JP2021146557A - 積層体の製造方法、インクセット、インクジェット印刷装置、並びにインクジェット印刷方法 - Google Patents

積層体の製造方法、インクセット、インクジェット印刷装置、並びにインクジェット印刷方法 Download PDF

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Abstract

【課題】機能の異なる複数の液組成物を用いた場合であっても、高生産性であり、高濃度、及び高精細な画像を有する積層体が得られる積層体の製造方法の提供。【解決手段】基材に、保護層用硬化型液組成物を付与して保護液層を形成する保護液層形成工程と、画像液滴層用硬化型液組成物を付与して前記保護液層に着弾させ、前記画像液滴層用硬化型液組成物からなる画像液滴が、前記保護液層を通って前記基材に配される画像液滴層形成工程と、前記保護液層及び前記画像液滴層を硬化させて、保護層及び画像液滴層を得る硬化工程と、を含む積層体の製造方法。【選択図】図2

Description

本発明は、積層体の製造方法、インクセット、インクジェット印刷装置、並びにインクジェット印刷方法に関する。
近年、活性エネルギー線硬化型インクは、オフセット、シルクスクリーン、トップコート剤などに広く用いられているが、乾燥工程の簡略化によるコストダウン、環境対応として溶剤の揮発量低減などの利点を有するので使用量が増加している。最近では、オンデマンド性などの点からインクジェットを用いた加飾印刷やコーティングを施す産業用途が増加している。
しかし、インクジェット適性として、一般的に塗膜堅牢性と密着性はトレードオフの関係にあり、インク塗膜だけでは市場要求を満たさないことが多い。そこで、別途コーティングやラミネートなどを施す必要があるが、別工程となると生産性が低下してしまう。また、インラインでインクジェットによる画像工程とコーティング工程を設けることで生産性を維持することもできるが、各層に対応した工程を連結させた大型の装置が必要となり、オンデマンド性のメリットの大きな小型のインクジェット装置には適応できない。
一方、シリアルプリンタ等のインクジェット装置単体で多層を形成しようとすると各層をそれぞれ印刷する必要があるため、生産速度が著しく低下する。そこで、各層をそれぞれ印刷するのではなく、インクジェットにより密着性用下地層と塗膜堅牢性用上層と画像用カラー層とを一つの工程で一括吐出により積層状態を乱さずに多層形成できれば、生産性の大幅な向上となり、多層形成して機能分離することで塗膜堅牢性と密着性の両立も図れる。
しかし、単純に機能の異なるインクを一括で吐出しても層を形成できず、塗膜堅牢性及び密着性が得られなかったり、鮮鋭性及び画像形状精度が低下し画像が乱れたり、発色性が得られないという問題がある。
そこで、前記課題を解決するため、例えば、第1の活性エネルギー線硬化性液体(A液)の液面に、目的の周期的信号に従って、インクジェット法で第2の液体(B液)を吐出した後、前記A液及び前記B液に活性エネルギー線を照射して硬化させ、周期的なパターンが形成された膜を精度よく簡易に作製する膜の作製方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
本発明は、機能の異なる複数の液組成物を用いた場合であっても、高生産性であり、高濃度、及び高精細な画像を有する積層体が得られる積層体の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するための手段としての本発明の積層体の製造方法は、
基材に、保護層用硬化型液組成物を付与して保護液層を形成する保護液層形成工程と、
画像液滴層用硬化型液組成物を付与して前記保護液層に着弾させ、前記画像液滴層用硬化型液組成物からなる画像液滴が、前記保護液層を通って前記基材に配される画像液滴層形成工程と、
前記保護液層及び前記画像液滴層を硬化させて、保護層及び画像液滴層を得る硬化工程と、を含む。
本発明によると、機能の異なる複数の液組成物を用いた場合であっても、高生産性であり、高濃度、及び高精細な画像を有する積層体が得られる積層体の製造方法提供することができる。
図1は、インクジェット吐出手段を備えたインクジェット印刷装置の一例を示す概略図である。 図2は、複数のインクジェットヘッドとUV光源を一連のキャリッジに搭載したインクジェット吐出装置を用いた、積層体の形成状態を示した概略図である。
(積層体の製造方法)
本発明の積層体の製造方法は、基材(基材表面、基材上)に、保護層用硬化型液組成物を付与して保護液層を形成する保護液層形成工程と、画像液滴層用硬化型液組成物を付与して前記保護液層に着弾させ、前記画像液滴層用硬化型液組成物からなる画像液滴が、前記保護液層を通って前記基材に配される画像液滴層形成工程と、前記保護液層及び前記画像液滴層を硬化させて、保護層及び画像液滴層を得る硬化工程と、を含み、更に必要に応じてその他の工程を含む。
更に、前記積層体の製造方法は、基材に、密着層用硬化型液組成物を付与して密着液層を形成する密着液層形成工程と、保護層用硬化型液組成物を前記密着液層上に付与して、保護液層を形成する保護液層形成工程と、画像液滴層用硬化型液組成物を付与して前記保護液層に着弾させ、前記画像液滴層用硬化型液組成物からなる画像液滴が、前記保護液層及び前記密着液層を通って前記基材に配される画像液滴層形成工程と、前記密着液層、前記保護液層、及び前記画像液滴層を硬化させる硬化工程と、を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含む。
基材上に、画像用の液組成物からなる液滴を配列した多層を形成させる場合、基材上に画像用の液組成物からなる液滴を描画した後に硬化工程をはさみ、その後別のインクを積層させて硬化させる方法が一般的である。その場合には、工程が多くなるため、システムによっては生産性が低下する。一方、実質的に硬化工程をはさまずに一括で多層形成した後に硬化させる方法においては、生産性は向上するものの、最初に画像用の液組成物からなる液滴を配列させると、画像用の液組成物からなる液滴が未硬化のため、画像用の液組成物からなる液滴の合一により画像が変形したり濃淡の制御が困難であったり、上から着弾する別の液滴により画像用の液組成物からなる液滴が潰され、画像用の液組成物からなる液滴の膜厚の薄い部分が発生して濃度が低下したりするという問題がある。
そこで、本発明者らは、保護層用の液組成物を基材上に塗工して、保護層用の液組成物からなる層(保護液層)を形成した後に、画像用の液組成物を保護層形成用の液組成物からなる層に着弾させ、画像用の液組成物からなる液滴を基材上に配する方法について検討した。
画像用の液組成物を保護液層に着弾する方法をとると、画像用の液組成物からなる液滴は、液滴の合一がなく形状が乱されることがなく、画像は乱れず、濃度の低下も起きない。また、画像用の液組成物からなる液滴を、保護液層を貫通させて、基材上に到達させるため、例えば、基材に透明基材、保護層形成用の液組成物にホワイトインク、画像用の液組成物にカラーインクを用いると、基材側に高精細なカラー画像が、印刷面側にホワイト画像が、映し出されることになる。これらの積層体の製造は、実質的に硬化工程をはさまない一括の多層形成工程により実施されるため、高生産性となる。
したがって、本発明の積層体の製造方法によると、実質的に硬化工程をはさまない高生産性を有する一括多層形成方式において、基材上に画像用の液組成物からなる液滴を高精細に配列した、高濃度な積層体が得られる。
なお、基材上に画像用の液組成物からなる液滴を配するとは、基材と画像用の液組成物からなる液滴が接していることを示す。そして、保護層用の液組成物よりも基材に対する接触面積が大きいことが好ましい。例えば、上記のような透明基材とホワイトインクとカラーインクのような構成において、透明基材とカラーインク滴の間にほとんどホワイトインクが存在せず、カラー画像が発色できる状態が好ましい。
また、各工程の間に硬化工程をはさまずに積層体を製造することにより、高い生産性が得られるだけでなく小型のインクジェット装置に対応でき、層間剥離が起こりにくいため、各層ごとに硬化して得られた積層体よりも高密着性が得られ、リコート性に配慮しなくてよいので、防汚性や滑り性等の表面性付与も可能となる。なお、実質的に硬化工程をはさまずとは、必ずしも活性エネルギー線照射装置などの硬化工程がないことを意味するのではなく、保護層形成用の液組成物からなる液層が液体のまま少なくとも完全には硬化していない状態で、画像用の液組成物を着弾させた際に、保護層形成用の液組成物からなる保護液層に潜り込み貫通させることができることを示す。さらに、密着層用の液組成物に基材密着用のインク、保護層用の液組成物に塗膜保護用のインクなどを用い、使い分ければ、密着層用の硬化型液組成物に由来する密着性と保護層用の硬化型液組成物に由来する堅牢性とを両立させることができる。
<保護液層形成工程>
前記保護液層形成工程は、基材又は後述する密着液層に保護層用硬化型液組成物を付与して、保護液層を形成する工程である。
保護液層用硬化型液組成物は、後述の硬化型液組成物を用いることができる。
保護液層用硬化型液組成物を付与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナイフコート法、ノズルコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、グラビアコート法、ロータリースクリーンコート法、リバースロールコート法、ロールコート法、スピンコート法、ニーダーコート法、バーコート法、ブレードコート法、キャスト法、ディップ法、カーテンコート法等の塗工方法、インクジェット方式などが挙げられる。これらの中でも、特に後述する密着液層上に保護液を形成する場合には、非接触で微小サイズの液滴を多量に付与できる点から、インクジェット方式が好ましい。
<<基材>>
前記基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プラスチックフィルム、合成繊維からなる合成紙、不織布等のシート、建築用材料などが挙げられる。これらの中でも、耐久性を有する基材が好ましく、建築用材料がより好ましい。
前記基材としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、天然紙、合成紙等の紙、プラスチックフィルム、不織布、布、木材、金属薄膜、皮革、ガラス、セラミックス、又はこれらの複合材料などが挙げられる。これらの中でも、透明性の点から、プラスチックフィルムやガラスが好ましい。
前記プラスチックフィルムとしては、例えば、ポリエステルフィルム;ポリプロピレンフィルム;ポリエチレンフィルム;ナイロン、ビニロン、アクリル等のプラスチックフィルム、又は前記フィルムの貼り合わせたものなどが挙げられる。
前記プラスチックフィルムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、強度の点から、一軸又は二軸延伸されていることが好ましい。
前記不織布としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリエチレン繊維をシート状に散布し、熱圧着させてシート状に形成したものなどが挙げられる。
前記建築用材料としては、例えば、床材、壁紙、内装材、壁板材、巾木材、天井材、柱などで使用される熱硬化性樹脂、繊維版、パーティクルボード、又は上記素材の表面に、熱硬化性樹脂、オレフィン、ポリエステル、PVC等の化粧板を設けたものが挙げられる。
<画像液滴層形成工程>
画像液滴層形成工程は、画像液滴層用硬化型液組成物を付与して、前記保護液層に着弾させ、前記画像液滴層用硬化型液組成物からなる画像液滴が、前記保護液層を通って基材に配される工程である。
画像液滴層形成工程は、画像液滴層用硬化型液組成物を付与して、前記保護液層に着弾させ、前記画像液滴層用硬化型液組成物からなる画像液滴が、前記保護液層及び後述する密着液層を通って基材に配される工程である。
前記保護液層を通るとは、画像液滴が、前記保護液層及び前記密着液層を貫通して、基材に到達するまでのことを指す。
基材に配するとは、画像液滴が基材に接して配列している状態を意味する。基材に接している部分としては一部(ごく少量)でも問題ないが、表面に露出している画像液滴の面積より、基材と接している画像液滴の面積のほうが大きいことが好ましく、さらには、保護液層内で基材と接して滴を形成していることが好ましい。
画像液滴層用硬化型液組成物は、後述の硬化型液組成物を用いることができる。
画像液滴層用硬化型液組成物を付与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、非接触で、色ごとに微小サイズの液滴を吐出でき、多量に付与できる点から、インクジェット方式が好ましい。
<密着液層形成工程>
前記密着液層形成工程は、基材に密着層用硬化型液組成物を付与して、密着液層を形成する工程である。
密着層用硬化型液組成物は、後述の硬化型液組成物を用いることができる。
密着層用硬化型液組成物を付与する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ナイフコート法、ノズルコート法、ダイコート法、リップコート法、コンマコート法、グラビアコート法、ロータリースクリーンコート法、リバースロールコート法、ロールコート法、スピンコート法、ニーダーコート法、バーコート法、ブレードコート法、キャスト法、ディップ法、カーテンコート法等の塗工方法、インクジェット方式などが挙げられる。これらの中でも、インクジェット方式が好ましい。
<硬化型液組成物>
前記硬化型液組成物は、少なくとも保護層用硬化型液組成物と画像液滴層用硬化型液組成物との組み合わせ、又は、保護層用硬化型液組成物と、密着層用硬化型液組成物、及び画像液滴層用硬化型液組成物との組み合わせからなり、それぞれの液組成物間で異なる物性(表面張力及び粘度)を有し、異なる着弾挙動を示す。
前記硬化型液組成物の組み合わせとしては、以下の着弾挙動を示すことが好ましい。
硬化型液組成物として、保護層用硬化型液組成物と画像液滴層用硬化型液組成物との組み合わせを用いた場合、画像液滴層用硬化型液組成物は、保護層用硬化型液組成物からなる保護液層に着弾したときに、表面で拡散せず、保護液層の内部に潜り込み、液滴の状態を保ったまま、保護液層を通って(貫通して)、基材まで到達する性質を示す。
また、硬化型液組成物として、保護層用硬化型液組成物と、密着層用硬化型液組成物と、画像液滴層用硬化型液組成物との組み合わせを用いた場合、以下の2点を満たすことが好ましい。
・保護層用硬化型液組成物が、密着層用硬化型液組成物からなる密着液層上で広がり多層を形成する性質を示す。
・画像液滴層用硬化型液組成物が、保護層用硬化型液組成物からなる保護液層に着弾したときに、表面で拡散せず、液滴の状態を保ったまま、保護液層の内部に潜り込み、保護液層、及び密着液層を通って(貫通して)、基材まで到達する性質を示す。
これらの性質は、着弾時の挙動観察や、得られた積層体の表面、内部、断面、裏面等を観察することで確認することが可能である。
上記のような組み合わせであれば、画像液滴層用硬化型液組成物からなる画像液滴が、保護液層及び密着液層の内部に潜り込むため、複数の吐出装置を用いるなどして、画像液滴層用硬化型液組成物からなる画像液滴の着弾のタイミングにばらつきが生じていても、先に着弾した画像液滴の上でなく、保護液層に同様に着弾することができ、着弾挙動が統一化される。そのため、例えば、カラーの異なる複数の画像用の液組成物であっても、それらを高精度で配列させることが可能になる。
上記のような着弾挙動を示すことができれば、保護層用、密着層用、及び画像液滴層用の液組成物の材料構成については、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
前記保護層用、密着層用、及び画像液滴層用の液組成物中のモノマーや界面活性剤の種類や含有量により上記挙動は変化させることができ、特に界面活性剤では微量添加で表面張力を調整でき着弾挙動を変化させることができ、特にモノマーでは粘度を調整でき着弾挙動を変化させることができる。
前記硬化型液組成物は、モノマー及び界面活性剤を含有し、重合開始剤、及び色材を含有することが好ましく、更に必要に応じて有機溶媒などのその他の成分を含有する。
<<モノマー>>
前記モノマーは、加熱、又は活性エネルギー線(紫外線、電子線等)によって生成された活性種により重合反応を生起し、硬化する化合物であり、官能基数に応じて、多官能モノマーや単官能モノマーが挙げられる。
前記モノマーとしては、重合性モノマーであればよく、重合性オリゴマーや重合性ポリマー(マクロモノマー)を含んでいてもよい。
それぞれの硬化型液組成物について、モノマーの種類について特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、画像液滴層用硬化型液組成物、及び密着層用硬化型液組成物は、積層体の下層に位置し基材に接するため、密着性の機能を付与させて密着層を形成する性質と有することが好ましいことから、単官能モノマーを多く含むことが好ましく、単官能モノマーを80質量%以上含むことがより好ましい。
一方、保護層用硬化型液組成物は、積層体の上層に位置するため、塗膜堅牢性の機能を付与させて硬質層を形成することが好ましく、多官能モノマーを多く含むことが好ましく、多官能モノマーを50質量%以上含むことがより好ましい。
モノマーの種類や配合量によっても、得られる硬化型液組成物の表面張力や粘度を変化させることができ、硬化型液組成物からなる液滴の着弾挙動を変えることができる。特に粘度については、モノマーの種類や配合量の影響を受けやすく、モノマーによって調整することが好ましい。また、特に界面活性剤の表面張力低下能が小さい場合や、界面活性剤量が少ない場合には、モノマー配合の影響が大きくなるため、モノマーによって調整することもできる。
モノマーの種類としては、界面活性剤の効果を阻害しないことが好ましい。
更に、モノマーは、それぞれの硬化型液組成物が上記の着弾挙動を示すように異なる液物性を付与するため、特に粘度を調整するために調整される。
本発明においては、保護層及び密着層用硬化型液組成物と、画像液滴層用硬化型液組成物と、の粘度の関係から、モノマーを選択することができる。これは、本発明において、画像液滴層用硬化型液組成物からなる画像液滴が、保護層又は密着層用硬化型液組成物からなる層に着弾して、表面で拡散せず、保護液層及び密着層液層の内部に潜り込み、これらの液層を貫通して、基材まで到達する性質を示す必要があるからである。
モノマーの種類については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、中でも、オリゴマーは少量添加で粘度を調整することができることが多く、粘度のみを変化させたい場合には特に好ましい。
粘度の関係としては、画像液滴層用硬化型液組成物の粘度を、保護層及び密着層用硬化型液組成物の粘度よりも大きくすることが好ましい。粘度の関係がこのようであれば、画像液滴層用硬化型液組成物を基材まで到達させやすい。
−多官能モノマー−
前記多官能モノマーとしては、2官能モノマー、3官能モノマー、又はそれ以上の官能基数のモノマーを含む。
前記多官能モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド(PO)付加物ジ(メタ)アクリレート、エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAのエチレンオキサイド(EO)付加物ジ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、PO変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、PO変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、PO変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、PO変性テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ジメチロールトリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテル(メタ)アクリル酸付加物、変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートトリレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、シリコーン(メタ)アクリレートオリゴマーなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、官能基数としては、2〜6官能など好ましく、2官能モノマーが低粘度の点から特に好ましい。また、オリゴマーとしては高粘度なものが多く、粘度調整に用いることができる。
−単官能モノマー−
単官能モノマーは、官能基数が1のモノマーである。
前記単官能モノマーとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルフォホリン、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、2−メチル−2−アダマンチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(メタ)アクリレート、t−ブチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、(2−メチル−2−エチル−1,3−ジオキソラン−4−イル)メチルアクリレート、環状トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
<<界面活性剤>>
界面活性剤としては、それぞれの硬化型液組成物が上記の着弾挙動を示すように異なる液物性を付与するため、特に表面張力を調整するために添加される。
画像液滴層用硬化型液組成物からなる画像液滴は、保護液層及び密着液層に着弾して、表面で拡散せず、保護液層及び密着液層の内部に潜り込み、保護液層及び密着液層を貫通して、基材まで到達する性質を示す。このため、保護層用硬化型液組成物及び密着層用硬化型液組成物と、画像液滴層用硬化型液組成物と、の表面張力との関係から、界面活性剤を選択することができる。
界面活性剤の種類について、上記の挙動を示すことができれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、有機系界面活性剤などが挙げられる。
画像液滴層用硬化型液組成物に含有される界面活性剤としては、これらの中でも、フッ素系界面活性剤、有機系界面活性剤を含むことが好ましい。
フッ素系界面活性剤は、静的表面張力の割に高い動的表面張力を示すことが多く、着弾時に界面活性剤が再配向しにくく液滴の界面を維持しやすく拡散しにくいと考えられ、画像液滴層形成用硬化型液組成物からなる液滴が、保護液層及び密着液層に潜り込みやすい。
有機系界面活性剤は、表面張力そのものが高いことが多く、液層に潜り込みやすく、浮きにくく、画像液滴を貫通させやすい。
一方、保護層用硬化型液組成物、及び密着層用硬化型液組成物、特に、保護層用硬化型液組成物については、界面活性剤の種類については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。例えば、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤、有機系界面活性剤などが挙げられる。これらの中でも、シリコーン系界面活性剤が好ましい。これは、静的表面張力の割に低い動的表面張力を示すことが多く、着弾時に界面活性剤が再配向しやすいと考えられ、表層を形成しやすく、画像液滴が潜り込みやすく、浮きにくく、貫通させやすい。更に、保護層用硬化型液組成物が、密着液層表面で拡散して広がり多層を形成する性質を発現させやすい。
また、密着層用硬化型液組成物と保護層用硬化型液組成物と画像液滴層用硬化型液組成物とは、それぞれ異なる量、又は種類の界面活性剤を含有することが好ましい。
密着層用硬化型液組成物と保護層用硬化型液組成物との間では、保護層用硬化型液組成物が密着層用硬化型液組成物からなる密着液層上に、保護層用硬化型液組成物からなる保護液層を形成することが好ましく、保護液層を形成するためには異なる表面張力を示す必要があり、界面活性剤の添加量や種類が異なることが好ましい。
また、画像液滴層用硬化型液組成物としては、密着液層及び保護液層を通る(貫通する)必要があり、画像液滴層用硬化型液組成物からなる画像液滴の界面を維持することが、流体抵抗の観点から好ましい。このため、画像液滴層用硬化型液組成物に含有される界面活性剤と、密着層用硬化型液組成物及び保護層用硬化型液組成物に含有される界面活性剤と、は異なる種類の界面活性剤を含有することが好ましい。この異なる種類とは、分子構造の元素の種類、長さ、分子量分布、分子内構造の比率などが異なることを意味する。
<<重合開始剤>>
硬化型液組成物は、重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤としては、熱や活性エネルギー線のエネルギーによって、ラジカルやカチオンなどの活性種を生成し、重合性化合物(モノマーやオリゴマー)の重合を開始させることが可能なものであればよい。このような重合開始剤としては、公知のラジカル重合開始剤やカチオン重合開始剤、塩基発生剤等を、1種単独もしくは2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ラジカル重合開始剤が好ましい。
ラジカル重合開始剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、芳香族ケトン類、アシルフォスフィンオキサイド化合物、芳香族オニウム塩化合物、有機過酸化物、チオ化合物(チオキサントン化合物、チオフェニル基含有化合物など)、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、ケトオキシムエステル化合物、ボレート化合物、アジニウム化合物、メタロセン化合物、活性エステル化合物、炭素ハロゲン結合を有する化合物、アルキルアミン化合物などが挙げられる。
重合開始剤の含有量は、十分な硬化速度を得るために、硬化型液組成物の全量に対して、5質量%以上20質量%以下が好ましい。
上記重合開始剤に加え、重合促進剤(増感剤)を併用することもできる。前記重合促進剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、トリメチルアミン、メチルジメタノールアミン、トリエタノールアミン、p−ジエチルアミノアセトフェノン、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジメチルアミノ安息香酸−2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルベンジルアミン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン化合物などが挙げられる。
前記重合促進剤の含有量は、特に制限はなく、使用する重合開始剤やその量に応じて適宜設定することができる。
<<色材>>
前記硬化型液組成物は、色材を含有していてもよい。前記色材としては、硬化型液組成物の目的や要求特性に応じて、ブラック、ホワイト、マゼンタ、シアン、イエロー、グリーン、オレンジ、金や銀等の光沢色などを付与する種々の顔料や染料を用いることができる。
前記色材の含有量は、特に制限はなく、所望の色濃度や組成物中における分散性等を考慮して適宜決定することができるが、硬化型液組成物の全量に対して、0.1質量%以上20質量%以下が好ましい。
なお、硬化型液組成物は、色材を含まず無色透明であってもよい。
それぞれの硬化型液組成物の組み合わせに対して色材の添加は任意であるが、最後に着弾される画像液滴層用硬化型液組成物が、液滴のドットを高精細に配列させやすく、色材を含有する画像用カラーインクとすることが好ましい。
また、最初に基材上に着弾し、画像液滴層用硬化型液組成物からなる画像液滴とともに基材と接することのある密着層用硬化型液組成物としては、色材を含まないクリアインクであることが好ましい。
また、密着層の上層に位置する保護層に用いられる保護層用硬化型液組成物としては、ホワイトインク、クリアインクであることが好ましい。ホワイトインクを用いた場合、基材を透明基材とし、ホワイトインク層を白下地として透明基材面を表面とした画像を得ることもできる。クリアインクを用いた場合には、画像液滴層用硬化型液組成物からなる画像液滴層を厚膜のクリアインク層で保護した画像が得られ、例えば薬品などを含んだ布での擦りに対しても色落ちのない堅牢性の高い画像が得られる。
顔料としては、無機顔料又は有機顔料を使用することができ、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
無機顔料としては、例えば、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック等のカーボンブラック(C.I.ピグメントブラック7)類、酸化鉄、酸化チタンを使用することができる。
有機顔料としては、例えば、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、アゾレーキ、キレートアゾ顔料等のアゾ顔料、フタロシアニン顔料、ペリレン及びペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、キノフタロン顔料等の多環式顔料、染料キレート(例えば、塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、染色レーキ(例えば、塩基性染料型レーキ、酸性染料型レーキ)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック、昼光蛍光顔料などが挙げられる。
また、顔料の分散性をより良好なものとするため、分散剤を更に含んでもよい。
分散剤としては、特に限定されないが、例えば、高分子分散剤等の顔料分散物を調製するのに慣用されている分散剤などが挙げられる。
染料としては、例えば、酸性染料、直接染料、反応性染料、及び塩基性染料が使用可能であり、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
<<その他の成分>>
硬化型液組成物は、必要に応じてその他の成分を含んでもよい。
前記その他の成分としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、重合禁止剤、レべリング剤、消泡剤、蛍光増白剤、浸透促進剤、湿潤剤(保湿剤)、定着剤、粘度安定化剤、防黴剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、キレート剤、pH調整剤、増粘剤、有機溶媒などが挙げられる。
<<有機溶媒>>
硬化型液組成物は、有機溶媒を含んでもよいが、可能であれば含まない方が好ましい。
有機溶媒、特に揮発性の有機溶媒を含まない(VOC(Volatile Organic Compounds)フリー)硬化型液組成物であれば、当該硬化型液組成物を扱う場所の安全性がより高まり、環境汚染防止を図ることも可能となる。なお、「有機溶媒」とは、例えば、エーテル、ケトン、キシレン、酢酸エチル、シクロヘキサノン、トルエンなどの一般的な非反応性の有機溶媒を意味するものであり、反応性モノマーとは区別すべきものである。また、有機溶媒を「含まない」とは、実質的に含まないことを意味し、0.1質量%未満であることが好ましい。
<硬化型液組成物の調製>
硬化型液組成物は、上述した各種成分を用いて作製することができ、その調製手段や条件は特に限定されないが、例えば、モノマー、色材、分散剤等をボールミル、キティーミル、ディスクミル、ピンミル、ダイノーミルなどの分散機に投入し、分散させて顔料分散液を調製し、当該顔料分散液に更にモノマー、重合開始剤、重合禁止剤、界面活性剤などを混合させることにより調製することができる。
<粘度>
硬化型液組成物の粘度は、特に制限はなく、用途や適用手段に応じて適宜調整することができ、例えば、前記硬化型液組成物をノズルから吐出させるような吐出手段を適用する場合には、25℃における粘度が15mPa・s以上40mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以上40mPa・s以下がより好ましい。また、20℃から65℃の範囲における粘度が5mPa・s以上15mPa・s以下が好ましく、6mPa・s以上12mPa・s以下がより好ましい。
上記粘度範囲であれば、インクジェットにより吐出することができ、密着層用硬化型液組成物、保護層用硬化型液組成物、及び画像液滴層用硬化型液組成物の粘度は、いずれも25℃にて40mPa・s以下であることが好ましい。その結果、すべての工程をインクジェット方式にて行うことができる。
前記粘度範囲を、上記有機溶媒を含まずに満たしていることが特に好ましい。
ここで、上記粘度は、東機産業株式会社製コーンプレート型回転粘度計VISCOMETER TVE−22Lにより、コーンロータ(1°34’×R24)を使用し、回転数50rpm、恒温循環水の温度を20℃〜65℃の範囲で適宜設定して測定することができる。循環水の温度調整にはVISCOMATE VM−150IIIを用いることができる。
<硬化工程>
硬化工程は、保護液層、画像液滴層、及び密着液層を硬化させる工程である。
硬化手段としては、加熱硬化、又は活性エネルギー線による硬化が挙げられ、これらの中でも、活性エネルギー線による硬化が好ましい。
活性エネルギー線としては、紫外線の他、電子線、α線、β線、γ線、X線等の重合性成分の重合反応を進める上で必要なエネルギーを付与できるものであればよく、特に限定されない。特に高エネルギーな光源を使用する場合には、重合開始剤を使用しなくても重合反応を進めることができる。また、紫外線照射の場合、環境保護の観点から水銀フリー化が強く望まれており、GaN系半導体紫外発光デバイスへの置き換えは産業的、環境的にも非常に有用である。更に、紫外線発光ダイオード(UV−LED)及び紫外線レーザダイオード(UV−LD)は小型、高寿命、高効率、低コストであり、紫外線光源として好ましい。
<その他の工程>
その他の工程としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、制御工程などが挙げられる。
(インクセット)
本発明のインクセットは、少なくとも保護層用硬化型液組成物と画像液滴層用硬化型液組成物とを有し、密着層用硬化型液組成物を有することが好ましい。
保護層用硬化型液組成物、画像液滴層用硬化型液組成物、及び密着層用硬化型液組成物は、前述の硬化型液組成物を用いることができる。
前記インクセットは、画像液滴層用硬化型液組成物からなる画像液滴が、保護層用硬化型液組成物からなる保護液層を貫通するために、次式を満たす。
・「保護層用硬化型液組成物の静的表面張力(mN/m)」−「画像液滴層用硬化型液組成物の静的表面張力(mN/m)」<5mN/m
・「保護層用硬化型液組成物の粘度(mPa・s)」/「画像液滴層用硬化型液組成物の粘度(mPa・s)」≦0.7
静的表面張力の差(「保護層用硬化型液組成物の静的表面張力(mN/m)」−「画像液滴層用硬化型液組成物の静的表面張力(mN/m)」)としては、5mN/m未満であり、0mN/m未満が好ましい。前記静的表面張力の差が、5mN/m以上であれば、一時的であってもほとんど潜ることがなくなる。前記静的表面張力の差が、5mN/m未満であれば、画像液滴層用硬化型液組成物からなる画像液滴が、保護層用硬化型液組成物からなる保護液層に潜り込むことができる。前記静的表面張力の差が、0mN/m以上であると、画像液滴が、一時的に保護液層に潜ったとしても、経時で浮いてくる場合がある。このため、画像液滴が浮く前に、硬化工程を入れて、保護液層及び画像液滴層を硬化させる必要がある。
前記静的表面張力の差が、0mN/m未満であると、画像液滴は、経時でも浮いてくることがなくなる。
前記粘度比(「保護層形成用の液組成物の粘度(mPa・s)」/「画像用の液組成物の粘度(mPa・s)」)としては、0.7以下であり、0.5以下が好ましい。前記粘度比が、0.7よりも大きい場合には、たとえ画像用の液組成物からなる液滴が層形成用の液組成物からなる液層の中に潜ったとしても貫通して基材に到達しにくい。
前記粘度比は、保護液層用硬化型液組成物及び密着層用硬化型液組成物の組合せなど、複数の硬化型液組成物を採用している場合には、画像液滴層用硬化型液組成物以外の硬化型液組成物の体積平均の粘度と、画像液滴層用硬化型液組成物の粘度と、で比をとる。
前記インクセットは、更に、次式、「保護層用硬化型液組成物の静的表面張力(mN/m)」−「画像液滴層用硬化型液組成物の150msec動的表面張力(mN/m)」<−5(mN/m)、を満たすことが好ましい。このことを満たすことで、潜り込みが大きく、貫通して基材に達して、画像用の液組成物からなる液滴が潰れて画像ドット径が大きくなりやすく、高濃度化しやすい。
前記インクセットは、更に、次式を満たすことが好ましい。
・「密着層用硬化型液組成物の静的表面張力(mN/m)」−「保護層用硬化型液組成物の静的表面張力(mN/m)」≧0(mN/m)
・「保護層用硬化型液組成物の静的表面張力(mN/m)」−「画像液滴層用硬化型液組成物の静的表面張力(mN/m)」<5(mN/m)
・「保護層用硬化型液組成物の粘度(mPa・s)」/「画像液滴層用硬化型液組成物の粘度(mPa・s)」≦0.7
静的表面張力の差(「密着層用硬化型液組成物の静的表面張力(mN/m)」−「保護層用硬化型液組成物の静的表面張力(mN/m)」)が0mN/m以上であれば、密着層用硬化型液組成物からなる密着液層上に、保護層用硬化型液組成物からなる保護液層が浮くため、保護層用硬化型液組成物からなる保護液層が形成されやすく、多層形成しやすい。
静的表面張力の差(「保護層用硬化型液組成物の静的表面張力(mN/m)」−「画像液滴層用硬化型液組成物の静的表面張力(mN/m)」)としては、5mN/m未満が好ましく、0mN/m未満であることがより好ましい。前記表面張力の差が、5mN/m未満であれば、画像用の液組成物からなる液滴が、保護層形成用の液組成物からなる液層に潜り込むことができる。前記表面張力の差が、0mN/m以上であると、画像液滴が、一時的に保護液層に潜ったとしても、経時で浮いてくる場合がある。このため、画像液滴が浮く前に、硬化工程を入れて、保護液層及び画像液滴層を硬化させる必要がある。前記静的表面張力の差が、0mN/m未満であれば、経時でも浮いてくることがなくなる。
前記粘度比(「保護層形成用の液組成物の粘度(mPa・s)」/「画像用の液組成物の粘度(mPa・s)」)としては、0.7以下が好ましく、0.5以下がより好ましい。前記粘度比が、0.7以下であれば、画像液滴層用硬化型液組成物からなる画像液滴が、保護液層を貫通しやすく、画像液滴が基材上(表面)に到達し、基材上に描画され、高濃度化しやすい。
前記粘度比は、保護液層用硬化型液組成物及び密着層用硬化型液組成物の組合せなど、複数の硬化型液組成物を採用している場合には、画像液滴層用硬化型液組成物以外の硬化型液組成物の体積平均の粘度と、画像液滴層用硬化型液組成物の粘度と、で比をとる。
前記インクセットは、更に、次式、「密着層用硬化型液組成物の静的表面張力(mN/m)」−「保護層用硬化型液組成物の150msec動的表面張力(mN/m)」>0(mN/m)、を満たすことが好ましい。このことを満たすことで、密着層用硬化型液組成物からなる密着液層上に、保護層用硬化型液組成物からなる保護液層が浮くため、保護層用硬化型液組成物からなる保護液層が形成されやすく、多層形成しやすい。
また、前記インクセットは、更に、次式、「密着層用硬化型液組成物の粘度(mPa・s)」/「画像液滴層用硬化型液組成物の粘度(mPa・s)」≦0.5、を満たすことが好ましい。このことを満たすことで、潜り込みが大きく、貫通して基材に達して、画像用の液組成物からなる液滴が潰れて画像ドット径が大きくなりやすく、高濃度化しやすい。
ここで、硬化型液組成物の前記静的表面張力及び動的表面張力は、以下のようにして測定することができる。
−静的表面張力−
静的表面張力は、例えば、自動表面張力計(DY−300、協和界面化学株式会社製)を用い、プレート法により白金プレートを用い、25℃にて測定する。
−動的表面張力−
動的表面張力は、例えば、動的表面張力計(DynoTesterm、SITA社製)を用い、150msecでの動的表面張力を25℃にて測定する。
密着層用硬化型液組成物がクリアインクであり、
保護層用硬化型液組成物がクリアインク又はホワイトインクであり
画像液滴層用硬化型液組成物がカラーインク又はホワイトインクであることが好ましい。
画像液滴層用硬化型液組成物がカラーインクあるいはホワイトインクとして透明基材上でドット形成することで、基材上に画像を描画することができ、その周りにある密着層用硬化型液組成物がクリアインクであることで、画像液滴層用硬化型液組成物の発色を阻害することなく層形成し、さらには保護層用硬化型液組成物がホワイトインクであると光を遮蔽することにより画像の発色性を向上させることができる。あるいは保護層用硬化型液組成物としてクリアインクを用いると、薬品などを含んだ布での擦りに対しても色落ちのない堅牢性の高い画像が得られる。
<用途>
硬化型液組成物及びインクセットの用途は、一般に活性エネルギー線硬化型材料が用いられている分野であれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、成形用樹脂、塗料、接着剤、絶縁材、離型剤、コーティング材、シーリング材、各種レジスト、各種光学材料などが挙げられる。
また、硬化型液組成物を硬化させて得られた硬化物や当該硬化物が基材上に形成された構造体を加工してなる成形加工品も含む。前記成形加工品は、例えば、シート状、フィルム状に形成された硬化物や構造体に対して、加熱延伸や打ち抜き加工等の成形加工を施したものであり、例えば、自動車、OA機器、電気・電子機器、カメラ等のメーターや操作部のパネルなど、表面を加飾後に成形することが必要な用途に好適に使用される。
<組成物収容容器>
組成物収容容器は、硬化型液組成物が収容された状態の容器を意味し、上記のような用途に供する際に好適である。例えば、硬化型液組成物がインク用途である場合において、当該インクが収容された容器は、インクカートリッジやインクボトルとして使用することができ、これにより、インク搬送やインク交換等の作業において、インクに直接触れる必要がなくなり、手指や着衣の汚れを防ぐことができる。また、インクへのごみ等の異物の混入を防止することができる。また、容器それ自体の形状や大きさ、材質等は、用途や使い方に適したものとすればよく、特に限定されないが、その材質は光を透過しない遮光性材料であるか、又は容器が遮光性シート等で覆われていることが好ましい。
(インクジェット印刷装置及びインクジェット印刷方法)
本発明のインクジェット印刷装置は、保護層用硬化型液組成物を吐出して保護液層を形成するための保護層吐出手段と、
画像液滴層用硬化型液組成物を吐出して画像液滴層を形成するための画像液滴層吐出手段と、
前記保護液層、及び前記画像液滴層を硬化させる硬化手段と、を有し、更に必要に応じてその他の手段を有する。
前記インクジェット印刷装置は、本発明の前記インクセットを搭載している。
さらには、本発明のインクジェット印刷装置は、密着層用硬化型液組成物を吐出して密着液層を形成するための密着層吐出手段と、
保護層用硬化型液組成物を吐出して保護液層を形成するための保護層吐出手段と、
画像液滴層用硬化型液組成物を吐出して画像液滴層を形成するための画像液滴層吐出手段と、
前記保護液層、及び前記画像液滴層を硬化させる硬化手段と、を有し、更に必要に応じてその他の手段を有し、更に必要に応じてその他の手段を有することが好ましい。
さらには、装置をシンプルな構成にするために、保護層用硬化型液組成物、密着層用硬化型液組成物、及び画像液滴層用硬化型液組成物の塗工手段や吐出手段としては、すべてインクジェットによる吐出によるものであることが好ましい。
本発明のインクジェット印刷方法は、
保護層用硬化型液組成物を吐出して保護液層を形成するための保護層吐出工程と、
画像液滴層用硬化型液組成物を吐出して画像液滴層を形成するための画像液滴層吐出工程と、
前記保護液層、及び前記画像液滴層を硬化させる硬化工程と、を有し、更に必要に応じてその他の工程を有する。
前記インクジェット印刷方法は、本発明の前記インクセットを用いる。
本発明のインクジェット印刷方法は、
密着層用硬化型液組成物を吐出して密着液層を形成するための密着層吐出工程と、
保護層用硬化型液組成物を吐出して保護液層を形成するための保護層吐出工程と、
画像液滴層用硬化型液組成物を吐出して画像液滴層を形成するための画像液滴層吐出工程と、
前記保護液層、及び前記画像液滴層を硬化させる硬化工程と、を有し、更に必要に応じてその他の工程を有することが好ましい。
さらには、装置をシンプルな構成にするために、密着層吐出工程、保護層吐出工程、及び画像液滴層吐出工程としては、すべてインクジェット法による吐出によるものであることが好ましい。
また、密着層吐出工程と、保護層吐出工程と、画像液滴層吐出工程との間には、硬化工程をはさまないことが好ましい。これにより、画像液滴層用の液組成物が基材上まで到達しにくくなる不具合を防止できる。
画像液滴層吐出工程としては、着弾時において、5m/s〜15m/sであることが好ましい。5m/s以上であると、保護層形成用の液組成物の粘度によっては、保護液層を貫通することが難しくなるという不具合を防止できる。また、インクジェットにおいて、15m/s以下であると、液滴に大きな力をかけて吐出させることになり液滴がまとまりにくくミストなどが発生しやすくなることがあるという不具合を防止できる。
<像の形成方法、形成装置>
積層体の製造方法は、活性エネルギー線を用いてもよいし、加熱なども挙げられる。
硬化型液組成物を活性エネルギー線で硬化させるためには、活性エネルギー線を照射する照射工程を有し、本発明のインクジェット印刷装置は、活性エネルギー線を照射するための照射手段と、硬化型液組成物を収容するための収容部と、を備え、該収容部には前記容器を収容してもよい。更に、硬化型液組成物を吐出する吐出工程、吐出手段を有していてもよい。吐出させる方法は特に限定されないが、連続噴射型、オンデマンド型等が挙げられる。オンデマンド型としてはピエゾ方式、サーマル方式、静電方式などが挙げられる。
ここで、図1は、インクジェット印刷装置の一例である。密着層用硬化型液組成物、保護層用硬化型液組成物、及び画像液滴層用硬化型液組成物を含有したインクカートリッジと吐出ヘッドを備える各印刷ユニット23a、23b、23cにより、供給ロール21から供給された基材22にインクが吐出される。その後、インク(硬化型液組成物)を硬化させるための光源24から、活性エネルギー線を照射して硬化させ、積層体を形成する。その後、基材22は、加工ユニット25、印刷物巻取りロール26へと搬送される。各印刷ユニット23a、23b、23cには、インク吐出部でインクが液状化あるいは低粘度化するように、加温機構を設けてもよい。また必要に応じて、接触又は非接触により基材を室温程度まで冷却する機構を設けてもよい。また、インクジェット印刷方式としては、吐出ヘッド幅に応じて間欠的に移動する基材に対し、ヘッドを移動させて基材上にインクを吐出するシリアル方式や、連続的に基材を移動させ、一定の位置に保持されたヘッドから基材上にインクを吐出するライン方式のいずれであっても適用することができる。
基材22としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、紙、フィルム、セラミックス、ガラス、金属、又はこれらの複合材料などが挙げられ、シート状であってもよい。また、片面印刷のみを可能とする構成であっても、両面印刷も可能とする構成であってもよい。なお、一般的な基材として用いられるものに限られず、ダンボール、壁紙や床材等の建材、コンクリート、Tシャツなど衣料用等の布、テキスタイル、皮革等を適宜使用することができる。
本発明のインクセットにより製造される積層体としては、通常の紙や樹脂フィルムなどの平滑面に印刷されたものだけでなく、凹凸を有する被印刷面に印刷されたものや、金属やセラミックスなどの種々の材料からなる被印刷面に印刷されたものも含む。また、2次元の画像を積層することで、一部に立体感のある画像(2次元と3次元からなる像)や立体物を形成することもできる。
図2は、複数のインクジェットヘッドとUV光源を一連のキャリッジに搭載したインクジェット吐出装置を用いた、積層体の形成状態を示した概略図である。左から、密着層用硬化型液組成物を搭載した塗工(吐出)手段35から吐出された密着層用硬化型液組成物32が基材31に着弾し、密着層用硬化型液組成物32からなる密着液層40を形成する密着液層形成工程と、保護層用硬化型液組成物を搭載した吐出手段36から吐出された保護層用硬化型液組成物33が密着層用硬化型液組成物からなる密着液層40に着弾し、密着液層40上に保護層用硬化型液組成物33からなる保護液層41を形成する保護液層形成工程と、画像液滴層用硬化型液組成物を搭載した吐出手段37から吐出された画像液滴層用硬化型液組成物34が保護層用硬化型液組成物33からなる保護液層41に着弾し、画像液滴層用硬化型液組成物34の液滴が密着液層用液組成物及び保護液層用液組成物からなる密着液層、保護液層40,41を貫通し、基材上に液滴を配列する画像液滴層形成工程と、活性エネルギー線照射手段38から照射された活性エネルギー線39によって硬化する硬化工程と、をそれぞれ示す。
インクジェット印刷装置としては、密着層用硬化型液組成物32を塗工(吐出)するための塗工(吐出)手段35と、保護層用硬化型液組成物33を吐出するための吐出手段36と、画像液滴層用の硬化型液組成物34を吐出するための吐出手段37と、活性エネルギー線39を照射して硬化させる活性エネルギー線照射手段38と、をこの順に有するものが好ましい。
本発明の積層体の製造方法により得られる積層体は、保護液層及び密着液層の内部、かつ基材と接している基材上に、画像液滴層用硬化型液組成物からなる液滴を配列させた状態で硬化されたものである。
本発明によって得られる積層体は、保護液層又は密着液層の内部、かつ基材と接して基材上に、画像用の液組成物からなる液滴を配列させた状態で硬化された積層体である。
密着液層及び保護液層は、色や塗膜物性の異なる多層であることが好ましく、基材としては透明基材、画像液滴層用硬化型液組成物からなる液滴はカラーであることが好ましい。
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1)
−硬化型液組成物の調製−
まず、アクリロイルモルフォリン(ACMO;ACMO、KJケミカルズ株式会社製)18質量部、フェノキシエチルアクリレート(PEA;ビスコート#192、大阪有機化学工業株式会社製)40質量部、環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート(CTFA;ビスコート#200、大阪有機化学工業株式会社製)30質量部及び2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド(TPO;Omnirad TPO H、iGM社製)10質量部を添加し、硬化型液組成物を得た。
次に、保護層用硬化型液組成物には、硬化型液組成物に白顔料として酸化チタンを12質量部、界面活性剤としてTwin4000(TEGO Twin 4000、Evonik社製)を0.5質量部添加した。画像液滴層用硬化型液組成物には、得られた硬化型液組成物にマゼンタ顔料としてPR122(大日精化工業株式会社製)を3質量部、粘度調整用のオリゴマーとして脂肪族ウレタンアクリレート(CN963、サートマー社製)2質量部、界面活性剤としてWet500(TEGO Wet 500、Evonik社製)を0.5質量部添加した。それぞれ撹拌して、表1の実施例1の保護層用硬化型液組成物(保護液層用硬化型液組成物)と画像液滴層用硬化型液組成物との硬化型液組成物(インクセット)を得た。
(実施例2〜5、比較例1〜3、参考例1〜2)
−硬化型液組成物の調製−
実施例1において、表1及び表2に示す組成及び含有量に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜5、比較例1〜3、及び参考例1〜2の硬化型液組成物を調製した。
次に、得られた各硬化型液組成物について、以下のようにして、静的表面張力、動的表面張力及び粘度を測定した。結果を表1及び表2に示した。
<静的表面張力>
自動表面張力計(DY−300、協和界面化学株式会社製)を用い、プレート法により白金プレートを用い、25℃にて測定した。
<動的表面張力>
動的表面張力計(DynoTesterm、SITA社製)を用い、150msecでの動的表面張力を25℃にて測定した。
<粘度>
東機産業株式会社製コーンプレート型回転粘度計VISCOMETER TVE−22Lにより、コーンロータ(1°34’×R24)を使用し、回転数50rpm、恒温循環水の温度を25℃に設定して測定した。
−2種の硬化型液組成物からなる積層体の作製−
次に、作製した各硬化型液組成物を用い、以下の表1及び表2の組み合わせで、実施例1〜5、比較例1〜3、及び参考例1〜2の積層体を作製した。なお、画質評価や多層形成状態の評価のために、適宜顔料を添加しているが、実際の印刷物として好適な色の組み合わせとは限らない。好適な2種の硬化型液組成物の関係は、「保護層用硬化型液組成物」と「画像液滴層用硬化型液組成物」の関係に相当する。
図2に示すような複数のインクジェットヘッドとUV光源を一連のキャリッジに搭載するインクジェット吐出装置に対し、インクジェットヘッドとしてMH5421(株式会社リコー製)を、活性エネルギー線照射装置として波長395nmのUV−LED光源を搭載し、表1及び表2に記載の組み合わせで硬化型液組成物を装着した。
上記インクジェット吐出装置により、透明ポリカーボネート基材(三菱ガス化学株式会社製、ユーピロンNF−2000、厚み0.5mm)上に、「直後」と記載されているものは1スキャンの同一スキャン内で2種の硬化型液組成物からなるインクセットの吐出とUV照射を行っており、吐出ユニットが通過してからUV照射機が通過するまでの時間は0.24秒であった。「経時」と記載されているものは2種の硬化型液組成物からなるインクセットの吐出した後、34秒後にてUV照射を行い、積層体を得た。
保護層用硬化型液組成物の印刷を2cm角、画像液滴層用硬化型液組成物は中央部に1cm角の印刷とした。なお、波長395nmのUV−LED光源の出力は照度4.5W/cmとし、キャリッジの移動速度は840mm/秒とし、ヘッドからUV照射機までの距離は20cm、1滴あたりの滴量は18ng、ドット密度としては、保護層用硬化型液組成物は600dpi×600dpiとし、厚みが10μmとなるように設定した。画像液滴層用の硬化型液組成物は、ドット径の測定の際には150dpi×150dpiとし、それ以外の画質評価の際には600dpi×600dpiとした。
<ドット径及び潜り率の測定>
レーザー顕微鏡(OLS4100、オリンパス株式会社製)を用いて、150dpiの積層体を観察し、カラー画像及びレーザー顕微鏡画像を得た。カラー画像とレーザー画像では異なるドット径が得られる場合があり、カラー画像においてはある程度透過した画像が得られるため、全体的なドット径が確認され、レーザー画像においては、表面に露出しているインク種が強調されるため、表面に露出しているドット径が確認できた。カラー画像における画像液滴層用硬化型液組成物からなるカラー(マゼンタ)のドット径から「全体ドット径」(内部ドット面積)を求めた。レーザー画像におけるドット径から「表面ドット径」(表面露出ドット面積)を計測した。また、[1−(「表面ドット径」/「全体ドット径」)]×100を「潜り率」(%)とした。潜り率としては、60%以上が好ましく、さらには80%以上が好ましい。さらには、経時でも潜り率を60%以上維持していることが好ましい。
<画質評価>
<<基材との接触>>
得られた積層体を切断し、その断面を観察することで、画像液滴層用硬化型液組成物からなる画像液滴(マゼンタ部分)が基材上に配列し、接触しているかどうかを確認した。評価基準は下記のように実施した。
〇:保護層(ホワイト部分)よりも基材に接触している面積が大きい
△:部分的に接触している、又は一部の画像液滴が接触している
×:基材と全く接触していない
<濃度>
得られた積層体の濃度をエックスライト社製X−Rite eXactによって評価した。それぞれ印刷面を「表面濃度」、透明基材面を「裏面濃度」として測定し、「裏面濃度/表面濃度」を「濃度比」として算出した。
濃度比としては、0.85以上が好ましく、さらには、1.0以上が好ましく、さらには1.5以上が好ましい。0.85以上であれば、表面に一部画像液滴層用硬化型液組成物からなる画像液滴由来の痕跡が残っているものの、保護層用硬化型液組成物としてホワイトではなくクリアを用いれば、問題なく発色でき、ほとんどが潜っているために、例えば薬品などを含んだ布での擦りに対しても色落ちの少ない堅牢性の高い画像が得られる。さらに、濃度比が1.0以上であれば、画像液滴が基材上に十分到達し、発色性も発現する。さらに、濃度比が1.5以上であれば、ホワイトとカラーの組み合わせであっても実用上問題のない発色性が得られ、表面においても画像液滴層用硬化型液組成物は保護層用液組成物に被覆されていることとなる。
Figure 2021146557
表中、「保護」とは、保護層用硬化型液組成物のことを示し、「画像」とは、「画像液滴層用硬化型液組成物」のことを示す。
Figure 2021146557
実施例1及び2と、及び比較例1とでは、表面張力差の関係が同等であるものの、保護層用硬化型液組成物の粘度が異なる。表面張力差(保護層用硬化型液組成物の静的表面張力―画像液滴層用硬化型液組成物の静的動的表面張力)が0mN/m未満であり、さらに表面張力差(保護層用硬化型液組成物の静的表面張力―画像液滴層用硬化型液組成物の150msecの動的表面張力)が−5mN/m未満であるため、潜る着弾挙動を示すものの、比較例1では保護層用硬化型液組成物の粘度が高く、画像液滴層用硬化型液組成物からなる画像液滴が、保護液層を貫通できない。これに対し、実施例1、2では、画像液滴が保護層を貫通して、基材まで到達している。そのため、実施例1、2では、比較例1と比べて、面濃度が低く、裏面濃度が高くなっている。
実施例4、5では、保護層用硬化型液組成物の静的表面張力が、画像液滴層用硬化型液組成物の静的表面張力より大きい(保護層用>画像液滴層用)。このため、静的表面張力が上記の関係(保護層用>画像液滴層用)である場合、画像液滴は、一時的に潜るものの、経時34秒後にはかなり浮いてくる(参考例1、2)。このような条件にて貫通した状態を維持するためには、着弾した直後に液組成物を硬化させる必要が出てくる。
実施例4は、表面張力の差(保護層用硬化型液組成物の静的表面張力―画像液滴層用硬化型液組成物の150msecの動的表面張力)が、−9.4mN/mであり、−5mN/m未満である。これに対し、実施例5では、表面張力の差(保護層用硬化型液組成物の静的表面張力―画像液滴層用硬化型液組成物の150msecの動的表面張力)が、−3.5mN/mであり、−5mN/m超である。このため、実施例4の画像液滴は、着弾時の潜り込みが大きく、浮きは大きいものの、潜り込みも大きくなっている。
比較例2では、表面張力の差(保護層用硬化型液組成物の静的表面張力―画像液滴層用硬化型液組成物の静的表面張力)が、5.8mN/mであり、5mN/m超となっており、そもそも潜らない。
比較例3では、表面張力の差(保護層用硬化型液組成物の静的表面張力―画像液滴層用硬化型液組成物の150msecの動的表面張力)が、0.4mN/mであり、0mN/m超であり、表面で画像液滴層用の液組成物からなる液滴が広がり、大きなドット径を形成する。
(実施例6〜8)
−硬化型液組成物の調製−
実施例1において、表3に示す組成及び含有量に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例6〜8の硬化型液組成物を調製した。
−3種の硬化型液組成物からなる積層体の作製−
次に、作製した各硬化型液組成物を用い、以下の表2の組み合わせで、積層体を作製した。なお、画質評価や多層形成状態の評価のために、適宜顔料を添加しているが、実際の印刷物として好適な色の組み合わせとは限らない。3種の硬化型液組成物の関係は、「密着層用硬化型液組成物」と「保護層用硬化型液組成物」と「画像液滴層用の硬化型液組成物」の関係に相当する。
1スキャンの同一スキャン内で3種の硬化型液組成物からなるインクセットの吐出とUV照射を行った以外は、前記2種の硬化型液組成物からなる積層体の作製と同様にして、3種の硬化型の液組成物により、表3の組み合わせで、実施例6〜8の積層体を作製した。
Figure 2021146557
表中、「密着」とは、密着層用硬化型液組成物のことを示し、「保護」とは、保護層用硬化型液組成物のことを示し、「画像」とは、「画像液滴層用硬化型液組成物」のことを示す。
実施例6は、実施例1の積層体に、密着層(クリア層)を追加したものである。実施例1と比較して、ドット径が若干小さくなってはいるが、画像液層が保護層及び密着層に潜る点については問題なく、画像液滴は基材まで到達している。また、基材と接する層(密着層)にはクリアインクを採用しており、特に裏面の発色性が向上している。
実施例6〜8では、密着層用硬化型液組成物及び保護層用硬化型液組成物の粘度を変更している。より基材に近い方に配される密着層に用いられる密着層用硬化型液組成物の粘度が低い実施例7が、実施例8よりも、実施例6の結果に近い。このことから、基材に近い層用(この場合では、密着層)の液組成物の粘度が低いほうが、画像液滴が基材まで到達しやすくなることがわかる。
また、実施例6〜8では、表面張力の差(密着層用硬化型液組成物の静的表面張力−保護層用硬化型液組成物の150msecでの動的表面張力)が、0mN/m超となっている。このため、比較例5と同様以上に、保護層用硬化型液組成物からなる保護液層が、密着層用硬化型液組成物からなる密着液層上に広がることを確認できる。
表1〜表3の実施例及び比較例で使用した材料の詳細な内容については、以下の通りである。
<モノマー>
<<単官能モノマー>>
・ACMO:アクリロイルモルフォリン、KJケミカルズ株式会社製、ACMO
・CTFA:環状トリメチロールプロパンホルマールアクリレート、大阪有機化学工業株式会社製、ビスコート#200
・PEA:フェノキシエチルアクリレート、大阪有機化学工業株式会社製、ビスコート#192
<<多官能モノマー>>
・CN963:脂肪族ウレタンアクリレート、サートマー社製、CN963J85
<界面活性剤>
<<シリコーン系界面活性剤>>
・Twin 4000:Evonik社製、TEGO Twin 4000
・Rad 2100:Evonik社製、TEGO Rad 2100
・Glide 432:Evonik社製、TEGO Glide 432
<<有機系界面活性剤>>
・Wet500:Evonik社製、TEGO Wet 500
<<フッ素系界面活性剤>>
・F−563:DIC株式会社製、F−563
・F−554:DIC株式会社製、F−554
<重合開始剤>
・TPO:2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−フォスフィンオキサイド、iGM社製、Omnirad TPO H
<色材>
・TiO:酸化チタン(ホワイトインク用色材)
・マゼンタ顔料:PR122(マゼンタインク用色材)
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 基材に、保護層用硬化型液組成物を付与して保護液層を形成する保護液層形成工程と、
画像液滴層用硬化型液組成物を付与して前記保護液層に着弾させ、前記画像液滴層用硬化型液組成物からなる画像液滴が、前記保護液層を通って前記基材に配される画像液滴層形成工程と、
前記保護液層及び前記画像液滴層を硬化させて、保護層及び画像液滴層を得る硬化工程と、
を含むことを特徴とする積層体の製造方法である。
<2> 前記保護液層形成工程及び前記画像液滴層形成工程が、いずれもインクジェット方式で行われる前記<1>に記載の積層体の製造方法である。
<3> 基材に、密着層用硬化型液組成物を付与して密着液層を形成する密着液層形成工程と、
保護層用硬化型液組成物を前記密着液層上に付与して、保護液層を形成する保護液層形成工程と、
画像液滴層用硬化型液組成物を付与して前記保護液層に着弾させ、前記画像液滴層用硬化型液組成物からなる画像液滴が、前記保護液層及び前記密着液層を通って前記基材に配される画像液滴層形成工程と、
前記密着液層、前記保護液層、及び前記画像液滴層を硬化させる硬化工程と、
を含む前記<1>に記載の積層体の製造方法である。
<4> 前記密着液層形成工程、前記保護液層形成工程、及び前記画像液滴層形成工程が、いずれもインクジェット方式で行われる前記<3>に記載の積層体の製造方法である。
<5> 少なくとも保護層用硬化型液組成物、及び画像液滴層用硬化型液組成物を有するインクセットであり、
次式、「保護層用硬化型液組成物の静的表面張力(mN/m)」−「画像液滴層用硬化型液組成物の静的表面張力(mN/m)」<5mN/m、を満たし、
次式、「保護層用硬化型液組成物の粘度(mPa・s)」/「画像液滴層用硬化型液組成物の粘度(mPa・s)」≦0.7、を満たすことを特徴とするインクセットである。
<6> 更に、密着層用硬化型液組成物を有し、
次式、「密着層用硬化型液組成物の静的表面張力(mN/m)」−「保護層用硬化型液組成物の静的表面張力(mN/m)」≧0(mN/m)、を満たし、
次式、「保護層用硬化型液組成物の静的表面張力(mN/m)」−「画像液滴層用硬化型液組成物の静的表面張力(mN/m)」<5(mN/m)、を満たし
次式、「保護層用硬化型液組成物の粘度(mPa・s)」/「画像液滴層用硬化型液組成物の粘度(mPa・s)」≦0.7、を満たす前記<5>に記載のインクセットである。
<7> 次式、「保護層用硬化型液組成物の静的表面張力(mN/m)」−「画像液滴層用硬化型液組成物の静的表面張力(mN/m)」<0(mN/m)、を満たす前記<5>から<6>のいずれかに記載のインクセットである。
<8> 次式、「保護層用硬化型液組成物の静的表面張力(mN/m)」−「画像液滴層用硬化型液組成物の150msec動的表面張力(mN/m)」<−5、を満たす前記<5>から<7>のいずれかに記載のインクセットである。
<9> 次式、「密着層用硬化型液組成物の粘度(mPa・s)」/「画像液滴層用硬化型液組成物の粘度(mPa・s)」≦0.5、を満たす前記<6>から<8>のいずれかに記載のインクセットである。
<10> 前記密着層用硬化型液組成物が、クリアインクであり、
前記保護層用硬化型液組成物が、クリアインク又はホワイトインクであり、
前記画像液滴層用硬化型液組成物が、カラーインク又はホワイトインクである前記<6>から<9>のいずれかに記載のインクセットである。
<11> 前記保護層用硬化型液組成物、及び前記画像液滴層用硬化型液組成物が、界面活性剤を含有し、
前記画像液滴層用硬化型液組成物に含有されている界面活性剤が、前記保護層用硬化型液組成物に含有されている界面活性剤とは異なる前記<5>から<10>のいずれかに記載のインクセットである。
<12> 前記<1>から<4>のいずれかに記載の積層体の製造方法における保護層用硬化型液組成物、画像液滴層用硬化型液組成物、及び密着層用硬化型液組成物が、前記<5>から<11>のいずれかに記載のインクセットである積層体の製造方法である。
<13> 保護層用硬化型液組成物を吐出して保護液層を形成するための保護層吐出手段と、
画像液滴層用硬化型液組成物を吐出して画像液滴層を形成するための画像液滴層吐出手段と、
前記保護液層、及び前記画像液滴層を硬化させる硬化手段と、を有し、
前記<5>から<11>のいずれかに記載のインクセットを搭載したことを特徴とするインクジェット印刷装置である。
<14> 密着層用硬化型液組成物を吐出して密着液層を形成するための密着層吐出手段と、
保護層用硬化型液組成物を吐出して保護液層を形成するための保護層吐出手段と、
画像液滴層用硬化型液組成物を吐出して画像液滴層を形成するための画像液滴層吐出手段と、
前記保護液層、及び前記画像液滴層を硬化させる硬化手段と、を有し、
前記<5>から<11>のいずれかに記載のインクセットを搭載したことを特徴とするインクジェット印刷装置である。
<15> 保護層用硬化型液組成物を吐出して保護液層を形成するための保護層吐出工程と、
画像液滴層用硬化型液組成物を吐出して画像液滴層を形成するための画像液滴層吐出工程と、
前記保護液層、及び前記画像液滴層を硬化させる硬化工程と、を有し、
前記<5>から<11>のいずれかに記載のインクセットを用いることを特徴とするインクジェット印刷方法である。
<16> 密着層用硬化型液組成物を吐出して密着液層を形成するための密着層吐出工程と、
保護層用硬化型液組成物を吐出して保護液層を形成するための保護層吐出工程と、
画像液滴層用硬化型液組成物を吐出して画像液滴層を形成するための画像液滴層吐出工程と、
前記保護液層、及び前記画像液滴層を硬化させる硬化工程と、を有し、
前記<5>から<11>のいずれかに記載のインクセットを用いることを特徴とするインクジェット印刷方法である。
<17> 画像液滴層用硬化型液組成物からなる画像液滴の飛翔速度が、着弾時において、5m/sec以上15m/sec以下である前記<15>から<16>のいずれかに記載のインクジェット印刷方法である。
前記<1>から<4>のいずれかに記載の積層体の製造方法、前記<5>から<11>のいずれかに記載のインクセット、前記<12>に記載の積層体の製造方法、前記<13>から<14>のいずれかに記載のインクジェット印刷装置、及び前記<15>から<17>のいずれかに記載のインクジェット印刷方法によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
31 基材
32 密着層用硬化型液組成物
33 保護層用硬化型液組成物
34 画像液滴層用硬化型液組成物
35 密着層用硬化型液組成物を搭載した吐出手段
36 保護層用硬化型液組成物を搭載した吐出手段
37 画像液滴層用硬化型液組成物を搭載した吐出手段
38 活性エネルギー線照射手段
39 活性エネルギー線
40 密着層用硬化型液組成物からなる密着液層
41 保護層用硬化型液組成物からなる保護液層
42 画像液滴層用硬化型液組成物からなる液滴
特開2011−230501号公報

Claims (14)

  1. 基材に、保護層用硬化型液組成物を付与して保護液層を形成する保護液層形成工程と、
    画像液滴層用硬化型液組成物を付与して前記保護液層に着弾させ、前記画像液滴層用硬化型液組成物からなる画像液滴が、前記保護液層を通って前記基材に配される画像液滴層形成工程と、
    前記保護液層及び前記画像液滴層を硬化させて、保護層及び画像液滴層を得る硬化工程と、
    を含むことを特徴とする積層体の製造方法。
  2. 前記保護液層形成工程及び前記画像液滴層形成工程が、いずれもインクジェット方式で行われる請求項1に記載の積層体の製造方法。
  3. 基材に、密着層用硬化型液組成物を付与して密着液層を形成する密着液層形成工程と、
    保護層用硬化型液組成物を前記密着液層上に付与して、保護液層を形成する保護液層形成工程と、
    画像液滴層用硬化型液組成物を付与して前記保護液層に着弾させ、前記画像液滴層用硬化型液組成物からなる画像液滴が、前記保護液層及び前記密着液層を通って前記基材に配される画像液滴層形成工程と、
    前記密着液層、前記保護液層、及び前記画像液滴層を硬化させる硬化工程と、
    を含む請求項1に記載の積層体の製造方法。
  4. 前記密着液層形成工程、前記保護液層形成工程、及び前記画像液滴層形成工程が、いずれもインクジェット方式で行われる請求項3に記載の積層体の製造方法。
  5. 少なくとも保護層用硬化型液組成物、及び画像液滴層用硬化型液組成物を有するインクセットであり、
    次式、「保護層用硬化型液組成物の静的表面張力(mN/m)」−「画像液滴層用硬化型液組成物の静的表面張力(mN/m)」<5(mN/m)、を満たし、
    次式、「保護層用硬化型液組成物の粘度(mPa・s)」/「画像液滴層用硬化型液組成物の粘度(mPa・s)」≦0.7、を満たすことを特徴とするインクセット。
  6. 更に、密着層用硬化型液組成物を有し、
    次式、「密着層用硬化型液組成物の静的表面張力(mN/m)」−「保護層用硬化型液組成物の静的表面張力(mN/m)」≧0(mN/m)、を満たし、
    次式、「保護層用硬化型液組成物の静的表面張力(mN/m)」−「画像液滴層用硬化型液組成物の静的表面張力(mN/m)」<5(mN/m)、を満たし
    次式、「保護層用硬化型液組成物の粘度(mPa・s)」/「画像液滴層用硬化型液組成物の粘度(mPa・s)」≦0.7、を満たす請求項5に記載のインクセット。
  7. 次式、「保護層用硬化型液組成物の静的表面張力(mN/m)」−「画像液滴層用硬化型液組成物の静的表面張力(mN/m)」<0(mN/m)、を満たす請求項5から6のいずれかに記載のインクセット。
  8. 次式、「保護層用硬化型液組成物の静的表面張力(mN/m)」−「画像液滴層用硬化型液組成物の150msec動的表面張力(mN/m)」<−5(mN/m)、を満たす請求項5から7のいずれかに記載のインクセット。
  9. 次式、「密着層用硬化型液組成物の粘度(mPa・s)」/「画像液滴層用硬化型液組成物の粘度(mPa・s)」≦0.5、を満たす請求項6から8のいずれかに記載のインクセット。
  10. 前記密着層用硬化型液組成物が、クリアインクであり、
    前記保護層用硬化型液組成物が、クリアインク又はホワイトインクであり、
    前記画像液滴層用硬化型液組成物が、カラーインク又はホワイトインクである請求項6から9のいずれかに記載のインクセット。
  11. 前記保護層用硬化型液組成物、及び前記画像液滴層用硬化型液組成物が、界面活性剤を含有し、
    前記画像液滴層用硬化型液組成物に含有されている界面活性剤が、前記保護層用硬化型液組成物に含有されている界面活性剤とは異なる請求項5から10のいずれかに記載のインクセット。
  12. 請求項1から4のいずれかに記載の積層体の製造方法における保護層用硬化型液組成物、画像液滴層用硬化型液組成物、及び密着層用硬化型液組成物が、請求項6から11のいずれかに記載のインクセットである積層体の製造方法。
  13. 保護層用硬化型液組成物を吐出して保護液層を形成するための保護層吐出手段と、
    画像液滴層用硬化型液組成物を吐出して画像液滴層を形成するための画像液滴層吐出手段と、
    前記保護液層、及び前記画像液滴層を硬化させる硬化手段と、を有し、
    請求項5から11のいずれかに記載のインクセットを搭載したことを特徴とするインクジェット印刷装置。
  14. 保護層用硬化型液組成物を吐出して保護液層を形成するための保護層吐出工程と、
    画像液滴層用硬化型液組成物を吐出して画像液滴層を形成するための画像液滴層吐出工程と、
    前記保護液層、及び前記画像液滴層を硬化させる硬化工程と、を有し、
    請求項5から11のいずれかに記載のインクセットを搭載したことを特徴とするインクジェット印刷方法。
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