JP2022062923A - 内視鏡牽引クリップ、内視鏡処置具及び内視鏡牽引クリップの製造方法 - Google Patents

内視鏡牽引クリップ、内視鏡処置具及び内視鏡牽引クリップの製造方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2022062923000001
【課題】生体組織の切除時において術者の視野を十分に確保することが可能な内視鏡牽引クリップ、内視鏡処置具及び内視鏡牽引クリップの製造方法を提供する。
【解決手段】内視鏡牽引クリップ10は、内視鏡処置具の処置具本体の先端部に着脱自在に装着され、処置具本体の先端部から突出した状態で病変部の対側粘膜を把持するクリップ本体11と、クリップ本体11に支持され、クリップ本体11が病変部の対側粘膜を把持した状態で病変部に取り付けられると、病変部の対側粘膜に向かって病変部を牽引する複数の紐状ループ12と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、内視鏡牽引クリップ、内視鏡処置具及び内視鏡牽引クリップの製造方法に関する。
粘膜と筋層との間にある粘膜下層に薬剤を注入し、粘膜にある病変部を浮かせた状態とし、病変部を高周波ナイフで切除する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が知られている。ESDには、低侵襲性で患者の負担が軽いという利点がある。しかし、術中に切除した病変部が切除対象の粘膜下層に覆い被さることで、術者の視野が遮られることによる切除困難な状態が発生するといった問題点がある。そこで、例えば、特許文献1で開示されているような病変部を粘膜下層から持ち上げる内視鏡牽引クリップが用いられることがある。
特開2019-154978号公報
特許文献1の内視鏡牽引クリップでは、一方のクリップで病変部を把持し、他方のクリップで病変部に対向する対向部位を把持することで、牽引バネが病変部を対向部位に向かって一方向に牽引する。このため、病変部が大きく広がっている場合などには、切除した病変部のうち対向部位に向かって牽引できない部分が粘膜下層に覆い被さってしまい、術者の視野を十分に確保できないという問題がある。このような問題は、粘膜下層を切除する場合のみならず、生体組織の他の部位を切除する場合にも存在している。
本発明は、このような背景に基づいてなされたものであり、生体組織の切除時において術者の視野を十分に確保することが可能な内視鏡牽引クリップ、内視鏡処置具及び内視鏡牽引クリップの製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の第1の観点に係る内視鏡牽引クリップは、
内視鏡処置具の処置具本体の先端部に着脱自在に装着され、前記処置具本体の先端部から突出した状態で生体組織の第1の部分を把持するクリップ本体と、
前記クリップ本体に支持され、前記クリップ本体が生体組織の第1の部分を把持した状態で生体組織の第2の部分に取り付けられると、生体組織の第1の部分に向けて生体組織の第2の部分を牽引する複数の牽引手段と、
を備える。
前記牽引手段は、紐状部材をループ状に形成した紐状ループであってもよい。
前記牽引手段は、伸縮性のある紐状部材で形成されてもよい。
前記牽引手段は、高周波ナイフで切断可能に形成されてもよい。
前記クリップ本体は、生体組織の第1の部分を両側から挟み込むように把持するアーム部材と、前記アーム部材を内部に収容し、前記アーム部材が先端側から基端側に移動すると、前記アーム部材が開いた状態から閉じた状態に変形するように前記アーム部材を締め付ける締め付け部材と、を備え、
前記牽引手段は、前記アーム部材に取り付けられていてもよい。
上記目的を達成するために、本発明の第2の観点に係る内視鏡処置具は、
内視鏡挿入部のチャンネルに挿通される内視鏡処置具であって、
前記内視鏡牽引クリップと、
前記内視鏡牽引クリップの前記クリップ本体が先端部において着脱自在に装着された処置具本体と、
を備える。
上記目的を達成するために、本発明の第3の観点に係る内視鏡牽引クリップの製造方法は、
一対の腕部を有するアーム部材と、前記アーム部材を内部に引き入れることで前記一対の腕部が閉じる方向に締め付け可能な締め付け部材と、を備えるクリップ本体を準備する工程と、
前記クリップ本体の前記一対の腕部の少なくとも一方に紐状ループを結び付ける工程と、
を含む。
本発明によれば、生体組織の切除時において術者の視野を十分に確保することが可能な内視鏡牽引クリップ、内視鏡処置具及び内視鏡牽引クリップの製造方法を提供できる。
本発明の実施の形態に係る内視鏡牽引クリップの構成を示す図である。 (a)は、本発明の実施の形態に係る開状態にあるクリップ本体の構成を示す断面図であり、(b)は、本発明の実施の形態に係る閉状態にあるクリップ本体の構成を示す断面図である。 本発明の実施の形態に係るアーム部材と紐状ループとの関係を示す拡大図である。 本発明の実施の形態に係る内視鏡処置具の構成を示す図である。 (a)~(c)は、いずれも本発明の実施の形態に係る内視鏡牽引クリップを用いて術者が実施するESDの手順を示す図である。 本発明の変形例に係る内視鏡牽引クリップの構成を示す図である。 実施例1における内視鏡牽引クリップの外観を撮影した図である。 (a)~(c)は、いずれも実施例1における内視鏡牽引クリップを用いたESDの様子を内視鏡で撮影した図である。 (a)~(c)は、いずれも実施例2における内視鏡牽引クリップを用いたESDの様子を内視鏡で撮影した図である。
以下、本発明に係る内視鏡牽引クリップ、内視鏡処置具及び内視鏡牽引クリップの製造方法の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面では、同一又は同等の部分に同一の符号を付す。
図1は、実施の形態に係る内視鏡牽引クリップ10の構成を示す図である。内視鏡牽引クリップ10は、処置具本体の先端部に着脱自在に装着され、内視鏡的粘膜下層剥離術(Endoscopic Submucosal Dissection:ESD)の際に粘膜の病変部(第2の部分)を、病変部に対向する側の粘膜(第1の部分)に向かって牽引し、粘膜下層の切除時における術者の視野を確保するための補助具である。
内視鏡牽引クリップ10は、病変部対向する側の粘膜(対側粘膜)を把持するクリップ本体11と、クリップ本体11にそれぞれ接続され、クリップ本体11とは別体の内視鏡クリップを用いて病変部に取り付けられる3つの紐状ループ12と、を備える。
クリップ本体11は、先端部で粘膜を把持するアーム部材13と、アーム部材13が軸方向に移動可能に収容される締め付け部材14と、を備える。アーム部材13及び締め付け部材14は、例えば、チタン、ステンレス、コバルトクロム合金等の金属材料で形成されている。
図2(a)は、実施の形態に係る開状態にあるクリップ本体11の構成を示す断面図であり、図2(b)は、実施の形態に係る閉状態にあるクリップ本体11の構成を示す断面図である。アーム部材13は、第1の腕部13aと、第1の腕部13aの先端部に対向する先端部を有する第2の腕部13bと、第1の腕部13aの基端部と第2の腕部13bの基端部とを連結する連結部13cと、を備える。
第1の腕部13a及び第2の腕部13bは、荷重が加えられていない状態で、互いに交差するように形成されている。また、アーム部材13は、弾性変形可能に形成され、第1の腕部13a及び第2の腕部13bの各基端部が締め付け部材14により締め付けられると、第1の腕部13a及び第2の腕部13bの各先端部が互いに接近するように変形する。
第1の腕部13a及び第2の腕部13bの先端部には、それぞれ互いに対向する向きに突出する爪部13d、13eが設けられている。爪部13d、13eは、粘膜を把持したクリップ本体11が粘膜から脱落することを防止する。
締め付け部材14は、円筒形状に形成された部材である。締め付け部材14は、軸方向に延び、先端側及び基端側の両方に開口を有し、アーム部材13の動きを規制するガイド孔14aを備える。ガイド孔14aには、アーム部材13が軸方向に移動可能に配置されている。
アーム部材13が締め付け部材14の先端側に配置された状態では、図2(a)に示すように、第1の腕部13aと第2の腕部13bとは開いた状態(開状態)となる。他方、アーム部材13が締め付け部材14の基端側に配置された状態では、図2(b)に示すように、第1の腕部13aと第2の腕部13bとが締め付け部材14により締め付けられ、閉じた状態(閉状態)となる。
図1に戻り、紐状ループ12は、クリップ本体11が対側粘膜を把持した状態で病変部に取り付けられると、病変部に向けて対側粘膜を牽引する牽引手段の一例である。紐状ループ12は、変形が可能な紐状部材で形成されたループ(輪)である。紐状ループ12は、変形が可能な紐状部材でループ状に形成されているため、任意の形状や向きに変形させることができ、内視鏡クリップを簡単な操作で引っ掛けることができる。
紐状ループ12は、内視鏡牽引クリップ10が処置具本体の先端部に装着される際に、処置具本体内に折り畳まれた状態で収容される。内視鏡牽引クリップ10が処置具本体の先端部から突出すると、紐状ループ12は、処置具本体から解放され、クリップ本体11から離れる方向に展開する。
紐状ループ12の直径は、処置対象となる部位の形状やサイズを考慮して設定され、例えば、10mm~20mmの範囲内であり、好ましくは15mm程度である。紐状ループ12は、クリップ本体11が病変部の対側粘膜を把持したとき、クリップ本体11から垂れ下がるような可撓性を有する。
紐状ループ12を構成する紐状部材は、紐状ループ12がサイズや形状が異なる様々な処置対象に適用でき、かつ、病変部と病変部の対側粘膜との間で牽引力を発生させるように、ある程度の伸縮性を有することが好ましい。紐状部材は、例えば、ポリエチレン、ポリウレタン等の生体適合性の樹脂材料で形成される。紐状部材の断面径は、内視鏡クリップを引っ掛ける際の操作性を考慮すると、例えば、1mm~3mmの範囲内であり、好ましくは2mm程度である。
紐状ループ12は、内視鏡挿入部のチャンネルに挿通可能な高周波ナイフで切断可能に構成されている。このため、高周波ナイフで病変部を粘膜から分離した後に、高周波ナイフを用いて紐状ループ12を切断することができる。
紐状ループ12は、例えば、クリップ本体11のアーム部材13に取り付けられている。具体的には、第1の腕部13aと第2の腕部13bとが交差した部分よりも基端側に取り付けられている。
図3は、実施の形態に係るアーム部材13と紐状ループ12との関係を示す拡大図である。紐状ループ12をアーム部材13に取り付ける方法は任意であるが、一例として図3に示す方法であってもよい。第1の腕部13aに取り付ける場合を例に説明すると、紐状ループ12の一端を通し、第1の腕部13aの周りに一巻きし、その後、紐状ループ12の内側に紐状ループ12の一端を通して引っ張ることで、紐状ループ12を第1の腕部13aの周りに巻き付けることができる。
各紐状ループ12は、第1の腕部13a及び第2の腕部13bのそれぞれに、できるだけ均等に取り付けられる。より詳細に説明すると、第1の腕部13aに取り付けられた紐状ループ12の数と第2の腕部13bに取り付けられた紐状ループ12の数との差分が1又は0(ゼロ)となるように取り付けられる。例えば、紐状ループ12が3つの場合であれば、第1の腕部13aに2つの紐状ループ12を取り付け、第2の腕部13bに1つの紐状ループ12を取り付けるとよい。
各紐状ループ12は、内視鏡牽引クリップ10が処置具本体から突出された状態で、クリップ本体11から離れるように延び、かつ、互いにクリップ本体11の円周方向に間隔を空けて配置されるように、アーム部材13に取り付けられるとよい。各紐状ループ12は、クリップ本体11の円周方向に等間隔で配置されることが好ましい。例えば、3つの紐状ループ12がアーム部材13に取り付けられている場合であれば、各紐状ループ12は、クリップ本体11の周方向に120°の角度で互いに離れるように配置されるとよい。
以上が、内視鏡牽引クリップ10の構成である。
図4は、実施の形態に係る内視鏡処置具1の構成を示す図である。内視鏡処置具1は、内視鏡牽引クリップ10と、内視鏡牽引クリップ10を体内に導入し、粘膜の所望の位置に装着させる処置具本体20と、を備える。処置具本体20は、その先端部に内視鏡牽引クリップ10が着脱自在に装着された状態で内視鏡挿入部(図示せず)のチャンネルに挿入され、内視鏡牽引クリップ10が粘膜を把持した状態で内視鏡牽引クリップ10を分離し、体内に留置する。以下、処置具本体20の構成を説明する。
処置具本体20は、外側シース21と、外側シース21内に挿通され、外側シース21に対して長手方向に移動可能な内側シース22と、内側シース22内に挿通され、内側シース22に対して長手方向に移動可能な操作ワイヤ23と、操作ワイヤ23の先端部に設けられ、アーム部材13の連結部13cに係合するフック部材24と、外側シース21、内側シース22及び操作ワイヤ23の基端部に設けられ、ユーザの操作を受け付ける操作部25と、を備える。
外側シース21及び内側シース22は、例えば、可撓性を有するコイルシースであり、操作ワイヤ23は、例えば、複数のワイヤを撚り合わせた撚り線である。
フック部材24は、アーム部材13の連結部13cと係合するようにJ字状に形成され、操作ワイヤ23を牽引することで引張荷重が加えられると、J字状から直線状に変形し、連結部13cとの係合を解除する。フック部材24は、アーム部材13が締め付け部材14の基端側に引き込まれて締め付け部材14内で係止された後に、引張荷重を加え続けることでJ字状から直線状に変形するように形成されている。
操作部25は、外側シース21の基端部に設けられた操作部本体25aと、内側シース22の基端部に設けられ、操作部本体25aに対して長手方向に移動可能な内側シース操作部25bと、操作ワイヤ23の基端部に設けられ、内側シース操作部25bに対して長手方向に移動可能なワイヤ操作部25cと、を備える。
以上が、処置具本体20の構成である。
処置具本体20は、上記の構成を備えるため、操作部本体25aを保持しながら内側シース操作部25bを前進させると、内側シース22の先端部に設けられた筒状部材22aが締め付け部材14の基端面を押し出し、内視鏡牽引クリップ10の一部が外側シース21から突出する。また、この状態でワイヤ操作部25cを前進させると、操作ワイヤ23の先端部に設けられたフック部材24がアーム部材13の連結部13cを押し出し、アーム部材13が締め付け部材14から前進して開いた状態となる。
次に、アーム部材13が開いた状態で、内側シース操作部25bを保持しながらワイヤ操作部25cを基端側に引くと、締め付け部材14の基端面が筒状部材22aに接触して後退できないため、アーム部材13が締め付け部材14の基端側に向けて後退し、アーム部材13が閉じた状態になる。この状態から、内側シース操作部25bを保持しながらワイヤ操作部25cを基端側に引くと、操作ワイヤ23からの引張荷重でフック部材24がJ字状から直線状に変形し、フック部材24とアーム部材13との連結が解除され、内視鏡牽引クリップ10が処置具本体20から分離する。
次に、図5(a)~図5(c)を参照して、内視鏡牽引クリップ10を用いて術者が大腸の病変に対して実行するESDの手技の一連の流れを説明する。以下、患者は、病変部が手術台側、病変部の対側粘膜が天井側となるような姿勢で手術台に載せられ、患者の大腸には、内視鏡の挿入部が挿入されているものとする。また、処置具本体20の外側シース21の先端部には内視鏡牽引クリップ10が装着されているものとする。
まず、内視鏡挿入部のチャンネルに高周波ナイフを挿入し、高周波ナイフを用いて病変部の周囲切開を行う。その後、内視鏡挿入部のチャンネルから高周波ナイフを取り出す。
次に、図5(a)に示すように、内視鏡挿入部のチャンネルに内視鏡処置具1を挿入し、病変部の対側粘膜を内視鏡牽引クリップ10のクリップ本体11で把持する。具体的には、まず、切除対象の病変部の近傍に内視鏡牽引クリップ10を配置する。次に、処置具本体20の外側シース21の先端部から内視鏡牽引クリップ10を突出させ、アーム部材13を開いた状態とする。次に、アーム部材13を病変部の対側粘膜に接触させた状態でアーム部材13を閉じた状態にすることで、クリップ本体11で病変部の対側粘膜を把持する。
このとき病変部の対側粘膜が天井側となるように患者が手術台に載せられているため、3つの紐状ループ12は、病変部の対側粘膜を把持したクリップ本体11から病変部に向かって垂れ下がるように配置される。クリップ本体11による病変部の対側粘膜の把持が終了した後、内視鏡挿入部のチャンネルから内視鏡処置具1を取り出す。
次に、図5(b)に示すように、内視鏡牽引クリップ10とは別の内視鏡クリップ2が先端部に装着された処置具本体20を内視鏡挿入部のチャンネルに挿入する。そして、病変部の対側粘膜から吊り下げられた紐状ループ12に内視鏡クリップ2を係合させ、内視鏡クリップ2を用いて紐状ループ12を病変部に取り付け、病変部の対側粘膜に向けて病変部を牽引させる。内視鏡クリップ2は、例えば、クリップ本体11と同一又は同等の構成を備える内視鏡クリップである。
例えば、クリップ本体11に3つの紐状ループ12が取り付けられている場合であれば、病変部の手元側(内視鏡側)の位置、病変部の左側及び右側の位置のそれぞれに各紐状ループ12を取り付ければよい。このとき、病変部の牽引が十分でなければ、患者の大腸内に内視鏡挿入部のチャンネルから炭酸ガスを供給し、患者の大腸を膨張させることで、病変部の対側粘膜に向けて病変部を牽引してもよい。
なお、紐状ループ12の全てを同じタイミングで病変部に取り付ける必要はなく、病変部の大きさや形状によっては、病変部の上方への牽引が必要になるまで一部の紐状ループ12を吊り下げておいてもよい。例えば、後述する高周波ナイフによる病変部の切除の途中で、病変部の牽引方向を調整したり病変部に対する牽引力を調整したりするために、新たな内視鏡クリップ2を用いて残りの紐状ループ12を追加的に病変部に取り付けてもよい。
また、病変部の大きさや形状によっては、術前のシミュレーションとは異なり、病変部に対する牽引は、1、2本の紐状ループ12で十分であると判明する場合もある。この場合には、残りの紐状ループ12を病変部に取り付ける必要はない。
次に、図5(c)に示すように、高周波ナイフ3を内視鏡挿入部のチャンネルに再度挿入し、吊り上げられた状態の病変部の粘膜下層を切除し、病変部を筋層から完全に剥離させる。このとき、病変部の切除された部分は、複数の紐状ループ12により常時吊り上げられているため、病変部の切除された部分が粘膜下層に覆い被さり、術者の視界を遮るようなことがない。このため、術者は、高周波ナイフ3を用いて病変部の粘膜下層を容易に切除できる。
次に、高周波ナイフ3で病変部に取り付けられた各紐状ループ12を切断し、その後、内視鏡挿入部のチャンネルから高周波ナイフ3を取り出す。紐状ループ12が切断された病変部は、病変部の対側粘膜から分離しているため、体外に回収することができる。病変部の対側粘膜を把持しているクリップ本体11は、時間が経過すると自然に脱落し、排せつ物等と共に体外に排出される。
以上が、内視鏡牽引クリップ10を用いて術者が実行するESDの手技の一連の流れである。
以上説明したように、実施の形態に係る内視鏡牽引クリップ10は、内視鏡処置具1の処置具本体20の先端部に着脱自在に装着され、処置具本体20の先端部から突出した状態で病変部の対側粘膜を把持するクリップ本体11と、クリップ本体11に支持され、クリップ本体11が病変部の対側粘膜を把持した状態で病変部に取り付けられると、病変部の対側粘膜に向かって病変部を牽引する複数の紐状ループ12と、を備える。
このため、簡単な構成でありながらも、所望の方向に病変部を牽引でき、粘膜下層の切除時における術者の視野を十分に確保できる。また、クリップ本体11に複数の紐状ループ12が取り付けられているため、病変部の大きさや形状に合わせ、適宜のタイミングで病変部を牽引する方向や病変部に加える牽引力を調整できる。
本発明は上記実施の形態に限られず、以下に述べる変形も可能である。
(変形例)
上記実施の形態では、紐状ループ12は伸縮性の紐状部材で構成されていたが、本発明はこれに限られない。紐状ループ12を非伸縮性の紐状部材、例えば、ナイロン製の手術用縫合糸で形成してもよい。
上記実施の形態では、クリップ本体11がアーム部材13及び締め付け部材14を備えていたが、本発明はこれに限られない。クリップ本体11は、粘膜を把持可能であればいかなる構成であってもよい。
上記実施の形態では、各紐状ループ12を第1の腕部13a及び第2の腕部13bにできるだけ均等になるように取り付けていたが、本発明はこれに限られない。各紐状ループ12を第1の腕部13a及び第2の腕部13bのいずれか一方に取り付けてもよい。
上記実施の形態では、各紐状ループ12を第1の腕部13a及び第2の腕部13bに結び付けていたが、本発明はこれに限られない。例えば、各紐状ループ12は、第1の腕部13a又は第2の腕部13bに接着剤や熱圧着等の手法で取り付けられてもよい。
また、各紐状ループ12は、第1の腕部13a及び第2の腕部13bの先端部に取り付けられてもよく、締め付け部材14に取り付けられてもよい。一例として、図6に示すように締め付け部材14の先端面に複数の紐状ループ12を接着剤で取り付けてもよい。
上記実施の形態では、3つの紐状ループ12がクリップ本体11に取り付けられていたが、本発明はこれに限られない。例えば、2本の紐状ループ12がクリップ本体11に取り付けられてもよく、4本以上の紐状ループ12がクリップ本体11に取り付けられてもよい。
上記実施の形態では、クリップ本体11に取り付けられた紐状ループ12が同一の紐状部材で形成され、同一の形状であったが、本発明はこれに限られない。例えば、各紐状ループ12を変形特性や断面形状が異なる紐状部材で形成してもよく、各紐状ループ12の直径が異なっていてもよい。
上記実施の形態では、病変部に向けて対側粘膜を牽引する牽引手段として紐状ループ12を用いていたが、本発明はこれに限られない。牽引手段としては、内視鏡クリップ2を引っ掛けることが可能であればいかなる構成であってもよく、例えば、先端部に内視鏡クリップ2を引っ掛けるためのリングを有する紐状部材やコイルバネを用いてもよい。
上記実施の形態では、内視鏡牽引クリップ10を大腸の病変に適用していたが、本発明はこれに限られない。例えば、内視鏡牽引クリップ10を食道、胃、小腸の病変に適用してもよい。また、ESDを実施する場合に限られず、他の手技において粘膜から病変を切除する場合に用いてもよい。
上記実施の形態は例示であり、本発明はこれらに限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の趣旨を逸脱しない範囲でさまざまな実施の形態が可能である。各実施の形態や変形例で記載した構成要素は自由に組み合わせることが可能である。また、特許請求の範囲に記載した発明と均等な発明も本発明に含まれる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1では、一例として患者の大腸の粘膜に発生した病変部を取り除くためにESDを実施した。ESDでは、内視鏡牽引クリップを用いて病変部を対向する側にある粘膜に向けて牽引することとした。実施例1で用いた内視鏡牽引クリップは図7に示すとおりである。
図7に示す内視鏡牽引クリップは、市販の内視鏡クリップに縫合糸からなる3つの紐状ループを結び付けることで作成した。紐状ループは、ナイロン5-0の手術用縫合糸で形成され、その直径は15mmである。紐状ループの端部にはループを形成した際に生じた結び目が存在している。
まず、図8(a)に示すように、天井側に位置する病変部の対側粘膜に内視鏡牽引クリップを取り付けると、3つの牽引ループが病変部の対側の粘膜から下方に垂れ下がった。次に、図8(b)に示すように、3つの牽引ループを病変部の手前側(内視鏡側)、内視鏡から向かって左側、右側のそれぞれに他の内視鏡クリップを用いて取り付けた。この状態で高周波ナイフを用いて病変部の手前側を切除すると、図8(c)に示すように、病変部が対側の粘膜に向かって徐々に牽引され、内視鏡側から切除対象の粘膜下層を目視しながら、次の操作を行うことができた。
(実施例2)
実施例2では、内視鏡牽引クリップを用いて病変部の牽引方向を調整しながらESDの手技を実施した。その他の条件は実施例1の場合と同一である。以下、内視鏡牽引クリップは、図8(a)に示すように病変部の対側の粘膜に取り付けられているものとする。
図9(a)に示すように、他の内視鏡クリップを用いて1つ目の牽引ループを病変部の手前側に取り付け、高周波ナイフを用いて病変部の手前側を切断した。次に、図9(b)に示すように、他の内視鏡クリップを用いて2つ目の牽引ループを病変部の内視鏡から向かって左側に取り付け、病変部の牽引方向を調整してから、高周波ナイフを用いて病変部の左側を切断した。次に、図9(c)に示すように、他の内視鏡クリップを用いて3つ目の牽引ループを病変部の内視鏡から向かって右側に取り付け、病変部の牽引方向を調整してから、高周波ナイフを用いて病変部の右側を切断した。各牽引ループを段階的に病変部に取り付けたため、その時々で粘膜下層の切除に適した牽引方向に病変部を牽引できた。
1 内視鏡処置具
2 内視鏡クリップ
3 高周波ナイフ
10 内視鏡牽引クリップ
11 クリップ本体
12 紐状ループ
13 アーム部材
13a 第1の腕部
13b 第2の腕部
13c 連結部
13d,13e 爪部
14 締め付け部材
14a ガイド孔
20 処置具本体
21 外側シース
22 内側シース
22a 筒状部材
23 操作ワイヤ
24 フック部材
25 操作部
25a 操作部本体
25b 内側シース操作部
25c ワイヤ操作部

Claims (7)

  1. 内視鏡処置具の処置具本体の先端部に着脱自在に装着され、前記処置具本体の先端部から突出した状態で生体組織の第1の部分を把持するクリップ本体と、
    前記クリップ本体に支持され、前記クリップ本体が生体組織の第1の部分を把持した状態で生体組織の第2の部分に取り付けられると、生体組織の第1の部分に向けて生体組織の第2の部分を牽引する複数の牽引手段と、
    を備える内視鏡牽引クリップ。
  2. 前記牽引手段は、紐状部材をループ状に形成した紐状ループである、
    請求項1に記載の内視鏡牽引クリップ。
  3. 前記牽引手段は、伸縮性のある紐状部材で形成されている、
    請求項1又は2に記載の内視鏡牽引クリップ。
  4. 前記牽引手段は、高周波ナイフで切断可能に形成されている、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の内視鏡牽引クリップ。
  5. 前記クリップ本体は、生体組織の第1の部分を両側から挟み込むように把持するアーム部材と、前記アーム部材を内部に収容し、前記アーム部材が先端側から基端側に移動すると、前記アーム部材が開いた状態から閉じた状態に変形するように前記アーム部材を締め付ける締め付け部材と、を備え、
    前記牽引手段は、前記アーム部材に取り付けられている、
    請求項1から4のいずれか1項に記載の内視鏡牽引クリップ。
  6. 内視鏡挿入部のチャンネルに挿通される内視鏡処置具であって、
    請求項1から5のいずれか1項に記載の内視鏡牽引クリップと、
    前記内視鏡牽引クリップの前記クリップ本体が先端部において着脱自在に装着された処置具本体と、
    を備える内視鏡処置具。
  7. 一対の腕部を有するアーム部材と、前記アーム部材を内部に引き入れることで前記一対の腕部が閉じる方向に締め付け可能な締め付け部材と、を備えるクリップ本体を準備する工程と、
    前記クリップ本体の前記一対の腕部の少なくとも一方に紐状ループを結び付ける工程と、
    を含む内視鏡牽引クリップの製造方法。
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