JP2022072096A - 中空突起具の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】中空突起部の成形精度と成形サイクルの短縮化とを両立することができる中空突起具の製造方法を提供する。【解決手段】本発明の中空突起具1の製造方法は、シート配置工程と、突起形成工程と、リリース工程とを具備する。シート配置工程は、凸型43を備えた凸型部41と、内部空間を有する賦形突起部33を備えた賦形型部31との間に、基材シート20を配する。突起形成工程は、基材シート20に凸型43を当接させ、該基材シート20における該凸型43の当接部分を熱により軟化させながら、該凸型43を、賦形突起部33の内部空間に挿入していく工程、及び基材シート20の軟化部分を、凸型43の外面と賦形突起部33の内部空間の内面との間に挟む工程を有し、外周面が該賦形突起部33の内周面に沿った形状を有する中空突起部3を形成する。リリース工程では、中空突起部3の内部から凸型43を抜く。【選択図】図4

Description

本発明は、中空突起具の製造方法に関する。
微小サイズの針を皮膚の浅い層に穿刺することで、痛みを伴わずに剤を供給できる微細中空突起具(マイクロニードル)が、医療又は美容分野で利用されている。
本出願人は、先に、この微細中空突起具の製造方法として、基材シートに対し、凸型部を当接させ、その当接部分を熱により軟化させながら、該凸型部を刺していくことによって微細中空突起部を形成する、製造方法を提案した(特許文献1)。
特許文献2には、ブロックの少なくとも一部を、所定の温度に加熱しながらマスター型に押圧して樹脂型を形成する工程と、樹脂型に、所定の温度に加熱した熱可塑性樹脂を充填する工程と、該熱可塑性樹脂が充填された樹脂型をマスター型に押圧し、マイクロニードルの中空部を形成する工程とを有する、マイクロニードルアレイの製造方法が開示されている。
特開2017-176653号公報 特開2020-025776号公報
中空突起具において突出する微細な中空突起部は、その形状及び寸法が設計どおりに精度良く成形されていることが望ましい。一方、成形精度を向上させようとすると、中空突起部の成形サイクルが短縮化し難くなる傾向があり、製造コストが増加する虞がある。上述した特許文献に記載の技術は、中空突起部の成形性の精度と成形サイクルの短縮化との両立に改善の余地があった。具体的には、特許文献2に記載の製造方法では、バッチ式で溶融した熱可塑性樹脂を充填する必要があるので、成形サイクルが長い。また特許文献1には、微細中空突起部の形成時に、凸型部とは反対側に凹部を有する受け部材を配し、該凹部の周壁に凸型の一部が接触するまで該凸型を移動させることが記載されているが、この凹部を配置する目的は、微細中空突起部の先端からずれた位置に開孔部を形成するためである。
したがって本発明の課題は、中空突起部の成形精度と成形サイクルの短縮化とを両立することができる中空突起具の製造方法を提供することにある。
本発明は、微細な中空突起部を備えた中空突起具の製造方法に関する。
前記製造方法は、シート配置工程と、突起形成工程と、リリース工程とを具備することが好ましい。
前記シート配置工程は、凸型を備えた凸型部と、内部空間を有する賦形突起部を備えた賦形型部との間に、熱可塑性樹脂を含んで形成された基材シートを配する工程であることが好ましい。
前記突起形成工程は、前記基材シートに前記凸型を当接させ、該基材シートにおける該凸部の当接部分を熱により軟化させながら、該凸型を、前記賦形突起部の内部空間に挿入していく工程、及び
前記基材シートの軟化部分を、前記凸型の外面と前記賦形突起部の内部空間の内面との間に挟む工程を有し、
外周面が前記賦形突起部の内周面に沿った形状を有する前記中空突起部を形成する工程であることが好ましい。
前記リリース工程は、前記中空突起部の内部から前記凸型を抜く工程であることが好ましい。
本発明の中空突起具の製造方法によれば、中空突起部の成形精度と成形サイクルの短縮化とを両立することができる。
図1は、本発明の製造方法で製造される中空突起具(マイクロニードルアレイ)の一例を示す斜視図である。 図2(a)は、図1に示す1個の中空突起部の斜視図であり、図2(b)は、図2(a)に示すII-II線断面斜視図である。 図3は、中空突起部の先端径の測定方法を示す説明図である。 図4は、本発明の製造方法に用いられる製造装置の一実施形態を示す図であって、図1に示す中空突起具を製造する製造装置の概要を示す斜視図である。 図5(a)及び(b)は、本発明に係る突起形成工程を説明するための断面図である。 図6は、図5(b)に示す凸型及び賦形突起部を模式的に示す斜視図である。 図7は、突起形成工程における凸型及び賦形突起部の位置関係を模式的に説明するための断面図である。 図8は、本発明に係る凸型の先端角度の測定方法を示す説明図である。 図9は、賦形型部形成工程の一実施形態を示す図であって、当該工程を説明するための斜視図である。 図10は、賦形型部形成工程の別の実施形態を示す斜視図である。 図11は、開孔を有する中空突起部を示す斜視図である。 図12は、実施例及び比較例の製造方法により得られた中空突起具について、高さ方向の各位置における中空突起部の外径をプロットしたグラフである。 図13は、実施例及び比較例の製造方法により得られた中空突起具について、高さ方向の各位置における中空突起部の肉厚をプロットしたグラフである。
以下、本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。先ず、本発明の製造方法によって得られる中空突起具の一実施形態について、図1~図3を参照しながら説明する。
図1には、微細な中空突起部を有する中空突起具の一実施形態であり、複数の中空突起部を有する、マイクロニードルアレイ1が示されている。本実施形態のマイクロニードルアレイ1は、シート状の基底部2と複数の中空突起部3とを有している。中空突起部3は、基底部2から突出し、内部が中空に形成されている。マイクロニードルアレイ1は、基底部2における中空突起部3が形成された部分の反対側が開口しており、その開口7と中空突起部3の内部空間Vとが連通している。中空突起部3の内部空間Vは、該中空突起部3の外形形状に対応した円錐状に形成されている。すなわち、中空突起部3の内周面4は、該中空突起部3の外周面に対応した形状を有している。中空突起部3の形状は、円錐状、円錐台状、円柱状、角柱状、角錐状、角錐台状等の任意の形状にすることができる。
本実施形態のマイクロニードルアレイ1は、基底部2の上面に、複数個の円錐台状の中空突起部3をアレイ(行列)状に有している。具体的には、9個の中空突起部3がアレイ(行列)状に配されており、後述する基材シート20を搬送する方向X1(基材シート20の長手方向)に沿うX方向に3行、該X方向と直交する方向Yに3列に配されている。Y方向は、基材シート20を搬送する方向X1と直交する方向(基材シート20の幅方向)に沿う方向である。中空突起部3の数及び配置は、特に制限されず、任意の数及び配置にすることができる。
マイクロニードルアレイ1を皮膚に適用する場合、中空突起部3の先端を、最も浅いところで角層まで、深いところで真皮まで刺入し得ることが好ましい。斯かる観点から、中空突起部3の突出高さH1〔図2(b)参照〕は、好ましくは0.01mm以上、より好ましくは0.02mm以上であり、また好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下である。
本願明細書において「微細な中空突起部」とは、中空突起部3の突出高さH1が上記の上限以下であることを意味する。
中空突起部3の突出高さH1は、中空突起部3が突出している基底部2の上面2Uと平行であって中空突起部3の頂点P(先端)を通る仮想線P1と上面2Uとの間の距離である。上面2Uが平坦面ではなく、波打つような凹凸がある場合、中空突起部3の高さ方向Zを鉛直方向に一致させた上で、前記仮想線P1を、頂点Pを通り且つ水平方向に平行な線とする。そして、当該仮想線P1と、上面2U側の凹凸における凸部の頂部との間の距離を突出高さH1とする。中空突起部3は、これを走査型電子顕微鏡(以下、単に「SEM」という)又はマイクロスコープを用いて拡大観察し、前記仮想線P1と上面2Uとの間の距離(突出高さH1)を計測する。
中空突起部3の肉厚T1は、該中空突起部3の高さ方向Zに沿って一定であってもよく、変化していてもよい。例えば、中空突起部3の肉厚T1が、高さ方向Zにおける基底部2側から先端側に向かって漸次減少していてもよい。
中空突起部3の肉厚T1は、以下の方法により求められる。SEM又はマイクロスコープを用いて中空突起部3を拡大観察し、該中空突起部3の外径r1を測定する。外径r1は、観察視野における中空突起部3の高さ方向Zと直交する方向の長さとする。中空突起部3の高さ方向Zにおいて外径r1を測定する位置は、該中空突起部3の内部空間Vが存在する位置とする。次いで、SEM又はマイクロスコープを用いて、中空突起部3の製造に用いられる凸型43を拡大観察し、該凸型43の外径を測定する。斯かる外径も、観察視野における凸型43の高さ方向Zと直交する方向の長さとする。凸型43の高さ方向Zにおいて外径を測定する位置は、中空突起部3の内部空間Vに凸型43を挿入した場合の該中空突起部3の外径r1の測定位置に対応させる。このように測定した凸型43の外径を、中空突起部3の内径r2とする。そして、下記式(1)により肉厚T1を求める。
肉厚T1=(r1-r2)/2・・・(1)
r1:中空突起部3の外径
r2:中空突起部3の内径
基底部2の厚みT2は、好ましくは0.01mm以上、より好ましくは0.02mm以上であり、また好ましくは1.0mm以下、より好ましくは0.7mm以下である。厚みT2は後述する基材シート20の厚さでもある。
中空突起部3の先端径L(図3参照)は、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上であり、また好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下である。先端径Lが斯かる範囲であると、マイクロニードルアレイ1Mを皮膚に刺し入れた場合の痛みが感じ難い点で好ましい。
中空突起部3の先端径は、以下のようにして測定する。
〔中空突起部3の先端径の測定〕
中空突起部3の先端部を、SEM又はマイクロスコープを用いて拡大観察する。観察される中空突起部3の先端部について、図3に示すように、両側辺1a,1bの内の一側辺1aにおける直線部分に沿って仮想直線ILaを延ばす。これと同様に、他側辺1bにおける直線部分に沿って仮想直線ILbを延ばす。次いで、先端側にて、一側辺1aが仮想直線ILaから離れる箇所を第1先端点1a1として求め、他側辺1bが仮想直線ILbから離れる箇所を第2先端点1b1として求める。このようにして求めた第1先端点1a1と第2先端点1b1とを結ぶ直線の長さLを測定し、これを中空突起部3の先端径Lとする。
次に、本発明の中空突起具の製造方法を、前述したマイクロニードルアレイ1の製造方法を例に、図4~図10を参照しながら説明する。マイクロニードルアレイ1の中空突起部3は非常に小さなものであるが、図4及び図9、図10では、説明の便宜上、中空突起部3が非常に大きく描かれている。
図4には、マイクロニードルアレイ1の製造装置100の概要が示されている。製造装置100は、マイクロニードルアレイ1の中空突起部3を形成する凸型部41及び賦形型部31を備えている。本実施形態の製造装置100は、基材シート20を搬送させながら、該基材シート20に中空突起部3を連続的に形成する。凸型部41は、基材シート20の一方の面側に配置され、賦形型部31は、基材シート20の他方の面側に配置されている。基材シート20は、凸型部41と賦形型部31との間に配されており、該基材シート20の長手方向に沿って搬送される。
本実施形態の基材シート20は、熱可塑性樹脂を含んで形成された帯状のシートである。製造装置100は、原反ロール20Rから基材シート20を繰り出して、該基材シート20を搬送する。斯かる搬送は、基材シート20が所定位置まで送られたところで一旦搬送を止めた後、再度搬送を再開する間欠搬送であってもよく、連続搬送であってもよい。搬送手段は、搬送ロール又はコンベア等の公知の手段を用いることができる。
基材シート20において、中空突起部3を形成する部分以外の部分が、マイクロニードルアレイ1の基底部2を構成する。
基材シート20は、熱可塑性樹脂を含んで形成されている。熱可塑性樹脂としては、ポリ脂肪酸エステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート類、ポリ塩化ビニル、ナイロン樹脂、アクリル樹脂等又はこれらの組み合わせが挙げられる。生分解性の観点から、ポリ脂肪酸エステルが好ましく用いられる。ポリ脂肪酸エステルとしては、具体的に、ポリ乳酸、ポリグリコール酸又はこれらの組み合わせ等が挙げられる。
基材シート20は、熱可塑性樹脂以外に、ヒアルロン酸、コラーゲン、でんぷん、セルロース等を含んだ混合物で形成されていてもよい。基材シート20の厚みは、マイクロニードルアレイ1の基底部2の厚みT2と同等である。
基材シート20は、熱可塑性樹脂を主体として形成されていることが好ましい。「熱可塑性樹脂を主体とする」とは、基材シート全体の質量に対して、熱可塑性樹脂を50質量%以上含んでいることを意味する。
基材シート20は、熱可塑性樹脂を好ましくは50質量%以上、より好ましくは90質量%以上を含み、さらに好ましくは熱可塑性樹脂の含有量が100%である。
熱可塑性樹脂を主体とする基材シート20は、通常、フィルム状物となっている。
本実施形態の凸型部41は、底部42と、該底部42から突出する複数の凸型43とを有している。また、本実施形態の賦形型部31は、底部32と、該底部32から突出する複数の賦形突起部33とを有している。すなわち、本実施形態の凸型部41及び賦形型部31は、台となる支持体としての底部42,32と、該支持体の一方の面から複数箇所において突出する部分43,33とを有している。斯かる形態に限らず、凸型部41及び賦形型部31の何れか一方又は双方は、突出する部分43,33のみからなる構造を有していてもよい。
凸型部41が具備する凸型43は、マイクロニードルアレイ1における中空突起部3の内部空間Vの形状に対応している。中空突起部3の内周面4は、この凸型43の先端側の外周面44に沿った形状を有している。
賦形型部31が具備する賦形突起部33は、底部32から突出し、内部が中空に形成されている。賦形型部31は、底部32における賦形突起部33が形成された部分の反対側が開口しており、その開口37と賦形突起部33の内部空間V3とが連通している。
賦形突起部33の内部空間V3の形状は、中空突起部3の外形形状に対応している。中空突起部3の外周面3aは、賦形突起部33の内周面34に沿った形状を有している。
本実施形態の賦形突起部33の内部空間V3は、該賦形突起部33の外形形状に対応している。
凸型部41の凸型43の数及び配置、並びに賦形型部31の賦形突起部33の数及び配置は、マイクロニードルアレイ1の中空突起部3の数及び配置に対応している。
賦形型部31は、賦形突起部33の内部空間V3に凸型43を挿入可能に構成されている。具体的には、賦形型部31は、1個の開口37に対して1個の凸型43が挿入されるように形成されている。凸型43の外形形状と、賦形突起部33の内部空間V3の形状とは互いに相似形状である。賦形突起部33の内部空間V3の大きさは、凸型43の外形と略同じであってもよく、若干大きくてもよい。
凸型43を賦形突起部33に容易に挿入させる観点から、凸型43及び賦形突起部33それぞれの中心軸が、凸型43を賦形突起部33に挿入する挿入方向に沿っていることが好ましい。
本実施形態において基材シート20は、その面を水平方向と平行にした状態で搬送される。本実施形態において凸型部41は、凸型43の先端を基材シート20に向けた状態で、基材シート20の上方に配置されている。また、賦形型部31は、開口37を基材シート20に向けた状態で、基材シート20の下方に配置されている。
本実施形態の製造装置100は、凸型部41及び賦形型部31それぞれを、電動アクチュエータ等を用いた公知の昇降機構(図示せず)によって上下に移動させる。
本実施形態の製造装置100は、凸型43にエネルギーを付与する手段を備えている。斯かる手段は、具体的には加熱手段である。本実施形態の当該加熱手段は、超音波発振器と、超音波発振器から送信される超音波信号によって所定の超音波振幅、発振周波数で振動する超音波ホーンとを備えた超音波振動装置である。超音波振動装置は、凸型部41の底部42に設けられ、超音波ホーンが振動することで凸型43を振動させる。この凸型43と当接した基材シート20には、超音波振動が付与され、摩擦熱が発生して加熱される。
また、本実施形態の製造装置100は、冷風を送る送風ファン等の冷却装置、及び基材シート20をカットする切断装置を具備している。図4では、前述した昇降機構及び超音波振動装置に加え、冷却装置及び切断装置の図示を省略している。
本実施形態のマイクロニードルアレイ1の製造方法は、凸型部41と賦形型部31との間に、基材シート20を配するシート配置工程と、基材シート20を凸型43の外面と賦形突起部33の内部空間V3との間に挟んで、中空突起部3を形成する突起形成工程と、基材シート20を凸型43の外面と賦形突起部33の内部空間V3との間に挟んだ状態のまま冷却する冷却工程と、中空突起部3の内部から凸型43を抜くリリース工程とを備えている。
シート配置工程では、凸型43と賦形型部31の開口37とが基材シート20を挟んで対向した状態となるように、凸型部41と賦形型部31との間に、基材シート20を配する。シート配置工程は、凸型部41及び賦形突起部33を搬送手段によって移動させて、基材シート20の両面に配置してもよい。例えば、賦形型部31を基材シート20の一方の面側に配置した後、他方の面側に凸型部41を配置してもよく、これとは逆に、凸型部41を基材シート20の他方の面側に配置した後、一方の面側に賦形突起部33を配置してもよく、凸型部41及び賦形突起部33を同時に配置してもよい。また、搬送方向X1において同じ位置に固定され且つ対向配置された凸型部41及び賦形突起部33間に、基材シート20を配してもよい。
本実施形態では、賦形型部31において開口37を有する面を、基材シート20の一方の面に近接させるようにして、凸型部41と賦形型部31との間に、基材シート20を配する。
突起形成工程は、下記の工程(f1)及び工程(f2)を有する〔図5(a)及び(b)参照〕。
工程(f1):基材シート20に凸型43を当接させ、該基材シート20における該凸型43の当接部分を熱により軟化させながら、該凸型43を、賦形突起部33の内部空間V3に挿入していく工程。
工程(f2):基材シート20の軟化部分を、凸型43の外面と賦形突起部33の内部空間V3の内面との間に挟む工程。
突起形成工程では、前記の工程(f1)及び工程(f2)により、外周面が賦形突起部33の内周面34に沿った形状を有する中空突起部3を形成する。
「凸型43の外面」は、凸型43の外側の表面であって、該凸型43の先端と、外周面44を構成する表面とを含む。「賦形突起部33の内部空間V3の内面」は、賦形突起部33の内側の表面であって、凸状の内部空間V3の先端と、内周面34を構成する表面とを含む。
突起形成工程では、前記の工程(f1)及び工程(f2)をこの順で行ってもよく、これら工程(f1)及び工程(f2)を並行して行ってもよい。後者の例として、基材シート20に凸型43を当接させ、その当接部分を熱により軟化させながら、該凸型43を、賦形突起部33の内部空間V3に挿入していき、該基材シート20の軟化部分を、該凸型43の外面と賦形突起部33の内部空間V3の内面との間に挟んで中空突起部3を形成する態様が挙げられる。
本実施形態では、凸型43と賦形型部31の開口37とが対向した状態において、凸型部41を下降させることで、凸型43を基材シート20に刺入するとともに、該凸型43を賦形突起部33の内部空間V3に挿入していく。これにより、凸型43の全周において、基材シート20を凸型43の外面と賦形型部31の内面との間に挟む。
工程(f1)において凸型43は、前述した超音波振動装置によって当接した基材シート20を加熱するので、その当接部分が加熱によって軟化され変形し易くなる。この基材シート20の軟化部分は、凸型43の挿入に伴い延伸され、工程(f2)において凸型43の外面及び賦形突起部33の内部空間V3の内面に沿って変形していく。これにより、内部空間Vを有する中空突起部3が形成される。このようにして形成された中空突起部3は、外周面3aが賦形突起部33の内周面34に沿った形状を有している。また、前記凸型43の挿入に伴い、基材シート20における中空突起部3が形成される面とは反対側の面に開口7が形成される。
冷却工程では、凸型43を賦形突起部33の内部空間V3に挿入し、且つ基材シート20を凸型43の外面と賦形突起部33の内部空間V3の内面との間に挟んだ状態で、該基材シート20及び中空突起部3を冷却する。これにより、後工程のリリース工程を容易に実施でき、成形サイクルをより短縮化することができる。
リリース工程では、突起形成工程で賦形突起部33の内部空間V3に挿入された凸型43を該内部空間V3から抜くとともに、中空突起部3の内部から凸型43を抜く。本実施形態では、凸型部41を上昇させることで、凸型43を中空突起部3の内部及び賦形突起部33の内部から抜く。
また、本実施形態においては、賦形型部31を下降させることによって、賦形型部31を基材シート20から離し、賦形突起部33内から中空突起部3を抜く。これにより、中空突起部3が形成された連続シート20aが得られる。
本実施形態の製造方法は、さらに連続シート20aを所定の範囲に切断するカット工程を備える。カット工程では、連続シート20aを前述した切断装置によって切断する。これによりマイクロニードルアレイ1が製造される。切断装置としては、例えばアンビルとトムソン刃とを備えるものを用いてもよい。
本実施形態の製造方法は、基材シート20の軟化部分を、凸型43の外面及び賦形突起部33の内部空間V3の内面に挟んで中空突起部3を形成するので、中空突起部3の外周面及び内周面とともに、中空突起部3の外径や肉厚等の寸法を高精度に制御することができ、中空突起部3の成形精度に優れる。
さらに、本実施形態の製造方法は、凸型43を賦形突起部33の内部空間V3に挿入して、基材シート20に中空突起部3を形成するので、突起状の型に溶融した樹脂を充填して突起部を形成する従来の製造方法よりも、容易に且つ短時間で中空突起部3を形成することができる。すなわち、従来の製造方法よりも中空突起部3の成形サイクルを短縮化することができる。
このように、本実施形態の製造方法は、中空突起部3の成形精度と成形サイクルの短縮化とを両立させることができる。
中空突起部3の成形精度をより向上させる観点から、突起形成工程、より具体的には工程(f1)において、賦形突起部33の内周面34に、凸型43における先端から根本側に向かって外径が漸次増加する部分の外面が対向するように、凸型43を賦形突起部33の内部空間V3に挿入することが好ましく、賦形突起部33の内周面34全域に、凸型43の外面が対向するように、凸型43を賦形突起部33の内部空間V3に挿入することがより好ましい(図6参照)。これにより、凸型43の外周面44及び賦形突起部33の内周面34の形状を、中空突起部3に反映し易くなる。
本実施形態の製造方法は、凸型43の基材シート20への刺入長さL1〔図5(b)参照〕を調整することによって、中空突起部3の肉厚T1を容易に調整することができる。刺入長さL1は、工程(f1)において凸型43が最も深く刺し込まれた(挿入された)状態の、該凸型43の挿入方向における、賦形型部31の底部32の開口37を有する面から凸型43の頂点までの距離である。
本実施形態の突起形成工程では、賦形突起部33の内部空間V3に挿入した凸型43を、賦形突起部33と接触させない。換言すると、凸型43の基材シート20への刺入長さL1が、賦形突起部33の内部空間V3の高さH3〔図5(a)参照〕よりも短い。これにより、基材シート20に穴が開く等の破損を抑制することができるとともに、中空突起部3の肉厚T1を容易に制御することができる。
中空突起部3の肉厚T1をより確実に制御する観点から、凸型43の基材シート20への刺入長さL1は、賦形突起部33の内部空間V3の高さH3に対し好ましくは50%以上、より好ましくは70%以上であり、また好ましくは99%以下、より好ましくは95%以下である。賦形突起部33の内部空間V3の高さH3は、賦形型部31の底部32における開口37を有する面から、賦形突起部33の内部空間V3の先端までの高さである。
上記と同様の観点から、工程(f1)における凸型43を賦形突起部33の内部に挿入してゆく速度、すなわち凸型43を基材シート20に刺してゆく刺入速度は、好ましくは0.1mm/秒以上、より好ましくは1mm/秒以上であり、また好ましくは1000mm/秒以下、より好ましくは800mm/秒以下である。刺入速度は、凸型部41の昇降を制御する昇降機構の、該凸型部41の下降速度(移動速度)によって調整することができる。
中空突起部3の成形精度をより向上させる観点から、工程(f1)において、賦形突起部33の中心軸AXと、凸型43の中心軸BXとを同軸上に配して、賦形突起部33の内部空間V3に凸型43を挿入することが好ましい。斯かる構成により、中空突起部3の肉厚T1及び形状を中心軸の周方向に均一化でき、該中空突起部3の強度をより向上させることができる。
「賦形突起部33の中心軸AXと、凸型43の中心軸BXとを同軸上に配する」とは、賦形突起部33の中心軸AXと、凸型43の中心軸BXとの位置ずれL10が0.05mm以下であることを意味する(図7参照)。前記位置ずれL10は、賦形突起部33の中心軸AXと、凸型43の中心軸BXとの離間距離である。
上記と同様の観点から、前記位置ずれL10は、好ましくは0.02mm以下、より好ましくは0.005mm以下である。また、賦形突起部33の中心軸AXの位置と、凸型43の中心軸BXの位置とを一致させて、賦形突起部33の内部空間V3に凸型43を挿入することがさらに好ましい(図6参照)。
中空突起部3を効率的に形成する観点から、凸型43による基材シート20の加熱温度は、基材シート20のガラス転移温度以上融点未満であることが好ましく、軟化温度以上融点未満であることがより好ましい。上記と同様の観点から、前記加熱温度は、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上であり、また好ましくは300℃以下、より好ましくは250℃以下である。
基材シート20のガラス転移温度(Tg)は、基材シート20の構成樹脂のガラス転移温度(Tg)を意味する。基材シート20の構成樹脂が複数種存在し、それら複数種のガラス転移温度(Tg)が互いに異なる場合、基材シート20の加熱温度は、少なくともそれら複数のガラス転移温度(Tg)のうち最も低いガラス転移温度(Tg)以上であることが好ましく、それら複数のガラス転移温度(Tg)のうち最も高いガラス転移温度(Tg)以上であることがより好ましい。
基材シート20の軟化温度は、基材シート20の構成樹脂の軟化温度を意味する。基材シート20の構成樹脂が複数種存在し、それら複数種の軟化温度が互いに異なる場合、基材シート20の加熱温度は、少なくともそれら複数の軟化温度のうち最も低い軟化温度以上であることが好ましく、それら複数の軟化温度のうち最も高い軟化温度以上であることがより好ましい。
基材シート20の融点は、基材シート20の構成樹脂の融点を意味する。基材シート20が融点の異なる2種以上の構成樹脂を含んで構成されている場合、基材シート20の加熱温度は、それら複数の融点のうち最も低い融点未満であることが好ましい。
本実施形態において加熱温度は、超音波振動装置の発振周波数や超音波振幅によって調整される。ガラス転移温度(Tg)の測定方法は、以下の方法によって測定され、軟化温度の測定方法は、JIS K-7196「熱可塑性プラスチックフィルム及びシートの熱機械分析による軟化温度試験方法」に従って行う。
〔ガラス転移温度(Tg)の測定方法〕
DSC測定器を使用して熱量の測定を行い、ガラス転移温度を求める。測定器はPerkin Elmer社製の示差走査熱量測定装置(Diamond DSC)を使用する。基材シート20から試験片10mgを採取する。測定条件は、20℃を5分間等温した後に、20℃から320℃まで、5℃/分の速度で昇温させ、横軸温度、縦軸熱量のDSC曲線を得る。そして、このDSC曲線からガラス転移温度(Tg)を求める。
本実施形態の突起形成工程は、加熱状態の凸型43を最も奥まで刺入した状態で停止し、中空突起部3の内部に凸型部41を刺した状態のまま所定の時間維持する。このようにして、基材シート20を軟化させる軟化時間を設定する。加熱の過不足を防ぐ観点から、軟化時間は、好ましくは0秒超、より好ましくは0.1秒以上、また好ましくは10秒以下、より好ましくは5秒以下である。軟化時間は、加熱状態の凸型43を最も奥まで刺入した状態から次工程(冷却工程)までの時間である。
凸型部41の凸型43は、その高さH2〔図5(b)参照〕が、中空突起部3の突出高さH1と同程度であるか、あるいは若干高く形成されている。上述した中空突起部3をより高精度に成形する観点から、凸型43の寸法は以下の範囲内であることが好ましい。
凸型43の高さH2は、好ましくは0.01mm以上、より好ましくは0.02mm以上であり、また好ましくは30mm以下、より好ましくは20mm以下である。
凸型部41の凸型43は、その先端径D1(図8参照)が、好ましくは0.001mm以上、より好ましくは0.005mm以上であり、また好ましくは1mm以下、より好ましくは0.5mm以下である。凸型部41の凸型43の先端径D1は、以下のようにして測定する。
〔凸型43の先端径の測定〕
凸型部41の凸型43の先端部を、SEM又はマイクロスコープを用いて拡大観察する。観察される凸型43の先端部について、図8に示すように、両側辺11a,11bの内の一側辺11aにおける直線部分に沿って仮想直線ILcを延ばし、他側辺11bにおける直線部分に沿って仮想直線ILdを延ばす。次いで、先端側にて、一側辺11aが仮想直線ILcから離れる箇所を第1先端点11a1として求め、他側辺11bが仮想直線ILdから離れる箇所を第2先端点11b1として求める。このようにして求めた第1先端点11a1と第2先端点11b1とを結ぶ直線の長さD1を測定し、これを凸型43の先端径D1とする。
凸型部41の凸型43は、その根本径D2が、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上、また好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。凸型43の根本径D2は、凸型43の先端とは反対側の部分であって、外径が一定となる部分の外径である。
強度をより確実に確保するとともに、適度な角度を得られ易くする観点から、凸型43の先端角度αは、好ましくは1度以上、より好ましくは5度以上であり、また好ましくは60度以下、より好ましくは45度以下である。凸型部41の先端角度αは、以下のようにして測定する。
〔凸型43の先端角度αの測定〕
前述した〔凸型43の先端径の測定〕と同様の方法で、凸型43の先端部を拡大観察し、先端部の両側辺11a,11bに沿う前記仮想直線ILc,ILdを延ばす。この仮想直線ILcと仮想直線ILdとがなす角の角度を測定し、これを凸型43の先端角度αとする。
本実施形態における賦形突起部33の内部空間V3の高さH3〔図5(a)参照〕は、中空突起部3の突出高さH1よりも若干高く形成されている。上述した中空突起部3をより高精度に成形する観点から、賦形突起部33の寸法は以下の範囲内であることが好ましい。
賦形突起部33の内部空間V3の高さH3は、好ましくは0.015mm以上、より好ましくは0.02mm以上であり、また好ましくは11mm以下、より好ましくは5mm以下である。
賦形突起部33はその先端径、根本径、及び先端角度それぞれが、前述した凸型43における好ましい範囲内であることが好ましい。先端径、根本径、及び先端角度それぞれは、前述した凸型43の先端径D1、根本径D2、及び先端角度αの測定方法と同様の方法により測定することができる。
凸型部41は、折れ難い高強度の材質で形成されている。凸型部41の材質としては、鋼鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、銅、銅合金、ベリリウム銅、ベリリウム銅合金等の金属、又はセラミック等が挙げられる。
賦形型部31は、凸型部41と同じ材質で形成されていてもよく、その他の材質で形成されていてもよい。
賦形型部31を容易に形成して、製造コストをより抑える観点から、賦形型部31は熱可塑性樹脂を主体として形成されていることが好ましい。熱可塑性樹脂としては、上述したものを特に制限なく用いることができる。
賦形型部31が熱可塑性樹脂を主体として形成されている場合、突起形成工程における凸型43の加熱によって、賦形型部31が変形すること及び賦形型部31と基材シート20とが溶着することをより抑制する観点から、賦形型部31の構成樹脂のガラス転移温度(Tg)が、基材シート20の構成樹脂のガラス転移温度(Tg)以上であることが好ましく、基材シート20の構成樹脂のガラス転移温度(Tg)超であることがより好ましい。
上記と同様の観点から、賦形型部31の構成樹脂のガラス転移温度(Tg)が、基材シート20の構成樹脂のガラス転移温度(Tg)超である場合、賦形型部31の構成樹脂のガラス転移温度(Tg)と、基材シート20の構成樹脂のガラス転移温度(Tg)との差は、好ましくは5℃以上、より好ましくは10℃以上であり、また好ましくは50℃以下、より好ましくは30℃以下である。
上記のガラス転移温度を満たす構成樹脂の組み合わせとしては、賦形型部31の構成樹脂がPET(ポリエチレンテレフタレート)であり、基材シート20の構成樹脂がPLA(ポリ乳酸)である組み合わせが挙げられる。
上記と同様の観点から、本実施形態の製造方法は、さらに賦形型部31を形成する賦形型部形成工程を備えることが好ましい(図9参照)。賦形型部形成工程は、賦形突起形成工程と、賦形型リリース工程とを備える。
賦形突起形成工程は、下記の工程(g1)を備える。
工程(g1):熱可塑性樹脂を含む賦形シート30の一面側から賦形用凸型53を当接させ、該賦形シート30における該賦形用凸型53の当接部分を熱により軟化させながら、該賦形用凸型53を該賦形シート30に刺してゆく工程。
賦形突起形成工程は、前記の工程(g1)により、賦形シート30の他面側から突出した賦形突起部33を形成する。
賦形型リリース工程は、賦形突起部33の内部から賦形用凸型53を抜く工程である。
賦形突起形成工程では、賦形用凸型53を複数有する賦形用凸型部51を用いる。賦形用凸型53の外形形状は、賦形突起部33の外形形状に対応している。賦形用凸型部51の賦形用凸型53の数及び配置は、賦形型部31の賦形突起部33の数及び配置に対応している。賦形用凸型部51は、上述した凸型部41と同じ構成のものを用いてもよく、該凸型部41と寸法等が一部異なる構成のものを用いてもよい。
本実施形態では、賦形用凸型部51として、上述した凸型部41を用いている。
本実施形態の工程(g1)では、凸型部41(賦形用凸型部51)を下降させることで、凸型43(賦形用凸型53)を賦形シート30に刺入していく。前記凸型43の刺入に伴い、賦形シート30(底部32)における賦形突起部33が形成される面とは反対側の面に開口37が形成される。また、前記凸型43は、前述した超音波振動装置によって、賦形シート30との当接部分を加熱しながら、該賦形シート30に刺入される。これにより賦形シート30が軟化し、その軟化部分が、凸型43の挿入に伴い延伸され、賦形突起部33が形成される。すなわち、賦形突起部33及び底部32が形成される。
中空突起部3の成形性をより向上させる観点から、賦形突起形成工程における凸型43(賦形用凸型53)の賦形シート30への刺入長さL5(図9参照)は、突起形成工程における凸型43の基材シート20への刺入長さL1よりも長いことが好ましい。この場合、賦形突起形成工程における凸型43の基材シート20への刺入長さL5と、突起形成工程における凸型43の基材シート20への刺入長さL1との差(L5-L1)は、好ましくは20μm以上、より好ましくは70μm以上であり、また好ましくは500μm以下、より好ましくは400μm以下である。
賦形突起形成工程における凸型43(賦形用凸型53)の賦形シート30への刺入長さL5は、工程(g1)において凸型43(賦形用凸型53)が最も深く刺し込まれた(挿入された)状態の、該凸型43(賦形用凸型53)の挿入方向における、賦形型部31の底部32の開口37を有する面から凸型43の頂点までの距離である。
賦形突起部33の成形性及び成形サイクルの短縮化の観点から、賦形型部形成工程は、賦形突起部33を冷却する賦形突起冷却工程を備えることが好ましい。斯かる賦形突起冷却工程は、凸型43(賦形用凸型部51)を賦形シート30に刺入した状態、すなわち凸型43(賦形用凸型部51)を賦形突起部33の内部空間V3に挿入した状態で、賦形シート30及び賦形突起部33を冷却する。
賦形型リリース工程では、賦形突起形成工程で賦形シート30に刺入された凸型43(賦形用凸型53)を、すなわち賦形突起部33の内部に挿入された凸型43(賦形用凸型部51)を該賦形突起部33から抜く。本実施形態では、突起形成工程と同様に、凸型部41(賦形用凸型部51)を上昇させることで、凸型43(賦形用凸型53)を賦形突起部33の内部から抜く。以上の工程により、賦形突起部33が形成された賦形型部31が得られる。
賦形型部形成工程には、前述した突起形成工程、冷却工程、及びリリース工程における諸条件を適宜適用することができる。
例えば、賦形突起形成工程の工程(g1)に、突起形成工程の工程(f1)の諸条件を適用してもよい。また、賦形シート30を軟化させる軟化時間として、基材シート20を軟化させる軟化時間を適用してもよい。
また、賦形型部形成工程には、前述した突起形成工程、冷却工程、及びリリース工程における諸条件を適宜変更して適用してもよい。
例えば、賦形型部31(賦形シート30)の構成樹脂が、基材シート20の構成樹脂よりもガラス転移温度(Tg)が高い場合、賦形突起形成工程の賦形用凸型53による加熱温度を、突起形成工程における凸型43による加熱温度よりも高くしてもよい。
賦形型部形成工程により得られた賦形型部31は、突起形成工程において繰り返し使用されてもよく、1回の突起形成工程に対し1個の賦形型部31を使用してもよい。賦形型部31を繰り返し使用する場合、所定回数ごとに賦形型部31を交換して使用してもよい。
図10には、賦形型部形成工程の別の実施形態が示されている。斯かる実施形態は、図9に示す実施形態と異なる構成を主として説明し、同様の構成については説明を省略する。また、図10に示す実施形態と同様の構成については同一の符号を付している。特に説明しない構成については、図9に示す実施形態についての説明が適宜適用される。
上述した図9に示す賦形型部形成工程は、枚葉の賦形シート30に賦形突起部33を形成していたが、賦形型部形成工程は斯かる形態に限定されない。賦形型部形成工程は、図10に示すように、帯状の賦形シート30aに賦形突起部33を形成してもよい。図10に示す実施形態では、賦形シート30aが一方向に連続する帯状シートであり、賦形突起部33を該賦形シート30aの長手方向に沿って順次形成する。本実施形態の賦形シート30aの長手方向は、該賦形シート30aの搬送方向X2と一致しており、該搬送方向X2に沿って、賦形突起部33が連続して形成される。本実施形態の賦形型部形成工程は、賦形型リリース工程の後、複数の賦形突起部33が前記長手方向に連続して形成された連続賦形型部31aが得られる。この連続賦形型部31aを所定の範囲に切断することによって、賦形型部31が得られる。斯かる切断には、前述した切断装置を用いることができる。
マイクロニードルアレイ1を皮膚に適用して液剤を皮膚に供給する場合、液剤を供給し易くする観点から、マイクロニードルアレイ1は、図11に示すように、中空突起部3の外面に開孔8を有していることが好ましい。開孔8は、中空突起部3の内部空間V3と連通しており、中空突起部3の外面における任意の位置に形成することができる。
上記と同様の観点から、本実施形態の製造方法は、さらに中空突起部3の外面に開孔8を形成する開孔工程を備えることが好ましい。開孔工程は、リリース工程後の中空突起部3の外面に対し開孔手段を用いて開孔8を形成する。開孔手段としては、レーザー光を照射するレーザー光照射装置、ホットエアーを発射するホットエアー発射装置、赤外線を照射するハロゲンランプ照射装置等、熱源を用いた加工装置を用いることができる。微細な中空突起部3に対し開孔加工を施すので、開孔手段としては、該開孔加工に必要な集光性や高精度なエネルギー制御を可能とするものを用いることが好ましい。斯かる開孔加工装置としては、例えばレーザー光照射装置が挙げられる。また、レーザー光の照射により開孔8を形成することは、該開孔8の周囲にバリが形成され難い点、及び中空突起部3の所望の位置に開孔8を形成し易い点からも好ましい。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上述した実施形態に制限されることなく適宜変更が可能である。
例えば、図9に示す実施形態において、賦形シート30に賦形突起部33を形成することで賦形型部31を製造していたが、シート状ではなくブロック状の形成材料に賦形用凸型部51を刺入して賦形型部31を製造してもよい。なお、「シート状」とは厚みが5mm以内のものを意味する。
また、上述した実施形態では、凸型43の加熱手段として超音波振動装置を用いたが、該加熱手段を加熱ヒーター装置としてもよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲は、かかる実施例に制限されない。
〔実施例1〕
図4に示す凸型部41を用意した。この凸型部41は、凸型43の高さH2が3mmであり、先端角度αが11度であった。また、凸型部41は、加熱手段として超音波振動装置を備えるものであった。
実施例1では、前記凸型部41を用いて賦形型部形成工程を実施し、熱可塑性樹脂からなる賦形シート30(厚み0.4mm)に賦形突起部33を形成して、賦形型部31を製造した。凸型43の超音波振動の周波数は20kHzであり、超音波振動の振幅は35μmであった。凸型43による賦形シート30の加熱温度は、85℃であった。また、凸型43の刺入速度は2mm/秒であり、軟化時間は0.1秒であり、冷却時間は0.5秒であった。凸型43の賦形シート30への刺入長さL5を下記表1に示す。
次いで、この賦形型部31と前記凸型部41とを用いて、シート配置工程、突起形成工程、冷却工程、及びリリース工程を実施し、熱可塑性樹脂からなる基材シート20(厚み0.4mm)に中空突起部3を形成して、マイクロニードルアレイ1を製造した。凸型43の超音波振動の周波数は20kHzであり、超音波振動の振幅は35μmであった。凸型43による基材シート20の加熱温度は、85℃であった。また、凸型43の刺入速度は2mm/秒であり、軟化時間は0.1秒であり、冷却時間は0.5秒であった。突起形成工程では、賦形突起部33の中心軸と、凸型43の中心軸とを同軸上に配して、賦形突起部33の内部空間V3に凸型43を挿入した。賦形突起部33の内部空間V3に凸型43を挿入したとき、賦形突起部33の内周面34全域に凸型43の外面が対向していた。また、凸型43と該賦形突起部33とは接触していなかった。すなわち、賦形突起部33の内部空間V3に凸型43を挿入したとき、凸型43の基材シート20への刺入長さL1は、賦形突起部33の内部空間V3の高さH3よりも短かった。凸型43の基材シート20への刺入長さL1を下記表1に示す。
実施例1では、賦形型部31の構成樹脂のガラス転移温度が、基材シートの構成樹脂のガラス転移温度以上であった。
以上の工程により、マイクロニードルアレイを得た。
〔実施例2〕
実施例2では、凸型43の基材シート20への刺入長さL1を変更した点以外は、実施例1と同様の方法によりマイクロニードルアレイを得た。
〔実施例3〕
実施例3では、賦形シート30を、基材シート20の構成樹脂と同じものにした点以外は、実施例1と同様の方法によりマイクロニードルアレイを得た。
〔比較例1〕
中空突起部3の形成に賦形型部31を用いなかった点、及び凸型43の基材シート20への刺入長さL1を変更した点以外は、実施例1と同様の方法によって、マイクロニードルを製造した。
実施例及び比較例で用いた、賦形シート及び基材シートの構成樹脂をそれぞれ下記表1に示す。PETのガラス転移温度は73℃であり、PLAのガラス転移温度は60℃である。
また、各実施例について、賦形突起形成工程における凸型43の刺入長さL5、突起形成工程における凸型43の刺入長さL1、及びこれら両刺入長さの差(L5-L1)を下記表1に示す。前記両刺入長さの差(L5-L1)は、凸型43の基材シート20への刺入長さL1と賦形突起部33の内部空間V3の高さH3との差に相当する。
さらに、各実施例及び比較例のマイクロニードルアレイについて、その中空突起部3の突出高さH1(mm)を上述した方法により測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 2022072096000002
各実施例及び比較例において得られたマイクロニードルの中空突起部について、その高さ方向Zの各位置における外径r1及び肉厚T1それぞれを、上述した方法により測定し、その測定値をプロットしたグラフを得た。斯かるグラフを図12及び図13に示す。
図12及び図13のグラフにおいて、横軸は、高さ方向における中空突起部の先端からの距離を示しており、該距離が長くなるほど、高さ方向において該先端から離れた位置を示している。
中空突起部3は、基材シート20の軟化部分が延伸されることによって形成されるので、中空突起部3の先端に向かうほど延伸の程度が高くなる傾向がある。そのため、中空突起部3は先端に向かうほど肉厚T1が小さくなる傾向にある(図13参照)。
図12及び図13に示すグラフから明らかなように、実施例1~3の中空突起部は、先端から基底部2に向かって外径r1及び肉厚T1が漸次増加しており、外径r1及び肉厚T1のグラフが比較例1に比して略直線状となっている。このように各実施例では、中空突起部3について、高さ方向Zにおける各位置の外径r1及び肉厚T1といった寸法を、設計通りの寸法に制御できることが示された。したがって、各実施例の製造方法は、中空突起部の成形精度に優れる。
実施例1及び2の対比から、中空突起部3の肉厚T1は、凸型43の刺入長さにより調整できることが示された。
実施例1及び3の対比から、賦形型部31の構成樹脂のガラス転移温度が、基材シート20の構成樹脂のガラス転移温度よりも高いことが、高さ方向Zの各位置における外径r1及び肉厚T1を線形に制御する上で有効であることが示された。
比較例1の中空突起部と比べ、各実施例の中空突起部はいずれも、高さ方向Zにおける局所的な外径r1及び肉厚T1の変化が少なく、高さ方向Zにおいて外径r1及び肉厚T1にムラが少なかった。
1 マイクロニードルアレイ(中空突起具)
2 基底部
3 中空突起部
7 開口
8 開孔
20 基材シート
30 賦形シート
31 賦形型部
32 底部
33 賦形突起部
34 内周面
37 開口
41 凸型部
42 底部
43 凸型
51 賦形用凸型部
53 賦形用凸型
100 製造装置
V 中空突起部の内部空間
V3 賦形突起部の内部空間
X1 搬送方向
Z 高さ方向

Claims (8)

  1. 微細な中空突起部を備えた中空突起具の製造方法であって、
    シート配置工程と、突起形成工程と、リリース工程とを具備し、
    前記シート配置工程は、凸型を備えた凸型部と、内部空間を有する賦形突起部を備えた賦形型部との間に、熱可塑性樹脂を含む基材シートを配する工程であり、
    前記突起形成工程は、
    前記基材シートに前記凸型を当接させ、該基材シートにおける該凸型の当接部分を熱により軟化させながら、該凸型を、前記賦形突起部の内部空間に挿入していく工程、及び
    前記基材シートの軟化部分を、前記凸型の外面と前記賦形突起部の内部空間の内面との間に挟む工程を有し、
    外周面が前記賦形突起部の内周面に沿った形状を有する前記中空突起部を形成する工程であり、
    前記リリース工程は、前記中空突起部の内部から前記凸型を抜く工程である、中空突起具の製造方法。
  2. 前記突起形成工程において、前記賦形突起部の内周面全域に、前記凸型の外面が対向するように、該凸型を前記賦形突起部の内部空間に挿入する、請求項1に記載の中空突起具の製造方法。
  3. 前記突起形成工程において、前記凸型の前記基材シートへの刺入長さが、前記賦形突起部の内部空間の高さよりも短い、請求項1又は2に記載の中空突起具の製造方法。
  4. 前記突起形成工程において、前記賦形突起部の内部空間に挿入した前記凸型を、前記賦形突起部に接触させない、請求項1~3の何れか1項に記載の中空突起具の製造方法。
  5. 前記突起形成工程は、前記賦形突起部の中心軸と、前記凸型の中心軸とを同軸上に配して、前記賦形突起部の内部空間に前記凸型を挿入する、請求項1~4の何れか1項に記載の中空突起具の製造方法。
  6. 前記賦形型部を形成する賦形型部形成工程を備え、
    前記賦形型部形成工程は、賦形突起形成工程と賦形型リリース工程とを具備し、
    前記賦形突起形成工程は、
    熱可塑性樹脂を含む賦形シートの一面側から賦形用凸型を当接させ、該賦形シートにおける該賦形用凸型の当接部分を熱により軟化させながら、該賦形用凸型を、該賦形シートに刺してゆく工程を有し、
    前記賦形シートの他面側から突出した前記賦形突起部を形成する工程であり、
    前記賦形型リリース工程は、前記賦形突起部の内部から前記賦形用凸型を抜く工程である、請求項1~5の何れか1項に記載の中空突起具の製造方法。
  7. 前記賦形突起形成工程において、前記賦形シートが帯状のシートであり、前記賦形突起部を該シートの長手方向に沿って順次形成する、請求項6に記載の中空突起具の製造方法。
  8. 前記賦形型部の構成樹脂のガラス転移温度が、前記基材シートの構成樹脂のガラス転移温度以上である、請求項1~7の何れか1項に記載の中空突起具の製造方法。
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