WO2023181225A1 - 室外機、および冷凍サイクル装置 - Google Patents

Abstract

本開示に係る室外機の一つの態様は、冷凍サイクル装置の室外機であって、送風ファンと、前記送風ファンを収容し、前記送風ファンに対向する開口部が設けられた前面パネルを有する筐体と、前記前面パネルに取り付けられ前記開口部を覆うファングリルと、を備え、前記筐体は、前記前面パネルより前側に突出し前記前面パネルとの間に前記ファングリルを配置させる庇部を有し、前記前面パネルには、予備孔部が設けられ、前記ファングリルは、前記前面パネルに固定される複数の固定部と、前記前面パネル側に突出し前記予備孔部の内縁との間に隙間を介して前記予備孔部に挿入される予備支持部と、を有する。

Description

室外機、および冷凍サイクル装置

　本開示は、室外機、および冷凍サイクル装置に関する。

　一般的に、冷凍サイクル装置の室外機の前面パネルには、ファングリルに覆われる開口部が設けられている。特許文献１には、前面パネルとファングリルとの固定のために、ファングリルの上縁及び左右の縁に複数の固定爪を設けた構造が開示されている。

特開２００６－２４２５４２号公報

　室外機のファングリルは、固定部が外風等によって繰り返し外力を受けた際に疲労が蓄積し結果的に損傷する虞がある。また、固定部が複数個所設けられる場合に、１つの固定部が損傷すると他の固定部に負担が集中して、他の固定部が連続して損傷する懸念がある。全ての固定部が損傷する場合には、ファングリルの離脱が懸念される。

　本開示は、上記の事情に鑑みて、ファングリルの離脱を抑制できる室外機、およびそのような室外機を備える冷凍サイクル装置を提供することを目的とする。

　本開示に係る室外機の一つの態様は、冷凍サイクル装置の室外機であって、送風ファンと、前記送風ファンを収容し、前記送風ファンに対向する開口部が設けられた前面パネルを有する筐体と、前記前面パネルに取り付けられ前記開口部を覆うファングリルと、を備え、前記筐体は、前記前面パネルより前側に突出し前記前面パネルとの間に前記ファングリルを配置させる庇部を有し、前記前面パネルには、予備孔部が設けられ、前記ファングリルは、前記前面パネルに固定される複数の固定部と、前記前面パネル側に突出し前記予備孔部の内縁との間に隙間を介して前記予備孔部に挿入される予備支持部と、を有する。

　本開示に係る冷凍サイクル装置の一つの態様は、上記の室外機を備える。

　本開示によれば、冷凍サイクル装置の室外機において、ファングリルの離脱を抑制できる。

実施の形態における冷凍サイクル装置の概略構成を示す模式図である。 実施の形態における室外機を示す斜視図である。 実施の形態におけるファングリルを分解した状態の室外機を示す斜視図である。 図２のＩＶ－ＩＶ線に沿う実施の形態における室外機の断面図である。 実施の形態における前面パネルの正面図である。 実施の形態におけるファングリルの正面図である。 実施の形態におけるファングリルを後側から見た斜視図である。 図７の一部を拡大する部分拡大図である。 図７の一部を拡大する部分拡大図である。 図２のＸ－Ｘ線に沿う実施の形態における室外機の断面図である。 実施の形態におけるファングリルの組み付け時の作業工程を表す図である。

　以下、図面を参照しながら、本開示の実施の形態について説明する。なお、本開示の範囲は、以下の実施の形態に限定されず、本開示の技術的思想の範囲内で任意に変更可能である。また、以下の図面においては、各構成をわかりやすくするために、各構造における縮尺および数などを、実際の構造における縮尺および数などと異ならせる場合がある。

　また、図面には、適宜、Ｘ軸、Ｙ軸、およびＺ軸を示している。Ｘ軸は、以下の実施の形態の室外機の前後方向を示している。Ｙ軸は、前後方向と直交する室外機の幅方向を示している。Ｚ軸は、鉛直方向を示している。前後方向、幅方向、および鉛直方向は、互いに直交する方向である。前後方向のうちＸ軸の矢印が向く側（＋Ｘ側）は室外機の前側であり、前後方向のうちＸ軸の矢印が向く側と逆側（－Ｘ側）は室外機の後側である。幅方向は、室外機の左右方向である。左右方向Ｙは、以下の実施の形態の室外機を前側（＋Ｘ側）から見た場合における左右方向とする。つまり、左右方向ＹのうちＹ軸の矢印が向く側（＋Ｙ側）を右側とし、左右方向ＹのうちＹ軸の矢印が向く側と逆側（－Ｙ側）を左側とする。鉛直方向のうちＺ軸の矢印が向く側（＋Ｚ側）は上側であり、鉛直方向のうちＺ軸の矢印が向く側と逆側（－Ｚ側）は下側である。

　図１は、実施の形態における冷凍サイクル装置１００の概略構成を示す模式図である。実施の形態において冷凍サイクル装置１００は、空気調和機である。図１に示すように、冷凍サイクル装置１００は、室外機１０と、室内機２０と、循環経路部１８と、を備える。室外機１０は、室外に配置されている。室内機２０は、室内に配置されている。室外機１０と室内機２０とは、冷媒１９が循環する循環経路部１８によって互いに接続されている。

　冷凍サイクル装置１００は、循環経路部１８内を流れる冷媒１９と室内機２０が配置された室内の空気との間で熱交換を行うことによって、室内の空気の温度を調整可能である。冷媒１９としては、例えば、地球温暖化係数（ＧＷＰ：Global Warming Potential）が低いフッ素系冷媒、または炭化水素系冷媒などが挙げられる。

　室外機１０は、筐体１１と、圧縮機１２と、熱交換器１３と、流量調整弁１４と、送風ファン１５と、四方弁１６と、制御部１７と、を有する。筐体１１の内部には、圧縮機１２、熱交換器１３、流量調整弁１４、送風ファン１５、四方弁１６、および制御部１７が収容されている。

　圧縮機１２と熱交換器１３と流量調整弁１４と四方弁１６とは、循環経路部１８のうち筐体１１の内部に位置する部分に設けられている。圧縮機１２と熱交換器１３と流量調整弁１４と四方弁１６とは、循環経路部１８のうち筐体１１の内部に位置する部分によって接続されている。

　四方弁１６は、循環経路部１８のうち圧縮機１２の吐出側に繋がる部分に設けられている。四方弁１６は、循環経路部１８の一部の経路を切り替えることで、循環経路部１８内を流れる冷媒１９の向きを反転させることができる。四方弁１６によって繋がれる経路が図１の四方弁１６に実線で示す経路である場合、冷媒１９は、循環経路部１８内を図１に実線の矢印で示す向きに流れる。一方、四方弁１６によって繋がれる経路が図１の四方弁１６に破線で示す経路である場合、冷媒１９は、循環経路部１８内を図１に破線の矢印で示す向きに流れる。

　室内機２０は、筐体２１と、熱交換器２２と、送風ファン２３と、制御装置２４と、を有する。筐体２１の内部には、熱交換器２２、送風ファン２３、および制御装置２４が収容されている。室内機２０は、室内機２０が配置された室内の空気を冷やす冷房運転と、室内機２０が配置された室内の空気を暖める暖房運転とが可能である。

　室内機２０が冷房運転される場合、循環経路部１８内を流れる冷媒１９は、図１に実線の矢印で示す向きに流れる。つまり、室内機２０が冷房運転される場合、循環経路部１８内を流れる冷媒１９は、圧縮機１２、室外機１０の熱交換器１３、流量調整弁１４、および室内機２０の熱交換器２２をこの順に通って圧縮機１２に戻るように循環する。冷房運転において、室外機１０内の熱交換器１３は凝縮器として機能し、室内機２０内の熱交換器２２は蒸発器として機能する。

　一方、室内機２０が暖房運転される場合、循環経路部１８内を流れる冷媒１９は、図１に破線で示す向きに流れる。つまり、室内機２０が暖房運転される場合、循環経路部１８内を流れる冷媒１９は、圧縮機１２、室内機２０の熱交換器２２、流量調整弁１４、および室外機１０の熱交換器１３をこの順に通って圧縮機１２に戻るように循環する。暖房運転において、室外機１０内の熱交換器１３は蒸発器として機能し、室内機２０内の熱交換器２２は凝縮器として機能する。

　次に、室外機１０について、より詳細に説明する。図２は、室外機１０を示す斜視図である。図３は、ファングリル６０を分解した状態の室外機１０を示す斜視図である。図４は、図２のＩＶ－ＩＶ線に沿う室外機１０の断面図である。

　図３に示すように、室外機１０の筐体１１は、略直方体箱状である。筐体１１は、筐体１１は、筐体１１の内部空間を前側から覆う前面パネル１１ａと、後側から覆う背面パネル１１ｄと、上側から覆う天板１１ｔを有する。

　天板１１ｔは、筐体１１の内部空間に配置される各部（すなわち、送風ファン１５、熱交換器１３、など）を上側から覆う。天板１１ｔは、庇部１１ｈを有する。庇部１１ｈは、前面パネル１１ａに対して前側（＋Ｘ側）に突出する。庇部１１ｈは、左右方向Ｙにおいてファングリル６０が配置される領域に設けられる。

　前面パネル１１ａには、開口部１１ｂに設けられている。すなわち、筐体１１は、開口部１１ｂを有する。開口部１１ｂは、前面パネル１１ａを前後方向（Ｘ軸方向）に貫通し、前側に開口している。開口部１１ｂは、平面視で略円形の孔である。

　図４に示すように、筐体１１の内部には、筐体１１の内部には、熱交換器１３と送風ファン１５とが収容されるファン室１１ｅが設けられる。また、図示は省略するが、筐体１１の内部には、圧縮機１２および制御部１７が収容される機械室が別途設けられる。ファン室１１ｅと機械室とは、仕切部材によって区画される。

　本実施の形態において送風ファン１５は、プロペラファンである。送風ファン１５は、熱交換器１３の前側（＋Ｘ側）に位置する。送風ファン１５は、モータ１５ａと、回転翼１５ｂと、を有する。回転翼１５ｂは、モータ１５ａによって回転させられる。回転翼１５ｂの回転軸は、前後方向Ｘに延びる。回転翼１５ｂは、筐体１１の内部において開口部１１ｂと対向して配置されている。

　回転翼１５ｂが回転すると、筐体１１の背面パネル１１ｄに設けられる吸気口１１ｆから筐体１１内に空気が吸い込まれる。回転翼１５ｂによって筐体１１内に吸い込まれた空気は、熱交換器１３および回転翼１５ｂを通過して、開口部１１ｂから筐体１１の前側に吹き出される。

　室外機１０は、回転翼１５ｂと対向して配置されたファングリル６０をさらに有する。
ファングリル６０は、回転翼１５ｂの前側に位置する。ファングリル６０は、筐体１１の外部に位置する。図２に示すように、ファングリル６０は、開口部１１ｂおよび回転翼１５ｂを前側から覆っている。ファングリル６０の外周縁部は、筐体１１の前面パネル１１ａの前面に固定されている。ファングリル６０によって、使用者などが回転する回転翼１５ｂに誤って触れることを抑制できる。

　図５は、前面パネル１１ａの正面図である。図６は、ファングリル６０の正面図である。図７は、ファングリル６０を後側から見た斜視図である。次に前面パネル１１ａとファングリル６０との固定構造について説明する。

　図７に示すように、ファングリル６０は、Ｙ－Ｚ平面に沿って平板状に延びる。ファングリル６０は、前側（＋Ｘ側）を向く前面６０ｃと、後側（－Ｘ側）を向く裏面６０ｄと、を有する。ファングリル６０は、裏面６０ｄにおいて、前面パネル１１ａと対向する。

　ファングリル６０は、平面視矩形状のグリル本体６５と、複数の固定部６１、６２と、複数の予備支持部６３と、複数の位置決めピン６４と、を有する。複数の固定部６１、６２は、第１固定部６１と第２固定部６２と、を有する。

　グリル本体６５は、矩形状の枠体６５ａと、枠体６５ａに囲まれた領域に枠体６５ａと一体的に成形されるグリル部６５ｂと、を有する。前後方向Ｘから見て、グリル部６５ｂは、前面パネル１１ａの開口部１１ｂの全体を覆う。グリル部６５ｂは、格子状であり、送風ファン１５によって送られる空気を通過させる。枠体６５ａは、ファングリル６０の上端部に位置する上縁部６５ｔを有する。上縁部６５ｔは、左右方向Ｙに延びる。上縁部６５ｔは、前後方向Ｘを厚さ方向とする板状である。

　本実施の形態のファングリル６０には、２つの第１固定部（固定部）６１と２つの第２固定部（固定部）と、２つの予備支持部６３と、２つの位置決めピン６４と、が設けられる。２つの第１固定部６１は、ファングリル６０の４つの角部６０ａ、６０ｂのうち、上側の２つの角部６０ａにそれぞれ配置される。同様に、２つの位置決めピン６４は、４つの角部６０ａ、６０ｂのうち、上側の２つの角部６０ａにそれぞれ配置される。一方で、２つの第２固定部６２は、４つの角部６０ａ、６０ｂのうち、下側の２つの角部６０ｂにそれぞれ配置される。同様に、２つの予備支持部６３は、４つの角部６０ａ、６０ｂのうち、下側の２つの角部６０ｂにそれぞれ配置される。したがって、ファングリル６０の上側の角部６０ａには、１つの第１固定部６１と１つの位置決めピン６４が配置される。また、ファングリル６０の下側の角部６０ｂには、１つの第２固定部６２と１つの予備支持部６３が配置される。

　図８は、図７の一部であってファングリル６０の上側の角部６０ａを拡大する部分拡大図である。
　第１固定部６１は、ファングリル６０の裏面６０ｄ側に配置される。第１固定部６１は、裏面６０ｄから後側（－Ｘ側）に突出する。第１固定部６１は、いわゆるスナップフィットである。第１固定部６１は、後側（－Ｘ側）に向かって延びる突出部６１ａと、突出部６１ａの先端に位置する係止爪６１ｂと、を有する。係止爪６１ｂは、突出部６１ａの先端から左右方向Ｙに突出する。係止爪６１ｂは、前側（＋Ｘ側）側を向く係止面６１ｃを有する。

　図７に示すように、２つの第１固定部６１のうち右側（＋Ｙ側）に位置する一方の第１固定部６１の係止爪６１ｂは、突出部６１ａの先端から右側（＋Ｙ側）に突出する。一方で、２つの第１固定部６１のうち左側（－Ｙ側）に位置する他方の第１固定部６１の係止爪６１ｂは、突出部６１ａの先端から左側（－Ｙ側）に突出する。すなわち、２つの第１固定部６１の係止爪６１ｂ同士は、左右方向Ｙにおいて互いに反対側に突出する。

　図５に示すように、前面パネル１１ａにおいてファングリル６０上側の角部６０ａと重なる部分には、係止孔９１が設けられる。係止孔９１は、平面視で上下方向Ｚを長手方向とする矩形状である。

　図８に示すように、係止孔９１には、第１固定部６１が挿入される。第１固定部６１の突出部６１ａは、前面パネル１１ａの板面を貫通して係止孔９１の内部に配置される。突出部６１ａの先端は、前面パネル１１ａの後側（－Ｘ側）に達する。第１固定部６１の係止爪６１ｂは、前面パネル１１ａの後側に位置する。なお、ここで、前面パネル１１ａの裏面とは、前面パネル１１ａの一面であって、後側（－Ｘ側）を向く面である。

　係止爪６１ｂに設けられる係止面６１ｃは、前面パネル１１ａの裏面と前後方向Ｘにおいて対向する。係止面６１ｃは、前面パネル１１ａの裏面に接触することが好ましい。また、係止面６１ｃは、係止孔９１の内縁から立ち上げるように折り曲げられた部分と接触していてもよい。係止面６１ｃが前面パネル１１ａと接触することで、第１固定部６１において、ファングリル６０を前面パネル１１ａに安定的に固定できる。しかしながら、係止面６１ｃは、必ずしも前面パネル１１ａと接触していなくてもよい。係止面６１ｃは、前面パネル１１ａの裏面と対向していれば、前面パネル１１ａに対するファングリル６０の離脱を抑制できる。

　図８に示すように、位置決めピン６４は、ファングリル６０の裏面６０ｄ側に配置される。位置決めピン６４は、裏面６０ｄから後側（－Ｘ側）に突出する。位置決めピン６４は、略円柱状である。

　図５に示すように、前面パネル１１ａにおいてファングリル６０上側の角部６０ａと重なる部分には、位置決め孔９４が設けられる。位置決め孔９４は、平面視で円形である。位置決め孔９４の直径は位置決めピン６４の直径より若干大きい。図８に示すように、位置決め孔９４には、位置決めピン６４が挿入される。これにより、位置決めピン６４は、前面パネル１１ａに対するファングリル６０の位置決めを行う。

　図９は、図７の一部であってファングリル６０の下側の角部６０ｂを拡大する部分拡大図である。
　第２固定部（締結固定部）６２は、貫通孔６２ａが設けられる板状の部位である。貫通孔６２ａは、ファングリル６０を貫通する平面視円形の孔である。貫通孔６２ａには、前側（＋Ｘ側）から固定ネジ９５が挿入される。貫通孔６２ａの直径は、固定ネジ９５の軸部９５ａの直径より大きく、固定ネジ９５の頭部９５ｂの直径より小さい。

　図５に示すように、前面パネル１１ａにおいてファングリル６０上側の角部６０ａと重なる部分には、ネジ孔９２が設けられる。ネジ孔９２には、固定ネジ９５が挿入される。これにより、ファングリル６０が前面パネル１１ａにネジ固定される。

　図９に示すように、予備支持部６３は、ファングリル６０の裏面６０ｄ側に配置される。予備支持部６３は、裏面６０ｄから後側（－Ｘ側）に突出する。予備支持部６３は、後側（－Ｘ側）に向かって延びる予備突出部６３ａと、予備突出部６３ａの先端に位置する予備爪６３ｂと、を有する。予備爪６３ｂは、予備突出部６３ａの先端から下側（－Ｚ側）に突出する。予備爪６３ｂは、前側（＋Ｘ側）側を向く係止面６３ｄを有する。

　図５に示すように、前面パネル１１ａにおいてファングリル６０下側の角部６０ａと重なる部分には、予備孔部９３が設けられる。予備孔部９３は、平面視で矩形状である。

　図１０は、図２のＸ－Ｘ線に沿う室外機１０の断面図である。
　図１０に示すように、予備孔部９３には、予備支持部６３が挿入される。予備突出部６３ａは、予備孔部９３の内縁９３ａに囲まれる。予備突出部６３ａの下面６３ｃは、予備孔部９３の内縁９３ａのうち上側を向く下端縁部９３ｂと上下方向Ｚに対向する。

　予備支持部６３の予備爪６３ｂは、前面パネル１１ａの後側（－Ｘ側）に位置する。予備爪６３ｂの下端は、予備孔部９３の下端縁部９３ｂより下側に位置する。したがって、前面パネル１１ａを前側（＋Ｘ側）から見て、予備爪６３ｂの少なくとも一部は、予備孔部９３の内縁９３ａによって隠れる。また、予備爪６３ｂの係止面６３ｄは、前面パネル１１ａの裏面に対向する。

　図１１は、ファングリル６０の組み付け時の作業工程を表す図である。上述したように、本実施の形態の予備爪６３ｂの下端は、予備孔部９３の下端縁部９３ｂの下側に達している。このため、ファングリル６０を前面パネル１１ａと平行な姿勢のまま、前側（＋Ｘ側）から組み付けようとしても、予備支持部６３が予備孔部９３の内縁９３ａに干渉してしまう。このため、図１１に示すように、ファングリル６０は、ファングリル６０の上端部を前側に倒し、予備支持部６３を傾斜させた状態で予備孔部９３に挿入し、次いでファングリル６０を、下端を支点に回転させ前面パネル１１ａと平行な姿勢として、前面パネル１１ａに組み付ける。

　図１０に示すように、筐体１１の庇部１１ｈには、前側（＋Ｘ側）の端部から下側に突出する前側被覆部１１ｋが設けられる。前側被覆部１１ｋは、庇部１１ｈの前端に沿って左右方向Ｙに延びる。前側被覆部１１ｋは、ファングリル６０の上縁部６５ｔを前側（＋Ｘ側）から覆う。すなわち、庇部１１ｈの前側被覆部１１ｋと前面パネル１１ａとの間には、ファングリル６０が配置される。したがって、前面パネル１１ａを前側（＋Ｘ側）から見て、ファングリル６０の少なくとも一部は、前側被覆部１１ｋによって隠れる。

　図４に示すように、本実施の形態の室外機は、送風ファン１５と、送風ファン１５を収容し送風ファン１５に対向する開口部１１ｂが設けられた前面パネル１１ａを有する筐体１１と、前面パネル１１ａに取り付けられ開口部１１ｂを覆うファングリル６０と、を備える。また、筐体１１は前面パネル１１ａより前側（＋Ｘ側）に突出し前面パネル１１ａとの間にファングリル６０を配置させる庇部１１ｈを有する。さらに、図３に示すように、前面パネル１１ａには、予備孔部９３が設けられる。また、ファングリル６０は、前面パネル１１ａに固定される複数の第１固定部６１、および第２固定部６２と、予備支持部６３と、を有する。図１０に示すように、予備支持部６３は、前面パネル１１ａ側に突出し予備孔部９３の内縁９３ａとの間に隙間Ｇを介して予備孔部９３に挿入される。

　本実施の形態によれば、ファングリル６０が、第１固定部６１、および第２固定部６２において支持された状態で、予備支持部６３は、前面パネル１１ａに接触しない。このため、ファングリル６０が風などを受けて振動しても、予備支持部６３が前面パネル１１ａから応力を付与されることがなく、予備支持部６３に疲労が蓄積することがない。一方で、第１固定部６１、第２固定部６２は、前面パネル１１ａと直接的に接触するため、ファングリル６０が振動すると前面パネル１１ａとの接触部から力を受けて損傷が生じる虞がある。さらに、位置決めピン６４は、第１固定部６１、および第２固定部６２が損傷すると、負荷が集中し損傷すると考えられる。

　ここで、第１固定部６１、および第２固定部６２による支持が維持される状態を定常状態と呼ぶ。一方で、第１固定部６１、第２固定部６２、および位置決めピン６４に損傷が生じた状態を、予備支持状態と呼ぶ。

　定常状態から予備支持状態に移行すると、ファングリル６０は、重力によって前面パネル１１ａに対し下側に移動する。この場合、図１０に二点鎖線で示すように、予備支持部６３が予備孔部９３の内縁９３ａの下端縁部９３ｂに接触し支持される。本実施の形態によれば、ファングリル６０に予備支持部６３が設けられ、予備支持部６３が予備孔部９３に挿入されるため、第１固定部６１、第２固定部６２、および位置決めピン６４に損傷が生じても、ファングリル６０が前面パネル１１ａに対し落下することを抑制できる。

　本実施の形態によれば、第２固定部６２は、固定ネジ９５が通されて締結される貫通孔６２ａを有する締結固定部である。すなわち、複数の固定部６１、６２は、締結固定部を含む。また、予備支持部６３と予備孔部９３の内縁９３ａとの間の隙間Ｇは、貫通孔６２ａの内径と固定ネジ９５の軸部９５ａの外径との差分より大きい。

　本実施の形態において、予備支持部６３に疲労を蓄積させないために、予備支持部６３を予備孔部９３の内縁９３ａから確実に離間させることが望まれる。一方で、ファングリル６０は、固定ネジ９５を貫通孔６２ａに挿入して、前面パネル１１ａに固定される。このため、ファングリル６０は、貫通孔６２ａの内径と固定ネジ９５の軸部９５ａの外径との差分だけ、上下方向Ｚ、および左右方向Ｙに相対的な位置ずれを許容する。本実施の形態によれば、隙間Ｇが、Ｙ－Ｚ平面内の何れの方向においても、ファングリル６０に許容される相対的な位置ずれ量よりも大きい。このため、ファングリル６０が、前面パネル１１ａに対し、Ｙ－Ｚ平面内の何れの方向に位置ずれしている場合であっても、予備支持部６３と予備孔部９３の内縁９３ａとの間に確実に十分な大きさの隙間Ｇを確保する事ができる。一例として、隙間Ｇの大きさは、１ｍｍ以上であることが好ましい。

　なお、ここで予備支持部６３と予備孔部９３の内縁９３ａとの間の隙間Ｇの大きさとは、前面パネル１１ａの面方向（すなわち、Ｙ－Ｚ平面）における予備支持部６３と予備孔部９３の内縁９３ａとの間の最短距離を意味している。したがって、隙間Ｇの大きさは、予備支持部６３において、予備孔部９３の内縁９３ａに囲まれる領域（本実施の形態では、予備突出部６３ａ）と内縁９３ａとのＹ－Ｚ平面内での距離である。

　本実施の形態によれば、筐体１１の庇部１１ｈは、前面パネル１１ａより前側に突出し前面パネル１１ａとの間にファングリル６０の上縁部６５ｔを配置させる。ファングリル６０が予備支持部６３で前面パネル１１ａに支持される予備支持状態では、ファングリル６０が予備支持部６３を支点として前側に向かって倒れようとする虞がある。本実施の形態によれば、予備支持状態で、ファングリル６０の上縁部６５ｔが庇部１１ｈに接触することで、ファングリル６０の前側への倒れが抑制される。また、前面パネル１１ａの前側への倒れに伴う予備支持部６３の予備孔部９３からの離脱も抑制できる。結果的に、本実施の形態によれば、ファングリル６０が、前面パネル１１ａに対して落下することを抑制できる。

　また、図１０に示すように、本実施の形態のファングリル６０の上縁部６５ｔは、庇部１１ｈに対して隙間を介して前後方向Ｘおよび上下方向Ｚに対向する。したがって、ファングリル６０の上縁部６５ｔは、定常状態において、庇部１１ｈと接触しない。このため、ファングリル６０が風などを受けて振動しても、上縁部６５ｔが庇部１１ｈから力を受けることがなく、上縁部６５ｔに疲労が蓄積することがない。したがって、第１固定部６１、第２固定部６２、および位置決めピン６４に損傷が生じた場合であっても、ファングリル６０の上縁部６５ｔは、ファングリル６０の前側への倒れを確実に抑制できる。加えて、ファングリル６０の上縁部６５ｔが、庇部１１ｈから離間していることで、ファングリル６０の組立時に上縁部６５ｔが庇部１１ｈに擦れることを抑制することができ、室外機１０の組み立て性を高めることができる。

　図３に示すように、本実施の形態の筐体１１は、送風ファン１５を上側から覆う天板１１ｔを有しており、庇部１１ｈは、天板の一部である。本実施の形態によれば、ファングリル６０を前面パネル１１ａに固定した後に天板１１ｔを組み付けることで、容易に庇部１１ｈと前面パネル１１ａとの間にファングリル６０を配置できる。さらに、本実施の形態によれば、庇部１１ｈが天板１１ｔの一部であるため、庇部１１ｈを別部材として筐体１１に固定する場合と比較して、部品点数を削減することができる。

　図１０に示すように、本実施の形態の庇部１１ｈは、ファングリル６０に対し上側（＋Ｚ側）に配置される。また、予備支持部６３は、ファングリル６０の下端部に配置される。ここで、ファングリル６０の上縁部６５ｔであって庇部１１ｈと前面パネル１１ａとに挟まれる部分の上下方向の長さ寸法を第１寸法Ｈ１とする。また、予備孔部９３の内縁９３ａのうち上側を向く下端縁部９３ｂと下端縁部９３ｂに上下方向に対向する予備支持部６３の下面６３ｃとの間の上下方向の距離寸法を第２寸法Ｈ２とする。第１寸法Ｈ１は、第２寸法Ｈ２より大きい。

　図１０に二点鎖線で示すように、予備支持状態のファングリル６０は、定常状態から予備支持状態に移行する際に、第２寸法Ｈ２だけ下側に移動する。本実施の形態によれば、第１寸法Ｈ１が、第２寸法Ｈ２より大きいため、予備支持状態においても、ファングリル６０の上縁部６５ｔを前後方向で前面パネル１１ａと庇部１１ｈとの間に配置した状態を維持できる。このため、予備支持状態において、ファングリル６０の前側への倒れを、庇部１１ｈにおいて適切に抑制することができる。

　本実施の形態において、予備支持部６３は、前面パネル１１ａ側に突出し予備孔部９３の内部に配置される予備突出部６３ａと、予備突出部６３ａの先端に位置し前面パネル１１ａに沿って延びる予備爪６３ｂと、を有する。

　本実施の形態によれば、予備爪６３ｂは、予備支持状態において予備孔部９３に係止される。これにより、予備支持状態において、ファングリル６０に対して前側（＋Ｘ側）に向かう力が付与された場合でもファングリル６０の前側への離脱を抑制できる。

　なお、予備支持部６３の形状は、本実施の形態に限定されない。予備支持部６３は、予備孔部９３に挿入され、予備支持状態で予備孔部９３の内縁９３ａに支持されるものであればその形状は限定されず、例えば、予備爪を備えていない単純な柱状であってもよい。

　本実施の形態において、前面パネル１１ａを前側（＋Ｘ側）から見て、予備爪６３ｂの少なくとも一部は、予備孔部９３の内縁９３ａによって隠れる。したがって、第１固定部６１、および第２固定部６２などが損傷して、定常状態から予備支持状態に移行する際に、ファングリル６０が前面パネル１１ａに対し前側に移動しようとしても予備爪６３ｂが予備孔部９３の内縁９３ａに係止されることで、ファングリル６０が前面パネル１１ａから離脱することを抑制できる。

　図７に示すように、本実施の形態において、ファングリル６０は、平面視矩形状である。また、第１固定部６１、第２固定部６２、および予備支持部６３は、ファングリル６０の角部６０ａ、６０ｂに配置される。

　ファングリル６０を樹脂成形によって製造する場合、ファングリル６０に反りが発生する場合がある。このため、ファングリル６０は、４つの角部６０ａ、６０ｂの固定部６１、６２において前面パネル１１ａに固定した状態で反りが軽減されるように枠体６５ａの断面形状などが設計される。本実施の形態によれば、予備支持部６３を、固定部６１、６２と同様にファングリル６０の角部６０ｂに配置することで、予備支持部６３でファングリル６０を支持する予備支持状態においても、固定部６１、６２で固定する場合と同様の反り抑制の効果を期待できる。これにより、予備支持状態においても、ファングリル６０と前面パネル１１ａとの間に大きな隙間が生じることを抑制できる。

　本実施の形態では、予備支持部６３がファングリル６０の下側に配置され、庇部１１ｈがファングリル６０の上縁部６５ｔを前側から覆う場合について説明した。すなわち、予備支持部６３が設けられる部分と庇部１１ｈに覆われる部分とは、ファングリル６０の上下方向（又は左右方向であってもよい）において、反対側である。このため、予備支持部６３を支点とするファングリル６０の回転を、庇部１１ｈによって制限しやすく、また組み立て性も高め易い。

　しかしながら、ファングリル６０に対する予備支持部６３、および庇部１１ｈの配置は、本実施の形態の配置に限定されない。例えば、予備支持部６３、および庇部１１ｈは、何れもファングリル６０に対し上下方向の一端部（上端部、又は下端部）に配置されてもよい。また、予備支持部６３、および庇部１１ｈは、ファングリル６０に対し一方が上下方向の端部に配置され、他方が左右方向の端部に配置されていてもよい。このような場合であっても、予備支持部６３でファングリル６０を支持し、庇部１１ｈによってファングリル６０の回転を抑制する効果を一定程度、得ることができる。

　本開示の室外機が備えられる冷凍サイクル装置は、冷媒が循環する冷凍サイクルを利用する装置であればよく、空気調和機に限られない。冷凍サイクル装置は、ヒートポンプ給湯器などであってもよい。

　以上、本明細書において説明した各構成および各方法は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。

　１０…室外機、１１…筐体、１１ａ…前面パネル、１１ｂ…開口部、１１ｈ…庇部、１１ｔ…天板、１５…送風ファン、１８…循環経路部、１９…冷媒、６０…ファングリル、６０ａ，６０ｂ…角部、６１…第１固定部（固定部）、６１ａ…突出部、６２…第２固定部（締結固定部、固定部）、６２ａ…貫通孔、６３…予備支持部、６３ａ…予備突出部、６３ｂ…予備爪、６３ｃ…下面、６５ｔ…上縁部、９３…予備孔部、９３ａ…内縁、９３ｂ…下端縁部、９５…固定ネジ、９５ａ…軸部、１００…冷凍サイクル装置、Ｇ…隙間、Ｈ１…第１寸法、Ｈ２…第２寸法

Claims (8)

1. 　冷凍サイクル装置の室外機であって、
   　送風ファンと、
   　前記送風ファンを収容し、前記送風ファンに対向する開口部が設けられた前面パネルを有する筐体と、
   　前記前面パネルに取り付けられ前記開口部を覆うファングリルと、を備え、
   　前記筐体は、前記前面パネルより前側に突出し前記前面パネルとの間に前記ファングリルを配置させる庇部を有し、
   　前記前面パネルには、予備孔部が設けられ、
   　前記ファングリルは、
   　　前記前面パネルに固定される複数の固定部と、
   　　前記前面パネル側に突出し前記予備孔部の内縁との間に隙間を介して前記予備孔部に挿入される予備支持部と、を有する、
   室外機。
2. 　前記庇部は、前記ファングリルに対し上側に配置され、
   　前記予備支持部は、前記ファングリルの下端部に配置され、
   　前記ファングリルの上縁部であって前記庇部と前記前面パネルとに挟まれる部分の上下方向の長さ寸法を第１寸法とし、
   　前記予備孔部の内縁のうち上側を向く下端縁部と前記下端縁部に上下方向に対向する前記予備支持部の下面との間の上下方向の距離寸法を第２寸法とし、
   　前記第１寸法は、前記第２寸法より大きい、
   請求項１に記載の室外機。
3. 　前記予備支持部は、
   　　前記前面パネル側に突出し前記予備孔部の内部に配置される予備突出部と、
   　　前記予備突出部の先端に位置し前記前面パネルに沿って延びる予備爪と、を有する、
   請求項１又は２に記載の室外機。
4. 　前記前面パネルを前側から見て、前記予備爪の少なくとも一部は、前記予備孔部の内縁によって隠れる、
   請求項３に記載の室外機。
5. 　複数の前記固定部は、固定ネジが通されて締結される貫通孔を有する締結固定部を含み、
   　前記隙間は、前記貫通孔の内径と前記固定ネジの軸部の外径との差分より大きい、
   請求項１～４の何れか一項に記載の室外機。
6. 　前記ファングリルは、平面視矩形状であり、
   　前記固定部、および前記予備支持部は、前記ファングリルの角部に配置される、
   請求項１～５の何れか一項に記載の室外機。
7. 　前記筐体は、前記送風ファンを上側から覆う天板を有し、
   　前記庇部は、前記天板の一部である、
   請求項１～６の何れか一項に記載の室外機。
8. 　請求項１～７のいずれか一項に記載の室外機と、
   　冷媒が流れる循環経路部と、を備える、冷凍サイクル装置。

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