以下、本発明に係る建物のベースユニット、建物の骨組み構造および建物の実施例について図面を参照しながら説明する。
[建物のベースユニットの第1実施例]
図1において、建物のベースユニット10は、複数の外周部水平材11と、複数の出隅接合板13Lと、複数の内部水平材12と、1個の内部接合板14Lを有している。外周部水平材11、出隅接合板13L、内部水平材12はそれぞれ6個である。6個の出隅接合板13Lはそれぞれ1つの外周部水平材11の端部と他の1つの外周部水平材11の端部とを連結して、6個の外周部水平材11で囲まれた正6角形の平面を形成している。
それぞれの出隅接合板13Lによる1つの外周部水平材11と他の1つの外周部水平材11との接合部からは、内部水平材12が前記正6角形の平面内においてこの平面の内方に向かって延びている。各内部水平材12の一端部は前記正6角形の平面の中心部に集結している。
各出隅接合板13Lの下面および内部接合板14Lにはそれぞれ同じ長さの束16の一端を接合する。各束16は、コンクリートなどで作られる適宜の基礎の上に設置し、前記正6角形の平面が水平面をなすように調整する。
図2に示すように、各出隅接合板13Lの上には、1つの外周部水平材11および他の1つの外周部水平材11の一端部と、1つの内部水平材12の一端部とを挟んで別の出隅接合板13Uを重ねる。1つの出隅接合板13Uともう1つの出隅接合板13Lは対をなす。一対の接合板13U、13Lをボルトとナットからなる締結部材で締結することにより、2つの外周部水平材11と1つの内部水平材12の一端部を接合する。
前記正6角形の平面の中心部に集結している各内部水平材12の一端部は、内部接合板14Lと他の1つの内部接合板14Uで挟み込まれる。内部接合板14Lと内部接合板14Uは上下で対をなし、上下の内部接合板14L、14Uをボルトとナットからなる締結部材で締結することにより、各内部水平材12の各端部を上下の内部接合板14U、14Lで一括して接合する。
上下の出隅接合板13U、13Lおよび上下の内部接合板14U、14Lの符号の末尾に付した「U」と「L」は、「U」が上側、「L」が下側であることを示している。これらの上下の接合板を、図11について後で説明する締結部材としてのボルト50とナット60で締結する。出隅接合板13U、内部接合板14Uがナット側、出隅接合板13L、内部接合板14Lがボルト側になっていて、締結用の孔の周辺がそれぞれナットとボルトの形に適合した形になっている。以後の説明における別の接合板についても同様に、符号の末尾の「U」と「L」で区別する。
以上のようにしてベースユニット10を構成している。ベースユニット10を構成する各外周部水平材11は、120度の内角をもって出隅接合板13L、13Uで接合される。外周部水平材11の各結合部からは前記120度の内角を2分する内部水平材12が上下の内部接合板14L、14Uに向かって延び出ている。6個の外周部水平材11は、上下の内部接合板14L、14Uから60度の開き角度をもって放射状に延びている。
以上説明したベースユニット10の構成を換言すると、隣接する2つの出隅接合板13U、13Lで各端部が接合される1つの外周部水平材11と、内部接合板14L、14Uで端部が接合される2つの内部水平材12が、平面形状正三角形を形成している。この正三角形を形成する外周部水平材11と内部水平材12と出隅接合板13U、13Lと内部接合板14L、14Uとで、1つのモジュール15を構成している。
モジュール15が複数(本実施例では6個)集合することによって、ベースユニット10を構成している。1つのモジュール15とこれに隣接するもう1つのモジュール15は、1つの内部水平材12を共用している。各モジュール15はこれを個別のモジュールとして形成し、個別のモジュールを互いに結合してもよいし、図示の例のように隣り合うモジュールで水平部材を共用してもよい。後で説明する各実施例においても同様である。
[構成部品の具体例]
次に、ベースユニット10を構成する部品の具体例について説明する。
図5はナット側の出隅接合板13Uを示す。出隅接合板13Uは、2つの外周部水平材11を120度の角度をもって接合するために、平面形状が120度の屋根型の部分を持った五角形の部品である。出隅接合板13Uは、2つの外周部水平材11と1つの内部水平材12の各一端部を連結するための3つの孔13U1と、1つの四角形のほぞ孔13U3を有している。
図6は、出隅接合板13Uと対をなすボルト側の出隅接合板13Lを示す。出隅接合板13Lも平面形状が120度の屋根型の部分を持った五角形の部品である。下接合板13Lは、上接合板13Uの孔13U1に対応する3つの孔13L1と、上接合板13Uのほぞ孔13U3に対応する四角形の1つのほぞ孔13L3を有している。
図7はボルト側の内部接合板14Lを示す。内部接合板14Lは平面形状が正6角形の部品であって、正6角形の各辺に対応する位置にそれぞれ、したがって6か所に孔14L1を有し、中央部に四角形のほぞ孔14L3を有している。
図8は、内部接合板14Lと対をなすナット側の内部接合板14Uを示す。内部接合板14Uは内部接合板14Lと同様に平面形状が正6角形の部品であって、正6角形の各辺に対応する位置にそれぞれ、したがって6か所に孔14U1を有している。
本実施例における各出隅接合板14L、14U、各内部接合板14L、14Uの材質は木質系の材質であって、適宜の厚さの構造用合板を用いている。ただし、これらの材質は構造用合板に限られるものではないし、木質系に限られるものでもない。
図9は内部水平材12を示す。内部水平材12は木製の角材である。内部水平材12の両端部は同一形状で、上下の両面側から削られて薄肉部121になっている。両端の薄肉部121の先端は60度の角度をなす剣先状になっている。薄肉部121には孔123が設けられている。
図10は外周部水平材11を示す。外周部水平材11は木製の角材である。外周部水平材11の両端部は互いに対称形になっていて、上下の両面側から削られて薄肉部111になっている。両端の薄肉部111は、外周部水平材11の一側面に対し150度の角度をもって形成された傾斜面111Aと、この傾斜面111Aに続くもう一つの傾斜面111Bを有している。傾斜面111Bは、傾斜面111Aに対して150度の角度、外周部水平材11の前記一側面と反対側の側面に対しては60度の角度をもって形成されている。
図1に示すように、1つの出隅接合板13Lの上に、2つの外周部水平材11の薄肉部111を、双方の傾斜面111Bを突き合わせて載せる。2つの外周部水平材11相互の開き角度は120度になる。2つの外周部水平材11の薄肉部111の外側面と、出隅接合板13Lの前記屋根型の部分の外側面が同一面をなす。
出隅接合板13L上の前記2つの外周部水平材11の傾斜面111Aは、相互に角度60度をもって開いており、この角度60度の空間に内部水平材12の前記薄肉部121の先端が嵌っている。1つの出隅接合板13Lの上に載っている2つの外周部水平材11の薄肉部111と、1つの内部水平材12の薄肉部121の上面は同一面になっている。この同一面上に、図2に示すように別の出隅接合板13Uが重なっている。
出隅接合板13Uは、平面形状および大きさが出隅接合板13Lと同じで、外側面が出隅接合板13Lの外側面と同じ面にある。出隅接合板13Uの3か所の孔13U1にそれぞれ締結部材を挿入する。各締結部材は2つの外周部水平材11の孔113(図10参照)、1つの内部水平材12の孔123(図9参照)を貫通し、さらに、出隅接合板13Lの3つの孔13L1を貫通する。
1つの外周部水平材11と他の1つの外周部水平材11を連結する各出隅接合板13Lから延びる6個の内部水平材12は、その一端部の薄肉部121をボルト側の内部接合板14Lの上で集結させる。各内部水平材12の薄肉部121は開き角度60度であるため、内部接合板14Lの上面は各内部水平材12の薄肉部121で埋まっている。
各内部水平材12の薄肉部121の上には、図2に示すようにナット側の内部接合板14Uが載る。内部接合板14Uは、平面形状および大きさが内部接合板14Lと同じで、6つの面からなる外側面が内部接合板14Lの外側面と同じ面にある。内部接合板14Uの6か所の孔14U1にはそれぞれ締結部材が挿入される。各締結部材は各内部水平材12の孔123(図9参照)、上下の内部接合板14U、14Lの孔14U1、14L1を貫通している。
図11は、前記締結部材の例としてボルト50とナット60を示している。ボルト50とナット60は、締結する対象への接触面積を大きくするためにそれぞれフランジ51,61を有している。ナット60はフランジ61に続いてある程度長い筒部を有し、筒部に形成されている雌ねじをボルト50の雄ねじに螺合する。
前述のように、上下の出隅接合板13L、13Uの間に2つの外周部水平材11の薄肉部111と内部水平材12の薄肉部121を挟んだ状態で、締結部材としてのボルト50とナット60で締結する。対をなす上下の出隅接合板13L、13Uは6対あり、6対の上下の出隅接合板13L、13Uで、外周部水平材11および内部水平材12の一端部を挟み前記締結構造によって締結する。
また、上下の内部接合板14U、14Lで6つの内部水平材12の薄肉部121を挟んだ状態で、締結部材としてのボルト50とナット60で上下の内部接合板14U、14Lを締結する。出隅接合板13U、内部接合板14Uの各孔13U1、14U1を囲むようにして、ナット50のフランジ51が嵌る円形の凹部が形成されている。
ここまで説明してきたように、6個の外周部水平材11と、6対の上下出隅接合板13U、13Lと、6個の内部水平材12と、1対の上下内部接合板14U、14Lで、平面形状正6角形のベースユニット10を構成する。2対の出隅接合板13U、13Lで両端部が接合される1つの外周部水平材11と、上下の内部接合板14U、14Lで端部が接合される2つの内部水平材12とで、平面形状が正三角形の前記モジュール15を構成している。
図1、図2に示す第1実施例に係るベースユニット10は、6個のモジュール15からなる最小単位の平面形状正6角形のベースユニットを構成している。
各ボルト側出隅接合板13Lのほぞ孔13L3には床束16の一端部のほぞを嵌め、各床束16を各出隅接合板13Lに結合する。内部接合板14Lのほぞ孔14L3にも床束16の一端部を嵌める。下方に向かって延びる各床束16の下端をコンクリートなどで構築された基礎の上に載せてベースユニット10を設置する。ベースユニット10は上面が水平面をなすように調整する。
[建物の骨組み構造の第1実施例]
次に、ベースユニット10を用いた建物の骨組み構造の第1実施例を説明する。図2に示すように、6つのナット側出隅接合板13Uのほぞ孔13U3(図5参照)にはそれぞれ支柱17の下端のほぞを嵌め、各支柱17を出隅接合板13Uから垂直に立ち上げる。各支柱17の上には天井ユニット10Aを載せ、各支柱17で天井ユニット10Aを支持する。各支柱17と天井ユニット10Aを締結部材で結合することより建物の骨組み構造を構成する。
天井ユニット10Aの構造はベースユニット10の構造と同じであり、ベースユニット10を上下反転させている点が異なる。天井ユニット10Aを構成する各部材に付する符号は、ベースユニット10を構成する各部材に付した符号と同じである。したがって、天井ユニット10Aの説明では、出隅接合板と内部接合板の上下関係がベースユニット10に対して反転している。
天井ユニット10Aも、6つの外周部水平材11と、それぞれ6つの上下出隅接合板14U、14Lと、6つの内部水平材12と、上下内部接合板14U、14Lを有する。1つの外周部水平材11と、2つの内部水平材12とで、平面形状が正三角形のモジュール15を構成している点もベースユニット10と同じである。
図2は、各支柱17で天井ユニット10Aを支持する前の段階を示している。各支柱17の上端のほぞを天井ユニット10Aの出隅接合板13Uのほぞ孔に嵌め、各出隅接合板13Uを各支柱17に連結する。図2では内部接合板14Uが空中に浮いたように示されている。前述のように、集結した6個の内部水平材12の一端部を、上下の内部接合板14U、14Lで挟み込み、前記ボルト50とナット60で締結することにより6個の内部水平材12を接合する。
図3は、6つの出隅接合板13Uおよび1つの内部接合板14Uとそれぞれ対をなす出隅接合板13Lおよび1つの内部接合板14Lが未装着の状態を示す。図4は、6つの出隅接合板13Lおよび1つの内部接合板14Lを装着した状態を示す。対をなす上下出隅接合板13U、13Lおよび上下内部接合板14U、14Lを前記ボルト50とナット60で締結し、天井ユニット10Aを構成する。
以上のようにして、ベースユニット10と、ベースユニット10の各出隅接合板の上に立てた支柱17と、各支柱17によって支持した天井ユニット10Aによって建物の骨組み構造を構成する。
前記骨組み構造には、適宜の筋交い18を付加して補強するとよい。図4に示す例では、同じ大きさの6つの外周面のうち3面に筋交い18がX字状に設置されている。筋交い18のない他の3面の少なくとも1面は内部への出入り口とし、筋交い18のない他の面は、窓を設置するなど任意に利用できる。
[建物の第1実施例]
前記建物の骨組み構造には、ベースユニット10に床板を張り、屋根を付加し、外周面に壁を設置し、出入り口に扉を設置するなどにより、建物として利用可能である。図4では、内部接合板14Lのほぞ孔14L3(図7参照)に小屋束19の端部のほぞを嵌め込んで小屋束19が立った状態を示している。適宜数、例えば6本の垂木の一端部を小屋束19の上端部で結合し、前記各垂木の他端部を各出隅接合板13Lに接合すれば屋根の骨組みを構築することができる。各垂木の上に屋根を葺けば、正6角錐形の屋根になる。
以上説明した第1実施例に係る建物のベースユニットおよび建物の骨組み構造を用いた建物によれば、少ない構成部材で堅牢な建物を得ることができる。また、ボルト50とナット60からなる締結部材を用いて建物を容易に組み立て、分解できるため、災害時の仮設住宅として、あるいは感染症患者のための隔離病棟として適している。また、勉強部屋や離れ、サウナ室など、各種用途の個室として使用するのにも適している。
第1実施例に係る建物は、正三角形のモジュール15が6個集まった例えば1.5畳程度の床面積と適宜の高さの空間を持った最小単位の建物である。この最小単位の建物をいくつか結合して拡張した建物を構築することができる。以下、拡張した建物とこの建物のためのベースユニットおよび骨組み構造の実施例について説明する。
[建物のベースユニットの第2実施例]
図12、図13に第2実施例に係る建物のベースユニット20を示す。ベースユニット20は、前記モジュール15が24個集まった例えば6畳程度の床面積を持っている。ベースユニット20は、第1実施例に係るベースユニット10と同様に、複数の外周部水平材11、複数の上下出隅接合板13U、13L、複数の内部水平材12を有し、さらに複数の上下内部接合板14U、14Lを有する。
ベースユニット20がベースユニット10と異なるのは、内部接合板14U、14Lが複数対あることと、出隅接合板13U、13Lに加えて上下で対をなす外周中間部接合板130U、130Lを有していることである。外周中間部接合板130Uはナット側接合板であり、接合板130Lはボルト側接合板である。外周中間部接合板130U、130Lは、2つの外周部水平材11を直線状に連結する。
図16は外周中間部接合板130Uを示す。外周中間部接合板130Uは、平面形状が屋根型の5角形の部材で、屋根に相当する2面は互いに120度の角度を持ち、底面に相当する面は平面であり、両側面は互いに平行である。外周中間部接合板130Uは屋根に相当する2面と両側面の近くにそれぞれ孔130U1を有し、底面近くに四角形のほぞ孔130U3を有している。
図17はボルト側外周中間部接合板130Lを示す。外周中間部接合板130Lは外形がナット側外周中間部接合板130Uと同じであり同じ大きさである。外周中間部接合板130Lは屋根に相当する2面と、互いに平行な両側面の近くにそれぞれ孔130L1を有している。
図18はベースユニット20に用いる外周部水平材110を示す。外周部水平材110は角材からなり、両端部はそれぞれ薄肉部1101となっている。一方の薄肉部1101は、第1実施例に用いる外周部水平材11の一端部と同様に構成され、傾斜面1101Aと、この傾斜面1101Aに続くもう一つの傾斜面1101Bと、孔1103を有している。
外周部水平材110の他方の薄肉部1101は、外周部水平材110の一側面に対して150度の角度を持つ傾斜面1101Cと、傾斜面1101Cに続く端面1101Dと、孔1103を有している。端面1101Dは、外周部水平材110の一側面に対して90度、傾斜面1101Cに対し120度の角度を持っている。
図12、図13において、隣り合う2対の出隅接合板13U、13Lの間に、第2の接合板である上下1対の外周中間部接合板130U、130Lが配置されている。1対の外周中間部接合板13U、13Lからはそれぞれ外周部水平材110が、外周中間部接合板13U、13Lを挟む両側の出隅接合板13U、13Lに向かって延びている。各外周部水平材110の端部はそれぞれ両側の出隅接合板13U、13Lを接合している。
各外周部水平材110は、傾斜面1101A、1101Bを有する側の端部を上下出隅接合板13U、13Lに接合する。上下出隅接合板13U、13Lへの2つの外周部水平材110と1つの内部水平材12との結合構造は、第1実施例における結合構造と同じである。
各外周部水平材110は、傾斜面1101Cと端面1101Dを有する側の端部を外周中間部接合板130U、130Lに接合する。下側の外周中間部接合板130Lの上に2つの外周部水平材110の端面1101Dを突き合わせて薄肉部1101を載せる。2つの外周部水平材110は外周中間部接合板130Lの前記底面に沿い直線状に延びる。2つの外周部水平材110の傾斜面1101C相互は120度の角度をもって開いている。
傾斜面1101C相互の120度の開き角度内に、2個の前記内部水平材12の一端部を嵌め込む。このようにして外周中間部接合板130Lの上に集結した2個の外周部水平材110と2個の内部水平材12の各端部の薄肉部でできた窪みに図14に示すように上側の外周中間部接合板130Uを嵌める。上下の外周中間部接合板130U、130Lは、2個の外周部水平材110と2個の内部水平材12の端部を挟んで、それぞれの前記孔にボルト50を通し、ナット60で締結してこれらを接合する。
出隅接合板13U、13Lからは2個の外周部水平材110が120度の開き角度をもって伸び、1個の内部水平材12が2個の外周部水平材110の開き角度を2等分して延びている。外周中間部接合板130U、130Lからは2個の外周部水平材110が直線状に、したがって開き角度180で延び、2個の内部水平材12が前記開き角度180度を3等分して延びている。
ベースユニット20の外周は、直線状に連結された2個の外周部水平材110で正6角形の一辺を構成している。1つの外周部水平材110と、一対の出隅接合板13U、13Lから延びた内部水平材12と、一対の外周中間部接合板130U、130Lから延びた内部水平材12とで正三角形の1つのモジュール15を構成している。一対の外周中間部接合板130U、130Lからは2つの内部水平材12が伸びてそれぞれ別の上下内部接合板14U、14Lに接合されている。
直線状に結合された2個の外周部水平材110で正6角形の1辺を構成している。この正6角形の内方には、この正6角形よりも小さい正6角形の各頂点に6個の上下内部接合板14U、14Lがある。この小さい正6角形の中心位置にも上下の内部接合板14U、14Lがある。
小さい正6角形の中心位置にある内部接合板14U、14Lからは6個の内部水平材12が互いに60度の角度をもって放射状に延び、この6個の内部水平材12はそれぞれ前記6個の内部接合板14U、14Lに接合されている。
ベースユニット20の内方の前記6個の内部接合板14U、14Lと中心位置の内部接合板14U、14Lは、それぞれ6個の内部水平材12を接合している。1つの外周部水平材110と2つの内部水平材12で正三角形のモジュール15を構成し、また、3つの内部水平材12でモジュール15を構成している。
以上のようにして第2実施例に係るベースユニット20は、24個のモジュール15が集合していて、例えば6畳相当の床面積を確保できる。6個の出隅接合板13L、6個の外周中間部接合板130L、7個の内部接合板14Lからはそれぞれ床束16が下に向かって延び、各床束16は適宜の基礎に載せられる。
[建物の骨組み構造の第2実施例]
第2実施例に係るベースユニット20を用いて第2実施例に係る建物の骨組み構造を得ることができる。図13に示すように、各出隅接合板13U、各外周中間部接合板130Uの上にそれぞれ支柱17を立てる。各支柱17は、ほぞを前記各接合板のほぞ孔に嵌めることによって立てる。さらに、図14に示すように、各支柱17で天井ユニット20Aを支持する。
天井ユニット20Aは、ベースユニット20を上下反転したものである。したがって、各支柱17の上端には、図13に示すように、出隅接合板13U、外周中間部接合板130Uが、各支柱17のほぞと上記各接合板13U、130Uのほぞ孔の嵌め合いによって固定されている。天井ユニット20Aの出隅接合板13U、外周中間部接合板130Uの位置は、ベースユニット20の出隅接合板13U、外周中間部接合板130Uの位置に上下方向において対応している。
図13では、ベースユニット20の内部接合板14Uと上下方向において対応する位置に配置される天井ユニット20Aの内部接合板14Uも描かれている。天井ユニット20Aもベースユニット20と同様に、出隅接合板13Uと外周中間部接合板130Uを外周部水平材110で連結する。各出隅接合板13U、各外周中間部130U、各内部接合板14Uを内部水平材12で連結し、また、内部接合板14U同士を内部水平材12で連結する。
天井ユニット20Aのナット側出隅接合板13Uおよび外周中間部接合板130Uの上には、外周部水平材11および内部水平材12の薄肉部を挟んでボルト側の出隅接合板13Ⅼおよび外周中間部接合板130Lを重ねる。前述のボルト50とナット60を用いた締結構造によってこれらの部材を結合する。各ナット側内部接合板14Uの上にも各内部水平材12の薄肉部を挟んでボルト側内部接合板14Lを重ね、前記締結構造によってこれらの部材を結合する。
図15は、このようにして組み立てられた第2実施例に係る建物の骨組み構造を示す。この骨組み構造は、周囲が6面で囲まれた平面形状正6角形で、例えば、床面積は6畳、適宜の内部空間の高さを持った建物を得ることができる。
[建物の第2実施例]
図15に示す骨組み構造に、以下の部材を付加することにより完結した建物を得ることができる。天井ユニット20Aの中心に位置する上側の内部接合板14Lの上に小屋束を立てる。この中心位置の下内部接合板14Lを囲む6個の下内部接合板14Lの上にも、中心位置の前記束よりも短い小屋束を立てる。中心位置の内部接合板14L上の小屋束から、周囲6個の下内部接合板14Lの小屋束を通り、出隅接合板13Lに至る垂木を設置する。垂木相互間に屋根材を設置して正6角錐状の屋根を形成する。屋根の構造については、第3実施例において詳細に説明する。
ベースユニット20と天井ユニット20Aの間において、平面形状正六角形の各角に位置する各支柱17で区画される周囲の6面のうち少なくとも1面に、内部への出入口を設ける。前記6面は何れも支柱17によって左右に2分されているので、このうちの一方または両方を出入口とする。
出入口以外の外周面には壁を構築し、壁の一部には窓を設けるなど、使用目的に応じた構造にすればよい。以上のようにして、構造が簡単で、組み立て、分解が容易な建物を得ることができる。
次に、本発明に係る建物のベースユニット、建物の骨組み構造および建物の第3実施例について説明する。第3実施例は、第2実施例を1単位とし、複数単位を連結した構造になっている。以下に説明する第3実施例は、2単位の第2実施例を連結した構造である。
[建物のベースユニットの第3実施例]
図19に示すベースユニットの第3実施例は、第2実施例に係る平面形状正6角形のベースユニット20を2個、それぞれの6角形の1辺を共通にして結合した形態になっている。2個のベースユニット20の各1辺を共通にして結合するために、この結合部分に使用する入隅部水平材と、この入隅部水平材および内部水平材12を結合する入隅接合板を用いる点が特徴になっている。
図24は、第3実施例においてベースユニット20同士の結合部に使用する入隅部水平材120の例を示す。入隅部水平材120は角材からなり、両端部が薄肉部1201になっている。一端部の薄肉部1201は、入隅部水平材120の一側面に対して角度150度をなす傾斜面1201Aと、この傾斜面1201Aに対して90度の角度をもって切断された傾斜面1201Bと、孔1203を有する。
入隅部水平材120の他端部の薄肉部1201は、図18に示す第2実施例の外周部水平材110の一端部と同様に、入隅部水平材120の一側面に対して150度の角度を持つ傾斜面1201Cと、傾斜面1201Cに続く端面1201Dと、孔1203を有する。端面1201Dは入隅部水平材120の一側面に対して90度の角度を持つ。
図25、図26はそれぞれナット側の入隅接合板140U、ボルト側の入隅接合板140Lを示す。図25において、入隅接合板140Uは、正6角形の板の1つの頂部から120度の角度で内方に向かう切り欠き140U3を有している。切り欠き140U3は、正6角形の2つの頂部にまたがって形成されている。入隅接合板140Uは、切り欠き140U3を形成する側面を除く他の5つの側面に対応する位置にそれぞれ孔140U1を有し、切り欠き140U3の頂部に対応する位置に四角形のほぞ孔140U2を有する。
図26に示すボルト側入隅接合板140Lも、ナット側入隅接合板140Uと同様に、正6角形の板の1つの頂部から120度の角度で内方に向かう切り欠き140L3を有している。入隅接合板140Lは、5つの側面に対応する位置にそれぞれ孔140L1を有する。
図19に示すように、2つのベースユニット20の正6角形の各1辺の両端に対応する2か所に、双方のベースユニット20に共通の入隅接合板140Lが配置されている。2か所の入隅接合板140Lを結ぶ直線の中央に1個の内部接合板14Lがある。
2つの入隅接合板140Lのそれぞれに、双方のベースユニット20の入隅部水平材120の前記傾斜面1201B(図24参照)を有する側の端部を重ねる。前記2つの入隅部水平材120は、その傾斜面1201Bを互いに突き合わせ、双方に120度の開き角度を持たせかつ入隅接合板140Lの切り欠き140L3に倣わせて配置する。
前記2つの入隅接合板140Lのそれぞれにはさらに、3個の内部水平材12の一端部を集結させる。2つの入隅接合板140Lの上には、前記2個の外周部水平材120と3個の内部水平材12の各一端部を挟んで、図20に示すように入隅接合板140Uを重ね、前述の締結構造と同様に、ボルト50とナット60でこれらを締結する。
2つの入隅接合板140Lの間にある内部接合板14Lと、そのほかの内部接合板14Lにはそれぞれ6個の内部水平材12の端部が集結している。各内部接合板14Lには、前記6個の内部水平材12の端部を挟んで図20に示すように内部接合板14Uを重ね、前述の締結構造と同様に、ボルト50とナット60でこれらを締結する。2つの入隅接合板140Lとその間にある内部接合板14Lとを結合する2つの内部水平材12は、双方のベースユニット20に共通の内部水平材である。
以上のようにして、平面形状が正三角形のモジュール15が24個集合した例えば床面積6畳のベースユニット20を2個連結して第3実施例に係るベースユニットを構成する。すべての下側の接合板13L、130L、140Lおよびすべての下側の内部接合板14Lには床束16の上端を結合し、ベースユニット全体が水平になるように調整しながら各床束16の下端を基礎に載せる。
[建物の骨組み構造の第3実施例]
図20に示すベースユニットの第3実施例に支柱を取り付け、支柱で天井ユニットを支持することによって、図21に示す建物の骨組み構造を構成することができる。図21に示すように、第3実施例に係るベースユニットの全ての接合板13U、130U、140Uの上にそれぞれ支柱17を立てる。さらに、各支柱17で天井ユニットを支持する。
天井ユニットは、図20に示す2つのベースユニット20の結合体を上下反転したもので、各天井ユニットを符号20Aで示している。図21において、各支柱17の上端には、出隅接合板13U、外周中間部接合板130U、入隅接合板140Uが、前述のほぞと、ほぞ孔との嵌め合いによって固定されている。天井ユニット20Aの各接合板13U、130U、140Uは、ベースユニット20の各接合板13U、130U、140Uと上下方向において対向している。
このようにして、第2実施例に係る平面形状正6角形の建物の骨組み構造を2つ、正6角形の1つの面を共通にして連結した第3実施例に係る建物の骨組み構造を得ることができる。この骨組み構造は、同じ形で同じ面積の10個の外側面を有する。
[建物の第3実施例]
第3実施例に係る建物の骨組み構造を用いて第3実施例に係る建物を構築することができる。図22に示すように、1つの天井ユニット20Aの中心に位置する内部接合板14Lの上に小屋束26を立てる。この中心位置の下内部接合板14Lを囲む6個の内部接合板14Lの上にも、小屋束26よりも短い小屋束27を立てる。図23に示すように、6個の小屋束27の上端部は、互いに隣り合う小屋束27に渡された母屋32によって連結されている。中心位置の小屋束26から、母屋32を通り、各出隅接合板13Lに至る6本の垂木31を設置する。
6本の垂木31の一端部は小屋束26の上に集結している。各垂木31の他端部は天井ユニット20Aの各接合板13L、130L、140Lの上に至り、外周部水平材110,120に沿う垂木受け33で支持される。各垂木31と各垂木受け33で正6角錐形の屋根の骨組みを構成し、この骨組みに屋根材を取り付けることにより屋根を構築する。もう1つの天井ユニット20Aも同様にして屋根を構築する。
平面形状が正6角形の1辺を共通に結合した2つのベースユニット20と2つの天井ユニット20Aの間に10個の外側面を形成する。10個の外側面のうち少なくとも1面を除いて壁を構築する。壁には窓を設けるなど、使用目的に応じた構造にする。前記少なくとも1面には内部への出入口を設ける。前記筒形の各外側面は何れも支柱17によって左右に2分されているので、このうちの一方または両方を出入口とする。出入口以外の壁には適宜の筋交い18を設置して骨組みの補強をする。
本実施例は、平面形状正6角形で筒形の2つの建物を、正6角形の1面を共通にして連結したものである。この連結部に壁を構築して2つの建物を独立した空間としてもよい。あるいは、前記連結部を開放してひとつながりの空間としてもよい。
図示の実施例は、平面形状正6角形の筒形の建物を基本構成としており、第2実施例のように正6角形を放射方向に拡張することもできるし、第3実施例のように、正6角形の1面を共通にして連結することもできる。
第3実施例において、もう一つの正6角形の筒形の建物を、互いに120°の開き角度をもって位置する一方の建物の1面と他方の建物の1面とを共通にして連結してもよい。この例では各建物の2面が他の建物の面と連結される。連結される各面を開放して建物間の通路としてもよいし、連結される各面を閉鎖して各建物が独立した空間を形成してもよい。建物相互の連結位置のどこを開放し、どこを閉鎖するかは任意である。
次に、本発明に係る建物のベースユニット、建物の骨組み構造および建物の第4実施例について説明する。第4実施例は、これまで説明した各実施例に軒や縁側を構築可能にしたものである。軒は雨天時の出入りにおいて一時的に雨を避ける場所として有用であり、屋根から滴る雨水が建物の躯体を伝って流れるのを避け建物の耐久性を保つためにも有用である。縁側は、晴れの日などにくつろぐ場所、近隣の人たちとのコミュニケーションの場所、場合によっては気軽に出入りする場所として有用である。
[建物のベースユニットの第4実施例]
図27に示すベースユニットの第4実施例は、 図12に示す第2実施例の構成に、例えば縁側を構築可能な構造を付加したものである。ベースユニットの第4実施例と同じ構成の天井ユニットを用いると、軒を有する建物の骨組み構造および建物を得ることができる。縁側を構築可能にするために図12に示す実施例を構成する一部の部材の形状が変更されている。以下、図12に示す第2実施例と異なる部分を中心に第4実施例を説明する。
図27において、平面視において正6角形のベースユニット200は、外周側に張り出して保持されている外縁材250を有している。外縁材250は、ベースユニット200の外周に位置する接合板から外方に向かって延び出る複数の外部水平材240によって支持し固定する。外部水平材240およびこれを支持する接合板の構成が前記第2実施例と異なるので説明する。
符号160Uで示す上外縁中間接合板は、第2実施例における上側の外周中間部接合板130Uに代わるものである。符号170Uで示す上外縁出隅接合板は、第2実施例における上側の出隅接合板13Uに代わるものである。上外縁中間接合板160Uと上外縁出隅接合板170Uは、ともに外形が正6角形である。図32は上外縁中間接合板160Uを示す。上外縁中間接合板160Uは正6角形の各辺に対応する6か所に孔160U1を有し、中央部にほぞ孔160U2を有している。各孔160U1の周囲に円形の座刳り穴を有する。
図34は上外縁出隅接合板170Uを示す。上外縁出隅接合板170Uは正6角形の各辺に対応する6か所に孔170U1を有し、中央部にほぞ孔170U2を有している。各孔170U1の周囲に円形の座刳り穴を有する。
各上外縁中間接合板160Uと各上外縁出隅接合板170Uの下面側に対向して、図38に示すように下外縁中間接合板160Lと下外縁出隅接合板170Lが配置される。図38に示す例では、コンクリートなどで地面から適宜の高さで構築された平面形状正6角形の基礎300の上面に下外縁中間接合板160Lと下外縁出隅接合板170Lを有する。下外縁出隅接合板170Lは基礎300の各出隅に、下外縁中間接合板160Lは互いに隣り合う出隅の中間部に配置されている。
基礎300に囲まれて正6角形の内部下接合板150Lが第2実施例における内部接合板14Lの位置に対応する7か所に配置されている。各内部下接合板150Lはそれぞれ束16の上面に配置されている。7個の内部下接合板150Lの配置位置は、正6角形の各頂点に対応する位置と正6角形の中心位置である。各内部下接合板150Lの高さ位置は各上外縁中間接合板160Uと各上外縁出隅接合板170Uの高さ位置と同じで、これらの接合板150L、160U、170Uは同一面上にある。各内部下接合板150Lの上面側には第2実施例における上側の内部接合板14Uと同様の接合板を対向して配置する。
上下に対向する各内部下接合板150Lと上側の内部接合板14Uは、第2実施例と同様に、複数の内部水平材12の一端部を挟み込み、ボルトとナットで締結されて複数の内部水平材12を接合している。各下接合板150Lと内部接合板14Uからは、一対の上下出隅接合板170U,170Lに向かって1つの出隅接合内部水平材220が伸び、2対の上下外縁中間接合板160U、160Lに向かって中間接合内部水平材230が伸びている。
各出隅接合内部水平材220は、一端部が下接合板150Lと内部接合板14Uに挟持されて接合され、他端部が上下出隅接合板170U,170Lに挟持されて接合される。各中間接合内部水平材230は、一端部が下接合板150Lと内部接合板14Uに挟持されて接合され、他端部が上下外縁中間接合板160U,160Lに挟持されて接合される。一対の上下出隅接合板170U,170Lと、これに隣り合う一対の上下外縁中間接合板160U,160Lによって外周部水平材210の各端部が挟持されて接合される。
内部水平材12、外周部水平材210、出隅接合内部水平材220、中間接合内部水平材230によって24個の正三角形のモジュール15を構成する。
本明細書において、上下の外縁出隅接合板170U,170Lと、上下の外縁中間接合板160U,160Lは「外縁接合板」という場合がある。外縁接合板170U,170Lは、2つの外周部水平材210および1つの出隅接合内部水平材220の延長線上において外方に延び出る3本の外部水平材240を有する。外縁接合板160U,160Lは、2つの中間接合内部水平材230の延長線上において外方に延び出る2本の外部水平材240を有する。
図39に外部水平材240を示す。図39は、後で説明するように、2個の外部水平材240を繋ぎ合わせて中間接合内部水平材230とする例を示す。各外部水平材240は、一端部が上下両面から平坦に削られて薄肉部2401になっており、他端部が上下の一面側から厚さの半分だけ切除された段部2402になっている。薄肉部2401の先端部は楔型であり、薄肉部2401にはボルトが通る孔2403がある。
前記各外縁接合板にはそれぞれ外周部水平材210、中間接合内部水平材230、出隅接合内部水平材220および外部水平材240などの楔形の端部が6個集結し、前記外縁接合板で接合される。
正6角形の各辺に並ぶ2つの外縁接合板170U,170Lと、1つの外縁接合板160U,160Lから合計30本の外部水平材240が延び出ている。各外部水平材240の段部2402に外縁材250を載せて固定する。外縁材250は6本あってそれぞれ外周部水平材210と平行に支持され、平面視で正6角形をなすように、出隅部に位置する外部水平材240で接合されている。各外縁材250の厚さは前記各外部水平材240の段部の高さと同じで、外縁材250の上面と外周部水平材210の上面が同一面になっている。
図37は外周部水平材210を示す。外周部水平材210は、角材の長さ方向両端部上下面が段状に削られて薄肉部211になっており、薄肉部211の先端部は角度60°の楔形になっている。外周部水平材210両端の薄肉部211には締結部材としてのボルトが通る孔213がある。外周部水平材210一端部は、楔形の先端部が、外周部水平材210の長手方向中心線に直交する方向の切除面212になっている。
内部水平材12,外周部水平材210,出隅接合内部水平材220,中間接合内部水平材230,外部水平材240,外縁材250,上下内部接合板14L,14U,上下外縁中間接合板160U,160Lおよび上下外縁出隅接合板170U,170Lが前述のように組み合わせられて建物のベースユニット200を構成している。複数の外部水平材240,外縁材250からなる部分はベースユニット200の縁を構成しており、この縁の部分には板を貼って縁側として利用できる。あるいは内部に出入りするための上がり框として利用してもよい。外縁材250は省略してもよい。
[建物の骨組み構造の第4実施例]
次に、建物のベースユニットの第4実施例を用いる建物の骨組み構造の実施例を、組み立て手順を追いながら説明する。図38に示すように、あらかじめ構築した基礎300の上の所定位置に下外縁出隅接合板170L、下外縁中間接合板160Lを例えばアンカーボルトなどの適宜の固定手段で固定する。基礎300の内方には、前述の7個の下接合板150Lを、束16を介在させて束16の上端に固定する。
下外縁出隅接合板170L、下外縁中間接合板160L、下接合板150Lの上に、図27に示すように各種水平部材の端部を載せて、正三角形のモジュール15の集合体を構成する。水平部材は、前述のとおり、それぞれ複数の内部水平材12,外周部水平材210,出隅接合内部水平材220,中間接合内部水平材230からなる。
各下外縁出隅接合板170Lと各下外縁中間接合板160Lにはそれぞれ既に説明したとおりの数の外部水平材240の一端部を載せる。各外部水平材240の外端部に外縁材250を載せ、適宜の固定構造によって外縁材250を外部水平材240に固定する。
各下外縁出隅接合板170Lと各下外縁中間接合板160Lの上に集合する6個の水平部材の各端部の上には、図27に示すように、それぞれ上外縁出隅接合板170Uと上外縁中間接合板160Uを載せる。上下に対向する外縁出隅接合板170U,170Lおよび上下に対向する外縁中間接合板160U,160Lとの間に、各水平材の端部の孔を通してボルトを嵌め、ナットで締結する。正6角形の上記各接合板によってそれぞれ6個の水平材の端部が挟持され接合される。
図27に示すように、各外縁出隅接合板170Uと各外縁中間接合板160Uの上に、支柱17を立てる。各支柱17の下端部は「ほぞ」になっている。各「ほぞ」は各外縁出隅接合板170Uと各外縁中間接合板160Uのほぞ孔と、6個の水平材の各端部が集合して埋め残されたほぞ孔状の空間に嵌まる。図37について説明した外周部水平材210に切除面212を設けたのは上記ほぞ孔状の空間を形成するためである。他の水平材の端部の形状もほぞ孔状の空間を形成するのに適した形状になっている。
各外縁出隅接合板170Uから延びた支柱17の上端部の「ほぞ」に別の外縁出隅接合板170Uのほぞ孔を嵌めて接合板170Uと支柱17を結合する。各上外縁中間接合板160Uから延びた支柱17の上端部の「ほぞ」にも別の外縁中間接合板160Uのほぞ孔を嵌めて接合板160Uと支柱17を結合する。
図27には内部接合板14Uが宙に浮いたように描かれている。これらの内部接合板14Uは、図28に示す天井ユニット200Aの構成部材で、ベースユニット200を構成する各内部接合板14Uにその上方で対向している。天井ユニット200A側の各内部接合板14Uは、ベースユニット200の各内部接合板14Uと同様に複数の水平部材の一端部を一括して接合する。
図28に示すように、各支柱17の上に天井ユニット200Aを構築する。天井ユニット200Aの構成はベースユニット200の構成とほとんど同じであり、外部水平材240,外縁材250を除いて上下が反転している点が主な相違点である。天井ユニット200A側の各内部接合板14Uにはそれぞれの上側に内部接合板14Lを対向させて配置し、上下の内部接合板14L,14Uで複数の水平部材の一端部を挟み込んで接合する。
天井ユニット200Aも、ベースユニット200と同様に、外部水平材240,外縁材250を有している。天井ユニット200Aの主要部はベースユニット200の主要部が上下反転した構成であるが、外部水平材240,外縁材250は反転させることなく、ベースユニット200の外部水平材240,外縁材250と上下の向きを同じにする。天井ユニット200Aのその他の構成はベースユニット200の構成と同じであるから、天井ユニット200Aの詳細な構成の説明は省略する。
ベースユニット200側の外部水平材240と外縁材250は、前述のとおり縁側などとして利用できる。これに対して天井ユニット200A側の外部水平材240と外縁材250はその上に屋根材を葺くことにより軒として利用することができる。外縁材250は省略してもよい。
図29は天井ユニット200Aの上に正6角錐形の屋根の骨組みを構築した様子を示す。屋根の骨組みを構築するのに必要な部材は、垂木31、母屋32、垂木受け33、図面には表れていない小屋束などである。これらの部材の組み立て構造は、図22、図23で説明した第3実施例の屋根の骨組みと実質的に同様であるから、屋根の骨組み構造の詳細な説明は省略する。
[建物の第4実施例]
第4実施例に係る建物の骨組み構造を用いて第4実施例に係る建物を構築することができる。平面形状が正6角形の建物の骨組み構造には、支柱17で区画された周囲の6面に外壁を設ける。外壁の一部は出入り口とし、必要に応じて窓などを構築する。前記筒形の各外側面は何れも支柱17によって左右に2分されているので、このうちの一方または両方を出入口とする。出入口以外の壁には適宜の筋交いを設置して骨組みの補強をするとよい。
屋根の骨組み構造の上には外部水平材240から外縁材250に至るまで屋根を葺く。屋根の外周部分は外壁よりも外側に庇状に延び出て軒を形成する。軒の先端縁に沿って樋を設置し、雨水を集めて排出するようにしてもよい。
第4実施例に係る建物によれば、周囲に軒を形成することによって雨水が躯体を伝って流れることを避けることができ、建物の耐久性を高めることができる。雨天時に一時的に雨を避けることもできる。季節に応じた建物内への日光の差し込み効果および遮蔽効果を得ることもできる。
第4実施例に係る建物によれば、ベースユニットの周囲に縁側を設けることができる。縁側は、くつろぐ場所として、近隣とのコミュニケーションの場として、あるいは窓口から臨時的に出入りするときの上がり框として、等々、便利に利用できる。
第4実施例に係る建物も、同じ構成の別の建物と連結することができる。図19乃至図23に示す実施例と同様に、平面形状が正6角形の1辺を共通にして2つのベースユニット200を相互に、2つの天井ユニット200Aを相互に結合すればよい。この場合、互いに結合する正6角形の1辺に対応する外部水平材240と外縁材250は省略することができる。
[中間接合内部水平材の変形例]
図39について既に説明したとおり、第4実施例に用いる外部水平材240を2個組み合わせることにより中間接合内部水平材230とすることができる。外部水平材240は一端部が段部2402になっているので、2個の外部水平材240を互いに上下反転させ、段部2402同士を接合する。これにより、中間接合内部水平材230と同じ形の部材になるので、中間接合内部水平材230として使用できる。2個の外部水平材240の接合部分には金属製のあるいはアラミド繊維帯などの補強材を付加するとよい。
[接合される部材相互の補強]
建物の強度や耐震性を高めるために、接合される部材相互にまたがる補強部材を付加するとよい。例えば、ホールダウン金物といわれる補強材を付加してもよいし、アラミド繊維シートと専用の接着剤によって部材相互を接合してもよい。