以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。図面は基本的に模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合がある。
図1には、本発明の製造方法の製造目的物である中空突起具の一実施形態が示されている。本実施形態の中空突起具1は、図1に示すように、開孔3hを有する微細な中空突起部3と、平坦な基底部材2とを備えている。中空突起具1は、基底部材2から複数の中空突起部3が突出する形態となっている。
本実施形態の中空突起具1では、シート状の基底部材2の上面に、複数具体的には9個の円錐状の中空突起部3が配されている。複数の中空突起部3は互いに同形状同寸法である。これら複数(9個)の中空突起部3は、中空突起具1の製造時における流れ方向(機械方向、以下「MD」ともいう。)及び製造時におけるMDに直交する方向(以下、「CD」ともいう。)それぞれにおいて多列(3列)に配置され、且つ各該列においては、複数(3個)の中空突起部3が一方向に所定間隔を置いて間欠配置されている。なお、中空突起部3の数、配置及び形状は、図1に示す形態に制限されず任意に設定することができ、例えば、中空突起部3の外形形状は、図1に示す如き円錐状以外に、円錐台状、円柱状、角柱状、角錐状、角錐台状等とすることができる。
複数の中空突起部3は、それぞれ図2に示すように、内面31及び外面32を有し、内部(中空部)に、内面31で画成された空間3kを有する。空間3kは、中空突起部3の外形形状に対応した形状に形成されており、図1に示す中空突起具1では、円錐状の中空突起部3の外形形状に対応した円錐状に形成されている。空間3kにおける、中空突起部3の先端3t側とは反対側には基底側開孔2hが存在しており、中空突起部3の内部の空間3kは、基底側開孔2hを介して外部と連通している。
開孔3hは、図2に示すように、中空突起部3の内面31及び外面32の形成材料(基底部材2の形成材料と同じ)を厚み方向に貫通する貫通孔であり、中空突起部3の内部の空間3kは、開孔3hを介して外部と連通している。開孔3hは、内面31から外面32に向かうに従って差し渡し長さ(直径)が漸次増加している。また開孔3hは、中空突起部3の先端3t側、すなわち中空突起部3の高さ方向(基底部材2の厚み方向と同方向)の中央よりも中空突起部3の先端3tに近い側に位置しているが、先端3tには位置しておらず、先端3t(中空突起部3の平面視における中心)からずれた位置に形成されている。このように開孔3hが中空突起部3の先端からずれた位置に形成されていると、中空突起部3を皮膚に刺入したときに開孔3hが潰れ難く、中空突起部3の内部の空間3kに存する薬剤が開孔3hを通して皮膚の内部に安定的に供給され得る。
中空突起具1の各部の寸法等は特に制限されないが、例えば以下のように設定することができる。
中空突起部3の突出高さH1(図2参照)は、好ましくは0.01mm以上、より好ましくは0.02mm以上、そして、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下である。突出高さH1が斯かる範囲にあると、中空突起部3を皮膚に刺入したときに、その先端3tが最も浅いところでは角層まで、最も深いところでは真皮まで刺入させることが可能となる。
中空突起部3の先端径L(図2参照)は、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、そして、好ましくは500μm以下、より好ましくは300μm以下である。中空突起具1の先端径Lは、中空突起部3の先端3tにおける最も広い位置での長さである。先端径Lが斯かる範囲にあると、中空突起部3を皮膚に刺入したときに伴う痛みが知覚し難くなる。先端径Lは下記方法により測定される。
開孔3hの内面31における開孔面積は、好しくは0.7μm2以上、より好ましくは20μm2以上、そして、好ましくは200000μm2以下、より好ましくは70000μm2以下である。
<中空突起部3の先端径Lの測定方法>
中空突起部3の先端部(先端3t及びその近傍)を、走査型電子顕微鏡(SEM)又はマイクロスコープを用いて、図2(a)に示すように所定倍率拡大した状態で観察する。次に、図2(a)に示すように、外面32である両側辺1a,1bのうちの一側辺1aにおける直線部分に沿って仮想直線ILaを延ばし、他側辺1bにおける直線部分に沿って仮想直線ILbを延ばす。そして、中空突起部3の先端側にて、一側辺1aが仮想直線ILaから離れる箇所を第1先端点1a1として求め、他側辺1bが仮想直線ILbから離れる箇所を第2先端点1b1として求める。このようにして求めた第1先端点1a1と第2先端点1b1とを結ぶ直線の長さLを、走査型電子顕微鏡(SEM)又はマイクロスコープを用いて測定し、測定した該直線の長さを、中空突起部3の先端径Lとする。
複数の(図1では9個)の中空突起部3は、一方向(MD)の中心間距離が均一であるとともに、該一方向に直交する他の一方向(CD)の中心間距離が均一であることが好ましい。ここでいう「中心間距離」は、一方向に隣り合う2個の中空突起部3の中心(先端3t)どうしの間隔を意味する。また、一方向(MD)の中心間距離と他の一方向(CD)の中心間距離とが同じであることが好ましい。中空突起部3の一方向(MD又はCD)の中心間距離は、好ましくは0.01mm以上、より好ましくは0.05mm以上、そして、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下である。
次に、本発明の中空突起具の製造方法を、前述した中空突起具1の製造方法を例にとり図面を参照して説明する。図3には、中空突起具1の製造方法の実施に使用可能な製造装置の一実施形態である製造装置100の要部が示されている。なお、製造方法の説明で用いる図3等の図面では、説明の便宜上、中空突起部3を実際よりも大きく誇張して記載している。また図3は、あくまで製造装置100の装置構成を示すものであって、本発明の中空突起具の製造方法を示すものではない。
製造装置100は、図3に示すように、中空突起部3の形成及び矯正を行う突起部形成・矯正部10と、冷却部20と、中空突起部3に貫通孔である開孔3hを形成する開孔形成部40とを具備する。また、製造装置100は、中空突起具1の原材料である基材シート2Aの搬送手段(図示せず)を具備する。前記搬送手段は、搬送ロールなど、長尺のシート状物を搬送可能な公知の搬送手段と同様に構成されている。
基材シート2Aは、製造目的物である中空突起具1における基底部材2となるシートであり、熱可塑性樹脂を含んでいる。基材シート2Aとしては、熱可塑性樹脂を主体とするものが好ましく、具体的には、熱可塑性樹脂の含有量が好ましくは50質量%以上、より好ましくは90質量%以上であるものが好ましい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリ脂肪酸エステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート類、ポリ塩化ビニル、ナイロン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、生分解性の観点から、ポリ脂肪酸エステルが好ましく用いられる。ポリ脂肪酸エステルとしては、具体的に、ポリ乳酸、ポリグリコール酸又はこれらの組み合わせが挙げられる。基材シート2Aは、熱可塑性樹脂以外に、ヒアルロン酸、コラーゲン、でんぷん、セルロース等を含んだ混合物を含んでいてもよい。基材シート2Aの厚みは、製造目的物である中空突起具1における基底部材2の厚みT2(図2参照)と同等である。
突起部形成・矯正部10は、凸型110を具備する。凸型110は、後述する突起部形成工程では、基材シート2Aに刺入されて、中空突起部3を形成するのに用いられ、後述する突起部矯正工程では、該突起部形成工程で形成した中空突起部3の内部に挿入されて、該中空突起部3の形状を矯正するのに用いられる。つまり突起部形成・矯正部10は、突起部形成工程及び突起部矯正工程の二工程で動作し、各工程で凸型110を用いる。凸型110の外形形状、寸法、数及び配置は、製造目的物である1個の中空突起具1における中空突起部3の外形形状、寸法、数及び配置に対応している。
製造装置100における凸型110は、図4に示すように、凸型ユニット11の一部である。凸型ユニット11は、平板状の支持部材111と、該支持部材111の片面に配置された凸型110とを含んで構成されている。製造装置100によって製造される中空突起具1は、円錐状の中空突起部3を9個備えているので、凸型ユニット11においてはこれに対応して、支持部材111の片面に円錐状の凸型110が9個配置されている。複数(9個)の凸型110は、それぞれ、その先端を上方に向けて配置されている。なお、突起部形成・矯正部10は、少なくとも凸型110を具備していればよく、支持部材111は具備しなくてもよい。
製造装置100では、突起部形成・矯正部10は、凸型110の移動手段112を具備し、移動手段112を作動させることで、凸型110を含む凸型ユニット11を、図中符号Zで示す基材シート2A(基底部材2)の厚み方向の一方側及び他方側の双方に移動させることができる。すなわち突起部形成・矯正部10は、図3に示すように、搬送される基材シート2Aの下方における所定の待機位置で待機する凸型ユニット11を、基材シート2Aの厚み方向Zに沿って、基材シート2Aに近づく方向(図3では上方)に向かって移動させ、凸型110の先端110tを基材シート2Aに当接させることもできるし、凸型ユニット11を基材シート2Aから離れる方向(図3では下方)に向かって移動させることもできる。移動手段112としては、凸型110(凸型ユニット11)をこのように移動させることが可能なものであればよく、例えば、公知の電動アクチュエータを用いることができる。凸型110の移動(移動手段112の動作)は、製造装置100が備える制御手段(図示せず)により制御される。
後述する突起部形成工程では基材シート2Aを加熱し、また、後述する突起部矯正工程では中空突起部3を加熱するところ、製造装置100では、凸型ユニット11がこれらの加熱を行う加熱手段(図示せず)を具備する。凸型ユニット11において加熱手段の配置箇所は特に制限されず、例えば、凸型110又は支持部材111に内蔵されていてもよく、支持部材111の表面に固定されていてもよい。加熱手段の種類は特に制限されず、例えば、超音波振動装置、加熱ヒーター等を用いることができる。製造装置100では超音波振動装置が採用されており、基材シート2Aの加熱及び中空突起部3の加熱は、それぞれ、凸型110を介した超音波振動の印加によって行われる。加熱手段の作動は、製造装置100が備える制御手段(図示せず)により制御される。
凸型110の先端部(先端110t及びその近傍)の形状は、製造目的物である中空突起具1における中空突起部3の外形形状に対応した形状となっていればよい。
凸型110の高さH2(図4参照)は、典型的には、製造目的物である中空突起具1における中空突起部3の突出高さH1(図2参照)と同じか、又は突出高さH1に比べて若干高い。凸型110の高さH2は、好ましくは0.01mm以上、より好ましくは0.02mm以上、そして、好ましくは30mm以下、より好ましくは20mm以下である。
凸型110の先端径D1(図5参照)が、好ましくは0.001mm以上、より好ましくは0.005mm以上、そして、好ましくは1mm以下、より好ましくは0.5mm以下である。先端径D1は下記方法により測定される。
凸型110の根本径D2(図5参照)は、好ましくは0.1mm以上、より好ましくは0.2mm以上、そして、好ましくは5mm以下、より好ましくは3mm以下である。
凸型110の先端角度αは、製造目的物である中空突起具1における中空突起部3に実用上十分な強度を付与する観点から、好ましくは1度以上、より5度以上である。また先端角度αは、適度な角度を有する中空突起部3を得る観点から、好ましくは60度以下、より好ましくは45度以下である。先端角度αは下記方法により測定される。
<凸型110の先端径D1の測定方法>
凸型110の先端部を、走査型電子顕微鏡(SEM)又はマイクロスコープを用いて所定倍率に拡大した状態で観察する。次に、図5に示すように、凸型110の外面である両側辺11a,11bのうちの一側辺11aにおける直線部分に沿って仮想直線ILcを延ばし、他側辺11bにおける直線部分に沿って仮想直線ILdを延ばす。そして、先端側にて、一側辺11aが仮想直線ILcから離れる箇所を第1先端点11a1として求め、他側辺11bが仮想直線ILdから離れる箇所を第2先端点11b1として求める。このようにして求めた第1先端点11a1と第2先端点11b1とを結ぶ直線の長さD1を、走査型電子顕微鏡又はマイクロスコープを用いて測定し、測定した該直線の長さを、凸型110の先端径D1とする。
<凸型110の先端角度αの測定方法>
凸型110の先端部を、走査型電子顕微鏡(SEM)又はマイクロスコープを用いて所定倍率拡大した状態で、例えば、図5の四角で囲った部分のように観察する。次に、図5に示すように、凸型110の外面である両側辺11a,11bのうちの一側辺11aにおける直線部分に沿って仮想直線ILcを延ばし、他側辺11bにおける直線部分に沿って仮想直線ILdを延ばす。そして、仮想直線ILcと仮想直線ILdとのなす角度を、走査型電子顕微鏡又はマイクロスコープを用いて測定し、該角度を、凸型110の先端角度αとする。
凸型110は、折れ難い高強度の材質で形成されている。凸型110の材質としては、鋼鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、銅、銅合金、ベリリウム銅、ベリリウム銅合金等の金属、又はセラミック等が挙げられる。凸型ユニット11における凸型110以外の部材(例えば支持部材111)の材質は、凸型110と同じ材質(例えば金属又はセラミック)でもよく、凸型110とは異なる材質(例えば合成樹脂)でもよい。
製造装置100では、突起部形成・矯正部10は、図3に示すように、基材シート2Aの他面2U側(上面側、凸型110の刺入側とは反対側)に撓み抑制手段としての第1開口プレート12Uを具備するとともに、基材シート2Aの一面2D側(下面側、凸型110の刺入側)に撓み抑制手段としての第2開口プレート12Dを具備している。開口プレート12U,12Dは、基材シート2Aを挟んで相対向している。開口プレート12U,12Dは、それぞれ、MDに平行に延在する板状部材から形成され、該板状部材には、凸型ユニット11における凸型110を挿通可能な開口部12aが複数穿設されている。開口プレート12U,12Dでは、開口部12a以外の領域で基材シート2Aを支持する。開口プレート12U,12Dを形成する材質は、凸型110と同じ材質(例えば金属又はセラミック)でもよく、凸型110とは異なる材質(例えば合成樹脂)でもよい。
開口プレート12U,12Dは、それぞれ、基材シート2Aの厚み方向Zの一方側及び他方側の双方に移動可能とされている。すなわち開口プレート12U,12Dは、それぞれ、所定の待機位置から基材シート2Aに向かって厚み方向Zに沿って移動し、基材シート2Aと当接することもできるし、基材シート2Aから離れる方向に向かって厚み方向Zに沿って移動することもできる。斯かる開口プレート12U,12Dの移動は、電動アクチュエータ等の移動手段(図示せず)によってなされ、製造装置100が備える制御手段(図示せず)により制御される。
冷却部20は、図3に示すように、冷風送風装置21を具備する。製造装置100では、冷風送風装置21には、冷風送風する送風口22が基材シート2Aの他面2U側(上面側)に配されており、送風口22から冷風を吹き付けて中空突起部3を冷却するようになされている。なお、冷風送風装置21の構成は図3に示すものに制限されず、例えば、帯状の基材シート2Aが通過可能な中空部を有し、該中空部を通過する基材シート2Aの他面2U側(上面側)及び一面2D側(下面側)の双方に対し冷風送風可能に構成されていてもよい。冷風送風装置21の冷却温度、冷却時間の制御は、製造装置100が備える制御手段(図示せず)により制御される。
開孔形成部40は、図3に示すように、基材シート2Aの他面2U側(上面側)に非接触式の開孔手段4を備えている。非接触式の開孔手段4としては、レーザー光を照射するレーザー光照射装置、ホットエアーを発射するホットエアー発射装置、赤外線を照射するハロゲンランプ照射装置等、熱源を用いた加工装置が挙げられる。製造装置100では、微細加工に必要な集光性や高精度なエネルギー制御が可能である観点から、非接触式の開孔手段4として、レーザー光照射装置4が用いられている。
レーザー光照射装置(非接触式の開孔手段)4は、図3に示すように、レーザー光4Lを自在に走査するガルバノスキャナである照射ヘッド41を具備する。照射ヘッド41は、基材シート2Aの他面2U側(上面側)に該他面2Uから厚み方向Zの上方に一定の間隔を空けて配置されている。このように基材シート2Aの他面2U側に配された照射ヘッド41からレーザー光4Lを非貫通の中空突起部3に照射して、中空突起部3に開孔3hを形成すると、中空突起部3の外面32(図2参照)における開孔3hの周囲にバリが形成され難い。また、中空突起部3の任意の位置に開孔3hを形成し易いため、液剤等を供給したい皮膚表面に対する位置を任意に制御し易い。
照射ヘッド41は、図3に示すように、照射されたレーザー光4Lを集光するレンズ43、並びに集光したレーザー光4Lを自在に走査する2枚のミラー42及び保護レンズ44を具備する。保護レンズ44は具備しなくてもよいが、光学系への塵やほこりの進入を防止する観点から具備する方が好ましい。ミラー42は、モータ軸(図示せず)に取り付けられている。ミラー42は、レーザー光4Lが基材シート2A上の中空突起部3に当たる照射点を、MDに移動させる機構とCDに移動させる機構とを備え、レーザー光4Lを自在に走査できるようになっている。レンズ43は、光軸方向に移動可能となっており、レーザー光4Lを集光して、中空突起部3に当たるレーザー光4Lの照射点のスポット径を一定にする機構、該レーザー光4Lの照射点を基材シート2Aの厚み方向Zに移動させる機構等を備えている。ミラー42及びレンズ43を有する照射ヘッド41は、レーザー光4Lの照射点をX方向、Y方向及びZ方向からなる3次元に調整できるようになっている。その為、複数(図示の形態では9個)の中空突起部3それぞれの照射したい位置を3次元に座標化することで、レーザー光4Lを各中空突起部3の照射したい位置に所定のスポット径で照射することができる。レーザー光4Lとしては、開孔3hを形成する中空突起部3に吸収され得るものを用いることが好ましい。中空突起部3を形成する基材シート2Aが、熱可塑性樹脂を主体とするフィルム等のシートである場合、レーザー光4Lとしては、CO2レーザー、エキシマレーザー、アルゴンレーザー、YAGレーザー、LDレーザー(半導体レーザー)、YVO4レーザー、ファイバーレーザー等を用いることが好ましい。
図6には、製造装置100を用いた中空突起具1の製造方法の概略が示されている。中空突起具1の製造方法は、図6に示すように、突起部形成工程Aと、該突起部形成工程Aで形成された中空突起部3の形状を矯正する突起部矯正工程Bとを備える。
突起部形成工程Aでは、熱可塑性樹脂を含んで形成された基材シート2Aを加熱しつつ、基材シート2Aの一面2D側(下面側)から凸型110を刺入して、基材シート2Aの他面2U側(上面側)から突出する非貫通の中空突起部3を形成し(図6(a)及び図6(b)参照)、中空突起部3の内部から凸型110を抜いた後、基材シート2Aの他面2U側に配された非接触式の開孔手段(レーザー光照射装置)4を用いて、中空突起部3に貫通孔である開孔3hを形成する(図6(c)及び図6(d)参照)。以下、突起部形成工程Aについて、図6及び図7を参照しながら説明する。
突起部形成工程Aの実施に先立ち、図3に示すように、熱可塑性樹脂を含んで形成された基材シート2Aの原反ロールから長尺帯状の基材シート2Aを繰り出し、一方向MDに搬送する。そして、基材シート2Aにおける加工予定部位(中空突起部3の形成予定部位)が所定位置(突起部形成・矯正部10)に到達したところで、基材シート2Aの搬送を止め、該所定位置での加工が終了したら再び搬送する。本実施態様ではこのように、基材シート2Aの搬送を間欠的に行う。
突起部形成工程Aでは先ず、図7(a)に示すように、第1開口プレート12Uと第2開口プレート12Dとで基材シート2Aを挟持しつつ、基材シート2Aの一面2D側(第2開口プレート12D側)に向かって凸型110を含む凸型ユニット11を移動させ、第2開口プレート12Dの開口部12aに凸型110を通過させ、凸型110の先端110tを基材シート2Aの一面2Dに当接させる。凸型110は、前述した加熱手段としての超音波振動装置の作動により、基材シート2Aに当接する時点よりも前から超音波振動を発現している。図6及び図7において、凸型110の周囲に記載された複数の波状線は、凸型110が超音波振動を発現している状態を示している。このように超音波振動が発現した凸型110を基材シート2Aに当接させることで、基材シート2Aにおける凸型110の当接部分に超音波振動が印加され、それによって該当接部分が加熱されて軟化する。そして、図7(b)に示すように、前記当接部分を軟化させながら、基材シート2Aの一面2D側(下面側)から他面2U側(上面側)に向かって凸型110を上昇させて、基材シート2Aの他面2U側に配された第1開口プレート12Uで基材シート2Aの撓みを抑制しつつ、凸型110を基材シート2Aに刺入する。こうして、基材シート2Aの他面2U側から突出する非貫通の中空突起部3が形成される。
突起部形成工程Aにおける凸型110を介した基材シート2Aへの超音波振動の印加に関し、超音波振動の周波数は、中空突起部3の形成の観点から、好ましくは10kHz以上、より好ましくは15kHz以上、そして、好ましくは50kHz以下、より好ましくは40kHz以下である。同様の観点から、超音波振動の振幅は、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上、そして、好ましくは60μm以下、より好ましくは50μm以下である。凸型110を介した基材シート2Aへの超音波振動の印加は、凸型110が基材シート2Aに当接する時点よりも前から次工程(本実施態様では後述する冷却工程)を開始する直前まで行われることが好ましい。
突起部形成工程Aにおいて、基材シート2Aの加熱温度、より具体的には、基材シート2Aにおける凸型110との当接部分の加熱温度は、中空突起部3の形成の観点から、使用される基材シート2Aのガラス転移温度以上溶融温度未満であることが好ましく、特に軟化温度以上溶融温度未満であることが好ましい。具体的には、基材シート2A(前記当接部分)の加熱温度は、好ましくは30℃以上、より好ましくは40℃以上、そして、好ましくは300℃以下、より好ましくは250℃以下である。なお、基材シート2Aの加熱手段(凸型ユニット11が具備する加熱手段)として、超音波振動装置に代えて加熱ヒーターを用いる場合には、凸型110の加熱温度が前記の好ましい範囲となるように、加熱ヒーターを調整すればよい。ガラス転移温度(Tg)は、下記方法により測定され、軟化温度は、JIS K-7196「熱可塑性プラスチックフィルム及びシートの熱機械分析による軟化温度試験方法」に従って測定される。
<ガラス転移温度(Tg)の測定方法>
DSC測定器を使用して熱量の測定を行い、ガラス転移温度を求める。具体的に、測定器はPerkin Elmer社製の示差走査熱量測定装置(Diamond DSC)を使用する。基材シートから試験片10mgを採取する。測定条件は20℃で5分間維持した後に、20℃から320℃まで、5℃/分で昇温させ、横軸温度、縦軸熱量のDSC曲線を得る。そして、このDSC曲線からガラス転移温度Tgを求める。
なお、前記「基材シートのガラス転移温度(Tg)」は、基材シートの構成樹脂のガラス転移温度(Tg)を意味し、該構成樹脂が複数種存在する場合においてそれら複数種のガラス転移温度(Tg)が互いに異なる場合、前記加熱手段による基材シートの加熱温度は、少なくともそれら複数のガラス転移温度(Tg)のうち最も低いガラス転移温度(Tg)以上であることが好ましく、それら複数のガラス転移温度(Tg)のうち最も高いガラス転移温度(Tg)以上であることがさらに好ましい。また、前記「基材シートの軟化温度」についてもガラス転移温度(Tg)と同様である。すなわち、基材シートの構成樹脂が複数種存在する場合においてそれら複数種の軟化温度が互いに異なる場合、前記加熱手段による基材シートの加熱温度は、少なくともそれら複数の軟化温度のうち最も低い軟化温度以上であることが好ましく、それら複数の軟化温度のうち最も高い軟化温度以上であることがさらに好ましい。また、基材シートが融点の異なる2種以上の樹脂を含んで構成されている場合、前記加熱手段による基材シートの加熱温度は、それら複数の融点のうち最も低い融点未満である。
凸型110の基材シート2Aに対する刺入速度は、遅過ぎると樹脂を過剰に加熱軟化させ、速過ぎると加熱軟化不足となるので、中空突起部3を効率的に形成する観点から、好ましくは0.1mm/秒以上、より好ましくは1mm/秒以上、そして、好ましくは1000mm/秒以下、より好ましくは800mm/秒以下である。
軟化時間、すなわち、「凸型110の上昇を停止させ、中空突起部3の内部に凸型110を刺入した状態のまま次工程(本実施態様では冷却工程)を行うまでの時間」は、加熱不足を補う観点から、好ましくは0秒より長く、より好ましくは0.1秒以上、そして、好ましくは10秒以下、より好ましくは5秒以下である。
基材シート2Aに刺す凸型110の刺入高さ110h(図6(b)参照)は、中空突起部3を効率的に形成する観点から、好ましくは0.01mm以上、より好ましくは0.02mm以上、そして、好ましくは10mm以下、より好ましくは5mm以下である。刺入高さ110hは、基材シート2Aに凸型110を最も深く刺し込んだ状態において、凸型110の先端110tと、基材シート2Aの他面2U(上面)との間の距離を意味する。つまり、凸型110が最も深く刺し込まれて基材シート2Aの他面2Uから凸型110が出てきた状態における、該他面2Uから垂直方向に測定した凸型110の頂点までの距離が「刺入高さ110h」である。
本実施態様の突起部形成工程Aでは、以上のようにして非貫通の中空突起部3を形成した後、図7(c)に示すように、該中空突起部3の内部に凸型110を刺した状態で、冷却部20が具備する冷風送風装置21を用いて中空突起部3を冷却する(冷却工程)。突起部形成工程Aの冷却工程では、凸型110を介した超音波振動の印加は、継続しても中止してもよいが、非貫通の中空突起部3の形状を過度な変形をさせず一定に保つ観点から、中止することが好ましい。
突起部形成工程Aの冷却工程において、中空突起部3に吹き付ける冷風の温度は、好ましくは-50℃以上、より好ましくは-40℃以上、そして、好ましくは26℃以下、より好ましくは10℃以下である。冷却時間(中空突起部3に冷風を吹き付ける時間)は、成形性と加工時間との両立の観点から、好ましくは0.01秒以上、より好ましくは0.5秒以上、そして、好ましくは60秒以下、より好ましくは30秒以下である。
なお、製造装置100のように、基材シート2Aの加熱手段として超音波振動装置を用いる場合には、冷風送風装置21を用いた冷却は必ずしも必要ではなく、冷風送風装置21を用いない代わりに、超音波振動装置の作動を停止することにより、中空突起部3を冷却することもできる。これは、加熱手段として超音波振動装置を用いることによる利点の1つであり、加熱手段として超音波振動装置を用いることで、装置の簡便化、製造効率の向上が期待できる。加熱手段として超音波振動装置を用いることによる別の利点として、基材シート2Aにおける凸型110と当接していない部分では、超音波振動が伝わりにくく、したがって加熱され難く、また、超音波振動のオン/オフによって冷却を効率的に行うことが可能なため、基材シート2Aにおける中空突起部3の形成予定部以外の部分に変形が生じにくい点が挙げられる。
突起部形成工程Aでは次に、図7(d)に示すように、非貫通の中空突起部3の内部から凸型110を抜く(リリース工程)。本実施態様の突起部形成工程Aのリリース工程では、凸型110を介した超音波振動装置による超音波振動を停止し、移動手段112を作動させて凸型110を含む凸型ユニット11を、基材シート2A(中空突起部3)から離れる方向、具体的には下方に移動させる。
突起部形成工程Aでは次に、図6(c)及び図7(e)に示すように、基材シート2Aの他面2U側(上面側)に配された非接触式の開孔手段4を用いて、非貫通の中空突起部3に貫通孔である開孔3hを形成する(開孔形成工程)。本実施態様では、非接触式の開孔手段4としてのレーザー光照射装置4から非貫通の中空突起部3にレーザー光4Lを照射することで、開孔3hを形成する。開孔形成工程において、開孔3hは、非貫通の中空突起部3の先端3tに形成してもよいが、開孔3hの形成時において先端3tへのダメージを低減する観点、及び使用時において中空突起部3を皮膚に刺入しやすくする観点から、該中空突起部3の先端からずれた位置に形成することが好ましい。
突起部形成工程Aの開孔形成工程において、このように非接触式の開孔手段としてレーザー光照射装置を用いる場合には、比較的少ない照射エネルギーで開孔3hを形成するとともに、開孔3hの周辺部に対する照射エネルギーの影響を極力抑えて該周辺部の強度を維持する観点から、レーザー光の照射時間は、好ましくは0.001ms以上、より好ましくは0.005ms以上、そして、好ましくは500ms以下、より好ましくは300ms以下である。同様の観点から、レーザー光のレーザー出力は、好ましくは0.5W以上、より好ましくは1W以上、そして、好ましくは100W以下、より好ましくは50W以下である。
本実施態様ではこのように、突起部形成工程Aにおいて、非貫通の中空突起部3から凸型110を抜き、該中空突起部3を中空にした状態で、該中空突起部3にレーザー光を照射して開孔3hを形成しており(図6(c)及び図7(e)参照)、該中空突起部3の内部に凸型110を挿入した状態ではレーザー光を照射していない。このように、中空突起部3を中空にしてからレーザー光を照射することにより、凸型110をはじめとする製造設備に対するレーザー光の影響を最小限に抑えることが可能となる。
そして本発明では、突起部形成工程Aにおいて、非貫通の中空突起部3から凸型110を抜いた状態で該中空突起部3に非接触式の開孔手段4を用いて開孔3hを形成した後に、突起部形成工程Aで形成された中空突起部3の形状を矯正する突起部矯正工程Bを採用することとした。このような本発明によれば、仮に、開孔3h形成時の溶融熱等の影響で、図6(d)に示すように、中空突起部3が屈曲ないし湾曲するなどして形状が崩れてしまっても、突起部矯正工程Bの実施によって、開孔3hを有する微細な中空突起部3の形状を設計に対して精度高く形成することが可能となる。
突起部矯正工程Bは、図6に示すように、中空突起部3の内部に凸型110を挿入した状態で該中空突起部3を加熱する凸型挿入加熱工程(図6(e)参照)と、該中空突起部3の内部に凸型110を挿入した状態で該中空突起部3を冷却する冷却工程と、該冷却工程の後、中空突起部3の内部から凸型110を抜くリリース工程(図6(f)参照)とを備える。
本実施態様の突起部矯正工程Bでは、先ず、図7(f)に示すように、第1開口プレート12Uと第2開口プレート12Dとで基材シート2A(基底部材2)を挟持しつつ、基材シート2Aの一面2D側(第2開口プレート12D側)に向かって凸型110を含む凸型ユニット11を移動させ、第2開口プレート12Dの開口部12aを介して、凸型110を中空突起部3の内部の中空部に挿入し、凸型110を中空突起部3の内面31(図2参照)に当接させる(凸型挿入加熱工程)。凸型110は、前述した加熱手段としての超音波振動装置の作動により、中空突起部3に挿入される時点よりも前から超音波振動を発現している。このように超音波振動が発現した凸型110を中空突起部3の内部に挿入し当接させることで、中空突起部3は加熱されて軟化し、内部に挿入されている凸型110の外面に追従するように変形する。中空突起部3の内部に挿入されている凸型110の外形形状は、該中空突起部3の適正な外形形状に対応したものであるので、斯かる該中空突起部3の熱による変形によって、該中空突起部3の形状が矯正される。
このように、突起部矯正工程Bの凸型挿入加熱工程は、加工対象(中空突起部3)に凸型110を所定速度で所定量挿入して加熱する工程であり、突起部形成工程Aにおける非貫通の中空突起部3の形成工程、すなわち加工対象(基材シート2A)に凸型110を所定速度で所定量刺入して加熱する工程と基本的には同じである。したがって、突起部矯正工程Bの凸型挿入加熱工程での加工条件(加熱温度、凸型110の中空突起部3の内部への挿入深さ及び挿入速度など)は、突起部形成工程Aにおける非貫通の中空突起部3の形成工程での加工条件(加熱温度、凸型110の基材シート2Aへの刺入深さ及び刺入速度など)と同じにすることもできる。しかし、両工程は目的が互いに異なるので、それぞれの目的を果たす上でより適切な加工条件を採用するとなれば、両工程の加工条件は互いに異なり得る。
例えば、突起部形成工程Aと突起部矯正工程Bとで加工熱量条件は異なり得る。より具体的には例えば、突起部形成工程Aにおける非貫通の中空突起部3の形成工程において基材シート2Aに付与する加工熱量AHと、突起部矯正工程Bの凸型挿入加熱工程において中空突起部3に付与する加工熱量BHとは異なり得る。本発明では、「加工熱量AH>加工熱量BH」及び「加工熱量AH<加工熱量BH」の何れを採用してもよく、基材シート2A(中空突起部3)の材質、矯正前の中空突起部3の形状、凸型110の材質等を考慮して適宜選択すればよいが、典型的には、「加工熱量AH>加工熱量BH」である。すなわち中空突起部3の矯正のための加工熱量BHの方が、中空突起部3を形成するための加工熱量AHに比べて小さい。
加工熱量AH及びBHは、それぞれ、基材シート2Aないし中空突起部3の加熱手段の加熱条件の他、凸型110の刺入ないし挿入深さ、刺入ないし挿入速度等によっても調整することができる。前記加熱手段が超音波振動装置である場合、前記加熱条件としては、例えば、超音波の周波数及び振幅が挙げられる。前記加熱手段が加熱ヒーターである場合、前記加熱条件としては、例えば、該加熱ヒーターの温度が挙げられる。例えば前記の「加工熱量AH>加工熱量BH」を成立させる場合、下記条件a~eの少なくとも1つを満たすことが好ましい。
・条件a:凸型挿入加熱工程Bにおける凸型110の中空突起部3での挿入深さが、突起部形成工程Aにおける凸型110の基材シート2Aに対する刺入深さに比べて浅い。
・条件b:凸型挿入加熱工程Bにおける凸型110の中空突起部3での挿入速度が、突起部形成工程Aにおける凸型110の基材シート2Aに対する刺入速度に比べて遅い。
・条件c:前記加熱手段が超音波振動装置である場合、凸型挿入加熱工程Bにおける超音波の周波数が、突起部形成工程Aにおける超音波の周波数に比べて低い。
・条件d:前記加熱手段が超音波振動装置である場合、凸型挿入加熱工程Bにおける超音波の振幅が、突起部形成工程Aにおける超音波の振幅に比べて小さい。
・条件e:前記加熱手段が加熱ヒーターである場合、凸型挿入加熱工程Bにおける加熱ヒーターの温度が、突起部形成工程Aにおける加熱ヒーターの温度に比べて低い。
前記条件aに関し、「突起部形成工程Aにおける凸型110の基材シート2Aに対する刺入深さ」は、前述の「刺入高さ110h」(図6(b)参照)と同じである。
前記条件aを採用し、凸型挿入加熱工程Bにおける凸型110の中空突起部3での挿入深さを、突起部形成工程Aにおける凸型110の基材シート2Aに対する刺入深さ(刺入高さ110h)以下にする場合、すなわち前者≦後者とする場合、両者の比率は、前者/後者として、好ましくは0.5以上、より好ましくは0.6以上、そして、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.99以下である。
前記条件bを採用し、凸型挿入加熱工程Bにおける凸型110の中空突起部3での挿入速度を、突起部形成工程Aにおける凸型110の基材シート2Aに対する刺入速度以下にする場合、すなわち前者≦後者とする場合、両者の比率は、前者/後者として、好ましくは0.1以上、より好ましくは0.2以上、そして、好ましくは1.0以下、より好ましくは0.8以下である。
突起部矯正工程Bでは次に、図7(g)に示すように、中空突起部3の内部に凸型110を挿入した状態で、冷却部20が具備する冷風送風装置21を用いて中空突起部3を冷却する(冷却工程)。突起部矯正工程Bの冷却工程では、凸型110を介した超音波振動の印加は、継続しても中止してもよいが、非貫通の中空突起部3の形状を過度な変形をさせず一定に保つ観点から、中止することが好ましい。突起部矯正工程Bの冷却工程は、特に断らない限り、前述した突起部形成工程Aの冷却工程と同様に実施することができる。
突起部矯正工程Bでは次に、図6(f)及び図7(h)に示すように、冷却工程を経た中空突起部3の内部から凸型110を抜く(リリース工程)。突起部矯正工程Bのリリース工程は、特に断らない限り、前述した突起部形成工程Aのリリース工程と同様に実施することができる。突起部矯正工程Bのリリース工程の終了後、中空突起具1の前駆体1A(図3参照)が得られる。この前駆体1Aは、複数の中空突起具1がMDに一列に連なった中空突起具連続体である。
以上のように形成された中空突起具1の前駆体1Aは、突起部形成・矯正部10、冷却部20及び開孔形成部40よりもMDの下流側における切断部(図示せず)に搬送され、該切断部にて製品単位に切断される。こうして、図1に示す中空突起具1が製造される。中空突起具1は、開孔3hを有する微細な中空突起部3の形状が設計に対して精度よく形成されているため、中空突起部3が皮膚に刺入しやすく、皮膚の内部に剤を安定的に供給できる。
ところで、前述の実施態様では、突起部形成工程Aと突起部矯正工程Bとで同じ凸型110を用いており、突起部形成用凸型と突起部矯正用凸型とは同一物であったが、両凸型は互いに異なっていてもよい。その場合は例えば、突起部矯正用凸型(突起部矯正工程Bの凸型110)として、突起部形成用凸型(突起部形成工程Aの凸型110)に比べて、先端110tが丸みを帯びているものを用いることができる。つまり、突起部形成用凸型は、突起部矯正用凸型に比べて先鋭ということである。突起部形成工程Aでは、凸型110の先端110tで基材シート2Aを突き刺して変形させる必要があるため、先端110tは先鋭であることが好ましいが、突起部矯正工程Bでは、既に形成されている中空突起部3の内部に凸型110を挿入するので、中空突起部3の内部を損傷させない観点からも先端110tは丸みを帯びていても構わない。
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は前記実施形態に何ら制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。