JP2022049722A - ゴム組成物、加硫物及び成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】得られる加硫成形体の耐熱性及び耐油性を同時に向上させたゴム組成物及びこれを加硫して得た加硫物及び成形品を提供する。【解決手段】クロロプレン系ゴム100質量部と、下記化学式(1)で表されるハイドロタルサイト類化合物2~16質量部を含有するゴム組成物。クロロプレン系ゴムは、2-クロロ-1,3-ブタジエンの単独重合体、又は、2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン及びアクリロニトリルから選ばれる少なくとも1種の単量体と2-クロロ-1,3-ブタジエンとの共重合体が好ましい。M(1-x)AlxO3.83x(1)(式中、MはMgあるいはZnの少なくとも一種からなる2価金属イオンを、xは、0.2~0.5の範囲からなる係数値を示す。)【選択図】なし
Description
本発明は、クロロプレン系ゴムと特定のハイドロタルサイトを含有するゴム組成物、及びこのゴム組成物の加硫物及び成形品に関する。
クロロプレンゴムは、機械特性、難燃性などに優れているため工業用ゴム製品の材料として広く用いられており、様々な改良がなされている。例えば、特許文献1には耐油性を向上させたクロロプレンゴムの技術が開示されている。特許文献2~7には耐寒性、耐オゾン性、耐熱性、防振特性等を向上させたクロロプレンゴムの技術が開示されている。
しかしながら、前述した特許文献1~7に記載されている従来のクロロプレンゴムは、特殊な構造のクロロプレンゴムを使用するため汎用性が乏しいか、あるいはクロロプレンゴムの耐熱性と耐油性を同時に改良する技術ではない。
本発明は、得られる加硫成形体の耐油性及び耐熱性を同時に向上させたゴム組成物及びこれを加硫して得た加硫物及び成形体を提供することを課題とする。
本発明は、得られる加硫成形体の耐油性及び耐熱性を同時に向上させたゴム組成物及びこれを加硫して得た加硫物及び成形体を提供することを課題とする。
本発明は、クロロプレン系ゴム100質量部に対して、下記化学式(1)で表されるハイドロタルサイト類化合物2~16質量部を含有するゴム組成物である。
M(1-x)AlxO3.83x (1)
(式中、MはMgあるいはZnの少なくとも一種からなる2価金属イオンを、xは、0.2~0.5の範囲からなる係数値を示す。)
クロロプレン系ゴムは、2-クロロ-1,3-ブタジエンの単独重合体、又は、2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン及びアクリロニトリルから選ばれる少なくとも1種の単量体と2-クロロ-1,3-ブタジエンとの共重合体であることが好ましい。
ゴム組成物は加硫成形することで加硫成形体とすることができる。
M(1-x)AlxO3.83x (1)
(式中、MはMgあるいはZnの少なくとも一種からなる2価金属イオンを、xは、0.2~0.5の範囲からなる係数値を示す。)
クロロプレン系ゴムは、2-クロロ-1,3-ブタジエンの単独重合体、又は、2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン及びアクリロニトリルから選ばれる少なくとも1種の単量体と2-クロロ-1,3-ブタジエンとの共重合体であることが好ましい。
ゴム組成物は加硫成形することで加硫成形体とすることができる。
本発明によれば、得られる加硫成形体の耐熱性及び耐油性を同時に向上させたゴム組成物及びこれを加硫して得た加硫物及び成形品が得られる。
以下、本発明を実施するための形態について、詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものではない。
本発明のゴム組成物は、クロロプレン系ゴム100質量部と、下記化学式(2)で表されるハイドロタルサイト類化合物2~16質量部を有するものである。
M(1-x)AlxO3.83x (2)
(式中、MはMgあるいはZnの少なくとも一種からなる2価金属イオンを、xは、0.2~0.5の範囲からなる係数値を示す。)
以下、各成分について説明する。
M(1-x)AlxO3.83x (2)
(式中、MはMgあるいはZnの少なくとも一種からなる2価金属イオンを、xは、0.2~0.5の範囲からなる係数値を示す。)
以下、各成分について説明する。
<クロロプレン系ゴム>
クロロプレン系ゴムは、クロロプレン重合体を主成分とするものである。クロロプレン重合体は、2-クロロ-1,3-ブタジエン(以下、クロロプレンと記す。)の単独重合体、又は、クロロプレンと共重合可能な他の単量体とクロロプレンとの共重合体及びこれら重合体の混合物である。ここで、クロロプレンと共重合可能な単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシルなどのアクリル酸のエステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシルなどのメタクリル酸のエステル類、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ(メタ)アクリレート類、2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン、1-クロロ-1,3-ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、エチレン、スチレン、アクリロニトリルなどがある。
クロロプレン系ゴムは、クロロプレン重合体を主成分とするものである。クロロプレン重合体は、2-クロロ-1,3-ブタジエン(以下、クロロプレンと記す。)の単独重合体、又は、クロロプレンと共重合可能な他の単量体とクロロプレンとの共重合体及びこれら重合体の混合物である。ここで、クロロプレンと共重合可能な単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸2-エチルヘキシルなどのアクリル酸のエステル類、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシルなどのメタクリル酸のエステル類、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのヒドロキシ(メタ)アクリレート類、2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン、1-クロロ-1,3-ブタジエン、ブタジエン、イソプレン、エチレン、スチレン、アクリロニトリルなどがある。
クロロプレン系ゴムとして、クロロプレンと共重合可能な他の単量体とクロロプレンとの共重合体を用いる場合は、他の単量体の共重合量をクロロプレン100質量部に対して、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下とするとよい。他の単量体の共重合量をこの範囲に調整することで、得られるゴム組成物の特性を損なわずに、これら単量体を共重合させたことによる効果を発現することができる。
クロロプレンと共重合する他の単量体は、1種類に限定されるものではなく、例えばクロロプレンを含む3種以上の単量体を共重合したものでもよい。また、重合体のポリマー構造も、特に限定されるものではない。
<クロロプレン系ゴムの製造方法>
クロロプレン系ゴムは、ロジンなどを乳化分散剤として用いて、重合反応の触媒、重合開始剤、連鎖移動剤などの存在下で、クロロプレンを主成分とする原料単量体を乳化重合することにより得られる。
クロロプレン系ゴムは、ロジンなどを乳化分散剤として用いて、重合反応の触媒、重合開始剤、連鎖移動剤などの存在下で、クロロプレンを主成分とする原料単量体を乳化重合することにより得られる。
重合反応の触媒としては、例えば、硫酸カリウムなどの無機過酸化物、ケトンパーオキサイド類、パーオキシケタール類、ハイドロパーオキサイド類、ジアルキルパーオキサイド類、ジアシルパーオキサイド類などの有機過酸化物がある。触媒活性化剤としては、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、酸化鉄(II)、アントラキノン、β-スルフォン酸ナトリウム、フォルムアミジンスルフォン酸、L-アスコルビン酸などがある。
重合開始剤としては特に制限はなく、クロロプレン単量体の乳化重合に一般に用いられる公知の重合開始剤、例えば過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過酸化水素、t-ブチルハイドロパーオキサイドなどが用いられる。
連鎖移動剤も、特に限定されるものではなく、通常のクロロプレンの乳化重合に使用されるものを使用することができる。具体的には、n-ドデシルメルカプタン、t-ドデシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタンなどの長鎖アルキルメルカプタン類、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィドやジエチルキサントゲンジスルフィドなどのキサントゲン化合物、ヨードホルム、ベンジル1-ピロールジチオカルバメート(別名ベンジル1-ピロールカルボジチオエート)、ベンジルフェニルカルボジチオエート、1-ベンジル-N,Nジメチル-4-アミノジチオベンゾエート、1-ベンジル-4-メトキシジチオベンゾエート、1-フェニルエチルイミダゾールジチオカルバメート(別名1-フェニルエチルイミダゾールカルボジチオエート)、ベンジル-1-(2-ピロリジノン)ジチオカルバメート(別名ベンジル-1-(2-ピロリジノン)カルボジチオエート)、ベンジルフタルイミジルジチオカルバメート(別名ベンジルフタルイミジルカルボジチオエート)、2-シアノプロプ-2-イル-1-ピロールジチオカルバメート(別名2-シアノプロプ-2-イル-1-ピロールカルボジチオエート)、2-シアノブト-2-イル-1-ピロールジチオカルバメート(別名2-シアノブト-2-イル-1-ピロールカルボジチオエート)、ベンジル-1-イミダゾールジチオカルバメート(別名ベンジル-1-イミダゾールカルボジチオエート)、2-シアノプロプ-2-イル-N,N-ジメチルジチオカルバメート、ベンジル-N,N-ジエチルジチオカルバメート、シアノメチル-1-(2-ピロリドン)ジチオカルバメート、2-(エトキシカルボニルベンジル)プロプ-2-イル-N,N-ジエチルジチオカルバメート、1-フェニルエチルジチオベンゾエート、2-フェニルプロプ-2-イルジチオベンゾエート、1-酢酸-1-イル-エチルジチオベンゾエート、1-(4-メトキシフェニル)エチルジチオベンゾエート、ベンジルジチオアセテート、エトキシカルボニルメチルジチオアセタート、2-(エトキシカルボニル)プロプ-2-イルジチオベンゾエート、2-シアノプロプ-2-イルジチオベンゾエート、t-ブチルジチオベンゾエート、2,4,4-トリメチルペンタ-2-イルジチオベンゾエート、2-(4-クロロフェニル)-プロプ-2-イルジチオベンゾエート、3-ビニルベンジルジチオベンゾエート、4-ビニルベンジルジチオベンゾエート、ベンジルジエトキシホスフィニルジチオフォルマート、t-ブチルトリチオペルベンゾエート、2-フェニルプロプ-2-イル-4-クロロジチオベンゾエート、ナフタレン-1-カルボン酸-1-メチル-1-フェニル-エチルエステル、4-シアノ-4-メチル-4-チオベンジルスルファニル酪酸、ジベンジルテトラチオテレフタラート、カルボキシメチルジチオベンゾエート、ジチオベンゾエート末端基を持つポリ(酸化エチレン)、4-シアノ-4-メチル-4-チオベンジルスルファニル酪酸末端基を持つポリ(酸化エチレン)、2-[(2-フェニルエタンチオイル)スルファニル]プロパン酸、2-[(2-フェニルエタンチオイル)スルファニル]コハク酸、3,5-ジメチル-1H-ピラゾール-1-カルボジチオエートカリウム、シアノメチル-3,5-ジメチル-1Hピラゾール-1-カルボジチオエート、シアノメチルメチル-(フェニル)ジチオカルバメート、ベンジル-4-クロロジチオベンゾエート、フェニルメチル-4-クロロジチオベンゾエート、4-ニトロベンジル-4-クロロジチオベンゾエート、フェニルプロプ-2-イル-4-クロロジチオベンゾエート、1-シアノ-1-メチルエチル-4-クロロジチオベンゾエート、3-クロロ-2-ブテニル-4-クロロジチオベンゾエート、2-クロロ-2-ブテニルジチオベンゾエート、ベンジルジチオアセテート、3-クロロ-2-ブテニル-1Hピロール-1-ジチオカルボン酸、2-シアノブタン-2-イル-4-クロロ-3,5-ジメチル-1H-ピラゾール-1-カルボジチオエート、シアノメチルメチル(フェニル)カルバモジチオエート、2-シアノ-2-プロピルドデシルトリチオカルボナート、ジベンジルトリチオカルボナート、ブチルベンジルトリチオカルボナート、2-[[(ブチルチオ)チオキソメチル]チオ]プロピオン酸、2-[[(ドデシルチオ)チオキソメチル]チオ]プロピオン酸、2-[[(ブチルチオ)チオキソメチル]チオ]コハク酸、2-[[(ドデシルチオ)チオキソメチル]チオ]コハク酸、2-[[(ドデシルチオ)チオキソメチル]チオ]-2-メチルプロピオン酸、2,2′-[カルボノチオイルビス(チオ)]ビス[2-メチルプロピオン酸]、2-アミノ-1-メチル-2-オキソエチルブチルトリチオカルボナート、ベンジル-2-[(2-ヒドロキシエチル)アミノ]-1-メチル-2-オキソエチルトリチオカルボナート、3-[[[(t-ブチル)チオ]チオキソメチル]チオ]プロピオン酸、シアノメチルドデシルトリチオカルボナート、ジエチルアミノベンジルトリチオカルボナート、ジブチルアミノベンジルトリチオカルボナートなどのチオカルボニル化合物などが好適に用いられる。
クロロプレンラテックスの重合温度は、特に限定されるものではなく、一般に乳化重合が行われる0~50℃、好ましくは20~50℃の範囲とすることができる。また、前述した重合工程で得られるクロロプレン系ゴムの最終重合率は、特に限定するものではないが、30~100%の範囲内で任意に調節することが好ましい。最終転化率を調整するためには、所望する転化率になった時に、重合反応を停止させる重合停止剤を添加して重合を停止させればよい。
重合停止剤は、特に限定されるものではなく、通常用いられているものを使用することができる。具体的には、チオジフェニルアミン、4-ターシャリーブチルカテコール、2,2-メチレンビス-4-メチル-6-ターシャリーブチルフェノールなどがある。
次に、重合工程により得られた重合液から、未反応単量体の除去を行う。その方法は、特に限定されるものではなく、例えば、スチームストリッピング法がある。その後、pHを調整し、常法の凍結凝固、水洗、熱風乾燥などの工程を経てクロロプレン系ゴムが得られる。
<ハイドロタルサイト類化合物>
ハイドロタルサイト類化合物は、下記化学式(3)で表されるハイドロタルサイト類化合物であり、受酸剤として用いられる。
M(1-x)AlxO3.83x (3)
(式中、MはMgあるいはZnの少なくとも一種からなる2価金属イオンを、xは、0.2~0.5の範囲からなる係数値を示す。)
受酸剤としては、一般的に下記化合式(4)で表されるH2O結合がしたハイドロタルサイト類化合物や酸化マグネシウムが知られている。しかしながら、前者は塩素捕捉能力が乏しいため引張物性や耐熱性が損なわれ、後者は塩素と反応し生成された塩化マグネシウムがオイルを取り込んでしまうため、耐油性が損なわれる。
MxAly(OH)zCO3・mH2O (4)
(式中、MはMgあるいはZnの少なくとも一種からなる2価金属イオンを、xは3~7、yは1~3、zは7~20、mは2~7の範囲からなる係数値を示す)
ハイドロタルサイト類化合物は、下記化学式(3)で表されるハイドロタルサイト類化合物であり、受酸剤として用いられる。
M(1-x)AlxO3.83x (3)
(式中、MはMgあるいはZnの少なくとも一種からなる2価金属イオンを、xは、0.2~0.5の範囲からなる係数値を示す。)
受酸剤としては、一般的に下記化合式(4)で表されるH2O結合がしたハイドロタルサイト類化合物や酸化マグネシウムが知られている。しかしながら、前者は塩素捕捉能力が乏しいため引張物性や耐熱性が損なわれ、後者は塩素と反応し生成された塩化マグネシウムがオイルを取り込んでしまうため、耐油性が損なわれる。
MxAly(OH)zCO3・mH2O (4)
(式中、MはMgあるいはZnの少なくとも一種からなる2価金属イオンを、xは3~7、yは1~3、zは7~20、mは2~7の範囲からなる係数値を示す)
ハイドロタルサイト類化合物の添加量は、クロロプレン系ゴム100質量部に対して2~16質量部であり、好ましくは2質量部~8質量部、さらに好ましくは4質量部~8質量部である。ハイドロタルサイト類化合物の添加量が2質量部に満たないと、塩素捕捉能力が乏しく耐熱性が損なわれてしまう場合がある。ハイドロタルサイト類化合物の添加量が16質量部を超えてしまうと、加硫阻害を引き起こし加硫物表面に気泡が生じ、引張破断強度の低下と熱老化後の破断時伸びの低下を引き起こしてしまう場合がある。
ハイドロタルサイト類化合物の具体例としては、Mg0.7Al0.3O1.15(商品名:KW-2000、協和化学工業社製))が挙げられる。
<その他の化合物>
ゴム組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲でカーボンブラック、可塑剤、加硫剤、カーボンブラック以外の充填剤や補強剤、加工助剤、老化防止剤などを添加しても良い。
ゴム組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲でカーボンブラック、可塑剤、加硫剤、カーボンブラック以外の充填剤や補強剤、加工助剤、老化防止剤などを添加しても良い。
ゴム組成物は、上述の化合物をその加硫温度以下の温度で混練することで得られるものである。混練装置としては、ミキサー、バンバリーミキサー、ニーダーミキサー、二本ロールなどがある。
<加硫成形体>
ゴム組成物の加硫成形体は、上述のゴム組成物を所望する各種の形状に成形された後に加硫したり、ゴム組成物を加硫した後に各種の形状に成形したりして得られるものである。ゴム組成物から加硫成形体を成形する方法は、プレス成形、押出成形、カレンダー成形などの方法がある。
ゴム組成物の加硫成形体は、上述のゴム組成物を所望する各種の形状に成形された後に加硫したり、ゴム組成物を加硫した後に各種の形状に成形したりして得られるものである。ゴム組成物から加硫成形体を成形する方法は、プレス成形、押出成形、カレンダー成形などの方法がある。
ゴム組成物を加硫する温度は、その組成に合わせて適宜設定すればよく、通常は140~220℃、好ましくは150~180℃の範囲で行われる。また、加硫する時間もゴム組成物の組成や形状によって適宜設定すればよく、通常は10分~60分の範囲で行われる。
加硫成形体は、上述のゴム組成物を加硫成形して得られるものであり、圧縮永久歪及び加硫速度、耐スコーチ性を向上させたものである。
クロロプレン-アクリロニトリル共重合ゴムの製造:
加熱冷却ジャケットと攪拌機を備えた内容積3リットルの重合缶に、クロロプレン単量体24質量部、アクリロニトリル単量体24質量部、ジエチルキサントゲンジスルフィド0.5質量部、純水200質量部、ロジン酸カリウム(ハリマ化成株式会社製)5.00質量部、水酸化ナトリウム0.40質量部、βナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(花王株式会社製)2.0質量部を添加した。重合開始剤として過硫酸カリウム0.1質量部を添加し、重合温度40℃にて窒素気流下で乳化重合を行った。クロロプレン単量体は、重合開始20秒後から分添し、重合開始からの10秒間の冷媒の熱量変化を元に分添流量を電磁弁で調整し、以降10秒毎に流量を再調節することで連続的に行った。クロロプレン単量体及びアクリロニトリル単量体の合計量に対する重合率が50%となった時点で重合停止剤であるフェノチアジンを加えて重合を停止させた。その後、減圧下で反応溶液中の未反応単量体を除去することでクロロプレン-アクリロニトリル共重合体ラテックスを得た。
加熱冷却ジャケットと攪拌機を備えた内容積3リットルの重合缶に、クロロプレン単量体24質量部、アクリロニトリル単量体24質量部、ジエチルキサントゲンジスルフィド0.5質量部、純水200質量部、ロジン酸カリウム(ハリマ化成株式会社製)5.00質量部、水酸化ナトリウム0.40質量部、βナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩(花王株式会社製)2.0質量部を添加した。重合開始剤として過硫酸カリウム0.1質量部を添加し、重合温度40℃にて窒素気流下で乳化重合を行った。クロロプレン単量体は、重合開始20秒後から分添し、重合開始からの10秒間の冷媒の熱量変化を元に分添流量を電磁弁で調整し、以降10秒毎に流量を再調節することで連続的に行った。クロロプレン単量体及びアクリロニトリル単量体の合計量に対する重合率が50%となった時点で重合停止剤であるフェノチアジンを加えて重合を停止させた。その後、減圧下で反応溶液中の未反応単量体を除去することでクロロプレン-アクリロニトリル共重合体ラテックスを得た。
得られたクロロプレン-アクリロニトリル共重合体ラテックスをpH7.0に調整し、-20℃に冷やした金属板上で凍結凝固させることで乳化破壊した。得られたシートを水洗し、130℃で15分間乾燥させることにより、固形状のクロロプレン-アクリロニトリル共重合ゴムを得た。
クロロプレン-アクリロニトリル共重合ゴムの数平均分子量Mn、質量平均分子量Mw、及び分子量分布(Mw/Mn)は、クロロプレン-アクリロニトリル共重合ゴムをTHFでサンプル調整濃度0.1質量%の溶液とした後、高速GPC装置(TOSOH HLC-8320GPC:東ソー株式会社製)により測定した(標準ポリスチレン換算)。その際、プレカラムとしてTSKガードカラムHHR-H、分析カラムとしてHSKgelGMHHR-H3本を使用し、サンプルポンプ圧8.0~9.5MPa、流量1mL/min、40℃で流出させ、示差屈折計で検出した。
分子量は、以下にあげる分子量既知の標準ポリスチレンサンプル計9点を測定して作成した校正曲線を用いた。(Mw=8.42×106、1.09×106、7.06×105、4.27×105、1.90×105、9.64×104、3.79×104、1.74×104、2.63×103)
クロロプレン-アクリロニトリル共重合ゴムに含まれる不飽和ニトリル単量体単位量は、クロロプレン-アクリロニトリル共重合ゴム中の窒素原子の含有量から算出した。具体的には、100mgのクロロプレン-アクリロニトリル共重合ゴムを、元素分析装置(スミグラフ220F:株式会社住化分析センター製)を用いて窒素原子含有量を測定し、アクリロニトリル単量体単位を算出した。
元素分析の測定条件は次のとおり行った。電気炉温度は反応炉900℃、還元炉600℃、カラム温度70℃、検出器温度100℃に設定し、燃焼用ガスとして酸素を0.2ml/min、キャリアーガスとしてヘリウムを80ml/minフローした。検量線は窒素含有量が既知のアスパラギン酸(10.52%)を標準物質に用いて作成した。
元素分析の測定条件は次のとおり行った。電気炉温度は反応炉900℃、還元炉600℃、カラム温度70℃、検出器温度100℃に設定し、燃焼用ガスとして酸素を0.2ml/min、キャリアーガスとしてヘリウムを80ml/minフローした。検量線は窒素含有量が既知のアスパラギン酸(10.52%)を標準物質に用いて作成した。
結果、数平均分子量(Mn)は138×103/mol、重量平均分子量(Mw)は473×103g/mol、分子量分布(Mw/Mn)は3.4であった。また、クロロプレン-アクリロニトリル共重合ゴム中のアクリロニトリル単量体単位量は9.9質量%であった。
(実施例1)
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて、本発明の効果について具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。各実施例及び比較例のゴム組成物は、各成分を表1または表2に示す組成で配合した後、8インチロールを用いて混練して作製したものである。得られたゴム組成物は、加硫して加硫物としその性能を評価した。
表1及び表2で用いた薬品を以下に示す。
クロロプレンゴム:デンカ株式会社製メルカプタン変性クロロプレンゴム 生ゴムムーニー粘度ML1+4(100℃)=48
ハイドロタルサイトA:協和化学工業株式会社製 KW-2000
化学組成;Mg0.7Al0.3O1.15
ハイドロタルサイトB:協和化学工業株式会社製 DHT-4A
化学組成;Mg4.3Al2(OH)12.6CO3・mH2O
酸化マグネシウム:協和化学工業株式会社製 キョーワマグ150
ステアリン酸:新日本理化株式会社製 ステアリン酸50S
カーボンブラック:東海カーボン株式会社製 シーストSO FEFカーボン
可塑剤:株式会社ADEKA製 RS-700
TMU:大内新興化学工業株式会社製 ノクセラーTMU トリメチルチオ尿素
耐熱老化防止剤:大内新興化学工業株式会社製 ノクラックCD 4,4‘-ビス(α、α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン
酸化亜鉛:堺化学工業株式会社製 酸化亜鉛2種
耐オゾン老化防止剤:大内新興化学工業株式会社製 ノクラック6C N-フェニル-N′-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン
「DTH-4A」、「キョーワマグ」、「シースト」、「ノクセラー」及び「ノクラック」は登録商標。
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて、本発明の効果について具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。各実施例及び比較例のゴム組成物は、各成分を表1または表2に示す組成で配合した後、8インチロールを用いて混練して作製したものである。得られたゴム組成物は、加硫して加硫物としその性能を評価した。
表1及び表2で用いた薬品を以下に示す。
クロロプレンゴム:デンカ株式会社製メルカプタン変性クロロプレンゴム 生ゴムムーニー粘度ML1+4(100℃)=48
ハイドロタルサイトA:協和化学工業株式会社製 KW-2000
化学組成;Mg0.7Al0.3O1.15
ハイドロタルサイトB:協和化学工業株式会社製 DHT-4A
化学組成;Mg4.3Al2(OH)12.6CO3・mH2O
酸化マグネシウム:協和化学工業株式会社製 キョーワマグ150
ステアリン酸:新日本理化株式会社製 ステアリン酸50S
カーボンブラック:東海カーボン株式会社製 シーストSO FEFカーボン
可塑剤:株式会社ADEKA製 RS-700
TMU:大内新興化学工業株式会社製 ノクセラーTMU トリメチルチオ尿素
耐熱老化防止剤:大内新興化学工業株式会社製 ノクラックCD 4,4‘-ビス(α、α-ジメチルベンジル)ジフェニルアミン
酸化亜鉛:堺化学工業株式会社製 酸化亜鉛2種
耐オゾン老化防止剤:大内新興化学工業株式会社製 ノクラック6C N-フェニル-N′-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン
「DTH-4A」、「キョーワマグ」、「シースト」、「ノクセラー」及び「ノクラック」は登録商標。
(加硫成形体の製造)
得られたゴム組成物を、170℃×20分の条件でプレス加硫して、厚さ2mmのシート状の加硫成形体を作製した。得られた加硫成形体について、以下の評価を行った。評価結果を表1及び表2に示す。
得られたゴム組成物を、170℃×20分の条件でプレス加硫して、厚さ2mmのシート状の加硫成形体を作製した。得られた加硫成形体について、以下の評価を行った。評価結果を表1及び表2に示す。
(加硫成形体の評価)
(1)引張強度
JIS K 6251に準拠して、シート状の加硫成形体を厚さ2mmのダンベル状3号形試験片に成形したサンプルを5枚準備し、そのうちの5枚を株式会社島津製作所製の加硫ゴム用長ストローク引張試験システムを用いて引張速度500mm/分で各加硫物の機械的強度を測定した。破断時の引張強度が20MPaを超えたものを合格とした。
(2)耐熱性
JIS K6251に準拠して、シート状の加硫成形体を厚さ2mmのダンベル状3号形試験片に成形したサンプルを10枚準備し、そのうちの5枚を株式会社島津製作所製の加硫ゴム用長ストローク引張試験システムを用いて引張速度500mm/分で測定した。次いで、残りの5枚を130℃で72時間熱処理した後、切断時伸びを上述と同一の方法で測定し、熱処理前後の値の変化率を以下の式1(式中、Aは熱処理前の測定サンプルの切断時伸びの値(5枚の平均値)、Bは熱処理後の測定サンプルの切断時伸びの値(5枚の平均値)を示す。)によって算出した。ポリマーにクロロプレンを用いたものは、-20%以上0%以下の値を示したものを合格とし、ポリマーにクロロプレン-アクリロニトリル共重合ゴムを用いたものは、-30%以上0%以下の値を示したものを合格とした。
耐熱性(熱老化後の伸びの変化率(%))=(B-A)/A×100・・・(式1)
(3)耐油性試験
JIS K 6258に準じて、シート状の加硫成形体を縦15cm、横15cmとなるように成形したサンプルを、130℃のASTM No.3 試験油(自動車用高潤滑油)中に72時間浸漬し、試験の前後でシートの体積を測定して、体積膨潤率を算出した。実施例1~4及び比較例1~5のクロロプレンゴムを用いた例では、+0%以上50%以下の値を示したものを合格とし、実施例5~8及び比較例6~10のクロロプレン-アクリロニトリル共重合ゴムを用いた例では、0%以上20%以下の値を示したものを合格とした。
(1)引張強度
JIS K 6251に準拠して、シート状の加硫成形体を厚さ2mmのダンベル状3号形試験片に成形したサンプルを5枚準備し、そのうちの5枚を株式会社島津製作所製の加硫ゴム用長ストローク引張試験システムを用いて引張速度500mm/分で各加硫物の機械的強度を測定した。破断時の引張強度が20MPaを超えたものを合格とした。
(2)耐熱性
JIS K6251に準拠して、シート状の加硫成形体を厚さ2mmのダンベル状3号形試験片に成形したサンプルを10枚準備し、そのうちの5枚を株式会社島津製作所製の加硫ゴム用長ストローク引張試験システムを用いて引張速度500mm/分で測定した。次いで、残りの5枚を130℃で72時間熱処理した後、切断時伸びを上述と同一の方法で測定し、熱処理前後の値の変化率を以下の式1(式中、Aは熱処理前の測定サンプルの切断時伸びの値(5枚の平均値)、Bは熱処理後の測定サンプルの切断時伸びの値(5枚の平均値)を示す。)によって算出した。ポリマーにクロロプレンを用いたものは、-20%以上0%以下の値を示したものを合格とし、ポリマーにクロロプレン-アクリロニトリル共重合ゴムを用いたものは、-30%以上0%以下の値を示したものを合格とした。
耐熱性(熱老化後の伸びの変化率(%))=(B-A)/A×100・・・(式1)
(3)耐油性試験
JIS K 6258に準じて、シート状の加硫成形体を縦15cm、横15cmとなるように成形したサンプルを、130℃のASTM No.3 試験油(自動車用高潤滑油)中に72時間浸漬し、試験の前後でシートの体積を測定して、体積膨潤率を算出した。実施例1~4及び比較例1~5のクロロプレンゴムを用いた例では、+0%以上50%以下の値を示したものを合格とし、実施例5~8及び比較例6~10のクロロプレン-アクリロニトリル共重合ゴムを用いた例では、0%以上20%以下の値を示したものを合格とした。
実施例2~8及び比較例1~10におけるゴム組成物及び加硫成形体は、ゴム組成物を作製する際の配合を表1又は表2に記載した条件に変更して実施例1と同様に作製し、実施例1と同様に評価したものである。評価結果を表1又は表2に示した。
表1及び表2に示した結果から、本願発明のゴム組成物は、加硫物とした際に耐油性と耐熱性を同時に向上させることがわかった。当該加硫物は、これらの性質を有するため生産性に優れ、かつ自動車用ゴム部材、ホース及びゴム型物などの成形品として好適に使用できる。
Claims (4)
- クロロプレン系ゴム100質量部と、下記化学式(1)で表されるハイドロタルサイト類化合物2~16質量部を含有するゴム組成物。
M(1-x)AlxO3.83x (1)
(式中、MはMgあるいはZnの少なくとも一種からなる2価金属イオンを、xは、0.2~0.5の範囲からなる係数値を示す。) - クロロプレン系ゴムが、2-クロロ-1,3-ブタジエンの単独重合体、又は、2,3-ジクロロ-1,3-ブタジエン及びアクリロニトリルから選ばれる少なくとも1種の単量体と2-クロロ-1,3-ブタジエンとの共重合体である請求項1に記載のゴム組成物。
- 請求項1に記載のゴム組成物の加硫物。
- 請求項3に記載の加硫物からなる成形品。
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