JP2022048048A - 表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】抗菌性能を有しつつ、乗員の衝突時の衝撃を緩和することができる。【解決手段】本発明に係る表示装置は、少なくとも1つの表示パネルと、前記表示パネルを覆うように配置されるカバー部材と、を備え、前記カバー部材は、第1面及び第2面を有するガラス板と、前記ガラス板の第1面に積層される抗菌膜と、を備え、前記ガラス板の第2面が、前記表示パネルを向くように配置され、前記抗菌膜は、前記第1面に形成され、前記ガラス板よりも熱膨張率が大きい、保持層と、前記保持層に保持される抗菌性微粒子と、を備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、表示装置、及びこれに用いられるカバー部材に関する。
特許文献1には、車載用の表示装置が開示されている。この表示装置では、表示パネルの表面にカバー部材が固定されており、これによって表示パネルを保護している。また、このカバー部材は、自動車特有の落球試験をクリアするため強化が施されている。その一方で、例えば、上記表示装置が設けられている自動車において衝突事故が起こった際には、乗員がカバー部材にぶつかるため、そのときの衝撃を緩和するために、カバー部材がある程度割れやすくする必要がある。
特開2020-15638号公報
ところで、近年は衛生上の観点から、上記のようなカバー部材に抗菌性能を持たせることが要求されているため、抗菌膜をカバー部材に積層することが提案されている。しかしながら、抗菌膜をカバー部材に積層すると、衝突時のカバー部材の割れに影響を及ぼす可能性がある。本発明は、この問題を解決するためになされたものであり、抗菌性能を有しつつ、乗員の衝突時の衝撃を緩和することができる、表示装置及びこれを備えたカバー部材を提供することを目的とする。
項1.少なくとも1つの表示パネルと、
前記表示パネルを覆うように配置されるカバー部材と、
を備え、
前記カバー部材は、
第1面及び第2面を有するガラス板と、
前記ガラス板の第1面に積層される抗菌膜と、
を備え、
前記ガラス板の第2面が、前記表示パネルを向くように配置され、
前記抗菌膜は、
前記第1面に形成され、前記ガラス板よりも熱膨張率が大きい、保持層と、
前記保持層に保持される抗菌性微粒子と、を備えている、表示装置。
項2.前記ガラス板の熱膨張率と前記保持層の熱膨張率との差が、1.5×10-6/℃以下である、項1に記載の表示装置。
項3.前記保持層の厚みは、10~500nmである、項1または2に記載の表示装置。
項4.前記抗菌性微粒子は銅により形成されている、項1から3のいずれかに記載の表示装置。
項5.前記抗菌性微粒子の平均粒径は、前記保持層の膜厚以上である、項1から4のいずれかに記載の、表示装置。
項6.前記ガラス板の少なくとも一部が平坦以外の形状に成形されている、項1から5のいずれかに記載の表示装置。
項7.前記保持層が複数の領域を有し、
前記複数の領域において、前記抗菌性微粒子の含有量が相違している、項1から6のいずれかに記載の表示装置。
項8.表示パネルを有する表示装置において、前記表示パネルを覆うように配置される、カバー部材であって、
第1面及び第2面を有するガラス板と、
前記ガラス板の第1面に積層される抗菌膜と、
を備え、
前記ガラス板の第2面が、前記表示パネルを向くように配置され、
前記抗菌膜は、
前記第1面に形成され、前記ガラス板よりも熱膨張率が大きい、保持層と、
前記保持層に保持される抗菌性微粒子と、を備えている、カバー部材。
本発明によれば、抗菌性能を有しつつ、乗員の衝突時の衝撃を緩和することができる。
本発明に係る表示装置の一実施形態を示す平面図である。 図1の平面図である。 カバー部材の拡大断面図である。 カバー部材に対する乗員の衝突時の挙動を示す模式図である。 実施例に係る抗菌膜の表面性状を示す写真である。 実施例に係る抗菌膜の抗菌性微粒子の拡大写真である。
以下、本発明に係る表示装置を車載用の表示装置に適用した一実施形態について、図面を参照しつつ説明する。図1は表示装置の断面図、図2は図1の平面図である。
<1.表示装置の概要>
図1に示すように、本実施形態に係る表示装置は、自動車のダッシュボードに取付けられるものであり、開口を有する筐体4と、この筐体4に収容される表示パネル501、502及びバックライトユニット61,62と、筐体4の開口を塞ぐカバー部材10と、を備えている。また、各表示パネル501,502は、粘着層31,32によってカバー部材10に固定されている。以下、各部材について、詳細に説明する。
<2.筐体>
筐体4は、矩形状の底壁部41と、この底壁部41の周縁から立ち上がる側壁部42と、を有し、底壁部41と側壁部42とで囲まれる内部空間に上述した表示パネル501,502及びバックライトユニット601,602が収容されている。そして、側壁部42の上端部によって形成される開口を塞ぐように、上述したカバー部材10が取付けられている。但し、図1に示すように、カバー部材10は、平面形状ではなく、右側の部位が突出しているため、筐体4もこのカバー部材10の形状に合わせて側壁部42の右側が外部に突出した形状となっている。また、筐体4を構成する材料は、特には限定されないが、例えば、樹脂材料、金属などで形成することができる。
<3.カバー部材>
図1に示すように、カバー部材10は、第1面及び第2面を有するガラス板1と、このガラス板1の第1面に積層される抗菌膜2と、ガラス板1の第2面に積層される遮光層9と、を備えている。このカバー部材10は、遮蔽層9が積層されたガラス板1の第2面が表示パネル501,502側を向くように配置され、抗菌膜2が外部(運転者側)を向くように配置される。以下、詳細に説明する。
<3-1.ガラス板>
図1及び図2に示すように、ガラス板1は、平坦な第1部位101及び第2部位102と、これら第1部位101及び第2部位102を連結する第3部位103と、を備え、これらが一体的に形成されている。図1に示すように、第1部位101は左側の領域であり、第2部位102は右側の領域である。そして、第2部位102は車内側に突出している。したがって、第3部位103は前後方向に延び、第1部位101及び第2部位102の間で両者を連結している。
ガラス板1は、例えば、汎用のソーダライムガラス、ホウケイ酸ガラス、アルミノシリケートガラス、無アルカリガラス等その他のガラスにより形成することができる。また、ガラス板1は、フロート法により成形することができる。この製法によると平滑な表面を有するガラス板1を得ることができる。但し、ガラス板10は、主面に凹凸を有していてもよく、例えば型板ガラスであってもよい。型板ガラスは、ロールアウト法と呼ばれる製法により成形することができる。この製法による型板ガラスは、通常、ガラス板の主面に沿った一方向について周期的な凹凸を有する。
フロート法は、溶融スズなどの溶融金属の上に溶融ガラスを連続的に供給し、供給した溶融ガラスを溶融金属の上で流動させることにより帯板状に成形する。このように成形されたガラスをガラスリボンと称する。
ガラスリボンは、下流側に向かうにつれて冷却され、冷却固化された上で溶融金属からローラにより引き上げられる。そして、ローラによって徐冷炉へと搬送され、徐冷された後、切断される。こうして、フロートガラス板が得られる。ここで、フロートガラス板において、溶融金属と接触していた面をボトム面と称し、それとは反対の面をトップ面と称することとする。ボトム面及びトップ面は、未研磨であってよい。なお、ボトム面は、溶融金属と接していたため、溶融金属がスズである場合には、ボトム面に含有される酸化スズの濃度が、トップ面に含有される酸化スズの濃度よりも大きくなる。そして、本実施形態においては、ガラス板1の第1面がボトム面であり、第2面がトップ面となる。
また、ボトム面、つまり第2面は、溶融金属から引き上げられた後、ローラによって搬送されるため、ローラによって、いわゆるマイクロクラックと呼ばれる傷が生じることが知られている。したがって、一般的に、フロートガラス板のボトム面にはトップ面よりも傷が多く生じる。
そして、このガラス板1のボトム面には、エッチングが施されており、これによって、酸化スズの濃度が高い層を除去している。酸化スズは屈折率が大きいため、これを除去することで、透過率を向上することができる。さらに、エッチングによって、ボトム面には、所定の表面粗さを有する微少な凹凸が形成されている。ボトム面の表面粗さRaは、例えば、10~500nmであることが好ましく、40~200nmであることがさらに好ましい、50~150nmであることが特に好ましい。なお、Raは、JIS B0601:2001により定められた粗さ曲線の算術平均粗さである。この点は、後述する抗菌膜2の保持層21においても同じである。
その他、ガラス板に所定の表面粗さを形成する方法としては、例えば、フロスト処理、サンドブラスト処理、ウェットブラスト処理等の表面処理を挙げることができる。フロスト処理は、例えば、フッ化水素とフッ化アンモニウムの混合溶液に、ガラス板を浸漬し、浸漬面を化学的に表面処理することにより、ガラス板の表面に凹凸を形成する処理である。サンドブラスト処理は、例えば、結晶質二酸化ケイ素粉、炭化ケイ素粉等を加圧空気でガラス板の表面に吹きつけることにより、ガラス板の表面に凹凸を形成する処理である。また、このようにして凹凸を作成した後に、表面形状を整えるために、ガラス板の表面を化学的にエッチングすることが一般的に行われている。こうすることで、サンドブラスト処理等で生じたクラックを除去できる。エッチングとしては、フッ化水素を主成分とする溶液に、被処理体であるガラス板を浸漬する方法が好ましく用いられる。
ウェットブラスト処理は、アルミナなどの個体粒子にて構成される砥粒と、水などの液体とを均一に攪拌してスラリーとしたものを、圧縮エアーを用いて噴射ノズルからガラス板の表面に高速で噴射することにより、ガラス板の表面に凹凸を形成する処理である。
ガラス板1の厚さは、特に制限されないが、軽量化のためには薄いほうがよい。例えば、0.3~3mmであることが好ましく、0.6~2.5mmであることがさらに好ましい。これは、ガラス板10が薄すぎると、強度が低下するからであり、厚すぎると、カバー部材10を介して視認される被保護部材100に歪みが生じるおそれがある。
ガラス板1は、1枚のガラス板を上記のような形状に一体的に成形したものであってもよいし、複数のガラス板を組み合わせて、上記のような形状にすることもできる。
ガラス板1の組成は特には限定されないが、例えば、次のような組成のガラス板を用いることもできる。以下では、ガラス板1の成分を示す%表示は特に断らない限り、すべてmol%を意味する。また、本明細書において、「実質的に構成される」とは、列挙された成分の含有率の合計が99.5質量%以上、好ましくは99.9質量%以上、より好ましくは99.95質量%以上を占めることを意味する。「実質的に含有しない」とは、当該成分の含有質が0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下であることを意味する。
本発明者は、フロート法によるガラス板の製造に適したガラス組成として広く用いられているフロート板ガラスの組成(以下、「狭義のSL」、または単に「SL」と呼ぶことがある)を元に、当業者がフロート法に適したソーダライムシリケートガラス(以下、「広義のSL」と呼ぶことがある)と見做している組成範囲、具体的には、以下のような質量%の範囲内で、T2、T4等の特性をできるだけ狭義のSLに近似させながら、狭義のSLの化学強化特性を向上させることのできる組成物を検討した。
SiO2 65~80%
Al23 0~16%
MgO 0~20%
CaO 0~20%
Na2O 10~20%
2O 0~5%
以下、ガラス板1のガラス組成を構成する各成分について説明する。
(SiO2
SiO2は、ガラス板1を構成する主要成分であり、その含有率が低すぎるとガラスの耐水性などの化学的耐久性および耐熱性が低下する。他方、SiO2の含有率が高すぎると、高温でのガラス板1の粘性が高くなり、溶解および成形が困難になる。したがって、SiO2の含有率は、66~72mol%の範囲が適切であり、67~70mol%が好ましい。
(Al23
Al23はガラス板1の耐水性などの化学的耐久性を向上させ、さらにガラス中のアルカリ金属イオンの移動を容易にすることにより化学強化後の表面圧縮応力を高め、かつ、応力層深さを深くするための成分である。他方、Al23の含有率が高すぎると、ガラス融液の粘度を増加させ、T2、T4を増加させると共にガラス融液の清澄性が悪化し高品質なガラス板を製造することが難しくなる。
したがって、Al23の含有率は、1~12mol%の範囲が適切である。Al23の含有率は10mol%以下が好ましく、2mol%以上が好ましい。
(MgO)
MgOはガラスの溶解性を向上させる必須の成分である。この効果を得る観点から、このガラス板1ではMgOが添加されていることが好ましい。また、MgOの含有率が8mol%を下回ると、化学強化後の表面圧縮応力が低下し、応力層深さが浅くなる傾向にある。一方、適量を越えて含有率を増やすと、化学強化により得られる強化性能が低下し、特に表面圧縮応力層の深さが急激に浅くなる。この悪影響は、アルカリ土類金属酸化物の中でMgOが最も少ないが、このガラス板1においては、MgOの含有率は15mol%以下である。また、MgOの含有率が高いと、T2、T4を増加させると共にガラス融液の清澄性が悪化し高品質なガラス板を製造することが難しくなる。
したがって、このガラス板1においては、MgOの含有率は1~15mol%の範囲であり、8mol%以上、12mol%以下が好ましい。
(CaO)
CaOは、高温での粘性を低下させる効果を有するが、適度な範囲を超えて含有率が高すぎると、ガラス板1が失透しやすくなるとともに、ガラス板1におけるナトリウムイオンの移動が阻害されてしまう。CaOを含有しない場合に化学強化後の表面圧縮応力が低下する傾向にある。一方、8mol%を超えてCaOを含有すると、化学強化後の表面圧縮応力が顕著に低下し、圧縮応力層深さが顕著に浅くなるとともに、ガラス板1が失透しやすくなる。
したがって、CaOの含有率は1~8mol%の範囲が適切である。CaOの含有率は、7mol%以下が好ましく、3mol%以上が好ましい。
(SrO、BaO)
SrO、BaOは、ガラス板1の粘性を大きく低下させ、少量の含有では液相温度TLを低下させる効果がCaOより顕著である。しかし、SrO、BaOは、ごく少量の添加であっても、ガラス板1におけるナトリウムイオンの移動を顕著に妨げ、表面圧縮応力を大きく低下させ、かつ、圧縮応力層の深さがかなり浅くなる。
したがって、このガラス板1においては、SrO、BaOを実質的に含有しないことが好ましい。
(Na2O)
Na2Oは、ナトリウムイオンがカリウムイオンと置換されることにより、表面圧縮応力を大きくし、表面圧縮応力層の深さを深くするための成分である。しかし、適量を超えて含有率を増やすと、化学強化処理でのイオン交換による表面圧縮応力の発生を、化学強化処理中の応力緩和が上回るようになり、結果として表面圧縮応力が低下する傾向にある。
また、Na2Oは溶解性を向上させ、T4、T2を低下させるための成分である一方、Na2Oの含有率が高すぎると、ガラスの耐水性が著しく低下する。ガラス板1においては、Na2Oの含有率が10mol%以上であればT4、T2を低下させる効果が充分に得られ、16mol%を超えると応力緩和による表面圧縮応力の低下が顕著になる。
したがって、本実施形態のガラス板1におけるNa2Oの含有率は、10~16mol%の範囲が適切である。Na2Oの含有率は、12mol%以上が好ましく、15mol%以下がより好ましい。
(K2O)
2Oは、Na2Oと同様、ガラスの溶解性を向上させる成分である。また、K2Oの含有率が低い範囲では、化学強化におけるイオン交換速度が増加し、表面圧縮応力層の深さが深くなる一方で、ガラス板1の液相温度TLを低下させる。したがってK2Oは低い含有率で含有させることが好ましい。
一方、K2Oは、Na2Oと比較して、T4、T2を低下させる効果が小さいが、K2Oの多量の含有はガラス融液の清澄を阻害する。また、K2Oの含有率が高くなるほど化学強化後の表面圧縮応力が低下する。したがって、K2Oの含有率は0~1mol%の範囲が適切である。
(Li2O)
Li2Oは、少量含有されるだけであっても圧縮応力層の深さを著しく低下させる。また、Li2Oを含むガラス板を硝酸カリウム単独の溶融塩で化学強化処理する場合、Li2Oを含まないガラス板の場合と比較して、その溶融塩が劣化する速度が著しく速い。具体的には、同じ溶融塩で繰り返し化学強化処理を行なう場合に、より少ない回数でガラス表面に形成される表面圧縮応力が低下する。したがって、本実施形態のガラス板1においては、1mol%以下のLi2Oを含有してもよいが、実質的にLi2Oを含有しない方が好ましい。
(B23
23は、ガラス板1の粘性を下げ、溶解性を改善する成分である。しかし、B23の含有率が高すぎると、ガラス板1が分相しやすくなり、ガラス板1の耐水性が低下する。また、B23とアルカリ金属酸化物とが形成する化合物が揮発してガラス溶解室の耐火物を損傷するおそれが生じる。さらに、B23の含有は化学強化における圧縮応力層の深さを浅くしてしまう。したがって、B23の含有率は0.5mol%以下が適切である。本発明では、B23を実質的に含有しないガラス板1であることがより好ましい。
(Fe23
通常Feは、Fe2+又はFe3+の状態でガラス中に存在し、着色剤として作用する。Fe3+はガラスの紫外線吸収性能を高める成分であり、Fe2+は熱線吸収性能を高める成分である。ガラス板1をディスプレイのカバーガラスとして用いる場合、着色が目立たないことが求められるため、Feの含有率は少ない方が好ましい。しかし、Feは工業原料により不可避的に混入することが多い。したがって、Fe23に換算した酸化鉄の含有率は、ガラス板1全体を100質量%として示して0.15質量%以下とすることがよく、0.1質量%以下であることがより好ましく、更に好ましくは0.02質量%以下である。
(TiO2
TiO2は、ガラス板1の粘性を下げると同時に、化学強化による表面圧縮応力を高める成分であるが、ガラス板1に黄色の着色を与えることがある。したがって、TiO2の含有率は0~0.2質量%が適切である。また、通常用いられる工業原料により不可避的に混入し、ガラス板1において0.05質量%程度含有されることがある。この程度の含有率であれば、ガラスに着色を与えることはないので、本実施形態のガラス板1に含まれてもよい。
(ZrO2
ZrO2は、とくにフロート法でガラス板を製造する際に、ガラスの溶融窯を構成する耐火レンガからガラス板1に混入することがあり、その含有率は0.01質量%程度であることが知られている。一方、ZrO2はガラスの耐水性を向上させ、また、化学強化による表面圧縮応力を高める成分である。しかし、ZrO2の高い含有率は、作業温度T4の上昇や液相温度TLの急激な上昇を引き起こすことがあり、またフロート法によるガラス板の製造においては、析出したZrを含む結晶が製造されたガラス中に異物として残留しやすい。したがって、ZrO2の含有率は0~0.1質量%が適切である。
(SO3
フロート法においては、ボウ硝(Na2SO4)など硫酸塩が清澄剤として汎用される。硫酸塩は溶融ガラス中で分解してガス成分を生じ、これによりガラス融液の脱泡が促進されるが、ガス成分の一部はSO3としてガラス板1中に溶解し残留する。本発明のガラス板1においては、SO3は0~0.3質量%であることが好ましい。
(CeO2
CeO2は清澄剤として使用される。CeO2により溶融ガラス中でO2ガスが生じるので、CeO2は脱泡に寄与する。一方、CeO2が多すぎると、ガラスが黄色に着色してしまう。そのため、CeO2の含有量は、0~0.5質量%が好ましく、0~0.3質量%がより好ましく、0~0.1質量%がさらに好ましい。
(SnO2
フロート法により成形されたガラス板において、成型時にスズ浴に触れた面はスズ浴からスズが拡散し、そのスズがSnO2として存在することが知られている。また、ガラス原料に混合させたSnO2は、脱泡に寄与する。本発明のガラス板1においては、SnO2は0~0.3質量%であることが好ましい。
(その他の成分)
本実施形態によるガラス板1は、上記に列挙した各成分から実質的に構成されていることが好ましい。ただし、本実施形態によるガラス板1は、上記に列記した成分以外の成分を、好ましくは各成分の含有率が0.1質量%未満となる範囲で含有していてもよい。
含有が許容される成分としては、上述のSO3とSnO2以外に溶融ガラスの脱泡を目的として添加される、As25、Sb25、Cl、Fを例示できる。ただし、As25、Sb25、Cl、Fは、環境に対する悪影響が大きいなどの理由から添加しないことが好ましい。また、含有が許容されるまた別の例は、ZnO、P25、GeO2、Ga23、Y23、La23である。工業的に使用される原料に由来する上記以外の成分であっても0.1質量%を超えない範囲であれば許容される。これらの成分は、必要に応じて適宜添加したり、不可避的に混入したりするものであるから、本実施形態のガラス板1は、これらの成分を実質的に含有しないものであっても構わない。
(密度(比重):d)
上記組成より、本実施形態では、ガラス板1の密度を2.53g・cm-3以下、さらには2.51g・cm-3以下、場合によっては2.50g・cm-3以下にまで減少させることができる。
フロート法などでは、ガラス品種間の密度の相違が大きいと、製造するガラス品種を切り換える際に溶融窯の底部に密度が高い方の溶融ガラスが滞留し、品種の切り換えに支障が生じる場合がある。現在、フロート法で量産されているソーダライムガラスの密度は約2.50g・cm-3である。したがって、フロート法による量産を考慮すると、ガラス板1の密度は、上記の値に近いこと、具体的には、2.45~2.55g・cm-3、特に2.47~2.53g・cm-3が好ましく、2.47~2.50g・cm-3がさらに好ましい。
(弾性率:E)
イオン交換を伴う化学強化を行うと、ガラス基板に反りが生じることがある。この反りを抑制するためには、ガラス板1の弾性率は高いことが好ましい。本発明によれば、ガラス板1の弾性率(ヤング率:E)を70GPa以上、さらには72GPa以上にまで増加させることができる。
以下、ガラス板1の化学強化について説明する。
(化学強化の条件と圧縮応力層)
ナトリウムを含むガラス板1を、ナトリウムイオンよりもイオン半径の大きい一価の陽イオン、好ましくはカリウムイオン、を含む溶融塩に接触させ、ガラス板1中のナトリウムイオンを上記の一価の陽イオンによって置換するイオン交換処理を行うことにより、本発明によるガラス板1の化学強化を実施することができる。これによって、表面に圧縮応力が付与された圧縮応力層が形成される。
溶融塩としては、典型的には硝酸カリウムを挙げることができる。硝酸カリウムと硝酸ナトリウムとの混合溶融塩を用いることもできるが、混合溶融塩は濃度管理が難しいため、硝酸カリウム単独の溶融塩が好ましい。
強化ガラス板における表面圧縮応力と圧縮応力層深さとは、このガラス板のガラス組成だけではなく、イオン交換処理における溶融塩の温度と処理時間によって制御することができる。
以上のガラス板1は、硝酸カリウム溶融塩と接触させることによって、表面圧縮応力が非常に高く、かつ、圧縮応力層の深さが非常に深い強化ガラス板を得ることができる。具体的には、表面圧縮応力が700MPa以上かつ圧縮応力層の深さが20μm以上である強化ガラス板を得ることができ、さらに圧縮応力層の深さが20μm以上かつ表面圧縮応力が750MPa以上である強化ガラス板を得ることもできる。
<3-2.抗菌膜>
次に、抗菌膜20について、図3を参照しつつ説明する。図3は抗菌膜の概略を示す拡大断面図である。図3に示すように、抗菌膜2は、ガラス板1の第1面全体に積層される保持層21と、この保持層21によって保持される抗菌性微粒子22と、を備えている。以下、これらについて説明する。
<3-2-1.保持層>
保持層21は、ガラス板1の第1面に積層されているため、保持層21の表面にも、第1面の凹凸に沿うように凹凸が形成される。保持層21の表面粗さRaは、ガラス板1の第1面の表面粗さよりは小さくなるため、例えば、120nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。一方、保持層21の表面粗さRaは、例えば、20nm以上であることが好ましく、40nm以上であることがさらに好ましい。このように、保持層21の表面粗さRaが、20nm以上で、且つ120nmより小さければ、防眩機能が発揮される。また、保持層の表面のRsmは、0μmを超え35μm以下、さら1μm~30μm、好ましくは2μm~20μmである。Rsmは、JIS B0601:2001により定められた粗さ曲線要素の平均長さである。大きすぎないRsmは、いわゆるスパークルの抑制に好適である。
保持層21の最大厚みDは、例えば、10~500nmであることが好ましく、20~200nmであることがさらに好ましく、30~80nmであることが特に好ましい。最大厚みDが厚すぎると、後述する抗菌性微粒子22が保持層21に埋没してしまうおそれがあり、抗菌機能が抑制される可能性がある。また、ガラス板1からの保持層21の剥離や膜割れのおそれがある。一方、最大厚みDが薄すぎると、抗菌性微粒子22を保持できず、保持層21から抗菌性微粒子が離脱するおそれがあるため、好ましくない。ここで、最大厚みDとは、図2に示すように、ガラス板1の第1面の最も深い凹部から、保持層21の最も高い凸部までの厚みを意味する。
保持層21は、抗菌性微粒子を保持するバインダとしての役割を果たす。保持層2は、Siの酸化物である酸化シリコンを含み、酸化シリコンを主成分とすることが好ましい。酸化シリコンを主成分とする保持層21は、膜の屈折率を低下させ、膜の反射率を抑制することに適している。保持層21は、酸化シリコン以外の成分を含んでいてもよく、酸化シリコンを部分的に含む成分を含んでいてもよい。
酸化シリコンを部分的に含む成分は、例えば、ケイ素原子及び酸素原子により構成された部分を含み、この部分のケイ素原子又は酸素原子に、両原子以外の原子、官能基その他が結合した成分である。ケイ素原子及び酸素原子以外の原子としては、例えば、窒素原子、炭素原子、水素原子、次段落に記述する金属元素を例示できる。官能基としては、例えば次段落にRとして記述する有機基を例示できる。このような成分は、ケイ素原子及び酸素原子のみから構成されていない点で、厳密には酸化シリコンではない。しかし、保持層21の特性を記述する上では、ケイ素原子及び酸素原子により構成されている酸化シリコン部分も「酸化シリコン」として取り扱うことが適当であり、当該分野の慣用にも一致する。本明細書では、酸化シリコン部分も酸化シリコンとして取り扱うこととする。以上の説明からも明らかなとおり、酸化シリコンにおけるシリコン原子と酸素原子との原子比は化学量論的(1:2)でなくてもよい。
保持層21は、酸化シリコン以外の金属酸化物、具体的にはケイ素以外を含む金属酸化物成分又は金属酸化物部分を含み得る。保持層21が含み得る金属酸化物は、特に制限されないが、例えば、Al、Ti、Zr、Ta、Nb、Nd、La、Ce及びSnからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素の酸化物である。保持層21は、酸化物以外の無機化合物成分、例えば、窒化物、炭化物、ハロゲン化物等を含んでいてもよく、有機化合物成分を含んでいてもよい。
酸化シリコン等の金属酸化物は、加水分解可能な有機金属化合物から形成することができる。加水分解可能なシリコン化合物としては、式(1)で示される化合物を挙げることができる。
nSiY4-n (1)
Rは、アルキル基、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリロイル基及びアクリロイル基から選ばれる少なくとも1種を含む有機基である。Yは、アルコキシ基、アセトキシ基、アルケニルオキシ基及びアミノ基から選ばれる少なくとも1種である加水分解可能な有機基、又はハロゲン原子である。ハロゲン原子は、好ましくはClである。nは、0から3までの整数であり、好ましくは0又は1である。
Rとしては、アルキル基、例えば炭素数1~3のアルキル基、特にメチル基が好適である。Yとしては、アルコキシ基、例えば炭素数1~4のアルコキシ基、特にメトキシ基及びエトキシ基が好適である。上記の式で示される化合物を2種以上組み合わせて用いてもよい。このような組み合わせとしては、例えばnが0であるテトラアルコキシシランと、nが1であるモノアルキルトリアルコキシシランとの併用が挙げられる。
式(1)で示される化合物は、加水分解及び重縮合の後、シリコン原子が酸素原子を介して互いに結合したネットワーク構造を形成する。この構造において、Rで示される有機基は、シリコン原子に直接結合された状態で含まれる。
ガラス板1の熱膨張率は、一般的には、8.5~9.0×10-6/℃であるが、保持層21の熱膨張率は、これよりも大きく、9.1×10-6/℃~12.0×10-6/℃であることが好ましく、9.5×10-6/℃~10.5×10-6/℃であることが好ましい。但し、保持層21の熱膨張率とガラス板1の熱膨張率の差は、1.5×10-6/℃以下であることが好ましく、1.0×10-6/℃以下であることがさらに好ましい。この熱膨張率の差が大きすぎると、カバー部材10が反るおそれがあるため、好ましくない。
<3-2-2.抗菌性微粒子>
抗菌性微粒子22は、抗菌機能を有する、例えば、銅、銀、酸化亜鉛等で形成された微粒子を含有するものとすることができる。抗菌性微粒子22は、これら微粒子の凝集体とすることができるが、これら微粒子のほか、分散剤や結着剤を含む凝集体とすることができる。あるいは、凝集体ではない、上記微粒子とすることができる。但し、以下では説明の便宜のため、特に断りのない限り、「抗菌性微粒子」との文言は微粒子の凝集体を意味することとする。凝集体を構成する微粒子の平均粒径は、例えば、10~150nmであることが好ましく、15~100nmであることがさらに好ましく、20~80nmであることが特に好ましい。また、凝集体である抗菌性微粒子22の平均粒径は、保持層21の最大厚みよりも大きく、例えば、0.1~10μであることが好ましく、0.5~5μmであることがさらに好ましく、1~4μmであることが特に好ましい。これにより、抗菌性微粒子22が、保持層21から突出し、抗菌機能を発揮する。なお、抗菌性微粒子22が保持層21に覆われることもあるが、覆われていたとしても保持層21の薄いため、抗菌機能が大きく抑制されることはない。
また、保持層21に保持された抗菌性微粒子22の間隔Lは、1~200μmであることが好ましく、2~100μmであることがさらに好ましく、3~70μmであることが特に好ましい。抗菌性微粒子22の間隔Lが狭すぎると、その間で露出する保持層21の面積が狭くなり、防眩機能が損なわれるおそれがある。一方、抗菌性微粒子22の間隔Lが広すぎると、抗菌機能が低減するおそれがある。なお、抗菌性微粒子22の平均粒径及び抗菌性微粒子22間の間隔の測定方法は、後述する実施例の(6)項に記載している。
抗菌膜2に含有される抗菌性微粒子の含有量は、50重量%以下、40重量%以下、30重量%以下、20重量%以下、18重量%以下、及び15重量%以下の順で好ましい。一方、下限値としては、0.1重量%以上、5重量%以上、10重量%以上の順で好ましい。
<3-2-3.抗菌膜の形成方法>
抗菌膜2の形成方法は、特には限定されないが、例えば、以下のように形成することができる。まず、上述したマトリクスを構成する材料、例えば、テトラエトキシシランを酸性条件下で溶液とし、前駆体液を生成する。また、上述した抗菌性微粒子22を含む分散液、例えば、銅微粒子分散液をプロピレングリコール等によって希釈し、微粒子分散液を生成する。そして、前駆体液と微粒子分散液とを混合し、抗菌膜用コーティング液を生成する。このコーティング液中の抗菌性微粒子22の濃度は、例えば、100~8000ppmであることが好ましく、500~5000ppmであることがさらに好ましい。抗菌性微粒子22の濃度が高すぎると、カバー部材10の可視光透過率が低減し、またヘイズが高くなるおそれがある。一方、抗菌性微粒子22の濃度が低すぎると、抗菌機能が発揮できないおそれがある。
次に、洗浄したガラス板1の第1面に、コーティング液を塗布する。塗布方法は特には限定されないが、例えば、フローコート法、スプレーコート法、スピンコート法などを採用することができる。その後、塗布したコーティング液をオーブンなどで、例えば、溶液中のアルコール分を揮発させるため、所定温度(例えば、80~120℃)で乾燥した後、例えば、加水分解及び有機鎖の分解のため、所定温度(例えば、200~500℃)で焼結させると、抗菌膜2を得ることができる。なお、抗菌膜2は、ガラス板1を成形した後に、積層することが好ましい。これは、保持層21の厚みが小さいため、ガラス板1の成形前に抗菌膜2を積層すると、ガラス板1の屈曲部分等で抗菌膜2の美観が損なわれるおそれがあることによる。
抗菌膜2全体における抗菌性微粒子の分布は均一であってもよいが、例えば、抗菌膜2を複数の領域に分け、これらの領域において抗菌性微粒子21の含有量を変えてもよい。例えば、表示パネル501,502に写る所定のボタン等の操作部分と対応する位置においては、抗菌性微粒子22の含有量を多くし、接したときにザラザラ感を感じるようにすることができる。これにより、その操作部分が、他の操作部分と異なることを使用者に認識させることができる。
<3-3.遮光層>
次に、遮光層9について説明する。図1及び図2に示すように、遮光層9は、ガラス板1の第2面に積層され、車内側からの表示装置の内部を見えなくするような濃色の薄膜の層である。例えば、黒色、茶色、灰色、濃紺等の濃色で形成することができる。この遮光層9には、ガラス板1の第1部位101の中央付近に第1開口91が形成され、第2部位102の中央付近に第2開口92が形成されている。第1開口91及び第2開口92は、いずれも矩形状に形成されており、これら開口91,92を介して、後述する各表示パネル501,502の画像を、ガラス板1を介して車内側から視認することができる。
遮光層9の材料は、車外からの視野を遮蔽可能であればよく、例えば、濃色のセラミック、シート材等を用いることができる。遮光層9の材料に黒色のセラミックが選択された場合、例えば、ガラス板1の第2面に、スクリーン印刷等で黒色のセラミックを積層し、ガラス板1とともに積層したセラミックを加熱する。そしてセラミックが硬化すると、遮光層9が完成する。なお、遮光層9に利用するセラミックは、種々の材料を利用することができる。例えば、以下の表1に示す組成のセラミックを遮光層9に利用することができる。
Figure 2022048048000002
*1,主成分:酸化銅、酸化クロム、酸化鉄及び酸化マンガン
*2,主成分:ホウケイ酸ビスマス、ホウケイ酸亜鉛
<4.表示パネル及びバックライトユニット>
ガラス板1の第1部位101と対応する位置には、第1表示パネル501及び第1バックライトユニット61が配置されている。第1表示パネル501は、公知の液晶パネルを用いることができる。第1バックライトユニット61は、液晶パネルに向けて光を照射するものであり、例えば、拡散シート、導光板、LED等の光源、反射シート等が積層された公知のものある。
一方、ガラス板1の第2部位102と対応する位置には、第2表示パネル502及び第2バックライトユニット62が配置されている。第2表示パネル501は、公知の液晶パネルを用いることが、表面に公知の静電容量式等のタッチパネルが設けられている。すなわち、第2表示パネル501はタッチパネルディスプレイを構成している。第2バックライトユニット62は、液晶パネルに向けて光を照射するものであり、第1バックライトユニット61と同様の構成を有している。なお、第1及び第2表示パネル501,502としては、液晶パネル以外に、例えば、有機ELパネル、プラズマディスプレイパネル、電子インク型パネル等を採用することができる。第1及び第2表示パネル501,502として、液晶パネル以外を用いる場合には、バックライトユニットは不要である。
第1表示パネル501及び第2表示パネル502の用途は特には限定されないが、例えば、第1表示パネルは501、スピードメータ、タコメータ等の計器を表示することができ、第2表示パネル502は、カーナビゲーション、エアコン等の自動車の各種操作を行うためのシステムや、操作ボタン等を表示することができ、これらをタッチパネルにより操作可能とすることができる。
<5.粘着層>
粘着層(樹脂層)31,32は、ガラス板1を各表示パネル501,502に十分な強度で固定できるものであればよい。ここでは、説明の便宜のため、ガラス板1の第1部位101と第1表示パネル501とを固定する粘着層を第1粘着層31、ガラス板1の第2部位102と第2表示パネル502とを固定する粘着層を第2粘着層32と称することとする。これら粘着層31,32は、具体的には、常温でタック性を有するアクリル系、ゴム系、及びメタクリル系とアクリル系のモノマーを共重合し、所望のガラス転移温度に設定した樹脂などの粘着層を使用できる。アクリル系モノマーとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ステアリル及びアクリル酸2エチルヘキシル等を適用することができ、メタクリル系モノマーとしては、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸イソブチル及びメタクリル酸ステアリル等を適用することができる。また、ヒートラミネートなどで施工をする場合には、ラミネート温度で軟化する有機物を用いても良い。ガラス転移温度は、例えばメタクリル系とアクリル系のモノマーを共重合した樹脂の場合、各モノマーの配合比を変更することによって調整することができる。紫外線吸収剤が粘着層31,32に含有されていてもよい。
粘着層31,32の厚みは、例えば、10~500μmにすることができ、20~350μmであることが好ましい。特に、粘着層31,32の厚みが小さいと、表示パネル50からカバー部材10の最外面までの距離が小さくなり、これによって表示パネル50の画像を鮮明に視認することができる。一方、粘着層31,32の厚みが小さすぎると、ガラス板1と各表示パネル501,502との固定の強度が低下するため、好ましくない。なお、粘着層31,32の厚みは、表示パネルの特性に応じて厚みを適宜変更することができる。したがって、第1粘着層31と第2粘着層32とで厚みを相違させることができる。
また、粘着層31,32の屈折率は、空気の屈折率より大きく、ガラス板1の屈折率よりも小さいことが好ましい。これにより表示パネル501,502に表示される画像の歪みを抑制することができる。
<6.カバー部材の光学特性>
上記のように形成されたカバー部材10の光学特性としては、例えば、可視光透過率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。また、カバー部材10のヘイズ率は、例えば20%以下、さらに15%以下、特に10%以下であり、場合によっては1~8%、さらに1~6%であってもよい。
また、グロスは、鏡面光沢度により評価することができる。カバー部材10の60°鏡面光沢度は、例えば60~130%、さらに70~120%、特に80~110%である。これらの鏡面光沢度は、抗菌膜2を形成した面について測定された値である。なお、本実施形態のような車載機器の表示パネルのカバー部材としては、一般的に、120~140%のグロスを示すものが用いられている。
60°鏡面光沢度Gとヘイズ率H(%)との間には、関係式(a)が成立することが好ましく、関係式(b)が成立することがさらに好ましい。
H≦-0.2G+25 (a)
H≦-0.2G+24.5 (b)
なお、グロスはJIS Z8741-1997の「鏡面光沢度測定方法」の「方法3(60度鏡面光沢)」に従って、ヘイズはJIS K7136:2000に従ってそれぞれ測定することができる。
<7.特徴>
本実施形態に係るカバー部材10は、以下の効果を奏することができる。
(1)上記保持層21の熱膨張率がガラス板1の熱膨張率よりも大きいため、積層された保持層21がガラス板1よりも収縮する。特に、抗菌膜を、上記のように高温(200~500℃)で焼結することで形成する際には、抗菌膜2が形成された後の熱収縮が大きい。そのため、図4に示すように、ガラス板1には、保持層21が積層された第1面に圧縮応力が作用し、第2面に引張応力が作用する。そのため、例えば、車内側からカバー部材10に対して乗員がぶつかり、カバー部材10が表示パネル501,502側に凸となるように変形したときには、第2面に作用する引張応力により、第2面が割れやすくなる。したがって、乗員がカバー部材10にぶつかったときの衝撃を緩和することができる。なお、図4は説明の便宜のため、誇張して記載している。
(2)ガラス板1の第1面に凹凸が形成され、この第1面に保持層21と抗菌性微粒子22とを有する抗菌膜2が形成されている。そのため、保持層21の表面にもガラス板1の凹凸に沿うように凹凸が形成され、これによって、防眩機能が発揮される。また、抗菌膜2には、保持層21の最大厚みよりも大きい平均粒径を有する抗菌性微粒子22が含有されているため、抗菌性微粒子22は保持層21から突出するように配置される。これによって、抗菌機能が発揮される。このように、本実施形態に係るカバー部材1の抗菌膜2は、防眩機能と抗菌機能とを両立することができる。
<8.変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。なお、以下の変形例は適宜組み合わせることができる。
<8-1>
上記実施形態では、ガラス板1のボトム面にエッチングを施し、これによって凹凸を形成しているが、トップ面にエッチングを施して同様に凹凸を形成することもできる。
<8-2>
ガラス板1に凹凸を形成するには種々の方法があり、上述したエッチングには限定されない。その他、例えば、ガラス板1のいずれか一方の面に、凹凸を有する下地層を形成することもできる。下地層は、例えば、上述した保持層21と同様の材料で形成された基層と、この基層に保持される微粒子とで形成することができる。
微粒子の形状は、特に制限されないが、球状であることが好ましい。微粒子は球状粒子により実質的に構成されていてもよい。但し、微粒子の一部は、球状以外の形状、例えば平板状の形状を有していてもよい。微粒子は球状粒子のみにより構成されていても構わない。ここで、球状粒子とは、重心を通過する最短径に対する最長径の比が1以上1.8以下、特に1以上1.5以下であって、表面が曲面により構成されている粒子をいう。球状粒子の平均粒径は、5nm~200nm、さらに10nm~100nm、特に20nm~60nmであってもよい。球状粒子の平均粒径は、個々の粒径、具体的には上述の最短径と最長径との平均値、の平均により定まるが、その測定は、SEM像に基づいて、30個、好ましくは50個の粒子を対象として実施することが望ましい。このように、抗菌性微粒子22よりも平均粒径の小さい微粒子を用いることで、抗菌膜2の保持層21に適切な表面粗さRaを形成するための下地となる凹凸を形成することができる。
微粒子を構成する材料は、特に制限されないが、金属酸化物、特に酸化シリコンを含むことが好ましい。ただし、金属酸化物は、例えば、Ti、Zr、Ta、Nb、Nd、La、Ce及びSnからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属元素の酸化物を含んでいてもよい。
また、微粒子は、フィロケイ酸塩(phyllosilicate)鉱物粒子であってもよい。フィロケイ酸塩鉱物粒子に含まれるフィロケイ酸塩鉱物は、層状ケイ酸塩鉱物とも呼ばれる。フィロケイ酸塩鉱物としては、例えばカオリナイト、ディッカイト、ナクライト、ハロイサイト等のカオリン鉱物、クリソタイル、リザーダイト、アメサイト等のサーペンティン、モンモリロナイト、バイデライト等の2八面体型スメクタイト、サポナイト、ヘクトライト、ソーコナイト等の3八面体型スメクタイト、白雲母、パラゴナイト、イライト、セラドナイト等の2八面体型雲母、金雲母、アナイト、レピドライト等の3八面体型雲母、マーガライト等の2八面体型脆雲母、クリントナイト、アナンダイト等の3八面体型脆雲母、ドンバサイト等の2八面体型クロライト、クッケアイト、スドーアイト等の2・3八面体型クロライト、クリノクロア、シャモサイト等の3八面体型クロライト、パイロフィライト、タルク、2八面体型バーミキュライト、3八面体型バーミキュライトを挙げることができる。フィロケイ酸塩鉱物粒子は、スメクタイト、カオリン、又はタルクに属する鉱物を含むことが好ましい。スメクタイトに属する鉱物としては、モンモリロナイトが好適である。なお、モンモリロナイトは単斜晶系に属し、カオリンは三斜晶系に属し、タルクは単斜晶系又は三斜晶系に属する。
このような下地層は、上述した抗菌膜と同様に形成することができる。すなわち、上述したような前駆体液と微粒子分散液とを混合し、下地層用コーティング液を生成し、これをガラス板の表面に塗布した後、焼結させることで、表面に凹凸を有する下地層を形成することができる。下地層の表面粗さRaは、上述したガラス板1の第1面の表面粗さRaと同様にすることができる。また、このような下地層は、抗菌膜2の保持層21と同じ材料で形成することができるため、下地層と抗菌膜2の屈折率を近づけることができる。したがって、防眩機能をより効果的に発揮することができる。
この場合、例えば、フロート法により形成されたガラス板(フロートガラス)に化学強化を施し、トップ面に対して下地層を形成することができる。フロートガラスに化学強化を施すと、ナトリウムイオンの濃度が高いトップ面において、ボトム面よりも、カリウムイオン等のアルカリイオンとの交換が進むため、トップ面が凸となるように反りやすくなる。そこで、上記のような下地層をトップ面に形成すると、積層した下地層が収縮し、反りが緩和される。したがって、反りを抑制するという観点からは、化学強化を施したガラス板に対し、トップ面に下地層を形成することが好ましい。
また、下地層と抗菌膜2との間に、公知の反射防止膜を配置することもできる。
なお、上述した下地層の基層を構成する材料は一例であり、適宜変更することができる。例えば、基層は、酸化シリコンを主成分とする材料で形成することができるが、これに限定されない。酸化シリコンを主成分とすれば、基層の屈折率(反射率)が低くなりやすい。また、基層の化学的安定性等も良好である。また、ガラス板1との密着性が良好である。ここで、酸化シリコンを主成分とするとは、SiO2を50質量%以上含むことを意味するが、90質量%以上含むことが好ましい。
酸化シリコンを主成分とする場合、基層は、酸化シリコンのみから構成されてもよく、酸化シリコン以外の成分を少量含んでもよい。その成分としては、Li、B、C、N、F、Na、Mg、Al、P、S、K、Ca、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co,Ni、Cu、Zn、Ga、Sr、Y、Zr、Nb、Ru、Pd、Ag、In、Sn、Hf、Ta、W、Pt、Au、Biおよびランタノイド元素より選ばれる1つもしくは複数のイオンおよびまたは酸化物等の化合物が挙げられる。
酸化シリコンを主成分とする基層としては、酸化シリコン前駆体を含む塗布組成物から形成されるものや粒子として酸化シリコン粒子を含む塗布組成物から形成されるもの、その他酸化シリコンを主成分としない樹脂膜等により形成されたものが挙げられる。
<8-3>
保持層21の組成は特には限定されず、上述したように、表面に所定の表面粗さを有し、抗菌性微粒子22を保持できるような材料であればよい。
<8-4>
上記説明では、ガラス板1、下地層、及び保持層2に、所定の表面粗さを有する凹凸を形成している。これによって、最表面の保持層2には、上記のような所定の表面粗さを有する凹凸が形成され、防眩機能を発揮することを説明した。しかしながら、保持層21の防眩機能は必ずしも必要ではなく、少なくとも、抗菌性微粒子22が微粒子として保持層21に保持されていればよい。したがって、保持層21が防眩機能を有するように、ガラス板1、下地層、及び保持層21に所定の表面粗さを有する凹凸が形成されていなくてもよい。そのため、抗菌性微粒子22の平均粒径も保持層21に凹凸が形成されていなければ、特には限定されない。
<8-5>
抗菌膜2の表面に耐指紋層を形成することもできる。耐指紋膜を形成することで、カバー部材10上でのスワイプ操作がしやすくなり、また指紋等の汚れを拭き取りやすくなる。
耐指紋膜は、例えば、次のように形成することができる。耐指紋膜は、水及び油によるカバー部材10の濡れを最小限に抑えるように、疎水特性及び疎油特性、すなわち、両疎媒特性を有することができる。それゆえ、耐指紋膜を有する表面の濡れ特性は、表面が疎水性、すなわち、表面と水との間の接触角が、好ましくは90°より大きいだけでなく、疎油性、すなわち、表面と油との間の接触角が、好ましくは50°より大きいものでなくてはならない。
耐指紋膜は、例えば、アルキル基及び/又はフルオロアルキル基を含有するシラン、例えば3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン又はペンチルトリエトキシシランを含む膜とすることができる。
耐指紋膜は、炭化水素基を有する化合物をベースとし、ここで、C-H結合が、部分的に又は好ましくは実質的にすべてC-F結合と置き換えられたフルオロ系表面層であってもよい。好ましくは、このような化合物は、例えば式(RFnSiX4-nで示され、式中、RFは、C1~C22-アルキルペルフルオロ炭化水素又は-アルキルペルフルオロポリエーテル、好ましくはC1~C10-アルキルペルフルオロ炭化水素又は-アルキルペルフルオロポリエーテルであり、nは、1~3の整数であり、Xは、加水分解性基、例えばハロゲン又はアルコキシ基-OR(ここで、Rは、例えば、線状又は分枝状の、炭素原子1~6個を有する炭化水素を表す)のペルフルオロ炭化水素とすることができる。この場合、加水分解性基Xは、例えば、ガラス基板のコーティングの末端OH基と反応し、そうして、この基に共有結合の形成によって結合することができる。ペルフルオロ炭化水素は、好ましくは、末端のフッ素表面結合の極性が低いことから、表面の表面エネルギーを低下させるために使用される。
耐指紋膜は、例えば、フッ素末端基を有する分子鎖の単層、フルオロポリマーコーティング、又は予めフッ素末端基を備えた若しくは該末端基で処理された酸化ケイ素-スート粒子から誘導されることができる。
耐指紋膜は、浸漬、蒸着、吹付け、ロール若しくはローラー若しくはブレードを用いた施与、熱による真空蒸着又はスパッタによって、好ましくは液相法、例えば噴霧、浸漬コーティング、印刷、ローラー塗り、スピンコーティング又は他の適した方法によって表面に施すことができる。浸漬又は吹付けがとりわけ好ましい。コーティングを施した後、これを有利には、適した期間にわたり、適した時間で硬化する。
耐指紋膜の厚みは、特には限定されないが、例えば、1μm以下とすることができる。具体的には、例えば、5~200nmであることが好ましく、10~80nmであることがさらに好ましい。耐指紋膜の厚みが大きすぎると、抗菌性能が抑制されるおそれがある。一方、耐指紋膜の厚みが小さすぎると、耐指紋性能が低減するおそれがある。
耐指紋膜は、抗菌膜2の全面に形成することもできるが、一部に形成することもできる。例えば、カバー部材10の一部をキーボードのようなキータッチ操作を行うような被保護部材100に配置した場合、キーの上には耐指紋膜を形成せず、その他の例えば、スワイプ操作が行われる領域にのみ耐指紋層を形成することができる。
<8-6>
本発明に係るカバー部材は、無色透明のほか、ガラス板1、抗菌膜2、下地層の少なくとも1つに着色することで、有色透明、又は半透明にすることができる。
<8-7>
筐体4の構成は特には限定されず、表示パネル50及びバックライトユニット6が収容されればよい。また、表示パネル50としては、上述した液晶パネル以外を採用することもでき、例えば、有機ELパネル、プラズマディスプレイパネル、電子インク型パネル等を用いることもできる。なお、表示パネル50として、液晶パネル以外を用いる場合には、バックライトユニット6は、不要である。また、表示パネル50とカバー部材10との間には粘着層3ではなく、空気が介在してもよい。
<8-8>
上記実施形態では、カバー部材10が筐体4に接するようにしているが、表示パネルにのみ接するようにしてもよい。
<8-9>
ガラス板1の形状は特には限定されず、表示パネルの形状、種類、数に応じて適宜変更することができる。例えば、上記実施形態では、2つの表示パネル501,502を用いているが、1つ、あるいは3以上の表示パネルを用いることもできる。また、表示パネルの種類も特には限定されない。そして、表示パネルの種類等によって、ガラス板1の数、位置、突出高さ等を適宜変更することができる。また、上記実施形態では、第1部位101と第2部位102とを直交する第3部位103によって連結しているが、第3部位103を第1部位101及び第2部位102に対して90度以外の角度で連結してもよいし、あるいは滑らかな曲面で連結することもできる。また、第1部位101及び第2部位102の少なくとも一部を曲面で構成することもできる。
<8-10>
上記実施形態では、表示パネルに合わせて遮光層9の開口91,92の数を2つにしているが、これも各表示パネルの数や表示部分に応じて適宜変更することができる。したがって、開口の数、形状、大きさ、位置は特には限定されず、それぞれ異なっていてもよい。また、遮光層9の縁部は、ガラス板1の縁部まで延びていなくてもよく、例えば、ガラス板10の縁部から所定長さだけ隙間を開けて形成することもできる。また、閉じた開口ではなく、一部が開放した切り欠きのような開口であってもよい。さらには、種々の要求に応じて遮光層9を設けない設計にすることもできる。
<8-11>
上記実施形態では、ガラス板1の第1面全体に抗菌膜を積層しているが、ガラス板の一部に積層してもよい。例えば、各開口91,92をそれぞれ覆うように2つの抗菌膜2を積層することもできる。このように、抗菌膜2の数、形状、位置は,特には限定されず、表示パネル等に応じて、適宜設定することができる。
<8-12>
上記実施形態では、本発明の表示装置を車載用の表示装置として説明したが、これに限定されるものではない。上述した表示パネルとともに使用される表示装置全般に適用することができる。また、表示装置にタッチパネルを設け、タッチパネルディスプレイとして用いることもできる。したがって、上述したカバー部材も、種々の表示装置に適用することができる。
以下、本発明の実施例について説明する。但し、本発明は、以下の実施例には限定されない。
(1)実施例の準備
50mmx50mmのフロートガラス板上に、下地層を積層し、さらに抗菌膜を積層することで、実施例1に係るカバー部材を形成した。
(1-1)下地層
以下の組成を有する下地層の前駆体液を調製した(単位はgである)。下地層に含有される微粒子としてカオリン(フィロケイ酸塩鉱物粒子)を採用した。そして、これらの混合溶液を60℃で7時間攪拌し、前駆体液を得た。
Figure 2022048048000003
硝酸及びカオリンTS90は、日本アルコール販売株式会社製クリンソルブP-7に溶解されている。クリンソルブP-7は、エタノールを主成分とし、イソプロピルアルコール、ノルマルプロピルアルコールを含有する混合溶剤である。
上記ガラス板に対し、上記前駆体液をフローコーティングにより塗布し、その後、200℃に設定したオーブン内で乾燥させ、下地層を形成した。
(1-2)保持層
以下の組成を有する保持層用の前駆体液を調製した(単位はgである)。そして、これらの混合溶液を60℃で7時間攪拌し、TEOSの加水分解反応により前駆体液を得た。
Figure 2022048048000004
この前駆体液に対し、以下の組成の抗菌膜用コーティング液を調製した(単位はgである)。抗菌性微粒子としては銅を用い、プロピレングリコールで1%の濃度に希釈した分散液を準備した。そして、表4の材料を上から下の順に攪拌しながら混合した。そして、この混合溶液を室温で攪拌し、コーティング液を得た。
Figure 2022048048000005
そして、このコーティング液をロールコーティングにより下地層上に塗布し、10分間の自然乾燥の後、300℃に設定したオーブン内で30分加熱し、抗菌膜を形成した。こうして、本実施例に係るカバー部材が完成した。このカバー部材に対し、以下の試験を行った。
(2) 光学特性
グロスが119.2であった。したがって、十分な防眩性能を発揮できている。また、ヘイズ率は、3.2%であり、十分に低かった。ヘイズ率の測定は、日本電色工業株式会社製ヘイズメータNDH2000により行った。この際、抗菌膜を入射面とし、試料の3点でヘイズ率を測定し、その平均値をヘイズ率とした。
(3) 表面粗さ
抗菌膜の表面粗さRaは52nmであった。また、抗菌膜の粗さ曲線要素の平均長さRsmは16.2μmであった。
(4) 抗菌試験
抗菌性の評価を、以下の通り、JIS Z2801:2012(フィルム密着法)に基づいて行った(ISO22916に相当)。
・試験細菌:E.Coli(大腸菌 NBRC3972)
・試料形態:上記カバー部材
・作用時間:24時間
・抗菌活性値(R)の算出:R=(Ut-U0)-(At-U0)=Ut-At
U0:ガラス板の接種直後の生菌数の対数値の平均値
Ut:ガラス板の24時間後の生菌数の対数値の平均値
At:カバー部材の24時間後の生菌数の対数値の平均値
・作用条件:温度35℃、湿度90%以上(JIS準拠)
・密着フィルム:40mm×40mmのPPフィルム(JIS基準)
・試験菌液の摂取量:0.2ml
・試験菌液の生菌数:1.1×106
・生菌数測定:ガラス板の菌液接種直後および24時間培養後のカバー部材の生菌数を測定
上記試験の結果、抗菌活性は、6.1であった。2.0以上で抗菌活性があると評価されるため、本実施例においては十分な抗菌性能が確認できた。
(5) 抗ウイルス試験
抗ウイルス性の評価を、以下の通り、ISO21702に準じて行った。
・宿主細胞:MDCK細胞(ATCC CCL-34)
・試料形態:上記カバー部材
・作用時間:24時間
・抗ウイルス活性値(R)の算出:R=(Ut-U0)-(At-U0)=Ut-At
U0:ガラス板の接種直後のプラーク数の対数値の平均値、PFU/cm2
Ut:ガラス板の24時間後のプラーク数の対数値の平均値、PFU/cm2
At:カバー部材の24時間後のプラーク数の対数値の平均値、PFU/cm2
・作用条件:温度25℃
・密着フィルム:40mm×40mmのPPフィルム(ISO基準)
・試験ウイルス液の摂取量:0.4ml
・試験ウイルス液の感染価:1.5×107PFU/ml
・ウイルス感染価の測定方法:プラーク法
上記試験の結果、抗ウイルス活性は、1.6であった。これにより、抗菌膜が形成されていないガラス板と比較して、約97%のウイルスが減少していると判断される。
(6) 表面性状
図5は、実施例の抗菌膜の表面性状をSEMで観察した写真、図6は、図5の写真に写る抗菌性微粒子の拡大図である。図5に写る白色の複数の点が抗菌性微粒子を示している。また、図6に示すように、本実施例に係る抗菌性微粒子は、銅粒子の凝集体であることが分かる。図5に写る抗菌性微粒子の粒子径は1~4μmであった。また、抗菌性微粒子間の距離は最大50μm、最小5μm、平均25μmであった。
平均粒径は、以下の方法で算出した。まず、倍率が1000倍のSEM画像を異なる視野で3枚取得した。次に、90μmx120μmの範囲(図5の破線で囲まれた範囲)において、次の計測を行った。まず、抗菌性微粒子の長軸方向の長さと短軸方向の長さを計測し、それらの平均をひとつの抗菌性微粒子の粒径とする。そして、同様の計測を任意の抗菌性微粒子について1画像につき10点、合計30点行い、それらの平均を平均粒径とした。
抗菌性微粒子間の距離は、以下のように算出した。まず、倍率が1000倍のSEM画像を異なる視野で3枚取得した。次に、任意の隣り合う抗菌性微粒子の間隔を計測した。同様の計測を任意の10組の抗菌性微粒子について1画像につき10点、合計30点行い、それらの平均を抗菌性微粒子間の距離とした。
1 ガラス板
2 抗菌膜
21 保持層
22 抗菌性微粒子
10 カバー部材
501,502 表示パネル

Claims (8)

  1. 少なくとも1つの表示パネルと、
    前記表示パネルを覆うように配置されるカバー部材と、
    を備え、
    前記カバー部材は、
    第1面及び第2面を有するガラス板と、
    前記ガラス板の第1面に積層される抗菌膜と、
    を備え、
    前記ガラス板の第2面が、前記表示パネルを向くように配置され、
    前記抗菌膜は、
    前記第1面に形成され、前記ガラス板よりも熱膨張率が大きい、保持層と、
    前記保持層に保持される抗菌性微粒子と、を備えている、表示装置。
  2. 前記ガラス板の熱膨張率と前記保持層の熱膨張率との差が、1.5×10-6/℃以下である、請求項1に記載の表示装置。
  3. 前記保持層の厚みは、10~500nmである、請求項1または2に記載の表示装置。
  4. 前記抗菌性微粒子は銅により形成されている、請求項1から3のいずれかに記載の表示装置。
  5. 前記抗菌性微粒子の平均粒径は、前記保持層の膜厚以上である、請求項1から4のいずれかに記載の、表示装置。
  6. 前記ガラス板の少なくとも一部が平坦以外の形状に成形されている、請求項1から5のいずれかに記載の表示装置。
  7. 前記保持層が複数の領域を有し、
    前記複数の領域において、前記抗菌性微粒子の含有量が相違している、請求項1から6のいずれかに記載の表示装置。
  8. 表示パネルを有する表示装置において、前記表示パネルを覆うように配置される、カバー部材であって、
    第1面及び第2面を有するガラス板と、
    前記ガラス板の第1面に積層される抗菌膜と、
    を備え、
    前記ガラス板の第2面が、前記表示パネルを向くように配置され、
    前記抗菌膜は、
    前記第1面に形成され、前記ガラス板よりも熱膨張率が大きい、保持層と、
    前記保持層に保持される抗菌性微粒子と、を備えている、カバー部材。
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