以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下で説明する図面において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。以下で説明する複数の実施形態において、特に説明しない一実施形態の構成は、他の実施形態と同じであるので、その重複する説明を省略する。
図1は、給水装置1の一実施形態を示す斜視図である。図2は、給水装置1の一実施形態を示す平面図である。図3は、給水装置1の一実施形態を示す正面図である。図4は、給水装置1の一実施形態を示す側面図である。まず、図1~図4(一部略図)を用いて本発明に係るカバーによって覆われる給水装置の一実施形態について説明する。
給水装置1は、複数台(本実施形態では、2台)のポンプ2A,2Bと、複数台(本実施形態では、2台)の電動機組立体30A,30Bと、ポンプ2を制御する制御部9が格納された制御盤10と、圧力タンク90と、を備えている。ポンプおよび電動機組立体の数は本実施形態には限定されない。
ポンプ2A,2Bは、同一の構造もしくは左右対称に配置できる構造を有している。同様に、電動機組立体30A,30Bは同一の構造もしくは左右対称に配置できる構造を有している。したがって、以下、ポンプ2A,2Bを区別せずに単に、ポンプ2と呼ぶことがあり、電動機組立体30A,30Bを区別せずに単に、電動機組立体30と呼ぶことがある。
電動機組立体30は、インバータ5が内蔵された一体型構造を有する機械装置である。図4に示すように、電動機組立体30は、駆動軸11と、ポンプ2の駆動機であるモータ3(3A,3B)と、ポンプ2の可変速手段であるインバータ5と、インバータ5に隣接して配置され、かつ駆動軸11の端部に固定された冷却ファン25と、備えている。冷却ファン25、インバータ5、モータ3は、駆動軸11の軸線方向に直列に配置されおり、冷却ファン25が発生させる空気の流れ方向にて、インバータ5および/またはモータ3の下流側にポンプ2が配置される。以下に示す実施形態で給水装置1は、図1の矢印に示すように、冷却ファン25側を前側とし、ポンプ2側を後側と記す。
モータ3(3A,3B)は、モータ3の駆動部(ロータ、ステータ等)を収容するモータケーシング4(4A,4B)を備える。インバータ5はインバータ部20を収容するインバータケース6(6A,6B)を備える。
冷却ファン25は、冷却ファン25を覆うファンカバー35(35A,35B)が設けられている。ファンカバー35は、冷却ファン25の吸込口であるメッシュ部36(図1参照)を有し、冷却ファン25の回転によってメッシュ部36より吸気された空気が、インバータカバー6の外周面と対向するファンカバー35の内周面との間に形成された隙間35b(図4参照)から排気される。
図4に示すように、ポンプ2は、駆動軸11の端部に固定された羽根車20と、羽根車20を収容するポンプケーシング21と、を備えている。駆動軸11は、モータ3によって回転され、羽根車20はポンプケーシング21内で駆動軸11と一体に回転する。モータケーシング4はポンプケーシング21に固定されている。ポンプケーシング21の吸込口21aには、吸込み配管22が接続されており、ポンプケーシング21の吐出し口21bには、吐出し配管23(23A,23B)が接続されている。これら吸込み配管22および吐出し配管23を総称して、液体移送管と呼ぶことがある。
吐出し圧力の低下等の所定の始動条件に基づいて、制御部9はポンプ2の運転を開始する。具体的には、制御部9はポンプ2の可変速手段であるインバータ5に運転を指令する。ポンプ2の運転に伴って、羽根車20が回転すると、液体は、吸込み配管22を通じて、ポンプケーシング21の内部に吸い込まれる。液体には、羽根車20の回転により速度エネルギーが付与され、さらに、液体がポンプケーシング21内のボリュート室を通ることによって速度エネルギーが圧力エネルギーに変換され、液体が昇圧される。昇圧された液体は、吐出し配管23を通じて外部に移送される。自動運転として、制御部9は、推定末端圧一定制御や吐出圧一定制御にてポンプ2を制御する。具体的には、ポンプ2の吐出圧を所定の目標圧とすべく回転数をインバータ5に指令する。そして、制御部9は、不図示の水量計にて小水量を検知したら、ポンプ2を停止する。なお、制御部9は、ローテーションや台数制御を伴ってポンプ2を制御するとよい。
制御盤10は、モータケーシング4を横切るように配置された支持部材65に支持されており、モータケーシング4の上方に配置されている。制御盤10には、給水装置1の表示操作部である運転パネル12が設けられており、この運転パネル12は、作業者による操作性を向上させるために、モータケーシング4よりも高い位置に配置されている。図1に示す制御盤10は、運転パネル12が給水装置1の前側を向くよう配置され、図2、図3では、左側を向くよう配置されている。このように、制御盤10は、設置現場にて、運転パネル12の向きを変えられることが好ましい。これにより、作業者による操作性を向上できる。また、運転パネル12は、外部表示器と通信可能な通信部12aを備える。
給水装置1は、ポンプ2、モータケーシング4、および制御盤10が載置されたベース60をさらに備えている。支持部材65は、ベース60に固定され、かつベース60の表面から上方に向かって延びる脚部66と、脚部66に固定され、かつ制御盤10が載置される架台67と、を備えている。脚部66は、モータケーシング4の上方まで延びており、脚部66に固定された架台67はモータケーシング4の上方に配置されている。架台67は、ベース60の表面と平行な方向(すなわち、水平方向)に延びており、制御盤10が載置可能な大きさを有している。
図3に示すように、少なくともひとつの脚部66が互いに隣接するモータケーシング4A,4Bの間に配置されている。本実施形態では、給水装置1は、ポンプ2A,2Bの吐出圧力を保持する圧力タンク90をさらに備えている。圧力タンク90は、ポンプ2Aおよびモータケーシング4Aの少なくとも1つの上方に配置されてもよく、またはポンプ2Bおよびモータケーシング4Bの少なくとも1つの上方に配置されてもよい。圧力タンク90は模式的に描かれているが、圧力タンク90は吐出し配管23または集合配管24に接続されている。
圧力タンク90は、耐圧容器内にゴム製のプラダが内蔵されており、ポンプ2の吐出圧力が上昇すると、プラダの外側の空気を圧縮し、水が加圧状態で貯留される。また、吐出し配管23内の圧力が低下するにつれて、圧縮された空気が膨張し、貯留された水を吐出し配管23に押し出す。このようにして、ポンプ2が停止しても、しばらくは圧力タンク90から吐出し配管23に水が供給される。
本実施形態では、圧力タンク90は架台67上に載置されている。支持部材65は制御盤10のみならず圧力タンク90をもモータケーシング4(すなわち、モータケーシング4A,4B)の上方に配置することができるため、制御盤10および圧力タンク90を載置するスペースをベース60上に設ける必要はない。このように、本実施形態の給水装置1は、圧力タンク90が電動機組立体30A,30Bの上方に配置されている。しかしながら、一実施形態では、圧力タンク90が電動機組立体30A,30Bの中心または横に配置されてもよい。
本実施形態では、架台67は、ベース60の幅方向に延びる幅広形状を有しており、モータケーシング4A,4Bの両方の上方に配置されている。ここで、ベース60の幅方向はベース60の長手方向と垂直な方向と定義される。このような幅広形状を有する架台67は圧力タンク90および制御盤10の両方を支持することができる。圧力タンク90はモータケーシング4A,4Bのうちの一方の上方に配置されており、制御盤10はモータケーシング4A,4Bのうちの他方の上方に配置されている。本実施形態では、圧力タンク90は第2モータケーシング4Bの上方に配置されており、制御盤10は第1モータケーシング4Aの上方に配置されている。
図1~図4に示すように、給水装置1は、吐出し配管23A,23Bに接続された集合配管(吐出しヘッダ)95を備えている。吐出し配管23A,23Bのそれぞれは、その開口が上方向を向いており、集合配管95と連通している。具体的には、吐出し配管23A,23Bのそれぞれは、集合配管95に配管接続されている。液体移送管である集合配管95は、ポンプ2A,2Bの配列方向と平行(つまり、紙面左右方向)に延びており、その長手方向の両端(集合配管95の紙面左右両端)に、閉止蓋96によって閉止可能な吐出し口95a,95bを有している。なお、集合配管95の左右両端は、集合配管95の吐出し口95a側の端部および吐出し口95b側の端部を意味する。
本実施形態では、閉止蓋96は、集合配管95の吐出し口95aを閉じているが、集合配管95の吐出し口95bを閉じてもよい。図3の矢印Fは、給水装置1の吐出し方向を示す。集合配管95の吐出し口95a,95bは同一形状であり、閉止蓋96は、集合配管95の吐出し口95a,95bの両方に固定可能である。
制御盤10および圧力タンク90は、架台67上に配置されており、集合配管95は、制御盤10および圧力タンク90に隣接している。より具体的には、制御盤10および圧力タンク90のいずれか一方は、閉止蓋96によって閉止された吐出し口95aに隣接しており、制御盤10および圧力タンク90のいずれか他方は、閉止されていない吐出し口95bに隣接している。このように、制御盤10および圧力タンク90を架台67に載置することにより、ポンプ2Aとポンプ2Bとの間の距離を小さくすることができる。結果として、給水装置1の全体のサイズを小さくすることができる。
一般的に、給水装置を屋外で運転する場合、給水装置は、屋外用のカバーで覆われる。給水装置を覆うカバーの内部は、給水装置の構成部品の発熱と直射日光等の外的要因が重なって、高温になるおそれがある。そこで、一般的には、発熱源であるモータ、制御盤、インバータ等を冷却する冷却ファンに加えて、カバーの内部に外付けのファンを配置して、当該外付けのファンの気流によって、カバーの内部の空気の循環や排出を促す。しかしながら、この外付けのファンが故障すると、カバー内部の空気の流れが滞り、カバーの内部の温度が非常に上昇し、上記装置が故障するおそれがある。よって、外付けのファンは、定期的なメンテナンスや交換が必要となる。なぜならば、最悪の場合、ポンプの運転が停止し給水不能となるおそれがあるからである。そこで、以下、本実施形態の給水装置1では、発熱源の各部品を冷却する冷却ファン25によって、カバー内の温度上昇を抑制できるカバーについて、図面を参照して説明する。これにより、メンテナンス頻度を削減したり、故障を抑制することができる。
図5は、給水装置1を覆うカバー100を示す図である。図6は、図5のA線方向から見た図である。図7は、カバー100の断面図である。図5~図7に示すように、給水装置1はカバー100で覆われている。
図5、図6に示すように、カバー100の側壁である前面,背面,左側面,右側面は、それぞれ、壁部材110,112,122,123によって形成されている。当該壁部材110,112,122,123は、それぞれ、給水装置1の前側,後側,左側,右側に配置される。壁部材110,112,122,123は、詳細を後述する着脱構造(締結具152、および、引っかけ具160等)によって、フレーム120に取り付けられている。そして、カバー100の天井面は屋根部材125によって形成されている。壁部材110,112,122,123、屋根部材125は詳細を後述するフレーム120(図9参照)に、それぞれ取り付けられる。壁部材110,112,122,123、屋根部材125は金属または樹脂にて形成される。
カバー100は、壁部材110に、各電動機組立体30A,30Bの冷却ファン25の吸込口であるメッシュ部36に隣接する吸気口101(第1の開口部、図5参照)と、冷却ファン25が発生させる、モータポンプに沿った気流の、最も下流側に位置するポンプ2(より具体的には、ポンプ2A,2B)に隣接する排気口102(第2の開口部、図6参照)と、を備えている。本実施形態では、ポンプ2と電動機組立体30との組み合わせを「モータポンプ」と記す。
吸気口101および排気口102の少なくとも一部は、ポンプ2と冷却ファン25が両端に配置されたモータポンプの長手方向を挟んで対向している。図5に示す実施形態では、冷却ファン25の数に対応する数の吸気口101が設けられているが、これに限定されず、カバー100には、少なくとも1つの吸気口101が設けられればよい。一実施形態で給水装置1は、単一の吸気口101がすべての冷却ファン25の吸込み口に隣接して配置される。また、吸気口101と同様に、排気口102の数も限定されず、ひとつでも複数でもよい。
このように、吸気口101および排気口102を、モータポンプを挟んで対向させることにより、冷却ファン25によってカバー100の外からカバー100内に取り込まれた空気は、給水装置1の発熱部品を十分に冷却し、更に、当該冷却によって温度上昇した空気のほとんどを排気口102からカバー100の外へスムーズに排出することができるため、カバー100内の温度上昇を抑制し、結果的に給水装置1の温度異常が防止される。さらに、本実施形態によれば、冷却ファン25のみでカバー100の内部の温度上昇を十分に抑制することができ、外付けの冷却ファンを不要とすることができる。
本実施形態では、冷却ファン25にて発生させた気流がポンプ2に向かって流れるため、吸気口101が冷却ファン25に隣接し、排気口102がポンプ2に隣接する。しかしながら、一実施形態で、ポンプ2側から冷却ファン25側に向かって軸線方向の気流が形成される場合は、吸気口101がポンプ2に隣接し、排気口102が冷却ファン25に隣接する。
図5に示すように、壁部材110は、吸気口101が形成された凹部115を有しており、この凹部115は制御盤10よりも低い位置に配置されている。これにより、吸気口101から入った空気が冷却ファン25に吸われる前に制御盤10に接して乱されることを防ぎ、冷却ファン25は、外部の空気を効率良く吸うことができる。更に、このような配置により、吸気口101から侵入する雨風から制御盤10を保護することができる。
吸気口101は、スリット形状を有している。このようなスリット形状を有する吸気口101は、人間の指やゴミ等の異物の、冷却ファン25へのアクセスを制限し、かつ、風雨の侵入に起因して制御盤10が濡れることを防止することができる。つまり、本実施形態では、冷却ファン25の吸込口であるメッシュ部36は、隣接する吸気口101に対向し、そして、凹部115に形成された吸気口101は、異物の、冷却ファン25へのアクセスを制限するスリット形状を有している。吸気口101と冷却ファン25の吸込口とが対向することで、冷却ファン25は、スリット形状を有した吸気口101からでも外気を効率よく吸うことができる。ただし、冷却ファン25の吸込口は、外気を取り込めるよう吸気口101に隣接していればよく、一実施形態では吸気口101と冷却ファン25の吸込口とが対向していなくてもよい。
また、カバー100におけるスリット形状を有する開口は、吸気口101のみである。つまり、スリット形状の開口は、カバー100の側面(壁部材110,112,122,123)のうち、吸気口101が形成された壁部材110にのみ形成されている。そして、モータポンプの軸線と平行する壁部材122,123には、モータポンプの隣接する位置に開口がない。これにより、冷却ファン25が外から取り込んだ冷たい空気を壁部材122,123側の開口から逃すことなく排気口102まで送風できるため、より効果的に温度上昇を抑制することができる。また、壁部材123の排気口102には吸込み配管22が貫通(図7参照)し、且つ、仮に、異物が排気口102からカバー100内に侵入しても、当該異物が給水装置1の回転体に触れるおそれは低いため、必ずしもスリット形状である必要はない。なお、本実施形態では、吸気口101は横に延びるスリット形状である。しかしながら、吸気口101のスリット形状は、想定される異物が通過困難な形状であればよく、例えば、格子状、縦方向のスリット、または、パンチング、更に、それらの組み合わせでもよい。
ここで、図7を用いて本実施形態のカバー100内の温度上昇抑制を抑制する機構について、より詳しく説明する。図7に示すように、吸気口101は冷却ファン25の吸込口であるメッシュ部36に対向しているため、同軸のモータポンプの運転に伴って冷却ファン25が回転すると、カバー100の外部の空気は吸気口101を通過して、冷却ファン25に吸い込まれる(図7の矢印FS1参照)。つまり、冷却ファン25は、直射日光等で高温となるカバー100内の上部の空気よりも低温の外気を優先的に吸込むことができる。
また、図5に示すように、カバー100の下端は、その少なくとも一部がベース60よりも高い位置に配置されており、凹部115の下端115aは、壁部材110の下端110aよりも高い位置に配置されている。このような配置により、図7に示すように、地面FLと凹部115の下端115aとの間には、空気を取り入れるための隙間が形成されている。カバー100の外部の空気は、矢印FS2に示すように上記隙間を通じてカバー100の内部に流入し、給水装置1の構成部品をより積極的に冷却することができる。特に、凹部115の下端115aと地面FLとの間に隙間を設けることにより、地面FLの周辺の低温の空気をカバー100の内部に取り込むことができるので、より積極的にカバー100内の温度上昇を抑制することができる。一実施形態では、下端115aと下端110aとの間の距離は、制御盤10に配線されるケーブル(主に、動力線)が通過可能な大きさ(例えば、15mm程度)であることが好ましい。これにより、地面FLと凹部115の下端115aとの間に形成された空気を取り入れるための隙間を、ケーブル引き込み口としても利用できるため、配線の自由度が向上するといった効果を奏することができる。
次に、冷却ファン25に吸い込まれた空気は、矢印F1に示す駆動軸1の軸線方向に流れる気流となって、インバータ5およびモータ3をこの順に冷却し、当該冷却の熱交換にて温度上昇した空気は、矢印FD1に示すように排気口102を通過して、スムーズに外部に排出される。本実施形態では、吸気口101および排気口102の少なくとも一部が、制御盤10よりも低い位置に形成され、なお且つ、カバー100の全ての側面(壁部材110,112,122,123)の中で制御盤10よりも低い位置に形成された開口を有する側面は、吸気口101および排気口102が形成された側面(つまり、壁部材110,112)のみであり、壁部材122,123には制御盤10よりも低い位置に形成された開口がない。これにより、矢印F1に示す気流が、壁部材122,123側から出入する気流によって乱されることを抑え、スムーズにポンプ2まで到達することができる。よって、インバータ5およびモータ3を効率的に冷却できる。
ここで、電動機組立体30は、インバータ5からモータ3まで軸線CL方向に沿って延びるフィン6a,4aを有することが好ましい。フィン6a(6Aa,6Ba)は、インバータケース6(6A,6B)の表面に形成された軸径方向の突起である。フィン4a(4Aa,4Ba)は、モータケーシング4(4A,4B)の表面に形成された軸径方向の突起である。また、フィン6a,4aは、インバータ5からモータ3まで連続して延びる。そのため、冷却ファン25の気流は、フィン6a,4aによって、より積極的に排気口102側に案内される。
このように、冷却による熱交換によって温度上昇した空気を、カバー100の外部まで直線的に流すことで、最短でカバー100の外へ排出することができる。これにより、カバー100内の温度上昇を抑制できる。特に、本実施形態の給水ユニット1は、矢印F1に示すように、冷却ファン25の気流によって発熱源であるインバータ5、モータ3、制御盤10の底面が冷却される。そのため、当該冷却により熱交換された空気のほとんどをカバー100内で循環させずに排出することで、カバー100内の温度上昇を、より効果的に抑制できる。
熱交換された空気を、カバー100外へ排出するための排気口102は、少なくともその一部が、ポンプ2(より具体的には、ポンプケーシング21)の外径よりも径方向外側の位置に開口を有していることが好ましい。このような形状により、冷却ファン25の回転によって発生した空気は、直線的に排気口102を通じて外部に排出される最短の流路を確保できる。
このように、カバー100は、吸気口101が形成された壁部材110(吸気口側壁部材、図5参照)と、排気口102が形成された壁部材112と(排気口側壁部材、図6参照)、を備えている。これら壁部材110および壁部材112は、モータポンプを挟んで、互いに対向して配置されている。これにより、カバー100内の温度上昇を抑制できる。
また、カバー100は、その上部に、屋根部材123(天井面)付近の空気を排出する上部排気口103を備えることができる。このように、上部排気口を設けることにより、直射日光等で温められた空気がカバー100内の給水装置1よりも上に滞留することを防止することができる。
また、上述したように、ポンプ2には、液体移送管(吸込み配管22、吐出し配管23、集合配管95)が接続されている。本実施形態の給水装置1は、図1~図4に示すように吐出し配管23A,23Bは上方向に延び、集合配管95は制御盤10の側面に沿って左右方向に延びる。ポンプ2および/または液体移送管は、ポンプ2の搬送液が通る通水部であって、さらに、冷却ファン25の回転による空気の流れ方向において、インバータ5および/または前記モータ3の下流側に配置されている。このような配置により、インバータ5および/またはモータ3により加熱された空気の一部が、ポンプ2(より具体的には、ポンプケーシング21)および/または液体移送管に接触することで冷却され、冷却された空気の少なくとも一部は、矢印F2に示すように、液体移送管に沿って上方に向かって流れ、液体移送管に隣接する制御盤10の側面を冷却する。
制御盤10を冷却した空気は、その後、上部排気口103を通じて、カバー100の外部に排出される(矢印FD2)。更に、本実施形態では、屋根部材125は、上部排気口103に向かって高くなるよう水平方向に対して所定の角度で傾斜している。そのため、屋根部材125の最も高い位置に連通する上部排気口103は、より効果的に暖かい空気をカバー100外へ排出できる。
つまり、本実施形態では、吸気口101を通じてカバー100内に流入した空気は、以下の2つの経路でカバー100の外部に排出される。第1経路は、矢印F1、矢印FD1に示す、インバータケース6、モータケーシング4、ポンプケーシング21、排気口102の順に流れる経路である。第2経路は、矢印F1、矢印F2、矢印FD2に示す、インバータケース6、モータケーシング4、ポンプケーシング21および/または液体移送管、上部排気口の順に流れる経路である。このように、本実施形態のカバー100は、吸気口101から流入した空気は、第1経路および第2経路を通り、速やかに外部に排出されるため、カバー100内の温度上昇をより効率的に抑制することができる。なお、カバー100内の温度上昇を抑え、給水装置1が給水を継続できるならば、第1経路および第2経路の両方が必要ではない。また、一実施形態では、上部排気口103を有さず、排気口102のみでもよい。
ここで、本実施形態では、壁部材110の制御盤10よりも低い位置に配置された凹部115により、冷却ファン25の回転によって流れる空気は、制御盤10と電動機組立体30との間の隙間を速い流速で通過できる。したがって、電動機組立体30および制御盤10は高速で流れる空気によって、効率的に冷却される。
また、本実施形態の給水装置1は、圧力タンク90がファンカバー35よりも壁部材110側に突出している。凹部115は、ファンカバー35に向かって窪んだ形状を有しており、ファンカバー35に隣接(より具体的には、近接)している。このような構造により、給水装置1を構成する他の部品(例えば、圧力タンク90や制御盤10)の配置や大きさに関わらず、吸気口101とファンカバー35との間の隙間を限りなく小さくすることができ、冷却ファン25は、その回転によってカバー100の外部に存在する低温(すなわち、給水装置1の構成部品によって加熱されていない)の空気を取り込むことができる。
次に、壁部材110,112,122,123の構造について詳細に説明する。給水装置1は、都心の狭小スペースに設置されることがあり、設置現場に合せて給水装置1の部品の再配置を行いたい、といった要望がある。そこで、上述したように、本実施形態の給水装置1は前後左右の何れの向きにも配置できる運転パネル12、吐出し方向が左右の何れにも対応できる吐出し口95a,95b等を備える。そして、これらの部品の再配置に対応可能なカバー100が望まれる。また、定期的なメンテナンスが必要な給水装置1は、メンテナンス性を配慮したカバー100が望まれる。
そこで、本実施形態の壁部材110,112,122,123は、それぞれ、複数の開口を備える。当該開口は、前後左右の何れか向きに配置される運転パネル12にアクセスできる窓部や、吐出し口95a,95bの何れかに接続される配管を挿入するため開口である。そして、これらの開口は、必要に応じて閉止部材(閉止蓋)にて閉止できる。これにより、カバー100は、設置現場にて行われる給水装置1の部品の再配置に柔軟に対応できる。
図5に示すように、壁部材110は、凹部115の上方に形成された窓部116を備えている。制御盤10の運転パネル12は、この窓部116から露出している。したがって、作業者は、窓部116を通じて運転パネル12にアクセスすることができる。給水装置1の通常運転時では、窓部116は、雨風の侵入を防ぐための透明板(例えば、アクリル板)(図示しない)で覆われてもよい。また、窓部116を透明板で閉じたまま、外部表示器を用いて運転パネル12の通信部12aにアクセスできることが好ましい。そのため、窓部116は離れた位置にある外部表示器(不図示)と通信可能な大きさを有するとよい。
図8は、窓部116の他の実施形態を示す図である。図8に示すように、圧力タンクは、中にあるプラダ(不図示)の外側に空気を注入して封入するための空気封入部90aを備えている。図8に示す実施形態では、窓部116は、空気封入部90aを露出可能なように、制御盤10および圧力タンク90の配列方向と平行に延びる幅広形状を有している。
制御盤10および圧力タンク90は、モータポンプの上方に配置されている。上述したように、制御盤10の運転パネル12および圧力タンク90の空気封入部90aは、同一方向を向いて配置することもできる。したがって、本実施形態では、窓部116は、制御盤10の運転パネル12および圧力タンク90の空気封入部90aの両方を露出できる形状を有している。しかしながら、窓部116は、圧力タンク90の空気封入部90aを露出できればよく、制御盤10の運転パネル12用の窓部と圧力タンク90の空気封入部90a用の窓部は別々に設けられてもよい。
空気封入部90aを窓部116から露出できれば、作業者は、窓部116を通じて、空気封入部90aにアクセスすることができる。給水装置1の部品の中で圧力タンク90は最もメンテナンス頻度が高い部品のひとつである。このように、作業者は、頻繁に実施される圧力タンク90の封入圧の確認並びに空気封入といったメンテナンスを、窓部116から実施できるため、カバー100はメンテナンス時間が短縮できる。
また、運転パネル12および空気封入部90aの両方を窓部116から露出することで、作業者は、窓部116を通じて、運転パネル12および空気封入部90aに、同時にアクセスすることができる。結果として、作業者は、運転パネル12を操作しつつ、圧力タンク90のメンテナンスやその確認を行うこともできる。圧力タンク90のメンテナンスとして、圧力タンク90内の圧力測定や空気補充が挙げられる。作業者は、ポンプ2の運転停止の操作や圧力表示等の確認等を行いながら、圧力タンク90のメンテナンスを行うことができる。さらに、作業者は、窓部116を通じて、カバー100内の給水装置1を視認して、給水装置1の状態(例えば、水漏れ等)を監視することができる。
図5に示すように、カバー100の右側面である壁部材123は、集合配管95の吐出し口95aが露出する開口123bと、制御盤10の運転パネル12が露出可能な窓部123cと、を備えている。後述する図13に示す実施形態では、窓部123cから露出する位置には圧力タンク90が配置されているが、給水装置1において、制御盤10の位置と圧力タンク90の位置とを交換し、運転パネル12が右側面に向くように配置されれば、制御盤10の運転パネル12は、窓部123cから露出可能である。
同様に、図6に示すように、左側面である壁部材122は、集合配管95の吐出し口95bが露出する開口122bと、制御盤10の運転パネル12が露出可能な窓部122cと、を備えている。
制御盤10は、略立方体であり、運転パネル12の向きを四方(すなわち、前後左右方向)において、変更可能なように、架台67上に載置されている。また、壁部材110,112,122,123のうち、少なくとも運転パネル12が変更可能な向きに対向する面には、運転パネル12に対応する窓部が形成されている。したがって、作業者は、給水装置1の設置環境に応じて、運転パネル12の向きを自在に変更することができる。雨風のカバー100内への侵入を防止するために、壁部材に形成された窓部(図5では、開口123c、図6では、開口122c)を閉止部材126で閉じることが望ましい。
また、集合配管95の吐出し口95a,95bのうちの一方は、閉止蓋96で閉じられる。したがって、雨風のカバー100内への侵入を防止するために、閉止蓋96に隣接する開口(図6では、開口122b)を閉止部材(図6では、閉止部材127)で閉じることが望ましい。
次に、カバー100の分解または組立構造について詳細に説明する。カバー100は、カバー100の側面および天井面を、それぞれ取り外すことができる構造を有する。以下に示す構造によりカバー100は、給水装置1のメンテナンス時に、側面および/または天井面を簡単に取り外すことができるので、メンテナンス時間を短縮できる。
図9は、カバー100の構造を示す斜視図である。図9は、側面と天井面が全て取り外された状態のカバー100である。図9に示すように、カバー100は、側面を形成する壁部材が取り付けられる複数のフレーム120を備えている。フレーム120は、締結具155を挿入可能な固定穴151と引っかけ具160が引っかけ可能な引っかけ穴161を有している。また、フレーム120はベース60に固定されていることが好ましい。
図9に示す実施形態でカバー100は、四隅にフレーム120を備えているが、フレーム120の数は図9に示す実施形態には限定されない。給水装置1の設置環境に応じて、任意の数のフレーム120を設けてもよい。本実施形態では、複数のフレーム120は、同一形状を有している。
図10は、カバー100の構造を示す斜視図である。図10は、側面が取り付けられ、天井面が取り外された状態のカバー100である。図10に示すように、これらフレーム120には、給水装置1を取り囲む複数の壁部材110,112,122,123が取り付けられている。
壁部材122および壁部材123は、同一構造を有していることが好ましい。このような構造により、これら壁部材122,123を共用することができ、結果として、部品点数を低減してカバー100の製造コストを低減することができる。
壁部材110,112,122,123のそれぞれは、異なる構造を有する他の壁部材と交換可能である。例えば、給水装置1が高温地域に設置される場合、大きなサイズを有する排気口102(および/または吸気口101)が形成された壁部材を用いる。逆に、給水装置1が寒冷地域に設置される場合、小さなサイズを有する排気口102(および/または吸気口101)が形成された壁部材を用いる。
このように、カバー100は、フレーム120と壁部材110,112,122,123との組み合わせから構成されているため、フレーム120を残しつつ、壁部材110,112,122,123を1枚ずつ取り替えることができる。結果として、給水装置1の設置環境に応じて、様々な種類の壁部材110,112,122,123を容易に取り付けることができる。
さらに、フレーム120と壁部材110,112,122,123との組み合わせにより、カバー100の全体の強度を向上することができ、耐久性の向上を実現することができる。更に、カバー100は、メンテナンス時に取り外される壁部材110,112,122,123の板厚を薄くする等して軽量化してもフレーム120にてカバー100の全体の強度を保持できる。つまり、カバー100は、フレーム120にて全体の強度を保持するため、軽量化してメンテナンス性を向上させることができる。
カバー100は、壁部材110,112,122,123をフレーム120に取り付ける構造を有しているため、作業者は、フレーム120の位置を基準として壁部材110,112,122,123を取り付けることができる。結果として、作業者は、壁部材110,112,122,123の取り付けの位置決めを容易に行うことができ、組立分解作業の時間を短縮することができる。
カバー100は、さらに、モータポンプ(より具体的には、給水装置1)の上方に配置された屋根部材125を備えている。屋根部材125は、水平方向に対して所定の角度で傾斜している(例えば、図8参照)。したがって、屋根部材125の上に落下した雨などの液体は、屋根部材125上を流れ落ちる。結果として、屋根部材125上には、液体は溜まらない。
また、屋根部材125が水平方向に延びていると、作業者は、工具箱などの物を屋根部材125上に載置する可能性がある。しかしながら、屋根部材125上に物を載せると、屋根部材125が傷ついてしまい、結果として、屋根部材125に錆や腐食が発生してしまうおそれがある。本実施形態では、屋根部材125が傾斜しているため、作業者は、物を載せる場所ではないということを認識することが可能であり、屋根部材125上に物を載せることを防止することができる。
ここで、図11(a)および図11(b)は、屋根部材125とフレーム120とを接続する接続部材を示す図である。図11(a)および図11(b)に示すように、屋根部材125は、接続部材130によって、フレーム120に接続されている。一実施形態では、接続部材130は屋根部材125に溶接などの手段によって固定されている。
図11(a)に示すように、接続部材130は、L字形状を有している。接続部材130は、屋根部材125に沿って延び、屋根部材125に固定された固定部130aと、固定部130aからフレーム120に沿う鉛直方向に折れ曲がった折れ曲がり部130bと、折れ曲がり部130bに固定され、フレーム120の上端面と当接するフック部130cと、を有している。フック部130cはフレーム120の上端と当接する第1フック部130c1と折れ曲がり部130bに沿って延びる第2フック部130c2にて形成される。そして、互いに沿って延びる第2フック部130c2と折れ曲がり部130bとの間の距離Tは、フレーム120の厚さよりも大きい(例えば、フレーム120の厚さの1.1倍から5倍程度)。
作業者は以下のステップにて、屋根部材125をフレーム120に取り付ける。
(ステップ1)まず、作業者は、屋根部材125をフレーム120の上に持ち上げる。
(ステップ2)フック部130cを介して接続部材130をフレーム120に引っかけるため、作業者は、フレーム120の内側に折れ曲がり部130bの外側が沿うように、持ち上げた屋根部材125を下降させる(図11(a)参照)。これにより、フレーム120の上端部分が、互いに沿って延びるフック部130cと折れ曲がり部130bとの間に配置される。
(ステップ3)更に、作業者が屋根部材125を下降させて、フレーム120の上端面に第1フック部130c1が当接すると、フレーム120に形成された挿入穴134と折れ曲がり部130bに形成された締結穴133との位置が一致する。つまり、作業者は、フレーム120の上端面に第1フック部130c1を当接させ、前記フレームに形成された挿入穴134と折れ曲がり部130bに形成された締結穴133とを一致させる。
(ステップ4)そこで、作業者は、当該一致した状態の挿入穴134および締結穴133に締結具(例えば、ねじ)131を挿入して、フレーム120および接続部材130を互いに締結する(図11(b)参照)。ここで、フレーム120に対する屋根部材125の位置がずれると、締結具131による締結作業が困難になる。例えば、最初に作業した側の締結具(例えば、ねじ)131を挿入するときに当該挿入する方向に屋根部材125がずれると、当該作業した側面側の締結穴133の位置がずれ、作業者は、再度、屋根部材125の位置合わせを行わなければならない。しかしながら、本実施形態でカバー100は、フレーム120の上端部分が、第2フック部130c2と折れ曲がり部130bとの間に配置されており、当該配置によって、締結作業中に屋根部材125の位置がずれるのを防ぐことができる。これにより、フレーム120と接続部材130との締結が容易にできる。
このように、本実施形態では、フレーム120を、当該フレーム120の厚さよりも距離Tが十分に大きい第2フック部130c2と折れ曲がり部130bとの間に来るように、屋根部材125を下降させ、フレーム120の上端面を第1フック部130c1に当接させることで縦方向の位置決めを行うことができる。また、締結具が取り付けられていない状態でも屋根部材125を正しい位置に保持できる。これにより、締結具の着脱が容易となり、その結果、フレーム120から屋根部材125を容易に着脱できる。なお、「縦方向」は、フレーム120(および壁部材110,112,122,123)の長手方向を意味し、本実施形態では、「縦方向」は、図面(例えば、図11(a)および図11(b))の上下方向を示す。
ここで、図11(b)に示すように、挿入穴134および締結穴133は、屋根部材125の下端125aよりも下に配置されており、屋根部材125から露出している。したがって、作業者による締結具へのアクセスが屋根部材125に阻害されることなく、容易にフレーム120および接続部材130を接続することができる。なお、本実施形態では、締結穴133は折れ曲がり部130bに形成された。一実施形態で締結穴133は、フック部130cに形成されても、折れ曲がり部130bとフック部130cとの両方に形成されてもよい。また、挿入穴134、および/または、締結穴133は、フレーム120の長手方向に長い長穴でもよい。これにより、締結具の挿入が容易となる。
このように、屋根部材125に固定された接続部材130をフレーム120に締結することにより、屋根部材125は、接続部材130を介してフレーム120に強固に連結される。したがって、カバー100は、下から煽られる強風などの影響により、屋根部材125が吹き飛ばされることを防止することができる。なお、本実施形態では、屋根部材125と接続部材130は別部材によって形成された。しかしながら、一実施形態では、屋根部材125と接続部材130は同じ部材によって形成されてもよい。
また、接続部材130によって、壁部材110,112,122,123と屋根部材123との間に高さHの隙間が形成されることにより、カバー100は、その上部に、屋根部材123(天井面)付近の空気を排出する上部排気口103を備えることができる。このように、上部排気口103を設けることにより、直射日光等で温められた空気がカバー100内の給水装置1よりも上に滞留することを防止することができる。また、例えば、複数の接続部材のうち、上部排気口103側の接続部材130の高さHを、他の接続部材130よりも高くすることもできる。これにより、上部排気口103に向かって高くなるよう水平方向に対して所定の角度で傾斜することができる。
一実施形態では、複数の接続部材130のうち何れかのフック部130cの高さが異なり、フック部130cの高さの差分にて屋根部材123が所定の傾斜を持つようにしてもよい。他の実施形態では複数のフレーム120のうち何れかの高さが異なり、当該フレーム120の高さの差分にて屋根部材123が所定の傾斜を持つようにしてもよい。
本実施形態では、複数のフレーム120と、複数のフレーム120に取り付けられた複数の壁部材110,112,122,123と、を備え、当該複数の壁部材のうち、吸気口側壁部材110に吸気口101を形成し、排気口側壁部材112に排気口102を形成したカバー100の側面である。そして、壁部材110,112,122,123のそれぞれが着脱および/または交換が可能である。一例として、壁部材110,112,122,123を一旦取り外し下に下げて再度取り付ければ、上部排気口103を形成又は大きくできる。一例として、壁部材110,112,122,123を一旦取り外し、上に上げて、フレーム120に再び取り付ければ、上部排気口103を塞ぐ又は小さくことができる。このように、本実施形態では、壁部材110,112,122,123のいずれかを着脱および/または交換できるので、必要に応じて、上部排気口103や地面FLと凹部115の下端115aとの間に形成された空気を取り入れるための隙間等を、設ける又は塞ぐことができる。
一実施形態では、制御盤側壁部材122および圧力タンク側壁部材123を下方に移動して、カバー100の上部に隙間を形成することにより、カバー100は、その上部に上部排気口を備えてもよい。このように、上部排気口を設けることにより、給水装置1よりも上にある暖かい空気がカバー100の上部に滞留することを防止することができる。
図12は、壁部材110,112,122,123が取り除かれたカバー100を示す図である。図12に示すように、接続部材130を介して、天井面である屋根部材125をフレーム120に接続することにより、屋根部材125を残しつつ、壁部材110,112,122,123を取り外すことができる。
カバー100が、天井面を取り外さなければ、側面を取り外すことができない構造を有していると、給水装置1に側面側からアクセス可能なメンテナンスでも、作業者は屋根部材を取り外す必要がある。このように、屋根部材125を取り外す必要があると、雨天時には、簡易的な屋根を設けるなどの何かしらの対策を行わないと、屋外に設置された給水装置1のメンテナンス作業を行うことができないという問題がある。
本実施形態では、屋根部材125および壁部材110,112,122,123のそれぞれは、フレーム120を介して、互いに連結されている。したがって、作業者は、屋根部材125と壁部材110,112,122,123のそれぞれを独立して着脱することができる。結果として、雨天時には屋根部材125を残して壁部材110,112,122,123の何れかが取り外されれば、給水装置1を露出させることができるため、作業者は、雨天時において、給水装置1のメンテナンス作業などを容易に行うことができる。
図13および図14は、カバーの変形例を示す図である。本変形例のカバー200は、給水装置1の突出する部品に対向する側面に開口を形成し、当該開口から突出する部品を露出する。具体的には、電動機組立体30は、そのモータケーシング4の外周面等に、他の部品よりも突出した端子箱31を有している場合がある(図1参照)。この場合、突出した端子箱31を含む電動機組立体30のすべてをカバーで覆うと、カバー全体のサイズが大きくなってしまい、給水装置1の設置場所が制限されてしまうおそれがある。そこで、図13に示すように、端子台31に対向する壁部材123に開口123aを形成して、端子箱31の少なくとも一部を露出させることにより、カバー200は、そのサイズを小さくすることができる。また、図14に示すように、端子箱31を露出させるための開口は、端子台31に対向する壁部材122にも形成されることが好ましい。さらに、端子箱31がモータケーシング4の外周面に設けられていない場合、開口123aは、閉止部材124によって閉じることができる。図示しないが、当然、制御盤側壁部材122に形成された開口も閉止部材124によって閉じられる。このように、本変形例のカバー200は、給水装置1に突出した端子箱31が設けられているか否かに関わらず、その両方に適用できる。
以下、壁部材110(および壁部材112,122,123)のフレーム120への着脱構造について、図面を参照して説明する。カバー100は、給水装置1の周囲に配置される複数のフレーム120と、カバー100の側壁を形成する少なくとも1つの壁部材(壁部材110,112,122,123)と、を備え、詳細を後述するフレーム120に壁部材を取り付けるための着脱構造を有する。 なお、本実施形態では、壁部材110,112,122,123の全てが以下に記す着脱構造を備えているが、一実施形態では、着脱構造を有する側面は、前面,背面,左側面,右側面のうちの何れかのみでもよいし、前面,背面,左側面,右側面のうちの何れかが同一部品で構成されてもよい。
図15は、着脱構造の一実施形態を示す図である。図16は、着脱構造の他の実施形態を示す図である。図15および図16では、壁部材110の着脱構造について説明するが、壁部材112,122,123も壁部材110と同様の着脱構造を有してもよい。
図15に示す実施形態では、壁部材110は、締結具(例えば、ねじ、ボルトとナットとの組み合わせ)によって、フレーム120に取り付けられている。図15に示すように、壁部材110は、貫通穴150を有しており、フレーム120は、貫通穴150に連通可能な固定穴151を有している。作業者は、壁部材110に形成された貫通穴150およびフレーム120に形成された固定穴151を一致させた状態で締結具155を挿入して、壁部材110およびフレーム120を互いに締結する。ここで、貫通穴150は締結具155が螺合可能なねじ穴であることが好ましい。これにより、作業者は外側から壁部材110をフレーム120に固定できる。
図16に示す実施形態では、壁部材110は、引っかけ具によって、フレーム120に取り付けられている。図16に示すように、壁部材110は、引っかけ具160を有しており、フレーム120は、引っかけ具160が引っかけ可能な引っかけ穴161を有している。引っかけ具160は、カバー100の外側に向かって湾曲(つまり、壁部材110に離れる方向から近づく方向に湾曲)する第1湾曲部160aを有する。引っかけ具160は、カバー100の内側に向かって湾曲(つまり第1湾曲部160aと反対方向に湾曲)した形状の第2湾曲部160bを有する。図16に示すように、壁部材110は、次のステップでフレーム120に取り付けられる。
(ステップ1)引っかけ穴161に壁部材110の引っかけ具160の位置を合わせる。
(ステップ2)引っかけ具160を引っかけ穴161に差し込む。
(ステップ3)壁部材110を下にスライドする。
本実施形態では、壁部材110を下にスライドして、第1湾曲部160aを引っかけ穴161の下端に引っかけることにより、壁部材110はフレーム120に取り付けられる。更に、引っかけ具160の第2湾曲部160bによって壁部材110がフレーム120に適度に押し付けられることで、壁部材110がフレーム120に固定できる。ただし、一実施形態では、引っかけ具160は、第2湾曲部160bを有せず、第1湾曲部160aを引っかけ穴161の下端に引っかけるのみでもよいし、他の一実施形態では、第1湾曲部160aが引っかけ穴161の下端に接さず、第2湾曲部160bによって壁部材110がフレーム120に押し付けられることで壁部材110がフレーム120に固定されてもよい。図16に示す実施形態では、ねじやボルトなど、カバー100を構成する部材を減らすことができ、作業者は、カバー100の組立分解作業を容易に行うことができる。
図15および図16に示すように、作業者は、フレーム120の穴(固定穴151および引っかけ穴161)の位置を基準として、壁部材110,112,122,123をフレーム120に取り付けることができる。結果として、作業者は、壁部材110,112,122,123の取り付けの位置決めを容易に行うことができる。
図15に示す実施形態と図16に示す実施形態とを組み合わせてもよい。つまり、壁部材110,112,122,123のそれぞれは、貫通穴150および引っかけ具160の両方を有してもよく、同様に、複数のフレーム120のそれぞれは、固定穴151および引っかけ穴161の両方を有してもよい。
なお、締結具155を用いた着脱構造と引っかけ具160を用いた着脱構造とが、フレーム120に沿って上下に並んで配置されることが好ましい。これにより、引っかけ具160にて壁部材をフレーム120に固定した後、外側から締結具155を締めることができるため、壁部材110,112,122,123の着脱作業を伴うカバー100の分解組立作業が容易となる。図5や図9等に示す実施形態では、締結具155を用いた着脱構造の下方に引っかけ具160を用いた着脱構造が配置されている。一実施形態では、締結具155を用いた着脱構造の上方に引っかけ具160を用いた着脱構造が配置されてもよい。また、締結具155を用いた着脱構造と引っかけ具160を用いた着脱構造の数は本実施形態に依らない。例えば、複数の締結具155を用いた着脱構造、および/または、複数の引っかけ具160を用いた着脱構造が、上下に並んで配置されてもよい。
このように、カバー100は、複数のフレーム120に着脱可能な屋根部材125を備え、カバー100の天井面を屋根部材125が形成し、カバー100の前面,背面,左側面,右側面を複数の壁部材110,112,122,123が形成する。そして、フレーム120に壁部材110を取り付けるための着脱構造によって、当該複数の壁部材110,112,122,123のそれぞれが、屋根部材125から独立してフレーム120に着脱できる。ここで、当該着脱構造は、壁部材110が有する貫通穴150と、フレーム120が有する貫通穴150に連通可能な固定穴151である。そして、締結具155を貫通穴150および固定穴151に挿入することにより、フレーム120に壁部材110が取り付けられる。また、当該着脱構造は、壁部材110が有する引っかけ具160と、フレーム120が有する引っかけ具160が引っかけ可能な引っかけ穴161である。そして、引っかけ具160を引っかけ穴161に引っかけることにより、フレーム120に壁部材110が取り付けられる。さらに、着脱構造は、壁部材に縦方向に並んで配置された、貫通穴150と引っかけ具160と、フレーム120に縦方向に並んで配置された固定穴151と引っかけ穴161であって、壁部材110は、引っかけ具160を引っかけ穴161に引っかけ、締結具155を貫通穴150および固定穴151に挿入することにより、フレーム120に取り付けられる。
以下、図面を参照して、複数のフレーム120に屋根部材123および複数の壁部材110,112,122,123がそれぞれ着脱可能に取り付けられたカバー100に覆われた給水装置1のメンテナンス方法について、説明する。
図17は、給水装置1のメンテナンス方法を説明するためのフロー図である。まず、作業者は、屋根部材123をフレーム120に取り付けたまま、複数の壁部材110,112,122,123のうちの少なくとも1つをフレーム120から取り外すステップを実行する(図17のステップ1参照)。このとき、作業者は、複数の壁部材110,112,122,123のうち、メンテナンスを行う部品に最もアクセスしやすい壁部材を取り外すとよい。例えば、実施頻度の高い圧力タンク90のメンテナンスでは、壁部材110,123のうち少なくとも一方が取り外される。その後、作業者は、取り外した壁部材の側面側から給水装置1をメンテナンスするステップを実行する(図17のステップ2参照)。例えば、圧力タンク90のメンテナンスでは、作業者は、取り外した壁部材110,123側から、圧力タンク90の封入圧の確認や、新品の圧力タンク90への交換を行う。また、図17のステップ2で作業者は、給水装置1のメンテナンスに代えて/または加えて、取り外した壁部材に対するメンテナンスや設置環境に適応するための加工等を行ってもよい。その後、作業者は、取り外した壁部材110をフレーム120に取り付けるステップを実行する(図17のステップ3参照)。図17のステップ3で作業者は、取り外した壁部材に代えて、新品の壁部材または設置環境に適した壁部材をフレーム120に取り付けてもよい。
図18は、図17のステップ1の詳細を説明するためのフロー図である。以下の説明では、図17のステップ1にて壁部材110を取り外す場合についてのみ説明するが、壁部材112,122,123の場合も同様である。図18に示すように、壁部材110をフレーム120から取り外すステップにおいて、作業者は、締結具155を貫通穴150および固定穴151から取り外す工程を実行する(図18の第1工程参照)。具体的には、図18の第1工程では、図15の作業にて螺合された締結具155を貫通穴150および固定穴151から取り外す。その後、作業者は、引っかけ具160を引っかけ穴161から取り外す工程を実行する(図18の第2工程参照)。具体的には、図18の第2工程で作業者は、図16の最下図のように引っかけられた引っかけ具160を、図16の中図のように引っかけ穴161に合せるため、壁部材110を上にスライドする。このとき、作業者は、引っかけ具160の上部が引っかけ穴161に当接するまで壁部材110をスライドさせればよく、本実施形態では、壁部材110をフレーム120から取り外す時の位置合わせも容易にできる。そして、引っかけ具160を引っかけ穴161から取り外すため、作業者は壁部材110を手前側に引き出す。このように、壁部材110がフレーム120に取り付けられた状態では作業者が引っかけ具160を目視できないが、作業者は当該引っかけ具160にて固定された壁部材110を容易に取り外すことができる。
図19は、図17のステップ3の詳細を説明するためのフロー図である。以下の説明では、図17のステップ1にて壁部材110を取り外した場合についてのみ説明するが、壁部材112,122,123の場合も同様である。図19に示すように、図17のステップ1にて取り外した壁部材110をフレーム120に取り付けるステップ(図17のステップ3)において、作業者は、引っかけ具160を引っかけ穴161にひっかける工程を実行する(図19の第1工程参照)。具体的には、図19の第1工程では、図16の作業を上から順に実施する。その後、作業者は、締結具155を貫通穴150および固定穴151に取り付ける工程を実行する(図19の第2工程参照)。具体的には、図19の第2工程では、図15の作業を実施する。
カバー100は、屋根部材123および複数の壁部材110,112,122,123のそれぞれが容易に着脱できるので、作業者はカバー100内の各機器にアクセスするのに必要な部分のみを取り外して、給水装置1のメンテナンス作業を行うことができる。これにより、メンテナンス時間を短縮できる。更に、カバー100内の温度の上昇は直射日光などの設置環境に影響するが、本実施形態のカバー100であれば、作業者が屋根部材123および壁部材110,112,122,123を取り外して交換や加工を行うことで、設置現場にて当該設置環境に適するカバーに改良することも容易にできる。
給水装置1は、建物と建物との間などの屋外の狭小地に設置される場合がある。また、給水装置1はライフラインであり定期的にメンテナンスされる。本実施形態では、狭小地のようにカバー100の側壁側に十分な作業スペースが確保されていない現場では、壁部材110,112,122,123を取り付けたまま屋根部材125のみを取り外した状態でメンテナンス作業を行うこともできる。また、雨天時等の時には、屋根部材125を取り付けたまま壁部材110,112,122,123の何れかを取り外してメンテナンスできる。このように、本実施形態のカバー100は、複数の壁部材のそれぞれが屋根部材125から独立してフレーム120に着脱できるので、作業者は給水装置1の設置状況等に応じて、屋根部材125、壁部材110,112,122,123の何れかを取り外してメンテナンスすることができる。
なお、上述では、ポンプ2と電動機組立体30との組み合わせを「モータポンプ」と記した。ただし、一実施形態では、ポンプ2の可変速手段であるインバータ5が制御盤10内に配置されてもよいし、インバータ5がなくてもよい。その場合、ポンプ2とモータ3との組み合わせを「モータポンプ」と記す。
これまで本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術思想の範囲内において、種々の異なる形態で実施されてよいことは勿論である。