JP2022051996A - 組成物 - Google Patents

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哲夫 大竹
Tetsuo Otake
結衣 池元
Yui Ikemoto
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Abstract

【課題】優れた増粘性を有する、各種油剤が増粘した組成物を提供する。【解決手段】本発明の実施形態による組成物は、下記(A)~(C)を含む。(A)N-ビニルラクタム系重合体(a成分)を、0.1質量%~20.0質量%、(B)低級アルコール、高級アルコール、多価アルコール、有機酸、および脂肪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種(b成分)を、0.01質量%~99.89質量%、(C)シリコーン油、エステル油、および炭化水素油からなる群から選ばれる少なくとも1種(c成分)を、0.01質量%~99.89質量%。【選択図】なし

Description

本発明は、組成物に関する。代表的には、N-ビニルラクタム系重合体を含む組成物に関する。
油剤が増粘された増粘組成物が、化粧品、香料、芳香剤、消臭剤、医薬品、防虫剤、殺虫剤、農薬等の分野において利用されている。
油剤を増粘化させる物質として、従来、いくつかの油増粘剤が提案されている(例えば、特許文献1-4など)。
特開2010-260795号公報 特開2013-060496号公報 特表2014-524901号公報 特開2019-011281号公報
本発明の課題は、優れた増粘性を有する、各種油剤が増粘した組成物を提供することにある。
本発明の実施形態による組成物は、下記(A)~(C)を含む。
(A)N-ビニルラクタム系重合体(a成分)を、0.1質量%~20.0質量%、
(B)低級アルコール、高級アルコール、多価アルコール、有機酸、および脂肪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種(b成分)を、0.01質量%~99.89質量%、
(C)シリコーン油、エステル油、および炭化水素油からなる群から選ばれる少なくとも1種(c成分)を、0.01質量%~99.89質量%。
一つの実施形態においては、上記a成分が、N-ビニルラクタム系単量体由来の構造単位を全単量体由来の構造単位100モル%に対して50モル%~100モル%含む。
一つの実施形態においては、上記a成分が架橋構造を有する。
一つの実施形態においては、上記b成分が、IOB値が0.5以上の低級アルコールを含む。
一つの実施形態においては、上記b成分が、IOB値が0.24以上の高級アルコールを含む。
一つの実施形態においては、上記b成分が、IOB値が1.0以上の多価アルコールを含む。
一つの実施形態においては、上記b成分が、IOB値が1.0以上の有機酸を含む。
一つの実施形態においては、上記b成分が、IOB値が0.4以上の脂肪酸を含む。
一つの実施形態においては、上記c成分がシリコーン油を含む。
一つの実施形態においては、上記c成分が、IOB値が0.63以下のエステル油を含む。
一つの実施形態においては、上記c成分が液状の炭化水素油を含む。
一つの実施形態においては、上記組成物が、化粧品用増粘組成物である。
一つの実施形態においては、上記組成物が、整髪剤用増粘組成物である。
一つの実施形態においては、上記組成物が、化粧品用被膜形成物である。
一つの実施形態においては、上記組成物が、整髪剤用被膜形成物である。
本発明によれば、優れた増粘性を有する、各種油剤が増粘した組成物を提供することができる。また、本発明によれば、優れた増粘性を有する、各種油剤が増粘し、さらに、被膜性が優れ、髪のまとまりを付与する組成物を提供できる場合もある。油剤を増粘することで乳化安定性向上、経時安定性向上、厚みのある塗布感触のメリットがある。まとまった髪とは、毛髪が束となった時に毛髪の間の隙間が少なく、まっすぐ整った一体感がある状態である。毛髪にうねりや枝毛が多い場合、毛髪の間に隙間が生じてまとまりのない髪となる。髪のまとまりがあることで、乾燥後に毛髪が揃いやすくなり、軽い心地よい感触が残るというメリットがある。N-ビニルラクタム系重合体を含む組成物は毛髪の密着を助けて隙間を生じ難くし、髪にまとまりを付与する事ができる。
本明細書中で「重量」との表現がある場合は、重さを示すSI系単位として慣用されている「質量」と読み替えてもよい。
本明細書中で特定成分の含有割合について「実質的に100質量%」との表現がある場合は、該特定成分に起因する効果以外の効果を発現させるための別の成分が積極的に加えられたり積極的に併用されたりする形態を除くことを意味し、例えば、本発明の効果を損なわない範囲で、製造過程などによって不可避に混入する不純物等の含有は許容される。
本明細書において、「IOB」とは、Inorganic Organic Balanceの略であり、有機概念図(藤田穆、「有機化合物の予測と有機概念図」、化学の領域VOL.11,No.10(1957)719-715;藤田穆、「系統的有機定性分析」、風間書房(1974);甲田善生、「有機概念図-基礎と応用」、三共出版(1984)など参照)に基づく有機性値(Organic Value=OV)と無機性値(Inorganic Value=IV)という固有の特性値の比(IV/OV=IOB)として求められる値である。有機概念図は、比較的相互作用の複雑な有機物の性状を良く表現するものとして、特に、環境化学分野、薬理化学分野などで広く利用されている。有機概念図では化合物の物理化学的物性について、主にVan Der Waals力による物性の程度を「有機性」、主に電気的親和力による物性の程度を「無機性」と呼び、これらの組み合わせで化合物の物性をとらえる。この「有機性」と「無機性」について、個々の化合物について有機性値(Organic Value=OV)と無機性値(Inorganic Value=IV)という固有の特性値を付与し、多数の化合物を物質野へ「ロケイト」することで、領域毎に様々な傾向を確認することができる。これは逆に、未知の化合物についても、その構造式から有機性値、無機性値が求められれば、その性状の予測が得られるということを示す。有機概念図については、代表的には、日本エマルジョン株式会社のホームページ(本願出願時点で、https://www.nihon-emulsion.co.jp/tech/organic.html)に記載されている。
≪組成物≫
本発明の実施形態による組成物は、代表的には、増粘組成物である。「増粘組成物」とは、増粘性を有する組成物をいう。増粘性を有するか否かは、例えば、従来一般にいう増粘性の判断基準によればよい。本明細書においては、後述する増粘性の評価において○または△の評価となるものを、増粘性を有するものとする。
本発明の実施形態による組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な薬剤に用い得る。このような薬剤としては、例えば、化粧品、香料、芳香剤、消臭剤、医薬品、防虫剤、殺虫剤、農薬などが挙げられ、代表的には、化粧品が挙げられる。このような化粧品としては、例えば、整髪剤が挙げられる。
すなわち、本発明の1つの実施形態による組成物は、代表的には、化粧品用増粘組成物であり、例えば、整髪剤用増粘組成物が挙げられる。
本発明の実施形態による組成物は、下記(A)~(C)を含む。
(A)N-ビニルラクタム系重合体(a成分)を、0.1質量%~20.0質量%。
(B)低級アルコール、高級アルコール、多価アルコール、有機酸、および脂肪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種(b成分)を、0.01質量%~99.89質量%。
(C)シリコーン油、エステル油、および炭化水素油からなる群から選ばれる少なくとも1種(c成分)を、0.01質量%~99.89質量%。
本発明の実施形態による組成物は、上記(A)~(C)を含むことにより、優れた増粘性を有する、各種油剤が増粘した組成物となり得る。
<a成分>
本発明の実施形態による組成物は、N-ビニルラクタム系重合体(a成分)を、0.1質量%~20.0質量%含む。
a成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
組成物中のa成分の含有割合は、上述の通り、0.1質量%~20.0質量%であり、好ましくは0.5質量%~15.0質量%であり、より好ましくは1.0質量%~10.0質量%であり、さらに好ましくは2.0質量%~8.0質量%であり、特に好ましくは3.0質量%~7.0質量%であり、最も好ましく4.0質量%~6.0質量%である。組成物中のa成分の含有割合が上記範囲を外れると、優れた増粘性を有する、各種油剤が増粘した組成物を提供できないおそれがある。
また、被膜性を求める際には、組成物中のa成分の含有割合は、上述の通り、0.1質量%~20.0質量%であり、好ましくは0.2質量%~10.0質量%であり、より好ましくは0.3質量%~8.0質量%であり、さらに好ましくは0.4質量%~7.0質量%であり、特に好ましくは0.5質量%~6.0質量%であり、最も好ましくは0.6質量%~5.0質量%である。組成物中のa成分の含有割合が上記範囲を外れると、優れた増粘性を有する、各種油剤が増粘し、さらに、被膜性が優れた組成物を提供できないおそれがある。
a成分は、本発明の効果をより発現させ得る点で、N-ビニルラクタム系単量体由来の構造単位を全単量体由来の構造単位100モル%に対して、好ましくは50モル%~100モル%含み、より好ましくは60モル%~100モル%含み、さらに好ましくは70モル%~100モル%含む。
a成分に含まれるN-ビニルラクタム系単量体由来の構造単位は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
N-ビニルラクタム系単量体由来の構造単位としては、代表的には、一般式(1)で表される構造単位が挙げられる。
Figure 2022051996000001
一般式(1)中、Rは、水素原子またはメチル基を表す。
一般式(1)中、mは、1~3の整数を表す。
なお、本明細書において、単量体由来の構造単位とは、単量体が重合して形成される構造と同じ構造を有する構造単位である。ただし、単量体由来の構造単位は、実際に単量体が重合して形成された構造単位には限定されず、単量体が重合して形成される構造と同じ構造を有していれば、単量体に由来する構造単位に含まれる。
N-ビニルラクタム系単量体由来の構造単位を形成させ得る単量体としては、代表的には、一般式(2)で表されるN-ビニルラクタム系単量体が挙げられる。
Figure 2022051996000002
一般式(2)中、Rは、水素原子またはメチル基を表す。
一般式(2)中、mは、1~3の整数を表す。
一般式(2)で表される単量体としては、例えば、N-ビニルピロリドン、N-ビニルピペリドン、N-ビニルカプロラクタムなどが挙げられる。本発明の効果をより発現させ得る点で、一般式(2)で表される単量体としては、好ましくは、N-ビニルピロリドンである。
a成分は、N-ビニルラクタム系単量体由来の構造単位以外のその他の構造単位を有していてもよい。その他の構造単位は、N-ビニルラクタム系単量体以外のその他の単量体由来の構造単位である。
その他の構造単位は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。その他の単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
その他の単量体としては、N-ビニルラクタム系単量体と共重合できるものであれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な単量体を採用し得る。このようなその他の単量体としては、例えば、
1)(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル類;
2)ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ-ト、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ-ト、3-(メタ)アリルオキシ-1,2-ジヒドロキシプロパン、(メタ)アリルアルコ-ル、イソプレノ-ル、およびこれらの水酸基にアルキレンオキシドを付加した不飽和アルコ-ル、
3)(メタ)アクリルアミド、N-モノメチル(メタ)アクリルアミド、N-モノエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体類;
4)(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルイミダゾ-ル等の塩基性不飽和単量体、およびその塩または第4級化物;
5)ビニルホルムアミド、ビニルアセトアミド、ビニルオキサゾリドン等のビニルアミド類;
6)(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基含有不飽和単量体、およびその塩;
7)無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和無水物類;
8)酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;
9)ビニルエチレンカ-ボネ-ト、およびその誘導体;
10)スチレン、およびその誘導体;
11)(メタ)アクリル酸-2-スルホン酸エチル、およびその誘導体;
12)3-アリルオキシ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸、イソプレンスルホン酸、およびこれらの塩等のビニルスルホン酸及びその誘導体;
13)メチルビニルエ-テル、エチルビニルエ-テル、ブチルビニルエ-テル等のビニルエ-テル類;
14)エチレン、プロピレン、オクテン、ブタジエン等のオレフィン類;
等などが挙げられる。
その他の単量体が上記2)の場合における上記アルキレンオキシドとしては、炭素数1~20のアルキレンオキシドが好ましく、炭素数1~4のアルキレンオキシドがより好ましい。本発明の効果をより発現させ得る点で、アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドからなる群から選ばれる少なくとも1種が好ましい。
その他の単量体が上記2)の場合における上記アルキレンオキシドの付加モル数としては、上記2)の化合物1モルあたり、0~50モルが好ましく、0~20モルがより好ましい。
その他の単量体としては、上記の1)~14)の中でも、N-ビニルラクタム系単量体との共重合性等の点から、好ましくは1)~9)であり、より好ましくは1)~6)である。
a成分中のその他の単量体由来の構造単位の含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、全単量体由来の構造単位100モル%に対して、好ましくは0モル%~50モル%であり、好ましくは0モル%~40モル%であり、より好ましくは0モル%~30モル%である。
a成分は、架橋構造を有するものであることが好ましい。a成分が架橋構造を有することにより、本発明の効果がより発現し得る。
架橋構造は、1分子あたりに少なくとも2個の重合性二重結合基を有する架橋剤由来の構造、および、重合体の主鎖または側鎖同士が反応してできる構造、からなる群から選ばれる少なくとも1種である。
架橋剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な架橋剤を採用し得る。このような架橋剤としては、例えば、N,N’-メチレンビス(メタ)アクリルアミド、(ポリ)エチレングリコ-ルジ(メタ)アクリレ-ト、(ポリ)プロピレングリコ-ルジ(メタ)アクリレ-ト、トリメチロ-ルプロパントリ(メタ)アクリレ-ト、トリメチロ-ルプロパンジ(メタ)アクリレ-ト、グリセリントリ(メタ)アクリレ-ト、グリセリンアクリレ-トメタクリレ-ト、エチレンオキサイド変性トリメチロ-ルプロパントリ(メタ)アクリレ-ト、ペンタエリスリト-ルテトラ(メタ)アクリレ-ト、ペンタエリスリト-ルトリ(メタ)アクリレ-ト、ジペンタエリスリト-ルヘキサ(メタ)アクリレ-ト、トリアリルシアヌレ-ト(シアヌル酸トリアリル)、トリアリルイソシアヌレ-ト、トリアリルホスフェ-ト、トリアリルアミン、ペンタエリスリト-ルテトラアリルエ-テル、ペンタエリスリト-ルトリアリルエ-テル、ペンタエリスリト-ルジアリルエ-テル、ポリ(メタ)アリロキシアルカン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン、ジビニルナフタレン、ジビニルエ-テル、ジビニルケトン、トリビニルベンゼン、トリレンジイソシアネ-ト、ヘキサメチレンジイソシアネ-ト、炭酸ジアリル、1,3-ビス(アリルオキシ)-2-プロパノール、ジビニルエチレン尿素、1,4-ブチレンビス(N-ビニルアミド)及び(ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、オクタ)アリルスクロース等が挙げられる。
上記架橋剤の中でも、残存するN-ビニルラクタム系単量体および可溶分(架橋されない重合体分であって水への溶解分)が低下する傾向にあることから、アリル基を2個以上有する化合物を使用することが好ましい。具体的には、ペンタエリスリトール(ジ、トリ、テトラ)(メタ)アリルエーテル、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルホスフェート、トリアリルアミン、炭酸ジアリル、1,4-ブチレンビス(N-ビニルアミド)及び(ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、オクタ)アリルスクロースが好ましく、ペンタエリスリトール(ジ、トリ、テトラ)アリルエーテル及び(ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、オクタ)アリルスクロースがより好ましい。ペンタエリスリトール(ジ、トリ、テトラ)アリルエーテル及び(ジ、トリ、テトラ、ペンタ、ヘキサ、ヘプタ、オクタ)アリルスクロースは、安全性がより高いため、このような架橋剤を採用して得られる架橋重合体は、化粧品用途に、より好適に用いることができる。
架橋剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
a成分が架橋構造を有するものである場合、a成分中の架橋剤由来の構造単位の含有割合は、本発明の効果をより発現させ得る点で、全単量体由来の構造単位100モル%に対して、好ましくは0.001モル%~10モル%であり、より好ましくは0.005モル%~5モル%であり、さらに好ましくは0.01モル%~5モル%であり、特に好ましくは0.01モル%~1モル%であり、最も好ましくは0.05モル%~0.8モル%である。
なお、架橋剤は重合性二重結合基を有するが、しかしながら、本明細書においては、組成の明確化のため、架橋剤は単量体として扱わないものとする。すなわち、「全単量体」の中には架橋剤は含めない。
a成分を製造する方法は、好ましくは、N-ビニルラクタム系単量体を含む単量体成分を重合反応させる工程を含む。このような重合反応の方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な重合方法を採用し得る。このような重合方法としては、例えば、バルク重合法、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、沈殿重合法などが挙げられる。これらの重合方法の中でも、本発明の効果をより発現させ得る点で、溶液重合法、沈殿重合法が好ましく、沈殿重合法がより好ましい。
<沈殿重合法を用いた製造方法>
沈殿重合法においては、代表的には、N-ビニルラクタム系単量体を含む単量体成分と、重合開始剤と、を別個に反応媒体中に滴下する滴下工程を含む。
滴下工程前の初期反応媒体中の重合開始剤の量は、反応に使用する重合開始剤の全量に対して、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下であり、特に好ましくは0質量%~5質量%である。
滴下工程においては、好ましくは、重合開始剤を単量体成分の滴下時間より長い時間で滴下し、凝集物として重合体を得る。この凝集物は、好ましくは球形物を含み、この球形物としては、完全な球形物、略球形物、平面視で略楕円形物などが挙げられる。
沈殿重合法とは、単量体成分は重合溶媒と相溶・溶解するが、生成した重合体が重合溶媒に溶解しない重合系における重合法である。この重合法においては、重合反応の進行と共に、生成した重合体が析出(沈殿)する。析出した重合体は、単量体成分で膨潤しており、重合反応は、溶媒中と、ポリマ-近傍において、それぞれ進行する。この場合に重合開始剤を使用するが、このような重合開始剤は、重合溶媒と単量体成分の両方に溶解可能であることが好ましい。
滴下工程において、N-ビニルラクタム系単量体を含む単量体成分と、重合開始剤と、を別個に反応媒体中に滴下する方法としては、例えば、N-ビニルラクタム系単量体を含む単量体成分と、重合開始剤と、を別々の滴下ロ-トに入れ、初期反応媒体を入れた反応容器にそれぞれ別個に滴下すればよい。N-ビニルラクタム系単量体を含む単量体成分と、重合開始剤とは、それぞれ、溶剤との混合溶液であってもよい。
沈殿重合法においては、反応媒体として溶剤を使用する。溶剤としては、例えば、ヘプタン、シクロヘキサン等の炭化水素系溶剤が挙げられる。
滴下工程前の初期反応媒体としては、溶剤、または、溶剤に上記で示した範囲の重合開始剤を加えたものが挙げられる。初期反応媒体中の単量体成分の量としては、単量体成分の全量に対して、好ましくは30質量%以下であり、より好ましくは20質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以下であり、特に好ましくは0質量%~5質量%である。
初期反応媒体中への単量体成分の滴下時間は、好ましくは0.5時間~10.0時間である。また、初期反応媒体中への重合開始剤の滴下時間は、単量体成分の滴下時間より長いことが好ましく、1.0時間~20時間がより好ましい。初期反応媒体中への重合開始剤の滴下時間は、単量体成分の滴下時間に対して、好ましくは1.10倍~3.00倍であり、より好ましくは1.15倍~2.50倍であり、さらに好ましくは1.20倍~2.00倍である。
沈殿重合法を行なう際の重合温度は、重合開始剤の10時間半減期温度に対し、+15℃以上+30℃以下であることが好ましい。重合温度は単量体成分を滴下している間の反応液の温度であり、反応中に変動する場合は、最大温度と最低温度の中間の値とする。10時間半減期温度とは、重合開始剤の濃度が反応開始から10時間後に初期値の1/2となる温度であり、重合開始剤の選択の基準として一般的に用いられている。
重合開始剤を初期一括で添加した場合、反応系内の開始ラジカル濃度は時間の経過と共に減少するのに対し、適切な温度の反応液に重合開始剤を滴下した場合は開始ラジカル濃度が一定に保たれ、モノマ-消費が安定し、重合体の塊状化や器壁・攪拌羽への付着を抑制できる。重合開始剤については後述する。
重合開始剤の10時間半減期温度としては、例えば、製造メ-カ-が公開している値を用いることができる。有機過酸化物系開始剤では、例えば日油株式会社から公開されており、イソブチルパ-オキシドでは32.7℃、クミルパ-オキシネオデカノエ-トでは36.5℃、ジ-n-プロピルパ-オキジカ-ボ-ネ-トでは40.3℃、ジイソプロピルパ-オキシジカ-ボネ-トでは40.5℃、ジ-sec-ブチルパ-オキシジカ-ボネ-トでは40.5℃、1,1,3,3-テトラメチルブチルパ-オキシネオデカノエ-トでは40.7℃、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パ-オキシジカ-ボネ-トでは40.8℃、ジ(2-エチルヘキシル)パ-オキシジカ-ボネ-トでは43.6℃、t-ヘキシルパ-オキシネオデカノエ-トでは44.5℃、t-ブチルパ-オキシネオデカノエ-トでは46.4℃、t-ヘキシルパ-オキシピバレ-トでは53.2℃、t-ブチルパ-オキシピバレ-トでは54.6℃、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パ-オキシドでは59.4℃、ジラウロイルパ-オキシドでは61.6℃、1,1,3,3-テトラメチルブチルパ-オキシ-2-エチルヘキサノエ-トでは65.3℃、ジサクシニックアシッドパ-オキシドでは65.9℃、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルパ-オキシ)ヘキサンでは66.2℃、t-ヘキシルパ-オキシ-2-エチルヘキサノエ-トでは69.9℃、t-ブチルパ-オキシ-2-エチルヘキサノエ-トでは72.1℃、ジ(3-メチルベンゾイル)パ-オキシドとベンゾイル(3-メチルベンゾイル)パ-オキシドとジベンゾイルパ-オキシドの混合物では73.1℃、ジベンゾイルパ-オキシドでは73.6℃、1,1-ジ(t-ヘキシルパ-オキシ)シクロヘキサンでは87.1℃、1,1-ジ(t-ブチルパ-オキシ)シクロヘキサンでは90.7℃、2,2-ジ(4,4-ジ-(t-ブチルパ-オキシ)シクロヘキシル)プロパンでは94.7℃、t-ヘキシルパ-オキシイソプロピルモノカ-ボネ-トでは95.0℃、t-ブチルパ-オキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエ-トでは97.1℃、t-ブチルパ-オキシラウレ-トでは98.3℃、t-ブチルパ-オキシイソプロピルモノカ-ボネ-トでは98.7℃、t-ブチルパ-オキシ-2-エチルヘキシルモノカ-ボネ-トでは99.0℃、t-ヘキシルパ-オキシベンゾエ-トでは99.4℃、2,5-ジメチル2,5-ジ(ベンゾイルパ-オキシ)ヘキサンでは99.7℃、t-ブチルパ-オキシアセテ-トでは101.9℃、2,2-ジ(t-ブチルパ-オキシ)ブタンでは103.1℃、t-ブチルパ-オキシベンゾエ-トでは104.3℃、n-ブチル 4,4,-ジ(t-ブチルパ-オキシ)バレレ-トでは104.5℃、ジ(2-t-ブチルパ-オキシイソプロピル)ベンゼンでは119.2℃、ジクミルパ-オキシドでは116.4℃、ジ-t-ヘキシルパ-オキシドでは116.4℃、2,5-ジメチル2,5-ジ(t-ブチルパ-オキシ)ヘキサンでは117.9℃、t-ブチルクミルパ-オキシドでは119.5℃、ジ-t-ブチルパ-オキシドでは123.7℃、p-メンタンハイドロパ-オキシドでは128.0℃、2,5-ジメチル2,5-ジ(t-ブチルパ-オキシ)ヘキシン-3では128.4℃、ジイソプロピルベンゼンでは145.1℃、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパ-オキシドでは152.9℃、クメンハイロドパ-オキシドでは157.9℃、t-ブチルヒドロパ-オキシドでは166.5℃である。また、アルケマ吉冨株式会社からも同様の重合開始剤の10時間半減期温度が開示されている。
アゾ系重合開始剤の10時間半減期温度としては、例えば、富士フイルム和光純薬株式会社より公開されており、2,2-アゾビス(イソブチロニトリル)では65℃、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)では30℃、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)では51℃、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネ-ト)では66℃、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)では67℃、1、1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カ-ボニトリル)では88℃、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミドでは110℃、ジメチル1,1-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボキシレ-ト)では73℃である。
沈殿重合法においては、重合開始剤として、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な重合開始剤を採用し得る。このような重合開始剤としては、例えば、過硫酸塩類、過酸化水素、有機過酸化物、アゾ化合物などが挙げられ、好ましくは、有機過酸化物とアゾ化合物である。重合開始剤として、酸化剤と還元剤とを組み合わせてラジカルを発生させる酸化還元型開始剤も使用できる。重合開始剤は、1種であってもよいし、2種以上であってもよい。
有機過酸化物としては、例えば、ジイソブチルパ-オキシド、クミルパ-オキシネオデカノエ-ト、ジ-n-プロピルパ-オキジカ-ボ-ネ-ト、ジイソプロピルパ-オキシジカ-ボネ-ト、ジ-sec-ブチルパ-オキシジカ-ボネ-ト、1,1,3,3-テトラメチルブチルパ-オキシネオデカノエ-ト、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パ-オキシジカ-ボネ-ト、ジ(2-エチルヘキシル)パ-オキシジカ-ボネ-ト、t-ヘキシルパ-オキシネオデカノエ-ト、t-ブチルパ-オキシネオデカノエ-ト、t-ヘキシルパ-オキシピバレ-ト、t-ブチルパ-オキシピバレ-ト、ジ(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)パ-オキシド、ジラウロイルパ-オキシド、1,1,3,3-テトラメチルブチルパ-オキシ-2-エチルヘキサノエ-ト、ジサクシニックアシッドパ-オキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルパ-オキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパ-オキシ-2-エチルヘキサノエ-ト、t-ブチルパ-オキシ-2-エチルヘキサノエ-ト、ジ(3-メチルベンゾイル)パ-オキシドとベンゾイル(3-メチルベンゾイル)パ-オキシドとジベンゾイルパ-オキシドの混合物、ジベンゾイルパ-オキシド、1,1-ジ(t-ヘキシルパ-オキシ)シクロヘキサン、1,1-ジ(t-ブチルパ-オキシ)シクロヘキサン、2,2-ジ(4,4-ジ-(t-ブチルパ-オキシ)シクロヘキシル)プロパン、t-ヘキシルパ-オキシイソプロピルモノカ-ボネ-ト、t-ブチルパ-オキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエ-ト、t-ブチルパ-オキシラウレ-ト、t-ブチルパ-オキシイソプロピルモノカ-ボネ-ト、t-ブチルパ-オキシ-2-エチルヘキシルモノカ-ボネ-ト、t-ヘキシルパ-オキシベンゾエ-ト、2,5-ジメチル2,5-ジ(ベンゾイルパ-オキシ)ヘキサン、t-ブチルパ-オキシアセテ-ト、2,2-ジ(t-ブチルパ-オキシ)ブタン、t-ブチルパ-オキシベンゾエ-ト、n-ブチル-4,4,-ジ(t-ブチルパ-オキシ)バレレ-ト、ジ(2-t-ブチルパ-オキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパ-オキシド、ジ-t-ヘキシルパ-オキシド、2,5-ジメチル2,5-ジ(t-ブチルパ-オキシ)ヘキサン、t-ブチルクミルパ-オキシド、ジ-t-ブチルパ-オキシド、p-メンタンハイドロパ-オキシド、2,5-ジメチル2,5-ジ(t-ブチルパ-オキシ)ヘキシン-3、ジイソプロピルベンゼン、1,1,3,3-テトラメチルブチルハイドロパ-オキシド、クメンハイロドパ-オキシド、t-ブチルヒドロパ-オキシドなどが挙げられる。
アゾ化合物としては、例えば、2,2-アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル-2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネ-ト)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1、1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カ-ボニトリル)、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド、ジメチル-1,1-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボキシレ-ト)などが挙げられる。
重合開始剤の使用量としては、全単量体と架橋剤との合計量1モルに対して、好ましくは0.01g~10gであり、より好ましくは0.05g~7gであり、さらに好ましくは0.1g~5gである。重合開始剤の使用量をこのようにすれば、得られる重合体に含まれる未反応の単量体や架橋剤の割合を十分に少なくすることができる。
重合工程を行う反応容器は、重合工程を行うことができるものであれば、任意の適切な材質の反応容器を採用し得る。このような反応容器としては、例えば、ステンレス等の材質の反応容器が挙げられる。このような熱が伝わりやすい材質の反応容器を用いて重合反応を行うことで、重合反応が十分に進行し、得られる重合体中に含まれる未反応の単量体や架橋剤の含有量を少なくすることができる。また、ポリプロピレン等の、鉄を溶出させない材質の反応容器を用いることも好ましく、このような材質の反応容器を用いることで、得られる重合体中に含まれる鉄分の含有量を少なくすることができる。
重合工程において重合反応を行なう際の攪拌羽根の形状は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な形状を採用し得る。このような形状としては、例えば、パドル型、多段パドル型、傾斜パドル型、錨型、プロペラ型やこれらを組み合わせたもの、マックスブレンド型などが挙げられる。
沈殿重合法で重合を行うことで、重合の制御が容易となる。沈殿重合法によれば、非常に小さい1次粒子が緩やかに凝集した球形物を含む重合体が好ましく得られる。この球形物は、静電気や気流の影響より自重が勝り、粉が飛び散り難くハンドリングし易いだけでなく、非常に容易に粉砕され得る。このため、粉砕のために特殊な粉砕機が不要であるという優れた効果を発現し得る。また、上記のような凝集した球形物を溶液に投入すると、速やかに1次粒子となって分散し、短時間で均一な分散液またはゲル状物を得ることができる。同様に、粉砕後の球形物についても、溶液へ投入することで、速やかに1次粒子となって分散し、短時間で均一な分散液またはゲル状物を得ることができる。
沈殿重合法によって得られる重合体は、好ましくは数百μmの球形物となる。このような球形物の大きさは、好ましくは100μmを超えて2000μmであり、より好ましくは200μm~1500μmであり、さらに好ましくは300μm~1000μmである。
沈殿重合法によって得られる、好ましくは球形物である重合体は、不定形の一次粒子の集合体であり、このような不定形の一次粒子の粒子径は、好ましくは2μm以下であり、より好ましくは10nm~2000nmであり、さらに好ましくは20nm~1000nmである。
沈殿重合法においては、重合工程に加え、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の工程を含んでいてもよい。このような他の工程としては、例えば、乾燥工程、粉砕工程、分級工程、造粒工程、後架橋工程などが挙げられる。
沈殿重合法においては、乾燥工程を設けることが好ましい。なお、乾燥とは固形分の上昇操作をいい、通常、重合体全体の質量に対する固形分の割合が乾燥前と比較して上昇すればよい。乾燥は重合の一部と同時に行ってもよく、重合時の乾燥と重合後の乾燥とを併用してもよい。好ましくは、重合後に乾燥装置を用いて乾燥する乾燥工程が設けられる。
乾燥工程は、好ましくは乾燥工程の時間全体の50%以上の時間、また、好ましくは実質的に全ての乾燥工程を通じて80℃~250℃の範囲で行われる。このように乾燥工程を行うことにより、重合体の諸物性がより向上し得る。なお、乾燥温度は熱媒温度で規定するが、マイクロ波等熱媒温度で規定できない場合は材料温度で規定する。乾燥方法としては、乾燥温度が上記範囲内であれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な乾燥方法を採用し得る。このような乾燥方法としては、例えば、熱風乾燥、無風乾燥、減圧乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥などが挙げられる。これらの乾燥方法の中でも、熱風乾燥、減圧乾燥を用いることが好ましい。熱風乾燥を用いる場合の乾燥風量は、好ましくは0.01m/sec~10m/secであり、より好ましくは0.1m/sec~5m/secである。乾燥温度の範囲は、より好ましくは110℃~220℃、さらに好ましくは120℃~200℃である。また、乾燥は、一定温度で乾燥してもよく、温度を変化させて乾燥してもよいが、実質的に全ての乾燥工程が上記の温度範囲内でなされることが好ましい。
本発明の効果をより発現させ得る点で、沈殿重合法においては、粉砕工程を設けることが好ましい。粉砕工程は、粉砕機を使用して行うことが好ましい。沈殿重合法が乾燥工程を含む場合、粉砕工程は、乾燥工程の前、中、後のいずれに行ってもよく、好ましくは乾燥工程の後である。
上述の通り、沈殿重合法によれば、非常に小さい1次粒子が緩やかに凝集した球形物を含む重合体が好ましく得られ、非常に容易に粉砕され得るため、粉砕のために特殊な粉砕機が不要であるという優れた効果を発現し得る。したがって、粉砕機は、簡易な粉砕機を採用し得る。このような粉砕機としては、例えば、ロールミルのようなロール式粉砕機、ハンマーミルのようなハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、カッターミル、ターボグラインダー、ボールミル、フラッシュミル、ジェットミルなどが挙げられる。これらの中でも、粒度分布をより制御する場合にはロールミルを用いることが好ましい。粒度分布を制御するために、連続して2回以上粉砕してもよく、連続して3回以上粉砕してもよい。また、2回以上粉砕する場合には、それぞれの粉砕機は同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、異なる種類の粉砕機を組み合わせて使うことも可能である。
沈殿重合法で得られる重合体を特定の粒度分布に制御するために、分級工程や造粒工程を設けてもよい。分級工程においては、特定の目開きの篩を使用してもよい。篩で分級するために用いる分級機としては、本発明の効果を損なわない範囲で任意の適切な分級機を採用し得る。このような分級機としては、例えば、振動篩(アンバランスウェイト駆動式、共振式、振動モ-タ式、電磁式、円型振動式等)、面内運動篩(水平運動式、水平円-直線運動式、3次元円運動式等)、可動網式篩、強制攪拌式篩、網面振動式篩、風力篩、音波篩等などが挙げられる。
<溶液重合法を用いた製造方法>
溶液重合法においては、好ましくは、溶媒を使用する。溶媒としては、例えば、水およびアルコ-ルからなる群から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。アルコ-ルとしては、例えば、メチルアルコ-ル、エチルアルコ-ル、イソプロピルアルコ-ル、n-ブチルアルコ-ル、ジエチレングリコ-ルなどが挙げられる。溶媒を使用する場合、溶液中の単量体成分の濃度は、好ましくは20質量%以上80質量%以下である。溶液中の単量体成分の濃度が20質量%未満では、重合体が得られにくかったり、得られた場合であっても重合後に解砕することが困難となったりするおそれがある。また、重合反応後の乾燥に長い時間を必要とし、乾燥中に重合体が劣化してしまうおそれがある。他方、溶液中の単量体成分の濃度が80質量%を超えると、重合の制御が困難となり、残存単量体が増加するおそれがある。
溶液重合法において、重合反応における反応温度や圧力等の反応条件としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な条件を採用し得る。このような条件としては、例えば、反応温度は20~150℃とすることが好ましく、反応系内の圧力は、常圧または減圧とすることが好ましい。
溶液重合法において、単量体成分の重合を開始する手段としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な手段を採用し得る。このような手段としては、例えば、重合開始剤を添加する方法、UVを照射する方法、熱を加える方法、光開始剤存在下に光を照射する方法などが挙げられる。
重合開始剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な重合開始剤を採用し得る。このような重合開始剤としては、例えば、過酸化水素、t-ブチルヒドロパ-オキシド等の過酸化物;2-(カルバモイルアゾ)イソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)2塩酸塩、2,2’-アゾビス(2-メチル-N-フェニルプロリオンアミジン)2塩酸塩、2,2’-アゾビス〔2-(N-アリルアミジノ)プロパン〕2塩酸塩、2,2’-アゾビス〔2-(5-ヒドロキシ-3,4,5,6-テトラヒドロピリミジン-2-イル)プロパン〕2塩酸塩、2,2’-アゾビス〔2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン〕、2,2’-アゾビス〔2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン〕2塩酸塩、2,2’-アゾビス〔2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン〕2硫酸塩水和物、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタ酸)、2,2’-アゾビス〔N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン〕n水和物、2,2’-アゾビス〔2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド〕等のアゾ化合物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム等の過硫酸塩類;アスコルビン酸と過酸化水素、スルホキシル酸ナトリウムとt-ブチルヒドロパ-オキシド、過硫酸塩と金属塩等の、酸化剤と還元剤とを組み合わせてラジカルを発生させる酸化還元型開始剤;などが挙げられる。重合開始剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
重合開始剤の使用量としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な使用量を採用し得る。このような使用量としては、例えば、全単量体(N-ビニルラクタム系単量体およびその他の単量体の合計)および架橋剤の合計100質量%に対して、0.002質量%~15質量%が好ましく、0.01質量%~5質量%がさらに好ましい。
溶液重合法においては、重合反応の促進やN-ビニルラクタム系単量体の加水分解を防止するなどの目的で、塩基性pH調節剤を使用してもよい。塩基性pH調節剤の添加は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法で行うことができ、例えば、重合初期より系内に仕込んでおいてもよいし、重合中に逐次添加してもよい。塩基性pH調節剤としては、具体的には、例えば、アンモニア;モノエタノ-ルアミン、ジエタノ-ルアミン、トリエタノ-ルアミン等の脂肪族アミン;アニリン等の芳香族アミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物;などが挙げられる。これらの中でも、アンモニア、モノエタノ-ルアミン、ジエタノ-ルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。塩基性pH調節剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。塩基性pH調節剤を用いる場合、その使用量としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な使用量を採用し得る。このような使用量としては、重合時の溶液が、好ましくは5~10のpH領域、より好ましくは7~9のpH領域となるように使用するのがよい。
溶液重合法においては、重合反応の促進などの目的で、遷移金属塩を使用してもよい。遷移金属塩としては、具体的には、例えば、銅、鉄、コバルト、ニッケル等のカルボン酸塩や塩化物などが挙げられる。遷移金属塩は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。遷移金属塩を用いる場合、その使用量としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な使用量を採用し得る。このような使用量としては、単量体成分に対して、質量比で0.1ppb~20000ppbが好ましく、1ppb~5000ppbがさらに好ましい。
溶液重合法においては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の添加剤を用いてもよい。このような他の添加剤としては、例えば、連鎖移動剤、緩衝剤などが挙げられる。
溶液重合法において架橋剤を使用する場合、架橋剤の存在下において、単量体成分を重合する方法により架橋重合体を得てもよく、単量体成分を重合した後に架橋処理する方法により架橋重合体を得てもよい。好ましくは、架橋剤の存在下において、単量体成分を重合する方法により架橋重合体を得ることである。重合した後架橋処理する方法としては、例えば、(i)重合体にUV、γ線、電子線を照射する方法、(ii)重合体に熱を加えて自己架橋させる方法、(iii)重合体にラジカル発生剤を含有させた後、熱を加えて自己架橋させる方法、(iv)重合体にラジカル重合性架橋剤及びラジカル重合開始剤を含有させた後、加熱及び/又は光照射する方法、などが挙げられる。
溶液重合法において、各仕込み成分の添加方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な添加方法を採用し得る。このような添加方法としては、例えば、回分式や連続式などが挙げられる。
溶液重合法において、単量体成分としてN-ビニルラクタム系単量体を使用する場合、重合反応後、得られた重合体に有機酸を添加する工程を含むことが好ましい。得られた重合体に有機酸を添加することにより、重合体中の残存N-ビニルラクタム系単量体の量を低減することができる。このような有機酸としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な有機酸を採用し得る。このような有機酸としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、ホスホン酸基、硫酸基、リン酸基等の酸基を有する有機化合物が挙げられる。このような有機酸としては、例えば、マロン酸、しゅう酸、コハク酸、アスパラギン酸、クエン酸、グルタミン酸、フマル酸、リンゴ酸、マレイン酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、プロピオン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、グリコ-ル酸、サリチル酸、乳酸、L-アスコルビン酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ラウリルベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンホスホン酸、ラウリル硫酸などが挙げられる。有機酸は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
有機酸の使用量としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な使用量を採用し得る。このような使用量としては、例えば、反応工程で仕込んだN-ビニルラクタム系単量体100質量%に対して、好ましくは0.01質量%~5質量%であり、より好ましくは0.05質量%~3質量%であり、さらに好ましくは0.1質量%~1質量%である。有機酸の使用量が上記範囲内にあれば、得られる重合体中の残存N-ビニルラクタム系単量体の量を低減しつつ、有機酸(塩)の量も低減することができる。なお、有機酸(塩)は、有機酸および/または有機酸の塩を表し、有機酸の塩は、主に後述する中和工程において添加する塩基と有機酸との中和物である。
有機酸と重合体との反応時間としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な反応時間を採用し得る。このような反応時間としては、好ましくは10分~3時間であり、より好ましくは30分~2時間である。重合体が架橋重合体である場合、非架橋の重合体よりも、有機酸が重合体の内部まで浸透するのに時間がかかるが、有機酸と重合体との反応時間が10分以上であれば、有機酸が重合体により十分に浸透し、得られる重合体中の残存N-ビニルラクタム系単量体の量をより十分に低減することができる。また、生産性の観点から、有機酸と重合体との反応時間は3時間以下とすることが好ましい。
溶液重合法においては、重合反応後に、重合体を熟成する工程(熟成工程)を含むことが好ましい。熟成工程における温度としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な温度を採用し得る。このような温度としては、好ましくは70℃~150℃であり、より好ましくは80℃~100℃である。熟成温度が上記範囲内にあれば、残存N-ビニルラクタム系単量体の重合を促進することができる。
溶液重合法において、熟成工程における熟成時間は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な熟成時間を採用し得る。このような熟成時間としては、好ましくは10分~5時間であり、より好ましくは30分~3時間である。
溶液重合法において、有機酸を添加する工程を含む場合、熟成工程は、有機酸を添加する工程の前に行うことが好ましい。
溶液重合法において、熟成工程は、重合体を解砕しながら行うことが好ましい。溶液重合法において、有機酸を添加する工程を含む場合、解砕することにより、有機酸が重合体により十分に浸透することから、得られる重合体中の残存N-ビニルラクタム系単量体の量をより十分に低減することができる。重合体の解砕は、通常用いられる方法により行うことができ、例えば、ニ-ダ-を用いて解砕する方法などが挙げられる。
溶液重合法において、有機酸を添加する場合、有機酸の添加工程の後に中和工程を含むことが好ましい。中和の方法としては、有機酸を重合体に反応させた後に、塩基を添加することが好ましい。このような塩基としては、例えば、アンモニア;モノエタノ-ルアミン、ジエタノ-ルアミン、トリエタノ-ルアミン等の脂肪族アミン;アニリン等の芳香族アミン;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物などが挙げられる。これらの塩基の中でも、好ましくは、アンモニア、脂肪族アミン、アルカリ金属の水酸化物であり、より好ましくは、アンモニア、モノエタノ-ルアミン、ジエタノ-ルアミン、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムである。このような塩基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
溶液重合法においては、その他の工程を含んでいてもよい。その他の工程としては、例えば、乾燥工程、粉砕工程、分級工程、造粒工程等である。
乾燥工程において、乾燥とは、固形分の上昇操作をいい、通常、固形分が乾燥前と比較して上昇すればよく、固形分が、好ましくは95質量%以上、より好ましくは96質量%以上まで上昇させる。なお、固形分の上限は、理想的には100質量%であり、現実的には、好ましくは99質量%である。乾燥と重合は同時に行ってもよく、重合時の乾燥と重合後の乾燥とを併用してもよい。好ましくは、重合後に乾燥装置を用いて乾燥する乾燥工程を行うことである溶液重合法において、有機酸の添加工程を含む場合には、乾燥工程を有機酸の添加工程の後に行うことが好ましい。なお、重合体の固形分は、実施例に記載の方法により測定される値をいう。
乾燥工程の温度は、好ましくは、乾燥工程の全体時間の50%以上の時間において80℃~250℃とすることであり、より好ましくは、乾燥工程の全体時間の実質的に100%の時間において80℃~250℃とすることである。乾燥温度の範囲は、好ましくは80℃~250℃であり、より好ましくは110℃~220℃であり、さらに好ましくは120℃~200℃である。また、乾燥は、一定温度で乾燥してもよく、温度を変化させて乾燥してもよい。このように乾燥工程の温度を設定することで、重合体の諸物性がより向上し得る。なお、乾燥温度は、熱媒温度で規定すればよく、熱媒温度で規定できない場合は材料温度で規定すればよい。
乾燥工程における乾燥方法としては、例えば、熱風乾燥、無風乾燥、減圧乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥などが挙げられる。これらの中でも、熱風乾燥を用いることがより好ましい。熱風乾燥を用いる場合の乾燥風量は、好ましくは0.01m/sec~10m/secであり、より好ましくは0.1m/sec~5m/secである。
粉砕工程においては、粉砕機を使用することが好ましい。溶液重合法において、乾燥工程を含む場合、粉砕工程は、乾燥工程の前、中、後のいずれに行ってもよい。粉砕工程は、好ましくは、乾燥工程の後に行う。
粉砕機としては、<沈殿重合法>の項での説明をそのまま援用し得る。
分級工程や造粒工程については、<沈殿重合法>の項での説明をそのまま援用し得る。
<b成分>
本発明の実施形態による組成物は、低級アルコール、高級アルコール、多価アルコール、有機酸、および脂肪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種(b成分)を、0.01質量%~99.89質量%含む。
b成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
組成物中のb成分の含有割合は、上述の通り、0.01質量%~99.89質量%であり、好ましくは0.1質量%~99質量%であり、より好ましくは10質量%~95質量%であり、さらに好ましくは12質量%~90質量%であり、特に好ましくは20質量%~83質量%であり、最も好ましくは30質量%~63質量%である。組成物中のb成分の含有割合が上記範囲を外れると、優れた増粘性を有する、各種油剤が増粘した組成物を提供できないおそれがある。
低級アルコールとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な低級アルコールを採用し得る。ここで、「低級アルコール」とは、当業者一般に「低級アルコール」として認識されているものを意味し、代表的には、炭素数が5個以下の1価アルコールである。
低級アルコールは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明の効果をより発現させ得る点で、このような低級アルコールとしては、好ましくは、IOB値が0.5以上の低級アルコールである。b成分として、IOB値が0.5以上の低級アルコールを採用すると、より優れた増粘性を有する、各種油剤が増粘した組成物を提供し得る。
本発明の効果をより発現させ得る点で、上記低級アルコールのIOB値は、より好ましくは0.5~5.0であり、さらに好ましくは1.1~3.3であり、特に好ましくは2.0~2.5である。
IOB値が0.5以上の低級アルコールとしては、日本エマルジョン株式会社のホームページ(本願出願時点で、https://www.nihon-emulsion.co.jp/tech/organic.html)に記載されている、IOB値が0.5以上の低級アルコールが挙げられ、例えば、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノールなどが挙げられる。
高級アルコールとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な高級アルコールを採用し得る。ここで、「高級アルコール」とは、当業者一般に「高級アルコール」として認識されているものを意味し、代表的には、炭素数が6個以上の1価アルコールである。
高級アルコールは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明の効果をより発現させ得る点で、このような高級アルコールとしては、好ましくは、IOB値が0.24以上の高級アルコールである。b成分として、IOB値が0.24以上の高級アルコールを採用すると、より優れた増粘性を有する、各種油剤が増粘した組成物を提供し得る。
本発明の効果をより発現させ得る点で、上記高級アルコールのIOB値は、より好ましくは0.24~0.63であり、さらに好ましくは0.25~0.52であり、特に好ましくは0.26~0.42である。
IOB値が0.24以上の高級アルコールとしては、日本エマルジョン株式会社のホームページ(本願出願時点で、https://www.nihon-emulsion.co.jp/tech/organic.html)に記載されている、IOB値が0.24以上の高級アルコールが挙げられ、例えば、オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、カプリリアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ヘキシルデカノール、シトステロール、コレステロール、ミリスチルアルコール、ラウリルアルコール、バチルアルコール、カプリリルアルコール、ラノリンアルコール、コレステロールなどが挙げられる。
多価アルコールとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な多価アルコールを採用し得る。
多価アルコールは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明の効果をより発現させ得る点で、このような多価アルコールとしては、好ましくは、IOB値が1.0以上の多価アルコールである。b成分として、IOB値が1.0以上の多価アルコールを採用すると、より優れた増粘性を有する、各種油剤が増粘した組成物を提供し得る。
本発明の効果をより発現させ得る点で、上記多価アルコールのIOB値は、より好ましくは1.0~5.0であり、さらに好ましくは1.8~3.5であり、特に好ましくは2.5~3.3である。
IOB値が1.0以上の多価アルコールとしては、日本エマルジョン株式会社のホームページ(本願出願時点で、https://www.nihon-emulsion.co.jp/tech/organic.html)に記載されている、IOB値が1.0以上の多価アルコールが挙げられ、例えば、グリセリン、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングルコール、ジグリセリン、ソルビトール、キシリトール、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
有機酸としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な有機酸を採用し得る。
有機酸は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明の効果をより発現させ得る点で、このような有機酸としては、好ましくは、IOB値が1.0以上の有機酸である。b成分として、IOB値が1.0以上の有機酸を採用すると、より優れた増粘性を有する、各種油剤が増粘した組成物を提供し得る。
本発明の効果をより発現させ得る点で、上記有機酸のIOB値は、より好ましくは1.0~5.4であり、さらに好ましくは2.1~5.0であり、特に好ましくは4.0~4.3である。
IOB値が1.0以上の有機酸としては、日本エマルジョン株式会社のホームページ(本願出願時点で、https://www.nihon-emulsion.co.jp/tech/organic.html)に記載されている、IOB値が1.0以上の有機酸が挙げられ、例えば、プロピオン酸、酢酸、乳酸、グリコール酸、チオグリコール酸などが挙げられる。
脂肪酸としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な脂肪酸を採用し得る。
脂肪酸は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明の効果をより発現させ得る点で、このような脂肪酸としては、好ましくは、IOB値が0.4以上の脂肪酸である。b成分として、IOB値が0.4以上の脂肪酸を採用すると、より優れた増粘性を有する、各種油剤が増粘した組成物を提供し得る。
本発明の効果をより発現させ得る点で、上記脂肪酸のIOB値は、より好ましくは0.4~1.25であり、さらに好ましくは0.41~0.75であり、特に好ましくは0.42~0.63である。
IOB値が0.4以上の脂肪酸としては、日本エマルジョン株式会社のホームページ(本願出願時点で、https://www.nihon-emulsion.co.jp/tech/organic.html)に記載されている、IOB値が0.4以上の脂肪酸が挙げられ、例えば、オレイン酸、リノール酸、イソステアリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ラウリン酸、カプリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、ラウラミノプロピオン酸、ヒドロキシステアリン酸、ヒドロキシデカン酸、ヤシ脂肪酸、水添ヤシ脂肪酸、パーム核脂肪酸などが挙げられる。
<c成分>
本発明の実施形態による組成物は、シリコーン油、エステル油、および炭化水素油からなる群から選ばれる少なくとも1種(c成分)を、0.01質量%~99.89質量%含む。
c成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
組成物中のc成分の含有割合は、上述の通り、0.01質量%~99.89質量%であり、好ましくは1質量%~90質量%であり、より好ましくは10質量%~80質量%であり、さらに好ましくは15質量%~75質量%であり、特に好ましくは17質量%~70質量%であり、最も好ましくは22質量%~65質量%である。組成物中のc成分の含有割合が上記範囲を外れると、優れた増粘性を有する、各種油剤が増粘した組成物を提供できないおそれがある。
シリコーン油としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なシリコーン油を採用し得る。シリコーン油を採用することにより、より優れた増粘性を有する、各種油剤が増粘した組成物を提供し得る。
シリコーン油は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明の効果をより発現させ得る点で、このようなシリコーン油としては、例えば、シクロペンタシロキサン、ジメチコン、PEG-11メチルエーテルジメチコン、PEG10-ジメチコン、カプリリルメチコン、ジフェニルジメチコン、フェニルトリメチコン、ジフェニルシロキシフェニルトリメチコン、PEG/PPG-19/19ジメチコン、PEG/PPG-20/15ジメチコン、PEG/PPG-20/20ジメチコン、PEG/PPG-20/23ジメチコン、PEG/PPG-23/6ジメチコン、PEG/PPG-30/10ジメチコン、PEG-7アモジメチコン、PEG-7ジメチコン、PEG-8ジメチコン、PEG-12ジメチコン、PEG-17ジメチコン、PEG-7メチルエーテルジメチコン、PEG-10メチルエーテルジメチコン、PEG-12メチルエーテルラウロキシPEG-5アミドプロピルジメチコン、アミノプロピルジメチコン、アミノプロピルフェニルトリメチコン、アモジメチコン、アルキル(C20-24)ジメチコン、アルキル(C24-28)ジメチコン、アルキル(C30-45)ジメチコン、アルキル(C30-45)メチコン、カプリリルトリメチコン、シクロヘキサシロキサン、シクロメチコン、ジメチコノール、ステアリルジメチコン、ステアロキシジメチコン、ステアロキシトリメチルシラン、セチルジメチコン、セテアリルメチコン、トリシロキサン、トリメチルペンタフェニルトリシロキサン、ビスフェニルプロピルジメチコン、メチコンなどが挙げられる。
エステル油としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なエステル油を採用し得る。
エステル油は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明の効果をより発現させ得る点で、このようなエステル油としては、好ましくは、IOB値が0.63以下のエステル油である。c成分として、IOB値が0.63以下のエステル油を採用すると、より優れた増粘性を有する、各種油剤が増粘した組成物を提供し得る。
本発明の効果をより発現させ得る点で、上記エステル油のIOB値は、より好ましくは0.01~0.63であり、さらに好ましくは0.1~0.60であり、特に好ましくは0.13~0.36である。
IOB値が0.63以下のエステル油としては、日本エマルジョン株式会社のホームページ(本願出願時点で、https://www.nihon-emulsion.co.jp/tech/organic.html)に記載されている、IOB値が0.63以下のエステル油が挙げられ、例えば、リンゴ酸ジイソステアリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、乳酸オクチルドデシル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジブチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸ヘキシルデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソステアリル、パルミチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジオクチル、リシノレイン酸セチル、リシノレイン酸オクチルドデシル、チオジプロピオン酸ジラウリル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、トリエチルヘキノイン、クエン酸トリエチルなどが挙げられる。
炭化水素油としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な炭化水素油を採用し得る。
炭化水素油は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
本発明の効果をより発現させ得る点で、このような炭化水素油としては、好ましくは、液状の炭化水素油である。c成分として、液状の炭化水素油を採用すると、より優れた増粘性を有する、各種油剤が増粘した組成物を提供し得る。
液状の炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、スクワラン、イソドデカン、水添ポリイソブテン、イソエイコサン、ヘキサデカン、イソヘキサデカンなどが挙げられる。
なお、「液状の炭化水素油」とは、常温(代表的には、23℃)で液体状態にある炭化水素油をいい、具体的には、好ましくは、炭素数が15個~200個の炭化水素油である。
<他の成分>
本発明の実施形態による組成物は、a成分、b成分、およびc成分以外に、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の成分を含んでいてもよい。他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
他の成分としては、例えば、a成分に該当しない重合体、b成分に該当しない低級アルコール、b成分に該当しない高級アルコール、b成分に該当しない多価アルコール、b成分に該当しない有機酸、b成分に該当しない脂肪酸、c成分に該当しないシリコーン油、c成分に該当しないエステル油、c成分に該当しない炭化水素油、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、ゲル化剤、増粘剤、粉体、紫外線吸収剤、酸化防止剤、抗炎症剤、殺菌剤、防腐剤、金属イオン封鎖剤、香料、着色料、美容成分などが挙げられる。
組成物中の他の成分の含有割合は、本発明の効果を損なわない範囲で、好ましくは0質量%~99.88であり、より好ましくは0質量%~79.7質量%であり、さらに好ましくは0質量%~62.5質量%であり、特に好ましくは0質量%~47.4質量%である。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は「質量部」を、「%」は「質量%」を意味する。
<0.02MPa以下の減圧下において100℃で1時間乾燥したときの平均粒子径の測定>
乾式の粒子径分布測定装置(スペクトリス株式会社マルバーン事業部製、型式:マスターサイザー3000、乾式)により測定した体積分布の累積50%値を、0.02MPa以下の減圧下において100℃で1時間乾燥したときの平均粒子径とした。測定条件を以下に示す。
(測定条件)
乾式レーザー回折散乱法
分散圧力:2.0bar
ベンチュリ:HEベンチュリ
粒子屈折率:1.52
粒子吸収率:0.01
粒子密度:1.05g/cm
粒子形状:非球形
溶媒名:空気(AIR)
測定範囲:0.1μm~3500μm
<脱イオン水を用いて膨潤させたときの膨潤体の平均粒子径の測定>
湿式の粒子径分布測定装置(株式会社堀場製作所製、型式:Partica LA-950V2、湿式)により測定した体積分布の累積50%値を、膨潤体の平均粒子径とした。測定条件を以下に示す。
(測定条件)
膨潤体屈折率:1.5
分散媒:脱イオン水
測定範囲:0.01μm~3000μm
<重合体の固形分測定>
底面の直径が約5cmの秤量缶(質量W1g)に約1gの重合体をはかりとり(質量W2g)、150℃の定温乾燥機中において、1時間静置し、乾燥させた。乾燥後の秤量缶と重合体の合計(質量W3g)を測定し、下記式より固形分を求めた。
固形分(質量%)=[(W3-W1)/W2]×100
<相溶性、増粘性、被膜性、および毛髪のまとまりの評価用の試料の作製方法(実施例用)>
(1)ビーカー中で、b成分(複数ある場合は全て)を80℃に加熱混合した。
(2)スターラーを用いて上記(1)で得られたものにa成分を均一に分散させた。
(3)上記(2)で得られた分散液に、c成分を加えた。
(4)c成分が複数ある場合は、一つずつ加えた。
(5)室温まで空冷で冷却した。
<相溶性、増粘性、被膜性、および毛髪のまとまりの評価用の試料の作製方法(比較例用)>
(比較例1~14、18~29)
(1)ビーカー中で、c成分(複数ある場合は全て)を混合した。
(2)スターラーを用いて上記(1)で得られたものにa成分を均一に分散させた。
(比較例15、30~31)
(1)ビーカー中に、b成分を80℃に加熱混合した。
(2)スターラーを用いて上記(1)で得られたものにa成分を均一に分散させた。
(3)室温まで空冷で冷却した。
(比較例16~17)
(1)ビーカー中で、b成分を80℃に加熱混合した。
(2)スターラーを用いて上記(1)で得られたものにa成分を均一に分散させた。
(3)上記(2)で得られた分散液に、c成分を加えた。
(4)室温まで空冷で冷却した。
<相溶性の評価>
目視により観察して下記の基準で評価した。
〇:溶解して相溶した。
△:相溶したが白濁した。
×:沈殿が見られた。
<増粘性の評価>
目視により観察して下記の基準で評価した。
〇:液面が動かない。
△:N-ビニルラクタム系重合体無配合より液面がゆっくりと動く。
×:液面が動く。
<被膜性の評価>
ドクターブレードを用いて試料をスライドグラス上に塗布し、室温で1昼夜乾燥させた。形成された被膜を肉眼観察し、次の基準で評価した。
〇:ツブ、穴等がなく、均一な乾燥被膜が形成された。
△:ツブ、穴等があり、不均一な乾燥被膜が形成された。
×:乾燥被膜が形成されず、べたつく被膜が形成された。
<髪のまとまりの評価>
毛束(長さ30cm、3g)に試料を0.5g塗布し、常温にて乾燥させた後の毛束について、毛髪のまとまりを官能評価にて評価した。
〇:毛束全体がまとまっている。
△:毛束の先端部分がまとまっている。
×:毛束がひろがっている。
<実施例、比較例で用いたb成分、c成分の説明>
下記の成分を用いた。
(1)低級アルコール(b成分)
エタノール(IOB値=2.5)
(2)高級アルコール(b成分)
イソステアリルアルコール(IOB値=0.29)
ベへニルアルコール(IOB値=0.23)
ヘキシルデカノール(IOB値=0.32)
オチルドデカノール(IOB値=0.26)
オレイルアルコール(IOB値=0.28)
(3)多価アルコール(b成分)
グリセリン(IOB値=5.0)
1,3-ブチレングリコール(IOB値=2.5)
(4)有機酸(b成分)
酢酸(IOB値=3.8)
(5)脂肪酸(b成分)
オレイン酸(IOB値=0.42)
リノール酸(IOB値=0.43)
イソステアリン酸(IOB値=0.43)
(6)シリコーン油(c成分)
シクロペンタシロキサン
ジメチコン
PEG-11メチルエーテルジメチコン
PEG10-ジメチコン
カプリリルメチコン
ジフェニルジメチコン
フェニルトリメチコン
ジフェニルシロキキシフェニルトリメチコン
(7)エステル油(c成分)
リンゴ酸ジイソステアリル(IOB値=0.28)
トリイソステアリン酸ジグリセリル(IOB値=0.26)
乳酸オクチルドデシル(IOB値=0.36)
トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル(IOB値=0.23)
ヒドロキシステアリン酸エチルヘキシル(IOB値=0.31)
ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2(IOB値=0.41)
(8)炭化水素油(c成分)
流動パラフィン
スクワラン
イソドデカン
水添ポリイソブテン
〔製造例1〕:N-ビニルラクタム系重合体の製造
攪拌装置(パドル翼タイプ)、温度計、還流冷却器、窒素導入管を備えた容量2000mlのフラスコに、ヘプタン:900gを初期仕込みし、窒素雰囲気下で100℃のオイルバスで加熱した。フラスコ内の温度が一定になった後、滴下成分1(N-ビニルピロリドン:250g、アクリル酸:0.25g、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル:0.5g)および滴下成分2(t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(アルケマ吉富株式会社製、ルペロックス575):2.0g、ヘプタン:50g)の投入を開始した。滴下成分1は4時間、滴下成分2は5時間かけて一定速度で計量投入した。滴下開始から30分程度で、重合体の析出が始まり次第に析出量が増えていった。滴下成分2の投入終了後、さらに1.0時間加熱を継続した後、フラスコを冷却し反応を終了した。フラスコ内の温度は、94℃から100℃の間であり、概ね時間の経過と共に上昇する傾向であった(中間値は97℃)。
続いて、反応液をろ過して重合体である沈殿物を回収し、100℃で4時間減圧乾燥を行い、架橋体を得た。架橋体は、適度な大きさの球形物として得られたため、短時間でデカンテーションとろ過が終了し、粉体を取り扱う際に気流や静電気の影響が小さく、取り扱いが容易であった。マイクロスコープで観察すると、大部分が直径約200μm~600μmの球形であり、球形物の平均粒子径は420μmであった。
得られた球形物の全量を、大阪ケミカル株式会社製のラボ用粉砕機OML-1によって粉砕すると、20秒程度で容易に粉砕され、きめの細かい均一な架橋体として、N-ビニルラクタム系重合体が粉体として得られた。得られたN-ビニルラクタム系重合体の固形分は99%であった。
得られたN-ビニルラクタム系重合体の、0.01MPaの減圧下において100℃で1時間乾燥したときの平均粒子径は17μmであり、脱イオン水を用いて膨潤させたときの膨潤体の平均粒子径は2μmであった。なお、膨潤体の平均粒子径が粉体の平均粒子径より小さい理由は、粉体が水を吸収して膨潤すると同時に、凝集がほぐれて1次粒子に近付いたためと考えられる。
〔実施例1~15〕
表1に示す配合量(表中の数値の単位は質量部)で、<相溶性、増粘性、被膜性、および毛髪のまとまりの評価用の試料の作製方法(実施例用)>に従って、組成物を製造した。
結果を表1に示した。
〔比較例1~10〕
表1に示す配合量(表中の数値の単位は質量部)で、<相溶性、増粘性、被膜性、および毛髪のまとまりの評価用の試料の作製方法(比較例用)>に従って、組成物を製造した。
結果を表1に示した。
〔実施例16~39〕
表2に示す配合量(表中の数値の単位は質量部)で、<相溶性、増粘性、被膜性、および毛髪のまとまりの評価用の試料の作製方法(実施例用)>に従って、組成物を製造した。
結果を表2に示した。
〔比較例11~17〕
表2に示す配合量(表中の数値の単位は質量部)で、<相溶性、増粘性、被膜性、および毛髪のまとまりの評価用の試料の作製方法(比較例用)>に従って、組成物を製造した。
結果を表2に示した。
〔実施例40~51〕
表3に示す配合量(表中の数値の単位は質量部)で、<相溶性、増粘性、被膜性、および毛髪のまとまりの評価用の試料の作製方法(実施例用)>に従って、組成物を製造した。
結果を表3に示した。
〔比較例18~20〕
表3に示す配合量(表中の数値の単位は質量部)で、<相溶性、増粘性、被膜性、および毛髪のまとまりの評価用の試料の作製方法(比較例用)>に従って、組成物を製造した。
結果を表3に示した。
〔実施例52~69〕
表4に示す配合量(表中の数値の単位は質量部)で、<相溶性、増粘性、被膜性、および毛髪のまとまりの評価用の試料の作製方法(実施例用)>に従って、組成物を製造した。
結果を表4に示した。
〔比較例21~26〕
表4に示す配合量(表中の数値の単位は質量部)で、<相溶性、増粘性、被膜性、および毛髪のまとまりの評価用の試料の作製方法(比較例用)>に従って、組成物を製造した。
結果を表4に示した。
〔実施例70~91〕
表5に示す配合量(表中の数値の単位は質量部)で、<相溶性、増粘性、被膜性、および毛髪のまとまりの評価用の試料の作製方法(実施例用)>に従って、組成物を製造した。
結果を表5に示した。
〔比較例27~31〕
表5に示す配合量(表中の数値の単位は質量部)で、<相溶性、増粘性、被膜性、および毛髪のまとまりの評価用の試料の作製方法(比較例用)>に従って、組成物を製造した。
結果を表5に示した。
Figure 2022051996000003
Figure 2022051996000004
Figure 2022051996000005
Figure 2022051996000006
Figure 2022051996000007

Claims (15)

  1. 下記(A)~(C)を含む、組成物。
    (A)N-ビニルラクタム系重合体(a成分)を、0.1質量%~20.0質量%、
    (B)低級アルコール、高級アルコール、多価アルコール、有機酸、および脂肪酸からなる群から選ばれる少なくとも1種(b成分)を、0.01質量%~99.89質量%、
    (C)シリコーン油、エステル油、および炭化水素油からなる群から選ばれる少なくとも1種(c成分)を、0.01質量%~99.89質量%。
  2. 前記a成分が、N-ビニルラクタム系単量体由来の構造単位を全単量体由来の構造単位100モル%に対して50モル%~100モル%含む、請求項1に記載の組成物。
  3. 前記a成分が架橋構造を有する、請求項1または2に記載の組成物。
  4. 前記b成分が、IOB値が0.5以上の低級アルコールを含む、請求項1から3までのいずれかに記載の組成物。
  5. 前記b成分が、IOB値が0.24以上の高級アルコールを含む、請求項1から4までのいずれかに記載の組成物。
  6. 前記b成分が、IOB値が1.0以上の多価アルコールを含む、請求項1から5までのいずれかに記載の組成物。
  7. 前記b成分が、IOB値が1.0以上の有機酸を含む、請求項1から6までのいずれかに記載の組成物。
  8. 前記b成分が、IOB値が0.4以上の脂肪酸を含む、請求項1から7までのいずれかに記載の組成物。
  9. 前記c成分がシリコーン油を含む、請求項1から8までのいずれかに記載の組成物。
  10. 前記c成分が、IOB値が0.63以下のエステル油を含む、請求項1から9までのいずれかに記載の組成物。
  11. 前記c成分が液状の炭化水素油を含む、請求項1から10までのいずれかに記載の組成物。
  12. 化粧品用増粘組成物である、請求項1から11までのいずれかに記載の組成物。
  13. 整髪剤用増粘組成物である、請求項12に記載の組成物。
  14. 化粧品用被膜形成組成物である、請求項1から11までのいずれかに記載の組成物。
  15. 整髪剤用被膜形成組成物である、請求項14に記載の組成物。



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