JP2022074157A - ラベル付き容器及びラベル付き容器の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱収縮時のフィルムの破断現象を効果的に抑制するポリエステル系シュリンクフィルムをラベルとして装着させたラベル付き容器等を提供する。【解決手段】ポリエステル系シュリンクフィルムが、下記構成(a)~(c)、(n)を有することを特徴とするラベル付き容器である。(a)及び(b)主収縮方向をTD方向とし、TD方向における、80℃、10秒の条件での熱収縮率A1を25%以上とし、90℃、10秒の条件での熱収縮率A2を40%以上とし、(c)SS曲線における上降伏点応力をE1とし、下降伏点応力をE2としたときに、E1-E2で表される数値を5MPa以下とし、(n)非結晶性ポリエステルを、樹脂全体量の90~95重量%で含む。【選択図】図1

Description

本発明は、ラベル付き容器及びラベル付き容器の製造方法に関する。
より詳しくは、所定可塑剤を事実上、含まない場合であっても、熱収縮時のフィルム破断防止性等が向上したポリエステル系シュリンクフィルムをラベルとして装着させたラベル付き容器及びラベル付き容器の製造方法に関する。
従来、シュリンクフィルムは、PETボトル等のラベル用基材フィルムとして幅広く用いられている。特に、ポリエステル系シュリンクフィルムは、機械的強度や透明性等に優れていることから、ラベル用基材フィルムとしてのシェアを伸ばしている状況にある。
かかるポリエステル系シュリンクフィルムは、優れた機械的特性等を有するものの、加熱収縮させる際には、急激な熱応答にともなうテンションや衝撃等が発生し、フィルム自体が破断しやすくなるという問題が見られた。
そこで、耐衝撃性等を向上させるために、ポリエステル系シュリンクフィルムの原材料に、所定のポリエステル系可塑剤等を配合する旨の提案がなされている(例えば、特許文献1参照)。
より具体的には、かかるポリエステル系シュリンクフィルムは、(a)最小結晶化ハーフタイム(t1/2分)が少なくとも8.6分であるコポリエステル、および(b)重量平均分子量(M)が900~12000g/molであるポリエステル可塑剤を含んでいる。
また、コポリエステルが、
(i)テレフタル酸の残基を100mоl%含む二塩基酸成分、および
(ii)エチレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、2,2,4,4-テトラメチル-1,3-シクロブタンジオールまたはこれらの混合物の残基を含むジオール成分を含んでいる。
さらに、ポリエステル可塑剤が、
(i)1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、またはこれらの混合物の残基を含むポリオール成分、および
(ii)フタル酸、アジピン酸、またはこれらの混合物の残基を含む二塩基酸成分を含でいる。
そして、所定条件下に測定されるガラス転移温度が50~90℃である、ポリエステル系シュリンクフィルムである。
特開2018-168382号公報(特許請求の範囲等)
しかしながら、特許文献1に記載されたポリエステル系シュリンクフィルムは、所定のポリエステル可塑剤が、周囲温度の変化や経過時間によって、ブリードアウトするおそれがあって、ひいては、収縮率や機械的特性を低下させたり、更には、配合量によっては、透明性や電気特性等の特性も低下したりする傾向が見られた。
そこで、本発明の発明者らは、ポリエステル可塑剤を用いることなく、容器にラベルとして装着させるポリエステル系シュリンクフィルムの80℃及び90℃、10秒における熱収縮率(A1、A2)を、それぞれ所定値以上とするとともに、当該フィルムのSS曲線における上降伏点応力と、下降伏点応力の差(E1-E2)を所定値以下とすることによって、シュリンクフィルムの破断防止性等が著しく向上することを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、所定の可塑剤を事実上配合しない場合であっても、所定条件で熱収縮させる際に、安定的に熱収縮等し、破断防止性等に優れたポリエステル系シュリンクフィルムをラベルとして装着させたラベル付き容器、及びそのようなラベル付き容器の製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、ポリエステル系樹脂に由来したポリエステル系シュリンクフィルムをラベルとして装着させたラベル付き容器であって、
ポリエステル系シュリンクフィルムが、下記構成(a)~(c)、及び(n)を有することを特徴とするラベル付き容器が提供され、上述した問題点を解決することができる。
(a)主収縮方向をTD方向とし、当該TD方向における、80℃の温水中で、10秒の条件で収縮させた場合の熱収縮率をA1としたときに、A1を25%以上の値とする。
(b)TD方向における、90℃の温水中で、10秒の条件で収縮させた場合の熱収縮率をA2としたときに、当該A2を40%以上の値とする。
(c)TD方向の応力-歪み曲線(SS曲線)における上降伏点応力をE1とし、TD方向の応力-歪み曲線における下降伏点応力をE2としたときに、E1-E2で表される数値を5MPa以下の値とする。
(n)非結晶性ポリエステルを、樹脂全体量の90~95重量%の範囲で含む。
すなわち、構成(a)及び(b)を満足することによって、熱収縮時のポリエステル系シュリンクフィルムにおいて、所定温度範囲において、良好な熱収縮率が得られ、ひいては、熱収縮時に、良好な破断防止性も得られるためである。
また、構成(c)を満足することによって、構成(a)及び(b)の熱収縮率の値が多少ばらついた場合であっても、所定影響因子の要因を低下させ、急激な熱応答による不均一な収縮を抑制することができ、結果として、良好な破断防止性を発揮することができる。
また、構成(n)を満足することによって、収縮温度付近(例えば、80~90℃、以下同様である。)における熱収縮率や破断防止性を良好なものにできるとともに、ヘイズ値等についても、定量性をもって制御しやすくなる。
したがって、これら熱収縮率A1、A2、E1-E2、及び非結晶性ポリエステルの配合量を、それぞれ所定範囲の値に制限することによって、良好な熱収縮性を保持しながら、良好なフィルムの破断防止性を得ることができる。
なお、フィルムの破断防止性は、例えば、実施例1の評価11(破断防止性)において、本発明のポリエステル系シュリンクフィルムで作成された試験片10個中、破断現象を生じるのが0個、あるいは1個以下である場合を、良好とする。
更に、樹脂全体量のうち、非結晶性ポリエステル樹脂の残分は、結晶性ポリエステル樹脂やポリエステル樹脂以外の樹脂が寄与する値である。
また、本発明のラベル付き容器を構成するにあたり、ポリエステル系シュリンクフィルムが、下記構成(e)を更に有することが好ましい。
(e)上降伏点応力であるE1の値が、下降伏点応力であるE2の値よりも大きく、E1を95~120MPaの範囲内の値とし、E2を90~115MPaの範囲内の値とする。
このようにE1及びE2との関係において、E1及びE2を、所定範囲内の値に具体的に制限することによって、良好な熱収縮性を保持しながら、更に良好なフィルムの破断防止性を得ることができる。
また、本発明のラベル付き容器を構成するにあたり、ポリエステル系シュリンクフィルムが、下記構成(f)を更に有することが好ましい。
(f)上降伏点応力であるE1及び下降伏点応力であるE2の比率である、E2/E1で表される数値を0.9超とする。
このようにE2/E1で表される数値を、所定範囲内の値に具体的に制限することによって、E1-E2で表される数値を所定範囲に制御しやすくなり、ひいては、フィルムの熱収縮時における破断防止性を更に良好なものとすることができる。
また、本発明のラベル付き容器を構成するにあたり、ポリエステル系シュリンクフィルムが、下記構成(g)を更に有することが好ましい。
(g)TD方向と直交する方向をMD方向とし、当該MD方向における、80℃の温水中で、10秒の条件で収縮させた場合の熱収縮率をB1としたときに、当該B1を3%以上の値とする。
このようにB1で表される熱収縮率を、所定値以上に具体的に制限することによって、E1-E2で表される数値への影響因子を少なくして、フィルムの熱収縮時における破断防止性を更に良好なものとすることができる。
また、本発明のラベル付き容器を構成するにあたり、ポリエステル系シュリンクフィルムが、下記構成(h)を更に有することが好ましい。
(h)TD方向と直交する方向をMD方向とし、当該MD方向における、90℃の温水中で、10秒の条件で収縮させた場合の熱収縮率をB2としたときに、当該B2を4%以上の値とする。
このようにB2で表される熱収縮率を、所定値以上に具体的に制限することによって、E1-E2で表される数値への影響因子を少なくして、フィルムの熱収縮時における破断防止性を更に良好なものとすることができる。
また、本発明のラベル付き容器を構成するにあたり、ポリエステル系シュリンクフィルムが、下記構成(i)を更に有することが好ましい。
(i)TD方向における、JIS K 7127/2/200(1999年)に準拠して測定される引張破壊呼びひずみをC1としたときに、当該C1を40%以上の値とする。
このようにC1で表される数値を、所定範囲内の値に具体的に制限することによって、ポリエステル系シュリンクフィルムの機械的特性を良好にし、ひいては、フィルムの熱収縮時における破断防止性を更に良好なものとすることができる。
また、本発明のラベル付き容器を構成するにあたり、ポリエステル系シュリンクフィルムが、下記構成(m)を更に有することが好ましい。
(m)収縮前のフィルムのJIS K7105に準拠して測定されるヘイズ値を5%以下の値とすることが好ましい。
このようにヘイズ値を所定範囲内の値に具体的に制限することによって、ポリエステル系シュリンクフィルムの透明性についても、定量性をもって制御しやすくなり、かつ、透明性が良好なことから、汎用性を更に高めることができる。
また、本発明のラベル付き容器を構成するにあたり、ポリエステル系シュリンクフィルムが、下記構成(d)を更に有することが好ましい。
(d)ポリエステル系シュリンクフィルムの厚さを10~100μmの範囲内の値とする。
このように厚さtを所定範囲内の値に具体的に制限することにより、熱収縮率A1、A2、SS曲線におけるE1-E2で表される数値等を、それぞれ所定範囲内の値にし、更に容易に制御しやすくなるためである。
また、本発明の別の態様は、ラベル付き容器の製造方法であって、
少なくとも下記工程(1)~(4)を含むことを特徴とするラベル付き容器の製造方法である。
(1)少なくとも下記構成(a)~(c)、及び(n)を有するポリエステル系シュリンクフィルムから長尺筒状物を形成する工程
(a)主収縮方向をTD方向とし、当該TD方向における、80℃の温水中で、10秒の条件で収縮させた場合の熱収縮率をA1としたときに、当該A1を25%以上の値とする。
(b)TD方向における、90℃の温水中で、10秒の条件で収縮させた場合の熱収縮率をA2としたときに、当該A2を40%以上の値とする。
(c)TD方向の応力-歪み曲線における上降伏点応力をE1とし、TD方向の応力-歪み曲線における下降伏点応力をE2としたときに、E1-E2で表される数値を5MPa以下の値とする。
(n)非結晶性ポリエステルを、樹脂全体量の90~95重量%の範囲で含む。
(2)長尺筒状物を、自動ラベル装着装置に供給し、必要な長さに切断する工程
(3)必要な長さに切断された長尺筒状物を、内容物を充填した容器に外嵌する工程
(4)長尺筒状物を外嵌した容器を、熱風トンネル又はスチームトンネルの内部を通過させ、長尺筒状物を、加熱して熱収縮させる工程
すなわち、本発明のラベル付き容器の製造方法によって得られたラベル付き容器であれば、ラベルとして装着されるポリエステル系シュリンクフィルムが、構成(a)及び(b)を満足することによって、熱収縮時のポリエステル系シュリンクフィルムにおいて、所定温度範囲において、良好な熱収縮率が得られ、ひいては、熱収縮時に、良好な破断防止性も得られるためである。
また、構成(c)を満足することによって、構成(a)及び(b)の熱収縮率の値が多少ばらついた場合であっても、所定影響因子の要因を低下させ、急激な熱応答による不均一な収縮を抑制することができ、結果として、良好な破断防止性を発揮することができる。
また、構成(n)を満足することによって、収縮温度付近(例えば、80~90℃、以下同様である。)における熱収縮率や破断防止性を良好なものにできるとともに、ヘイズ値等についても、定量性をもって制御しやすくなる。
したがって、これら熱収縮率A1、A2、E1-E2、及び非結晶性ポリエステルの配合量を、それぞれ所定範囲の値に制限することによって、良好な熱収縮性を保持しながら、良好なフィルムの破断防止性を得ることができる。
図1(a)~(c)は、それぞれポリエステル系シュリンクフィルムの形態を説明するための図である。 図2は、ポリエステル系シュリンクフィルムの所定加熱条件(温水80℃、10秒)における収縮率(A1)と所定加熱条件(温水90℃、10秒)における収縮率(A2)との関係を説明するための図である。 図3は、ポリエステル系シュリンクフィルムにおけるTD方向のSS曲線の典型例である。 図4は、ポリエステル系シュリンクフィルムの所定加熱条件(温水80℃、10秒)における収縮率(A1)と、TD方向のSS曲線におけるE1-E2との関係を説明するための図である。 図5は、ポリエステル系シュリンクフィルムの所定加熱条件(温水90℃、10秒)における収縮率(A2)と、TD方向のSS曲線における上降伏点応力E1及び下降伏点応力E2の差(E1-E2)との関係を説明するための図である。 図6は、TD方向の応力-歪み曲線(SS曲線)における上降伏点応力E1及び下降伏点応力E2の差(E1-E2)と、破断防止性の評価(相対値)との関係を説明するための図である。 図7は、TD方向の応力-歪み曲線(SS曲線)における上降伏点応力E1及び下降伏点応力E2の差(E1-E2)と、破断防止性の評価で破断が生じた試験片数(n=10個)との関係を説明するための図である。 図8は、TD方向の応力-歪み曲線(SS曲線)における上降伏点応力E1及び下降伏点応力E2の比率(E2/E1)と、上降伏点応力E1及び下降伏点応力E2の差(E1-E2)との関係を説明するための図である。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、図1に例示するように、ポリエステル樹脂に由来したポリエステル系シュリンクフィルム10であって、下記(a)~(c)の構成を有することを特徴とするポリエステル系シュリンクフィルム10である。
(a)主収縮方向をTD方向とし、当該TD方向における、80℃の温水中で、10秒の条件で収縮させた場合の収縮率をA1としたときに、A1を25%以上の値とする。
(b)TD方向における、90℃の温水中で、10秒の条件で収縮させた場合の熱収縮率をA2としたときに、当該A2を40%以上の値とする。
(c)TD方向の応力-歪み曲線(SS曲線)における上降伏点応力をE1とし、TD方向の応力-歪み曲線における下降伏点応力をE2としたときに、E1-E2で表される数値を5MPa以下の値とする。
以下、第1の実施形態のポリエステル系シュリンクフィルムの構成に分けて、適宜、図1(a)~(c)を参照しながら、具体的に各種パラメータ等を説明する。
1.ポリエステル樹脂
基本的に、ポリエステル樹脂の種類は問わないが、通常、ジオール及びジカルボン酸からなるポリエステル樹脂、ジオール及びヒドロキシカルボン酸からなるポリエステル樹脂、ジオール、ジカルボン酸、及びヒドロキシカルボン酸からなるポリエステル樹脂、あるいは、これらのポリエステル樹脂の混合物であることが好ましい。
ここで、ポリエステル樹脂の化合物成分としてのジオールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール等の脂肪族ジオール、1,4-ヘキサンジメタノール等の脂環式ジオール、芳香族ジオール等の少なくとも一つが挙げられる。
また、同じくポリエステル樹脂の化合物成分としてのジカルボン酸としては、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等の脂肪酸ジカルボン酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、イソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸、あるいは、これらのエステル形成性誘導体等の少なくとも一つが挙げられる。
また、同じくポリエステル樹脂の化合物成分としてのヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、ヒドロキシ酪酸、ポリカプロラクトン等の少なくとも一つが挙げられる。
また、非結晶性ポリエステル樹脂として、例えば、テレフタル酸少なくとも80モル%からなるジカルボン酸と、エチレングリコール50~80モル%及び、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコール及びジエチレングリコールから選ばれた1種以上のジオール20~50モル%からなるジオールよりなる非結晶性ポリエステル樹脂を好適に使用できる。必要に応じ、フィルムの性質を変化させるために、他のジカルボン酸及びジオール、あるいはヒドロキシカルボン酸を使用してもよい。また、それぞれ単独でも、あるいは、混合物であっても良い。
一方、結晶性ポリエステル樹脂として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレンテレフタレート等があるが、それぞれ単独であっても、あるいは混合物であっても良い。
また、ポリエステル樹脂が、非結晶性ポリエステル樹脂と、結晶性ポリエステル樹脂との混合物である場合、良好な耐熱性や収縮率等を得るために、ポリエステル系シュリンクフィルムを構成する樹脂の全体量に対し、非結晶性ポリエステル樹脂の配合量を、90~100重量%の範囲内の値とすることが好ましく、91~100重量%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
2.構成(a)
構成(a)は、第1の実施形態のポリエステル系シュリンクフィルムにおいて、主収縮方向をTD方向とし、当該TD方向における、80℃の温水中で、10秒の条件で収縮させた場合の熱収縮率をA1とし、この熱収縮率A1が25%以上の値とする旨の必要的構成要件である。
この理由は、かかる80℃熱収縮率A1を所定値以上に具体的に制限することにより、熱収縮時のポリエステル系シュリンクフィルムにおいて、良好な熱収縮率が得られ、ひいては、良好な破断防止性が得られるためである。
より具体的には、フィルムの80℃熱収縮率A1が、25%未満の値になると、熱収縮率が不十分であり、複雑な形状を有するPETボトルに対して、そのボトル周囲の形状に追従できなくなり、熱収縮時のフィルムの破断現象を効果的に抑制することができない場合があるためである。
したがって、かかる80℃熱収縮率A1の下限を30%以上の値とすることがより好ましく、35%以上の値とすることが更に好ましい。
一方、上述した80℃熱収縮率A1の値が過度に大きくなると、フィルムを熱収縮させた際に、急激な熱応答により不均一に収縮し、熱収縮時の破断現象が生じやすくなる場合がある。
したがって、かかる80℃熱収縮率A1の上限を80%以下の値とすることが好ましく、75%以下の値とすることがより好ましく、70%以下の値とすることが更に好ましい。
なお、第1の実施形態のシュリンクフィルムにおける熱収縮率は、下記式で定義される。
熱収縮率(%)=(L0-L1)/L0×100
0:熱処理前のサンプルの寸法(長手方向又は幅方向)
1:熱処理後のサンプルの寸法(L0と同じ方向)
ここで、図2に言及して、ポリエステル系シュリンクフィルムの所定条件下(80℃温水、10秒加熱)で得られる熱収縮率A1と、後述する別の所定条件下(90℃温水、10秒加熱)で得られる熱収縮率A2との関係を説明する。
かかる図2中に示された測定データに関して、熱収縮率A1と熱収縮率A2との関係において、優れた相関関係(線形近似で相関係数(R)が0.98)があることが理解される。
次いで、図3に言及して、JIS K 7127に準拠して測定される、所定加熱条件(試験温度:23℃、試験速度:200mm/min)の引張試験での、ポリエステル系シュリンクフィルムのTD方向におけるSS曲線の典型例を説明する。
すなわち、図3の横軸に、ポリエステル系シュリンクフィルムのTD方向における歪みの値(%)を採って示してあり、縦軸に、その歪みに対応する応力(MPa)が採って示してある。
そして、かかる図3中の特性曲線(SS曲線)から、ポリエステル系シュリンクフィルムのTD方向における歪みを大きくしていくと、それに対応して応力が発生し、その値も上昇することが理解される。
次いで、更に、TD方向における歪みを大きくすると、ポリエステル系シュリンクフィルムの結晶転移が生じ、上に凸のブロードピークが現れる。これが、ピークに対応した応力であって、上降伏点応力(E1)と定義される。
次いで、更に、TD方向における歪みを大きくしていくと、ポリエステル系シュリンクフィルムの結晶転移が再度生じ、下に凸のブロードピークが現れる。これが、ピークに対応した応力であって、下降伏点応力(E2)と定義される。
次いで、更に、TD方向における歪みを大きくしていくと、ある歪みにおいて、ポリエステル系シュリンクフィルムの破断が生じ、これが、引張破壊呼びひずみ(C1)と定義される応力である。
そして、本発明は、ポリエステル系シュリンクフィルムの上降伏点応力と下降伏点応力の差(E1-E2)と、熱収縮時における破断防止性等の所定関係を見出し、それを制御することを特徴としたものである。
3.構成(b)
構成(b)は、第1の実施形態のポリエステル系シュリンクフィルムにおいて、90℃の温水中で、10秒の条件で収縮させた場合の熱収縮率をA2とし、この熱収縮率A2が40%以上の値とする旨の必要的構成要件である。
この理由は、かかる90℃熱収縮率A2を所定値以上に具体的に制限することにより、熱収縮時のポリエステル系シュリンクフィルムにおいて、良好な熱収縮率が得られ、ひいては、良好な破断防止性が得られるためである。
より具体的には、フィルムの90℃熱収縮率A2が、40%未満の値になると、熱収縮率が不十分であり、複雑な形状を有するPETボトルに対して、そのボトル周囲の形状に追従できなくなり、熱収縮時のフィルムの破断現象を効果的に抑制することができない場合があるためである。
したがって、かかる90℃熱収縮率A2の下限を45%以上の値とすることがより好ましく、50%以上の値とすることが更に好ましい。
一方、上述した90℃熱収縮率A2の値が過度に大きくなると、フィルムを熱収縮させた際に、急激な熱応答により不均一に収縮し、熱収縮時の破断現象が生じやすくなる場合がある。
したがって、かかる90℃熱収縮率A2の上限を90%以下の値とすることが好ましく、85%以下の値とすることがより好ましく、80%以下の値とすることが更に好ましい。
4.構成(c)
構成(c)は、TD方向の応力-歪み曲線(SS曲線)における上降伏点応力をE1とし、TD方向の応力-歪み曲線における下降伏点応力をE2としたときに、E1-E2で表される数値を5MPa以下の値とする旨の必要的構成要件である。
この理由は、構成(c)を満足することによって、熱収縮時のポリエステル系シュリンクフィルムにおいて、構成(a)及び(b)の熱収縮率が多少ばらついたような場合であっても、所定影響因子の要因を低下させて、急激な熱応答による不均一な収縮を抑制することができ、結果として、フィルムの破断防止性を向上させることができるためである。
より具体的には、E1-E2で表される数値が、5MPaより大きな値になると、構成(a)及び(b)の熱収縮率が多少ばらついたような場合に、所定影響因子の要因を低下させることができず、急激な熱応答による不均一な収縮を抑制することができなくなり、結果として、フィルムの破断防止性を向上させることができない場合があるためである。
したがって、かかるE1-E2で表される数値を、4MPa以下の値とすることがより好ましく、3MPa以下の値とすることが更に好ましい。
ここで、図4に言及して、ポリエステル系シュリンクフィルムの所定加熱条件(温水80℃、10秒)における収縮率(A1)と、TD方向のSS曲線における上降伏点応力E1及び下降伏点応力E2の差(E1-E2)との関係を説明する。
すなわち、図4の横軸に、ポリエステル系シュリンクフィルムのTD方向における熱収縮率A1の値(%)を採って示してあり、縦軸に、上降伏点応力E1及び下降伏点応力E2の差(E1-E2)(MPa)が採って示してある。
かかる図4中に示された特性曲線から、所定の熱収縮率A1と、上降伏点応力E1及び下降伏点応力E2の差(E1-E2)との間において、高い相関関係(線形近似で、相関係数(R)が、例えば0.69)があることが理解される。
よって、熱収縮時における所定の熱収縮率A1を制御することによって、ポリエステル系シュリンクフィルムの上降伏点応力と下降伏点応力の差(E1-E2)についても制御できることが理解される。
次いで、図5に言及して、ポリエステル系シュリンクフィルムの所定加熱条件(温水90℃、10秒)における収縮率(A2)と、TD方向のSS曲線における上降伏点応力E1及び下降伏点応力E2の差(E1-E2)との関係を説明する。
すなわち、図5の横軸に、ポリエステル系シュリンクフィルムのTD方向における熱収縮率A2の値(%)を採って示してあり、縦軸に、上降伏点応力E1及び下降伏点応力E2の差(E1-E2)(MPa)が採って示してある。
かかる図5中に示された特性曲線から、所定の熱収縮率A2と、上降伏点応力E1及び下降伏点応力E2の差(E1-E2)との間において、高い相関関係(線形近似で、相関係数(R)が、例えば0.75)があることが理解される。
よって、熱収縮時における所定の熱収縮率A2を制御することによって、ポリエステル系シュリンクフィルムの上降伏点応力と下降伏点応力の差(E1-E2)についても制御できることが理解される。
次いで、図6に言及して、ポリエステル系シュリンクフィルムの所定条件下(温度23℃、相対湿度50%RHの雰囲気下に6ヶ月放置)での、SS曲線における上降伏点応力及び下降伏点応力の差E1-E2を横軸にとり、破断防止性の評価の値(相対値)を縦軸にとって、これらの関係を説明する。
すなわち、破断防止性の評価が◎を5、〇を3、△を1、×を0として、破断防止性の評価の値(相対値)を算出したものである。
かかる図6中の特性曲線から、E1-E2で表示される値が、5MPa以下であれば、破断防止性の評価の値(相対値)は3以上となり、良好な破断防止性が発揮されていることが理解される。
それに対して、E1-E2で表示される値が、5MPaを超えると、破断防止性の評価の値(相対値)は急激に下がり、十分な破断防止性が発揮されていないことが理解される。
なお、本評価にて、良好な破断防止性が発揮されたポリエステル系シュリンクフィルムであれば、熱収縮時においても、良好な破断防止性が発揮されることが別途明らかになっている。
次いで、図7に言及して、ポリエステル系シュリンクフィルムの所定条件下(温度23℃、相対湿度50%RHの雰囲気下に6ヶ月放置)での、SS曲線における上降伏点応力及び下降伏点応力の差E1-E2を横軸にとり、破断防止性の評価において、10個中、破断現象が発生した試験片数の値を縦軸にとって、これらの関係を説明する。
かかる図7中の特性曲線から、E1-E2で表示される値が、5MPa以下であれば、破断防止性の評価において、破断現象が発生した試験片数は、0個本となり、良好な破断防止性が発揮されていることが理解される。
それに対して、E1-E2で表示される値が、5MPaを超えると、破断現象が発生した試験片数は、4個以上となり、十分な破断防止性が発揮されていないことが理解される。
5.任意的構成要件
(1)構成(d)
構成(d)は、第1の実施形態のポリエステル系シュリンクフィルムの厚さ(平均厚さ)であるtに関する構成要件であって、通常、10~100μmの範囲内の値にすることを好適態様とする。
この理由は、このように厚さtを所定範囲内の値に具体的に制限することにより、熱収縮率A1、A2、SS曲線におけるE1-E2で表される数値等を、それぞれ所定範囲内の値にし、更に容易に制御しやすくなるためである。
したがって、所定影響因子の要因を低下させて、熱収縮時のポリエステル系シュリンクフィルムにおいて、急激な熱応答による不均一な収縮を抑制することができ、結果として、熱収縮時の破断防止性を向上させられるためである。
より具体的には、tで表される厚さが、10μm未満になったり、あるいは100μmを超えたりすると、熱収縮時のポリエステル系シュリンクフィルムにおいて、急激な熱応答による不均一な収縮を抑制できず、熱収縮時の破断防止性が著しく低下する場合があるためである。
したがって、構成(d)として、tで表される厚さを、15~70μmの範囲内の値とすることがより好ましく、20~40μmの範囲内の値とすることが更に好ましい。
(2)構成(e)
構成(e)は、第1の実施形態のポリエステル系シュリンクフィルムの上降伏点応力であるE1と下降伏点応力であるE2に関する構成要件であって、E1の値がE2の値よりも大きく、E1を95~120MPaの範囲内の値とし、E2を90~115MPaの範囲内の値とすることを好適態様とする。
この理由は、このようにE1とE2との関係において、E1とE2を所定範囲内の値に具体的に制限することにより、E1-E2で表される数値を、所定範囲内の値にし、更に容易に制御しやすくなるためである。
より具体的には、上降伏点応力であるE1が、95MPa未満であったり、120MPaを超えたりすると、E1-E2で表される数値を、所定範囲内の値に、制御できなくなる場合があるためである。
また、同様に下降伏点応力であるE2が、90MPa未満であったり、115MPaを超えたりすると、E1-E2で表される数値を、所定範囲内の値に制御できなくなる場合があるためである。
したがって、構成(e)として、E1を98~117MPaの範囲内の値とし、E2を93~112MPaの範囲内の値とすることがより好ましく、E1を101~114MPaの範囲内の値とし、E2を96~109MPの範囲内の値とすることが更に好ましい。
(3)構成(f)
構成(f)は、第1の実施形態のポリエステル系シュリンクフィルムの上降伏点応力であるE1と下降伏点応力であるE2の比率である、E2/E1に関する構成要件であって、E2/E1で表される値が、0.9超とすることを好適態様とする。
この理由は、このようにE2/E1で表される数値を、所定範囲内の値に具体的に制限することにより、E1-E2で表される数値を所定範囲内に制御しやすくし、ひいては、フィルムの熱収縮時における破断防止性を更に良好なものとすることができるためである。
より具体的には、上降伏点応力であるE1と下降伏点応力であるE2の比率であるE2/E1で表される値が、0.9以下になると、E1-E2で表される数値を、所定範囲内の値に、制御できなくなる場合があるためである。
したがって、構成(f)として、E2/E1で表される値を0.93超とすることがより好ましく、0.96超とすることが更に好ましい。
ここで、図8に言及して、TD方向のSS曲線における上降伏点応力であるE1及び下降伏点応力であるE2の比率(E2/E1)と、上降伏点応力E1及び下降伏点応力E2の差(E1-E2)との関係を説明する。
すなわち、図8の横軸に、TD方向のSS曲線における上降伏点応力であるE1及び下降伏点応力であるE2の比率(E2/E1)(-)を採って示してあり、縦軸に、上降伏点応力E1及び下降伏点応力E2の差(E1-E2)(MPa)が採って示してある。
かかる図8中に示された特性曲線から、上降伏点応力であるE1及び下降伏点応力であるE2の比率(E2/E1)と、上降伏点応力E1及び下降伏点応力E2の差(E1-E2)との間において、高い相関関係(線形近似で、相関係数(R)が、例えば0.998)があることが理解される。
よって、上降伏点応力であるE1及び下降伏点応力であるE2の比率(E2/E1)を制御することによって、ポリエステル系シュリンクフィルムの上降伏点応力及び下降伏点応力の差(E1-E2)についても制御できることが理解される。
(4)構成(g)
構成(g)は、ポリエステル系シュリンクフィルムのTD方向と直交する方向をMD方向とし、当該MD方向における80℃の温水中、10秒の条件で収縮させた場合の熱収縮率であるB1に関する構成要件であって、3%以上の値にすることを好適態様とする。
この理由は、このように80℃熱収縮率B1を所定値以上に具体的に制限することによって、E1-E2で表される数値への影響因子を少なくして、フィルムの熱収縮時における破断防止性を更に良好なものとすることができるためである。
より具体的には、かかる80℃熱収縮率B1が、3%未満の値になると、E1-E2で表される数値への影響因子を少なくすることができず、フィルムの熱収縮時に、良好な破断防止性を得ることができない場合があるためである。
したがって、構成(g)として、80℃熱収縮率B1を、4%以上の値とすることがより好ましく、5%以上の値とすることが更に好ましい。
(5)構成(h)
構成(h)は、ポリエステル系シュリンクフィルムのTD方向と直交する方向をMD方向とし、当該MD方向における90℃の温水中、10秒の条件で収縮させた場合の熱収縮率であるB2に関する構成要件であって、4%以上の値にすることを好適態様とする。
この理由は、このように90℃熱収縮率B2を所定値以上に具体的に制限することによって、E1-E2で表される数値への影響因子を少なくして、フィルムの熱収縮時における破断防止性を更に良好なものとすることができるためである。
より具体的には、かかる90℃熱収縮率B2が、4%未満の値になると、E1-E2で表される数値への影響因子を少なくすることができず、フィルムの熱収縮時に、良好な破断防止性を得ることができない場合があるためである。
したがって、構成(h)として、90℃熱収縮率B2を、5%以上の値とすることがより好ましく、6%以上の値とすることが更に好ましい。
(6)構成(i)
構成(i)は、収縮前のポリエステル系シュリンクフィルムのTD方向における、引張破壊呼びひずみに関する構成要件である。
そして、かかる引張破壊呼びひずみをC1としたときに、C1を40%以上の値とすることを好適態様とする。
この理由は、このように引張破壊呼びひずみC1を所定値以上に具体的に制限することによって、ポリエステル系シュリンクフィルムの機械的特性を良好にし、ひいては、フィルムの熱収縮時における破断防止性を更に良好なものとすることができるためである。
より具体的には、引張破壊呼びひずみC1が、40%未満の値になると、ポリエステル系シュリンクフィルムの良好な機械的特性を維持することができない場合があるためである。
一方、かかる引張破壊呼びひずみC1が、110%を超えると、良好な熱収縮率を得られない場合があるためである。
したがって、構成(i)として、かかる引張破壊呼びひずみC1を42~105%の範囲内の値とすることがより好ましく、44~100%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
(7)構成(j)
構成(j)は、収縮前のポリエステル系シュリンクフィルムのMD方向における延伸倍率(平均MD方向延伸倍率、単に、MD方向延伸倍率と称する場合がある。)に関する構成要件である。
そして、かかるMD方向延伸倍率を100~200%の範囲内の値とすることを好適態様とする。
この理由は、このようにMD方向延伸倍率を所定範囲内の値に具体的に制限することにより、A1、A2、B1、B2、C1、E1-E2で表される数値等を、それぞれ所定範囲内の値にし、更に容易かつ定量性をもって制御し、ひいては、熱収縮時における破断防止性を向上させることができるためである。
より具体的には、MD方向延伸倍率が、100%未満の値になると、製造上の歩留まりが著しく低下する場合があるためである。
一方、MD方向延伸倍率が200%を超えると、TD方向における収縮率に影響し、その収縮率の調整自体が困難となる場合があるためである。
したがって、構成(j)として、MD方向延伸倍率を110~190%の範囲内の値とすることがより好ましく、120~180%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
(8)構成(k)
また、構成(k)は、熱収縮前のポリエステル系シュリンクフィルムのTD方向における延伸倍率(平均TD方向延伸倍率、単に、TD方向延伸倍率と称する場合がある。)に関する構成要件である。
そして、かかるTD方向延伸倍率を300~600%の範囲内の値とすることを好適態様とする。
この理由は、このようにTD方向延伸倍率を所定範囲内の値に具体的に制限することにより、A1、A2、B1、B2、C1、E1-E2で表される数値等を、それぞれ所定範囲内の値にし、更に容易かつ定量性をもって制御し、ひいては、熱収縮時における破断防止性を向上させることができるためである。
より具体的には、TD方向延伸倍率が、300%未満の値になると、TD方向における収縮率が著しく低下し、使用可能なポリエステル系シュリンクフィルムの用途が過度に制限される場合があるためである。
一方、TD方向延伸倍率が、600%を超えた値になると、収縮率が著しく大きくなって、使用可能なポリエステル系シュリンクフィルムの用途が過度に制限されたり、あるいは、その延伸倍率自体を一定に制御することが困難となったりする場合があるためである。
したがって、構成(k)として、TD方向延伸倍率を320~550%の範囲内の値とすることがより好ましく、340~500%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
(9)構成(m)
また、構成(m)は、熱収縮前のポリエステル系シュリンクフィルムのJIS K 7105に準拠して測定されるヘイズ値を5%以下の値とする旨の任意的構成要件である。
この理由は、このようにヘイズ値を所定範囲内の値に具体的に制限することにより、ポリエステル系シュリンクフィルムの透明性についても、定量性をもって制御しやすくなり、かつ、透明性が良好なことから、汎用性を更に高めることができるためである。
より具体的には、熱収縮前のフィルムのヘイズ値が、5%を超えた値になると、透明性が低下し、PETボトルに対する装飾用途等への適用が困難となる場合があるためである。
一方、熱収縮前のフィルムのヘイズ値が、過度に小さくなると、安定的に制御することが困難になって、生産上の歩留まりが著しく低下する場合があるためである。
したがって、構成(m)として、熱収縮前のフィルムのヘイズ値を0.1~3%の範囲内の値とすることがより好ましく、0.5~1%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
(10)構成(n)
また、構成(n)は、第1の実施形態のポリエステル系シュリンクフィルムにつき、非結晶性ポリエステル樹脂を、全体量の90~100重量%含む旨の任意的構成要件である。
この理由は、このように非結晶性ポリエステル樹脂の含有量を具体的に制限することによって、収縮温度付近における熱収縮率や破断防止性を所望範囲に、更に容易に調整しやすくできるとともに、ヘイズ値等についても、定量性をもって制御しやすくなるためである。
より具体的には、非結晶性ポリエステル樹脂の含有量が90%未満の値になると、ポリエステル系シュリンクフィルムの収縮温度付近における収縮率や、破断防止性の制御が困難となる場合があるためである。
また、結晶性ポリエステル樹脂の含有量が過度に多くなると、所定影響因子の要因を低下させる範囲が著しく狭くなる可能性がある。
したがって、構成(n)として、非結晶性ポリエステル樹脂の含有量を、全体量の91~100重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、92~100重量%の範囲内の値とすることが更に好ましい。
(11)その他
第1の実施形態のポリエステル系シュリンクフィルム中、又は、その片面、あるいは両面に、各種添加剤を配合したり、それらを付着させたりすることが好ましい。
より具体的には、加水分解防止剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、着色剤、有機フィラー、無機フィラー、有機繊維、無機繊維等の少なくとも一つを、ポリエステル系シュリンクフィルムの全体量に対して、通常、0.01~10重量%の範囲で配合することが好ましく、0.1~1重量%の範囲で配合等することがより好ましい。
また、図1(b)に示すように、これらの各種添加剤の少なくとも一つを含む他の樹脂層10a、10bを、ポリエステル系シュリンクフィルム10の片面、又は両面に、積層することも好ましい。
その場合、ポリエステル系シュリンクフィルムの厚さを100%としたとときに、追加で積層する他の樹脂層の単層厚さ又は合計厚さを、通常、0.1~10%の範囲内の値とすることが好ましい。
そして、他の樹脂層を構成する主成分としての樹脂は、ポリエステル系シュリンクフィルムと同様のポリエステル樹脂であっても良く、あるいは、それとは異なるアクリル系樹脂、オレフィン系樹脂、ウレタン系樹脂、ゴム系樹脂等の少なくとも一つであることが好ましい。
更に、ポリエステル系シュリンクフィルムを多層構造にして、加水分解防止効果や機械的保護を更に図ったり、あるいは、図1(c)に示すように、ポリエステル系シュリンクフィルムの収縮率が、面内で均一になったりするように、ポリエステル系シュリンクフィルム10の表面に、収縮率調整層10cを設けることも好ましい。
かかる収縮率調整層は、ポリエステル系シュリンクフィルムの収縮特性に応じて、接着剤、塗布方式、あるいは加熱処理等によって、積層することができる。
より具体的には、収縮率調整層の厚さは、0.1~3μmの範囲であって、所定温度におけるポリエステル系シュリンクフィルムの収縮率が過度に大きい場合には、それを抑制するタイプの収縮率調整層を積層することが好ましい。
また、所定温度におけるポリエステル系シュリンクフィルムの収縮率が過度に小さい場合には、それを拡大するタイプの収縮率調整層を積層することが好ましい。
よって、ポリエステル系シュリンクフィルムとして、収縮率が異なる各種シュリンクフィルムを作成することなく、収縮率調整層によって、所望の収縮率を得ようとするものである。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、第1の実施形態のポリエステル系シュリンクフィルムの製造方法に関する実施形態である。
1.原材料の準備及び混合工程
まずは、原材料として、非結晶性ポリエステル樹脂、結晶性ポリエステル樹脂、ゴム系樹脂、帯電防止剤、加水分解防止剤等の、主剤や添加剤を準備することが好ましい。
次いで、攪拌容器内に、秤量しながら、準備した非結晶性ポリエステル樹脂や結晶性ポリエステル樹脂等を投入し、攪拌装置を用いて、均一になるまで、混合攪拌することが好ましい。
2.原反シートの作成工程
次いで、均一に混合した原材料を、絶乾状態に乾燥することが好ましい。
次いで、典型的には、押し出し成形を行い、所定厚さの原反シートを作成することが好ましい。
より具体的には、例えば、押出温度180℃の条件で、L/D24、押出スクリュー径50mmの押出機(田辺プラスチック機械株式会社製)により、押し出し成形を行い、所定厚さ(通常、10~100μm)の原反シートを得ることができる。
3.ポリエステル系シュリンクフィルムの作成
次いで、得られた原反シートにつき、シュリンクフィルム製造装置を用い、ロール上やロール間を移動させながら、加熱押圧して、ポリエステル系シュリンクフィルムを作成する。
すなわち、所定の延伸温度、延伸倍率で、フィルム幅を基本的に拡大させながら、加熱押圧しながら、所定方向に延伸することにより、ポリエステル系シュリンクフィルムを構成するポリエステル分子を所定形状に結晶化させることが好ましい。
そして、その状態で固化させることによって、装飾やラベル等として用いられる熱収縮性のポリエステル系シュリンクフィルムを作成することができる。
4.ポリエステル系シュリンクフィルムの検査工程
作成したポリエステル系シュリンクフィルムにつき、連続的又は間断的に、下記特性等を測定し、所定の検査工程を設けることが好ましい。
すなわち、所定の検査工程によって、下記特性等を測定し、所定範囲内の値に入ることを確認することによって、より均一な収縮特性等を有するポリエステル系シュリンクフィルムとすることができる。
1)ポリエステル系シュリンクフィルムの外観についての目視検査
2)厚さのばらつき測定
3)引張弾性率測定
4)引裂強度測定
5)SS曲線による粘弾性特性測定
そして、第2の実施形態のポリエステル系シュリンクフィルムの製造において、下記(a)~(c)の測定・算出を加味することが好ましいと言える。
(a)主収縮方向をTD方向とし、TD方向における、80℃の温水中で、10秒の条件で収縮させた場合の熱収縮率であるA1
(b)TD方向における、90℃の温水中で、10秒の条件で収縮させた場合の熱収縮率であるA2
(c)TD方向の応力-歪み曲線(SS曲線)における上降伏点応力をE1とし、TD方向の応力-歪み曲線における下降伏点応力をE2としたときに、これらの数値差E1-E2
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、ポリエステル系シュリンクフィルムの使用方法に関する実施形態である。
したがって、公知のシュリンクフィルムの使用方法を、いずれも好適に適用することができる。
例えば、ポリエステル系シュリンクフィルムの使用方法を実施するに際して、まずは、ポリエステル系シュリンクフィルムを、適当な長さや幅に切断するとともに、長尺筒状物を形成する。
次いで、当該長尺筒状物を、自動ラベル装着装置(シュリンクラベラー)に供給し、更に必要な長さに切断する。
次いで、内容物を充填したPETボトル等に外嵌する。
次いで、PETボトル等に外嵌したポリエステル系シュリンクフィルムの加熱処理として、所定温度の熱風トンネルやスチームトンネルの内部を通過させる。
そして、これらのトンネルに備えてなる赤外線等の輻射熱や、90℃程度の加熱蒸気を周囲から吹き付けることにより、ポリエステル系シュリンクフィルムを均一に加熱して熱収縮させる。
よって、PETボトル等の外表面に密着させて、ラベル付き容器を迅速に得ることができる。
ここで、本発明のポリエステル系シュリンクフィルムによれば、少なくとも構成(a)~(c)を満足することを特徴とする。
そうすることで、熱収縮時のポリエステル系シュリンクフィルムにおいて、安定的に熱収縮等し、良好な破断防止性等を得ることができる。
また、熱収縮率の値が多少ばらついた場合であっても、TD方向の応力-歪み曲線(SS曲線)における上降伏点応力と下降伏点応力の差を所定値以下に制限することで、所定影響因子の要因を低下させて、熱収縮時のポリエステル系シュリンクフィルムにおいて、急激な熱応答による不均一な収縮を抑制することができ、結果として、熱収縮時の破断防止性を高めることができる。
なお、本発明のポリエステル系シュリンクフィルムは、乳酸由来の構造単位を事実上含まないことから、保管条件における厳格な湿度管理等が不要になるという利点もある。
以下、本発明を実施例に基づき、詳細に説明する。但し、特に理由なく、本発明の権利範囲が、実施例の記載によって狭められることはない。
なお、実施例において用いた樹脂は、以下の通りである。
(PETG1)
ジカルボン酸:テレフタル酸100モル%、ジオール:エチレングリコール70モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノール25モル%,ジエチレングリコール5モル%からなる非結晶性ポリエステル
(PETG2)
ジカルボン酸:テレフタル酸100モル%、ジオール:エチレングリコール72モル%、ネオペンチルグリコール25モル%、ジエチレングリコール3モル%からなる非結晶性ポリエステル
(APET)
ジカルボン酸:テレフタル酸100モル%、ジオール:エチレングリコール100モル%からなる結晶性ポリエステル
(PBT)
ジカルボン酸:テレフタル酸100モル%、ジオール:1,4―ブタンジオール100モル%からなる結晶性ポリエステル
[実施例1]
1.ポリエステル系シュリンクフィルムの作成
攪拌容器内に、非結晶性ポリエステル樹脂(PETG1)を100重量部用いた。
次いで、この原料を絶乾状態にしたのち、押出温度180℃の条件で、L/D24、押出スクリュー径50mmの押出機(田辺プラスチック機械株式会社製)により、押し出し成形を行い、厚さ100μmの原反シートを得た。
次いで、シュリンクフィルム製造装置を用い、原反シートから、延伸温度81℃、延伸倍率(MD方向:125%、TD方向:480%)で、厚さ25μmのポリエステル系シュリンクフィルムを作成した。
2.ポリエステル系シュリンクフィルムの評価
(1)評価1:厚さのばらつき
得られたポリエステル系シュリンクフィルムの厚さ(所望値である25μmを基準値として)を、マイクロメータを用いて測定し、以下の基準に準じて評価した。
◎:厚さのばらつきが基準値±0.1μmの範囲内の値である。
〇:厚さのばらつきが基準値±0.5μmの範囲内の値である。
△:厚さのばらつきが基準値±1.0μmの範囲内の値である。
×:厚さのばらつきが基準値±3.0μmの範囲内の値である。
(2)評価2:熱収縮率1(A1)
得られたポリエステル系シュリンクフィルム(TD方向)を、恒温槽を用いて、80℃の温水に、10秒間浸漬し(A1条件)、熱収縮させた。
次いで、所定温度(80℃温水)で加熱処理前後の寸法変化から、下式に準じて、熱収縮率(A1)を算出し、以下の基準に準じて評価した。
熱収縮率=(熱収縮前のフィルムの長さ-熱収縮後のフィルムの長さ)/熱収縮前のフィルムの長さ×100
◎:熱収縮率(A1)が30~75%の範囲内の値である。
〇:熱収縮率(A1)が25~80%の範囲内の値であって、上記◎の範囲外である。
△:熱収縮率(A1)が20~85%の範囲内の値であって、上記〇の範囲外である。
×:熱収縮率(A1)が20%未満又は85%を超える値である。
(3)評価3:熱収縮率2(A2)
得られたポリエステル系シュリンクフィルム(TD方向)を、恒温槽を用いて、90℃の温水に、10秒間浸漬し(A2条件)、熱収縮させた。
次いで、所定温度(90℃温水)の加熱処理前後の寸法変化から、下式に準じて、熱収縮率(A2)を算出し、以下の基準に準じて評価した。
熱収縮率=(熱収縮前のフィルムの長さ-熱収縮後のフィルムの長さ)/熱収縮前のフィルムの長さ×100
◎:熱収縮率(A2)が45~80%の範囲内の値である。
〇:熱収縮率(A2)が40~90%の範囲内の値であって、上記◎の範囲外である。
△:熱収縮率(A2)が35~95%の範囲内の値であって、上記〇の範囲外である。
×:熱収縮率(A2)が35%未満又は95%を超える値である。
(4)評価4:熱収縮率3(B1)
得られたポリエステル系シュリンクフィルム(MD方向)を、恒温槽を用いて、80℃の温水に、10秒間浸漬し(B1条件)、熱収縮させた。
次いで、所定温度(80℃温水)の加熱処理前後の寸法変化から、下式に準じて、熱収縮率(B1)を算出し、以下の基準に準じて評価した。
熱収縮率=(熱収縮前のフィルムの長さ-熱収縮後のフィルムの長さ)/熱収縮前のフィルムの長さ×100
◎:熱収縮率(B1)が4~10%の範囲内の値である。
〇:熱収縮率(B1)が3~12%の範囲内の値であって、上記◎の範囲外である。
△:熱収縮率(B1)が2~14%の範囲内の値であって、上記〇の範囲外である。
×:熱収縮率(B1)が2%未満又は14%を超える値である。
(5)評価5:熱収縮率4(B2)
得られたポリエステル系シュリンクフィルム(MD方向)を、恒温槽を用いて、90℃の温水に、10秒間浸漬し(B2条件)、熱収縮させた。
次いで、所定温度(90℃温水)の加熱処理前後の寸法変化から、下式に準じて、熱収縮率(B2)を算出し、以下の基準に準じて評価した。
熱収縮率=(熱収縮前のフィルムの長さ-熱収縮後のフィルムの長さ)/熱収縮前のフィルムの長さ×100
◎:熱収縮率(B2)が5~14%の範囲内の値である。
〇:熱収縮率(B2)が4~15%の範囲内の値であって、上記◎の範囲外である。
△:熱収縮率(B2)が3~16%の範囲内の値であって、上記〇の範囲外である。
×:熱収縮率(B2)が3%未満又は16%を超える値である。
(6)評価6:降伏点応力1(E1)
得られたポリエステル系シュリンクフィルムのTD方向のSS曲線における上降伏点応力E1を計測し、以下の基準に準じて評価した。
◎:上降伏点応力(E1)が98~117MPaの範囲内の値である。
〇:上降伏点応力(E1)が95~120MPaの範囲内の値であって、上記◎の範囲外である。
△:上降伏点応力(E1)が92~123MPaの範囲内の値であって、上記〇の範囲外である。
×:上降伏点応力(E1)が92MPa未満又は123MPaを超える値である。
(7)評価7:降伏点応力2(E2)
得られたポリエステル系シュリンクフィルムのTD方向のSS曲線における下降伏点応力E2を計測し、以下の基準に準じて評価した。
◎:上降伏点応力(E2)が93~112MPaの範囲内の値である。
〇:上降伏点応力(E2)が90~115MPaの範囲内の値であって、上記◎の範囲外である。
△:上降伏点応力(E2)が87~118MPaの範囲内の値であって、上記〇の範囲外である。
×:上降伏点応力(E2)が87MPa未満又は118MPaを超える値である。
(8)評価8:降伏点応力3(E1-E2)
得られたポリエステル系シュリンクフィルムのTD方向のSS曲線における上降伏点応力E1と下降伏点応力E2から、E1-E2を算出し、以下の基準に準じて評価した。
◎:4MPa以下の値である。
〇:5MPa以下の値である。
△:6MPa以下の値である。
×:6MPaを超えた値である。
(9)評価9:降伏点応力4(E2/E1)
得られたポリエステル系シュリンクフィルムのTD方向のSS曲線における上降伏点応力E1と下降伏点応力E2から、E2/E1を算出し、以下の基準に準じて評価した。
◎:0.93を超えた値である。
〇:0.9を超えた値であって、0.93以下の値である。
△:0.87を超えた値であって、0.9以下の値である。
×:0.87以下の値である。
(10)評価10:引張破壊呼びひずみ(C1)
JIS K 7127/2/200(1999年)に準拠して、得られたポリエステル系シュリンクフィルムのTD方向における引張破壊呼びひずみC1を測定し、以下の基準に準じて評価した。
◎:引張破壊呼びひずみ(C1)が42~105%の範囲内の値である。
〇:引張破壊呼びひずみ(C1)が40~110%の範囲内の値であって、上記◎の範囲外である。
△:引張破壊呼びひずみ(C1)が38~115%の範囲内の値であって、上記〇の範囲外である。
×:引張破壊呼びひずみ(C1)が38%未満又は118%を超える値である。
(11)評価11:破断防止性
得られたポリエステル系シュリンクフィルムを温度23℃、相対湿度50%RHの雰囲気下に6ヶ月放置した。
次に、JIS K7161に準拠し、切り出した1B型試験片(10個)をサンプルとし、温度23℃、相対湿度50%RHの雰囲気下で引張速度200mm/minにて引張試験を行い、応力-歪み曲線における弾性領域にて破断したサンプル数を、破断防止性として、以下の基準に準じて評価した。
◎:試験片の10個中、全てに、破断現象は観察されなかった。
〇:試験片の10個中、1個以下に破断現象が観察された。
△:試験片の10個中、4個以上に破断現象の発生が観察された。
×:試験片の10個中、6個以上に破断現象の発生が観察された。
(12)評価12:ヘイズ
JIS K 7105に準拠して、得られたポリエステル系シュリンクフィルムのヘイズ値を測定し、以下の基準に準じて評価した。
◎:1%以下の値である。
〇:3%以下の値である。
△:5%以下の値である。
×:5%を超えた値である。
[実施例2~3]
実施例2~3において、表1に示すように、それぞれ構成(a)~(c)等の値を変えて、実施例1と同様に、各種ポリエステル系シュリンクフィルムを作成したほかは、実施例1と同様に、熱収縮率(A1、A2、B1、B2)、降伏点応力(E1、E2、E1-E2、E2/E1)等を評価した。結果を表2に示す。
すなわち、実施例2において、非結晶性ポリエステル樹脂(PETG1)を90重量部及び結晶性ポリエステル樹脂(APET)を10重量部の割合で混合し、それを原材料とし、押出条件を変えて、厚さ30μmのポリエステル系シュリンクフィルムを作成したほかは、実施例1と同様にし、評価した。結果を表2に示す。
また、実施例3において、非結晶性ポリエステル樹脂(PETG2)を95重量部及び結晶性ポリエステル樹脂(PBT)を5重量部の割合で混合し、それを原材料とし、押出条件を変えて、厚さ22μmのポリエステル系シュリンクフィルムを作成したほかは、実施例1と同様にし、評価した。結果を表2に示す。
[比較例1~4]
比較例1~4において、表1に示すように、構成要件(a)、(b)、(c)、を同時に全ては満足しない、ポリエステル系シュリンクフィルムを作成し、実施例1と同様に評価した。
比較例1において、表1に示すように、構成要件(c)を満足しない、ポリエステル系シュリンクフィルムを作成し、実施例1と同様に、評価して結果を表2に示す。
すなわち、非結晶性ポリエステル樹脂(PETG1)を原材料とし、押出条件を変えて、厚さ40μmのポリエステル系シュリンクフィルムを作成した。
また、比較例2において、表1に示すように、構成要件(c)を満足しない、ポリエステル系シュリンクフィルムを作成し、実施例1と同様に、評価して結果を表2に示す。
すなわち、非結晶性ポリエステル樹脂(PETG1)を原材料とし、押出条件を変えて、厚さ25μmのポリエステル系シュリンクフィルムを作成した。
また、比較例3において、表1に示すように、構成要件(c)を満足しない、ポリエステル系シュリンクフィルムを作成し、実施例1と同様に、評価して結果を表2に示す。
すなわち、非結晶性ポリエステル樹脂(PETG2)を原材料とし、押出条件を変えて、厚さ40μmのポリエステル系シュリンクフィルムを作成した。
また、比較例4において、表1に示すように、構成要件(c)を満足しない、ポリエステル系シュリンクフィルムを作成し、実施例1と同様に、評価して結果を表2に示す。
すなわち、非結晶性ポリエステル樹脂(PETG1)を97重量部及び結晶性ポリエステル樹脂(PBT)を3重量部の割合で混合し、それを原材料とし、押出条件を変えて、厚さ25μmのポリエステル系シュリンクフィルムを作成した。
Figure 2022074157000002
Figure 2022074157000003
本発明によれば、従来の熱収縮性熱可塑性樹脂系フィルム、特にポリエステル系シュリンクフィルムの欠点を解消し、所定の構成(a)~(c)、及び(n)等を満足することによって、優れた破断防止性を有するポリエステル系シュリンクフィルムをラベルとして装着させたラベル付き容器等を効果的に提供できるようになった。
特に、(a)~(c)、及び(n)の構成等を満足することによって、熱収縮条件がばらついたような場合や、適用されるPETボトルの形状が多少変化したような場合であっても、幅広い温度領域(例えば、70~100℃、10秒)において、安定的に熱収縮し、優れた破断防止性を得ることができるようになった。
したがって、本発明のラベル付き容器等によれば、その容器に各種PETボトル等を選択することができ、汎用性を著しく広げることができ、その産業上の利用可能性は極めて高いと言える。
10:ポリエステル系シュリンクフィルム
10a:他の樹脂層1
10b:他の樹脂層2
10c:収縮率調整層

Claims (9)

  1. ポリエステル系樹脂に由来したポリエステル系シュリンクフィルムをラベルとして装着させたラベル付き容器であって、
    前記ポリエステル系シュリンクフィルムが、下記構成(a)~(c)、及び(n)を有することを特徴とするラベル付き容器。
    (a)主収縮方向をTD方向とし、当該TD方向における、80℃の温水中で、10秒の条件で収縮させた場合の熱収縮率をA1としたときに、前記A1を25%以上の値とする。
    (b)前記TD方向における、90℃の温水中で、10秒の条件で収縮させた場合の熱収縮率をA2としたときに、当該A2を40%以上の値とする。
    (c)前記TD方向の応力-歪み曲線における上降伏点応力をE1とし、前記TD方向の応力-歪み曲線における下降伏点応力をE2としたときに、E1-E2で表される数値を5MPa以下の値とする。
    (n)非結晶性ポリエステルを、樹脂全体量の90~95重量%の範囲で含む。
  2. 前記ポリエステル系シュリンクフィルムが、下記構成(e)を更に有することを特徴とする請求項1に記載のラベル付き容器。
    (e)前記上降伏点応力であるE1の値を、前記下降伏点応力であるE2の値より大きくするとともに、前記E1を95~120MPaの範囲内の値とし、前記E2を90~115MPaの範囲内の値とする。
  3. 前記ポリエステル系シュリンクフィルムが、下記構成(f)を更に有することを特徴とする請求項1又は2に記載のラベル付き容器。
    (e)前記上降伏点応力であるE1及び前記下降伏点応力であるE2の比率である、E2/E1で表される数値を0.9超の値とする。
  4. 前記ポリエステル系シュリンクフィルムが、下記構成(g)を更に有することを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載のラベル付き容器。
    (g)前記TD方向と直交する方向をMD方向とし、当該MD方向における、80℃の温水中で、10秒の条件で収縮させた場合の熱収縮率をB1としたときに、当該B1を3%以上の値とする。
  5. 前記ポリエステル系シュリンクフィルムが、下記構成(h)を更に有することを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載のラベル付き容器。
    (h)前記TD方向と直交する方向をMD方向とし、当該MD方向における、90℃の温水中で、10秒の条件で収縮させた場合の熱収縮率をB2としたときに、当該B2を4%以上の値とすることを特徴とする。
  6. 前記ポリエステル系シュリンクフィルムが、下記構成(i)を更に有することを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載のラベル付き容器。
    (i)前記TD方向における、JIS K 7127/2/200(1999年)に準拠して測定される引張破壊呼びひずみをC1としたときに、当該C1を40%以上の値とする。
  7. 前記ポリエステル系シュリンクフィルムが、下記構成(m)を更に有することを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載のラベル付き容器。
    (m)収縮前のフィルムのJIS K7105に準拠して測定されるヘイズ値を5%以下の値とする。
  8. 前記ポリエステル系シュリンクフィルムが、下記構成(d)を更に有することを特徴とする請求項1~7のいずれか一項に記載のラベル付き容器。
    (d)前記ポリエステル系シュリンクフィルムの厚さを10~100μmの範囲内の値とする。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載のラベル付き容器の製造方法であって、
    少なくとも下記工程(1)~(4)を含むことを特徴とするラベル付き容器の製造方法。
    (1)少なくとも下記構成(a)~(c)、及び(n)を有するポリエステル系シュリンクフィルムから長尺筒状物を形成する工程
    (a)主収縮方向をTD方向とし、当該TD方向における、80℃の温水中で、10秒の条件で収縮させた場合の熱収縮率をA1としたときに、前記A1を25%以上の値とする。
    (b)前記TD方向における、90℃の温水中で、10秒の条件で収縮させた場合の熱収縮率をA2としたときに、当該A2を40%以上の値とする。
    (c)前記TD方向の応力-歪み曲線における上降伏点応力をE1とし、前記TD方向の応力-歪み曲線における下降伏点応力をE2としたときに、E1-E2で表される数値を5MPa以下の値とする。
    (n)非結晶性ポリエステルを、樹脂全体量の90~95重量%の範囲で含む。
    (2)前記長尺筒状物を、自動ラベル装着装置に供給し、必要な長さに切断する工程
    (3)必要な長さに切断された前記長尺筒状物を、内容物を充填した容器に外嵌する工程
    (4)前記長尺筒状物を外嵌した前記容器を、熱風トンネル又はスチームトンネルの内部を通過させ、前記長尺筒状物を、加熱して熱収縮させる工程
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