JP2022048970A - 食品包装用紙 - Google Patents

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Abstract

【課題】課題は、耐水性、耐油性、ガスバリア性、水蒸気バリア性及びフレーバーバリア性を有し、ヒートシール適性及び折り加工適性を備え、並びに耐ブロッキング性を有する食品包装用紙を提供することである。【解決手段】課題は、紙支持体と、前記紙支持体の片面に第一塗工層と、紙支持体を基準として前記第一塗工層の外側に第二塗工層と、及び紙支持体を基準として前記第二塗工層の外側に第三塗工層とを有し、前記第一塗工層がカオリン、並びにバインダーとしてスチレン-ブタジエン系共重合樹脂及びアクリル系樹脂から成る群から選ばれる一種又は二種以上を含有し、前記第二塗工層が、樹脂の構成単位として塩化ビニリデン単量体を主成分として有するポリ塩化ビニリデン系重合樹脂を含有し、並びに前記第三塗工層がアクリル系樹脂を含有する食品包装用紙によって解決できる。【選択図】なし

Description

本発明は、食品の包装、食品を入れる袋又は食品を入れる容器等の食品包装材料であって、支持体が紙である食品包装用紙に関する。
食品の包装、食品を入れる袋又は食品を入れる容器等の食品包装材料は、プラスチックフィルムの積層構造又は金属蒸着膜を有するフィルムがほとんどであった。一方、プラスチック製品の環境問題から、食品の劣化を抑制するために外部からの水蒸気及び酸素ガスに対するバリア性を有する、紙支持体から成る食品包装用紙が存在する。例えば、水系塗料の塗工によって設けられた水蒸気バリア層及びガスバリア層を有する、優れたガスバリア性と水蒸気バリア性を併せ持つ紙製バリア包装材料として、紙基材上に顔料及び水蒸気バリア性樹脂を含有する水蒸気バリア層、水溶性高分子を含有するガスバリア層をこの順に設け、水蒸気バリア性樹脂がアクリル系合成樹脂である紙製バリア包装材料が公知である(例えば、特許文献1参照)。また、食品類等の包装に使用できる、各種プラスチック材料、各種蒸着フィルム及び紙等の基材に接着剤層及び被接着剤層を設け、前記接着剤層が、エチレン不飽和カルボン酸共重合体及びアクリル重合体を含む複合粒子の分散体を乾燥して成り、前記被接着剤層がポリ塩化ビニル及び/又はポリ塩化ビニリデンから成る積層体が公知である(例えば、特許文献2参照)。
特開2013-176950号公報 国際公開第2016/076130号パンフレット
食品の包装、食品を入れる袋又は食品を入れる容器等の食品包装用紙には、食品に由来する水分及び油分に対する耐水性及び耐油性が必要である。また、食品包装用紙には、水蒸気、湿気又は酸素の透過を防ぎ食品を劣化から守る水蒸気バリア性及びガスバリア性が必要である。また、包装の形態によっては食品を収納してから食品包装用紙を封止する場合があり、食品包装用紙には、ヒートシール適性が必要である。また、包装の形態によっては食品が落ちないように容器形状へ食品包装用紙を折り加工する場合があり、食品包装用紙には、折り加工適性が必要である。食品包装用紙は、折り加工適性に劣る場合に用紙の折り部において、耐水性、耐油性、ガスバリア性又は水蒸気バリア性が低下する。また近年、香りに関する害を主張する世間の動向から、封止に使用する食品包装用紙には、食品から発生する香りが漏れることを軽減するフレーバーバリア性が必要である。
さらに、食品包装用紙は、食品への影響から比較的低温でヒートシール適性を有することが好ましい。しかしながら、比較的低温でヒートシール適性を有する食品包装用紙は、製造後の巻き取り状態又はシート化後の積層状態で保管する際にブロッキングを発生しやすい。従って、ヒートシール適性を有する食品包装用紙には、耐ブロッキング性が必要である。
本発明の目的は、耐水性、耐油性、ガスバリア性、水蒸気バリア性及びフレーバーバリア性を有し、ヒートシール適性及び折り加工適性を備え、並びに耐ブロッキング性を有する食品包装用紙を提供することである。
本発明者らは鋭意検討を行った結果、本発明の目的は以下によって達成される。
[1]紙支持体と、前記紙支持体の片面に第一塗工層と、紙支持体を基準として前記第一塗工層の外側に第二塗工層と、及び紙支持体を基準として前記第二塗工層の外側に第三塗工層とを有し、前記第一塗工層がカオリン、並びにバインダーとしてスチレン-ブタジエン系共重合樹脂及びアクリル系樹脂から成る群から選ばれる一種又は二種以上を含有し、前記第二塗工層が、樹脂の構成単位として塩化ビニリデン単量体を主成分として有するポリ塩化ビニリデン系重合樹脂を含有し、並びに前記第三塗工層がアクリル系樹脂を含有する食品包装用紙。
[2]上記第一塗工層が、バインダーとしてスチレン-ブタジエン系共重合樹脂から成る群から選ばれる一種若しくは二種以上、又はアクリル系樹脂から成る群から選ばれる一種若しくは二種以上を含有する上記[1]に記載の食品包装用紙。
[3]上記第一塗工層が、バインダーとしてスチレン-ブタジエン系共重合樹脂から成る群から選ばれる一種又は二種以上を含有し、第一塗工層において前記スチレン-ブタジエン系共重合樹脂の合計含有量が、紙支持体の片面あたり第一塗工層中のカオリン100質量部に対して40質量部以上400質量部以下である上記[2]に記載の食品包装用紙。
[4]上記第一塗工層が、バインダーとしてアクリル系樹脂から成る群から選ばれる一種又は二種以上を含有し、第一塗工層において前記アクリル系樹脂の合計含有量が、紙支持体の片面あたり第一塗工層中のカオリン100質量部に対して40質量部以上400質量部以下である上記[2]に記載の食品包装用紙。
[5]上記ポリ塩化ビニリデン系重合樹脂は、樹脂中の塩化ビニリデン単量体が85質量%以上95質量%以下である上記[1]~[4]のいずれかに記載の食品包装用紙。
[6]第三塗工層が含有する上記アクリル系樹脂が、スチレン-アクリル系共重合樹脂である上記[1]~[5]のいずれかに記載の食品包装用紙。
[7]上記第三塗工層が、パラフィンワックスを更に含有する上記[1]~[6]のいずれかに記載の食品包装用紙。
[8]上記第三塗工層の前記パラフィンワックスが、融点50℃以上80℃以下である上記[7]に記載の食品包装用紙。
[9]上記第一塗工層の上記スチレン-ブタジエン系共重合樹脂が、共重合樹脂中のスチレン系単量体の含有質量比率が70質量%以上90質量%以下である上記[3]に記載の食品包装用紙。
[10]上記第一塗工層の上記アクリル系樹脂が、スチレン-アクリル系共重合樹脂又はスチレン-(メタ)アクリロニトリル-アクリル系共重合樹脂である上記[4]に記載の食品包装用紙。
本発明により、耐水性、耐油性、ガスバリア性、水蒸気バリア性及びフレーバーバリア性を有し、ヒートシール適性及び折り加工適性を備え、並びに耐ブロッキング性を有する食品包装用紙を提供することができる。
食品包装用紙は、紙支持体と、前記紙支持体の片面に第一塗工層と、紙支持体を基準として前記第一塗工層の外側に第二塗工層と、及び紙支持体を基準として前記第二塗工層の外側に第三塗工層とを有する。すなわち、食品包装用紙は、紙支持体に近い側から第一塗工層、第二塗工層及び第三塗工層を有する。食品包装用紙は、紙支持体、第一塗工層、第二塗工層及び第三塗工層の各々間に、ガスバリア性及び水蒸気バリア性の向上又は塗工層間の接着性の向上等を目的として中間塗工層を有することができる。いくつかの実施態様において、食品包装用紙は、紙支持体、第一塗工層、第二塗工層及び第三塗工層の各々間に中間塗工層を有しない。この理由は、食品包装用紙の製造コストが有利になるからである。食品包装用紙の実施形態として、食品と対向する食品包装用紙の面は、食品包装用紙の第一塗工層、第二塗工層及び第三塗工層を有する側の面である。また、食品包装用紙は、第一塗工層、第二塗工層及び第三塗工層を有する側に対する紙支持体の反対側において、グラビア印刷機及び/又はデジタル印刷機への印刷適性を向上させる目的のために又は用紙の寸法安定性を向上させる目的のために、印刷用塗工層又はバックコート層を有することができる。印刷用塗工層又はバックコート層は、印刷用塗工紙分野で従来公知のものである。さらに、食品包装用紙は、印刷用塗工層と紙支持体との間に第一塗工層、第二塗工層及び/又は第三塗工層を有することができる。
紙支持体は、木材パルプ及び/又は非木材パルプから成るスラリーに対して、填料、サイズ剤、バインダー、定着剤、歩留り剤及び紙力剤等の各種添加剤を必要に応じて添加した紙料を、酸性、中性又はアルカリ性の条件で、従来公知の抄紙方法によって抄造した原紙、前記原紙をサイズプレス液でサイズプレス処理した上質紙、前記原紙を表面処理液で表面処理した上質紙、又は前記原紙若しくは前記上質紙に対してカレンダー処理を施した上質紙である。
さらに、上記紙料には、その他の添加剤として、顔料分散剤、嵩高剤、増粘剤、流動性改良剤、ピッチコントロール剤、消泡剤、抑泡剤、離型剤、発泡剤、浸透剤、保湿剤、防腐剤、防バイ剤、耐水化剤、湿潤紙力増強剤及び乾燥紙力増強剤等から選ばれる一種又は二種以上を、本発明の所望の効果を損なわない範囲で、適宜添加することができる。
カレンダー処理とは、ロール間に紙を通すことによって平滑性や厚みを平均化する処理である。カレンダー処理の装置は、例えば、マシンカレンダー、ソフトニップカレンダー、スーパーカレンダー、多段カレンダー、マルチニップカレンダー等を挙げることができる。
木材パルプは、製紙分野で従来公知のものである。木材パルプは、例えば、LBKP(Leaf Bleached Kraft Pulp)及びNBKP(Needle Bleached Kraft Pulp)等の化学パルプ、GP(Groundwood Pulp)、PGW(Pressure GroundWood pulp)、RMP(Refiner Mechanical Pulp)、TMP(ThermoMechanical Pulp)、CTMP(ChemiThermoMechanical Pulp)、CMP(ChemiMechanical Pulp)及びCGP(ChemiGroundwood Pulp)等の機械パルプ、並びにDIP(DeInked Pulp)等の古紙パルプを挙げることができる。
非木材パルプは、製紙分野で従来公知の非木材繊維からなるパルプである。非木材繊維の原料は、例えば、コウゾ、ミツマタ及びガンピ等の木本靭皮、亜麻、大麻及びケナフ等の草本靭皮、マニラ麻、アバカ及びサイザル麻等の葉繊維、イネわら、ムギわら、サトウキビバカス、タケ及びエスパルト等の禾本科植物、並びにワタ及びリンター等の種毛を挙げることができる。木材パルプ及び/又は非木材パルプは、前記木材パルプ及び前記非木材パルプから成る群から選ばれる一種又は二種以上である。
填料は、製紙分野で従来公知の顔料である。顔料は、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、各種カオリン、タルク、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、シリカ、珪酸アルミニウム、珪藻土、活性白土、アルミナ、アルミナ水和物、水酸化アルミニウム、リトポン、ゼオライト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の無機顔料を挙げることができる。さらにスチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン系プラスチックピグメント、尿素樹脂、メラミン樹脂及びマイクロカプセル等の有機顔料を挙げることができる。填料は、前記無機顔料及び前記有機顔料から成る群から選ばれる一種又は二種以上である。
いくつかの実施態様において、食品包装用紙は、紙支持体の灰分量が8質量%以下である。この理由は、紙支持体が、柔軟性を得ることができかつ紙力を低下しないからである。ここで、灰分量とは、燃焼処理前の紙支持体の絶乾質量に対する紙支持体を500℃で1時間燃焼処理を行った後の不燃物の質量の比率(質量%)である。灰分量は、紙支持体中の填料含有量を調整する等の従来公知の方法で制御することができる。
サイズ剤は、製紙分野で従来公知の内添サイズ剤である。内添サイズ剤は、例えば、酸性紙であればロジン系サイズ剤、中性紙であればアルケニル無水コハク酸、アルキルケテンダイマー、中性ロジン系サイズ剤及びカチオン性スチレン-アクリル系サイズ剤等を挙げることができる。
また、サイズプレス液に用いる表面サイズ剤は、製紙分野で従来公知のものである。表面サイズ剤は、例えば、澱粉系サイズ剤、セルロース系サイズ剤、ポリビニルアルコール系サイズ剤、スチレン-アクリル系サイズ剤、オレフィン系サイズ剤、スチレン-マレイン酸系サイズ剤、及びアクリルアミド系サイズ剤等を挙げることができる。
サイズプレス処理は、製紙分野で従来公知のサイズプレス装置を用いて行う。サイズプレス装置の例としては、インクラインドサイズプレス、ホリゾンタルサイズプレス、フィルムトランスファーとしてロッドメタリングサイズプレス、ロールメタリングサイズプレス及びブレードメタリングサイズプレスを、前記ロッドメタリングサイズプレスとしてシムサイザー、オプティサイザー及びスピードサイザーを、前記ロールメタリングサイズプレスとしてゲートロールコーターを、さらにビルブレードコーター、ツインブレードコーター、ベルバパコーター、タブサイズプレス、並びにカレンダーサイズプレス等を挙げることができる。
第一塗工層は、カオリン、並びにバインダーとしてスチレン-ブタジエン系共重合樹脂及びアクリル系樹脂から成る群から選ばれる一種又は二種以上を含有する。第一塗工層は、紙支持体が有する空隙を塞ぐ被覆層として機能を有する。また、第一塗工層は、紙支持体の裏面(第一塗工層、第二塗工層及び第三塗工層を有しない側)から水分及び油分の拡散を遮蔽して第二塗工層を保護する保護層として機能を有する。また、第一塗工層は、紙支持体と第二塗工層とを接着する接着層として機能する。食品包装用紙は、第一塗工層が被覆層、保護層及び接着層として機能することで結果的にガスバリア性、フレーバーバリア性及び折り加工適性を得ることができる。
カオリンは、カオリナイト、ナクライト、ディッカイト、ハロイサイト、加水ハロイサイト等の天然に産出されたカオリン原鉱を、工業的に精製及び加工したものであって、粉砕、洗浄、除鉄、及び分級等の工程を経て製造されるものである。また、カオリンには、アスペクト比を向上させるためにせん断力をかけて薄板状としたデラミネーティッドカオリン、粒度分布がシャープになるよう調整したエンジニアードカオリン、凝集性を高めた焼成カオリンといった加工性の高いものも含まれる。
カオリンは、通常、平面部とエッジ部とで異なる電荷を帯びる。カオリンは、電荷を帯びるために他の顔料に比べてバインダーを吸着しやすい。そして、スチレン-ブタジエン系共重合樹脂は顔料に対する結合性が高い。アクリル系樹脂は、分子内に極性を有するために、カオリンに対して吸着に優れる。よって、カオリンと、スチレン-ブタジエン系共重合樹脂及びアクリル系樹脂から成る群から選ばれる一種又は二種以上との組み合わせを含む第一塗工層は、被膜形成に優れる。その結果、被覆層、保護層及び接着層としての機能を上手く発現する。
いくつかの実施態様において、第一塗工層は、バインダーとしてスチレン-ブタジエン系共重合樹脂から成る群から選ばれる一種若しくは二種以上、又はアクリル系樹脂から成る群から選ばれる一種若しくは二種以上を含有する。この理由は、スチレン-ブタジエン系共重合樹脂から成る群から選ばれる一種若しくは二種以上、又はアクリル系樹脂から成る群から選ばれる一種若しくは二種以上であれば、被膜形成が良化するからである。この理由は、分子中にスチレン系単量体を含む樹脂と分子中にアクリル酸系単量体を含む樹脂とは共存すると相分離しやすいためと考えられる。
少なくとも一つの実施態様において、第一塗工層は、バインダーとしてスチレン-ブタジエン系共重合樹脂から成る群から選ばれる一種又は二種以上を含有し、なおかつ第一塗工層において、前記スチレン-ブタジエン系共重合樹脂の合計含有量は、紙支持体の片面あたり第一塗工層中のカオリン100質量部に対して40質量部以上400質量部以下である。この理由は、食品包装用紙のガスバリア性、フレーバーバリア性及び/又は折り加工適性が良化するからである。
スチレン-ブタジエン系共重合樹脂は、スチレン系単量体とブタジエンとの共重合樹脂である。スチレン系単量体は、例えば、スチレン及びα-メチルスチレン等のビニル基に置換基を有するスチレン誘導体、並びにビニルトルエン及びp-クロルスチレン等のベンゼン環に置換基を有する誘導体を挙げることができる。いくつかの実施態様において、スチレン-ブタジエン系共重合樹脂は、共重合樹脂中のスチレン系単量体の含有質量比率が67質量%以上100質量%未満である。少なくとも一つの実施態様において、スチレン-ブタジエン系共重合樹脂は、共重合樹脂中のスチレン系単量体の含有質量比率が70質量%以上90質量%以下である。これらの理由は、食品包装用紙のガスバリア性、フレーバーバリア性及び折り加工適性が良化するからである。
また、スチレン-ブタジエン系共重合樹脂は、スチレン系単量体及びブタジエン以外にスチレン系単量体及びブタジエンと共重合可能な単量体を有することができる。共重合可能な単量体の例としては、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸塩、(メタ)アクリル酸エステル、マレイン酸、酢酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン及びエチレン等を挙げることができる。
スチレン-ブタジエン系共重合樹脂は、公知の乳化重合法によって合成することができる。合成は、例えば、所定の反応容器に各単量体、乳化剤及び水を配合し、ラジカル重合開始剤を加えて撹拌及び加熱する方法である。共重合樹脂において各単量体の含有質量比率は、反応容器に配合する各単量体の配合量で調整できる。スチレン-ブタジエン系共重合樹脂は、例えば、デンカ社、旭化成社、BASF社及びJSR社等から市販される。
少なくとも一つの実施態様において、第一塗工層は、バインダーとしてアクリル系樹脂から成る群から選ばれる一種又は二種以上を含有し、なおかつ第一塗工層において、前記アクリル系樹脂の合計含有量は、紙支持体の片面あたり第一塗工層中のカオリン100質量部に対して40質量部以上400質量部以下である。この理由は、食品包装用紙のガスバリア性、フレーバーバリア性及び/又は折り加工適性が良化するからである。
いくつかの実施態様において、第一塗工層のアクリル系樹脂は、アクリル酸系単量体を樹脂中50質量%超で含有する樹脂である。この理由は、食品包装用紙のガスバリア性、フレーバーバリア性及び/又は折り加工適性が良化するからである。
アクリル酸系単量体は、例えば、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸塩及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルを挙げることができる。(メタ)アクリル酸塩の例としては、(メタ)アクリル酸リチウム、(メタ)アクリル酸ナトリウム、メタアクリル酸カリウム及び2-スルホエチル(メタ)アクリル酸ナトリウム等を挙げることができる。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸n-アミル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸デシル及び(メタ)アクリル酸ウンデシル等を挙げることができる。さらに、アクリル酸系単量体の例としては、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、モノ(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル、モノ(メタ)アクリル酸グリセロール、ジ(メタ)アクリル酸エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸トリエチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸(ポリ)エチレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸ジプロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,2-プロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3-プロピレングリコール、ジ(メタ)アクリル酸1,3-ブチレングリコール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、テトラ(メタ)アクリル酸テトラメチロールメタン、ジ(メタ)アクリル酸1,4-ブタンジオール、ジ(メタ)アクリル酸1,6-ヘキサンジオール、ジ(メタ)アクリル酸ネオペンチルグリコール、トリ(メタ)アクリル酸トリメチロールプロパン、(メタ)アクリル酸アリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸ジアセトン、(メタ)アクリル酸アセトニル、(メタ)アクリル酸2-アセトアセトキシエチル、並びに(メタ)アクリル酸3,4-エポキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-(2-エトキシエトキシ)エチル、ポリカプロラクトン変性ヒドロキシアルキル(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸アセトニル、(メタ)アクリル酸2-(アセトアセチルオキシ)エチル、及び(メタ)アクリル酸(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル等を挙げることができる。
アクリル系樹脂は、アクリル酸系単量体以外にアクリル酸系単量体と共重合可能な他の単量体を含有することができる。他の単量体の例としては、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、(メタ)アクリロニトリル、エチレン、プロピレン、ジビニルベンゼン、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N′-メチレンビス(メタ)アクリルアミド、ビニルスルホン酸ナトリウム、p-スチレンスルホン酸ナトリウム、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、3-アリロキシ-2-ヒドロキシプロパンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンスチレン化フェニル硫酸ナトリウム、グリセリンモノアリルエーテルモノスルホコハク酸ナトリウム、(メタ)アクリルアミドステアリン酸ナトリウム、ジアリルフタレート、トリアリルシアヌレート、アクロレイン、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、ホルミルスチロール、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、(メタ)アクリロイルオキシアルキルプロペナール、及びジアセトン(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。
いくつかの実施態様において、アクリル系樹脂は、上記アクリル酸系単量体から成る群から選ばれる一種又は二種以上の単量体を重合して成る樹脂である。また、いくつかの実施態様において、アクリル系樹脂は、上記アクリル酸系単量体から成る群から選ばれる一種又は二種以上の単量体と、上記アクリル酸系単量体以外の単量体から成る群から選ばれる一種又は二種以上の単量体とを共重合して成る樹脂である。
また、いくつかの実施態様において、アクリル系樹脂は、アクリル酸系単量体とスチレンとが共重合したスチレン-アクリル系共重合樹脂又はアクリル酸系単量体とスチレンと(メタ)アクリロニトリルとが共重合したスチレン-(メタ)アクリロニトリル-アクリル系共重合樹脂である。少なくとも一つの実施態様において、アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸塩及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルから成る群から選ばれる一種又は二種以上のアクリル酸系単量体とスチレンとが共重合したスチレン-アクリル系共重合樹脂である。また、少なくとも一つの実施態様において、アクリル系樹脂は、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸塩及び(メタ)アクリル酸アルキルエステルから成る群から選ばれる一種又は二種以上のアクリル酸系単量体とスチレンと(メタ)アクリロニトリルとが共重合したスチレン-(メタ)アクリロニトリル-アクリル系共重合樹脂である。これらの理由は、食品包装用紙のガスバリア性及びフレーバーバリア性が良化するからである。アクリル系樹脂は、例えば、三井化学社、東亞合成社、第一塗料製造所社、DIC社、PSジャパン社、日本ポリエチレン社、旭化成社、東レ社、三井・ダウポリケミカル社及びBASF社等から市販される。
アクリル系樹脂は、公知の乳化重合法によって合成することができる。合成は、例えば、所定の反応容器に各単量体、乳化剤及び水を配合し、ラジカル重合開始剤を加えて撹拌及び加熱する方法である。共重合樹脂において各単量体の含有質量比率は、反応容器に配合する各単量体の配合量で調整できる。
第一塗工層は、カオリン、並びにバインダーとしてスチレン-ブタジエン系共重合樹脂及びアクリル系樹脂以外に、必要に応じて従来公知の各種添加剤を含有することができる。添加剤は、例えば、カオリン以外の無機顔料、有機顔料、スチレン-ブタジエン系共重合樹脂及びアクリル系樹脂以外の各種バインダー、澱粉類及びセルロース類等の多糖類、界面活性剤、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤等を挙げることができる。
第二塗工層は、樹脂の構成単位として塩化ビニリデン単量体を主成分として有するポリ塩化ビニリデン系重合樹脂を含有する。いくつかの実施態様において、第二塗工層中のポリ塩化ビニリデン系重合樹脂の含有量は、紙支持体の片面あたり、第二塗工層の乾燥固形分量に対して85質量%以上である。この理由は、ポリ塩化ビニリデン系重合樹脂がバリア剤となって、食品包装用紙のガスバリア性、水蒸気バリア性及びフレーバーバリア性が良化するからである。
第二塗工層は、ポリ塩化ビニリデン系重合樹脂以外に、必要に応じて従来公知の各種添加剤を含有することができる。添加剤は、例えば、無機顔料、有機顔料、ポリ塩化ビニリデン系重合樹脂以外の各種樹脂、澱粉類及びセルロース類等の多糖類、界面活性剤、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤等を挙げることができる。
樹脂の構成単位として塩化ビニリデン単量体を主成分に有するポリ塩化ビニリデン系重合樹脂は、樹脂中、塩化ビニリデン単量体が80質量%を超える。いくつかの実施態様において、樹脂の構成単位として塩化ビニリデン単量体を主成分に有するポリ塩化ビニリデン系重合樹脂は、塩化ビニリデン単量体と、塩化ビニリデン単量体と共重合できるその他単量体の一種又は二種以上とを共重合して得られる樹脂である。
また、いくつかの実施態様において、樹脂の構成単位として塩化ビニリデン単量体を主成分に有するポリ塩化ビニリデン系重合樹脂は、樹脂中、塩化ビニリデン単量体が85質量%以上である。この理由は、樹脂中の塩化ビニリデン単量体が85質量%以上であると、食品包装用紙のガスバリア性及び水蒸気バリア性が良化するからである。また、いくつかの実施態様において、樹脂の構成単位として塩化ビニリデン単量体を主成分に有するポリ塩化ビニリデン系重合樹脂は、樹脂中、塩化ビニリデン単量体が95質量%以下である。この理由は、塩化ビニリデン単量体が95質量%以下であると、第二塗工層の被膜形成時に速い結晶化を抑制できるために第二塗工層が整地する時間を得ることができる。その結果、第二塗工層における欠陥が軽減されて、食品包装用紙のガスバリア性及び水蒸気バリア性が良化するからである。少なくとも一つの実施態様において、樹脂の構成単位として塩化ビニリデン単量体を主成分に有するポリ塩化ビニリデン系重合樹脂は、樹脂中、塩化ビニリデン単量体が85質量%以上95質量%以下の樹脂である。
塩化ビニリデン単量体と共重合できる上記その他単量体は、塩化ビニリデン単量体と共重合できる単量体であれば特に限定されない。その他単量体は、例えば、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸ブトキシエチル、(メタ)アクリル酸メトキシトリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-クロロ-2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸2-(ジメチルアミノ)エチル、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン、プロピオン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、塩化ビニル、酢酸ビニル、及びスチレン等を挙げることができる。
いくつかの実施態様において、第二塗工層のポリ塩化ビニリデン系重合樹脂は、上記その他単量体が(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル及び(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルから成る群から選ばれる一種又は二種以上である。いくつかの実施態様として、上記ポリ塩化ビニリデン系重合樹脂は、樹脂中、塩化ビニリデン単量体が85質量%以上95質量%以下、並びに(メタ)アクリロニトリルから成る群から選ばれる単量体が2質量%以上10質量%以下、並びに(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル及び(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチルから成る群から選ばれる単量体が0.5質量%以上5質量%以下である。少なくとも一つの実施態様として、上記ポリ塩化ビニリデン系重合樹脂は、樹脂中、塩化ビニリデン単量体が85質量%以上95質量%以下、(メタ)アクリロニトリルから成る群から選ばれる単量体が2質量%以上10質量%以下、並びに(メタ)アクリル酸メチル及び(メタ)アクリル酸エチルから成る群から選ばれる単量体が0.5質量%以上5質量%以下である。これらの理由は、食品包装用紙のガスバリア性及び水蒸気バリア性が良化するからである。
なお、ポリ塩化ビニリデン系重合樹脂中、塩化ビニリデン単量体と上記その他単量体との含有比率の合計が100質量%に満たない場合は、これら単量体と共重合可能な一種又は二種以上の単量体を含んでよい。
ポリ塩化ビニリデン系重合樹脂の分子量は、特に限定しない。いくつかの実施態様において、ポリ塩化ビニリデン系重合樹脂の分子量は、分子量既知のポリスチレンを標準物質としてゲルパーミエーションクロマトグラフィーによって測定された重量平均分子量で8万以上である。この理由は、前記分子量の範囲であると、ポリ塩化ビニリデン系重合樹脂の熱及び光に対する安定性が良くなるからである。
ポリ塩化ビニリデン系重合樹脂は、公知の乳化重合法によって合成することができる。合成は、例えば、所定の反応容器に各種単量体、乳化剤及び水を配合し、ラジカル重合開始剤を加えて撹拌及び加温する方法である。また、ポリ塩化ビニリデン系重合樹脂は、例えば、旭化成社等から市販される。
第三塗工層は、アクリル系樹脂を含有する。第三塗工層は、アクリル系樹脂が耐水耐油剤となって、耐水耐油層として機能する。第三塗工層が含有するアクリル系樹脂は、耐水耐油性を発現する樹脂であればよく、第三塗工層が含有するアクリル系樹脂を構成する単量体は、上記第一塗工層に係るアクリル系樹脂を構成する単量体と同様であって、説明を割愛する。なお、第一塗工層がアクリル系樹脂を含有する場合、第一塗工層のアクリル系樹脂と第三塗工層のアクリル系樹脂とは、同種の樹脂又は異種の樹脂のいずれでもよい。
いくつかの実施態様において、第三塗工層のアクリル系樹脂は、アクリル酸系単量体とスチレンとが共重合したスチレン-アクリル系共重合樹脂である。この理由は、第三塗工層のアクリル系樹脂がスチレン-アクリル系共重合樹脂であると、ポリ塩化ビニリデン系重合樹脂を含有する第二塗工層に対して密着性及び被膜形成性が良く、その結果、食品包装用紙の折り加工適性が良化するからである。さらにこの理由は、アクリル系樹脂が結晶性の高いスチレンを含有することで食品包装用紙の耐ブロッキング性が良化するからである。また、いくつかの実施態様において、第三塗工層のアクリル系樹脂は、樹脂中、アクリル酸系単量体として(メタ)アクリル酸アルキルエステルを50質量%超で含有する。この理由は、耐水性及び耐油性が良化するからである。少なくとも一つの実施態様において、第三塗工層のアクリル系樹脂は、樹脂中、アクリル酸系単量体として(メタ)アクリル酸アルキルエステルを50質量%超で含有しつつ、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとスチレンとが共重合したスチレン-アクリル系共重合樹脂である。
いくつかの実施態様において、第三塗工層は、パラフィンワックスを含有する。この理由は、食品包装用紙の水蒸気バリア性及び/又は耐ブロッキング性が良化するからである。少なくとも一つの実施態様において、第三塗工層中のパラフィンワックスの含有量は、紙支持体の片面あたり、第三塗工層中のアクリル系樹脂100質量部に対して3質量部以上15質量部以下である。この理由は、パラフィンワックスの含有量がこの範囲であると、食品包装用紙のヒートシール適性を阻害せずに水蒸気バリア性及び耐ブロッキング性を良化することができるからである。また、いくつかの実施態様において、第三塗工層中のパラフィンワックスは、融点が50℃以上である。また、いくつかの実施態様において、第三塗工層中のパラフィンワックスは、融点が80℃以下である。少なくとも一つの実施態様において、第三塗工層中のパラフィンワックスは、融点が50℃以上80℃以下である。これらの理由は、食品包装用紙のヒートシール適性を阻害せずに水蒸気バリア性及び耐ブロッキング性を良化することができ、また、融点が80℃超のパラフィンワックスは入手困難であるからである。
パラフィンワックスは、いわゆる石油ワックスに属し、石油精製において減圧蒸留留出油から分離及び精製して製造される。石油ワックスは、JIS K2235:1991によって、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムの3種に大別される。同様に分離及び精製されるマイクロクリスタリンワックスが分子量500~800で炭素数30~60程度、大きい主鎖に側鎖を持つ分岐炭化水素(イソパラフィン)又は環状炭化水素(シクロパラフィン)が主成分であるのに対し、パラフィンワックスは、分子量が300~550と狭く、直鎖状炭化水素が主成分で炭素数が大体20~40の範囲である。パラフィンワックスは、例えば、中京油脂社、日本精蝋社及びビックケミー・ジャパン社等から市販される。
第三塗工層は、アクリル系樹脂及びパラフィンワックス以外に、必要に応じて従来公知の各種添加剤を含有することができる。添加剤は、例えば、無機顔料、有機顔料、アクリル系樹脂以外の各種樹脂、澱粉類及びセルロース類等の多糖類、界面活性剤、分散剤、増粘剤、保水剤、消泡剤、耐水化剤、着色剤、紫外線吸収剤等を挙げることができる。
いくつかの実施態様において、食品包装用紙は、第一塗工層がカオリンと、スチレン-ブタジエン系共重合樹脂及びアクリル系樹脂から成る群から選ばれる一種又は二種以上とを含有し、第二塗工層がポリ塩化ビニリデン系重合樹脂を含有し、並びに第三塗工層がアクリル系樹脂としてスチレン-アクリル系共重合樹脂を含有する。少なくとも一つの実施態様において、食品包装用紙は、第一塗工層がカオリンと、スチレン-ブタジエン系共重合樹脂及びアクリル系樹脂から成る群から選ばれる一種又は二種以上とを含有し、第二塗工層がポリ塩化ビニリデン系重合樹脂を含有し、並びに第三塗工層がアクリル系樹脂としてスチレン-アクリル系共重合樹脂と融点が50℃以上80℃以下であるパラフィンワックスとを含有する。
いくつかの実施態様において、食品包装用紙は、第一塗工層がカオリンと、スチレン-ブタジエン系共重合樹脂から成る群から選ばれる一種若しくは二種以上、又はアクリル系樹脂から成る群から選ばれる一種若しくは二種以上とを含有し、第二塗工層がポリ塩化ビニリデン系重合樹脂を含有し、並びに第三塗工層がアクリル系樹脂としてスチレン-アクリル系共重合樹脂を含有する。少なくとも一つの実施態様において、食品包装用紙は、第一塗工層がカオリンと、スチレン-ブタジエン系共重合樹脂から成る群から選ばれる一種若しくは二種以上又はアクリル系樹脂から成る群から選ばれる一種若しくは二種以上とを含有し、第二塗工層がポリ塩化ビニリデン系重合樹脂を含有し、並びに第三塗工層がアクリル系樹脂としてスチレン-アクリル系共重合樹脂と融点が50℃以上80℃以下であるパラフィンワックスとを含有する。
いくつかの実施態様において、食品包装用紙は、第一塗工層がカオリンと、スチレン-ブタジエン系共重合樹脂から成る群から選ばれる一種又は二種以上とを含有し、第二塗工層がポリ塩化ビニリデン系重合樹脂を含有し、並びに第三塗工層がアクリル系樹脂としてスチレン-アクリル系共重合樹脂を含有する。少なくとも一つの実施態様において、食品包装用紙は、第一塗工層がカオリンと、スチレン-ブタジエン系共重合樹脂から成る群から選ばれる一種又は二種以上とを含有し、第二塗工層がポリ塩化ビニリデン系重合樹脂を含有し、並びに第三塗工層がアクリル系樹脂としてスチレン-アクリル系共重合樹脂と融点が50℃以上80℃以下であるパラフィンワックスとを含有する。
いくつかの実施態様において、食品包装用紙は、第一塗工層がカオリンと、アクリル系樹脂から成る群から選ばれる一種又は二種以上とを含有し、第二塗工層がポリ塩化ビニリデン系重合樹脂を含有し、並びに第三塗工層がアクリル系樹脂としてスチレン-アクリル系共重合樹脂を含有する。少なくとも一つの実施態様において、食品包装用紙は、第一塗工層がカオリンと、アクリル系樹脂から成る群から選ばれる一種又は二種以上とを含有し、第二塗工層がポリ塩化ビニリデン系重合樹脂を含有し、並びに第三塗工層がアクリル系樹脂としてスチレン-アクリル系共重合樹脂と融点が50℃以上80℃以下であるパラフィンワックスとを含有する。
紙支持体に対して、第一塗工層、第二塗工層及び第三塗工層を順次設ける方法は、特に限定されない。例としては、製紙分野で従来公知の塗工装置及び乾燥装置を用いて、各塗工層を形成するための塗工液を塗工及び乾燥する方法を挙げることができる。塗工装置の例としては、フィルムプレスコーター、ロッドコーター、エアーナイフコーター、ロッドブレードコーター、バーコーター、ブレードコーター、グラビアコーター、カーテンコーター、Eバーコーター、フィルムトランスファーコーター等を挙げることができる。乾燥装置の例としては、直線トンネル乾燥機、アーチドライヤー、エアループドライヤー、サインカーブエアフロートドライヤー等の熱風乾燥機、赤外線加熱ドライヤー、マイクロ波等を利用した乾燥機等の各種乾燥装置を挙げることができる。
第一塗工層の塗工液がカオリンと、バインダーとしてスチレン-ブタジエン系共重合樹脂及びアクリル系樹脂から成る群から選ばれる一種又は二種以上とを含有すること、第二塗工層の塗工液がポリ塩化ビニリデン系重合樹脂を含有すること、並びに第三塗工層の塗工液がアクリル系樹脂又はアクリル系樹脂とパラフィンワックスとを含有することによって、得られる各塗工層は、それぞれ、カオリンと、スチレン-ブタジエン系共重合樹脂及びアクリル系樹脂から成る群から選ばれる一種又は二種以上を、ポリ塩化ビニリデン系重合樹脂を、並びにアクリル系樹脂又はアクリル系樹脂とパラフィンワックスとを含有することができる。
いくつかの実施態様において、第一塗工層の塗工量は、紙支持体の片面あたり乾燥固形分量で3g/m以上15g/m以下である。
いくつかの実施態様において、第二塗工層の塗工量は、紙支持体の片面あたり乾燥固形分量で4g/m以上15g/m以下である。
いくつかの実施態様において、第三塗工層の塗工量は、紙支持体の片面あたり乾燥固形分量で4g/m以上25g/m以下である。
少なくとも一つの実施態様において、食品包装用紙は、紙支持体の片面あたり、第一塗工層の塗工量が乾燥固形分量で3g/m以上15g/m以下、第二塗工層の塗工量が乾燥固形分量で4g/m以上15g/m以下、及び第三塗工層の塗工量が乾燥固形分量で4g/m以上25g/m以下である。
これらの理由は、本発明の効果が安定して得られつつ、材料コストが抑えられるからである。
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施例に限定されない。ここで「質量部」及び「質量%」は、乾燥固形分量あるいは実質成分量の各々「質量部」及び「質量%」を表す。塗工層の塗工量は乾燥固形分量を表す。
<紙支持体>
以下の紙料を調成した。
LBKP(濾水度350~480mlcsf) 50質量部
NBKP(濾水度350~480mlcsf) 50質量部
硫酸バンド 2質量部
軽質炭酸カルシウム(TP121、奥多摩工業社) 7質量部
ロジン系サイズ剤(CC1404、星光PMC社) 0.3質量部
紙力剤 0.6質量部
上記配合の紙料を長網抄紙機で抄造し、坪量55g/mの原紙を得た。これに、マシンカレンダーを用いて温度60℃・処理速度500m/分の条件でカレンダー処理して紙支持体を得た。紙支持体の灰分量は5質量%であった。
<第一塗工層の塗工液>
水を媒体として以下の塗工液を調製した。
顔料 種類及び質量部は表1及び表2に記載
樹脂 種類及び質量部は表1及び表2に記載
<第二塗工層の塗工液>
水を媒体として以下の塗工液を調製した。
樹脂 種類は表1及び表2に記載/100質量部
<第三塗工層の塗工液>
水を媒体として以下の塗工液を調製した。
樹脂 種類は表1及び表2に記載/100質量部
パラフィンワックス 種類及び質量部は表1及び表2に記載
Figure 2022048970000001
Figure 2022048970000002
表1及び表2に記載する各材料は以下である。
カオリン :2μm以下の累積頻度88体積%のカオリン
炭酸カルシウム :2μm以下の累積頻度87体積%の炭酸カルシウム
スチレン-ブタジエン系1:スチレン-ブタジエン共重合樹脂
(スチレン系単量体含有質量比率63質量%)
スチレン-ブタジエン系2:スチレン-ブタジエン共重合樹脂
(スチレン系単量体含有質量比率70質量%)
スチレン-ブタジエン系3:スチレン-ブタジエン共重合樹脂
(スチレン系単量体含有質量比率88質量%)
スチレン-ブタジエン系4:スチレン-ブタジエン共重合樹脂
(スチレン系単量体含有質量比率96質量%)
アクリル系樹脂1 :ポリアクリル酸n-ブチル樹脂
アクリル系樹脂2 :メタクリル酸メチル-アクリル酸2-エチルヘキシル
共重合樹脂
アクリル系樹脂3 :スチレン-アクリロニトリル-アクリル酸エチル
共重合樹脂
アクリル系樹脂4 :スチレン-アクリル酸エチル共重合樹脂
アクリル系樹脂5 :スチレン-アクリル酸n-ブチル共重合樹脂
PVDC1 :ポリ塩化ビニリデン系重合樹脂
(単量体の配合質量%比)
塩化ビニリデン :80
メタアクリロニトリル :15
アクリル酸エチル :5
PVDC2 :ポリ塩化ビニリデン系重合樹脂
(単量体の配合質量%比)
塩化ビニリデン :85
メタクリロニトリル :10
アクリル酸エチル :5
PVDC3 :ポリ塩化ビニリデン系重合樹脂
(単量体の配合質量%比)
塩化ビニリデン :90
アクリロニトリル :9
アクリル酸エチル :1
PVDC4 :ポリ塩化ビニリデン系重合樹脂
(単量体の配合質量%比)
塩化ビニリデン :95
アクリロニトリル :3
アクリル酸エチル :2
PVDC5 :ポリ塩化ビニリデン系重合樹脂
(単量体の配合質量%比)
塩化ビニリデン :98
メタクリロニトリル :1.5
アクリル酸エチル :0.5
PVDC6 :ポリ塩化ビニリデン系重合樹脂
(単量体の配合質量%比)
塩化ビニリデン :95
メタクリロニトリル :2
アクリル酸エチル :3
PVDC7 :ポリ塩化ビニリデン系重合樹脂
(単量体の配合質量%比)
塩化ビニリデン :94
メタクリロニトリル :5.5
アクリル酸エチル :0.5
PVA :ポリビニルアルコール
(無変性、完全ケン化、平均重合度1700)
エチレン-酢酸ビニル系 :エチレン-酢酸ビニル共重合樹脂
パラフィンワックス1 :融点43℃のパラフィンワックス
パラフィンワックス2 :融点51℃のパラフィンワックス
パラフィンワックス3 :融点70℃のパラフィンワックス
パラフィンワックス4 :融点77℃のパラフィンワックス
<塗工>
紙支持体の片面に対して、第一層塗工層の塗工液をロッドコーターで塗工及び乾燥した。塗工量は、10g/mになるようコーター条件を調整した。
次に、第一塗工層に対して、第二塗工層用の塗工液をエアーナイフコーターで塗工及び乾燥した。塗工量は10g/mになるようにコーター条件を調整した。続いて、第二塗工層に対して、第三塗工層用の塗工液をエアーナイフコーターで塗工及び乾燥した。塗工量は15g/mになるようにコーター条件を調整した。
<耐水性>
耐水性の評価は、食品包装用紙の表面(第一塗工層、第二塗工層及び第三塗工層を有する側)に約2mlの赤く着色した水滴を滴下し、滴下した水が、食品包装用紙の表面で染み込む程度及び食品包装用紙の裏面(第一塗工層、第二塗工層及び第三塗工層を有しない側)に滲み出す程度を目視で観察して行った。観察結果から、耐水性を下記の基準で評価した。本発明において、食品包装用紙は、評価A又はBであれば耐水性を有するものとする。
A:染み込みが無く、及び滲み出しが認められない。
B:染み込みが僅かに認められる。しかし、滲み出しが認められない。
C:染み込みが認められる。また、滲み出しが認められる。
<耐油性>
耐油性の評価は、食品包装用紙の表面(第一塗工層、第二塗工層及び第三塗工層を有する側)に約1mlの油滴を滴下し、滴下した油が、食品包装用紙の表面で染み込む程度及び食品包装用紙の裏面(第一塗工層、第二塗工層及び第三塗工層を有しない側)に滲み出す程度を目視で観察して行った。油にはサラダ油を用いた。観察結果から、耐油性を下記の基準で評価した。本発明において、食品包装用紙は、評価A又はBであれば耐油性を有するものとする。
A:染み込みが無く、及び滲み出しが認められない。
B:染み込みが僅かに認められる。しかし、滲み出しが認められない。
C:染み込みが認められる。また、滲み出しが認められる。
<ガスバリア性>
ガスバリア性の評価は、ISO15105-2:2003「Plastics-Film and sheeting - Determination of gas-transmission rate - Part2 : Equal-pressure method」(JIS K7126-2:2006「プラスチック -フィルム及びシート- ガス透過度試験方法-第2部:等圧法」)に準じて実施した測定結果から行った。測定は、第一塗工層、第二塗工層及び第三塗工層を有する側を外側にして行った。ガス透過度試験のガスには酸素ガスを用いて酸素透過度とし、温湿度の条件は、23±0.5℃及び相対湿度85±2%とした。本発明において、食品包装用紙は、A、B又はCの評価であればガスバリア性を有するものとする。
A:酸素透過度50cc/m・24h・atm以下で、良好。
B:上記Aより劣るものの、
酸素透過度100cc/m・24h・atm以下で、概ね良好。
C:上記Bより劣るものの、
酸素透過度150cc/m・24h・atm以下で、実用可能。
D:上記Cより劣り、
酸素透過度150cc/m・24h・atm超で、実用不可能。
<水蒸気バリア性>
水蒸気バリア性の評価は、JIS Z0208:1976「防湿包装材料の透湿度試験方法(カップ法)」に準じて実施した測定結果から行った。測定は、第一塗工層、第二塗工層及び第三塗工層を有する側を内側にして測定した。水蒸気透過度とし、温湿度の条件は、40±0.5℃,90±2%とした。本発明において、食品包装用紙は、A、B又はCの評価であれば水蒸気バリア性を有するものとする。
A:水蒸気透過度30g/m・24h以下で、良好。
B:上記Aより劣るものの、
水蒸気透過度50g/m・24h以下で、概ね良好。
C:上記Bより劣るものの、
水蒸気透過度100g/m・24h以下で、実用可能。
D:上記Cより劣り、
水蒸気透過度100g/m・24h超で、実用不可能。
<フレーバーバリア性>
香り発生物質として市販のレギュラーコーヒー粉末を使用した。ガラスコップにレギュラーコーヒー粉末を入れ、コップの開口部を食品包装用紙の表面(第一塗工層、第二塗工層及び第三塗工層を有する側)を内側にして食品包装用紙で覆い、開口部の周囲をテープによって厳重に封をした。5人の被験者が、食品包装用紙で封をしたコップの開口部において匂いを嗅ぎ、下記の基準で官能評価した。
3点:匂いを感じない。
2点:匂いを感じるような気がする。
1点:匂いを感じる。
フレーバーバリア性の評価は、5人の官能評価の結果を基にして下記の基準で行った。本発明において、食品包装用紙は、評価A又はBであればフレーバーバリア性を有するものとする。
A:評価3が3人以上かつ評価1が0人である。
B:評価2が3人以上かつ評価1が0人である。
C:評価1が1人以上である。
<ヒートシール適性>
2枚の食品包装用紙を用いて、食品包装用紙の第一塗工層、第二塗工層及び第三塗工層を有する側の面どうしを対向させてヒートシーラーにより圧力0.5MPa、140℃、1秒間の条件によってヒートシールを施して、評価用サンプルを作製した。
ヒートシール適性の評価は、ヒートシールした食品包装用紙を15mm幅で切り出し、23℃、50%RHで24時間静置後、引張り試験機を用い、引張り速度300mm/分、引張り角度180度でヒートシール箇所の剥離強度を測定することによって行った。測定は、サンプル数5部で行い、5部の平均値とした。測定値から、ヒートシール適性を下記の基準で評価した。本発明において、食品包装用紙は、評価A、B又はCであればヒートシール適性を有するものとする。
A:値が、10N/15mm以上。
B:値が、6N/15mm以上10N/15mm未満。
C:値が、3N/15mm以上6N/15mm未満。
D:値が、3N/15mm未満。
<耐ブロッキング性>
食品包装用紙を、第三塗工層を外側にして直径150mmの紙管にロール状(長さ500m)に巻き取った。当該ロールを、直置き及び宙づりの2種類の方法で30℃、80%RHで24時間静置した。耐ブロッキング性の評価は、静置後に巻き取りから食品包装用紙を繰り出す操作(アンワインダー)を実施することによって行った。アンワインダー時、食品包装用紙のブロッキングの状態を目視で観察した。観察結果から、耐ブロッキング性を下記の基準で評価した。本発明において、食品包装用紙は、評価A、B又はCであれば耐ブロッキング性を有するものとする。
A:直置き及び宙づりの2種類の方法でブロッキングが認められない。
B:直置きの方法で極僅かにブロッキングが認められる。
宙づりの方法でブロッキングが認められない。
C:直置きの方法で僅かにブロッキングが認められる。
宙づりの方法でブロッキングが認められない。
D:上記Cより劣り、直置きの方法でブロッキングが認められる。
又は、宙づりの方法でブロッキングが認められる。
<折り加工適性>
食品包装用紙を、第三塗工層を内側にして、MD方向にゴムローラーを用いて一度二つ折りにしてから開いて、次にCD方向にゴムローラーを用いて一度二つ折りにしてから開いた。これを10枚の食品包装用紙で行った。折り加工適性の評価は、第三塗工層側から折り部分に赤色のチェッカー液を吹き付け、反対側からチェッカー液の漏れを目視で観察した。チェッカー液は、富士インパルス社のパーフェクトシールチェッカーを用いた。観察結果から、折り加工適性を下記の基準で評価した。本発明において、食品包装用紙は、評価A、B又はCであれば折り加工適性を有するものとする。
A:漏れが観察された枚数が、0枚である。
B:漏れが観察された枚数が、1~2枚である。
C:漏れが観察された枚数が、3~4枚である。
D:漏れが観察された枚数が、5枚以上である。
評価結果を表3及び表4に示す。
Figure 2022048970000003
Figure 2022048970000004
表3及び表4から、本発明に該当する実施例1~48は、耐水性、耐油性、ガスバリア性、水蒸気バリア性及びフレーバーバリア性を有し、ヒートシール適性及び折り加工適性を備え、並びに耐ブロッキング性を有する食品包装用紙であると分かる。一方、本発明の構成を満足しない比較例1~12は、これら効果の少なくとも一つを満足できない食品包装用紙であると分かる。
主に、実施例1、3及び6~9の間の対比から、第一塗工層がバインダーとしてスチレン-ブタジエン系共重合樹脂から成る群から選ばれる一種又は二種以上を含有し、第一塗工層において前記スチレン-ブタジエン系共重合樹脂の合計含有量が紙支持体の片面あたり第一塗工層中のカオリン100質量部に対して40質量部以上400質量部以下であると、食品包装用紙は、ガスバリア性、フレーバーバリア性及び/又は折り加工適性が良化することが分かる。
主に、実施例25~30の間の対比から、第一塗工層がバインダーとしてアクリル系樹脂から成る群から選ばれる一種又は二種以上を含有し、第一塗工層において前記アクリル系樹脂の合計含有量が紙支持体の片面あたり第一塗工層中のカオリン100質量部に対して40質量部以上400質量部以下であると、食品包装用紙は、ガスバリア性、フレーバーバリア性及び/又は折り加工適性が良化することが分かる。
主に、実施例7及び実施例10~15の間の対比並びに実施例17~23の間の対比から、第二塗工層において、樹脂中の塩化ビニリデン単量体が85質量%以上95質量%以下のポリ塩化ビニリデン系重合樹脂であると、食品包装用紙は、ガスバリア性及び水蒸気バリア性が良化すると分かる。
主に、実施例7と16、実施例18と31、実施例24と32、実施例28と33、実施例39と45、実施例42と46、実施例43と47、及び実施例44と48との対比から、第三塗工層において、アクリル系樹脂がスチレン-アクリル系共重合樹脂であると、食品包装用紙は、折り加工適性及び耐ブロッキング性が良化すると分かる。
主に、実施例7と39、実施例18と42、実施例24と43、実施例28と44、実施例16と45、実施例31と46、実施例32と47、及び実施例33と48との対比から、第三塗工層がパラフィンワックスを含有すると、食品包装用紙は、水蒸気バリア性及び/又は耐ブロッキング性が良化すると分かる。
主に、実施例35~38の間の対比から、第三塗工層のパラフィンワックスが融点50℃以上80℃以下であると、ヒートシール適性を阻害せずに食品包装用紙は、水蒸気バリア性及び耐ブロッキング性を良化すると分かる。
主に、実施例2~5の間の対比から、第一塗工層のスチレン-ブタジエン系共重合樹脂が、共重合樹脂中のスチレン系単量体の含有質量比率70質量%以上90質量%以下であると、食品包装用紙は、ガスバリア性、フレーバーバリア性及び折り加工適性が良化すると分かる。
主に、実施例18と24と28との間、実施例31~33の間、実施例42~44の間、及び実施例46~48の間の対比から、第一塗工層のアクリル系樹脂が、アクリル酸系単量体とスチレンとが共重合したスチレン-アクリル系共重合樹脂又はアクリル酸系単量体とスチレンと(メタ)アクリロニトリルとが共重合したスチレン-(メタ)アクリロニトリル-アクリル系共重合樹脂であると、食品包装用紙は、ガスバリア性及びフレーバーバリア性が良化すると分かる。
前述した本発明の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
<1>
紙支持体と、前記紙支持体の片面に第一塗工層と、紙支持体を基準として前記第一塗工層の外側に第二塗工層と、及び紙支持体を基準として前記第二塗工層の外側に第三塗工層とを有し、前記第一塗工層がカオリン、並びにバインダーとしてスチレン-ブタジエン系共重合樹脂及びアクリル系樹脂から成る群から選ばれる一種又は二種以上を含有し、前記第二塗工層が、樹脂の構成単位として塩化ビニリデン単量体を主成分として有するポリ塩化ビニリデン系重合樹脂を含有し、並びに前記第三塗工層がアクリル系樹脂を含有する食品包装用紙。
前記食品包装用紙は、耐水性、耐油性、ガスバリア性、水蒸気バリア性及びフレーバーバリア性を有し、ヒートシール適性及び折り加工適性を備え、並びに耐ブロッキング性を有する。
<2>
上記第一塗工層が、バインダーとしてスチレン-ブタジエン系共重合樹脂から成る群から選ばれる一種若しくは二種以上、又はアクリル系樹脂から成る群から選ばれる一種若しくは二種以上を含有する上記<1>に記載の食品包装用紙。
<3>
上記第一塗工層が、バインダーとしてスチレン-ブタジエン系共重合樹脂から成る群から選ばれる一種又は二種以上を含有し、第一塗工層において前記スチレン-ブタジエン系共重合樹脂の合計含有量が、紙支持体の片面あたり第一塗工層中のカオリン100質量部に対して40質量部以上400質量部以下である上記<2>に記載の食品包装用紙。
これらにより、食品包装用紙は、ガスバリア性、フレーバーバリア性及び/又は折り加工適性が良化する。
<4>
上記第一塗工層が、バインダーとしてアクリル系樹脂から成る群から選ばれる一種又は二種以上を含有し、第一塗工層において前記アクリル系樹脂の合計含有量が、紙支持体の片面あたり第一塗工層中のカオリン100質量部に対して40質量部以上400質量部以下である上記<2>に記載の食品包装用紙。
これらにより、食品包装用紙は、ガスバリア性、フレーバーバリア性及び/又は折り加工適性が良化する。
<5>
上記ポリ塩化ビニリデン系重合樹脂は、樹脂中の塩化ビニリデン単量体が85質量%以上95質量%以下である上記<1>~<4>のにいずれかに記載の食品包装用紙。
これにより、食品包装用紙は、ガスバリア性及び水蒸気バリア性が良化する。
<6>
第三塗工層が含有する前記アクリル系樹脂が、スチレン-アクリル系共重合樹脂である上記<1>~<5>のいずれかに記載の食品包装用紙。
これにより、食品包装用紙は、折り加工適性及び耐ブロッキング性が良化する。
<7>
上記第三塗工層が、パラフィンワックスを更に含有する上記<1>~<6>のいずれかに記載の食品包装用紙。
これにより、食品包装用紙は、水蒸気バリア性及び/又は耐ブロッキング性が良化する。
<8>
上記第三塗工層の上記パラフィンワックスが、融点50℃以上80℃以下である上記<7>に記載の食品包装用紙。
これにより、食品包装用紙は、ヒートシール性を悪化せずに水蒸気バリア性及び耐ブロッキング性を良化する。
<9>
上記第一塗工層の上記スチレン-ブタジエン系共重合樹脂が、共重合樹脂中のスチレン系単量体の含有質量比率が70質量%以上90質量%以下である上記<3>に記載の食品包装用紙。
これにより、食品包装用紙は、ガスバリア性、フレーバーバリア性及び折り加工適性が良化する。
<10>
上記第一塗工層の上記アクリル系樹脂が、スチレン-アクリル系共重合樹脂又はスチレン-(メタ)アクリロニトリル-アクリル系共重合樹脂である上記<4>に記載の食品包装用紙。
これにより、食品包装用紙は、ガスバリア性及びフレーバーバリア性が良化する。
<11>
上記第二塗工層の上記ポリ塩化ビニリデン系重合樹脂は、樹脂中、塩化ビニリデン単量体が85質量%以上95質量%以下、(メタ)アクリロニトリルから成る群から選ばれる単量体が2質量%以上10質量%以下、並びに(メタ)アクリル酸メチル及び(メタ)アクリル酸エチルから成る群から選ばれる単量体が0.5質量%以上5質量%以下である上記<3>に記載の食品包装用紙。
これにより、食品包装用紙は、ガスバリア性及び水蒸気バリア性が良化する。
<12>
上記第二塗工層の上記ポリ塩化ビニリデン系重合樹脂は、樹脂中、塩化ビニリデン単量体が85質量%以上95質量%以下、(メタ)アクリロニトリルから成る群から選ばれる単量体が2質量%以上10質量%以下、並びに(メタ)アクリル酸メチル及び(メタ)アクリル酸エチルから成る群から選ばれる単量体が0.5質量%以上5質量%以下である上記<4>に記載の食品包装用紙。
これにより、食品包装用紙は、ガスバリア性及び水蒸気バリア性が良化する。
<13>
上記第三塗工層の上記アクリル系樹脂が、樹脂中、アクリル酸系単量体として(メタ)アクリル酸アルキルエステルを50質量%超で含有しつつ、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとスチレンとが共重合したスチレン-アクリル系共重合樹脂である上記<3>に記載の食品包装用紙。
これらにより、食品包装用紙は、耐水性、耐油性、折り加工適性及び耐ブロッキング性が良化する。
<14>
上記第三塗工層の上記アクリル系樹脂が、樹脂中、アクリル酸系単量体として(メタ)アクリル酸アルキルエステルを50質量%超で含有しつつ、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとスチレンとが共重合したスチレン-アクリル系共重合樹脂である上記<4>に記載の食品包装用紙。
これらにより、食品包装用紙は、耐水性、耐油性、折り加工適性及び耐ブロッキング性が良化する。
<15>
上記第一塗工層の上記スチレン-ブタジエン系共重合樹脂が共重合樹脂中のスチレン系単量体の含有質量比率が70質量%以上90質量%以下であり、上記第一塗工層の上記アクリル系樹脂がスチレン-アクリル系共重合樹脂又はスチレン-(メタ)アクリロニトリル-アクリル系共重合樹脂であり、上記第二塗工層の上記ポリ塩化ビニリデン系重合樹脂が、樹脂中、塩化ビニリデン単量体85質量%以上95質量%以下、(メタ)アクリロニトリルから成る群から選ばれる単量体2質量%以上10質量%以下並びに(メタ)アクリル酸メチル及び(メタ)アクリル酸エチルから成る群から選ばれる単量体0.5質量%以上5質量%以下であり、並びに上記第三塗工層のアクリル系樹脂がスチレン-アクリル系共重合樹脂である、上記<1>に記載の食品包装用紙。
これらにより、食品包装用紙は、ガスバリア性、水蒸気バリア性、フレーバーバリア性、折り加工適性及び耐ブロッキング性が良化する。
<16>
上記第三塗工層が、パラフィンワックスを更に含有する上記<15>に記載の食品包装用紙。
これにより、食品包装用紙は、水蒸気バリア性及び/又は耐ブロッキング性が良化する。
<17>
上記第三塗工層の上記パラフィンワックスが、融点50℃以上80℃以下である上記<16>に記載の食品包装用紙。
これにより、食品包装用紙は、ヒートシール性を悪化せずに水蒸気バリア性及び耐ブロッキング性を良化する。

Claims (10)

  1. 紙支持体と、前記紙支持体の片面に第一塗工層と、紙支持体を基準として前記第一塗工層の外側に第二塗工層と、及び紙支持体を基準として前記第二塗工層の外側に第三塗工層とを有し、前記第一塗工層がカオリン、並びにバインダーとしてスチレン-ブタジエン系共重合樹脂及びアクリル系樹脂から成る群から選ばれる一種又は二種以上を含有し、前記第二塗工層が、樹脂の構成単位として塩化ビニリデン単量体を主成分として有するポリ塩化ビニリデン系重合樹脂を含有し、並びに前記第三塗工層がアクリル系樹脂を含有する食品包装用紙。
  2. 前記第一塗工層が、バインダーとしてスチレン-ブタジエン系共重合樹脂から成る群から選ばれる一種若しくは二種以上、又はアクリル系樹脂から成る群から選ばれる一種若しくは二種以上を含有する請求項1に記載の食品包装用紙。
  3. 前記第一塗工層が、バインダーとしてスチレン-ブタジエン系共重合樹脂から成る群から選ばれる一種又は二種以上を含有し、第一塗工層において前記スチレン-ブタジエン系共重合樹脂の合計含有量が、紙支持体の片面あたり第一塗工層中のカオリン100質量部に対して40質量部以上400質量部以下である請求項2に記載の食品包装用紙。
  4. 前記第一塗工層が、バインダーとしてアクリル系樹脂から成る群から選ばれる一種又は二種以上を含有し、第一塗工層において前記アクリル系樹脂の合計含有量が、紙支持体の片面あたり第一塗工層中のカオリン100質量部に対して40質量部以上400質量部以下である請求項2に記載の食品包装用紙。
  5. 前記ポリ塩化ビニリデン系重合樹脂は、樹脂中の塩化ビニリデン単量体が85質量%以上95質量%以下である請求項1~4のいずれかに記載の食品包装用紙。
  6. 第三塗工層が含有する前記アクリル系樹脂が、スチレン-アクリル系共重合樹脂である請求項1~5のいずれかに記載の食品包装用紙。
  7. 前記第三塗工層が、パラフィンワックスを更に含有する請求項1~6のいずれかに記載の食品包装用紙。
  8. 前記第三塗工層の前記パラフィンワックスが、融点50℃以上80℃以下である請求項7に記載の食品包装用紙。
  9. 前記第一塗工層の前記スチレン-ブタジエン系共重合樹脂が、共重合樹脂中のスチレン系単量体の含有質量比率が70質量%以上90質量%以下である請求項3に記載の食品包装用紙。
  10. 前記第一塗工層の前記アクリル系樹脂が、スチレン-アクリル系共重合樹脂又はスチレン-(メタ)アクリロニトリル-アクリル系共重合樹脂である請求項4に記載の食品包装用紙。
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