JP2022055657A - 活性エネルギー線硬化型プライマー組成物、それを使用した建材用化粧シート及びその製造方法 - Google Patents

活性エネルギー線硬化型プライマー組成物、それを使用した建材用化粧シート及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
本発明が解決しようとする課題は、シリカ等の艶消し剤を含有するEB硬化型コーティング剤をオレフィン基材と密着させるための1液型プライマー組成物、及び該プライマー組成物を使用した建材用化粧シートとその製造方法を提供することにあるものである。
【解決手段】
本発明の解決手段は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有し、(メタ)アクリロイル基当量が特定の範囲にある活性エネルギー線硬化型プライマー組成物が、課題を解決することを見出したものであり、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有し、(メタ)アクリロイル基当量が80~750g/eq.の範囲であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型プライマー組成物によるものである。
【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオレフィン系樹脂からなる基材シートと艶消し剤を含有する電子線硬化型コーティング剤との間に設けるプライマー層に適用する活性エネルギー線硬化型プライマー組成物に関する。
一般に、美観等を目的に、ポリオレフィン系樹脂からなる基材上(オレフィン基材と称されることもある)に、電子線硬化型(EB硬化型と称されることもある)や紫外線硬化型(UV硬化型と称されることもある)のコーティング剤を塗工することは知られており、また、アクリルモノマーの存在により、EB照射によって、オレフィン基材との密着性が高まることも知られている。(例えば特許文献1参照)
オレフィン基材上に美観等を目的にEB硬化型コーティング剤を適用する具体例として、絵柄印刷層を設けた薄葉紙をラワン合板等の木質基材上に貼り合わせた後、塗装を施した床材が知られている。しかしながら、床材の場合、オレフィン基材上に塗工するEB硬化型やUV硬化型コーティング剤に、滑り止めや艶消し防止の目的から、シリカ等の艶消し剤を添加することが多く、これが、オレフィン基材との密着性を低下させる要因となっていた。また、奥行き感のある床用化粧材を得るために、床用化粧材に形成する塗膜の厚みを大きくすることも求められるが、塗膜の厚みを大きくする場合、床用化粧シートの塗膜形成面には、より高い塗膜密着性が求められるといった課題もある。
床用化粧シートの塗膜形成面とのより高い塗膜密着性を目的として、特許文献2には、オレフィン被着材上に、ポリオレフィン系樹脂からなる基材シートと、絵柄模様層等と、アクリル-ウレタン共重合体樹脂とイソシアネートにより形成されてなる塗膜形成用プライマー層と、主としてウレタンアクリレート系電子線硬化型樹脂層である塗膜とをこの順に有する床用化粧材の製造方法が記載されている。これにより塗膜厚みが50μmであっても基材との密着性に優れる床材化粧材が得られる。しかしながらイソシアネート硬化系プライマーは実質的に2液型であり且つ硬化速度が速いため、施工直前に混合し、硬化する前に施工しなければならず施工が煩雑といった問題や、一定時間のエージングを必要とするなどの改善すべき問題があった。
特開2001-181317号公報 特開2015-34462号公報
本発明が解決しようとする課題は、シリカ等の艶消し剤を含有するEB硬化型コーティング剤をオレフィン基材と密着させるための1液型プライマー組成物、及び該プライマー組成物を使用した建材用化粧シートとその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有し、(メタ)アクリロイル基当量が特定の範囲にある活性エネルギー線硬化型プライマー組成物が、前記課題を解決することを見出した。
即ち本発明は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有し、(メタ)アクリロイル基当量が80~750g/eq.の範囲である活性エネルギー線硬化型プライマー組成物を提供する。
また本発明は、ポリオレフィン系樹脂からなる基材シート上に、少なくともプライマー層及びコーティング層が順に形成されてなる建材用化粧シートであって、前記プライマー層が前記記載の活性エネルギー線硬化型プライマー組成物の硬化物であり、
前記コーティング層が、艶消し剤を含有する電子線硬化型コーティング組成物の硬化物である建材用化粧シートを提供する。
また本発明は、ポリオレフィン系樹脂からなる基材シート上に、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有し、(メタ)アクリロイル基当量が80~750g/eq.の範囲である活性エネルギー線硬化型プライマー組成物の塗工層(A)を形成する工程1と、
前記塗工層(A)上に、艶消し剤を含有する電子線硬化型コーティング組成物の塗工層(B)を形成する工程2と、
前記塗工層(B)の表層側から電子線を照射する工程3とを、
この順に有する建材用化粧シートの製造方法であって、
前記工程1における前記プライマー組成物の(メタ)アクリロイル基当量と、前記工程3における電子線の照射量(Y)kGyとが、前記(メタ)アクリロイル基当量の絶対値/(Y)kGyの絶対値<10の関係を満たす建材用化粧シートの製造方法を提供する。
本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー組成物は、シリカ等の艶消し剤を含有するEB硬化型コーティング剤とオレフィン基材との密着性を良好にすることができ、をオレフィン基材と密着性が良好であり、特に本発明の建材用化粧シートの製造方法によれば、各層の密着性に優れた建材用化粧シートを得ることができる。
(活性エネルギー線硬化型プライマー組成物)
本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー組成物は、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有し、(メタ)アクリロイル基当量が80~750g/eq.の範囲であることを特徴とする。
尚、本発明において「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基またはメタクリロイル基の一方または両方を指す。また「(メタ)アクリロイル基を有する化合物」を(メタ)アクリレートを称する場合もある。「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及びメタクリレートの一方または両方をいう。
((メタ)アクリロイル基を有する化合物)
本発明で使用する(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、特に限定はなく公知の活性エネルギー線で硬化しうる(メタ)アクリロイル基を有する化合物を使用することができる。
単官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシエチルテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエトキシエタノールアクリル酸多量体エステル等が挙げられる。
2官能(メタ)アクリレートとしては、例えば、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等の2価アルコールのジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに2モルのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールのポリ(メタ)アクリレート等の3価以上の多価アルコールのポリ(メタ)アクリレート、グリセリン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たトリオールのジ又はトリ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA1モルに4モル以上のエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイドを付加して得たジオールのジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレンポリオールのポリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また更に、2官能以上の(メタ)アクリレートにあたるジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとジペンタエリスリトールペンタアクリレートの混合物 (DPHAと略する場合がある)、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(DTMPTAと略する場合がある)、トリメチロールプロパン1モルに3モル以上のエチレンオキサイドを付加して得たトリオールのトリ(メタ)アクリレートであるトリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加体トリ(メタ)アクリレート等を使用してもよい。前記トリメチロールプロパンエチレンオキサイド付加体トリ(メタ)アクリレートとしては、代表的なものとしてトリメチロールプロパンエチレンオキサイド(以後エチレンオキサイドを「EO」と称する場合がある)変性(n≒3)トリアクリレートが挙げられる。
前記した単官能(メタ)アクリレート、2官能以上の(メタ)メタクリレートの総量が、コーティング剤中の硬化成分全量の60~80質量%の範囲が好ましく、より好ましくは65~75質量%である。
更に必要に応じて重合性オリゴマーを使用してもよい。重合性オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、アミン変性ポリエーテルアクリレート、アミン変性エポキシアクリレート、アミン変性脂肪族アクリレート、アミン変性ポリエステルアクリレート、アミノ(メタ)アクリレートなどのアミン変性アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリオレフィン(メタ)アクリレート、ポリスチレン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
前記(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、中でも、フェノールEO変性アクリレート、EO変性1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、EO変性ビスフェノールAジアクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールアルコキシテトラアクリレートが好ましく、より好ましくは1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、DPHAである。
本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー組成物において、(メタ)アクリロイル基当量は式(1)で示される。なお単位はg/eq.である。
Figure 2022055657000001
式(1)中、不揮発成分の総重量とは、本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー組成物が含有する不揮発成分の総重量を表す。例えば有機溶剤は揮発成分であり、(メタ)アクリロイル基を有する化合物やシリカは不揮発成分である。
また式(1)中、「Σ(((メタ)アクリロイル基を有する化合物重量[g])/((メタ)アクリロイル基を有する化合物の(メタ)アクリロイル基当量[eq]))」とは、本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー組成物が含有する複数の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の、(メタ)アクリロイル基を有する化合物重量[g]を当該(メタ)アクリロイル基を有する化合物の(メタ)アクリロイル基当量[g/eq.]で除した値を、含有する全ての(メタ)アクリロイル基を有する化合物の値を算出し、その和を表す。
(メタ)アクリロイル基を有する化合物の(メタ)アクリロイル基当量[g/eq.]は、モノマーのように1分子あたりの重量平均分子量と(メタ)アクリロイル基数が明確である場合は、「(メタ)アクリロイル基をもつ化合物の重量平均分子量/(メタ)アクリロイル基を有する化合物の1分子当たりの(メタ)アクリロイル基数」で求めることができる。一方、ポリマーやオリゴマー(アクリルアクリレート等)のように一分子当たりの重量平均分子量と(メタ)アクリロイル基数が明確でない場合は、「ポリマーを構成するモノマー全ての仕込み重量[g]/アクリル酸仕込み量[mol]」の式を用いて合成時の仕込み量から求めることができる。
例えば本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー組成物が6官能(メタ)アクリレートであるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(重量平均分子量524)のみからなる場合は、(メタ)アクリロイル基当量は87[g/eq.]となる。
また、例えば本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー組成物が重合性オリゴマーであるアクリルアクリレート「ルクシディアCH-S-1371(DIC社製)」のみからなる場合は、仕込み量から計算することで(メタ)アクリロイル基当量は750[g/eq.]となる。
また、例えば本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー組成物が、6官能(メタ)アクリレートであるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(重量平均分子量524)を30重量%と、3官能(メタ)アクリレートであるMiramerM3130(MIWON社製)」(重量平均分子量429)を67.5重量%と、光重合開始剤を2.8重量%で含有する場合には、(メタ)アクリロイル基当量は、
(30+67.5+2.8)/((30/87)+(67.2/143))=100/(0.34+0.47))=122.7[g/eq.]となる。
本発明においては、前記式(1)で算出される(メタ)アクリロイル基当量が、80~750g/eq.の範囲であることが好ましい。なお好ましくは80~500g/eq.の範囲であり、80~250g/eq.の範囲が最も好ましい。
前記(メタ)アクリロイル基を有する化合物は、活性エネルギー線硬化型プライマー組成物の固形分に対し、50~100質量%含有することが好ましい。
(光重合開始剤)
本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー組成物は、電子線で硬化させることから光重合開始剤等を必要とはしないが、後述の本発明の建材用化粧シートの製造方法において、プライマー組成物の塗工層(A)を形成する工程1の後に、塗工層(A)の表面のみ乾燥(タックフリー)させる目的で紫外線照射を行う場合は、光重合開始剤等を添加することもできる。この際に使用する光重合開始剤としては、公知のものを使用すればよい。
中でもラジカル重合タイプの光重合開始剤が好ましく、活性エネルギー線硬化性化合物溶解時に溶解液の着色が無く、経時による黄変の少ないα-ヒドロキシアルキルケトン系光重合開始剤が挙げられる。α-ヒドロキシアルキルケトン系光重合開始剤としては例えば、1-フェニル-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-i-プロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル-(2-ヒドロキシ-2-プロピル)ケトン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等が挙げられる。更にフェニルグリオキソレート系光重合開始剤も好ましい。フェニルグリオキソレート系光重合開始剤としては例えばメチルベンゾイルフォルマート等を挙げることができる。中でも、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンが好ましい。
また、その他のラジカル重合タイプの光重合開始剤としては紫外線の中でも長波長領域に吸収波長を有するモノアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤を適宜、組合わせて使用してもよい。モノアシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤としては活性エネルギー線硬化性化合物への溶解時に着色するビスアシルフォスフィンオキサイド類は除き、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6-ジメトキシベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,6-ジクロロベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-フェニルフォスフィン酸メチルエステル、2-メチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイド、ピバロイルフェニルフォスフィン酸イソプロピルエステル等のモノアシルフォスフィンオキサイド類等が挙げられ、特に、これらの中でも、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルフォスフィンオキサイドは、385nmや395nmに発光波長を有するUV-LEDの発光波長領域に合致するUV吸収波長を有することで、好適な硬化性が得られ、且つ、硬化皮膜の黄変が少ない点でより好ましい。
前記した光重合開始剤はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。前記光重合開始剤の総計の添加量は、コーティング剤全量に対し0.1~20質量%の範囲であることが好ましい。0.1質量%以上であれば良好な硬化性が得られ、また20質量%以下であれば開始剤量が過剰となる事もなく、コーティング剤としての流動性が保持でき加工性、作業性が低下することもない。
更に、脂肪族アミン誘導体及び/又は安息香酸アミン誘導体から選ばれる3級アミン化合物を増感剤として添加することによって、硬化速度を速めることもできる。3級アミン化合物は、反応性を高め、酸素による反応阻害を阻止することで知られている。好適な3級アミン化合物としては、例えば、トリエチルアミン、メチルジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの遊離アルキルアミン、2-エチルヘキシル-4-ジメチルアミノベンゾエート、エチル-4-ジメチルアミノベンゾエートなどの芳香族アミン、およびポリマー性不飽和アミン(例えば、(メタ)アクリレート化アミン類)などの活性エネルギー線重合性化合物は、低臭気性、低揮発性、および硬化によってポリマーマトリックス中に組み込むことができる能力によって黄ばみが抑制される性質があることから、好ましいとされる。
前記3級アミン化合物は、有機溶剤を含む塗料全量に対して、好ましくは、0.1~10質量%、より好ましくは、0.3~3質量%の量で用いる事ができる。
(有機溶剤)
また本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー組成物は、後述の本発明の建材用化粧シートの製造方法において、プライマー組成物の塗工層(A)を形成する工程1の際、塗工を容易にするための希釈剤として有機溶剤を添加することもできる。
有機溶剤としては使用する(メタ)アクリロイル基を有する化合物を溶解する溶剤であればいずれも使用できるが、常圧下で沸点が50℃以下である高揮発性有機化合物(VVOC)や沸点が50~260℃である揮発性有機化合物(VOC)を含まない事がより好ましい。
大気中への有機溶剤の蒸散量の徹底的な低減、即ちVOCの削減を目的とするものであり、以下の有機溶剤であるトルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、n-ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン等の脂肪族または脂環式炭化水素、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル等のエステル類、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル等、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテルエステル類の何れも含まない事が好ましい。
本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー組成物は、塗工性の観点から、後述の本発明の建材用化粧シートの製造方法において塗工可能な粘度に調整しておくことが好ましい。粘度としては1~3000mPa・sに調整するのが好ましい。前記(メタ)アクリロイル基を有する化合物は総じて低分子量のものが多く有機溶剤で希釈しなくても該粘度に調整できる場合は有機溶剤で希釈する必要はない。一方、高分子量で粘度の高い重合性オリゴマーや重合性ポリマー等を併用する場合は、有機溶剤で希釈して該粘度に調整することができる。
本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー組成物は、ポリオレフィン基材シートとの密着性を発現するためには、固体微粒子を含有しないことが好ましい。ここで固体微粒子とは、常温にて固体状の、粒子径が30μm以下の微粒子を指す。具体的には、艶消し剤・アンチブロッキング剤等が挙げられる。
その他、本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー組成物は、艶消し剤、重合禁止剤、レベリング剤、チクソ性付与剤、ワックス、乾燥剤、増粘剤、垂れ止め剤、可塑剤、分散剤、沈降防止剤、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤等を含有することが可能である。
(建材用化粧シート)
本発明の建材用化粧シートは、ポリオレフィン系樹脂からなる基材シート上に、少なくともプライマー層及びコーティング層が順に形成されてなる建材用化粧シートであって、
前記プライマー層が前記記載の活性エネルギー線硬化型プライマー組成物の硬化物であり、前記コーティング層が、艶消し剤を含有する電子線硬化型コーティング組成物の硬化物である。
(ポリオレフィン系樹脂からなる基材シート)
本発明で使用する、ポリオレフィン系樹脂からなる基材シートにおいて、通常ポリオレフィン系樹脂としては特に限定されず、化粧シートの分野で通常用いられているものが使用できる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-プロピレン-ブテン共重合体、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。これらの中でも、特にポリプロピレン、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー等が好ましい。
ポリオレフィン系樹脂は、例えば、カレンダー法、インフレーション法、Tダイ押し出し法等によりフィルム状に成形されたものを使用できる。基材シートの厚みは特に限定されず、製品特性に応じて設定できるが、通常40~150μm、好ましくは50~100μm程度である。
基材シートには、必要に応じて、添加剤が配合されてもよい。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム、クレー等の充填剤、水酸化マグネシウム等の難燃剤のほか、酸化防止剤、滑剤、発泡剤、着色剤等が挙げられる。添加剤の配合量は、製品特性に応じて適宜設定できる。
基材シートの片面又は両面には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、プラズマ処理、電離放射線処理、重クロム酸処理等の表面処理を施してもよい。例えば、コロナ放電処理を行う場合には、基材シート表面の表面張力が30dyne以上、好ましくは40dyne以上となるようにすればよい。表面処理は、各処理の常法に従って行えばよい。
(艶消し剤を含有する電子線硬化型コーティング組成物)
本発明で使用する艶消し剤を含有する電子線硬化型コーティング組成物は、艶消し剤及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有する。
(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、前述の本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー組成物と同様の化合物を使用することができる。
艶消し剤としては例えば、シリカ、クレー、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、ケイ酸カルシウム、合成ケイ酸塩、及びケイ酸微粉末から選択される無機フィラーや、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ナイロン樹脂、ポリプロピレン樹脂、又は尿素系樹脂から選択される有機フィラーまたは樹脂ビーズが挙げられ、いずれか1種を用いてもよいし、2種以上を組合わせて用いることもできる。
艶消し剤の体積平均粒径は、特に限定はないが、一般的には、0.5~25μmであり、より好ましくは1~15μm、さらに好ましくは3~10μmである。艶消し剤の体積平均粒径が0.5μm以上であると、艶消し効果の観点から好ましい。なお、ここで言う体積平均粒径は、レーザー回折-散乱法によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径である。
前記艶消し剤の含有量は0.5~50質量%であると好ましく、10~50質量%であるとより好ましく、25~50質量%であるとさらに好ましい。
前記電子線硬化型コーティング組成物は、その他必要に応じて、レベリング剤、チクソ性付与剤、ワックス、乾燥材、増粘剤、垂れ止め剤、可塑剤、分散剤、沈降防止剤、消泡剤、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤等の添加剤を含有していてもよい。
本発明の建材用化粧シートは、前記プライマー層及び前記コーティング層の他、建材用化粧シートに通常設けられる、易接着層、絵柄模様層、透明性接着剤層、透明性樹脂層を有していてもよい。
易接着層は、ポリオレフィン系樹脂からなる基材シートの、プライマー層やコーティング層が設けられた面とは反対側の面に設けられ、ラワン合板等の木質基材との接着性を高める目的で設けられる。例えば、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂等の易接着層を使用することができる。
絵柄模様層は、化粧シートに所望の絵柄による意匠性を付与するものであり、絵柄の種類等は特に限定的ではない。例えば、木目模様、石目模様、砂目模様、タイル貼模様、煉瓦積模様、布目模様、皮絞模様、幾何学図形、文字、記号、抽象模様等が挙げられる。また絵柄模様層の形成方法は特に限定されず、例えば、公知の着色剤(染料又は顔料)を結着剤樹脂とともに溶剤(又は分散媒)中に溶解(又は分散)させて得られる着色インキ、コーティング剤等を用いた印刷法などにより形成すればよい。
絵柄印刷層は、通常、別途シート上に、例えば、グラビア印刷法、オフセット印刷法、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法、静電印刷法、インクジェット印刷法等の公知の印刷法により設けられ、後述の透明性接着剤層を介して、ポリオレフィン系樹脂からなる基材シートに貼付される。
透明性接着剤層は、透明性接着剤層は、透明性のものであれば特に限定されず、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む 接着剤としては特に限定されず、化粧シートの分野で公知の接着剤、例えば、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、酢酸ビニル樹脂等の熱可塑性樹脂、熱硬化性ウレタン樹脂等の硬化性樹脂や、イソシアネートを硬化剤とする二液硬化型ポリウレタン樹脂又はポリエステル樹脂等の接着剤を使用することができる。
また、視認性や、床材としての各種強度等を付与することを目的として、別途透明樹脂層を設けることもできる。透明性樹脂層は、透明性である限り、無色透明、着色透明、半透明等のいずれも含む。透明性樹脂層に含まれる樹脂成分は限定的ではないが、熱可塑性樹脂であれば好ましく、特にポリプロピレンが好ましい。また床材に所望される物性に応じて、充填剤、難燃剤、滑剤、酸化防剤、光安定剤(紫外線吸収剤、ラジカル捕捉剤等)などの添加剤を添加することができる。特に耐候性を向上させるためには、光安定剤の添加が好ましい。
(建材用化粧シートの製造方法)
本発明の建材用化粧シートの製造方法は、ポリオレフィン系樹脂からなる基材シート上に、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有し、(メタ)アクリロイル基当量が80~750g/eq.の範囲である活性エネルギー線硬化型プライマー組成物の塗工層(A)を形成する工程1と、
前記塗工層(A)上に、艶消し剤を含有する電子線硬化型コーティング組成物の塗工層(B)を形成する工程2と、
前記塗工層(B)の表層側から電子線を照射する工程3とを、
この順に有する建材用化粧シートの製造方法であって、
前記工程1における前記プライマー組成物の(メタ)アクリロイル基当量と、前記工程3における電子線の照射量(Y)kGyとが、前記(メタ)アクリロイル基当量の絶対値/(Y)kGyの絶対値<10の関係を満たすことを特徴とする。
(工程1)
工程1は、ポリオレフィン系樹脂からなる基材シート上に、本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー組成物の塗工層(A)を形成する工程である。
ポリオレフィン系樹脂からなる基材シート上に塗工層(A)を形成する方法は、特に限定はなく公知の塗布・印刷方式を使用すればよい。具体的な例としては、例えばロールコーター、グラビアコーター、フレキソコーター、エアドクターコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、トランスファロールコーター、キスコーター、カーテンコーター、キャストコーター、スプレイコーター、ダイコーター、オフセット印刷機、スクリーン印刷機等により塗工層(A)を形成することができる。中でもグラビアコーターが好ましい。
塗工層(A)の膜厚は、加工性の観点から0.1~10μmが好ましく、0.5~5.0μmがなお好ましい。
前記工程1により得た塗工層(A)は、本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー組成物の未硬化層であるため、そのままでは表面が乾燥せず実際の製造ラインによっては不具合が生じる場合もある。
前述の通り、本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー組成物は、塗工性の観点から、後述の本発明の建材用化粧シートの製造方法において塗工可能な粘度に調整されているが、調整方法として有機溶剤で希釈してある場合には、有機溶剤を乾燥させるのみでタックフリーとなる場合もある。一方低分子の(メタ)アクリロイル基を有する化合物のみで構成され有機溶剤で希釈されていないプライマー組成物の場合は、そのままでは表面は乾燥しないため、プライマー組成物が全硬化しない程度の活性エネルギー線で表面のみ硬化(タックフリー)させることが好ましい。
活性エネルギー線とは紫外線、電子線、γ線の如き、電離性放射線や電磁波などであり、中でも紫外線が好ましい。
活性エネルギー線として紫外線を使用する場合は予めプライマー組成物中に光重合開始剤を添加しておくことが好ましい。紫外線を照射する場合は、高圧水銀灯、エキシマランプ、メタルハライドランプ等を備えた公知の紫外線照射装置を使用することができる。このときの紫外線光量は、10~300mJ/cmの範囲が好ましく、20~100mJ/cmの範囲がより好ましい。
(工程2)
前記工程1で得た塗工層(A)上に、艶消し剤を含有する電子線硬化型コーティング組成物の塗工層(B)を形成する。
塗工層(B)の塗工方法も、前記工程1の塗工方法と同様に、ポリオレフィン系樹脂からなる基材シート上に塗工層(A)を形成する方法は、特に限定はなく公知の塗布・印刷方式を使用すればよい。具体的な例としては、例えばロールコーター、グラビアコーター、フレキソコーター、エアドクターコーター、ブレードコーター、エアナイフコーター、スクイズコーター、含浸コーター、トランスファロールコーター、キスコーター、カーテンコーター、キャストコーター、スプレイコーター、ダイコーター、オフセット印刷機、スクリーン印刷機等により塗工層(A)を形成することができる。中でもグラビアコーターが好ましい。
塗工層(B)の膜厚は、加工性及び表面物性の観点から5.0~40μmが好ましく、5.0~15μmがなお好ましい。
また、塗工層(A)と塗工層(B)との積層後の膜厚は、加工性及び表面物性の観点から5~100μmが好ましく、5~50μmがなお好ましい。
(工程3)
前記工程2で得た塗工層(B)の表層側から、電子線を照射する。
この時に使用する電子線の電子線源としては、前述の電子線照射装置が使用できる。一方工程3における電子線のエネルギーは、塗工層(A)即ちプライマー組成物中の、(メタ)アクリロイル基を有する化合物の(メタ)アクリロイル基とオレフィン基材とを化学的に結合させる目的から、100~250kV程度が好ましく、125~175kV程度がより好ましい。照射量は、10~230kGy程度が好ましく、10~100kGy程度がより好ましい。
前記工程1における前記プライマー組成物の(メタ)アクリロイル基当量と、前記工程3における電子線の照射量(Y)kGyとは、
Figure 2022055657000002
の関係を満たすことが特徴である。
ここで、「プライマー組成物の(メタ)アクリロイル基当量の絶対値/(Y)kGyの絶対値<10」とは、前記工程1で使用する本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー組成物の(メタ)アクリロイル基当量の絶対値を、前記工程3における電子線の照射量(Y)kGyの絶対値で除した値が10未満という意味である。
本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー組成物は、(メタ)アクリロイル基当量が小さいほど、1分子中に占める二重結合の割合が大きく反応性が高い。すなわち照射量が小さい場合でも、プライマー組成物中の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の(メタ)アクリロイル基とオレフィン基材を化学的に結合させやすくなる。
反対に、活性エネルギー線硬化型プライマー組成物の(メタ)アクリロイル基当量が大きい場合は、反応性が劣るために、当該プライマー組成物中の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の(メタ)アクリロイル基とオレフィン基材を化学的に結合させるには、照射量を大きくする必要がある。
本発明の活性エネルギー線硬化型プライマー組成物中の(メタ)アクリロイル基を有する化合物の(メタ)アクリロイル基にオレフィン基材を化学的に結合させるのに十分な照射量の基準となるのが、(メタ)アクリロイル基当量の絶対値/(Y)kGyの絶対値の計算式で示される値であり、これが10未満であれば十分な基材密着性が得られる。これが5未満の場合、より良好な基材密着性が得られる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳しく説明する。尚、以下実施例中にある部、質量部とは、質量%を表す。
〔実施例1~7(表1)、比較例1~3(表2)〕
表1及び表2(塗工層(A)の配合)に示す各成分を混合し調整したプライマー組成物を、#6のバーコーターでポリプロピレンフィルム(オカモト製「ベーシックカラーPPシートホワイト」0.4mm厚)の表面処理面もしくは未処理面に塗工し塗工層(A)を形成した。次に、空冷高圧水銀灯(出力120W/cm1灯)及びベルトコンベアを搭載したUV照射装置(株式会社ジーエス・ユアサコーポレーション)を使用し、塗工物をコンベア上に載せ、ランプ直下(照射距離15cm)を25m/minの速度で、任意の回数通過させることにより塗工層(A)をタックフリー化した。タックフリーとなったときの積算光量を表1及び表2に示した。なお実施例4、7、比較例2、3のプライマー組成物配合では有機溶剤を乾燥させることでタックフリーとなるため、乾燥のみ行い紫外線照射は行っていない。
続いて表1及び表2(塗工層(B)の配合)に示す各成分を混合し調整した電子線硬化型コーティング組成物を#6のバーコーターで塗工層(A)上に塗工し塗工層(B)を形成した。次にカーテン型電子線照射装置(岩崎電気株式会社製「エレクトロカーテンEC250/15/180L」)を用いて表1及び表2に示す条件で電子線を照射して塗工層(B)及び塗工層(A)を硬化させた。
〔評価方法〕
本発明の建材用化粧シートの評価方法を示す。
〔評価項目1:初期密着性〕
作製した硬化後の各化粧シート表面にセロハンテープを貼り付け、これを急速に剥がす行為を行い、印刷被膜の外観の状態を次の5段階で評価した。試験は硬化の直後に行った。
(評価基準)
〇 :印刷被膜の剥離は全く見られなかった。
〇△:面積比率で印刷被膜の70%以上が化粧シート基材に残った。
△ :面積比率で印刷被膜の50%以上70%未満が化粧シート基材に残った。
△×:面積比率で印刷被膜の10%以上50%未満が化粧シート基材に残った。
× :面積比率で印刷被膜の10%未満が化粧シート基材に残った。
〔評価項目2:クロスカット密着性〕
作製した硬化後の各化粧シート表面に塗膜のみを傷つけるように浅くクロスカットを入れ、その上にセロハンテープを貼り付け、これを急速に剥がす行為を行い、印刷被膜の外観の状態を次の5段階で評価した。試験は硬化後1日以上経過してから行った。
(評価基準)
〇 :印刷被膜の剥離は全く見られなかった。
〇△:面積比率で印刷被膜の70%以上が化粧シート基材に残った。
△ :面積比率で印刷被膜の50%以上70%未満が化粧シート基材に残った。
△×:面積比率で印刷被膜の10%以上50%未満が化粧シート基材に残った。
× :面積比率で印刷被膜の10%未満が化粧シート基材に残った。
(メタ)アクリロイル基当量80~750g/eq.を満たす各プライマー組成物を用いた場合(実施例1~7)の評価結果を表1に示す。塗工層(A)をもたない場合(比較例1)及び(メタ)アクリロイル基当量80~750g/eq.を満たさない各プライマー組成物を用いた場合(比較例2~3)の評価結果を表2に示す。なお空欄は未配合を表す。
Figure 2022055657000003
Figure 2022055657000004
表1及び表2中、※1は下記を示す。
(プライマー組成物の(メタ)アクリロイル基当量の絶対値/(Y)kGyの絶対値)
また表1及び表2中、略語等は以下を表す。
・DPA-600T:張家港東亜迪愛生化学有限公司社製の6官能アクリレートモノマー
・MiramerM3130:MIWON社製の3官能アクリレートモノマー
・ルクシディアRS28-360:DIC社製のアクリルアクリレート
・MiramerM2100:MIWON社製の2官能アクリレートモノマー
・MiramerM2200:MIWON社製の2官能アクリレートモノマー
・ルクシディアCH-S-1371:DIC社製のアクリルアクリレート
・Omnirad184:BASF社製の光重合開始剤
・ビスコート190D:大阪有機化学工業株式会社製のアクリレートモノマー
・MiramerM202:MIWON社製の2官能アクリレートモノマー
・MiramerM220 :MIWON社製の2官能アクリレートモノマー
・Photomer6184:IGM Resins B.V.社製のウレタンアクリレートオリゴマー
・ニップシールE170:東ソー・シリカ株式会社製のシリカ
・ミネックス8F:白石工業株式会社製のナトリウムカリウムアルミニウムシリケート
・ランコワックスPP1362D:日本ルーブリゾール株式会社製のポリプロピレンワックス
・BYK A501:ビックケミー・ジャパン社製の消泡剤
・ルクシディアCH-S-1372:DIC社製のアクリルアクリレート
・アクリット0404EA-P:大成ファインケミカル株式会社製のアクリル樹脂
・未処理PP:ポリプロピレンフィルム(オカモト製「ベーシックカラーPPシートホワイト」0.4mm厚)の未処理面に塗工層(A)を塗工したサンプル。
・コロナ処理PP:ポリプロピレンフィルム(オカモト製「ベーシックカラーPPシートホワイト」0.4mm厚)表面処理面に塗工層(A)を塗工したサンプル。
〔実施例1、8~10、比較例4(表3)〕
表3(塗工層(A)の配合)に示す各成分を混合し調整したプライマー組成物を、#6のバーコーターでポリプロピレンフィルム(オカモト製「ベーシックカラーPPシートホワイト」0.4mm厚)の表面処理面もしくは未処理面に塗工し塗工層(A)を形成した。次に、空冷高圧水銀灯(出力120W/cm1灯)及びベルトコンベアを搭載したUV照射装置(株式会社ジーエス・ユアサコーポレーション)を使用し、塗工物をコンベア上に載せ、ランプ直下(照射距離15cm)を25m/minの速度で、任意の回数通過させることにより塗工層(A)をタックフリー化した。タックフリーとなったときの積算光量を表3に示した。続いて表3(塗工層(B)の配合)に示す各成分を混合し調整した電子線硬化型コーティング組成物を#6のバーコーターで塗工層(A)上に塗工し塗工層(B)を形成した。次にカーテン型電子線照射装置(岩崎電気株式会社製「エレクトロカーテンEC250/15/180L」)を用いて表3に示す条件で電子線を照射して塗工層(B)及び塗工層(A)を硬化させた。実施例1~7、比較例1~3と同様にして初期密着性、クロスカット密着性の評価を行った。
(プライマー組成物の(メタ)アクリロイル基当量の絶対値/(Y)kGyの絶対値)<10を満たすプライマー組成物を用いた場合(実施例1、8~10)、及び(プライマー組成物の(メタ)アクリロイル基当量の絶対値/(Y)kGyの絶対値)<10を満たさないプライマー組成物を用いた場合(比較例4)の評価結果を表3に示す。なお空欄は未配合を表す。
Figure 2022055657000005
表3中、※1は下記を示す。
(プライマー組成物の(メタ)アクリロイル基当量の絶対値/(Y)kGyの絶対値)
また3表中、略語は下記を示す、
・DPA-600T:張家港東亜迪愛生化学有限公司社製の6官能アクリレートモノマー
・MiramerM2200:MIWON社製の2官能アクリレートモノマー
・Omnirad184:BASF社製の光重合開始剤
・ビスコート190D:大阪有機化学工業株式会社製のアクリレートモノマー
・MiramerM202:MIWON社製の2官能アクリレートモノマー
・MiramerM220 :MIWON社製の2官能アクリレートモノマー
・MiramerM3130:MIWON社製の3官能アクリレートモノマー
・Photomer6184:IGM Resins B.V.社製のウレタンアクリレートオリゴマー
・ニップシールE170:東ソー・シリカ株式会社製のシリカ
・ミネックス8F:白石工業株式会社製のナトリウムカリウムアルミニウムシリケート
・ランコワックスPP1362D:日本ルーブリゾール株式会社製のポリプロピレンワックス
・BYK A501:ビックケミー・ジャパン社製の消泡剤
・未処理PP:ポリプロピレンフィルム(オカモト製「ベーシックカラーPPシートホワイト」0.4mm厚)の未処理面に塗工層(A)を塗工したサンプル。
・コロナ処理PP:ポリプロピレンフィルム(オカモト製「ベーシックカラーPPシートホワイト」0.4mm厚)表面処理面に塗工層(A)を塗工したサンプル。

Claims (4)

  1. (メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有し、(メタ)アクリロイル基当量が80~750g/eq.の範囲であることを特徴とする活性エネルギー線硬化型プライマー組成物。
  2. ポリオレフィン系樹脂からなる基材シート上に、少なくともプライマー層及びコーティング層が順に形成されてなる建材用化粧シートであって、
    前記プライマー層が請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型プライマー組成物の硬化物であり、前記コーティング層が、艶消し剤を含有する電子線硬化型コーティング組成物の硬化物であることを特徴とする、建材用化粧シート。
  3. ポリオレフィン系樹脂からなる基材シート上に、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を含有し、(メタ)アクリロイル基当量が80~750g/eq.の範囲である活性エネルギー線硬化型プライマー組成物の塗工層(A)を形成する工程1と、
    前記塗工層(A)上に、艶消し剤を含有する電子線硬化型コーティング組成物の塗工層(B)を形成する工程2と、
    前記塗工層(B)の表層側から電子線を照射する工程3とを、
    この順に有する建材用化粧シートの製造方法であって、
    前記工程1における前記プライマー組成物の(メタ)アクリロイル基当量と、前記工程3における電子線の照射量(Y)kGyとが、
    Figure 2022055657000006
    の関係を満たすことを特徴とする建材用化粧シートの製造方法。
  4. 前記工程1後、前記塗工層(A)の表面をタックフリーにする工程を有する請求項3に記載の建材用化粧シートの製造方法。
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