JP2022065608A - 締結構造、プラズマ処理装置及び締結方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】基板処理装置を構成する部材同士を締結ネジにより締結する締結構造において、締結ネジの緩みを生じさせないようにする。【解決手段】基板処理装置を構成する第1の部材と第2の部材とを締結する締結構造であって、前記第1の部材は雌ネジ部を有し、前記第2の部材は、前記雌ネジ部に対応する貫通孔と、該貫通孔に連続し前記貫通孔よりも大きな径を有するザグリ部とを有し、前記貫通孔に挿通されて前記雌ネジ部に螺合する雄ネジ部と、該雄ネジ部の端部に連続するネジ頭部とを有する締結ネジと、前記ザグリ部に嵌合され、前記雄ネジ部が挿通される平座金と、を備え、少なくとも、前記ネジ頭部の前記平座金に対向する第1の面と、前記平座金の前記ネジ頭部に対向する第2の面のいずれか一方若しくは両方が潤滑材料により被覆されている。【選択図】図4
Description
本開示は、締結構造、プラズマ処理装置及び締結方法に関する。
特許文献1には、真空排気された処理空間内のガラス基板に対し、プラズマ化された処理ガスによるプラズマ処理を実行するプラズマ処理装置が開示されている。このプラズマ処理装置は、ガラス基板が載置される載置台を備え、当該載置台に対向する上面が開口すると共に、電気的に接地された金属製の処理容器と、当該処理容器の開口を塞いで処理空間を形成するように並べられた複数の導電性の部分窓からなる金属窓と、当該金属窓の上方側に、当該金属窓と対向するように設けられ、誘導結合により処理ガスをプラズマ化するためのプラズマアンテナと、備える。特許文献1のプラズマ処理装置において、金属窓の各部分窓は、処理ガス供給用のシャワーヘッドを兼ねている。また、各部分窓は、処理空間に対して処理ガスを供給するための多数の処理ガス吐出孔が形成されたシャワープレートと、当該シャワープレートとの間に、処理ガスを拡散させる処理ガス拡散室を形成するための金属窓本体とを、下からこの順に重ねた構成となっている。さらに、特許文献1のプラズマ処理装置では、ネジによってシャワープレートを金属窓本体に締結しており、金属窓本体には温度調節用の温調流体を通流させる温調流路が形成されている。
本開示にかかる技術は、基板処理装置を構成する部材同士を締結ネジにより締結する締結構造において、締結ネジの緩みを生じさせないようにする。
本開示の一態様は、基板処理装置を構成する第1の部材と第2の部材とを締結する締結構造であって、前記第1の部材は雌ネジ部を有し、前記第2の部材は、前記雌ネジ部に対応する貫通孔と、該貫通孔に連続し前記貫通孔よりも大きな径を有するザグリ部とを有し、前記貫通孔に挿通されて前記雌ネジ部に螺合する雄ネジ部と、該雄ネジ部の端部に連続するネジ頭部とを有する締結ネジと、前記ザグリ部に嵌合され、前記雄ネジ部が挿通される平座金と、を備え、少なくとも、前記ネジ頭部の前記平座金に対向する第1の面と、前記平座金の前記ネジ頭部に対向する第2の面のいずれか一方若しくは両方が潤滑材料により被覆されている。
本開示によれば、基板処理装置を構成する部材同士を締結ネジにより締結する締結構造において、締結ネジの緩みを生じさせないようにすることができる。
液晶表示装置(LCD)等のフラットパネルディスプレイ(FPD)の製造工程では、ガラス基板等の基板に対し、エッチング処理や成膜処理等の基板処理が行われる。これらの基板処理には、処理対象の基板が収容される処理容器等を有する基板処理装置が用いられる。
また、基板処理装置としては、処理ガスのプラズマを用いて基板処理を行うプラズマ処理装置があり、プラズマ処理装置としては、誘導結合プラズマを用いるものがある(特許文献1参照)。
また、基板処理装置としては、処理ガスのプラズマを用いて基板処理を行うプラズマ処理装置があり、プラズマ処理装置としては、誘導結合プラズマを用いるものがある(特許文献1参照)。
特許文献1の誘導結合プラズマを用いるプラズマ処理装置は、前述のように、ガラス基板が載置される載置台を備え、当該載置台に対向する上面が開口すると共に、電気的に接地された金属製の処理容器を備える。また、特許文献1のプラズマ処理装置は、処理容器の開口を塞いで処理空間を形成するように並べられた複数の導電性の部分窓からなる金属窓と、当該金属窓の上方側に、当該金属窓と対向するように設けられ、誘導結合により処理ガスをプラズマ化するためのプラズマアンテナと、備える。特許文献1のプラズマ処理装置において、金属窓の各部分窓は、処理ガス供給用のシャワーヘッドを兼ねている。また、各部分窓は、処理空間に対して処理ガスを供給するための多数の処理ガス吐出孔が形成されたシャワープレートと、当該シャワープレートとの間に、処理ガスを拡散させる処理ガス拡散室を形成するための金属窓本体とを、下からこの順に重ねた構成となっている。さらに、特許文献1のプラズマ処理装置では、ネジによってシャワープレートを金属窓本体に締結しており、金属窓本体には温度調節用の温調流体を通流させる温調流路が形成されている。
ところで、プラズマ処理装置では、特許文献1のように、シャワープレートと金属窓本体との締結にネジを用いた場合、基板処理を行うことにより、または、基板処理を重ねることにより、ネジが緩むことがある。
このようにネジが緩む原因としては、シャワープレートと金属窓本体との熱膨張差が考えられる。具体的には、シャワープレートは、処理ガスのプラズマからの入熱があり、また、温度調節されているものの、その温度調節は金属窓本体を介したものであるため高温となり膨張するのに対し、金属窓本体は温調流路により直接温度調節されること等からほとんど温度が変わらず膨張しない。そのため、シャワープレートが金属窓本体に沿って摺動したような形になるため、そのときに、ネジに力が作用し、その結果ネジが緩むと考えられる。
このようにネジが緩む原因としては、シャワープレートと金属窓本体との熱膨張差が考えられる。具体的には、シャワープレートは、処理ガスのプラズマからの入熱があり、また、温度調節されているものの、その温度調節は金属窓本体を介したものであるため高温となり膨張するのに対し、金属窓本体は温調流路により直接温度調節されること等からほとんど温度が変わらず膨張しない。そのため、シャワープレートが金属窓本体に沿って摺動したような形になるため、そのときに、ネジに力が作用し、その結果ネジが緩むと考えられる。
そして、シャワープレートと金属窓本体とを締結するネジが緩んだ場合、処理ガスが不要な部分に到達することによる腐食の発生、腐食に起因するパーティクルの発生、シャワープレートと金属窓本体との間の電気的導通及び熱伝達不良といった問題が生じる。
また、プラズマ処理装置以外の基板処理装置でも、当該基板処理装置を構成する部材同士を締結するネジが緩むと、基板処理等に悪影響が及ぶことがある。
そこで、本開示にかかる技術は、基板処理装置を構成する部材同士を締結ネジにより締結する締結構造において、締結ネジの緩みを生じさせないようにする。
以下、本実施形態にかかる締結構造、プラズマ処理装置及び締結方法について、図面を参照しながら説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
<プラズマ処理装置1>
図1は、本実施形態にかかるプラズマ処理装置の構成の概略を示す縦断面図である。図2は、後述の金属窓の下面図である。図3は、図1の部分拡大図である。
図1のプラズマ処理装置1は、基板としての、矩形のガラス基板G(以下、「基板G」という)に対し、処理ガスのプラズマを用いた基板処理すなわちプラズマ処理を行う。プラズマ処理装置1が行うプラズマ処理は、例えばFPD用の成膜処理、エッチング処理、アッシング処理等である。これらの処理により、基板G上に、発光素子や発光素子の駆動回路などの電子デバイスが形成される。
図1は、本実施形態にかかるプラズマ処理装置の構成の概略を示す縦断面図である。図2は、後述の金属窓の下面図である。図3は、図1の部分拡大図である。
図1のプラズマ処理装置1は、基板としての、矩形のガラス基板G(以下、「基板G」という)に対し、処理ガスのプラズマを用いた基板処理すなわちプラズマ処理を行う。プラズマ処理装置1が行うプラズマ処理は、例えばFPD用の成膜処理、エッチング処理、アッシング処理等である。これらの処理により、基板G上に、発光素子や発光素子の駆動回路などの電子デバイスが形成される。
プラズマ処理装置1は、角筒形状の容器本体10を備える。容器本体10は、導電性材料、例えばアルミニウムから形成され、電気的に接地されている。プラズマ処理にはしばしば腐食性のガスが用いられるため、容器本体10の内壁面は、耐腐食性を向上させる目的で、陽極酸化処理等の耐腐食コーティング処理が施されている。また、容器本体10の上面には開口が形成されている。この開口は、容器本体10と絶縁されて設けられた矩形状の金属窓20によって気密に塞がれ、具体的には、金属窓20及び後述の金属枠14によって気密に塞がれる。容器本体10及び金属窓20によって囲まれた空間は、プラズマ処理の処理対象の基板Gがプラズマ処理時に位置する処理空間S1となり、金属窓20の上方側の空間は、後述の高周波アンテナ(プラズマアンテナ)80が配置されるアンテナ室S2となる。容器本体10の側壁には、処理空間S1内に基板Gを搬入出するための搬入出口11及び搬入出口11を開閉するゲートバルブ12が設けられている。
処理空間S1の下部側には、金属窓20と対向するように、基板Gを支持する基板支持部30が設けられている。基板支持部30は、基板Gが載置される本体部31を有し、本体部31が脚部32を介して容器本体10の底面に設置されている。
本体部31は、導電性材料、例えばアルミニウムで構成されている。本体部31の表面は、絶縁性及び耐腐食性を向上させるため、陽極酸化処理若しくはセラミック溶射処理等のコーティング処理が施されている。また、本体部31には、基板Gを吸着保持する静電チャック(図示せず)が設けられている。
さらに、本体部31には、整合器40を介して高周波電源41が接続されている。高周波電源41は、バイアス用の高周波電力、例えば周波数が3.2MHzの高周波電力を本体部31に供給する。これにより、処理空間S1内に生成されたプラズマ中のイオンを基板Gに引き込むことができる。
なお、本体部31内には、基板Gを温度調節する温度調節機構として、基板Gを冷却するための冷却用の冷媒が通流される冷媒流路(図示せず)を有する冷却機構が設けられている。温度調節機構として、冷却機構に代えて加熱するための加熱機構(例えば抵抗ヒータ)を設けてもよいし、これら冷却機構と加熱機構の両方を設けてもよい。また、本体部31内には、温度センサ(図示せず)や、基板Gの裏面にHeガス等の伝熱ガスを供給するためのガス流路(図示せず)が設けられている。
容器本体10の底面には、排気口13が形成され、この排気口13には真空ポンプ等を有する排気部50が接続されている。処理空間S1は、この排気部50によって減圧される。排気部50は、複数の排気口13のそれぞれに設けられてもよいし、複数の排気口13に共通に設けられてもよい。
容器本体10の側壁の上面側には、アルミニウム等の金属材料から形成された矩形状の枠体である金属枠14が設けられている。容器本体10と金属枠14との間には、処理空間S1を気密に保つためのシール部材15が設けられている。また、容器本体10と金属枠14と金属窓20とが、処理対象の基板Gを収容する処理容器を構成する。
金属窓20は、図1及び図2に示すように、複数の部分窓21に分割され、これらの部分窓21が金属枠14の内側に配置され、全体として矩形状の金属窓20を構成している。
部分窓21はそれぞれ、処理空間S1に処理ガスを供給するシャワーヘッドとして機能する。例えば、各部分窓21は、図3に示すように、第1の部材としての金属窓本体(ベース部材)23と、第2の部材としてのシャワープレート22と、を下からこの順に重ねた構成となっている。シャワープレート22には、処理空間S1に対して処理ガスを供給するための多数のガス吐出孔22aが形成されている。金属窓本体23は、シャワープレート22との間に、処理ガスを拡散させる拡散室23aを形成する。
シャワープレート22は締結ネジ24によって金属窓本体23に締結されている。言い換えると、プラズマ処理装置1は、シャワープレート22と金属窓本体23とを締結ネジ24によって締結する締結構造を備える。この締結構造の詳細については後述する。
シャワープレート22は、具体的には、締結ネジ24によって、拡散室23aを構成する金属窓本体23の凹部の外側の領域における下面に締結されている。より具体的には、シャワープレート22は、締結ネジ24によって、金属窓本体23の上記下面における後述のOリング25とスパイラルリング26との間の領域に締結されている。
シャワープレート22は、具体的には、締結ネジ24によって、拡散室23aを構成する金属窓本体23の凹部の外側の領域における下面に締結されている。より具体的には、シャワープレート22は、締結ネジ24によって、金属窓本体23の上記下面における後述のOリング25とスパイラルリング26との間の領域に締結されている。
また、シャワープレート22の周縁部と金属窓本体23の周縁部との間には、拡散室23aを密封するためのOリング25が設けられ、シャワープレート22と金属窓本体23とを電気的に接続するためのスパイラルリング26がOリング25の外側に設けられている。
これらの構成を備えた部分窓21は、保持部(図示せず)を介して処理空間S1の天井面側に保持されている。
図1に示すように、各部分窓21の拡散室23aは、ガス供給管60を介して処理ガス供給部61に接続されている。処理ガス供給部61は、流量調整弁(図示せず)や開閉弁(図示せず)等を備え、成膜処理、エッチング処理、アッシング処理等に必要な処理ガスを拡散室23aに供給する。なお、図示の便宜上、図1には、1つの部分窓21に処理ガス供給部61が接続された状態を示してあるが、実際には各部分窓21の拡散室23aに処理ガス供給部61が接続される。
さらに、図1及び図3に示すように、各部分窓21の金属窓本体23内には、温度調節用の温調流体を通流させる温調流路23bが形成されている。この温調流路23bは、温調流体供給部(図示せず)に接続されている。温調流体供給部は、開閉弁やポンプ等を備え、温調流体を温調流路23bに供給する。この温調流体によって、金属窓本体23を介して、シャワープレート22の温度調節が行われる。具体的には、金属窓本体23に設けられた温度センサ(図示せず)の温度検出結果に基づき上記温調流体供給部から供給される温調流体によって、シャワープレート22が予め設定された温度となるように、温度調節が行われる。なお、温度センサを用いず、基板Gの処理結果に応じて温調流体供給部の設定温度を変更するようにしてもよい。
各シャワープレート22及び各金属窓本体23は、非磁性体で導電性の材料、例えばアルミニウムにより構成される。また、シャワープレート22の処理空間S1側の面である下面と、シャワープレート22及び金属窓本体23の拡散室23aを形成する面と、シャワープレート22のガス吐出孔22aの内周面とは、処理ガス等に腐食性ガスを用いる場合、耐腐食性を向上させるため、陽極酸化処理等の耐腐食性コーティングが施される。さらに、シャワープレート22の下面は、耐プラズマ性を向上させるため、酸化イットリウム等のセラミックで被覆する処理等の耐プラズマコーティングが施されている。なお、シャワープレート22の周縁部上面及び金属窓本体23の周縁部下面におけるOリング25より外側の領域は、耐腐食性コーティングが施されていない。シャワープレート22と金属窓本体23とを電気的に接続し、金属窓本体23を介してシャワープレート22の温度調節を行うため、である。
また、部分窓21は、絶縁部材27によって金属枠14から電気的に絶縁されると共に、隣り合う部分窓21同士も絶縁部材27によって互いに電気的に絶縁されている。
絶縁部材27には、当該絶縁部材27を保護するため、当該絶縁部材27の処理空間S1側の面を覆う絶縁部材カバー28が設けられている。絶縁部材カバー28は、図2に示すように、例えば複数の部分カバー28aに分割されている。
絶縁部材27には、当該絶縁部材27を保護するため、当該絶縁部材27の処理空間S1側の面を覆う絶縁部材カバー28が設けられている。絶縁部材カバー28は、図2に示すように、例えば複数の部分カバー28aに分割されている。
また、図3に示すように、絶縁部材カバー28は、締結ネジ24が処理空間S1に露出するのを防ぐため、当該締結ネジ24の処理空間S1側を覆っている。具体的には、絶縁部材カバー28は、締結ネジ24のネジ頭が収まるザクリ部を塞いでいる。
さらに、図1に示すように、金属窓20の上方側には天板部70が配置されている。天板部70は、金属枠14上に設けられた側壁部71によって支持されている。
上述の金属窓20、側壁部71及び天板部70にて囲まれた空間はアンテナ室S2を構成し、アンテナ室S2の内部には、部分窓21に面するように高周波アンテナ80が配置されている。
高周波アンテナ80は、例えば、絶縁材料から形成されるスペーサ(図示せず)を介して部分窓21から離間して配置される。高周波アンテナ80は、各部分窓21に対応する面に沿い、矩形状の金属窓20の周方向に沿って周回するように、例えば渦巻状に、同心状に複数形成され多環状のアンテナを構成する。
各高周波アンテナ80には、整合器42を介して高周波電源43が接続されている。各高周波アンテナ80には、高周波電源43から整合器42を介して、例えば13.56MHzの高周波電力が供給される。これにより、プラズマ処理の間、部分窓21それぞれの表面に渦電流が誘起され、この渦電流によって処理空間S1の内部に誘導電界が形成される。ガス吐出孔22aから吐出された処理ガスは、誘導電界によって処理空間S1の内部においてプラズマ化される。
さらに、図1に示すように、プラズマ処理装置1には制御部Uが設けられている。制御部Uは、例えばCPUやメモリ等を備えたコンピュータであり、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、プラズマ処理装置1における基板Gの処理を制御するプログラムが格納されている。上述のプログラムは、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、当該記憶媒体から制御部Uにインストールされたものであってもよい。プログラムの一部または全ては専用ハードウェア(回路基板)で実現してもよい。
<締結構造K>
前述のように、従来のプラズマ処理装置では、シャワープレートと金属窓本体とを締結ネジにより締結する場合、基板処理(具体的にはプラズマ処理)を重ねること等によって、締結ネジが緩むことがある。そこで、本実施形態にかかるプラズマ処理装置1では、締結ネジ24の緩みを生じさせないようにするため、以下の締結構造Kを備える。
前述のように、従来のプラズマ処理装置では、シャワープレートと金属窓本体とを締結ネジにより締結する場合、基板処理(具体的にはプラズマ処理)を重ねること等によって、締結ネジが緩むことがある。そこで、本実施形態にかかるプラズマ処理装置1では、締結ネジ24の緩みを生じさせないようにするため、以下の締結構造Kを備える。
図4は、プラズマ処理装置1が備える締結構造Kの構成の概略を示す縦断面図であり、図3を上下反転させ部分的に拡大したものに相当する。
図4の締結構造Kは、金属窓本体23に設けられた雌ネジ部100と、シャワープレート22に設けられた貫通孔110及びザグリ部111と、締結ネジ24と、平座金120とを備える。
雌ネジ部100は、例えば、金属窓本体23に埋設された、雌ネジを有するインサート101により構成される。インサート101は、例えば、菱形断面の線材を巻いたコイル状の部材である。
雌ネジ部100は例えば以下のようにして形成される。すなわち、金属窓本体23のシャワープレート22側に形成された下穴をタップ加工し、上記コイル状の部材であるインサート101を螺入することで、雌ネジ部100は形成される。
インサート101の材料には、金属窓本体23の材料より剛性が高い材料が用いられる。金属窓本体23の材料にアルミニウムが用いられた場合、インサート101の材料には例えばステンレスが用いられる。
雌ネジ部100は例えば以下のようにして形成される。すなわち、金属窓本体23のシャワープレート22側に形成された下穴をタップ加工し、上記コイル状の部材であるインサート101を螺入することで、雌ネジ部100は形成される。
インサート101の材料には、金属窓本体23の材料より剛性が高い材料が用いられる。金属窓本体23の材料にアルミニウムが用いられた場合、インサート101の材料には例えばステンレスが用いられる。
貫通孔110は、シャワープレート22の金属窓本体23側における、雌ネジ部100に対応する位置に形成されている。
ザグリ部111は、貫通孔110に連続するようにシャワープレート22に形成されている。具体的には、ザグリ部111は、シャワープレート22の金属窓本体23と反対側の面から、貫通孔110の貫通方向に凹み、当該貫通孔110の金属窓本体23とは反対側に連続するように、形成されている。
締結ネジ24は、貫通孔110に挿通されて雌ネジ部100に螺合する雄ネジ部24aと、該雄ネジ部24aの基端部に連続するネジ頭部24bとを有する。貫通孔110の直径は、この締結ネジ24の雄ネジ部24aのみ当該貫通孔110に挿入できネジ頭部24bは挿入できないように設定されている。また、ザグリ部111の直径は締結ネジ24の雄ネジ部24aだけでなくネジ頭部24bも挿入できるように設定されている。雄ネジ部24aの直径は例えば3~7mm、ネジ頭部24bの直径は例えば6~15mmである。
平座金120は、シャワープレート22のザグリ部111に嵌合され、締結ネジ24の雄ネジ部24aが挿通される。具体的には、平座金120は、締結ネジ24の雄ネジ部24aのみが挿通可能な孔を中央に有し、平座金120がザグリ部111に嵌合する外径を有している。
平座金120は、上述のように、シャワープレート22のザグリ部111に嵌合されている。そのため、シャワープレート22の貫通孔110及びザグリ部111が金属窓本体23の雌ネジ部100に対して相対的に移動した場合、平座金120は、ザグリ部111等と共に雌ネジ部100に対して相対的に移動する。この時、ネジ頭部24bと平座金120との間の摩擦力が大きい場合、摩擦力がトルクとなってネジ頭部24bに回転方向の力を与えることがあり、これにより、締結ネジ24が緩む可能性がある。なお、この平座金120の相対的な移動時に、当該平座金120と締結ネジ24の雄ネジ部24aとが衝突しないよう、平座金120の中央の、上記雄ネジ部24aが挿通可能な孔の径は設定されている。
そして、締結構造Kでは、ネジ頭部24bの平座金120に対向する第1の面24cと、平座金120のネジ頭部24bに対向する第2の面120aのいずれか一方もしくは両方が潤滑材料により被覆されている。つまり、上記第1の面24c及び第2の面120aのいずれか一方もしくは両方に対し、潤滑材料による被覆が施されている。これにより、平座金120と締結ネジ24との間に働く摩擦力を低減することができる。
潤滑材料による被覆とは、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)含有無電解ニッケルメッキによる被覆である。
なお、締結構造Kでは、平座金120及び貫通孔110を介して締結ネジ24の雄ネジ部24aを雌ネジ部100に螺入させ、締結ネジ24の締め付けを行うと、締結ネジ24によってシャワープレート22を金属窓本体23に締結することができる。
<締結構造Kの作用>
続いて、プラズマ処理装置1における締結構造Kの作用について説明する。
プラズマ処理装置1において、シャワープレート22は、処理ガスのプラズマからの入熱があり、また、温度調節されているものの、その温度調節は金属窓本体23を介したものであるためプラズマ処理中に高温となり膨張する。それに対し、金属窓本体23は、処理ガスのプラズマからの直接的な入熱がなく、また、温調流路23bにより直接温度調節されること等から、プラズマ処理中にほとんど温度が変わらず膨張しない。したがって、金属窓本体23の雌ネジ部100と、シャワープレート22の貫通孔110及びザグリ部111と、の相対的な位置は、プラズマ処理時と、プラズマ処理以外の時とで異なる。言い換えると、プラズマ処理中に、貫通孔110及びザグリ部111が、雌ネジ部100に対して相対的に移動し、雌ネジ部100に取り付けられた締結ネジ24に対しても相対的に移動する。
続いて、プラズマ処理装置1における締結構造Kの作用について説明する。
プラズマ処理装置1において、シャワープレート22は、処理ガスのプラズマからの入熱があり、また、温度調節されているものの、その温度調節は金属窓本体23を介したものであるためプラズマ処理中に高温となり膨張する。それに対し、金属窓本体23は、処理ガスのプラズマからの直接的な入熱がなく、また、温調流路23bにより直接温度調節されること等から、プラズマ処理中にほとんど温度が変わらず膨張しない。したがって、金属窓本体23の雌ネジ部100と、シャワープレート22の貫通孔110及びザグリ部111と、の相対的な位置は、プラズマ処理時と、プラズマ処理以外の時とで異なる。言い換えると、プラズマ処理中に、貫通孔110及びザグリ部111が、雌ネジ部100に対して相対的に移動し、雌ネジ部100に取り付けられた締結ネジ24に対しても相対的に移動する。
締結構造Kと異なり、ザグリ部111に嵌合されるよりも小さな外径を有する平座金である場合、すなわち、ザグリ部111の内部において移動可能な平座金である場合、貫通孔110及びザグリ部111が締結ネジ24に対して相対的に移動したときに、平座金は締結ネジ24に対して十分には相対的に移動しない。そのため、平座金が締結ネジ24に対してもザグリ部111に対しても相対的に移動し、締結ネジ24、金属窓本体23及び平座金間の締結力のかかり方がより大きく変わる可能性があり、平座金の移動に伴う締結力の変化によって締結ネジ24が緩む可能性がある。
それに対し、締結構造Kでは、前述のように、平座金120がザグリ部111に嵌合されているため、貫通孔110及びザグリ部111が締結ネジ24に対して相対的に移動したときに、平座金120がザグリ部111と共に締結ネジ24に対して相対的に移動する。そのため、平座金120はザグリ部111内に固定されて相互間の力のかかり方が変わることは無く、締結ネジ24のネジ頭部24bは平座金120の安定した面上を移動するため相互間の力のかかり方の変化も少ない。したがって、平座金120の移動に伴う締結力の変化によって締結ネジ24が緩む可能性が低い。
さらに、締結構造Kでは、締結ネジ24の第1の面24cと平座金120の第2の面120aのいずれか一方もしくは両方が潤滑材料により被覆されている。そのため、平座金120が締結ネジ24に対して相対的に移動したときに、つまり、平座金120がネジ頭部24bの第1の面24c上を摺動したときに、平座金120と締結ネジ24のネジ頭部24bとの間に作用する摩擦力が小さい。したがって、この摩擦力により締結ネジ24が緩むことがない。
よって、締結構造Kによれば、締結ネジ24の緩みを生じさせないようにすることができる。
<基板処理>
次に、プラズマ処理装置1における基板処理について説明する。
まず、ゲートバルブ12が開かれ、基板Gが、搬入出口11を介して処理空間S1内に搬入され、基板支持部30上に載置される。その後、ゲートバルブ12が閉じられる。
次に、プラズマ処理装置1における基板処理について説明する。
まず、ゲートバルブ12が開かれ、基板Gが、搬入出口11を介して処理空間S1内に搬入され、基板支持部30上に載置される。その後、ゲートバルブ12が閉じられる。
続いて、処理ガス供給部61から、各部分窓21の拡散室23aを介して処理空間S1内に処理ガスが供給される。また、排気部50による処理空間S1の排気が行われ、処理空間S1内が所望の圧力に調節される。
次いで、高周波電源43から高周波アンテナ80に高周波電力が供給され、これにより金属窓20を介して処理空間S1内に誘導電界が生じる。その結果、誘導電界により、処理空間S1内の処理ガスがプラズマ化し、高密度の誘導結合プラズマが生成される。そして、高周波電源41から基板支持部30の本体部31に供給されたバイアス用の高周波電力により、プラズマ中のイオンが基板Gに引き込まれ、基板Gに対しプラズマ処理が行われる。
プラズマ処理の終了後、高周波電源41、43からの電力供給、処理ガス供給部61からの処理ガス供給が停止され、搬入時とは逆の順序で基板Gが搬出される。
これにより一連の基板処理が終了する。
これにより一連の基板処理が終了する。
上記一連の基板処理の間は、プラズマ処理中も含め、各部分窓21のシャワープレート22は、温調流路23bに供給される温調流体によって、温度の調節が行われている。しかし、シャワープレート22は、プラズマ処理中、プラズマからの入熱があること等から高温となり膨張する。そのため、シャワープレート22の貫通孔110及びザグリ部111が締結ネジ24に対して相対的に移動する。ただ、プラズマ処理装置1では、平座金120がザグリ部111に嵌合されており、また、締結ネジ24の第1の面24cと平座金120の第2の面120aのいずれか一方もしくは両方が潤滑材料により被覆されている。そのため、上述の相対的な移動により、平座金120と締結ネジ24のネジ頭部24bとの間に大きな摩擦力が加わることがないので、締結ネジ24が緩むことがない。
以上のように、本実施形態によれば、プラズマ処理装置1を構成するシャワープレート22と金属窓本体23とを締結ネジ24により締結する締結構造において、締結ネジ24の緩みを生じさせないようにすることができる。
締結ネジ24が緩むと、例えばOリング25による拡散室23aの密閉性が低下し、シャワープレート22の周縁部と金属窓本体23の周縁部との間に、処理ガスが到達してしまう場合がある。この場合、シャワープレート22の周縁部や金属窓本体23の周縁部には、前述のように耐腐食性コーティングが施されていない領域があるため、処理ガスやクリーニングガスに腐食性ガスを用いていると、当該領域が腐食する。その結果、基板G上に形成される電子デバイスにおける欠陥の原因となるパーティクルが発生したり、シャワープレート22と金属窓本体23との電気的導通及び両部材間での熱伝達が損なわれてしまったりする。シャワープレート22と金属窓本体23との間の熱伝達が損なわれると、金属窓20を構成する複数の部分窓21のみ温度が高くなり、金属窓20の面内で温度の偏りが生じる。その結果、処理ガスのプラズマにも偏りが生じ、所望のプラズマ処理を行うことができなくなることがある。
また、拡散室23aの密閉性が低下すると、スパイラルリング26が腐食し、その結果、パーティクルの発生等が起こってしまう。
また、拡散室23aの密閉性が低下すると、スパイラルリング26が腐食し、その結果、パーティクルの発生等が起こってしまう。
本実施形態によれば、締結ネジ24の緩みが生じないため、拡散室23aの密閉性が低下することがないため、上述のようなパーティクルの発生を防ぐことができ、また、シャワープレート22と金属窓本体23との電気的導通及び両部材間での熱伝達が損なわれるのを防ぐことができる。
<変形例>
以上の例では、締結ネジ24の第1の面24cと平座金120の第2の面120aのいずれか一方もしくは両方が潤滑材料により被覆されていた。潤滑材料による被覆部分は、これに限られず、例えば、締結ネジ24の全体及び平座金120の全体のいずれか一方もしくは両方であってもよい。つまり、締結構造Kでは、少なくとも、締結ネジ24の第1の面24cと平座金120の第2の面120aのいずれか一方もしくは両方が潤滑材料により被覆されていればよい。
以上の例では、締結ネジ24の第1の面24cと平座金120の第2の面120aのいずれか一方もしくは両方が潤滑材料により被覆されていた。潤滑材料による被覆部分は、これに限られず、例えば、締結ネジ24の全体及び平座金120の全体のいずれか一方もしくは両方であってもよい。つまり、締結構造Kでは、少なくとも、締結ネジ24の第1の面24cと平座金120の第2の面120aのいずれか一方もしくは両方が潤滑材料により被覆されていればよい。
また、締結ネジ24の第1の面24cと平座金120の第2の面120aのいずれか一方もしくは両方に加えて、締結ネジ24の雄ネジ部24aを潤滑材料により被覆することで以下の効果がある。すなわち、雄ネジ部24aと雌ネジ部100との間の摩擦力が低下するため、締め付けトルクのうち摩擦力に対抗する力は少なくて済み、同じ締め付けトルクで締結ネジ24の締め付けを行ったとしても、より確実に、シャワープレート22と金属窓本体23とを締結することができる。その結果、締結ネジ24の金属窓本体23に対する締結力の不足に起因して締結ネジ24が緩むのを防ぐことができる。
図5~図7は、締結構造の他の例を示す縦断面図である。
図5の締結構造K1では、ロック機能(すなわち緩み止め機能)を有するインサート200により雌ネジ部100が構成されている。インサート200は、例えば、菱形断面の線材を巻いたコイル状の部材であって中央部分が多角形状に巻かれた部材である。多角形状に曲かれた線材は、締結ネジ24の雄ネジ部24aが螺入されていくと広がり、この広がりの反発力で雄ネジ部24aを締め付けることにより、締結ネジ24の緩みを抑制することができる。
また、インサート200を用いる場合、締結ネジ24の雄ネジ部24aも潤滑材料により被覆しておくとよい。これにより、雄ネジ部24aの螺入時における、当該雄ネジ部24aの焼き付けを防止することができる。
図5の締結構造K1では、ロック機能(すなわち緩み止め機能)を有するインサート200により雌ネジ部100が構成されている。インサート200は、例えば、菱形断面の線材を巻いたコイル状の部材であって中央部分が多角形状に巻かれた部材である。多角形状に曲かれた線材は、締結ネジ24の雄ネジ部24aが螺入されていくと広がり、この広がりの反発力で雄ネジ部24aを締め付けることにより、締結ネジ24の緩みを抑制することができる。
また、インサート200を用いる場合、締結ネジ24の雄ネジ部24aも潤滑材料により被覆しておくとよい。これにより、雄ネジ部24aの螺入時における、当該雄ネジ部24aの焼き付けを防止することができる。
図6の締結構造K2では、締結ネジ210は、フランジボルトであり、そのネジ頭部211が、雄ネジ部24a側端にフランジ212を有する。そのため、締結構造K2では、締結ネジ210の第1の面211aと平座金120の第2の面120aとの接触面積が大きいので、当該第1の面211a及び第2の面120aに加わる圧力を分散させること、すなわち、当該第1の面211a及び第2の面120aに加わる単位面積あたりの圧力を低減させることができる。その結果、局所的に高い圧力がかかることより締結ネジ24及び平座金120に極度のストレスがかかって破損や変形することを抑制し、ネジの着脱時に変形により回転しなくなることを防ぐことができる。
図7の締結構造K3は、平座金部131と側壁部(側壁部材)132から成るボルトカバー130が用いられていること以外は図6の締結構造K2と同様であり、締結ネジ210にはフランジボルトが用いられている。
側壁部132は筒状であり、平座金部131の周縁端の上部、すなわち、締結ネジ210が挿入される側に接合され設けられる。側壁部132の内径は、締結ネジ210のフランジ212の外径よりも大きく、側壁部132の外径は、ザグリ部111の内径よりも小さい。
平座金部131は、周縁端に側壁部132が接合されることを除けば、図6の締結構造K2の平座金120と同じである。つまり、図6の締結構造K2の平座金120が、平座金部131として、当該平座金120の周縁部に接合された側壁部132と共に、ボルトカバー130を構成している。
平座金部131は、周縁端に側壁部132が接合されることを除けば、図6の締結構造K2の平座金120と同じである。つまり、図6の締結構造K2の平座金120が、平座金部131として、当該平座金120の周縁部に接合された側壁部132と共に、ボルトカバー130を構成している。
ボルトカバー130には、側壁部132と平座金部131とにより、平座金部131の厚み方向に凹む凹所140が形成される。ボルトカバー130が締結ネジ210に取り付けられ雄ネジ部24aが平座金部131に挿通された状態において、上記凹所140に、締結ネジ210のネジ頭部211が収まる。
側壁部132の内側すなわち凹所140の内側には、脱落防止リング(脱落防止部材)133が配置されている。脱落防止リング133が締結ネジ210のフランジ212に引っかかる(すなわち係合する)ことにより、締結ネジ210に取り付けられたボルトカバー130が締結ネジ210から脱落することを防ぐ。このことにより、締結ネジ210による締結作業を行う際の作業効率を向上させることができる。
なお、脱落防止リング133は、例えば、縮んだ状態で凹所140内に配置され、縮むことにより生ずる弾性力により、凹所140内で側壁部132に対し固定される。また、脱落防止リング133は、例えば、その内径がネジ頭部211の外径より大きくフランジ212の外径より小さい弾性を有する部材であり、例えば、金属材料から成る、平面視C字状の部材であるCリング等を用いることができる。
側壁部132は、平座金部131と接合する接合端部と、接合端部と反対側において開放された開放端部とを有する。側壁部132の、接合端部と開放端部の間の内壁には、脱落防止リング133が配置される段差が設けられている。側壁部132の内径は、段差から接合端部側よりも開放端部側で小さくなっており、脱落防止リング133が開放端部から抜け出ることを防いでいる。脱落防止リング133は、ボルトカバー130に締結ネジ210を挿入後、ボルトカバー130の上部、すなわち側壁部132の開放端部から嵌め込まれる。なお、脱落防止リング133が抜け出ることを防ぐことができれば、段差に限らず、他の構造を用いてもよい。
以上では、締結される部材同士の膨張度合いに差が生じる過程を例に説明を行ったが、締結される部材同士の収縮度合いに差が生じる過程(具体的には、例えばプラズマ処理後、シャワープレート22がプラズマ処理前の温度に戻る過程)でも、本開示にかかる技術によれば、締結ネジの緩みが生じるのを防ぐことができる。
また、以上の例では、プラズマ処理の処理対象の基板はガラス基板であったが、半導体ウェハ等の他の基板であってもよい。
以上の例では、プラズマ処理装置1を構成するシャワープレート22と金属窓本体23との締結構造に本開示にかかる技術を用いていたが、本開示にかかる技術は、プラズマ処理装置1における締結ネジを用いた他の締結構造にも適用することができる。また、本開示にかかる技術は、プラズマ処理装置以外の基板処理装置における、締結ネジを用いる構造に適用することができる。
<確認試験>
本発明者らは、本開示にかかる締結構造による締結ネジの緩み抑制効果を確認する試験を行った。
この確認試験では、金属窓本体23の拡散室23aを形成する凹部と同様の凹部を下面側に有する平面視矩形状の板材(以下、金属窓本体模擬材)を固定し、金属窓本体模擬材の下面に対し、平面視の寸法が当該金属窓本体模擬材と同等の板状部材(以下、シャワープレート模擬材)を締結ネジにより締結させた。そして、シャワープレート模擬材の長辺部それぞれに沿って複数のエアシリンダを設け、これらエアシリンダにより、シャワープレート模擬材を当該シャワープレート模擬材の短辺方向に水平に100回振動させた後、締結ネジの緩み角度を測定した。
なお、金属窓本体模擬材及びシャワープレート模擬材の平面視における寸法は約150mm×約400mmであり、エアシリンダによるシャワープレート模擬材の振幅は約0.5mmとした。また、金属窓本体模擬材及びシャワープレート模擬材の材料にはアルミニウムを用い、シャワープレート模擬材の四隅及び各長辺部の中央の計6か所に対し、締結ネジを用いた。締結ネジの雄ネジ部の直径は5mm、ネジ頭部の直径は8mm(フランジを有する場合におけるフランジ部分の直径は10mm)とした。
本発明者らは、本開示にかかる締結構造による締結ネジの緩み抑制効果を確認する試験を行った。
この確認試験では、金属窓本体23の拡散室23aを形成する凹部と同様の凹部を下面側に有する平面視矩形状の板材(以下、金属窓本体模擬材)を固定し、金属窓本体模擬材の下面に対し、平面視の寸法が当該金属窓本体模擬材と同等の板状部材(以下、シャワープレート模擬材)を締結ネジにより締結させた。そして、シャワープレート模擬材の長辺部それぞれに沿って複数のエアシリンダを設け、これらエアシリンダにより、シャワープレート模擬材を当該シャワープレート模擬材の短辺方向に水平に100回振動させた後、締結ネジの緩み角度を測定した。
なお、金属窓本体模擬材及びシャワープレート模擬材の平面視における寸法は約150mm×約400mmであり、エアシリンダによるシャワープレート模擬材の振幅は約0.5mmとした。また、金属窓本体模擬材及びシャワープレート模擬材の材料にはアルミニウムを用い、シャワープレート模擬材の四隅及び各長辺部の中央の計6か所に対し、締結ネジを用いた。締結ネジの雄ネジ部の直径は5mm、ネジ頭部の直径は8mm(フランジを有する場合におけるフランジ部分の直径は10mm)とした。
試験例では、図6の締結構造K2と同様の締結構造を採用した。つまり、締結ネジとしてフランジボルトを用い、インサートとしてロック機能(すなわち緩み止め機能)を有するものを用いた。また、締結ネジ及び平座金としては、ステンレスを材料としたものを用い、PTFE含有無電解ニッケルメッキを全体に施した。
比較例1の締結構造は、図4の締結構造Kに似た締結構造を採用した。ただし、比較例1の締結構造では、締結ネジ及び平座金のいずれの部分も潤滑材料で被覆されておらず、また、平座金は試験例に比べ小さくザグリ部に嵌合されていなかった。言い換えると、比較例1の締結構造は従来の締結構造とした。
また、比較例2の締結構造は、図5の締結構造Kに似た締結構造を採用した。ただし、比較例2の締結構造では、締結ネジ及び平座金のいずれの部分も潤滑材料で被覆されておらず、また、平座金は試験例に比べ小さくザグリ部に嵌合されていなかった。言い換えると、比較例2の締結構造は、従来の締結構造である比較例1の締結構造のインサートを、ロック機能を有するインサートに代えたものである。
図8~図10はそれぞれ、比較例1、比較例2、試験例における、6箇所の締結ネジのそれぞれの緩み角を示す図である。
従来の締結構造を用いた比較例1では、図8に示すように、6個の締結ネジのうち、5個が90°以上緩んでおり、残りの1個も45°緩んでいた。つまり、従来の締結構造では、大きな締結ネジの緩みが生じる。
また、比較例2では、図9に示すように、比較例1に比べれば、締結ネジの緩み度合いは低減するものの、6個の締結ネジのうち、5個が30°以上緩んでいた。つまり、従来の締結構造におけるインサートを、ロック機能を有するインサートに代えただけでは、締結ネジの緩みを充分に抑制することができない。
それに対し試験例では、図10に示すように、6個の締結ネジのうち、5個は全く緩んでおらず、残りの1個も緩み角は15°と小さい。このように、本開示にかかる締結構造によれば、締結ネジの緩みを抑制することができる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の請求の範囲及びその主旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
1 プラズマ処理装置
22 シャワープレート
23 金属窓本体
24、210 締結ネジ
24a 雄ネジ部
24b、211 ネジ頭部
24c、211a 第1の面
100 雌ネジ部
110 貫通孔
111 ザグリ部
120 平座金
120a 第2の面
G ガラス基板
K、K1、K2、K3 締結構造
22 シャワープレート
23 金属窓本体
24、210 締結ネジ
24a 雄ネジ部
24b、211 ネジ頭部
24c、211a 第1の面
100 雌ネジ部
110 貫通孔
111 ザグリ部
120 平座金
120a 第2の面
G ガラス基板
K、K1、K2、K3 締結構造
Claims (11)
- 基板処理装置を構成する第1の部材と第2の部材とを締結する締結構造であって、
前記第1の部材は雌ネジ部を有し、
前記第2の部材は、前記雌ネジ部に対応する貫通孔と、該貫通孔に連続し前記貫通孔よりも大きな径を有するザグリ部とを有し、
前記貫通孔に挿通されて前記雌ネジ部に螺合する雄ネジ部と、該雄ネジ部の端部に連続するネジ頭部とを有する締結ネジと、
前記ザグリ部に嵌合され、前記雄ネジ部が挿通される平座金と、を備え、
少なくとも、前記ネジ頭部の前記平座金に対向する第1の面と、前記平座金の前記ネジ頭部に対向する第2の面のいずれか一方若しくは両方が潤滑材料により被覆されている、締結構造。 - 前記雌ネジ部と前記貫通孔及び前記ザグリ部との相対的な位置は、前記基板処理装置による基板処理時と、当該基板処理時以外の時とで異なる、請求項1に記載の締結構造。
- 前記締結ネジは、前記ネジ頭部が前記雄ネジ部側端にフランジを有する、請求項1または2に記載の締結構造。
- 前記平座金は、平座金部として、前記平座金の周縁部に接合された筒状の側壁部材と共にボルトカバーを構成し、前記側壁部材の内壁部に脱落防止部材が配置され、前記脱落防止部材が前記フランジに係合することにより前記ボルトカバーが前記締結ネジから脱落することを防止する、請求項3に記載の締結構造。
- 前記潤滑材料による被覆は、ポリテトラフルオロエチレン含有無電解ニッケルメッキである、請求項1~4のいずれか1項に記載の締結構造。
- 基板に対しプラズマ処理を行うプラズマ処理装置であって、
該プラズマ処理装置の構成部材であって互いに締結される第1の部材と第2の部材と、を備え、
前記第1の部材は雌ネジ部を有し、
前記第2の部材は、前記雌ネジ部に対応する貫通孔と、該貫通孔に連続し前記貫通孔よりも大きな径を有するザグリ部とを有し、
前記貫通孔に挿通されて前記雌ネジ部に螺合する雄ネジ部と、該雄ネジ部の端部に連続するネジ頭部とを有する締結ネジと、
前記ザグリ部に嵌合され、前記雄ネジ部が挿通される平座金と、をさらに備え、
少なくとも、前記ネジ頭部の前記平座金に対向する第1の面と、前記平座金の前記ネジ頭部に対向する第2の面のいずれか一方若しくは両方が潤滑材料により被覆されている、プラズマ処理装置。 - プラズマ処理の処理対象の基板が位置する処理空間に処理ガスを供給するシャワーヘッドを備え、
該シャワーヘッドはベース部材とシャワープレートとで構成され、前記第1の部材は前記ベース部材であり、前記第2の部材は前記シャワープレートである、請求項6に記載のプラズマ処理装置。 - 前記締結ネジは、前記ネジ頭部が前記第1の面の側にフランジを有する、請求項6または7に記載のプラズマ処理装置。
- 前記平座金は、平座金部として、前記平座金の周縁部に接合された筒状の側壁部材と共にボルトカバーを構成し、前記側壁部材の内壁部に脱落防止部材が配置され、前記脱落防止部材が前記フランジに係合することにより前記ボルトカバーが前記締結ネジから脱落することを防止する、請求項8に記載のプラズマ処理装置。
- 前記潤滑材料による被覆は、ポリテトラフルオロエチレン含有無電解ニッケルメッキである、請求項6~9のいずれか1項に記載のプラズマ処理装置。
- 基板処理装置を構成する第1の部材と第2の部材とを締結する締結方法であって、
前記第1の部材は雌ネジ部を有し、
前記第2の部材は、前記雌ネジ部に対応する貫通孔と、該貫通孔に連続し前記貫通孔よりも大きな径を有するザグリ部とを有し、
平座金を、前記ザグリ部に嵌合するように当該ザグリ部内に配置する工程と、
ネジ頭部を有する締結ネジの前記ネジ頭部から連続する雄ネジ部を、前記ザグリ部内の平座金及び前記貫通孔を挿通させて前記雌ネジ部に螺合させる工程と、を含み、
少なくとも、前記ネジ頭部の前記平座金に対向する第1の面と、前記平座金の前記ネジ頭部に対向する第2の面のいずれか一方若しくは両方が潤滑材料により被覆されている、締結方法。
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