JP2022066655A - 質量分析を用いた試料分析方法及び試料分析システム - Google Patents

質量分析を用いた試料分析方法及び試料分析システム Download PDF

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Abstract

【課題】多変量解析のデータ前処理を簡略化しつつ、精度の高い解析を行う。【解決手段】本発明に係る試料分析方法の一態様は、MS/MS分析が可能であって最終段の質量分離器が飛行時間型質量分離器である質量分析装置を用い、目的試料又は該目的試料を含む試料に対して所定の基準に沿ったプリカーサーイオンについてのMS/MS分析を実行する第1測定ステップと、得られたMS/MSスペクトルデータからプロダクトイオンピークを抽出し、そのプロダクトイオンのm/zとプリカーサーイオンのm/zとの組であるMRMトランジションを含む分析制御情報を作成する分析制御情報作成ステップと、トリプル四重極型である質量分析装置を用い、目的試料に対し、上記分析制御情報に基いてMRM法によるMS/MS分析を実行する第2測定ステップと、収集されたMS/MS分析データに対し多変量解析を行い、目的試料に関連する情報又は該目的試料に含まれる化合物に関連する情報を得る解析ステップと、を含む。【選択図】図2

Description

特許法第30条第2項適用申請有り https://eventpilot.us/web/planner.php?id=ASMS20、令和2年5月6日 〔刊行物等〕 https://eventpilot.us/web/planner.php?id=ASMS20、令和2年6月1日
本発明は、質量分析技術を利用して試料を分析する又は試料中の化合物を分析する方法及びシステムに関する。本発明は、例えばメタボロミクス(メタボローム解析)などに特に有用である。
メタボロミクスは、生命活動によって生じる様々な代謝物の種類や濃度を網羅的に解析する手法であり、様々な分野への応用が期待されている。例えば、医療分野では、疾病の早期発見を目的としたバイオマーカーの探索や疾病の原因物質の特定などへの応用、食品分野では、メーカー間の製品比較や原材料の産地比較などの品質評価や品質予測、或いは、機能性成分の探索などへの応用が可能である。
非特許文献1に開示されているように、質量分析法や、クロマトグラフィと質量分析とを組み合わせたクロマトグラフ質量分析法は、メタボロミクスにおける代表的な分析手法の一つであり、これらは近年、広く利用されている。また、メタボロミクスにおいて、液体クロマトグラフ質量分析装置等により得られる大量のデータを解析する際には、主成分分析(Principal Component Analysis:PCA)や部分的最小二乗法(Partial Least Squares:PLS)などの統計解析の手法が広く利用されており、それを実装するための統計解析ソフトウェアにも様々なものがある。
国際公開第2019/012589号
吉田 欣史、ほか2名、「メタボロミクスとメタボノミクス」、日本分析化学会、ぶんせき、2009年7月号、pp.371-378
クロマトグラフ質量分析法では、試料に含まれる複数の成分をクロマトグラフで分離することができるものの、成分数が多い場合には異なる成分の保持時間や質量電荷比(厳密には斜体字の「m/z」であるが、本明細書では慣用的に「質量電荷比」又は「m/z」と記す)が近接していることも多いため、より成分選択性の高いMS/MS分析を用いることが好ましい。また、質量分析により得られるマススペクトルデータに基く統計解析の精度を向上させるには、マススペクトルの質量精度や質量分解能ができるだけ高いことが好ましい。こうしたことから、最近のメタボロミクスでは、MS/MS分析が可能であって、トリプル四重極型質量分析装置に比べても質量精度、質量分解能が高い四重極-飛行時間型(以下、慣用的に「Q-TOF型」という)質量分析装置が質量分析装置として用いられることが多い。
特許文献1に開示されているように、Q-TOF型質量分析装置を用いた液体クロマトグラフ質量分析装置では、特定のプリカーサーイオンをターゲットとする所定の質量電荷比範囲のMS/MSスペクトルを繰り返し取得することができる。しかしながら、Q-TOF型質量分析装置で得られるデータには、十分な信号強度が得られず再現性や定量性が悪いピークも多く含まれ、こうしたノイズピークを本来のデータと併せて多変量解析に供すると解析の精度が低下する。そのため、多変量解析に先立ってノイズピークをできるだけ除去するようなデータ前処理を実施する必要があり、このデータ前処理がかなり煩雑で時間や手間が掛かるという問題がある。特に、目的成分を限定せずに網羅的な分析を行うノンターゲットメタボロミクスでは、液体クロマトグラフ質量分析装置で得られるデータの量が膨大であるため、上述したようなデータ前処理の作業はさらに一層、負荷の掛かる作業である。
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その主たる目的は、煩雑であるデータ前処理を簡略化するとともに、高い網羅性と信頼性とを実現することができる質量分析を用いた試料分析方法及び試料分析システムを提供することである。
上記課題を解決するためになされた本発明に係る質量分析を用いた試料分析方法の一態様は、
MS/MS分析が可能であって最終段の質量分離器が飛行時間型質量分離器である質量分析装置を用い、目的試料又は該目的試料を含む試料に対して所定の基準に沿ったプリカーサーイオンについてのMS/MS分析を実行する第1測定ステップと、
前記第1測定ステップで得られたMS/MSスペクトルデータからプロダクトイオンピークを抽出し、そのプロダクトイオンの質量電荷比とプリカーサーイオンの質量電荷比との組である多重反応モニタリング(MRM)トランジションを含む分析制御情報を作成する分析制御情報作成ステップと、
トリプル四重極型である質量分析装置を用い、前記目的試料に対し、前記分析制御情報に基いてMRM法によるMS/MS分析を実行する第2測定ステップと、
前記第2測定ステップで収集されたMS/MS分析データに対し多変量解析を行い、前記目的試料に関連する情報又は該目的試料に含まれる化合物に関連する情報を得る解析ステップと、
を含むものである。
また上記課題を解決するためになされた本発明に係る試料分析システムは、上記発明に係る試料分析方法を実施するためのシステムであり、その一態様は、
MS/MS分析が可能であって最終段の質量分離器が飛行時間型質量分離器である第1の質量分析装置と、
トリプル四重極型である第2の質量分析装置と、
目的試料又は該目的試料を含む試料に対し、所定の基準に沿ったプリカーサーイオンについてのMS/MS分析を実行するように、前記第1の質量分析装置の動作を制御する第1の制御部と、
前記第1の制御部による制御の下で前記第1の質量分析装置により得られたMS/MSスペクトルデータからプロダクトイオンピークを抽出し、そのプロダクトイオンの質量電荷比とプリカーサーイオンの質量電荷比との組である多重反応モニタリング(MRM)トランジションを含む分析制御情報を作成する分析制御情報作成部と、
前記目的試料に対し、前記分析制御情報に基いてMRM法によるMS/MS分析を実行するように、前記第2の質量分析装置の動作を制御する第2の制御部と、
前記第2の制御部による制御の下で前記第2の質量分析装置により収集されたMS/MS分析データに対し多変量解析を行い、前記目的試料に関連する情報又は該目的試料に含まれる化合物に関連する情報を得る解析部と、
を備えるものである。
本発明の上記態様において、MS/MS分析が可能であって最終段の質量分離器が飛行時間型質量分離器である第1の質量分析装置では、初段の質量分離の方式や構成、イオン解離の方式や構成は問わない。第1の質量分析装置としては、例えば、四重極-飛行時間型(Q-TOF型)質量分析装置、イオントラップ飛行時間型質量分析装置、などを用いることができる。
また、第1の質量分析装置及び第2の質量分析装置はそれぞれ、単体の質量分析装置ではなく、液体クロマトグラフが前段に接続された液体クロマトグラフ質量分析装置とすることができる。その場合、前段の液体クロマトグラフは、第1の質量分析装置及び第2の質量分析装置とで共用することができる。
また、上記多変量解析は、統計的解析及び機械学習を含む。
本発明に係る試料分析方法及び試料分析システムの上記態様では、例えばQ-TOF型質量分析装置で得られたMS/MSスペクトルデータを多変量解析するのではなく、Q-TOF型質量分析装置において例えばデータ依存性取得(Data Dependent Acquisition:DDA)法等の手法により得られたデータに基いて、MRM測定のためのMRMトランジションを含む分析制御情報を作成する。そして、この分析制御情報を用い、トリプル四重極型質量分析装置においてMRM測定を行うことで得られたデータを多変量解析に供する。
Q-TOF型質量分析装置等の第1の質量分析装置では、得られるデータにノイズ要素が多いものの、検出の網羅性が高く、試料に含まれる化合物を、高い質量精度及び質量分解能で以て漏れ無く検出することができる。それにより、化合物を網羅的に検出するのに適当であるMRMトランジションを取得することができる。一方、第2の質量分析装置で実施されるMRMによるMS/MS分析では、特定のMRMトランジションのイオンを高い感度及び高い選択性を以て検出することができる。
本発明によれば、こうして得られた高い信頼性を有するデータを多変量解析に供することができるので、多変量解析に先立つノイズピーク除去等のデータの前処理が不要になるか或いは必要であってもかなり簡略化することができる。一方で、検出する化合物の網羅性は高いので、試料に含まれる化合物の数が多い場合であっても、それら多くの化合物を反映した正確な多変量解析結果を得ることができる。即ち、本発明によれば、高い信頼性と網羅性とを両立した解析を行うことができ、本発明は例えばメタボロミクスなどに好適である。
本発明に係る試料分析システムの一実施形態の要部の構成図。 図1に示したシステムを用いた試料分析方法の一例の説明図。 3種類の赤ワインを混合したサンプルについて実測により得られたクロマトグラムの一例を示す図。 3種類の赤ワインについてのMRM測定結果に基くPCA解析により得られたスコアプロット及びローディングプロットの一例を示す図。 3種類の赤ワインにおける代謝物のANOVA検定結果を示す図。
以下、本発明に係る試料分析方法及び試料分析システムの一実施形態を、添付図面を参照して説明する。
[本実施形態の試料分析システムの構成]
本実施形態の試料分析システムは、試料中の代謝物の網羅的解析、つまりはメタボロミクスを行うシステムである。
図1は、本実施形態の試料分析システムの概略構成図である。
このシステムは、質量分析部がQ-TOF型質量分析装置である第1測定部10と、質量分析部がトリプル四重極型質量分析装置である第2測定部100と、第1測定部10を制御するとともに第1測定部10で得られたデータを処理する第1制御・処理部20と、第2測定部100を制御するとともに第2測定部100で得られたデータを処理する第2制御・処理部200と、を含む。
第1測定部10は、液体クロマトグラフ部(LC部)11と、Q-TOF型質量分析部(QTOFMS部)12と、を含む。第2測定部100は、液体クロマトグラフ部(LC部)101と、トリプル四重極型質量分析部(TQMS部)102と、を含む。なお、図1では、第1測定部10のLC部11と、第2測定部100のLC部101とは別体であるが、それらを共通化し、共通のLC部から溶出する溶出液を二つの質量分析部の一方に選択的に導入する流路切替部を設けてもよい。或いは、ユーザーが配管を繋ぎ替える作業を行って、共通のLC部からいずれか一方の質量分析部に溶出液が導入されるようにしてもよい。
図示しないが、LC部11、101はいずれも、移動相容器、送液ポンプ、インジェクター、カラム、カラムオーブンなどのLCとしての標準的な構成である。グラジエント溶離を行う場合には、それに合わせた構成が追加される。QTOFMS部12は、特許文献1等に開示されているように、コリジョンセルを挟んで前段に四重極マスフィルター、後段に飛行時間型質量分離器を備える構成であり、イオン源はエレクトロスプレーイオン化等の大気圧イオン化を行うものである。TQMS部102は、コリジョンセルを挟んで前段及び後段にそれぞれ四重極マスフィルターを備える構成であり、イオン源はエレクトロスプレーイオン化等の大気圧イオン化を行うものである。
第1制御・処理部20は、機能ブロックとして、分析制御部21、データ格納部22、MS/MSスペクトル作成部23、プロダクトイオン選択部24、MS/MS情報出力部25、を含む。また、第2制御・処理部200は、機能ブロックとして、MRM測定メソッド作成部201、分析制御部202、データ格納部203、多変量解析処理部204、解析結果出力部205、成分同定・構造解析部206、解析用データベース207、を含む。
一般に、第1制御・処理部20及び第2制御・処理部200の実体はパーソナルコンピューター又はより高性能であるワークステーションと呼ばれるコンピューターであり、該コンピューターに予めインストールされた専用のソフトウェア(コンピュータープログラム)を該コンピューター上で動作させることで上記各機能ブロックの機能が実現されるものとすることができる。その場合、第1制御・処理部20と第2制御・処理部200とはそれぞれ異なるソフトウェアとそれら二つのソフトウェアの間でデータ等の入出力を行う別のソフトウェアを組み合わせたものでもよいし、或いは、全てのソフトウェアを一つに統合したものでもよい。
[試料分析システムを用いた分析動作]
上記試料分析システムを用いた試料分析の一例を、図2を参照して説明する。
図2は、同種の三つの試料#1、#2、#3を分析及び解析する場合の例であり、三つの試料の差異を特徴付ける化合物を探索して、該化合物を同定することを目的とする。試料の種類は特に限定されず、例えば後述する実験例のような飲食品以外に、農水産物、生体由来の試料(血液、唾液、尿、細胞組織など)などでもよい。
まず、ユーザーは、三つの試料#1、#2、#3を混合し、分析用の混合試料を調製する。そして、第1測定部10を用い、この混合試料に対してLC/MS/MS分析を実施する。ここでは、混合試料に含まれる化合物は未知である。そこで、化合物を網羅的に分析するために、QTOFMS部12ではDDA法によるMS/MS分析を繰り返し行う。
即ち、分析制御部21は第1測定部10を制御し、LC部11において送液ポンプにより送給される移動相中に所定のタイミングで混合試料を注入する。混合試料は移動相の流れに乗ってカラムに導入され、カラムを通過する間に混合試料中の各種化合物は時間的に分離される。カラムからの溶出液は連続的にQTOFMS部12に導入され、溶出液中の化合物はQTOFMS部12においてDDA法によるMS/MS分析により検出される。
DDA法では、まず、所定の質量電荷比範囲に亘る通常のMS分析(四重極マスフィルターでのイオン選択及びコリジョンセルでのイオンの解離操作を実施しない分析)を実行する。図2の例では、保持時間RT1においてMS分析によるマススペクトルが得られている。このMS分析によるデータはデータ格納部22に格納される。また、分析制御部21は、取得されたマススペクトルを即座に解析し、例えばピーク強度が所定の閾値以上である等、予め設定された条件に適合するピークを探索する。一つのマススペクトルにおいて複数のピークが検出された場合にはそれらピークを全て選択してもよいし、例えば強度順にピーク数を制限してもよい。
そして、選択されたピークに対応する質量電荷比をプリカーサーイオンに設定し、引き続き、そのプリカーサーイオンをターゲットとするMS/MS分析を実行して、所定の質量電荷比範囲に亘るMS/MSスペクトル(プロダクトイオンスペクトル)を取得する。このMS/MS分析によるデータはMS分析によるデータに関連付けてデータ格納部22に格納される。図2の例では、保持時間RT1において得られたマススペクトルにおいて〇印で示すピークが選択されたピークであり、このピークに対応するイオンをプリカーサーイオンとしてMS/MS分析することでMS/MSスペクトルが得られる。
マススペクトルにおいて複数のプリカーサーイオンが選択された場合には、各プリカーサーイオンについてのMS/MS分析を実行しMS/MSスペクトルを取得する。分析制御部21は、所定の測定時間の終了時点まで、上述したような1回のMS分析と1又は複数回のMS/MS分析とを一組として、これを所定の時間間隔で繰り返し実行するようにQTOFMS部12を制御する。マススペクトルにおいて指定の条件を満たすピークが存在しなかった場合には、そのときのMS分析に対応するMS/MS分析は実施されない。
第1測定部10での測定終了後(又は測定途中から)、第1制御・処理部20においてMS/MSスペクトル作成部23は、データ格納部22に格納されたデータに基いて各保持時間におけるMS/MSスペクトルを作成する。プロダクトイオン選択部24は、各MS/MSスペクトルにおいて所定の基準に従って一つのプロダクトイオンピークを選択する。例えば、MS/MSスペクトルにおいて検出されるピークの中で、ピークトップの信号強度が最大であるピークを選択するものとすることができる。但し、一つのMS/MSスペクトルから複数のプロダクトイオンピークを選択できるようにしてもよい。これにより、MS/MS分析が実施された保持時間において、少なくとも一つのプリカーサーイオンと一つのプロダクトイオンとの組(例えば図2中の(RT1,M1,M2))が求まる。MS/MS情報出力部25は、保持時間、プリカーサーイオンの質量電荷比、及びプロダクトイオンの質量電荷比を一組とするMS/MS情報を生成し、これを第2制御・処理部200へ送出する。
第2制御・処理部200においてMRM測定メソッド作成部201は、上記MS/MS情報を受け取り、TQMS部102においてMRM測定を行うためのMRMトランジションを含む測定メソッドを作成する。具体的には、MS/MS情報における保持時間に対しその前後に所定の時間的余裕を加えた検出時間範囲を定め、その検出時間範囲の間、当該保持時間に対応するプリカーサーイオンの質量電荷比及びプロダクトイオンの質量電荷比を含むMRMトランジションを実行するように測定メソッドを作成する。例えば、保持時間RT1に対しその前後に時間的余裕としてそれぞれΔtを確保したRT1-Δt=t1~RT1+Δt=t2を検出時間範囲と定め、その検出時間範囲t1~t2についてM1>M2(但し、M1:プリカーサーイオンのm/z、M2:プロダクトイオンのm/z)をMRMトランジションとすることができる。ここで、Δtは適宜に決めることができ、例えば1分、0.5分などとすればよい。
なお、一般に、MS/MS情報で挙げられる保持時間、プリカーサーイオンの質量電荷比、及びプロダクトイオンの質量電荷比の組の数はかなり多いため、上述のようにして検出時間範囲を定めると、複数の検出時間範囲が重なることになる。TQMS部102では、同時に(厳密にいえば時間分割で)多数のMRM測定を実施することが可能であるので、或る程度の数の検出時間範囲が重なっても実質的に問題とはならないが、重なる検出時間範囲が多いほど一つのMRMトランジションについてのドゥエルタイム(データの取得時間)が短くなり、感度の点で不利である。そのため、重なる検出時間範囲の数を適宜制限するように、検出時間範囲を調整してもよい。或いは、重なる検出時間範囲の数が規定数以下になるように、実施するMRM測定の数を制限してもよい。
このときの測定メソッドは、3種類の試料#1、#2、#3を混合した試料に対して測定を行った結果に基いて作成されたものであるので、その3種類の試料#1、#2、#3に含まれる種々の化合物を網羅的に検出することが可能な測定メソッドである。
分析制御部202は、MRM測定メソッド作成部201により作成された上記測定メソッドに従ってTQMS部102の動作を制御しつつ、3種類の試料#1、#2、#3についてそれぞれLC/MS/MS分析を実行するように第2測定部100を制御する。即ち、第2測定部100では、3種類の試料を混合せずに1種類ずつ順番に測定する。このときのLC部101の分離条件(移動相の種類、流速(流量)、グラジエント溶出条件、カラム温度など)は、第1測定部10での混合試料に対する測定時と同じとする。これは、同じ化合物が溶出する時間を概ね揃えるためである。
第2測定部100での一つの試料#1に対するLC/MS/MS分析は次のように実施される。分析制御部202は第2測定部100を制御し、LC部101において送液ポンプにより送給される移動相中に所定のタイミングで試料#1を注入する。試料#1は移動相の流れに乗ってカラムに導入され、カラムを通過する間に該試料#1中の各種化合物は時間的に分離される。カラムからの溶出液は連続的にTQMS部102に導入され、溶出液中の化合物はTQMS部102においてMRM測定(MS/MS分析)により検出される。
TQMS部102では測定メソッドに従って、所定の検出時間範囲の間、特定のMRMトランジションのイオン強度を繰り返し取得する。従って、図2に示すように、例えばt1~t2の時間の間、MRMトランジションがM1>M2であるイオン強度の時間的変化を示すクロマトグラム(抽出イオンクロマトグラム)が得られる。このMS/MS分析によるデータはデータ格納部203に格納される。MRMトランジション毎に、上述したような所定の検出時間範囲のクロマトグラムデータを得ることができる。上述したように、第1測定部10のLC部11における分離条件と第2測定部100のLC部101における分離条件とを全く同一にしたとしても、同一の化合物の溶出時間に多少のずれが生じることは避けられない。それに対し、ここでは、第1測定部10での測定時における実際の保持時間(溶出時間)に対して十分な時間的余裕を以て検出時間範囲を設定しているので、試料にその保持時間に対応する化合物が含まれていれば、その化合物由来のプロダクトイオンを確実に検出することができる。
上述したように、測定メソッドは3種類の試料#1、#2、#3に含まれる種々の化合物を網羅的に検出することが可能な測定メソッドであるので、同じ測定メソッドを用いて、試料#1、#2、#3にそれぞれ含まれる化合物に対応するクロマトグラムデータを漏れなく且つ高い感度で以て収集することができる。一方で、MRM測定では高感度の分析が行えるため、再現性及び定量性が共に良好である信頼性の高いデータを収集することができる。
試料毎にそれぞれ、その試料に含まれる可能性が高い化合物に対応するデータが得られたならば、多変量解析処理部204はデータ格納部203から適宜データを読み出し、例えば主成分分析、部分的最小二乗法、或いは階層的クラスター解析などの適宜の手法による解析を実行する。また、ディープラーニングを含む機械学習を用いて解析を行ってもよい。解析の目的に応じて、使用する解析手法を適宜選択すればよい。例えば主成分分析を用いると解析結果としてスコアプロットとローディングプロットとを作成することができ、その解析結果基いて、複数の試料を複数のグループに分類し、同時にその分類に寄与する或いは各グループを特徴付ける要素つまりは化合物を推定することができる。
解析結果出力部205は、上記多変量解析又は機械学習による解析結果を図示しない表示部に出力する。この解析結果を見たユーザーは、図示しない操作部で所定の操作を行うことにより、着目する化合物を指定するとともに同定処理の実行開始を指示する。すると、成分同定・構造解析部206は、指示された化合物に対応するMRMトランジションの情報からその元のMS/MS情報を辿り、そのMS/MS情報が得られたときのMS/MSスペクトルを第1制御・処理部20から取得する。そして、様々な化合物についてのMS/MSスペクトルが収録されている解析用データベース207を利用して、実測のMS/MSスペクトルにスペクトルパターンが類似している化合物を検索し、指定され化合物を同定する、又はその化合物の構造情報を得る。解析結果出力部205は、こうした同定結果や構造解析結果も表示部に出力する。
以上のようにして、本実施形態の試料分析システムでは、複数種類の試料の差異を特徴付ける化合物を探索して、該化合物を同定したりその化合物の化学構造の情報を取得したりすることができる。
なお、上記説明では、複数の試料を混合して調製した混合試料を第1測定部10により測定したが、試料を混合することなく個別に第1測定部10により測定し、それぞれのMS/MS分析結果に基いてMRMトランジションを求めてもよい。
[実験例]
上記手順に従って実施した実験例について、次に説明する。
この実験では、第1測定部10として島津製作所製の「LCMS-9030」(LC部11は「Nexera X3 system」)、第2測定部100として島津製作所製の「LCMS-8060NX」を使用した。また、試料として3種類の市販の赤ワイン(ボトルワイン、紙パックワイン、ノンアルコールワイン)を用意した。各ワインに含まれる親水性代謝物を網羅的に分析するため、これら3種類の赤ワインを混合したものを第1測定部10での分析対象の混合試料とした。試料前処理としては、混合された赤ワインを回転速度:12000rpmで5分間遠心分離し、その上清を採取して超純水で10倍に希釈することにより混合試料を調製した。
この混合試料について、表1に示したLC分析条件及び表2に示したMS分析条件の下で、第1測定部10を用い代謝物の網羅的分析を実行した。
Figure 2022066655000002
Figure 2022066655000003
図3は、上記混合試料についての実測により得られたクロマトグラムの一例を示す図である。図3(A)は正イオンモードにおいて、(B)は負イオンモードにおいて、それぞれで観測されたイオンの信号強度の時間変化を加算したものである。正イオンモードにおいて1443個のピーク、負イオンモードにおいても759個のピークを、それぞれプリカーサーイオンとして十分に高い強度で以てMS/MSスペクトルデータを取得することができた。
上述のように第1測定部10により得られたMS/MSスペクトルデータに対し、図2で説明した処理を行うことにより、第2測定部100でのLC/MS分析用の測定メソッドを作成した。但し、ここでは正イオンモードで得られたMS/MSスペクトルデータを用い、1443個のMRMトランジションを含む測定メソッドを作成した。そして、3種類の赤ワインそれぞれを試料とし、上記測定メソッドを使用して第2測定部100により各試料のLC/MS分析を実施した。試料前処理としては、各赤ワインを回転速度:12000rpmで5分間遠心分離し、その上清を採取して超純水で100倍に希釈することにより試料を調製した。
測定終了後、第2測定部100で得られたMS/MS分析データに対し、ライフィッス株式会社製のMRMデータ対応多変量解析用ソフトウェアである「Traverse-MSTM」を使用して、主成分分析及び一元配置分取分析(One-way analysis: One-way ANOVA)を実施した。図4は、主成分分析により得られたスコアプロット(A)及びローディングプロット(B)である。スコアプロット上の各プロットはそれぞれ試料に対応しており、図4(A)から、3種類の赤ワインが明確に分類されていることが分かる。また、ローディングプロット上の各プロットはそれぞれMRMトランジションつまり化合物に対応しており、図4(B)から、3種類の赤ワインの分類に寄与しているMRMトランジションが判明する。
図5は、上記の3種類の赤ワインそれぞれにおいて、存在量に有意差があると判定され(p値<0.05)、それぞれ同定された代謝物であるオルニチン、グルタチオン、及び4アミノ酪酸におけるピーク高さの比較例である。この結果から、3種類の赤ワインをそれぞれ特徴付ける代謝物、つまりはマーカーが明確になる。
以上の実験例からも、上述した試料分析システムを利用することにより、複数の試料を分類するのに有用な代謝物等の化合物を的確に抽出することが可能であり、その化合物を同定できることが分かる。
上記実施形態の試料分析システムは適宜に変形することができる。例えば、上記実施形態において第1測定部10及び第2測定部100はいずれも液体クロマトグラフ質量分析装置であるが、液体クロマトグラフなどの化合物分離手段を質量分析装置の前段に設けることは必須ではない。
また、第1測定部10において質量分析装置は、MS/MS分析が可能であって、高い質量精度及び質量分解能での質量分離が可能である質量分析装置であれば、Q-TOF型質量分析装置に限らない。例えば、前段四重極マスフィルターとコリジョンセルの代わりにイオントラップを用いてイオン選択とイオン解離操作とを行う、イオントラップ飛行時間型質量分析装置などを用いることもできる。一方、第2測定部100では、高い感度のMRM測定を行う必要があるため、質量分析装置としてトリプル四重極型質量分析装置を用いる。
また、上記実施形態において、第1測定部10では網羅的にイオンを検出するために、DDA法によるMS/MS分析を実行していたが、データ非依存性取得(Data Independent Acquisition:DIA)法によるMS/MS分析を実施してもよい。
DIA法によるMS/MS分析では、例えば、或る一定の質量電荷比幅のウインドウをずらしながら、各ウインドウに含まれる複数種のイオンをまとめてプリカーサーイオンとしてMS/MS分析を実行しMS/MSスペクトルを取得する、という作業を繰り返す。この場合、DDA法よりも検出の網羅性を高めることができるものの、その反面、一つのMS/MSスペクトルは、複数種のイオンに由来するMS/MSスペクトルが混じったものとなる。しかしながら、一般的には、周知のデコンボリューションの手法を用いることで、重なっているMS/MSスペクトルを分離するとともに、そのMS/MSスペクトルに対応するプリカーサーイオンの質量電荷比を推定することができる。したがって、こうしたデータ処理を加えることで、第1測定部10においてDIA法によるMS/MS分析を利用することもできる。
また、上記実施形態及び上述した各種の変形例は本発明の一例であって、本発明の趣旨の範囲で適宜修正、変更、追加を行っても本願特許請求の範囲に包含されることは明らかである。
[種々の態様]
上述した例示的な実施形態が以下の態様の具体例であることは、当業者には明らかである。
(第1項)本発明に係る質量分析を用いた試料分析方法の一態様は、
MS/MS分析が可能であって最終段の質量分離器が飛行時間型質量分離器である質量分析装置を用い、目的試料又は該目的試料を含む試料に対して所定の基準に沿ったプリカーサーイオンについてのMS/MS分析を実行する第1測定ステップと、
前記第1測定ステップで得られたMS/MSスペクトルデータからプロダクトイオンピークを抽出し、そのプロダクトイオンの質量電荷比とプリカーサーイオンの質量電荷比との組である多重反応モニタリング(MRM)トランジションを含む分析制御情報を作成する分析制御情報作成ステップと、
トリプル四重極型である質量分析装置を用い、前記目的試料に対し、前記分析制御情報に基いてMRM法によるMS/MS分析を実行する第2測定ステップと、
前記第2測定ステップで収集されたMS/MS分析データに対し多変量解析を行い、前記目的試料に関連する情報又は該目的試料に含まれる化合物に関連する情報を得る解析ステップと、
を含むものである。
(第10項)また、本発明に係る試料分析システムの一態様は、
MS/MS分析が可能であって最終段の質量分離器が飛行時間型質量分離器である第1の質量分析装置と、
トリプル四重極型である第2の質量分析装置と、
目的試料又は該目的試料を含む試料に対し、所定の基準に沿ったプリカーサーイオンについてのMS/MS分析を実行するように、前記第1の質量分析装置の動作を制御する第1の制御部と、
前記第1の制御部による制御の下で前記第1の質量分析装置により得られたMS/MSスペクトルデータからプロダクトイオンピークを抽出し、そのプロダクトイオンの質量電荷比とプリカーサーイオンの質量電荷比との組である多重反応モニタリング(MRM)トランジションを含む分析制御情報を作成する分析制御情報作成部と、
前記目的試料に対し、前記分析制御情報に基いてMRM法によるMS/MS分析を実行するように、前記第2の質量分析装置の動作を制御する第2の制御部と、
前記第2の制御部による制御の下で前記第2の質量分析装置により収集されたMS/MS分析データに対し多変量解析を行い、前記目的試料に関連する情報又は該目的試料に含まれる化合物に関連する情報を得る解析部と、
を備えるものである。
第1項に記載の質量分析を用いた試料分析方法、又は第10項に記載の試料分析システムによれば、トリプル四重極型質量分析装置におけるMRM測定で得られた高い信頼性を有するデータを多変量解析に供することができるので、多変量解析までのノイズデータの除去等のデータの前処理が不要になるか或いは必要であっても簡略化することができる。それにより、全体としてデータ処理を簡略化し、解析作業の効率向上を図ることができる。また、MRM法によるMS/MS分析のための制御情報の作成は、検出の網羅性の高い第1の測定ステップによるMS/MS分析結果を利用しているので、試料に含まれる化合物の数が多い場合であっても、それら多くの化合物を反映した正確な多変量解析結果を得ることができる。即ち、高い信頼性と網羅性とを両立した解析を行うことができ、例えばメタボロミクスなどに好適である。
(第2項)第1項に記載の試料分析方法において、前記第1測定ステップでは四重極-飛行時間型質量分析装置を用いるものとすることができる。
第2項に記載の試料分析方法によれば、第1測定ステップにおいて感度の高いMS/MSスペクトルを得ることができる。それにより、例えば試料に含まれる量が少ない化合物についてもMRMトランジションを作成し、第2測定ステップでのMS/MS分析の対象とすることができる。
(第3項)第1項又は第2項に記載の試料分析方法において、前記第1測定ステップ及び前記第2測定ステップではいずれも、液体クロマトグラフ質量分析装置を用い、液体クロマトグラフで成分分離された試料に対しMS/MS分析を行うものとすることができる。
第3項に記載の試料分析方法によれば、試料に含まれる化合物の数が多い場合であっても、前段の液体クロマトグラフでそれら化合物の多くを分離することができるので、例えば第1測定ステップにおいて複数の化合物が同時に質量分析部に導入されにくくなり、同時に導入される複数の化合物のうちの一つしかMS/MS分析ができない場合でもMS/MS分析の漏れを軽減することができる。
(第4項)第1項~第3項のいずれか1項に記載の試料分析方法において、前記第1測定ステップでは、質量分析装置においてデータ依存性取得(DDA)法によるMS/MS分析を行うものとすることができる。
前記第1測定ステップでは、質量分析装置においてデータ非依存性取得(DIA)法によるMS/MS分析を行うこともできるものの、その場合には、得られた一つのMS/MSスペクトルを複数のプリカーサーイオンにそれぞれ由来するMS/MSスペクトルに分離するデータ処理が必要になる。これに対し、DDA法によるMS/MS分析を行えば、DIA法に比べて網羅性の点では不利であるものの、MS/MS分析によって得られたMS/MSスペクトルから直ぐにプロダクトイオンを抽出することができプリカーサーイオンの質量電荷比を求める計算も不要であるため、データ処理が簡単になる。また、プリカーサーイオンやプロダクトイオンの質量電荷比が正確に求まるので、信頼性の高いMRMトランジションを得ることができる。
(第5項)第1項~第4項のいずれか1項に記載の試料分析方法において、前記分析制御情報作成ステップでは、MS/MSスペクトルにおいて最大の信号強度を示すプロダクトイオンピークを抽出し、そのプロダクトイオンを含むMRMトランジションを求めるものとすることができる。
第5項に記載の試料分析方法によれば、簡単なデータ処理によって、信頼性の高いMRMトランジションを求めることができる。
(第6項)第1項~第5項のいずれか1項に記載の試料分析方法において、前記解析ステップでは、複数の目的試料についてそれぞれ得られたMS/MS分析データに対し解析処理を行うことで、該複数の目的試料を分類するのに特徴的である化合物を抽出するものとすることができる。
第6項に記載の試料分析方法によれば、例えば疾病に関連するバイオマーカーや、農水産物等の産地を特定するためのマーカーなど、試料の分類に寄与する重要なマーカーとなる化合物を効率良く見つけることができる。
(第7項)第6項に記載の試料分析方法では、前記特徴的である化合物に由来するイオンをプリカーサーイオンとしたMS/MSスペクトルに基いて、該化合物を同定する、又は該化合物の構造を解析する化合物解析ステップ、をさらに含むものとすることができる。
第7項に記載の試料分析方法では、例えば多数の既知の化合物のMS/MSスペクトルを収録したデータベースを用いたデータベース検索などの手法を利用することができる。第7項に記載の試料分析方法によれば、例えば試料の分類に寄与するマーカーとなる化合物自体を特定したり、その化合物の化学構造を明らかにしたりすることができる。
(第8項)第6項又は第7項に記載の試料分析方法において、前記特徴的である化合物は代謝物であるものとすることができる。
第8項に記載の試料分析方法によれば、本方法をメタボロミクスに利用することができる。
(第9項)第1項~第8項のいずれか1項に記載の試料分析方法において、前記多変量解析は統計的解析又は機械学習であるものとすることができる。
第9項に記載の試料分析方法によれば、複数の試料を高い精度で分類したり、その分類に寄与する化合物を精度良く特定したりすることができる。
10…第1測定部
11…LC部
12…QTOFMS部
100…第2測定部
101…LC部
102…TQMS部
20…第1制御・処理部
21…分析制御部
22…データ格納部
23…MS/MSスペクトル作成部
24…プロダクトイオン選択部
25…MS/MS情報出力部
200…第2制御・処理部
201…MRM測定メソッド作成部
202…分析制御部
203…データ格納部
204…多変量解析処理部
205…解析結果出力部
206…成分同定・構造解析部
207…解析用データベース

Claims (10)

  1. MS/MS分析が可能であって最終段の質量分離器が飛行時間型質量分離器である質量分析装置を用い、目的試料又は該目的試料を含む試料に対して所定の基準に沿ったプリカーサーイオンについてのMS/MS分析を実行する第1測定ステップと、
    前記第1測定ステップで得られたMS/MSスペクトルデータからプロダクトイオンピークを抽出し、そのプロダクトイオンの質量電荷比とプリカーサーイオンの質量電荷比との組である多重反応モニタリング(MRM)トランジションを含む分析制御情報を作成する分析制御情報作成ステップと、
    トリプル四重極型である質量分析装置を用い、前記目的試料に対し、前記分析制御情報に基いてMRM法によるMS/MS分析を実行する第2測定ステップと、
    前記第2測定ステップで収集されたMS/MS分析データに対し多変量解析を行い、前記目的試料に関連する情報又は該目的試料に含まれる化合物に関連する情報を得る解析ステップと、
    を含む、質量分析を用いた試料分析方法。
  2. 前記第1測定ステップでは四重極-飛行時間型質量分析装置を用いる、請求項1に記載の質量分析を用いた試料分析方法。
  3. 前記第1測定ステップ及び前記第2測定ステップではいずれも、液体クロマトグラフ質量分析装置を用い、液体クロマトグラフで成分分離された試料に対しMS/MS分析を行う、請求項1又は2に記載の質量分析を用いた試料分析方法。
  4. 前記第1測定ステップでは、質量分析装置においてデータ依存性取得(DDA)法によるMS/MS分析を行う、請求項1~3のいずれか1項に記載の質量分析を用いた試料分析方法。
  5. 前記分析制御情報作成ステップでは、MS/MSスペクトルにおいて最大の信号強度を示すプロダクトイオンピークを抽出し、そのプロダクトイオンを含むMRMトランジションを求める、請求項1~4のいずれか1項に記載の質量分析を用いた試料分析方法。
  6. 前記解析ステップでは、複数の目的試料についてそれぞれ得られたMS/MS分析データに対し解析処理を行うことで、該複数の目的試料を分類するのに特徴的である化合物を抽出する、請求項1~5のいずれか1項に記載の質量分析を用いた試料分析方法。
  7. 前記特徴的である化合物に由来するイオンをプリカーサーイオンとしたMS/MSスペクトルに基いて、該化合物を同定する又は該化合物の構造を解析する化合物解析ステップ、をさらに含む、請求項6に記載の質量分析を用いた試料分析方法。
  8. 前記特徴的である化合物は代謝物である、請求項6又は7に記載の質量分析を用いた試料分析方法。
  9. 前記多変量解析は統計的解析又は機械学習である、請求項1~8のいずれか1項に記載の質量分析を用いた試料分析方法。
  10. MS/MS分析が可能であって最終段の質量分離器が飛行時間型質量分離器である第1の質量分析装置と、
    トリプル四重極型である第2の質量分析装置と、
    目的試料又は該目的試料を含む試料に対し、所定の基準に沿ったプリカーサーイオンについてのMS/MS分析を実行するように、前記第1の質量分析装置の動作を制御する第1の制御部と、
    前記第1の制御部による制御の下で前記第1の質量分析装置により得られたMS/MSスペクトルデータからプロダクトイオンピークを抽出し、そのプロダクトイオンの質量電荷比とプリカーサーイオンの質量電荷比との組である多重反応モニタリング(MRM)トランジションを含む分析制御情報を作成する分析制御情報作成部と、
    前記目的試料に対し、前記分析制御情報に基いてMRM法によるMS/MS分析を実行するように、前記第2の質量分析装置の動作を制御する第2の制御部と、
    前記第2の制御部による制御の下で前記第2の質量分析装置により収集されたMS/MS分析データに対し多変量解析を行い、前記目的試料に関連する情報又は該目的試料に含まれる化合物に関連する情報を得る解析部と、
    を備える試料分析システム。
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