JP2022057937A - 熱電変換モジュール用電極 - Google Patents

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亘 森田
Wataru Morita
佑太 関
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Abstract

【課題】接合時の溶融はんだ流れによる電極に対する熱電変換材料のチップの位置ずれを抑制し、隣接する熱電変換材料のチップ間の短絡の発生がない熱電モジュール用電極を提供する。【解決手段】互いに離間する1組のP型熱電変換材料のチップ及びN型熱電変換材料のチップが、はんだ材料を介し接合される熱電変換モジュール用の電極であって、前記電極が、該電極の中央部に、前記P型熱電変換材料のチップの第1接合部と前記N型熱電変換材料のチップの第2接合部とをそれぞれ連結する括れを有する接続部を備え、該接続部の括れ方向の最小幅をYA(mm)、前記P型熱電変換材料のチップ及び前記N型熱電変換材料のチップの、前記接続部の前記括れ方向の少なくとも一方の最小幅をYB(mm)とした時に、下記式(1)で定義される電極の接続部の括れ率Cが0.20~0.80である、熱電変換モジュール用電極。C=[(1-(YA/YB)] (1)【選択図】図1

Description

本発明は、熱電変換モジュール用電極に関する。
従来から、エネルギーの有効利用手段の一つとして、ゼーベック効果やペルチェ効果などの熱電効果を有する熱電変換モジュールにより、熱エネルギーと電気エネルギーとを直接相互変換するようにした装置がある。
前記熱電変換モジュールとして、いわゆるπ型の熱電変換素子の使用が知られている。π型は、互いに離間するー対の電極を基板上に設け、例えば、―方の電極の上にP型熱電素子を、他方の電極の上にN型熱電素子を、同じく互いに離間して設け、両方の熱電素子の上面を対向する基板上の電極に接続することで構成されている。
このような中、前記熱電変換モジュールの製造にあっては、通常、基板上の電極にP型熱電素子及びN型熱電素子をそれぞれ独立に接合材料を介し接合する。接合材料として、はんだ材料等を用いる場合、リフロー等の加熱による接合時に、溶融したはんだ上にP型熱電素子及びN型熱電素子が固定されずそれぞれ不安定な状態で存在する。その際、溶融はんだ同士が、表面張力等により流動するため、P型熱電素子及びN型熱電素子がそれぞれ位置ずれを起こし、本来電気的に接合してはならないP型熱電素子及びN型熱電素子の隣接する側面同士が近接又は接触し短絡が起こる可能性があった。
この問題を解決するために、特許文献1及び特許文献2には、電極形状を特定の形状にした技術が開示されている。
特開平3-225973号公報 特開2012-253170号公報
しかしながら、特許文献1の熱電変換モジュールでは、電極上のP型熱電素子とN型熱電素子とをそれぞれ接続する箇所の中間部形状を狭隘にしているものの、はんだ溶融前のP型熱電素子及びN型熱電素子が、それぞれの適正な位置より右にずれた位置に配設されており、はんだ溶融後、P型熱電素子及びN型熱電素子の配置が適正な位置に位置ずれし配設、固定されるものとなっており、再現性の観点から十分でなく、しかも、はんだの塗布がP型熱電素子とN型熱電素子とにそれぞれ独立にされておらず、ましてや、中間部形状、及び、中間部形状と熱電素子の形状等の関係についても定量的な開示がされていない。
また、特許文献2の熱電変換モジュールでは、電極におけるP型熱電素子とN型熱電素子との中間部位となる電極中間部に孔が形成されるものの、具体的な空孔サイズ、配置、数に関して定量的に開示がされていない。
本発明は、このような実情に鑑みなされたものであり、接合時の溶融はんだ流れによる電極に対する熱電変換材料のチップの位置ずれを抑制し、隣接する熱電変換材料のチップ間の短絡の発生がない熱電モジュール用電極を提供することを課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、熱電変換モジュールを構成する、はんだ材料を介した熱電変換材料のチップと電極との接合において、電極の中央部に、P型熱電変換材料のチップの第1接合部とN型熱電変換材料のチップの第2接合部とをそれぞれ連結する括れを有する接続部を設け、接続部の括れ方向の最小幅と、P型熱電変換材料のチップ及びN型熱電変換材料のチップの、接続部の括れ方向の少なくとも一方の最小幅との関係から定義される電極の接続部の括れ率を特定の値とすることにより、接合時の溶融はんだ流れによる電極に対する熱電変換材料のチップの位置ずれが抑制されることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、以下の[1]~[5]を提供するものである。
[1]互いに離間する1組のP型熱電変換材料のチップ及びN型熱電変換材料のチップが、はんだ材料を介し接合される熱電変換モジュール用の電極であって、前記電極が、該電極の中央部に、前記P型熱電変換材料のチップの第1接合部と前記N型熱電変換材料のチップの第2接合部とをそれぞれ連結する括れを有する接続部を備え、該接続部の括れ方向の最小幅をY(mm)、前記P型熱電変換材料のチップ及び前記N型熱電変換材料のチップの、前記接続部の前記括れ方向の少なくとも一方の最小幅をY(mm)とした時に、下記式(1)で定義される電極の接続部の括れ率Cが0.20~0.80である、熱電変換モジュール用電極。
C=[(1-(Y/Y)] (1)
[2]前記接続部の形状が矩形である、上記[1]に記載の熱電変換モジュール用電極。[3]前記電極の、前記P型熱電変換材料のチップの第1接合部に対向する第1接合部、及び前記N型熱電変換材料のチップの第2接合部に対向する第2接合部、の形状の少なくとも一方が矩形である、上記[1]又は[2]に記載の熱電変換モジュール用電極。
[4]前記接続部の括れ率Cが0.25~0.70である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の熱電変換モジュール用電極。
[5]上記[1]~[4]のいずれかに記載の熱電変換モジュール用電極が、π型熱電変換素子に用いられる、熱電変換モジュール。
本発明によれば、接合時の溶融はんだ流れによる電極に対する熱電変換材料のチップの位置ずれを抑制し、隣接する熱電変換材料のチップ間の短絡の発生がない熱電モジュール用電極を提供することができる。
図1は本発明の電極と熱電変換材料のチップと接合に用いたはんだ材料層との接合前後の態様の一例を説明するための図である。 図2は本発明の電極の形状、及び、電極と熱電変換材料のチップと接合に用いたはんだ材料層との接合前の態様の一例を示す平面図である。 本発明の熱電モジュール用電極を含む熱電変換モジュールの構成の一例を説明するための断面図である。
[熱電変換モジュール用電極]
本発明の熱電変換モジュール用電極は、互いに離間する1組のP型熱電変換材料のチップ及びN型熱電変換材料のチップが、はんだ材料を介し接合される熱電変換モジュール用の電極であって、前記電極が、該電極の中央部に、前記P型熱電変換材料のチップの第1接合部と前記N型熱電変換材料のチップの第2接合部とをそれぞれ連結する括れを有する接続部を備え、該接続部の括れ方向の最小幅をY(mm)、前記P型熱電変換材料のチップ及び前記N型熱電変換材料のチップの、前記接続部の前記括れ方向の少なくとも一方の最小幅をY(mm)とした時に、下記式(1)で定義される電極の接続部の括れ率Cが0.20~0.80であることを特徴とする。
C=[(1-(Y/Y)] (1)
本発明の熱電変換モジュール用電極において、P型熱電変換材料のチップの第1接合部とN型熱電変換材料のチップの第2接合部とをそれぞれ連結する接続部の括れ率Cを0.20~0.80にすることにより、それぞれの熱電変換材料のチップと電極との接合時の溶融はんだ流れによる電極に対する熱電変換材料のチップの位置ずれが抑制でき、各はんだ材料が溶融し表面張力等により流動し、互いに合流し固化した場合であっても、隣接する熱電変換材料のチップ同士が電極上で短絡することを防止できる。
図1は本発明の電極と熱電変換材料のチップと接合に用いたはんだ材料層との接合前後の態様の一例を説明するための図であり、(a)は、熱電変換材料のチップをはんだ材料層を介し電極上に載置した態様を示す断面図であり、電極3上にはんだ材料層6、さらにP型熱電変換材料のチップ4及びN型熱電変換材料のチップ5のそれぞれいずれかを含む。(b)は、はんだ材料層を加熱冷却し、熱電変換材料のチップを電極に接合した後の態様を示す断面図であり、はんだ材料層6は加熱により溶融し、離間したはんだ材料層6はそれぞれ流動し互いに合流し固化している。(c)は、前記(b)の平面図であり、接合後のはんだ材料層6は、電極3上で接続部9全領域に、並びにP型熱電変換材料のチップ4及びN型熱電変換材料のチップ5の周囲に広がっている。しかし、隣接するP型熱電変換材料のチップ4、N型熱電変換材料のチップ5のそれぞれの側面同士は近接するものの、それぞれの電極に対する位置ずれ量は抑制され、熱電変換材料のチップ同士の短絡は発生しない。
図2は本発明の電極の形状、及び、電極と熱電変換材料のチップと接合に用いたはんだ材料層との接合前の態様の一例を示す平面図であり、(a)は、電極3の平面図であり、電極3は括れ部10を有する接続部9を含み、Yは前記接続部9の括れ方向11の最小幅を表し、Xは前記接続部9の連結方向12の幅を表す。また、(b)は、電極3上のはんだ材料層6に、P型熱電変換材料のチップ4及びN型熱電変換材料のチップ5を、それぞれ設けた後の平面図(はんだ材料層6は加熱冷却前の態様であり、はんだ材料層6の接合部の面積は、通常P型熱電変換材料のチップ4の接合部の面積及びN型熱電変換材料のチップ5の接合部の面積とは同一か若干小さい)であり、P型熱電変換材料のチップ4の面が第1接合部7p、N型熱電変換材料のチップ5の面が第2接合部7n、P型熱電変換材料のチップの面に対向する電極3における電極3pの面が電極の第1接合部7pe、N型熱電変換材料のチップの面に対向する電極3における電極3nの面が電極の第2接合部7neとなる。YはP型熱電変換材料のチップ4の第1接合部7P及びN型熱電変換材料のチップ5の第2接合部7Nの、前記接続部9の括れ方向11の少なくとも一方の最小幅を表す。
後述する実施例1では、Yが1.00(mm)、Yが1.40(mm)であることから、式(1)より接続部9の括れ率Cは0.29となる。
は、0.05~1.00mmが好ましく、0.05~0.30mmがより好ましい。Xがこの範囲にあることで、熱電変換材料のチップの密度を高め、熱電性能を向上させることができる。
本発明の電極の接続部の括れ率Cは下記式(1)で表され、0.20~0.80である。
C=[(1-(Y/Y)] (1)
ここで、Y(mm)は、前述したように前記接続部の括れ方向の最小幅を表し、Y(mm)は、P型熱電変換材料のチップ及びN型熱電変換材料のチップの、接続部の括れ方向の少なくとも一方の最小幅を表す。
前記接続部の括れ率Cが、0.20未満であると、はんだ材料の表面張力等により熱電変換材料のチップが電極の水平方向に回転し位置ずれが発生しやすくなることがある。また、接続部の括れ率Cが0.80超であると、接続部の括れ方向の断面積の減少により電気抵抗値が増大し、熱電性能が低下しやすくなる、又は機械的強度の観点から電極の断線に繋がる場合がある。
接続部の括れ率Cは、好ましくは0.23~0.76、より好ましくは0.25~0.70、さらに好ましくは0.28~0.66である。接続部の括れ率Cがこの範囲にあると、熱電変換材料のチップと電極との接合における溶融はんだ流れによる、電極に対するP型熱電変換材料のチップ(第1接合部)及びN型熱電変換材料のチップ(第2接合部)のそれぞれの、接続部方向への位置ずれが低減されやすくなる。
前記接続部の形状は、特に制限されず、曲線を有する形状であってもよい。対称性、製造容易性の観点から、好ましくは多角形であり、より好ましくは四角形であり、さらに好ましくは矩形である。
なお、接続部は、電極中央部のどの位置にでも配置されてもよいが、熱電変換材料のチップの位置ずれを抑制しやすくする観点から、電極の略中央部に配置することが好ましい。ただし、P型熱電変換材料のチップ及びN型熱電変換材料のチップの大きさ、配置を考慮し、適宜調整することが好ましい。
前記電極の、前記P型熱電変換材料のチップの第1接合部に対向する第1接合部、及び前記N型熱電変換材料のチップの第2接合部に対向する第2接合部、の形状は特に限定されず、矩形であっても、円形であっても楕円形等であってもよい。また、異なる形状を組み合わせてもよい。好ましくは少なくとも一方が矩形であり、両方が矩形であることがさらに好ましい。
前記P型熱電変換材料のチップ(第1接合部)及びN型熱電変換材料のチップ(第2接合部)の形状は特に限定されず、矩形であっても、円形であっても楕円形等であってもよい。また、異なる形状を組み合わせてもよい。熱電性能及び製造容易性の観点から、好ましくは少なくとも一方が矩形であり、両方が矩形であることがさらに好ましい。
接合の安定性、熱電性能の観点から、電極の第1接合部の面積はP型熱電変換材料のチップの第1接合部の面積よりも大きく、同様に、電極の第2接合部の面積はN型熱電変換材料のチップの第2接合部の面積よりも大きくすることが好ましい。また、P型熱電変換材料のチップの第1接合部は電極の第1接合部内に収まるように、同様に、N型熱電変換材料のチップの第2接合部は電極の第2接合部内に収まるように配置されることが好ましい。
<電極>
本発明に用いる熱電変換モジュール用の電極の金属材料としては、金、ニッケル、アルミニウム、ロジウム、白金、クロム、パラジウム、ステンレス鋼、モリブデン又はこれらのいずれかの金属を含む合金等が挙げられる。
金属材料に加えて、溶媒や樹脂成分を含むペースト材を用いて形成してもよい。ペースト材を用いる場合は、焼成等により溶媒や樹脂成分を除去することが好ましい。ペースト材としては、銀ペースト、アルミペーストが好ましい。焼成温度は、通常、100~280℃で0.5~2時間行う。
電極の形成は、上記電極の金属材料を用いて行う。電極を形成する方法としては、基板上に、フォトリソグラフィー法を主体とした公知の物理的処理もしくは化学的処理、又はそれらを併用する等により、所定のパターン形状に加工する方法、または、スクリーン印刷法、ステンシル印刷法、インクジェット法等により直接電極層のパターンを形成する方法等が挙げられる。
パターンが形成されていない電極の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD(物理気相成長法)、もしくは熱CVD、原子層蒸着(ALD)等のCVD(化学気相成長法)等の真空成膜法、又はディップコーティング法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、ドクターブレード法等の各種コーティングや電着法等のウェットプロセス、銀塩法、電解めっき法、無電解めっき法、金属箔の積層等が挙げられ、基板の材料に応じて適宜選択される。
前記電極の層の厚さは、好ましくは10nm~200μm、より好ましくは30nm~150μm、さらに好ましくは50nm~120μmである。電極の層の厚さが、上記範囲内であれば、電気伝導率が高く低抵抗となり、電極として十分な強度が得られる。
<はんだ材料層>
電極とP熱電変換材料のチップ及びN型熱電変換材料のチップとの接合に用いる接合材料として、はんだ材料を用いる。
はんだ材料は、特に限定されないが、比較的融点が低いはんだ材料としては、鉛フリー及び/又はカドミウムフリーの観点から、例えば、Sn-In系のIn52Sn48[溶融温度:固相線温度(約119℃)、液相線温度(約119℃)]、Sn-Bi系のBi58Sn42[溶融温度:固相線温度(約139℃)、液相線温度(約139℃)]、Sn-Zn-Bi系のSn89Zn8Bi3[溶融温度:固相線温度(約190℃)、液相線温度(約196℃)]、Sn-Zn系のSn91Zn9[溶融温度:固相線温度(約198℃)、液相線温度(約198℃)]等が挙げられる。
また、比較的融点が高いはんだ材料としては、鉛フリー及び/又はカドミウムフリーの観点から、例えば、Sn-Sb系のSn95Sb5[溶融温度:固相線温度(約238℃)、液相線温度(約241℃)]、Sn-Cu系のSn99.3Cu0.7[溶融温度:固相線温度(約227℃)、液相線温度(約228℃)]、Sn-Cu-Ag系のSn99Cu0.7Ag0.3[溶融温度:固相線温度(約217℃)、液相線温度(約226℃)]、Sn-Ag系のSn97Ag3[溶融温度:固相線温度(約221℃)、液相線温度(約222℃)]、Sn-Ag-Cu系のSn96.5Ag3Cu0.5[溶融温度:固相線温度(約217℃)、液相線温度(約219℃)]、Sn95.5Ag4Cu0.5[溶融温度:固相線温度(約217℃)、液相線温度(約219℃)]、Sn-Ag-Cu系のSn95.8Ag3.5Cu0.7[溶融温度:固相線温度(約217℃)、液相線温度(約217℃)]等が挙げられる。
熱電変換モジュールを構成する基板、電極等の耐熱性を考慮し、上記のはんだ材料を適宜使用することができる。
はんだ材料を含むはんだ材料層の厚さ(加熱冷却後)は、好ましくは10~200μmであり、より好ましくは20~150μm、さらに好ましくは30~130μm、特に好ましくは40~120μmである。はんだ材料層の厚さがこの範囲にあると、熱電変換材料のチップ及び電極との接合性が得やすくなる。
はんだ材料を基板上に塗布する方法としては、ステンシル印刷、スクリーン印刷、ディスペンシング法等の公知の方法が挙げられる。加熱温度は用いるはんだ材料、基板等により異なるが、通常、100~280℃で0.5~20分間行う。
はんだ材料の市販品としては、以下のものが挙げられる。例えば、42Sn/58Bi合金[タムラ製作所社製、製品名:SAM10-401-27、溶融温度:固相線温度(約139℃)、液相線温度(約139℃)]、96.5Sn3.0Ag0.5Cu合金[ニホンハンダ社製、製品名:PF305-153TO、溶融温度:固相線温度(約217℃)、液相線温度(約219℃)]、Sn/57Bi合金[ニホンハンダ社製、製品名:PF141-LT7H0、溶融温度:固相線温度(約137℃)]等が使用できる。
<はんだ受理層>
熱電変換材料のチップの熱電変換モジュール用電極に対する接合において、熱電変換材料のチップに、予めはんだ受理層を設けてもよい。
はんだ受理層は、熱電変換材料のチップと対向する電極側のはんだ材料層の接合性を向上させる機能を有し、熱電変換材料のチップの一方の面及び熱電変換材料のチップの他方の面(上下面)に直接積層することが好ましい。
はんだ受理層は、金属材料を含む。金属材料は、金、銀、ロジウム、白金、クロム、パラジウム、錫、ニッケル及びこれらのいずれかの金属材料を含む合金から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。この中で、より好ましくは、金、銀、ニッケル又は、錫及び金、ニッケル及び金の2層構成であり、材料コスト、高熱伝導性、接合安定性の観点から、銀がさらに好ましい。
さらに、はんだ受理層には、金属材料に加えて、溶媒や樹脂成分を含むペースト材を用いて形成してもよい。ペースト材を用いる場合は、後述するように焼成等により溶媒や樹脂成分を除去することが好ましい。ペースト材としては、銀ペースト、アルミペーストが好ましい。
はんだ受理層の厚さは、好ましくは10nm~50μmであり、より好ましくは50nm~16μm、さらに好ましくは200nm~4μm、特に好ましくは500nm~3μmである。はんだ受理層の厚さがこの範囲にあると、熱電変換材料のチップの面との密着性、及び電極側のはんだ材料層の面との密着性が優れ、信頼性の高い接合が得られる。また、導電性はもとより、熱伝導性が高く維持できるため、結果的に熱電変換モジュールとしての熱電性能が低下することはなく、維持される。
はんだ受理層は、前記金属材料をそのまま成膜し単層で用いてもよいし、2以上の金属材料を積層し多層で用いてもよい。また、金属材料を溶媒、樹脂等に含有させた組成物として成膜してもよい。但し、この場合、高い導電性、高い熱伝導性を維持する(熱電性能を維持する)観点から、はんだ受理層の最終形態として、溶媒等を含め樹脂成分は焼成等により除去しておくことが好ましい。
はんだ受理層の形成は、前述した金属材料を用いて行う。
はんだ受理層を形成する方法としては、熱電変換材料のチップ上にパターンが形成されていないはんだ受理層を設けた後、フォトリソグラフィー法を主体とした公知の物理的処理もしくは化学的処理、又はそれらを併用する等により、所定のパターン形状に加工する方法、または、スクリーン印刷法、ステンシル印刷法、インクジェット法等により直接接合材料受理層のパターンを形成する方法等が挙げられる。
パターンが形成されていないはんだ受理層の形成方法としては、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等のPVD(物理気相成長法)、もしくは熱CVD、原子層蒸着(ALD)等のCVD(化学気相成長法)等の真空成膜法、又はディップコーティング法、スピンコーティング法、スプレーコーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、ドクターブレード法等の各種コーティングや電着法等のウェットプロセス、銀塩法、電解めっき法、無電解めっき法、金属箔の積層等が挙げられ、接合材料受理層の材料に応じて適宜選択される。
はんだ受理層には、熱電性能を維持する観点から、高い導電性、高い熱伝導性が求められるため、スクリーン印刷法、ステンシル印刷法、電解めっき法、無電解めっき法や真空成膜法で成膜したはんだ受理層を用いることが好ましい。
<熱電変換材料のチップ>
熱電変換材料のチップは、特に制限されず、熱電半導体材料からなるものであっても、熱電半導体組成物からなる薄膜であってもよい。
屈曲性、薄型の観点から、熱電半導体材料(以下、「熱電半導体粒子」ということがある。)、樹脂、イオン液体及び無機イオン性化合物の一方又は双方を含む熱電半導体組成物からなる薄膜からなることが好ましい。
(熱電半導体材料)
熱電半導体材料、すなわち、P型熱電変換材料のチップ及びN型熱電変換材料のチップを構成する熱電半導体材料としては、温度差を付与することにより、熱起電力を発生させることができる材料であれば特に制限されず、例えば、P型ビスマステルライド、N型ビスマステルライド等のビスマス-テルル系熱電半導体材料;GeTe、PbTe等のテルライド系熱電半導体材料;アンチモン-テルル系熱電半導体材料;ZnSb、ZnSb2、ZnSb等の亜鉛-アンチモン系熱電半導体材料;SiGe等のシリコン-ゲルマニウム系熱電半導体材料;BiSe等のビスマスセレナイド系熱電半導体材料;β―FeSi、CrSi、MnSi1.73、MgSi等のシリサイド系熱電半導体材料;酸化物系熱電半導体材料;FeVAl、FeVAlSi、FeVTiAl等のホイスラー材料、TiS等の硫化物系熱電半導体材料等が用いられる。
これらの中で、ビスマス-テルル系熱電半導体材料、テルライド系熱電半導体材料、アンチモン-テルル系熱電半導体材料、又はビスマスセレナイド系熱電半導体材料が好ましい。
さらに、P型ビスマステルライド又はN型ビスマステルライド等のビスマス-テルル系熱電半導体材料であることがより好ましい。
前記P型ビスマステルライドは、キャリアが正孔で、ゼーベック係数が正値であり、例えば、BiTeSb2-Xで表わされるものが好ましく用いられる。この場合、Xは、好ましくは0<X≦0.8であり、より好ましくは0.4≦X≦0.6である。Xが0より大きく0.8以下であるとゼーベック係数と電気伝導率が大きくなり、P型熱電素子としての特性が維持されるので好ましい。
また、前記N型ビスマステルライドは、キャリアが電子で、ゼーベック係数が負値であり、例えば、BiTe3-YSeで表わされるものが好ましく用いられる。この場合、Yは、好ましくは0≦Y≦3(Y=0の時:BiTe)であり、より好ましくは0<Y≦2.7である。Yが0以上3以下であるとゼーベック係数と電気伝導率が大きくなり、N型熱電素子としての特性が維持されるので好ましい。
熱電半導体材料または熱電半導体粒子の前記熱電半導体組成物中の含有量は、好ましくは、30~99質量%である。より好ましくは、50~96質量%であり、さらに好ましくは、70~95質量%である。熱電半導体材料または熱電半導体粒子の含有量が、上記範囲内であれば、ゼーベック係数(ペルチェ係数の絶対値)が大きく、また電気伝導率の低下が抑制され、熱伝導率のみが低下するため高い熱電性能を示すとともに、十分な皮膜強度、屈曲性を有する膜が得られ好ましい。
熱電半導体粒子の平均粒径は、好ましくは、10nm~200μm、より好ましくは、10nm~30μm、さらに好ましくは、50nm~10μm、特に好ましくは、1~6μmである。上記範囲内であれば、均一分散が容易になり、電気伝導率を高くすることができる。
熱電変換材料のチップに用いる熱電半導体粒子は、前述した熱電半導体材料を、微粉砕装置等により、所定のサイズまで粉砕したものが好ましい。
前記熱電半導体材料を粉砕して熱電半導体粒子を得る方法は特に限定されず、ジェットミル、ボールミル、ビーズミル、コロイドミル、ローラーミル等の公知の微粉砕装置等により、所定のサイズまで粉砕すればよい。
なお、熱電半導体粒子の平均粒径は、レーザー回折式粒度分析装置(Malvern社製、マスターサイザー3000)にて測定することにより得られ、粒径分布の中央値とした。
また、熱電半導体粒子は、アニール処理(以下、「アニール処理A」ということがある。)されたものであることが好ましい。アニール処理Aを行うことにより、熱電半導体粒子は、結晶性が向上し、さらに、熱電半導体粒子の表面酸化膜が除去されるため、熱電変換材料のゼーベック係数又はペルチェ係数が増大し、熱電性能指数をさらに向上させることができる。アニール処理Aは、特に限定されないが、熱電半導体組成物を調製する前に、熱電半導体粒子に悪影響を及ぼすことがないように、ガス流量が制御された、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、同じく水素等の還元ガス雰囲気下、または真空条件下で行うことが好ましく、不活性ガス及び還元ガスの混合ガス雰囲気下で行うことがより好ましい。具体的な温度条件は、用いる熱電半導体粒子に依存するが、通常、粒子の融点以下の温度で、かつ100~1500℃で、数分~数十時間行うことが好ましい。
(樹脂)
樹脂は、熱電半導体材料(熱電半導体粒子)間を物理的に結合する作用を有し、熱電変換モジュールの屈曲性を高めることができるとともに、塗布等による薄膜の形成を容易にする。
樹脂としては、耐熱性樹脂またはバインダー樹脂が挙げられる。
(耐熱性樹脂)
耐熱性樹脂は、熱電半導体組成物からなる薄膜をアニール処理等により熱電半導体粒子を結晶成長させる際に、樹脂としての機械的強度及び熱伝導率等の諸物性が損なわれず維持される。
前記耐熱性樹脂は、耐熱性がより高く、且つ薄膜中の熱電半導体粒子の結晶成長に悪影響を及ぼさないという点から、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、エポキシ樹脂が好ましく、屈曲性に優れるという点からポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂がより好ましい。後述する
第1の基板、又は第2の基板として、ポリイミドフィルムを用いた場合、該ポリイミドフィルムとの密着性などの点から、耐熱性樹脂としては、ポリイミド樹脂とポリアミドイミド樹脂がより好ましい。なお、本発明においてポリイミド樹脂とは、ポリイミド及びその前駆体を総称する。
前記耐熱性樹脂は、分解温度が300℃以上であることが好ましい。分解温度が上記範囲であれば、後述するように、熱電半導体組成物からなる薄膜をアニール処理した場合でも、バインダーとして機能が失われることなく、屈曲性を維持することができる。
また、前記耐熱性樹脂は、熱重量測定(TG)による300℃における質量減少率が10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、1%以下であることがさらに好ましい。質量減少率が上記範囲であれば、後述するように、熱電半導体組成物からなる薄膜をアニール処理した場合でも、バインダーとして機能が失われることなく、熱電変換材料のチップの屈曲性を維持することができる。
前記耐熱性樹脂の前記熱電半導体組成物中の含有量は、0.1~40質量%、好ましくは0.5~20質量%、より好ましくは、1~20質量%、さらに好ましくは2~15質量%である。前記耐熱性樹脂の含有量が、上記範囲内であると、熱電半導体材料のバインダーとして機能し、薄膜の形成がしやすくなり、しかも高い熱電性能と皮膜強度が両立した膜が得られ、熱電変換材料のチップの外表面には樹脂部が存在する。
バインダー樹脂は、焼成(アニール)処理(後述する「アニール処理B」に対応、以下同様。)後の、熱電変換材料のチップの作製時に用いるガラス、アルミナ、シリコン等の基材からの剥離も容易にする。
バインダー樹脂としては、焼成(アニール)温度以上で、90質量%以上が分解する樹脂を指し、95質量%以上が分解する樹脂であることがより好ましく、99質量%以上が分解する樹脂であることが特に好ましい。また、熱電半導体組成物からなる塗布膜(薄膜)を焼成(アニール)処理等により熱電半導体粒子を結晶成長させる際に、機械的強度及び熱伝導率等の諸物性が損なわれず維持される樹脂がより好ましい。
バインダー樹脂として、焼成(アニール)温度以上で90質量%以上が分解する樹脂、即ち、前述した耐熱性樹脂よりも低温で分解する樹脂、を用いると、焼成によりバインダー樹脂が分解するため、焼成体中に含まれる絶縁性の成分となるバインダー樹脂の含有量が減少し、熱電半導体組成物における熱電半導体粒子の結晶成長が促進されるので、熱電変換材料層における空隙を少なくして、充填率を向上させることができる。
なお、焼成(アニール)温度以上で所定値(例えば、90質量%)以上が分解する樹脂であるか否かは、熱重量測定(TG)による焼成(アニール)温度における質量減少率(分解前の質量で分解後の質量を除した値)を測定することにより判断する。
このようなバインダー樹脂として、熱可塑性樹脂や硬化性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン系樹脂;ポリカーボネート;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等の熱可塑性ポリエステル樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル、ポリビニルピリジン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等のポリビニル重合体;ポリウレタン;エチルセルロース等のセルロース誘導体;などが挙げられる。硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂や光硬化性樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。光硬化性樹脂としては、例えば、光硬化性アクリル樹脂、光硬化性ウレタン樹脂、光硬化性エポキシ樹脂等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、熱電変換材料層における熱電変換材料の電気抵抗率の観点から、熱可塑性樹脂が好ましく、ポリカーボネート、エチルセルロース等のセルロース誘導体がより好ましく、ポリカーボネートが特に好ましい。
バインダー樹脂は、焼成(アニール)処理工程における熱電半導体材料に対する焼成(アニール)処理の温度に応じて適宜選択される。バインダー樹脂が有する最終分解温度以上で焼成(アニール)処理することが、熱電変換材料層における熱電変換材料の電気抵抗率の観点から好ましい。
本明細書において、「最終分解温度」とは、熱重量測定(TG)による焼成(アニール)温度における質量減少率が100%(分解後の質量が分解前の質量の0%)となる温度をいう。
バインダー樹脂の最終分解温度は、通常150~600℃、好ましくは200~560℃、より好ましくは220~460℃、特に好ましくは240~360℃である。最終分解温度がこの範囲にあるバインダー樹脂を用いれば、熱電半導体材料のバインダーとして機能し、印刷時に薄膜の形成がしやすくなる。
バインダー樹脂の熱電半導体組成物中の含有量は、0.1~40質量%、好ましくは0.5~20質量%、より好ましくは0.5~10質量%、特に好ましくは0.5~5質量%である。バインダー樹脂の含有量が、上記範囲内であると、熱電変換材料層における熱電変換材料の電気抵抗率を減少させることができる。
熱電変換材料中におけるバインダー樹脂の含有量は、好ましくは0~10質量%、より好ましくは0~5質量%、特に好ましくは0~1質量%である。熱電変換材料中におけるバインダー樹脂の含有量が、上記範囲内であれば、熱電変換材料層における熱電変換材料の電気抵抗率を減少させることができる。
(イオン液体)
熱電半導体組成物に含まれ得るイオン液体は、カチオンとアニオンとを組み合わせてなる溶融塩であり、-50℃以上400℃未満のいずれかの温度領域において液体で存在し得る塩をいう。換言すれば、イオン液体は、融点が-50℃以上400℃未満の範囲にあるイオン性化合物である。イオン液体の融点は、好ましくは-25℃以上200℃以下、より好ましくは0℃以上150℃以下である。イオン液体は、蒸気圧が極めて低く不揮発性であること、優れた熱安定性及び電気化学安定性を有していること、粘度が低いこと、かつイオン伝導度が高いこと等の特徴を有しているため、導電補助剤として、熱電半導体材料間の電気伝導率の低減を効果的に抑制することができる。また、イオン液体は、非プロトン性のイオン構造に基づく高い極性を示し、耐熱性樹脂との相溶性に優れるため、熱電変換材料の電気伝導率を均一にすることができる。
イオン液体は、公知または市販のものが使用できる。例えば、ピリジニウム、ピリミジニウム、ピラゾリウム、ピロリジニウム、ピペリジニウム、イミダゾリウム等の窒素含有環状カチオン化合物及びそれらの誘導体;テトラアルキルアンモニウム系のアミン系カチオン及びそれらの誘導体;ホスホニウム、トリアルキルスルホニウム、テトラアルキルホスホニウム等のホスフィン系カチオン及びそれらの誘導体;リチウムカチオン及びその誘導体等のカチオン成分と、Cl、Br、I、AlCl 、AlCl 、BF 、PF 、ClO 、NO 、CHCOO、CFCOO、CHSO 、CFSO 、(FSO、(CFSO、(CFSO、AsF 、SbF 、NbF 、TaF 、F(HF) 、(CN)、CSO 、(CSO、CCOO、(CFSO)(CFCO)N等のアニオン成分とから構成されるものが挙げられる。
上記のイオン液体の中で、高温安定性、熱電半導体材料及び樹脂との相溶性、熱電半導体材料間隙の電気伝導率の低下抑制等の観点から、イオン液体のカチオン成分が、ピリジニウムカチオン及びその誘導体、イミダゾリウムカチオン及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
カチオン成分が、ピリジニウムカチオン及びその誘導体を含むイオン液体として、1-ブチル-4-メチルピリジニウムブロミド、1-ブチルピリジニウムブロミド、1-ブチル-4-メチルピリジニウムヘキサフルオロホスファートが好ましい。
また、カチオン成分が、イミダゾリウムカチオン及びその誘導体を含むイオン液体として、[1-ブチル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムブロミド]、[1-ブチル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリウムテトラフルオロボレイト]が好ましい。
また、上記のイオン液体は、分解温度が300℃以上であることが好ましい。分解温度が上記範囲であれば、後述するように、熱電半導体組成物からなる薄膜をアニール処理した場合でも、導電補助剤としての効果を維持することができる。
イオン液体の熱電半導体組成物中の含有量は、好ましくは0.01~50質量%、より好ましくは0.5~30質量%、更に好ましくは1.0~20質量%である。イオン液体の含有量が、上記範囲内であれば、電気伝導率の低下が効果的に抑制され、高い熱電性能を有する膜が得られる。
(無機イオン性化合物)
熱電半導体組成物に含まれ得る無機イオン性化合物は、少なくともカチオンとアニオンから構成される化合物である。無機イオン性化合物は400~900℃の幅広い温度領域において固体で存在し、イオン伝導度が高いこと等の特徴を有しているため、導電補助剤として、熱電半導体材料間の電気伝導率の低減を抑制することができる。
無機イオン性化合物の熱電半導体組成物中の含有量は、好ましくは0.01~50質量%、より好ましくは0.5~30質量%、更に好ましくは1.0~10質量%である。無機イオン性化合物の含有量が、上記範囲内であれば、電気伝導率の低下を効果的に抑制でき、結果として熱電性能が向上した膜が得られる。
なお、無機イオン性化合物とイオン液体とを併用する場合においては、熱電半導体組成物中における、無機イオン性化合物及びイオン液体の含有量の総量は、好ましくは0.01~50質量%、より好ましくは0.5~30質量%、更に好ましくは1.0~10質量%である。
(熱電半導体組成物の調製方法)
熱電半導体組成物の調製方法は、特に制限はなく、超音波ホモジナイザー、スパイラルミキサー、プラネタリーミキサー、ディスパーサー、ハイブリッドミキサー等の公知の方法により、例えば、前記熱電半導体粒子、前記イオン液体、前記無機イオン性化合物(イオン液体と併用する場合)及び前記耐熱性樹脂、必要に応じて前記その他の添加剤、さらに溶媒を加えて、混合分散させ、当該熱電半導体組成物を調製すればよい。
前記溶媒としては、例えば、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、アルコール、テトラヒドロフラン、メチルピロリドン、エチルセロソルブ等の溶媒などが挙げられる。これらの溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。熱電半導体組成物の固形分濃度としては、該組成物が塗工に適した粘度であればよく、特に制限はない。
前記熱電半導体組成物からなる熱電変換材料のチップは、特に制限はないが、例えば、ガラス、アルミナ、シリコン等の基材上、又は後述する犠牲層を形成した側の基材上に、前記熱電半導体組成物を塗布し塗膜を得、乾燥することで形成することができる。このように、形成することで、簡便に低コストで多数の熱電変換材料のチップを得ることができる。
熱電半導体組成物を塗布し、熱電変換材料のチップを得る方法としては、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、グラビア印刷法、スピンコート法、ディップコート法、ダイコート法、スプレーコート法、バーコート法、ドクターブレード法等の公知の方法が挙げられ、特に制限されない。塗膜をパターン状に形成する場合は、所望のパターンを有するスクリーン版を用いて簡便にパターン形成が可能なスクリーン印刷法、スロットダイコート法等が好ましく用いられる。
次いで、得られた塗膜を乾燥することにより、熱電変換材料のチップが形成されるが、乾燥方法としては、熱風乾燥法、熱ロール乾燥法、赤外線照射法等、従来公知の乾燥方法が採用できる。加熱温度は、通常、80~150℃であり、加熱時間は、加熱方法により異なるが、通常、数秒~数十分である。
また、熱電半導体組成物の調製において溶媒を使用した場合、加熱温度は、使用した溶媒を乾燥できる温度範囲であれば、特に制限はない。
前記熱電半導体組成物からなる薄膜の厚さは、特に制限はないが、熱電性能と皮膜強度の点から、好ましくは100nm~1000μm、より好ましくは300nm~600μm、さらに好ましくは5~400μmである。
熱電半導体組成物からなる薄膜としての熱電変換材料のチップは、さらにアニール処理(以下、「アニール処理B」ということがある。)を行うことが好ましい。該アニール処理Bを行うことで、熱電性能を安定化させるとともに、薄膜中の熱電半導体粒子を結晶成長させることができ、熱電性能をさらに向上させることができる。アニール処理Bは、特に限定されないが、通常、ガス流量が制御された、窒素、アルゴン等の不活性ガス雰囲気下、還元ガス雰囲気下、または真空条件下で行われ、用いる樹脂及びイオン性化合物の耐熱温度等に依存するが、100~500℃で、数分~数十時間行われる。
前記犠牲層として、ポリメタクリル酸メチルもしくはポリスチレン等の樹脂、又は、フッ素系離型剤もしくはシリコーン系離型剤等の離型剤、を用いることができる。犠牲層を用いると、ガラス等の基材上に形成された熱電変換材料のチップが、アニール処理B後に前記ガラス等から容易に剥離できる。
犠牲層の形成は、特に制限されず、フレキソ印刷法、スピンコート法等、公知の方法で行うことができる。
<基板>
電極を形成する基板としては、特に制限されず、ガラス基板、シリコン基板、セラミック基板、樹脂基板等の公知の基板を用いることができる。
屈曲性及び薄型の観点からは、プラスチックフィルム(樹脂基板)を用いることが好ましい。なかでも、屈曲性に優れ、熱電半導体組成物からなる薄膜をアニール処理した場合でも、基板が熱変形することなく、熱電変換モジュールの性能を維持することができ、耐熱性及び寸法安定性が高いという観点から、プラスチックフィルムとしては、ポリイミドフィルム、ポリアミドフィルム、ポリエーテルイミドフィルム、ポリアラミドフィルム、ポリアミドイミドフィルムが好ましく、さらに、汎用性が高いという観点から、ポリイミドフィルムが特に好ましい。
プラスチックフィルムの厚さは、屈曲性、耐熱性及び寸法安定性の観点から、1~1000μmが好ましく、10~500μmがより好ましく、20~100μmがさらに好ましい。
また、前記プラスチックフィルムは、熱重量分析で測定される5%重量減少温度が300℃以上であることが好ましく、400℃以上であることがより好ましい。JIS K7133(1999)に準拠して200℃で測定した加熱寸法変化率が0.5%以下であることが好ましく、0.3%以下であることがより好ましい。JIS K7197(2012)に準拠して測定した平面方向の線膨脹係数が0.1ppm・℃-1~50ppm・℃-1であり、0.1ppm・℃-1~30ppm・℃-1であることがより好ましい。
[熱電変換モジュール]
本発明の熱電変換モジュール用電極は、π型熱電変換素子の構成を有する熱電変換モジュールに適用することが好ましい。
図3は、本発明の熱電モジュール用電極を含む熱電変換モジュールの構成の一例を説明するための断面図であり、熱電変換モジュール1は、いわゆるπ型の熱電変換素子から構成され、互いに対向する第1の基板2a及び第2の基板2bを有し、前記第1の基板2aに形成される第1の電極3aとP型熱電変換材料のチップ4及びN型熱電変換材料のチップ5のそれぞれの一方の面との間に、第1の接合材料からなる第1のはんだ材料層6aを含み、さらに、前記第2の基板2bに形成される第2の電極3bとP型熱電変換材料のチップ4及びN型熱電変換材料のチップ5のそれぞれの他方の面との間に、第2の接合材料からなる第2のはんだ材料層6bを含む。
上記熱電変換モジュールにおいて、第1の電極3a及び第2の電極3bとして、本発明の熱電モジュール用電極を用いることができる。また、第1の基板2a及び第2の基板2bとして、前述した基板を用いることができる。さらに、第1の接合材料からなる第1のはんだ材料層6a及び第2の接合材料からなる第2のはんだ材料層6bとして、前述したはんだ材料を含むはんだ材料層を用いることができる。
本発明の熱電変換モジュール用電極は、接合時の溶融はんだ流れによる電極に対する熱電変換材料のチップの位置ずれを抑制できることから、隣接する熱電変換材料のチップ間の短絡の発生をなくすことができ、熱電性能の低下の抑制、また、製造工程の歩留まりを向上させることができる。さらに、熱電変換モジュールの実装の高密度化につなげることが期待できる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例及び比較例で作製した熱電変換モジュール用電極試験サンプルの熱電変換材料のチップの位置ずれ評価、及び熱電変換材料のチップ間の電気抵抗評価は、以下の方法で行った。
(a)熱電変換材料のチップの位置ずれ評価(顕微鏡による短絡評価含む)
実施例及び比較例で得られた熱電変換モジュール用電極試験サンプルのP型熱電変換材料のチップ及びN型熱電変換材料のチップのそれぞれの、接続部の連結方向への平均位置ずれ量(両チップそれぞれの電極接続部内への平均侵入距離)と、P型熱電変換材料のチップとN型熱電変換材料のチップとの間の短絡発生の有無を、デジタル顕微鏡(キーエンス社製、VHX5000)を用いて評価した。なお、平均位置ずれ量は、熱電変換材料のチップ20対、すなわち40チップの位置ずれ量の算術平均とした。
(b)熱電変換材料のチップ間の電気抵抗評価
同一電極上に備わるP型熱電変換材料のチップの接合部(第1接合部:P型熱電変換材料のチップの面に相当)の中央部とN型熱電変換材料のチップの接合部(第2接合部:N型熱電変換材料のチップの面に相当)の中央部との間の電気抵抗を、低抵抗測定装置(日置電機社製、型名:RM3545)を用いて、25℃×50%RHの環境下で測定した。
(実施例1)
(1)熱電半導体組成物の作製
(熱電半導体粒子の作製)
ビスマス-テルル系熱電半導体材料であるP型ビスマステルライドBi0.4TeSb1.6(高純度化学研究所製、粒径:90μm)を、遊星型ボールミル(フリッチュジャパン社製、Premium line P-7)を使用し、大気雰囲気下で粉砕することで、平均粒径2.5μmの熱電半導体粒子T1を作製した。
また、ビスマス-テルル系熱電半導体材料であるN型ビスマステルライドBiTe(高純度化学研究所製、粒径:90μm)を上記と同様の方法で、平均粒径2.5μmの熱電半導体粒子T2を作製した。
粉砕して得られた熱電半導体粒子T1及びT2に関して、レーザー回折式粒度分析装置(Malvern社製、マスターサイザー3000)により粒度分布測定を行った。
(熱電半導体組成物の塗工液の調製)
塗工液(P)
上記で得られたP型ビスマステルライドBi0.4Te3.0Sb1.6の粒子T1を83.3質量部、耐熱性樹脂としてポリアミドイミド(荒川化学工業社製、製品名:コンポセランAI301、溶媒:N-メチルピロリドン、固形分濃度:18質量%)2.7質量部、及びイオン液体として1-ブチルピリジニウムブロミド14.0質量部を混合分散した熱電半導体組成物からなる塗工液(P)を調製した。
塗工液(N)
上記で得られたN型ビスマステルライドBiTeの粒子T2を91.6質量部、耐熱性樹脂としてポリアミドイミド(荒川化学工業社製、製品名:コンポセランAI301、溶媒:N-メチルピロリドン、固形分濃度:18質量%)3.6質量部、及びイオン液体として1-ブチルピリジニウムブロミド4.8質量部を混合分散した熱電半導体組成物からなる塗工液(N)を調製した。
(2)熱電変換材料のチップの作製
厚さ0.7mmのガラス基板(ソーダライムガラス)上に犠牲層として、ポリメチルメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)(シグマアルドリッチ社製、商品名:ポリメタクリル酸メチル)をトルエンに溶解した、固形分濃度10質量%のポリメチルメタクリル酸メチル樹脂溶液をスピンコート法により、乾燥後の厚さが10.0μmとなるように成膜した。
次いで、メタルマスクを介在して、犠牲層上に上記(1)で調製した塗工液(P)を、スクリーン印刷法により塗布し、温度120℃で、大気雰囲気下で7分間乾燥(厚さ:350μm)した。その後、大気雰囲気下250℃にて110MPaで10分間加圧することで、厚さが200μmのP型熱電半導体材料の粒子を含む熱電半導体組成物からなる薄膜を形成した。得られた薄膜に対し、水素とアルゴンの混合ガス(水素:アルゴン=3体積%:97体積%)雰囲気下で、加温速度5K/minで昇温し、430℃で1時間保持し、前記薄膜をアニール処理し、熱電半導体材料の粒子を結晶成長させ、P型ビスマステルライドBi0.4TeSb1.6を含む、上下面がそれぞれ1.65mm×1.65mmで厚さが200μmの直方体状のP型熱電変換材料のチップを得た。
また、上記(1)で調製した塗工液(N)に変更し、加圧条件が大気雰囲気下250℃で37MPa、360℃で1時間、水素とアルゴンの混合ガス雰囲気下で薄膜をアニール処理した以外は同様の方法で、N型ビスマステルライドBiTeを含む、上下面がそれぞれ1.65mm×1.65mmで厚さが200μm(加圧前の厚さ:390μm)の直方体状のN型熱電変換材料のチップを得た。
(3)はんだ受理層の形成
アニール処理後のP型及びN型熱電変換材料のチップをガラス基板上から剥離し、無電解メッキ法によって、P型及びN型熱電変換材料のチップのすべての面にはんだ受理層として、ニッケル層(厚さ:3μm)及び金層(厚さ:40nm)をこの順に積層した。
次いで、P型及びN型熱電変換材料のチップがそれぞれ1.40mm×1.40mmの寸法となるように、P型及びN型熱電変換材料のチップの側面のはんだ受理層を機械研磨法、すなわち、サンドペーパー(番手2000)を用いて除去し、上下面のみにはんだ受理層を有するP型及びN型熱電変換材料のチップを得た。なお、側面に積層したはんだ受理層を完全に除去するために、P型及びN型熱電変換材料のチップの側面の壁の一部も含め研磨した。
(4)電極の形成
まず、両面に銅箔を貼付したポリイミドフィルム基板(宇部エクシモ社製、製品名:ユピセルN、ポリイミド基板、厚さ:12.5μm、銅箔、厚さ:12μm)を準備し、該ポリイミドフィルム基板の銅箔の片面のみにエッチング法により電極パターン[3.20mm×1.50mm、接続部の括れ方向の幅:1.00mm、接続部の連結方向の幅:0.20mm、電極の第1接合部(P型熱電変換材料のチップ用):1.50mm×1.50mm、電極の第2接合部(N型熱電変換材料のチップ用):1.50mm×1.50mm;20個、2行×10列]を形成し、さらに銅箔上に、無電解めっきにより、ニッケル層(厚さ:3μm)及び金層(厚さ:40nm)をこの順に積層し、電極を有する基板を作製した(以下、「電極基板」ということがある。)。
ただし、電極の接続部の中心は、電極の中央部の中心と一致させている。
<電極試験サンプルの作製>
〈熱電変換材料のチップの実装〉
電極基板の電極の第1接合部及び電極の第2接合部のそれぞれの中央部に対し対称に、はんだ材料[ニホンハンダ社製、製品名:PF141-LT7H0]を用い、ステンシル印刷によりはんだ材料層(固化前の厚さ:50μm)を、この順に、P型熱電変換材料のチップ及びN型熱電変換材料のチップと同一サイズ(1.40mm×1.40mm)になるように形成した。
次いで、上記で得られたP型及びN型熱電変換材料のチップそれぞれの、はんだ受理層を有する一方の面を、同一サイズのはんだ材料層の面に重なるように載置し、190℃、2分間、リフローによる加熱処理を行い室温に戻し、はんだ材料層を固化(はんだ材料層の厚さ:30μm)することにより電極と接合し、P型及びN型熱電変換材料のチップをそれぞれ、電極基板の電極の第1接合部及び第2接合部に実装することにより熱電変換モジュール用電極試験サンプルを得た。
前述した熱電変換材料のチップの位置ずれ評価に従い、P型熱電変換材料のチップ及びN型熱電変換材料のチップそれぞれの、接続部の連結方向への平均位置ずれ量と、P型熱電変換材料のチップとN型熱電変換材料のチップとの間の短絡の発生の有無を評価した。また、P型熱電変換材料のチップの接合部の中央部(第1接合部)とN型熱電変換材料のチップの接合部(第2接合部)の中央部との間の電気抵抗を測定した。結果を表1に示す。
(実施例2)
実施例1において、接続部の括れ方向の幅を0.50mmにした以外は、実施例1と同様にして熱電変換モジュール用電極試験サンプルを作製した。得られた熱電変換モジュール用電極試験サンプルについて、実施例1と同様の方法で、P型熱電変換材料のチップ及びN型熱電変換材料のチップそれぞれの、接続部の連結方向への平均位置ずれ量と、P型熱電変換材料のチップとN型熱電変換材料のチップとの間の短絡の発生の有無を評価した。また、P型熱電変換材料のチップの接合部の中央部とN型熱電変換材料のチップの接合部の中央部との間の電気抵抗を測定した。結果を表1に示す。
(比較例1)
実施例1において、接続部の括れ方向の幅を1.50mmにした以外は、実施例1と同様にして熱電変換モジュール用電極試験サンプルを作製した。当該試験サンプルについて、実施例1と同様の方法でP型熱電変換材料のチップ及びN型熱電変換材料のチップそれぞれの、接続部の連結方向への平均位置ずれ量と、P型熱電変換材料のチップとN型熱電変換材料のチップとの間の短絡の発生の有無を評価した。また、P型熱電変換材料のチップの接合部の中央部とN型熱電変換材料のチップの接合部の中央部との間の電気抵抗を測定した。結果を表1に示す。
(比較例2)
実施例1において、接続部の括れ方向の幅を1.30mmにした以外は、実施例1と同様にして熱電変換モジュール用電極試験サンプルを作製した。当該試験サンプルについて、実施例1と同様の方法で、P型熱電変換材料のチップ及びN型熱電変換材料のチップそれぞれの、接続部の連結方向への平均位置ずれ量と、P型熱電変換材料のチップとN型熱電変換材料のチップとの間の短絡の発生の有無を評価した。また、P型熱電変換材料のチップの接合部の中央部とN型熱電変換材料のチップの接合部の中央部との間の電気抵抗を測定した。結果を表1に示す。
(比較例3)
実施例1において、接続部の括れ方向の幅を0.10mmにした以外は、実施例1と同様にして熱電変換モジュール用電極試験サンプルを作製した。当該試験サンプルについて、実施例1と同様の方法で、P型熱電変換材料のチップ及びN型熱電変換材料のチップそれぞれの、接続部の連結方向への平均位置ずれ量と、P型熱電変換材料のチップとN型熱電変換材料のチップとの間の短絡の発生の有無を評価した。また、P型熱電変換材料のチップの接合部の中央部とN型熱電変換材料のチップの接合部の中央部との間の電気抵抗を測定した。結果を表1に示す。
Figure 2022057937000002
接続部の括れ率が本発明の規定内である実施例1~2では、本発明の規定外となる比較例1~2と比べて、隣接するP型熱電変換材料のチップ及びN型熱電変換材料のチップの位置ずれ(接続部への侵入)がほとんどなく、P型熱電変換材料のチップとN型熱電変換材料のチップとの間の短絡が発生しないことがわかる。なお、比較例3では、位置ずれがほとんどなく、短絡の発生がないものの、電極の接続部の括れ方向の断面積の減少により電気抵抗値が増大してしまい、熱電性能の低下が推測される。
本発明の熱電変換モジュール用電極は、熱電変換材料のチップとの接合時に、当該熱電変換材料のチップとの位置ずれの発生を抑制し、電極上に隣接する熱電変換材料のチップ間の短絡を防止できる。
このため、本発明の熱電変換モジュール用電極をπ型熱電変換素子で構成される熱電変換モジュールに適用した場合、熱電性能の低下の改善、製造工程の歩留まり向上に有用であることから、公知の発電用及び冷却用モジュールに用いられる。
1:熱電変換モジュール
2a:第1の基板
2b:第2の基板
3:電極
3p:電極(P型熱電変換材料のチップ接合用)
3n:電極(N型熱電変換材料のチップ接合用)
3a:第1の電極
3b:第2の電極
4:P型熱電変換材料のチップ
5:N型熱電変換材料のチップ
6:はんだ材料層
6a:第1のはんだ材料層
6b:第2のはんだ材料層
7p:P型熱電変換材料のチップの第1接合部
7n:N型熱電変換材料のチップの第2接合部
7pe:電極の第1接合部
7ne:電極の第2接合部
9:接続部
10:括れ部
11:接続部の括れ方向
12:接続部の連結方向
:接続部の連結方向の幅
:接続部の括れ方向の最小幅
:P型熱電変換材料のチップ及びN型熱電変換材料のチップの最小幅(接続部の括れ方向の少なくとも一方)

Claims (5)

  1. 互いに離間する1組のP型熱電変換材料のチップ及びN型熱電変換材料のチップが、はんだ材料を介し接合される熱電変換モジュール用の電極であって、前記電極が、該電極の中央部に、前記P型熱電変換材料のチップの第1接合部と前記N型熱電変換材料のチップの第2接合部とをそれぞれ連結する括れを有する接続部を備え、該接続部の括れ方向の最小幅をY(mm)、前記P型熱電変換材料のチップ及び前記N型熱電変換材料のチップの、前記接続部の前記括れ方向の少なくとも一方の最小幅をY(mm)とした時に、下記式(1)で定義される電極の接続部の括れ率Cが0.20~0.80である、熱電変換モジュール用電極。
    C=[(1-(Y/Y)] (1)
  2. 前記接続部の形状が矩形である、請求項1に記載の熱電変換モジュール用電極。
  3. 前記電極の、前記P型熱電変換材料のチップの第1接合部に対向する第1接合部、及び前記N型熱電変換材料のチップの第2接合部に対向する第2接合部、の形状の少なくとも一方が矩形である、請求項1又は2に記載の熱電変換モジュール用電極。
  4. 前記接続部の括れ率Cが0.25~0.70である、請求項1~3のいずれか1項に記載の熱電変換モジュール用電極。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の熱電変換モジュール用電極が、π型熱電変換素子に用いられる、熱電変換モジュール。
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CN117979802A (zh) * 2024-03-29 2024-05-03 四川科尔威光电科技有限公司 一种具有阻焊流动的集成电路结构及其制备方法

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