JP2022051489A - 電極群、二次電池、電池パック、及び車両 - Google Patents

電極群、二次電池、電池パック、及び車両 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた出力性能を示す電極群、二次電池、及び電池パック、並びに、この電池パックを含む車両を提供すること。【解決手段】実施形態によれば、正極と、チタン含有酸化物を含む負極とを具備する電極群が提供される。電極群は、正極と負極とを含む積層体が第1方向に沿って中心が位置するように捲回されて成る扁平形状の捲回型構造を有する。捲回型構造の第1方向と直交する捲回断面における最長の直線に沿った最内周から最外周までの厚さtに対し、負極のうち上記最長の直線に沿って最内周から0.2tの厚さ以内に位置する部分の少なくとも一部は、第1方向に沿う切れ目を有する。【選択図】 図1

Description

本発明の実施形態は、電極群、二次電池、電池パック、及び車両に関する。
リチウムイオンが負極と正極との間を移動することにより充放電が行われるリチウムイオン電池、例えば、非水電解質電池は、高エネルギー密度電池として、盛んに研究が進められている。
この非水電解質電池には、小型電子機器用電源としての利用に加え、車載用途や定置用途など中大型電源としての利用も期待される。そのような中大型用途では、寿命性能や高い安全性が要求される。さらに高いエネルギー密度と入出力性能も必要となる。
特開2010-186683号公報 特開2017-208255号公報
「粉末X線解析の実際」初版(2002年)日本分析化学会X線分析研究懇談会編 中井泉、泉富士夫編著(朝倉書店)
優れた出力性能を示す電極群、二次電池、及び電池パック、並びに、この電池パックを含む車両を提供することを目的とする。
実施形態によれば、正極と、チタン含有酸化物を含む負極とを具備する電極群が提供される。電極群は、正極と負極とを含む積層体が第1方向に沿って中心が位置するように捲回されて成る扁平形状の捲回型構造を有する。捲回型構造の第1方向と直交する捲回断面は最内周と最外周とを含む。捲回断面における最長の直線に沿った最内周から最外周までの厚さtに対し、負極のうち上記最長の直線に沿って最内周から0.2tの厚さ以内に位置する部分の少なくとも一部は、第1方向に沿う切れ目を有する。
他の実施形態によれば、上記実施形態に係る電極群と電解質とを具備する二次電池が提供される。
さらに他の実施形態によれば、上記実施形態に係る二次電池を具備する電池パックが提供される。
またさらに他の実施形態によれば、上記実施形態に係る電池パックを具備する車両が提供される。
実施形態に係る電極群の一例を概略的に示す斜視図。 図1に示す仮想面IIに沿った概略断面図。 図2に示す電極群のA部を拡大した断面図。 実施形態に係る二次電池の一例を概略的に示す断面図。 図4に示す二次電池のB部を拡大した断面図。 実施形態に係る組電池の一例を概略的に示す斜視図。 実施形態に係る電池パックの一例を概略的に示す分解斜視図。 図7に示す電池パックの電気回路の一例を示すブロック図。 実施形態に係る車両の一例を概略的に示す部分透過図。 実施形態に係る車両における電気系統に関する制御システムの一例を概略的に示した図。
寿命性能や高い安全性を有する非水電解質電池としては、負極にチタン含有複合酸化物を用いた非水電解質電池がある。さらに高いエネルギー密度を得るためには、電極合剤の量の増加および電極密度の増加などの施策が考えられる。しかし、電極合剤や電極密度の増加は、電池抵抗の増加につながり、入出力性能が低下し得る。
非水電解質電池内に含有される一般的な電極群の形式の例としては、捲回型と積層型が挙げられる。捲回型は生産性に優れるが、電解液の含浸性は低い。また、捲回型電極群において円弧形状の曲面が形成されている部分では、対向する電極(例えば、負極とその対極としての正極)の間の反応が起こりにくく、電池抵抗が高くなりやすい。電極群の最内周ほど、対向電極間の反応は起こりにくい。
以下に、実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、実施の形態を通して共通の構成には同一の符号を付すものとし、重複する説明は省略する。また、各図は実施の形態の説明とその理解を促すための模式図であり、その形状や寸法、比などは実際の装置と異なる箇所があるが、これらは以下の説明と公知の技術とを参酌して、適宜設計変更することができる。
[第1の実施形態]
第1の実施形態に係る電極群は、正極と、負極とを具備する。負極は、チタン含有酸化物を含む。電極群は、正極と負極とを含む積層体が第1方向に沿って中心が位置するように捲回されて成る扁平形状の捲回型構造を有する。捲回型構造の第1方向と直交する捲回断面は最内周と最外周とを含む。電極群が含む負極のうち、捲回断面における最長の直線に沿って、この最長の直線に沿った最内周から最外周までの厚さtに対し最内周から0.2tの厚さ以内に位置する部分の少なくとも一部にて、第1方向に沿う切れ目がある。
係る電極群は、電池用電極群であり得る。ここでいう電池とは、例えば、リチウムイオン二次電池や非水電解質電池などの二次電池を含む。係る電極群を用いることで、二次電池の電池抵抗値を低減させ、高い出力性能を得ることができる。
電極群は、セパレータをさらに含むことができる。
図1-図3を参照して、実施形態に係る電極群を説明する。図1は、実施形態に係る電極群の一例を概略的に示す斜視図である。図2は、図1に示す仮想面IIに沿った概略断面図である。図3は、図2に示す電極群のA部を拡大した断面図である。
図示する電極群1は、図1に示すとおり第1方向11に沿った仮想の捲回軸Cを中心に捲回された扁平形状の捲回型構造を有する。また、当該捲回型構造は、図2及び図3に示すとおり、負極3と、正極5と、負極3と正極5との間に設けられたセパレータ4とを含む積層体が、扁平形状に捲回された構造である。負極3、正極5、及びセパレータ4は、各々が複数の捲回周を含み、電極群1内で、-負極3、セパレータ4、正極5、セパレータ4、負極3、セパレータ4、正極5、セパレータ4-という順番で繰り返し配置されている。捲回軸Cの周囲には、空間9が存在する。
図2は、電極群1についての第1方向11と直交する捲回断面を示している。図2にて示す破線10は、この捲回断面において電極群1の一端から他端までの最長の直線が沿う位置を表している。電極群1は、この最長の直線に平行な第2方向12に沿った両端にて、負極3、セパレータ4、及び正極5が曲面形状に湾曲している曲面部13をそれぞれ含み、それらの間に、負極3、セパレータ4、及び正極5が平坦または略平坦である平坦部14を含む。
電極群1のうち、負極3、セパレータ4、及び正極5が曲面形状になっている曲面部13での最内周15から最外周16までの距離を、空間9を取り囲む電極群1の壁部の厚さtとする。厚さtは、具体的には、上述の最長の直線に沿った厚さを指す。厚さtは、負極3と、セパレータ4と、正極5とを含んだ積層体についての、捲回する前の状態における積層方向への厚さであり得る。電極群1の捲回断面における最長の直線に沿う最内周15から最外周16へ向かって0.2tの厚さの部位では、負極3のうちこの部位に位置する部分の一部は切れ目8を含む。つまり、電極群1の壁部における円弧形状の曲面部13にて、最内周側から壁厚の五分の一までの領域にて、負極3は切れ目8を有する。図3は1箇所のみ図示しているが、電極群1が第2方向12に沿う両端に有する円弧形状の曲面部13のそれぞれにて、最内周15から外周へ向かって0.2tの厚さの部位に、切れ目8が存在する。
負極3、セパレータ4、及び正極5が平坦(又は略平坦)である平坦部14では、各部材が面同士で密着しやすい。そのため、第2方向に沿って真ん中に位置する平坦部14では負極3と正極5との間で充放電反応が円滑に進行することができる。これに対し、それぞれが曲面形状になっている負極3、セパレータ4、正極5から構成されている曲面部13では、各部材間の接触が乏しくなる傾向がある。そのため、曲面部13では、平坦部14と比較して充放電反応が進行しにくい。最外周16側よりも、最内周15側の方が充放電反応が進みにくく、最内周15側に近い位置ほど反応が進みにくい。これに起因して、上記位置に切れ目8を含まない電極群では、局所的に電池抵抗が大きくなり得る。
図示する例のように、捲回断面の最長の直線に沿った最内周15から外周へ向かって0.2tの厚さの部位、つまり曲面部13における最内周15付近にて負極3に切れ目8を有する電極群1では、局所的な抵抗増加を抑制できる。切れ目8が設けられていることで、切れ目8に隣接する負極3の部分における応力や剛性が緩和され、その部分はセパレータ4を介して正極5と密着しやすくなる。即ち、切れ目8を含むことで、曲面部13において充放電反応が進行しにくい箇所を少なくできる。
ここでいう“切れ目”とは、負極における切欠き及び/又は切断部を指す。“切断部”とは、例えば、後述する方法で負極の一部を切断した部位を指し得る。これら切欠きや切断部は、電極群1の第1方向11に沿って、負極3の一部に設けられている。後述するとおり負極3は、負極集電体とその上に設けられた負極活物質含有層とを含むことができる。切れ目8は、負極集電体および負極活物質含有層を含めた負極3の厚さ方向の全体に亘る切欠き及び/又は切断部を示す。つまり、切れ目8がある位置では、負極集電体および負極活物質含有層の両方に切欠き及び/又は切断部が設けられている。
切れ目8は、負極3が含む複数の捲回周のうち、最内周15から外側へ向かって厚さ0.2t以内の位置にある1以上の周に存在し得る。最内周15から厚さ0.2tまでの周の全てに切れ目8が設けられていてもよく、その一部に切れ目8が設けられていてもよい。厚さ0.2tまでの位置の負極3の捲回周の一部に切れ目8が設けられている場合は、この0.2tまでの厚さ範囲に収まる限り切れ目8の位置は特に限定されない。例えば、切れ目8の位置は、最内周15側に偏り得る。或いは、0.2tまでの厚さ範囲内で最外周に向かって切れ目8の位置が偏っていてもよい。また、負極3の捲回周のうち、隣接する周に切れ目8が設けられていてもよく、切れ目8が設けられている周は互いに隣接していなくてもよい。切れ目8の位置が、最内周15側に集中していることが好ましい。
電極群1において、最内周15から0.2tの厚さよりも外側の部分には、切れ目8を含まない。つまり、最内周15から最外周16へ向かって厚さ0.2tまでの部位以外の領域には、切込も切断部も設けられない。曲面部13内であっても、最外周16に近い側の部位では比較的円滑に充放電反応が行われ、最外周16に近づくほど切れ目8を設けることによって得られる効果が少なくなる。充放電に寄与している箇所に切込を入れることは、電子導電パスを遮断することに等しい。切れ目8を設ける範囲を0.2tの厚さ以内に留めることで、電池性能の劣化を抑えつつ上述した効果を得ることができる。
図3にて破線10上の配列で図示するように、切れ目8の位置は、捲回断面における最長の直線と重なり得る。切れ目8の位置は、最長の直線と重なっていなくてもよい。負極3のうち、最長の直線に沿って最内周15から外側へ向かって厚さ0.2tまでの部位に含まれ、且つ、最長の直線に沿う部分内に、切れ目8は位置する。言い換えると、切れ目8は、負極3の捲き数のうちの最内周20%の部分内に位置し、尚且つ、当該最内周部分のうち曲面部13に含まれている位置にある。切れ目8の位置が捲回断面における最長の直線と少なくとも隣接していることが望ましい。つまり、切れ目8の位置が最長の直線と隣接および/又は重なっていることが望ましい。切れ目8の位置が捲回断面における最長の直線と重なっていることがより好ましい。
負極3に設けられた切れ目8は、第1方向11への電極群の第1長さLの全体に亘っていてもよく、或いは、第1長さLの一部に亘っていてもよい。例えば、後述するとおり負極3が含むことのできる負極集電体には負極活物質含有層が設けられず負極集電タブとして機能できる箇所を含み得るが、切れ目8は、負極集電タブを除いた第1方向11に沿った負極3の全体に亘り得る。第1方向11に沿う切れ目8の長さは、第1長さLに対し0.3L以上0.8L以下であることが好ましい。
電極群1が複数の切れ目8を含む場合、各々の切れ目8が第1方向11に沿う長さは互いに同じでもよく、異なっていてもよい。切れ目8の数が複数の場合、切れ目8の長さとは、それら切れ目8の平均長さを指す。第1方向11に沿う切れ目8は、連続していなくてもよく、第1方向11に沿って分割された複数の切欠き及び/又は切断部を含んでいてもよい。負極3にて切れ目8が第1方向11に沿って複数の切欠き及び/又は切断部に分割されている箇所については、各々の切欠き及び/又は切断部の第1方向11への長さの合計を切れ目8の長さと見なす。つまり、各切れ目8についての合計長さの平均が、第1長さLに対し0.3L以上0.8L以下であることが好ましい。全ての切れ目8について、各々の合計長さが第1長さLに対し0.3L以上0.8L以下であることがより好ましい。
負極3のうち0.2tの厚さ以内の最内周部分に切れ目8を設けることによって得られる効果は、第1方向11への第1長さLと第2方向12への第2長さLとが1<L/L<5の関係を満たしている電極群1において、好適に発揮される。第2長さLに対する第1長さLの比率が大きいということは、平坦部14に対する曲面部13の割合が比較的大きいことを意味する。また、第1長さLが長いほど第1方向11と交差する端面から液状の電解質が電極群内部まで浸透する距離が長くなり、電極群内で電解質が不足する箇所が多くなりやすい。従って、一般的な電極群のうち、第1方向11への第1長さLが長い電極群の方が、第1長さLが短い電極群よりも局所的な抵抗増加が起こりやすい。実施形態に係る電極群1では、上述した箇所に切れ目8が設けられていることで、第1長さLが比較的長い場合でも、局所的な抵抗増加を抑えることができる。第2長さLに対する第1長さLの比が5未満である電極群1の方が、切れ目8を設けることでより大きな効果が得られる。なお、第2方向12は、第1方向11と直交する。
以下、負極、正極、電解質、セパレータ、外装部材、負極端子及び正極端子について詳細に説明する。
1)負極
負極は、負極集電体と、負極活物質含有層とを含むことができる。負極活物質含有層は、負極集電体の片面又は両面に形成され得る。負極活物質含有層は、負極活物質と、任意に導電剤及び結着剤とを含むことができる。
負極活物質含有層は、チタン含有酸化物を負極活物質として含む。チタン含有酸化物の例には、ラムスデライト構造を有するチタン酸リチウム(例えばLi2+wTi37、0≦w≦3)、スピネル構造を有するチタン酸リチウム(例えば、Li4+wTi512、0≦w≦3)、単斜晶型二酸化チタン(TiO2)、アナターゼ型二酸化チタン、ルチル型二酸化チタン、ホランダイト型チタン複合酸化物、直方晶型(orthorhombic)チタン複合酸化物、及び単斜晶型ニオブチタン複合酸化物が挙げられる。
上記直方晶型チタン含有複合酸化物の例として、Li2+aMα2-bTi6-cMβd14+σで表される化合物が挙げられる。ここで、Mαは、Sr,Ba,Ca,Mg,Na,Cs,Rb及びKからなる群より選択される少なくとも1つである。MβはZr,Sn,V,Nb,Ta,Mo,W,Y,Fe,Co,Cr,Mn,Ni,及びAlからなる群より選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦a≦6、0≦b<2、0≦c<6、0≦d<6、-0.5≦σ≦0.5である。
直方晶型チタン含有複合酸化物の具体例として、Li2+aNa2-yMAyTi6-zMBz14で表される直方晶型ナトリウム含有チタン含有酸化物が挙げられる。ここで、MAはSr、Ba、K、及びCsからなる群より選択される少なくとも1つである。MBはNb、Ta、Zr、及びMoからなる群より選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦a≦6、0≦y<1、0≦z<2である。さらに具体的な例として、Li2+aNa2Ti614(0≦a≦6)が挙げられる。
上記単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の例として、LixTi1-yM1y+zNb2-z7-δで表される化合物が挙げられる。ここで、M1は、Mg,Fe,Ni,Co,W,Ta,及びMoからなる群より選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦x≦5、0≦y<1、0≦z<2、-0.3≦δ≦0.3である。単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の具体例として、LixNb2TiO7(0≦x≦5)が挙げられる。
単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の他の例として、LixTi1-yM2yNb2-zM3z7+δで表される化合物が挙げられる。ここで、M2は、Zr,Si,及びSnからなる群より選択される少なくとも1つである。M3は、V,Ta,及びBiからなる群より選択される少なくとも1つである。組成式中のそれぞれの添字は、0≦x≦5、0≦y<1、0≦z<2、-0.3≦δ≦0.3である。
上記チタン含有酸化物のうち、高い電池電圧を得る観点からは、直方晶型チタン含有複合酸化物、特に直方晶型ナトリウム含有チタン含有酸化物を負極活物質として含むことが好ましい。高容量を得る観点からは、単斜晶型ニオブチタン複合酸化物を負極活物質として含むことが好ましい。
負極活物質として、上記チタン含有酸化物に加え五酸化ニオブなどのニオブ酸化物を含んでもよい。
導電剤は、集電性能を高め、且つ、負極活物質と負極集電体との接触抵抗を抑えるために配合される。導電剤の例には、気相成長カーボン繊維(Vapor Grown Carbon Fiber;VGCF)、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、黒鉛、カーボンナノファイバー、及びカーボンナノチューブのような炭素質物が含まれる。これらの1つを導電剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて導電剤として用いてもよい。あるいは、導電剤を用いる代わりに、活物質粒子の表面に、炭素コートや電子導電性無機材料コートを施してもよい。
結着剤は、分散された活物質の間隙を埋め、また、負極活物質と負極集電体を結着させるために配合される。結着剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoro ethylene;PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)、ポリビニルピロリドン(polyvinyl pyrrolidone;PVP)、フッ素系ゴム、スチレンブタジエンゴム、アクリル樹脂、アクリル樹脂の共重合体、ポリアクリル酸化合物、イミド化合物、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose;CMC)、及びCMCの塩が含まれる。アクリル樹脂の共重合体やポリアクリル酸化合物の例としては、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。これらの1つを結着剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて結着剤として用いてもよい。
負極活物質含有層において、負極活物質、導電剤及び結着剤を、それぞれ、70質量%以上96質量%以下、2質量%以上28質量%以下及び2質量%以上28質量%以下の割合で配合することが好ましい。導電剤の量を2質量%以上とすることにより、負極活物質含有層の集電性能を向上させ、係る電極群を用いた二次電池の出力性能を向上させることができる。また、結着剤の量を2質量%以上とすることにより、負極活物質含有層と負極集電体との結着性が十分となり、優れたサイクル性能を期待できる。一方、導電剤及び結着剤はそれぞれ28質量%以下にすることが高容量化を図る上で好ましい。
負極集電体には、リチウムの酸化還元電位に対し0.8V(vs.Li/Li)より高い電位、例えば、リチウムの酸化還元電位に対し1V以上3V以下の電位範囲(vs.Li/Li)において電気化学的に安定である材料が用いられる。例えば、負極集電体は、アルミニウム、或いは、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu、及びSiから選択される一以上の元素を含むアルミニウム合金から作られることが好ましい。集電体の厚さは、5μm以上20μm以下であることが好ましい。このような厚さを有する集電体は、電極の強度と軽量化のバランスをとることができる。
また、負極集電体は、その表面に負極活物質含有層が形成されていない部分を含むことができる。この部分は、負極集電タブとして働くことができる。
負極活物質含有層の密度(集電体を含まず)は、2.1g/cm3以上2.8g/cm3以下であることが好ましい。負極活物質含有層の密度がこの範囲内にある負極は、エネルギー密度と電解質の保持性とに優れている。
2)正極
正極は、正極集電体と、正極活物質含有層とを含むことができる。正極活物質含有層は、正極集電体の片面又は両面に形成され得る。正極活物質含有層は、正極活物質と、任意に導電剤及び結着剤を含むことができる。
正極活物質としては、例えば、酸化物又は硫化物を用いることができる。正極は、正極活物質として、1種類の化合物を単独で含んでいてもよく、或いは2種類以上の化合物を組み合わせて含んでいてもよい。酸化物及び硫化物の例には、Li又はLiイオンを挿入及び脱離させることができる化合物を挙げることができる。
このような化合物としては、例えば、二酸化マンガン(MnO2)、酸化鉄、酸化銅、酸化ニッケル、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLipMn24又はLipMnO2;0<p≦1)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLipNiO2;0<p≦1)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLipCoO2;0<p≦1)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLipNi1-qCoq2;0<p≦1、0<q<1)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLipMnqCo1-q2;0<p≦1、0<q<1)、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLipMn2-sNis4;0<p≦1、0<s<2)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物(例えばLipFePO4;0<p≦1、LipFe1-tMntPO4;0<p≦1、0<t≦1、LipCoPO4;0<p≦1)、硫酸鉄(Fe2(SO4)3)、バナジウム酸化物(例えばV25)、及び、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LipNi1-q-rCoqMnr2;0<p≦1、0<q<1、0<r<1、q+r<1)が含まれる。
上記のうち、正極活物質としてより好ましい化合物の例には、スピネル構造を有するリチウムマンガン複合酸化物(例えばLipMn24;0<p≦1)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLipNiO2;0<p≦1)、リチウムコバルト複合酸化物(例えばLipCoO2;0<p≦1)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLipNi1-qCoq2;0<p≦1、0<q<1)、スピネル構造を有するリチウムマンガンニッケル複合酸化物(例えばLipMn2-sNis4;0<p≦1、0<s<2)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLipMnqCo1-q2;0<p≦1、0<q<1)、オリビン構造を有するリチウムリン酸化物(例えばLipFePO4;0<p≦1、LipFe1-tMntPO4;0<p≦1、0<t≦1、LipCoPO4;0<p≦1)、及び、リチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物(LipNi1-q-rCoqMnr2;0<p≦1、0<q<1、0<r<1、q+r<1)が含まれる。これらの化合物を正極活物質に用いると、正極電位を高めることができる。
電池の電解質として常温溶融塩を用いる場合、リチウムリン酸鉄、LiuVPO4F(0≦u≦1)、リチウムマンガン複合酸化物、リチウムニッケル複合酸化物、リチウムニッケルコバルト複合酸化物、又はこれらの混合物を含む正極活物質を用いることが好ましい。これらの化合物は常温溶融塩との反応性が低いため、サイクル寿命を向上させることができる。常温溶融塩の詳細については、後述する。
正極活物質の一次粒径は、100nm以上1μm以下であることが好ましい。一次粒径が100nm以上の正極活物質は、工業生産上の取り扱いが容易である。一次粒径が1μm以下の正極活物質は、リチウムイオンの固体内拡散をスムーズに進行させることが可能である。
正極活物質の比表面積は、0.1m2/g以上10m2/g以下であることが好ましい。0.1m2/g以上の比表面積を有する正極活物質は、Liイオンの吸蔵・放出サイトを十分に確保できる。10m2/g以下の比表面積を有する正極活物質は、工業生産の上で取り扱い易く、かつ良好な充放電サイクル性能を確保できる。
結着剤は、分散された正極活物質の間隙を埋め、また、正極活物質と正極集電体とを結着させるために配合される。結着剤の例には、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoro ethylene;PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)、フッ素系ゴム、アクリル樹脂、アクリル樹脂の共重合体、ポリアクリル酸化合物、イミド化合物、カルボキシメチルセルロース(carboxymethyl cellulose;CMC)、及びCMCの塩が含まれる。アクリル樹脂の共重合体やポリアクリル酸化合物の例としては、ポリアクリル酸、ポリアクリロニトリルなどが挙げられる。これらの1つを結着剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて結着剤として用いてもよい。
導電剤は、集電性能を高め、且つ、正極活物質と正極集電体との接触抵抗を抑えるために配合される。導電剤の例には、気相成長カーボン繊維(Vapor Grown Carbon Fiber;VGCF)、アセチレンブラックなどのカーボンブラック、黒鉛、カーボンナノファイバー、及びカーボンナノチューブのような炭素質物が含まれる。これらの1つを導電剤として用いてもよく、或いは、2つ以上を組み合わせて導電剤として用いてもよい。また、導電剤を省略することもできる。
正極活物質含有層において、正極活物質及び結着剤は、それぞれ、80質量%以上98質量%以下、及び2質量%以上20質量%以下の割合で配合することが好ましい。
結着剤の量を2質量%以上にすることにより、十分な電極強度が得られる。また、結着剤は、絶縁体として機能し得る。そのため、結着剤の量を20質量%以下にすると、電極に含まれる絶縁体の量が減るため、内部抵抗を減少できる。
導電剤を加える場合には、正極活物質、結着剤及び導電剤は、それぞれ、80質量%以上95質量%以下、2質量%以上17質量%以下、及び3質量%以上18質量%以下の割合で配合することが好ましい。
導電剤の量を3質量%以上にすることにより、上述した効果を発揮することができる。また、導電剤の量を18質量%以下にすることにより、二次電池において電解質と接触する導電剤の割合を低くすることができる。この割合が低いと、高温環境下において二次電池を保存する際に、電解質の分解を低減することができる。
正極集電体は、アルミニウム箔、又は、Mg、Ti、Zn、Ni、Cr、Mn、Fe、Cu及びSiから選択される一以上の元素を含むアルミニウム合金箔であることが好ましい。
アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔の厚さは、5μm以上20μm以下であることが好ましく、15μm以下であることがより好ましい。アルミニウム箔の純度は99質量%以上であることが好ましい。アルミニウム箔又はアルミニウム合金箔に含まれる鉄、銅、ニッケル、及びクロムなどの遷移金属の含有量は、1質量%以下であることが好ましい。
また、正極集電体は、その表面に正極活物質含有層が形成されていない部分を含むことができる。この部分は、正極集電タブとして働くことができる。
3)セパレータ
セパレータは、例えば、ポリエチレン(polyethylene;PE)、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、セルロース、若しくはポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)を含む多孔質フィルム、又は合成樹脂製不織布から形成される。安全性の観点からは、ポリエチレン又はポリプロピレンから形成された多孔質フィルムを用いることが好ましい。これらの多孔質フィルムは、一定温度において溶融し、電流を遮断することが可能なためである。さらに、多孔質フィルムに無機化合物を塗布したセパレータも使用できる。
<電極群の製造方法>
係る電極群は、例えば、次のとおり製造することができる。
負極と、正極と、セパレータとを準備する。
負極は、例えば次の方法により作製することができる。まず、負極活物質、導電剤及び結着剤を溶媒に懸濁してスラリーを調製する。このスラリーを、負極集電体の片面又は両面に塗布する。次いで、塗布したスラリーを乾燥させて、負極活物質含有層と負極集電体との複合体(積層物)を得る。その後、この複合体にプレスを施す。このようにして、負極を作製する。
正極は、例えば、負極活物質の代わりに正極活物質を用い、負極集電体の代わりに正極集電体を用いて、負極と同様の方法により作製することができる。
準備した負極とセパレータと正極とを、負極、セパレータ、正極、セパレータの順で積層し、積層体を得る。次いで、この積層体を渦巻き状に捲回し、捲回体を得る。この際、例えば、負極の一部が最外周となるように積層体を捲回することができる。得られた捲回体に対し、プレス処理を施し、扁平形状の捲回型電極群を得ることができる。
適切な設計の負極を用いたうえで、適切な条件で捲回体に対するプレス処理を行うことによって、上述した最内周から0.2tの厚さ以内の部位にて負極を切断し、切れ目を設けることができる。負極の設計および捲回体に対するプレス処理の条件を適宜調整することで、負極にて切れ目が生じる捲回周の数、つまり電極群の最内周から最外周への厚さ方向にかけて切れ目が設けられる範囲を制御することができる。
例えば、負極集電体として銅箔を含み負極活物質として炭素系材料を含んだ負極を用いた電極群では、曲面部にて当該負極に切れ目を発生させることが困難である。しなやかさが少ない負極を用いた方が、切れ目が生じやすい。具体的には、負極活物質含有層に含ませる導電剤の量の増加や結着剤の量の増加に伴って負極の硬度が上昇し、それに伴い切れ目を含む捲回周の数が多くなる傾向がある。結着剤の配合割合を増加させた場合には、負極活物質含有層と負極集電体との間の結着の強度が上昇して、捲回体のプレス処理時に折り曲げられる部位に応力が集中しやすくなることからも、負極が切断されやすくなる。負極の硬度は、負極活物質の組成や粒子の形態によっても、影響を受ける。負極活物質含有層の密度が高い方が切れ目を有する周の数が多くなり、負極活物質粒子の粒径が小さい方が切れ目を有する周の数が多くなる傾向がある。負極活物質含有層の密度は、例えば、集電体に塗布するスラリーの量および負極活物質含有層と負極集電体との複合体に対するプレスの条件を調整することによって、制御できる。
捲回体のプレス処理によって負極を切断する観点からも、負極集電体として、アルミニウム箔やアルミニウム合金箔を用いることが望ましい。薄い負極集電体を用いた方が、切れ目を有する捲回周の数が多くなる傾向がある。
捲回体に対するプレス処理では、例えば、捲回体に対し80kNの荷重を1分以上3分以下かける。プレス時の荷重を特定値以上にすることで、第1方向に沿った切れ目が負極に生じることを期待できる。プレスを実施する時間が長い方が、切れ目を含む捲回周の数が多くなる傾向がある。加熱プレスを行ってもよく、その場合の方が負極に生じる切れ目を含んだ周の数が多くなる傾向がある。
負極とセパレータと正極とを含む積層体を捲回する前に、負極に予め切欠きや切断部を設けることは、本発明において妨げるものではないが望ましくない。捲回する前に負極に切欠きを設けたり負極を切断したりすると、捲回時の作業性に支障が生じるだけでなく、得られる電極群において各部材間の密着性が悪化し得る。その結果、電池抵抗がかえって増加し得る。
<測定方法>
電極群の各種測定方法について、以下に説明する。具体的には、電極群の曲面部にて最内周部分に含まれる負極における切れ目の確認方法、及び負極に含まれている負極活物質の確認方法を説明する。
測定する電極群が二次電池に組み込まれている場合は、次のようにして電極群を取り出す。まず、電池を放電状態にする。ここでの放電状態とは、25℃の環境下で0.2C以下の電流値にて放電下限電圧まで定電流放電した状態を示す。放電状態とした電池を、不活性雰囲気のグローブボックス、例えば、アルゴンガスで充填されたグローブボックス内に入れる。次に、グローブボックス内で電池を解体し、電極群を電池から取り出す。具体的には、グローブボックスの中で、念のため正極、負極をショートさせないよう注意を払いながら、電池の外装を切りながら開いていく。その中から、電極群を取り出し、その表面を、例えば、メチルエチルカーボネート(MEC)溶媒で洗浄する。この洗浄により、電極群の表面に付着しているLi塩を取り除く。その後、電極群を乾燥する。
電極群の洗浄は、省略してもよい。但し、活物質を確認する電極については、後述するとおり電極群から取り出した後、該電極を洗浄する。
(切れ目の確認方法)
電極群において上述した最内周から0.2tの厚さ以内の部位の負極における切れ目(切り欠き及び/又は切断部)の有無は、以下の方法で確認することができる。
捲回電極群にて、電極群が含んでいる負極と正極とセパレータとの積層体の捲回周の数を確認する。電極群全体の捲回周の数に対し20%以内の数の捲回周を最内周から数え、それら最内周から20%以内の数の捲回周において、捲回断面の最長の直線に沿った位置にて負極の一部が第1方向に沿って切り欠き又は切断部を有するか確認する。電極群全体の捲き数および積層体の厚さ(t)に基づいて、切欠き及び/又は切断部が確認された周の数を厚さtに対する単位に換算できる。ここで切り欠きや切断部とは、負極活物質含有層と集電体とに切り欠きや切断部がある部分を指しており、負極活物質含有層のみが欠落し、集電体が露出している部分を指しているものではない。例えば、電極群の捲き数が50の場合、最内周から10以内の捲回周において負極が切り欠き又は切断部を有するか確認する。
(負極活物質の確認方法)
電極群から負極を取り出し、測定試料を得る。例えば、負極側端子につながっている電極を切り出す。取り出した電極を、例えば、メチルエチルカーボネート(MEC)溶媒で洗浄する。この洗浄により電極表面に付着しているLi塩を取り除き、その後電極を乾燥する。
得られた電極(負極)を試料として用い、エネルギー分散型X線分析装置を備えた走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope-Energy Dispersive X-ray spectrometry;SEM-EDX)による元素分析、X線回折(X-Ray Diffraction;XRD)測定、及び誘導結合プラズマ(Inductively Coupled Plasma:ICP)発光分光法を組合わせることにより、電極に、例えば、活物質含有層に含まれている活物質の組成を確認できる。SEM-EDX分析により、活物質含有層に含まれている成分の形状、及び活物質含有層に含まれている成分の組成(周期表におけるB~Uの各元素)を知ることができる。ICP測定により、活物質含有層中の元素を定量できる。そしてXRD測定により活物質含有層に含まれている材料の結晶構造を確認できる。
以上のようにして取り出した電極の断面を、Arイオンミリングにより切り出す。切り出した断面を、SEMにて観察する。試料のサンプリングについても大気に触れないようにし、アルゴンや窒素など不活性雰囲気で行う。3000倍のSEM観察像にて、幾つかの粒子を選定する。この際、選定した粒子の粒度分布ができるだけ広くなるように選定する。
次に、選定したそれぞれの粒子について、EDXによる元素分析を行う。これにより、選定したそれぞれの粒子に含まれる元素のうちLi以外の元素の種類及び量を特定することができる。
Liについては、ICP発光分光法により、活物質全体におけるLiの含有量についての情報を得ることができる。ICP発光分光法は、以下の手順に従って行う。
乾燥させた電極から、次のようにして粉末試料を準備する。活物質含有層を集電体から剥がし、乳鉢ですりつぶす。すりつぶした試料を酸で溶解して、液体サンプルを調製する。このとき、酸としては塩酸、硝酸、硫酸、フッ化水素などを使用できる。この液体サンプルをICP発光分光分析に供することで、測定対象の活物質に含まれていた元素の濃度を知ることができる。
SEMで選定したそれぞれの粒子に含まれている化合物の結晶構造は、XRD測定により特定することができる。XRD測定は、CuKα線を線源として、2θ=5°~90°の測定範囲で行う。この測定により、選定した粒子に含まれる化合物のX線回折パターンを得ることができる。
XRD測定の装置としては、Rigaku社製SmartLabを用いる。測定条件は以下の通りとする:
X線源:Cuターゲット
出力:45kV、200mA
ソーラスリット:入射及び受光共に5°
ステップ幅(2θ):0.02deg
スキャン速度:20deg/分
半導体検出器:D/teX Ultra 250
試料板ホルダー:平板ガラス試料板ホルダー(厚さ0.5mm)
測定範囲:5°≦2θ≦90°の範囲。
その他の装置を使用する場合は、粉末X線回折用標準Si粉末を用いた測定を行って、上記装置によって得られる結果と同等のピーク強度、半値幅及び回折角の測定結果が得られる条件を見つけ、その条件で試料の測定を行う。
XRD測定の条件は、リートベルト解析に適用できるXRDパターンを取得できる条件とする。リートベルト解析用のデータを収集するには、具体的にはステップ幅が回折ピークの最小半値幅の1/3-1/5となるようにし、最強度反射のピーク位置における強度が5000cps以上となるように適宜、測定時間またはX線強度を調整する。
以上のようにして得られたXRDパターンを、リートベルト法によって解析する。リートベルト法では、あらかじめ推定した結晶構造モデルから回折パターンを計算する。ここでの結晶構造モデルの推定は、EDX及びICPによる分析結果に基づいて行う。この計算値と実測値とを全てフィッティングすることにより、結晶構造に関するパラメータ(格子定数、原子座標、占有率等)を精密に分析することができる。
XRD測定は、広角X線回折装置のガラスホルダーに電極試料を直接貼り付けて測定することによって行うことができる。このとき、電極集電体の金属箔の種類に応じてあらかじめXRDスペクトルを測定しておき、どの位置に集電体由来のピークが現れるかを把握しておく。また、導電剤や結着剤といった合剤のピークの有無もあらかじめ把握しておく。集電体のピークと活物質のピークが重なる場合、集電体から活物質含有層を剥離して測定することが望ましい。これは、ピーク強度を定量的に測定する際、重なったピークを分離するためである。もちろん、これらを事前に把握できているのであれば、この操作を省略することができる。
第1の実施形態に係る電極群は、正極とチタン含有酸化物を含む負極とを具備し、これら正極と負極とを含む積層体が捲回されて成る扁平形状の捲回型構造を有する。捲回型構造の捲回中心に沿った第1方向と直交する捲回断面における最長の直線に沿った最内周から最外周までの厚さtに対し最内周から0.2tの厚さ以内の位置にて、負極の少なくとも一部は第1方向に沿う切れ目を有する。係る電極群では電池抵抗が抑えられているため、該電極群は出力性能に優れた二次電池を提供できる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態によると、電極群と電解質とを含む二次電池が提供される。この二次電池が含む電極群は、第1の実施形態に係る電極群である。電解質は、電極群に保持され得る。
また、第2の実施形態に係る二次電池は、電極群及び電解質を収容する外装部材を更に具備することができる。
さらに、第2の実施形態に係る二次電池は、負極に電気的に接続された負極端子及び正極に電気的に接続された正極端子を更に具備することができる。
第2の実施形態に係る二次電池は、例えばリチウム二次電池であり得る。また、二次電池は、非水電解質を含んだ非水電解質二次電池を含む。
以下、電解質、外装部材、負極端子及び正極端子について詳細に説明する。
I.電解質
電解質としては、例えば液状非水電解質又はゲル状非水電解質を用いることができる。液状非水電解質は、溶質としての電解質塩を有機溶媒に溶解することにより調製される。電解質塩の濃度は、0.5 mol/L以上2.5 mol/L以下であることが好ましい。
電解質塩の例には、過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、四フッ化ホウ酸リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、及びビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム(LiN(CF3SO2)2)のようなリチウム塩、及び、これらの混合物が含まれる。電解質塩は、高電位でも酸化し難いものであることが好ましく、LiPF6が最も好ましい。
有機溶媒の例には、プロピレンカーボネート(propylene carbonate;PC)、エチレンカーボネート(ethylene carbonate;EC)、ビニレンカーボネート(vinylene carbonate;VC)のような環状カーボネート;ジエチルカーボネート(diethyl carbonate;DEC)、ジメチルカーボネート(dimethyl carbonate;DMC)、メチルエチルカーボネート(methyl ethyl carbonate;MEC)のような鎖状カーボネート;テトラヒドロフラン(tetrahydrofuran;THF)、2メチルテトラヒドロフラン(2-methyl tetrahydrofuran;2MeTHF)、ジオキソラン(dioxolane;DOX)のような環状エーテル;ジメトキシエタン(dimethoxy ethane;DME)、ジエトキシエタン(diethoxy ethane;DEE)のような鎖状エーテル;γ-ブチロラクトン(γ-butyrolactone;GBL)、アセトニトリル(acetonitrile;AN)、及びスルホラン(sulfolane;SL)が含まれる。これらの有機溶媒は、単独で、又は混合溶媒として用いることができる。
ゲル状非水電解質は、液状非水電解質と高分子材料とを複合化することにより調製される。高分子材料の例には、ポリフッ化ビニリデン(polyvinylidene fluoride;PVdF)、ポリアクリロニトリル(polyacrylonitrile;PAN)、ポリエチレンオキサイド(polyethylene oxide;PEO)、又はこれらの混合物が含まれる。
或いは、非水電解質としては、液状非水電解質及びゲル状非水電解質の他に、リチウムイオンを含有した常温溶融塩(イオン性融体)、高分子固体電解質、及び無機固体電解質等を用いてもよい。
常温溶融塩(イオン性融体)は、有機物カチオンとアニオンとの組合せからなる有機塩の内、常温(15℃以上25℃以下)で液体として存在し得る化合物を指す。常温溶融塩には、単体で液体として存在する常温溶融塩、電解質塩と混合させることで液体となる常温溶融塩、有機溶媒に溶解させることで液体となる常温溶融塩、又はこれらの混合物が含まれる。一般に、二次電池に用いられる常温溶融塩の融点は、25℃以下である。また、有機物カチオンは、一般に4級アンモニウム骨格を有する。
高分子固体電解質は、電解質塩を高分子材料に溶解し、固体化することによって調製される。
無機固体電解質は、Liイオン伝導性を有する固体物質である。
II.外装部材
外装部材としては、例えば、ラミネートフィルムからなる容器、又は金属製容器を用いることができる。
ラミネートフィルムの厚さは、例えば、0.5mm以下であり、好ましくは、0.2mm以下である。
ラミネートフィルムとしては、複数の樹脂層とこれらの樹脂層間に介在した金属層とを含む多層フィルムが用いられる。樹脂層は、例えば、ポリプロピレン(polypropylene;PP)、ポリエチレン(polyethylene;PE)、ナイロン、及びポリエチレンテレフタレート(polyethylene terephthalate;PET)等の高分子材料を含んでいる。金属層は、軽量化のためにアルミニウム箔又はアルミニウム合金箔からなることが好ましい。ラミネートフィルムは、熱融着によりシールを行うことにより、外装部材の形状に成形され得る。
金属製容器の壁の厚さは、例えば、1mm以下であり、より好ましくは0.5mm以下であり、更に好ましくは、0.2mm以下である。
金属製容器は、例えば、アルミニウム又はアルミニウム合金等から作られる。アルミニウム合金は、マグネシウム、亜鉛、及びケイ素等の元素を含むことが好ましい。アルミニウム合金は、鉄、銅、ニッケル、及びクロム等の遷移金属を含む場合、その含有量は100質量ppm以下であることが好ましい。
外装部材の形状は、特に限定されない。外装部材の形状は、例えば、扁平型(薄型)、角型、円筒型、コイン型、又はボタン型等であってもよい。外装部材は、電池寸法や電池の用途に応じて適宜選択することができる。
III.負極端子
負極端子は、リチウムの酸化還元電位に対し1V以上3V以下の電位範囲(vs.Li/Li)において電気化学的に安定であり、かつ導電性を有する材料から形成することができる。具体的には、負極端子の材料としては、銅、ニッケル、ステンレス若しくはアルミニウム、又は、Mg,Ti,Zn,Mn,Fe,Cu,及びSiからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。負極端子の材料としては、アルミニウム又はアルミニウム合金を用いることが好ましい。負極端子は、負極集電体との接触抵抗を低減するために、負極集電体と同様の材料からなることが好ましい。
IV.正極端子
正極端子は、リチウムの酸化還元電位に対し3V以上4.5V以下の電位範囲(vs.Li/Li)において電気的に安定であり、且つ導電性を有する材料から形成することができる。正極端子の材料としては、アルミニウム、或いは、Mg、Ti、Zn、Mn、Fe、Cu及びSiからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含むアルミニウム合金が挙げられる。正極端子は、正極集電体との接触抵抗を低減するために、正極集電体と同様の材料から形成されることが好ましい。
次に、第2の実施形態に係る二次電池について、図面を参照しながらより具体的に説明する。
図4は、第2の実施形態に係る二次電池の一例を概略的に示す断面図である。図5は、図4に示す二次電池のB部を拡大した断面図である。
図4及び図5に示す二次電池100は、図4に示す袋状外装部材2と、図4及び図5に示す電極群1と、図示しない電解質とを具備する。電極群1及び電解質は、袋状外装部材2内に収納されている。電解質(図示しない)は、電極群1に保持されている。
袋状外装部材2は、2つの樹脂層とこれらの間に介在した金属層とを含むラミネートフィルムからなる。
図4に示すように、電極群1は、扁平状の捲回型電極群である。扁平状で捲回型である電極群1は、図5に示すように、負極3と、セパレータ4と、正極5とを含む。セパレータ4は、負極3と正極5との間に介在している。
負極3は、負極集電体3aと負極活物質含有層3bとを含む。負極3のうち、捲回型の電極群1の最外殻に位置する部分は、図5に示すように負極集電体3aの内面側のみに負極活物質含有層3bが形成されている。負極3におけるその他の部分では、負極集電体3aの両面に負極活物質含有層3bが形成されている。
正極5は、正極集電体5aと、その両面に形成された正極活物質含有層5bとを含んでいる。
図4に示すように、負極端子6及び正極端子7は、捲回型の電極群1の外周端近傍に位置している。この負極端子6は、負極集電体3aの最外殻に位置する部分に接続されている。また、正極端子7は、正極集電体5aの最外殻に位置する部分に接続されている。これらの負極端子6及び正極端子7は、袋状外装部材2の開口部から外部に延出されている。袋状外装部材2の内面には、熱可塑性樹脂層が設置されており、これが熱融着されていることにより、開口部が閉じられている。
第2の実施形態に係る二次電池は、第1の実施形態に係る電極群を含んでいる。そのため、第2の実施形態に係る二次電池では電池抵抗が抑えられており、係る二次電池は優れた出力性能を示すことができる。
[第3の実施形態]
第3の実施形態によると、組電池が提供される。第3の実施形態に係る組電池は、第2の実施形態に係る二次電池を複数個具備している。
第3の実施形態に係る組電池において、各単電池は、電気的に直列若しくは並列に接続して配置してもよく、又は直列接続及び並列接続を組み合わせて配置してもよい。
次に、第3の実施形態に係る組電池の一例について、図面を参照しながら説明する。
図6は、第3の実施形態に係る組電池の一例を概略的に示す斜視図である。図6に示す組電池200は、5つの単電池100a~100eと、4つのバスバー21と、正極側リード22と、負極側リード23とを具備している。5つの単電池100a~100eのそれぞれは、第2の実施形態に係る二次電池である。
バスバー21は、例えば、1つの単電池100aの負極端子6と、隣に位置する単電池100bの正極端子7とを接続している。このようにして、5つの単電池100は、4つのバスバー21により直列に接続されている。すなわち、図6の組電池200は、5直列の組電池である。例を図示しないが、電気的に並列に接続されている複数の単電池を含む組電池では、例えば、複数の負極端子同士がバスバーにより接続されるとともに複数の正極端子同士がバスバーにより接続されることで、複数の単電池が電気的に接続され得る。
5つの単電池100a~100eのうち少なくとも1つの電池の正極端子7は、外部接続用の正極側リード22に電気的に接続されている。また、5つの単電池100a~100eうち少なくとも1つの電池の負極端子6は、外部接続用の負極側リード23に電気的に接続されている。
第3の実施形態に係る組電池は、第2の実施形態に係る二次電池を具備する。組電池では、電池抵抗が抑えられており、係る組電池は優れた出力性能を示すことができる。
[第4の実施形態]
第4の実施形態によると、電池パックが提供される。この電池パックは、第3の実施形態に係る組電池を具備している。この電池パックは、第3の実施形態に係る組電池の代わりに、単一の第2の実施形態に係る二次電池を具備していてもよい。
第4の実施形態に係る電池パックは、保護回路を更に具備することができる。保護回路は、二次電池の充放電を制御する機能を有する。或いは、電池パックを電源として使用する装置(例えば、電子機器、自動車等)に含まれる回路を、電池パックの保護回路として使用してもよい。
また、第4の実施形態に係る電池パックは、通電用の外部端子を更に具備することもできる。通電用の外部端子は、外部に二次電池からの電流を出力するため、及び/又は二次電池に外部からの電流を入力するためのものである。言い換えれば、電池パックを電源として使用する際、電流が通電用の外部端子を通して外部に供給される。また、電池パックを充電する際、充電電流(自動車などの動力の回生エネルギーを含む)は通電用の外部端子を通して電池パックに供給される。
次に、第4の実施形態に係る電池パックの一例について、図面を参照しながら説明する。
図7は、第4の実施形態に係る電池パックの一例を概略的に示す分解斜視図である。図8は、図7に示す電池パックの電気回路の一例を示すブロック図である。
図7及び図8に示す電池パック300は、収容容器31と、蓋32と、保護シート33と、組電池200と、プリント配線基板34と、配線35と、図示しない絶縁板とを備えている。
図7に示す収容容器31は、長方形の底面を有する有底角型容器である。収容容器31は、保護シート33と、組電池200と、プリント配線基板34と、配線35とを収容可能に構成されている。蓋32は、矩形型の形状を有する。蓋32は、収容容器31を覆うことにより、上記組電池200等を収容する。収容容器31及び蓋32には、図示していないが、外部機器等へと接続するための開口部又は接続端子等が設けられている。
組電池200は、複数の単電池100と、正極側リード22と、負極側リード23と、粘着テープ24とを備えている。
複数の単電池100の少なくとも1つは、第2の実施形態に係る二次電池である。複数の単電池100の各々は、図8に示すように電気的に直列に接続されている。複数の単電池100は、電気的に並列に接続されていてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されていてもよい。複数の単電池100を並列接続すると、直列接続した場合と比較して、電池容量が増大する。
粘着テープ24は、複数の単電池100を締結している。粘着テープ24の代わりに、熱収縮テープを用いて複数の単電池100を固定してもよい。この場合、組電池200の両側面に保護シート33を配置し、熱収縮テープを周回させた後、熱収縮テープを熱収縮させて複数の単電池100を結束させる。
正極側リード22の一端は、組電池200に接続されている。正極側リード22の一端は、1以上の単電池100の正極と電気的に接続されている。負極側リード23の一端は、組電池200に接続されている。負極側リード23の一端は、1以上の単電池100の負極と電気的に接続されている。
プリント配線基板34は、収容容器31の内側面のうち、一方の短辺方向の面に沿って設置されている。プリント配線基板34は、正極側コネクタ342と、負極側コネクタ343と、サーミスタ345と、保護回路346と、配線342a及び343aと、通電用の外部端子350と、プラス側配線(正側配線)348aと、マイナス側配線(負側配線)348bとを備えている。プリント配線基板34の一方の主面は、組電池200の一側面と向き合っている。プリント配線基板34と組電池200との間には、図示しない絶縁板が介在している。
正極側コネクタ342に、正極側リード22の他端22aが電気的に接続されている。
負極側コネクタ343に、負極側リード23の他端23aが電気的に接続されている。
サーミスタ345は、プリント配線基板34の一方の主面に固定されている。サーミスタ345は、単電池100の各々の温度を検出し、その検出信号を保護回路346に送信する。
通電用の外部端子350は、プリント配線基板34の他方の主面に固定されている。通電用の外部端子350は、電池パック300の外部に存在する機器と電気的に接続されている。通電用の外部端子350は、正側端子352と負側端子353とを含む。
保護回路346は、プリント配線基板34の他方の主面に固定されている。保護回路346は、プラス側配線348aを介して正側端子352と接続されている。保護回路346は、マイナス側配線348bを介して負側端子353と接続されている。また、保護回路346は、配線342aを介して正極側コネクタ342に電気的に接続されている。保護回路346は、配線343aを介して負極側コネクタ343に電気的に接続されている。更に、保護回路346は、複数の単電池100の各々と配線35を介して電気的に接続されている。
保護シート33は、収容容器31の長辺方向の両方の内側面と、組電池200を介してプリント配線基板34と向き合う短辺方向の内側面とに配置されている。保護シート33は、例えば、樹脂又はゴムからなる。
保護回路346は、複数の単電池100の充放電を制御する。また、保護回路346は、サーミスタ345から送信される検出信号、又は、個々の単電池100若しくは組電池200から送信される検出信号に基づいて、保護回路346と外部機器への通電用の外部端子350(正側端子352、負側端子353)との電気的な接続を遮断する。
サーミスタ345から送信される検出信号としては、例えば、単電池100の温度が所定の温度以上であることを検出した信号を挙げることができる。個々の単電池100若しくは組電池200から送信される検出信号としては、例えば、単電池100の過充電、過放電及び過電流を検出した信号を挙げることができる。個々の単電池100について過充電等を検出する場合、電池電圧を検出してもよく、正極電位又は負極電位を検出してもよい。後者の場合、参照極として用いるリチウム電極を個々の単電池100に挿入する。
なお、保護回路346としては、電池パック300を電源として使用する装置(例えば、電子機器、自動車等)に含まれる回路を用いてもよい。
また、この電池パック300は、上述したように通電用の外部端子350を備えている。したがって、この電池パック300は、通電用の外部端子350を介して、組電池200からの電流を外部機器に出力するとともに、外部機器からの電流を、組電池200に入力することができる。言い換えると、電池パック300を電源として使用する際には、組電池200からの電流が、通電用の外部端子350を通して外部機器に供給される。また、電池パック300を充電する際には、外部機器からの充電電流が、通電用の外部端子350を通して電池パック300に供給される。この電池パック300を車載用電池として用いた場合、外部機器からの充電電流として、車両の動力の回生エネルギーを用いることができる。
なお、電池パック300は、複数の組電池200を備えていてもよい。この場合、複数の組電池200は、直列に接続されてもよく、並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されてもよい。また、プリント配線基板34及び配線35は省略してもよい。この場合、正極側リード22及び負極側リード23を通電用の外部端子350の正側端子352と負側端子353としてそれぞれ用いてもよい。
このような電池パックは、例えば大電流を取り出したときにサイクル性能が優れていることが要求される用途に用いられる。この電池パックは、具体的には、例えば、電子機器の電源、定置用電池、各種車両の車載用電池として用いられる。電子機器としては、例えば、デジタルカメラを挙げることができる。この電池パックは、車載用電池として特に好適に用いられる。
第4の実施形態に係る電池パックは、第2の実施形態に係る二次電池又は第3の実施形態に係る組電池を備えている。従って、電池パックでは、電池抵抗が抑えられており、係る電池パックは優れた出力性能を示すことができる。
[第5の実施形態]
第5の実施形態によると、車両が提供される。この車両は、第4の実施形態に係る電池パックを搭載している。
第5の実施形態に係る車両において、電池パックは、例えば、車両の動力の回生エネルギーを回収するものである。車両は、この車両の運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構(Regenerator:再生器)を含んでいてもよい。
第5の実施形態に係る車両の例としては、例えば、二輪乃至四輪のハイブリッド電気自動車、二輪乃至四輪の電気自動車、アシスト自転車、及び鉄道用車両が挙げられる。
第5の実施形態に係る車両における電池パックの搭載位置は、特には限定されない。例えば、電池パックを自動車に搭載する場合、電池パックは、車両のエンジンルーム、車体後方又は座席の下に搭載することができる。
第5の実施形態に係る車両は、複数の電池パックを搭載してもよい。この場合、それぞれの電池パックが含む電池同士は、電気的に直列に接続されてもよく、電気的に並列に接続されてもよく、又は直列接続及び並列接続を組み合わせて電気的に接続されてもよい。例えば、各電池パックが組電池を含む場合は、組電池同士が電気的に直列に接続されてもよく、又は電気的に並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて電気的に接続されてもよい。或いは、各電池パックが単一の電池を含む場合は、それぞれの電池同士が電気的に直列に接続されてもよく、電気的に並列に接続されてもよく、又は直列接続及び並列接続を組み合わせて電気的に接続されてもよい。
次に、第5の実施形態に係る車両の一例について、図面を参照しながら説明する。
図9は、第5の実施形態に係る車両の一例を概略的に示す部分透過図である。
図9に示す車両400は、車両本体40と、第4の実施形態に係る電池パック300とを含んでいる。図9に示す例では、車両400は、四輪の自動車である。
この車両400は、複数の電池パック300を搭載してもよい。この場合、電池パック300が含む電池(例えば、単電池または組電池)は、直列に接続されてもよく、並列に接続されてもよく、直列接続及び並列接続を組み合わせて接続されてもよい。
図9では、電池パック300が車両本体40の前方に位置するエンジンルーム内に搭載されている例を図示している。上述したとおり、電池パック300は、例えば、車両本体40の後方又は座席の下に搭載してもよい。この電池パック300は、車両400の電源として用いることができる。また、この電池パック300は、車両400の動力の回生エネルギーを回収することができる。
次に、図10を参照しながら、第5の実施形態に係る車両の実施態様について説明する。
図10は、第5の実施形態に係る車両における電気系統に関する制御システムの一例を概略的に示した図である。図10に示す車両400は、電気自動車である。
図10に示す車両400は、車両本体40と、車両用電源41と、車両用電源41の上位の制御装置である車両ECU(ECU:Electric Control Unit;電気制御装置)42と、外部端子(外部電源に接続するための端子)43と、インバータ44と、駆動モータ45とを備えている。
車両400は、車両用電源41を、例えばエンジンルーム、自動車の車体後方又は座席の下に搭載している。なお、図10に示す車両400では、車両用電源41の搭載箇所については概略的に示している。
車両用電源41は、複数(例えば3つ)の電池パック300a、300b及び300cと、電池管理装置(BMU:Battery Management Unit)411と、通信バス412とを備えている。
電池パック300aは、組電池200aと組電池監視装置301a(例えば、VTM:Voltage Temperature Monitoring)とを備えている。電池パック300bは、組電池200bと組電池監視装置301bとを備えている。電池パック300cは、組電池200cと組電池監視装置301cとを備えている。電池パック300a~300cは、前述の電池パック300と同様の電池パックであり、組電池200a~200cは、前述の組電池200と同様の組電池である。組電池200a~200cは、電気的に直列に接続されている。電池パック300a、300b、及び300cは、それぞれ独立して取り外すことが可能であり、別の電池パック300と交換することができる。
組電池200a~200cのそれぞれは、直列に接続された複数の単電池を備えている。複数の単電池の少なくとも1つは、第2の実施形態に係る二次電池である。組電池200a~200cは、それぞれ、正極端子413及び負極端子414を通じて充放電を行う。
電池管理装置411は、組電池監視装置301a~301cとの間で通信を行い、車両用電源41に含まれる組電池200a~200cに含まれる単電池100のそれぞれについて電圧及び温度などに関する情報を収集する。これにより、電池管理装置411は、車両用電源41の保全に関する情報を収集する。
電池管理装置411と組電池監視装置301a~301cとは、通信バス412を介して接続されている。通信バス412では、1組の通信線が複数のノード(電池管理装置411と1つ以上の組電池監視装置301a~301cと)で共有されている。通信バス412は、例えばCAN(Control Area Network)規格に基づいて構成された通信バスである。
組電池監視装置301a~301cは、電池管理装置411からの通信による指令に基づいて、組電池200a~200cを構成する個々の単電池の電圧及び温度を計測する。ただし、温度は1つの組電池につき数箇所だけで測定することができ、全ての単電池の温度を測定しなくてもよい。
車両用電源41は、正極端子413と負極端子414との間の電気的な接続の有無を切り替える電磁接触器(例えば図10に示すスイッチ装置415)を有することもできる。スイッチ装置415は、組電池200a~200cへの充電が行われるときにオンになるプリチャージスイッチ(図示せず)、及び、組電池200a~200cからの出力が負荷へ供給されるときにオンになるメインスイッチ(図示せず)を含んでいる。プリチャージスイッチ及びメインスイッチのそれぞれは、スイッチ素子の近傍に配置されたコイルに供給される信号によりオン又はオフに切り替わるリレー回路(図示せず)を備えている。スイッチ装置415等の電磁接触器は、電池管理装置411又は車両400全体の動作を制御する車両ECU42からの制御信号に基づいて、制御される。
インバータ44は、入力された直流電圧を、モータ駆動用の3相の交流(AC)の高電圧に変換する。インバータ44の3相の出力端子は、駆動モータ45の各3相の入力端子に接続されている。インバータ44は、電池管理装置411又は車両全体の動作を制御するための車両ECU42からの制御信号に基づいて、制御される。インバータ44が制御されることにより、インバータ44からの出力電圧が調整される。
駆動モータ45は、インバータ44から供給される電力により回転する。駆動モータ45の回転によって発生する駆動力は、例えば差動ギアユニットを介して車軸および駆動輪Wに伝達される。
また、図示はしていないが、車両400は、回生ブレーキ機構(リジェネレータ)を備えている。回生ブレーキ機構は、車両400を制動した際に駆動モータ45を回転させ、運動エネルギーを電気エネルギーとしての回生エネルギーに変換する。回生ブレーキ機構で回収した回生エネルギーは、インバータ44に入力され、直流電流に変換される。変換された直流電流は、車両用電源41に入力される。
車両用電源41の負極端子414には、接続ラインL1の一方の端子が接続されている。接続ラインL1の他方の端子は、インバータ44の負極入力端子417に接続されている。接続ラインL1には、負極端子414と負極入力端子417との間に電池管理装置411内の電流検出部(電流検出回路)416が設けられている。
車両用電源41の正極端子413には、接続ラインL2の一方の端子が、接続されている。接続ラインL2の他方の端子は、インバータ44の正極入力端子418に接続されている。接続ラインL2には、正極端子413と正極入力端子418との間にスイッチ装置415が設けられている。
外部端子43は、電池管理装置411に接続されている。外部端子43は、例えば、外部電源に接続することができる。
車両ECU42は、運転者などの操作入力に応答して電池管理装置411を含む他の管理装置及び制御装置とともに車両用電源41、スイッチ装置415、及びインバータ44等を協調制御する。車両ECU42等の協調制御によって、車両用電源41からの電力の出力及び車両用電源41の充電等が制御され、車両400全体の管理が行われる。電池管理装置411と車両ECU42との間では、通信線により、車両用電源41の残容量など、車両用電源41の保全に関するデータ転送が行われる。
第5の実施形態に係る車両は、第4の実施形態に係る電池パックを搭載している。従って、高パフォーマンスな車両を提供することができる。
[実施例]
以下に実施例を説明するが、本発明の主旨を超えない限り、本発明は以下に掲載される実施例に限定されるものでない。
(実施例1)
実施例1では、以下の手順で電極群および該電極群を備えた非水電解質電池を製造した。
<負極の作製>
負極活物質として、式TiNb27で表される組成を有する単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の粒子を準備した。負極活物質粒子は、一次粒子形状および3μmの平均粒子径を有していた。また、導電剤としてのアセチレンブラックと、結着剤としてのカルボキシメチルセルロースとスチレンブタジエンゴムとを準備した。これらを、負極活物質:アセチレンブラック:カルボキシメチルセルロース:スチレンブタジエンゴムの質量比が90:5:2.5:2.5となるように純水中で混合し、スラリーを得た。このスラリーを厚さが15μmであるアルミニウム箔からなる集電体の両面上に塗布し、塗膜を乾燥させた。かくして、集電体と、集電体の両面上に形成された負極活物質含有層とを含んだ複合体を得た。負極活物質含有層の片面当たりの塗布量は90g/mとした。スリット装置によって負極の幅を調整し、負極塗工幅を80mm、電極が塗布されていないアルミニウム箔の幅を10mmとした。次いで、得られた複合体を負極活物質含有層の密度が2.55 g/cm3となるようにロールプレスに供した。次いで、この複合体を更に真空乾燥に供し、負極を得た。
<正極の作製>
正極活物質として、式LiNi0.5Co0.2Mn0.32で表されるリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物の粒子を準備した。また、導電剤としてのアセチレンブラックと、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン(PVdF)とを用意した。これらを、正極活物質:導電剤:結着剤の質量比が90:5:5となるように混合して混合物を得た。次に、得られた混合物をn-メチルピロリドン(NMP)溶媒中に分散して、正極スラリーを調製した。このスラリーを、厚さが15μmであるアルミニウム箔からなる集電体の両面上に塗布し、塗膜を乾燥させた。かくして、集電体と、集電体の両面上に形成された正極活物質含有層とを含んだ複合体を得た。正極活物質含有層の片面当たりの塗布量は100g/mとした。スリット装置によって正極の幅を調整し、正極塗工幅を80mm、電極が塗布されていないアルミニウム箔の幅を10mmとした。次いで、得られた複合体を正極活物質含有層の密度が3.05 g/cm3となるようにロールプレスに供した。次いで、この複合体を更に真空乾燥に供し、正極を得た。
<電極群の製造>
厚さが15μmであるポリエチレンセパレータを用意した。次いで、用意したセパレータと上記負極と上記正極とを、負極、セパレータ、正極、及びセパレータの順で積層し、積層体を得た。次いで、この積層体を、負極の一部が最も外側に位置するように渦巻き状に捲回し、捲回体を得た。捲回体の捲き数は60とした。次いで、この捲回体をプレスした。捲回体のプレスは室温(25℃)において実施し、80kNの荷重を1分間かけることにより、プレスを行った。かくして、電極群を製造した。
電極群を解体したところ、最内部から捲き数が3までの負極にて切断部(切れ目)を有することを確認した。また、電極群を捲回した際の捲回中心に沿った電極群の長さ(第1方向への第1長さL)に対する、切断部の長さ(切断部の平均合計長さ/第1長さL)を確認した。
<非水電解質の調製>
以下の手順で非水電解質を調製した。先ず、プロピレンカーボネート(PC)とジエチルカーボネート(DEC)を体積比PC:DECが1:2となるように混合して、混合溶媒を得た。この混合溶媒に、六フッ化リン酸リチウムLiPF6を1Mの濃度で溶解させ、液状非水電解質を得た。
<電池の組み立て>
上記のとおり製造した電極群を、ラミネートフィルム製の容器に挿入した。上記のとおり調製した液状非水電解質を、容器内に注入した。かくして、電極群に非水電解質を保持させた。次いで、容器を封止することにより非水電解質電池を得た。
(実施例2)
負極密度を2.6 g/cm3に調整したこと以外は、実施例1と同様の手順で電極群および非水電解質電池を製造した。電極群を解体したところ、最内部から捲き数が6までの負極にて切断部を有することを確認した。
(実施例3)
負極密度を2.7 g/cm3に調整したこと以外は、実施例1と同様の手順で電極群および非水電解質電池を製造した。電極群を解体したところ、最内部から捲き数が12までの負極にて切断部を有することを確認した。
(実施例4)
捲回後の負極と正極とセパレータとの積層体をプレスする際、80kNの荷重を3分間かけることによりプレスを行った以外は、実施例1と同様の手順で電極群および非水電解質電池を製造した。電極群を解体したところ、最内部から捲き数が6までの負極にて切断部を有することを確認した。
(実施例5)
捲回後の負極と正極とセパレータとの積層体をプレスする際、温度を60℃として、80kNの荷重を1分間かけることにより、プレスを行った以外は、実施例1と同様の手順で電極群および非水電解質電池を製造した。電極群を解体したところ、最内部から捲き数が2までの負極にて切断部を有することを確認した。
(実施例6)
TiNb27で表される組成を有する単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の粒子を準備した。準備した複合酸化物粒子は、一次粒子形状を有し、1μmの平均粒子径を有していた。この複合酸化物粒子を、負極活物質粒子として実施例1で用いたものの代わりに使用し、負極密度を2.6 g/cm3に調整したこと以外は、実施例1と同様の手順で電極群および非水電解質電池を製造した。電極群を解体したところ、最内部から捲き数が10までの負極にて切断部を有することを確認した。
(実施例7)
TiNb27で表される組成を有する単斜晶型ニオブチタン複合酸化物の粒子を準備した。準備した複合酸化物粒子は、一次粒子形状を有し、6μmの平均粒子径を有していた。この複合酸化物粒子を、負極活物質粒子として実施例1で用いたものの代わりに使用し、負極密度を2.6 g/cm3に調整したこと以外は、実施例1と同様の手順で電極群および非水電解質電池を製造した。電極群を解体したところ、最内部から捲き数が5までの負極にて切断部を有することを確認した。
(実施例8)
厚さが20μmであるアルミニウム箔を、負極の集電体として実施例1で用いたものの代わりに使用し、負極密度2.7 g/cm3に調整したこと以外は、実施例1と同様の手順で電極群および非水電解質電池を製造した。電極群を解体したところ、最内部から捲き数が7までの負極にて切断部を有することを確認した。
(実施例9)
負極活物質:アセチレンブラック:カルボキシメチルセルロース:スチレンブタジエンゴムの質量比を85:10:2.5:2.5に変更した以外は、実施例1と同様の手順で電極群および非水電解質電池を製造した。電極群を解体したところ、最内部から捲き数が9までの負極にて切断部を有することを確認した。
(実施例10)
負極活物質:アセチレンブラック:カルボキシメチルセルロース:スチレンブタジエンゴムの質量比を85:8:3.5:3.5に変更した以外は、実施例1と同様の手順で電極群および非水電解質電池を製造した。電極群を解体したところ、最内部から捲き数が12までの負極にて切断部を有することを確認した。
(実施例11)
負極活物質としてLi2Na1.8Ti5.8Nb0.2O14で表される組成を有する直方晶型Na含有チタンニオブ複合酸化物を準備した。準備した複合酸化物粒子は、一次粒子形状および3μmの平均粒子径を有していた。この複合酸化物粒子を、負極活物質粒子として実施例1で用いたものの代わりに使用し、負極活物質含有層の片面当たりの塗布量を145g/mに変更し、負極活物質含有層の密度を2.5 g/cm3に調整したこと以外は、実施例1と同様の手順で電極群および非水電解質電池を製造した。電極群を解体したところ、最内部から捲き数が2までの負極にて切断部を有することを確認した。
(比較例1)
捲回後の負極と正極とセパレータとの積層体をプレスする際、30kNの荷重を30秒間かけることにより、プレスを行った以外は、実施例1と同様の手順で電極群および非水電解質電池を製造した。電極群を解体したところ、切り欠き及び切断部の何れも観察されなかった。
(比較例2)
負極活物質:アセチレンブラック:カルボキシメチルセルロース:スチレンブタジエンゴムの質量比を85:5:5:5に変更した以外は、実施例1と同様の手順で電極群および非水電解質電池を製造した。電極群を解体したところ、最内部から捲き数が16までの負極にて切断部を有することを確認した。
(比較例3)
負極密度2.3 g/cm3に調整したこと以外は、比較例1と同様の手順で電極群および非水電解質電池を製造した。電極群を解体したところ、切り欠き及び切断部の何れも観察されなかった。
<評価>
実施例1-11及び比較例1-3で製造した非水電解質電池を用いて、次のとおり出力性能を評価した。満充電状態から放電状態まで0.2Cレート及び5Cレートでそれぞれ放電した際の放電容量を測定した。0.2Cレートで放電した際の放電容量に対する5Cレートで放電した際の放電容量の比([5C放電容量/0.2C放電容量]×100%)、つまり、5 C / 0.2 C放電容量比を算出した。
具体的には、次の条件で充放電を行い、放電の際に放電容量を測定した。充電は、定電流定電圧モードで行った。充電レートは1Cとした。充電電圧を2.85Vとした。充電終止条件は0.05C電流値に到達した時点とした。放電は、上記放電レート(0.2 C及び5 C)にて定電流モードで行った。放電終止電圧を1.5Vとした。
下記表1及び表2に、各々製造した電極群および非水電解質電池の設計、解体した電極群にて確認した切断部の詳細、並びに、非水電解質電池の評価結果をまとめる。表1には、負極の詳細をまとめる。負極の詳細として、負極活物質の組成、負極活物質粒子の平均粒子径(平均一次粒子径)、負極活物質の含有量、導電剤の含有量、結着剤の含有量、及び負極活物質含有層の密度を表1に示す。表2には、電極群を製造する際に負極と正極とセパレータとの積層体を捲回した後に行ったプレスの条件、電極群にて確認した切断部の詳細、及び非水電解質電池の出力性能をまとめる。プレスの条件としては、プレス温度、プレス時の荷重、及びプレス時間を示す。電極群における切断部の詳細としては、最内周側からの負極の切断枚数、及びこの切断枚数を先に説明したように厚さ換算して得られる値(tに対する単位)を示す。出力性能として、5 C / 0.2 C放電容量比を表2に示す。
Figure 2022051489000002
Figure 2022051489000003
下記表3に、各々の電極群における切断部の長さを、捲回軸方向への電極群の長さ(第1長さL)に対する割合として示す。また、電極群の寸法(第1長さL/第2長さL)を併せて示す。
Figure 2022051489000004
上記表が示すとおり、実施例1-3を比較すると、負極密度の増加により電極の切断枚数が増加することが分かる。具体的には、密度増加に伴って、切断部が見られる部分が電極群の最内周側から厚さ0.05t、0.1t、0.2tと拡大した。実施例1から実施例3にかけて5 C / 0.2 C放電容量比が高くなることから、切断部が占める割合が厚さ0.05tよりも0.1t、さらに0.2tとなると電池抵抗が低くなることが示された。
実施例1と実施例4との間の比較、及び実施例2と実施例6との間の比較では、電極群のプレス時間を長くすることや、負極活物質の粒径を小さくすることにより、切断部が厚さ方向に占める割合が増加することがそれぞれ確認された。実施例4及び6においても、実施例1及び2よりも5 C / 0.2 C放電容量比がそれぞれ高くなることが確認された。
実施例7では、実施例6とは逆に負極活物質の粒径を大きくすることにより、切断部が占める割合が低下し、それに伴って5 C / 0.2 C放電容量比が減少することが確認された。また、実施例8では、集電体の厚さを増加させることにより、切断部が占める割合が低下することが確認された。実施例8では、5 C / 0.2 C放電容量比の向上が見られたが、これは、導電性部材である集電体が負極に占める割合が多くなったためと推測される。
また、実施例9及び10のように電極中に含有する導電剤もしくは結着剤の量を増加させることよっても、切断部が厚さ方向に占める割合が増加することが確認された。実施例9及び10においても実施例1よりも5 C / 0.2 C放電容量比が高くなることが確認された。
実施例11は、実施例1-10とは異なる系統の負極活物質を用いた例である。実施例11においても、電極群の最内周から0.2tまでの部分に切断部が形成され、実施例1-10と同程度の5 C / 0.2 C放電容量比が得られた。
比較例1及び3では、電極群に対するプレスが不十分であると、電極群の最内周に位置する部分に切断部や切欠き等の切れ目が形成されないことが確認された。比較例1及び3では、5 C / 0.2 C放電容量比が実施例1-10におけるそれと比較して低く、電池抵抗が高めだったことが示された。それらの結果から、比較例1及び3で製造した電極群には、充放電反応が進行しにくい円弧形状の部位にて最内周にあたる部分の負極がそのまま残されていたことに起因して、出力性能が制限されたと推測される。
比較例2では、結着剤の量が過剰であると、電極群の最内周から0.2tまでの部分を越えて、電極群の厚さに沿った更に広い範囲に亘って切断部が形成されることが確認された。比較例2では、5 C / 0.2 C放電容量比が実施例1-10におけるそれと比較して低く、電池抵抗が高めだったことが示された。その結果から、比較例2で製造した電極群では、負極における電子伝導パスが損なわれ、電池抵抗が上昇したものと推測される。
以上説明した1以上の実施形態および実施例によれば、電極群が提供される。電極群は、正極と、負極とを具備する。負極は、チタン含有酸化物を含む。電極群は、正極と負極とを含む積層体を含んでいる。電極群は、該積層体が第1方向に沿って中心が位置するように捲回されて成る扁平形状の捲回型構造を有する。捲回型構造の第1方向と直交する捲回断面は、最内周と最外周とを含む。負極のうち、捲回断面における最長の直線に沿った最内周から最外周までの厚さtに対し0.2tの厚さ以内にて、最長の直線に沿って位置する部分の少なくとも一部は、第1方向に沿う切れ目を有する。係る電極群では電池抵抗が抑えられており、出力性能に優れた二次電池および電池パックを提供することができ、この電池パックを含む車両を提供することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…電極群、2…外装部材、3…負極、3a…負極集電体、3b…負極活物質含有層、4…セパレータ、5…正極、5a…正極集電体、5b…正極活物質含有層、6…負極端子、7…正極端子、8…切れ目、9…空間、11…第1方向、12…第2方向、13…曲面部、14…平坦部、15…最内周、16…最外周、21…バスバー、22…正極側リード、22a…他端、23…負極側リード、23a…他端、24…粘着テープ、31…収容容器、32…蓋、33…保護シート、34…プリント配線基板、35…配線、40…車両本体、41…車両用電源、42…電気制御装置、43…外部端子、44…インバータ、45…駆動モータ、100…二次電池、200…組電池、200a…組電池、200b…組電池、200c…組電池、300…電池パック、300a…電池パック、300b…電池パック、300c…電池パック、301a…組電池監視装置、301b…組電池監視装置、301c…組電池監視装置、342…正極側コネクタ、343…負極側コネクタ、345…サーミスタ、346…保護回路、342a…配線、343a…配線、350…通電用の外部端子、352…正側端子、353…負側端子、348a…プラス側配線、348b…マイナス側配線、400…車両、411…電池管理装置、412…通信バス、413…正極端子、414…負極端子、415…スイッチ装置、416…電流検出部、417…負極入力端子、418…正極入力端子、C…捲回軸、L1…接続ライン、L2…接続ライン、W…駆動輪。

Claims (12)

  1. 正極と、
    チタン含有酸化物を含む負極と
    を具備し、
    前記正極と前記負極とを含む積層体が第1方向に沿って中心が位置するように捲回されて成る扁平形状の捲回型構造を有し、
    前記捲回型構造の前記第1方向と直交する捲回断面は最内周と最外周とを含み、
    前記捲回断面における最長の直線に沿った前記最内周から前記最外周までの厚さtに対し、前記負極のうち前記最長の直線に沿って前記最内周から0.2tの厚さ以内に位置する部分の少なくとも一部は、前記第1方向に沿う切れ目を有する、電極群。
  2. 前記第1方向への前記電極群の第1長さLと、前記最長の直線と平行な第2方向への前記電極群の第2長さLとは、1<L/L<5の関係を満たす、請求項1に記載の電極群。
  3. 前記切れ目の長さは、前記第1長さLに対し0.3L以上0.8L以下である、請求項2に記載の電極群。
  4. 前記チタン含有酸化物は、LixTi1-yM1y+zNb2-z7-δで表され、M1は、Mg,Fe,Ni,Co,W,Ta,及びMoからなる群より選択される少なくとも1つであり、0≦x≦5、0≦y<1、0≦z<2、及び-0.3≦δ≦0.3である化合物を含む、請求項1乃至3の何れか1項に記載の電極群。
  5. 前記チタン含有酸化物は、Li2+aMα2-bTi6-cMβd14+σで表され、MαはSr,Ba,Ca,Mg,Na,Cs,Rb及びKからなる群より選択される少なくとも1つであり、MβはZr,Sn,V,Nb,Ta,Mo,W,Y,Fe,Co,Cr,Mn,Ni,及びAlからなる群より選択される少なくとも1つであり、0≦a≦6、0≦b<2、0≦c<6、0≦d<6、-0.5≦σ≦0.5である化合物を含む、請求項1乃至3の何れか1項に記載の電極群。
  6. 前記正極は、リチウムマンガン複合酸化物およびリチウムニッケルコバルトマンガン複合酸化物からなる群より選択される少なくとも1つを含む、請求項1乃至5の何れか1項に記載の電極群。
  7. 請求項1乃至6の何れか1項に記載の電極群と、
    電解質と
    を具備する二次電池。
  8. 請求項7に記載の二次電池を具備する電池パック。
  9. 通電用の外部端子と、
    保護回路と
    を更に具備する請求項8に記載の電池パック。
  10. 複数の前記二次電池を具備し、
    前記二次電池が、直列、並列、又は直列及び並列を組み合わせて電気的に接続されている請求項8又は9に記載の電池パック。
  11. 請求項8-10の何れか1項に記載の電池パックを具備する車両。
  12. 前記車両の運動エネルギーを回生エネルギーに変換する機構を含む請求項11に記載の車両。
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