JP2022074752A - エッチング方法及びエッチング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】非円形状の開口が形成されたマスクを用いて、エッチング対象層を高アスペクト比でエッチングする場合に、マスクの変形が生じるのを抑制する。
【解決手段】エッチングする方法であって、チャンバ内に、エッチング対象層と前記エッチング対象層上に非円形状の開口が形成されたマスクを有する基板を提供する工程と、プラズマ生成用電力及びバイアス電力を供給して、前記開口を介して前記エッチング対象層をエッチングする工程と、を有し、前記エッチングする工程は、前記マスクの温度変化(ΔT)が前記マスクが座屈を生じない温度幅に抑えられるよう、前記プラズマ生成用電力及び前記バイアス電力の少なくともいずれか一方を間欠的に供給する。
【選択図】図7
【解決手段】エッチングする方法であって、チャンバ内に、エッチング対象層と前記エッチング対象層上に非円形状の開口が形成されたマスクを有する基板を提供する工程と、プラズマ生成用電力及びバイアス電力を供給して、前記開口を介して前記エッチング対象層をエッチングする工程と、を有し、前記エッチングする工程は、前記マスクの温度変化(ΔT)が前記マスクが座屈を生じない温度幅に抑えられるよう、前記プラズマ生成用電力及び前記バイアス電力の少なくともいずれか一方を間欠的に供給する。
【選択図】図7
Description
本開示は、エッチング方法及びエッチング装置に関する。
特許文献1には、互いに異なる誘電率を有し、且つ、交互に積層された第1の膜及び第2の膜を含む多層膜をエッチングする方法が開示されている。プラズマ処理装置の処理容器内に、多層膜及び該多層膜上に設けられたマスクを有する被処理体を準備する工程と、プラズマ処理装置の処理容器内においてプラズマを発生させて多層膜をエッチングする工程と、を含む。また、特許文献1には、多層膜として、酸化シリコン膜とポリシリコン膜が交互に積層された構造を有するものが例示されている。さらに、特許文献1では、多層膜上に、該多層膜にホールといったスペースを形成するためのパターンを有するマスクが設けられている。
本開示にかかる技術は、非円形状の開口が形成されたマスクを用いて、エッチング対象層を高アスペクト比でエッチングする場合に、マスクに変形が生じるのを抑制する。
本開示の一態様は、エッチングする方法であって、チャンバ内に、エッチング対象層と前記エッチング対象層上に非円形状の開口が形成されたマスクを有する基板を提供する工程と、プラズマ生成用電力及びバイアス電力を供給して、前記開口を介して前記エッチング対象層をエッチングする工程と、を有し、前記エッチングする工程は、前記マスクの温度変化(ΔT)が前記マスクが座屈を生じない温度幅に抑えられるよう、前記プラズマ生成用電力及び前記バイアス電力の少なくともいずれか一方を間欠的に供給する。
本開示によれば、非円形状の開口が形成されたマスクを用いて、エッチング対象層を高アスペクト比でエッチングする場合に、マスクの変形が生じるのを抑制することができる。
半導体デバイス等の製造の際、基板に形成されたマスクを用いて、プラズマによりマスクの下層のエッチング対象層をエッチングすることがある。要求されるエッチング深さ及びアスペクト比は様々であり、例えば、エッチング対象層が、特許文献1のように酸化シリコン膜とポリシリコン膜とが交互に積層された多層膜である場合は、高アスペクト比(例えば30)で約1μmエッチングすることが要求される。
また、特許文献1では、ホールといったスペースを形成するためのパターンを有するマスク、すなわち、円形状の開口が形成されたマスクを用いているが、近年では、非円形状の開口が形成されたマスクを用いることがある。非円形状の開口とは、例えば、図1の部分拡大平面図及び図2の部分拡大断面図に示すように、長方形状の開口501である。
しかし、本発明者らが鋭意検討を行ったところ、非円形状の開口501が形成されたマスク500を用いて、エッチング対象層502を高アスペクト比でエッチングしようとしたときに、図3及び図4に示すように、マスク500が変形する場合があることが判明した。このようにマスク500が変形すると、マスク500の下地のエッチング対象層502に影響が及び、適切にエッチングを行うことができなくなってしまう。
しかし、本発明者らが鋭意検討を行ったところ、非円形状の開口501が形成されたマスク500を用いて、エッチング対象層502を高アスペクト比でエッチングしようとしたときに、図3及び図4に示すように、マスク500が変形する場合があることが判明した。このようにマスク500が変形すると、マスク500の下地のエッチング対象層502に影響が及び、適切にエッチングを行うことができなくなってしまう。
本開示にかかる技術は、非円形状の開口が形成されたマスクを用いて、エッチング対象層を高アスペクト比でエッチングする場合に、マスクの変形が生じるのを抑制する。以下、本実施形態にかかるエッチング方法及びエッチング装置について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素においては、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<エッチング装置及びマスク>
先ず、本実施形態にかかるエッチング装置及び該エッチング装置で用いられるマスクについて説明する。図5は、エッチング装置1の構成の概略を示す縦断面図である。図6は、マスクMの概略を示す部分拡大平面図である。
先ず、本実施形態にかかるエッチング装置及び該エッチング装置で用いられるマスクについて説明する。図5は、エッチング装置1の構成の概略を示す縦断面図である。図6は、マスクMの概略を示す部分拡大平面図である。
図5のエッチング装置1は、基板としての半導体ウェハ(以下、「ウェハ」と記載)Wをプラズマによりエッチングする。エッチングに用いるプラズマは例えば容量結合型プラズマである。
またエッチング装置1でエッチングされるウェハWは、エッチング対象層FとマスクMとを有し、エッチング対象層F上にマスクMが形成されている。マスクMは、非円形状の開口、例えば、図6に示すように、平面視長方形状の開口P1が形成されたパターンPを有する。マスクMのパターンPは、具体的には、上記長方形状の開口P1が板状の壁部により画定され長辺を成す板状の壁部P2の奥行きdが該壁部P2の幅wの2倍よりも大きいパターンである。以下ではこの上記奥行きdが上記幅wの2倍よりも大きいパターンを「スリット構造のパターン」という場合がある。マスクMの材料は例えばアモルファスカーボンである。またマスクMの開口P1の寸法は例えば幅が30nm~100nm、長さが5000nm~10000nmである。
なおエッチング対象層Fは例えば酸化シリコン膜とポリシリコン膜が交互に積層されたものである。
図5に示すようにエッチング装置1は、略円筒形状のチャンバ10を有している。チャンバ10は、その内部においてプラズマが生成される処理空間Sを画成する。チャンバ10は、例えばアルミニウムから構成されている。チャンバ10は接地電位に接続されている。チャンバ10の内壁面、すなわち、処理空間Sを画成する壁面には、耐プラズマ性を有する膜が形成されている。この膜は、陽極酸化処理によって形成された膜、又は、酸化イットリウムから形成された膜といったセラミック製の膜であり得る。
チャンバ10の内部には、ウェハWを載置する載置台11が収容されている。載置台11は、下部電極12及び静電チャック13を有している。また、載置台11には、当該載置台11に載置されたウェハWを囲むようにエッジリング14が設けられている。なお、下部電極12の下面側には、例えばアルミニウムから構成される電極プレート(図示せず)が設けられていてもよい。
下部電極12は、導電性の金属、例えばアルミニウム等で構成されており、略円板形状を有している。
下部電極12の内部には、冷媒流路15aが形成されている。冷媒流路15aには、チャンバ10の外部に設けられたチラーユニット(図示せず)から冷媒入口配管15bを介して冷媒が供給される。冷媒流路15aに供給された冷媒は、冷媒出口流路15cを介してチラーユニットに戻るようになっている。静電チャック13に対する温度センサ(図示せず)での測定結果に基づいて冷媒流路15aの中に冷媒、例えば冷却水等を循環させることにより、静電チャック13を所望の温度になるように冷却することができ、これにより、静電チャック13に載置されたウェハW及びエッジリングの温度を調整することができる。
静電チャック13は、下部電極12上に設けられている。静電チャック13は、ウェハWとエッジリング14の両方を静電力により吸着保持可能に構成された部材である。静電チャック13は、外周部の表面に比べて中央部の表面が高く形成されている。静電チャック13の中央部の表面は、ウェハWが載置されるウェハ載置面となり、静電チャック13の外周部の表面は、エッジリング14が載置されるエッジリング載置面となる。
静電チャック13の内部において中央部には、ウェハWを吸着保持するための第1の電極16aが設けられている。静電チャック13の内部において外周部には、エッジリング14を吸着保持するための第2の電極16bが設けられている。静電チャック13は、絶縁材料からなる絶縁材の間に電極16a、16bを挟んだ構成を有する。
第1の電極16aには、直流電源(図1には図示せず)からの直流電圧が印加される。これにより生じる静電力により、静電チャック13の中央部の表面にウェハWが吸着保持される。同様に、第2の電極16bには、直流電源(図示せず)からの直流電圧が印加される。これにより生じる静電力により、静電チャック13の外周部の表面にエッジリング14が吸着保持される。
エッジリング14は、静電チャック13の中央部の表面に載置されたウェハWを囲むように配置される、環状部材である。エッジリング14は、プラズマ処理の均一性を向上させるために設けられる。このため、エッジリング14は、プラズマ処理に応じて適宜選択される材料から構成されており、例えば石英やSi、SiC等から構成され得る。
以上のように構成された載置台11は、チャンバ10の底部に設けられた略円筒形状の支持部材17に締結される。支持部材17は、例えばセラミックや石英等の絶縁体により構成される。
エッチング装置1は、ガス供給ライン20を更に有している。ガス供給ライン20は、ガス供給機構(図示せず)からの伝熱ガス(例えばHeガス)を、静電チャック13の中央部の表面とウェハWの裏面との間に供給する。
エッチング装置1は、第1の高周波(RF:Radio Frequency)電源30、第2の高周波電源31、第1の整合器32、及び第2の整合器33を更に有している。第1の高周波電源30と第2の高周波電源31はそれぞれ、第1の整合器32及び第2の整合器33を介して、下部電極12に接続されている。
第1の高周波電源30は、プラズマ生成用の高周波電力を発生する電源である。第1の高周波電源30からは27MHz~100MHzの周波数であってよく、一例においては40MHzの高周波電力HFが下部電極12に供給される。第1の整合器32は、第1の高周波電源30の出力インピーダンスと負荷側(下部電極12側)の入力インピーダンスを整合させるための回路を有している。なお、第1の高周波電源30は、下部電極12に電気的に接続されていなくてもよく、第1の整合器32を介して上部電極であるシャワーヘッド40に接続されていてもよい。
第2の高周波電源31は、ウェハWにイオンを引き込むための高周波電力(バイアス電力)LFを発生して、当該高周波電力LFを下部電極12に供給する。高周波電力LFの周波数は、400kHz~13.56MHzの範囲内の周波数であってよく、一例においては400kHzである。第2の整合器33は、第2の高周波電源31の出力インピーダンスと負荷側(下部電極12側)の入力インピーダンスを整合させるための回路を有している。なお、第2の高周波電源31に代えて、DC(Direct Current)パルス生成部を用いてもよい。
載置台11の上方には、載置台11と対向するように、シャワーヘッド40が設けられている。シャワーヘッド40は、処理空間Sに面して配置される電極板41、及び電極板41の上方に設けられる電極支持体42を有している。電極板41は、下部電極12と一対の上部電極として機能する。前述のように第1の高周波電源30が下部電極12に電気的に接続されている場合には、シャワーヘッド40は、接地電位に接続される。なお、シャワーヘッド40は、絶縁性遮蔽部材43を介して、チャンバ10の上部(天井面)に支持されている。
電極板41には、後述のガス拡散室42aから送られる処理ガスを処理空間Sに供給するための複数のガス噴出口41aが形成されている。電極板41は、例えば、発生するジュール熱の少ない低い電気抵抗率を有する導電体又は半導体から構成される。
電極支持体42は、電極板41を着脱自在に支持するものである。電極支持体42は、例えばアルミニウム等の導電性材料の表面に耐プラズマ性を有する膜が形成された構成を有している。この膜は、陽極酸化処理によって形成された膜、又は、酸化イットリウムから形成された膜といったセラミック製の膜であり得る。電極支持体42の内部には、ガス拡散室42aが形成されている。ガス拡散室42aからは、ガス噴出口41aに連通する複数のガス流通孔42bが形成されている。また、ガス拡散室42aには、後述するガス供給管53に接続されるガス導入孔42cが形成されている。
また、電極支持体42には、ガス拡散室42aに処理ガスを供給するガス供給源群50が、流量制御機器群51、バルブ群52、ガス供給管53、ガス導入孔42cを介して接続されている。
ガス供給源群50は、プラズマを用いたエッチング処理等に必要な複数種のガス供給源を有している。流量制御機器群51は複数の流量制御器を含み、バルブ群52は複数のバルブを含んでいる。流量制御機器群51の複数の流量制御器の各々は、マスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器である。エッチング装置1においては、ガス供給源群50から選択された一以上のガス供給源からの処理ガスが、流量制御機器群51、バルブ群52、ガス供給管53、ガス導入孔42cを介してガス拡散室42aに供給される。そして、ガス拡散室42aに供給された処理ガスは、ガス流通孔42b、ガス噴出口41aを介して、処理空間S内にシャワー状に分散されて供給される。
エッチング装置1には、チャンバ10の内壁に沿ってデポシールド60が着脱自在に設けられている。デポシールド60は、チャンバ10の内壁にデポが付着することを抑制するものであり、例えばアルミニウム材に酸化イットリウム等のセラミックスを被覆することにより構成される。また同様に、デポシールド60に対向する面であって、支持部材17の外周面には、デポシールド61が、着脱自在に設けられている。
チャンバ10の底部であって、チャンバ10の内壁と支持部材17との間には、バッフルプレート62が設けられている。バッフルプレート62は、例えばアルミニウム材に酸化イットリウム等のセラミックスを被覆することにより構成される。バッフルプレート62には、複数の貫通孔が形成されている。処理空間Sは当該バッフルプレート62を介して排気口63に連通されている。排気口63には例えば真空ポンプ等の排気装置64が接続され、当該排気装置64により処理空間S内を減圧可能に構成されている。
また、チャンバ10の側壁にはウェハWの搬入出口65が形成され、当該搬入出口65はゲートバルブ66により開閉可能となっている。
以上のエッチング装置1には、制御部70が設けられている。制御部70は、例えばCPUやメモリ等を備えたコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、エッチング装置1におけるエッチング処理を制御するプログラムが格納されている。なお、上記プログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、当該記憶媒体から制御部70にインストールされたものであってもよい。
<エッチング方法>
次に、以上のように構成されたエッチング装置1を用いて行われるエッチング処理について説明する。図7は、エッチング処理の流れの一例を示すフロー図である。図8は、後述の高周波電力の間欠供給を説明する図である。
次に、以上のように構成されたエッチング装置1を用いて行われるエッチング処理について説明する。図7は、エッチング処理の流れの一例を示すフロー図である。図8は、後述の高周波電力の間欠供給を説明する図である。
先ず、チャンバ10内に、前述のスリット構造のパターンPのマスクMをエッチング対象層上に有するウェハWを準備する(ステップS11)。
具体的には、上述のウェハWが、チャンバ10の内部に搬入され、載置台11上に載置される。その後、静電チャック13の第1の電極16aに直流電圧が印加され、これにより、ウェハWが、クーロン力によって静電チャック13に静電吸着され、保持される。併せて、ガス供給ライン20から伝熱ガスが供給される。これにより、冷媒流路15aで所望の温度(例えば-70℃)になるように調整されている載置台11の温度に、該載置台11に載置されたウェハWの温度を近づけることができる。また、ウェハWの搬入後、排気装置64によってチャンバ10の内部が所望の真空度まで減圧される。
具体的には、上述のウェハWが、チャンバ10の内部に搬入され、載置台11上に載置される。その後、静電チャック13の第1の電極16aに直流電圧が印加され、これにより、ウェハWが、クーロン力によって静電チャック13に静電吸着され、保持される。併せて、ガス供給ライン20から伝熱ガスが供給される。これにより、冷媒流路15aで所望の温度(例えば-70℃)になるように調整されている載置台11の温度に、該載置台11に載置されたウェハWの温度を近づけることができる。また、ウェハWの搬入後、排気装置64によってチャンバ10の内部が所望の真空度まで減圧される。
そして、プラズマ生成用電力及びバイアス電力を供給して、チャンバ10内にプラズマを発生させ、プラズマによって、スリット構造のパターンのマスクMの開口P1を通じて、エッチング対象層をエッチングする(ステップS12)。
具体的には、ガス供給源群50からシャワーヘッド40を介して処理空間Sに処理ガスが供給される。また、第1の高周波電源30からプラズマ生成用の高周波電力HFが下部電極12に供給され、これにより、処理ガスを励起させて、プラズマを生成する。この際、第2の高周波電源31によりバイアス用の高周波電力LFも供給される。そして、生成されたプラズマの作用によって、ウェハWにエッチング処理が施される。
具体的には、ガス供給源群50からシャワーヘッド40を介して処理空間Sに処理ガスが供給される。また、第1の高周波電源30からプラズマ生成用の高周波電力HFが下部電極12に供給され、これにより、処理ガスを励起させて、プラズマを生成する。この際、第2の高周波電源31によりバイアス用の高周波電力LFも供給される。そして、生成されたプラズマの作用によって、ウェハWにエッチング処理が施される。
本発明者らが鋭意検討を行ったところ、このステップS12において、スリット構造のパターンPのマスクMを用いて、エッチング対象層Fを高アスペクト比でエッチングしようとしたときに、マスクMが変形し、適切にエッチングを行えない場合があることが判明した。そこで、本発明者らがシミュレーション等を行いさらに検討を重ねたところ、上述のようにマスクMが変形する原因は、プラズマからの入熱による熱応力にあることが知見された。具体的には、前述のような壁部P2を有するマスクMを用いる場合、プラズマからの入熱により温度が上昇した壁部P2に、平面視長手方向(図6の太矢印方向)に圧縮するように熱応力が生じ、この熱応力により壁部P2が座屈することが、マスクMが変形する原因であることを知見された。ウェハWを冷却するために冷媒流路15a等が設けられ静電チャック13が所望の温度になるように調整されているにもかかわらずプラズマからの入熱によりウェハW上のマスクMの温度が上昇する理由としては以下が考えられる。すなわち、プラズマによって高アスペクト比でエッチングする場合、供給されるプラズマ生成用電力及びバイアス電力の少なくともいずれか一方が大きく、マスクMに入射するプラズマ中のイオンのエネルギーが高いことが理由として考えられる。またマスクMに用いられるアモルファスカーボン等の熱伝導率がエッチング対象層Fの材料より高いことも理由である。
上述のような知見を踏まえ、本実施形態では、ステップS12におけるマスクMの温度変化ΔTが、マスクMが座屈を生じない温度幅に抑えられるよう、プラズマ生成用電力及びバイアス電力の少なくともいずれか一方を間欠的に供給する。例えば、ステップS12において、マスクMの壁部P2に作用する応力が、マスクMの材料の特性及び壁部P2の形状の特性により定まる壁部P2に座屈が生じる応力となる温度Tb未満に、マスクMの温度Tが抑えられるよう、プラズマ生成用電力及びバイアス電力の少なくともいずれか一方を間欠的に供給する。
具体的には、本実施形態では、ステップS12において、例えば、下記式(1)を満たすよう、プラズマ生成用電力及びバイアス電力の少なくともいずれか一方を間欠的に供給する。なお、以下の式(1)は壁部P2の水平方向の座屈に関するものである。壁部P2の鉛直方向の座屈は、当該壁部P2の鉛直方向の一端(表面側端)が固定されないため水平方向に比べて生じにくいため、ここでは考慮していない。
ΔTは、ステップS12でのマスクMの温度変化であり、例えばマスクMの温度Tと処理温度Tpを用いてΔT=T-Tpで示される。処理温度Tpとは、ステップS12でのウェハWの目標温度であり、具体的には例えば冷媒流路15aを流れる冷媒の温度である。
αは、壁部P2の平面視長手方向に関する線膨張係数である。
dは、壁部P2の奥行き(すなわち平面視長手方向の長さ)である。
wは、壁部P2の幅(すなわち平面視短手方向の長さ)である。
σ0は、上記処理温度TpにおけるマスクMの圧縮残留応力である。圧縮残留応力は、上記処理温度Tpの他、マスクMを形成する際の処理温度、マスクM及びエッチング対象膜の材料の熱膨張係数を考慮して、求めることができる。
Eは、壁部P2の縦弾性係数である。
αは、壁部P2の平面視長手方向に関する線膨張係数である。
dは、壁部P2の奥行き(すなわち平面視長手方向の長さ)である。
wは、壁部P2の幅(すなわち平面視短手方向の長さ)である。
σ0は、上記処理温度TpにおけるマスクMの圧縮残留応力である。圧縮残留応力は、上記処理温度Tpの他、マスクMを形成する際の処理温度、マスクM及びエッチング対象膜の材料の熱膨張係数を考慮して、求めることができる。
Eは、壁部P2の縦弾性係数である。
なお、残留応力を考慮しない理想的な座屈応力σbと、熱応力σと、がそれぞれ、以下の式(2)、(3)で与えられるところ、以下の式(4)が壁部P2に座屈が生じない条件であり、式(1)は式(4)を変形したものである。
つまり、本実施形態では、ステップS12において、例えば、熱応力σと残留応力σ0との和が、上記理想的な座屈応力σbを超えない温度未満に、マスクMの温度Tが抑えられるよう、プラズマ生成用電力及びバイアス電力の少なくともいずれか一方を間欠的に供給する。
なお、「電力を間欠的に供給する」とは、図8に示すように、電力の供給(ON)、供給停止(OFF)を交互に繰り返すことをいう。
また、上述のように間欠的に供給される電力は、例えば第1の高周波電源30からのプラズマ生成用の高周波電力HF及び第2の高周波電源31からのバイアス用の高周波電力LFの少なくともいずれか一方である。
また、上述のように間欠的に供給される電力は、例えば第1の高周波電源30からのプラズマ生成用の高周波電力HF及び第2の高周波電源31からのバイアス用の高周波電力LFの少なくともいずれか一方である。
上述のステップS12では、プラズマ生成用電力及びバイアス用電力の少なくともいずれか一方を間欠的に供給したときに上記式(1)が満たされるよう、供給する電力のデューティ比、1回あたりの供給(ON)時間の長さ、1回あたりの供給停止(OFF)時間の長さ等が調整される。デューティ比とは、一回のON時間の長さL1と一回の供給停止(OFF)時間の長さL2との和に対する、上記ON時間の長さであり、L1/(L1+L2)で示される。デューティ比は例えば15%とされる。
なお、エッチング処理を終了する際には、先ず、第1の高周波電源30からの高周波電力HFの供給、第2の高周波電源31からの高周波電力LFの供給及びガス供給源群50による処理ガスの供給が停止される。次いで、ウェハWの裏面への伝熱ガスの供給が停止され、静電チャック13によるウェハWの吸着保持も停止される。
その後、チャンバ10からウェハWが搬出され、ウェハWに対する一連のエッチング処理が終了する。
以上のように、本実施形態では、プラズマ生成用電力及びバイアス用電力の少なくともいずれか一方を間欠的に供給し静電チャック13の温度を下げマスクMの温度を下げる期間を導入している。特に、本実施形態では、スリット構造のパターンのマスクMを用いてプラズマによりエッチングする工程において、マスクMの温度変化ΔTがマスクMが座屈を生じない温度幅に抑えられるよう、プラズマ生成用電力及びバイアス用電力の少なくともいずれか一方を間欠的に供給する。本実施形態と異なり、プラズマ生成用電力及びバイアス用電力の両方を連続的に供給する場合、静電チャック13の温度が上昇する。また、図9に破線で示すように、マスクMの温度Tも上昇し、マスクMの温度変化が上記温度幅に収まらず、壁部P2に座屈が生じる応力となる温度Tbを超える。そうすると、壁部P2が座屈し、マスクMが変形してしまうので、適切なエッチングを行うことができない。それに対し、本実施形態では、上述のようにプラズマ生成用電力及びバイアス用電力の少なくともいずれか一方を間欠的に供給する。そのため、供給停止(OFF)の期間中に、所望の温度になるように静電チャック13の温度が低下し、マスクMの温度Tも低下していくため、図9に実線で示すようにマスクMの温度Tが上記温度Tbを超えることがない。その結果、壁部P2が座屈せず、マスクMがエッチング工程中に変形することが抑制される。特に、高アスペクト比でエッチングすることを目的としてプラズマ生成用電力及びバイアス用電力の少なくともいずれか一方を大きくした場合でも、マスクMが変形することが抑制される。したがって、本実施形態によれば、スリット構造のパターンすなわち非円形状のパターンのマスクMを用いて、エッチング対象層Fを高アスペクト比でエッチングする場合に、マスクMの変形が生じるのを抑制することができる。
なお、間欠供給対象がプラズマ生成用電力及びバイアス電力の両方の場合、これらは同期されて供給される。具体的には、プラズマ生成用電力及びバイアス電力の両方が、電力の供給(ON)と停止(OFF)を繰り返し、プラズマ生成用電力がONのときに、バイアス電力もONとなる。プラズマ生成電力がONの期間と、バイアス電力がONの期間とは重なっていれば互いにずれていてもよい。プラズマ生成用電力及びバイアス電力の両方を間欠的に供給することにより、より効率的に温度を下げることができる。
なお、間欠供給対象がプラズマ生成用電力及びバイアス電力の両方の場合、これらは同期されて供給される。具体的には、プラズマ生成用電力及びバイアス電力の両方が、電力の供給(ON)と停止(OFF)を繰り返し、プラズマ生成用電力がONのときに、バイアス電力もONとなる。プラズマ生成電力がONの期間と、バイアス電力がONの期間とは重なっていれば互いにずれていてもよい。プラズマ生成用電力及びバイアス電力の両方を間欠的に供給することにより、より効率的に温度を下げることができる。
<他の適用>
以下では、プラズマ生成用電力及びバイアス用電力のうち、間欠供給される電力を間欠電力ということがある。
図9において実線で示される例では、間欠電力の供給(ON)工程の開始時におけるマスクMの温度Tは略一定である。間欠供給の例はこれに限られず、マスクMの温度Tが上記温度Tb未満であれば、間欠電力の供給(ON)工程の開始時におけるマスクMの温度Tが時間の経過と共に変化してもよい。例えば、間欠電力の供給(ON)工程の開始時におけるマスクMの温度Tが時間の経過と共に上昇してもよい。すなわち、間欠電力の供給(ON)工程中にマスクMの温度変化ΔTが、マスクMが座屈を生じない温度幅に抑えられるのであれば、間欠電力の供給停止(OFF)工程で、マスクMの温度を下がり切らせる必要はない。
以下では、プラズマ生成用電力及びバイアス用電力のうち、間欠供給される電力を間欠電力ということがある。
図9において実線で示される例では、間欠電力の供給(ON)工程の開始時におけるマスクMの温度Tは略一定である。間欠供給の例はこれに限られず、マスクMの温度Tが上記温度Tb未満であれば、間欠電力の供給(ON)工程の開始時におけるマスクMの温度Tが時間の経過と共に変化してもよい。例えば、間欠電力の供給(ON)工程の開始時におけるマスクMの温度Tが時間の経過と共に上昇してもよい。すなわち、間欠電力の供給(ON)工程中にマスクMの温度変化ΔTが、マスクMが座屈を生じない温度幅に抑えられるのであれば、間欠電力の供給停止(OFF)工程で、マスクMの温度を下がり切らせる必要はない。
また、間欠電力の供給停止(OFF)工程の代わりに、当該間欠電力を小さくする工程としてもよい。この場合、この工程でマスクMの温度が低下すればよい。
マスクMの材料として、アモルファスカーボンの代わりに、エッチング対象層Fに対するエッチング比を確保することができ、且つ、以下の条件(A)及び(B)の少なくともいずれか一方を満たす材料を用いてもよい。
(A)比熱容量及び熱伝導率の少なくともいずれか一方がアモルファスカーボンより大きい(高い)。
(B)ヤング率(すなわち縦弾性係数E)がアモルファスカーボンより高い材料を用いてもよい。
(A)比熱容量及び熱伝導率の少なくともいずれか一方がアモルファスカーボンより大きい(高い)。
(B)ヤング率(すなわち縦弾性係数E)がアモルファスカーボンより高い材料を用いてもよい。
上記(A)を満たす材料を用いると、マスクMの温度が上昇しにくいため、壁部P2の座屈を抑制することができる。
また、上記(B)を満たす材料を用いると、残留応力の影響が小さくなるため、壁部P2の座屈を抑制することができる。
また、上記(B)を満たす材料を用いると、残留応力の影響が小さくなるため、壁部P2の座屈を抑制することができる。
上記(A)、(B)を満たす材料は例えばタングステン、窒化ホウ素及びダイヤモンドである。これらを2以上組み合せて用いてもよい。
なお、本開示にかかる技術は、タングステン膜以外の金属含有膜を用いた場合、窒化ホウ素膜以外のホウ素含有膜を用いた場合、及び、アモルファスカーボン膜及びダイヤモンド膜を用いた場合にも、適用することができる。
なお、本開示にかかる技術は、タングステン膜以外の金属含有膜を用いた場合、窒化ホウ素膜以外のホウ素含有膜を用いた場合、及び、アモルファスカーボン膜及びダイヤモンド膜を用いた場合にも、適用することができる。
ガス供給ライン20からの伝熱ガスの供給圧力は高いことが好ましい。これにより、ウェハWの冷却効率が上がるため、マスクMの温度上昇を抑え、壁部P2の座屈を抑制することができるからである。ただし、伝熱ガスの供給圧力を高くしすぎると、静電チャック13によるウェハWの静電吸着が阻害されてしまう。そのため、伝熱ガスの供給圧力は、例えば40Torr~80Torrとされる。
伝熱ガスの消費量を抑えるため、ガス供給ラインからの伝熱ガスの供給圧力を、プラズマ生成用電力の供給(ON)工程のみ、または、プラズマ生成用電力の供給停止(OFF)工程のみ、高くするようにしてもよい。
伝熱ガスの消費量を抑えるため、ガス供給ラインからの伝熱ガスの供給圧力を、プラズマ生成用電力の供給(ON)工程のみ、または、プラズマ生成用電力の供給停止(OFF)工程のみ、高くするようにしてもよい。
載置台11の下部電極12の材料として、アルミニウムの代わりに、比熱容量及び熱伝導率の少なくともいずれか一方がアルミニウムより大きい(高い)材料を用いてもよい。載置台11において、冷媒流路15aが形成されている部分を電極として機能させる必要がなく、当該部分が単なる基台である場合は、該基台の材料として通常用いられるアルミニウムより比熱容量及び熱伝導率の少なくともいずれか一方が大きい(高い)材料を上記基台に用いることが好ましい。例えば、タングステン、窒化ホウ素及びダイヤモンドのいずれか1つまたは2以上の組み合わせを用いることが好ましい。これにより、ウェハWの冷却効率が上がるため、マスクMの温度上昇を抑え、壁部P2の座屈を抑制することができるからである。
また、載置台11における、静電チャック13の中央部の表面から冷媒流路15aまでの距離を短くすることが好ましい。これによっても、ウェハWの冷却効率が上がるため、マスクMの温度上昇を抑え、壁部P2の座屈を抑制することができるからである。
また、載置台11における、静電チャック13の中央部の表面から冷媒流路15aまでの距離を短くすることが好ましい。これによっても、ウェハWの冷却効率が上がるため、マスクMの温度上昇を抑え、壁部P2の座屈を抑制することができるからである。
さらに、冷媒流路15aに流す冷媒の温度が低いことが好ましく、同冷媒の流量が大きいことが好ましい。これにより、ウェハWの冷却能力が向上するため、マスクMの温度上昇を抑え、壁部P2の座屈を抑制することができるからである。
上記実施形態では、エッチング処理時の載置台11の温度すなわちエッチング処理時のウェハWの温度が-70℃と極低温であったが、室温(25℃)等の常温であってもよい。
以上の例では、バイアス電力として高周波電力LFを用いていたが、バイアス電力としてDCパルスを用いてもよい。この場合も、ステップS12のエッチング工程において、プラズマ生成用電力とバイアス用電力の少なくともいずれか一方が間欠供給される。
さらに、エッチング処理の際、第1の高周波電源30からの高周波電力HFを使用せず、第2の高周波電源31からの高周波電力LFのみを用いて、プラズマを生成してもよい。この場合、ステップS12のエッチング工程では、第2の高周波電源31からの高周波電力LFが間欠供給される。
さらに、エッチング処理の際、第1の高周波電源30からの高周波電力HFを使用せず、第2の高周波電源31からの高周波電力LFのみを用いて、プラズマを生成してもよい。この場合、ステップS12のエッチング工程では、第2の高周波電源31からの高周波電力LFが間欠供給される。
また、上記の実施形態では容量結合型プラズマを用いていたが、本開示のエッチング方法に用いられるプラズマはこれに限定されない。例えば、誘導結合型プラズマを用いてもよい。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
1 エッチング装置
10 チャンバ
11 載置台
30 第1の高周波電源
31 第2の高周波電源
F エッチング対象層
HF 高周波電力
LF 高周波電力
M マスク
P パターン
P1 開口
P2 壁部
S 処理空間
T 温度
Tb 温度
W ウェハ
10 チャンバ
11 載置台
30 第1の高周波電源
31 第2の高周波電源
F エッチング対象層
HF 高周波電力
LF 高周波電力
M マスク
P パターン
P1 開口
P2 壁部
S 処理空間
T 温度
Tb 温度
W ウェハ
Claims (5)
- エッチングする方法であって、
チャンバ内に、エッチング対象層と前記エッチング対象層上に非円形状の開口が形成されたマスクを有する基板を提供する工程と、
プラズマ生成用電力及びバイアス電力を供給して、前記開口を介して前記エッチング対象層をエッチングする工程と、を有し、
前記エッチングする工程は、前記マスクの温度変化(ΔT)が前記マスクが座屈を生じない温度幅に抑えられるよう、前記プラズマ生成用電力及び前記バイアス電力の少なくともいずれか一方を間欠的に供給する、方法。 - 前記非円形状の開口は、長方形状の開口であり、前記壁部の奥行きが前記壁部の幅の2倍より大きい、請求項2に記載の方法。
- 前記マスクは、金属含有マスク、ホウ素含有マスク、または炭素含有マスクである、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
- 基板をエッチングする装置であって、
チャンバと、
前記チャンバの内部に設けられ、非円形状の開口が形成されたマスクをエッチング対象層上に有する基板が載置される載置台と、
前記載置台に載置された基板の前記マスクの開口を介して前記エッチング対象層がエッチングされるように、プラズマ生成用電力及びバイアス電力を供給する電源と、を有し、
前記電源は、前記エッチング対象層のエッチングの際、前記マスクの温度変化(ΔT)が前記マスクが座屈を生じない温度幅に抑えられるよう、前記プラズマ生成用電力及び前記バイアス電力の少なくともいずれか一方を間欠的に供給する、装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020185074A JP2022074752A (ja) | 2020-11-05 | 2020-11-05 | エッチング方法及びエッチング装置 |
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ID=81605549
Family Applications (1)
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-
2020
- 2020-11-05 JP JP2020185074A patent/JP2022074752A/ja active Pending
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