外周部に1個の凸部を有している例であり、図1の(c)は、外周部に2個の凸部を有している例である。
態様Aの単糸からなる異形断面ポリエステル繊維の扁平度については、例えば、1~5、好ましくは1.2~2.8である。ここで、本発明において、扁平度とは、測定対象となる繊維の構成フィラメントの全本数について、下記計算式(ii)に従って扁平度を求め、その平均値を算出することによって得られる値である。扁平度が5を超えると断面形状が不安定になる傾向が現れることがある。
扁平度=(繊維横断面の長軸方向の長さ)/(繊維横断面の短軸方向の長さ)・・・(ii)
このような単糸断面の外周部に1個以上、中でも1個又は2個の凸部を有する扁平断面の単糸、すなわち態様Aの単糸で構成され、扁平度が1~5である異形断面ポリエステル繊維は、繊維間に微細な間隙が形成されるものとなり、当該異形断面ポリエステル繊維を用いて織物や編物とすることで、汗の吸収性及び拡散性を向上させ、優れた清涼感(シャリ感)を奏することが可能になる。
本発明の異形断面ポリエステル繊維は、態様Aを呈する単糸からなるマルチフィラメント糸として用いる場合、マルチフィラメント糸中に、態様Aを満足する2種類以上の異なる断面形状の単糸を含むことが好ましい。異なる断面形状とは、単糸の長手方向に対して垂直方向に切断した断面形状における外周部の凸部の数や、単糸の扁平度が異なることを意味する。
〔態様B〕
2つ目の態様Bは、当該断面形状が多葉断面のものである。態様Bの単糸断面の外周部の凸部の数については6~10個であればよく、中でも6~8個有することが好ましい。また、態様Bは外周部に凸部と略同形状の凹部が交互に連続して形成される多葉形状を呈する。態様Bの単糸の断面形状の一例として、図2に示す形状が挙げられる。図2の(a)は、外周部に6個の凸部を有している例であり、図2の(b)は、外周部に8個の凸部を有している例で、いずれも凸部と略同形状の凹部が交互に連続して形成される多葉形状を呈している。このような態様Bの単糸からなる異形断面ポリエステル繊維は、繊維断面に凹凸を有するものとなり、当該異形断面ポリエステル繊維を用いて織物や編物とすることで、異形断面ポリエステル繊維が甘撚り、未加工であっても麻を用いた時のようなドライ感が得られ、また、上述の凹凸部が光を乱反射することで、発色性が良く、マットで上品な仕上がりの織物や編物が得られる。
本発明の異形断面ポリエステル繊維を構成する単糸の単糸繊度については、特に制限されないが、例えば、0.1~6.0dtexであることが好ましく、0.3~4.0dtexであることがより好ましく、0.5~3.0dtexであることがさらに好ましい。このような範囲とすることで、本発明の異形断面ポリエステル繊維を用いて織編物としたときに、ポリエステル繊維が上述した複雑な断面形状を有することによる、優れた吸水性や風合い等の特性を奏する繊維とすることができる。また、本発明樹脂を用いれば、複雑な断面形状を呈し、また、上記範囲の単糸繊度を有する本発明の異形断面ポリエステル繊維を紡糸性良く得ることができる。すなわち、バージンポリエステル樹脂を用いた場合と同様に異形断面ポリエステル繊維が得られる。
本発明の異形断面ポリエステル繊維は、酸化チタンを含有してもよい。ポリエステル繊維の質量に対して酸化チタンを0.02~5.0質量%含有することが好ましく、0.3~5.0質量%含有することがより好ましく、2.0~5.0質量%含有することがさらに好ましい。酸化チタンを前記範囲で含有することにより、織編物を白色とした際の透け防止性を発現させることができ、加えて、太陽光に含まれる赤外線領域を効率よく遮蔽し、涼感性を発揮することができるという効果が得られる。酸化チタンの含有量が上記範囲を下回ると、紫外線遮蔽効果や遮熱性等に由来するクーリング機能、防透性等が十分に発揮されず、一方、上記範囲を上回ると、紡糸性、延伸性に支障をきたすことになる。
前記酸化チタンの粒径は、特に限定されるものでないが、0.1~2.0μmの範囲であることが好ましく、0.3~1.0μmであることがより好ましい。
なお、異形断面ポリエステル繊維が芯鞘型構造を有する場合、芯鞘型構造の芯部のみに酸化チタンを含有させてもよいし、鞘部のみに酸化チタン含有させてもよいし、芯部および鞘部の両方に酸化チタンを含有させてもよい。
本発明の異形断面ポリエステル繊維は、マルチフィラメントとして用いる。マルチフィラメント糸の構成フィラメント数については、特に制限されないが、例えば、12~150本、好ましくは22~98本、更に24~96本が挙げられる。
また、本発明の異形断面ポリエステル繊維の総繊度は、特に制限されないが、例えば、30~110dtexが好ましく、50~110dtexがより好ましい。
本発明の異形断面ポリエステル繊維は高配向未延伸糸(POY)、延伸糸(FDY)のいずれであってもよい。
本発明の異形断面ポリエステル繊維は、上記したような特性値を満足する本発明樹脂を用いているため、バージンポリエステル樹脂を用いた場合と同様に溶融紡糸及び延伸工程を糸切れなく操業性よく行うことができる。そして、バージンポリエステル樹脂を用いた場合と同等の性能を有するものとすることができる。このため、本発明の異形断面ポリエステル繊維の強度はPOYの場合、1.5cN/dtex以上であることが好ましく、より好ましくは1.7cN/dtex以上である。FDYの場合、1.8cN/dtex以上であることが好ましく、より好ましくは2.0cN/dtex以上である。上記の強度を満足することによって、製織や製編する際に糸切れを起こすことなく織物や編物を操業性よく得ることができる。
なお、本発明の異形断面ポリエステル繊維は、必要に応じて延伸工程や仮撚工程などの加工を施した加工糸としてもよい。
次に、本発明の織編物は、本発明の異形断面ポリエステル繊維を少なくとも一部に含有する織物又は編物である。本発明の織編物中に含まれる本発明の異形断面ポリエステル繊維の含有量は、25質量%以上であることが好ましく、中でも35質量%以上であることが好ましい。
本発明の織編物は、特に組織など限定されない。織物としては、織、綾織(ツイル)、朱子織、ドビー織、二重織などが挙げられる。本発明の編物においても、編物の組織も特に限定されず、天竺、スムース、フライス、ピケ等の丸編、シングルトリコット、ハーフトリコット等の経編等が挙げられる。
態様Aの単糸からなる異形断面ポリエステル繊維は、上述したように単糸断面の外周部に1個以上の凸部を有し、また扁平度が1~5であるため、当該異形断面ポリエステル繊維を用いて織物や編物とすることで、繊維間に微細な間隙が形成され、汗の吸収性及び拡散性に優れた織物や編物が得られる。具体的には、態様Aの単糸からなる本発明の異形断面ポリエステル繊維を織編物とした時の吸水拡散面積が5.6m以上であることが好ましく、5.8mm以上であることがより好ましい。6.0mm以上であることで、織編物を衣料用として用いたときに汗や、その他の要因により衣服が濡れた際に織編物の一部分に吸水された水が拡散されやすく、乾燥が速くなるため、着用者が不快感を感じにくいものとなる。吸水拡散面積の測定方法の詳細は、実施例において後述する。
態様Bの単糸からなる異形断面ポリエステル繊維は、上述したように繊維断面に凹凸を有するものであり、当該異形断面ポリエステル繊維を用いて織物や編物とすることで、凹凸部が光を乱反射し、発色性の良い織物や編物が得られる。具体的には、態様Bの単糸からなる本発明の異形断面ポリエステル繊維を筒編地とした後に黒色染色加工を施した時のL値が14.5以下であることが好ましく、14.0以下であることがより好ましい。L値の測定方法の詳細は、実施例において後述する。
次に、本発明樹脂の製造方法について説明する。本発明樹脂の製造方法においては、(1)~(5)に示す工程を順に行うことが重要である。
(1)エチレングリコールとテレフタル酸のスラリーを添加し、エチレンテレフタレートオリゴマーを得る。
(2)(1)で得られたオリゴマーに対して、エチレングリコールを添加する。
(3)(2)で得られたエチレングリコールを添加したオリゴマー中に、常圧下、撹拌しながらリサイクルポリエステル原料を、全グリコール成分/全酸成分のモル比が1.08~1.35となるように投入し、245~280℃の熱処理条件下で解重合を行う。
(4)(3)で得られた解重合体を濾過粒度10~25μmの金属製のフィルターを通過させて異物を濾過する。
(5)(4)で得られた異物濾過後の解重合体に、重合触媒を添加し、温度260℃以上、1.0hPa以下の減圧下で重縮合反応を行。
まず、(1)の工程においては、リサイクルポリエステル原料〔a)使用済ポリエステル製品及びb)ポリエステル製品を製造する工程で発生する未採用ポリエステルの少なくとも1種〕を解重合する前段階として、エチレングリコールとテレフタル酸のスラリーを添加し、エステル化反応物(エチレンテレフタレートオリゴマー)を得る。エチレンテレフタレートオリゴマーの量は、最終的に得られる再生ポリエステル樹脂100質量%中の20~80質量%とすることが好ましく、30~70質量%とすることがより好ましい。
エチレンテレフタレートオリゴマーの量が上記より少ない場合(3)の工程においてリサイクルポリエステル原料を投入した際に、リサイクルポリエステル原料同士がブロッキングを起こしやすくなり、攪拌機に過大な負荷がかかるため好ましくない。
一方、エチレンテレフタレートオリゴマーの量が上記範囲より多い場合は解重合反応に特に問題は起きないが、最終的に得られる再生ポリエステル樹脂のリサイクル率が低くなり好ましくない。
(2)の工程においては、(1)で得られたエチレンテレフタレートオリゴマーに対して、エチレングリコールを添加する。
このときのエチレングリコールの添加量は、(3)の工程における解重合反応を十分に進行させるため、エチレンテレフタレートオリゴマーを100質量%に対して、5~15質量%とすることが好ましく、中でも10~15質量%とすることがより好ましい。エチレングリコールの添加量が15質量%を超えると、反応器内でエチレンテレフタレートオリゴマーが固化しやすくなり、以後の反応が継続できなくなる場合があり、好ましくない。
エチレンテレフタレートオリゴマー中にエチレングリコールを投入する際は、オリゴマーの固化を防ぐ目的で、攪拌機を回しながら内容物の温度を均一にし、投入することが好ましい。
(3)の工程においては、(2)で得られたエチレングリコールを添加したオリゴマー中に、撹拌しながらリサイクルポリエステル原料を投入する。このとき、全グリコール成分/全酸成分のモル比が1.08~1.35となるように投入し、245~280℃の熱処理条件下で解重合を行う。
本発明の製造方法においては、この工程が重要である。つまり、リサイクルポリエステル原料を利用した従来の方法においては、リサイクルポリエステル原料のみを用いて解重合を行っているが、本発明においては、エチレンテレフタレートオリゴマーとエチレングリコールの存在下でリサイクルポリエステル原料の解重合を行い、かつオリゴマー、エチレングリコール、リサイクルポリエステル原料の全ての成分を、全グリコール成分/全酸成分のモル比が1.08~1.35となるようにしてリサイクルポリエステル原料を投入し、解重合を行うものである。全グリコール成分/全酸成分のモル比は、中でも1.10~1.33であることが好ましく、さらには、1.12~1.30であることが好ましい。
上記したような(1)~(3)の工程を行うことにより、各種の無機物のみならず、非ポリエステル樹脂由来の異物の析出が効率よく行われるため、(4)の工程において、これらの異物をもれなく濾過することができる。そして、(5)の工程の重縮合反応において、本発明の特性値として、ジエチレングリコールの含有量やカルボキシル末端基濃度が特定量以下のものであり、かつ異物の混入量が少ない再生ポリエステル樹脂を得ることが可能となる。
なお、本発明の製造方法においては、上記の解重合反応により、リサイクルポリエステル原料をモノマーにまで分解されずに、繰り返し単位が5~20程度のオリゴマーまで分解されることが望ましい。このように制御することにより、各種の無機物のみならず、非ポリエステル樹脂由来の異物の析出が効率良く行われる結果、より多くの異物を取り除くことが可能となる。
解重合反応を行う際の全グリコール成分/全酸成分のモル比が上記範囲外であると、得られる再生ポリエステル樹脂は、本発明で規定する、カルボキシル末端基濃度、ジエチレングリコールの含有量の少なくとも一方を満足しないものとなり、また、平均昇圧速度が高いものとなる。これは、解重合反応を行う際の全グリコール成分/全酸成分のモル比が上記範囲外である場合、各種の無機物や非ポリエステル樹脂由来の異物の析出が効率よく行われないため、(4)の工程において、これらの異物をもれなく濾過することができず、(5)の工程の重縮合反応後に異物が析出し、その結果、平均昇圧速度が高い再生ポリエステル樹脂となる。
本発明の製造方法で用いる反応器は、容量や攪拌翼の形状は、一般的に使用されているエステル化反応器で特に問題ないが、解重合反応を効率的に進めるため、エチレングリコールを系外に溜出させない蒸留塔を併設している構造となっていることが好ましい。
リサイクルポリエステル原料を投入する際には、常圧下で撹拌しながら行うことが好ましく、少量の不活性ガス(一般的には窒素ガスを使用)でパージした状態で投入することがより好ましい。
(3)の工程で行う解重合時の反応温度は、反応器の内温を245~280℃の範囲に設定して行うことが好ましく、中でも内温を255~280℃の範囲に設定して行うことがより好ましい。解重合時の反応温度が245℃未満になる場合には、反応物が固化し、操業性が悪化するとともに、再生ポリエステル樹脂が得られたとしても、ジエチレングリコールの含有量やカルボキシル末端基濃度が高くなりすぎる。反応温度が280℃を超える場合は、得られる再生ポリエステル樹脂のジエチレングリコールの含有量やカルボキシル末端基濃度が高くなりすぎる。
また、解重合の反応時間(リサイクルポリエステル原料の投入終了後からの反応時間)は、4時間以内が好ましく、ジエチレングリコールの副性量を抑えること、ポリエステルの色調悪化を抑える観点から、2時間以内とすることがより好ましい。
(4)の工程においては、(3)の工程で解重合反応を行った解重合体を、濾過粒度10~25μmの金属製のフィルターを通過させて異物を濾過する。上記したように、(3)の工程の条件で解重合反応を行うことにより、各種の無機物のみならず、非ポリエステル樹脂由来の異物の析出が効率よく行われるため、濾過粒度10~25μmの金属製のフィルターを通過させることにより、析出した異物を濾過し、異物の混入量の少ない解重合体を得ることができる。
濾過粒度が25μmより大きい金属製のフィルターを使用すると、ポリマー中の異物を十分に除去できず、得られる再生ポリエステル樹脂中の異物が多くなる。このため、このような樹脂を用いて紡糸を行うと、ノズルパックの昇圧や切糸が生じる。一方、濾過粒度が10μmよりも小さい金属フィルターを使用すると、異物による目詰まりが生じやすく、フィルターライフが短くなることにより、コスト的に不利となり、また、操業性も悪化する。
また、本発明の(4)の工程で使用できる金属製のフィルターとしては、一般的なもので特に問題ないが、スクリーンチェンジャー式のフィルターやリーフディスクフィルターやキャンドル型焼結フィルターなどが挙げられる。
そして、本発明の製造方法においては、(5)の工程として、上記の工程(4)を経て得られた異物濾過後の解重合体に、重合触媒を添加し、温度260℃以上、1.0hPa以下の減圧下で重縮合反応を行う。重合触媒としては、例えば、ゲルマニウム、アンチモン、チタン及びコバルト化合物などの1種以上を用いることができるが、好ましくはゲルマニウムまたはアンチモン化合物を使用する。さらに、得られる再生ポリエステル樹脂の透明性を重視する場合においては、ゲルマニウム化合物を使用することが好ましい。ゲルマニウムまたはアンチモンの化合物としては、それらの酸化物、無機酸塩、有機酸塩、ハロゲン化物、硫化物などが例示される。これらの重縮合触媒は、生成するポリエステル樹脂の酸成分1モルに対し5×10-5モル/unit以上とすることが好ましいが、中でも6×10-5モル/unit以上とすることがより好ましい。
なお、リサイクルポリエステル原料中に含まれる重合触媒も重縮合反応時に触媒として作用する場合もあるため、(4)の工程で重合触媒を添加する際には、リサイクルポリエステル原料中に含まれる重合触媒の量や種類を考慮することが好ましい。
また、重縮合反応時には、上記の重合触媒と併せて添加剤を添加して、重縮合反応を行うこともできる。添加剤としては、前記セラミック微粒子や脂肪酸エステルやヒンダードフェノール系抗酸化剤やリン化合物等が挙げられる。
脂肪酸エステルの具体例としては、蜜ロウ(ミリシルパルミテートを主成分とする混合物)、ステアリン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル、ベヘン酸ステアリル、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンジステアレート、グリセリントリステアレート、ペンタエリスリトールモノパルミテート、ペンタエリスリトールモノステアレート、ペンタエリスリトールジステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサステアレート等が挙げられる。中でも、グリセリンモノステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサステアレートが好ましい。
ヒンダードフェノール系抗酸化剤としては、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、n-オクタデシル-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、テトラキス〔メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン、トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’-ブチリデンビス-(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、トリエチレングリコール-ビス〔3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート〕、3,9-ビス{2-〔3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕-1,1’-ジメチルエチル}-2,4,8,10-テトラオキサスピロ〔5,5〕ウンデカン等が用いられるが、効果とコストの点で、テトラキス〔メチレン-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタンが好ましい。
リン化合物としては、亜リン酸、リン酸、トリメチルフォスファイト、トリフェニルフォスファイト、トリデシルフォスファイト、トリメチルフォスフェート、トリデシルフォスフェート、トリフェニルフォスフォート等のリン化合物を用いることができる。
そして、重縮合反応槽において、温度260℃以上、1.0hPa以下の減圧下で重縮合反応を行う。重縮合反応温度が260℃未満であったり、重縮合反応時の圧力が1.0hPaを超えると、重縮合反応時間が長くなるため、生産性に劣るものとなる。
重縮合反応温度は、中でも270℃以上とすることがより好ましい。ただし、重縮合反応温度が高過ぎると熱分解によりポリマーが着色し、色調が悪化すること、同じく熱分解により末端基量(COOH)が高くなるため、本発明においては、重縮合反応温度の上限は、285℃以下とすることが好ましい。
上記の重縮合反応により得られる本発明樹脂の極限粘度は、溶融紡糸を行うことを考慮し、0.38~0.70dl/gであることが好ましい。
次に、本発明の異形断面ポリエステル繊維及び織編物の製造方法を説明する。
以下は、本発明の異形断面ポリエステル繊維の製造方法の一実施態様である。
当該異形断面ポリエステル繊維は、通常の溶融紡糸装置を用いて行うことができる。溶融紡糸に際しては、態様Aのような断面形状を有する単糸からなる異形断面ポリエステル繊維を得る場合は、図3(a)~(d)に示すような異なる形状の紡糸孔を複数有する口金を用い、態様Bのような断面形状を有する単糸からなる異形断面ポリエステル繊維を得る場合は、図4(a)~(b)に示すような形状の紡糸孔を有する口金を用い、一般的には200℃~300℃の紡糸温度で溶融紡糸を行えばよい。具体的には、原料となる本発明樹脂を含有する樹脂組成物を準備し、紡糸温度280~295℃、紡糸速度2900~3100m/分の条件で紡糸することで本発明の異形断面ポリエステル繊維が得られる。なお、紡糸後は、延伸温度70~90℃、延伸倍率1~2倍、熱処理温度140~180℃にて延伸や熱処理を施してもよい。また、必要に応じて異形断面ポリエステル繊維に仮撚加工、撚糸加工などを行っても良い。
本発明の織物及び編物は、得られた本発明の異形断面ポリエステル繊維に必要に応じて延伸工程や仮撚工程などの加工を施した後、該異形断面ポリエステル繊維を一部に用いて製織あるいは、製編することで得られる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。実施例中の再生ポリエステル樹脂に関する各種の特性値等の測定、評価方法は次の通りである。
(a)極限粘度
フェノールと四塩化エタンとの等質量混合物を溶媒として、温度20℃で測定するものである。
(b)ポリエステル樹脂の組成
重水素化ヘキサフルオロイソプロパノールと重水素化クロロホルムとの容量比が1/20の混合溶媒に溶解させ、日本電子社製LA-400型NMR装置にてH-NMRを測定し、得られたチャートの各成分のプロトンのピークの積分強度から、共重合成分の種類と含有量を求めた。
(c)カルボキシル末端基濃度
得られた再生ポリエステル樹脂0.1gをベンジルアルコール10mlに溶解し、この溶液にクロロホルム10mlを加えた後、1/10規定の水酸化カリウムベンジルアルコール溶液で滴定して求めた。
(d)昇圧試験機により測定した平均昇圧速度
前記の方法で測定した。
〔再生ポリエステル樹脂の製造〕
再生ポリエステル樹脂A
エステル化反応器に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)のスラリー(TPA/EGモル比=1/1.6)を供給し、温度250℃及び圧力50hPaの条件で反応させ、エステル化反応率95%のエチレンテレフタレートオリゴマー(数平均重合度:5)を得た。
エチレンテレフタレートオリゴマー45.0質量部をエステル化反応器に仕込み、続いてエステル化反応器の撹拌機を回した状態でエチレングリコールを10.0質量部投入した。エステル化反応器(以後「ES缶」と表記する。)の内温降下が止まったところより、55.0質量部のリサイクルポリエステル原料(ポリエステル樹脂を製造する工程で発生するポリエステル屑のペレット状のもの)をロータリーバルブを介して約2時間かけて定量投入した。このとき、リサイクルポリエステル原料を、全グリコール成分/全酸成分のモル比(以下「G/A」と表記することがある。)が1.20となるように投入した。
その後、270℃の熱処理条件下で1時間解重合反応を行った。そして、得られた解重合体を、エステル化反応器と重縮合反応器との間に目開き20μmのキャンドルフィルターをセットして重縮合反応器(以後PC缶と表記)へ圧送した後、重合触媒として三酸化アンチモンを1.0×10-4mol/unit、二酸化チタンのEGスラリーを0.20質量%となるよう加え、PC缶を減圧にして60分後に最終圧力0.5hPa及び温度275℃で4時間、溶融重合反応を行い、再生ポリエステル樹脂A(極限粘度:0.64)を得た。
再生ポリエステル樹脂B
再生ポリエステル樹脂Aと同様にして、エステル化反応率95%のエチレンテレフタレートオリゴマー(数平均重合度:5)を得た。
エチレンテレフタレートオリゴマー30.0質量部をES缶に仕込み、続いてES缶の撹拌機を回した状態でエチレングリコールを7.0質量部投入した。ES缶の内温降下が止まったところより、70.0質量部のリサイクルポリエステル原料(実施例1と同様のもの)をロータリーバルブを介し約2時間かけて定量投入した。
このとき、リサイクルポリエステル原料をG/Aが1.10となるように投入した。その後、270℃の熱処理条件下で1時間解重合反応を行った。そして、得られた解重合体を、ES缶とPC缶との間に目開き20μmのキャンドルフィルターをセットしてPC缶へ圧送した後、重合触媒として三酸化アンチモンを1.0×10-4mol/unitとなるよう加え、PC缶を減圧にして60分後に最終圧力0.5hPa、温度275℃で5時間、溶融重合反応を行い、再生ポリエステル樹脂B(極限粘度:0.65)を得た。
再生ポリエステル樹脂C
再生ポリエステル樹脂Aと同様にして、エステル化反応率95%のエチレンテレフタレートオリゴマー(数平均重合度:5)を得た。
エチレンテレフタレートオリゴマー30.0質量部をES缶に仕込み、続いてES缶の撹拌機を回した状態でエチレングリコール2.5質量部を投入した。ES缶の内温降下が止まったところより、70.0質量部のリサイクルポリエステルをロータリーバルブを介して約2時間かけて定量投入した。このとき、リサイクルポリエステル原料(実施例1と同様のもの)をG/Aが1.06となるように投入した。
その後、270℃の熱処理条件下で1時間解重合反応を行った。そして、得られた解重合体を、ES缶とPC缶との間に目開き20μmのキャンドルフィルターをセットしてPC缶へ圧送した後、重合触媒として三酸化アンチモンを1.0×10-4mol/unit、酢酸コバルトを0.5×10-4mol/unit、二酸化チタンのEGスラリーを0.40質量%となるよう加え、PC缶を減圧にして60分後に最終圧力0.5hPa、温度275℃で4時間、溶融重合反応を行い、再生ポリエステル樹脂C(極限粘度:0.64)を得た。
再生ポリエステル樹脂D
再生ポリエステル樹脂Aと同様にして、エステル化反応率95%のエチレンテレフタレートオリゴマー(数平均重合度:5)を得た。
エチレンテレフタレートオリゴマー50.0質量部をES缶に仕込み、続いてES缶の撹拌機を回した状態でエチレングリコール19.0質量部を投入した。ES缶の内温降下が止まったところより、50.0質量部のリサイクルポリエステルをロータリーバルブを介して約2時間かけて定量投入した。このとき、リサイクルポリエステル原料(実施例1と同様のもの)をG/Aが1.36となるように投入した。
その後、270℃の熱処理条件下で1時間解重合反応を行った。そして、得られた解重合体を、ES缶とPC缶との間に目開き20μmのキャンドルフィルターをセットしてPC缶へ圧送した後、重合触媒として三酸化アンチモンを1.0×10-4mol/unit、酢酸コバルトを0.5×10-4mol/unit、二酸化チタンのEGスラリーを0.40質量%となるよう加え、PC缶を減圧にして60分後に最終圧力0.5hPa、温度275℃で4時間、溶融重合反応を行い、再生ポリエステル樹脂D(極限粘度:0.64)を得た。
バージンポリエステル樹脂
エステル化反応器に、テレフタル酸(TPA)とエチレングリコール(EG)のスラリー(TPA/EGモル比=1/1.6)を供給し、温度250℃、圧力50hPaの条件で反応させ、エステル化反応率95%のエチレンテレフタレートオリゴマー(数平均重合度:5)を得た。
エチレンテレフタレートオリゴマー100.0質量部をPC缶に仕込み、重合触媒として三酸化アンチモンを1.0×10-4mol/unit、二酸化チタンのEGスラリーを0.20質量%となるよう加え、PC缶を減圧にして60分後に最終圧力0.5hPa、温度275℃で3時間、溶融重合反応を行い、バージンポリエステル樹脂(極限粘度0.46)を得た。
再生ポリエステル樹脂A~D及びバージンポリエステル樹脂の特性値を表1に示す
Figure 2022080087000002
表1から明らかなように、前述した工程(1)~(5)を順に行なって得られた再生ポリエステル樹脂A及びBは、カルボキシル末端基量、ジエチレングリコールの含有量が本発明で規定する範囲内のものであり、平均昇圧速度も低いものであった。
一方、再生ポリエステル樹脂Cでは、前述した工程(3)の解重合反応時のG/Aが低いため、カルボキシル末端基濃度が高く、平均昇圧速度も高いものであった。
再生ポリエステル樹脂Dでは、前述した工程(3)の解重合反応時のG/Aが高いため、ジエチレングリコールの含有量が高く、平均昇圧速度も高いものであった。
次に、実施例中の異形断面ポリエステル繊維に関する各種の特性値等の測定、評価方法は次の通りである。
(a)紡糸性
POYを得る際の、溶融紡糸時の糸切れの状況を、24時間連続して溶融紡糸を行った際の1錘あたりの糸切れ回数により、以下のように3段階で評価した。
○・・糸切れ回数が0回であった。
△・・糸切れ回数が1~2回であった。
×・・糸切れ回数が3回以上であった。
(b)異形断面ポリエステル繊維(POY)の強度・伸度
JIS L-1013に従い、オリエンテック社製テンシロンRTC-1210を用い、つかみ間隔10cm、引張速度10cm/分で測定した。
(c)異形断面ポリエステル仮撚加工糸の強度・伸度
JIS L-1013に従い、島津製作所製AGS-5KNGを用い、つかみ間隔20cm、引張速度20cm/分で測定した。
(d)凸部の数
異形断面ポリエステル繊維を切断し、透過型顕微鏡(「BH-2 UMA」、オリンパス(株)製)を用いて断面を100倍で観察し、凸部の数を求めた。
(e)扁平度
透過型顕微鏡(「BH-2 UMA」、オリンパス(株)製)を用いて、異形断面ポリエステル繊維の繊維横断面の長軸方向の長さと短軸方向の長さを測定し、下記式を用いて扁平度を計算した。なお、扁平度は、フィラメントの全本数について測定を行い、その平均値とした。
扁平度=(繊維横断面の長軸方向の長さ)/(繊維横断面の短軸方向の長さ) (1)
(f)吸水拡散面積
態様Aの異形断面ポリエステル繊維を用いて10cm×10cmの筒編地を用意し、該筒編地を水平に静置したのち、該筒編地から0.5cmの高さからスポイトにて100μlの純水を滴下した。滴下1分後の拡散面積S(cm)を求め、吸水拡散面積とした。
(g)L値
態様Bの異形断面ポリエステル繊維を編機(英光産業社製、釜径:3.5インチ、針本数:260N)を用いて編成し、後述の方法で染色を施して筒編地を得た。この筒編地に対し、分光光度計(マクベス社製MS-2020型)を用いて反射率を測定し、CIE Labの色差式から濃度指標を求めた値をL値とした。なお、L値はその値が小さいほど深みのある濃色であることを示す。
(h)風合評価
(シャリ感)
得られた筒編地に対し、触感により、以下の基準で判断した。
〇:シャリ感に優れる
×:シャリ感に劣る
(ドライ感)
得られた筒編地に対し、触感により、以下の基準で判断した。
〇:ドライ感に優れる
×:ドライ感に劣る
〔態様A〕
実施例1
再生ポリエステル樹脂Aを、図3の(a)~(d)に示すオリフィスを44孔有する紡糸口金を用い、通常の紡糸装置を用いて、紡糸速度3000m/分、紡糸温度290℃、吐出量33g/分で紡糸し、125デシテックス/44フィラメントの異形断面ポリエステル繊維のPOYを捲き取った。
続いて、得られたPOYを供給糸とし、フィラメント用フリクション仮撚機を使用して、延伸倍率1.575、非接触型ヒーター温度245℃、K値(T2/T1、T2;解撚張力、T1;加撚張力)0.84の条件で仮撚を実施し、仮撚加工糸を得た。
得られた仮撚加工糸のみを用いて、編機(英光産業社製、釜径:3.5インチ、針本数:260N)にて天竺組織として38ウェール/2.54cm、50コース/2.54cmの筒編生機を得た。得られた筒編生機を下記処方で精練、染色、吸水加工を行い、筒編地を得た。
<精練> 80℃×20分
界面活性剤「サンモールFL」(日華化学社製) 1g/L
<染色・吸水加工> 130℃×30分
・蛍光染料「Hakkol STR」(昭和化学工業株式会社製) 1%o.m.f
・酢酸(48%) 0.2cc/l
・ポリエステル系吸水加工剤「SR-1000」(高松油脂株式会社製) 2.0%omf
実施例2
再生ポリエステル樹脂Bを用いた以外は実施例1と同様にして125デシテックス/44フィラメントの異形断面ポリエステル繊維のPOYを得た。さらに実施例1と同様に延伸及び仮撚加工を施し、仮撚加工糸を得た。そして、実施例1と同様に、得られた仮撚加工糸のみを用いて筒編地を得た。
比較例1
再生ポリエステル樹脂Cを用いた以外は実施例1と同様にして125デシテックス/44フィラメントの異形断面ポリエステル繊維のPOYを得た。さらに実施例1と同様に延伸及び仮撚加工を施し、仮撚加工糸を得た。そして、実施例1と同様に、得られた仮撚加工糸のみを用いて筒編地を得た。
比較例2
再生ポリエステル樹脂Dを用いた以外は実施例1と同様にして125デシテックス/44フィラメントの異形断面ポリエステル繊維のPOYを得た。さらに実施例1と同様に延伸及び仮撚加工を施し、仮撚加工糸を得た。そして、実施例1と同様に、得られた仮撚加工糸のみを用いて筒編地を得た。
参考例1
バージンポリエステル樹脂を用いた以外は実施例1と同様にして125デシテックス/44フィラメントの異形断面ポリエステル繊維のPOYを得た。さらに実施例1と同様に延伸及び仮撚加工を施し、仮撚加工糸を得た。そして、実施例1と同様に、得られた仮撚加工糸のみを用いて筒編地を得た。
実施例1~2、比較例1~2、参考例1で得られた異形断面ポリエステル繊維(POY)、仮撚加工糸及び筒編地の特性値、物性などの結果を表2に示す。
Figure 2022080087000003
実施例1~2で得られた異形断面ポリエステル繊維(POY)は、単糸の断面形状は、図1の(a)~(d)に示すような外周部の凸部が1~2個の扁平断面形状を呈しており、また扁平度も上記の範囲を満足するものであった。また、表2から明らかなように、実施例1~2では異形断面ポリエステル繊維(POY)を紡糸性よく得ることができ、さらに、得られた異形断面ポリエステル繊維(POY)、仮撚加工糸ともにバージンポリエステル樹脂を用いたものと遜色がない糸質物性を有しており、実用上問題のない繊維であった。また、実施例1~2で得られた編物は、異形断面ポリエステル繊維の繊維間に微細な間隙を形成できるため、汗の吸収性及び拡散性に優れ、シャリ感(清涼感)のある風合いを有するものであり、バージンポリエステル樹脂を用いたものと遜色がないものであった。
一方、比較例1で得られた異形断面ポリエステル繊維は、用いた再生ポリエステル樹脂のカルボキシル末端基濃度が高く、比較例2で得られた異形断面ポリエステル繊維は、用いた再生ポリエステル繊維のジエチレングリコールの含有量が高く、ともに熱安定性に劣るものとなったため、紡糸性が悪く、紡糸された単糸の断面形状は、外周部の凸部が潰れて形成されず、図1の(a)~(d)に示すような態様のものが得られなかった。もしくは、異形断面ポリエステル繊維の扁平度が上記の特定の範囲を満たすものでなかった。また、糸質物性(POY、仮撚加工糸)も強度、伸度に劣るものとなった。このため、得られた編物は、異形断面ポリエステル繊維の繊維間に微細な間隙を形成できなかったため、汗の吸収性及び拡散性、またシャリ感(清涼感)のある風合いに劣るものであった。
〔態様B〕
実施例3
再生ポリエステル樹脂Aを、図4の(b)に示す紡糸孔を24孔有する紡糸口金を用いて、通常の紡糸装置を用いて、紡糸速度3000m/分、紡糸温度290℃、吐出量37g/分で紡糸し、122デシテックス/24フィラメントの異形断面ポリエステル繊維のPOYを捲き取った。
続いて、得られたPOYを供給糸とし、フィラメント用フリクション仮撚機を使用して、延伸倍率1.535、接触型ヒーター温度150℃、K値1.0の条件で仮撚を実施し、仮撚加工糸を得た。
得られた仮撚加工糸のみを用いて、編機(英光産業社製、釜径:3.5インチ、針本数:260N)にて天竺組織として38ウェール/2.54cm、51コース/2.54cmの筒編生機を得た。得られた筒編生機を下記処方で精練、染色、吸水加工を行い、編物を得た。
<精練> 80℃×20分
界面活性剤「サンモールFL」(日華化学社製) 1g/L
<染色・吸水加工> 135℃×30分
・黒色染料 「ダイアニックスブラックHG-FS200%(商品名)」(ダイスター社製) 5.5%owf
・助剤「ニッカサンソルトSN-130(商品名)」(日華化学社製) 0.5g/L
・酢酸(48%) 0.2cc/l
実施例4
再生ポリエステル樹脂Bを用いた以外は実施例3と同様にして122デシテックス/24フィラメントの異形断面ポリエステル繊維のPOYを得た。さらに実施例3と同様に延伸及び仮撚加工を施し、仮撚加工糸を得た。そして、実施例3と同様に、得られた仮撚加工糸のみを用いて筒編地を得た。
比較例3
再生ポリエステル樹脂Cを用いた以外は実施例3と同様にして122デシテックス/24フィラメントの異形断面ポリエステル繊維のPOYを得た。さらに実施例3と同様に延伸及び仮撚加工を施し、仮撚加工糸を得た。そして、実施例3と同様に、得られた仮撚加工糸のみを用いて筒編地を得た。
比較例4
再生ポリエステル樹脂Dを用いた以外は実施例3と同様にして122デシテックス/24フィラメントの異形断面ポリエステル繊維のPOYを得た。さらに実施例3と同様に延伸及び仮撚加工を施し、仮撚加工糸を得た。そして、実施例3と同様に、得られた仮撚加工糸のみを用いて筒編地を得た。
参考例2
バージンポリエステル樹脂を用いた以外は実施例3と同様にして122デシテックス/24フィラメントの異形断面ポリエステル繊維のPOYを得た。さらに実施例3と同様に延伸及び仮撚加工を施し、仮撚加工糸を得た。そして、実施例3と同様に、得られた仮撚加工糸のみを用いて筒編地を得た。
実施例3~4、比較例3~4、参考例2で得られた異形断面ポリエステル繊維(POY)、仮撚加工糸及び筒編地の特性値、物性などの結果を表3に示す。
Figure 2022080087000004
実施例3~4で得られた異形断面ポリエステル繊維(POY)は、単糸の断面形状が図2の(b)に示すような外周部に凸部と略同形状の凹部が交互に連続して形成される多葉形状を呈するものであった。また、表3から明らかなように、実施例3~4では異形断面ポリエステル繊維(POY)を紡糸性よく得ることができ、さらに、得られた異形断面ポリエステル繊維(POY)、仮撚加工糸ともにバージンポリエステル樹脂を用いたものと遜色がない糸質物性を有しており、実用上問題のない繊維であった。また、実施例3~4で得られた編物はドライ感があり、また、上述の凹凸部が光を乱反射したことで、L値がより小さく発色性(濃染性)に優れたものとなり、バージンポリエステル樹脂を用いたものと遜色がないものであった。
一方、比較例3で得られた異形断面ポリエステル繊維は、用いた再生ポリエステル樹脂のカルボキシル末端基濃度が高く、比較例4で得られた異形断面ポリエステル繊維は、用いた再生ポリエステル繊維のジエチレングリコールの含有量が高く、ともに熱安定性に劣るものとなったため、紡糸性が悪く、紡糸された単糸の断面形状は、外周部に凸部を十分に発現できず、図2の(b)に示すような、凸部と略同形状の凹部が交互に連続して形成される多葉形状を呈するものとすることができなかった。また、糸質物性(POY、仮撚加工糸)も強度、伸度に劣るものとなった。このため、得られた編物は、編物表面が平坦なものとなったため、ドライな風合いや発色性(濃染性)に劣るものであった。

Claims (4)

  1. リサイクルポリエステル原料を40質量%以上含有してなる再生ポリエステル樹脂からなるマルチフィラメントであって、マルチフィラメントを構成する単糸は、単糸の長手方向に対して垂直方向に切断した断面形状において、外周部に1個以上の凸部を有しており、前記再生ポリエステル樹脂は、a)使用済ポリエステル製品及びb)ポリエステル樹脂又はポリエステル製品を製造する工程で発生するポリエステル屑の少なくとも1種のリサイクルポリエステル原料から由来する成分を含み、全グリコール成分の合計量を100モル%とするとき、ジエチレングリコールの含有量が4モル%以下であり、カルボキシル末端基濃度が30当量/t以下であることを特徴とする異形断面ポリエステル繊維。
  2. 単糸の長手方向に対して垂直方向に切断した断面形状において、外周部に1~6個の凸部を有し、かつ扁平度が1~5であることを特徴とする、請求項1に記載の異形断面ポリエステル繊維。
  3. 単糸の長手方向に対して垂直方向に切断した断面形状において、外周部に6~10個の凸部を有し、凸部と略同形状の凹部が交互に連続して形成される多葉形状を呈する、請求項1に記載の異形断面ポリエステル繊維。
  4. 請求項1~3のいずれかに記載の異形断面ポリエステル繊維を含有する織編物。
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