JP2022062314A - 硬化型液組成物、硬化型液組成物セット、積層体の製造方法、及び積層体の製造装置 - Google Patents

硬化型液組成物、硬化型液組成物セット、積層体の製造方法、及び積層体の製造装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2022062314A
JP2022062314A JP2020170230A JP2020170230A JP2022062314A JP 2022062314 A JP2022062314 A JP 2022062314A JP 2020170230 A JP2020170230 A JP 2020170230A JP 2020170230 A JP2020170230 A JP 2020170230A JP 2022062314 A JP2022062314 A JP 2022062314A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid composition
curable liquid
surface tension
layer
curable
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2020170230A
Other languages
English (en)
Other versions
JP7501298B2 (ja
Inventor
学 有田
Manabu Arita
俊介 小林
Shunsuke Kobayashi
大輔 尾崎
Daisuke Ozaki
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ricoh Co Ltd filed Critical Ricoh Co Ltd
Priority to JP2020170230A priority Critical patent/JP7501298B2/ja
Publication of JP2022062314A publication Critical patent/JP2022062314A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7501298B2 publication Critical patent/JP7501298B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Ink Jet (AREA)
  • Ink Jet Recording Methods And Recording Media Thereof (AREA)
  • Laminated Bodies (AREA)
  • Inks, Pencil-Leads, Or Crayons (AREA)

Abstract

【課題】第一の硬化型液組成物からなる液体状態の第一の液層に、第二の硬化型液組成物を付与して第二の液滴層を積層するウェットオンウェット積層に用いられ、第二の液滴が偏りなく均一に配列して第一の液層を被覆できる硬化型液組成物セットの提供。【解決手段】少なくとも第一の硬化型液組成物と第二の硬化型液組成物を有し、次式、(第二の硬化型液組成物の1500msecでの動的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)-(第二の硬化型液組成物の150msecでの動的表面張力-第二の硬化型液組成物の1500msec動的表面張力)≧0mN/m、を充たす硬化型液組成物セットである。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化型液組成物、硬化型液組成物セット、積層体の製造方法、及び積層体の製造装置に関する。
従来より、硬化型液組成物としての活性エネルギー線硬化型インクは、オフセット、シルクスクリーン、トップコート剤などに広く用いられているが、近年、乾燥工程の簡略化によるコストダウン、環境対応として溶剤の揮発量低減などの利点を有するので使用量が増加している。最近では、オンデマンド性などの点からインクジェットを用いた加飾印刷又はコーティングなどを施す産業用途が増加している。
しかしながら、インクジェット適性として、一般的に塗膜堅牢性と密着性はトレードオフの関係にあり、インク塗膜だけでは市場要求を満たさないことが多い。そこで、別途コーティング、又はラミネートなどを施す必要があるが、別工程となると生産性が低下してしまう。また、インラインでインクジェットによる描画工程及びコーティング工程を含むことによって、生産性を維持することもできるが、各層に対応した工程を連結させた大型の装置が必要となり、オンデマンド性のメリットの大きな小型のインクジェット装置には適応できない。
一方、シリアルプリンタ等のインクジェット装置単体で多層を形成しようとすると、通常は各層を乾燥させてから積層させるウェットオンドライ積層を実施することになり、各層をそれぞれ印刷する必要があるため、生産速度が著しく低下する。そこで、各層をそれぞれ印刷するのではなく、各層を乾燥させずに積層させるウェットオンウェット積層にて、インクジェットにより密着性用下地層と塗膜堅牢性用上層と描画用カラー層とを一つの工程で一括吐出により積層状態を乱さずに多層形成できれば、生産性の大幅な向上となり、多層形成して機能分離することで塗膜堅牢性と密着性の両立も図れる。
しかし、単純に機能の異なるインクを一括で吐出しても層を形成できず、塗膜堅牢性及び密着性が得られなかったり、鮮鋭性及び画像形状精度が低下し画像が乱れたり、発色性が得られないという問題がある。
本発明は、第一の硬化型液組成物からなる液体状態の第一の液層に、第二の硬化型液組成物を付与して第二の液滴層を積層するウェットオンウェット積層に用いられ、第二の液滴が偏りなく均一に配列して第一の液層を被覆できる硬化型液組成物セットを提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の硬化型液組成物セットは、少なくとも第一の硬化型液組成物と第二の硬化型液組成物を有し、次式、(第二の硬化型液組成物の1500msecでの動的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)-(第二の硬化型液組成物の150msecでの動的表面張力-第二の硬化型液組成物の1500msec動的表面張力)≧0mN/m、を充たす。
本発明によると、第一の硬化型液組成物からなる液体状態の第一の液層に、第二の硬化型液組成物を付与して第二の液滴層を積層するウェットオンウェット積層に用いられ、第二の液滴が偏りなく均一に配列して第一の液層を被覆できる硬化型液組成物セットを提供することができる。
図1は、インクジェット吐出手段を備えた積層体の製造装置の一例を示す概略図である。 図2は、複数のインクジェットヘッドとUV光源を一連のキャリッジに搭載したインクジェット吐出手段を備えた積層体の製造装置を用いた、積層体の製造方法の一例を示した概略図である。 図3は、実施例1のドット配列が比較的均一な積層体の一例である。 図4は、実施例2のドット配列が均一で、かつドット径を大きく調整した積層体の一例である。 図5は、比較例1のドット配列に偏りがある積層体の一例である。 図6は、比較例2のドット配列に偏りがある積層体の一例である。
(硬化型液組成物セット)
本発明の硬化型液組成物セットは、少なくとも第一の硬化型液組成物と第二の硬化型液組成物を有し、次式、(第二の硬化型液組成物の1500msecでの動的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)-(第二の硬化型液組成物の150msecでの動的表面張力-第二の硬化型液組成物の1500msec動的表面張力)≧0mN/m、を充たし、更に必要に応じて、第三の硬化型液組成物を有する。
前記硬化型液組成物セットは、第一の硬化型液組成物からなる液体状態の第一の液層に、第二の硬化型液組成物を付与して第二の液滴層を積層するウェットオンウェット積層に用いられ、前記第一の硬化型液組成物は、液体状態の第一の液層に、第二の硬化型液組成物を付与して第二の液滴層を積層するウェットオンウェット積層に用いられる第一の液層(下層)用の硬化型液組成物である。
前記第二の硬化型液組成物は、液体状態の第一の液層に、第二の硬化型液組成物を付与して第二の液滴層を積層するウェットオンウェット積層に用いられる第二の液滴層(上層)用の硬化型液組成物である。
ここで、前記「ウェットオンウェット積層」とは、第一の硬化型液組成物からなる液体状態の第一の液層(下層)に、第二の硬化型液組成物を付与して第二の液滴層(上層)を積層すること、即ち、実質的に第一の液層の硬化及び乾燥の少なくともいずれかを行わずに、液体状態の第一の液層に第二の硬化型液組成物を付与して第二の液滴層を積層することを意味する。従来の一般的な積層方法であるウェットオンドライ積層は、第一の液層(下層)が硬化又は乾燥後に、第二の液滴層(上層)を形成するための液体を積層させるものであり、積層させる際の第一の液層(下層)の状態が異なる。なお、前記「実質的に硬化及び乾燥の少なくともいずれかを行わず」とは、第一の液層(下層)の第一の硬化型液組成物が液体状態で流動性を有している状態であればよく、第一の液層(下層)の第一の硬化型液組成物を固化あるいは乾燥させないような微弱な活性エネルギー線、熱、又は自然乾燥を行ってもよいことを意味する。
本発明者らは、上記ウェットオンドライ積層における課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、先に、第一の硬化型液組成物からなる第一の液層を形成する第一の液層に、第二の硬化型液組成物からなる液滴を着弾させ、一度第一の液層の内部に潜らせた後、第一の液層の上部に浮上させて第二の液滴層を形成する第二の液滴層を形成させる積層体の製造方法を提案している(特願2019-204358号参照)。
この提案によると、上層用の第二の液滴が、積層体の面に均一に配列すれば隙間が少なくなり、第二の硬化型液組成物由来の発色性が発揮されやすくなり、表面に配列して表面を埋めれば、第二の硬化型液組成物由来の堅牢性が十分に発揮されることになるが、一方、上層用の第二の硬化型液組成物からなる第二の液滴のドットの配列が偏ると、隙間が空いて濃度が低下したり、下層となる第一の液層が部分的に露出して堅牢性が低下するという問題が発生する。
したがって、本発明においては、少なくとも第一の硬化型液組成物と第二の硬化型液組成物を含み、次式、(第二の硬化型液組成物の1500msecでの動的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)-(第二の硬化型液組成物の150msecでの動的表面張力-第二の硬化型液組成物の1500msec動的表面張力)≧0mN/m、を充たすことにより、第二の液滴が偏りなく均一に配列して第一の液層を被覆するので、第二の液滴由来の発色性及び堅牢性を表面に有する積層体を得ることができる。
本発明の硬化型液組成物セットにおける第一の硬化型液組成物及び第二の硬化型液組成物は、界面活性剤を含有し、モノマー、重合開始剤、色材、及び有機溶剤を含有することが好ましく、更に必要に応じて、その他の成分を含有する。
前記第一及び第二の硬化型液組成物における動的表面張力及び静的表面張力は、界面活性剤、モノマー、有機溶剤などにより制御することができる。これらの中でも、界面活性剤で制御することが好ましい。界面活性剤は、積層体の物性を大きく変化させずに、第二の液滴層(上層)を形成する第二の液滴の配列状態を制御することができ、第二の液滴層(上層)を形成する第二の液滴が偏りなく均一に配列し、第二の液滴層(上層)を形成する第二の液滴由来の発色性及び堅牢性を表面に有する積層体を得ることができる。
インクジェットにおけるウェットオンウェット積層においては、第二の液滴層(上層)を形成する第二の硬化型液組成物を、インクジェットにより多数の微小液滴に分けて第一の液層(下層)の上に付与することができるため、ウェットオンウェット積層であっても上下層を保った形で積層体を得ることが可能になる。しかし、カーテンコート法とは異なり、硬化型液組成物の形状が独立した液滴となるため、絵柄などを印刷できるという利点がある一方で、時間差なく同時に多数の液滴を第一の液層(下層)に着弾させることは困難であり、その時間差により、第二の液滴層(上層)の第二の硬化型液組成物からなる第二の液滴のドット配列が偏ることがある。その理由や主要因は定かではないが、時間差により、第二(上層)の硬化型液組成物の混合による液面の表面張力の変化による着弾挙動の変化、周囲の第二(上層)の硬化型液組成物からなるドットのドット密度の変化による着弾挙動の変化、波の発生などが生じることを確認している。特に、インクジェットヘッドを複数用いる場合や、1つのヘッドであってもノズル列が複数ありノズル列が離れている場合には、このドット配列の偏りが顕著である。
前記硬化型液組成物セットにおける第二の硬化型液組成物は、次式、(1500msecでの動的表面張力-静的表面張力)-(150msecでの動的表面張力-1500msec動的表面張力)≧0mN/m、を充たし、次式、(1500msecでの動的表面張力-静的表面張力)-(150msecでの動的表面張力-1500msec動的表面張力)≧3mN/m、を充たすことが好ましく、次式、(1500msecでの動的表面張力-静的表面張力)-(150msecでの動的表面張力-1500msec動的表面張力)≧5mN/m、を充たすことがより好ましい。これらの関係を充たすことよって、ドット配列の偏りが小さくなり、第二の液滴層(上層)の第一の液層(下層)に対する被覆率が向上し、第二の硬化型液組成物がカラーインクの場合には発色性が向上し画像濃度が高くなり、堅牢性の高い第二の硬化型液組成物の場合には積層体の堅牢性が向上することになる。
また、本発明の硬化型液組成物セットにおける第一の硬化型液組成物及び第二の硬化型液組成物は、次式、(第一の硬化型液組成物の静的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)≦5mN/m、を充たし、次式、(第一の硬化型液組成物の静的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)≦3mN/m、を充たすことが好ましく、次式、0mN/m≦(第一の硬化型液組成物の静的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)、を充たすことがより好ましい。
次式、(第一の硬化型液組成物の静的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)が5mN/mより大きければ、経時で第二の液滴層(上層)をなす第二の硬化型液組成物からなる第二の液滴のドットが広がり、ドットや画像の鮮鋭性を維持することができない。また、インクジェットヘッドを複数用いる場合や、1つのヘッドであってもノズル列が複数ありノズル列が離れている場合には、ノズル列ごとに着弾の時間差が生じるが、先に着弾した第二の液滴のドットの広がりが大きく層を形成し、次に着弾した第二の液滴は同じく第二の液滴からなる層上に着弾することとなり、ドットが広がることができず、不均一な膜を形成することがある。
また、次式、(第一の硬化型液組成物の静的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)が0mN/m以上5mN/m以下であれば、第二の硬化型液組成物からなる第二の液滴がドットの鮮鋭性を保ったまま表面近傍に配列させることができる。ドット径の広がりは、次式、(第一の硬化型液組成物の静的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)が5mN/mより大きいときと比較して小さくなるため、配列が不均一な場合は偏りが目立つことになるが、本発明により配列を均一にすることで解消できる。
更には、経時でもドットの鮮鋭性が求められる場合には、次式、(第一の硬化型液組成物の静的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)が0mN/m以上3mN/m以下であることが好ましい。次式、(第一の硬化型液組成物の静的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)が3mN/m以下である場合には、ドットが経時で広がらずドット形状が保たれるが、ドット配列に偏りが生じていれば、経時でも隙間が空いたままとなるため、配列の偏りを小さくすることが重要になる。本発明と併用することで、経時を含めた鮮鋭性と、濃度や堅牢性を両立できることになる。次式、(第一の硬化型液組成物の静的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)が0mN/m以上である場合には、第二の液滴層(上層)をなす第二の硬化型液組成物からなる第二の液滴が表面に浮くことができる。
また、次式、(第一の硬化型液組成物の静的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)が0mN/m未満になると、第二の液滴が部分的あるいは全体的に第一の液層(下層)に潜り込むことになる。上下層という形で積層することはできなくなるが、第二の液滴が潜った場合においても、ドット配列の偏りを小さくするという本発明の効果は有効である。また、第一の硬化型液組成物がクリアインクであり、第二の硬化型液組成物がカラーインクである場合、カラーインクの発色性が発現しやすくなる。
ここで、本発明の硬化型液組成物セットにおける第一の硬化型液組成物及び第二の硬化型液組成物の静的表面張力及び動的表面張力は、以下のようにして測定することができる。
静的表面張力は、例えば、自動表面張力計(DY-300、協和界面化学株式会社製)を用い、プレート法により白金プレートを用い、25℃にて測定することができる。
動的表面張力は、例えば、動的表面張力計(DynoTesterm、SITA社製)を用い、150msec及び1500msecでの動的表面張力をそれぞれ25℃にて測定することができる。
<界面活性剤>
本発明の硬化型液組成物セットにおける第二の硬化型液組成物は、少なくとも1種の界面活性剤を含有し、前記界面活性剤を0.001質量%以上0.15質量%以下で含むことが好ましく、0.001質量%以上0.01質量%以下で含むことがより好ましい。界面活性剤を0.001質量%以上0.15質量%以下で含むと、ドット配列の偏りが小さくなるので好ましい。
界面活性能の低い界面活性剤としては、特に含有量に制限はないが、界面活性能の高い活性剤については、この添加量を0.15質量%以下にすることで、(1500msecでの動的表面張力-静的表面張力)-(150msecでの動的表面張力-1500msec動的表面張力)≧0mN/m、をより満たしやすくなる。
一方、界面活性剤の含有量が0.15質量%を超えても、上記表面張力の関係を満たすことができる界面活性剤も存在するが、そのような界面活性剤を用いた場合でも、含有量を0.15質量%以下とすることがドット配列の偏りを小さくできる点から好ましい。
前記界面活性剤の含有量が0.001質量%未満になると、十分に表面張力が下がらず表層を形成することが困難になったり、ドットの滲みなどが大きくなることがあるため、0.001質量%以上含むことが好ましい。
前記界面活性剤としては、第一の硬化型液組成物及び第二の硬化型液組成物が、次式、(第一の硬化型液組成物の静的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)≦5mN/m、を充たすように添加することが好ましい。上記の関係を満たせば、必ずしも界面活性剤によって制御する必要はなく、例えば、モノマーによって制御してもよいが、界面活性剤を用いれば、得られる積層体の物性をほとんど変化させずに、上記関係式を満たして積層体の構造を制御できるため、好ましい。適宜量や種類を調整して、上層をなす液滴層のドット径や、潜り浮きの状態、ドットの鮮鋭性などを制御できる。
その他、インクジェット吐出性、基材への濡れ性、密着性、得られる積層体表面の滑り性、防汚性など、目的に応じて適宜添加することができる。界面活性剤の種類については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フッ素系界面活性剤やシリコーン系界面活性剤、有機系界面活性剤などが挙げられる。これらの中でも、シリコーン系界面活性剤やフッ素系界面活性剤を含むことが好ましい。
前記第一の硬化型液組成物及び第二の硬化型液組成物における界面活性剤の種類の組み合わせとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの同種の界面活性剤であることが好ましく、同一の分子骨格を有することが好ましく、分子量分布まで含めて同一であることがより好ましく、更に同一製品であることが特に好ましい。その原因については定かではないが、付与した第二の硬化型液組成物からなる液滴が付与直後から表面に浮きやすく、鮮鋭性と発色性を両立させやすいことがある。
<モノマー>
モノマーは、加熱、又は活性エネルギー線(紫外線、電子線等)によって生成された活性種により重合反応を生起し、硬化する化合物であり、官能基数に応じて、多官能モノマーや単官能モノマーが挙げられる。
前記モノマーとしては、重合性モノマーであればよく、重合性オリゴマーや重合性ポリマー(マクロモノマー)を含んでいてもよい。
第一及び第二の硬化型液組成物について、モノマーの種類について特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記第一の硬化型液組成物は、積層体の下層に位置するため、密着性の機能を付与させて密着層を形成することが好ましく、単官能モノマーを多く含むことが好ましく、単官能モノマーを80質量%以上含むことがより好ましい。
前記第二の硬化型液組成物は、積層体の上層に位置するため、塗膜堅牢性の機能を付与させて硬質層を形成することが好ましく、多官能モノマーを多く含むことが好ましく、多官能モノマーを50質量%以上含むことがより好ましい。
モノマーの種類や配合量によっても、得られる第一及び第二の硬化型液組成物の表面張力を変化させることができ、前記硬化型液組成物からなる液滴の着弾挙動を変えることができる。特に界面活性剤の表面張力低下能が小さい場合や、界面活性剤の含有量が少ない場合には、モノマー配合の影響が大きくなる。一方、特に界面活性剤の表面張力低下能が大きい場合や、界面活性剤の含有量が多い場合、界面活性剤に対してモノマー組成の表面張力が十分に高い場合には、モノマー配合の影響は小さくなり、モノマー配合によらず、同様の着弾挙動を引き起こすことが可能になる。
-多官能モノマー-
前記多官能モノマーとしては、2官能モノマー、3官能モノマー、又はそれ以上の官能基数のモノマーを含む。
前記多官能モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド(PO)付加物ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド(EO)付加物ジ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、PO変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、PO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、PO変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、PO変性テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ビス(4-(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3-ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリル酸付加物、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートトリレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ウレタンアクリレートオリゴマー、エポキシアクリレートオリゴマー、ポリエステルアクリレートオリゴマー、ポリエーテルアクリレートオリゴマー、シリコーンアクリレートオリゴマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、官能基数としては、2官能以上6官能以下が好ましく、2官能モノマーが低粘度の点から特に好ましい。
-単官能モノマー-
単官能モノマーは、官能基数が1のモノマーである。
前記単官能モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルフォホリン、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、2-メチル-2-アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキサン(メタ)アクリレート、t-ブチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルアクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<重合開始剤>
前記第一及び第二の硬化型液組成物は、重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤としては、活性エネルギー線のエネルギーによって、ラジカル、カチオン等の活性種を生成し、重合性化合物(モノマーやオリゴマー)の重合を開始させることが可能なものであればよい。
このような重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ラジカル重合開始剤、カチオン重合開始剤、塩基発生剤などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、ラジカル重合開始剤が好ましい。
前記ラジカル重合開始剤としては、例えば、芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(例えば、チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物等)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アルキルアミン化合物などが挙げられる。
前記重合開始剤の含有量は、十分な硬化速度を得るために、前記硬化型液組成物の全量に対して、5質量%以上20質量%以下が好ましく、5質量%以上10質量%以下がより好ましい。
上記重合開始剤に加え、重合促進剤(増感剤)を併用することもできる。前記重合促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p-ジエチルアミノアセトフェノン、p-ジメチルアミノ安息香酸エチル、p-ジメチルアミノ安息香酸-2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルベンジルアミン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン化合物などが挙げられる。
前記重合促進剤の含有量は、特に制限はなく、使用する重合開始剤やその量に応じて適宜設定することができる。
<色材>
前記第一及び第二の硬化型液組成物は、色材を含有していてもよい。前記色材としては、硬化型液組成物の目的及び要求特性に応じて、ブラック、ホワイト、マゼンタ、シアン、イエロー、グリーン、オレンジ、金や銀等の光沢色などを付与する種々の顔料又は染料を用いることができる。なお、前記硬化型液組成物は、色材を含まず無色透明であってもよく、その場合には、例えば、画像を保護するためのオーバーコート層として好適である。
前記色材の含有量は、特に制限はなく、所望の色濃度や組成物中における分散性等を考慮して適宜決定することができるが、前記硬化型液組成物の全量に対して、0.1質量%以上20質量%以下であることが好ましい。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができ、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料などが挙げられる。
また、顔料の分散性をより良好なものとするため、分散剤を更に含んでもよい。
前記分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤などの顔料分散液を調製するのに慣用されている分散剤が挙げられる。
染料としては、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
前記第二の硬化型液組成物は、色材を含有しカラーインクとした場合には、本発明において、高濃度の発色性が得られやすい。また、色材を含まないクリアインクとした場合には、コーティング用として堅牢性が得られやすい。
前記第一の硬化型液組成物として色材を含有しないクリアインクを用いた場合には、第二の硬化型液組成物をカラーインクとし、第二の硬化型液組成物からなる第二の液滴を表面に浮かせなくても発色性を得ることができる。
<有機溶媒>
前記第一及び第二の硬化型液組成物は、有機溶媒を含んでもよいが、可能であれば含まない方が好ましい。有機溶媒、特に揮発性の有機溶媒を含まない(VOC(Volatile Organic Compounds)フリー)組成物であれば、当該組成物を扱う場所の安全性がより高まり、環境汚染防止を図ることも可能となる。なお、「有機溶媒」とは、例えば、エーテル、ケトン、キシレン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、トルエンなどの一般的な非反応性の有機溶媒を意味するものであり、反応性モノマーとは区別すべきものである。また、有機溶媒を「含まない」とは、実質的に含まないことを意味し、0.1質量%未満であることが好ましい。
<その他の成分>
前記第一及び第二の硬化型液組成物は、必要に応じてその他の成分を含んでもよい。前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、重合禁止剤、レべリング剤、消泡剤、蛍光増白剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、定着剤、粘度安定化剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、増粘剤などが挙げられる。
<第三の硬化型液組成物>
第三の硬化型液組成物としては、上記第一及び第二の硬化型液組成物と同様の組成を有し、基材上に第三の硬化型液組成物を付与したり、あるいは第一及び第二の硬化型液組成物からなる積層体上に第三の硬化型液組成物を付与したりして、第三の液層を形成することができる。
<硬化型液組成物の調製>
前記第一及び第二の硬化型液組成物は、上述した各種成分を用いて作製することができ、その調製手段及び条件は特に限定されないが、例えば、モノマー、顔料、分散剤等をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミルなどの分散機に投入し、分散させて顔料分散液を調製し、前記顔料分散液に更にモノマー、重合開始剤、重合禁止剤、界面活性剤などを混合させることにより調製することができる。
<粘度>
前記第一及び第二の硬化型液組成物の粘度は、特に制限はなく、用途及び適用手段に応じて適宜調整することができ、例えば、前記硬化型液組成物をノズルから吐出させるような吐出手段を適用する場合には、25℃における粘度が15mPa・s以上40mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以上40mPa・s以下がより好ましい。また、20℃~65℃の範囲における粘度が5mPa・s以上15mPa・s以下が好ましく、6mPa・s以上12mPa・s以下がより好ましい。
前記第二の硬化型液組成物は、インクジェットにより液滴を吐出させるため、上記の範囲が好ましく、前記第一の硬化型液組成物も含めて上記の範囲であれば、すべての工程をインクジェット方式にて行うことができるため、より好ましい。
前記粘度範囲を、上記有機溶媒を含まずに満たしていることが特に好ましい。
ここで、前記粘度は、東機産業株式会社製コーンプレート型回転粘度計VISCOMETER TVE-22Lにより、コーンロータ(1°34’×R24)を使用し、回転数50rpm、恒温循環水の温度を20℃~65℃の範囲で適宜設定して測定することができる。循環水の温度調整にはVISCOMATE VM-150IIIを用いることができる。
<用途>
本発明の硬化型液組成物及び硬化型液組成物セットの用途は、一般に硬化型材料が用いられている分野であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、成形用樹脂、塗料、接着剤、絶縁材、離型剤、コーティング材、シーリング材、各種レジスト、各種光学材料などが挙げられる。
また、前記硬化型液組成物を硬化させて得られた硬化物及び当該硬化物が基材上に形成された構造体を加工してなる成形加工品も含む。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された硬化物及び構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーター、操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形することが必要な用途に好適に使用される。
-基材-
前記基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プラスチックフィルム、合成繊維からなる合成紙、不織布等のシート、建築用材料などが挙げられる。これらの中でも、耐久性を有する基材が好ましく、建築用材料がより好ましい。
前記基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天然紙、合成紙等の紙、プラスチックフィルム、不織布、布、木材、金属薄膜、皮革、ガラス、セラミックス、又はこれらの複合材料などが挙げられる。これらの中でも、加工性の点から、プラスチックフィルムが好ましい。
前記プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム;ポリプロピレンフィルム;ポリエチレンフィルム;ナイロン、ビニロン、アクリル等のプラスチックフィルム、又は前記フィルムの貼り合わせたものなどが挙げられる。
前記プラスチックフィルムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、強度の点から、一軸又は二軸延伸されていることが好ましい。
前記不織布としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレン繊維をシート状に散布し、熱圧着させてシート状に形成したものなどが挙げられる。
前記建築用材料としては、例えば、床材、壁紙、内装材、壁板材、巾木材、天井材、柱などで使用される熱硬化性樹脂、繊維版、パーティクルボード、又は上記素材の表面に、熱硬化性樹脂、オレフィン、ポリエステル、PVC等の化粧板を設けたものが挙げられる。
<組成物収容容器>
本発明で用いられる組成物収容容器は、本発明の硬化型液組成物セットの第一の硬化型液組成物及び第二の硬化型液組成物が収容された状態の容器を意味し、上記のような用途に供する際に好適である。例えば、本発明の硬化型液組成物セットがインク用途である場合において、当該インクが収容された容器は、インクカートリッジやインクボトルとして使用することができ、これにより、インク搬送やインク交換等の作業において、インクに直接触れる必要がなくなり、手指や着衣の汚れを防ぐことができる。また、インクへのごみ等の異物の混入を防止することができる。また、容器それ自体の形状や大きさ、材質等は、用途や使い方に適したものとすればよく、特に限定されないが、その材質は光を透過しない遮光性材料であるか、又は容器が遮光性シート等で覆われていることが望ましい。
(積層体の製造方法及び積層体の製造装置)
本発明の積層体の製造方法は、第一の液層形成工程と、第二の液滴層形成工程と、硬化工程とを含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明の積層体の製造装置は、第一の液層形成手段と、第二の液滴層形成手段と、硬化手段とを有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
本発明の積層体の製造方法は、本発明の積層体の製造装置により好適に実施することができ、第一の液層形成工程は第一の液層形成手段により行うことができ、第二の液滴層形成工程は第二の液滴層形成手段により行うことができ、硬化工程は硬化手段により行うことができ、その他の工程はその他の手段により行うことができる。
本発明によると、第一の硬化型液組成物からなる第一の液層を形成後、硬化工程を挟むことなく、液体状態の第一の液層に第二の硬化型液組成物からなる第二の液滴を付与して第二の液滴層を形成した後、硬化させることで積層体を得ることができる。層間剥離が起こりにくいという積層体の品質面でのメリットや、硬化手段を余分に導入しなくてよいという装置コスト面でのメリット、硬化手段による近傍のインクジェットノズルなどでの液の硬化といった不具合が起こりにくいというメンテナンス面でのメリットがある。
本発明の硬化型液組成物セットを用いることによって、液体状態の第一の液層に、第二の硬化型液組成物を付与して第二の液滴層を形成することができる。第二の硬化型液組成物を用いることにより、第二の液滴のドット配列が均一化され、第二の硬化型液組成物からなる第二の液滴層を隙間のない均一な層に近づけることができる。
更に、本発明の硬化型液組成物セットを用いることによって、第二の硬化型液組成物からなる第二の液滴層を形成できる一方で、硬化工程前の経時を含めてドットの鮮鋭性を得ることができるため、インクジェットヘッドのノズル列を複数配列したりしても一様なドット形成が可能になる。異なるノズル列間でもドット径等を揃えることができ、色のコントロールなどがし易くなる。その際、複数のインクジェットヘッドを配列することで複数のノズル列を用いることにより、ドット配列に偏りが発生しやすくなる。
印刷速度840mm/秒の場合には、ノズル列の間隔としては、印刷方向と平行な距離で1mm未満であればほとんどドット配列に偏りが生じなかったが、10mm以上のノズル列間隔では発生することを確認しており、1つのインクジェットヘッドであっても一定距離以上のノズル間距離を有する場合にはドット配列に偏りが生じる。このドット配列の偏りは、本発明により解消することができるため、鮮鋭性やカラー間の着弾挙動の均一性(カラー間のドット形状の均一性)と、濃度や堅牢性とを両立することができるようになる。
<第一の液層形成工程及び第一の液層形成手段>
前記第一の液層形成工程は、本発明の硬化型液組成物セットにおける第一の硬化型液組成物を付与して第一の液層を形成する工程であり、第一の液層形成手段により実施することができる。
前記第一の硬化型液組成物としては、上述した硬化型液組成物セットにおける第一の硬化型液組成物を用いることができる。
前記第一の硬化型液組成物を付与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナイフコート法、ノズルコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、グラビアコート法、ロータリースクリーンコート法、リバースロールコート法、ロールコート法、スピンコート法、ニーダーコート法、バーコート法、ブレードコート法、キャスト法、ディップ法、カーテンコート法等の塗工方法、インクジェット方式などが挙げられる。これらの中でも、インクジェット方式が好ましい。
<第二の液滴層形成工程及び第二の液滴層形成手段>
前記第二の液滴層形成工程は、前記第一の液層に本発明の硬化型液組成物セットにおける第二の硬化型液組成物を付与して、第二の液滴層を形成する工程であり、第二の液滴層形成手段により実施することができる。
前記第二の硬化型液組成物としては、上述した硬化型液組成物セットにおける第二の硬化型液組成物を用いることができる。
前記第二の硬化型液組成物を付与する方法としては、液体状態の第一の液層に第二の液滴を付与することができれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、微小液滴を形成させるためには、インクジェット方式が好ましい。インクジェット方式については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、連続噴射型、オンデマンド型などが挙げられる。前記オンデマンド型としては、例えば、ピエゾ方式、サーマル方式、静電方式などが挙げられる。
前記第二の液滴層としては、液体状態の第一の液層の上に表層として形成されることが好ましい。第二の硬化型液組成物に堅牢性を付与すれば、得られる積層体においても堅牢性が得られることとなる。一方、必ずしも表層として形成させる必要はなく、第一の液層内に中間層として形成させてもよい。第一の硬化型液組成物に堅牢性を付与していれば、第二の硬化型液組成物からなる第二の液滴層を保護することができ、例えば、第二の硬化型液組成物としてカラーインクを用いた場合には濃度と耐薬品性などを両立することができるようになる。
<硬化工程及び硬化手段>
前記硬化工程は、前記第一の液層及び前記第二の液滴層を硬化させる工程であり、硬化手段により実施することができる。
前記硬化手段としては、加熱硬化又は活性エネルギー線による硬化が挙げられる。これらの中でも、活性エネルギー線による硬化が好ましい。
前記第一の液層及び前記第二の液滴層を硬化させるために用いる活性エネルギー線としては、紫外線の他、電子線、α線、β線、γ線、X線等の、硬化型液組成物中の重合性成分の重合反応を進める上で必要なエネルギーを付与できるものであればよく、特に限定されない。特に高エネルギーな光源を使用する場合には、重合開始剤を使用しなくても重合反応を進めることができる。また、紫外線照射の場合、環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。更に、紫外線発光ダイオード(UV-LED)及び紫外線レーザダイオード(UV-LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線光源として好ましい。
ここで、図1は、インクジェット吐出手段を備えた積層体の製造装置の一例を示す概略図である。第一の硬化型液組成物からなる第一のインク及び第二の硬化型液組成物からなる第二のインクを収容したインクカートリッジと、吐出ヘッドとを備える各印刷ユニット23a、23bにより、供給ロール21から供給された基材22に第一及び第二のインクが吐出される。その後、インクを硬化させるための光源24から、活性エネルギー線を照射して硬化させ、積層体を形成する。その後、基材22は、加工ユニット25、印刷物巻取りロール26へと搬送される。各印刷ユニット23a、23bには、インク吐出部でインクが液状化するように、加温機構を設けてもよい。また必要に応じて、接触又は非接触により基材を室温程度まで冷却する機構を設けてもよい。また、インクジェット印刷方式としては、吐出ヘッド幅に応じて間欠的に移動する基材に対し、吐出ヘッドを移動させて基材上にインクを吐出するシリアル方式や、連続的に基材を移動させ、一定の位置に保持された吐出ヘッドから基材上にインクを吐出するライン方式のいずれであっても適用することができる。
基材22としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、フィルム、セラミックス、ガラス、金属、又はこれらの複合材料などが挙げられ、シート状であってもよい。また、片面印刷のみを可能とする構成であっても、両面印刷も可能とする構成であってもよい。なお、一般的な基材として用いられるものに限られず、ダンボール、壁紙や床材等の建材、コンクリート、Tシャツなど衣料用等の布、テキスタイル、皮革等を適宜使用することができる。
本発明の硬化型液組成物により製造される積層体としては、通常の紙や樹脂フィルムなどの平滑面に印刷されたものだけでなく、凹凸を有する被印刷面に印刷されたものや、金属やセラミックスなどの種々の材料からなる被印刷面に印刷されたものも含む。また、2次元の画像を積層することで、一部に立体感のある画像(2次元と3次元からなる像)や立体物を形成することもできる。
図2は、複数のインクジェットヘッドとUV光源を一連のキャリッジに搭載した積層体の製造装置を用いた、積層体の製造方法の一例を示す概略図である。
左から、第一の硬化型液組成物を搭載した第一の吐出手段34から吐出された第一の硬化型液組成物32aが基材31に着弾し、第一の硬化型液組成物からなる第一の液層32bを形成する工程と、第二の硬化型液組成物を搭載した第二の吐出手段35から吐出された第二の硬化型液組成物33aが第一の硬化型液組成物からなる第一の液層32bに着弾し、第一の液層32b上に第二の硬化型液組成物からなる第二の液滴層33bを形成する工程と、活性エネルギー線照射手段36から照射された活性エネルギー線37によって硬化する工程と、をそれぞれ示す。
積層体の製造装置としては、第一の硬化型液組成物32を吐出する第一の吐出手段34と、第二の硬化型液組成物33を吐出する第二の吐出手段35と、活性エネルギー線37を照射して硬化させる活性エネルギー線照射手段36と、をこの順に有するものが好ましい。
<積層体>
本発明で用いられる積層体は、少なくとも第一の硬化型液組成物からなる第一の液層と、第二の硬化型液組成物からなる第二の液滴層と、からなる積層体の硬化物である。
第二の硬化型液組成物からなる液滴はドット形状を有している。第二の液滴層は積層体の表面に位置していることが好ましいが、第一の液層の内部に存在して中間層を形成していてもよい。
前記「ドット形状を有している」とは、液滴同士が完全には一体化せずに、ドット形状を保ちながら、部分的に連なって第二の液滴層を形成していることを示す。本発明によれば、この部分的な連なりが極端に偏らず、配列の偏りが抑制される。元々連なることがないようなドット密度の場合には、配列の偏りもほとんど影響しないか、あるいは発生しにくい。
本発明によれば、例えば、第二の硬化型液組成物にカラーインクを用いた場合に、カラードットの鮮鋭性を保ちながら、高濃度で発色した積層体を得ることができる。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
-硬化型液組成物の調製-
まず、表1に示すように、アクリロイルモルフォリン(ACMO)18質量部、フェノキシエチルアクリレート(PEA)40質量部、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート(CTFA)30質量部、脂肪族ウレタンアクリレート(CN963)2質量部、及び2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(TPO)10質量部を添加した。
次に、第一(下層)の硬化型液組成物には白顔料として酸化チタンを12質量部、界面活性剤としてRad2500を0.005質量部添加し、第二(上層)の硬化型液組成物にはマゼンタ顔料としてPR122を3質量部、界面活性剤としてRS-76を有効成分量として0.1質量部(配合量:0.5質量部)添加し、それぞれ撹拌して、表1に示す実施例1の第一(下層)と第二(上層)の硬化型液組成物を得た。
(実施例2~3及び比較例1~3)
-硬化型液組成物の調製-
実施例1において、表1及び表2に示す組成及び含有量に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2~3及び比較例1~3の硬化型液組成物を調製した。なお、表1及び表2中の各成分の含有量は質量部である。
次に、得られた各硬化型液組成物について、以下のようにして、静的表面張力及び動的表面張力を測定し、次式、「(第二の硬化型液組成物の1500msecでの動的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)-(第二の硬化型液組成物の150msecでの動的表面張力-第二の硬化型液組成物の1500msec動的表面張力)」、及び次式、「(第一の硬化型液組成物の静的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)」の計算結果を算出し、表1及び表2に示した。
<静的表面張力>
自動表面張力計(DY-300、協和界面化学株式会社製)を用い、プレート法により白金プレートを用い、25℃にて測定した。
<動的表面張力>
動的表面張力計(DynoTesterm、SITA社製)を用い、150msec及び1500msecでの動的表面張力を25℃にて測定した。
-積層体の製造-
次に、作製した各硬化型液組成物を用い、以下の表1及び表2の組み合わせで、積層体を作製した。なお、画質評価や多層形成状態の評価のために、適宜顔料を添加しているが、実際の印刷物として好適な色の組み合わせとは限らない。
図2に示すような複数のインクジェットヘッドとUV光源を一連のキャリッジに搭載するインクジェット吐出手段を備えた積層体の製造装置を用い、インクジェットヘッドとしてMH5421(株式会社リコー製)を、活性エネルギー線照射装置として波長395nmのUV-LED光源を搭載し、表1及び表2に記載の組み合わせで第一及び第二の硬化型液組成物を装着した。
上記積層体の製造装置を用い、ポリカーボネート基材(三菱ガス化学株式会社製、ユーピロンNF-2000、厚み0.5mm)上に、「直後」と記載されているものは1スキャンの同一スキャン内で2種の第一及び第二の硬化型液組成物の吐出とUV照射を行っており、吐出ユニットが通過してからUV照射機が通過するまでの時間は0.24秒であった。「経時」と記載されているものは2種の第一及び第二の硬化型液組成物を吐出した後、34秒後にてUV照射を行った。
第二(下層)の硬化型液組成物の印刷を2cm角、第一(上層)の硬化型液組成物は中央部に1cm角の印刷とした。なお、波長395nmのUV-LED光源の出力は照度4.5W/cmとし、キャリッジの移動速度は840mm/秒とし、ヘッドからUV照射機までの距離は20cm、1滴あたりの滴量は18ng、ドット密度としては、第一(下層)及び第二(上層)の硬化型液組成物は600dpi×600dpiとし、厚みが10μmとなるように設定した。なお、インクジェットヘッドMH5421(株式会社リコー製)は、1列のノズル列のノズル密度は150dpiであり、4列のノズル列を使用することで、副走査方向についても600dpiのドット密度が得られるようになっている。
図3は実施例1の積層体のドット配列を示し、図4は実施例2の積層体のドット配列を示す。図3はドット配列が比較的均一であり、図4はドット配列が均一であり、かつドット径が大きめに調整されており、積層体の表面を被覆し、高濃度に発色することができている。
一方、図5は比較例1の積層体のドット配列を示し、図6は比較例2の積層体のドット配列を示す。図5及び図6はドット配列に偏りがあることがわかる。
-画像評価-
<ドット配列均一性>
得られた各積層体について、レーザー顕微鏡(OLS4100、オリンパス株式会社製)を用いて、走査方向と平行なカラー画像を得た。画像サイズは643μm角が1024ピクセルで表されるような倍率で測定した。
得られた画像の色情報をRGB(0~255)に分解し、G値を得た。このG値を、各ノズル列ごとに平均化し、その極小値間距離を求めることで、ドット間距離を算出した。得られたドット間距離の全数に対する標準偏差を「全体標準偏差σ」とそ、1列目から4列目までの平均に対する「標準偏差σ」として、表1及び表2に記載した。「標準偏差σ」及び「全体標準偏差σ」は、いずれも10.0μm未満であることが好ましい。
<マゼンタ濃度>
得られた各積層体の中央部の第二の液滴層(上層)の印刷面に対し、X-Rite eXact(エックスライト社製)を用い、直後(0.24秒)と経時(34秒)における、マゼンタ濃度を測定した。結果を表1及び表2に示した。なお、マゼンタ濃度は1.2以上が好ましい。
<鮮鋭性>
得られた各積層体の入力画像サイズ1cmを基準として、第二の液滴層(上層)の印刷部の画像サイズ変化により、直後(0.24秒)と経時(34秒)における、画像形状精度(%)を評価した。結果を表1及び表2に示した。
画像形状精度は20%以下が好ましく、特に直後(0.24秒)のUV照射では10%以下が実使用可能なレベルである。なお、印刷部の画像サイズとは、第二の液滴層(上層)の着色部(この実施例ではマゼンタ)の色が濃い部分だけでなく、薄く滲んで広がっている部分も含めた最大長さとした。
Figure 2022062314000001
Figure 2022062314000002
表1及び表2の結果から、実施例1~3は、いずれも、次式、(第二の硬化型液組成物の1500msecでの動的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)-(第二の硬化型液組成物の150msecでの動的表面張力-第二の硬化型液組成物の1500msec動的表面張力)が0mN/m以上であり、ドット配列の均一性が高く、ドット間距離が比較的均一になっていることがわかった。
一方、比較例1~3は、いずれも、次式、(第二の硬化型液組成物の1500msecでの動的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)-(第二の硬化型液組成物の150msecでの動的表面張力-第二の硬化型液組成物の1500msec動的表面張力)が0mN/mより小さいため、ドット間距離が均一ではない。特に比較例3では、鮮鋭性が低くドット径が大きく広がる着弾挙動を示すにも関わらず、ドット列間で隙間があいてしまう。
また、次式、(第一の硬化型液組成物の静的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)が0mN/m以上3mN/m以下である実施例2及び3は、画像サイズの変化率が経時でも10%以内に収まり安定していることがわかった。なお、次式、(第一の硬化型液組成物の静的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)が0mN/m未満である実施例1は、多少縮む傾向にあり、濃度も若干低めになっていることがわかった。
一方、次式、(第一の硬化型液組成物の静的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)が3mN/mより大きい比較例1及び3は、経時で画像サイズが大きく変化しており、特に5mN/mより大きい比較例3では直後から画像サイズが大きくなっていることがわかった。
また、実施例3は、第一の硬化型液組成物と第二の硬化型液組成物が同一の分子骨格を有する界面活性剤を用いており、特異的に直後から表面に浮きやすい性質を示すために、濃度と鮮鋭性が両立できる傾向が認められた。
表1及び表2の実施例及び比較例で使用した材料の詳細な内容については、以下の通りである。
<モノマー>
-単官能モノマー-
・ACMO:アクリロイルモルフォリン、KJケミカルズ株式会社製、ACMO
・PEA:フェノキシエチルアクリレート、大阪有機化学工業株式会社製、ビスコート#192
・CTFA:環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート、大阪有機化学工業株式会社製、ビスコート#200
-多官能モノマー-
・CN963:脂肪族ウレタンアクリレート、サートマー社製、CN963J85
<界面活性剤>
-シリコーン系界面活性剤-
・Twin 4000:Evonik社製、TEGO Twin 4000
・Rad 2100:Evonik社製、TEGO Rad 2100
・Glide 432:Evonik社製、TEGO Glide 432
・Rad 2500N:Evonik社製、TEGO Rad 2500N
-フッ素系界面活性剤-
・RS-76:DIC株式会社製、RS-76-NS(有効成分20質量%)※DPGDA希釈
<重合開始剤>
・TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、iGM社製、Omnirad TPO H
<色材>
・TiO:酸化チタン(ホワイトインク用色材)
・マゼンタ顔料:PR122(マゼンタインク用色材)
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 少なくとも第一の硬化型液組成物と第二の硬化型液組成物を有し、
次式、(第二の硬化型液組成物の1500msecでの動的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)-(第二の硬化型液組成物の150msecでの動的表面張力-第二の硬化型液組成物の1500msec動的表面張力)≧0mN/m、を充たすことを特徴とする硬化型液組成物セットである。
<2> 前記第一の硬化型液組成物からなる液体状態の第一の液層に、前記第二の硬化型液組成物を付与して第二の液滴層を積層するウェットオンウェット積層に用いられる、前記<1>に記載の硬化型液組成物セットである。
<3> 次式、(第二の硬化型液組成物の1500msecでの動的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)-(第二の硬化型液組成物の150msecでの動的表面張力-第二の硬化型液組成物の1500msec動的表面張力)≧3mN/m、を充たす、前記<1>から<2>のいずれかに記載の硬化型液組成物セットである。
<4> 次式、(第二の硬化型液組成物の1500msecでの動的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)-(第二の硬化型液組成物の150msecでの動的表面張力-第二の硬化型液組成物の1500msec動的表面張力)≧5mN/m、を充たす、前記<3>に記載の硬化型液組成物セットである。
<5> 次式、(第一の硬化型液組成物の静的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)≦5mN/m、を充たす、前記<1>から<4>のいずれかに記載の硬化型液組成物セットである。
<6> 次式、(第一の硬化型液組成物の静的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)≦3mN/m、を充たす、前記<5>に記載の硬化型液組成物セットである。
<7> 次式、0mN/m≦(第一の硬化型液組成物の静的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)、を充たす、前記<5>から<6>のいずれかに記載の硬化型液組成物セットである。
<8> 前記第二の硬化型液組成物が、少なくとも1種の界面活性剤を含有し、前記界面活性剤の含有量が0.001質量%以上0.15質量%以下である、前記<1>から<7>のいずれかに記載の硬化型液組成物セットである。
<9> 前記界面活性剤の含有量が0.001質量%以上0.01質量%以下である、前記<8>に記載の硬化型液組成物セットである。
<10> 前記第一の硬化型液組成物及び前記第二の硬化型液組成物が、それぞれ同一の分子骨格を有する界面活性剤を含有する、前記<1>から<9>のいずれかに記載の硬化型液組成物セットである。
<11> 前記第一の硬化型液組成物及び前記第二の硬化型液組成物が、それぞれ同一の分子骨格及び分子量分布を有する界面活性剤を含有する、前記<10>に記載の硬化型液組成物セットである。
<12> 液体状態の第一の液層に、第二の硬化型液組成物を付与して第二の液滴層を積層するウェットオンウェット積層に用いられ、
次式、(第二の硬化型液組成物の1500msecでの動的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)-(第二の硬化型液組成物の150msecでの動的表面張力-第二の硬化型液組成物の1500msec動的表面張力)≧0mN/m、を充たすことを特徴とする硬化型液組成物である。
<13> 前記<1>から<11>のいずれかに記載の硬化型液組成物セットにおける第一の硬化型液組成物を付与して第一の液層を形成する第一の液層形成工程と、
前記第一の液層に、前記<1>から<11>のいずれかに記載の硬化型液組成物セットにおける第二の硬化型液組成物を付与して、第二の液滴層を形成する第二の液滴層形成工程と、
前記第一の液層及び前記第二の液滴層を硬化させる硬化工程と、
を含むことを特徴とする積層体の製造方法である。
<14> 前記第二の液滴層形成工程において、前記第二の硬化型液組成物がインクジェットヘッドの複数のノズル列から吐出される、前記<13>に記載の積層体の製造方法である。
<15> 隣接するノズル列の間隔が、印刷方向と平行な距離で10mm以上である、前記<14>に記載の積層体の製造方法である。
<16> 前記<1>から<11>のいずれかに記載の硬化型液組成物セットにおける第一の硬化型液組成物を付与して第一の液層を形成する第一の液層形成手段と、
前記第一の液層に、前記<1>から<11>のいずれかに記載の硬化型液組成物セットにおける第二の硬化型液組成物を付与して、第二の液滴層を形成する第二の液滴層形成手段と、
前記第一の液層及び前記第二の液滴層を硬化させる硬化手段と、
を有することを特徴とする積層体の製造装置である。
前記<1>から<11>のいずれかに記載の硬化型液組成物セット、前記<12>に記載の硬化型液組成物、前記<13>から<15>のいずれかに記載の積層体の製造方法、及び前記<16>に記載の積層体の製造装置によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
21 供給ロール
22 基材
23 印刷ユニット
23a 第一の硬化型液組成物を含有したインクカートリッジと吐出ヘッドを備える各印刷ユニット
23b 第二の硬化型液組成物を含有したインクカートリッジと吐出ヘッドを備える各印刷ユニット
24 光源
25 加工ユニット
26 印刷物巻取りロール
31 基材
32a 第一の硬化型液組成物
32b 第一の硬化型液組成物からなる第一の液層
33a 第二の硬化型液組成物
33b 第二の硬化型液組成物からなる第二の液滴層
34 第一の硬化型液組成物を搭載した第一の吐出手段
35 第二の硬化型液組成物を搭載した第二の吐出手段
36 活性エネルギー線照射手段
37 活性エネルギー線

Claims (16)

  1. 少なくとも第一の硬化型液組成物と第二の硬化型液組成物を有し、
    次式、(第二の硬化型液組成物の1500msecでの動的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)-(第二の硬化型液組成物の150msecでの動的表面張力-第二の硬化型液組成物の1500msec動的表面張力)≧0mN/m、を充たすことを特徴とする硬化型液組成物セット。
  2. 前記第一の硬化型液組成物からなる液体状態の第一の液層に、前記第二の硬化型液組成物を付与して第二の液滴層を積層するウェットオンウェット積層に用いられる、請求項1に記載の硬化型液組成物セット。
  3. 次式、(第二の硬化型液組成物の1500msecでの動的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)-(第二の硬化型液組成物の150msecでの動的表面張力-第二の硬化型液組成物の1500msec動的表面張力)≧3mN/m、を充たす、請求項1から2のいずれかに記載の硬化型液組成物セット。
  4. 次式、(第二の硬化型液組成物の1500msecでの動的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)-(第二の硬化型液組成物の150msecでの動的表面張力-第二の硬化型液組成物の1500msec動的表面張力)≧5mN/m、を充たす、請求項3に記載の硬化型液組成物セット。
  5. 次式、(第一の硬化型液組成物の静的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)≦5mN/m、を充たす、請求項1から4のいずれかに記載の硬化型液組成物セット。
  6. 次式、(第一の硬化型液組成物の静的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)≦3mN/m、を充たす、請求項5に記載の硬化型液組成物セット。
  7. 次式、0mN/m≦(第一の硬化型液組成物の静的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)、を充たす、請求項5から6のいずれかに記載の硬化型液組成物セット。
  8. 前記第二の硬化型液組成物が、少なくとも1種の界面活性剤を含有し、前記界面活性剤の含有量が0.001質量%以上0.15質量%以下である、請求項1から7のいずれかに記載の硬化型液組成物セット。
  9. 前記界面活性剤の含有量が0.001質量%以上0.01質量%以下である、請求項8に記載の硬化型液組成物セット。
  10. 前記第一の硬化型液組成物及び前記第二の硬化型液組成物が、それぞれ同一の分子骨格を有する界面活性剤を含有する、請求項1から9のいずれかに記載の硬化型液組成物セット。
  11. 前記第一の硬化型液組成物及び前記第二の硬化型液組成物が、それぞれ同一の分子骨格及び分子量分布を有する界面活性剤を含有する、請求項10に記載の硬化型液組成物セット。
  12. 液体状態の第一の液層に、第二の硬化型液組成物を付与して第二の液滴層を積層するウェットオンウェット積層に用いられ、
    次式、(第二の硬化型液組成物の1500msecでの動的表面張力-第二の硬化型液組成物の静的表面張力)-(第二の硬化型液組成物の150msecでの動的表面張力-第二の硬化型液組成物の1500msec動的表面張力)≧0mN/m、を充たすことを特徴とする硬化型液組成物。
  13. 請求項1から11のいずれかに記載の硬化型液組成物セットにおける第一の硬化型液組成物を付与して第一の液層を形成する第一の液層形成工程と、
    前記第一の液層に、請求項1から11のいずれかに記載の硬化型液組成物セットにおける第二の硬化型液組成物を付与して、第二の液滴層を形成する第二の液滴層形成工程と、
    前記第一の液層及び前記第二の液滴層を硬化させる硬化工程と、
    を含むことを特徴とする積層体の製造方法。
  14. 前記第二の液滴層形成工程において、前記第二の硬化型液組成物がインクジェットヘッドの複数のノズル列から吐出される、請求項13に記載の積層体の製造方法。
  15. 隣接するノズル列の間隔が、印刷方向と平行な距離で10mm以上である、請求項14に記載の積層体の製造方法。
  16. 請求項1から11のいずれかに記載の硬化型液組成物セットにおける第一の硬化型液組成物を付与して第一の液層を形成する第一の液層形成手段と、
    前記第一の液層に、請求項1から11のいずれかに記載の硬化型液組成物セットにおける第二の硬化型液組成物を付与して、第二の液滴層を形成する第二の液滴層形成手段と、
    前記第一の液層及び前記第二の液滴層を硬化させる硬化手段と、
    を有することを特徴とする積層体の製造装置。

JP2020170230A 2020-10-08 2020-10-08 硬化型液組成物、硬化型液組成物セット、積層体の製造方法、及び積層体の製造装置 Active JP7501298B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020170230A JP7501298B2 (ja) 2020-10-08 2020-10-08 硬化型液組成物、硬化型液組成物セット、積層体の製造方法、及び積層体の製造装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2020170230A JP7501298B2 (ja) 2020-10-08 2020-10-08 硬化型液組成物、硬化型液組成物セット、積層体の製造方法、及び積層体の製造装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2022062314A true JP2022062314A (ja) 2022-04-20
JP7501298B2 JP7501298B2 (ja) 2024-06-18

Family

ID=81210872

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2020170230A Active JP7501298B2 (ja) 2020-10-08 2020-10-08 硬化型液組成物、硬化型液組成物セット、積層体の製造方法、及び積層体の製造装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7501298B2 (ja)

Family Cites Families (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB0205151D0 (en) 2002-03-05 2002-04-17 Sericol Ltd An ink-jet ink printing process and ink-jet inks used therein
JP2005342897A (ja) 2004-05-31 2005-12-15 Fuji Photo Film Co Ltd インク組成物、インクセット及びそれを用いる画像記録方法
JP2007261203A (ja) 2006-03-29 2007-10-11 Fujifilm Corp 画像形成方法および画像形成装置
EP2335940B1 (en) 2009-12-21 2012-07-11 Agfa Graphics N.V. Single pass inkjet printing method
JP5990868B2 (ja) 2010-04-09 2016-09-14 株式会社リコー インクジェット法による膜の作製方法及び膜
EP2633998B1 (en) 2012-03-02 2020-10-21 Agfa Nv Use of a single pass inkjet printing device
JP6065271B2 (ja) 2013-02-01 2017-01-25 株式会社リコー 画像形成方法、インクジェット記録用インクセット、インクカートリッジ、インクジェット記録装置、及び記録物
JP2017165925A (ja) 2016-03-18 2017-09-21 株式会社リコー 活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク、組成物収容容器、2次元又は3次元の像形成方法と像形成装置、像、構造体、成形加工品

Also Published As

Publication number Publication date
JP7501298B2 (ja) 2024-06-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2021146557A (ja) 積層体の製造方法、インクセット、インクジェット印刷装置、並びにインクジェット印刷方法
EP3404071B1 (en) Method of manufacturing laminar object and active energy ray curable ink
US10377151B2 (en) Image forming method, image forming apparatus, and laminated cured product
JP2018192784A (ja) インクジェット方式による積層体の製造方法、及び活性エネルギー線硬化型インク
JP2021017051A (ja) 印刷物の製造方法及び印刷物の製造装置、並びに印刷物
JP2021146640A (ja) 積層体、積層体製造方法及び積層体製造装置
CN112848725B (zh) 用于生产层压体及用于喷墨印刷方法的可固化液体组合物
JP2017115105A (ja) 活性エネルギー線硬化型インク、インク収容容器、2次元又は3次元の像形成装置、2次元又は3次元の像形成方法、及びインクジェット積層硬化物
JP2021074992A (ja) 積層体及びその製造方法、並びにインクセット
JP7501298B2 (ja) 硬化型液組成物、硬化型液組成物セット、積層体の製造方法、及び積層体の製造装置
US11498351B2 (en) Laminated body and method for producing the same, curable liquid composition set, inkjet printing apparatus, and inkjet printing method
JP2022057729A (ja) インクセット及び積層体の製造方法
JP7470286B2 (ja) インク、インクセット、インク容器、記録方法、及び、記録装置
US20220306885A1 (en) Ink set, and method for producing laminate
JP2021084088A (ja) 積層体の製造方法
US20230018944A1 (en) Active energy ray curing composition, active energy ray curing ink composition, active energy ray curing inkjet ink composition, container, image forming device, image forming method, and cured matter
US20170137640A1 (en) Active-energy-ray-curable composition, active-energy-ray-curable ink, composition stored container, image forming method, image forming apparatus, cured material, and image formed matter
JP2021146272A (ja) 硬化積層体の製造方法及び硬化積層体の製造装置、並びに硬化型組成物セット
US10953679B2 (en) Method for manufacturing printed matter and printed matter
WO2021084820A1 (en) Active-energy-ray-curable composition, active-energy-ray-curable ink composition, active-energy-ray-curable inkjet ink composition, and two-dimensional or three-dimensional image forming method
JP7456147B2 (ja) 活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク組成物、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物、組成物収容容器、2次元又は3次元の像形成装置、2次元又は3次元の像形成方法、硬化物、及び加飾体
JP2022097872A (ja) 積層体の製造方法
JP7415357B2 (ja) 活性エネルギー線硬化型組成物、収容容器、2次元又は3次元の像形成装置、2次元又は3次元の像形成方法、硬化物、成形加工品、及び立体造形物の製造方法
JP2012192721A (ja) 印刷物および印刷物の製造方法
JP2021113273A (ja) 活性エネルギー線硬化型組成物、活性エネルギー線硬化型インク組成物、活性エネルギー線硬化型インクジェット用インク組成物、2次元または3次元の像形成装置、2次元または3次元の像形成方法、硬化物及び加飾体

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20220601

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20230829

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20240415

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20240507

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20240520

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 7501298

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150