JP2022072297A - 異方性導電フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】基材フィルム、バインダー樹脂層に導電粒子が保持されている導電粒子含有層、及び絶縁性樹脂層がこの順で積層されている構成を有し、ディスプレイパネルとフレキシブル回路基板との異方性導電接続に適した異方性導電フィルムを、巻装体に加工した場合でも引き出しブロッキングの発生を大きく抑制できるようにする。【解決手段】異方性導電フィルムは、基材フィルム、バインダー樹脂層に導電粒子が保持されている導電粒子含有層、及び絶縁性樹脂層がこの順で積層されている構造を有し、絶縁性樹脂層は、70℃以上110℃以下のガラス転移温度を有するポリビニルアセタール樹脂を含有している。ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度は、60モル%以上80モル%以下であり、水酸基量は20モル%以上40モル%以下であり、アセチル基量は10モル%以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、ディスプレイパネル(DP)とフレキシブル回路基板(FPC)との異方性導電接続に適した異方性導電フィルムに関する。
従来、液晶表示装置や有機EL表示装置等の表示装置を製造する際、ガラスや光学プラスチック製の基板上に画像表示素子が作り込まれたディスプレイパネルと、フレキシブル回路基板とを、異方性導電フィルムを介して異方性導電接続することが行われている。図6に示すように、このような異方性導電フィルム60は、基材フィルム61上に、絶縁性樹脂層62が形成され、更にその上に、バインダー樹脂層63に導電粒子64が保持されている導電粒子含有層65が形成された構造を有しており、前述の異方性導電接続の際には、図7に示すように、ディスプレイパネル70の外縁に設けられた電極部71に、異方性導電フィルム60の導電粒子含有層65を仮貼りし、図8に示すように、基材フィルム61を剥離して絶縁性樹脂層62を露出させ、続いて、図9に示すように、ディスプレイパネル70の電極部71にフレキシブル回路基板80の端子部81を位置合わせし、ヒートプレスツール90で熱圧着することで、図10に示すように、ディスプレイパネル70とフレキシブル回路基板80とを異方性導電接続していた(特許文献1)。
近年、ディスプレイパネルの画像表示領域の拡大の要請に伴い、ディスプレイパネル70の外縁の電極部71の狭額縁化が進行した結果、従来の図6の異方性導電フィルム60をその表面の導電粒子含有層65側からディスプレイパネルの電極部71に仮貼りすることが困難になったため、異方性導電フィルムをフレキシブル回路基板の端子部に仮貼りした後に、ディスプレイパネルの電極部に位置合わせし、熱圧着することでディスプレイパネルとフレキシブル回路基板とを異方性導電接続することが試みられている。この場合、図1に示すように、異方性導電フィルム10として、基材フィルム1に、バインダー樹脂層2に導電粒子3が保持されている導電粒子含有層4が形成され、更にその上に、導電粒子含有層4よりも最低溶融粘度が低い絶縁性樹脂層5が形成された構造を有しているものの使用が検討され始めている。
国際公開2011/093207号公報
しかしながら、図1の構成の異方性導電フィルム10は、導電粒子含有層4よりも低粘度、換言すれば高タック性を示す絶縁性樹脂層5が表面に露出しているため、広幅の異方性導電フィルムを幅狭にスリットすると、絶縁性樹脂層5を構成する樹脂がスリット刃に粘着し、スリット時に基材フィルム1と導電粒子含有層4とが剥離してしまうという問題が生ずる場合があった。このように剥離してしまうと、巻き芯に一対のフランジが装着されているリールの当該巻き芯に異方性導電フィルムを巻き付けて保管用の巻装体に加工しようとしても、そもそも巻装体への加工ができなくなる。特に、近年の狭額縁化のために、広幅の異方性導電フィルムを0.4mm幅以下にスリットしようとした場合、スリット時に基材フィルム1と導電粒子含有層4との剥離が頻発し、実質的にスリットができないという問題がある。また、スリット時に基材フィルム1と導電粒子含有層4とが剥離しないまでも、異方性導電フィルム10の表面に露出している絶縁性樹脂層5のスリット面にスリットダレが生じたり、巻装体に加工後に巻装体に生ずる内部応力や保管温度の影響により絶縁性樹脂層5がクリープ現象により変形したりする場合があった。このように、絶縁性樹脂層5のスリット面にスリットダレが生じたり、絶縁性樹脂層5が変形したりすると、異方性導電フィルムを巻装体に加工できたとしても、保管温度や保管時間により異方性導電フィルム間に絶縁性樹脂が侵入して異方性導電フィルム間にブロッキングが生じ、あるいは巻装体のフランジに異方性導電フィルムが粘着し、巻装体から異方性導電フィルムを適正に引き出すことができなくなる現象(引き出しブロッキング現象)が生じる場合があった。
本発明の目的は、従来の問題を解決しようとすることであり、基材フィルム、バインダー樹脂層に導電粒子が保持されている導電粒子含有層及び絶縁性樹脂層がこの順で積層されている構成を有する異方性導電フィルムに対し、ディスプレイパネルとフレキシブル回路基板との異方性導電接続に適するように細幅(例えば、0.4mm幅以下)にスリット可能とし、しかもスリット後の細幅の異方性導電フィルムを、巻装体に加工した場合でも引き出しブロッキングの発生を大きく抑制することである。
本発明者らは、異方性導電フィルムの絶縁性樹脂層に所定範囲のガラス転移温度を有するポリビニルアセタール樹脂を含有させることにより、上述の目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、基材フィルム、バインダー樹脂層に導電粒子が保持されている導電粒子含有層、及び絶縁性樹脂層がこの順で積層されてなる異方性導電フィルムであって、絶縁性樹脂層が、70℃以上110℃以下のガラス転移温度を有するポリビニルアセタール樹脂を含有する異方性導電フィルムを提供する。
また、本発明は、第1電子部品と第2電子部品とが、上述の本発明の異方性導電フィルムから基材フィルムが剥離除去された残余の導電粒子含有層と絶縁性樹脂層との積層体を介して異方性導電接続されてなる接続構造体を提供する。この接続構造体においては、第1電子部品がディスプレイパネルであり、第2電子部品がフレキシブル回路基板であり、導電粒子含有層がディスプレイパネル側に配置されていることが好ましい。
更に、本発明は、第1電子部品と第2電子部品とを、上述の本発明の異方性導電フィルムから基材フィルムが剥離除去された残余の導電粒子含有層と絶縁性樹脂層との積層体を介して異方性導電接続する、接続構造体の製造方法も提供する。この製造方法においては、第1電子部品がディスプレイパネルであり、第2電子部品がフレキシブル回路基板であり、導電粒子含有層をディスプレイパネル側に配置して異方性導電接続を行うことが好ましい。
本発明の異方性導電フィルムは、基材フィルム、バインダー樹脂層に導電粒子が保持されている導電粒子含有層、及び絶縁性樹脂層がこの順で積層されている構造を有する。このため、絶縁性樹脂層が表面に露出しているので、異方性導電フィルムを絶縁性樹脂層側からフレキシブル回路基板に仮貼りすることができる。また、絶縁性樹脂層が、70℃以上110℃以下ガラス転移温度を有するポリビニルアセタール樹脂を含有する。このため、異方性導電フィルムを例えば0.4mm以下の細幅にスリットする際に、絶縁性樹脂層のスリットダレの発生を抑制して異方性導電フィルムのスリット適性を改善することができ、しかも、異方性導電フィルムを巻装体に加工した場合でも、引き出しブロッキングの発生を大きく抑制することができる。
図1は、本発明の異方性導電フィルム10の断面図である。 図2は、本発明の接続構造体の製造方法の説明図である。 図3は、本発明の接続構造体の製造方法の説明図である。 図4は、本発明の接続構造体の製造方法の説明図である。 図5は、本発明の接続構造体の製造方法の説明図である。 図6は、従来の異方性導電フィルムの断面図である。 図7は、従来の接続構造体の製造方法の説明図である。 図8は、従来の接続構造体の製造方法の説明図である。 図9は、従来の接続構造体の製造方法の説明図である。 図10は、従来の接続構造体の製造方法の説明図である。
以下、本明の異方性導電フィルム並びにその製造方法について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、各図中、同一符号は、同一又は同等の構成要素を表している。
<<異方性導電フィルム>>
図1に示すように、本発明の異方性導電フィルム10は、基材フィルム1、バインダー樹脂層2に導電粒子3が保持されている導電粒子含有層4、及び絶縁性樹脂層5がこの順で積層されている構造を有する。本発明の異方性導電フィルム10は、絶縁性樹脂層5が、70℃以上110℃以下のガラス転移温度を有するポリビニルアセタール樹脂を含有することを特徴としている。以下、異方性導電フィルム10を構成する層毎に詳細に説明する。
<絶縁性樹脂層5>
異方性導電フィルム10を構成する絶縁性樹脂層5は、フレキシブル回路基板と、ガラスや光学プラスチックなどの硬質材料からなるディスプレイパネルとを当該異方性導電フィルム10を介して熱圧着により異方性導電接続する際に、フレキシブル回路基板側にまず仮貼りされる層である。絶縁性樹脂層5は、後述するように、導電粒子含有層よりも低い最低溶融粘度となるように設計することで、異方性導電フィルムを異方性導電接続に適用した際に、導電粒子含有層を異方性導電接続すべき対向電極間から移動し難くして導電粒子の粒子捕捉性を担保し、また、比較的低い最低溶融粘度を示す絶縁性樹脂層を流動させて対向電極間からはみ出させてはみ出し部を形成することで、異方性導電接続部の接着強度を高めるという役割を担っている。また、絶縁性樹脂層5が流動することは、異方性導電接続の際に、導電粒子の電極への押し込みを担保して、導通信頼性の向上にも寄与している。このような絶縁性樹脂層5の存在により、ディスプレイパネルの外縁の電極部の狭額縁化にも対応することができる。
(ポリビニルアセタール樹脂)
この絶縁性樹脂層5に、70℃以上110℃以下、好ましくは80℃以上110℃以下のガラス転移温度を示すポリビニルアセタール樹脂を含有させる理由は、異方性導電フィルムを例えば0.4mm以下の細幅にスリットする際に、絶縁性樹脂層のスリットダレの発生を抑制して異方性導電フィルムのスリット適性を改善すると共に、異方性導電フィルムを巻装体とした場合にも、巻装体の内部応力による絶縁性樹脂層5の変形を抑制するためである。なお、ガラス転位温度が70℃未満であると、絶縁性樹脂層5の変形を抑制し難くなる場合があり、110℃を超えると絶縁性樹脂層5を有する異方性導電フィルムを用いる異方性導電接続の際に、導電粒子の押し込み性の低下による導通不良等の実装不良が生ずる傾向がある。ガラス転移温度の測定は、公知の示差走査熱量測定により行うことができる。
ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールにアルデヒド化合物をアセタール化反応させて得られる化合物であり、通常、アセタール基の他にアセチル基と水酸基とを有している。ここで、アセタール基は、2つのビニルアルコール単位と一分子のアルデヒド化合物とが結合したものであり、1つのアセチル基は1つのビニルアルコール単位に結合しており、1つの水酸基は1つのフリーのビニルアルコール単位に対応している。従って、ポリビニルアセタール樹脂におけるアセタール基、アセチル基、水酸基のそれぞれの重合度をl、m、nとしたときに、これらの基の含有量は以下の式に従って算出され、本発明で好ましく使用できるポリビニルアセタール樹脂を特定する指標となる。
アセタール基量(アセタール化度:モル%)={l/(l+m+n)}×100
アセチル基量(モル%)={m/(l+m+n)}×100
水酸基量(モル%)={n/(l+m+n)}×100
本発明の異方性導電フィルムでは、絶縁性樹脂層5に含有させるポリビニルアセタール樹脂として、アセタール化度が好ましくは60モル%以上80モル%以下、より好ましくは65モル%以上75モル%以下ものを使用する。アセタール化度がこの範囲を下回ると絶縁性樹脂層5を構成する他の樹脂成分との相溶性が低下する傾向があり、上回ると絶縁性樹脂層5が過度に柔軟化し、ポリビニルアセタール樹脂の期待した添加効果が得られない傾向がある。
また、絶縁性樹脂層5に含有させるポリビニルアセタール樹脂として、水酸基量が好ましくは20モル%以上40モル%以下、より好ましくは25モル%以上35モル%以下のものを使用する。水酸基量がこの範囲を下回ると絶縁性樹脂層5を作成する際に使用する絶縁性樹脂層形成用組成物の成膜性が低下する傾向があり、上回ると絶縁性樹脂層5の膜強度が高くなりすぎ、絶縁性樹脂層5を有する異方性導電フィルムの異方性導電接続の際に導電粒子の押し込み性の低下による導通不良等の実装不良が生ずる傾向がある。
また、絶縁性樹脂層5に含有させるポリビニルアセタール樹脂として、アセチル基量が好ましくは10モル%以下、より好ましくは3モル%以下のものを使用する。アセチル基量がこの範囲を上回ると絶縁性樹脂層5のガラス転移温度が低下して異方性導電フィルムのスリット適性が低下し、絶縁性樹脂層5の変形を抑制し難くなる傾向がある。なお、絶縁性樹脂層形成用組成物の溶液粘度を過度に上昇させずに良好なコーティング特性を維持するために、アセチル基量は0.5モル%以上であることが好ましい。
ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルプロパナール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等が挙げられる。中でも、入手容易で比較的化学的に安定性の高いポリビニルブチラール樹脂が好ましい。
なお、ポリビニルアセタール樹脂の重量平均分子量は、低すぎると絶縁性樹脂層形成用組成物の溶液粘度が低下してそのコーティング特性の低下を招くので、好ましくは1.0×10以上、より好ましくは1.0×10以上であり、高すぎても絶縁性樹脂層形成用組成物の溶液粘度が過度に上昇してコーティング特性の低下を招き、また、絶縁性樹脂層5を有する異方性導電フィルムの異方性導電接続の際に導電粒子の押し込み性の低下による導通不良等の実装不良が生ずる傾向があるので、好ましくは1.0×10以下、より好ましくは1.0×10以下である。
絶縁性樹脂層5におけるポリビニルアセタール樹脂の含有量は、少なすぎると絶縁性樹脂層5を有する細幅(例えば0.4mm幅以下)の異方性導電フィルムを巻装体に加工した場合に、ブロッキング抑制効果を示し難くなるので、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上であり、多すぎると絶縁性樹脂層5を有する異方性導電フィルムの異方性導電接続の際に導電粒子の押し込み性の低下による導通不良等の実装不良が生ずる傾向があるので、好ましくは20質量%以下、より好ましくは10質量%以下である。
(ポリビニルアセタール樹脂以外の成分)
本発明の異方性導電フィルム10の絶縁性樹脂層5は、ポリビニルアセタール樹脂に加えて、更に成膜用樹脂と、重合性アクリル系化合物と、重合開始剤とを含有することが好ましい。
(成膜用樹脂)
成膜用樹脂は、絶縁性樹脂層5に層形状安定性を付与するものであり、公知の成膜用樹脂の中から適宜選択して使用することができる。例えば、フェノキシ系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、ウレタン系樹脂、ブタジエン系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリアミド系樹脂等を使用することできる。中でも、絶縁性樹脂層5を有する異方性導電フィルムによる異方性導電接続に良好な高温高湿信頼性を付与する点からフェノキシ系樹脂が好ましく、特にビスフェノールA型エポキシタイプフェノキシ樹脂(例えば、YP-50、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社)が好ましい。
絶縁性樹脂層5における成膜用樹脂の含有量は、少なすぎるとフィルム化し難くなるので、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、多すぎると絶縁性樹脂層5を有する異方性導電フィルムの異方性導電接続の際に導電粒子の押し込み性の低下による導通不良等の実装不良が生ずる傾向があるので、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。
(重合性アクリル系化合物)
重合性アクリル系化合物は、絶縁性樹脂層形成用組成物の重合成分であり、重合後の絶縁性樹脂層5に機械的強度と接着強度と付与する成分であり、アクリロイル基又はメタクロイル基(以下(メタ)アクロイル基と称する)を少なくとも1つ有する化合物である。異方性導電フィルムによる異方性導電接続に良好な導通信頼性を付与するために、2以上、好ましくは2つの(メタ)アクロイル基を有する。
重合性アクリル系化合物の具体例としては、ポリエチレングリコールジアクリレート、リン酸エステル型アクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、4-ヒドロキシブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ビスフェノキシエタノールフルオレンジアクリレート、2-アクリロイロキシエチルコハク酸、ラウリルアクリレート、ステアリルアクリレート、イソボルニルアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、o-フタル酸ジグリシジルエーテルアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジメタクリレート、ビスフェノールA型エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、エポキシアクリレート等、及びこれらに相当する(メタ)アクリレートを挙げることができる。
絶縁性樹脂層5中の重合性アクリル系化合物の含有量は、少なすぎると絶縁性樹脂層5を有する異方性導電フィルムによる異方性導電接続の際の導通信頼性が低下する傾向があるので、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上であり、多すぎると絶縁性樹脂層5の接着強度が低くなる傾向があるので、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60重量%以下である。
(重合開始剤)
重合開始剤は、重合性アクリル系化合物を重合開始させるための化合物であり、公知のラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、アニオン重合開始剤の中から適宜選択して使用することができ、中でも、ラジカル重合開始剤が好ましく、有機過酸化物が特に好ましい。有機過酸化物としては、公知のものを適宜選択することができる。例えば、ラウロイルパーオキサイド、ブチルパーオキサイド、ベンジルパーオキサイド、ベンソイルパーオキサイド等を挙げることができる。
絶縁性樹脂層5における重合開始剤の含有量は、重合性アクリル系化合物の種類や配合量、重合開始剤の種類などに応じて適宜決定することができる。
(絶縁性フィラー)
絶縁性樹脂層5には、溶融粘度調整のために、絶縁性フィラーを含有させてもよい。これはシリカ粉やアルミナ粉などが挙げられる。絶縁性フィラー粒径5~1000nmの微小なフィラーが好ましい。なお、絶縁性樹脂層5における絶縁性フィラーの含有量は、所望の溶融粘度、絶縁性フィラーの種類や粒径、他の成分の種類や配合量などに応じて適宜決定することができる。
なお、絶縁性樹脂層5には、軟化剤、促進剤、老化防止剤、着色剤(顔料、染料)、有機溶剤、イオンキャッチャー剤などを含有させてもよい。
絶縁性樹脂層5の層厚は、ディスプレイパネルとフレキシブル回路基板との異方性導電接続の際に、フレキシブル回路基板に先に仮貼りでき、且つ絶縁性樹脂層5を有する異方性導電フィルムによる異方性導電接続に良好な接続信頼性を付与するために、好ましくは3μm以上、より好ましくは5μm以上、好ましくは20μm以下、より好ましくは15μm以下である。
<導電粒子含有層4>
導電粒子含有層4は、バインダー樹脂層2に導電粒子3が保持されている構成を有し、導電粒子3の保持の態様には特に制限はない。例えば、導電粒子3が、バインダー樹脂層2にランダムに分散していてもよい。導電粒子3がバインダー樹脂層2の平面方向に規則配列、例えば格子状に配列していてもよく、その場合、単層で規則配列してもよい。
(バインダー樹脂層2)
導電粒子含有層4を構成するバインダー樹脂層2は、ポリビニルアセタール樹脂を除き、絶縁性樹脂層5と同様の構成成分(即ち、成膜用樹脂と重合性アクリル系化合物と重合開始剤)を含有してもよいが、膜強度を向上させるために、重合性アクリル系化合物として、2以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物を必ず含有することが好ましい。なお、本発明の効果を損なわない限り、バインダー樹脂層2に、少量のポリビニルアセタール樹脂を含有させてもよいが、初期導通信頼性と接着強度の観点から含有させない方が好ましい。
バインダー樹脂層2中の成膜用樹脂の含有量は、少なすぎるとフィルム化し難くなるので、好ましくは10質量%以上、より好ましくは30質量%以上、多すぎるとバインダー樹脂層2を有する異方性導電フィルムの異方性導電接続の際に導電粒子の押し込み性の低下による導通不良等の実装不良が生ずる傾向があるので、好ましくは70質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。
バインダー樹脂層2中の重合性アクリル系化合物の含有量は、少なすぎるとバインダー樹脂層2を有する異方性導電フィルムによる異方性導電接続の際の導通信頼性が低下する傾向があるので、好ましくは20質量%以上、より好ましくは30質量%以上であり、多すぎるとバインダー樹脂層2の接着強度が低くなる傾向があるので、好ましくは70質量%以下、より好ましくは60重量%以下である。
(重合開始剤)
バインダー樹脂層2中の重合開始剤の含有量は、重合性アクリル系化合物の種類や配合量、重合開始剤の種類などに応じて適宜決定することができる。
(絶縁性フィラー)
バインダー樹脂層2には、溶融粘度調整のために、絶縁性フィラーを含有させてもよい。これはシリカ粉やアルミナ粉などが挙げられる。絶縁性フィラー粒径5~1000nmの微小なフィラーが好ましい。なお、バインダー樹脂層2中の絶縁性フィラーの含有量は、所望の溶融粘度、絶縁性フィラーの種類や粒径、他の成分の種類や配合量などに応じて適宜決定することができる。
なお、バインダー樹脂層2には、軟化剤、促進剤、老化防止剤、着色剤(顔料、染料)、有機溶剤、イオンキャッチャー剤などを含有させてもよい。
バインダー樹脂層2の層厚は、導電粒子の粒径にもよるが、ディスプレイパネルとフレキシブル回路基板との異方性導電接続の際に、ディスプレイパネルへの異方性導電接続が確実にできるように、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、好ましくは6μm以下、より好ましくは5μm以下である。
(導電粒子3)
導電粒子3としては、従来の異方性導電フィルムに適用されてきたものを適宜選択して使用することができ、ニッケル粒子、ハンダ粒子などの金属又は合金粒子、ベンゾグアナミン等の樹脂粒子の表面にニッケルメッキを施した金属被覆樹脂粒子等を使用することができる。2種以上を併用することもできる。
導電粒子3の平均粒子径は、ディスプレイパネルとフレキシブル回路基板との異方性導電接続に適した大きさとする。好ましくは1μm以上、より好ましくは2μm以上、好ましくは10μm以下、より好ましくは4μm以下である。平均粒子径は、一般的な粒度分布測定装置により測定することができ、例えば、商品名:FPIA-3000(マルバーン社)で特定される粒度分布測定装置で測定することができる。測定の際、粒子径を測定するサンプル数を200以上、好ましくは1000以上、より好ましくは5000以上とすることが望ましい。また、導電粒子の平均粒子径は、一般的な粒度分布測定装置を用いずに、導電粒子をガラス板などの平板上に散布したサンプルや、硬化性樹脂組成物に混練し単分散させて塗布したサンプルを、金属顕微鏡や走査型電子顕微鏡により観察して得た複数の導電粒子の粒子径を算術平均することで求めることもできる。
バインダー樹脂層2中の導電粒子3の含有量を粒子面密度[pcs/mm]という指標で評価した場合、粒子面密度が小さすぎると異方性導電フィルムによる異方性導電接続部位における対向電極間で捕捉される粒子が不足し、高抵抗となり、多すぎても配線間での粒子連結(ショート)が生じるリスクがあるので、好ましくは4000pcs/mm以上、より好ましくは8000pcs/mm以上、好ましくは20000pcs/mm以下、より好ましくは16000pcs/mm以下である。
(最低溶融粘度)
本発明の異方性導電フィルム10の絶縁性樹脂層5の最低溶融粘度は、粒子捕捉性のために、好ましくは導電粒子含有層4の最低溶融粘度よりも低いことが好ましい。最低溶融粘度比で評価すると、好ましくは絶縁性樹脂層5:導電粒子含有層4=1:40~1:2、より好ましくは絶縁性樹脂層5:導電粒子含有層4=1:20~1:5である。なお、最低溶融粘度は、公知の手法により測定することができる、例えば、回転式レオメータ(TA instruments社製)を用い、測定圧力5gで一定に保持し、直径8mmの測定プレートを使用し求めることができ、より具体的には、温度範囲30~200℃において、昇温速度10℃/分、測定周波数10Hz、前記測定プレートに対する荷重変動5gとすることにより求めることができる。
(基材フィルム1)
基材フィルム1は、異方性導電フィルム10の製造時や保管時に異方性導電フィルム10の形状保持性やハンドリング特性を改善するためのフィルムであり、異方性導電接続の際には最終的に除去されてしまうものであり、従来公知の基材フィルムを使用することができる。例えば、必要により公知の剥離剤が塗布された、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ナイロンフィルム、ポリイミドフィルム等を挙げることができる。また。基材フィルム1の厚みとしては、好ましくは20μm以上、特に好ましくは35μm以上、好ましくは100μm以下、より好ましくは60μm以下である。
<異方性導電フィルムの製造方法>
本発明の異方性導電フィルムは、公知の方法に従って製造することができる。例えば、導電粒子がバインダー樹脂層にランダムに分散している場合には、バインダー樹脂層形成用組成物に導電粒子を分散させ、得られた分散物を基材フィルムに塗布し、例えば約60~100℃、好ましくは70~90℃のオーブン中で1分~1時間、好ましくは2~10分間程度乾燥させることにより、導電粒子含有層を形成する。別の基材フィルムに、絶縁性樹脂層形成用組成物を塗布し、例えば約60~100℃、好ましくは70~90℃のオーブン中で1分~1時間、好ましくは2~10分間程度乾燥させることにより、絶縁性樹脂層を形成する。この絶縁性樹脂層を前出の導電粒子含有層に貼り合わせ、絶縁性樹脂層の基材フィルムを剥離することにより、図1に開示の構成の異方性導電フィルムが得られる。
なお、基材フィルム上に導電粒子を含有しないバインダー樹脂層を形成した後、公知の手法によりバインダー樹脂層に導電粒子を規則配列させて導電粒子含有層を形成し、その後、絶縁性樹脂層を積層させてもよい。
<異方性導電フィルムの使用方法>
本発明の異方性導電フィルムは、ガラス基板、プラスチック基板、リジッド基板、セラミック基板、ICモジュール、ディスプレイパネルなどの第1電子部品と、フレキシブル回路基板などの第2電子部品とを、常法により異方性導電接続する際に好ましく使用することができる。なお、本発明の異方性導電フィルムで接続する電子部品は、上述の電子部品に限定されるものではない。
したがって、本発明は、上述の本発明の異方性導電フィルムから基材フィルムが剥離除去された残余の導電粒子含有層と絶縁性樹脂層との積層体を介して第1電子部品と第2電子部品とを異方性導電接続してなる接続構造体、及び上述の本発明の異方性導電フィルムから基材フィルムが剥離除去された残余の導電粒子含有層と絶縁性樹脂層との積層体を介して第1電子部品と第2電子部品とを異方性導電接続する接続構造体の製造方法を、それぞれ本発明の一態様として包含する。好ましい接続構造体は、第1電子部品がディスプレイパネルであり、第2電子部品がフレキシブル回路基板であり、導電粒子含有層がディスプレイパネル側に配置されている態様である。また、好ましい接続構造体の製造方法は、第1電子部品がディスプレイパネルであり、第2電子部品がフレキシブル回路基板であり、導電電粒子含有層をディスプレイパネル側に配置して異方性導電接続を行う態様である。以下に接続構造体の製造方法を図面に従って説明する。
まず、図1に示す異方性導電フィルム10を用意する。この異方性導電フィルム10は、基材フィルム1上に、バインダー樹脂層2に導電粒子3が保持されている導電粒子含有層4が形成され、更にその上に、絶縁性樹脂層5が形成された構造を有している。
次に、図2に示すように、フレキシブル回路基板80の端子部81に、異方性導電フィルム10の絶縁性樹脂層5を仮貼りし、図3に示すように基材フィルム1を剥離して導電粒子含有層4を露出させ、続いて、図4に示すように、ディスプレイパネル70の電極部71にフレキシブル回路基板80の端子部81を位置合わせし、ヒートプレスツール90で熱圧着することで、図5に示すように、ディスプレイパネル70とフレキシブル回路基板80とを異方性導電接続することができる。
以下、本発明の異方性導電フィルムについて、実施例により具体的に説明する。
実施例1~3、比較例1~3
異方性導電フィルムの製造
(イ)絶縁性樹脂層の形成
表1に示した配合で、絶縁性樹脂層形成用組成物を調製した。この組成物をバーコーターでフィルム厚さ50μmの基材フィルムとしてのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に塗布し、80℃のオーブンにて5分間乾燥させ、PETフィルム上に10μm厚の絶縁性樹脂層を形成した。
(ロ)バインダー樹脂層の形成
表1に示した配合で、バインダー樹脂層形成用組成物を調製した。この組成物をバーコーターでフィルム厚さ50μmの基材フィルムとしてのPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルム上に塗布し、80℃のオーブンにて5分間乾燥させ、PETフィルム上に4μm厚のバインダー樹脂層を形成した。
(ハ)導電粒子含有層の形成
外径が3.5μm、高さ3.5μmの略円柱形状の凸部が13000個/mmの密度で設けられている金型に、樹脂モールド用樹脂を適用し、凸部に対応した凹部が形成された樹脂型を作成した。この樹脂型の凹部に、平均粒子径が3μmの金/ニッケル被覆樹脂粒子(AUL703、積水化学工業(株))を充填し、先に作成したバインダー樹脂層を被せ、導電粒子をバインダー樹脂層に60℃、0.5MPaの条件で転写させ、更に、転写した導電粒子をバインダー樹脂層内に平板で60~70℃、0.5MPaの条件で押し込み、導電粒子含有層を形成した。導電粒子の粒子面密度は、凸部に対応して13000個/mmであった。
(ニ)異方性導電フィルムへの加工
基材フィルム上の導電粒子含有層上に、絶縁性樹脂層を載置し、40℃、0.5MPaの条件で積層し、絶縁性樹脂層上の基材フィルムを剥離することで、図1に記載の異方性導電フィルム(基材フィルム/導電粒子含有層/絶縁性樹脂層)を得た。
<<評価>>
実施例1~3、比較例1~3で作製した異方性導電フィルムの(a)スリット適性評価試験、(b)引き出しブロッキング評価試験、(c)初期導通信頼性評価試験、(d)接着強度評価試験を、以下に説明するように行った。結果を表1に示す。
(a)スリット適性評価試験
基材フィルム/導電粒子含有層/絶縁性樹脂層という層構成を有する実施例1~3、比較例1~3の異方性導電フィルム100mを0.6mm幅にスリットしてリールに巻き取り、巻装体を作成した。この巻装体を小口方向から光学顕微鏡で観察し、スリットダレの有無を調べた。なお、スリットダレの観察は、以下のように行った。
即ち、巻装体は外周側から中心に向かってACF(基材フィルム/導電粒子含有層/絶縁性樹脂層)が重なった構造を有しており、その重なったACFの一つに着目して基準ACFとし、その直ぐ内側のACFを第1ACFとし、更にその直ぐ内側のACFを第2ACFとした時の巻装体の断面(外周側←・・/基準ACF/第1ACF/第2ACF/・・→中心側)を観察し、基準ACFの絶縁性樹脂層が、第1ACFまでははみ出していない場合を「はみ出し1層未満」とし、第1ACFまでははみ出しているが、第2ACFまでははみ出していない場合を「はみ出し1層以上2層未満」とし、第2ACF及びそれ以上にまではみ出している場合を、「はみ出し2層以上」とし、以下の基準で評価した。評価結果がA又はBであることが望まれる。
(スリット適性評価基準)
A:1層未満
B:1層以上~2層未満
C:2層以上
(b)引き出しブロッキング評価試験
実施例1~3、比較例1~3の異方性導電フィルム100mを0.6mm幅にスリットしてリールに巻き取り、巻装体を作成した。この巻装体を、20℃又は27℃の環境下に所定期間保管した後、巻装体から異方性導電フィルムを引き出した際に、ブロッキングの発生の有無を調べ、以下の基準で評価した。評価結果がA又はBであることが望まれる。
(引き出しブロッキング評価基準)
A:20℃での保管の場合、ブロッキングの発生が保管後7日以降であり、27℃での保管の場合、ブロッキングの発生が保管後4日以降である場合。
B:20℃での保管の場合、ブロッキングの発生が保管後3日~7日未満であり、27℃での保管の場合、ブロッキングの発生が保管後2日~4日未満である場合。
C: 20℃での保管の場合、ブロッキングの発生が保管後3日未満であり、27℃での保管の場合、ブロッキングの発生が保管後2日未満である場合。
(c)初期導通信頼性評価試験
フレキシブル回路基板として、評価用COF(2層ポリイミド基板)を用意した。配線ピッチは20μmであり、配線は8μm厚のCuにフラッシュスズメッキを施したものであった。基板材料は38μ厚のポリイミドフィルムであった。この評価用COFとガラス基板とを異方性導電フィルムを介して異方性導電接続した。具体的には、評価用COFの端子部に、異方性導電フィルムの絶縁性樹脂層を仮貼りした後、基材フィルムを剥離し、露出した導電粒子含有層をガラス基板(0.3μm厚のTi/Al配線)の電極部に位置合わせし、100μm厚のテフロン(登録商標)緩衝フィルムを介して評価用COF側からヒートプレスツールで180℃、3.5MPa、6秒という条件で熱圧着(ツールスピード10mm/秒、ステージ温度40℃)することで異方性導電接続を行い、接続構造体を作成した。得られた接続構造体について、デジタルマルチメータ(品番:デジタルマルチメータ7555、横河計測株式会社製)を用いて4端子法にて電流1mAを流したときの接続抵抗を測定し、以下の基準で評価した。評価結果がA又はBであることが望まれる。
(初期導通信頼性評価基準)
A: 導通抵抗値が2Ω未満である場合。
B: 導通抵抗値が2Ω以上4Ω以下である場合。
C: 導通抵抗値が4Ωを超える場合。
(d)接着強度評価試験
前述の初期導通信頼性評価試験で作成したものと同じ接続構造体を作成した。作成した接続構造体の評価用COFを1cm幅でカットし、引張試験機(RTC1201、株式会社エー・アンド・デイ)を用い、90°の角度で50mm/秒の速度で評価用COFを引き上げた際の接着強度を測定し、以下の基準で評価した。評価結果A又はBであることが望まれる。
(接着強度評価基準)
A: 接着強度が8N以上である場合。
B: 接着強度が5N以上8N未満である場合。
C: 接着強度が5N未満である場合。
Figure 2022072297000002
表1から分かるように、実施例1の異方性導電フィルムの場合、スリット適性並びに20℃及び27℃における引き出しブロッキングについて、いずれもA評価であり、しかも異方性導電フィルムの絶縁性樹脂層を、まずフレキシブル回路基板側に仮貼りして作成した接続構造体の初期導通信頼性評価及び接着強度評価の双方ともA評価であった。
また、実施例2の異方性導電フィルムの場合、絶縁性樹脂層に配合したポリビニルブチラールのガラス転移温度が80℃であったため、27℃における引き出しブロッキングについてB評価であった。
更に、実施例3の異方性導電フィルムの場合、絶縁性樹脂層に配合したポリビニルブチラールのガラス転移温度が70℃であったため、20℃、及び27℃における引き出しブロッキング並びにスリット適正についてB評価であった。
一方、比較例1の異方性導電フィルムの場合、絶縁性樹脂層にポリビニルブチラールを配合していたが、ガラス転位温度が70℃を下回る66℃のものを使用したので、スリット適性がC評価となり、また、20℃における引き出しブロッキングについてB評価であったが、27℃における引き出しブロッキングについてC評価であった。
比較例2の異方性導電フィルムの場合、絶縁性樹脂層にポリビニルブチラールを配合していないので、スリット適性並びに20℃及び27℃における引き出しブロッキングについて、いずれもC評価であった。
比較例3の異方性導電フィルムの場合、絶縁性樹脂層にポリビニルブチラールを配合していたが、ガラス転位温度が110℃を上回る113℃のものを使用したので、スリット適性並びに20℃及び27℃における引き出しブロッキングについては、いずれもA評価であったものの、異方性導電フィルムの絶縁性樹脂層を、まずフレキシブル回路基板側に仮貼りして作成した接続構造体の初期導通信頼性評価及び接着強度評価については、それぞれB及びC評価であった。
本発明の異方性導電フィルムは、基材フィルム、バインダー樹脂層に導電粒子が保持されている導電粒子含有層、及び絶縁性樹脂層がこの順で積層されている構造を有する。このため、絶縁性樹脂層が表面に露出しているので、異方性導電フィルムを絶縁性樹脂層側からフレキシブル回路基板に仮貼りすることができる。また、絶縁性樹脂層が、70℃以上110℃以下のガラス転移温度を有するポリビニルアセタール樹脂を含有する。このため、異方性導電フィルムを細幅にスリットしても、スリットダレを抑制してスリット適性が改善され、更に、巻装体に加工した場合でも引き出しブロッキングの発生を大きく抑制することができるので、狭額縁化したディスプレイパネルとフレキシブル回路基板とを異方性導電接続するために非常に適したものとなる。
1 基材フィルム
2 バインダー樹脂層
3 導電粒子
4 導電粒子含有層
5 絶縁性樹脂層
10 異方性導電フィルム
70 ディスプレイパネル
71 電極部
80 フレキシブル回路基板
81 端子部
90 ヒートプレスツール

Claims (17)

  1. 基材フィルム、バインダー樹脂層に導電粒子が保持されている導電粒子含有層、及び絶縁性樹脂層がこの順で積層されてなる異方性導電フィルムであって、
    絶縁性樹脂層が、70℃以上110℃以下のガラス転移温度を有するポリビニルアセタール樹脂を含有する異方性導電フィルム。
  2. ポリビニルアセタール樹脂のガラス転位温度が、80℃以上110℃以下である請求項1記載の異方性導電フィルム。
  3. ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度が、60モル%以上80モル%以下である請求項1又は2記載の異方性導電フィルム。
  4. ポリビニルアセタール樹脂のアセタール化度が、65モル%以上75モル%以下である請求項3記載の異方性導電フィルム。
  5. ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量が、20モル%以上40モル%以下である請求項1~4のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
  6. ポリビニルアセタール樹脂の水酸基量が、25モル%以上35モル%以下である請求項5記載の異方性導電フィルム。
  7. ポリビニルアセタール樹脂のアセチル基量が、10モル%以下である請求項1~6のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
  8. ポリビニルアセタール樹脂のアセチル基量が、3モル%以下である請求項7記載の異方性導電フィルム。
  9. ポリビニルアセタール樹脂が、ポリビニルブチラール樹脂である請求項1~8のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
  10. ポリビニルアセタール樹脂の重量平均分子量が、1.0×10~1.0×10である請求項1~9のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
  11. 絶縁性樹脂層が、更に成膜用樹脂と、重合性アクリル系化合物と、重合開始剤とを含有する請求項1~10のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
  12. 導電粒子含有層中の導電粒子の粒子面密度が、4000pcs/mm~20000pcs/mmである請求項1~11のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
  13. 絶縁性樹脂層の最低溶融粘度が、導電粒子含有層の最低溶融粘度よりも低い請求項1~12のいずれかに記載の異方性導電フィルム。
  14. 第1電子部品と第2電子部品とが、請求項1~13のいずれかに記載の異方性導電フィルムから基材フィルムが剥離除去された残余の導電粒子含有層と絶縁性樹脂層との積層体を介して異方性導電接続されてなる接続構造体。
  15. 第1電子部品がディスプレイパネルであり、第2電子部品がフレキシブル回路基板であり、導電粒子含有層がディスプレイパネル側に配置されている請求項14記載の接続構造体。
  16. 第1電子部品と第2電子部品とを、請求項1~13のいずれかに記載の異方性導電フィルムから基材フィルムが剥離除去された残余の導電粒子含有層と絶縁性樹脂層との積層体を介して異方性導電接続する、接続構造体の製造方法。
  17. 第1電子部品がディスプレイパネルであり、第2電子部品がフレキシブル回路基板であり、導電粒子含有層をディスプレイパネル側に配置して異方性導電接続を行う請求項16記載の製造方法。
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