JP2022052581A - ナノファイバーのフィルターによる微粒子捕捉方法及びその装置 - Google Patents

ナノファイバーのフィルターによる微粒子捕捉方法及びその装置 Download PDF

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【課題】ナノファイバーのフィルターによる微粒子捕捉方法及びその装置を提供する。【解決手段】リン酸廃液中に混入した微粒子をナノフィルターによって除去する微粒子捕捉方法であって、ナノフィルターはポリフッ化ビニリデンに溶媒としてN-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシドのいずれかを選択し、これに直径が0.20mm以下のカーボンブラック微粒子を混入してナノファイバー紡糸液とし紡糸してナノファイバー綿とし、出来上がったナノファイバー綿をメタノール又はイソプロピルアルコールに浸漬してナノフィルターを形成し、出来たナノフィルターは間隔をおいて少なくとも複数段を直列配列し、各ナノフィルターにリン酸廃液を投入し微粒子をナノフィルターで捕捉してリン酸廃液を濾過するナノフィルターを用いた微粒子捕捉方法及び装置。【選択図】図7

Description

本発明は、ナノファイバーのフィルターによる微粒子捕捉方法及びその装置に関する。
近時、一般的に直径が1ミクロン(=1,000nm)以下の太さの繊維で定義されるナノファイバーが開発され、ナノファイバーの製造法としては、ESD(Electro-Spray Deposition)法、或いは、エレクトロ・スピニング法と呼ばれる技法が最も注目され、その技術が開発されている(例えば、特許文献1参照)。しかし、エレクトロ・スピニング法は高圧の電圧が必要となることから、特に、ポリビニルアルコール(PVA)等の電導性のある高分子材料を使用することは危険であり、取り扱いが厄介であった。また、高分子材料の溶融液にカーボン微粒子を混入させて紡糸することは、カーボンブラック微粒子が電導性であることから、ESD法でナノファイバーを紡糸することはできない。
また、高電圧電極を使用しない従来の合成繊維であるマイクロオーダーの製造法として、非特許文献1には、前掲のエレクトロ・スピニング法の他に、現在、海島複合紡糸法、低粘度の溶解ポリマーを吹き飛ばすメルトブロー紡糸法、ポリマー溶液を急激に膨脹させてポリマーを吹き飛ばしながら固化・繊維化させるフラッシュ紡糸法が開発されていることが開示されている。この溶解だけの極細繊維の製造方法として、上記の非特許文献1には、溶液に溶かして紡糸する方法としてポリマーブレンド紡糸法があり、これは2種のポリマーをブレンドしておき、これを繊維化した後に、海ポリマーを溶出する極細紡糸法であり、μmオーダーの太さが限界とされている。
そこで、本発明者らは、特許文献2及び特許文献3に示すように高分子を溶剤に溶かして低粘度にし、さらに極細径のノズルから噴射空気とともに吹き出して延伸し、ナノファイバーを製造することに成功した。これを利用して、呼吸器系に沈着して健康に影響を及ぼす大気中に浮遊する微小粒子状物質PM2.5を捕捉する薄膜防臭遮蔽部材を製造している。なお、特許文献2の素材は微小粒子状物質PM2.5を捕捉以外にウィルス等の飛沫を捕捉することも判ってきた。
また、低圧損で通気性を保ちつつ、微小ダストを捕捉するナノファイバーを使用したエアフィルター又は微粒子捕捉用不織布基材は特許文献4として提供されている。
しかしながら、特許文献3のエアフィルター不織布基材は、従来のナノファイバーの製造がエレクトロスピンニング法によるナノファイバー紡糸装置を使用しており、前述の不都合な問題点が存在し、さらに、不織布面上に、繊維状又はパウダー状の接着剤を散布して不織布を積層しているので、これらの接着剤がナノファイバーで形成し通気する隙間を埋めてしまい、通気の効率を低下させてしまうという問題点もあった。
特開2011-127234号公報 特開2014-144579号公報 特開2019-37963号公報 特開2014-114521号公報
SEN'I GAKKAISHI(繊維と工業)Vol.63,No.12(2007)423~425P[溶解紡糸型ナノファイバーの開発]越智隆志
上述したように、これらの特許文献1、4は、従来のエレクトロ・スピニング法によってナノファイバーを製造したもので、高圧の電圧が必要で危険であり、特に、本発明のようにカーボンブラック微粒子を紡糸溶液に混入して紡糸することは、生産効率も高くなく、取り扱いが厄介であり、製造コストが嵩むという問題点がある。
本発明の課題は、このような問題点に鑑みてなされたもので、微粒子除去用ナノファイバーよりなるフィルターによって、特に、無機物や金属の微粒子を効率よく捕捉する微粒子除去用ナノファイバーのフィルターによる濾過方法及びその装置である。
上記課題を解決するために、本発明の微粒子捕捉用ナノファイバーのフィルターによる濾過方法及びその装置であって、ナノフィルターは長分子配列を有するポリフッ化ビニリデン(PVDF)に溶媒としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルスルホキシド(DMSO)のいずれかを選択し、この溶液に直径が0.20mm以下のカーボンブラック微粒子を混入してナノファイバー紡糸液とし、この紡糸液からナノファイバーを紡糸し、出来上がったナノファイバー積層体をメタノール又はイソプロピルアルコールに所定時間浸漬し、
該ナノフィルターは間隔をおいて少なくとも複数段(好ましくは4段以上)を直列に配列し、
各ナノフィルターの上部からリン酸廃液を加圧、及び/又は下部からリン酸廃液を吸引して微粒子を前記ナノフィルターで捕捉しつつリン酸廃液を通過させることを特徴とするナノフィルターを用いた微粒子捕捉方法及びその装置である。
また、前記紡糸する高分子材料は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の高分子材料で、溶媒はN-メチル-2-ピロリドン(NMP)を用いるが、他にN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルスルホキシド(DMSO)のいずれかでもよい。また、紡糸する効率を向上させるために、トルエンを少量添加してもよい。
なお、実施例では、微粒子捕捉用ナノファイバーのフィルターの製造方法において、溶剤に溶解して加圧して紡糸ノズルから紡糸し、該紡糸ノズルの中心吐出口を囲むように、該中心吐出口と同軸にリング状の高速吹出口を設け、該高速吹出口からの気流によって紡糸ノズルからの前記高分子材料を延伸するとともに溶剤を気化するようにしてナノファイバー状の繊維を捕集基材で積層捕集するが、ノズル先端のノズルの内径は、0.13mmから0.18mmであるので、溶解液に混入するカーボンブラック微粒子の直径は少なくとも0.13mm以下でなくてはならず、本実施例では24nmである。
さらに、微粒子捕捉用ナノファイバー積層体の製造方法においては、前記高分子材料を延伸する空間環境は、温度が30℃から40℃で湿度を60%以上にし、また、前記高分子材料であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)を延伸する空間環境には、紡糸する高分子材料の溶剤の気化を促進するために赤外線加熱器を用いる。
本発明のナノファイバーの微粒子捕捉フィルターは、微粒子を捕捉するために形成する目が細かく、また、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノファイバー自体にカーボンブラックの微粒子をまとわせて、このカーボンブラックに微粒子を吸着し、さらにナノファイバーの目詰まりを解消するためにメタノール又はイソプロピルアルコールに所定時間浸漬したので、適度の濾過機能を有する。
したがって、所定の厚さからなるナノファイバー層の微粒子捕捉フィルターにより、ナノ単位の微粒子の捕捉が可能であり、これを数段繰り返して直列にして濾過すれば、最終的には微粒子が10ppm以下までさげられる。
また、ナノファイバーの素材としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を使用したのでリン酸液等の耐薬品に強く、耐侯性にも優れており、放射線にも強い樹脂であるので、洗浄も簡単に行える。
さらに、接着剤やナノファイバーのスプレーのノズルは、セラミック又はルビーとしたので中心吐出口は耐熱性、及び耐久性があり変形も少なく、高温加熱した高分子繊維を長時間紡糸してもナノファイバーにも変形がなく、均一のナノファイバーの直径が維持できる。
さらに、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノファイバー層は通気性も十分よく、十分に強度があり、安価に大量に製造できる。
微粒子捕捉用ナノファイバー積層体の製造装置の全体を示す説明図、 図1におけるナノファイバー生成部の概略の説明図、 図2のノズル及びその先端部分の噴射空気吹出ノズルの拡大図、 図4(a)は、図2の高分子供給管の側面図、図4(b)はその断面図、 微粒子捕捉用ナノファイバーのフィルターに用いた微粒子捕捉構造の1つを拡大した説明図、 本発明の図6のナノフィルターを用いた微粒子捕捉構造を多段して微粒子捕捉方法を構成したシステムの全体の説明をする概念図、 図7(a)は、実施例1のポリフッ化ビニリデン(PVDF)の200倍の電子顕微鏡の写真、図7(b)は、その1000倍の電子顕微鏡の写真、 図8(a)は、実施例1のポリフッ化ビニリデン(PVDF)に直径24nmのカーボンブラックの微粒子を混入した200倍の電子顕微鏡の写真、図8(b)は、その1000倍の電子顕微鏡の写真、 図9(a)は、図8のカーボンブラック入りのポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノファイバーをメタノールに60分浸漬した後の200倍の電子顕微鏡の写真、図9(b)は、その1000倍の電子顕微鏡の写真、 図10(a)は、図8のカーボンブラック入りのポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノファイバーをイソプロピルアルコールに60分浸漬した後の200倍の電子顕微鏡の写真、図10(b)は、その1000倍の電子顕微鏡の写真、 ナノファイバーが1段による厚さ毎のフィルターの濾過性能を分析した[表2]の図、 フィルター基板の段数、及び、カーボンブラック微粒子を含有させたナノファイバーによるフィルターの濾過性能を分析した[表3]の図、 カーボンブラック微粒子を含有させポリフッ化ビニリデン(PVDF)をメタノール又はイソプロピルアルコールに60分浸漬した後の濾過性能を分析した[表4]の図である。
(実施例1)
本発明のナノファイバーを製造する装置の全体構成は、概略、図1に示すようなもので、先ず、図面左からナノファイバーを生成するナノファイバー生成工程Aで、このナノファイバー生成工程Aは材料液供給部1、紡糸部2、吹付部3から構成され、材料液供給部1にはナノファイバー材料液N1が貯蔵され、紡糸部2、吹付部3でナノファイバー繊維N2が生成され、次に、吹き付けられたナノファイバー繊維N2を受け取りナノファイバー積層体N3として積層する捕集積層形成工程Bが設けられ、この捕集積層形成工程Bは捕集部4からなり、次に、捕集されたナノファイバー積層体N3を捕集部4の捕集帯41から剥がす積層体離脱工程Cで、この積層体離脱工程Cは積層体離脱部5の移送ベルト52の前半部分で水洗装置51の水洗ノズル511からの噴射水によって捕集帯41からナノファイバー積層体N3を離脱する。
離脱する際にナノファイバー積層体N3は残った溶媒も噴射水によって水洗いするが、移送工程の一対の駆動ローラ53によって稼働されるエンドレスベルトの移送ベルト52に移送され、移送ベルト52の後半部分には乾燥装置6が設けられ、乾燥装置6はエアブロー装置(空気吹出装置)61の空気噴射ノズル611によって残った水分は除去される。この移送ベルト52の下には水受けの水貯留箱54が設けられ、適宜に外部に排出される。すなわち、水洗装置51は、ナノファイバー積層体N3を捕集帯41からの脱離と、ナノファイバー積層体N3に残った溶媒の水洗を同時に行なう。
そして、移送ベルト52に末端部531から、ナノファイバー積層体N4はバラバラの綿状になり、フィルターの中間製品であるナノファイバー綿N5となって集積部7に集積される。
以下に、前述したAからEの各構成の詳細を説明する。
[ナノファイバー生成工程A]
以下に、前記各工程を順次具体的に説明する。
先ず、ナノファイバー生成工程Aは、材料液供給部1、紡糸部2、吹付部3から構成される。以下、この順に詳細を説明する。
[材料液供給部1]
図1で、左側には材料液供給部1と紡糸部2であるが、これの拡大図が図2であるが、図示されるように、複数の紡糸のノズル部22が設けられ、実施例1では、材料液タンク11にはポリフッ化ビニリデン(PVDF)紡糸液N1を投入する。ここで実施例1に使用したポリフッ化ビニリデン(PVDF)紡糸液N1の組成は次のとおりである。
実施例1:ポリフッ化ビニリデン(PVDF)紡糸液N1の組成
ポリフッ化ビニリデン(PVDF) ・・・・13.00重量%
N-メチル-2-ピロリドン(NMP) ・・85.15重量%
トルエン ・・・・ 1.00重量%.
カーボンブラック微粒子 ・・・・ 0.85重量%
合計 ・・・・・・100.00重量%
本実施例では、PVDFを延伸するために先ずN-メチル-2-ピロリドン(NMP)で溶解する。この際、前記のようにN-メチル-2-ピロリドン(NMP)85.15重量%に対してPVDFのペレット13.00重量%を混合して溶解液を作るが、この数値よりもN-メチル-2-ピロリドン(NMP)があまり多すぎるとナノファイバーを形成せず、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の濃度が高すぎても太い繊維した形成しなかったり、ノズル部が詰まったりする不都合が生じる。
また、シリカの微粒子の捕捉性能を高めるために、溶液に直径が0.20mm以下のカーボンブラック微粒子を混入してナノファイバー紡糸するが、図3のノズル部2の吹出口2212の最小中心軸孔2211の内径の0.13mmよりも更に小さい直径でなければならず、本実施例では、三菱ケミカル社のMA110の粒子径が24nmのカーボンブラック微粒子を使用した。後述するが、出来上がったポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノファイバー積層体をイソプロピルアルコールに40分から70分の所定時間浸漬して、微粒子捕捉用ナノファイバーのフィルターとして仕上げる。 なお、溶剤としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)の代わりに、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルスルホキシド(DMSO)を用いてもよい。
また、溶解方式ではなく溶融方式でもナノファイバーを製造することは可能であるが、この場合には基剤としてポリプロピレン(PP)が使用でき、他に高熱で溶融する溶融方式でのナノファイバーを使用する。
なお、この明細書では詳細は触れないが、本発明者が開発した高熱でポリプロピレン(PP)で溶融するナノファイバー製造装置を転用すればよい。
このようなポリフッ化ビニリデン(PVDF)をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に溶かし、カーボンブラック微粒子を混入した材料液は、材料液タンク11から送給ポンプ12から移送管13の順で紡糸部2に供給される。
この移送管13には、温水保温部14からの温水は、各移送管13に設けられた温水分配器141が供給され、この温水分配器141はノズル部22のナノファイバー材料(ポリフッ化ビニリデン(PVDF))をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)で溶かした液N1を40℃から60℃に維持するような構成で、各ノズル部22も所定の温度を維持するようにしている。この配置は図2に示すように、温水出口144から配管145で直列に繋ぎ温水戻り口146に戻るように循環している。
この分配器141で各移送管13中のナノファイバー材料液N1を40℃から60℃程度に温めるのは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を延伸するには常温の40℃から60℃が適温であるからである。
このように、本実施例では、温水保温部14は温水器142で各分配器141に必要な温水を40℃から60℃程度にして貯留し、ポンプ143によって各分配器141に送給し循環するようにしたので、各紡糸部2へ送給するナノファイバー材料液N1も所定の40℃から60℃程度に温められる。なお、温度維持に温水を用いたのは、ヒータ等とは異なり、温度管理が比較的容易に空間環境が乾燥状態にならないからである。
[紡糸部2,吹付部3]
次に、移送管13からナノファイバー材料液N1が送り込まれる紡糸部2と吹付部3について説明するが、この紡糸部2は図2から図4に示すようなもので、紡糸部2は、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)をN-メチル-2-ピロリドン(NMP)に溶解してナノファイバー吹付部21のノズル部22から外部に吹き出し延伸するものである。図2の部分拡大図に示すように、先ず、材料液供給部1の移送管13はノズル部22の高分子供給部24の高分子供給管241に連結し、図4に示すように、高分子供給管241の中心に設けられた貫通孔234は、ノズル部22のノズル本体221に連通し、その先端からナノファイバー繊維N2を噴射する。このノズル部22はセラミックで、特にルビーのノズル本体221はその中心に先端の吐出口2212に続く中心軸孔2211が設けられている。
また、本実施例で、上下方向に6段のノズル部22群が設けられ、水平方向にも6列(1段につき)のノズル部22群が設けられ、計36個のノズル部22が配置されている。各段の水平方向の6個のノズル部22は15cm間隔で水平棒等に固定され、このノズル部22と材料液供給部1とは一体で水平に幅方向15cm程度左右に移動するように稼働する。したがって、出来上がるナノファイバー繊維N2は90cmの幅で左右に振り分けられてナノファイバー積層体N3として形成される。
上下方向に設けられる各段ノズル22群において、上下に近接するノズル部22の位置は、ナノファイバー積層体N2での継ぎ目が重ならないように、ずらして配置して、ナノファイバー積層体Nの厚さが均一になるようにしている。
また、ノズル部22から積層体捕集部4の捕集帯41までの距離は165cm程度とし、高分子材料であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)の延伸が十分行われ、溶媒の気化が十分に行われる距離にしてノズル部22から積層体捕集部4に向けて飛散するようにしている。
また、吐出口2212の内径は0.1mmから0.2mmとし、本実施例では0.15mmとしているが、0.2mm以上だと延伸してもナノオーダーの細さが得にくく、細い方が良いが0.1mm以下だと詰まって紡糸速度が遅くなってしまう。
[高速風吹出部26]
高速風吹出部26の高速風吹き出しノズル部261は、図3に示すように、ノズル本体221は、中心軸孔2211の周りには、中心軸孔2211を包むように同軸状にリング状の高速風吹出通路262が形成され、高速風吹出通路262の先端には所定の吹出角度を有したリング状の高速風吹出口263が設けられ、この高速風吹出口263は前記吹出口263より僅かにX=5mm程度(5~7mm)突出して、整流が生じるようにするのと、含まれる水分の気化が促進されるように、従来よりも高速風吹出口263の口径も幾分広い。
また、ナノファイバー吹付部21の中間部には、高速風吹出通路262の他端に連通する空気供給部28が設けられ、この空気供給部28には、常温の20℃、或いは多少暖かい20~40℃程度の空気(気流)がエアポンプ281により供給され、吐出口2212から紡糸されるポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノファイバー繊維を高速風吹出口263の高速気流で包むようにして下流に引っ張るように延伸する。この所定の吹出角度を有する高速風吹出口263が延伸気流手段を構成している。
また、延伸気流手段のノズル部22は主にノズル本体221とノズル支持体222とからなり、図3における吐出口2212の近傍の拡大図に示すように、ノズル本体221には長手方向に溶解高分子であるPVDFが噴出する中心軸孔2211が設けられるが、この中心軸孔2211の下流側の先端部には吐出口2212が設けられる。本発明のノズル部22におけるノズル本体221の材質はセラミック又はルビーが最適で、本実施例ではルビーである。
この吐出口2212であるノズル内径は0.13mmから0.18mmとしたが、0.18mm以上だとナノ単位の繊維状のナノファイバーが生成しづらく、0.13mm以下だとノズル内径に溶解した高分子が詰まってしまうので、本実施例では0.15mm程度とした。また、従来はノズル内径を0.15mmとしたが、材質を金属のステンレスとしたため、すぐに太いファイバーに変質してしまうことが判明した。これは繰り返し加重や圧力の為にステンレスのノズル内径が拡がってしまうことに起因することが判った。このため、耐熱性や対摩耗性に優れ高温下でも変形しないルビー(セラミック)を使用すると、長時間連続稼働させても、高品質の高分子ナノファイバー積層体N3を生成することができた。
しかし、セラミックやルビーは加工が難しく、ネジ等を設けた金属のノズル支持体222にノズル吐出口2212をネジ等で固着することが困難であった。そのため、図3に示すように、ノズル本体221の上流の末端に外側に突出した肉厚の鍔部2213を設け、対応するノズル支持体222の内孔2221の下流の末端に内側に突出する係止部2222を設けて、ノズル本体221をノズル支持体222の内孔2221の上流の開口2223から挿入して、鍔部2213を係止部2222に密着嵌合させて固着する。このような構造なので、下流側に高い圧力で溶解高分子が挿入されてもノズル本体221がノズル支持体222から離脱することがない。この場合、内孔2221の内径はノズル本体221の外径および鍔部2213の外径よりも大きく、ノズル支持体222の先端係止部2222の内径はノズル本体221の外径よりも小さく、鍔部2213の外径よりも小さくする必要がある。
中心軸孔2211の外周部231及び吐出口2212側の外周部2224と高速風吹出通路262の内周壁との間には通路隙間を維持するスペーサー部が適所に設けられて間隔を維持して高速風吹出通路262を形成している。
なお、高分子導入管23は、図4に示すようなもので、高速風吹出通路262は、空気導入部枠体272と高分子導入管23との外周部231の隙間に噴射空気導入溝232が形成され、この溝を通じて高速風が通過する。
この延伸気流手段を更に説明すると、高速気流でポリフッ化ビニリデン(PVDF)繊維を更に延伸するのでリング状の高速風吹出口263の吹出角度(中心軸孔2211の軸を中心としての左右の合算角度)が重要であるが、実験の結果、角度30°~60°程度、すなわち、高速風吹出口263の高速気流の吹出方向は、前記中心軸の吐出口2212の中心軸線に対して15°~30°の角度の範囲が好ましく、角度30°(中心軸と角度15°)以下だとポリフッ化ビニリデン(PVDF)との接触力が小さく延伸作用が小さく、角度60°(中心軸と角度30°)以上だと接触しての負圧が生じないのでやはり延伸作用が少なく、本実施例1では角度38°(中心軸と角度19°)とすることで延伸作用が効率的に作用した。
このように、高速風吹出口263からの気流が適正に紡糸したポリフッ化ビニリデン(PVDF)繊維に当たらないと、μオーダーの極細繊維で終わってしまいナノファイバーにはならない。
また、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)繊維を効率よくナノ単位に延伸するのは、溶媒により溶解して低粘度にすることが重要であるが、延伸気流手段は、吐出口2212から紡糸後も高速噴射空気で延伸させる必要があり、更に重要なのは、延伸するとともにポリフッ化ビニリデン(PVDF)繊維内に含まれる溶剤のN-メチル-2-ピロリドン(NMP)気化して飛ばして除去する必要があり、そのために、高速風吹出口263は紡糸ノズル部22の吐出口2212より僅かにX1=5mm(5~7mm)程度突出させ、吐出口2212から紡糸されるポリフッ化ビニリデン(PVDF)繊維の溶媒の気化を促進するように構成している。
この高速風吹出口263と吐出口2212との流れ方向での所定距離X1は、5から7mm程度の突出にすると、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)繊維の高速風による延伸作用が適度に作用し、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)繊維の延伸と溶剤の速やかな除去を両立させることが出来ることが実験によって判明した。
[吹付部3]
そして、ノズル部2からナノファイバー材料液N1が噴射され、積層体捕集部4の捕集帯41まで空間環境を飛行する。
この際に、ノズル部22からナノファイバーの積層捕集部4の捕集帯41までの空間距離は165cm程度としたが、高分子素材であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)の延伸が十分行われ、溶剤が飛散し気化が促進する距離であると考えられるが、ノズル部2の噴射力だけでは、ナノファイバー繊維N2は、積層体捕集部4までは到達しないが、次の捕集積層形成工程Bで強力な吸引機構を設けて、下流側への強力な気流を生じされてナノファイバー繊維N2を積層捕集部まで到達するようにしている。
また、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)繊維内に含まれる溶剤の気化を促進させるために、ノズル部2から捕集積層形成工程Bまでの生成されるナノファイバーが飛行する間の空間に、例えば、空間の両側に赤外線加熱装置31を設けて照射し、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)の分子を励起し、環境の温度を上げるのではなく、分子自体の温度を上げるようにしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)N1の材料液内の溶剤で気化を促進している。
[ナノファイバーの捕集積層形成工程B]
次に、ナノファイバー生成工程Aで生成されたナノファイバーを、その下流でナノファイバーを積層する[ナノファイバーの捕集積層形成工程B]の積層体捕集部4を図1で参照して説明する。
ナノファイバー積層体Nの積層体捕集部4は、図1に示すように、エンドレスで移動する網状で捕集帯41であり、材質は非電導体の合成樹脂で形状はネット或いは網であり、大量に空気が通過できることができるものであればよい。
本実施例1では、積層体捕集部4が合成樹脂であるポリプロピレン(PP)のモノフィラメントの網で、合成樹脂の繊維径は直径0.24mm、開口部サイズは、1.03mmで、高分子素材の結束部のない平織で交点はフリーである。
この積層体捕集部4は、以上のような構成なので(密度15~20本/inch)、貫通する空気の空気抵抗は十分に少なく、捕集帯41はナノファイバー積層体N3を軽く保持するだけで、結束部がないことで捕集帯41はナノファイバー積層体N3が絡みつくことがなく、後の工程で直ぐに離脱することができる。場合によっては、予め、離型材としてフッ素系樹脂かシリコン系樹脂で正面処理を施しておいてもよい。
なお、捕集帯41の材質はポリプロピレン(PP)樹脂以外でもポリエチレン樹脂、グラスファイバーにPVCコーテングしたコンベアネット、結束部のない金属コンベアネットでも良く、要はコンベアネットからナノファイバー積層体N3の離脱が極めて容易であれば良い。
また、メッシュのサイズも下記の[表1]のようなものが使用可能である。
[表1]
(1) 18メッシュ:繊維径 0.26mm 開口部サイズ 1.15mm
(2) 20メッシュ:繊維径 0.24mm 開口部サイズ 1.03mm
(3) 24メッシュ:繊維径 0.22mm 開口部サイズ 0.84mm
(4) 26メッシュ:繊維径 0.19mm 開口部サイズ 0.78mm
(5) 30メッシュ:繊維径 0.18mm 開口部サイズ 0.67mm

この捕集帯41は、駆動ローラ42によって図1で反時計回りに移動し、従動支持ローラ43a~cによって所定位置で支持され反時計回りに移動する。なお、実施例1のメッシュは前記[表1]での(2)である。
なお、駆動ローラ42の駆動は、仕上がるナノファイバー積層体N3の厚さを調節するが、ナノファイバーの厚みが5から100μmになるように制御する。
図1において、ナノファイバー生成工程Aのノズル部22に対向した位置に、従動支持ローラ43b,43cによってほぼ垂直平面の捕集面44を形成しており、この捕集面44でナノファイバー積層体N3を連続的に捕集し、後述する積層体離脱工程Cに移動してナノファイバー積層体N3を捕集帯41から離脱して駆動ローラ42によって上方に方向転換し、更に従動支持ローラ43aによって方向転換し、従動支持ローラ43eに案内され循環する。
捕集面44の裏側には、吸引室461と上下方向に複数(本実施例1では上段・中段・下段の3個)の吸引ダクト462とこれらに連なる空気の吸引機構46が設けられ、該吸引ダクト462にはそれぞれ風量を調整する風量調整シャッター463が付随して設けられ、ナノファイバー生成工程Aで生成されたナノファイバー繊維N2及びナノファイバー積層体N3を捕集帯41に吸い寄せている。
捕集帯41を平面に保つためにその裏面に合成樹脂等の平面保持部材441が間隔を隔てて設けられている。なお、捕集面44の表側には、効率よくナノファイバー繊維N2を捕集面44に誘導するために捕集面44に収束するようにラッパ状の案内部材442が設けられている。
吸引ダクト462にはそれぞれ風量を調整する風量調整シャッター463が付随して設けられているが、捕集面44でのナノファイバー積層体Nの吸い付き量は、吸引ダクト462の開口面積のよって調整される。吸い付き量が大きいと離脱工程Cで行程捕集帯41からナノファイバー積層体N3が離れずらくなるので簡単に離れるように調整する。
こうして、捕集帯41上に垂直で連続的に形成したナノファイバー積層体N3は、捕集帯41の下方への移動に伴って、移動し右方向に水平に移動し積層体離脱部5でナノファイバー積層体N3を離脱して、駆動ローラ42から循環案内させる。
[ナノファイバー積層体N3離脱工程C、移送工程D]
このように、捕集帯41に積層したナノファイバー積層体N3は、捕集帯41の従動支持ローラ43cと駆動ローラ42との間で、捕集帯41から離脱して水洗コンベヤ5に移る。この水洗コンベヤ5は、軽く積まれたナノファイバー積層体N4をメッシュのエンドレスベルトの移送ベルト52で次工程に移送する。この移送ベルト52はメッシュ構造で水が下方に通過でき、移送ベルト52の両端には駆動ローラ53が設けられ、集積部7側に移動(図1で左から右)する。
これを更に詳しく説明すると、積層されたナノファイバー積層体N4には上方から送水装置51の水洗シャワーを構成する噴射ノズル511からの水の噴射によって離脱(脱離工程C)させるとともに、噴射ノズル511からの水の噴射によってナノファイバー積層体N4の中に僅かに付着しているN-メチル-2-ピロリドン(NMP)やトルエン等の溶剤や、捕集面44に付着したゴミを水洗シャワーで水洗する。この場合、積層捕集部4が合成樹脂であるポリプロピレン(PP)のモノフィラメントの網であると、ナノファイバー積層体N3が送水装置51の噴射ノズル511からの水の噴射程度で簡単に離脱可能である。
このように、噴射ノズル511はゴミ除去も兼ねており、捕集帯41に残ったナノファイバー片やゴミを除去し、綺麗な状態の捕集帯41を送り出す。なお、必要に応じて、離型材付与装置等を設けて、ナノファイバーが離脱しやすいようにしても良い。なお、この時のナノファイバー積層体N3は、目付重量が3gから20g/mであった。
この水の噴射ノズル511はナノファイバー積層体N3の全幅に亘って設けるか、左右にトラバースするようにしてもよく、要は、捕集帯41から無理なくナノファイバー積層体N3が脱離され移送ベルト(エンドレスベルト)52への移行できるような機構であればよい。移送ベルト52の下側には噴射ノズル511からの水を受ける水貯留箱54が設けられ落下する水を適宜の装置により排水する。
噴射ノズル511の水洗シャワーで洗浄されたナノファイバー積層体N4は、移送工程Dである移送ベルト52の後半に設けた乾燥装置6が配置されており、この乾燥装置6はエアブロー装置61の空気噴射ノズル611によってナノファイバー積層体N4を乾燥する。
なお、水洗の噴射ノズル511、及び、乾燥の空気噴射ノズル611は、ナノファイバー積層体N4の全幅に亘って設けるか、左右にトラバースするようにしてもよい。
[製品貯蔵工程E]
最後に、ナノファイバー積層体N4をエンドレスベルト52の乾燥装置6のエアブロー装置61側の端部から、図1に示すように、ナノファイバー積層体N4を集積部7に投入する。この際、ナノファイバー積層体N4は軽く積まれているだけなので、バラバラになり綿状になり、フルターの中間製品であるナノファイバー綿N5となって集積部7に集積される。
ここで、上記の出来上がった中間製品のナノファイバー積層体N5について説明する。
図7(a)は、比較例1のカーボンブラックを混入していないポリフッ化ビニリデン(PVDF)の200倍の電子顕微鏡の写真、図7(b)は、その1000倍の電子顕微鏡の写真であるが、電子顕微鏡写真からもナノオーダーのポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノファイバー積層体が出来上がっていることが判る。このナノファイバー積層体の目付重量は3gから20g/mであった。
図8(a)は、実施例1のポリフッ化ビニリデン(PVDF)に直径24nmのカーボンブラックの微粒子を混入した200倍の電子顕微鏡の写真、図8(b)は、その10000倍の電子顕微鏡の写真である。
図7と図8を比較すると、実施例1のポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノファイバーは、ファイバー以外のカーボンブラック微粒子がナノファイバーに絡まっていることが判る。
次に、図9(a)を示すが、図8でのメタノールに60分(通常40分から70分)浸漬した後の200倍の電子顕微鏡の写真、図9(b)は、その1000倍の電子顕微鏡を示すが、カーボンブラック微粒子が削ぎ落とされており、水が通過する隙間が確保されているのが判る。
また、同様に、図10(a)を示すが、図8でのイソプロピルアルコールに60分(通常40分から70分)浸漬した後の200倍の電子顕微鏡の写真、図10(b)は、その1000倍の電子顕微鏡を示すが、カーボンブラック微粒子が削ぎ落とされており、水が通過する隙間が確保されているのが判る。
以上、詳述したような製造手段で、ナノファイバー綿N5を製造するが、このナノファイバー綿N5を使用したナノファイバーのフィルターによる微粒子捕捉方法及びその装置について、実験内容を説明する。
図6は、基本となる微粒子捕捉装置として用いたシリンジ8であり、このシリンジ8の内筒81に押出円柱82を挿入し、先端のガスケット部分83を押し子84で手動或いはシリンジポンプ85で押指圧(空気圧力:単位Kpa)することにより、筒先86から底部に詰め込んだナノファイバー綿N5をちぎって詰め込んだフィルター基材N6にリン酸廃液を通過させて濾過するものである。
更に、詳しく説明すると、図1から5に示す装置によって作成したカーボンブラック微粒子を混入し、イソプロピルアルコールに60分浸漬したフィルター積層体N5を、図6に示すように、ちぎって内径22.8mmのシリンジ8に5g~40gを押し込め適宜の厚さ(10gでx=約55mm:図5参照)にしたフィルター基材N6を形成し、その後、対象となるシリカの微粒子が混入したリン酸廃液をシリンジ8の上部から投入し、押出円柱82を挿入してシリカ微粒子が混入したリン酸廃液を通過させ、シリカ微粒子をフィルター基材N6で捕捉して濾過させ、その処理液を分析するものである。このときのフィルター基材N6の面積は、2×π×(22.8mm/2)=3,937.56mmである。
ここで、本実施例の濾過方法は、シリンジ8で濾過するために、シリカの微粒子が混入したリン酸廃液をシリンジ8の上部からシリンジポンプ85よって上部から加圧して下部から抽出した。ただし、濾過方法は、本実施例のように詰め込んだフィルター基材N6の上部から加圧又は自重で濾過する方法、また、前記ナノフィルター基材N6の下部から吸引して濾過する方法(減圧ろ過とも呼ばれる濾過方式)、前記ナノフィルター基材N6を水平方向に回転して遠心力を利用して濾過する方法(大量生産には適する。)、及び、これらの濾過する方法を組み合わる濾過方法のいずれかでもよい。
このようにして製作したフィルター基材N6を、図7の概念図に示すように、1段濾過、直列の4段濾過、直列の5段濾過、直列の6段濾過の構成した濾過フィルターで、廃リン液中の残留シリカの濃度を分析した。その分析結果を、[表2]の図11、[表3]の図12、[表4]の図13で説明する。
廃リン酸濾過試験A(図11)の[表2]は、シリカ廃リン酸液がA社から提供を受けたシリカ濃度が43~47ppm程度の試料で、内径22.8mmのシリンジ8に、No1ではナノファイバー綿N5を5g詰め込んだフィルター、No2では10gを詰め込んだフィルター、No3では20gを詰め込んだフィルター、No4では40gを詰め込んだフィルターで濾過性能を試験した。
この廃リン酸濾過試験(図11)[表2]で判ることは、ナノファイバー綿N5を詰め込む量を多くしても、分析結果が20gでは33ppm、40gでは31ppmとNo2の参考例2の10gと濾過する効果があまり向上しないので、[表2]では、ナノファイバー綿N5を詰め込む量を多くしても、分析結果が20gでは33ppm、40gでは31ppmとNo2の参考例2の10gの34ppmと比較しても濾過性能があまり向上しないので、圧力装置等や材料費用を考慮すると、1つのナノファイバーのフィルター基材N6はシリンジ8への詰め込み量は10g程度であれば良いことが判る。
次に、廃リン酸濾過試験Bの[表3](図12)は、[表2]と同様に、シリカ廃リン酸液がA社から提供を受けたシリカ濃度が43~47ppm程度の試料で、ナノフィルターの段数が何段で効率が良いか、濾過した結果を調べた。
分析結果は、1段は[表2]のNo2で34ppmであるが、2段は[表3]のNo5の32ppm、3段は[表3]のNo6の26ppmで段数を増すごとに、濾過効率が向上している。しかし、4段は[表3]のNo7の18ppm、5段は[表3]のNo8の18ppmで段数を増しても効率は向上しないが、好ましくは4段がよい。
こように、10g詰め込んだフィルターでシリカ微粒子含有の廃リン液をフィルター4段で濾過した場合は、18ppmと格段に濾過性能が飛躍的に向上する。
ここで判ることは、ナノファイバー綿N5を厚くするよりも、数段に分けて直列に廃リン液を通過して濾過する方が、濾過性能が向上する。また、この廃リン酸濾過試験B(表3)で判ることは、ナノファイバー綿N5の段数を4段までは、段数を多くすると濾過効率が向上している。しかし、4段以上にしても濾過性能がさして向上ししない。
次に、[表3]のNo7、No8とNo9とNo11を比較するが、これはPVDFのナノファイバー綿N5にカーボンブラック微粒子を含有させたが含有させないか性能を調べた。
ここで、No9の実施例1のようにPVDFにカーボンブラック微粒子を含有させ、No7と同様に10g詰め込んだフィルター基材N6で、シリカ微粒子含有の廃リン液をフィルター基材N6の4段で濾過した場合は、6.4ppmと更に大幅に濾過性能が向上することが判った。ここで、No10の実施例2に示すように、濾過するフィルター基材N6を4段から5段にして濾過したが、6.6ppmと濾過性能が変わらなかった。
ここで判ることは、PVDFにカーボンブラック微粒子を含有させたナノファイバー綿N5を10g/3,937.56mm程度密度で複数の直列のフィルター基材N6とし、かつ4段程度に直列することで構成のフィルターとすることができるが、これ以上、段数を増やしても壁がある、後述する[表4]も併せて考慮すると、段数が4~6段で濾過性能の上限に到り、これ以上は無駄であった。
[表4]は、シリカ廃リン酸液がC社から提供を受けたシリカ濃度が180ppmの試料で、カーボンブラック微粒子を含有させたPVDFのナノファイバー綿N5のフィルター基材N6において、処理しない場合、メタノール処理をした場合、イソプルアルコール処理した場合について濾過性能を試験した結果である。
まず、シリカ濃度が180ppmの試料をNo11とNo12は実施例でのポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノファイバー綿N5を後処理しないものをフィルター5段濾過と6段濾過した濾過液を分析して比較例4-(1)、比較例4-(2)とし、No13とNo14はポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノファイバー綿N5をメタノールで処理した後にフィルター5段濾過と6段濾過した濾過液を分析して実施例1-(1)、実施例1-(2)とし、同様に後処理としてイソプロピルアルコールで処理した後にフィルター5段濾過と6段濾過した濾過液を分析して実施例2-(1)、実施例2-(2)として[表4]としたものである。
この廃リン酸濾過試験Cの[表4]から判ることは、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノファイバー綿N5を後処理なしの場合(No11,12)は、原液のシリカ濃度が180ppmから130ppmにしか下がらなかったが、実施例1のメタノール処理した場合(No13,14)は、原液のシリカ濃度が180ppmから僅か12ppm、13ppmに下がり、実施例2のメイソプロピルアルコール処理した場合(No15,16)は、原液のシリカ濃度が最初の180ppmpから14ppm、11ppmpに下がる。ただし、フィルター基材N6を5段濾過と6段濾過にはあまり差がなく、5段以上はあまり効果が向上しない。
ここで、PVDFのナノファイバー綿N5のフィルターの構成を纏めると、ナノファイバー綿N5は直径が0.20mm以下のカーボンブラックの微粒子を含有させ、さらに、メタノール又はイソプロピルアルコールに所定時間浸漬してフィルター基材N6を作成して、1段当たりのフィルター基材N6は、内径が22.8mmのシリンジ8の場合だと、ナノファイバー綿N5を10g詰め込み(厚さ約55mm)のが効率的であり、1段ではなく4段から6段の複数を直列にするのがよいことが判る。
本発明の実施例のナノファイバーの微粒子捕捉フィルターによれば、微粒子捕捉するために形成する目が細かく、また、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノファイバーN5自体にカーボンブラックの微粒子をまとわせて、このカーボンブラックの微粒子を吸着し、さらにナノファイバー綿N5のナノフィルター基材N6の目詰まりを解消するためにメタノール又はイソプロピルアルコールに所定時間浸漬したので、適度の濾過機能を有する。
したがって、所定の厚さからなるナノファイバー層の微粒子捕捉フィルターにより、ナノ単位の微粒子の捕捉が可能であり、これを数段繰り返して直列にして濾過すれば、最終的には微粒子が20ppm以下まで下げられる。
また、ナノファイバーの素材としてポリフッ化ビニリデン(PVDF)を使用したのでリン酸液等の耐薬品に強く、耐侯性にも優れており、紫外線や放射線にも強い樹脂であるので、洗浄も簡単に行える。
さらに、接着剤やナノファイバーのスプレーのノズルは、セラミック又はルビーとしたので中心吐出口は耐熱性、及び耐久性があり変形も少なく、高温加熱した高分子繊維を長時間紡糸してもナノファイバーにも変形がなく、均一のナノファイバーの直径が維持できる。また、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)のナノファイバー層は通気性も十分よく、十分に強度があり、安価に大量に製造できる。
なお、本発明の特徴を損なうものでなければ、上記の実施例に限定されるものでないことは勿論である。
A・・ナノファイバー生成工程、B・・捕集積層形成工程、C・・積層体離脱工程、
D・・移送工程、E・・製品貯蔵工程、
N1・・ナノファイバー材料液、N2・・ナノファイバー繊維、
N3・・ナノファイバー積層体、N4・・加圧したナノファイバー積層体、
N5・・ナノファイバー綿、
N6・・ナノフィルター基材
1・・材料液供給部、11・・材料液タンク、12・・送給ポンプ、
13・・移送管、14・・温水保温部、141・・温水分配器、
142・・温水器、143・・ポンプ、144・・温水出口、
145・・配管、146・・繋ぎ温水戻り口、
2・・紡糸部、21・・ナノファイバー吹付部、
22・・ノズル部、221・・ノズル本体、2211・・中心軸孔、
2212・・吐出口、2213・・鍔部、
222・・ノズル支持体、2221・・内孔、2222・・先端係止部、
2223・・開口、2224・・外周部、
23・・高分子導入管、送給口、231・・外周部、232・・噴射空気導入溝、
234・・貫通孔、24・・高分子供給部、241・・高分子供給管、
26・・高速風吹出部、261・・高速風吹き出しノズル部、
262・・高速風吹出通路、263・・高速風吹出口、
27・・噴射空気路形成キャップ、272・・空気導入部枠体、
28・・空気供給部、281・・エアポンプ、
3・・吹付部、31・・赤外線加熱装置、
4・・積層体捕集部、41・・捕集帯、42・・駆動ローラ、
43a,b,c・・従動支持ローラ、44・・捕集面、
46・・吸引機構、461・・吸引室、462・・吸引ダクト、
463・・風量調整シャッター、
5・・積層体離脱部(水洗コンベア)、51・・送水装置(水洗シャワー)、
511・・噴射ノズル511
52・・移送ベルト(エンドレスベルト)、53・・駆動ローラ、
54・・水貯留箱、
6・・乾燥装置、61・・エアブロー装置、631・・空気噴射ノズル、
7・・集積部、
8,8A,8B,8C,8D,8E,8F・・シリンジ、
81・・内筒、82・・押出円柱、83・・ガスケット部分、84・・押し子、
85・・シリンジポンプ

Claims (7)

  1. リン酸廃液中に混入した微粒子をナノフィルターによって除去する微粒子捕捉方法であって、
    前記ナノフィルターはポリフッ化ビニリデン(PVDF)に溶媒としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルスルホキシド(DMSO)のいずれかを選択し、この溶液に直径が0.20mm以下のカーボンブラック微粒子を混入してナノファイバー紡糸液とし、該紡糸液からナノファイバーを紡糸してナノファイバー積層体としてナノフィルターを形成し
    該ナノフィルターは間隔をおいて少なくとも複数段以上を直列に配列し、各ナノフィルターの上部からリン酸廃液を投入して微粒子を前記ナノフィルターで捕捉しつつリン酸廃液を通過させ濾過することを特徴とするナノフィルターを用いた微粒子捕捉方法。
  2. カーボンブラック微粒子を混入したナノファイバー積層体を、更にメタノール又はイソプロピルアルコールに所定時間浸漬してナノファイバーのナノフィルターを形成したことを特徴する請求項1に記載のナノフィルターを用いた微粒子捕捉方法。
  3. 前記ナノファイバー積層体をメタノール又はイソプロピルアルコールに浸漬する時間は40分から150分であることを特徴とする請求項2に記載のナノフィルターを用いた微粒子捕捉方法。
  4. 前記濾過は、前記ナノフィルターの上部から加圧又は自重で濾過する方法、前記ナノフィルターの下部から吸引して濾過する方法、前記ナノフィルターを水平方向に回転して遠心力を利用して濾過する方法、及び、これらの濾過方法を組み合わせて濾過する方法のいずれかを選択して使用する請求項1から3のいずれか記載のナノフィルターを用いた微粒子捕捉方法。
  5. 前記ナノファイバー紡糸液にはトルエンを添加したことを特徴とする請求項1~4のいずれかの記載から選択されるナノフィルターを用いた微粒子捕捉方法。
  6. 前記リン酸廃液中に混入した微粒子は、シリカの微粒子であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかの記載のナノフィルターを用いた微粒子捕捉方法。
  7. リン酸廃液中に混入した微粒子をナノフィルターによって除去する微粒子捕捉装置であって、
    前記ナノフィルターはポリフッ化ビニリデン(PVDF)に溶媒としてN-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMAC)、ジメチルスルホキシド(DMSO)のいずれかを選択し、この溶液に直径が0.20mm以下のカーボンブラック微粒子を混入してナノファイバー紡糸し、出来上がったナノファイバー積層体をメタノール又はイソプロピルアルコールに所定時間浸漬し、
    該ナノフィルターは間隔をおいて少なくとも複数段以上に直列に配列し、
    各ナノフィルターの上部からリン酸廃液を投下して微粒子を前記ナノフィルターで捕捉しつつリン酸廃液を通過させ濾過することを特徴とするナノフィルターを用いた微粒子捕捉装置。
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