JP2022079100A - ロータ、モータ、およびロータの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】駆動トルクを高めつつステータ側により好ましい磁束密度の分布で磁界を形成できるロータ、モータ、およびロータの製造方法の提供。【解決手段】実施形態のロータは、モータに設けられステータと対向し回転軸を中心として回転するロータである。ロータは、前記回転軸を中心とする環状の磁石部を持つ。前記磁石部は、径方向を磁化方向とする複数の第1マグネットと、前記第1マグネットと同数であり周方向を磁化方向とする複数の第2マグネットと、を持つ。複数の前記第1マグネットは、周方向に沿って環状に並ぶ。複数の前記第2マグネットは、前記第1マグネットの径方向一方側で周方向に沿って環状に並ぶ。それぞれの前記第2マグネットは、互いに隣り合う2つの前記第1マグネットと径方向において重なって接触する。【選択図】図3
Description
本発明の実施形態は、ロータ、モータ、およびロータの製造方法に関する。
ロータのマグネットをハルバッハ配列で並べることで駆動トルクが高められたモータが知られている。従来知られるハルバッハ配列のロータでは、極を構成する主マグネットの周方向寸法が必然的に小さくなり、ステータ側への磁界の磁束密度の分布をより好ましい分布にすることが難しかった。
本発明が解決しようとする課題は、駆動トルクを高めつつステータ側により好ましい磁束密度の分布で磁界を形成できるロータ、モータ、およびロータの製造方法を提供することである。
実施形態のロータは、モータに設けられステータと対向し回転軸を中心として回転するロータである。ロータは、前記回転軸を中心とする環状の磁石部を持つ。前記磁石部は、径方向を磁化方向とする複数の第1マグネットと、前記第1マグネットと同数であり周方向を磁化方向とする複数の第2マグネットと、を持つ。複数の前記第1マグネットは、周方向に沿って環状に並ぶ。複数の前記第2マグネットは、前記第1マグネットの径方向一方側で周方向に沿って環状に並ぶ。それぞれの前記第2マグネットは、互いに隣り合う2つの前記第1マグネットと径方向において重なって接触する。
実施形態の洗濯機のロータの製造方法は、回転軸周りを回転するロータの製造方法である。ロータの製造方法は、複数の第1磁性部材および複数の第2磁性部材を樹脂モールドして環状のモールド体を形成する樹脂成型工程と、前記第1磁性部材および前記第2磁性部材に着磁を行い環状の磁石部とする着磁工程と、を持つ。前記樹脂成型工程において、複数の前記第1磁性部材を、周方向に沿って環状に並べる。複数の前記第2磁性部材を、前記第1磁性部材の径方向一方側で周方向に沿って環状に並べる。それぞれの前記第2磁性部材を、互いに隣り合う2つの前記第1磁性部材と径方向において重ねて接触させる。前記着磁工程は、前記第2磁性部材を周方向に磁化する周方向磁化工程と、前記第1磁性部材を径方向に磁化する径方向磁化工程と、を持つ。
以下、実施形態のロータ、モータおよびロータの製造方法を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
図1は、本実施形態のモータを有する洗濯機の断面図である。
以下の説明において、洗濯機の設置面側つまり鉛直下側を洗濯機の下側とし、設置面とは反対側つまり鉛直上側を洗濯機の上側とする。また、洗濯機の正面に立つユーザから洗濯機を見た方向を基準に、左右を定義している。また、洗濯機から見て洗濯機の正面に立つユーザに近い側を「前」、遠い側を「後ろ」と定義している。本明細書において「横幅方向」とは、上記定義における左右方向を意味する。本明細書において「奥行方向」とは、上記定義における前後方向を意味する。図中において、+X方向が右方向、-X方向が左方向、+Y方向が後方向、-Y方向が前方向、+Z方向が上方向、-Z方向が下方向である。
以下の説明において、洗濯機の設置面側つまり鉛直下側を洗濯機の下側とし、設置面とは反対側つまり鉛直上側を洗濯機の上側とする。また、洗濯機の正面に立つユーザから洗濯機を見た方向を基準に、左右を定義している。また、洗濯機から見て洗濯機の正面に立つユーザに近い側を「前」、遠い側を「後ろ」と定義している。本明細書において「横幅方向」とは、上記定義における左右方向を意味する。本明細書において「奥行方向」とは、上記定義における前後方向を意味する。図中において、+X方向が右方向、-X方向が左方向、+Y方向が後方向、-Y方向が前方向、+Z方向が上方向、-Z方向が下方向である。
洗濯機1は、例えば、筐体11、トップカバー12、水槽13、回転槽14、パルセータ15、およびモータ16を有する。洗濯機1は、回転槽14の回転軸Oが鉛直方向を向いたいわゆる縦軸型の洗濯機である。なお、洗濯機1は、縦軸型に限られず、回転槽14の回転軸が水平又は後方へ向かって下降傾斜した横軸型いわゆるドラム式洗濯機であってもよい。
筐体11は、例えば鋼板によって全体として矩形箱状に構成されている。トップカバー12は、例えば合成樹脂製であって、筐体11の上部に設けられている。水槽13および回転槽14は、洗濯対象となる衣類を収容する洗濯槽及び脱水槽として機能する。水槽13および回転槽14は、筐体11内に設けられている。水槽13および回転槽14は、上面が開口した容器状に構成されている。水槽13内の水は、排水口131から流出し、排水弁132を介して外部に排水される。
モータ16は、水槽13の下側に配置される。モータ16は、クラッチ機構17を介して、回転槽14およびパルセータ15に接続される。モータ16の回転軸Oは、水槽13の中心と一致する。
本実施形態のモータ16は、アウターロータ型である。モータ16は、回転軸Oを中心として配置される円環状のステータ30と、ステータ30を径方向外側から囲むロータ20と、を有する。すなわち、モータ16には、ステータ30およびロータ20が設けられる。ステータ30は、洗濯機1の筐体11に固定される。また、ロータ20は、回転軸Oを中心として回転する。
ロータ20は、周壁部22と底壁部21とを有する有底筒状である。周壁部22は、回転軸Oを中心とする筒状である。周壁部22は、径方向においてステータ30と対向する。すなわち、ロータ20は径方向においてステータ30と対向する。底壁部21は、周壁部22の下端部から径方向内側に延びる。底壁部21は、回転軸Oと直交する平面に沿う円板状である。ロータ20は、底壁部21においてクラッチ機構17に接続される。
クラッチ機構17は、モータ16の回転を回転槽14およびパルセータ15に選択的に伝達する。クラッチ機構17は、洗い時およびすすぎ時には、モータ16の駆動力をパルセータ15に伝達してパルセータ15を低速で直接正逆回転駆動させる。一方、クラッチ機構17は、脱水時等には、モータ16の駆動力を回転槽14に伝達して、回転槽14を一方向に高速で回転駆動させる。
図2は、ロータ20およびステータ30の断面斜視図である。図2においてマグネットおよび保持部70の形状を模式化して図示する。
以下の説明において、ロータ20に対して、ステータ30が配置される方向(本実施形態において径方向内側)をステータ側R1、又は径方向他方側と呼び、径方向においてステータ30の反対側の方向(本実施形態において径方向外側)を反ステータ側R2、又は径方向一方側と呼ぶ場合がある。また、回転軸Oを中心とする周方向のうち、上側から見て時計回りの方向を周方向一方側C1と呼び、反時計回りの方向を周方向他方側C2と呼ぶ場合がある。なお、周方向一方側C1および周方向他方側C2は、互いに反対側の方向であってもよい。
以下の説明において、ロータ20に対して、ステータ30が配置される方向(本実施形態において径方向内側)をステータ側R1、又は径方向他方側と呼び、径方向においてステータ30の反対側の方向(本実施形態において径方向外側)を反ステータ側R2、又は径方向一方側と呼ぶ場合がある。また、回転軸Oを中心とする周方向のうち、上側から見て時計回りの方向を周方向一方側C1と呼び、反時計回りの方向を周方向他方側C2と呼ぶ場合がある。なお、周方向一方側C1および周方向他方側C2は、互いに反対側の方向であってもよい。
ステータ30は、ステータコア31と、コイル39と、図示略のインシュレータと、を有する。ステータコア31は、回転軸Oを中心とする円環状のコアバック部32と、コアバック部32から径方向外側に延び出る複数のティース部33と、を有する。複数のティース部33は、周方向に沿って並ぶ。コイル39は、インシュレータを介してティース部33に導線を巻き付けることで構成される。
ロータ20は、磁石部23と、フレーム60と、保持部70と、を備える。磁石部23は、保持部70に埋め込まれる。保持部70とフレーム60とは、接着等の手段によって互いに接合される。
フレーム60は、円盤部61と筒状部62とを有する。円盤部61は、回転軸Oを中心とする円盤状である。円盤部61は、ロータ20の底壁部21を構成する。筒状部62は、円盤部61の外縁から上側に延びる。筒状部62は、回転軸Oを中心とする円筒状である。
図3は、ロータ20の断面模式図である。なお、図3において、磁石部23の主マグネット80および補助マグネット90内に図示する矢印は、当該主マグネット80および補助マグネット90の各部の内部磁束の方向を表す。
磁石部23は、回転軸Oを中心とする環状である。磁石部23は、複数の主マグネット(第1マグネット)80と、複数の補助マグネット(第2マグネット)90と、を有する。磁石部23には、互いに同数の主マグネット80および補助マグネット90が設けられる。主マグネット80および補助マグネット90は、それぞれ一様な断面で回転軸Oの軸方向に沿って柱状に延びる。
図2に示すように、主マグネット80および補助マグネット90の上面は、略同一平面を形成している。同様に、主マグネット80および補助マグネット90の下面は、略同一平面を形成している。主マグネット80および補助マグネット90の上面および下面は、保持部70によって埋め込まれる。
図3に示すように、磁石部23において、主マグネット80と補助マグネット90とは、径方向において異なる層に配置される。すなわち、本実施形態の磁石部23は、2層構造である。
本実施形態において、主マグネット80および補助マグネット90は、フェライト磁石である。しかしながら、主マグネット80および補助マグネット90は、他の種類の磁石(例えば、ネオジム磁石のような希土類磁石)であってもよい。
複数の主マグネット80は、周方向に沿って等間隔に環状に並ぶ。複数の主マグネット80は、周方向を向く第1周端面83同士を、隙間S1を介して互いに対向させて周方向に並ぶ。なお、本実施形態において、周方向に隣り合う主マグネット同士は周方向において互いに離間して配置されるが、後述する変形例に示すように、周方向隣り合う主マグネット80の第1周端面83同士は、互いに接触していてもよい。
主マグネット80は、径方向を磁化方向とする磁石である。すなわち、主マグネット80は、径方向Rを内部磁束の方向とする。周方向Cに並ぶ複数の主マグネット80の磁極の向きは、交互に反転されている。したがって、周方向において隣り合う主マグネット80同士のステータ側R1を向く磁極(N極又はS極)は、互いに異なる。
主マグネット80は、ステータ側R1を向きステータ30に対向する第1対向面(対向面)81と、反ステータ側R2を向く第1背面82と、周方向両側を向くそれぞれ一対の第1周端面83と、を有する。主マグネット80は、一様な径方向の厚さで、周方向に沿って円弧状に延びる。
第1対向面81は、回転軸Oを中心とする円弧状の面である。同様に、第1背面82は、回転軸Oを中心とする円弧状の面である。第1周端面83は、平坦面である。一対の第1周端面83は、それぞれ径方向に沿って延びる。
複数の補助マグネット90は、周方向に沿って等間隔に環状に並ぶ。また、複数の補助マグネット90は、主マグネット80の反ステータ側R2(径方向一方側)に配置される。複数の補助マグネット90は、周方向を向く第2周端面93同士を互いに対向させて周方向に並ぶ。本実施形態において、周方向隣り合う補助マグネット90の第2周端面93同士は、互いに接触する。しかしながら、周方向に隣り合う主マグネット同士は周方向において互いに離間して配置されていてもよい。
補助マグネット90は、周方向を磁化方向とする磁石である。すなわち、補助マグネット90は、周方向を内部磁束の方向とする。周方向Cに並ぶ複数の補助マグネット90の磁極の向きは、交互に反転されている。したがって、周方向Cにおいて隣り合う補助マグネット90同士の周方向一方側を向く磁極(N極又はS極)は、互いに異なる。
ここで、補助マグネット90について、「周方向を磁化方向とする」とは、補助マグネット90全体において、内部磁束が主に周方向を向いていることを意味する。より具体的には、補助マグネット90は、少なくとも周方向の中央部において周方向に磁化されていればよい。
ステータ側R1をN極とする主マグネット80の周方向両側には、周方向において当該主マグネット80側をN極とする補助マグネット90が配置される。また、反ステータ側R2をN極とする主マグネット80の周方向両側には、周方向において当該主マグネット80側をS極とする補助マグネット90が配置される。より具体的には、ステータ側R1をN極とする主マグネット80に接触する一対の補助マグネット90のうち、周方向一方側C1に位置する一方は周方向他方側C2をN極とし、周方向他方側C2に位置する他方は周方向一方側C1をN極とする。また、反ステータ側R2をN極とする主マグネット80に接触する一対の補助マグネット90のうち、周方向一方側C1に位置する一方は周方向一方側C1をN極とし、周方向他方側C2に位置する他方は周方向他方側C2をN極とする。
補助マグネット90は、ステータ側R1を向きステータ30に対向する第2対向面91と、反ステータ側R2を向く第2背面92と、周方向両側をそれぞれ向く一対の第2周端面93と、を有する。補助マグネット90は、一様な径方向の厚さで、周方向に沿って円弧状に延びる。
第2対向面91は、回転軸Oを中心とする円弧状の面である。第2対向面91の曲率半径は、主マグネットの第1背面82の曲率半径と一致する。第2背面92は、回転軸Oを中心とする円弧状の面である。第2周端面93は、平坦面である。一対の第2周端面93は、それぞれ径方向に沿って延びる。
それぞれの補助マグネット90は、互いに隣り合う2つの主マグネット80と径方向において重なって接触する。このことは、それぞれの主マグネット80が、互いに隣り合う2つの補助マグネット90と径方向おいて重なって接触すると言い換えることができる。補助マグネット90は、ステータ側R1を向く第2対向面91において、主マグネット80の第1背面82と径方向に対向して接触する。このため、主マグネット80と補助マグネット90との間には、径方向に沿って延びる磁路が形成される。
本実施形態によれば、磁石部23の磁化方向の周方向における配列は、ハルバッハ配列となる。このため、本実施形態によれば、ロータ20の磁束を、ステータ側R1に集中させることができる。これによって、ロータ20の駆動トルクを高めることができる。
本実施形態において、主マグネット80の第1背面82と、補助マグネット90の第2対向面91とが、同一の曲率半径で湾曲して径方向においた互いに面接触する。このため、主マグネット80と補助マグネット90との間に流れる磁路の磁気抵抗を低減することができ、ロータ20の磁気特性を高めることができる。
補助マグネット90の周方向の両端部には、径方向に沿って磁化される径方向磁化部95が設けられる。補助マグネット90の径方向磁化部95は、主マグネット80と径方向に重なる領域に設けられる。径方向磁化部95は、重なって配置される主マグネット80の磁化方向に沿って磁化されている。すなわち、本実施形態の補助マグネット90の主マグネット80と径方向に重なる領域には、当該主マグネット80の磁化方向に沿って磁化される径方向磁化部95が設けられる。このため、主マグネット80から補助マグネット90、および補助マグネット90から主マグネット80に向かって、磁束の流れをスムーズに構成でき、ロータ20の磁気特性を高めることができる。
本実施形態において、主マグネット80は、補助マグネット90に対しステータ側R1に配置される。このため、極を構成する主マグネット80をステータ30に近づけて配置することができ、ロータ20の駆動トルクを高めやすい。加えて、補助マグネット90をステータ30から離間させることができ、ステータ30からの磁界が補助マグネット90に与える影響を軽減することができ、補助マグネット90の減磁を抑制できる。
なお、主マグネット80を補助マグネット90に対して反ステータ側R2に配置した場合であっても、ロータ20の駆動トルクを一定程度高めることができる。
なお、主マグネット80を補助マグネット90に対して反ステータ側R2に配置した場合であっても、ロータ20の駆動トルクを一定程度高めることができる。
本実施形態によれば、主マグネット80と補助マグネット90とが、磁石部23の異なる層に配置される。このため、主マグネット80の周方向両側に補助マグネット90を配置する必要がなく、主マグネット80の周方向寸法の自由度が高まる。このため、主マグネット80の周方向寸法を適当に設定することで、主マグネット80からステータ側R1に形成される磁界の磁束密度の分布を正弦波に近づけることができ、ロータ20の駆動トルクを安定させることができる。
保持部70は、樹脂材料からなる。保持部70は、磁石部23(すなわち、複数の主マグネット80および複数の補助マグネット90)を埋め込む。これにより、保持部70は、複数の主マグネット80および複数の補助マグネット90を保持する。
図3において、保持部70を成形する場合の金型5の断面を部分的に示す。
主マグネット80の第1対向面81は、保持部70からステータ側R1に露出する。主マグネット80は、第1対向面81において保持部70を成形する金型5の内側面に接触する。本実施形態のロータ20のように、複数のマグネット(主マグネット80および補助マグネット90)がハルバッハ配列に準ずる配列で並べられる場合、主マグネット80の位置精度がモータ16の出力性能に大きな影響を与える。本実施形態によれば、保持部70を成形する金型5の内側面が、主マグネット80に接触するため、金型5の内側面が、主マグネット80を径方向に位置決めする。結果的に、保持部70の成形後の主マグネット80の径方向の位置精度を高めることができ、モータ16の出力性能を高めることができる。なおこの効果は、第1対向面81の少なくとも一部が、保持部70から露出していれば得ることができる。
主マグネット80の第1対向面81は、保持部70からステータ側R1に露出する。主マグネット80は、第1対向面81において保持部70を成形する金型5の内側面に接触する。本実施形態のロータ20のように、複数のマグネット(主マグネット80および補助マグネット90)がハルバッハ配列に準ずる配列で並べられる場合、主マグネット80の位置精度がモータ16の出力性能に大きな影響を与える。本実施形態によれば、保持部70を成形する金型5の内側面が、主マグネット80に接触するため、金型5の内側面が、主マグネット80を径方向に位置決めする。結果的に、保持部70の成形後の主マグネット80の径方向の位置精度を高めることができ、モータ16の出力性能を高めることができる。なおこの効果は、第1対向面81の少なくとも一部が、保持部70から露出していれば得ることができる。
さらに、本実施形態によれば、主マグネット80の第1対向面81がステータ側R1に露出することで、第1対向面81とステータ30との間の磁束の流れを、保持部70が阻害することを抑制でき、モータ16の出力性能を高めることができる。
補助マグネット90の第2対向面91は、保持部70に埋め込まれる。保持部70の一部は、第2対向面91と第1周端面83とに囲まれた凹部内に充填される。ここで、保持部70において、凹部内に充填される部分を、充填部71と呼ぶ。
本実施形態によれば、補助マグネット90の第2対向面91が充填部71によって埋め込まれる。これにより、補助マグネット90は、保持部70によって強固に保持され、補助マグネット90のステータ側R1への移動がより確実に抑制される。さらに、補助マグネット90の第2対向面91が保持部70によって覆われることで、ステータ30からの磁界が補助マグネット90に与える影響を軽減することができ、補助マグネット90の減磁を抑制できる。
本実施形態によれば、互いに隣り合う2つの主マグネット80の間には、周方向の隙間S1が設けられる。すなわち、互いに隣り合う2つの主マグネット80の第1周端面83同士は、隙間S1を介して互いに対向する。第1周端面83は、少なくとも一部が周方向に露出する。保持部70の成形工程において、第1周端面83の間には、金型5の内側面に設けられる凸部5aが配置される。凸部5aは、主マグネット80の第1周端面83と接触して、主マグネット80を周方向において位置決めする。保持部70の成形後の主マグネット80の周方向の位置精度を高めることができる。すなわち、複数の主マグネット80を周方向に沿って等間隔に配置することができる。結果的に、ロータ20の回転を安定させることができる。
本実施形態のロータ20は、ステータ30を径方向外側から囲むアウターロータ型である。アウターロータ型のロータ20は、インナーロータ型と比較して、磁石部23が径方向外側位置するため、大きなトルクを出力することができる。
<ロータの製造方法>
次に、ロータ20の製造方法について説明する。
ロータ20の製造方法は、樹脂成型工程と着磁工程とを有する。本実施形態において、樹脂成型工程、および着磁工程は、この順で行われる。
次に、ロータ20の製造方法について説明する。
ロータ20の製造方法は、樹脂成型工程と着磁工程とを有する。本実施形態において、樹脂成型工程、および着磁工程は、この順で行われる。
以下の説明において、未着磁の主マグネット80を第1磁性部材80Aと呼び、未着磁の補助マグネット90を第2磁性部材90Aと呼ぶ。
<樹脂成型工程>
樹脂成型工程は、複数の第1磁性部材80Aと複数の第2磁性部材90Aを樹脂モールドして環状のモールド体6を形成する工程である。ここでモールド体6とは、磁石部23が保持部70に埋め込まれており、主マグネット80および補助マグネット90が未だ磁化されていないものを指す。
樹脂成型工程は、複数の第1磁性部材80Aと複数の第2磁性部材90Aを樹脂モールドして環状のモールド体6を形成する工程である。ここでモールド体6とは、磁石部23が保持部70に埋め込まれており、主マグネット80および補助マグネット90が未だ磁化されていないものを指す。
図3の一部に示すように、樹脂成型工程では、まず、複数の第1磁性部材80A、および複数の第2磁性部材90Aを、金型5の内側面に沿って並べて金型5内に収容する。このとき、複数の第1磁性部材80Aを、周方向に沿って環状に並べる。また、複数の第2磁性部材90Aを、第1磁性部材80Aの反ステータ側R2で周方向に沿って環状に並べる。さらに、それぞれの第2磁性部材90Aを、互いに隣り合う2つの第1磁性部材80Aと径方向において重ねて接触させる。
次いで、金型5内に溶融樹脂を充填して複数の第1磁性部材80A、および複数の第2磁性部材90Aを樹脂モールドする。樹脂が固化した後に、モールド体6は、金型5から取り出される。
<着磁工程>
着磁工程は、第1磁性部材80Aおよび第2磁性部材90Aに着磁を行い環状の磁石部23とする工程である。着磁工程は、周方向磁化工程(同極着磁工程)と径方向磁化工程(異極着磁工程)とを有する。
着磁工程は、第1磁性部材80Aおよび第2磁性部材90Aに着磁を行い環状の磁石部23とする工程である。着磁工程は、周方向磁化工程(同極着磁工程)と径方向磁化工程(異極着磁工程)とを有する。
図4は、周方向磁化工程を示す模式図である。また、図5は、径方向磁化工程を示す模式図である。
周方向磁化工程は、第2磁性部材90Aを周方向に磁化する工程である。一方で、径方向磁化工程は、第1磁性部材80Aを径方向に磁化する工程である。本実施形態の着磁工程において、周方向磁化工程と径方向磁化工程とは、この順で行われる。第1磁性部材80Aおよび第2磁性部材90Aは、着磁工程によって着磁されて永久磁石となる。
周方向磁化工程および径方向磁化工程は、着磁装置4によって行われる。着磁装置4は、4つの着磁ヨーク(第1着磁ヨーク40A、第2着磁ヨーク40B、第3着磁ヨーク40Cおよび第4着磁ヨーク40D)を有する。4つの着磁ヨークは、着磁電源(不図示)に接続されている。なお、本実施形態の着磁装置4は4つの着磁ヨークを用いている。しかしながら、着磁装置4は、例えば、全ての主マグネット80(又は全ての補助マグネット90)を同時に着磁可能な数の着磁ヨークを有してもよい。
第1着磁ヨーク40Aと第2着磁ヨーク40Bとは、モールド体6を挟んで径方向に対向して配置される。第1着磁ヨーク40Aと第2着磁ヨーク40Bとは、第1磁性部材80Aの周方向の中央部において板厚方向の両側に配置される。第1着磁ヨーク40Aは、モールド体6の反ステータ側R2に配置され、第2着磁ヨーク40Bは、モールド体6のステータ側R1に配置される。
第3着磁ヨーク40Cと第4着磁ヨーク40Dとは、モールド体6を挟んで径方向に対向して配置されている。第3着磁ヨーク40Cと第4着磁ヨーク40Dとは、第1着磁ヨーク40Aと第2着磁ヨーク40Bが挟み込む第1磁性部材80Aの隣の第1磁性部材80Aの周方向の中央部において板厚方向の両側に配置される。第3着磁ヨーク40Cは、モールド体6の反ステータ側R2に配置され、第4着磁ヨーク40Dは、モールド体6のステータ側R1に配置される。
図4に示すように、周方向磁化工程において、対向する第1着磁ヨーク40Aと第2着磁ヨーク40Bに同極の磁場を発生させる。さらに、対向する第3着磁ヨーク40Cと第4着磁ヨーク40Dに同極の磁場を発生させる。このとき、第3着磁ヨーク40Cと第4着磁ヨーク40Dに発生させる磁場は、第1着磁ヨーク40Aと第2着磁ヨーク40Bに発生させる磁場と異極である。周方向磁化工程により、周方向において、第1着磁ヨーク40Aおよび第2着磁ヨーク40Bと、第3着磁ヨーク40Cおよび第4着磁ヨーク40Dと、の間に配置される第2磁性部材90Aは、周方向に着磁される。
なお、補助マグネット90の磁化方向を反対方向とする場合、4つの着磁ヨーク40A,40B,40C,40Dに発生させる磁場を上記と反対の極にすればよい。
なお、補助マグネット90の磁化方向を反対方向とする場合、4つの着磁ヨーク40A,40B,40C,40Dに発生させる磁場を上記と反対の極にすればよい。
図5に示すように、径方向磁化工程において、対向する第1着磁ヨーク40Aと第2着磁ヨーク40Bに異極の磁場を発生させることで、挟まれた第1磁性部材80Aが一方向に着磁される(対向着磁)。同時に、対向する第3着磁ヨーク40Cと第4着磁ヨーク40Dに異極の磁場を発生させることで、挟まれた第1磁性部材80Aが他方向に着磁される。このとき、第3着磁ヨーク40Cと第4着磁ヨーク40Dとの間の磁場の向きは、第1着磁ヨーク40Aと第2着磁ヨーク40Bとの間の磁場の向きと反対である。径方向磁化工程では、全ての第1磁性部材80Aに順次着磁を行う。
本実施形態において、第2磁性部材90Aの周方向の端部は、径方向において第1磁性部材80Aに重なるように配置される。このため、第2磁性部材90Aの周方向の端部は、対向する一対の着磁ヨークの間(第1着磁ヨーク40Aと第2着磁ヨーク40Bの間、又は第3着磁ヨーク40Cと第4着磁ヨーク40Dの間)に配置される。したがって、径方向磁化工程において、第2磁性部材90Aの周方向の端部は、径方向に磁化される。すなわち、本実施形態のロータ20の製造方法によれば、補助マグネット90の主マグネット80と径方向に重なる領域に、当該主マグネット80の磁化方向に沿って磁化された径方向磁化部95を形成できる。
本実施形態において、互いに隣り合う2つの第1磁性部材80Aの間には、周方向の隙間が設けられる。このため、第2磁性部材90Aの全域が、第1磁性部材80Aに重なることがない。第2磁性部材90Aの周方向の中央部は、第1磁性部材80Aに重なることがない。このため、径方向磁化工程を経た後であっても、少なくとも補助マグネット90の周方向の中央部には、周方向に磁化された領域が残る。すなわち、本実施形態のロータ20の製造方法によれば、ハルバッハ配列の磁束構成を確実に形成できる。
着磁工程において、周方向磁化工程と径方向磁化工程とは、モールド体6を順次回転させながら、この順で交互に繰り返して行われる。着磁工程を完了させ、フレーム60と組み合わせることで、ロータ20が完成する。製造されたロータ20は、別途製造されたステータ30と組み合わされる。
本実施形態のロータ20の製造方法によれば、樹脂成型工程において、第1磁性部材80Aおよび第2磁性部材90Aが未着磁である。このため、第1磁性部材80Aおよび第2磁性部材90Aを金型内に収容し整列させる手順を円滑に行うことができる。
本実施形態によれば、複数の第1磁性部材80Aおよび複数の第2磁性部材90Aは、樹脂成型工程において樹脂モールドされ保持部70により固定される。保持部70は、着磁後の主マグネット80および補助マグネット90の反発に起因する離間を抑制する。そのため、複数の複数の主マグネット80および複数の補助マグネット90の配置の自由度や、磁化方向の自由度を高めることができる。本実施形態においては、複数の主マグネット80および複数の補助マグネット90が高密度に配置されている。これにより、ロータ20の駆動トルクを高め易い。
本実施形態のロータ20の製造方法によれば、主マグネット80の着磁は、対向着磁により実施される。このため、主マグネット80の着磁工程(径方向磁化工程)における漏れ磁束の発生が抑制され、主マグネット80の着磁率を高めることができる。さらに、本実施形態のロータ20の製造方法によれば、周方向磁化工程の後に径方向磁化工程が実施される。このため、補助マグネット90の着磁の際の主マグネット80の減磁を抑制できる。
径方向磁化工程は、径方向に対向する着磁ヨークに異極の磁場を発生させて主マグネット80を磁化する。このため、径方向磁化工程は、第1磁性部材80Aを挟んで径方向に対向する少なくとも2つの着磁ヨークを用いて行うことができる。
同様に、周方向磁化工程は、径方向に対向する着磁ヨークに同極の磁場を発生させて補助マグネット90を磁化する。この場合、着磁ヨークが十分に大きな磁場を発生するものであれば、対向する2つの着磁ヨークのみを用いることで補助マグネット90を磁化できる。すなわち、周方向磁化工程は、第1磁性部材80Aを挟んで径方向に対向する少なくとも2つの着磁ヨークを用いて行うことができる。
なお、本実施形態においては、周方向磁化工程は、周方向に並べて配列された4つの着磁ヨーク40A、40B、40C、40Dを用いて行われる。また、本実施形態の周方向磁化工程において、周方向に隣り合う着磁ヨークに異極の磁場を発生させる。周方向に隣り合う着磁ヨーク同士で、補助マグネット90を通過するアーチ状の磁路を形成することができ、補助マグネット90の着磁率を高めることができる。
<変形例>
次に、上述の実施形態のモータ16に採用可能な変形例のロータについて説明する。以下に説明する各変形例のロータは、上述の実施形態と比較して、主に磁石部の構成が異なる。
なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
次に、上述の実施形態のモータ16に採用可能な変形例のロータについて説明する。以下に説明する各変形例のロータは、上述の実施形態と比較して、主に磁石部の構成が異なる。
なお、上述の実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。
<変形例1>
図6は、上述の実施形態に採用可能な変形例1のロータ120の断面模式図である。
本変形例のロータ120は、上述の実施形態と同様に、磁石部123と、フレーム60と、保持部170と、を備える。保持部170は、磁石部123の一部を埋め込む。
図6は、上述の実施形態に採用可能な変形例1のロータ120の断面模式図である。
本変形例のロータ120は、上述の実施形態と同様に、磁石部123と、フレーム60と、保持部170と、を備える。保持部170は、磁石部123の一部を埋め込む。
磁石部123は、回転軸Oを中心とする環状である。磁石部123は、同数の主マグネット(第1マグネット)180および補助マグネット(第2マグネット)190が設けられる。
主マグネット180は、径方向を磁化方向とする磁石である。複数の主マグネット180は、周方向に沿って等間隔に環状に並ぶ。複数の主マグネット180は、周方向を向く周端面183同士を、隙間S1を介して互いに対向させて周方向に並ぶ。
補助マグネット190は、周方向を磁化方向とする磁石である。複数の補助マグネット190は、周方向に沿って等間隔に環状に並ぶ。また、複数の補助マグネット190は、主マグネット180の反ステータ側R2(径方向一方側)に配置される。補助マグネット190は、互いに隣り合う2つの主マグネット180と径方向において重なって接触する。
周方向Cに並ぶ複数の主マグネット180の磁極の向きは、交互に反転されている。周方向Cに並ぶ複数の補助マグネット190の磁極の向きは、交互に反転されている。ステータ側R1をN極とする主マグネット180の周方向両側には、当該主マグネット180側をN極とする補助マグネット190が配置される。また、反ステータ側R2をN極とする主マグネット180の周方向両側には、当該主マグネット180側をS極とする補助マグネット190が配置される。
本変形例においても、磁石部123の磁化方向の周方向における配列は、ハルバッハ配列となる。このため、本実施形態によれば、ロータ120の磁束を、ステータ側R1に集中させることができる。これによって、ロータ120の駆動トルクを高めることができる。
本変形例において、主マグネット180は、ステータ側R1を向く対向面181と、反ステータ側R2を向く背面182と、周方向両側を向く一対の周端面183と、を有する。周端面183は、平坦面である。
本実施形態において、主マグネット180の一対の周端面183は、反ステータ側R2に向かうに従い互いに離間する方向に傾斜する。したがって、主マグネット180の径方向に沿う厚さ寸法は、周方向の両端側に向かうに従い小さくなる。すなわち、主マグネット180の厚さ寸法は、周方向の中央部において、最も大きくなる。
本実施形態によれば、主マグネット180の周方向の中央部が厚く形成されることで、中央部における磁力を高めることができる。結果的に、主マグネット180がステータ側R1に形成する磁界の磁束密度の分布を正弦波に近づけることができ、ロータ120の駆動トルクを安定させることができる。
本実施形態において、周端面183の一部は、保持部170の充填部171に埋め込まれる。主マグネット180には、モータ16の駆動時にステータ側R1に大きな力が加わる。保持部170は、主マグネット180の周端面183において、主マグネット180のステータ側R1への移動を抑制する。
<変形例2>
図7は、上述の実施形態に採用可能な変形例2のロータ220の断面模式図である。
本変形例のロータ220は、上述の実施形態と同様に、磁石部223と、フレーム60と、保持部270と、を備える。保持部270は、磁石部223の一部を埋め込む。
図7は、上述の実施形態に採用可能な変形例2のロータ220の断面模式図である。
本変形例のロータ220は、上述の実施形態と同様に、磁石部223と、フレーム60と、保持部270と、を備える。保持部270は、磁石部223の一部を埋め込む。
磁石部223は、回転軸Oを中心とする環状である。磁石部223は、同数の主マグネット(第1マグネット)280、第1補助マグネット(第2マグネット)290、および第2補助マグネット(第3マグネット)250が設けられる。
主マグネット280は、径方向を磁化方向とする磁石である。複数の主マグネット280は、周方向に沿って等間隔に環状に並ぶ。
第1補助マグネット290は、周方向を磁化方向とする磁石である。複数の第1補助マグネット290は、周方向に沿って等間隔に環状に並ぶ。また、複数の第1補助マグネット290は、主マグネット280の反ステータ側R2(径方向一方側)に配置される。第1補助マグネット290は、互いに隣り合う2つの主マグネット280と径方向において重なって接触する。
第2補助マグネット250は、周方向を磁化方向とする磁石である。第2補助マグネット250は、互いに隣り合う2つの主マグネット280の間に配置される。第2補助マグネット250の周方向を向く端面は、隣接する主マグネット280の周方向を向く端面(周端面283)に面接触する。このため、主マグネット280と第2補助マグネット250との境界部を通過する磁路の磁気抵抗を低減することができ、ロータ220の磁気特性を高めることができる。
第2補助マグネット250は、径方向において第1補助マグネット290に重なる。第2補助マグネット250は、第1補助マグネット290より周方向に沿う寸法が小さい。本実施形態において、第2補助マグネット250の反ステータ側R2を向く面と、第1補助マグネット290のステータ側R1を向く面とは、互いに接触する。しかしながら、第2補助マグネット250と第1補助マグネット290とは、互いに離間していてもよい。
周方向Cに並ぶ複数の主マグネット280の磁極の向きは、交互に反転されている。周方向Cに並ぶ複数の第1補助マグネット290の磁極の向きは、交互に反転されている。さらに、周方向Cに並ぶ複数の第2補助マグネット250の磁極の向きは、交互に反転されている。ステータ側R1をN極とする主マグネット280の周方向両側には、当該主マグネット280側をN極とする第1補助マグネット290および第2補助マグネット250が配置される。また、反ステータ側R2をN極とする主マグネット280の周方向両側には、当該主マグネット280側をS極とする第1補助マグネット290および第2補助マグネット250が配置される。
本変形例によれば、第1補助マグネット290と第2補助マグネット250とが、周方向に隣り合う主マグネット280同士の間で磁路を構成する。このため、従来のハルバッハ配列のロータと比較して、ステータ側R1に磁束を集中させやすく、ロータ220の駆動トルクを高めることができる。
本変形例において、第2補助マグネット250の径方向に沿う厚さ寸法は、主マグネット280の径方向に沿う厚さ寸法より小さい。このため、主マグネット280の周端面283は、周方向に露出する。このため、保持部270の成形工程において、主マグネット280の周端面283を金型5に接触させた状態で、保持部270を成形することができる。本実施形態によれば、主マグネット280の周方向の位置精度を高めることができる。
<変形例3>
図8、9は、上述の実施形態に採用可能な変形例3のロータ320およびその着磁工程を示す模式図である。
本変形例のロータ320は、上述の実施形態と同様に、磁石部323と、保持部370と、を備える。保持部370は、磁石部323の一部を埋め込む。
図8、9は、上述の実施形態に採用可能な変形例3のロータ320およびその着磁工程を示す模式図である。
本変形例のロータ320は、上述の実施形態と同様に、磁石部323と、保持部370と、を備える。保持部370は、磁石部323の一部を埋め込む。
磁石部323は、回転軸Oを中心とする環状である。磁石部323は、同数の主マグネット(第1マグネット)380および補助マグネット(第2マグネット)390が設けられる。磁石部323は、上述の実施形態と略同様の構成を有するが、周方向に隣り合う主マグネット380同士が接触し、周方向に隣り合う補助マグネット390同士が離間する点が主に異なる。
すなわち、上述の実施形態と同様に、主マグネット380は、径方向を磁化方向とする磁石である。補助マグネット390は、周方向を磁化方向とする磁石である。複数の主マグネット380は、周方向に沿って環状に並ぶ。複数の補助マグネット390は、主マグネット380の反ステータ側R2で周方向に沿って環状に並ぶ。また、複数の補助マグネット390は、主マグネット380の反ステータ側R2(径方向一方側)に配置される。補助マグネット390は、互いに隣り合う2つの主マグネット380と径方向において重なって接触する。
本変形例において、互いに隣り合う2つの補助マグネット390の間には、周方向の隙間S2が設けられる。また、互いに隣り合う2つの主マグネット380同士は、周方向において互いに接触する。
本変形例のロータ320の製造方法は、樹脂成型工程と着磁工程とを有する。以下の説明において、未着磁の主マグネット380を第1磁性部材380Aと呼び、未着磁の補助マグネット390を第2磁性部材390Aと呼ぶ。
樹脂成型工程では、まず、複数の第1磁性部材380A、および複数の第2磁性部材390Aを、金型の内側面に沿って並べて金型内に収容する。このとき、複数の第1磁性部材380Aを、隙間を設けることなく周方向に沿って環状に並べる。また、複数の第2磁性部材390Aを、第1磁性部材380Aの反ステータ側R2で周方向に沿って環状に並べる。また、周方向において互いに隣り合う第2磁性部材390Aの間には、隙間S2を設ける。さらに、それぞれの第2磁性部材390Aを、互いに隣り合う2つの第1磁性部材380Aと径方向において重ねて接触させる。次いで、金型内に溶融樹脂を充填して複数の第1磁性部材380A、および複数の第2磁性部材390Aを樹脂モールドする。
図8および図9に示すように、本変形例の着磁工程は、上述の実施形態と概ね同様であるが、着磁ヨークの一部を、2つの補助マグネット390の間の隙間S2に配置する点が主に異なる。
本変形例の着磁工程は、径方向一方側(反ステータ側R2)に位置する着磁ヨーク40A、40Cを隙間S2に配置して行う。このため、着磁工程において、補助マグネット390は、周方向に隣り合う着磁ヨーク40A、40Cの間に配置される。周方向磁化工程において、補助マグネット390を、周方向両側に配置された着磁ヨーク40A、40Cによって対向着磁することが可能となり、補助マグネット390の着磁効率が高められる。また、径方向磁化工程においては、径方向に対向する着磁ヨーク40A、40B(又は着磁ヨーク40C、40C)を主マグネット380に近づけて配置でき、主マグネット380の着磁効率が高められる。
<変形例4>
図10は、上述の実施形態のロータ20の製造方法として採用可能な変形例の製造方法を示す模式図である。
本変形例のロータ20の製造方法は、主マグネット(マグネット)80が予め着磁されている点が主に異なる。未着磁の補助マグネット90を第2磁性部材(磁性部材)90Aと呼ぶ。
図10は、上述の実施形態のロータ20の製造方法として採用可能な変形例の製造方法を示す模式図である。
本変形例のロータ20の製造方法は、主マグネット(マグネット)80が予め着磁されている点が主に異なる。未着磁の補助マグネット90を第2磁性部材(磁性部材)90Aと呼ぶ。
本変形例のロータ20の製造方法は、上述の実施形態と同様に、樹脂成型工程と着磁工程とを有する。樹脂成型工程は、複数の主マグネット80と複数の第2磁性部材90Aとを樹脂モールドして環状のモールド体6Aを形成する工程である。主マグネット80は、樹脂成形工程に先立って予め径方向に磁化されている。一方で、第2磁性部材90Aは、未だ着磁されていない。主マグネット80は、従来公知の方法によって着磁される。
樹脂成型工程では、まず、複数の主マグネット80、および複数の第2磁性部材90Aを金型内に収容する。このとき、複数の主マグネット80を周方向に沿って環状に並べる。また、複数の第2磁性部材90Aを、主マグネット80の反ステータ側R2で周方向に沿って環状に並べる。さらに、それぞれの第2磁性部材90Aを、互いに隣り合う2つの主マグネット80と径方向において重ねて接触させる。次いで、金型内に溶融樹脂を充填して複数の主マグネット80および複数の第2磁性部材90Aを樹脂モールドする。樹脂が固化した後に、モールド体6Aは金型から取り出される。
着磁工程は、第2磁性部材90Aに着磁を行い主マグネット80と共に環状の磁石部23とする工程である。本変形例の着磁工程は、周方向磁化工程のみを有する。図10に示すように、周方向磁化工程は、第2磁性部材90Aを周方向に磁化する工程である。本変形例の着磁工程では、主マグネット80は、予め着磁されているため、径方向着磁工程を行う必要がない。
本変形例の周方向磁化工程において、対向する第1着磁ヨーク40Aと第2着磁ヨーク40Bに同極の磁場を発生させる。さらに、対向する第3着磁ヨーク40Cと第4着磁ヨーク40Dに同極の磁場を発生させる。このとき、第3着磁ヨーク40Cと第4着磁ヨーク40Dに発生させる磁場は、第1着磁ヨーク40Aと第2着磁ヨーク40Bに発生させる磁場と異極である。周方向磁化工程により、周方向において、第1着磁ヨーク40Aおよび第2着磁ヨーク40Bと、第3着磁ヨーク40Cおよび第4着磁ヨーク40Dと、の間に配置される第2磁性部材90Aは、周方向に着磁される。
本変形例のロータ20の製造方法によれば、樹脂整形工程において、主マグネット80が予め着磁されており、補助マグネット90が未だ着磁されていない。このため、樹脂成型工程における金型内で主マグネット80が未着磁の補助マグネット(すなわち、第2磁性部材90A)に吸着する。これにより、主マグネット80と補助マグネット90との密着性が高まり、補助マグネット90と主マグネット80との間の磁気抵抗を低減できる。 さらに、ロータ20がヨーク(省略)を有し当該ヨークと磁石部23とが保持部70に埋め込まれる場合には、金型内で主マグネット80および主マグネット80によって磁化される第2磁性部材90Aがヨークに吸着するため、磁石部23とヨークとの密着性を高めることもができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
例えば、上述の実施形態および変形例ではアウターロータ型のロータについて説明したが、インナーロータ型において上記の構成を採用することもできる。
また、上述の実施形態および変形例では、SPM(Surface Permanent Magnet)方式のロータについて、説明したが、IPM(Interior permanent Magnet)方式のロータについて同様の構成を採用してもよい。
また、上述の実施形態および変形例ではロータの極数について、特定の極数についてのみ説明したが、ロータ20の極数は、これに限定されない。
また、上述の実施形態および変形例では、SPM(Surface Permanent Magnet)方式のロータについて、説明したが、IPM(Interior permanent Magnet)方式のロータについて同様の構成を採用してもよい。
また、上述の実施形態および変形例ではロータの極数について、特定の極数についてのみ説明したが、ロータ20の極数は、これに限定されない。
6、6A…モールド体、16…モータ、20,120,220,320…ロータ、23,123,223,323…磁石部、30…ステータ、40A,40C…着磁ヨーク、70,170,270,370…保持部、80,180,280,380…主マグネット(第1マグネット、マグネット)、80A,380A…第1磁性部材、81…第1対向面(対向面)、90,190,390…補助マグネット(第2マグネット)、90A,390A…第2磁性部材(磁性部材)、95…径方向磁化部、181…対向面、250…第2補助マグネット(第3マグネット)、290…第1補助マグネット(第2マグネット)、C…周方向、O…回転軸、R…径方向、R1…ステータ側、S1,S2…隙間
Claims (15)
- モータに設けられステータと対向し回転軸を中心として回転するロータであって、
前記回転軸を中心とする環状の磁石部を備え、
前記磁石部は、
径方向を磁化方向とする複数の第1マグネットと、
前記第1マグネットと同数であり周方向を磁化方向とする複数の第2マグネットと、を有し、
複数の前記第1マグネットは、周方向に沿って環状に並び、
複数の前記第2マグネットは、前記第1マグネットの径方向一方側で周方向に沿って環状に並び、
それぞれの前記第2マグネットは、互いに隣り合う2つの前記第1マグネットと径方向において重なって接触する、
ロータ。 - 互いに隣り合う2つの前記第1マグネットの間には、周方向の隙間が設けられる、
請求項1に記載のロータ。 - 前記第1マグネットの径方向に沿う寸法は、周方向の両端側に向かうに従い小さくなる、
請求項1又は2に記載のロータ。 - 前記磁石部は、前記第1マグネットと同数であり周方向を磁化方向とする複数の第3マグネットを有し、
それぞれの前記第3マグネットは、互いに隣り合う2つの前記第1マグネットの間に配置される、
請求項1~3の何れか一項に記載のロータ。 - 前記第3マグネットの径方向に沿う厚さ寸法は、前記第1マグネットの径方向に沿う厚さ寸法より小さい、
請求項4に記載のロータ。 - 互いに隣り合う2つの前記第2マグネットの間には、周方向の隙間が設けられる、
請求項1~5の何れか一項に記載のロータ。 - 前記第2マグネットの前記第1マグネットと径方向に重なる領域には、当該第1マグネットの磁化方向に沿って磁化された径方向磁化部が設けられる、
請求項1~6の何れか一項に記載のロータ。 - 樹脂材料からなり前記磁石部を埋め込む保持部、を備え、
前記第1マグネットは、前記ステータに対向する対向面を有し、
前記対向面の少なくとも一部は、前記保持部から露出する、
請求項1~7の何れか一項に記載のロータ。 - 前記第1マグネットは、前記第2マグネットに対しステータ側に配置される、
請求項1~8の何れか一項に記載のロータ。 - 請求項1~9の何れか一項に記載のロータと、
前記ステータと、を備える、
モータ。 - 回転軸周りを回転するロータの製造方法であって、
複数の第1磁性部材および複数の第2磁性部材を樹脂モールドして環状のモールド体を形成する樹脂成型工程と、
前記第1磁性部材および前記第2磁性部材に着磁を行い環状の磁石部とする着磁工程と、を備え、
前記樹脂成型工程において、
複数の前記第1磁性部材を、周方向に沿って環状に並べ、
複数の前記第2磁性部材を、前記第1磁性部材の径方向一方側で周方向に沿って環状に並べ、
それぞれの前記第2磁性部材を、互いに隣り合う2つの前記第1磁性部材と径方向において重ねて接触させ、
前記着磁工程は、
前記第2磁性部材を周方向に磁化する周方向磁化工程と、
前記第1磁性部材を径方向に磁化する径方向磁化工程と、を有する、
ロータの製造方法。 - 前記着磁工程は、
前記モールド体を挟んで径方向に対向する少なくとも2つの着磁ヨークを用いて行われ、
前記周方向磁化工程は、径方向に対向する前記着磁ヨークに同極の磁場を発生させて前記第2磁性部材を磁化し、
前記径方向磁化工程は、径方向に対向する前記着磁ヨークに異極の磁場を発生させて前記第1磁性部材を磁化する、
請求項11に記載のロータの製造方法。 - 前記着磁工程は、
周方向に並べて配列された少なくとも4つの前記着磁ヨークを用いて行われ、
前記周方向磁化工程において、周方向に隣り合う前記着磁ヨークに異極の磁場を発生させる、
請求項12に記載のロータの製造方法。 - 前記樹脂成型工程において、互いに隣り合う2つの前記第2磁性部材の間に、周方向の隙間を設け、
前記着磁工程は、径方向一方側に位置する前記着磁ヨークを前記隙間に配置して行う、
請求項12又は13に記載のロータの製造方法。 - 回転軸周りを回転するロータの製造方法であって、
径方向に磁化された複数のマグネットと未着磁の複数の磁性部材とを樹脂モールドして環状のモールド体を形成する樹脂成型工程と、
前記磁性部材に着磁を行い前記マグネットと共に環状の磁石部とする着磁工程と、を備え、
前記樹脂成型工程において、
複数の前記マグネットを、周方向に沿って環状に並べ、
複数の前記磁性部材を、前記マグネットの径方向一方側で周方向に沿って環状に並べ、
それぞれの前記磁性部材を、互いに隣り合う2つの前記マグネットと径方向において重ねて接触させ、
前記着磁工程は、前記磁性部材を周方向に磁化する周方向磁化工程を有する、
ロータの製造方法。
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JP2020190067A JP2022079100A (ja) | 2020-11-16 | 2020-11-16 | ロータ、モータ、およびロータの製造方法 |
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