JP2022055752A - 青カビ系チーズ - Google Patents

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Abstract

【課題】青カビ系チーズに特有の風味や食感を維持しつつ、燻煙処理により新たな特性を付与した青カビ系チーズ及びその製造方法を提供する。【解決手段】青カビ系チーズの表面部分のフェノール含有量を10~95μg/gとなるように燻煙処理を行う。【選択図】なし

Description

本発明は、燻煙処理した青カビ系チーズ及びその製造方法に関する。本発明は、青カビ系チーズの保存性向上方法にも関する。
スモークチーズは、燻煙により風味付けしたチーズであり、オードブルや料理に広く用いられていることから、これまでにスモークチーズに関する発明が開示されている。
引用文献1(特開2003-79313)は、プロセスチーズだけでなく、香味に特徴のあるナチュラルチーズでも、その風味を活かしたままスモーク風味とすることができるように、常温下で簡便かつ短時間にスモークすることができるスモークチーズの製造方法を提案することを課題とし、その解決手段として、スモーク発生装置からのスモークをマイナスイオンを発生させる加湿用噴霧装置を備えたスモークチャンバー内に引込んでマイナスイオン・ミスト・スモークを充満させることにより、プラスイオンに帯電しているチャンバー内のチーズをクーロン力を利用して常温下でスモークすることを特徴とする常温短時間によるスモークチーズの製造方法を開示している。
引用文献2(特許第3921184号)は、プロセスチーズに加工するのに必須である溶融塩や乳化剤を使用せずにナチュラルチーズ特有の食感を維持しつつ、しかも、パスタフィラタチーズのような特殊な組織ではなく、ナチュラルチーズ特有のコクや旨みを維持するために脂肪分も高く、しかもオイルオフのないスモークナチュラルチーズを提供することを課題とし、水分含量が35重量%以下、熟度指標STN/TN値が20%以下のナチュラルチーズを燻煙処理してなるオイルオフの少ないスモークナチュラルチーズを開示している。
引用文献3(再公表2015-5321)は、一口サイズであり、しっかりとしたスモーク風味を有しつつも、スモーク処理したチーズの表面に発生する硬い皮膜による食感の悪化を防止したスモークチーズを提供することを課題とし、一口サイズのチーズの全表面積中の40~75%の表面がスモーク処理されており、残りの表面がスモーク処理されていないことを特徴とする一口サイズのスモークチーズを開示している。
特開2003-79313号公報 特許第3921184号公報 再公表2015-5321号
特許文献1~3に記載された発明は、ナチュラルチーズを燻煙処理することに関する発明であり、例えば、特許文献3の明細書には燻煙処理する対象の多数のナチュラルチーズの例として、ロックフォール、ゴルゴンゾーラ、スティルトン等の青カビ系チーズが例示列挙されている。しかし、これらの特許文献では、ナチュラルチーズの燻煙処理の一態様として記載されているにすぎず、特に青カビ系チーズに適した燻煙処理を開示しているわけではない。
本発明は、青カビ系チーズに特有の風味を維持しつつ、燻煙処理による香味付与やそれに伴う嗜好性向上などの新たな特性を青カビ系チーズに付与すると共に、熟成の過剰な進行の抑制、及びそれに伴う独特の臭気や刺激成分の生成、並びに離水を抑制することを解決課題とするもので、従来にない燻煙処理した青カビ系チーズとその製造方法を提供することである。
上記課題を解決するため、本発明には以下の構成が含まれる。
(1)表面部分にフェノール類量を10~95μg/g含むことを特徴とする青カビ系チーズ。
(2)前記表面部分のフェノール類量が15~90μg/gであること特徴とする(1)の青カビ系チーズ。
(3)表面部分のフェノール類量が10~95μg/gとなるよう燻煙処理する工程を含むことを特徴とする青カビ系チーズの製造方法。
(4)前記表面部分のフェノール類量が15~90μg/gであることを特徴とする(3)の青カビ系チーズの製造方法。
(5)表面部分のフェノール類量が10~95μg/gとなるよう燻煙処理する工程を含むことを特徴とする青カビ系チーズにおける保存性向上方法。
本発明は、従来にない燻煙処理した青カビ系チーズとその製造方法を提供するものである。具体的には、本発明により燻煙処理した青カビ系チーズは、燻煙の香味が付加されることに加え、青カビの過剰生育や熟成の過剰進行、及びそれに伴う独特の臭気や刺激成分の生成、並びに離水が抑制され、なおかつ燻煙処理した後にも青カビによる熟成が緩やかに継続する。このため、燻煙処理により保存性や嗜好性を高めたにもかかわらず、青カビによる熟成が進行し風味や味わいの変化も楽しむことができる、という格別の効果を達成することができる。
本発明の燻煙処理された青カビ系チーズについて以下に詳細に説明する。
1.燻煙青カビ系チーズ
(青カビ系チーズ)
本発明の「青カビ系チーズ」とは、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(昭和26年12月27日厚生省令第52号)」で定義されるナチュラルチーズであって、内部に青カビを生育させるタイプのチーズ全てを包含するものである。青カビ系チーズは、ロックフォール、ゴルゴンゾーラ、スティルトン、フルム・ダンベール、ダナブルー、カブラレス、ケソ・デ・バルデオン、カンボゾラ、ブレス・ブルーなどを例示できる。以下、青カビ系チーズを「ブルーチーズ」と称することがある。
青カビ系チーズにおける青カビは、タンパク質分解酵素、及び脂肪分解酵素を放出してチーズの熟成を促す働きをするとされている。すなわち、青カビ系チーズでは、内部に生育した青カビがチーズの熟成を進め、熟成の進行に伴って風味や香りが強くなり、脂肪分解などに伴う独特の臭気や、ピリピリした刺激の発生が見られ、嗜好性に影響する一因となっている。さらに、熟成に伴う離水の発生もあり、組織や外観が損なわれる可能性もあることから、保水シートなどを用いて離水を保持させるなどの対策が必要となる。
このように、青カビ系チーズは、青カビの活動を通じて日々熟成が進行するところに大きな特徴がある。なお、青カビ系チーズの保存性を高めるために殺菌を施すことも知られているが、殺菌処理により青カビは活動を停止してしまうため、風味や味わいの日々の変化を楽しむことはできない。青カビとしては、Penicillium属に属するものを使用することが好ましく、ペニシリウム・ロックフォルティ(P.roqueforti)又はペニシリウム・グラウカム(P.glaucum)がより好ましく、ペニシリウム・ロックフォルティ(P.roqueforti)がさらに好ましい。
本発明においては、青カビ系チーズの調製を行う者と燻煙処理を行う者の同一性は要求されない。例えば、燻煙処理を行う者が青カビ系チーズを他の者から購入して、燻煙処理を実施してもよい。青カビ系チーズの調製は、当業者に公知の手法で行うことができる。
(燻煙処理)
本発明においては、内部に青カビを生育させるタイプのチーズに対して燻煙処理を施す。
ここで燻煙処理とは、木材などを燃焼させた際に発生する燻煙を食品に当て、燻煙の香りや成分を食品に添加する処理である。この処理により、食品の味・香り・色が変化し、食品に燻煙風味・燻煙カラーが付与される。燻煙には多くの成分が含まれているが、カルボニル化合物、フェノール類、酸等が代表的な含有成分で、フェノール類が燻煙処理をした食品の香りに影響を与えるという報告もある。また、燻煙処理においては、燻煙時間が増えるごとに食品中のフェノール量は増加し、燻煙濃度が濃くなるにつれて食品中のフェノール成分量が増加するとの報告もある。
燻煙処理の方式は、通常の食品の燻煙処理に用いられる方式であれば、いかなる方式も採用することができる。通常は燻煙発生装置によって発生させた燻煙を燻煙室に導入して燻煙処理を行うジェネレーター方式の他、直火型や電子スモーク方式、燻液塗布又は浸漬、及び燻製シートも採用することできる。直火型は庫内が高温になり、熱によるチーズの溶解で良好な燻煙処理が出来ないことがあるため、熱による影響の少ない、ジェネレーター方式、電子スモーク方式、燻液塗布又は浸漬、及び燻製シートなどを用いた燻煙処理方式が好ましい。ここで燻製シートとは、植物セルロースなどを原料としたシートに燻液などを浸透させた特殊なシートで、該シートで対象物(ブルーチーズ)を包み、対象物に燻煙のフレーバーを与えるものである。
燻煙処理工程における処理条件は、特に限定されないが、例えば、0~45℃で、3~720分間燻煙処理することが好適である。上記処理条件の範囲において、燻煙処理温度は、好ましくは0~40℃であり、より好ましくは4~30℃であり、燻煙処理時間は、好ましくは3~300分間であり、より好ましくは30~120分間である。
また、燻液塗布又は浸漬する際の条件、及び塗布又は浸漬の方法は、特に限定されないが、チーズ全体に対して塗布又は浸漬を実施してもよく、好ましくはチーズ内部への酸素供給のための穿孔穴が存在する面は塗布又は浸漬しない方が良く、より好ましくは穿孔穴周辺を避けて塗布又は浸漬したほうが良い。
さらに、燻製シートの使用条件は、特に限定されないが、チーズ全面に貼り付けたり、巻き付けたりしてもよく、好ましくはチーズ内部への酸素供給のための穿孔穴が存在する面には燻製シートを使用しない方が良く、より好ましくは穿孔穴周辺に開口部を設けた燻製シートを使用する方が良い。
なお、燻煙処理は熟成の初期又は中期あるいは後期に実施してもよく、初期又は中期が好ましく、中期がより好ましい。ここで熟成の初期とは、チーズ内部に青カビの胞子形成が確認され始める時期であり、熟成の中期とは、チーズ内部に青カビの胞子形成の広がりが確認される時期であり、熟成の後期とは、チーズ内部に充分な青カビの胞子形成が確認される時期である。
燻煙に用いるスモークチップは桜、胡桃、林檎、なら、ヒッコリー、ぶな、ウィスキーオークなどが用いられるが、桜が好適である。
(燻煙青カビ系チーズ)
本発明者らは、青カビ系チーズの表面部に含まれるフェノール量に注目し、これを適切な範囲に設定することで、従来の単に燻煙に当てるのみの燻煙処理では得られなかった、新たな特性を青カビ系チーズに付与することができるという知見を得た。本発明は、この新たな知見に基づくものである。
すなわち、本発明の燻煙青カビ系チーズは、燻煙処理により青カビ系チーズの表面部のフェノール類を10~95μg/gの範囲としたものである。青カビ系チーズの表面部のフェノール類は15~95μg/gが好ましく、20~95μg/gがさらに好ましく、30~95μg/gがさらに好ましく、35~95μg/gがさらに好ましく、40~95μg/gがさらに好ましく、45~95μg/gがさらに好ましい。上限は、90μg/gであってもよく、85μg/gであってもよい。
このようなフェノール量とすることで風味のよい燻煙青カビ系チーズとなり、さらに青カビの過剰生育や熟成の過剰進行を抑制することができ、一般的な青カビ系チーズと遜色のない外観でありながら燻煙風味が付与された青カビ系チーズの製造が可能となる。なお、本発明においてチーズの大きさや形状は限定されるものではなく、燻煙前又は燻煙後のチーズに対しカット又は粉砕などの加工を行ってもよい。また、燻煙後のチーズはそのまま、あるいはカット又は粉砕などの加工を施したのちに包装してもよく、その包材はアルミ箔、フィルム包材、樹脂容器などが好ましく、より好ましくはフィルム包材又は樹脂容器であり、フィルム包材と樹脂容器の併用がさらに好ましい。
フェノール類の含有量が10μg/g未満の場合には燻煙処理の程度が弱いため、燻煙風味の付与、及び熟成の抑制効果が不十分である。一方、フェノール類の含有量が95μg/gを越えてしまうと、熟成の抑制効果は向上するが、燻煙処理の程度が強すぎて熟成による風味変化、及び良好な風味のバランスを期待できない。
このような特性は、本発明において、青カビ系チーズの表面部のフェノール類の含有量を燻煙処理により特定の数値範囲に設定したことにより達成される効果である。この点に本発明の特徴がある。
2.燻煙青カビ系チーズの製造方法
(青カビ系チーズの製造)
本発明の燻煙青カビ系チーズは、チーズ内部に青カビを生育させて熟成する一般的な製法に準じて青カビ系チーズを製造し、これを燻煙処理することにより得られる。
青カビ系チーズの製造方法の一態様を以下に示す。
一般的な製法で製造された青カビチーズは、熟成開始1週間から2週間後にチーズ内部に酸素を供給するため、φ3~5mmの針を用いてチーズに穿孔を行う。その後チーズ内部に青カビが発生し、2カ月から3カ月後にはチーズ内部に青カビが生育し、チーズ内部からの熟成が進行する。
本発明では、青カビ系チーズは、発酵成型後にレトルト殺菌していない生タイプとレトルトなどの処理をしている殺菌タイプがあるが、本発明では生タイプの青カビ系チーズを用いる。なお、本発明における燻煙処理を行ったのちに殺菌処理を行ってもよい。
(燻煙処理)
燻煙処理の方式は、通常の食品の燻煙処理に用いられる方式であれば、いかなる方式も採用することができる。通常は燻煙発生装置によって発生させた燻煙を燻煙室に導入して燻煙処理を行うジェネレーター方式の他、直火型や電子スモーク方式、燻液塗布又は浸漬する方法、及び燻製シートも採用することできる。直火型は庫内が高温になり、熱によるチーズの溶解で良好な燻煙処理が出来ないことがあるため、熱による影響の少ない、ジェネレーター方式、電子スモーク方式、燻液塗布又は浸漬、及び燻製シートなどを用いた燻煙処理方式が好ましい。
燻煙処理は、通常はチーズ表面が軽く着色する程度の漠然とした条件で行なわれるが、本発明においては、この燻煙処理の程度が重要である。すなわち、本発明においては、燻煙処理により青カビ系チーズの表面部のフェノール類を10~95μg/gの範囲とする。青カビ系チーズの表面部のフェノール類は15~95μg/gが好ましく、20~95μg/gがさらに好ましく、30~95μg/gがさらに好ましく、35~95μg/gがさらに好ましく、40~95μg/gがさらに好ましく、45~95μg/gがさらに好ましい。上限は、90μg/gであってもよく、85μg/gであってもよい。
(その他の製造工程や条件)
燻煙に用いるスモークチップは桜、胡桃、林檎、なら、ヒッコリー、ぶな、ウィスキーオークなどが用いられるが、桜が好適である。
3.フェノール類量の測定方法
チーズ表面を縦×横×厚さが20×20×2.5mmになるようサンプリングし、試料とする。ギブスの方法(参考文献[Tucker,I.W.; 食肉及び脂肪中のフェノールの評価 J.A.O.A.C.,XXV 779(1942))に則り、フェノール類を測定できる。
すなわち、試料を60%エタノールを加え粉砕し、3000rpm、10min遠心分離した上澄みをサンプル液とする。pH8.3ホウ酸-塩化カリウム緩衝液0.5mlに、適宜希釈したサンプル液を0.5ml加える。0.6%NaOHを0.1ml加え、pH9.8に合わせる。着色試薬は、0.25gの2,6-ジクロロ-N-クロロ-p-ベンゾキノンモノイミンを30ml無水アルコールに溶解し調製する。蒸留水で15倍に希釈した着色試薬を0.1ml加え、室温で25分間発色させ、580nmの波長で吸光度を測定する。2,6-ジメトキシフェノールにて検量線を作成し、濃度を算出する。
本明細書において、「保存性向上」、「保存性が向上する」、又は「保存性が高まる」とは、青カビ系チーズの燻煙後(例えば、青カビ系チーズの燻煙6週間後、10週間後、13週間後、又は17週間後)において、過熟による風味、物性、及び外観の変化を抑制することを意味する。保存性向上には、具体的には、青カビの過度な生育を抑制すること、組織が崩れることを防止すること、保存又は再熟成中の離水を防止すること、及び風味の劣化を抑制すること(例えば、青カビによる刺激臭を抑制すること)が含まれる。
保存又は再熟成中の離水を防止することは、例えば、燻煙6週間後の青カビ系チーズにおける水分が、燻煙直後の青カビ系チーズにおける水分と比較して、94%以上、95%以上、又は96%以上であることを意味する。
上記の場合において、保存温度5℃、相対湿度95%の熟成庫において保存を行っている。離水の量は、例えば、乾燥減量法で測定することもでき、水分以外の成分(炭水化物、タンパク質など)の質量を全て測定し、青カビ系チーズの質量から該測定値の合計値を減じてもよい。
以下、本発明の実施例を詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1.実施例品と比較例品の試作例1
ブルーチーズを一般的な製造方法により調製した。すなわち、脂肪分3.6%に調整した調製乳を、75℃、15秒間殺菌して冷却した後、乳酸菌スターターとP.roquefortiの胞子を含有する懸濁液、及びレンネットを添加して乳を凝固させた。
この凝固したカードを切断し一定時間保持・撹拌した後、カードとホエイを完全に分離しフープに入れて直径約20cmの円柱状に成型し、温度20℃、相対湿度75%の熟成庫内で2~3日間ドレイニングを行い、その間にチーズ表面に食塩を擦り付けて加塩した。その後温度10℃、相対湿度95%の熟成室内で熟成を行い、その間に直径3mmの針を用いてチーズの天地面にそれぞれ約50個の穿孔を行い、さらに温度5℃、相対湿度95%の熟成庫内で熟成を行った。
このチーズを製造から3週間熟成後、燻煙ジェネレーター方式で燻煙処理を実施した。燻煙温度は30℃、燻煙時間は120分、桜のチップを用いて燻煙処理を行った。その後、温度5℃、相対湿度95%の熟成庫内で6週間熟成後、燻煙された表面部を含む約90gの楔型にカットし、樹脂容器に入れてシール包装を行った。包装後は温度10℃、相対湿度75%の保存庫内で保存した。製造から9週間後、13週間後、16週間後、20週間後に評価を行った。評価は熟練した5名のパネラーによって、組織、風味、外観について行った。
実施例1のブルーチーズを製造から3週間熟成後、燻煙ジェネレーター方式で燻煙処理を実施した。燻煙温度は30℃、燻煙時間は60分、桜のチップを用いて燻煙処理を行った。その後、温度5℃、相対湿度95%の熟成庫内で6週間熟成後、実施例1と同形状の約90gの楔型にカットし、樹脂容器に入れてシール包装を行った。包装後は温度10℃、相対湿度75%の保存庫内で保存した。製造から9週間後、13週間後、16週間後、20週間後に評価を行った。評価は熟練した5名のパネラーによって、組織、風味、外観について行った。
実施例1のブルーチーズを製造から3週間熟成後、円柱状をしたチーズの外周面に燻製シート(リヒテンシュタイン公国製)を巻き付けた。その後、温度5℃、相対湿度95%の熟成庫内で6週間熟成後、実施例1と同形状の約90gの楔型にカットし、樹脂容器に入れてシール包装を行った。包装後は温度10℃、相対湿度75%の保存庫内で保存した。製造から9週間後、13週間後、16週間後、20週間後に評価を行った。評価は熟練した5名のパネラーによって、組織、風味、外観について行った。
[比較例1]
実施例1のブルーチーズを燻煙せずに温度5℃、相対湿度95%の熟成庫内で9週間熟成後、実施例1と同形状の約90gの楔型にカットし、樹脂容器に入れてシール包装を行った。包装後は温度10℃、相対湿度75%の保存庫内で保存した。
製造から9週間後、13週間後、16週間後、20週間後に評価を行った。評価は熟練した5名のパネラーによって、組織、風味、外観について行った。
組織、風味、容器内離水量、及び総合評価を表1に示す。評価は、製造から9週間後、13週間後、16週間後、及び20週間後の評価を総合したものであり、◎=非常に良好、○=良好、△=やや不良、×=不良とした。なお、フェノール類の測定値は、製造から9週間後(燻煙処理から6週間後)に測定した値である。フェノール類の測定方法は、「3.フェノール類量の測定方法」に記載の通りである。
2.フェノール類の測定結果1
実施例1は、フェノール類50μg/gであった。
実施例2は、フェノール類20μg/gであった。
実施例3は、フェノール類40μg/gであった。
比較例1は、フェノール類0μg/gであった。
3.分析結果1
実施例1は、製造から9週間熟成後の水分低下が、燻煙処理直後の水分基準で、3.3%に留まっていた。一方、実施例2では3.2%、実施例3では4.8%の低下となった。さらに、燻煙を行っていない比較例1では6.5%もの水分が低下していた。
4.評価結果1
Figure 2022055752000001
実施例1は、製造9週間後においてチーズ表面の青カビの生育が抑制されており、離水や組織不良は見られなかった。また、チーズ内部は燻煙されていないブルーチーズ同様で良好な組織風味であった。13週間後は燻煙香が容器内のチーズ全体に感じられ、燻煙された表面から中心部にかけ燻煙香の濃淡が楽しめる上に、ブルーチーズの風味と調和した良好な風味が感じられた。16週間後には燻煙香がより強く全体に移行し、20週間後にはチーズ全体からほぼ均一に近い燻煙香を感じられ、良好な状態であった。容器内で発生した離水は少なく、容器内の離水捕集用シートは6.36gの離水を含んでいた。
実施例2は、製造9週間後においてチーズ表面の青カビの生育が抑制されており、離水や組織不良は見られなかった。また、チーズ内部は燻煙されていないブルーチーズ同様で良好な組織風味であった。13週間後は実施例1と比較してやや穏やかなものの燻煙香が容器内のチーズ全体に感じられ、燻煙された表面から中心部にかけ燻煙香の濃淡が楽しめる上に、ブルーチーズの風味と調和した良好な風味が感じられた。16週間後には燻煙香がより強く全体に移行し、20週間後にはチーズ全体からほぼ均一に近い燻煙香を感じられ、良好な状態であった。容器内で発生した離水は少なく、容器内の離水捕集用シートは7.95gの離水を含んでいた。
実施例3は、製造9週間後においてチーズ外周面の青カビの生育が抑制されており、離水や組織不良は見られなかった。また、チーズ内部は燻煙されていないブルーチーズ同様で良好な組織風味であった。13週間後は実施例1と同等の燻煙香が容器内のチーズ全体に感じられ、燻煙成分の付着した表面から中心部にかけ燻煙香の濃淡が楽しめる上に、ブルーチーズの風味と調和した良好な風味が感じられた。16週間後には燻煙香がより強く全体に移行し、20週間後にはチーズ全体からほぼ均一に近い燻煙香を感じられ、良好な状態であった。容器内で発生した離水はやや多いものの、容器内の離水捕集用シートには余裕があり、8.48gの離水を含んでいた。
比較例1は、製造9週間後においてチーズ表面の青カビの生育が多く、若干の離水が染み出た状態であった。また青カビの生育した表面部は除去が必要であった。内部の熟成は実施例1と同様であり、良好な組織風味であった。13週間後には食べ頃であったが、16週間後にはやや熟成感が強まり、20週間後には組織の軟化傾向が見られ、青カビの独特の匂いやピリピリとした風味が感じられ過熟な状態であった。また容器内の離水捕集用シートでは吸いきれない10g以上の離水が発生していた。
5.実施例品と比較例品の試作例2
実施例1のブルーチーズと同一のカードを直径約7cmの円柱状に成型し200gとしたものを、温度20℃、相対湿度75%の熟成庫内で2~3日間ドレイニングを行い、その間にチーズ表面に食塩を擦り付けて加塩した。その後温度10℃、相対湿度95%の熟成室内で熟成を行い、その間に直径3mmの針を用いてチーズの天地面にそれぞれ約10個の穿孔を行い、さらに温度5℃、相対湿度95%の熟成庫内で熟成を行った。
このチーズを製造から2週間熟成後、燻煙ジェネレーター方式で燻煙処理を実施した。燻煙温度は30℃、燻煙時間は120分、桜のチップを用いて燻煙処理を行った。その後、温度5℃、相対湿度95%の熟成庫内で4週間熟成後、樹脂容器に入れてシール包装を行った。包装後は温度10℃、相対湿度75%の保存庫内で保存した。製造から6週間後、8週間後、10週間後に評価を行った。評価は熟練した5名のパネラーによって、組織、風味、外観について行った。
実施例4のブルーチーズを製造から2週間熟成後、燻煙ジェネレーター方式で燻煙処理を実施した。燻煙温度は30℃、燻煙時間は30分、桜のチップを用いて燻煙処理を行った。その後、温度5℃、相対湿度95%の熟成庫内で4週間熟成後、樹脂容器に入れてシール包装を行った。包装後は温度10℃、相対湿度75%の保存庫内で保存した。製造から6週間後、8週間後、10週間後に評価を行った。評価は熟練した5名のパネラーによって、組織、風味、外観について行った。
[比較例2]
実施例4のブルーチーズを燻煙せずに温度5℃、相対湿度95%の熟成庫内で6週間熟成後、樹脂容器に入れてシール包装を行った。包装後は温度10℃、相対湿度75%の保存庫内で保存した。製造から6週間後、8週間後、10週間後に評価を行った。評価は熟練した5名のパネラーによって、組織、風味、外観について行った。
組織、風味、容器内離水量、及び総合評価を表2に示す。評価は、製造から6週間後、8週間後、及び10週間後の評価を総合したものであり、◎=非常に良好、○=良好、△=やや不良、×=不良とした。なお、フェノール類の測定は、製造から6週間後(燻煙処理から4週間後)に測定した値である。
6.フェノール類の測定結果2
実施例4は、フェノール類95μg/gであった。
実施例5は、フェノール類10μg/gであった。
比較例2は、フェノール類0μg/gであった。
7.分析評価結果2
Figure 2022055752000002
実施例4は、製造6週間後においてチーズ表面の青カビの生育が抑制され、離水や組織不良は見られなかった。また、チーズ内部は燻煙されていないブルーチーズ同様で良好な組織風味であった。8週間後は燻煙香が容器内のチーズ全体に感じられ、燻煙された表面から中心部にかけ燻煙香の濃淡が楽しめる上に、ブルーチーズの風味と調和した良好な風味が感じられた。10週間後には燻煙香がより強く全体に移行し、組織、風味共に良好な状態であった。容器内で発生した離水は確認されず、容器内の離水捕集用シートは離水を含んでいなかった。
実施例5は、製造6週間後においてチーズ表面の青カビの生育がやや抑制され、僅かに発生した離水で湿っていたものの組織不良は見られなかった。また、チーズ内部は燻煙されていないブルーチーズ同様で良好な組織風味であった。8週間後は燻煙香がチーズの中心部を除いて感じられ、燻煙された表面から中心部にかけ燻煙香の濃淡が楽しめる上に、ブルーチーズの風味と調和した良好な風味が感じられた。10週間後には熟成により風味が強まっているが、燻煙香はより内部まで移行し、良好な状態であった。組織はやや軟化傾向が見られ、容器内で発生した離水はやや多く、容器内の離水捕集用シートは12.72gの離水を含んでいた。
比較例2は、製造6週間後においてチーズ表面の青カビの生育が多く、発生した離水が染み出た状態であった。また青カビの生育した表面部は除去が必要であった。内部の熟成は実施例4よりも進行していたものの、良好な組織風味であった。8週間後には食べ頃であったが、10週間後ではやや過熟で組織が軟化し、青カビの独特の匂いやピリピリとした風味がやや感じられた。また容器内の離水捕集用シートでは捕集しきれない15g以上の離水が発生していた。
これらのことから、実施例1、実施例2、実施例3、実施例4、及び実施例5のように適度な燻煙処理を行うことで、風味のよい燻煙ブルーチーズとなり、さらに青カビの過剰生育や熟成の過剰進行が抑制された「燻煙青カビ系チーズ」を製造することができた。

Claims (5)

  1. 表面部分にフェノール類量を10~95μg/g含むことを特徴とする青カビ系チーズ。
  2. 前記表面部分のフェノール類量が15~90μg/gであること特徴とする請求項1の青カビ系チーズ。
  3. 表面部分のフェノール類量が10~95μg/gとなるよう燻煙処理する工程を含むことを特徴とする青カビ系チーズの製造方法。
  4. 前記表面部分のフェノール類量が15~90μg/gであることを特徴とする請求項3の青カビ系チーズの製造方法。
  5. 表面部分のフェノール類量が10~95μg/gとなるよう燻煙処理する工程を含むことを特徴とする青カビ系チーズにおける保存性向上方法。
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