JP2022072097A - 中空突起具の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】成形性のよい中空突起具の製造方法を提供すること。【解決手段】開孔を有する中空突起部を備えた中空突起具の製造方法であって、前記中空突起具と相補形状をなす賦形型に対向するように、熱可塑性樹脂を含む基材シートを配置するシート配置工程と、前記基材シートの面のうち、前記賦形型に対向しない面側から、加熱部を有する凸型部を該基材シートに当接させて、該基材シートにおける該凸型部の当接部分を熱により軟化させながら、前記賦形型に向けて該凸型部を該基材シートに刺入する突起形成工程と、前記凸型部を前記基材シートから引き抜いて、前記中空突起部を形成するリリース工程と、前記賦形型及び前記中空突起部を貫通する前記開孔を形成する開孔形成工程と、を含む。【選択図】図4

Description

本発明は、中空突起具の製造方法に関する。
微小サイズの針を皮膚の浅い層に穿刺することで、痛みを伴わずに剤を供給できる微細中空突起具(マイクロニードル)が、医療又は美容分野で利用されている。当該技術分野において、特許文献1には、基材シートの一面側から突起部形成部を刺入して非貫通の中空突起部を形成し、基材シートの他面側からレーザ光を照射して、開孔を形成する技術が開示されている(同文献段落[0044]~[0060]、図6、請求項1等)。また、特許文献2には、中空構造のプラスチック製の注射針であって、レーザ加工によって注射針の先端部の斜面又は側面に薬液流出孔が加工された注射針が開示されている(同文献段落[0006]~[0016]、図1等)。さらに、特許文献3には、キャリアフィルムの一方主面上にシート部材を形成し、キャリアフィルム及びシート部材に紫外線レーザを照射して、キャリアフィルム及びシート部材に貫通孔を形成する技術が開示されている(同文献段落[0046]~[0047]、図1等)。
特開2019-50927号公報 特開2002-172169号公報 国際公開第2018/194066号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術では、基材シートに突起部形成部を刺入して形成された中空突起部の内部に突起部形成部を刺した状態で中空突起部を冷却した後、突起部形成部を抜き、しかる後、非接触式の熱加工手段(例えばレーザ光照射装置)を用いて貫通孔を形成した場合に、中空突起具の形状が貫通孔形成時の溶融熱等の影響で、屈曲ないし湾曲する可能性があった。また、上記特許文献2に記載の技術では、金型を用いて中空構造の注射針を形成するので、安価で生産性や成形性のよい中空突起具を製造できなかった。特許文献3に記載の技術では、2層シートに紫外線レーザを照射して貫通孔を形成する技術であるので、中空突起具を製造することができなかった。したがって、本発明の課題は、成形性のよい中空突起具の製造方法を提供することにある。
本発明は、開孔を有する中空突起部を備えた中空突起具の製造方法であって、
前記中空突起具と相補形状をなす賦形型に対向するように、熱可塑性樹脂を含む基材シートを配置するシート配置工程と、
前記基材シートの面のうち、前記賦形型に対向しない面側から、加熱部を有する凸型部を該基材シートに当接させて、該基材シートにおける該凸型部の当接部分を熱により軟化させながら、前記賦形型に向けて該凸型部を該基材シートに刺入する突起形成工程と、
前記凸型部を前記基材シートから引き抜いて、前記中空突起部を形成するリリース工程と、
前記賦形型及び前記中空突起部を貫通する前記開孔を形成する開孔形成工程と、
を含む中空突起具の製造方法に関する。
本発明によれば、成形性のよい中空突起具を製造できる。
図1は、本発明の製造方法で製造される中空突起具(マイクロニードルアレイ)の一例を示す斜視図である。 図2(a)は、図1に示す1個の中空突起部の斜視図であり、図2(b)は、図2(a)に示すII-II線断面図である。 図3は、中空突起部の先端径の測定方法を示す説明図である。 図4は、本発明の製造方法の概要を説明するための図である。 図5は、本発明の製造方法に用いられる製造装置の一実施形態を示す図であって、図1に示す中空突起部を製造する製造装置の概要を示す斜視図である。 図6(a)及び(b)は、本発明に係る突起形成工程を説明するための断面図である。 図7は、図5(b)に示す凸型及び賦形突起部を模式的に示す斜視図である。 図8は、本発明に係る凸型の先端角度の測定方法を示す説明図である。 図9は、第2実施形態に係る製造方法の概要を説明するための図である。 図10は、賦形シート突起形成工程の一実施形態を説明するための斜視図である。 図11は、賦形シート突起形成工程の別の例を説明するための斜視図である。
以下、本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。まず、本発明の製造方法によって得られる中空突起具の一実施形態について、図1~図8を参照しながら説明する。
[第1実施形態]
図1には、微細な中空突起部を有する中空突起具の一実施形態である、マイクロニードルアレイ1(中空突起具)が示されている。本実施形態のマイクロニードルアレイ1は、シート状の基底部2と複数の中空突起部3とを有し、中空突起部3の先端側に開孔8が設けられている。中空突起部3は、基底部2から突出し、内部は中空となっている。マイクロニードルアレイ1は、基底部2における中空突起部3が形成された部分の反対側に開口しており、開口部7が形成されている。開口部7と中空突起部3の内部空間Vとが連通している。中空突起部3の内部空間Vは、中空突起部3の外形形状に対応した円錐状に形成されている。すなわち、中空突起部3の内周面4は、中空突起部3の外周面に対応した形状を有している。中空突起部3の形状は、円錐状、円錐台状、円柱状、角柱状、角錐状、角錐台状等の任意の形状とすることができる。
マイクロニードルアレイ1は、基底部2の上面に、複数個の円錐台状の中空突起部3をアレイ(行列)状に有している。具体的には、9個の中空突起部3がアレイ状に配されており、後述する基材シート20を搬送する方向X1(基材シート20の長手方向)に沿う方向Xに3行、方向Xと直交する方向Yに3列に配されている。方向Yは、基材シート20を搬送する方向X1と直交する方向(基材シート20の幅方向)に沿う方向である。中空突起部3の数及び配置は、特に制限されず、任意の数及び配置にすることができる。
マイクロニードルアレイ1を皮膚に適用する場合、中空突起部3の先端を、最も浅いところで角層まで、深いところで真皮まで刺入し得ることが好ましい。かかる観点から、中空突起部3の突出高さH1(図2(b)参照)は、好ましくは、0.01mm以上、より好ましくは、0.02mm以上であり、また好ましくは、10mm以下、より好ましくは、5mm以下であり、また好ましくは、0.01mm以上10mm以下、より好ましくは0.02mm以上5mm以下である。突出高さH1は、中空突起部3が突出している基底部2の上面2Uと平行であって中空突起部3の頂点Pを通る仮想線P1と上面2Uとの間の距離である。上面2Uが平坦面ではなく、波打つような凹凸がある場合、中空突起部3の高さ方向Zを鉛直方向に一致させた上で、仮想線P1を、頂点Pを通り且つ水平方向に平行な線とする。そして、仮想線P1と、上面2U側の凹凸における凸部の頂部との間の距離を突出高さH1とする。仮想線P1と上面2Uとの間の距離(突出高さH1)は、中空突起部3を走査型電子顕微鏡(SEM)又はマイクロスコープを用いて拡大観察して、計測される。
中空突起部3の肉厚T1(図2(b)参照)は、中空突起部3の高さ方向Zに沿って一定であってもよく、変化していてもよい。例えば、中空突起部3の肉厚T1が、高さ方向Zにおける基底部2側から先端側に向かって漸次減少していてもよい。
中空突起部3の肉厚T1は、以下の方法により求められる。中空突起部3の頂点Pを含み且つ高さ方向Zに沿う縦断面において、高さ方向Zにおける同じ位置の外面同士の間隔を外径r1とし、高さ方向Zにおける同じ位置の内面同士の間隔を内径r2とする。中空突起部3の高さ方向Zにおいて、内径r2が0より大きい位置にて外径r1及び内径r2を測定し、下記式(1)により肉厚T1を求める。
肉厚T1=(r1-r2)/2・・・(1)
r1:外径
r2:内径
基底部2の厚みT2(図2(b)参照)は、好ましくは、0.01mm以上、より好ましくは0.02mm以上であり、また好ましくは、1.0mm以下、より好ましくは、0.7mm以下であり、また好ましくは、0.01mm以上1.0mm以下、より好ましくは、0.02mm以上0.7mm以下である。厚みT2は、後述する基材シート20の厚みでもある。
そして、マイクロニードルアレイ1を皮膚に適用して液剤を皮膚に供給する場合、液剤を供給し易くする観点から、マイクロニードルアレイ1は、図2(a)に示すように、中空突起部3の外面に開孔8を有している。開孔8は、中空突起部3の内部空間Vと連通しており(図2(b)参照)、中空突起部3の外面における任意の位置に形成することができる。
中空突起部3の先端径L(図3参照)は、好ましくは、0.001mm以上、より好ましくは、0.005mm以上であり、また好ましくは、0.5mm以下、より好ましくは、0.3mm以下であり、また好ましくは、0.001mm以上0.5mm以下、より好ましくは、0.005mm以上0.3mm以下である。中空突起部3の先端径Lは、以下のようにして測定される。
〔中空突起部3の先端径の測定〕
中空突起部3の先端部を、走査型電子顕微鏡(SEM)又はマイクロスコープを用いて拡大観察する。観察される中空突起部3の先端部について、図3に示すように、両側辺1a,1bのうちの一側辺1aにおける直線部分に沿って仮想直線ILaを延ばす。これと同様に、他側辺1bにおける直線部分に沿って仮想直線ILbを延ばす。次いで、先端側にて、一側辺1aが仮想直線ILaから離れる箇所を第1先端点1a1として求め、他側辺1bが仮想直線ILbから離れる箇所を第2先端点1b1として求める。このようにして求めた第1先端点1a1と第2先端点1b1とを結ぶ直線の長さLを測定し、これを中空突起部3の先端径Lとする。
次に、本発明の中空突起具の製造方法を、前述したマイクロニードルアレイ1の製造方法を例に、図4~図8を参照しながら説明する。図4には、マイクロニードルアレイ1の製造方法の概要が示されている。マイクロニードルアレイ1の中空突起部3は非常に小さなものであるが、図5においては、説明の便宜上、中空突起部3が、誇張して描かれている。
まず、図4(a)~(g)を参照して、本実施形態の中空突起具の製造方法の概要について説明する。図4(a)に示したように、中空突起具と相補形状をなす賦形突起部33が形成された賦形シートの一面側に対向するように、熱可塑性樹脂を含む基材シート20を配置する。ここで、相補形状とは、必ずしも寸分の隙間なく噛み合う形状のものには限定されない。そして、図4(b)~(c)に示したように、配置した基材シート20の賦形突起部33に対向しない面側から加熱部を有する凸型部41(図5参照)の凸型43を当接させる。そして、基材シート20における凸型部41の当接部分に熱を加えて軟化させながら、基材シート20と賦形突起部33とが対向する面側に向かって凸型部41を基材シート20に刺入する。その後、図4(d)に示したように、基材シート20から刺入された凸型部41を引き抜いて、内部が中空の中空突起部3を形成する。図4(e)~(f)に示したように、賦形突起部33の外面側に配置された非接触式(レーザ式)の開孔手段からレーザ光4Lを照射して、賦形突起部33及び中空突起部3の側面側から貫通孔である開孔8を形成する。最後に、図4(g)に示したように、賦形突起部33から開孔8が形成された中空突起部3を引き抜いて、離型することで、マイクロニードルアレイ1(中空突起具)が得られる。なお、賦形突起部33における中空突起部3の開孔8の位置に対応する位置に予め開孔しておいてもよい。これにより、例えば、賦形突起部33を繰り返し使用する場合や、賦形突起部33への開孔に時間を要する場合などであっても、対応することが可能となる。
次に、図5には、マイクロニードルアレイ1の製造方法の実施に用いる一実施形態の製造装置100の全体構成が示されている。製造装置100は、基材シート20に中空突起部3を形成するための凸型部41を有する突起部形成部(図示せず)と、中空突起部3に貫通する開孔8を形成するための非接触式の開孔手段を有する開孔形成部40(レーザ)とを備えている。また、製造装置100は、冷却部(図示せず)を備えている。製造装置100は、基材シート20の下面2B側から凸型部41を刺入して、基材シート20の上面2U側から突出する非貫通の中空突起部3を形成し、その後、基材シート20の上面2U側から開孔手段により非貫通の中空突起部3に貫通孔である開孔8を形成する。以下、製造装置100を用いるマイクロニードルアレイ1の製造方法を詳述する。
製造装置100を用いるマイクロニードルアレイ1の製造方法では、まず、図5に示すように、熱可塑性樹脂を含んで形成された基材シート20の原反ロールから帯状の基材シート20を繰り出し、搬送方向X1に搬送する。そして、基材シート20が所定位置まで送られたところで、一旦搬送を止め、その後、再度搬送を再開する間欠搬送であってもよく、また、搬送を止めずに搬送を継続する連続搬送であってもよい。搬送手段は、搬送ロール又はコンベア等の公知の手段を用いることができる。
基材シート20は、中空突起部3を形成する部分以外の部分が、マイクロニードルアレイ1の基底部2を構成する。
基材シート20に含まれる熱可塑性樹脂は、ポリ脂肪酸エステル、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート類、ポリ塩化ビニル、ナイロン樹脂、アクリル樹脂等又はこれらの組み合わせが挙げられる。生分解性の観点から、ポリ脂肪酸エステルが好ましく用いられる。ポリ脂肪酸エステルとしては、具体的に、ポリ乳酸、ポリグリコール酸又はこれらの組み合わせ等が挙げられる。
基材シート20は、熱可塑性樹脂以外に、ヒアルロン酸、コラーゲン、でんぷん、セルロース等を含んだ混合物で形成されていてもよい。基材シート20の厚みは、マイクロニードルアレイ1の基底部2の厚みT2と同等である。
基材シート20は、熱可塑性樹脂を主体として形成されていることが好ましい。「熱可塑性樹脂を主体とする」とは、熱可塑性樹脂を50質量%以上含んでいることを意味する。基材シート20は、熱可塑性樹脂を好ましくは50質量%以上、より好ましくは90質量%以上含み、さらに好ましくは熱可塑性樹脂の含有量が100質量%である。熱可塑性樹脂を主体とする基材シート20は、通常、フィルム状物となっている。
凸型部41は、凸型底部42と、凸型底部42から突出する複数の凸型43とを有している。また、賦形型部31は、賦形底部32と、賦形底部32から突出する複数の賦形突起部33とを有している。すなわち、凸型部41及び賦形型部31は、台となる支持体(凸型底部42,賦形底部32)と、支持体の一方の面から複数箇所において突出する部分(凸型43,賦形突起部33)とを有している。かかる形態に限らず、凸型部41及び賦形型部31のいずれか一方又は双方は、突出する部分(凸型43,賦形突起部33)のみからなる構造を有していてもよい。
凸型部41が具備する凸型43は、マイクロニードルアレイ1における中空突起部3の内部空間Vの形状に対応している。凸型43の先端側の外周面44は、中空突起部3の内周面4に沿った形状を有している。
賦形型部31が具備する賦形突起部33は、賦形底部32から突出し、内部が中空に形成されている。賦形型部31は、賦形底部32における賦形突起部33が形成された部分の反対側が開口しており、開口37と賦形突起部33の内部空間V3(図6(a)参照)とが連通している。
賦形突起部33の内部空間V3の形状は、中空突起部3の外形形状に対応した形状となっている。賦形突起部33の内周面34は、中空突起部3の外周面3aに沿った形状となっている。賦形突起部33の内部空間V3は、中空突起部3の外形形状に対応した形状となっている。すなわち、中空突起部3(マイクロニードルアレイ1)と賦形突起部33とは相補形状となっている。
凸型部41の凸型43の数及び配置、並びに賦形型部31の賦形突起部33の数及び配置は、マイクロニードルアレイ1の中空突起部3の数及び配置に対応している。賦形型部31は、賦形突起部33の内部空間V3に凸型43を挿入可能に構成されている。具体的には、賦形型部31は、1個の開口37に対して1個の凸型43が挿入されるように形成されている。凸型43の外形形状と、賦形突起部33の内部空間V3の形状とは互いに相似形状である。賦形突起部33の内部空間V3の大きさは、凸型43の外形と略同じであってもよく、若干大きくてもよい。凸型43を賦形突起部33に容易に挿入させる観点から、凸型43及び賦形突起部33それぞれの中心軸が、凸型43を賦形突起部33に挿入する挿入方向に沿っていることが好ましい。
基材シート20は、その面を水平方向と平行にした状態で搬送される。凸型部41は、図5に示したように、凸型43の先端を基材シート20に向けた状態で、基材シート20の上方に配置されている。また、賦形型部31は、開口37を基材シート20に向けた状態で、基材シート20の下方に配置されている。製造装置100は、凸型部41及び賦形型部31のそれぞれを、電動アクチュエータ等を用いた公知の昇降機構(図示せず)によって上下に移動させる。
製造装置100は、凸型43にエネルギーを付与する手段を備えている。かかる手段は、具体的には加熱手段であり、超音波発振器と、超音波発振器から送信される超音波信号によって所定の超音波振幅、発振周波数で振動する超音波ホーンとを備えた超音波振動装置である。超音波振動装置は、凸型部41の凸型底部42に設けられ、超音波ホーンが振動することで凸型43を振動させる。凸型43と当接した基材シート20には、超音波振動が付与され、摩擦熱が発生して加熱される。
また、製造装置100は、冷風を送る送風ファン等の冷却装置、及び基材シート20をカットする切断装置を具備している。図5では、前述した昇降機構及び超音波振動装置に加え、冷却装置及び切断装置の図示を省略している。
マイクロニードルアレイ1の製造方法は、凸型部41と賦形型部31との間に、基材シート20を配置するシート配置工程と、基材シート20に凸型43を刺入する突起形成工程と、刺入された凸型43を引き抜くリリース工程と、形成された中空突起部3に開孔を形成する開孔形成工程と、開孔が形成された中空突起部3を賦形型部31から離型する離型工程とを含んでいる。
<シート配置工程について>
シート配置工程では、基材シート20が賦形型部31(賦形シート)の賦形突起部33が形成されていない面側に配置される。図5に示した例では、凸型43と賦形型部31の開口37とが基材シート20を挟んで対向した状態となるように、凸型部41と賦形型部31との間に、基材シート20が配される。また、シート配置工程においては、賦形突起部33を移動手段により移動させて、基材シート20の一面側と対向する位置に配置してもよい。例えば、賦形型部31を基材シート20の一方の面側に配置した後、他方の面側に凸型部41を配置してもよく、これとは反対に、凸型部41を基材シート20の他方の面側に配置した後、一方の面側に賦形型部31を配置してもよい。また、凸型部41及び賦形型部31を同時に配置してもよい。さらに、搬送方向X1において、同じ位置に固定された凸型部41及び賦形型部31の間に基材シート20を送り込むようにして配置してもよい。ここでは、賦形型部31の開口37を有する側の面を、基材シート20の一方の面に近接させるようにして、凸型部41と賦形型部31との間に基材シート20を配置する。
<突起形成工程について>
突起形成工程では、基材シート20に凸型部41の凸型43を当接させ、凸型43の当接部分を熱により軟化させながら、凸型43を基材シート20とともに賦形突起部33の内部空間V3に挿入する。そして、基材シート20の軟化部分を、凸型43の外面と賦形突起部33の内部空間V3の内面との間に挟み込んで中空突起部3を形成する(図6(a)及び(b)参照)。
凸型43の外面は、凸型43の外側の表面であって、凸型43の先端と外周面44を構成する表面とを含む。賦形突起部33の内部空間V3の内面は、賦形突起部33の内側の表面であって、内部空間V3の表面を形成する先端と、内周面34を構成する表面とを含む。
凸型43と賦形型部31の開口37とが対向した状態において(図6(a)参照)、凸型部41を下降させることで、凸型43を基材シート20に刺入するとともに、凸型43を賦形突起部33の内部空間V3に挿入していく(図6(b)参照)。これにより、凸型43の周囲の全周において、基材シート20が凸型43の外面と賦形型部31の内面との間に挟まれる。
凸型43は、前述した超音波振動装置によって当接した基材シート20を加熱するので、当接部分が加熱によって軟化され変形し易くなる。基材シート20の軟化部分は、凸型43の刺入に伴い延伸され、凸型43の外面及び賦形突起部33の内部空間V3の内面に沿って変形していき、内部空間V3を有する中空突起部3が形成される。このようにして形成された中空突起部3は、外周面3aが賦形突起部33の内周面34に沿った形状を有している。また、凸型43の刺入に伴い、基材シート20における中空突起部3が形成される面とは反対側の面に開口部7が形成される。
そして、中空突起部3が形成されると、凸型43が賦形突起部33の内部空間V3に挿入され、且つ基材シート20が凸型43の外面と賦形突起部33の内部空間V3の内面との間に挟まれた状態で、基材シート20及び中空突起部3を冷却する冷却工程が実施される。これにより、後のリリース工程を容易に実施することが可能となる。なお、この冷却工程は、実施しても、実施しなくてもよい。冷却工程を実施することにより、マイクロニードルアレイ1の製造サイクルを短縮できる。一方、冷却工程を実施しない場合には、超音波振動装置を停止させ、自然冷却により、基材シート20及び中空突起部3が冷却される。
<リリース工程について>
リリース工程では、突起形成工程において賦形突起部33の内部空間V3に挿入された凸型43を内部空間V3から引き抜くとともに、中空突起部3の内部から凸型43を引き抜く。
<開孔形成工程について>
次に、開孔形成工程では、賦形突起部33(中空突起部3)の外面に対し開孔手段を用いて貫通孔である開孔8を形成する。開孔形成工程においては、凸型43が引き抜かれた状態の中空突起部3、すなわち、賦形突起部33が被せられた状態の中空突起部3に対して、開孔加工が行われる。開孔手段としては、レーザ光4Lを照射するレーザ光照射装置、ホットエアーを発射するホットエアー発射装置、赤外線を照射するハロゲンランプ照射装置等、熱源を用いた開孔装置を用いることができる。微細な中空突起部3に対し開孔加工を施すので、開孔手段としては、開孔加工に必要な集光性や高精度なエネルギー制御を可能とする装置を用いることが好ましい。
かかる開孔加工装置としては、例えば、レーザ光照射装置が挙げられる。また、レーザ光4Lの照射により開孔8を形成することは、非接触式により開孔8を形成可能な点、開孔8の周囲にバリが形成され難い点、及び中空突起部3の任意の位置に開孔8を形成し易い点からも好ましい。また、賦形突起部33の構成材料としては、レーザ光の吸収率が、基材シート20の構成材料の吸収率よりも高いものを用いることが好ましい。このような構成材料とすることにより、レーザ光4Lによる熱の吸収効率が上がり、開孔8を形成し易くなる。また、賦形突起部33の融点やガラス転移温度が、基材シート20の融点やガラス転移温度より、高いものを用いることが好ましい。このような構成材料とすることにより、開孔8を形成する場合に、仮に中空突起部3が貫通孔形成時の溶融熱等の影響で、屈曲ないし湾曲し易くなる可能性があっても、賦形突起部33が中空突起部3の変形を抑制する効果がある。
レーザ光照射装置(非接触式の開孔手段)4Aは、図5に示すように、レーザ光4Lを自在に走査するガルバノスキャナである照射ヘッド40aを具備する。照射ヘッド40aは、基材シート20の他面2U側(上面側)に該他面2Uから厚み方向Zの上方に一定の間隔を空けて配置されている。このように基材シート20の他面2U側に配された照射ヘッド40aからレーザ光4Lを非貫通の中空突起部3に照射して、中空突起部3に開孔8を形成すると、中空突起部3の外面における開孔8の周囲にバリが形成され難い。また、中空突起部3の任意の位置に開孔8を形成し易いため、液剤等を供給したい皮膚表面に対する位置を任意に制御し易い。
照射ヘッド40aは、図5に示すように、照射されたレーザ光4Lを集光するレンズ40c、並びに集光したレーザ光4Lを自在に走査する2枚のミラー40b及び保護レンズ40dを具備する。保護レンズ40dは具備しなくてもよいが、光学系への塵やほこりの進入を防止する観点から具備する方が好ましい。ミラー40bは、モータ軸(図示せず)に取り付けられている。ミラー40bは、レーザ光4Lが基材シート20上の中空突起部3に当たる照射点を、MDに移動させる機構とCDに移動させる機構とを備え、レーザ光4Lを自在に走査できるようになっている。レンズ40cは、光軸方向に移動可能となっており、レーザ光4Lを集光して、中空突起部3に当たるレーザ光4Lの照射点のスポット径を一定にする機構、該レーザ光4Lの照射点を基材シート20の厚み方向Zに移動させる機構等を備えている。ミラー40b及びレンズ40cを有する照射ヘッド40aは、レーザ光4Lの照射点をX方向、Y方向及びZ方向からなる3次元に調整できるようになっている。その為、複数(図示の形態では9個)の中空突起部3それぞれの照射したい位置を3次元に座標化することで、レーザ光4Lを各中空突起部3の照射したい位置に所定のスポット径で照射することができる。レーザ光4Lとしては、開孔8を形成する中空突起部3に吸収され得るものを用いることが好ましい。中空突起部3を形成する基材シート20が、熱可塑性樹脂を主体とするフィルム等のシートである場合、レーザ光4Lとしては、CO2レーザ、エキシマレーザ、アルゴンレーザ、YAGレーザ、LDレーザ(半導体レーザ)、YVO4レーザ、ファイバーレーザ等を用いることが好ましい。
<離型工程について>
そして、製造装置100では、賦形型部31を下降させて、賦形型部31を基材シート20から引き離し、賦形突起部33内から中空突起部3を引き抜いて、中空突起部3に被せられている賦形突起部33を取り外して離型する。これにより、開孔8を有する微細な中空突起部3が形成された連続シート20aが得られる。
<カット工程について>
本実施形態の製造方法は、さらに連続シート20aを所定の範囲に切断するカット工程を含んでもよい。カット工程では、連続シート20aを前述した切断装置によって切断する。これにより、マイクロニードルアレイ1が製造される。切断装置としては、例えば、アンビルとトムソン刃とを備えるものを用いてもよい。
ここで、以上のように製造されたマイクロニードルアレイ1について、離型工程を省略し、賦形型部31を中空突起部3の保護具として利用することも可能である。つまり、離型工程において、賦形型部31を取り外さない状態でマイクロニードルアレイ1を保管しておき、マイクロニードルアレイ1の使用直前に賦形型部31を取り外して、使用することも可能である。
また、賦形型部31を保護具として使用する代わりに、賦形型部31と同じ形状の保護具を取り付けて、マイクロニードルアレイ1を保管してもよい。すなわち、中空突起部3の保護専用の保護具を用意し、離型工程において、賦形型部31を取り外した後、保護具を中空突起部3に装着して、マイクロニードルアレイ1を保管してもよい。製造されたマイクロニードルアレイ1に、中空突起部3を保護する保護具を取り付けて保護具付きのマイクロニードルアレイ1(中空突起具)とすることにより、マイクロニードルアレイ1の輸送や移動が容易に行え、また、輸送や移動中の中空突起部3の破損を効果的に防止することができる。
ここで、保護具は、中空突起部3の外形と相補形状をなす空間が保護具の内部に画成されたものである。すなわち、保護具の形状は、賦形型部31と相似形状となっている。そして、保護具の内部の空間に中空突起部3を挿入することにより、保護具が中空突起部3に嵌合される。そして、保護具は、中空突起部3から自由に取り外しが可能となっているので、中空突起部3を使用する際には、保護具を取り外して使用し、使用が終了したら保護具を中空突起部3に装着すれば、中空突起部を安全に保管できる。また、保護具は、金属やプラスチック、樹脂などの耐衝撃性や耐熱性に優れた材料から形成される。なお、保護具は、マイクロニードルアレイ1の全体を1つの保護具でカバーするものであっても、中空突起部3のそれぞれを個別にカバーするものであってもよい。
本実施形態の製造方法は、基材シート20の軟化部分を、凸型43の外面及び賦形突起部33の内部空間V3の内面に挟んで中空突起部3を形成するので、中空突起部3の外周面及び内周面とともに、中空突起部3の外径や肉厚等の寸法を高精度に制御することができ、中空突起部3の成形精度に優れる。また、基材シート20を凸型部41と賦形型部31との間に挟んで、凸型43を刺入するので、基材シート20の撓みを抑制しながら、中空突起部3を形成することができる。
中空突起部3の成形精度をより向上させる観点から、突起形成工程において、賦形突起部33の内周面34に、凸型43における先端から根本側に向かって外径が漸次増加する部分の外面が対向するように、凸型43を賦形突起部33の内部空間V3に挿入することが好ましく、賦形突起部33の内周面34全域に凸型43の外面が対向するように。凸型43を賦形突起部33の内部空間V3に挿入することが好ましい(図7参照)。これにより、凸型43の外周面44及び賦形突起部33の内周面34の形状を中空突起部3に反映し易くなる。
本実施形態の製造方法は、凸型43の基材シート20への刺入長さL1(図6(b)参照)を調整することによって、中空突起部3の肉厚T1を容易に調整することができる。刺入長さL1は、突起形成工程において凸型43が最も深く刺し込まれた状態の凸型43と賦形突起部33とは接触しない。換言すると、凸型43の基材シート20への刺入長さL1が、賦形突起部33の内部空間V3の高さH3(図6(a))よりも短い。これにより、基材シート20に穴が開く等の破損を抑制することができるとともに、中空突起部3の肉厚T1を容易に制御することができる。
中空突起部3の肉厚T1をより確実に制御する観点から、凸型43の基材シート20への刺入長さL1は、賦形突起部33の内部空間V3の高さH3に対し好ましくは、50%以上、より好ましくは、70%以上であり、また好ましくは、99%以下、より好ましくは、95%以下であり、また好ましくは、50%以上99%以下、より好ましくは、70%以上95%以下である。賦形突起部33の内部空間V3の高さH3は、賦形型部31における開口37を有する面から、賦形突起部33の内部空間V3の先端までの高さである。
上記と同様の観点から、凸型43を賦形突起部33の内部に刺入していく速度、すなわち、凸型43を基材シート20に刺し込んでいく刺入速度は、好ましくは、0.1mm/秒以上、より好ましくは、1mm/秒以上であり、また好ましくは、1000mm/秒以下、より好ましくは、800mm/秒以下であり、また好ましくは、0.1mm/秒以上1000mm/秒以下、より好ましくは、1mm/秒以上800mm/秒以下である。刺入速度は、凸型部41の昇降を制御する昇降機構の凸型部41の下降速度(移動速度)によって調整することができる。
中空突起部3の成形精度をより向上させる観点から、突起形成工程において、賦形突起部33の中心軸と、凸型43の中心軸とを同軸線AX上に配して、賦形突起部33の内部空間V3に凸型43を刺入することが好ましい。凸型43及び賦形突起部33の中心軸を互いに同軸線AX上に配することで、中空突起部3の肉厚T1及び形状を中心軸の周方向に均一化でき、中空突起部3の強度をより向上させることができる。
中空突起部3を効率的に形成する観点から、凸型43による基材シート20の加熱温度は、基材シート20のガラス転移温度以上溶融温度未満であることが好ましく、軟化温度以上溶融温度未満であることがより好ましい。上記と同様の観点から、前記加熱温度は、好ましくは、30℃以上、より好ましくは、40℃以上であり、また好ましくは、300℃以下、より好ましくは、250℃以下であり、また好ましくは、30℃以上300℃以下、より好ましくは、40℃以上250℃以下である。
基材シート20のガラス転移温度(Tg)は、基材シート20の構成樹脂のガラス転移温度(Tg)を意味する。基材シート20の構成樹脂が複数種存在し、それら複数種のガラス転移温度(Tg)が互いに異なる場合、基材シート20の加熱温度は、少なくとも複数種のガラス転移温度のうち最も低いガラス転移温度以上であることが好ましく、複数種のガラス転移温度のうち最も高いガラス転移温度以上であることが好ましい。
基材シート20の軟化温度は、基材シート20の構成樹脂の軟化温度を意味する。基材シート20の構成樹脂が複数種存在し、それら複数種の軟化温度が互いに異なる場合、基材シート20の加熱温度は、少なくともそれら複数種の軟化温度のうち最も低い軟化温度以上であることが好ましく、それら複数種の軟化温度のうち最も高い軟化温度以上であることがより好ましい。
基材シート20の融点は、基材シート20の構成樹脂の融点を意味する。基材シート20が融点の異なる2種以上の構成樹脂を含んで構成されている場合、基材シート20の加熱温度は、それら複数の融点のうち最も低い融点未満であることが好ましい。
本実施形態において加熱温度は、超音波振動装置の発振周波数や超音波振幅によって調整される。ガラス転移温度(Tg)の測定方法は、以下の方法によって測定され、軟化温度の測定方法は、JIS K-7196「熱可塑性プラスチックフィルム及びシートの熱機械分析による軟化温度試験方法」に従って行われる。
[ガラス転移温度(Tg)の測定方法]
DSC測定器を使用して熱量の測定を行い、ガラス転移温度を求める。測定器Perkin Elmer社製の示差走査熱量測定装置(Diamond DSC)を使用する。基材シート20から試験片10mgを採取する。測定条件は、20℃を5分間等温した後に、20℃から320℃まで、5℃/分の速度で昇温させ、横軸温度、縦軸熱量のDSC曲線を得る。そして、このDSC曲線からガラス転移温度Tgを求める。
本実施形態の突起形成工程は、加熱状態の凸型43を最も奥まで刺入した状態で停止し、中空突起部3の内部に凸型部41を刺した状態のまま所定の時間維持する。このようにして、基材シート20を軟化させる軟化時間を設定している。加熱の過不足を防ぐ観点から、軟化時間は、好ましくは、0秒超、より好ましくは、0.1秒以上、また好ましくは、10秒以下、より好ましくは、5秒以下であり、また好ましくは、0秒超10秒以下、より好ましくは、0.1秒以上5秒以下である。軟化時間は、加熱状態の凸型43を最も奥まで刺入してから次工程(冷却工程)までの時間である。
凸型部41の凸型43は、高さH2が、中空突起部3の突出高さH1と同程度であるか、あるいは若干高く形成されている。上述した中空突起部3をより高精度に成形する観点から、凸型43の寸法は、以下の範囲であることが好ましい。
凸型43の高さH2は、好ましくは、0.01mm以上、より好ましくは、0.02mm以上であり、また好ましくは、30mm以下、より好ましくは20mm以下であり、また好ましくは、0.01mm以上30mm以下、より好ましくは、0.02mm以上20mm以下である。
凸型部41の凸型43は、先端径D1が、好ましくは、0.001mm以上、より好ましくは、0.005mm以上であり、また好ましくは、1mm以下、より好ましくは、0.5mm以下であり、また好ましくは、0.001mm以上1mm以下、より好ましくは、0.005mm以上0.5mm以下である。凸型部41の凸型43の先端径D1(図8参照)は、以下のようにして測定する。
[凸型43の先端径D1の測定]
凸型部41の凸型43の先端部を、走査型電子顕微鏡(SEM)又はマイクロスコープを用いて拡大観察する。観察される凸型43の先端部について、図8に示すように、両側辺11a,11bのうちの一側辺11aにおける直線部分に沿って仮想直線ILcを延ばし、他側辺11bにおける直線部分に沿って仮想直線ILdを延ばす。次いで、先端側にて、一側辺11aが仮想直線ILcから離れる箇所を第1先端点11a1として求め、他側辺11bが仮想直線ILdから離れる箇所を第2先端点11b1とを結ぶ直線の長さD1を測定し、これを凸型43の先端径D1とする。
凸型部41の凸型43は、根本径D2が、好ましくは、0.1mm以上、より好ましくは、0.2mm以上、また好ましくは、5mm以下、より好ましくは、3mm以下であり、また好ましくは、0.1mm以上5mm以下、より好ましくは0.2mm以上3mm以下である。凸型43の根本径D2は、凸型43の先端とは反対側の部分であって、外径が一定となる部分の外径である。
強度をより確実に確保するとともに、適度な角度を得られ易くする観点から、凸型43の先端角度α(図8参照)は、好ましくは、1度以上、より好ましくは、5度以上であり、また好ましくは、60度以下、より好ましくは、45度以下であり、また好ましくは、1度以上60度以下、より好ましくは、5度以上45度以下である。凸型部41の先端角度αは、以下のようにして測定する。
[凸型43の先端角度αの測定]
前述した凸型43の先端径の測定と同様の方法で、凸型43の先端部を拡大観察し、先端部の両側辺11a,11bに沿う仮想直線ILc,ILdを延ばす。仮想直線ILcと仮想直線ILdとがなす角の角度を測定し、これを凸型43の先端角度αとする。
本実施形態における賦形突起部33の内部空間V3の高さH3(図6(a)参照)は、中空突起部3の突出高さH1よりも若干高く形成されている。上述した中空突起部3をより高精度に形成する観点から、賦形突起部33の寸法は以下の範囲内であることが好ましい。
賦形突起部33の内部空間V3の高さH3は、好ましくは、0.015mm以上、より好ましくは、0.02mm以上であり、また好ましくは、11mm以下、より好ましくは、5mm以下であり、また好ましくは、0.015mm以上11mm以下、より好ましくは、0.02mm以上5mm以下である。
賦形突起部33は、先端径、根本径及び先端角度それぞれが、前述した凸型43における好ましい範囲内であることが好ましい。先端径、根本径及び先端角度それぞれは、前述した凸型43の先端径D1、根本径D2及び先端角度αの測定方法と同様の方法により測定することができる。
凸型部41は、折れ難い高強度の材質で形成されている。凸型部41の材質としては、鋼鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ニッケル合金、コバルト、コバルト合金、銅、銅合金、ベリリウム銅、ベリリウム銅合金等の金属又はセラミック等が挙げられる。
賦形型部31は、凸型部41と同じ材質で形成されていてもよく、その他の材質で形成されていてもよい。
賦形型部31を容易に形成して、製造コストをより抑える観点から、賦形型部31は、熱可塑性樹脂を主体として形成されていることが好ましい。熱可塑性樹脂としては上述したものを特に制限なく用いることができる。賦形型部31に含まれる熱可塑性樹脂として、その融点が、基材シート20に含まれる熱可塑性樹脂の融点よりも高いものを用いるのが好ましい。
賦形型部31が熱可塑性樹脂を主体として形成されている場合、突起形成工程における凸型43の加熱によって、賦形型部31が変形すること及び賦形型部31と基材シート20とが溶着することをより抑制する観点から、賦形型部31の構成樹脂のガラス転移温度(Tg)が、基材シート20の構成樹脂のガラス転移温度(Tg)超であることがより好ましい。
上記と同様の観点から、賦形型部31の構成樹脂のガラス転移温度が、基材シート20の構成樹脂のガラス転移温度よりも高いことを前提として、賦形型部31の構成樹脂のガラス転移温度と基材シート20の構成樹脂のガラス転移温度との差は、好ましくは、5℃以上、より好ましくは、10℃以上であり、また好ましくは、50℃以下、より好ましくは、30℃以下であり、また好ましくは、5℃以上50℃以下、より好ましくは、10℃以上30℃以下である。
上記のガラス転移温度を満たす構成樹脂の組み合わせとしては、賦形型部31の構成樹脂が、ポリエチレンテレフタレート(PET)であり、基材シート20の構成樹脂が、ポリ乳酸(PLA)である組み合わせが挙げられる。
[第2実施形態]
次に本発明の第2実施形態に係る製造方法について図9~図11を参照して説明する。本実施形態に係る製造方法は、上記第1実施形態と比べると、シート配置工程の前に、賦形型形成工程及び賦形型準備工程を含む点で異なる。その他の工程及び装置構成は第1実施形態と同様であるため、同じ工程及び装置構成については、詳しい説明を省略する。
図9を参照して、本実施形態に係る製造方法の概要について説明する。なお、図9(d)~(j)は、図4(a)~(g)と同じ工程である。本実施形態に係る製造方法は、上述の第1実施形態に係る製造方法の設置工程の前に、賦形型形成工程と賦形型準備工程とを含む。まず、熱可塑性樹脂を含む賦形シート30の一面側から加熱部を有する賦形用凸型53を当接させて、賦形シート30における当接部分を熱により軟化させながら、賦形用凸型53を賦形シート30に刺入している(図9(a)~(b)参照)(賦形型形成工程)。その後、賦形シート30から、刺入された賦形用凸型53を引き抜いて、賦形シート30の他面側から突出し、内部が中空の賦形突起部33を準備する(図9(c)参照)(賦形型準備工程)。
次に、図10~図11を参照して、本実施形態にかかる製造方法について詳細に説明する。賦形型形成工程は、熱可塑性樹脂を含み且つ賦形型部31の原料となる賦形シート30(賦形型用シート)の一面に賦形用凸型53を当接させて、賦形シート30における賦形用凸型53の当接部分を熱により軟化させながら、賦形用凸型53を賦形シート30に刺入して賦形突起部33を形成する工程である。賦形型準備工程は、賦形突起部33の内部から賦形用凸型53を引き抜いて、シート配置工程に供するために賦形用凸型部51を準備する工程である。
<賦形型形成工程について>
賦形型形成工程においては、熱可塑性樹脂を含み且つ賦形型部31の原料となる賦形型用シートの一面に賦形用凸型53を当接させて、賦形型用シートにおける賦形用凸型53の当接部分を熱により軟化させながら賦形用凸型53を賦形型用シートに刺入して賦形型を形成する。また、賦形型形成工程においては、賦形用凸型53を複数有する賦形用凸型部51を用いる。賦形用凸型53の外形形状は、賦形突起部33の外形形状に対応している。賦形用凸型部51の賦形用凸型53の数及び配置は、賦形型部31の賦形突起部33の数及び配置に対応している。賦形用凸型部51は、上述した凸型部41と同じ構成のものを用いてもよく、凸型部41と寸法等が一部異なる構成のものを用いてもよい。本実施形態では、賦形用凸型部51として、上述した凸型部41を用いている。
本実施形態では、凸型部41(賦形用凸型部51)を下降させることで、凸型43(賦形用凸型53)を賦形シート30に刺入していく(図10参照)(賦形シート突起形成工程)。凸型43は、前述した超音波振動装置によって、賦形シート30との当接部分を加熱しながら、賦形シート30に刺入される。これにより、賦形シート30が軟化し、軟化部分が、凸型43の挿入に伴い延伸され、賦形突起部33が形成される。また、凸型43の刺入に伴い、賦形シート30(賦形底部32)における賦形突起部33が形成される面とは反対側の面に開口37が形成される。また、凸型部41(賦形用凸型部51)は、賦形シート30に追従して移動するのではなく、同じ位置(固定位置)で上下動してもよい。その場合、賦形シート30は、間欠搬送される。間欠搬送することにより、凸型部41(賦形用凸型部51)の位置精度が向上し、成形性のよい中空突起具1を製造することができる。
賦形突起部33の成形性及び成形サイクルの短縮化の観点から、賦形シート突起形成工程は、賦形突起部33を冷却する賦形突起冷却工程を含むことが好ましい。賦形突起冷却工程は、凸型43(賦形用凸型53)を賦形シート30に刺入した状態、すなわち、凸型43(賦形用凸型53)を賦形突起部33の内部空間V3に挿入した状態で、賦形シート30及び賦形突起部33を冷却する。
<賦形型準備工程について>
賦形型準備工程では、賦形シート突起形成工程で賦形シート30に刺入された凸型43(賦形用凸型53)を、すなわち、賦形突起部33の内部に挿入された凸型43(賦形用凸型53)を賦形突起部33から引き抜く。本実施形態では、賦形シート突起形成工程と同様に、凸型部41(賦形用凸型部51)を上昇させることで、凸型43(賦形用凸型53)を賦形突起部33の内部から引き抜く。これにより、賦形突起部33が形成された賦形型部31が得られる。そして、第1実施形態のシート配置工程に供するための賦形型部31の準備が完了する。
賦形シート突起形成工程及び賦形型準備工程には諸条件を適宜適用することができる。例えば、賦形シート30を軟化させる時間として、基材シート20を軟化させる軟化時間を適用してもよい。また、例えば、賦形型部31(賦形シート30)の構成樹脂が、基材シート20の構成樹脂よりもガラス転移温度(Tg)が高い場合、賦形用凸型53による加熱温度を、凸型43による加熱温度よりも高くしてもよい。
賦形シート突起形成工程により得られた賦形型部31は、第1実施形態の突起形成工程において繰り返し使用されてもよく、1回の突起形成工程に対し1個の賦形型部31を使用してもよい。賦形型部31を繰り返し使用する場合、所定回数ごとに賦形型部31を交換して使用してもよい。
図11には、賦形シート突起形成工程の別の例が示されている。図10に示した賦形シート突起形成工程においては、枚葉の賦形シート30に賦形突起部33を形成していたが、本例においては、帯状の賦形シート30aに賦形突起部33を形成している。賦形シート30aは、一方向に連続する帯状シートであり、賦形突起部33が賦形シート30aの長手方向に沿って順次形成される。賦形シート30aの長手方向は、賦形シート30aの搬送方向X2と一致しており、搬送方向X2に沿って、賦形突起部33が連続して形成される。本実施形態においては、賦形型準備工程の後、複数の賦形突起部33が賦形シート30aの長手方向に連続して形成された連続賦形型部31aが得られる。連続賦形型部31aを所定の範囲に切断することによって、賦形型部31が得られる。連続賦形型部31aの切断には、前述した切断装置を用いることができる。
1 マイクロニードルアレイ(中空突起具)
2 基底部
3 中空突起部
4A レーザ光照射装置
4L レーザ光
7 開口部
8 開孔
20 基材シート
30 賦形シート
31 賦形型部
32 賦形底部
33 賦形突起部
34 内周面
37 開口
40 開口形成部
40a 照射ヘッド
40b ミラー
40c レンズ
40d 保護レンズ
41 凸型部
42 凸型底部
43 凸型
51 賦形用凸型部
53 賦形用凸型
100 製造装置
V 内部空間
V3 内部空間
X1 搬送方向
Z 高さ方向

Claims (11)

  1. 開孔を有する中空突起部を備えた中空突起具の製造方法であって、
    前記中空突起具と相補形状をなす賦形型に対向するように、熱可塑性樹脂を含む基材シートを配置するシート配置工程と、
    前記基材シートの面のうち、前記賦形型に対向しない面側から、加熱部を有する凸型部を該基材シートに当接させて、該基材シートにおける該凸型部の当接部分を熱により軟化させながら、前記賦形型に向けて該凸型部を該基材シートに刺入する突起形成工程と、
    前記凸型部を前記基材シートから引き抜いて、前記中空突起部を形成するリリース工程と、
    前記賦形型及び前記中空突起部を貫通する前記開孔を形成する開孔形成工程と、
    を含む中空突起具の製造方法。
  2. 前記開孔が形成された前記中空突起部を前記賦形型から離型する離型工程を更に含む、請求項1に記載の中空突起具の製造方法。
  3. 熱可塑性樹脂を含み且つ前記賦形型の原料となる賦形型用シートの一面に、加熱部を有する賦形用凸型部を当接させて、該賦形型用シートにおける該賦形用凸型部の当接部分を熱により軟化させながら、該賦形用凸型部を該賦形型用シートに刺入して前記賦形型を形成する賦形型形成工程と、
    前記賦形用凸型部を前記賦形型から引き抜いて、前記シート配置工程に供するための該賦形型を準備する賦形型準備工程と、
    を、前記シート配置工程の前にさらに含む請求項1又は2に記載の中空突起具の製造方法。
  4. 前記賦形用凸型部として、前記凸型部を用いる請求項3に記載の中空突起具の製造方法。
  5. 前記開孔形成工程において、非接触式の開孔手段により前記開孔を形成する請求項1~4のいずれか1項に記載の中空突起具の製造方法。
  6. 前記開孔形成工程において、レーザ光の照射によって前記開孔を形成する請求項5に記載の中空突起具の製造方法。
  7. 前記賦形型の構成材料として、前記レーザ光の吸収率が、前記基材シートの構成材料の吸収率よりも高いものを用いる請求項6に記載の中空突起具の製造方法。
  8. 前記凸型部を超音波振動させて前記基材シートを加熱する請求項1~7のいずれか1項に記載の中空突起具の製造方法。
  9. 前記賦形型に含まれる熱可塑性樹脂として、そのガラス転移点が、前記基材シートに含まれる熱可塑性樹脂のガラス転移点よりも高いものを用いる請求項1~8のいずれか1項に記載の中空突起具の製造方法。
  10. 前記賦形型に含まれる熱可塑性樹脂として、その融点が、前記基材シートに含まれる熱可塑性樹脂の融点よりも高いものを用いる請求項1~9のいずれか1項に記載の中空突起具の製造方法。
  11. 中空突起部と、該中空突起部の外形と相補形状をなす空間が画成されてなる保護具とを備え、
    前記保護具の前記空間内に前記中空突起部が挿入されて、該保護具と該中空突起部とが着脱自在に嵌合されてなる、中空突起具。
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