JP2022046232A - 粘液線毛輸送機能向上具 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022046232000001
【課題】簡易に気道を加湿できるとともに就寝中などの様々なシチュエーションにおいても使用できて、粘液線毛輸送機能を向上させることができる粘液線毛輸送機能向上具を提供する。
【解決手段】粘液線毛輸送機能向上具1は、使用者の顔に少なくとも鼻及び/又は口を覆うように装着される本体2と、蒸気を発する蒸気発生体3であって、本体2よりも使用者の顔側に配置される蒸気発生体3と、を備え、気道の粘液線毛輸送機能の向上のために使用される、ことを特徴とする。
【選択図】図6

Description

本発明は、気道の粘液線毛輸送機能の向上のために使用される粘液線毛輸送機能向上具に関し、蒸気を発するマスク型の粘液線毛輸送機能向上具に関する。
粘液線毛輸送機能は気道の防御機構の一つであり、吸気とともに気道に侵入した異物(ウイルスなど)を外層粘液で捕捉し、粘膜にある線毛の動き(線毛運動)により異物を粘液とともに輸送・排除して感染を防御する。粘液線毛輸送機能は、相対湿度の低下によりその機能が低下することが知られており(例えば非特許文献1を参照)、健常者が乾燥した空気中で呼吸すると、粘液線毛輸送機能が低下する。
低湿度の環境下で粘液線毛輸送機能を向上させて正常に保つための方法として、例えば生理食塩水をスプレーや吸入器(ネブライザーなど)を用いて鼻腔に噴霧する方法がある。しかし、スプレーを用いた場合には使用者は必要量が噴霧されるまで複数回スプレーする必要があるために手間がかかるうえ、例えば就寝中に乾燥感が生じた場合にはわざわざ起き上がってスプレーする必要があるためにわずらわしい。また、吸入器を用いた場合には使用者は吸入に要する所定時間の間は吸入器の前で待機する必要があるために例えば就寝中など様々なシチュエーションにおいて使用することができない。
竹内和彦,鈴村恵理:生理食塩水の鼻噴霧が鼻粘膜粘液線毛輸送機能に及ぼす影響:耳鼻咽喉科展望 56(Supplement3):耳鼻咽喉科展望会:2013:s181-s184
本発明は、上記課題を解決すべくなされたものであり、簡易に気道を加湿できるとともに就寝中などの様々なシチュエーションにおいても使用できて、粘液線毛輸送機能を向上させることができる粘液線毛輸送機能向上具を提供することを目的とする。
本発明の粘液線毛輸送機能向上具は、使用者の顔に少なくとも鼻及び/又は口を覆うように装着される本体と、蒸気を発する蒸気発生体であって、前記本体よりも使用者の顔側に配置される蒸気発生体と、を備え、気道の粘液線毛輸送機能の向上のために使用される、ことを特徴とする。
本発明の粘液線毛輸送機能向上具において好ましい態様は、前記蒸気発生体は、水を保持する含水体である、ことを特徴とする。
また、本発明の粘液線毛輸送機能向上具において好ましい態様は、前記蒸気発生体は、加熱されることで蒸気を発する、ことを特徴とする。前記蒸気発生体を加熱する手段は、特に限定されないが、前記粘液線毛輸送機能向上具が前記蒸気発生体を加熱する発熱体をさらに備え、前記蒸気発生体は前記発熱体により使用時に含水分が加熱されることで蒸気を発することが好ましく、その他にも、前記蒸気発生体は使用前に例えば電子レンジなどの外部の加熱機器によって含水分が加熱されることで使用時に蒸気を発することが好ましい。
なお、本発明の粘液線毛輸送機能向上具は、前記蒸気発生体が加熱されることなく含水分が自然蒸発することで蒸気を発する態様とすることもできる。
また、本発明の粘液線毛輸送機能向上具において好ましい態様は、前記蒸気発生体は、蒸気発生後30分間にわたる蒸気発生量が120mg以上180000mg以下である、ことを特徴とする。
本発明の粘液線毛輸送機能向上具によれば、簡易に気道を加湿できるとともに就寝中などの様々なシチュエーションにおいても使用できて、粘液線毛輸送機能を向上させることができる。
本実施形態の粘液線毛輸送機能向上具の(A)正面図であり、(B)背面図である。 本実施形態のマスクの分解斜視図である。 図1のX1-X1概略断面図である。 収容部の(A)背面図であり、(B)正面図である。 含水体の(A)正面図であり、(B)側面図である。 使用者が本実施形態の粘液線毛輸送機能向上具を装着した状態の斜視図である。 粘液線毛輸送機能向上具による気道の粘液線毛輸送機能の向上効果について試験を行った結果を示すグラフである。
以下、本発明の粘液線毛輸送機能向上具の実態形態について添付図面を参照して説明する。図1~図3及び図6に本実施形態の粘液線毛輸送機能向上具1を示す。粘液線毛輸送機能向上具1は、使用者の顔に装着して使用されるものであり(図6を参照)、蒸気の作用によって気道を加湿して粘液線毛輸送機能を向上し得るものである。粘液線毛輸送機能向上具1は、使用者の顔に少なくとも鼻及び/又は口を覆うように装着される本体2と、蒸気を発する蒸気発生体3とで少なくとも構成される。
本体2は、本実施形態ではマスク型を呈しており、使用者の顔の目の下の領域(特に鼻及び口)を覆う覆い部5と、覆い部5の顔側の面に設けられる袋状の収容部6とを含む。蒸気発生体3は、本体2の収容部6に収容される。
蒸気発生体3は、水を含んでおり、この含水分が蒸発することで蒸気を発する。粘液線毛輸送機能向上具1の使用時には、蒸気発生体3は本体2よりも使用者の顔側に配置され、蒸気発生体3から発せられる蒸気により本体2内側の顔との間の空間が加湿される。これにより、使用者が呼吸することで、加湿された空気が鼻や口から気道(鼻腔、咽頭、喉頭、気管)に吸い込まれて、気道の湿度を上げることができる。
蒸気発生体3は、含水分が自然に蒸発することで蒸気を発してもよいが、加熱により蒸発することで蒸気を発するように構成することができる。これにより、蒸気発生体3は多くの蒸気を速やかに本体2内側の顔との間の空間に発するため、該空間の湿度を効率的に上げて気道を良好に加湿することができる。そのうえ、本体2内側の顔との間の空間の温度が上がるため、蒸気を含む温かい空気が気道に吸い込まれて気道の温度を上げることができる。よって、気道の粘液線毛輸送機能を効果的に向上させることができる。
蒸気発生体3は、粘液線毛輸送機能向上具1の使用前に例えば電子レンジなどの外部の加熱機器によって含水分が加熱されることで、使用開始後に即座に多くの蒸気を発して短時間で集中的に多量の蒸気を気道に供給するものであってもよいし、使用時に含水分が熱を受け続けることで、使用開始後に徐々に多くの蒸気を発して所定時間をかけて持続的に多量の蒸気を気道に供給するものであってもよい。なお、後者の場合、蒸気発生体3は、自らが発熱することで発生した熱により含水分が加熱されるものであってもよいし、熱を発する発熱体(例えば使い捨てカイロなど)により含水分が加熱されるものであってもよい。
本実施形態では、蒸気発生体3は発熱体により含水分が加熱されるように構成されており、粘液線毛輸送機能向上具1は、蒸気発生体3を持続的に加熱して蒸気を発生させるための発熱体4をさらに備える。発熱体4は、本体2の蒸気発生体3を収容した収容部6の外面に取り付けられる。
以下、本実施形態の粘液線毛輸送機能向上具1を構成する各構成部材について詳細に説明する。
まず、本体2の覆い部5は、図1~図3及び図6に示すように、粘液線毛輸送機能向上具1の使用時に顔の目の下を横に延びる上側縁50と、下顎(又は顎下)を横に延びる下側縁51と、上側縁50及び下側縁51を接続する左右の側縁52,53とを有する。覆い部5の形状及びサイズとしては、特に限定されるものではなく、例えば上側縁50が目の下を横断するとともに左右の側縁52,53が頬を縦断して顔の鼻、口、下顎、頬の一部を被覆可能な形状及びサイズであればよい。
覆い部5は、粘液線毛輸送機能向上具1の未使用時に平坦状とすることができる。平坦状の覆い部とは、立体構造の覆い部、具体的には、2枚のマスク片の一側縁同士を熱融着などで接合し、未使用時において横方向中央に縦方向に延びる折り畳み部により2枚のマスク片が折り重ねられていて、2枚のマスク片を展開しても平坦状とはならず、使用時に鼻の下(鼻孔)及び口との間に大きな空間を形成する立体構造の覆い部とは異なる構造のものである。平坦状の覆い部5は、使用時に立体構造の覆い部よりも顔の表面により近付く。
覆い部5は、単層構造又は2層以上の積層構造とすることができ、各層は、織布や不織布などの通気性を有するシートを用いて構成することができる。その中でも、スパンボンド法、メルトブロー法、サーマルボンド法又はスパンレース法による不織布を好ましく用いることができ、さらに好ましくは、肌触りと保形性の観点からスパンボンド法による不織布を、花粉・ウイルスなどのカット性能の観点からメルトブロー法による不織布を用いることができる。以上の点を考慮して、好適な覆い部5の層構造として、例えば、SMS層(スパンボンド-メルトブロー-スパンボンドの3層構造)を挙げることができる。なお、その他にも、S層(スパンボンドの単層)又はSS層(スパンボンド-スパンボンドの2層構造)を好ましく挙げることができる。覆い部5を積層構造とする場合には、各層のシートの外周縁を所定の幅で、例えば縫製、超音波溶着、熱融着などの公知の方法により接合することで覆い部5を形成することができる。
覆い部5の各層を構成する織布及び不織布の繊維素材としては、従来のマスクに用いられる公知のものを用いることができ、例えば紙、コットンなどの天然繊維;レーヨン、アセテートなどの半合成繊維;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロンなどの合成繊維を用いることができる。その中でも、生産性の観点からポリプロピレン、ポリエチレンを好ましく用いることができ、保形性の観点からポリプロピレンを用いることができ、肌触りの観点からナイロンを用いることができる。
覆い部5は、縦方向に伸長可能な構造を有することができる。例えば覆い部5に、横方向に延びる少なくとも2つの折り目によって形成されるプリーツ(襞)54が少なくとも1つ設けられ、このプリーツ54の拡開により、覆い部5を縦方向に伸長可能とすることができる。これにより、覆い部5を使用者の顔の大きさに対応して自由にサイズ調整することができる。また、プリーツ54の拡開により、覆い部5は縦方向において外向きに凸状をなすように変形して立体感を有するようになり、粘液線毛輸送機能向上具1の使用時に本体2内側の顔との間の空間を確保することができる。
覆い部5の左右の側縁52,53には、覆い部5を使用者の顔に保持するための保持手段として、耳掛け部7を取り付けることができる。耳掛け部7は、紐状や帯状を呈しており、例えば縫製、超音波溶着、熱融着などの公知の方法により覆い部5に取り付けることができる。耳掛け部7の素材は特に限定されないが、例えばポリエステルなどの伸縮性のある素材であることが好ましい。なお、覆い部5の保持手段としては、耳掛け部7以外の他の種々の手段を用いてもよい。
覆い部5の上側縁50よりも内側位置には、例えばポリエチレンなどのプラスチック樹脂や生分解性樹脂などからなる線状のノーズピース8を設けることができる。ノーズピース8により、粘液線毛輸送機能向上具1の使用時に覆い部5と鼻との間に隙間が生じるのが抑制されるので、覆い部5を顔にフィットさせることができる。ノーズピース8は、例えば覆い部5に内蔵し、その上下位置で覆い部5を構成する各層のシートを例えば超音波溶着などで接合することで、所定位置に固定することができる。
次に、本体2の収容部6について説明する。収容部6は、図1~図4に示すように、顔側の第1層60及び覆い部5側の第2層61を有しており、第1層60の外周縁の上側縁を除く部分が第2層61に接合されている。これにより、収容部6は、上部に開口が形成され、第1層60及び第2層61の間に蒸気発生体3を挿入して保持することができる袋状に形成される。第1層60の上側縁は第2層61の上側縁と同じ高さに位置していてもよいが、第2層61の上側縁よりも下方に位置させることで、上部開口から収容部6内に蒸気発生体3を容易に挿入することができる。
収容部6は、覆い部5側の第2層61が縫製、超音波溶着、熱融着などの公知の方法で覆い部5の顔側の面に接合されることで、覆い部5に取り付けることができる。この際、第2層61の上側縁のみを覆い部5の顔側の面に接合することにより、プリーツ54を拡開して覆い部5を縦方向に伸長させたときに収容部6が妨げになることを防止できるうえ、使用時に収容部6が覆い部5に拘束されないために収容部6内の蒸気発生体3の重みにより蒸気発生体3を使用者の顔に近接させやすくできる。よって、蒸気発生体3から発せられる蒸気を鼻や口から気道に効率的に供給することができる。
収容部6は、覆い部5の上側縁50よりも下方の位置にて覆い部5に取り付けることができる。使用時に覆い部5の上側縁50は使用者の顔の目の下を横に延びることから、覆い部5の上側縁50の位置に収容部6が取り付けられていると、収容部6内の蒸気発生体3により鼻が覆われる。鼻が蒸気発生体3に覆われると、鼻による呼吸がし難くなるとともに、蒸気発生体3が鼻に当たって使用者に不快感を与えるおそれがある。これに対して、使用時に収容部6が使用者の鼻の下に配置されるよう、覆い部5の上側縁50よりも所定の高さ(例えば15mm以上30mm)下方にずれた位置に収容部6が取り付けられることで、使用時の使用者による呼吸を容易にし、かつ使用感を向上できる。なお、収容部6は、覆い部5の上側縁50の位置にて覆い部5に取り付けられていてもよい。
いてもよい。
収容部6のサイズとしては、内部に蒸気発生体3を入れることができかつ外面に発熱体4を貼り付けることが可能な大きさであればよく、例えば横方向の長さは50mm以上150mm以下とすることができ、縦方向の長さは30mm以上80mm以下とすることができる。
収容部6は、粘液線毛輸送機能向上具1の未使用時には下側縁が覆い部5の下側縁51よりも下方に突き出ている。覆い部5は、プリーツ54により縦方向に伸長可能であるため、粘液線毛輸送機能向上具1の使用時に覆い部5を縦方向に伸長させることで、覆い部5の下側縁51で収容部6の下側縁を覆い、収容部6を露出させずにその全体を覆い部5内に隠すことができる。なお、収容部6は、未使用時に下側縁が覆い部5の下側縁51よりも下方に突き出ていなくてもよい。
収容部6の顔側の第1層60は、透湿性を有するシートを用いて構成することができる。透湿性とは、蒸気(水分子)を通すことができる性質である。透湿性を有するシートとしては、織布や不織布などを用いることができ、その中でも不織布を好ましく用いることができる。不織布は、例えばスパンボンド法、サーマルボンド法、スパンレース法などによる不織布を用いることができるが、肌触りの観点からサーマルボンド法、スパンレース法による不織布をより好ましく用いることができ、スパンレース法による不織布を特に好ましく用いることができる。第1層60を構成する織布及び不織布の繊維素材としては、公知のものを用いることができ、例えば紙、コットンなどの天然繊維;レーヨン、アセテートなどの半合成繊維;ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ナイロンなどの合成繊維を用いることができる。その中でも、柔軟性、生産性の観点からポリプロピレン、ポリエチレンを好ましく用いることができる。なお、第1層60は、柔軟性の観点から2枚のシートが重ね合わされてなることが好ましい。
収容部6の覆い部側の第2層61は、非透湿性のシートを用いて構成することができる。非透湿性とは、完全に蒸気(水分子)を通さない性質だけに限定されるものではなく、わずかに蒸気(水分子)を通す性質も含む。非透湿性のシートとしては、上述した第1層60に用いられる透湿性を有するシートに非透湿性の樹脂フィルムを積層させたシートを用いることができる。第2層61を構成する樹脂フィルムに使用される樹脂は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、エチレン-酢酸ビニル共重合体などを例示することができるが、その中でもポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体を好ましく例示することができる。これらの樹脂は単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
第1層60の透湿性としては、例えば透湿度が1000g/m/24h以上であることが好ましく、2000g/m/24h以上であることがより好ましく、3000g/m/24h以上であることがさらに好ましい。これにより、収容部6内の蒸気発生体3から発せられる蒸気を、第1層60を通して使用者の顔側に良好に放出できる。一方で、第2層61の非透湿性としては、例えば透湿度が350g/m/24h以下であることが好ましく、300g/m/24h以下であることがより好ましい。これにより、非透湿性の第2層61がバリアとなることで、収容部6内の蒸気発生体3から発せられる蒸気を使用者の顔と反対側に放出されるのを抑制できる。以上により、収容部6内の蒸気発生体3から発せられる蒸気を使用者の顔側にのみ放出することで、気道に蒸気を効率よく供給することができる。なお、第2層61は透湿性であってもよい。
次に、蒸気発生体3について説明する。蒸気発生体3は、図1~図5に示すように、平面視で長方形状とすることができるが、その形状は特に限定されない。蒸気発生体3は、使用時に使用者の口元に配置されることから、その大きさは、例えば横方向に4cm以上14cm以下、縦方向に2cm以上7cm以下であることが好ましく、横方向に7cm以上11cm以下、縦方向に3cm以上6cm以下であることがより好ましい。なお、面積では、例えば8cm以上98cm以下であることが好ましく、25cm以上50cm以下であることがより好ましい。
蒸気発生体3は、使用時に使用者の口による呼吸を妨げないよう、通気孔30を形成することができる。通気孔30の形状や数は特に限定されないが、通気孔30は蒸気発生体3の左右方向の中央位置に上下方向に延びる切欠きとすることが好ましい。これにより、蒸気発生体3を左右方向の中央位置で通気孔30に沿って折り曲げやすくすることができる。蒸気発生体3に多量の水分を含浸させるためには、後述するように蒸気発生体3の目付を大きくする必要があるが、目付が大きくなると蒸気発生体3が硬くなり、使用時に蒸気発生体3が使用者の口元の顔面形状に沿い難くなって使用者に不快感を与えるおそれがある。しかし、通気孔30により蒸気発生体3が左右方向の中央位置で折れ曲がりやすくなることで、使用時に蒸気発生体3が使用者の口元の顔面形状に沿って変形するため、使用者に不快さを感じさせ難くすることができる。なお、蒸気発生体3には通気孔30が形成されていなくてもよい。
蒸気発生体3は、例えば紙、織布、不織布などの繊維素材の集合体のような水を保持可能な含水体で構成することができる。繊維素材としては、親水性繊維や、親水性繊維及び合成繊維の混紡繊維を用いることができ、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、レーヨン、コットン、パルプなどを挙げることができる。その中でも、柔軟性、保水性の観点から好ましくはパルプを挙げることができる。このような含水体の製法は、特に限定されるものではないが、エアレイド法などにより製造することができ、生産性、加工性、耐久性の観点から主成分たるパルプにポリエチレンなどの熱融着性繊維を所定の割合で混紡することが好ましい。
含水体を例えばパルプで形成する場合、パルプ:熱融着性繊維の割合は60:40~80:20が挙げられる。含水体は、単層又は複数層構造とすることができるが、耐久性、保水性の観点から、繊維素材を1対の不織布で挟んだ3層構造とすることが好ましい。このとき、1対の不織布で挟まれる層を中層、1対の不織布からなる層を両端層という。両端層の不織布は同素材としてもよく、異なる素材としてもよい。これら不織布の素材としては、親水性繊維、疎水性繊維、合成繊維、又は親水性繊維と合成繊維との混紡繊維を挙げることができ、親水性繊維としては、レーヨン、コットンを挙げることができ、好ましくはレーヨンである。親水性にすると製造時に水分をパルプに吸収させやすくなり、製造が容易になるという利点がある。疎水性繊維としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルを挙げることができ、好ましくはポリエチレン、ポリプロピレンである。疎水性にするとぬれやべたつきを防止できるという利点がある。したがって、着用者側に向く面を疎水性繊維で構成するとともに、それとは反対側の面をレーヨンなどの親水性繊維で構成することが好ましい。上述した1対の不織布は、例えば目付を20g/m以上50g/m以下にすることが好ましい。
含水体の目付は、特に限定されるものではないが、500g/m以上であることが好ましく、800g/m以上あることがより好ましい。これにより、多量の水を蒸気発生体3が保持することができる。一方で、目付が大きすぎると蒸気発生体3が硬くなるため、1500g/m以下であることが好ましく、1000g/m以下であることがより好ましい。
なお、含水体は、上述した繊維素材のほか、水を含浸可能な多孔質体により構成することもできる。
また、蒸気発生体3は、水を含むものであればよく、ゲル化剤及び水を含有する水性ゲル(含水ゲル状高分子)で構成することもできる。
蒸気発生体3は、水のみを含んでいてもよいが、水を主成分とし、水に他の成分としてポリオールを添加することができる。ポリオールとしては、グリセリンやジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、プロピレングリコール、ソルビトール、1,2ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオールなどが挙げられ、その中でも、グリセリンが安全性の点で好ましい。これらの他にも、メチルパラベンやフェノキシエタノールなどの防腐剤、ヒアルロン酸塩やベタインなどの保湿剤、植物エキス、キサンタンガムやヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC),ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、寒天、グアーガム、カラギーナンなどの水溶性増粘剤、ユーカリやミントなどの香料、香料を可溶化する界面活性剤(ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、アニオン性界面活性剤)などを適宜添加することができる。蒸気発生体3は、使用前は、不透過性のアルミラミネートフィルム、アルミ蒸着PETフィルム、透明(シリカ)蒸着PETフィルムからなる袋などに収容しておくことが好ましい。
蒸気発生体3は、多量の蒸気を発して気道に供給できるように、多量の水を含んでいることが好ましい。蒸気発生体3の含水量は、特に限定されるものではないが、その他の成分も含めて6g以上であることが好ましく、12g以上であることがより好ましく、18g以上であることがさらに好ましい。一方で、粘液線毛輸送機能向上具1の使用時の蒸気発生体3の重量による使用感低下を抑制する観点から、蒸気発生体3の含水量は、30g以下であることが好ましく、24g以下であることがより好ましい。
次に、発熱体4について説明する。発熱体4は、図1~図4に示すように、発熱材料40と、発熱材料40を封入した収納袋41とを含む。この発熱体4としては、例えば貼るタイプの使い捨てカイロを好適に用いることができる。発熱体4は、収納袋41の一方の面に設けられた粘着層(図示せず)を用いて本体2の収容部6の覆い部5側の面に取り付けられる。
発熱材料40は、空気との接触により発熱する発熱組成物を用いることができる。発熱組成物は、空気との接触により発熱するものであればよく、例えば、被酸化性金属、活性炭、保水剤(木粉、バーミキュライト、けい藻土、パーライト、シリカゲル、アルミナ、吸水性樹脂など)、金属塩(食塩など)及び水をそれぞれ適宜の含有量含んでいる、従来から使い捨てカイロに用いられている公知の組成物を使用することができる。被酸化性金属は、酸化反応熱を発する金属であり、例えば、鉄、アルミニウム、亜鉛、マンガン、マグネシウム、及びカルシウムから選ばれる1種又は2種以上の粉末や繊維が挙げられる。なかでも、取り扱い性、安全性、製造コスト、保存性及び安定性の点から鉄粉が好ましい。鉄粉としては、例えば、還元鉄粉、及びアトマイズ鉄粉から選ばれる1種又は2種以上が挙げられる。
なお、発熱材料40は、空気との接触により発熱する材料以外を用いてもよく、例えば、電子レンジ等でマイクロ波の照射を受けることで発熱する材料(例えばフェライト等のセラミック粉末)を用いてもよい。
収納袋41は、外周縁が全周にわたって接合された表面層及び裏面層を備え、表面層と裏面層との間に発熱材料40の封入空間を有する。表面層及び裏面層は、同形状の表裏2枚の第1シート42及び第2シート43を用い、2枚のシート42,43を重ね合わせ、外周縁を全周にわたって公知の接着剤を用いて接合する、あるいは熱融着により接合することによって形成することができる。発熱体4は、収納袋41の発熱材料40が封入されている部分が発熱部分44となる。
発熱体4の形状及びサイズは、特に限定されるものではないが、発熱部分44が蒸気発生体3により覆われる形状及びサイズとすることができ、好ましくは、蒸気発生体3と発熱部分44とがほぼ同形状・ほぼ同サイズである。
収納袋41の2枚のシート42,43の素材は、特に限定されるものではないが、強度や発熱材料40の発熱に対する耐久性などを考慮すると樹脂フィルムを用いることが好ましい。樹脂フィルムに使用される樹脂は、特に限定されるものではないが、熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリカーボネート、エチレン-酢酸ビニル共重合体などを例示することができるが、その中でもポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン酢酸ビニル共重合体を好ましく例示することができる。これらの樹脂は単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
また、収納袋41の2枚のシート42,43は、樹脂フィルムに通気性を有する織布又は不織布を積層させた積層体により構成されていてもよい。この場合には、発熱材料40側となる内側に樹脂フィルムが、外側に織布又は不織布が配置される。
織布又は不織布の繊維素材としては、コットン、麻、絹、紙などの天然繊維;レーヨン、アセテートなどの半合成繊維;ナイロン、ビニロン、ポリエステル、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリブチレンテレフタレートなどの合成繊維;これらの繊維の混合繊維などを例示することができる。その中でも、肌触りを良好とする観点から、繊維素材としてはナイロン、ポリエステル、ポリプロピレンなど、より好ましくはナイロン、ポリエステルを例示することができる。これらの繊維素材は単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。織布又は不織布の目付は、発熱材料40の収納袋3外部への漏出を防止できる程度の目付であれば特に制限されないが、20g/m以上70g/m以下程度であることが好ましい。
収納袋41の2枚のシート42,43の厚みは、特に制限されるものではないが、厚みが小さいほど収納袋41を柔らかくすることができる一方で、厚みが小さすぎると収納袋41の強度が低下するため、0.1mm以上2.0mm以下程度であることが好ましい。
収納袋41の2枚のシート42,43のうちの覆い部5側の第1シート42は通気性を有しており、反対の収容部6に貼り付けられる側の第2シート43は通気性を有していてもよいし、非通気性であってもよいが、非通気性であることが好ましい。
通気性を有する第1シート42に用いる樹脂フィルムは、通気性を確保するために、多孔質の樹脂フィルムである又は針で複数の穿孔(図示せず)が形成された樹脂フィルムであり、複数の孔を介して空気が収納袋41の内外を連通して発熱材料40に触れることで発熱材料40が発熱する。孔は、樹脂フィルムの全域に形成されていてもよいし、一部に形成されていてもよい。また、孔の大きさは、発熱材料40の収納袋41外部への漏出を防止できる程度の大きさであれは特に制限されない。孔の外形及び数も特に制限されず、孔の大きさ、形状、数は、収納袋41の通気度に応じた使用時の発熱体4の温度を考慮して、適宜設定される。一方で、非通気性の第2シート43に用いる樹脂フィルムは、多孔質でもなく、また穿孔(図示せず)も形成されていない非通気性の樹脂フィルムである。
なお、収納袋41における非通気性とは、完全に空気を通さない性質だけに限定されるものではなく、収納袋41の第2シート43が空気を通すための孔(例えば樹脂フィルムに形成される上述した穿孔や素材自体にもともと形成されている細孔)を有していないことを意味し、例えば樹脂フィルム自体がわずかながら通気していたとしても、非通気性に含まれる。
非通気性の第2シート43の表面に粘着層(図示せず)が設けられる。この粘着層は、アクリル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、シリコン系粘着剤、ゴム系粘着剤、松脂などを第2シート43の表面に塗布することで形成される。この粘着剤の塗布量は、特に限定されるものではなく、睡眠時などの長時間にわたり発熱体4を収納部6に持続して貼り付けることができればよい。 粘着層は、発熱体4が使用されるまでの間、剥離シート(図示せず)により覆われている。この剥離シートとしては、例えば、紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンなどを単独又は複数組み合わせて積層し、これらの粘着層を覆う側の面にシリコン加工を施して形成することができる。
発熱体4の発熱特性としては、特に限定されないが、最高温度としては蒸気発生体3の含水分を効率よく蒸発させるとともに本体2内側の顔との間の空間を好適な温度にしつつ粘液線毛輸送機能向上具1の使用時における使用者のやけどを抑制する観点から、30℃以上70℃以下が好ましく、40℃以上55℃以下がより好ましい。また、蒸気発生体3の含水分を持続的に十分に蒸発させるとともに本体2内側の顔との間の空間の温度を持続的に好適な温度に保つために、発熱温度が40℃以上を超える発熱持続時間としては30分以上が好ましく、80分以上がより好ましい。
以上に説明した粘液線毛輸送機能向上具1において、気道の加湿により粘液線毛輸送機能を効果的に向上させるためには、使用者が粘液線毛輸送機能向上具1の使用開始後、所定時間で多量の蒸気が蒸気発生体3から本体2内側の顔との間の空間に発せられることが好ましい。そのため、蒸気発生体3は、蒸気発生後30分間にわたる蒸気発生量が120mg以上180000mg以下となる蒸気の発生能を有することが好ましい。蒸気発生体3がこのような蒸気の発生能を有することで、低湿度環境下において使用者の気道を良好に加湿して粘液線毛輸送機能を効果的に向上することができる。
ここで、「蒸気発生後30分間にわたる蒸気発生量」とは、蒸気発生体3が使用者に対して蒸気の発生が可能な状態とされてから30分間を経過するまでに発する蒸気の総量をいう。「蒸気発生体3が使用者に対して蒸気の発生が可能な状態」とは、蒸気発生体3に対して蒸気を速やかに発生させるための手段が施されるとともに、該蒸気発生体3を粘液線毛輸送機能向上具1に備えさせた状態をいう。
蒸気発生体3が発熱体4の加熱により蒸気を発する場合には、蒸気発生体3を粘液線毛輸送機能向上具1に備えさせるとともに、発熱体4を発熱可能な状態(例えば使い捨てカイロであれば外袋より取り出して何度か揉みほぐした状態)としたうえで粘液線毛輸送機能向上具1の蒸気発生体3を加熱できる位置に備えさせた状態をいう。また、蒸気発生体3が自ら加熱することにより蒸気を発する場合には、蒸気発生体3を発熱可能な状態とし、かつ粘液線毛輸送機能向上具1に備えさせた状態をいう。蒸気発生体3は、粘液線毛輸送機能向上具1に備えさせた状態で発熱可能な状態としてもよいし、発熱可能な状態とした後に直ちに粘液線毛輸送機能向上具1に備えさせてもよい。また、蒸気発生体3が外部の加熱機器などの加熱により蒸気を発する場合には、蒸気発生体3を粘液線毛輸送機能向上具1に使用するに際して決められた条件で加熱しかつ粘液線毛輸送機能向上具1に備えさせた状態をいう。蒸気発生体3は、粘液線毛輸送機能向上具1に備えさせた状態で加熱してもよいし、単独で加熱した後に直ちに粘液線毛輸送機能向上具1に備えさせてもよい。
上述した粘液線毛輸送機能向上具1の蒸気発生後30分間にわたる蒸気発生量は、以下の方法で測定される。具体的には、温度10℃及び湿度25%~40%RHの環境下で、容積532cm(縦14cm×横9.5cm×高さ4.0cm)のデシケーター内に蒸気の発生が可能な状態の蒸気発生体3を備えた粘液線毛輸送機能向上具1を静置して、デシケーターを密閉する。そして、ポンプを用いて7L/分の吸引量で30分間、デシケーター内の空気を温度-40±5℃の冷却室に吸引し、冷却室内で蒸気を冷却することで凝縮された水の重量M1を測定する。また、デシケーター内に粘液線毛輸送機能向上具1が存在しない状態で、同様の条件でデシケーター内の空気を温度-40±5℃の冷却室に吸引し、冷却室内で蒸気を冷却することで凝縮された水の重量M2を測定する。粘液線毛輸送機能向上具1ありで測定された水の重量M1から粘液線毛輸送機能向上具1なしで測定された水の重量M2を引いた重量を、蒸気発生体3からの蒸気発生量とする。
上述した蒸気発生後30分間にわたる蒸気発生量は、蒸気発生量が多くなるほど、使用者の気道の粘液線毛輸送機能をより効果的に向上することができる一方で、蒸気発生量が多過ぎると、使用者が粘液線毛輸送機能向上具1を着用した時に蒸気による不快感が増す。そのため、当該蒸気発生量は、下限は500mg以上であることがより好ましく、上限は90000mg以下であることがより好ましい。
また蒸気発生体3は、蒸気発生後5分間にわたる蒸気発生量が20mg以上30000mg以下であることが好ましく、20mg以上15000mg以下であることがより好ましい。蒸気発生体3がこのような蒸気の発生能を有することで、粘液線毛輸送機能向上具1の使用開始後、速やかに十分な量の蒸気を気道に供給することができる。
この蒸気発生後5分間にわたる蒸気発生量は、蒸気発生体3が使用者に対して蒸気の発生が可能な状態とされてから5分間を経過するまでに発する蒸気の総量をいい、測定方法は、ポンプによる吸引時間を5分間とする以外は、上述した蒸気発生後30分間にわたる蒸気発生量の測定方法と同じである。
さらに蒸気発生体3は、蒸気発生後1分間にわたる蒸気発生量が4mg以上6000mg以下であることが好ましく、4mg以上3000mg以下であることがより好ましい。蒸気発生体3がこのような蒸気の発生能を有することで、粘液線毛輸送機能向上具1の使用開始後、即座に十分な量の蒸気を気道に供給することができる。
この蒸気発生後1分間にわたる蒸気発生量は、蒸気発生体3が使用者に対して蒸気の発生が可能な状態とされてから1分間を経過するまでに発する蒸気の総量をいい、測定方法は、ポンプによる吸引時間を1分間とする以外は、上述した蒸気発生後30分間にわたる蒸気発生量の測定方法と同じである。
上述の蒸気発生量は、蒸気発生体3の含水量及び発熱体4の発熱特性により調整することができる。
以上に説明した粘液線毛輸送機能向上具1において、気道の加湿により粘液線毛輸送機能をより効果的に向上させるためには、粘液線毛輸送機能向上具1の使用開始後、本体2内側の顔との間の空間の温度が少なくとも30分間、より好ましくは80分間、25℃以上に保持されることが好ましい。これにより該空間の蒸気を含む温かい空気を気道が吸い込むことで気道の温度が上がり、粘液線毛輸送機能が良好に向上する。そのうえ、該空間が心地よく加温・加湿された空間となり、使用者にリラックス効果を付与することができるので、例えば就寝の際に粘液線毛輸送機能向上具1を使用すると、スーッと気持ちよく眠れる。なお、粘液線毛輸送機能向上具1の使用開始後に即座に該空間の温度が25℃以上となる必要はなく、温度の立ち上がり期間があってもよい。該空間の温度は、発熱体4の発熱特性により調整することができる。
本体2内側の顔との間の空間の温度は、ある程度高い方が使用者をより心地よくすることができる。よって、該空間の温度は、粘液線毛輸送機能向上具1の使用開始後、少なくとも30分間、30℃以上に保持することがより好ましい。ただし、該空間の温度が高すぎたり比較的高い温度が長い時間続くと、使用者がやけどするおそれがある。そのため、使用者のやけどを防止する観点からは、該空間の最高温度は70℃以下であることが好ましい。
本体2内側の顔との間の空間の温度は、以下の方法で測定される。具体的には、温度10℃及び湿度25%~40%RHの環境下で、蒸気の発生が可能な状態の蒸気発生体3を備えた粘液線毛輸送機能向上具1を直ちに使用者が使用し、使用と同時に本体2と使用者の顔との間に温度センサを挿入して、温度センサにより測定された温度を該空間の温度とする。
以上に説明した本実施形態の粘液線毛輸送機能向上具1によれば、使用時に蒸気発生体3から蒸気が発生し、この蒸気により本体2内側の顔との間の空間が加湿される。よって、使用者の呼吸により加湿された空気(蒸気を含む空気)が気道に吸い込まれて気道の湿度が高まる。よって、低湿度環境下において使用者の気道の粘液線毛輸送機能を向上することができる。そのうえ、単に粘液線毛輸送機能向上具1を使用者の顔に装着するだけでよいので、その使用に手間がかかるなどのわずらわしさがなく、簡易に気道の粘液線毛輸送機能を向上できるとともに、例えば就寝中などの様々なシチュエーションであっても使用することができる。
また本実施形態の粘液線毛輸送機能向上具1によれば、蒸気発生体3が加熱されることで、使用開始後の所定時間内に多量の蒸気が蒸気発生体3から発せられて、本体2の内側の顔との間の空間が効率的に加湿される。よって、使用者の気道の湿度が速やかに十分に高まるので、使用者の気道の粘液線毛輸送機能を効果的に向上することができる。
また本実施形態の粘液線毛輸送機能向上具1によれば、蒸気発生体3が加熱されることで、本体2内側の顔との間の空間が加温される。これにより、該空間の空気を吸い込んだ気道の温度が上昇するので、使用者の気道の粘液線毛輸送機能をさらに効果的に向上することができる。
また本実施形態の粘液線毛輸送機能向上具1によれば、蒸気発生体3が発熱体4により加熱され続けることで、使用開始後の長時間にわたって本体2内側の顔との間の空間が加温・加湿された空間に保持されるので、使用者にリラックス効果を持続的に付与することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、上記実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないため、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変形が可能である。
例えば蒸気発生体3は、発熱体4を用いずに、使用前に例えば電子レンジなどでマイクロ波の照射を受けて加熱されることで、多量の蒸気を発するように構成することができるが、この場合には蒸気発生体3を本体2の収容部6に収容した後に電子レンジなどで加熱してもよいし、蒸気発生体3を電子レンジなどで加熱した後に本体2の収容部6に収容してもよい。使用者が粘液線毛輸送機能向上具1を使用する際、加熱された蒸気発生体3が本体2の収容部6に収容されているので、蒸気発生体3はその直後から多量の蒸気を発するうえ、蒸気発生体3の熱により本体2内側の顔との間の空間が加温される。蒸気発生量は、蒸気発生体3の加熱温度及び含水量により調整することができ、蒸気発生後30分間にわたる蒸気発生量を上述の所定量とするためには、蒸気発生体3は40℃以上に加熱されることが好ましい。一方で、蒸気発生体3に触れた際に熱過ぎることがないためには、蒸気発生体3は95℃以下に加熱されることが好ましい。なお、蒸気発生体3を加熱する方法は特に限定されず、他の種々の方法を用いてもよい。
また蒸気発生体3は加熱以外の方法で多量の蒸気を発するように構成してもよい。さらに蒸気発生体3は何らの手段を施すことなく自然に含水分が蒸発することで蒸気を発するように構成してもよい。
粘液線毛輸送機能向上具1が発熱体4を備えないことにより、粘液線毛輸送機能向上具1を就寝中などに使用するにあたり、発熱体4がないことでその重量を軽量化できるため、使用感の向上を図ることができる。
また上記実施形態の粘液線毛輸送機能向上具1では、覆い部5がプリーツ54により縦方向に伸長可能な構造になっているが、覆い部5を縦方向に伸長可能とする手段は、プリーツ54に限られるものではなくその他の種々の手段を用いることができ、例えば覆い部5にギャザーを形成することで覆い部5を縦方向に伸長可能な構造としてもよい。なお、覆い部5は伸長可能な構造とされていなくてもよい。
また上記実施形態の粘液線毛輸送機能向上具1では、覆い部5が平坦形状であるが、立体構造であってもよい。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。ただし、本発明の粘液線毛輸送機能向上具は、以下の実施例に限定されない。
粘液線毛輸送機能向上具による気道の粘液線毛輸送機能の向上効果について試験を行った。試験にはサッカリンテストを用いた。サッカリンテストは、被験者の鼻腔の下鼻甲介の内壁(鼻中隔)に人口甘味料であるサッカリン顆粒(Φ約1mm、重さ約5mg)を置き、溶けたサッカリンが粘液線毛機能によって輸送されて被験者が咽頭で甘味を感じるまでの時間(サッカリンタイム)を計測する方法である。サッカリンタイムが短いほど線毛活動が活発であり、粘液線毛輸送機能が良好に機能しているといえる。
被験者は健常成人16名(男性9名、女性7名)を対象とした。被験者に室温20℃、湿度40%の室内で15分間座位にて安静にしてもらい、まずはコントロール値の測定のため、さらに粘液線毛輸送機能向上具を装着せずに15分間座位にて安静にしてもらった後、鼻腔にサッカリン顆粒を入れ、サッカリンタイムを測定した。
次に後日に、コントロール値を測定した被験者に室温20℃、湿度40%の室内で15分間座位にて安静にしてもらい、今度は実施例1の粘液線毛輸送機能向上具を装着した状態で15分間座位にて安静にしてもらった後、粘液線毛輸送機能向上具を外して鼻腔にサッカリン顆粒を入れ、直ちに粘液線毛輸送機能向上具を再度装着してサッカリンタイムを測定した。
次に後日に、コントロール値を測定した被験者に室温20℃、湿度40%の室内で15分間座位にて安静にしてもらい、今度は実施例2の粘液線毛輸送機能向上具を装着した状態で15分間座位にて安静にしてもらった後、粘液線毛輸送機能向上具を外して鼻腔にサッカリン顆粒を入れ、直ちに粘液線毛輸送機能向上具を再度装着してサッカリンタイムを測定した。
なお、実施例1は本体の収容部に蒸気発生体を収容し、かつ、収容部の覆い部側の外面に発熱体を貼り付けた粘液線毛輸送機能向上具であり、実施例2は本体の収容部に蒸気発生体を収容しただけの粘液線毛輸送機能向上具である。
蒸気発生体は、縦55mm×横90mmのサイズを有しており、パルプ及び熱融着性繊維からなるエアレイド不織布(目付:444g/m)を、両面からレーヨンよりなるスパンレース不織布(目付:28g/m)によって挟んだ構造のもの(含水体)である。蒸気発生体は、以下の表1に示す成分を含む水が含まれている。
Figure 2022046232000002
発熱体は、縦55mm×横90mmのサイズを有しており、空気との接触により発熱する使い捨てカイロである。発熱体の発熱した際の最高温度は70℃、発熱温度が40℃以上を超える発熱持続時間は80分、発熱温度が40℃を越えるまでにかかる時間(立ち上がり時間)は3分であった。
本体は、図1~図3に示す形状のものであり、覆い部は2枚のポリプロピレンよりなるスパンボンド不織布を重ね合わせた構造のものである。覆い部のサイズは、縦90mm×横175mmであり、外側の不織布の目付は25g/mであり、内側の不織布の目付は19g/mである。本体の収容部は、スパンボンド不織布からなる。収容部のサイズは、縦80mm×横120mmである。
実施例1及び実施例2の粘液線毛輸送機能向上具について、蒸気発生後、30分間にわたる蒸気発生量を測定したところ、実施例1では500mgであり、実施例2では150mgであった。蒸気発生量の測定方法は、上述した通りである。加えて本体内側の顔との間の空間の温度を測定したところ、実施例1では36℃であり、実施例2では28℃であった。
各例のサッカリンテストの結果を図7に示す。比較例のサッカリンタイム(コントロール値)は平均15.533±1.754分(mean±SE)であるのに対し、実施例1のサッカリンタイムは平均9.717±1.661分であり、実施例2のサッカリンタイムは平11.414±1.532分であった。実施例1及び実施例2のサッカリンタイムはいずれも比較例のサッカリンタイムよりも有意に短縮した。また実施例1のサッカリンタイムと実施例2のサッカリンタイムとの間では実施例1のサッカリンタイムのほうが短かった。
以上の結果から、実施例1,2の粘液線毛輸送機能向上具を使用することにより、使用しない場合よりもサッカリンタイムが短縮しており、本発明の粘液線毛輸送機能向上具は、使用者の気道の粘液線毛輸送機能を効果的に向上できることが分かる。また、蒸気発生体が加熱されて蒸気を発することにより、粘液線毛輸送機能向上具は、使用者の気道の粘液線毛輸送機能をさらに効果的に向上できることが分かる。
1 粘液線毛輸送機能向上具
2 本体
3 蒸気発生体
4 発熱体

Claims (6)

  1. 使用者の顔に少なくとも鼻及び/又は口を覆うように装着される本体と、
    蒸気を発する蒸気発生体であって、前記本体よりも使用者の顔側に配置される蒸気発生体と、を備え、
    気道の粘液線毛輸送機能の向上のために使用される、ことを特徴とする粘液線毛輸送機能向上具。
  2. 前記蒸気発生体は、水を保持する含水体である、ことを特徴とする請求項1に記載の粘液線毛輸送機能向上具。
  3. 前記蒸気発生体は、加熱されることで蒸気を発する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の粘液線毛輸送機能向上具。
  4. 前記蒸気発生体を加熱する発熱体をさらに備える、ことを特徴とする請求項3に記載の粘液線毛輸送機能向上具。
  5. 前記蒸気発生体は、含水分が自然蒸発することで蒸気を発する、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の粘液線毛輸送機能向上具。
  6. 前記蒸気発生体は、蒸気発生後30分間にわたる蒸気発生量が120mg以上180000mg以下である、ことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の粘液線毛輸送機能向上具。
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