JP2022054090A5 - - Google Patents

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JP2022054090A5
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本発明は、脚開口の端部の肌触り(柔軟性、クッション性)を向上させたパンツタイプ使い捨て着用物品に関するものである。
脚開口を有する使い捨て着用物品の代表例は、パンツタイプ使い捨ておむつである。パンツタイプ使い捨ておむつは、前身頃及び後身頃の少なくとも胴周り部を構成する外装体と、前身頃から後身頃にわたるように外装体に対して取り付けられた、吸収体を含む内装体とを備え、前身頃の外装体の両側部と後身頃の外装体の両側部とが接合されてサイドシール部が形成されることにより、ウエスト開口及び左右一対の脚開口が形成されているものが一般的である(例えば特許文献1参照)。
従来のパンツタイプ使い捨ておむつは、脚開口の端部の全体が外装体のみにより形成されるものもあったが、最近では、脚開口の端部のうち上部(ウエストに近い部分)が外装体により形成され、それ以外の部分が内装体の側部により形成されるものが多くなっている(例えば特許文献1参照)。
しかし、従来のパンツタイプ使い捨て着用物品では、外装体における脚開口の端部に位置する部分の肌触り、特にシート層の柔軟性やクッション性(圧縮復元性)に改善の余地があった。
これを解決するものとして、特許文献2では、外装体における脚開口の端部に位置する部分を中空にすることが提案されているが、特許文献2記載のものでは、脚開口の端部がヨレしやすく、それによって脚開口の端部の装着感や見栄えが悪化するおそれがあった。
特開2006-122396号公報 特開2020-018483号公報
そこで、本発明の主たる課題は、外装体における脚開口の端部に位置する部分において、ヨレを防止しつつ、肌触りを改善すること等にある。
上記課題を解決したパンツタイプ使い捨て着用物品は以下のとおりである。
<第1の態様>
前身頃の少なくとも胴周り部を構成する前外装体及び後身頃の少なくとも胴周り部を構成する後外装体を別々に備え、これら前外装体及び後外装体が前後方向に離間しており、
内装体が、前記前外装体から前記後外装体にかけて前後方向に延在し、かつ前記前外装体及び後外装体にそれぞれ接合され、
前記前外装体の両側部と前記後外装体の両側部とがそれぞれ接合されたサイドシール部と、ウエスト開口及び左右一対の脚開口とを備え、
前記前外装体及び前記後外装体における前記内装体の両側に延びるウイング領域の下縁が、前記脚開口の上部の縁となっており、
前記ウイング領域の下端部は、一本又は互いに間隔を空けて複数本設けられた幅方向に沿う細長状の下端部弾性部材と、前記下端部弾性部材の外側に面する第1シート層と、前記下端部弾性部材の内側に面する第2シート層とを有し、
前記下端部弾性部材が前記第1シート層及び第2シート層に固定されている、
パンツタイプ使い捨て着用物品において、
前記ウイング領域の下端部は、前記第2シート層より内側に一層以上のシート層を有し、
前記ウイング領域の下端部は、最も下方に位置する前記下端部弾性部材よりも脚開口側の第1領域と、前記第1領域よりもウエスト開口側の第2領域とからなり、
前記第1領域には、前記最も内側のシート層及びその外側に重なる内部シート層が接合されるとともに、第1シート層及び第2シート層が接合されたヨレ防止部が、幅方向に続いており、
前記第2領域には、最も内側のシート層とその外側に重なる内部シート層とが接合されていない非接合部が幅方向に続いており、
前記最も内側のシート層とその外側に重なる内部シート層との隙間は、前記非接合部の前後方向両側で閉じられており、
前記下端部弾性部材の収縮により前記ウイング領域の下端部が前後方向に収縮し、前記ウイング領域の下端部における前記非接合部を含む部分に下端部ギャザーが形成されている、
ことを特徴とするパンツタイプ使い捨て着用物品。
(作用効果)
本パンツタイプ使い捨て着用物品では、ウイング領域の下端部が下端部弾性部材の収縮に伴い幅方向に収縮し、ウイング領域の下端部における非接合部を含む部分に下端部ギャザーが形成される。つまり、ウイング領域の下端部における非接合部を含む部分に下端部ギャザーの襞が幅方向に並んで形成される。ここで、非接合部は、最も内側のシート層とその外側に重なる内部シート層とが接合されていない部分であり、それらシート層の隙間は、非接合部の前後方向両側で閉じられている。つまり、非接合部にはシート層により囲まれた中空部分が幅方向に続くことになる。その結果、非接合部に形成される襞は、少なくとも最も内側のシート層が大きく膨らむことにより形成され、大きく柔らか(つまりクッション性に富む)なものとなる。また、このような非接合部による襞が第2領域に形成される一方で、これよりも脚開口側に位置する第1領域は、下端部弾性部材を有しないことと、幅方向に続くヨレ防止部(シート層の接合により剛性が高くなっている)とによって、ヨレ等の変形が発生しにくいものとなっている。したがって、本パンツタイプ使い捨て着用物品では、外装体における脚開口の端部において、ヨレを防止しつつ、肌触りが良好となる。
<第2の態様>
前記ヨレ防止部は、5~40mmの前後方向の寸法を有する、
第1の態様のパンツタイプ使い捨て着用物品。
(作用効果)
ヨレ防止部の幅は適宜定めればよいが、狭すぎるとヨレ防止効果が乏しくなり、広すぎると外装体における脚開口の端部の肌触り改善効果が乏しくなるため、本態様の範囲内であることが好ましい。
<第3の態様>
前記非接合部は、前記第1領域内から、前記第2領域内における少なくとも最も下方に位置する下端部弾性部材まで前後方向に続いている、
第1又は2の態様のパンツタイプ使い捨て着用物品。
(作用効果)
本態様のように、非接合部が第1領域内まで続いていると、非接合部における襞の形成がヨレ防止部により制限されにくくなるとともに、ヨレ防止部が下端部弾性部材により肌に押し付けられることによる装着感の悪化を抑制できるため好ましい。また、非接合部と下端部弾性部材との位置関係は適宜定めることができるが、非接合部と厚み方向に重なる位置に、少なくとも一本の下端部弾性部材を有すると、下端部弾性部材の収縮力が直接的に非接合部に加わり、非接合部における襞の形状維持性が高いものとなるとともに、この最も内側のシート層に形成されたクッション性に富む襞を介して当該下端部弾性部材が肌に接することになるため好ましい。
<第4の態様>
前記ウイング領域の下端部は、前記第2シート層より内側に複数層のシート層を有し、
前記非接合部における前後方向の一部又は全部で、前記第1シート層及び前記第2シート層以外のすべてのシート層が、厚み方向に重なる他のシート層に接合されていない、
第1~3のいずれか1つの態様のパンツタイプ使い捨て着用物品。
(作用効果)
本態様の構造では、下端部弾性部材の収縮力により、非接合部における第2シート層より内側における各シート層に独立的に襞が形成され、これらの襞が重なるため、ウイング領域の下端部のクッション性がより高いものとなる。
<第5の態様>
前記第1シート層のシート材及び前記第2シート層のシート材は、前記ウイング領域の下縁で内側に折り返された折り返し部分を有しており、
前記最も内側のシート層は、前記第1シート層のシート材の折り返し部分であり、
前記内部シート層は、前記第2シート層のシート材の折り返し部分である、
第4の態様のパンツタイプ使い捨て着用物品。
(作用効果)
この構造では、下端部弾性部材を挟む第1シート層及び第2シート層をなすシート材を折り返すことにより、第2シート層より内側のシート層を二層形成することができるため、より少ないシート材で、より優れたクッション性を有する襞がウイング領域の下端部に形成されるようになる。
<第6の態様>
前記第2シート層のシート材の折り返し部分は、脚開口側に再び折り返された再折り返し部分を有しており、
前記第1シート層のシート材の折り返し部分は、脚開口側に再び折り返された再折り返し部分を有せず、
前記再折り返し部分の折り位置は、前記非接合部に位置している、
第5の態様のパンツタイプ使い捨て着用物品。
(作用効果)
このような再折り返し部分を有することにより、ウイング領域の下端部のクッション性が特に優れたものとなる。
本発明によれば、外装体における脚開口の端部において、ヨレを防止しつつ、肌触りが改善する、等の利点がもたらされる。
展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの内面を示す、平面図である。 展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、平面図である。 図1の2-2断面図である。 図1の3-3断面図である。 (a)図1の4-4断面図、及び(b)図1の5-5断面図である。 パンツタイプ使い捨ておむつの斜視図である。 展開状態の内装体の外面を外装体の輪郭とともに示す、平面図である。 展開状態の内装体の外面を外装体の輪郭とともに示す、平面図である。 図1の2-2断面に相当する他の例の断面図である。 展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつの外面を示す、平面図である。 図3の要部拡大図である。 前側外装体及び後側外装体の断面図である。 前側外装体及び後側外装体の断面図である。 前側外装体及び後側外装体の断面図である。
以下、パンツタイプ使い捨て着用物品の一例として、パンツタイプ使い捨ておむつについて、添付図面を参照しつつ詳説する。断面図における点模様部分はその表側及び裏側に位置する各構成部材を接合する接合手段としての接着剤を示しており、ホットメルト接着剤のベタ、ビード、カーテン、サミット若しくはスパイラル塗布、又はパターンコート(凸版方式でのホットメルト接着剤の転写)などにより、あるいは弾性部材の固定部分はこれに代えて又はこれとともにコームガンやシュアラップ塗布などの弾性部材の外周面への塗布により形成されるものである。ホットメルト接着剤としては、例えばEVA系、粘着ゴム系(エラストマー系)、オレフィン系、ポリエステル・ポリアミド系などの種類のものが存在するが、特に限定無く使用できる。各構成部材を接合する接合手段としてはヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段を用いることもできる。
図1~図6は、パンツタイプ使い捨ておむつの一例を示している。本パンツタイプ使い捨ておむつは、前身頃Fの少なくとも胴周り部を構成する長方形の前外装体12F及び後身頃Bの少なくとも胴周り部を構成する長方形の後外装体12Bと、前外装体12Fから股間部を経て後外装体12Bまで延在し、前外装体12F及び後外装体12Bに固定された内装体200とを備えている。前外装体12Fの両側部と後外装体12Bの両側部とが接合されてサイドシール12Aが形成されており、これにより、外装体12F,12Bの前後端部により形成される開口が装着者の胴を通すウエスト開口WOとなり、内装体200の幅方向両側において外装体12F,12Bの下縁及び内装体200の側縁によりそれぞれ囲まれる部分が脚を通す脚開口LOとなっている。内装体200は、尿等の排泄物等を吸収保持する部分であり、外装体12F,12Bは着用者の身体に対して内装体200を支えるための部分である。また、符号Yは展開状態におけるおむつの全長(前身頃Fのウエスト開口WOの縁から後身頃Bのウエスト開口WOの縁までの前後方向長さ)を示しており、符号Xは展開状態におけるおむつの全幅を示している。
本パンツタイプ使い捨ておむつは、サイドシール12Aを有する前後方向範囲(ウエスト開口WOから脚開口LOの上端に至る前後方向範囲)として定まる胴周り領域Tと、脚開口LOを形成する部分の前後方向範囲(前身頃Fのサイドシール12Aを有する前後方向領域と後身頃Bのサイドシール12Aを有する前後方向領域との間)として定まる中間領域Lとを有する。胴周り領域Tは、概念的にウエスト開口の縁部を形成する「ウエスト部」Wと、これよりも下側の部分である「ウエスト下方部」Uとに分けることができる。通常、胴周り領域T内に幅方向WDの伸縮応力が変化する境界(例えば弾性部材の太さや伸長率が変化する)を有する場合は、最もウエスト開口WO側の境界よりもウエスト開口WO側がウエスト部Wとなり、このような境界が無い場合は吸収体56又は内装体200よりもウエスト開口WO側に延び出たウエスト延出部分12Eがウエスト部Wとなる。これらの前後方向長さは、製品のサイズによって異なり、適宜定めることができるが、一例を挙げると、ウエスト部Wは15~40mm、ウエスト下方部Uは65~120mmとすることができる。一方、中間領域Lの両側縁は被着者の脚周りに沿うようにコ字状又は曲線状に括れており、ここが装着者の脚を入れる部位となる。この結果、展開状態のパンツタイプ使い捨ておむつは、全体として略砂時計形状をなしている。
(内装体と、前外装体及び後外装体との接着部)
図2、図5及び図11に示すように、内装体200と外装体12F,12Bとはホットメルト接着剤H1を介して接合される。この接着部21(ホットメルト接着剤H1が配置された部分)は、両者の重なり領域20(図7及び図8の斜線模様の領域)の両側部にわたる幅で、重なり領域20の股間側の縁部から重なり領域20のウエスト開口WO側の縁部まで延びていることが好ましい。
(内装体)
内装体200は任意の形状を採ることができるが、図示例では長方形である。内装体200は、図3~図5に示されるように、身体側となるトップシート30と、液不透過性シート11と、これらの間に介在された吸収要素50とを備えているものであり、吸収機能を担う本体部である。符号40は、トップシート30を透過した液を速やかに吸収要素50へ移行させるために、トップシート30と吸収要素50との間に設けられた中間シート(セカンドシート)を示しており、符号60は、内装体200の両脇に排泄物が漏れるのを防止するために、内装体200の両側部から装着者の脚周りに接するように延び出た起き上がりギャザー60を示している。
(トップシート)
トップシート30は、液を透過する性質を有するものであり、例えば、有孔又は無孔の不織布や、有孔プラスチックシートなどを例示することができる。また、トップシート30は、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートを貼り合せて得た積層シートからなるものであってもよい。同様に、トップシート30は、平面方向に関して、1枚のシートからなるものであっても、2枚以上のシートからなるものであってもよい。
トップシート30の両側部は、吸収要素50の側縁で裏側に折り返しても良く、また折り返さずに吸収要素50の側縁より側方にはみ出させても良い。
トップシート30は、裏側の部材に対する位置ずれを防止する等の目的で、ヒートシール、超音波シールのような素材溶着による接合手段や、ホットメルト接着剤により裏側に隣接する部材に固定することが望ましい。図示例では、トップシート30はその裏面に塗布されたホットメルト接着剤により中間シート40の表面及び包装シート58のうち吸収体56の表側に位置する部分の表面に固定されている。
(中間シート)
トップシート30を透過した液を速やかに吸収体へ移行させるために、トップシート30より液の透過速度が速い、中間シート(「セカンドシート」とも呼ばれている)40を設けることができる。この中間シート40は、液を速やかに吸収体へ移行させて吸収体による吸収性能を高め、吸収した液の吸収体からの「逆戻り」現象を防止するためのものである。中間シート40は省略することもできる。
中間シート40としては、トップシート30と同様の素材や、スパンレース不織布、スパンボンド不織布、SMS不織布、パルプ不織布、パルプとレーヨンとの混合シート、ポイントボンド不織布又はクレープ紙を例示できる。特にエアスルー不織布が嵩高であるため好ましい。エアスルー不織布には芯鞘構造の複合繊維を用いるのが好ましく、この場合芯に用いる樹脂はポリプロピレン(PP)でも良いが剛性の高いポリエステル(PET)が好ましい。目付けは17~80g/mが好ましく、25~60g/mがより好ましい。不織布の原料繊維の太さは2.0~10dtexであるのが好ましい。不織布を嵩高にするために、原料繊維の全部又は一部の混合繊維として、芯が中央にない偏芯の繊維や中空の繊維、偏芯且つ中空の繊維を用いるのも好ましい。
図示例の中間シート40は、吸収体56の幅より短く中央に配置されているが、全幅にわたって設けてもよい。中間シート40の前後方向長さは、おむつの全長と同一でもよいし、吸収要素50の長さと同一でもよいし、液を受け入れる領域を中心にした短い長さ範囲内であってもよい。
中間シート40は、裏側の部材に対する位置ずれを防止する等の目的で、ヒートシール、超音波シールのような素材溶着による接合手段や、ホットメルト接着剤により裏側に隣接する部材に固定することが望ましい。図示例では、中間シート40はその裏面に塗布されたホットメルト接着剤により包装シート58のうち吸収体56の表側に位置する部分の表面に固定されている。
(液不透過性シート)
液不透過性シート11の素材は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂等からなるプラスチックフィルムや、不織布の表面にプラスチックフィルムを設けたラミネート不織布、プラスチックフィルムに不織布等を重ねて接合した積層シートなどを例示することができる。液不透過性シート11には、ムレ防止の観点から好まれて使用されている液不透過性かつ透湿性を有する素材を用いることが好ましい。透湿性を有するプラスチックフィルムとしては、ポリエチレンやポリプロピレン等のオレフィン系樹脂中に無機充填剤を混練して、シートを成形した後、一軸又は二軸方向に延伸して得られた微多孔性プラスチックフィルムが広く用いられている。この他にも、マイクロデニール繊維を用いた不織布、熱や圧力をかけることで繊維の空隙を小さくすることによる防漏性強化、高吸水性樹脂又は疎水性樹脂や撥水剤の塗工といった方法により、プラスチックフィルムを用いずに液不透過性としたシートも、液不透過性シート11として用いることができるが、後述するカバー不織布13とのホットメルト接着剤を介した接着時に十分な接着強度を得るため、樹脂フィルムを用いるのが望ましい。
液不透過性シート11は、図示のように吸収要素50の裏側に収まる幅とする他、防漏性を高めるために、吸収要素50の両側を回り込ませて吸収要素50のトップシート30側面の両側部まで延在させることもできる。この延在部の幅は、左右それぞれ5~20mm程度が適当である。
(吸収要素)
吸収要素50は、吸収体56と、この吸収体56の全体を包む包装シート58とを有する。包装シート58は省略することもできる。
(吸収体)
吸収体56は、繊維の集合体により形成することができる。この繊維集合体としては、綿状パルプや合成繊維等の短繊維を積繊したものの他、セルロースアセテート等の合成繊維のトウ(繊維束)を必要に応じて開繊して得られるフィラメント集合体も使用できる。繊維目付けとしては、綿状パルプや短繊維を積繊する場合は、例えば100~300g/m程度とすることができ、フィラメント集合体の場合は、例えば30~120g/m程度とすることができる。合成繊維の場合の繊度は、例えば、1~16dtex、好ましくは1~10dtex、さらに好ましくは1~5dtexである。フィラメント集合体の場合、フィラメントは、非捲縮繊維であってもよいが、捲縮繊維であるのが好ましい。捲縮繊維の捲縮度は、例えば、2.54cm当たり5~75個、好ましくは10~50個、さらに好ましくは15~50個程度とすることができる。また、均一に捲縮した捲縮繊維を用いることができる。吸収体56中には高吸収性ポリマー粒子を分散保持させるのが好ましい。
吸収体56は長方形形状でも良いが、図7等にも示すように、前後方向中間に、その前後両側よりも幅が狭い括れ部56Nとを有する砂時計形状をなしていると、吸収体56自体と起き上がりギャザー60の、脚周りへのフィット性が向上するため好ましい。
また、吸収体56の寸法は排尿口位置の前後左右にわたる限り適宜定めることができるが、前後方向LD及び幅方向WDにおいて、内装体200の周縁部又はその近傍まで延在しているのが好ましい。なお、符号56Xは吸収体56の全幅を示している。
(高吸収性ポリマー粒子)
吸収体56には、その一部又は全部に高吸収性ポリマー粒子を含有させることができる。高吸収性ポリマー粒子とは、「粒子」以外に「粉体」も含む。高吸収性ポリマー粒子としては、この種の使い捨ておむつに使用されるものをそのまま使用でき、例えば500μmの標準ふるい(JIS Z8801-1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)でふるい上に残る粒子の割合が30重量%以下のものが望ましく、また、180μmの標準ふるい(JIS Z8801-1:2006)を用いたふるい分け(5分間の振とう)でふるい上に残る粒子の割合が60重量%以上のものが望ましい。
高吸収性ポリマー粒子の材料としては、特に限定無く用いることができるが、吸水量が40g/g以上のものが好適である。高吸収性ポリマー粒子としては、でんぷん系、セルロース系や合成ポリマー系などのものがあり、でんぷん-アクリル酸(塩)グラフト共重合体、でんぷん-アクリロニトリル共重合体のケン化物、ナトリウムカルボキシメチルセルロースの架橋物やアクリル酸(塩)重合体などのものを用いることができる。高吸収性ポリマー粒子の形状としては、通常用いられる粉粒体状のものが好適であるが、他の形状のものも用いることができる。
高吸収性ポリマー粒子としては、吸水速度が70秒以下、特に40秒以下のものが好適に用いられる。吸水速度が遅すぎると、吸収体56内に供給された液が吸収体56外に戻り出てしまう所謂逆戻りを発生し易くなる。
また、高吸収性ポリマー粒子としては、ゲル強度が1000Pa以上のものが好適に用いられる。これにより、嵩高な吸収体56とした場合であっても、液吸収後のべとつき感を効果的に抑制できる。
高吸収性ポリマー粒子の目付け量は、当該吸収体56の用途で要求される吸収量に応じて適宜定めることができる。したがって一概には言えないが、50~350g/mとすることができる。ポリマーの目付け量が50g/m未満では、吸収量を確保し難くなる。350g/mを超えると、効果が飽和する。
(包装シート)
包装シート58を用いる場合、その素材としては、ティッシュペーパ、特にクレープ紙、不織布、ポリラミ不織布、小孔が開いたシート等を用いることができる。ただし、高吸収性ポリマー粒子が抜け出ないシートであるのが望ましい。クレープ紙に換えて不織布を使用する場合、親水性のSMS不織布(SMS、SSMMS等)が特に好適であり、その材質はポリプロピレン、ポリエチレン/ポリプロピレン複合材などを使用できる。目付けは、5~40g/m、特に10~30g/mのものが望ましい。
包装シート58の包装構造は適宜定めることができるが、製造容易性や前後端縁からの高吸収性ポリマー粒子の漏れ防止等の観点から、吸収体56の表裏面及び両側面を取り囲むように筒状に巻付け、かつその前後縁部を吸収体56の前後からはみ出させ、巻き重なる部分及び前後はみ出し部分の重なり部分をホットメルト接着剤、素材溶着等の接合手段により接合するのが好ましい。
(起き上がりギャザー)
起き上がりギャザー60は、内装体200の側部から起き上がる起き上がり部分68を有しており、この起き上がり部分68が、装着者の鼠径部から脚周りを経て臀部までの範囲に接して横漏れを防止するものである。図示例の起き上がりギャザー60は、付け根側部分60Bが幅方向中央側に向かって斜めに起立し、中間部より先端側部分60Aが幅方向外側に向かって斜めに起立するものであるが、これに限定されるものではなく、全体として幅方向中央側に起立するもの等、適宜の変更が可能である。
より詳細に説明すると、図示例の起き上がりギャザー60は、内装体200の前後方向長さに等しい長さを有する帯状のギャザーシート62を、先端となる部分で幅方向WDに折り返して二つに折り重ねるとともに、折り返し部分及びその近傍のシート間に、細長状のギャザー弾性部材63を長手方向に沿って伸長状態で、幅方向WDに間隔を空けて複数本固定してなるものである。起き上がりギャザー60のうち先端部と反対側に位置する基端部(幅方向WDにおいてシート折り返し部分と反対側の端部)は、内装体200における液不透過性シート11より裏側の側部に固定された付根部分65とされ、この付根部分65以外の部分は付根部分65から延び出る本体部分66(折り返し部分側の部分)とされている。また、本体部分66は、幅方向中央側に延びる付け根側部分60Bと、この付け根側部分60Bの先端で折り返され、幅方向外側に延びる先端側部分60Aとを有している。そして、本体部分66のうち前後方向両端部が倒伏状態でトップシート30の側部表面に対して固定された倒伏部分67とされる一方で、これらの間に位置する前後方向中間部は非固定の起き上がり部分68とされ、この起き上がり部分68の少なくとも先端部に前後方向LDに沿うギャザー弾性部材63が伸長状態で固定されている。
以上のように構成された起き上がりギャザー60では、ギャザー弾性部材63の収縮力により起き上がり部分68が図3に矢印で示すように肌に当接するように起き上がる。特に、付根部分65が内装体200の裏側に位置していると、股間部及びその近傍において起き上がり部分68が幅方向外側に開くように起立するため、起き上がりギャザー60が脚周りに面で当接するようになり、フィット性が向上するようになる。付根部分65は内装体200の表側、例えばトップシート30の両側部の表面に固定することもできる。
図示例の起き上がりギャザー60のように、本体部分66が、幅方向中央側に延びる付け根側部分60Bと、この付け根側部分60Bの先端で折り返され幅方向外側に延びる先端側部分60Aとからなる屈曲構造では、倒伏部分67で、先端側部分60Aと付け根側部分60Bとが倒伏状態で接合されるとともに、付け根側部分60Bが倒伏状態でトップシート30に接合される。倒伏部分67における対向面の接合には、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤、及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段の少なくとも一方を用いることができる。この場合において、付け根側部分60B及びトップシート30の接合と、先端側部分60A及び付け根側部分60Bの接合とを同じ手段により行っても、また異なる手段により行っても良い。例えば、付け根側部分60B及びトップシート30の接合をホットメルト接着剤により行い、先端側部分60A及び付け根側部分60Bの接合を素材溶着により行うのは好ましい。
ギャザーシート62としてはスパンボンド不織布(SS、SSS等)やSMS不織布(SMS、SSMMS等)、メルトブロー不織布等の柔軟で均一性・隠蔽性に優れた不織布に、必要に応じてシリコーンなどにより撥水処理を施したものを好適に用いることができる。この場合の不織布の繊維目付けは10~30g/m程度とするのが好ましい。また、図9に示す例のように、二つに折り重ねたギャザーシート62の間に防水フィルム64を介在させることもできる。
ギャザー弾性部材63としては糸ゴム等を用いることができる。スパンデックス糸ゴムを用いる場合は、太さは470~1240dtexが好ましく、620~940dtexがより好ましい。ギャザー弾性部材63の取付け状態での伸長率は、150~350%が好ましく、200~300%がより好ましい。ギャザー弾性部材63の本数は2~6本が好ましく、3~5本がより好ましい。ギャザー弾性部材63の配置間隔は3~10mmが適当である。このように構成すると、ギャザー弾性部材63を配置した範囲で肌に対して面で当たりやすくなる。先端側だけでなく付け根側にもギャザー弾性部材63を配置しても良い。
起き上がりギャザー60の起き上がり部分68では、ギャザーシート62の内側層及び外側層の貼り合わせや、その間に挟まれるギャザー弾性部材63の固定に、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による固定手段の少なくとも一方を用いることができる。ギャザーシート62の内側層及び外側層の全面を貼り合わせると柔軟性を損ねるため、ギャザー弾性部材63の接着部以外の部分は接着しないか弱く接着するのが好ましい。図示例では、コームガンやシュアラップノズル等の塗布手段によりギャザー弾性部材63の外周面にのみホットメルト接着剤を塗布してギャザーシート62の内側層及び外側層間に挟むことにより、当該ギャザー弾性部材63の外周面に塗布したホットメルト接着剤のみで、ギャザーシート62の内側層及び外側層へのギャザー弾性部材63の固定と、ギャザーシート62の内側層及び外側層間の固定とを行う構造となっている。
同様に、倒伏部分67の固定についても、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤、及びヒートシールや超音波シール等の素材溶着による手段の少なくとも一方を用いることができる。
(サイドフラップ)
図3、図4、図11、図13及び図14等に示すように、内装体200の両側部には、吸収体56の側方に延び出たサイドフラップ70が設けられており、このサイドフラップ70に前後方向に伸縮するサイド伸縮領域SGが形成されていると好ましい。図示例のサイドフラップ70は、前後方向LDに沿ってかつ互いに間隔を空けて設けられた一本又は複数本の細長状のサイド弾性部材73と、サイド弾性部材73の外側に面する第1シート層71と、サイド弾性部材73の内側に面する第2シート層72とを有する。
第1シート層71及び第2シート層72をなすシート材は特に限定されず、前述の起き上がりギャザー60や前述の外装体12F,12Bで利用可能な不織布等、適宜の不織布を選択することができる。図3、図4及び図11に示す例では、後述するように起き上がりギャザー60のギャザーシート62を延長して第1シート層71及び第2シート層72を形成している。この場合、サイドフラップ70の前後端は起き上がりギャザー60の前後端(つまりこの場合内装体200の前後端)に一致する。
サイド弾性部材73も特に限定されず、前述のギャザー弾性部材63と同様の細長状の弾性部材を使用することができる。サイド弾性部材73の取付け状態での伸長率は、150~350%が好ましく、200~270%がより好ましい。サイド弾性部材73の本数は2~16本が好ましく、6~10本がより好ましい。サイド弾性部材73の配置間隔は5~10mmが適当である。
サイド弾性部材73は、第1シート層71及び第2シート層72に固定されている。第1シート層71及び第2シート層72の貼り合わせや、その間に挟まれるサイド弾性部材73の固定に、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤HMや、ヒートシールや超音波シール等の素材溶着による固定手段を用いることができる。第1シート層71及び第2シート層72の接合面積が大きいと柔軟性を損ねるため、サイド弾性部材73の接着部以外の部分は接合しないか、又は弱く接合するのが好ましい。図示例では、コームガンやシュアラップノズル等の塗布手段によりサイド弾性部材73の外周面にのみホットメルト接着剤HMを塗布して第1シート層71及び第2シート層72の間に挟むことにより、当該サイド弾性部材73の外周面に塗布したホットメルト接着剤HMのみで、第1シート層71及び第2シート層72へのサイド弾性部材73の固定と、第1シート層71及び第2シート層72間の固定とを行う構造となっている。
前後方向におけるサイド弾性部材73の取付け範囲、すなわち、サイド伸縮領域SGが形成される前後方向の範囲は適宜定めることができるが、後述する非接合部77の前後方向の範囲と同じか、又はより広い範囲となっていることが好ましい。また、サイド伸縮領域SGの前後方向の範囲は、起き上がりギャザーのギャザー弾性部材による収縮部分と同じか、それよりも前後両側に延びているのも好ましい。
サイドフラップ70は、第1シート層71及び第2シート層72を含めて三層以上のシート層を有する。つまり、最も内側のシート層74及び最も外側のシート層75の他に、それらの間に位置する内部シート層76を少なくとも1層有する。これらの一部又は全部のシート層は、それぞれ別体のシート材で形成されていてもよいし、一枚のシート材が一回又は複数回折り返されて形成されていてもよい。内部シート層76は、前述のギャザーシート62や、液不透過性シート11、又は後述する外装体12F,12Bと同様の不織布の中から適宜選択することができるほか、前述のギャザーシート62や、液不透過性シート11を適宜延長や折り返しする等により形成することができる。
サイドフラップ70は、最も内側のシート層74及び最も外側のシート層75の少なくとも一方とその裏に重なる内部シート層76とが接合されていない非接合部77を有していると好ましい。また、非接合部77は、最も側方に位置するサイド弾性部材73とサイドフラップ70の側縁との間の領域を含む幅方向WDの範囲で前後方向LDに連続的又は間欠的に続く部分である。つまり、非接合部77は、最も内側のシート層74及び最も外側のシート層75いずれか一方とその裏に重なる内部シート層76とが非接合である限り、それ以外の一部又は全部の層間が接合されていてもよいし、厚み方向のすべてのシート層が非接合であってもよい。例えば、図3、図4及び図11に示す例の非接合部77では、最も内側のシート層74とその裏に重なる内部シート層76とが非接合の部分は、側縁から最も側方のサイド弾性部材の固定位置までであり、最も外側のシート層75とその裏に重なる内部シート層76とが非接合の部分は、それよりも幅方向の中央側まで続いている。図9、図10及び図12に示す例の非接合部77では、最も内側のシート層74とその裏に重なる内部シート層76とが非接合の部分、並びに最も外側のシート層75とその裏に重なる内部シート層76とが非接合の部分は、側縁から最も側方のサイド弾性部材の固定位置よりも幅方向の中央側まで続いているが、前者の方がより幅方向の中央側まで続いている。
非接合部77の幅方向WDの寸法は適宜定めることができるが、2~15mmであることが好ましく、特に5~10mmであることが好ましい。また、非接合部77の前後方向LDの寸法は、製品全長Yの30%以上、特に40%以上であることが好ましい。また、図示例のような前外装体12F及び後外装体12Bが離間したパンツタイプ使い捨て着用物品の場合、非接合部77は、前外装体12F及び後外装体12Bとそれぞれ重なる位置まで延びていることが好ましい。この場合、非接合部77は、内装体200の前後方向LD全体にわたり延びているのは好ましい。また、非接合部77は、内装体200の前後縁の位置と、前外装体12F及び後外装体12Bの最も脚開口LO側の弾性部材16,19との間の位置までしか延びていないのも好ましい。さらに、非接合部77は、前外装体12F及び後外装体12Bにおける最も脚開口LO側の弾性部材16,19と脚開口LOの縁(前外装体12Fの後縁及び後外装体12Bの前縁)との間の位置までしか延びていなくてもよい。
また、最も内側のシート層74及び最も外側のシート層75の少なくとも一方とその裏に重なる内部シート層76との隙間は、非接合部77の幅方向WD両側で閉じられている。図示例のように、非接合部77の隙間の一方側は、最も内側のシート層74又は最も外側のシート層75をなすシート材をサイドフラップ70の側縁で折り返すことにより閉じ、他方側はホットメルト接着剤HMや溶着手段等を用いて、厚み方向に隣接するシート層を適宜の箇所で接合することにより閉じることができる。もちろん、非接合部77の隙間の両側を、同じ方法、例えばシート材の折り返し又はホットメルト接着剤HMにより閉じることもできる。
本パンツタイプ使い捨ておむつでは、サイドフラップ70がサイド弾性部材73の収縮に伴い前後方向LDに収縮し、図6に示すように、サイドフラップ70における非接合部77を含む部分にサイド伸縮領域SGが形成される。つまり、サイドフラップ70における非接合部77を含む部分にサイド伸縮領域SGの襞が前後方向LDに並んで形成される。ここで、非接合部77は、最も内側のシート層74及び最も外側のシート層75の少なくとも一方とその裏に重なる内部シート層76とが接合されていない部分であり、そのシート層間の隙間は、非接合部77の幅方向WD両側で閉じられている。また、非接合部77は、最も側方に位置するサイド弾性部材73と中間領域Lの側縁との間の領域を含む幅方向WD範囲(当該領域と同じか又はそれ以上の幅方向WDの範囲)で前後方向LDに続いている。つまり、非接合部77にはシート層により囲まれた中空部分80が前後方向LDに続くことになる。その結果、非接合部77に形成される襞は、最も内側のシート層74及び最も外側のシート層75の少なくとも一方が大きく膨らむことにより形成され、大きく柔らか(つまりクッション性に富む)なものとなる。したがって、この大きく柔らかな襞が、サイドフラップ70の側縁を含む範囲の内側、外側、内外両側、又は厚み方向の全体に形成されるため、脚開口LOの端部の肌触りが良好となる。
サイド弾性部材73は、サイドフラップ70の側縁近傍に位置していてもよいが、サイドフラップ70における、側縁から幅方向WDの中央側に2~15mm(特に5~10mm)までの部分は、サイド弾性部材73を含まず、かつ非接合部77の一部又は全部を含むことが好ましい。このように、サイド弾性部材73がサイドフラップ70の側縁から十分に離間しており、その離間部分に非接合部77の一部又は全部を含むと、装着や購入に際して商品を手で持ったとき又は装着中において肌に押し付けられる部分(つまりサイド弾性部材73を有する部分)の側方の厚み方向の全体に、柔軟性やクッションに富む大きな襞が形成されるため、脚開口LOの端部の肌触りを改善する上で特に好ましい。
非接合部77とサイド弾性部材73との位置関係は適宜定めることができるが、図示例のように、非接合部77と厚み方向に重なる位置に、少なくとも一本のサイド弾性部材73を有すると、サイド弾性部材73の収縮力が直接的に非接合部77に加わり、非接合部77における襞の形状維持性が高いものとなるため好ましい。
非接合部77では、最も内側のシート層74又は最も外側のシート層75の裏に重なる内部シート層76は、図12に示すように反対側に隣接するシート層に対して固定されていてもよい(図示例の第1シート層71及び第2シート層72は互いにホットメルト接着剤HMで接着されている)が、図11に示すように内部シート層76が厚み方向の両側に隣接するシート層に対して非固定とされていると特に好ましい。これにより、サイド弾性部材73の収縮力により内部シート層76にも独立的に襞が形成される。つまり、サイドフラップ70に形成される大きく膨らんだ襞は、その内側に独立的に形成される内部シート層76の襞により支えられるため、より優れたクッション性を有する襞がサイドフラップ70に形成されるようになる。
図示例のように、サイドフラップ70は、サイドフラップ70の側縁で折り返された折り返しシート層を有しており、サイドフラップ70の最も内側のシート層74及び最も外側のシート層75の少なくとも一方は、折り返しシート層の折り位置を挟んで一方側の部分であると、折り返しに対する復元力により、非接合部77に形成される襞のクッション性が特に向上するため好ましい。折り返しシート層は、シート材の折り返しにより形成される一対の層を意味する。
一つの好ましい例は、図11に示す構造である。このサイドフラップ70は、その側縁で折り返された折り返しシート層を二重に有している。そして、非接合部77の最も内側のシート層74及び最も外側のシート層75は、それぞれ外部に位置する折り返しシート層の折り位置を挟んで内側の部分及び外側の部分となっており、内部シート層76は、内部に位置する折り返しシート層の折り位置を挟んで内側の部分及び外側の部分を含んでいる。また、第1シート層71及び第2シート層72は、それぞれ内部に位置する折り返しシート層の折り位置を挟んで内側の部分、及び外部に位置する折り返しシート層の折り位置を挟んで側の部分を含んでいる。さらに、非接合部77は、外部に位置する折り返しシート層の折り位置を挟んで外側の部分と、内部に位置する折り返しシート層の折り位置を挟んで外側の部分とが接合されていない部分を含んでいる。この構造では、二重の折り返しシート層を配置することにより、第1シート層71及び第2シート層72以外のシート層を二層形成することができ、しかもそのそれぞれが折り返しに対する復元力を有するため、より少ないシート材で、より優れたクッション性を有する襞がサイドフラップ70に形成されるようになる。
この例のように、非接合部77を4層構造とする場合、図11に示す例のように、起き上がりギャザー60のシートを利用してサイドフラップ70を構築すると好ましい。すなわち、前述のサイドフラップ70の折り返しシート層は、起き上がりギャザー60のシートの二層構造が、起き上がりギャザー60の起点からサイドフラップ70の側縁まで延びて形成された第1部分P1と、起き上がりギャザー60のシートの二層構造がサイドフラップ70の側縁で折り返されて幅方向WDの中央側に延びる第2部分P2とにより形成することができる。
サイドフラップ70は、図9及び図10に示す例のように省略することもできる。
(外装体)
外装体12F,12Bは、前身頃Fの少なくとも胴周り部を構成する部分である長方形の前外装体12Fと、後身頃Bの少なくとも胴周り部を構成する部分である長方形の後外装体12Bとからなり、前外装体12F及び後外装体12Bは股間側で連続しておらず、前後方向LDに離間されたものとなっている(外装二分割タイプ)。この前後方向の離間距離は例えば全長Yの40~60%程度とすることができる。図示例では、前外装体12F及び後外装体12Bの下縁は幅方向WDに沿う直線状となっているが、前外装体12F及び後外装体12Bの少なくとも一方の下縁が脚周りに沿うような曲線状となっていてもよい。
外装二分割タイプのパンツタイプ使い捨ておむつでは、前外装体12F及び後外装体12Bとの間に内装体200が露出するため、内装体200の裏面に液不透過性シート11が露出しないように、内装体200の裏面には、前外装体12Fと内装体200との間から、後外装体12Bと内装体200との間にわたるカバー不織布13を備えていることが好ましい。カバー不織布13の内面及び外面は、それぞれ対向面にホットメルト接着剤を介して接着することができる。カバー不織布13に用いる不織布は、例えば外装体12F,12Bの素材と同様のものを適宜選択することができる。
外装体12F,12Bは、胴周り領域Tと対応する前後方向範囲である胴周り部を有する。また、図1及び図2に示す例では、図7に示すように前外装体12F及び後外装体12Bの前後方向LDの寸法が等しく、前外装体12F及び後外装体12Bは中間領域Lと対応する部分を有していないが、図8に示すように、前外装体12Fよりも後外装体12Bの前後方向寸法が長く、前外装体12Fには中間領域Lと対応する部分を有しないが、後外装体12Bは胴周り領域Tから中間領域L側に延び出た臀部カバー部Cを有していてもよい。図示しないが、前外装体12Fにも胴周り領域Tから中間領域L側に延び出る鼠蹊カバー部を設けてもよい。
外装体12F,12Bは、図4、図5及び図12に示すように、第1シート層81及び第2シート層82と、これらの間に設けられた弾性部材15~19とを有する。各シート層81,82は、共通の一枚のシート材とする他、個別のシート材とすることもできる。すなわち、前者の場合、外装体の一部又は全部において、ウエスト開口WOの縁や脚開口LO側の縁等の適宜の位置で折り返された一枚のシート材の内側の部分及び外側の部分の間に弾性部材15~19を設けることができる。図示例では、ウエスト部Wに、それぞれシート材の折り返しを含む部分を有している。例えば、ウエスト部Wでは、第2シート層82を形成する第2シート材12Hはウエスト開口WOの縁までしか延在していないが、第1シート層81を形成する第1シート材12Sは、第2シート材12Hのウエスト側の縁を回り込んでその内側に折り返されている。また、この折り返し部分12rは、内装体200のウエスト開口WO側の端部と重なる位置まで、外装体12F,12Bの幅方向全体にわたり延在する内装カバー層となっている。内装カバー層は、第1シート材12Sを折り返して形成せずに、専用のシート材を貼り付けることにより形成してもよい。
外装体12F,12Bには、装着者の胴周りに対するフィット性を高めるために、弾性部材15~19が内蔵され、弾性部材の伸縮を伴って幅方向WDに弾性伸縮する伸縮領域A2が形成されている。この伸縮領域A2では、外装体12F,12Bは、自然長の状態では弾性部材の収縮に伴って収縮し、皺又は襞が形成されており、弾性部材の長手方向に伸長すると、皺なく伸び切る所定の伸長率まで伸長が可能である。弾性部材15~19としては、糸ゴム等の細長状の弾性部材(図示例)のほか、帯状、網状、フィルム状等、公知の弾性部材を特に限定なく用いることができる。弾性部材15~19としては合成ゴムを用いても、天然ゴムを用いても良い。
図示例の弾性部材15~19についてより詳細に説明すると、外装体12F,12Bのウエスト部Wには、幅方向WDの全体にわたり連続するように、複数のウエスト弾性部材17が前後方向に間隔を空けて取り付けられている。また、ウエスト弾性部材17のうち、ウエスト下方部Uに隣接する領域に配設される1本又は複数本については、内装体200と重なっていてもよいし、内装体200と重なる幅方向中央部を除いてその幅方向両側にそれぞれ設けてもよい。このウエスト弾性部材17としては、太さ155~1880dtex、特に470~1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05~1.5mm、特に0.1~1.0mm程度)の糸ゴムを、2~12mmの間隔、特に3~7mmの間隔で、2~15本程度、特に4~10本程度設けるのが好ましく、これによるウエスト部Wの幅方向WDの伸長率は150~400%、特に220~320%程度であるのが好ましい。また、ウエスト部Wは、その前後方向LDのすべてに同じ太さのウエスト弾性部材17を用いたり、同じ伸長率にしたりする必要はなく、例えばウエスト部Wの上部と下部で弾性部材17の太さや伸長率が異なるようにしてもよい。
また、外装体12F,12Bのウエスト下方部Uには、細長状の弾性部材からなるウエスト下方弾性部材15,19が複数本、前後方向に間隔を空けて取り付けられていると好ましい。ウエスト下方弾性部材15,19としては、太さ155~1880dtex、特に470~1240dtex程度(合成ゴムの場合。天然ゴムの場合には断面積0.05~1.5mm、特に0.1~1.0mm程度)の糸ゴムを、1~15mm、特に3~8mmの間隔で5~30本程度設けるのが好ましく、これによるウエスト下方部Uの幅方向WDの伸長率は200~350%、特に240~300%程度であるのが好ましい。
図示例のウエスト下方部Uのように、吸収体56を有する前後方向範囲に弾性部材15,16,19を設ける場合には、その一部又は全部において吸収体56の幅方向WDの収縮を防止するために、図2、図4、及び図5等に示すように、吸収体56と幅方向WDに重なる部分の一部又は全部を含む幅方向中間(好ましくは接着部21の全体を含む)が非伸縮領域A1とされ、その幅方向両側が伸縮領域A2とされていると好ましい。伸縮領域A2のうち、サイドシール12Aを有する前後方向LD範囲に位置する部分がウエスト下方伸縮領域A3となる。
このような伸縮領域A2及び非伸縮領域A1は、第1シート材12Sと第2シート材12Hとの間に、弾性部材15~17,19を供給し、弾性部材15,16,19を伸縮領域A2に位置する部分のみホットメルト接着剤により固定した後、吸収体56を有する領域において、弾性部材15,16,19を幅方向中間の1か所で加圧及び加熱、又は切断により切断するか、又は弾性部材15,16,19のほぼ全体を加圧及び加熱、又は切断により細かく切断し、伸縮領域A2に伸縮性を残しつつ非伸縮領域A1では伸縮性を殺すことにより構築することができる。非伸縮領域A1には、伸縮に関係の無い不要弾性部材18が残ることになる。
第1シート材12S及び第2シート材12Hとしては、特に限定無く使用できるが不織布が好ましい。不織布を用いる場合、1枚あたりの目付けは10~30g/m程度とするのが好ましい。
弾性部材15~19は種々の塗布方法によるホットメルト接着剤HMにより外装体12F,12Bに固定される。第1シート層81及び第2シート層82は、それぞれ弾性部材15~19を有する部分では、弾性部材15~19を固定するためのホットメルト接着剤HMにより接合することが好ましく、弾性部材15~19を有しない部分では、ホットメルト接着剤HMにより接合しても、ヒートシールや超音波シール等の素材溶着により接合してもよく、また一部又は全部を接着しなくてもよい。図示例の外装体12F,12Bにおける弾性部材15~19を有する部分では、コームガンやシュアラップノズル等の塗布手段により弾性部材15~19の外周面にのみホットメルト接着剤HMを塗布してシート層間に挟むことにより、当該弾性部材15~19の外周面に塗布したホットメルト接着剤HMのみで、両シート層への弾性部材15~19の固定と、両シート層間の固定とを行っている。弾性部材15~19は伸縮領域A2における伸縮方向の両端部のみ、両シート層に固定してもよい。
(下端部ギャザー)
図1、図2、図5、図6及び図12に示すように、本パンツタイプ使い捨ておむつでは、脚開口LOの上部の縁は、前外装体12F及び後外装体12Bにおける内装体200の両側に延びるウイング領域Jの下縁となっている。ウイング領域Jの下端部80は一本又は互いに間隔を空けて複数本設けられた、幅方向WDに沿う細長状の下端部弾性部材83と、下端部弾性部材83の内側に面する第1シート層81と、下端部弾性部材83の外側に面する第2シート層82とを有している。
図5及び図12に示す例では、前述の第1シート材12S及び第2シート材12Hが脚開口LOの縁で内側に折り返されており、折り位置より外側の部分がそれぞれ第1シート層81及び第2シート層82となっている。これに代えて、図14に示すように、第1シート材12Sを脚開口LOの縁で折り返さずに、第1シート層81を形成するとともに、第2シート材12Hを脚開口LOの縁で外側に折り返し、折り位置より外側の部分により第2シート層82を形成したりする等、適宜の変更が可能である。第1シート層81及び第2シート層82として前述の第1シート材12S及び第2シート材12Hを利用せずに、第1シート層81及び第2シート層82をなすシート材を外装体12F,12Bの下端部80に追加することもでき、そのシート材としては、前述の起き上がりギャザー60や前述の外装体12F,12Bで利用可能な不織布等、適宜の不織布を選択することができる。
また、図示例の下端部弾性部材83は、前外装体12Fでは前述のウエスト下方弾性部材19であり、後外装体12Bでは前述のカバー部弾性部材16であるが、これに限定されるものではなく、これらと素材や伸長率、配置等で異なる専用の弾性部材を設けることもできる。下端部弾性部材83の幅方向の伸長率は、200~350%が好ましく、240~300%がより好ましい。下端部弾性部材83を複数設ける場合における前後方向の間隔は5~10mmが適当である。
下端部弾性部材83は、第1シート層81及び第2シート層82に固定されている。第1シート層81及び第2シート層82の貼り合わせや、その間に挟まれる下端部弾性部材83の固定に、種々の塗布方法によるホットメルト接着剤HMや、ヒートシールや超音波シール等の素材溶着による固定手段を用いることができる。第1シート層81及び第2シート層82の接合面積が大きいと柔軟性を損ねるため、下端部弾性部材83の接着部以外の部分は接合しないか、又は弱く接合するのが好ましい。図示例では、コームガンやシュアラップノズル等の塗布手段により下端部弾性部材83の外周面にのみホットメルト接着剤HMを塗布して第1シート層81及び第2シート層82の間に挟むことにより、当該下端部弾性部材83の外周面に塗布したホットメルト接着剤HMのみで、第1シート層81及び第2シート層82への下端部弾性部材83の固定と、第1シート層81及び第2シート層82間の貼り合わせとを行う構造となっている。また、下端部弾性部材83の外周面に塗布したホットメルト接着剤HMを利用するだけでは、第1シート層81及び第2シート層82間の貼り合わせが不十分となる場合には、下端部弾性部材83を有しない箇所に適宜ホットメルト接着剤HMを追加できる。
幅方向における下端部弾性部材83の取付け範囲、すなわち、下端部ギャザーUGが形成される幅方向WDの範囲は適宜定めることができる。図示例のように非伸縮領域A1を有する場合には、下端部弾性部材83は、非伸縮領域A1の幅方向WD両側にのみ設けてもよく、幅方向WDの全体にわたり設けるものの、幅方向WDの中間部では切断加工により伸縮性を殺してもよい。
ウイング領域Jの下端部80は、第2シート層82より内側に一層以上のシート層84,85を有する。つまり、最も内側のシート層87及び最も外側のシート層86の他に、最も内側のシート層87の裏側に重なる内部シート層88を有する。これらの一部又は全部のシート層81,82,84,85は、それぞれ別体のシート材で形成されていてもよいし、一枚のシート材が一回又は複数回折り返されて形成されていてもよい。最も内側のシート層87の外側に重なる内部シート層88は、第1シート材12S又は第2シート材12Hをそのまま又は適宜折り返すことにより形成してもよいし、専用のシート材を外装体12F,12Bの下端部80に追加することにより形成してもよい。後者の場合における専用のシート材としては、前述の起き上がりギャザー60や前述の外装体12F,12Bで利用可能な不織布等、適宜の不織布を選択することができる。
ウイング領域Jの下端部80は、最も下方に位置する下端部弾性部材83よりも脚開口LO側の第1領域80Aと、第1領域80Aよりもウエスト開口WO側の第2領域80Bとからなる。このうち、第1領域80Aには、最も内側のシート層87及びその外側に重なる内部シート層88が接合されるとともに、第1シート層81及び第2シート層82が接合されたヨレ防止部90が、幅方向WDに続いている。ヨレ防止部90におけるシート層81,82,84,85の接合は、ホットメルト接着剤H2,H3(又は対面するシート層の溶着)により行うことができる。ヨレ防止部90においては、厚み方向に隣接するシート層間の過半数が接合されていると好ましいが、一部のシート層間が接合されていなくてもよい。
ヨレ防止部90の前後方向LDの寸法は適宜定めればよいが、狭すぎるとヨレ防止効果が乏しくなり、広すぎると外装体12F,12Bにおける脚開口LOの端部の肌触り改善効果が乏しくなるため、通常の場合5~40mmであるのが好ましく、10~40mmであると特に好ましい。
第2領域80Bには、最も内側のシート層87とその外側に重なる内部シート層88とが接合されていない非接合部91を有している。つまり、非接合部91は、最も内側のシート層87とその外側に重なる内部シート層88とが非接合である限り、それ以外の一部又は全部の層間が接合されていてもよいし、厚み方向のすべてのシート層が非接合であってもよい。
また、非接合部91は、第2領域80B内で幅方向WDに連続的又は間欠的に続く部分である。非接合部91の前後方向LDの寸法は適宜定めることができるが、20~60mmであることが好ましく、特に30~50mmであることが好ましい。また、非接合部91の幅方向WDの寸法は、内装体200とサイドシール12Aとの間の幅方向WDの寸法の50%以上、特に90%以上であることが好ましく、100%であるとさらに好ましい。
特に、図示例のように前外装体12F及び後外装体12Bが非伸縮領域A1及び伸縮領域A2を有するパンツタイプ使い捨て着用物品の場合、ウイング領域Jの積層構造(非接合部91を含む)は製品全幅にわたり設けられていても、伸縮領域A2のみに設けられていてもよい。
さらに、非接合部91は、最も内側のシート層87とその外側に重なる内部シート層88との隙間が、非接合部91の前後方向LD両側で閉じられた部分である。図示例のように、非接合部91の隙間の一方側は、最も内側のシート層87及び最も外側のシート層86をなすシート材の少なくとも一方をウイング領域Jの下縁で折り返すことにより閉じ、他方側はホットメルト接着剤H4や溶着手段等を用いて適宜シート層を接着することにより閉じることができる。もちろん、非接合部91の隙間の両側を、同じ方法、例えばシート材の折り返し又はホットメルト接着剤により閉じることもできる。
本使い捨て着用物品では、図6に示すように、ウイング領域Jの下端部80が下端部弾性部材83の収縮に伴い幅方向WDに収縮し、ウイング領域Jの下端部80における非接合部91を含む部分に下端部80ギャザーが形成される。つまり、ウイング領域Jの下端部80における非接合部91を含む部分に下端部80ギャザーの襞が幅方向WDに並んで形成される。ここで、非接合部91は、最も内側のシート層87とその外側に重なる内部シート層88とが接合されていない部分であり、そのシート層間の隙間は、非接合部91の前後方向LD両側で閉じられている。つまり、非接合部91にはシート層により囲まれた中空部分が幅方向に続くことになる。その結果、非接合部91に形成される襞は、少なくとも最も内側のシート層87が大きく膨らむことにより形成され、大きく柔らか(つまりクッション性に富む)なものとなる。また、このような非接合部91による襞が第2領域80Bに形成される一方で、これよりも脚開口LO側に位置する第1領域80Aは、下端部弾性部材83を有しないことと、幅方向WDに続くヨレ防止部90(シート層の接合により剛性が高くなっている)とによって、ヨレ等の変形が発生しにくいものとなっている。したがって、本パンツタイプ使い捨ておむつでは、外装体12F,12Bにおける脚開口LOの端部において、ヨレを防止しつつ、肌触りが良好となる。
非接合部91は第1領域80A内まで続いていなくてもよいが、図示例のように非接合部91が第1領域80A内まで続いていると、非接合部91における襞の形成がヨレ防止部90により制限されにくくなるとともに、ヨレ防止部90が下端部弾性部材83により肌に押し付けられることによる装着感の悪化を抑制できるため好ましい。
また、非接合部91と下端部弾性部材83との位置関係は適宜定めることができるが、図示例のように、非接合部91と厚み方向に重なる位置に、少なくとも一本(好ましくは複数本)の下端部弾性部材83を有すると、下端部弾性部材83の収縮力が直接的に非接合部91に加わり、非接合部91における襞の形状維持性が高いものとなるとともに、この最も内側のシート層87に形成されたクッション性に富む襞を介して当該下端部弾性部材83が肌に接することになるため好ましい。これらの観点から、非接合部91は、第1領域80A内から、第2領域80B内における少なくとも最も下方に位置する下端部弾性部材83まで前後方向LDに続いていると好ましい。
ウイング領域Jの下端部80は、図14に示すように第2シート層82より内側にシート層を1層84しか有していなくてもよいが、図12及び図13に示すように複数層84,85,89有することが好ましい。特に後者の場合、非接合部91における前後方向LDの一部又は全部で、第1シート層81及び第2シート層82以外のすべてのシート層84,85,89が、厚み方向に重なる他のシート層に接合されていないと、下端部弾性部材83の収縮力により、非接合部91における第2シート層82より内側における各シート層84,85,89に独立的に襞が形成され、これらの襞が重なるため、ウイング領域Jの下端部80のクッション性がより高いものとなる。
例えば、図12に示すように、第1シート材12S及び第2シート材12Hは、ウイング領域Jの下縁で内側に折り返された折り返し部分(シート層84,85となる部分)を有しており、最も内側のシート層87は、第1シート材12Sの折り返し部分であり、内部シート層88は、第2シート材12Hの折り返し部分であるのは好ましい。第1シート材12S及び第2シート材12Hの折り返し部分の上端部は、対向面に対してホットメルト接着剤H4(又は溶着でもい)により接合することができる。この構造では、下端部弾性部材83を挟む第1シート層81及び第2シート層82をなすシート材を折り返すことにより、第2シート層82より内側のシート層84,85を二層形成することができるため、より少ないシート材で、より優れたクッション性を有する襞がウイング領域Jの下端部80に形成されるようになる。
また、図13に示す例も好ましい。この構造は、図12に示す例と比べて、第2シート材12Hの折り返し部分は、脚開口LO側に再び折り返された再折り返し部分89を有しており、第1シート材12Sの折り返し部分は、脚開口LO側に再び折り返された再折り返し部分を有せず、再折り返し部分89の折り位置は、非接合部91に位置している。このような再折り返し部分89を有することにより、ウイング領域Jの下端部80のクッション性が特に優れたものとなる。図示例では、第2シート材12Hの再折り返し部分89の下端部は、対向面に対してホットメルト接着剤H5(又は溶着でもい)により接合されているが、非接合とすることもできる。
(不織布)
上記説明における不織布としては、部位や目的に応じて公知の不織布を適宜使用することができる。不織布の構成繊維としては、例えばポリエチレン又はポリプロピレン等のオレフィン系、ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維(単成分繊維の他、芯鞘等の複合繊維も含む)の他、レーヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維等、特に限定なく選択することができ、これらを混合して用いることもできる。不織布の柔軟性を高めるために、構成繊維を捲縮繊維とするのは好ましい。また、不織布の構成繊維は、親水性繊維(親水化剤により親水性となったものを含む)であっても、疎水性繊維若しくは撥水性繊維(撥水剤により撥水性となった撥水性繊維を含む)であってもよい。また、不織布は一般に繊維の長さや、シート形成方法、繊維結合方法、積層構造により、短繊維不織布、長繊維不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布、サーマルボンド(エアスルー)不織布、ニードルパンチ不織布、ポイントボンド不織布、積層不織布(スパンボンド層間にメルトブローン層を挟んだSMS不織布、SMMS不織布等)等に分類されるが、これらのどの不織布も用いることができる。
<明細書中の用語の説明>
明細書中の以下の用語は、明細書中に特に記載が無い限り、以下の意味を有するものである。
・「前後方向」とは図中に符号LDで示す方向(縦方向)を意味し、「幅方向」とは図中にWDで示す方向(左右方向)を意味し、前後方向と幅方向とは直交するものである。
・「表側」とは、着用した際に着用者の肌に近い方を意味し、「裏側」とは、着用した際に着用者の肌から遠い方を意味する。
・「表面」とは、着用した際に着用者の肌に近い方の面を意味し、「裏面」とは、着用した際に着用者の肌から遠い方の面を意味する。
・「伸長率」は、自然長を100%としたときの値を意味する。例えば、伸長率が200%とは、伸長倍率が2倍であることと同義である。
・「ゲル強度」は次のようにして測定されるものである。人工尿(尿素:2wt%、塩化ナトリウム:0.8wt%、塩化カルシウム二水和物:0.03wt%、硫酸マグネシウム七水和物:0.08wt%、及びイオン交換水:97.09wt%を混合したもの)49.0gに、高吸収性ポリマーを1.0g加え、スターラーで攪拌させる。生成したゲルを40℃×60%RHの恒温恒湿槽内に3時間放置したあと常温にもどし、カードメーター(I.techno Engineering社製:Curdmeter-MAX ME-500)でゲル強度を測定する。
・「目付け」は次のようにして測定されるものである。試料又は試験片を予備乾燥した後、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内に放置し、恒量になった状態にする。予備乾燥は、試料又は試験片を温度100℃の環境で恒量にすることをいう。なお、公定水分率が0.0%の繊維については、予備乾燥を行わなくてもよい。恒量になった状態の試験片から、試料採取用の型板(100mm×100mm)を使用し、100mm×100mmの寸法の試料を切り取る。試料の重量を測定し、100倍して1平米あたりの重さを算出し、目付けとする。
・「厚み」は、自動厚み測定器(KES-G5 ハンディ圧縮計測プログラム)を用い、荷重:0.098N/cm、及び加圧面積:2cmの条件下で自動測定する。
・吸水量は、JIS K7223-1996「高吸水性樹脂の吸水量試験方法」によって測定する。
・吸水速度は、2gの高吸収性ポリマー及び50gの生理食塩水を使用して、JIS K7224‐1996「高吸水性樹脂の吸水速度試験法」を行ったときの「終点までの時間」とする。
・「展開状態」とは、収縮(弾性部材による収縮等、あらゆる収縮を含む)や弛み無く平坦に展開した状態を意味する。
・各部の寸法は、特に記載が無い限り、自然長状態ではなく展開状態における寸法を意味する。
・試験や測定における環境条件についての記載が無い場合、その試験や測定は、標準状態(試験場所は、温度23±1℃、相対湿度50±2%)の試験室又は装置内で行うものとする。
本発明は、上記例のようなパンツタイプ使い捨ておむつに利用できるものである。
11…液不透過性シート、12A…サイドシール、12B…後外装体、12E…ウエスト延出部分、12F,12B…外装体、12F…前外装体、12H…第2シート材、12S…第1シート材、13…カバー不織布、15,19…ウエスト下方弾性部材、17…ウエスト弾性部材、18…不要弾性部材、20…重なり領域、200…内装体、21…接着部、30…トップシート、40…中間シート、50…吸収要素、56…吸収体、58…包装シート、60…起き上がりギャザー、60A…先端側部分、60B…付け根側部分、62…ギャザーシート、63…ギャザー弾性部材、67…倒伏部分、68…起き上がり部分、70…サイドフラップ、A1…非伸縮領域、A2…伸縮領域、A3…ウエスト下方伸縮領域、B…後身頃、C…臀部カバー部、F…前身頃、H1…ホットメルト接着剤、HM…ホットメルト接着剤、L…中間領域、LD…前後方向、LO…脚開口、P1…第1部分、P2…第2部分、SG…サイド伸縮領域、T…胴周り領域、U…ウエスト下方部、W…ウエスト部、WD…幅方向、WO…ウエスト開口、J…ウイング領域、80…下端部、81…第1シート層、82…第2シート層、83…下端部弾性部材、80A…第1領域、80B…第2領域、86…最も外側のシート層、87…最も内側のシート層、88…内部シート層、90…ヨレ防止部、91…非接合部。
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