JP2022069437A - 医薬製剤およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明によれば、界面活性剤やビタミン類等の医薬品製造に有用な不揮発性溶媒を含み、実際の製造に耐え得る優れた流動性を有する顆粒を提供することができる。【解決手段】核粒子と該核粒子を被覆する被覆層とを備える顆粒形態の医薬製剤であって、前記核粒子が、薬物、核粒子成分および不揮発性溶媒を含んでなり、前記核粒子成分のBET比表面積が0.45m2/g以上であり、前記医薬製剤の単位質量当たりの前記不揮発性溶媒の含有量が10mg以上である、前記医薬製剤。【選択図】なし

Description

本発明は、医薬製剤およびその製造方法に関する。
従来、医薬品分野で用いられる有効成分および添加剤の中には、常温で液体状態であるため、顆粒剤、錠剤に配合する場合に必要量を配合することが困難な成分が多数存在している。
このような常温で液体状態の成分(液体成分)を含む固形製剤としては、ソフトカプセル剤が広く用いられている(例えば、特許文献1)。しかしながら、ソフトカプセル剤は、錠剤等の他の固形製剤と比較して直径が大きい場合もあるため、嚥下能力の低い小児や高齢者、嚥下能力が低下した患者等には服用しにくいという問題がある。また、ソフトカプセル剤では、その性質上、製造方法によっては液漏れしやすいというリスクがある。さらには、ソフトカプセルは柔らかく、容易に変形することから、人の目視により、または専用の検査機械を用いて変形の有無を検査しなければならない等、製造コストの面からも、錠剤等の他の固形製剤と比較して高いという問題点がある。
一方で、液体成分を配合し得る固形製剤として、錠剤が用いられている。錠剤に液体成分を配合する場合には、一般的に、打錠前に液体成分と固体成分とを混合して、固体成分の表面に液体成分が付着した粒子を得、得られた粒子を打錠する方法がとられている。しかしながら、このような方法では、粒子中の固体成分表面に存在する液体成分が粒子同士の凝集や吸着を引き起こし、粒子の流動性が低下するため、粒子を錠剤化することが困難である。特に、ソフトカプセル剤と同程度の量の液体成分を含有する錠剤を調製しようとすると、液体成分と固体成分とを混合して得られる粒子では流動性が低く、錠剤化することが極めて困難である。従って、錠剤に配合し得る液体成分は、流動性を大きく低下させない程度の少量のみである。
ところで、難水溶性薬物を製剤化する場合、難水溶性薬物の溶解性の低さを改善するために、難水溶性薬物と固体分散体等とを組み合わせて用いることが知られている(例えば、特許文献2)。難水溶性薬物と固体分散体とを組み合わせる方法としては、スプレードライ法や溶融法を用いることが一般的である。しかしながら、スプレードライ法は、大型の機械が必要であるという問題があり、溶融法は、薬物を溶解させるために高温の熱処理を行うため、その過程で薬物が変性・分解する可能性があるという問題がある。
また、多量の液体成分を配合した錠剤を調製するために、シリカゲル等の多孔性物質に液体物質を吸着させる技術も知られているが(例えば、特許文献3)、そのような技術を実現するためには真空状態での処理が必要であり、そのために高額な装置が必要であるという問題がある。
また、中性またはアルカリ性の樹脂中に液体成分を封入することにより、製剤の流動性の低下を抑制する方法も知られているが、樹脂を用いることにより液体成分の溶出挙動が影響を受ける可能性があり、所望の溶出挙動を得ることが困難であるという問題がある。
また、液体の有効成分を水中油型エマルションの形態に調製し、このエマルション溶液を粉体に噴霧して付着させ、乾燥して水を除去することにより、有効成分が付着した粉体を得る方法が知られている(例えば、特許文献4)。さらに、薬物と水溶性高分子とを不活性担体に塗布し、乾燥させて粒子にする方法も知られている(例えば、特許文献5)。
また、粉末状または微粒状の成分と液体成分とからなる顆粒であって、流動性を向上させた顆粒も知られている(例えば、特許文献6)。
また、薬物と可溶化物質とが組み合わされて配合された顆粒を含む薬物製剤が知られており、可溶化物質として界面活性剤が用いられ得ること、顆粒がコーティングされ得ることが知られている(例えば、特許文献7)。しかしながら、界面活性剤は、付着性・粘着性を有し、流動性を低下させることから、錠剤等の医薬製剤の調製に用いる場合には配合量が制限されるという問題がある。
このように、液体成分を含有する医薬製剤の開発が行われているが、液体成分を多量に含有する医薬製剤では流動性が低下することから、流動性の低下が製剤化に影響を及ぼす錠剤等の医薬製剤においては、治療上有効量の薬物を溶解させるのに十分な量の液体成分を配合することが容易にできるとは言い難かった。
特表2003-508386号公報 特表2010-526848号公報 特表2010-512142号公報 国際公開第2009/001786号 特表2001-511156号公報 特開昭61-185327号公報 特表2007-517062号公報
このような状況下、治療上有効量の薬物を溶解させるのに十分な量の不揮発性溶媒、または医薬品として有用な不揮発性溶媒を含み、実際の製造に耐え得る優れた流動性を有する医薬製剤が求められている。
本発明者らが鋭意検討した結果、核粒子と該核粒子を被覆する被覆層とを備える医薬製剤において、核粒子を構成する核粒子成分の比表面積を特定の範囲に調整することにより、核粒子中に不揮発性溶媒および薬物を多量に含有させることができ、かつ、優れた流動性を有する顆粒形態の医薬製剤を形成し得ることを見出した。本発明は、かかる知見に基づくものである。
本発明には、以下の発明が包含される。
[1]核粒子と該核粒子を被覆する被覆層とを備える顆粒形態の医薬製剤であって、
前記核粒子が、薬物、核粒子成分および不揮発性溶媒を含んでなり、
前記核粒子成分のBET比表面積が0.45m/g以上であり、
前記医薬製剤の単位質量当たりの前記不揮発性溶媒の含有量が10mg以上である、前記医薬製剤。
[2]前記核粒子成分のBET比表面積が0.5~3m/gである、[1]に記載の医薬製剤。
[3]前記核粒子の空隙率が40%以上である、[1]または[2]に記載の医薬製剤
[4]前記核粒子成分が固体の添加剤である、[1]~[3]のいずれかに記載の医薬製剤。
[5]前記核粒子成分が結晶セルロースを含んでなる、[1]~[4]のいずれかに記載の医薬製剤。
[6]前記核粒子成分の少なくとも一部が、直接的または前記不揮発性溶媒を介して間接的に互いに接触している、[1]~[5]のいずれかに記載の医薬製剤。
[7]前記薬物の少なくとも一部が前記不揮発性溶媒に溶解している、[1]~[6]のいずれかに記載の医薬製剤。
[8]前記不揮発性溶媒の少なくとも一部が前記核粒子成分の少なくとも一部を被覆している、[1]~[7]のいずれかに記載の医薬製剤。
[9]前記不揮発性溶媒と前記薬物との質量比が1:0.1~1:10である、[1]~[8]のいずれかに記載の医薬製剤。
[10]前記核粒子成分の総質量と、前記不揮発性溶媒との質量比が1:0.01~1:0.6である、[1]~[9]のいずれかに記載の医薬製剤。
[11]前記不揮発性溶媒が、界面活性剤、ビタミン類および脂肪酸グリセリドからなる群から選択される少なくとも1種を含んでなる、[1]~[10]のいずれかに記載の医薬製剤。
[12]前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤である、[11]に記載の医薬製剤。
[13]前記非イオン性界面活性剤がポリソルベートである、[12]に記載の医薬製剤。
[14]前記脂肪酸グリセリドが中鎖脂肪酸グリセリドである、[11]に記載の医薬製剤。
[15]前記薬物のlogP値が-2~7である、[1]~[14]のいずれかに記載の医薬製剤。
[16]前記薬物のlogP値が-1.9~6.5である、[1]~[15]のいずれかに記載の医薬製剤。
[17]前記薬物が難水溶性薬物を含んでなる、[1]~[16]のいずれかに記載の医薬製剤。
[18]前記難水溶性薬物が、ホルモン剤、抗癌剤、抗菌剤および抗ウイルス剤からなる群から選択される少なくとも1種を含んでなる、[17]に記載の医薬製剤。
[19]前記被覆層が水溶性コーティング剤を含んでなる、[1]~[18]のいずれかに記載の医薬製剤。
[20]前記水溶性コーティング剤が、ポリアルキレングリコール、多糖類、およびそれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも一つの成分を含んでなる、[19]に記載の医薬製剤。
[21]前記水溶性コーティング剤が、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタアクリル酸コポリマー、ビニルピリジンコポリマー、アルキルビニルピリジンコポリマー、アミノセルロース誘導体、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ジメチルアミノエチルメタクリレート-メタクリレートコポリマー、セルロースアセテート-N,N-ジ-n-ブチルヒドロキシルプロピルエーテル、ビニルピリジンとアクリル酸系遊離酸とのコポリマー、アルキルビニルピリジンとアクリル酸系遊離酸とのコポリマー、ビニルピリジンとアクリル酸系遊離酸とビニルモノマーとのコポリマー、アルキルビニルピリジンとアクリル酸系遊離酸とビニルモノマーとのコポリマー、2-メチル-5-ビニルピリジン-メタクリル酸コポリマー、ポリ-2-(ビニルフェニル)グリシン、モルホリノ-N-β-エチルアクリレート-メタクリル酸コポリマー、シェラック、セルロースアセテートフタレート、メチルアクリレート-メタクリル酸コポリマー、メチルメタクリレート-メタクリル酸コポリマー、ゼイン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートおよびアミノアルキルメタクリレートコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種である、[19]または[20]に記載の医薬製剤。
[22]前記医薬製剤の凝集度が70%以下である、[1]~[21]のいずれかに記載の医薬製剤。
[23]前記医薬製剤の凝集度が前記核粒子の凝集度よりも低い、[1]~[22]のいずれかに記載の医薬製剤。
[24]前記医薬製剤の体積分布基準の50%粒径(D50)が100~400μmである、[1]~[23]のいずれかに記載の医薬製剤。
[25][1]~[24]のいずれかに記載の医薬製剤を含んでなり、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、散剤および丸剤からなる群から選択される剤形を有する製剤。
[26]摩損度が1.0%以下である、錠剤の剤形を有する[25]に記載の製剤。
[27]核粒子と該核粒子を被覆する被覆層とを備える顆粒形態の医薬製剤の製造方法であって、
(a)核粒子を構成する核粒子成分を準備する工程、
(b)不揮発性溶媒に薬物を溶解または懸濁して混合液を得る工程、
(c)工程(a)で準備された核粒子成分と、工程(b)で得られた混合液とを接触させて核粒子成分、薬物および不揮発性溶媒を含んでなる核粒子を得る工程、および、
(d)工程(c)で得られた核粒子を被覆して医薬製剤を得る工程
を含み、
前記核粒子成分のBET比表面積が0.45m/g以上であり、
前記医薬製剤の単位質量当たりの前記不揮発性溶媒の含有量が10mg以上である、前記製造方法。
[28]前記核粒子成分のBET比表面積が0.5~3m/gである、[27]に記載の製造方法。
[29]前記核粒子の空隙率が40%以上である、[27]または[28]に記載の製造方法。
[30]前記核粒子成分が固体の添加剤である、[27]~[29]のいずれかに記載の製造方法。
[31]前記核粒子成分が結晶セルロースを含んでなる、[27]~[30]のいずれかに記載の製造方法。
[32]前記不揮発性溶媒が、界面活性剤、ビタミン類および脂肪酸グリセリドからなる群から選択される少なくとも1種を含んでなる、[27]~[31]のいずれかに記載の製造方法。
[33](e)工程(d)で得られた医薬製剤に薬学的に許容可能な添加剤を加えて造粒して、顆粒状の製剤を得る工程をさらに含む、[27]~[32]のいずれかに記載の製造方法。
[34](e’)工程(d)で得られた医薬製剤を、ゼラチン、または植物由来の原料からなる皮膜に封入して、カプセル状の製剤を得る工程をさらに含む、[27]~[32]のいずれかに記載の製造方法。
[35][1]~[26]のいずれかに記載の医薬製剤を打錠成形して錠剤を得る工程を含んでなる、錠剤の製造方法。
[36][1]~[26]のいずれかに記載の医薬製剤をカプセルに封入する工程を含んでなる、カプセル剤の製造方法。
[37]前記錠剤の摩損度が1.0%以下である、[35]に記載の製造方法。
本発明によれば、不揮発性溶媒を多量に含みつつも、優れた流動性を有する顆粒の形態の医薬製剤を提供することができる。また、本発明によれば、医薬製剤の流動性の低下をもたらす凝集を抑制することができる。すなわち、医薬製剤において優れた流動性が実現されるため、流動層造粒等の容易な方法により、流動性の低下により製剤化が阻害される錠剤等の医薬製剤に対しても、不揮発性溶媒を多量に配合することができる。その結果、本発明によれば、例え難水溶性薬物であっても、医薬製剤中に治療上有効量配合することができる。さらに、本発明の医薬製剤は、長期間保存した場合でも、核粒子に含まれる不揮発性溶媒が医薬製剤の表面に漏出することを抑制することができる。
図1は、顆粒形態の医薬製剤の三次元空隙解析の結果を示す写真および図表である。
発明の具体的説明
以下、本発明について詳細に説明する。なお、本明細書において、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を意味する。本明細書中において、「AまたはB」なる表現を用いて記載した場合は、特に記載がなくまた文脈から限定的に解釈される場合を除き、一方あるいは両者のいずれも含む意味である。
[医薬製剤]
本発明の医薬製剤は、核粒子と該核粒子を被覆する被覆層とを備える顆粒形態の医薬製剤である。以下、核粒子および被覆層のそれぞれについて説明する。
<核粒子>
本発明の医薬製剤は、薬物、核粒子成分および不揮発性溶媒を含んでなる核粒子を備える。核粒子を構成する核粒子成分は特定の範囲の比表面積を有し、それにより従来よりも多量の不揮発性溶媒を核粒子中に含有し得る。
(核粒子成分)
核粒子は、BET法により測定される比表面積(いわゆる「BET比表面積」、本明細書において、単に「比表面積」ともいう)に関し、特定の範囲を有する核粒子成分を含んでなる。具体的には、核粒子成分のBET比表面積の下限値は0.45m/gであり、好ましくは0.47m/g、より好ましくは0.5m/gである。また、核粒子成分のBET比表面積の上限値は、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、例えば、10m/g、5m/g、3m/g、2m/g、1.5m/gである。また、核粒子成分のBET比表面積の範囲は、好ましくは0.45~10m/g、より好ましくは0.47~5m/g、より一層好ましくは0.5~3m/gである。なお、核粒子成分のBET比表面積は、比表面積・細孔分布測定装置(BELSORP(登録商標)-miniX、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて、BET法により測定することができる。具体的には、吸着専有面積が既知の分子(例えば、窒素分子)を液体窒素の温度で核粒子成分に吸着させ、その吸着量から核粒子成分のBET比表面積を測定することができる。核粒子がこのようなBET比表面積を有する核粒子成分を含むことにより、好ましくは核粒子成分の少なくとも一部が、直接的または不揮発性溶媒を介して間接的に互いに接触することにより、核粒子中で核粒子成分同士の間に多くの空隙が形成し得る。その結果、核粒子中に、液体成分が付着し得る表面積が大きく生じるため、核粒子中に多量の液体成分を含有し得る。そして、核粒子が、液体成分として、可溶化剤として用いられる界面活性剤等の不揮発性溶媒を多量に含有し得ることから、難水溶性の薬物を溶解または懸濁させることができる。理論に拘束されるものではないが、このようなメカニズムにより、核粒子中に多量の難溶性の薬物を含有する医薬製剤を製造することが可能となると考えられる。
好ましい実施形態によれば、核粒子は、複数の核粒子成分の間に空隙を有し、複数の核粒子成分の間の空隙に不揮発性溶媒の少なくとも一部が保持される。特に好ましい実施形態によれば、薬物の少なくとも一部は不揮発性溶媒に溶解または懸濁し、薬物が溶解または懸濁した不揮発性溶媒が複数の核粒子成分の間の空隙に保持される。
好ましい実施形態によれば、核粒子成分は、該核粒子成分を含む核粒子の空隙率が特定の範囲となるように、その種類や量が適宜選択される。核粒子の空隙率の下限値は、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、好ましくは40%、より好ましくは45%、より一層好ましくは50%である。また、核粒子の空隙率の上限値は、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、好ましくは80%、より好ましくは65%、より一層好ましくは60%である。また、核粒子の空隙率の範囲は、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、好ましくは40~80%、より好ましくは45~70%、より一層好ましくは50~60%である。なお、本発明において、核粒子の空隙率は、例えば、市販のX線CT装置(Scanco medical AG μCT50、ソフトウェア Scanco medical AG IPL画像処理言語、SCANCO MEDICAL社製)を用いて核粒子のX線CT微細構造解析を行い、核粒子の空隙を測定することにより行うことができる。
好ましい態様によれば、核粒子に含まれる核粒子成分は固体の添加剤である。核粒子における固体の添加剤の含有量の下限値は、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、核粒子成分の総質量に対して、好ましくは85質量%、より好ましくは90質量%、より一層好ましくは95質量%である。また、核粒子における固体の添加剤の含有量の上限値は、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、核粒子成分の総質量に対して、例えば、100質量%、99質量%、98質量%等とすることができ、好ましくは100質量%である。
核粒子成分としての固体の添加剤の粒子形状は、本発明の効果が奏される限り特に限定されず、適宜選択することができる。固体の添加剤としては、例えば、針状成分(針状粒子)、略球状成分(略球状粒子)等を用いることができる。好ましい実施形態によれば、核粒子成分は固体の添加剤として、本発明の効果が奏されるのに十分な割合の針状成分(針状粒子)および略球状成分(略球状粒子)を含む。核粒子成分に含まれる固体の添加剤における針状および略球状成分の総質量(総個数)の下限値は、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、固体の添加剤の総質量(総個数)に対して、例えば、60%、70%、80%、90%等とすることができる。また、核粒子成分に含まれる固体の添加剤における針状および略球状成分の総質量(総個数)の上限値は、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、固体の添加剤の総質量(総個数)に対して、例えば、100%、98%、95%、90%等とすることができる。また、核粒子成分に含まれる固体の添加剤における針状および略球状成分の総質量(総個数)の範囲は、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、固体の添加剤の総質量(総個数)に対して、例えば、60~100%、70~100%、80~100%、90~100%等とすることができる。
本明細書において「針状成分」、「針状粒子」とは、電子顕微鏡により測定される画像上(平面に転写された形状)の成分(粒子)の長軸方向の断面において、縦横の長さに顕著な差がある成分をいう。ここで、縦横の長さに顕著な差は、例えば、アスペクト比で表すことができる。
具体的には、核粒子成分の針状成分の平均アスペクト比は、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、その下限値としては、好ましくは1.8、より好ましくは2.2、より一層好ましくは2.5である。また、核粒子成分の針状成分の平均アスペクト比の上限値は、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、例えば、10、8等とすることができる。また、核粒子成分の針状成分の平均アスペクト比の範囲としては、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、好ましくは1.8~10、より好ましくは2.2~10、より一層好ましくは2.5~10である。
核粒子成分の略球状成分の平均アスペクト比は、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、その下限値は、例えば、1.0、1.2等とすることができる。また、核粒子成分の略球状成分の平均アスペクト比の上限値は、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、好ましくは1.65、より好ましくは1.5、より一層好ましくは1.2である。また、核粒子成分の略球状成分の平均アスペクト比の範囲としては、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、好ましくは1.0~1.65、より好ましくは1.0~1.5であり、より一層好ましくは1.0~1.2である。
本明細書において、核粒子成分の「アスペクト比」とは、電子顕微鏡を用いた粒子画像解析における、核粒子成分の短径に対する長径の比の値(長径/短径)を意味する。また、核粒子成分の「平均アスペクト比」とは、任意に選択した10個以上の核粒子成分のアスペクト比を測定し、アスペクト比の値の上位10%および下位10%の核粒子成分のアスペクト比の値を除外した核粒子成分のアスペクト比の平均値を意味する。また、本明細書において「核粒子成分のアスペクト比がX~Y」とは、任意に選択した10個以上の核粒子成分の集団のアスペクト比に関し、アスペクト比の値の上位10%および下位10%の核粒子成分を除外した核粒子成分のアスペクト比がX~Yの範囲に入ることを意味する。
核粒子成分の種類としては、そのBET比表面積が上述した範囲であり、かつ、薬学的に許容可能な成分であれば特に限定されず、例えば、糖類(糖、糖水和物、糖アルコール等を含む)、無機化合物等が挙げられる。なお、核粒子成分は1種を単独で用いることもでき、2種以上を組み合わせて用いることもできる。2種以上の核粒子成分を組み合わせて用いる場合の核粒子成分のBET比表面積は、核粒子成分の総体(すなわち、2種以上の核粒子成分の混合物)のBET比表面積を意味する。
糖としては、特に限定されないが、例えば、ブドウ糖等の単糖類、乳糖およびショ糖等の二糖類、セルロース(例えば、結晶セルロース)、デンプン等の多糖類等が挙げられる。デンプンとしては、例えば、ジャガイモデンプン、コムギデンプン、トウモロコシデンプン、コメデンプン等が挙げられる。糖としては、好ましくは、結晶セルロース、トウモロコシデンプン等が用いられる。
糖水和物としては、特に限定されないが、例えば、上述した糖の任意の水和物が挙げられ、好ましくは乳糖水和物が用いられる。
糖アルコールとしては、特に限定されないが、任意の糖に由来する糖アルコールが挙げられ、好ましくは、マンニトール、ソルビトール等が用いられる。
無機化合物としては、特に限定されないが、多孔性ケイ酸カルシウム等のケイ酸塩、無水リン酸カルシウム等のリン酸塩等が挙げられる。
好ましい実施形態によれば、核粒子成分としては糖類が用いられる。さらに好ましい実施形態によれば、核粒子成分としては結晶化されたセルロース(結晶セルロース)が用いられる。また、別の好ましい実施形態によれば、核粒子成分としては多孔性ケイ酸カルシウム等のケイ酸塩や、BET比表面積が0.45m/g以上となるように微粉化された薬学的に許容可能な成分を含む核粒子成分が用いられる。
好ましい実施形態によれば、核粒子成分における針状成分と略球状成分との質量比(針状成分の質量:略球状成分の質量)は、核粒子成分のBET比表面積が上述した範囲を満たし、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、好ましくは1:0.2~1:2、より好ましくは1:0.5~1:1.5、より一層好ましくは1:0.6~1:1.2、特に好ましくは1:0.6~1:0.8である。特に、核粒子成分として結晶セルロースを含む場合の核粒子成分における針状成分と略球状成分との質量比は、好ましくは1:0.4~1:1、より好ましくは1:0.5~1:0.8、より一層好ましくは1:0.6~1:0.7である。
好ましい実施形態によれば、核粒子成分のかためかさ密度とゆるみかさ密度との差(かためかさ密度-ゆるみかさ密度)は、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、好ましくは0.05~0.25、より好ましくは0.075~0.15、より一層好ましくは0.08~0.1である。特に、核粒子成分として結晶セルロースのみを用いる場合、結晶セルロースのかためかさ密度とゆるみかさ密度との差は、好ましくは0.05~0.15、より好ましくは0.07~0.12、より一層好ましくは0.08~0.1である。なお、本発明において、かためかさ密度およびゆるみかさ密度は、例えば、市販の粉体特性評価装置(パウダテスタ(登録商標)PT-R、ホソカワミクロン株式会社製)を用いて測定することができる。具体的な測定方法としては、パウダテスタを用いて、第17改正日本薬局方に記載されている、かさ密度およびタップ密度測定法第3法の測定用容器と同サイズの円筒容器へ核粒子混合物を、篩いを通して上方から均一に供給し、上面をすり切って秤量することによって疎充填の状態のかさ密度(ゆるみかさ密度)を測定する。次いで、この容器の上に補助円筒をはめ、この上縁まで核粒子混合物を加えてタッピングを180回行なう。終了後、補助円筒を外して容器の上面で核粒子混合物をすり切って秤量し、タッピング後の密充填した場合のかさ密度(かためかさ密度)を測定する。
好ましい実施形態によれば、核粒子成分の粒子径は、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、平均粒子径(D50)が、好ましくは50~200μm、より好ましくは60~150μm、より一層好ましくは70~100μmである。なお、核粒子成分の粒子径および平均粒子径は、例えば、市販の粒度分布計(例えば、Mastersizer3000、Spectris製)を用いて、レーザー回折法(測定方法:乾式、散乱強度:1%以上、光散乱モデル:Mie散乱理論)により測定することができる。
好ましい実施形態によれば、医薬製剤における核粒子成分の含有量は、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、医薬製剤の総質量に対して、好ましくは10~95質量%、より好ましくは20~90質量%、より好ましくは30~80質量%、より好ましくは40~70質量%、より好ましくは50~60質量%である。また、錠剤化した医薬製剤における核粒子成分の含有量は、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、好ましくは1~60質量%、より好ましくは5~50質量%、より好ましくは10~40質量%、より好ましくは15~35質量%、より好ましくは15~25質量%である。
(不揮発性溶媒)
本発明の医薬製剤は、その核粒子中に特定の量の不揮発性溶媒を含んでなる。好ましい実施形態によれば、不揮発性溶媒の少なくとも一部が、核粒子成分の少なくとも一部を被覆している。不揮発性溶媒の含有量は、医薬製剤の単位質量(単位g(グラム))当たりの核粒子中の不揮発性溶媒の質量として、その下限値は0g超であり、好ましくは10mg、より好ましくは20mgであり、より一層好ましくは40mgである。また、医薬製剤の単位質量当たりの核粒子中の不揮発性溶媒の質量の上限値は、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、難溶性薬物の溶解性を確保する観点から、例えば、600mgである。また、医薬製剤の単位質量当たりの核粒子中の不揮発性溶媒の質量の範囲は、好ましくは1~600mg、より好ましくは10~400mg、より一層好ましくは40~300mgである。このように、核粒子に従来よりも多量の不揮発性溶媒を核粒子中に含有することにより、不揮発性溶媒中により多量の薬物を溶解または懸濁することができ、結果として医薬製剤により多量の薬物を含有させることができる。従って、好ましい実施形態によれば、薬物の少なくとも一部は不揮発性溶媒に溶解または懸濁している。また、本発明の医薬製剤は、加工して各種の剤形を有する製剤を得る(例えば、打錠して錠剤を得る)際に、割れや欠け等の摩損をしにくいという特性を有し得るが、これは、本発明の医薬製剤が界面活性剤等の不揮発性溶媒を多量に含み得るため、例えば錠剤に加工する場合には、医薬製剤を打錠する際にその不揮発性溶媒が滲出して医薬製剤間の結合を強め、その結果、得られる錠剤が摩損しづらくなるためと考えられる。
不揮発性溶媒としては、核粒子中において、薬物をその中に溶解または懸濁し得る成分を用いることができる。そのような不揮発性溶媒としては、例えば界面活性剤等が挙げられる。また、不揮発性溶媒としては、それ自体が薬効を有したり、添加剤として抗酸化作用等を有したりする成分を用いることもできる。そのような成分としては、例えば、ビタミン類等が挙げられる。本発明の不揮発性溶媒は、界面活性剤、ビタミン類および脂肪酸グリセリドからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。不揮発性溶媒を構成する成分は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤としては、薬学的に許容可能なものである限り特に限定されないが、例えば、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等を用いることができる。陽イオン性界面活性剤としては、例えば、第1級アミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルピリジニウム塩、アルキルポリオキシエチレンアミン等が挙げられる。陰イオン性界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩、ロジン酸塩、硫酸アルキルポリオキシエチレン塩、α-オレフィンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、リグニンスルホン酸塩、リン酸アルキル塩等が挙げられる。両性界面活性剤としては、例えば、N-アルキルβ-アミノプロピオン酸、N-アルキルスルホベタイン、N-アルキルヒドロキシスルホベタイン、レシチン等が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、アルキルポリオキシエチレンエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等が挙げられる。これらのうち、界面活性剤は、好ましくは非イオン性界面活性剤、より好ましくはポリソルベート、より一層好ましくはポリソルベート80を含む。界面活性剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ビタミン類としては、特に限定されないが、ビタミンE(トコフェロールおよびトコトリエノール)等が挙げられる。ビタミン類としては、好ましくはビタミンE、より好ましくはトコフェロール、より一層好ましくはα-トコフェロールが用いられる。ビタミン類は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
脂肪酸グリセリドとしては、短鎖脂肪酸グリセリド、中鎖脂肪酸グリセリドおよび長鎖脂肪酸グリセリドのいずれも用いることができる。また、これらの脂肪酸グリセリドとしては、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドのいずれも用いることができる。好ましい実施形態において、脂肪酸グリセリドとしては中鎖脂肪酸グリセリドが用いられる。脂肪酸グリセリドは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、脂肪酸グリセリドは、後述する脂肪酸グリセリド以外の脂肪酸とアルコールとのエステルや各種酸とグリセリンとのエステルと組み合わせて用いてもよい。
脂肪酸グリセリドを構成する脂肪酸は特に限定されず用いることができる。短鎖脂肪酸としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、酪酸等の炭素数2~4の脂肪酸が挙げられる。中鎖脂肪酸としては、例えば、イソ吉草酸、カプロン酸、乳酸、コハク酸、ヘプチル酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸等の炭素数5~12の脂肪酸が挙げられる。長鎖脂肪酸としては、例えば、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、アラキジン酸、ミード酸、アラキドン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、ネルボン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等の炭素数13以上の脂肪酸が挙げられる。
好ましい実施形態において、脂肪酸グリセリドとしては中鎖脂肪酸グリセリドが用いられる。
脂肪酸グリセリドは、脂肪酸グリセリドそのものを用いることもできるが、脂肪酸グリセリドを含む組成物として用いることもできる。脂肪酸グリセリドを含む組成物としては、例えば、植物性油脂、動物性油脂、植物性油脂または動物性油脂から得られる硬化油、油脂状物質(ワックス)等が挙げられる。
植物性油脂としては、例えば、オリーブ油、ダイズ油、ナタネ油、サフラワー油、トウモロコシ油、ツバキ油、ヤシ油、ヒマシ油、オリーブ油、ラッカセイ油、ゴマ油、綿実油、小麦胚芽油等が挙げられる。
動物性油脂としては、例えば、牛脂、豚脂、鳥油、羊油等が挙げられる。
油脂状物質(ワックス)としては、例えば、カルナウバロウ、ミツロウ、サラシミツロウ、パラフィン、流動パラフィン、ワセリン(白色ワセリン、黄色ワセリン)、マイクロクリスタリンワックス、ラノリン、スクワラン等が挙げられる。
脂肪酸グリセリド以外の脂肪酸とアルコールとのエステルを用いることもできる。そのようなエステルとしては、例えば、高級アルコール脂肪酸エステル、グリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。
脂肪酸グリセリドの他に、各種酸とグリセリンとのエステルを用いることもできる。そのようなエステルとしては、例えば、酢酸とグリセリンとのトリエステルである、トリアシルグリセロール(トリアセチン)等が挙げられる。
医薬製剤に配合する薬物として水溶性が低い薬物(難水溶性薬物)を用いる場合には、不揮発性溶媒が、難水溶性薬物を溶解または懸濁し得る界面活性剤を含むことが好ましい。また、不揮発性溶媒は、界面活性剤またはビタミン類を含むことが好ましい。
不揮発性溶媒を構成する成分は、そのまま用いてもよいが、必要に応じて他の溶媒、好ましくは水、アルコール等の揮発性溶媒と共に用いてもよい。例えば、不揮発性溶媒を構成する成分の粘性が高い場合、本発明の医薬製剤の製造時には、その粘性を下げるために、水、アルコール等の揮発性溶媒と共に用いられる。具体的には、不揮発性溶媒が粘性の高いビタミンEを含む場合には、不揮発性溶媒をエタノール等のアルコールと組み合わせて用いることが好ましい。
医薬製剤における不揮発性溶媒の含有量は、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、核粒子成分の質量に対する不揮発性溶媒の質量の比(核粒子成分の質量:不揮発性溶媒の質量)として、下限が、好ましくは1:0.001、より好ましくは1:0.01、より好ましくは1:0.05、より好ましくは1:0.08、より好ましくは1:0.1、より好ましくは1:0.2、特に好ましくは1:0.3である。また、上限は、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、好ましくは1:1、より好ましくは1:0.8、より好ましくは1:0.6、特に好ましくは、1:0.5である。また、不揮発性溶媒が界面活性剤である場合、核粒子成分の質量に対する界面活性剤の質量の比の範囲は、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、好ましくは1:0.001~1:1、より好ましくは1:0.01~1:0.8、より好ましくは1:0.08~1:0.6、より好ましくは1:0.1~1:0.5、特に好ましくは1:0.3~1:0.5である。
(薬物)
本発明の医薬製剤は、核粒子中に薬物を含んでなる。薬物は、上述した不揮発性溶媒に溶解または懸濁した状態で存在することが好ましい。好ましい実施形態において、薬物は、上述した核粒子中の核粒子成分の表面に付着して存在する。薬物としては、特に限定されず、本発明の医薬製剤において所望の効果を奏する薬物を用いることができる。また、薬物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
好ましい実施形態において、薬物は特定の範囲のlogP値を有する。薬物のlogP値としては、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、好ましくは-2~7、より好ましくは-1.9~6.5、より一層好ましくは1.85~6.1である。
薬物のlogP値は、Pubchem(https://pubchem.ncbi.nlm.nih.gov/)に収載されている値とされる。Pubchemに収載されていない薬物のlogP値の測定は、日本工業規格Z7260-107に準拠したフラスコ振盪法に従って行うことができる。具体的には、まず、1-オクタノールと蒸留水とを25℃で24時間振盪して平衡化させる。次いで、蓋付きガラス瓶に試料となる薬物10mgを量りとり、平衡化させた1-オクタノールと蒸留水をそれぞれ4mLずつ加え、25℃で4日間振盪する。遠心分離により1-オクタノール相と水相とを分離し、HPLCにより各相の試料の濃度を測定する。2相間の分配係数の常用対数を取った値をlogP値とする。
具体的な薬物としては、例えば、ビタミン剤、ホルモン剤、抗癌剤、抗菌剤、抗ウイルス剤、高脂血症治療剤、中枢神経用剤、免疫抑制剤、末梢神経用剤、痔核疾患治療剤、循環器官用剤、代謝性医薬品、消化器疾患用剤、ハンセン病剤等が挙げられる。
本発明の医薬製剤は、多量の不揮発性溶媒を核粒子中に含有し得ることから、難水溶性薬物であっても不揮発性溶媒に溶解または懸濁させ、核粒子中に含有させることが可能である。従って、好ましい実施形態によれば、薬物が難水溶性薬物を含んでなる。難水溶性薬物としては、特に限定されないが、生理的pH条件下での水に対する溶解度(水100gに溶ける薬物の質量(g))が10~20μg/mlである薬物が挙げられる。さらに、難水溶性薬物としては、アメリカ食品医薬品局(FDA)が規定する生物薬剤学分類システムBCS(Biopharmaceutics Classification System)において、クラスIIおよびIVに分類される薬物が挙げられる。
ビタミン剤としては、特に限定されないが、例えば、脂溶性ビタミン、水溶性ビタミン等が挙げられる。脂溶性ビタミンとしては、例えば、レチノール(A1アルコール)、レチナール(A1アルデヒド)、レチノイン酸(A1酸)、3-デヒドロレチノール(A2アルコール)、3-デヒドロレチナール(A2アルデヒド)、3-デヒドロレチノイン酸(A2酸)等のビタミンA、カロテン、フラボノイド、エルゴカルシフェロール(D2)、コレカルシフェロール(D3)、エルゴステロール、7-ヒドロコレステロール等のビタミンD、α-トコフェロール等のビタミンE、フィロキノン(K1)、メナキノン(K2)、メナジオン(K3)等のビタミンK等が挙げられる。水溶性ビタミンとしては、チアミン(アノイリン)等のビタミンB1、リボフラビン等のビタミンB2、ピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン等のビタミンB6、コバラミン等のビタミンB12、葉酸、ニコチン酸、ニコチンアミド等のナイアシン、パントテン酸、ビオチン、アスコルビン酸(ビタミンC)等が挙げられる。
ホルモン剤は、各種のホルモンを製剤化し、ホルモン本来の生理作用または薬理作用を利用して、体内の特定の細胞において特定の効果を発揮する生理活性物質である。ホルモン剤としては、特に限定されないが、視床下部、脳下垂体前葉、脳下垂体後葉、甲状腺、膵臓ランゲルハンス島、副腎皮質、副腎髄質、性腺、消化器等に由来するホルモンが挙げられる。具体的には、プロゲステロン、レボノルゲストレル、ノルエチステロン等が挙げられる。
抗癌剤としては、特に限定されないが、脳腫瘍、舌癌、喉頭癌、甲状腺癌、食道癌、胃癌、大腸癌、肝臓癌、胆のう癌、胆管癌、膵臓癌、肺癌、乳癌、卵巣癌、子宮頸癌、子宮癌、腎臓癌、前立腺癌、膀胱癌、皮膚癌、骨腫瘍、白血病、悪性リンパ腫、小児癌等の各種癌において、癌腫を縮小または消滅させるか、または癌腫を増大させない効果を有するものが挙げられる。具体的には、シクロフォスファミド(cyclophosphamide)、イフォスファミド(ifosfamide)、チオテパ(thiotepa)、メルファラン(melphalan)、ブスルファン(busulfan)、ニムスチン(nimustine)、ラニムスチン(ranimustine)、ダカルバジン(dacarbazine)、プロカルバジン(procarbazine)、テモゾロミド(temozolomide)、シスプラチン(cisplatin)、カルボプラチン(carboplatin)、ネダプラチン(nedaplatin)、メトトレキサート(methotrexate)、ペメトレキセド(pemetrexed)、ウラシル(uracil)、ドキシフルリジン(doxifluridine)、ギメラシル/オテラシル(gimeracil・oteracil)、シタラビン(cytarabine)、エノシタビン(enocitabine)、ゲムシタビン(gemcitabine)、6-メルカプトプリン(6-mercaptopurine)、フルダラビン(fuludarabin)、ペントスタチン(pentostatin)、クラドリビン(cladribine)、ヒドロキシウレア(hydroxyurea)、ドキソルビシン(doxorubicin)、エピルビシン(epirubicin)、ダウノルビシン(daunorubicin)、イダルビシン(idarubicine)、ピラルビシン(pirarubicin)、ミトキサントロン(mitoxantrone)、アムルビシン(amurubicin)、アクチノマイシンD(actinomycin D)、ブレオマイシン(bleomycine)、ペプレオマイシン(pepleomycin)、マイトマイシンC(mytomycin C)、アクラルビシン(aclarubicin)、ジノスタチン(zinostatin)、ビンクリスチン(vincristine)、ビンデシン(vindesine)、ビンブラスチン(vinblastine)、ビノレルビン(vinorelbine)、パクリタキセル(paclitaxel)、ドセタキセル(docetaxel)、イリノテカン(irinotecan)、イリノテカン活性代謝物(SN-38)、ノギテカン(nogitecan、topotecan)、エトポシド(etoposide)、プレドニゾロン(prednisolone)、デキサメタゾン(dexamethasone)、タモキシフェン(tamoxifen)、トレミフェン(toremifene)、メドロキシプロゲステロン(medroxyprogesterone)、アナストロゾール(anastrozole)、エキセメスタン(exemestane)、レトロゾール(letrozole)、リツキシマブ(rituximab)、イマチニブ(imatinib)、ゲフィチニブ(gefitinib)、ゲムツズマブ・オゾガマイシン(gemtuzumab ozogamicin)、ボルテゾミブ(bortezomib)、エルロチニブ(erlotinib)、セツキシマブ(cetuximab)、ベバシズマブ(bevacizumab)、スニチニブ(sunitinib)、ソラフェニブ(sorafenib)、ダサチニブ(dasatinib)、パニツムマブ(panitumumab)、アスパラギナーゼ(asparaginase)、トレチノイン(tretinoin)、三酸化ヒ素(arsenic trioxide)、ホリナート(folinate)、レボホリナート(levofolinate)、またはそれらの塩、またはそれらの活性代謝物等が挙げられる。
抗菌剤は、菌類または細菌を死滅または増殖を抑制する効果を有する剤である。菌類を対象とする抗菌剤としては、特に限定されないが、ポリエン系抗菌剤、フロロピリミジン系抗菌剤、イミダゾール系抗菌剤、トリアゾール系抗菌剤、アリルアミン系抗菌剤、キャンディン系抗菌剤等が挙げられる。具体的には、アムホテリシンB、ナイスタチン、フルシトシン、イソコナゾール、ビホナゾール、ラノコナゾール、ケトコナゾール、ルリコナゾール、クロトリマゾール、ネチコナゾール、ミコナゾール、フルコナゾール、イトラコナゾール、ホスフルコナゾール、ボリコナゾール、テルビナフィン、ミカファンギン、カスポファンギン、グリセオフルビン、ウンデシレン酸、リラナフタート、トルナフタート、トルシクラート等が挙げられる。
細菌を対象とする抗菌剤としては、特に限定されないが、ペニシリン系抗菌剤、セフェム系抗菌剤、カルバペネム系抗菌剤、モノバクタム系抗菌剤およびペネム系抗菌剤等のβ-ラクタム系抗菌剤、アミノグリコシド系抗菌剤、リンコマイシン系抗菌剤、ホスホマイシン系抗菌剤、テトラサイクリン系抗菌剤、クロラムフェニコール系抗菌剤、マクロライド系抗菌剤、ケトライド系抗菌剤、ポリペプチド系抗菌剤、グリコペプチド系抗菌剤、ストレプトグラミン系抗菌剤、キノロン系抗菌剤、サルファ系抗菌剤、オキサゾリジノン系抗菌剤等が挙げられる。具体的には、ペニシリンG、アンピシリン、バカンピシリン、レナンピシリン、シクラシリン、アモキシシリン、ピブメシリン、アスポキシシリン、クロキサシリン、ピペラシリン、メチシリン、アンピシリン・クロキサシリン、アンピシリン・スルバクタム、クラブラン酸・アモキシシリン、ピペラシリン・タゾバクタム、セファゾリン、セファロンチン、セファレキシン、セファトリジン、セフロキサジン、セファクロル、セファドロキシル、セフォチアム、セフメタゾール、フロモキセフ、セフミノックス、セフブペラゾン、セフロキシム・アキセチル、セフジニル、セフジトレン・ピボキシル、セフテラム・ピボキシル、セフポドキシム・プロキセチル、セフカペン・ピボキシル、セフォタキシム、セフトリアキソン、セフォペラゾン、セフメノキシム、セフタジジム、セフチブテン、セフィキシム、セフォジジム、ラタモキセフ、セフチゾキシム、セフピロム、セフォゾプラン、セフェピム、セフォペラゾン・スルバクタム、イミペネム、パニペネム、メロペネム、ビアペネム、ドリペネム、テビペネム、アズトレオナム、スルバクタム、タゾバクタム、カルモナム、ファロペネム、カナマイシン、ストレプトマイシン、ネオマイシン、ゲンタマイシン、フラジオマイシン、トブラマイシン、アミカシン、アルベカシン、アストロマイシン、イセパマイシン、ベカナマイシン、ジベカシン、ミクロノマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、リボスタマイシン、シソマイシン、スペクチノマイシン、リンコマイシン、クリンダマイシン、ホスホマイシン、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、デメチルクロルテトラサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、クロラムフェニコール、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン、ジョサマイシン、スピラマイシン、ミデカマイシン、ロキタマイシン、キタサマイシン、テリスロマイシン、コリスチン、ポリミキシン、バシトラシン、バンコマイシン、テイコプラニン、キヌプリスチン・ダルホプリスチン、ナリジクス酸、ピロミド酸、ピペミド酸、ノルフロキサシン、エノキサシン、オフロキサシン、シプロフロキサシン、トスフロキサシン、ロメフロキサシン、レボフロキサシン、スパルフロキサシン、ガチフロキサシン、モキシフロキサシン、ガレノキサシン、シタフロキサシン、ST合剤、ジアフェニルスルホン、リネゾリド等が挙げられる。
抗ウイルス剤は、ウイルスが宿主となる細胞に寄生し、新しいウイルス粒子を形成し、宿主細胞を脱出するサイクルの一部または全部のプロセスを阻害することで、ウイルス感染に起因する疾患の治療効果を有する剤である。抗ウイルス剤としては、特に限定されないが、例えば、ヘルペスウイルス、サイトメガロウイルス、ヒトパピローマウイルス、RSウイルス、インフルエンザウイルス、ヒト免疫不全ウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルス等のウイルス感染に起因する疾患の治療効果を有する剤が挙げられる。具体的には、ゾビラックス、アシクロビン、ビクロックス(アシクロビル)、バルトレックス(バラシクロビル)、デノシン(ガンシクロビル)、アラセナA(ビダラビン)、リレンザ(ザナミビル水和物)、タミフル(リン酸オセルタミビル)、シンメトレル(アマンタジン)、レトロビル(ジドブジン)、ヴァイデックス(ジダノシン)、エピビル、ゼフィックス(ラミブジン)、フォートベイス(ザキナビル)、ノービア(リトナビル)、N-[5-フルオロ-2-(1-ピペリジニル)フェニル]イソニコチンチオアミド等が挙げられる。
高脂血症治療剤としては、特に限定されないが、例えば、イコサペント酸エチル、オメガ-3脂肪酸エチル、クロフィブラート、ポリエンホスファチジルコリン等が挙げられる。
中枢神経用剤としては、特に限定されないが、例えば、インドメタシンファルネシル、ナルフラフィン塩酸塩等が挙げられる。
免疫抑制剤としては、特に限定されないが、例えば、シクロスポリン等が挙げられる。
末梢神経用剤としては、特に限定されないが、例えば、タファミジスメグルミン等が挙げられる。
痔核疾患治療剤としては、特に限定されないが、例えば、トリベノシド等が挙げられる。
循環器官用剤としては、特に限定されないが、例えば、ニフェジピン、ユビデカレノン等が挙げられる。
代謝性医薬品としては、特に限定されないが、例えば、ニンテダニブエタンスルホン酸塩等が挙げられる。
消化器疾患用剤としては、特に限定されないが、例えば、ゲファルナート、ピコスルファートナトリウム水和物、ルビプロストン等が挙げられる。
ハンセン病治療剤としては、特に限定されないが、例えば、クロファジミン等が挙げられる。
本発明の医薬製剤における薬物の量は、本発明の医薬製剤が所望の効果を奏する限り特に限定されないが、核粒子成分の質量に対する薬物の質量の比(核粒子成分の質量:薬物の質量)として、下限が、好ましくは1:0.01、より好ましくは1:0.02、より一層好ましくは1:0.03である。また、上限は、特に限定されないが、好ましくは1:0.5、より好ましくは、1:0.2である。また、核粒子成分の質量に対する薬物の質量の比の範囲は、特に限定されないが、好ましくは1:0.01~1:0.5、より好ましくは1:0.02~1:0.5、より一層好ましくは1:0.03~1:0.2である。
また、本発明の医薬製剤における薬物の含有量は、本発明の医薬製剤が所望の効果を奏する限り特に限定されないが、不揮発性溶媒の質量に対する薬物の質量の比(不揮発性溶媒の質量:薬物の質量)として、下限が、好ましくは1:0.01、より好ましくは1:0.03、より好ましくは1:0.05、より好ましくは1:0.1、より好ましくは0.3、より好ましくは1:0.5である。また、上限は、特に限定されないが、好ましくは1:5、より好ましくは1:3、より好ましくは1:1である。また、不揮発性溶媒の質量に対する薬物の質量の比の範囲は、特に限定されないが、好ましくは1:0.05~1:5、より好ましくは1:0.1~1:3、より一層好ましくは1:0.5~1:1である。
本発明の医薬製剤における核粒子の凝集度は、特に限定されないが、好ましくは90%以下、より好ましくは70%以下、より好ましくは50%以下、より好ましくは30%以下である。
凝集度の測定は、市販の粉体特性評価装置を用いて行うことができる。粉体特性評価装置としては、例えば、パウダテスタ(登録商標)PT-R(ホソカワミクロン株式会社製)が挙げられる。測定条件は、例えば、以下の通りである。
篩目開き:(上段)710μm、(中段)355μm、(下段)250μm
試料採取量:2gまたは3g
振動時間:119秒
上記の条件下で、下記式の各項目の値を測定する。
X=[上段の篩に残った粉体質量]/投入した粉体質量×100
Y=[中段の篩に残った粉体質量]/投入した粉体質量×100×0.6
Z=[下段の篩に残った粉体質量]/投入した粉体質量×100×0.2
上記X、Y、Zの3つの値の合計をもって、凝集度(%)とする。
<被覆層>
被覆層は、核粒子を被覆して、核粒子に含まれる不揮発性溶媒や薬物が医薬製剤の表面に漏出することを抑制することができる。被覆層により不揮発性溶媒の漏出が抑制される結果、医薬製剤の凝集が抑制され、医薬製剤の流動性の低下を抑制することができる。好ましい実施形態において、被覆層は、上述した核粒子に隣接して位置している。
被覆層を構成する成分としては、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、例えば、水溶性コーティング剤等が挙げられる。水溶性コーティング剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
好ましい実施形態によれば、水溶性コーティング剤は、好ましくはポリアルキレングリコールおよび多糖類またはその誘導体から選択される少なくとも一つの成分を含む。
多糖類またはその誘導体としては、好ましくはセルロース誘導体であり、例えば、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等が挙げられる。セルロース誘導体は1種を単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、ポリアルキレングリコールとしては、例えば、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
また、別の好ましい実施形態によれば、被覆層に使用されるコーティング剤としては、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタアクリル酸コポリマー、ビニルピリジンコポリマー、アルキルビニルピリジンコポリマー、アミノセルロース誘導体、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ジメチルアミノエチルメタクリレート-メタクリレートコポリマー、セルロースアセテート-N,N-ジ-n-ブチルヒドロキシルプロピルエーテル、ビニルピリジンとアクリル酸系遊離酸とのコポリマー、アルキルビニルピリジンとアクリル酸系遊離酸とのコポリマー、ビニルピリジンとアクリル酸系遊離酸とビニルモノマーとのコポリマー、アルキルビニルピリジンとアクリル酸系遊離酸とビニルモノマーとのコポリマー、2-メチル-5-ビニルピリジン-メタクリル酸コポリマー、ポリ-2-(ビニルフェニル)グリシン、モルホリノ-N-β-エチルアクリレート-メタクリル酸コポリマー、シェラック、セルロースアセテートフタレート、メチルアクリレート-メタクリル酸コポリマー、メチルメタクリレート-メタクリル酸コポリマー、ゼイン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートおよびアミノアルキルメタクリレートコポリマー等が挙げられる。コーティング剤は1種を単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
一つの実施形態によれば、コーティング剤は可塑剤と組み合わせて用いてもよい。可塑剤としては、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸アセチルトリエチル、ヒマシ油、ジアセチル化モノグリセリド、セバシン酸ジブチル、ソルビトール、デキストリン、フタル酸ジエチル、グリセリン、ポリアルキレングリコール、ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコール、安息香酸ベンジル、精製水、ソルビトールソルビタン液、トリアセチン、クエン酸トリブチル、クエン酸トリエチル、クロロブタノール等が挙げられる。これらの可塑剤のうち、好ましくはポリアルキレングリコール、より好ましくはポリエチレングリコール(マクロゴール)が用いられる。可塑剤は1種を単独で用いてもよいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
被覆層を構成する成分は、そのまま用いてもよいが、必要に応じて溶媒、好ましくは水、アルコール等の揮発性溶媒に溶解して用いてもよい。例えば、被覆層を構成する成分の粘性が高い場合、本発明の医薬製剤の製造時には、その粘性を下げるために水、アルコール等の揮発性溶媒に適宜溶解して用いられる。なお、水、アルコール等の揮発性溶媒は、製造される医薬製剤の被覆層中にその全部または一部が残存していてもよく、また、医薬製剤の製造過程で蒸発等により除去されてもよい。水、アルコール等の揮発性溶媒は、製造される医薬製剤の被覆層からその大部分が除去されていることが好ましく、そのすべてが除去されていることが好ましい。
本発明の医薬製剤における被覆層の質量は、本発明の医薬製剤が所望の効果を奏する限り特に限定されないが、核粒子の総質量に対する被覆層の質量の比(核粒子の総質量:被覆層の質量)として、下限が、好ましくは1:0.001、より好ましくは1:0.002である。また、上限は、特に限定されないが、好ましくは1:0.1、より好ましくは、1:0.05、より一層好ましくは1:0.02である。また、核粒子の総質量に対する被覆層の質量の比の範囲は、特に限定されないが、好ましくは1:0.001~1:0.1、より好ましくは1:0.002~1:0.05、より一層好ましくは1:0.002~1:0.02である。
<その他の成分>
本発明の医薬製剤は、本発明の効果を妨げない限り、上述した核粒子および被覆層を構成する成分とは異なる薬学的に許容可能な添加剤を含んでいてもよい。添加剤としては、例えば、賦形剤、崩壊剤、滑沢剤、結合剤、流動化剤、甘味料、香料、着色料等が挙げられる。これらの添加物は、1つの成分が2つ以上の機能を担うものであってもよい。また、添加剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の医薬製剤は、核粒子を被覆する被覆層を備えることから、核粒子に含まれる不揮発性溶媒や薬物の医薬製剤からの漏出が抑制され、その結果、医薬製剤の凝集を抑制することができる。
好ましい実施形態によれば、本発明の医薬製剤は、特定の範囲の凝集度を有する。医薬製剤の凝集度は、好ましくは70%以下、より好ましくは60%以下、より一層好ましくは50%以下である。医薬製剤の凝集度の測定は、上述した核粒子の凝集度の測定と同様の方法により行うことができる。
また、医薬製剤の凝集度は、核粒子の凝集度よりも改善している(低い)ことが好ましい。
医薬製剤の粒子径は、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが、好ましくは平均粒子径(D50)が100~400μmであり、より好ましくは120~250μmである。医薬製剤の平均粒子径の測定は、上述した核粒子成分の平均粒子径の測定と同様の方法により行うことができる。
本発明の医薬製剤は、そのまま用いてもよいが、各種の剤形を有する製剤として用いてもよい。製剤の剤形としては、本発明の効果が奏される限り特に限定されないが例えば、顆粒剤、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤等が挙げられる。これらのうち、好ましくは顆粒剤、錠剤およびカプセル剤である。また、カプセル剤としてはハードカプセル剤が挙げられる。
本発明の顆粒状の医薬製剤を含む錠剤、丸剤等の製剤において、本発明の医薬製剤の含有量の下限値は特に限定されないが、製剤の総質量に対して、例えば20%、25%、30%等とすることができる。また、本発明の医薬製剤の含有量の上限値は特に限定されないが、製剤の総質量に対して、例えば90%、80%、75%等とすることができる。
本発明の医薬製剤は、加工して各種の剤形を有する製剤を得る際に、割れや欠け等の摩損をしにくいという特性を有する。具体的には、本発明の医薬製剤から得られる製剤は、好ましくは1.0%以下、より好ましくは0.5%以下、より一層好ましくは0.3%以下、さらにより一層好ましくは0.2%以下、特に好ましくは0%の摩損度を有する。
また、本発明の医薬製剤は、製剤化、特に錠剤として製剤化した場合に、硬度が低いにもかかわらず摩損度が低いというさらなる効果を奏し得る。具体的には、本発明の医薬製剤から得られる製剤の硬度は、好ましくは150N以下、より好ましくは130N以下、より好ましくは100N以下、より好ましくは80N以下、より好ましくは70N以下、より好ましくは60N以下、より好ましくは50N以下、より好ましくは40N以下、特に好ましくは30N以下である。
[医薬製剤の製造方法]
本発明の医薬製剤の製造方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。医薬製剤の製造における条件は、核粒子成分、不揮発性溶媒、薬物、被覆層成分の種類等により、適宜調整することができる。具体的には、本発明の医薬製剤は、例えば、以下の手順に従って製造することができる。まず、不揮発性溶媒に薬物を添加して、撹拌機(NZ-1200、東京理化器械株式会社製)を用いて撹拌して、薬物が溶解または懸濁した薬物液を得る。次いで、BET比表面積が0.45m/g以上の核粒子成分と薬物液とを流動層造粒機(例えば、FD-MP-01D、株式会社パウレック製)に投入して接触させて、核粒子成分に混合液を付着させて核粒子を得る。ここで、核粒子成分と薬物液との接触は、上記の方法の他に、例えば、薬物液を核粒子成分に噴霧する方法、薬物液中に核粒子成分を浸漬する方法等により行われる。次いで、得られた核粒子を必要に応じて乾燥させた後、被覆層を構成する成分(被覆層成分)で核粒子を被覆する。ここで、核粒子の被覆は、例えば、被覆層成分を核に噴霧する方法、被覆層成分中に核粒子を浸漬する方法等により行われる。次いで、核粒子と該核粒子を被覆する被覆層とを有する粒子を乾燥させて、医薬製剤を得る。
医薬製剤を打錠成形する方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。打錠成形における条件は、特に限定されず、核粒子成分、不揮発性溶媒、薬物、被覆層成分の種類等により、適宜調整することができる。医薬製剤を打錠成形する方法としては、例えば、医薬製剤をロータリー式打錠機、単発式打錠機等の打錠機を用いて打錠する方法が挙げられる。これらのうち、ロータリー打錠機を用いて医薬製剤を打錠成形することが好ましい。ロータリー打錠機としては、例えば、菊水製作所株式会社製のVIRGO 0512SS2AY等が挙げられる。錠剤が、本発明の医薬製剤の他に薬学的に許容可能な添加物を含む場合には、予め本発明の医薬製剤と薬学的に許容可能な添加物とを混合した後に打錠する。医薬製剤と添加剤とを混合する方法は、特に限定されず、公知の方法を用いて行うことができる。医薬製剤と添加剤とを混合する方法としては、例えば、V型混合機等の混合機を用いて混合する方法が挙げられる。具体的には、株式会社徳寿工作所製のV型混合機(TCV-20)を用いて混合することができる。
医薬製剤をカプセル剤とする方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。具体的には、医薬製剤を、ゼラチン、または植物由来の原料等からなるカプセル皮膜に充填することによって製造される。カプセル皮膜への充填は、特に限定されず、例えば、オーガー式粉末充填、ダイコンプレス式粉末充填、バイブレーション式粉末充填等の公知の方法により行うことができる。例えば、オーガー式粉末充填では、通常ゼラチン皮膜で形成された互いに一端の開いた帽状容体の内部にホッパーから落下供給された粉末または顆粒の医薬製剤を撹拌羽根とオーガーの回転圧力によって直接カプセルボディに所定量充填した後、それら容体を同軸的に結合することによりカプセル剤を製造することができる。
以下、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[医薬製剤の調製方法]
各実施例および比較例の顆粒形態の医薬製剤を、以下の方法により調製した。
核粒子成分として、乳糖水和物(SuperTab(登録商標)、平均アスペクト比1.39、平均粒子径120μm、DFE Pharma製)、トウモロコシデンプン(局方コーンスターチ、平均アスペクト比1.23、平均粒子径15μm、日本食品化工株式会社製)、結晶セルロース(CEOLUS UF-702、平均アスペクト比2.63、平均粒子径90μm、旭化成株式会社製)おおび結晶セルロース(CEOLUS KG-1000、平均アスペクト比4.20、平均粒子径50μm、旭化成株式会社製)を準備した。なお、各核粒子成分の平均アスペクト比は、電子顕微鏡(VE-7800、KEYENCE製)を用いて粒子画像を取得し、それぞれ任意に選択した10個の粒子のアスペクト比を測定し、アスペクト比の値の上位10%および下位10%の粒子のアスペクト比の値を除外した粒子のアスペクト比の平均値を意味する。
表1に示す処方に従って、各核粒子成分を、それぞれ355μm篩で篩過し、ポリエチレン袋に入れて予備混合した。なお、各実施例および比較例の顆粒形態の医薬製剤の調製過程において、表1に示す成分の一部、特に溶媒は、揮発して失われる。表1において、特に示さない場合、数値の単位はg(グラム)である。
Figure 2022069437000001
<核粒子の比表面積の算出>
まず、核粒子を構成する各核粒子成分BET比表面積を以下のようにして求めた。結晶セルロースについては、比表面積・細孔分布測定装置(BELSORP(登録商標)-miniX、マイクロトラック・ベル株式会社製)を用いて、BET法により測定した。具体的には、結晶セルロースについては、窒素分子を結晶セルロースに吸着させ、その吸着量から結晶セルロースのBET比表面積を算出した。また、乳糖水和物については、Micromeritics Instrument Corp. Application Note #163に記載の数値とした。また、コーンスターチについては、医薬品添加物ハンドブック 薬事日報社に記載の数値とした。
次いで、結晶セルロース、乳糖水和物およびコーンスターチのそれぞれのBET比表面積の値と各核粒子成分の含有量の値から核粒子の比表面積を算出した。具体的には、核粒子中の各核粒子成分の質量と比表面積との積の和を核粒子の総質量で除した値(下記式)として算出した。
[数1]
{(乳糖水和物の質量×乳糖水和物の比表面積)+(トウモロコシデンプンの質量×トウモロコシデンプンの比表面積)+(結晶セルロースの質量×結晶セルロースの比表面積)}/核粒子成分の総質量
<核粒子混合物のかさ密度の測定>
予備混合により得られたそれぞれの核粒子成分について、かためかさ密度およびゆるみかさ密度を測定した。具体的には、パウダテスタ(登録商標)PT-R(ホソカワミクロン株式会社製)を用いて、第17改正日本薬局方に記載されている、かさ密度およびタップ密度測定法第3法の測定用容器と同サイズの円筒容器に核粒子混合物を、篩いを通して上方から均一に供給し、上面をすり切って秤量することによって疎充填の状態のかさ密度(ゆるみかさ密度)を測定。次いで、この容器の上に補助円筒をはめ、この上縁まで核粒子混合物を加えてタッピングを180回行ない、終了後、補助円筒を外して容器の上面で核粒子混合物をすり切って秤量し、タッピング後の密充填した場合のかさ密度(かためかさ密度)を測定した。さらに、各核粒子成分について、かためかさ密度とゆるみかさ密度の差(かためかさ密度-ゆるみかさ密度)を算出した。結果を表1に示す。
さらに、表1に示す処方に従って、各不揮発性溶媒(ポリソルべート80)および溶媒(エタノール)を500mLビーカーに投入し、撹拌機(NZ-1200、東京理化器械株式会社製)を用いて400~900rpmで撹拌・混合した。均一になるまで撹拌・混合した後、各薬物(FIT-039、ノルエチステロン)を添加して、さらに撹拌・混合して薬物液を得た。なお、実施例3、比較例2および3については、薬物に代えて乳糖水和物(Pharmatose450M)を添加した。FIT-039およびノルエチステロンのlogP値は、それぞれ表1に示す通りである。
次いで、流動層造粒機(FD-MP-01D、株式会社パウレック製)を用いて、各核粒子成分に薬物液を噴霧して、薬物液が付着した核粒子を得た。流動層造粒機の設定条件は下記表2の通りとした。
Figure 2022069437000002
<凝集度の測定>
得られた核粒子について、粉体特性評価装置(パウダテスタ(登録商標)PT-R、ホソカワミクロン株式会社製)を用いて凝集度(被覆前の凝集度)を測定した。粉体特性評価装置の設定条件は以下の通りとした。
篩目開き:(上段)710μm、(中段)355μm、(下段)250μm
試料採取量:2gまたは3g
振動時間:119秒
上記の条件下で、下記式の各項目の値を測定した。
X=[上段の篩に残った粉体質量]/投入した粉体質量×100
Y=[中段の篩に残った粉体質量]/投入した粉体質量×100×0.6
Z=[下段の篩に残った粉体質量]/投入した粉体質量×100×0.2
上記X、Y、Zの3つの値の合計をもって、凝集度(%)とした。
また、表1に示す処方に従って、各被覆層成分をステンレス容器に投入し、撹拌機(NZ-1200、東京理化器械株式会社製)を用いて400~900rpmで撹拌・混合して被覆層溶液を得た。
次いで、流動層造粒機(FD-MP-01D、株式会社パウレック製)を用いて、上記で得られた各核粒子に被覆層溶液を噴霧し、60℃で15分間乾燥させて、核粒子が被覆層で被覆された顆粒形態の医薬製剤を得た。流動層造粒機の設定条件は下記表3の通りとした。なお、実施例1~8の各核粒子については、いずれも問題なく造粒を行うことができ、顆粒形態の医薬製剤が調製されたが、比較例1~3の各核粒子については、いずれも核粒子の比表面積が小さいため、不揮発性溶媒を核粒子中に多量に保持できず、付着性(粘性)を有する不揮発性溶媒が核粒子から漏出することから、造粒工程中に核粒子の流動性が低下し工程を進めることが困難となり、顆粒形態の医薬製剤を調製できなかった。
Figure 2022069437000003
得られた各実施例の顆粒形態の医薬製剤の凝集度(被覆後の凝集度)を、上述した核粒子の凝集度(被覆前の凝集度)の測定と同様の方法により測定した。結果を上記表1に示す。なお、いずれの実施例の顆粒形態の医薬製剤においても、被覆前(各粒子)に比べて被覆後(医薬製剤)の凝集度は低かった。
<医薬製剤の核粒子の空隙率の測定>
得られた実施例5~8の顆粒形態の医薬製剤の核粒子の空隙率を、市販のX線CT装置(Scanco medical AG μCT50、ソフトウェア Scanco medical AG IPL画像処理言語、SCANCO MEDICAL社製)を用いたX線CT微細構造解析により測定した。結果を表1に示す。なお、各実施例の医薬製剤の核粒子の空隙率の値は、医薬製剤の顆粒3粒子の空隙率の平均値である。また、空隙率解析を行った実施例5の医薬製剤の顆粒1粒子のX線CT微細構造解析の結果を図1に示す。
[錠剤の調製]
実施例の顆粒形態の医薬製剤を含む錠剤を、以下の方法により調製した。
実施例5の顆粒形態の医薬製剤2243.10gに乳糖水和物(SuperTab(登録商標)、DFE Pharma製)2871.9g、結晶セルロース(CEOLUS UF-711、旭化成株式会社製)390g、軽質無水ケイ酸(アドソリダー101、フロイント産業株式会社製)60g、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC-SSL、日本曹達株式会社製)375gおよびステアリン酸マグネシウム(ステアリン酸マグネシウム-S、日油株式会社製)60gをそれぞれ添加して、混合機(V型混合機TCV-20、株式会社徳寿工作所性)を用いて混合した。次いで、得られた混合物を、ロータリー打錠機(VIRGO 0512SS2AY、菊水製作所株式会社製)を用いて打錠し、実施例5の医薬製剤を含む錠剤の調製を行った。打錠条件を下記表4に示す。なお、打錠中の杵臼の伸びにより打錠条件は変動するため、下記の打錠条件は初期条件である。
Figure 2022069437000004
実施例2~4および6~8の顆粒形態の医薬製剤についても、上述した実施例5の医薬製剤と同様にして混合し、打錠して錠剤の調製を行った。いずれの医薬製剤についても、問題なく打錠を行うことができ、錠剤が調製された。
<錠剤の硬度の測定>
実施例の各錠剤の硬度を、以下の方法により測定した。
錠剤1錠を、錠剤硬度計(KHT-20N、株式会社藤原製作所製)の2枚の加圧板に挟み、一方の加圧板を一定速度で動かして錠剤が破壊される直前の力(N(ニュートン))を測定した。測定結果を表1に示す。
表1の結果から、錠剤に含まれる不揮発溶媒の質量が大きくなるに従って硬度が低くなる傾向があることが示された。
<錠剤の摩損度の測定>
実施例の各錠剤の摩損度を、以下の方法により測定した。
錠剤20錠を、錠剤摩損度試験器(例えばEKDS、萱垣医理科工業製)を用いて錠剤の質量を精密に量り、試験器のドラムに入れた。ドラムを100回転させた後、錠剤を取り出す。試験開始前と同様に錠剤に付着した粉末を取り除いた後,質量を精密に量り、試験前後の減耗量を錠剤摩損度とした。測定結果を表1に示す。
表1の結果から、実施例の錠剤では、硬度が低いにもかかわらず、摩損しないことが示された。
また、表1の結果から、本発明の医薬製剤によれば、硬度が低いにもかかわらず摩損度が低い錠剤が得られることが示された。硬度が低い錠剤では摩損度が高いのが通常であり、硬度が低いにもかかわらず摩損度が低い本発明の錠剤は極めて特殊な特性を有するものと言える。このような錠剤は製造時の歩留まりが高く、一方で、経口投与時の口腔内での咀嚼や嚥下を容易にし、摂取しやすいという利点を有する。また、このような特性が奏されるメカニズムは明らかではないが、顆粒状の医薬製剤を製造する際に用いられる界面活性剤等の不揮発性溶媒が、該医薬製剤を打錠して錠剤を得る際に滲出して医薬製剤間の結合を強め、その結果、得られる錠剤が摩損しづらくなるためと推測される。
本発明によれば、界面活性剤やビタミン類等の医薬品製造に有用な不揮発性溶媒を含み、実際の製造に耐え得る優れた流動性を有する顆粒を提供することができる。

Claims (37)

  1. 核粒子と該核粒子を被覆する被覆層とを備える顆粒形態の医薬製剤であって、
    前記核粒子が、薬物、核粒子成分および不揮発性溶媒を含んでなり、
    前記核粒子成分のBET比表面積が0.45m/g以上であり、
    前記医薬製剤の単位質量当たりの前記不揮発性溶媒の含有量が10mg以上である、前記医薬製剤。
  2. 前記核粒子成分のBET比表面積が0.5~3m/gである、請求項1に記載の医薬製剤。
  3. 前記核粒子の空隙率が40%以上である、請求項1または2に記載の医薬製剤。
  4. 前記核粒子成分が固体の添加剤である、請求項1~3のいずれか一項に記載の医薬製剤。
  5. 前記核粒子成分が結晶セルロースを含んでなる、請求項1~4のいずれか一項に記載の医薬製剤。
  6. 前記核粒子成分の少なくとも一部が、直接的または前記不揮発性溶媒を介して間接的に互いに接触している、請求項1~5のいずれか一項に記載の医薬製剤。
  7. 前記薬物の少なくとも一部が前記不揮発性溶媒に溶解している、請求項1~6のいずれか一項に記載の医薬製剤。
  8. 前記不揮発性溶媒の少なくとも一部が前記核粒子成分の少なくとも一部を被覆している、請求項1~7のいずれか一項に記載の医薬製剤。
  9. 前記不揮発性溶媒と前記薬物との質量比が1:0.1~1:10である、請求項1~8のいずれか一項に記載の医薬製剤。
  10. 前記核粒子成分の総質量と、前記不揮発性溶媒との質量比が1:0.01~1:0.6である、請求項1~9のいずれか一項に記載の医薬製剤。
  11. 前記不揮発性溶媒が、界面活性剤、ビタミン類および脂肪酸グリセリドからなる群から選択される少なくとも1種を含んでなる、請求項1~10のいずれか一項に記載の医薬製剤。
  12. 前記界面活性剤が非イオン性界面活性剤である、請求項11に記載の医薬製剤。
  13. 前記非イオン性界面活性剤がポリソルベートである、請求項12に記載の医薬製剤。
  14. 前記脂肪酸グリセリドが中鎖脂肪酸グリセリドである、請求項11に記載の医薬製剤。
  15. 前記薬物のlogP値が-2~7である、請求項1~14のいずれか一項に記載の医薬製剤。
  16. 前記薬物のlogP値が-1.9~6.5である、請求項1~15のいずれか一項に記載の医薬製剤。
  17. 前記薬物が難水溶性薬物を含んでなる、請求項1~16のいずれか一項に記載の医薬製剤。
  18. 前記難水溶性薬物が、ホルモン剤、抗癌剤、抗菌剤および抗ウイルス剤からなる群から選択される少なくとも1種を含んでなる、請求項17に記載の医薬製剤。
  19. 前記被覆層が水溶性コーティング剤を含んでなる、請求項1~18のいずれか一項に記載の医薬製剤。
  20. 前記水溶性コーティング剤が、ポリアルキレングリコール、多糖類、およびそれらの誘導体からなる群より選択される少なくとも一つの成分を含んでなる、請求項19に記載の医薬製剤。
  21. 前記水溶性コーティング剤が、ポリエチレングリコール、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メタアクリル酸コポリマー、ビニルピリジンコポリマー、アルキルビニルピリジンコポリマー、アミノセルロース誘導体、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ジメチルアミノエチルメタクリレート-メタクリレートコポリマー、セルロースアセテート-N,N-ジ-n-ブチルヒドロキシルプロピルエーテル、ビニルピリジンとアクリル酸系遊離酸とのコポリマー、アルキルビニルピリジンとアクリル酸系遊離酸とのコポリマー、ビニルピリジンとアクリル酸系遊離酸とビニルモノマーとのコポリマー、アルキルビニルピリジンとアクリル酸系遊離酸とビニルモノマーとのコポリマー、2-メチル-5-ビニルピリジン-メタクリル酸コポリマー、ポリ-2-(ビニルフェニル)グリシン、モルホリノ-N-β-エチルアクリレート-メタクリル酸コポリマー、シェラック、セルロースアセテートフタレート、メチルアクリレート-メタクリル酸コポリマー、メチルメタクリレート-メタクリル酸コポリマー、ゼイン、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートおよびアミノアルキルメタクリレートコポリマーからなる群から選択される少なくとも1種である、請求項19または20に記載の医薬製剤。
  22. 前記医薬製剤の凝集度が70%以下である、請求項1~21のいずれか一項に記載の医薬製剤。
  23. 前記医薬製剤の凝集度が前記核粒子の凝集度よりも低い、請求項1~22のいずれか一項に記載の医薬製剤。
  24. 前記医薬製剤の体積分布基準の50%粒径(D50)が100~400μmである、請求項1~23のいずれか一項に記載の医薬製剤。
  25. 請求項1~24のいずれか一項に記載の医薬製剤を含んでなり、顆粒剤、錠剤、カプセル剤、散剤および丸剤からなる群から選択される剤形を有する製剤。
  26. 摩損度が1.0%以下である、錠剤の剤形を有する請求項25に記載の製剤。
  27. 核粒子と該核粒子を被覆する被覆層とを備える顆粒形態の医薬製剤の製造方法であって、
    (a)核粒子を構成する核粒子成分を準備する工程、
    (b)不揮発性溶媒に薬物を溶解または懸濁して混合液を得る工程、
    (c)工程(a)で準備された核粒子成分と、工程(b)で得られた混合液とを接触させて核粒子成分、薬物および不揮発性溶媒を含んでなる核粒子を得る工程、および、
    (d)工程(c)で得られた核粒子を被覆して医薬製剤を得る工程
    を含み、
    前記核粒子成分のBET比表面積が0.45m/g以上であり、
    前記医薬製剤の単位質量当たりの前記不揮発性溶媒の含有量が10mg以上である、前記製造方法。
  28. 前記核粒子成分のBET比表面積が0.5~3m/gである、請求項27に記載の製造方法。
  29. 前記核粒子の空隙率が40%以上である、請求項27または28に記載の製造方法。
  30. 前記核粒子成分が固体の添加剤である、請求項27~29のいずれか一項に記載の製造方法。
  31. 前記核粒子成分が結晶セルロースを含んでなる、請求項27~30のいずれか一項に記載の製造方法。
  32. 前記不揮発性溶媒が、界面活性剤、ビタミン類および脂肪酸グリセリドからなる群から選択される少なくとも1種を含んでなる、請求項27~31のいずれか一項に記載の製造方法。
  33. (e)工程(d)で得られた医薬製剤に薬学的に許容可能な添加剤を加えて造粒して、顆粒状の製剤を得る工程をさらに含む、請求項27~32のいずれか一項に記載の製造方法。
  34. (e’)工程(d)で得られた医薬製剤を、ゼラチン、または植物由来の原料からなる皮膜に封入して、カプセル状の製剤を得る工程をさらに含む、請求項27~32のいずれか一項に記載の製造方法。
  35. 請求項1~26のいずれか一項に記載の医薬製剤を打錠成形して錠剤を得る工程を含んでなる、錠剤の製造方法。
  36. 請求項1~26のいずれか一項に記載の医薬製剤をカプセルに封入する工程を含んでなる、カプセル剤の製造方法。
  37. 前記錠剤の摩損度が1.0%以下である、請求項35に記載の製造方法。
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