JP2022078436A - 微小球形粒及びその製造方法 - Google Patents

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Nobuo Nakanishi
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Abstract

【課題】本発明によれば、生産効率や経済性に優れ不純分の少ない、カルボキシメチルセルロースの架橋構造体である微小球形粒を得ることを課題とする。【解決手段】下記条件(A)~(D)を満たすことを特徴とする微小球形粒。条件(A):カルボキシメチルセルロースの架橋構造体であること。条件(B):該架橋構造体が、有機系架橋剤を介して架橋構造形成すること。条件(C):平均粒子径が1~100μmの範囲にあること。条件(D):該微小球形粒が、蒸留水へ25℃/30分間浸漬した前後で、形状に変化のないこと。【選択図】図1

Description

本発明は、微小球形粒及びその製造方法に関し、詳しくはカルボキシメチルセルロースを主成分とする微小球形粒の製造方法に関する。
セルロースで形成された微小球形粒は、食品添加剤、錠剤賦形剤、分散剤、保形剤、保水剤、ろ過助剤、充填剤、塗料・接着剤用添加剤等として、食品、医薬、化粧品、建材、窯業、ゴム、プラスチック等の幅広い分野で利用されている。セルロースは、木材に豊富に含まれる主要成分であり、植林により再生可能な資源である。また、セルロースは生分解性を有する。近年、持続可能な開発に関する意識、特に環境問題に対する意識の高まりから、プラスチック製品を他の生分解性製品で代替することニーズが高まっており、微小プラスチックビーズの代替品として、セルロースで形成された微小球形粒の利用が今まで以上に期待されている。
セルロースから微小球形粒を製造する方法の一種として、セルロースを溶解させて、微小な液滴を形成させた後、液滴を固化させる方法がある。例えば、特許文献1には、セルロースの溶解液を用意し、これを気流中に噴霧して供給し、凝固液に接触させて、再生セルロース球状粒子を形成する方法が開示されている。
また、特許文献2には、銅アンモニアセルロース溶解液を、ポリアクリル酸塩水溶液と混合して微粒子分散液を生成させ、凝固及び酸による再生を行って微小セルロース粒子を製造する方法が開示されている。
さらに、特許文献3にはカルボキシメチルセルロースの多価陽イオン塩からなる球状粒子を、化粧料に用いることが提案されている。
特開2013-133355号公報 特公平7-17682号公報 特開2009-51781号
しかしながら、特許文献1~2では、安定性の高いセルロースを溶解するために、銅アンモニア溶液や水酸化リチウム等を用いざるを得ず、生産効率や経済性に劣るものであった。またこのような方法においては、一般的に粒子径を小さくすることが困難である場合が多かった。
また特許文献3では、工業的・商業的に多量に利用されているカルボキシメチルセルロースを使用しているため生産効率や経済性に優れているものの、多価陽イオン塩とのポリイオン複合体を形成するため、アニオンであるカルボキシメチルセルロースを、ホモミキサー等を用いて乳化性のある油脂や有機溶剤中に分散させることで油中水型乳化物を調製する必要があり、それら油脂や有機溶媒を不純分として含んだ球状粒子となるため、改善が望まれていた。
そこで本発明では、生産効率や経済性に優れ不純分の少ない、カルボキシメチルセルロースの架橋構造体である微小球形粒を得ることを課題とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、以下の〔1〕~〔7〕で課題を解決できることを見出した。
〔1〕下記条件(A)~(D)を満たすことを特徴とする微小球形粒。
条件(A):カルボキシメチルセルロースの架橋構造体であること。
条件(B):該架橋構造体が、有機系架橋剤を介して架橋構造形成すること。
条件(C):平均粒子径が1~100μmの範囲にあること。
条件(D):該微小球形粒が、蒸留水へ25℃/30分間浸漬した前後で、
形状に変化のないこと。
〔2〕前記カルボキシメチルセルロースが、無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.45以上であることを特徴とする、〔1〕に記載の微小球形粒。
〔3〕前記有機系架橋剤が、カルボキシル基及びエポキシ基から選ばれるいずれかの官能基を有することを特徴とする〔1〕~〔2〕いずれかに記載の微小球形粒。
〔4〕前記有機系架橋剤が、沸点が100℃超であることを特徴とする〔1〕~〔3〕いずれかに記載の微小球形粒。
〔5〕さらに条件(E)を満たすことを特徴とする、〔1〕~〔4〕いずれかに記載の微小球形粒。
条件(E):該微小球形粒が、カルボキシメチルセルロース:有機系架橋剤=
50~90重量%:10~50重量%(但し、カルボキシメチルセルロース と有機系架橋剤の合計を100重量%とする)の固形分含有量比を満たす
こと。
〔6〕下記工程(I)~(III)を含むことを特徴とする、微小球形粒の製造方法。
工程(I):カルボキシメチルセルロースと、有機系架橋剤とを混合した水溶液
を調整する工程。
工程(II):該水溶液の水分を除去し、カルボキシメチルセルロースと有機系架橋剤
からなる乾燥固形物を得る工程。
工程(III):該乾燥固形物を、30分以上熱処理する工程。
〔7〕前記工程(II)が、該水溶液を噴霧乾燥することにより、カルボキシメチルセルロースと有機系架橋剤からなる微小球形粒状の乾燥固形物を得ることを特徴とする、〔6〕に記載の微小球形粒の製造方法。
本発明によれば、生産効率や経済性に優れ不純分の少ない、カルボキシメチルセルロースの架橋構造体である微小球形粒を得ることができる。
図1は、実施例1で得られた微小球形粒の光学顕微鏡写真である。
本発明は、下記条件(A)~(D)を満たすことを特徴とする微小球形粒である。
条件(A):カルボキシメチルセルロースの架橋構造体であること。
条件(B):該架橋構造体が、有機系架橋剤を介して架橋構造形成すること。
条件(C):平均粒子径が1~100μmの範囲にあること。
条件(D):該微小球形粒が、蒸留水へ25℃/30分間浸漬した前後で、形状に変化のないこと。
<カルボキシメチルセルロース>
カルボキシメチルセルロースは、セルロースを構成するグルコース残基中の水酸基の一部がカルボキシメチル基とエーテル結合した構造を有する。カルボキシメチルセルロースは、塩の形態をとる場合もあり、本発明に用いられるカルボキシメチルセルロースには、カルボキシメチルセルロースの塩も含まれるものとする。カルボキシメチルセルロースの塩としては、例えばカルボキシメチルセルロースナトリウム塩などの金属塩などが挙げられる。
本発明に用いられるカルボキシメチルセルロースは、セルロースの無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.45以上である。好ましくは、カルボキシメチル置換度は0.5以上であり、さらに好ましくは0.6以上である。カルボキシメチル置換度が0.45未満であると、水系媒体及び油系媒体の混合物に添加した際に沈殿したり、また凝集を生じるなどして均一な溶液とならず微小球形粒を得ることが困難である。カルボキシメチル置換度の上限値は、好ましくは1.6以下であり、より好ましくは1.4以下であり、さらに好ましくは1.0以下である。カルボキシメチル置換度が1.6を超えると架橋体構造の形成時に連鎖的な架橋が起こりやすく、微小な球形にならない可能性がある。したがって、カルボキシメチル置換度は、0.45以上1.6以下の範囲であることが好ましい。カルボキシメチル置換度は、反応させるカルボキシメチル化剤の添加量、マーセル化剤の量、水と有機溶媒の組成比率をコントロールすること等によって調整することができる。
本発明において無水グルコース単位とは、セルロースを構成する個々の無水グルコース(グルコース残基)を意味する。また、カルボキシメチル置換度(エーテル化度ともいう。)とは、セルロースを構成するグルコース残基中の水酸基のうちカルボキシメチルエーテル基に置換されているものの割合(1つのグルコース残基当たりのカルボキシメチルエーテル基の数)を示す。なお、カルボキシメチル置換度はDSと略すことがある。
カルボキシメチル置換度の測定方法は以下の通りである:
試料約2.0gを精秤して、300mL共栓付き三角フラスコに入れる。硝酸メタノール(メタノール1000mLに特級濃硝酸100mLを加えた液)100mLを加え、3時間振盪して、カルボキシメチル化セルロースの塩(CMC)をH-CMC(水素型カルボキシメチル化セルロース)に変換する。その絶乾H-CMCを1.5~2.0g精秤し、300mL共栓付き三角フラスコに入れる。80%メタノール15mLでH-CMCを湿潤し、0.1N-NaOHを100mL加え、室温で3時間振盪する。指示薬として、フェノールフタレインを用いて、0.1N-HSOで過剰のNaOHを逆滴定し、次式によってカルボキシメチル置換度(DS値)を算出する。
A=[(100×F’-0.1N-HSO(mL)×F)×0.1]/(H-CMCの絶乾質量(g))
カルボキシメチル置換度=0.162×A/(1-0.058×A)
F’:0.1N-HSOのファクター
F:0.1N-NaOHのファクター。
本発明に用いられるカルボキシメチルセルロースにおけるセルロースI型の結晶化度は、特に制限されないが、60%以下が好ましい。より好ましくは、上記結晶化度は50%以下である。セルロースI型の結晶化度が60%超であると、水系溶媒に均一にセルロースが溶解しがたく、架橋による均一な不溶化により微小球形粒を得る本発明には適さない。セルロースの結晶性は、マーセル化剤の濃度と処理時の温度、並びにカルボキシメチル化の度合によって制御できる。マーセル化及びカルボキシメチル化においては高濃度のアルカリが使用されるために、セルロースのI型結晶がII型に変換されやすいが、アルカリ(マーセル化剤)の使用量を調整するなどして変性の度合いを調整することによって、所望の結晶性を維持させることができる。

カルボキシメチル化パルプのセルロースI型の結晶化度の測定方法は、以下の通りである:
試料をガラスセルに乗せ、X線回折測定装置(LabX XRD-6000、島津製作所製)を用いて測定する。結晶化度の算出はSegal等の手法を用いて行い、X線回折図の2θ=10゜~30゜の回折強度をベースラインとして、2θ=22.6゜の002面の回折強度と2θ=18.5゜のアモルファス部分の回折強度から次式により算出する。
Xc=(I002c―Ia)/I002c×100
Xc=セルロースのI型の結晶化度(%)
I002c:2θ=22.6゜、002面の回折強度
Ia:2θ=18.5゜、アモルファス部分の回折強度。
カルボキシメチルセルロースは、一般に、セルロースをアルカリで処理(マーセル化)した後、得られたマーセル化セルロース(アルカリセルロースともいう。)を、カルボキシメチル化剤(エーテル化剤ともいう。)と反応させることにより製造することができる。
本発明に用いられるカルボキシメチルセルロースは、平均粒子径(メディアン径ともいう)が1~100μmである。好ましくは、1~60μm、さらに好ましくは、1~20μmである。平均粒子径が1μm未満であると、微粉のため粉が舞うなどして取り扱いが困難であり、100μmを超えると大きすぎることで嵩高くなり粉体の詰め作業が困難なので好ましくない。さらに、平均粒子径が上記の範囲にあることで、カルボキシメチルセルロースの繊維長や繊維径が細くなりすぎず一定の範囲で保たれ、良好な微小球形となりやすいと推測される。カルボキシメチルセルロースの平均粒子径は、カルボキシメチルセルロースを湿式または乾式で粉砕することにより調整することができる。
なおメディアン径は、以下の手順により測定することができる:
分散媒としてメタノールを用い、散乱強度0.1~20%となるようにサンプルを調製し、レーザー回折式粒度分布測定装置(マルバーン社製、マスターサイザー3000)にて測定する。
本発明に用いられるカルボキシメチルセルロースは、水中で粘度を示すものが好ましい。本明細書において、粘度の測定方法は、以下の通りである:
所定の濃度のカルボキシメチルセルロースを含有する水を分散媒とした分散体を調製する。25℃で撹拌機を用いて600rpmで3時間撹拌する。その後、JIS-Z-8803の方法に準じて、B型粘度計(東機産業社製)を用いて、所定の回転数で3分後の粘度を測定する。
本発明に用いられるカルボキシメチルセルロースの固形分を1%(w/v)(分散媒:水)とした際の回転数30rpmにおける粘度(25℃)は、1mPa・s~20,000mPa・sであることが好ましく、1mPa・s~10,000mPa・sがより好ましく、10mPa・s~10,000mPa・sがさらに好ましい。
本発明に用いられるカルボキシメチルセルロースは、アニオン化度(アニオン電荷密度ともいう。)が0.00meq/g以上1.00meq/g以下であることが好ましい。アニオン化度の測定方法は、以下の通りである:
カルボキシメチルセルロースを水に分散し、固形分10g/Lの水分散体を調製し、マグネチックスターラーを用い一昼夜1000rpmにて撹拌する。得られたスラリーを0.1g/Lに希釈後、10ml採取し、流動電流検出器(Mutek Particle Charge Detector 03)用い、1/1000規定度のジアリルジメチルアンモニウムクロリド(DADMAC)で滴定して、流動電流がゼロになるまでのDADMACの添加量を用い、以下の式によりアニオン化度を算出する:
q=(V×c)/m
q:アニオン化度(meq/g)
V:流動電流がゼロになるまでのDADMACの添加量(L)
c:DADMACの濃度(meq/L)
m:測定試料中のカルボキシメチル化パルプの質量(g)。
本明細書において、「アニオン化度」とは、上記の測定方法から分かるように、単位質量のカルボキシメチルセルロースにおいて、アニオン性基を中和するのに要したDADMACの当量に相当し、単位質量のカルボキシメチルセルロースあたりのアニオンの当量に相当する。
カルボキシメチルセルロースのアニオン化度は、0.00meq/g以上1.20meq/g以下であることが好ましく、0.00meq/g以上1.00meq/g以下がさらに好ましく、0.00meq/g以上0.80meq/g以下がさらに好ましい。このような範囲のアニオン化度を有するカルボキシメチルセルロースは、アニオン化度が1.20meq/gよりも高いカルボキシメチルセルロースに比べて、カルボキシメチル基が、局所的ではなく、セルロース全体にわたり均一に導入されていると考えられ、本発明の効果をより安定に得ることができると考えられる。
本明細書においてセルロースとは、D-グルコピラノース(単に「グルコース残基」、「無水グルコース」ともいう。)がβ-1,4結合で連なった構造の多糖を意味する。セルロースは、一般に起源、製法等から、天然セルロース、再生セルロース、微細セルロース、非結晶領域を除いた微結晶セルロース等に分類される。本発明では、これらのセルロースのいずれも、マーセル化セルロースの原料として用いることができるが、カルボキシメチルセルロースにおいて50%以上のセルロースI型の結晶化度を維持するためには、セルロースI型の結晶化度が高いセルロースを原料として用いることが好ましい。原料となるセルロースのセルロースI型の結晶化度は、好ましくは、70%以上であり、さらに好ましくは80%以上である。セルロースI型の結晶化度の測定方法は、上述した通りである。
天然セルロースとしては、晒パルプまたは未晒パルプ(晒木材パルプまたは未晒木材パルプ);リンター、精製リンター;酢酸菌等の微生物によって生産されるセルロース等が例示される。晒パルプ又は未晒パルプの原料は特に限定されず、例えば、木材、木綿、わら、竹、麻、ジュート、ケナフ等が挙げられる。また、晒パルプ又は未晒パルプの製造方法も特に限定されず、機械的方法、化学的方法、あるいはその中間で二つを組み合せた方法でもよい。製造方法により分類される晒パルプ又は未晒パルプとしては例えば、メカニカルパルプ(サーモメカニカルパルプ(TMP)、砕木パルプ)、ケミカルパルプ(針葉樹未漂白サルファイトパルプ(NUSP)、針葉樹漂白サルファイトパルプ(NBSP)等の亜硫酸パルプ、針葉樹未漂白クラフトパルプ(NUKP)、針葉樹漂白クラフトパルプ(NBKP)、広葉樹未漂白クラフトパルプ(LUKP)、広葉樹漂白クラフトパルプ(LBKP)等のクラフトパルプ)等が挙げられる。さらに、製紙用パルプの他に溶解パルプを用いてもよい。溶解パルプとは、化学的に精製されたパルプであり、主として薬品に溶解して使用され、人造繊維、セロハンなどの主原料となる。
再生セルロースとしては、セルロースを銅アンモニア溶液、セルロースザンテート溶液、モルフォリン誘導体など何らかの溶媒に溶解し、改めて紡糸されたものが例示される。 微細セルロースとしては、上記天然セルロースや再生セルロースをはじめとする、セルロース系素材を、解重合処理(例えば、酸加水分解、アルカリ加水分解、酵素分解、爆砕処理、振動ボールミル処理等)して得られるものや、前記セルロース系素材を、機械的に処理して得られるものが例示される。
本発明で用いるカルボキシメチルセルロースを製造するにあたっては、公知の製法を適用することができる。例えば、セルロースをマーセル化剤(アルカリ)で処理してマーセル化セルロース(アルカリセルロース)を調製した後に、マーセル化セルロースにエーテル化剤を添加してエーテル化反応させることでカルボキシメチルセルロースを製造することができる。
マーセル化剤としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の水酸化アルカリ金属塩が例示される。エーテル化剤としてはモノクロロ酢酸、モノクロロ酢酸ソーダ等が例示される。
水溶性の一般的なカルボキシメチルセルロースの製法において、マーセル化剤とエーテル化剤のモル比(マーセル化剤/エーテル化剤)は、エーテル化剤としてモノクロロ酢酸を使用する場合では2.00~2.45が一般的である。その理由は、2.00以上であることによりエーテル化反応を十分に行うことができ、未反応のモノクロロ酢酸が残って無駄となることを防止できる。2.45以下であることにより、過剰のマーセル化剤とモノクロロ酢酸による副反応が進行してグリコール酸アルカリ金属塩が生成することを防止でき、経済的である。
本発明においてカルボキシメチルセルロースは市販品であってもよい。市販品としては、例えば、日本製紙(株)製の商品名「サンローズ」が挙げられる。
<有機系架橋剤>
本発明で用いる有機系架橋剤とは、カルボキシルメチルセルロースと架橋構造体を形成する有機系化合物であれば特に制限されないが、カルボキシメチルセルロースとエステル化を行うものが好ましい。
カルボキシメチルセルロースとエステル化を行う有機系架橋剤としては、カルボキシル基及びエポキシ基から選ばれるいずれかの官能基を有する物を挙げることができる。カルボキシル基を有する有機系架橋剤としては、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2-メチルコハク酸等を挙げることができる。エポキシ基を有する有機系架橋剤としては、エピクロロヒドリン、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル等を挙げることができる。なお、前述する化合物は塩の形態で用いることもできる。
本発明の有機系架橋剤は、沸点が100℃超であることが好ましく、沸点が110℃以上であることがより好ましく、沸点が140以上であることがさらに好ましく、沸点が150以上であることが特に好ましい。上限としては特に制約されるものではないが、250℃以下が好ましく、220℃以下がより好ましく、200℃以下が特に好ましい。
沸点が100℃以下であると、カルボキシメチルセルロースと有機系架橋剤との乾燥固形物を得る際に、有機系架橋剤の揮発量が多く、適する架橋構造体となり難く適さない。また有機系架橋剤が酸性を示す場合、揮発した有機系架橋剤が乾燥機等の金属腐蝕を引き起こすため生産効率や不純分の混入などに影響を及ぼす懸念があり、適さない。
本発明の有機系架橋剤としては、クエン酸などの食品添加物に従来使用されているものが特に好ましい。カルボキシメチルセルロースは、食品添加物として広く用いられているため、有機系架橋剤にもそのようなクエン酸等を用いて架橋構造体を得ることで、化粧品や食品、さらに工業的な用途への適応性にさらに優れるものが得られる。
<微小球形粒>
本発明の微小球形粒は、平均粒子径が1~100μmの範囲にあることが重要であり、5~60μmの範囲にあることが好ましく、5~50μmの範囲にあることがより好ましく、5~30μmの範囲にあることがさらに好ましい。平均粒子径が本範囲にあることで、化粧品などに使用するさいに、優れたマッサージ効果やソフトフォーカス効果を得ることができる。
本発明の微小球形粒は、前述するカルボキシメチルセルロースが、前述する有機系架橋剤を介して架橋構造体を形成することが重要である。そのような架橋構造体とは、有機架橋剤によるエステル化構造体を介していることが好ましい。本発明のカルボキシメチルセルロースと有機系架橋剤は、一定の熱エネルギーをかけることでエステル化構造体を形成することが可能である。
本発明の微小球形粒としては蒸留水へ浸漬(25℃/30分)を行った際に、浸漬前後における形状に変化がないことが重要である。強固なエステル化構造体を形成した微小球形粒は水不溶性が高まるため、前述する浸漬において形状に変化がないことが、その指標となる。
本発明の微小球形粒は、カルボキシメチルセルロース:有機系架橋剤=50~90重量%:10~50重量%(但し、カルボキシメチルセルロースと有機系架橋剤との合計を100重量%とする)であることが好ましく、カルボキシメチルセルロース:有機系架橋剤=60~85重量%:15~40重量%であることがより好ましく、カルボキシメチルセルロース:有機系架橋剤=70~85重量%:15~30重量%であることがさらに好ましい。カルボキシメチルセルロースと有機系架橋剤の重量比が本範囲にあることで、本発明の効果をより効果的に発揮することができる。
そのような微小球形粒の製造方法としては、例えば下記工程(I)~(III)を含むことが好ましい。
工程(I):カルボキシメチルセルロースと、有機系架橋剤とを混合した水溶液
を調整する工程。
工程(II):該水溶液の水分を除去し、カルボキシメチルセルロースと有機系架橋剤
からなる乾燥固形物を得る工程。
工程(III):該乾燥固形物を、30分以上熱処理する工程。
工程(I)では、カルボキシメチルセルロースと、有機系架橋剤とを混合した水溶液を調整する。カルボキシメチルセルロースと有機系架橋剤の含有量は、前述した微小球形粒に対する重量比と同様である。
カルボキシメチルセルロースと有機系架橋剤との混合方法としては、均一に混合するための従来知られた方法を適宜使用すればよいが、一例として、濃度1~10質量%に調整したカルボキシメチルセルロース水溶液に、攪拌混合しながら前述の重量比となるように有機系架橋剤を添加する方法などを挙げることができる。
工程(I)では、必要に応じて紫外線吸収剤、酸化防止剤、防腐剤、pH調整剤、着色剤、香料などの、その他添加剤も含めることができるが、本発明の効果をより効果的に発揮するためには、その他添加剤の含有量は少ないことが好ましい。
工程(II)では、カルボキシメチルセルロースと有機系架橋剤とを混合した水溶液の水分を除去し、カルボキシメチルセルロースと有機系架橋剤からなる乾燥固形物を得る工程である。水分を除去するためには、従来知られた乾燥方法を適用することができ、そのような乾燥方法としては、噴霧乾燥、気流乾燥、熱風乾燥、ドラム乾燥などを挙げることができるが、乾燥と微粒化を同時に行うことができるため、噴霧乾燥が好ましい。
工程(III)としては、乾燥により得られた乾燥固形物を、30分以上熱処理する工程である。熱処理の時間としては、45分以上が好ましく、1時間以上がより好ましい。上限としては、10時間以下が好ましく、5時間以下がより好ましく、4時間以下がさらに好ましく、2時間以下が特に好ましい。
また熱処理する温度としては70℃以上が好ましく、80℃以上がより好ましく、100℃以上がさらに好ましく、120℃以上が特に好ましい。前述の通り、熱処理により架橋構造体のエステル化が進行し、水不溶性の強固な構造体を形成することができるが、熱処理時の温度が高いほど短時間の熱処理によって強固な構造体を形成することができる。熱処理温度の上限としては特に制限されないが、乾燥固形物の炭化を抑制するために、250℃以下が好ましく、200℃以下がより好ましく、180℃以下がさらに好ましい。
熱処理としては既存の熱処理方法を適宜選択できるが、既に微粒化されている状態の乾燥固形物であれば、非接触式で熱処理を行うことができる熱風乾燥方式などを用いることが好ましい。
工程(I)~(III)は、この順で行うことが好ましいが、必要に応じて工程順を変更することもできる。また必要に応じて、前述する乾燥固形物を微粒化するために、粉砕や分級を行うこともできる。
以下、本発明の実施の形態を実施例により説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
(実施例1)
カルボキシメチルセルロース(日本製紙製サンローズFT-3、DS=0.86、濃度1質量%水溶液時の粘度29.5mPa・s)の濃度2質量%水溶液を450ml調整した。またクエン酸(富士フィルム和光純薬社製)の濃度2質量%水溶液を50ml調整した。
その後、カルボキシメチルセルロース水溶液に攪拌を行いながらクエン酸水溶液を添加し、カルボキシメチルセルロースに対してクエン酸が10重量%となる混合液を得た。
得られた混合溶液を、スプレードライヤL-8型(大川原化工機株式会社製)を用い、給液量500ml、入口温度220℃/出口温度119℃で、15分間かけて噴霧処理し、微粒化された乾燥固形物を得た。
得られた乾燥固形物を、防爆型乾燥機に入れ140℃で3時間処理した後、乾燥機から取り出し室温に戻し、微粒化された乾燥固形物の熱処理物である、微小球形粒1を得た。
(実施例2)
実施例1のクエン酸を、カルボキシメチルセルロースに対して20重量%となるように添加量を調整し添加し、また乾燥固形物の熱処理時間を1時間に変更した以外は、実施例1と同様にして、微小球形粒2を得た。
(実施例3)
実施例2のクエン酸を、カルボキシメチルセルロースに対して30重量%となるように添加量を調整し添加した以外は、実施例2と同様にして、微小球形粒3を得た。
(実施例4)
実施例1のクエン酸を、エピクロロヒドリン(製品名クロロメチルオキシラン、富士フイルム和光純薬株式会社製)に変更し、カルボキシメチルセルロースに対して28重量%となるように添加量を調節し添加した以外は、実施例1と同様にして、微小球形粒4を得た。
(実施例5)
実施例1のクエン酸を、エチレングリコールジグリシジルエーテル(製品名デナコールEX-810、ナガセケムテックス株式会社製)に変更し、カルボキシメチルセルロースに対して26重量%となるように添加量を調整し添加した以外は、実施例1と同様にして、微小球形粒5を得た。
(実施例6)
実施例1のクエン酸を、グリセロールポリグリシジルエーテル(製品名デナコールEX-313、ナガセケムテックス株式会社製)に変更し、カルボキシメチルセルロースに対して26重量%となるように添加量を調整し添加した以外は、実施例1と同様にして、微小球形粒6を得た。
(実施例7)
実施例1のクエン酸を、ソルビトールポリグリシジルエーテル(製品名デナコールEX-614B、ナガセケムテックス株式会社製)に変更し、カルボキシメチルセルロースに対して26重量%となるように添加量を調整し添加した以外は、実施例1と同様にして、微小球形粒7を得た。
(比較例1)
実施例1のクエン酸を、カルボキシメチルセルロースに対して5重量%となるように添加量を調整し添加し、また乾燥固形物の熱処理時間を1時間に変更した以外は、実施例1と同様にして、微小球形粒8を得た。
得られた微小球形粒は、以下の評価を実施した。
<平均粒子径>
分散媒として水を用い、レーザー回折式粒度分布測定装置(マルバーン社製、マスターサイザー2000)にて測定し、得られる体積モーメント平均D [4, 3] (体積平均径)を平均粒子径とした。
<耐水性評価>
得られた微小球形粒を、蒸留水に25℃/30分間浸漬させ静置した。そののち、濾過し微小球形粒を取りだし、風乾させた。凝集させたものは適宜ホグしたのち、浸漬前後の微小球形粒を目視にて以下の基準で評価した。
〇:浸漬前後に大きな形状の変化がない。
×:浸漬により溶出してしまい、濾過した際に回収できないか、浸漬後の形状が著しく変化していた。
<分散性>
得られた微小球形粒を、試験ビンに1g入れた後、蒸留水を50ml注いだ。そののち、手で均一に分散されるまで振盪させ、以下の基準で目視評価を行った。
〇:微小球形粒が、振盪させた際にすぐに水中で分散した。
△:微小球形粒が、しばらく振盪させた後分散した。
×:3時間以上振盪しても、沈殿物が残った。
Figure 2022078436000002

Claims (7)

  1. 下記条件(A)~(D)を満たすことを特徴とする微小球形粒。
    条件(A):カルボキシメチルセルロースの架橋構造体であること。
    条件(B):該架橋構造体が、有機系架橋剤を介して架橋構造形成すること。
    条件(C):平均粒子径が1~100μmの範囲にあること。
    条件(D):該微小球形粒が、蒸留水へ25℃/30分間浸漬した前後で、
    形状に変化のないこと。
  2. 前記カルボキシメチルセルロースが、無水グルコース単位当たりのカルボキシメチル置換度が0.45以上であることを特徴とする、請求項1に記載の微小球形粒。
  3. 前記有機系架橋剤が、カルボキシル基及びエポキシ基から選ばれるいずれかの官能基を有することを特徴とする請求項1~2いずれかに記載の微小球形粒。
  4. 前記有機系架橋剤が、沸点が100℃超であることを特徴とする請求項1~3いずれかに記載の微小球形粒。
  5. さらに条件(E)を満たすことを特徴とする、請求項1~4いずれかに記載の微小球形粒。
    条件(E):該微小球形粒が、カルボキシメチルセルロース:有機系架橋剤=
    50~90重量%:10~50重量%(但し、カルボキシメチルセルロース
    と有機系架橋剤の合計を100重量%とする)の固形分含有量比を満たす
    こと。
  6. 下記工程(I)~(III)を含むことを特徴とする、微小球形粒の製造方法。
    工程(I):カルボキシメチルセルロースと、有機系架橋剤とを混合した水溶液
    を調整する工程。
    工程(II):該水溶液の水分を除去し、カルボキシメチルセルロースと有機系架橋剤
    からなる乾燥固形物を得る工程。
    工程(III):該乾燥固形物を、30分以上熱処理する工程。
  7. 前記工程(II)が、該水溶液を噴霧乾燥することにより、カルボキシメチルセルロースと有機系架橋剤からなる微小球形粒状の乾燥固形物を得ることを特徴とする、請求項6に記載の微小球形粒の製造方法。
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