JP2022043998A - 導電性積層体及びこれを用いた光学装置、導電性積層体の製造方法 - Google Patents

導電性積層体及びこれを用いた光学装置、導電性積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低電気抵抗と高透過率を両立する導電性積層体の提供及びこれを備えた各種光学素子、導電性積層体の製造方法の提供。【解決手段】導電性積層体1は、透明基材2の少なくとも1面上に、第1の金属酸化物層3、金属層4及び第2の金属酸化物層5が、透明基材2側からこの順に積層され、第1の金属酸化物層3の透明基材側2の界面の算術平均粗さが2.0nm以下である。例えば、導電性積層体1では、第1の金属酸化物層3の透明基材2側の界面が透明基材2の表面である。また、透明基材2と第1の金属酸化物層3との間に樹脂層6をさらに備える導電性積層体1Aでは、第1の金属酸化物層3の透明基材2側の界面が樹脂層6の表面である。【選択図】図1

Description

本技術は、例えばタッチパネル、調光素子、電気泳動型光学素子、発光素子、アンテナなどに用いられる導電性積層体に関する。
導電性フィルム等の導電性積層体は、ディスプレイやタッチパネル、エレクトロクロミックデバイスなど幅広く利用されており、高透明かつ低抵抗であることが求められる。導電性フィルムとしては、例えば、ITO(Indium Tin Oxide)フィルムが広く用いられている。
しかし、ITOフィルムは、光学調整層などを用いることで全光線透過率を88%以上の高透明とすることができるものの、抵抗値が100Ω/□程度であり、低抵抗とは言えない。また、ITOフィルムは、毒性をもつ材料(インジウム)が用いられる問題もある。
そこで、金属層(例えば、膜厚5~30nm程度の銀又は銀合金からなる金属薄膜)を金属酸化物層などの透明薄膜材料で挟持した積層型の導電薄膜(導電性積層体)が注目されている。導電性積層体は、膜厚を調整することにより、例えば、抵抗値を5~30Ω/□程度とし、かつ、全光線透過率を90%以上とすることができるため、例えば、PDP(Plasma Display Panel)の電磁シールドとしてガラス表面に成膜して使用されてきた。
例えば、特許文献1には、銀系薄膜層としての銀-パラジウム合金を、複数の金属酸化物層(アルミ添加酸化亜鉛)で挟み込んだ構造の透明導電性積層体が記載され、また、この透明導電性積層体の可視光透過率が78%であることが記載されている。
このように、銀を主成分とする金属層を金属酸化物で挟持した透明導電性積層体をガラス上に成膜すると、高透過かつ低抵抗が得られる。しかし、このような導電性積層体を、フィルム上に成膜すると、ガラス上に成膜したときと比較して透明性が失われ、抵抗値も上昇する傾向にある。
国際公開第2017/170673号
本技術は、このような従来の実情に鑑みて提案されたものであり、低電気抵抗と高透過率を両立する導電性積層体及びこれを備えた各種光学素子、導電性積層体の製造方法を提供する。
本願発明者らが鋭意検討した結果、透明基材側から、第1の金属酸化物層、金属層及び第2の金属酸化物層をこの順に積層させた導電性積層体において、第1の金属酸化物層の透明基材側の界面の算術平均粗さを特定値以下とすることにより、低電気抵抗と高透過率を両立しうることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本技術に係る導電性積層体は、透明基材の少なくとも1面上に、第1の金属酸化物層、金属層及び第2の金属酸化物層が、透明基材側からこの順に積層され、第1の金属酸化物層の透明基材側の界面の算術平均粗さが2.0nm以下である。
本技術に係る光学装置は、上述の導電性積層体を電極の少なくとも一方の極として用いたものである。
本技術に係る導電性積層体の製造方法は、透明基材の少なくとも1面上に、第1の金属酸化物層、金属層及び第2の金属酸化物層を、透明基材側からこの順に積層する工程を有し、第1の金属酸化物層の透明基材側の界面の算術平均粗さが2.0nm以下である。
本技術によれば、導電性積層体の各界面での光吸収層の生成を抑制できるため、低電気抵抗と高透過率を両立する導電性積層体を提供できる。
図1は、本技術が適用された導電性積層体の構成例を模式的に示す断面図である。 図2は、本技術が適用された導電性積層体の構成例を模式的に示す断面図である。 図3は、薄膜形成装置の内部構成例を示す斜視図である。
以下、本技術が適用された導電性積層体及びこれを用いた光学装置、導電性積層体の製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本技術は、以下の実施形態のみに限定されるものではなく、本技術の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。また、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることがある。具体的な寸法等は以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
[導電性積層体]
<第1の実施の形態>
図1は、本技術が適用された導電性積層体1の構成例を模式的に示す断面図である。導電性積層体1は、図1に示すように、透明基材2の少なくとも1面上に、第1の金属酸化物層3、金属層4及び第2の金属酸化物層5が、透明基材2側からこの順に積層されている。また、導電性積層体1は、第1の金属酸化物層3の透明基材2側の界面の算術平均粗さ(Ra)が2.0nm以下である。
ディスプレイやエレクトロクロミックデバイスなどに用いられる導電性フィルムは、低電気抵抗と高透過率を両立するものが求められる。ここで、金属層(例えば銀などの金属薄膜)を金属酸化物層で挟んだ多層膜を、例えばロールツーロール法に適した透明基材(例えば、導電性フィルムなどの樹脂フィルム)上に成膜すると、ガラス上に成膜した場合と比べて、抵抗値、透過率がともに劣化してしまう傾向にある。
そこで、本技術では、第1の金属酸化物層3の透明基材2側の界面の算術平均粗さを2.0nm以下とすることにより、第1の金属酸化物層3、金属層4及び第2の金属酸化物層5を、フィルム上に積層したときにも、ガラス上に積層したときと同様に、低電気抵抗と高透過率を両立する導電性積層体が得られる。
これは、第1の金属酸化物層3の透明基材2側の界面の算術平均粗さを2.0nm以下とすることで、導電性を担う金属薄膜(第1の金属酸化物層3、金属層4及び第2の金属酸化物層5)が凝集を起こして連続膜とならず局在化してしまうのを抑制して、表面抵抗値の上昇や光吸収の増大を抑制できるためと考えられる。
このように、導電性積層体1によれば、表面抵抗値(電気抵抗値)を低くでき、全光線透過率を高くすることができ、例えば、表面抵抗値が10Ω/□以下、かつ、全光線透過率が90%以上とすることができる。表面抵抗値及び全光線透過率の測定方法は、後述する実施例の測定方法と同様である。
導電性積層体1は、省電力、高性能の光学装置、例えば、導電性積層体を電極の少なくとも一方の極として用いた、タッチパネル、調光素子、電気泳動型光学素子、発光素子、アンテナ、ディスプレイ材料、エレクトロクロミックデバイス、電磁シールド材料などに適用することができる。
以下、導電性積層体1の層構成の具体例について説明する。
<透明基材>
透明基材2は、第1の金属酸化物層3と接する表面の算術平均粗さが2.0nm以下であり、1.5nm以下であってもよく、1.0nm以下であってもよい。透明基材2の第1の金属酸化物層3と接する表面の算術平均粗さの下限値は、特に限定されず、例えば、0.01nm以上とすることができ、0.1nm以上であってもよい。
透明基材2としては、例えば、ガラス、樹脂フィルムのいずれからなるものを用いることができる。透明基材2として樹脂フィルムを用いる場合には、ロールツーロール法によって製造することができるので、生産効率を向上させることができる。
このような樹脂フィルムの材料としては、特に限定されることはないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET:Polyethylene Terephthalate)、ポリエチレンナフタレート(PEN:Polyethylene Naphthalate)、ポリアラミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、トリアセチルセルロース(TAC:Triacetylcellulose)、ポリシクロオレフィン(COC:Cyclic Olefin Copolymer、COP:Cyclic Olefin Copolymer)等を用いることができる。
透明基材2の厚みは、特に限定されないが、樹脂フィルムを用いたときの製造時の取り扱いの容易さと部材の薄型化を考慮して、20~200μmとすることが好ましい。
導電性積層体1において、透明基材2は、光透過率が100%であることを必要とせず、本技術の効果を奏する範囲で透明であればよく、例えば、光透過率が90%以上であることが好ましい。
なお、透明基材2の耐擦過性をより向上させる観点では、透明基材2の両面に、例えばアクリル系樹脂による薄膜を、溶液塗布により形成してもよい。
<第1の金属酸化物層>
第1の金属酸化物層3は、金属酸化物からなる層であれば特に限定されず、例えば、亜鉛を含有する酸化物(亜鉛酸化物)、又は、亜鉛を含有する複合酸化物で構成することができる。第1の金属酸化物層3としては、例えば、亜鉛と錫の複合酸化物が挙げられる。亜鉛と錫の複合酸化物において、錫の比率は、例えば、亜鉛と錫の合計量に対して10~90原子%とすることができる。また、第1の金属酸化物層3は、亜鉛と錫の合計量に対して50原子%を超えない範囲で、亜鉛と錫以外の他の元素を1種又は複数種さらに含有してもよい。
第1の金属酸化物層3は、亜鉛を含まない金属酸化物で構成されていてもよい。第1の金属酸化物層3は、金属層4との相互作用が小さい物質の酸化物で構成することができる。例えば、金属層4が銀を主成分とする場合、第1の金属酸化物層3は、Nb、Ti、Zr、Hf、Ta、W、Mo等、銀との相互作用が小さい物質の酸化物で構成することができる。
第1の金属酸化物層3の具体例としては、酸化亜鉛錫(ZTO:Zinc Tin Oxide)や、Nbで構成される層が挙げられる。
第1の金属酸化物層3の厚みは、特に限定されず、材料構成に応じて最も透過率が高くなる膜厚に設定することができる。第1の金属酸化物層3の具体的な厚みとしては、例えば、30~80nmとすることができる。
第1の金属酸化物層3の形成方法については、特に限定されず、生産効率を向上させる観点、膜厚分布を均一化させる観点では、スパッタリング法を用いることが好ましい。
第1の金属酸化物層3は、防湿性の観点では、複数の層に分けて形成してもよい。この場合、複数の第1の金属酸化物層3のうち、少なくとも金属層4に接する層が、亜鉛を含有する酸化物、又は、亜鉛を含有する複合金属酸化物で構成されることが好ましい。
<金属層>
第1の金属酸化物層3上に積層される金属層4は、例えば、銀を主成分とする金属層で構成できる。例えば、金属層4は、銀を90原子%以上含有するとともに、全体で10原子%を超えない範囲で添加元素をさらに含んでいてもよい。すなわち、金属層4は、例えば、90原子%以上の銀又は純銀で構成することができる。
金属層4の厚みは、特に限定されないが、5nm以上が好ましい。金属層4の厚みが5nm以上であることにより、連続膜として形成しやすくなり、金属層4を構成する金属(例えば銀)が島状化することによって生じる吸収をより効果的に抑制することができる。金属層4の厚みの上限は、特に限定されないが、15nm未満が好ましい。金属層4の厚みを15nm未満とすることにより、界面での吸収よりも金属層4を構成する金属(例えば銀)の層内部での光吸収が大きくなるのをより効果的に抑制できる。
金属層4の形成方法は、特に限定されないが、金属層4の形成後、連続して第2の金属酸化物層5を形成することが好ましい。また、生産効率を向上させる観点、膜厚分布を均一化させる観点からは、金属層4は、スパッタリング法を用いて形成することが好ましい。
<第2の金属酸化物層>
金属層4上に積層される第2の金属酸化物層5は、例えば、上述した第1の金属酸化物層3と同様に、亜鉛を含有する酸化物(亜鉛酸化物)、又は、亜鉛を含有する複合酸化物で構成することができる。
第2の金属酸化物層5は、光学特性、電気伝導性、化学的安定性の観点から、50原子%を超えない範囲で、亜鉛以外の他の元素を1種又は複数種さらに含有してもよい。第2の金属酸化物層5は、電気伝導性をより向上させる観点から、アルミニウム及びガリウムの少なくとも1種を含有することが好ましく、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO:Aluminum doped Zinc Oxide)がより好ましい。第2の金属酸化物層5がアルミニウム及びガリウムの少なくとも1種を含有する場合、第2の金属酸化物層5は、アルミニウム及びガリウムの少なくとも1種を2原子%以上含有することが好ましく、アルミニウムを2原子%以上含有することがより好ましい。第2の金属酸化物層5において、アルミニウム及びガリウムの合計量の上限値は、特に限定されないが、例えば15原子%以下とすることができ、12原子%以下であってもよく、10原子%以下であってもよく、8原子%以下であってもよく、5原子%以下であってもよい。特に、第2の金属酸化物層5は、亜鉛を含有し、且つ、アルミニウムを2原子%以上含有する複合金属酸化物で構成されていることが好ましい。
第2の金属酸化物層5の厚みは、特に限定されず、材料構成に応じて最も透過率が高くなる膜厚に設定することができる。第2の金属酸化物層5の具体的な厚みとしては、例えば30~70nmとすることができる。
第2の金属酸化物層5の形成方法は、特に限定されないが、金属層4の形成後に連続して形成することが好ましい。また、生産効率を向上させる観点、膜厚分布を均一化させる観点から、第2の金属酸化物層5は、スパッタリング法を用いて形成することが好ましい。
第2の金属酸化物層5は、耐擦傷性の観点では、複数の層に分けて形成してもよい。この場合、複数の第2の金属酸化物層5のうち、少なくとも金属層4に接する層が、亜鉛を含有する酸化物、又は、亜鉛を含有する複合金属酸化物で構成されることが好ましい。また、複数の第2の透明材料層5のうち、金属層4に接する層以外の他の層は、良好な電気伝導性を保持するために、電気伝導性を有する透明酸化物で構成されることが好ましい。
なお、図1に示す導電性積層体1は、透明基材2の一方の面に第1の金属酸化物層3、金属層4及び第2の金属酸化物層5がこの順に積層されているが、透明基材2の他方の面または透明基材2の両面に、第1の金属酸化物層3、金属層4及び第2の金属酸化物層5がこの順に積層されていてもよい。
<第2の実施の形態>
図2は、本技術が適用された導電性積層体1Aの構成例を模式的に示す断面図である。導電性積層体1Aは、図2に示すように、透明基材2と第1の金属酸化物層3との間に樹脂層6をさらに備え、第1の金属酸化物層3の透明基材2側の界面が樹脂層6の表面である。すなわち、導電性積層体1Aは、透明基材2の少なくとも1面上に、樹脂層6、第1の金属酸化物層3、金属層4及び第2の金属酸化物層5が、透明基材側2からこの順に積層され、第1の金属酸化物層3の透明基材2側の界面の算術平均粗さが2.0nm以下である。このように、樹脂層6における、第1の金属酸化物層3側の表面の算術平均粗さは2.0nm以下であり、1.5nm以下であってもよく、1.0nm以下であってもよく、0.7nm以下であってもよい。樹脂層6における、第1の金属酸化物層3側の表面の算術平均粗さの下限値は、特に限定されず、例えば0.01nm以上とすることができ、0.1nm以上であってもよい。また、樹脂層6における、第1の金属酸化物層3側の表面の算術平均粗さは、例えば0.3~2.0nmの範囲であってもよく、0.7~2.0nmの範囲であってもよい。
樹脂層6は、フィラーを含有していてもよいし、フィラーを含有していなくてもよい。フィラーは、例えば金属酸化物が粒子状になったものである。樹脂層6がフィラーを含有する場合、フィラーの平均粒径は、第1の金属酸化物層3の透明基材2側の界面、すなわち、樹脂層6の表面の算術平均粗さを2.0nm以下に調整しやすくする理由から、例えば50nm以下とすることができ、15~50nmの範囲であってもよい。フィラーの平均粒径は、例えば、樹脂層6と第1の金属酸化物層3との密着性や樹脂層6と透明基材2との密着性の観点では、800nm以下とすることができ、20~100nmとすることもでき、30~70nmとすることもできる。ここで、平均粒径とは、BET法により測定した値をいう。
フィラーの具体例としては、SiO(シリカ)、Al(アルミナ)、TiO(チタニア)、ZrO(ジルコニア)、CeO(セリア)、MgO(マグネシア)、ZnO、Ta、Sb、SnO、MnOなどが挙げられる。これらの中でも、例えば、より高透過率が得られる観点では、シリカが好ましい。市場で入手可能な具体例としては、例えば、日産化学社製の商品名「IPA-ST-L」(シリカゾル)、「IPA-ST」(シリカゾル)が挙げられる。また、樹脂との密着性や親和性を高める目的で、フィラーの表面には、アクリル基、エポキシ基等の官能基が導入されていてもよい。
樹脂層6がフィラーを含有する場合、樹脂層6中のフィラーの含有量(フィラー密度)は、例えば、5wt%以上とすることができ、10wt%以上であってもよく、20wt%以上であってもよく、25wt%以上であってもよく、30wt%以上であってもよい。また、樹脂層6がフィラーを含有する場合、樹脂層6の表面の算術平均粗さを2.0nm以下に調整しやすくする理由から、樹脂層6中のフィラーの含有量は、例えば35wt%以下とすることができ、10~35wt%の範囲であってもよく、15~32wt%の範囲であってもよい。
樹脂層6は、例えば、紫外線硬化型樹脂、電子線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、熱可塑型樹脂、二液混合型樹脂などで構成することができる。樹脂層6は、紫外線照射により効率良く形成できる観点で、紫外線硬化型樹脂を用いることが好ましい。
紫外線硬化型樹脂としては、例えば、アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、ポリエステル系、アミド系、シリコーン系などが挙げられる。これらの中でも、高透明性が得られる観点で、アクリル系の紫外線硬化型樹脂を用いることが好ましい。
アクリル系の紫外線硬化型樹脂は、特に限定されず、2官能又は3官能以上の多官能のアクリル系のモノマー、オリゴマー、ポリマー成分などから、硬度、密着性、加工性等を鑑みて適宣選択して用いることができる。
2官能のアクリレート成分の具体例としては、ポリエチレングリコール(600)ジアクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート、ビスフェノールAEO変性ジアクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、1,10-デカンジオールジアクリレート、プロポキシ化ビスフェノールAジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、ポリエチレングリコール(200)ジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレートなどが挙げられる。市場で入手可能な具体例としては、例えばサートマー社製の商品名「SR610」などを挙げることができる。
3官能以上のアクリレート成分の具体例としては、ペンタエリストリールトリアクリレート(PETA)、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート、イソシアヌル酸EO変換トリアクリレート、ε-カプロラクトン変性トリス-(2-アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)、ε-カプロラクトン変性トリス(アクロキシエチル)アクリレートなどが挙げられる。市場で入手可能な具体例としては、例えばサートマー社製の商品名「CN968」、サートマー社製の商品名「SR444」などを挙げることができる。
アクリル系の紫外線硬化型樹脂を用いる場合、樹脂層6は、平滑性をより向上させる観点では、レベリング剤を含有してもよい。レベリング剤の具体例としては、例えば、シリコーン系レベリング剤、フッ素系レベリング剤、アクリル系レベリング剤などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、塗膜性の観点では、シリコーン系レベリング剤が好ましい。市場で入手可能な具体例としては、例えばビックケミー・ジャパン社製の商品名「BYK337」(ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン)などを挙げることができる。
樹脂層6は、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーと、2官能の(メタ)アクリレートモノマーと、光重合開始剤とを含有する紫外線硬化型樹脂を光重合させてなることが好ましい。また、樹脂層6は、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーと、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーと、2官能の(メタ)アクリレートモノマーと、光重合開始剤と、フィラー(例えばシリカ微粒子)とを含有する紫外線硬化型樹脂を光重合させてなるものであってもよい。
[導電性積層体の製造方法]
上述した導電性積層体1は、例えば、透明基材2の1面上に、第1の金属酸化物層3、金属層4、第2の金属酸化物層5を、透明基材2側からこの順に積層することにより製造できる。
第1の金属酸化物層3、金属層4、第2の金属酸化物層5の成膜は、例えば特開2014-34701号公報に記載された薄膜形成装置を用いて形成することができる。
図3は、薄膜形成装置の内部構成例を示す斜視図である。この薄膜形成装置は、ロールツーロール法によってフィルム基材上にスパッタリングによる成膜を行うもので、複数のスパッタリングターゲットを設置することができ、しかも、一旦ロールをセットすると真空雰囲気を維持したまま異なる複数種類の材料を成膜することが可能である。
さらに、この薄膜形成装置では、スパッタリング時にスパッタガスであるアルゴンガスの他に酸素ガスをプラズマ中に導入することができ、それによりターゲット材料の酸化物をフィルム基材上に形成することができる。
以下、薄膜形成装置の構成を詳述する。この薄膜形成装置は、フィルム基材が長手方向に連続的に供給され、フィルム基材上に形成された薄膜の幅方向の光学特性を測定する測定部と、フィルム基材の幅方向に複数のガスノズルが設けられ、ターゲット近傍に反応性ガスを供給する供給部と、測定部における幅方向の光学特性に基づいて、各ガスノズルから噴出する反応性ガスの流量を制御する制御部とを備え、長手方向及び幅方向に均一な厚みの薄膜を形成可能としたものである。
また、具体的な構成として、供給部と、ターゲットに電圧を印加するスパッタ電極と、成膜中におけるフィルム基材の幅方向のプラズマの発光スペクトルを測定するプラズマ測定部とを有する成膜部を備えることが好ましい。これにより、制御部は、測定部における幅方向の光学特性及びプラズマ測定部における発光スペクトルに基づいて、各ガスノズルから噴出する反応性ガスの流量及びターゲットに印加する電圧を制御することができ、幅方向により均一な厚みの薄膜を形成することが可能となる。
また、具体的な構成として、フィルム基材を長手方向に巻き出す巻出部と、成膜部がフィルム基材の長手方向に複数配置された成膜ユニットと、成膜ユニットにて薄膜が形成されたフィルム基材を巻き取る巻取部とを備えることが好ましい。これにより、フィルム基材の巻き出しから巻き取りまでに、多層の薄膜を形成することができる。また、測定部は、成膜部の後にそれぞれ設置されることが好ましいが、少なくとも最後の成膜部の後、すなわち成膜ユニットと巻取部との間に設置されることが好ましい。これにより、単層の薄膜又は多層の薄膜の両者の光学特性を測定することができる。
図3に示す薄膜形成装置は、フィルム基材であるベースフィルムをキャンロールに巻付けながら走行させ、スパッタリングによってベースフィルム表面に薄膜を形成するものである。
この薄膜形成装置は、巻出部である巻出ロール11からベースフィルム10(透明基材2)を供給し、薄膜が形成されたベースフィルム10を巻取部である巻取ロール12によって巻き取る。また、真空チャンバー内に成膜ユニットである第1の成膜室ユニット及び第2の成膜室ユニットを備える。真空チャンバーは、空気の排出を行う真空ポンプと接続され、所定の真空度に調整可能である。
第1の成膜室ユニット及び第2の成膜室ユニットは、それぞれ第1のキャンロール21及び第2のキャンロール22を備え、キャンロール21、22の外周面に対向するように成膜部であるスパッタ室SP1~10を複数配置する。各スパッタ室SP1~10には、電極上に所定のターゲットが取り付けられるとともに、ベースフィルム10の幅方向に複数のガスノズルを有する供給部が設けられる。
また、薄膜形成装置は、第1の成膜室ユニットと第2の成膜室ユニットとの間、すなわちスパッタ室SP5による成膜後に、光学特性を測定する測定部である光学モニター31を備える。これにより、第1の成膜室ユニット後の中間品の成膜を制御することができるとともに、単層による調整時の調整時間を削減することができる。また、第2の成膜室ユニットの後、すなわちスパッタ室SP10による成膜後に光学特性を測定する測定部である光学モニター32を備える。これにより、第2の成膜室ユニット後の最終品の成膜の品質を確認することができる。
光学モニター31、32は、後述するように、幅方向にスキャン可能な光学ヘッドにより、ベースフィルム10上に形成された薄膜の幅方向の光学特性を測定する。この光学モニター31、32により、例えば、光学特性として反射率のピーク波長を測定し、光学厚みに換算することにより、幅方向の光学厚み分布を得ることができる。
このような構成からなる薄膜形成装置では、巻出ロール11からベースフィルム10(透明基材2)を繰出し、第1のキャンロール21及び第2のキャンロール22の搬送時にベースフィルム10上に薄膜(第1の金属酸化物層3、金属層4、第2の金属酸化物層5)を形成し、巻取ロール12によって巻取ることにより、多層の薄膜を得ることができる。ここで、光学モニター31、32によって、ベースフィルム10上に形成された薄膜の幅方向の光学特性を測定し、光学特性に基づいて、幅方向に設けられた各ガスノズルからの反応性ガスの流量を制御することにより、長手方向及び幅方向に均一な厚みの薄膜を形成することができる。
また、上述した導電性積層体1Aは、例えば、透明基材2の少なくとも1面上に樹脂層6を形成した後、第1の金属酸化物層3、金属層4、第2の金属酸化物層5を、透明基材2上に形成された樹脂層6側からこの順に積層することにより製造できる。樹脂層6は、例えば、上述した紫外線硬化型樹脂などの樹脂組成物を用いて形成することができる。
樹脂層6における、第1の金属酸化物層3側の表面の算術平均粗さは、例えば、フィラーの大きさ(平均粒径)、樹脂層6中のフィラーの含有量(フィラー密度)、樹脂の硬化条件などで調整することができる。
樹脂層6にフィラーを含有させる場合、フィラーの含有量は、例えば樹脂層6と第1の金属酸化物層3との密着性や樹脂層6と透明基材2との密着性の観点から、樹脂層6を形成するための樹脂組成物の全固形分に対して、20~50wt%とすることができる。なお、樹脂組成物の固形分とは、溶剤を除く全成分であり、液状のモノマー成分は固形分に含むものとする。また、フィラーの含有量は、上述した導電性積層体の第2の実施の形態における樹脂層6中のフィラーの含有量の数値範囲としてもよい。
樹脂層6を形成するための樹脂組成物に用いる溶剤は、樹脂組成物の塗布性を満足するものであれば特に限定されないが、例えば、安全性を考慮することが好ましい。溶剤の具体例としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ブチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルなどが挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。これらの中でも、塗布性の観点では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸ブチルを用いることが好ましい。
樹脂層6を形成するための樹脂組成物として紫外線硬化型樹脂を用いる場合、光重合開始剤を用いる。光重合開始剤の具体例としては、例えば、アルキルフェノン系光重合開始剤、アシルフォスフィンオキサイド系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤などが挙げられる。市場で入手可能な具体例としては、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(IRGACURE184、BASF社製)などが挙げられる。
また、樹脂層6を形成するための樹脂組成物として紫外線硬化型樹脂を用いる場合、色相調整剤、着色剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、各種熱可塑性樹脂材料、屈折率調整樹脂、屈折率調整粒子、密着性付与樹脂等の機能性付与剤をさらに含有してもよい。
樹脂層6は、例えば、次の方法で形成することができる。まず、樹脂層6を形成するための樹脂組成物をディスパーなどの攪拌機を用いて常法に従って均一に混合して調整する。次に、樹脂層6を形成するための樹脂組成物を透明基材2上に塗布する。そして、透明基材2上に塗布した樹脂組成物を乾燥、硬化させることにより樹脂層6を形成することができる。
樹脂組成物を透明基材2上に塗布する方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。塗布方法としては、例えば、マイクログラビアコート法、ワイヤーバーコート法、ダイレクトグラビアコート法、ダイコート法、ディップ法、スプレーコート法、リバースロールコート法、カーテンコート法、コンマコート法、ナイフコート法、スピンコート法などが挙げられる。
透明基材2上に塗布した樹脂組成物を乾燥させる条件は、特に限定されるものではなく、自然乾燥であっても、乾燥湿度や乾燥時間などを調整する人工乾燥であってもよい。紫外線硬化型樹脂組成物を硬化させる場合の光としては、紫外線の他、ガンマ線、アルファー線、電子線等のエネルギー線を適用することができる。
そして、透明基材2の少なくとも1面上に樹脂層6を形成した後、上述した薄膜形成装置を用いて、樹脂層6上に、第1の金属酸化物層3、金属層4、第2の金属酸化物層5をこの順に成膜することにより、図2に示す導電性積層体1Aを作製することができる。
以下、本技術の実施例について説明する。本実施例では、例えば図1に示すように、透明基材2の1面上に、第1の金属酸化物層3、金属層4及び第2の金属酸化物層5がこの順に積層された導電性積層体1、または、例えば図2に示すように、透明基材2の1面上に、樹脂層6、第1の金属酸化物層3、金属層4及び第2の金属酸化物層5がこの順に積層された導電性積層体1Aを作製した。そして、作製した導電性積層体の全光線透過率及び表面抵抗値を評価した。
<算術平均粗さ(Ra)>
原子間力顕微鏡(Atomic Force Microscopy:AFM)を用いて、製膜前後における、透明基材表面または樹脂層表面の算術平均粗さ(Ra)を測定した。結果を表3に示す。
<全光線透過率>
導電性積層体の全光線透過率は、「JIS K-7105」に準拠して「NDH5000(日本電色工業株式会社製)」を用いて測定を行った。結果を表3に示す。
<表面抵抗値>
導電性積層体の表面抵抗値は「JIS K-7194」に準拠して、接触式の抵抗測定器である「ロレスタGP(登録商標)(株式会社ダイアインスツルメンツ製)」を用いて測定を行った。表面抵抗値の指標である10Ω/□以下とならないものについては、実用性に耐えられないと判断した。結果を表3に示す。
<実施例1>
表1に示す組成の樹脂層形成用の樹脂組成物を準備した。樹脂組成物は、アクリレートと、光重合開始剤と、レベリング剤とを溶剤に溶解させて調製した。
Figure 2022043998000002
透明基材として、表面の算術平均粗さ0.3nm、厚さ80μmのTACフィルム上に、調製した光硬化性樹脂組成物をバーコーターで塗布した後、樹脂組成物を光重合させ、厚さ3.5μmの樹脂層を形成した。
図3に示す特開2014-34701号公報記載の薄膜形成装置を用いて、TACフィルム上に形成した樹脂層上に、第1の金属酸化物層、金属層及び第2の金属酸化物層を順次形成した。
薄膜形成装置は、複数の材料の薄膜を同時に順次積層することができ、本実施例では、フィルム巻き出し側に近い側より、50原子%錫含有酸化亜鉛(以下、「50atm%Sn-Zn-O」などという)、銀、2原子%アルミニウム含有酸化亜鉛のターゲットをこの順に配置した。それぞれのターゲットは、独立した電源に接続されており、任意の電力を投入して放電することが可能である。また、それぞれのターゲットは、それぞれ独立した容器内に収納されており、ターゲットを隔てる隔壁がキャンロール付近にわずかな隙間を有するのみであり、実質的に異なるガス雰囲気を実現することが可能である。
この薄膜形成装置の真空槽内全体を1×10-3Pa以下に真空排気した後、50atm%Sn-Zn-Oが設置された第1のカソード部にアルゴンガスを150sccmの流量となるようにマスフローコントローラーにて調整しながら真空槽の第1のカソード部に導入し、50atm%Sn-Zn-Oターゲットに電力を印加して放電させ、スパッタリングによる成膜を行った。この際、酸素不足による50atm%Sn-Zn-Oの光吸収を抑制するために6sccmの酸素を添加し、透明な酸化物層を形成した。このときのフィルムの走行速度は、3m/minであった。電力は、予め、電力と膜厚との関係を測定した後、3m/minの走行速度で53nmの厚みの50atm%Sn-Zn-Oが形成できるように調整した。
第1のカソード部で50atm%Sn-Zn-Oを形成した後、第2のカソード部で銀薄膜を形成した。具体的に、第2のカソード部にアルゴンガスを450sccmの流量となるようにマスフローコントローラーにて調整しながら真空槽の第2のカソード部に導入し、銀ターゲットに電力を印加して放電させスパッタリングによる成膜を行った。本実施例では、隣接する2つのカソードを使用したが、必ずしも隣接した2つのカソードを使用する必要はない。装置構成によっては1つのカソード室を使用せず、カソード室全体を隔壁としてもよい。電力はあらかじめ電力と膜厚との関係を測定したのち3m/minの走行速度で9nmの厚みの銀薄膜が形成できるように調整した。
第2のカソード部で銀薄膜を形成したのち、第3のカソード部で2原子%アルミニウム含有酸化亜鉛を形成した。具体的に、第3のカソード部にアルゴンガスを150sccmの流量となるようにマスフローコントローラーにて調整しながら真空槽の第3のカソード部に導入し、2原子%アルミニウム含有酸化亜鉛ターゲットに電力を印加して放電させスパッタリングによる成膜を行った。この際、アルゴンガスとは別に微量の酸素をマスフローコントローラーにて調整しながら導入して、酸素不足・酸素過多による導電性不良を起こさないように酸素量を調整して良好な透明導電性酸化物を得た。本実施例では、隣接する2つのカソードを使用したが、必ずしも隣接した2つのカソードを使用する必要はない。装置構成によっては1つのカソード室を使用せず、カソード室全体を隔壁としてもよい。電力はあらかじめ電力と膜厚との関係を測定したのち3m/minの走行速度で44nmの厚みの2原子%アルミニウム含有酸化亜鉛が形成できるように調整した。
3層を成膜したのち、フィルムを連続的に巻き取り、図2の構成となるフィルムを巻き取ったのち、装置全体に大気を導入して試料を取り出しサンプルとした。
<実施例2>
透明基材を、表面の算術平均粗さ0.6nm、厚さ100μmのポリカーボネートフィルムに変更したこと、及び、このポリカーボネートフィルム上に樹脂層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同一の条件で試料を作製した。
<実施例3>
表2に示す組成の樹脂組成物を光重合させ、表面の算術平均粗さ2.0nm、厚さ3.5μmの樹脂層を形成したこと以外は、実施例1と同一の条件で試料を作製した。表2に記載の各成分の割合(%)は重量%(wt%)を表す。
Figure 2022043998000003
<実施例4>
表2に示す組成の樹脂組成物を光重合させ、表面の算術平均粗さ1.6nm、厚さ3.5μmの樹脂層を形成したこと以外は、実施例1と同一の条件で試料を作製した。
<実施例5>
表2に示す組成の樹脂組成物を光重合させ、表面の算術平均粗さ0.7nm、厚さ3.5μmの樹脂層を形成したこと以外は、実施例1と同一の条件で試料を作製した。
<比較例1>
表2に示す組成の樹脂組成物を光重合させ、表面の算術平均粗さ6.0nm、厚さ3.5μmの樹脂層を形成したこと以外は、実施例1と同一の条件で試料を作成した。
<比較例2>
透明基材を、厚さ100μmのポリカーボネートフィルムに変更したこと、及び、表2に示す組成の樹脂組成物を光重合させ、表面の算術平均粗さ2.4nm、厚さ5μmの樹脂層を形成したこと以外は、実施例1と同一の条件で試料を作製した。
<比較例3>
表2に示す組成の樹脂組成物を光重合させ、表面の算術平均粗さ2.8nm、厚さ3.5μmの樹脂層を形成したこと以外は、実施例1と同一の条件で試料を作成した。
<比較例4>
透明基材を、厚さ100μmのポリカーボネートフィルムに変更したこと、及び、表2に示す組成の樹脂組成物を光重合させ、表面の算術平均粗さ3.8nm、厚さ3.5μmの樹脂層を形成したこと以外は、実施例1と同一の条件で試料を作成した。
Figure 2022043998000004
表3に示す実施例及び比較例の結果から、透明基材の少なくとも1面上に、第1の金属酸化物層、金属層及び第2の金属酸化物層が、透明基材側からこの順に積層された導電性積層体において、第1の金属酸化物層の透明基材側の界面の算術平均粗さが2.0nm以下であることにより、低電気抵抗と高透過率を両立できることが分かった。
また、実施例1,3~5の結果から、透明基材と第1の金属酸化物層との間に樹脂層をさらに備え、第1の金属酸化物層の透明基材側の界面が樹脂層の表面である導電性積層体において、第1の金属酸化物層の透明基材側の界面の算術平均粗さが2.0nm以下である場合にも、低電気抵抗と高透過率を両立できることが分かった。すなわち、透明基材2の1面上に、第1の金属酸化物層3、樹脂層6、金属層4及び第2の金属酸化物層5が、透明基材2側からこの順に積層された導電性積層体1Aにおいて、樹脂層6の第1の金属酸化物層3側の表面の算術平均粗さが2.0nm以下である場合にも、低電気抵抗と高透過率を両立できることが分かった。
また、実施例3~5の結果から、透明基材と第1の金属酸化物層との間にフィラーを含有する樹脂層をさらに備え、第1の金属酸化物層の透明基材側の界面が樹脂層の表面である導電性積層体において、第1の金属酸化物層の透明基材側の界面の算術平均粗さが2.0nm以下である場合にも、低電気抵抗と高透過率を両立できることが分かった。すなわち、透明基材2の1面上に、第1の金属酸化物層3、フィラーを含有する樹脂層6、金属層4及び第2の金属酸化物層5が、透明基材2側からこの順に積層された導電性積層体1Aにおいて、フィラーを含有する樹脂層6の第1の金属酸化物層3側の表面の算術平均粗さが2.0nm以下である場合にも、低電気抵抗と高透過率を両立できることが分かった。
比較例では、第1の金属酸化物層の透明基材側の界面の算術平均粗さが2.0nm超であったため、低電気抵抗と高透過率を両立するのが困難であることが分かった。
以上説明したように、実施例及び比較例の結果から、本技術の効果を実証することができた。なお、本技術は、上述した例に限定されるものではなく、本技術の属する分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範囲内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかである。
1,1A 導電性積層体、2 透明基材、3 第1の金属酸化物層、4 金属層、5 第2の金属酸化物層、6 樹脂層、10 ベースフィルム、11 巻出ロール、12 巻取ロール、21 第1のキャンロール、22 第2のキャンロール、31 光学モニター、32 光学モニター、SP スパッタ室
<比較例1>
表2に示す組成の樹脂組成物を光重合させ、表面の算術平均粗さ6.0nm、厚さ3.5μmの樹脂層を形成したこと以外は、実施例1と同一の条件で試料を作した。
<比較例3>
表2に示す組成の樹脂組成物を光重合させ、表面の算術平均粗さ2.8nm、厚さ3.5μmの樹脂層を形成したこと以外は、実施例1と同一の条件で試料を作した。
<比較例4>
透明基材を、厚さ100μmのポリカーボネートフィルムに変更したこと、及び、表2に示す組成の樹脂組成物を光重合させ、表面の算術平均粗さ3.8nm、厚さ3.5μmの樹脂層を形成したこと以外は、実施例1と同一の条件で試料を作した。

Claims (15)

  1. 透明基材の少なくとも1面上に、第1の金属酸化物層、金属層及び第2の金属酸化物層が、上記透明基材側からこの順に積層され、
    上記第1の金属酸化物層の上記透明基材側の界面の算術平均粗さが2.0nm以下である、導電性積層体。
  2. 上記第1の金属酸化物層の上記透明基材側の界面が上記透明基材の表面である、請求項1記載の導電性積層体。
  3. 上記透明基材と上記第1の金属酸化物層との間に樹脂層をさらに備え、
    上記第1の金属酸化物層の上記透明基材側の界面が上記樹脂層の表面である、請求項1記載の導電性積層体。
  4. 上記第1の金属酸化物層及び上記第2の金属酸化物層が、亜鉛を含有する酸化物、又は、亜鉛を含有する複合金属酸化物で構成されている、請求項1~3のいずれか1項に記載の導電性積層体。
  5. 上記第1の金属酸化物層が、上記亜鉛を含有する複合金属酸化物で構成され、
    上記亜鉛を含有する複合金属酸化物が、亜鉛と錫を含有し、且つ、錫を10~90原子%含有する、請求項4記載の導電性積層体。
  6. 上記第1の金属酸化物層が酸化亜鉛錫(ZTO)であり、
    上記第2の金属酸化物層がアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)である、請求項1~5のいずれか1項に記載の導電性積層体。
  7. 上記第1の金属酸化物層がNbであり、
    上記第2の金属酸化物層がアルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)である、請求項1~3のいずれか1項に記載の導電性積層体。
  8. 表面抵抗値が10Ω/□以下であり、且つ、全光線透過率が90%以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載の導電性積層体。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の導電性積層体を少なくとも1枚用いたことを特徴とする光学装置。
  10. 請求項1~8のいずれか1項に記載の導電性積層体を電極の少なくとも一方の極として用いた、タッチパネル。
  11. 請求項1~8のいずれか1項に記載の導電性積層体を電極の少なくとも一方の極として用いた、調光素子。
  12. 請求項1~8のいずれか1項に記載の導電性積層体を電極の少なくとも一方の極として用いた、電気泳動型光学素子。
  13. 請求項1~8のいずれか1項に記載の導電性積層体を電極の少なくとも一方の極として用いた、発光素子。
  14. 請求項1~8のいずれか1項に記載の導電性積層体を少なくとも1枚用いた、アンテナ。
  15. 透明基材の少なくとも1面上に、第1の金属酸化物層、金属層及び第2の金属酸化物層を、上記透明基材側からこの順に積層する工程を有し、
    上記第1の金属酸化物層の上記透明基材側の界面の算術平均粗さが2.0nm以下である、導電性積層体の製造方法。
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