JP2022055084A - 移植片を移送するための機器および移植片の移送方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、損傷や皺を発生させることなく、移植片を効率よく迅速に機器から剥離させることができる手段を提供することを目的とする。【解決手段】 移植片を目的部位に移送するための医療機器であって、該移植片を載置するための支持体を備え、該支持体は、潤滑性を有する潤滑領域と、潤滑領域に隣接する非潤滑領域とを有し、移植片を潤滑領域と非潤滑領域にまたがって載置し、移植片を目的部位に接触させることで潤滑領域から移植片を剥離させて目的部位へ移植片を移送することができる、前記医療機器。【選択図】 なし

Description

本発明は、移植片を目的部位に移送するための医療機器および当該医療機器を用いた移植片を移送するための方法に関する。
近年、損傷した組織等の修復のために、種々の細胞を移植する試みが行われている。例えば、狭心症、心筋梗塞などの虚血性心疾患により損傷した心筋組織の修復のために、胎児心筋細胞、骨格筋芽細胞、間葉系幹細胞、心臓幹細胞、ES細胞、iPS細胞等の利用が試みられている(非特許文献1)。
このような試みの一環として、スキャフォールドを利用して形成した細胞構造物や、細胞をシート状に形成したシート状細胞培養物が開発されてきた(非特許文献2)。
シート状細胞培養物の治療への応用については、火傷などによる皮膚損傷に対する培養表皮シートの利用、角膜損傷に対する角膜上皮シート状細胞培養物の利用、食道がん内視鏡的切除に対する口腔粘膜シート状細胞培養物の利用などの検討が進められており、その一部は臨床応用の段階に入っている。
非特許文献3には、膵臓瘻や胃穿孔のモデル動物において、それらの治癒に骨格筋芽細胞シートを用い得ることが記載されている。早期の腫瘍を低侵襲的に切除する方法として、近年では内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が注目されている。これは、病変部の粘膜下層に局注液を注入し、人工的に浮腫を起こした後、隆起した粘膜病変部を粘膜下層ごと切除するというものである。しかしながら、特に十二指腸のESDは、内視鏡の操作性や腸壁の薄さなどから、30%前後の確率で穿孔などの合併症を引き起こしてしまうことが報告されている。
シート状細胞培養物を目的部位に投与する手術方法に関して、人体に対する低侵襲な手術方法として内視鏡下手術が広く用いられており、シート状細胞培養物を目的部位に送達して投与するための様々な器具が提案されている。
例えば、特許文献1に記載された運搬投与器具は、シート支持部材を筒状にして外筒内に格納することにより、人体に対する侵襲の度合いを低くして、移植部位までシート状の治療用物質を運搬することができる。
特許文献2に記載されたシート貼付装置は、シート支持部の表面に沿って配置された棒状部材を、シート支持部の表面に沿って移動させることにより剥離させて、シート状の物質を目的部位に貼付することができる。
特許文献3に記載された運搬投与具は、シート支持部に、シート状治療用物質を吸着保持させる陰圧と、シート支持部からシート状治療用物質を離脱させる陽圧を付与可能なシート脱着手段で、シートを投与することができる。
特許文献4に記載された搬送器具は、シート状治療用物質を保持したヘッドの表面に設けられた複数の通気孔から流体を噴出させることで、シート状治療用物質を貼付することができる。
特開2009-511号公報 特開2016-187601号公報 特開2008-173333号公報 国際公開第2014/069292号
Haraguchi et al., Stem Cells Transl Med. 2012 Feb;1(2):136-41 Sawa et al., Surg Today. 2012 Jan;42(2):181-4 Tanaka et al., Surg Today. 2017 Jan;47(1):114-121
このような中、本発明者らは、移植片を効率よく目的部位に移送するための手段を開発するにあたり、損傷や皺を発生させることなく、移植片を適切に機器から剥離させることは困難であるなど問題に直面した。したがって、本発明の目的は、そのような問題を解決し、単純な構成でかつ合理的な医療機器を実現することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねる中で、潤滑領域と非潤滑領域とに載置することで移植片を適切に保持および剥離できることに着目した。そして、移植片を載置可能な支持体を備え、支持体が、潤滑性を有する潤滑領域と、潤滑領域に隣接する非潤滑領域とを有する機器を用いることで、移植片を効率よく目的部位に移送することができることを見出し、さらに研究を進めた結果、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は、以下に関する。
[1]移植片を目的部位に移送するための医療機器であって、該移植片を載置するための支持体を備え、該支持体は、潤滑性を有する潤滑領域と、潤滑領域に隣接する非潤滑領域とを有し、移植片を潤滑領域と非潤滑領域にまたがって載置し、移植片を目的部位に接触させることで潤滑領域から移植片を剥離させて目的部位へ移植片を移送することができる、前記医療機器。
[2]支持体における潤滑領域の位置が、非潤滑領域の位置より外側に配置されている、[1]に記載の医療機器。
[3]潤滑領域が、湿潤時に潤滑性を有する親水性ポリマーで構成される、[1]または[2]に記載の医療機器。
[4]非潤滑領域が、摩擦係数の高い素材で構成される、[1]~[3]のいずれか一項に記載の医療機器。
[5]支持体が、複数の孔を有する、[1]~[4]のいずれか一項に記載の医療機器。
[6]支持体の形状が、潤滑領域および非潤滑領域を少なくとも含む、立体形状を有する、[1]~[5]のいずれか一項に記載の医療機器。
[7]移植片が、管腔臓器の治癒を促進させるためのシート状細胞培養物である、[1]~[6]のいずれか一項に記載の医療機器。
[8]移植片を目的部位に移送する方法であって、移植片を載置するための支持体を備え、該支持体が、潤滑性を有する潤滑領域と、潤滑領域に隣接する非潤滑領域とを有する医療機器を提供するステップ、および、移植片を潤滑領域と非潤滑領域にまたがって載置し、移植片を目的部位に接触させることで潤滑領域から移植片を剥離させて目的部位へ移植片を移送するステップを含む、前記方法。
[9]移植片を目的部位に接触させる際に、支持体を動かし、移植片を目的部位に固定しつつ潤滑領域上で滑らせるステップをさらに含む、[8]に記載の方法。
[10]潤滑領域および非潤滑領域を有する側を上向き、下向きまたは横向きにして、移植片を目的部位に移送するステップをさらに含む、[8]または[9]に記載の方法。
[11]目的部位への支持体の送達が、体腔内に経腹腔的に挿入された筒状体に移植片を載置した支持体を挿通することにより行われる、[8]~[10]のいずれか一項に記載の方法。
[12]移植片を体腔内に経腹腔的に挿入して目的部位に貼付するための[8]~[11]のいずれか一項に記載の方法。
本発明によれば、移植片を容易に支持体より剥離させて、目的部位に移送することができる。また、損傷や皺を発生させることなく、移植片の形状を維持した状態で目的部位に固定することができる。さらに、非潤滑領域において移植片を保持することで、機器を上向き、下向きまたは横向きにした状態であっても、移植片を目的部位に確実に移送することができる。
図1は、本発明の機器の一態様の概念図である。 図2は、本発明の機器を使用して、移植片を目的部位に移送する一態様の概念図である。
本発明において、「移植片」とは、生体内へ移植するための構造物を意味し、特に生細胞を構成成分として含む移植用構造物を意味する。好ましくは、移植片は、生細胞および生細胞由来の物質以外の構造物(例えばスキャフォールド等)を含まない移植用構造物である。本発明の移植片としては、これに限定するものではないが、例えばシート状細胞培養物、スフェロイド、細胞凝集塊等が挙げられ、好ましくはシート状細胞培養物またはスフェロイド、より好ましくはシート状細胞培養物である。
本発明において「シート状細胞培養物」とは、細胞が互いに連結してシート状になったものをいう。細胞同士は、直接(接着分子などの細胞要素を介するものを含む)および/または介在物質を介して、互いに連結していてもよい。介在物質としては、細胞同士を少なくとも物理的(機械的)に連結し得る物質であれば特に限定されないが、例えば、細胞外マトリックスなどが挙げられる。介在物質は、好ましくは細胞由来のもの、特に、細胞培養物を構成する細胞に由来するものである。細胞は少なくとも物理的(機械的)に連結されるが、さらに機能的、例えば、化学的、電気的に連結されてもよい。シート状細胞培養物は、1の細胞層から構成されるもの(単層)であっても、2以上の細胞層から構成されるもの(積層(多層)体、例えば、2層、3層、4層、5層、6層など)であってもよい。また、シート状細胞培養物は、細胞が明確な層構造を示すことなく、細胞1個分の厚みを超える厚みを有する3次元構造を有してもよい。例えば、シート状細胞培養物の垂直断面において、細胞が水平方向に均一に整列することなく、不均一に(例えば、モザイク状に)配置された状態で存在していてもよい。
シート状細胞培養物は、好ましくはスキャフォールド(支持体)を含まない。スキャフォールドは、その表面上および/またはその内部に細胞を付着させ、シート状細胞培養物の物理的一体性を維持するために当該技術分野において用いられることがあり、例えば、ポリビニリデンジフルオリド(PVDF)製の膜等が知られているが、本発明のシート状細胞培養物は、かかるスキャフォールドがなくともその物理的一体性を維持することができる。また、本発明のシート状細胞培養物は、好ましくは、シート状細胞培養物を構成する細胞由来の物質のみからなり、それら以外の物質を含まない。
シート状細胞培養物を構成する細胞は、シート状細胞培養物を形成し得るものであれば特に限定されず、例えば、接着細胞(付着性細胞)を含む。接着細胞は、例えば、接着性の体細胞(例えば、心筋細胞、線維芽細胞、上皮細胞、内皮細胞、肝細胞、膵細胞、腎細胞、副腎細胞、歯根膜細胞、歯肉細胞、骨膜細胞、皮膚細胞、滑膜細胞、軟骨細胞など)および幹細胞(例えば、筋芽細胞、心臓幹細胞などの組織幹細胞、胚性幹細胞、iPS(induced pluripotent stem)細胞などの多能性幹細胞、間葉系幹細胞等)などを含む。体細胞は、幹細胞、特にiPS細胞から分化させたもの(iPS細胞由来接着細胞)であってもよい。シート状細胞培養物を構成する細胞の非限定例としては、例えば、筋芽細胞(例えば、骨格筋芽細胞など)、間葉系幹細胞(例えば、骨髄、脂肪組織、末梢血、皮膚、毛根、筋組織、子宮内膜、胎盤、臍帯血由来のものなど)、心筋細胞、線維芽細胞、心臓幹細胞、胚性幹細胞、iPS細胞、滑膜細胞、軟骨細胞、上皮細胞(例えば、口腔粘膜上皮細胞、網膜色素上皮細胞、鼻粘膜上皮細胞など)、内皮細胞(例えば、血管内皮細胞など)、肝細胞(例えば、肝実質細胞など)、膵細胞(例えば、膵島細胞など)、腎細胞、副腎細胞、歯根膜細胞、歯肉細胞、骨膜細胞、皮膚細胞等が挙げられる。iPS細胞由来接着細胞の非限定例としては、iPS細胞由来の心筋細胞、線維芽細胞、上皮細胞、内皮細胞、肝細胞、膵細胞、腎細胞、副腎細胞、歯根膜細胞、歯肉細胞、骨膜細胞、皮膚細胞、滑膜細胞、軟骨細胞などが挙げられる。
本発明において、「支持体」とは、移植片をその形状を維持した状態で支持することができる面を有する2次元または3次元形状を有する構造体をいう。2次元形状の構造体とは、すなわち、移植片をその形状を維持した状態で支持することができる平面を有する板状体を含む。3次元形状の構造体とは、すなわち、移植片をその形状を維持した状態で支持することができる面(例えば、曲面)を有する立体を含む。
一態様において、支持体は可撓性と適度な柔軟性を有し、移植片を支持した状態で湾曲させて、筒状体の内側などに沿って格納することができ、筒状体から露出させるとその復元性で平面状に展開させることができる。支持体の材料としては、特に限定されず、各種公知の材料を単独でまたは複数組み合わせて用いることができる。このような材料としては、例えば、金属、軟質塩化ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーンゴム、天然ゴム、合成ゴム、スチレンーエチレンーブチレンースチレン共重合体(SEBS)、スチレンーエチレンープロピレンースチレン共重合体(SEPS)、エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、ナイロンなどのポリアミド樹脂及びポリアミドエラストマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステル樹脂及びポリエステルエラストマー、ポリエチレンなどのオレフィン系樹脂、フッ素ゴム、フッ素樹脂等が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明において、「複数の孔」とは、支持体に設けられた2以上の貫通孔をいい、支持体の移植片を支持している面と反対の面から流体を送り込み、孔を通して流体を吐出することで、移植片を支持面から剥離させて貼付することができる。孔は、流体を吐出できればよく、支持体に少なくとも1つ設けられていればよい。
複数の孔は、移植片の剥離位置を調節できるように、支持体の移植片を支持する面に離散的に配置されることが好ましい。例えば、複数の孔の少なくとも1つを支持体の縁部付近に設けることで、移植片の剥離をその縁部付近から行えるように構成することもできる。複数の孔の配置は、例えば、2×2~40×40、5×5~20×20など、行×列のマトリックス配置とすることができ、孔同士の間隔は、例えば、0.05mm~10mm、0.5mm~2mmとすることができ、孔の径は、例えば、0.05mm~10mm、0.3~0.6mmとすることができるが、これらに限定されず、当業者であれば移植片のサイズ、移植片と支持体との接着度合いなどに合わせて自由に選択することができる。支持体の構造を網目構造とすることで、複数の孔のマトリックス配置を達成することもできる。
本発明において、「流体」とは、移植片を傷つけることなく押し出して剥離することができる、気体と液体の総称をいう。液体は、少なくとも1種の成分から構成され、その成分としてはとくに限定されないが、例えば、水、水溶液、非水溶液、懸濁液、乳液などの液体から構成される。液体を構成する成分は、移植片に与える影響が少ないものであればとくに限定されない。移植片が生体由来材料からなる膜である場合、液体を構成する成分は、生体適合性のもの、すなわち、生体組織や細胞に対して炎症反応、免疫反応、中毒反応などの望まない作用を起こさないか、少なくともかかる作用が小さいものが好ましい。
本発明において、「目的部位」とは、移植片を適用(貼付)する部分をいう。目的部位としては、例えば、管腔臓器における、損傷(創傷)が存在する部位や、損傷が存在する部位に対応する管腔壁の反対側などが挙げられる。「管腔臓器」は、体腔に収納されている内腔を有する臓器、すなわち管状または袋状の構造を有する臓器を意味し、例えば消化管系、循環器系、尿路系、呼吸器系、女性生殖器系の臓器などが挙げられる。典型的には消化管系の臓器である。また、「管腔壁」とは、管腔臓器の管または袋を構成する臓器壁を意味する。管腔壁には内腔に面した内側部と臓器の外表面を形成する外側部とがあり、「管腔壁の片側」という場合、管腔壁の内側または外側のいずれかを意味し、内側に対する外側または外側に対する内側を「反対側」という。また、片側のある領域に対して、管腔壁のちょうど反対側に位置する領域を「対応する反対側」という。
ある態様においては、管腔壁の少なくとも片側に損傷を有する管腔組織において、損傷が存在する部位に対応する反対側にシート状細胞培養物を移植することにより、組織の治癒を促進することができる。特にESDなどの施術によって形成された損傷であっても効果があるため、これらの施術後の合併症を予防し、予後を向上させることが可能となる。
本発明において、「潤滑領域」とは、その領域上に載置された移植片の部分が滑動する、潤滑性を有する部分をいう。すなわち、潤滑領域上に載置された移植片の部分は、目的部位に接触させて支持体を動かすだけで、支持体から剥離する程度の潤滑性を有する。例えば、潤滑領域は、湿潤時に潤滑性を有するMコートなどの親水性ポリマーを支持体に塗布する、自己膨潤性シリコーンSelf-LubricatingLSR for Healt(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社, LSR4655SL)を支持体に塗布するなどして、実現することができる。
本発明において、「非潤滑領域」とは、その領域上に載置された移植片の部分が滑動しない、または滑動し難い領域をいう。すなわち、非潤滑領域上に載置された移植片の部分は、潤滑領域上に載置された移植片の部分より滑動し難く、移植片をより適切に保持することができる。例えば、非潤滑領域は、摩擦係数の高い材料で構成する、凹凸を設けて摩擦係数を高くするなどして、実現することができる。これにより、支持体(機器)を上向き、下向きまたは横向きにした状態であっても、移植片が支持体上で滑動して剥離することがないようにできる。
上記の「潤滑領域」および「非潤滑領域」は、潤滑領域の摩擦係数が非潤滑領域の摩擦係数と比べて高くなるように構成することで実現することができる。かかる摩擦係数として、限定されず、例えば、動摩擦係数の差を少なくとも5~10%、10~20%、20~40%、40~80%、80~200%とすることができる。
以下、本発明の好適な実施態様に係る機器ついて、図面を参照しつつ詳細に説明する。
図1および図2に示すように、本発明の第1実施態様に係る機器1は、移植片Sを支持するための支持体2を含み、支持体2は、潤滑性を有する潤滑領域3と、潤滑領域3に隣接する非潤滑領域4とを有する。一態様において、支持体2は可撓性と適度な柔軟性を有する板状体であり、移植片Sを支持した状態で湾曲させて、筒状体5などに挿通(格納)することができる。支持体2の輪郭の一部が凸形状を有するように(例えば、円形に)成型し、かかる凸形状部分の頂部を筒状体5の開口部に当接させて押し付けることで湾曲させて、支持体2を筒状体5などに押し込みやすいように構成することもできる。
一態様において、支持体2は、筒状体5から押し出す(または引き出す)と、その復元性で平面状に展開できるように構成することもできる。例えば、筒状体5として、内視鏡外科手術などで使用する体腔内に経腹腔的に挿入されたポートを使用することで、支持体2をポートから押し出して目的部位Aに近接させる際に、自動的に平面状に展開されるように構成することもできる。移植片Sを支持した支持体2は、移植片Sが内側になるように丸め、その周縁部を鉗子6などで把持した状態で、体外から筒状体5の開口部に挿通させることで、移植片Sを損傷させることなく、適切に目的部位Aに移送することもできる。
図1Aに示すように、支持体2における潤滑領域3の位置は、非潤滑領域4の位置より外側に配置されている。すなわち、図1Bに示すように、移植片Sを潤滑領域3と非潤滑領域4にまたがって載置した際に、移植片Sの周縁部の少なくとも一部が、潤滑領域3上に載置されるように構成されている。一態様において、潤滑領域3は、非潤滑領域4を取り囲むように配置することができ、これにより、移植片Sを支持体2上のどの位置に配置しても、移植片Sの周縁部の少なくとも一部が潤滑領域3上に載置されるように構成することもできる。
一方で、支持体2における非潤滑領域4の位置は、支持体2の中央部分に配置されており、かかる非潤滑領域4に移植片Sの中央部分を載置することで、支持体2(機器1)を例えば上向き、下向きまたは横向きにして、目的部位Aに移送する際に、移植片Sが支持体2上で滑動することなく確実に保持された状態で移送することができる。したがって、非潤滑領域4の面積は、潤滑領域3の面積より大きくなるように構成することが好ましい。これにより、面積のより広い非潤滑領域4において移植片Sを確実に保持しながら、潤滑領域3上に載置された移植片Sの少なくとも周縁部を剥離させることで、移植片Sの保持と剥離の両方を同時に達成することができる。
図2に示すように、本発明の機器1を使用する際は、移植片Sを支持した支持体2を目的部位Aに近接させて位置決めを行い、鉗子6などで支持体2を把持した状態で、目的部位Aに接触(接着)させる。この際に、支持体2を動かし、移植片Sを目的部位Aに固定しつつ潤滑領域3上で滑動させることにより、目的部位Aに接触した移植片Sの周縁部を他の部分より先に剥離させることができる。すなわち、潤滑領域3上に載置された移植片Sは、非潤滑領域4上に載置された移植片Sよりも支持体2から剥離しやすいので、支持体2を少し動かすだけで、移植片Sの周縁部を他の部分より先に剥離させることができる。
そして、移植片Sの剥離した周縁部が目的部位Aに固定された状態で、支持体2をさらに動かすことによって、移植片Sの剥離していない部分が引っ張られて潤滑領域3に移動するため、支持体2から簡単に剥離させることができる。移植片Sを引っ張りながら剥離することで、移植片Sを展張させた状態で目的部位Aに固定できるため、移植片Sに皺などが生じ難い。支持体2を動かす際は、目的部位Aの形状、目的部位Aに対する支持体2の向きなどを考慮しながら、支持体2を目的部位Aに対して垂直方向に動かす、水平方向に動かす(横スライドさせる)、または斜め方向に動かすなどすることで、移植片Sを損傷させる無理な力を発生させることなく適切に支持体2から剥離させることができる。
機器1は、潤滑性を有する潤滑領域3と、潤滑領域3に隣接する非潤滑領域4とを有する、移植片Sを支持するための支持体2を少なくとも含んでいればよい。また、移植片Sを支持した支持体2を目的部位Aに近接させる際に、上記のように支持体2を丸めて鉗子6などで把持した状態で、筒状体5を通して目的部位Aに近接させることもできる。したがって、機器1は、鉗子6や筒状体5をさらに含んでいてもよい。目的部位Aに移植片Sを固定した後は、支持体2は、腹腔鏡手術用摘出物バッグ(INZII(登録商標)など)を使用して回収することもできる。
また、支持体2は、複数の孔(図示せず)を有するように構成することもできる。そして、上記のように移植片Sを支持体2から剥離する際に、複数の孔の一部の孔から流体を放出することにより、移植片Sの支持体2からの剥離、および移植片Sの目的部位Aへの固定をより確実に行うこともできる。移植片Sを目的部位Aへ固定した後は、上記のように支持体2を動かすことで、移植片Sを引っ張りながら支持体2から剥離させることができる。したがって、複数の孔は、少なくとも潤滑領域3に配置されていればよい。
本発明の機器1の使用は、例えば以下の工程によって順次行うことができる。
(1)移植片Sを設置した支持体2を目的部位Aに近接させる。
(2)支持体2の移植片Sを保持した側を目的部位Aに接触させる。
(3)潤滑領域3上の移植片Sを剥離して目的部位Aに固定する。
(4)支持体2を動かして、移植片Sを引っ張りながら目的部位Aに固定する。
以上、本願発明の第1実施態様に係る機器1によれば、移植片を容易に支持体より剥離させて、目的部位に移送することができる。また、損傷や皺を発生させることなく、移植片の形状を維持した状態で目的部位に固定することができる。さらに、非潤滑領域において移植片を保持することで、機器を上向き、下向きまたは横向きにした状態であっても、移植片を目的部位に確実に移送することができる。
本発明を図示の実施態様について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。本発明においては、各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成を付加することもできる。
1 機器
2 支持体
3 潤滑領域
4 非潤滑領域
5 筒状体
6 鉗子
S 移植片
A 目的部位

Claims (12)

  1. 移植片を目的部位に移送するための医療機器であって、該移植片を載置するための支持体を備え、該支持体は、潤滑性を有する潤滑領域と、潤滑領域に隣接する非潤滑領域とを有し、移植片を潤滑領域と非潤滑領域にまたがって載置し、移植片を目的部位に接触させることで潤滑領域から移植片を剥離させて目的部位へ移植片を移送することができる、前記医療機器。
  2. 支持体における潤滑領域の位置が、非潤滑領域の位置より外側に配置されている、請求項1に記載の医療機器。
  3. 潤滑領域が、湿潤時に潤滑性を有する親水性ポリマーで構成される、請求項1または2に記載の医療機器。
  4. 非潤滑領域が、摩擦係数の高い素材で構成される、請求項1~3のいずれか一項に記載の医療機器。
  5. 支持体が、複数の孔を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の医療機器。
  6. 支持体の形状が、潤滑領域および非潤滑領域を少なくとも含む、立体形状を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の医療機器。
  7. 移植片が、管腔臓器の治癒を促進させるためのシート状細胞培養物である、請求項1~6のいずれか一項に記載の医療機器。
  8. 移植片を目的部位に移送する方法であって、
    移植片を載置するための支持体を備え、該支持体が、潤滑性を有する潤滑領域と、潤滑領域に隣接する非潤滑領域とを有する医療機器を提供するステップ、および、
    移植片を潤滑領域と非潤滑領域にまたがって載置し、移植片を目的部位に接触させることで潤滑領域から移植片を剥離させて目的部位へ移植片を移送するステップ
    を含む、前記方法。
  9. 移植片を目的部位に接触させる際に、支持体を動かし、移植片を目的部位に固定しつつ潤滑領域上で滑らせるステップをさらに含む、請求項8に記載の方法。
  10. 潤滑領域および非潤滑領域を有する側を上向き、下向きまたは横向きにして、移植片を目的部位に移送するステップをさらに含む、請求項8または9に記載の方法。
  11. 目的部位への支持体の送達が、体腔内に経腹腔的に挿入された筒状体に移植片を載置した支持体を挿通することにより行われる、請求項8~10のいずれか一項に記載の方法。
  12. 移植片を体腔内に経腹腔的に挿入して目的部位に貼付するための請求項8~11のいずれか一項に記載の方法。

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