JP2022043971A - 回転保持装置およびそれを備える基板処理装置 - Google Patents

回転保持装置およびそれを備える基板処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】吸着保持部により吸着保持される基板の全体に渡る均一な処理を可能にする回転保持装置を提供する。【解決手段】回転保持装置10は、基板Wの下面中央部を吸着保持する上面11uを有する吸着保持部11と、吸着保持部11を鉛直軸の周りで回転させる回転駆動部13とを備える。上面11uは、周縁部領域と、周縁部領域に取り囲まれた中央部領域とを有する。周縁部領域に複数の第1の吸引孔が設けられ、中央部領域に複数の第2の吸引孔が設けられる。周縁部領域における複数の第1の吸引孔の面密度は、中央部領域における複数の第2の吸引孔の面密度よりも大きい。複数の第1の吸引孔の面密度および複数の第2の吸引孔の面密度が上記の関係を満たさなくてもよい。この場合、回転保持装置10には、吸着保持部11により吸着保持されない基板Wの下面周縁部の少なくとも一部の温度を調整する温度調整部が設けられる。【選択図】図1

Description

本発明は、基板の下面中央部を吸着保持しつつ回転させる回転保持装置およびそれを備える基板処理装置に関する。
半導体基板、液晶表示装置もしくは有機EL(Electro Luminescence)表示装置等のFPD(Flat Panel Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等の基板に種々の処理を行うために、基板処理装置が用いられる。
基板処理装置の一例として、基板の表面にレジスト膜を形成する塗布装置がある。塗布処理装置においては、回転する基板に対して、洗浄液またはレジスト液等の各種処理液が供給される。この塗布処理装置は、一枚の基板を水平姿勢で保持しつつ回転させるスピンチャックを備える。
このようなスピンチャックの一例として、特許文献1には、基板の裏面中央部を吸着保持するスピンチャックが記載されている。そのスピンチャックは円形の上面を有する。スピンチャックの上面には、周縁部に凸状部が形成されるとともに、その凸状部の内側に複数の微小突起が形成されている。さらに、スピンチャックの上面には、複数の吸引孔が形成されている。
スピンチャック上に基板が載置された状態で、スピンチャックの上面と基板との間でかつ環状の凸状部の内側に形成される空間の雰囲気が吸引されることにより、基板が当該スピンチャック上で吸着保持される。
特開平10-150097号公報
近年、半導体製品の用途に応じた基板の薄型化が進められている。このような基板の薄型化は、基板の剛性を低下させる。そのため、スピンチャックの構成によっては、基板の回転時に、基板のうちスピンチャックにより吸着されていない部分が変形することにより基板の保持状態が不安定になる可能性がある。あるいは、基板の回転時に、基板のうちスピンチャックにより吸着されていない部分とスピンチャックにより吸着されている部分との間で温度差が生じる可能性がある。
上記のような回転中の基板の保持状態の不安定および回転中の基板の複数の部分間に生じる温度差は、基板の全体に渡る処理の均一性を低下させる。
本発明の目的は、吸着保持部により吸着保持される基板の全体に渡る均一な処理を可能にする回転保持装置およびそれを備える基板処理装置を提供することである。
(1)第1の発明に係る回転保持装置は、基板の下面中央部を吸着保持しつつ回転させる回転保持装置であって、基板の下面中央部を吸着保持する上面を有する吸着保持部と、吸着保持部を上下方向に延びる回転軸の周りで回転させる回転駆動部とを備え、上面は、外縁に沿った周縁部領域と、周縁部領域に取り囲まれた中央部領域とを有し、周縁部領域には、複数の第1の吸引孔が設けられ、中央部領域には、複数の第2の吸引孔が設けられ、周縁部領域における複数の第1の吸引孔の面密度は、中央部領域における複数の第2の吸引孔の面密度よりも大きい。
その回転保持装置においては、吸着保持部により基板の下面中央部が吸着保持される。基板を吸着保持する吸着保持部が、回転駆動部により回転される。このとき、基板の下面のうち吸着保持部の上面の中央部領域に対向する部分は、複数の第2の吸引孔により吸引される。また、基板の下面のうち吸着保持部の上面の周縁部領域に対向する部分は、複数の第1の吸引孔により吸引される。
ここで、周縁部領域における複数の第1の吸引孔の面密度は、中央部領域における複数の第2の吸引孔の面密度よりも大きい。そのため、吸着保持部の上面上では、周縁部領域に対向する基板の部分が、中央部領域に対向する基板の部分に比べてより大きい吸引力で吸着される。それにより、吸着保持部により吸着保持された基板の回転時に、周縁部領域上に位置する基板の部分が吸着保持部の上面から浮き上がることが抑制され、基板の保持状態が安定する。
したがって、上記の回転保持装置により回転される基板に処理が行われる場合に、基板の一部が吸着保持部の上面から浮き上がることに起因して基板の処理が基板上の複数の部分でばらつくことが防止される。その結果、基板の全体に渡る均一な処理が可能となる。
(2)複数の第1の吸引孔は、周縁部領域において回転軸を中心とする少なくとも1つの第1の円上に配列され、複数の第2の吸引孔は、中央部領域において回転軸を中心とする少なくとも1つの第2の円上に配列され、周縁部領域における各第1の円上の複数の第1の吸引孔の線密度は、中央部領域におけるいずれの第2の円上の複数の第2の吸引孔の線密度よりも大きくてもよい。
この場合、複数の第1の吸引孔が第1の円上に分散して配列されるとともに、複数の第2の吸引孔が第2の円上に分散して配列されることにより、基板の下面中央部が吸着保持部の上面上により安定して吸着保持される。
(3)周縁部領域における各第1の円上の複数の第1の吸引孔の数は、中央部領域におけるいずれの第2の円上の複数の第2の吸引孔の数よりも大きくてもよい。これにより、簡単な構成で、周縁部領域における複数の第1の吸引孔の面密度を、中央部領域における複数の第2の吸引孔の面密度よりも大きくすることができる。
(4)周縁部領域における各第1の円上の隣り合う各2つの第1の吸引孔の角度ピッチは、中央部領域におけるいずれの第2の円上の隣り合う各2つの第2の吸引孔の角度ピッチよりも小さくてもよい。
この場合、簡単な構成で、周縁部領域における複数の第1の吸引孔の面密度を、中央部領域における複数の第2の吸引孔の面密度よりも大きくすることができる。
(5)吸着保持部は、平面視で中央部領域に重なりかつ回転軸から吸着保持部の外縁に向かって直線状に延びるように形成され、複数の第2の吸引孔において吸引される上面上の雰囲気を吸着保持部の外部に導く複数の直線状経路と、平面視で周縁部領域に重なりかつ複数の直線状経路を取り囲むように形成され、複数の第1の吸引孔において吸引される上面上の雰囲気を吸着保持部の外部に導く環状経路とを含んでもよい。
この場合、簡単な構成で、複数の第1の吸引孔および複数の第2の吸引孔による基板の下面中央部の吸着保持が可能になる。
(6)周縁部領域において、複数の第1の吸引孔のうち少なくとも一部は、回転軸を中心とする回転方向に千鳥配列されてもよい。この場合、回転保持装置の製造時に、周縁部領域における複数の第1の吸引孔の形成が容易になる。また、簡単な構成で、周縁部領域における複数の第1の吸引孔の面密度を大きくすることができる。
(7)複数の第1の吸引孔のうち回転軸から最も離間した位置に形成された少なくとも一部の第1の吸引孔は、他の第1の吸引孔および複数の第2の吸引孔よりも小さい直径を有してもよい。
この場合、回転軸から最も離間した少なくとも一部の第1の吸引孔から基板に作用する吸引力が過剰に大きくなることが防止される。それにより、意図しない基板の変形が低減される。
(8)上面は、円形状を有し、上面の直径は、基板の半径を中心値とする基板の直径の15%の範囲内にあってもよい。このように、上面の直径が上記の範囲内にあることにより、上面の直径が上記の範囲よりも小さい範囲内にある場合に比べて吸着保持部による基板の下面中央部の保持状態が安定する。また、上面の直径が上記の範囲内にあることにより、上面の直径が上記の範囲よりも大きい範囲内にある場合に比べて吸着保持部の作製が容易になる。
(9)回転保持装置は、吸着保持部が基板を吸着保持する状態で、基板のうち吸着保持部により吸着保持されない部分の温度を調整する温度調整部をさらに備えてもよい。
上記の温度調整部によれば、回転保持装置により回転される基板に処理が行われる場合に、基板の複数の部分間で温度差が発生することを抑制することができる。したがって、基板の全体に渡る均一な処理が可能となる。
(10)温度調整部は、基板のうち吸着保持部により吸着保持されない部分の温度が基板のうち吸着保持部により吸着保持される部分の温度に一致するかまたは近づくように、基板のうち吸着保持部により吸着保持されない部分の温度を調整してもよい。それにより、回転保持装置により回転される基板の複数の部分間で温度差が発生することが抑制される。したがって、基板の全体に渡るより均一な処理が可能となる。
(11)第2の発明に係る回転保持装置は、基板の下面中央部を吸着保持しつつ回転させる回転保持装置であって、基板の下面中央部を吸着保持する吸着保持部と、吸着保持部を上下方向に延びる回転軸の周りで回転させる回転駆動部と、吸着保持部が基板を吸着保持する状態で、基板のうち吸着保持部により吸着保持されない下面周縁部の少なくとも一部の温度を調整する温度調整部とを備える。
その回転保持装置においては、吸着保持部により基板の下面中央部が吸着保持される。基板を吸着保持する吸着保持部が、回転駆動部により回転される。上記の温度調整部によれば、回転保持装置により回転される基板に処理が行われる場合に、基板の複数の部分間で温度差が発生することを抑制することができる。したがって、基板の全体に渡る均一な処理が可能となる。
(12)温度調整部は、下面周縁部の少なくとも一部に、温度調整気体を供給する気体供給部を含んでもよい。この場合、温度調整気体により下面周縁部を含む基板の部分の温度が調整される。それにより、ヒータまたは紫外線ランプ等の発熱装置を回転保持装置に設ける必要がないので、基板の処理環境が過剰な熱の影響を受けない。
(13)温度調整気体は、下面周縁部の少なくとも一部に供給されることにより下面周縁部を含む基板の部分の温度を下面中央部を含む基板の部分の温度に一致させるかまたは近づけるように調整された気体であってもよい。
この場合、基板の下面周縁部の少なくとも一部に温度調整気体が供給されることにより、基板の複数の部分間で温度差が発生することが抑制される。したがって、基板の全体に渡るより均一な処理が可能となる。
(14)気体供給部は、基板の下面周縁部のうち当該下面周縁部の内縁を含む領域に温度調整気体を供給してもよい。この場合、下面周縁部の内縁およびその近傍に位置する基板の部分の温度が低下することが防止される。それにより、基板の下面全体に均一な処理を行うことができる。
(15)気体供給部は、吸着保持部が基板を吸着保持する状態で、基板の下面周縁部における互いに異なる複数の部分に温度調整気体を同時に噴射することが可能に構成されてもよい。
この場合、基板の下面周縁部の複数の部分に温度調整気体を同時に噴射することができる。したがって、複数の部分の各々に供給される温度調整気体の流量を過剰に大きくすることなく、下面周縁部を含む基板の部分の温度を下面中央部を含む基板の部分の温度に一致させるかまたは近づけることができる。その結果、基板の下面周縁部に過剰な流量で温度調整気体が供給されることによる基板の変形および破損が防止される。
(16)気体供給部は、吸着保持部が基板を吸着保持する状態で、吸着保持部を取り囲みかつ基板の下面周縁部の少なくとも一部に対向する第1の環状対向面を含み、第1の環状対向面には、吸着保持部が基板を吸着保持する状態で、基板の下面周縁部の少なくとも一部に温度調整気体を同時に噴射する複数の気体噴射口が形成されてもよい。この場合、第1の環状対向面に形成された複数の気体噴射口から基板の下面周縁部の少なくとも一部に温度調整気体が供給される。
(17)複数の気体噴射口の少なくとも一部は、回転軸を中心とする回転方向に分散配置されてもよい。この場合、基板の下面周縁部のうち基板の周方向における複数の部分に温度調整気体が同時に供給される。
(18)第1の環状対向面は、吸着保持部が基板を吸着保持する状態で、基板の下面周縁部のうちの第1の環状部分に対向し、気体供給部は、第1の環状対向面を取り囲みかつ吸着保持部が基板を吸着保持する状態で基板の下面周縁部のうちの第1の環状部分を取り囲む第2の環状部分に対向するように設けられ、第1の環状対向面の複数の気体噴射口から噴射される温度調整気体を基板の外周端部へ導く第2の環状対向面をさらに含んでもよい。
この場合、基板の下面周縁部と、第1および第2の環状対向面との間の空間では、吸着保持部から基板の外周端部に向かう温度調整気体の流れが発生する。それにより、吸着保持部により吸着保持される基板の上面に処理液が供給される場合に、基板の上面に供給された処理液が外周端部を通して下面に回り込むことが防止される。
(19)吸着保持部は、基板の下面中央部を吸着保持する上面を有し、上面は、外縁に沿った周縁部領域と、周縁部領域に取り囲まれた中央部領域とを有し、周縁部領域には、複数の第1の吸引孔が設けられ、中央部領域には、複数の第2の吸引孔が設けられ、周縁部領域における複数の第1の吸引孔の面密度は、中央部領域における複数の第2の吸引孔の面密度よりも大きくてもよい。
上記の吸着保持部の構成によれば、当該吸着保持部により吸着保持された基板の回転時に、周縁部領域上に位置する基板の部分が吸着保持部の上面から浮き上がることが抑制され、基板の保持状態が安定する。したがって、基板の一部が吸着保持部の上面から浮き上がることに起因して基板の処理が基板上の複数の部分でばらつくことが防止される。その結果、基板の全体に渡る均一な処理が可能となる。
(20)第3の発明に係る回転保持装置は、基板に所定の処理を行う基板処理装置であって、第1または第2の発明に係る回転保持装置と、基板が吸着保持部により吸着保持されるとともに回転駆動部により回転される状態で、基板上に処理液を供給する処理液供給装置とを備える。
その基板処理装置は、第1または第2の発明に係る回転保持装置を備える。第1の発明に係る回転保持装置によれば、回転される基板の一部が吸着保持部の上面から浮き上がることが抑制される。したがって、回転保持装置により回転される基板の全体について処理液を用いた均一な処理が可能となる。また、第2の発明に係る回転保持装置によれば、回転される基板の複数の部分間で温度差が発生することが抑制される。したがって、回転保持装置により回転される基板の全体について処理液を用いた均一な処理が可能となる。
本発明によれば、吸着保持部により吸着保持される基板の全体に均一な処理を施すことが可能になる。
第1の実施の形態に係る塗布装置の模式的断面図である。 図1の塗布装置の模式的平面図である。 気体ノズルの外観斜視図である。 第1の構成例に係る吸着保持部の分解斜視図である。 第1の構成例に係る図4の吸着保持部の平面図である。 図5の吸着保持部のA-A線縦断面図である。 第2の構成例に係る吸着保持部の分解斜視図である。 図7の上円形部材の下面図である。 第2の構成例に係る吸着保持部の縦断面図である。 参考形態に係る吸着保持部の平面図である。 図10の吸着保持部のB-B線縦断面図である。 参考形態に係る吸着保持部を用いた塗布処理後の基板上に発生した第1の塗布むらの一例を示す平面図である。 図12の第1の塗布むらの発生について推定された第1のメカニズムを説明するための断面図である。 図12の第1の塗布むらの発生について推定された第2のメカニズムを説明するための断面図である。 塗布処理後の基板上に発生した第2の塗布むらの一例を示す平面図である。 図15の第2の塗布むらの発生について推定されたメカニズムを説明するための断面図である。 第1の塗布むらについての確認試験において膜厚測定の対象となる基板の部分を説明するための平面図である。 第1の塗布むらについての確認試験結果を示す図である。 温度調整確認試験を説明するための塗布装置の模式的断面図である。 温度調整確認試験結果を示す図である。 気体ノズルから基板への気体の供給態様が互いに異なる状態で塗布処理が施された4つの基板におけるレジスト膜の膜厚分布を示す図である。 第2の実施の形態に係る塗布装置の基本的な構成例を示す模式的断面図である。 図22の塗布装置の模式的平面図である。 第1の変形例に係る気体ノズルの外観斜視図である。 図24の気体ノズルの平面図である。 図24の気体ノズルの下面図である。 塗布装置における第1の変形例に係る気体ノズルと吸着保持部との位置関係を示す図である。 図27の吸着保持部および気体ノズルの複数の部分の縦断面図である。 第2の変形例に係る気体ノズルの下面図である。 第3の変形例に係る気体ノズルの平面図である。 第4の変形例に係る気体ノズルの平面図である。 第5の変形例に係る気体ノズルの外観斜視図である。 第5の変形例に係る気体ノズルと吸着保持部により保持される基板との位置関係を説明するための縦断面図である。 第2の実施の形態の実施例基板および比較例基板におけるレジスト膜の膜厚分布を示す図である。 図1および図22の気体ノズルにおける気体噴出部の他の構成例を示す外観斜視図である。 図1および図22の気体ノズルにおける気体噴出部のさらに他の構成例を示す外観斜視図である。 図22および図23の複数の気体ノズルのうち一部の気体ノズルについて位置調整が行われる例を示す塗布装置の模式的平面図である。 図22および図23の複数の気体ノズルのうち一部の気体ノズルについて位置調整が行われる例を示す塗布装置の模式的平面図である。
以下、本発明の一実施の形態に係る回転保持装置および基板処理装置について図面を参照しつつ説明する。以下の説明において、基板とは、液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等に用いられるFPD(Flat Panel Display)用基板、半導体基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、セラミック基板または太陽電池用基板等をいう。以下の説明においては、基板処理装置の一例として基板にレジスト液を塗布する塗布装置を説明する。また、以下の説明において、処理対象となる基板は、少なくとも一部が円形状の外周端部を有する。その基板の外周端部には、当該基板の位置および向き等を識別するためのノッチまたはオリエンテーションフラットが局所的に形成されている。さらに、その基板の外周端部には、リム部(Outer support ring)が全周に渡って形成されている。その基板においては、リム部の内側の領域の厚さ(基板の厚さ)は、200μm以下であり、リム部の厚さよりも小さい。
1.第1の実施の形態
[1]塗布装置の全体構成
図1は第1の実施の形態に係る塗布装置の模式的断面図であり、図2は図1の塗布装置1の模式的平面図である。図2では、図1に示される塗布装置1の複数の構成要素のうち一部の構成要素の図示が省略されている。また、図1に示される基板Wが一点鎖線で示される。
図1に示すように、本実施の形態に係る塗布装置1は、主として回転保持装置10および処理液供給装置20を備える。回転保持装置10は、基板Wの下面中央部を吸着保持しつつ回転させることが可能に構成される。
処理液供給装置20は、液体ノズル21および処理液供給系22を含む。処理液供給系22は、液体ノズル21にレジスト液を供給する。液体ノズル21は、供給されたレジスト液を処理液供給装置20により吸着保持されて回転する基板Wの上面に吐出する。それにより、未処理の基板Wの上面にレジスト膜が形成される(塗布処理)。レジスト膜が形成された基板Wは、塗布装置1から搬出され、図示しない露光装置において露光処理が行われる。
回転保持装置10の具体的な構成について説明する。回転保持装置10は、吸着保持部11、回転軸12、回転駆動部13、吸引装置14、カップ15、排液案内管16、気体ノズル17および気体供給系18を含む。
吸着保持部11は、基板Wの下面中央部を吸着保持する平坦な上面11uを有し、上下方向に延びる回転軸12の上端部に取り付けられている。吸着保持部11の上面11uには、多数の吸引孔vh1,vh2(後述する図4参照)が形成されている。回転駆動部13は、回転軸12をその軸心の周りで回転させる。
図1に太い点線で示すように、吸着保持部11および回転軸12の内部には、吸気経路vpが形成されている。吸気経路vpは、吸引装置14に接続されている。吸引装置14は、例えばアスピレータ等の吸引機構を含み、吸気経路vpを通して吸着保持部11の上面11u上の空間の雰囲気を吸引し、塗布装置1の外部に排出する。
図2に示すように、カップ15は、平面視で吸着保持部11の周囲を取り囲むように設けられるとともに、図示しない昇降機構により上下方向における複数の位置に移動可能に構成される。図1に示すように、カップ15は、底部15xおよび外周壁部15yを含む。底部15xは、略円環形状を有する。底部15xの内周端部は所定高さ分上方に向かって屈曲している。外周壁部15yは、底部15xの外周端部から所定高さ分上方に延び、屈曲し、さらに吸着保持部11に向かって斜め上方に延びるように形成されている。
カップ15の底部15xには、ドレイン15dが形成されている。底部15xにおけるドレイン15dの形成部分には、排液案内管16が取り付けられている。排液案内管16の下端部は図示しない排液系に接続されている。
図2に示すように、平面視でカップ15の外周壁部15yの内周端部と吸着保持部11の外周端部との間の位置には、気体ノズル17が設けられている。図3は、気体ノズル17の外観斜視図である。図3に示すように、気体ノズル17は、略L字形状を有し、気体導入部17aおよび気体噴出部17bを含む。気体導入部17aは筒形状を有し、気体ノズル17の下部に設けられている。気体噴出部17bは、スリット状開口であり、気体ノズル17の上端部に形成されている。気体ノズル17の内部には、気体導入部17aから気体噴出部17bにつながる気体供給経路17vが形成されている。
図1および図2に示すように、気体ノズル17は、吸着保持部11の外周端部近傍の位置で、吸着保持部11により吸着保持される基板Wの下面に気体噴出部17bが対向するように配置される。なお、塗布装置1は、図示しない筐体内に回転保持装置10および処理液供給装置20が収容された構成を有する。気体ノズル17は、例えば塗布装置1の筐体に固定される。吸着保持部11に基板Wが吸着保持された状態で、基板Wの下面と気体ノズル17の上端部(気体噴出部17b)との間の距離は、例えば0.5mm~10mm程度に設定される。また、気体ノズル17は、気体噴出部17bのスリット状開口が吸着保持部11により吸着保持される基板Wの直径の方向に延びるように配置される。さらに、気体ノズル17の気体導入部17a(図3)には、気体供給系18が接続される。
上記の構成を有する塗布装置1においては、基板Wの塗布処理時に、吸着保持部11により基板Wが水平姿勢で保持される。また、水平方向において外周壁部15yの内周面が基板Wの外周端部に対向するように、カップ15が上下方向に位置決めされる。この状態で、回転駆動部13が動作することにより基板Wが回転される。
続いて、液体ノズル21が図示しないノズル移動装置により基板Wの上方に移動される。この状態で、移動された液体ノズル21から基板Wにレジスト液が吐出される。それにより、回転する基板W上にレジスト液が塗布される。回転する基板Wから外方に飛散するレジスト液は、カップ15の外周壁部15yの内周面により受け止められる。受け止められたレジスト液は、カップ15の底部15xに収集され、ドレイン15dから排液案内管16を通して図示しない排液系に導かれる。
塗布装置1においては、塗布処理の際に維持されるべき基板Wの温度(以下、処理温度と呼ぶ。)が予め定められている。処理温度は例えば23℃である。しかしながら、後述するように、吸着保持部11により吸着保持された基板Wの回転時には、基板Wのうち吸着保持部11に接触していない部分の温度が吸着保持部11に接触している他の部分の温度よりも低下する場合がある。そのため、吸着保持部11に接触している基板Wの部分の温度が処理温度で維持される場合でも、吸着保持部11に接触していない基板Wの部分の温度が処理温度よりも低い温度で維持される場合がある。
そこで、気体供給系18は、塗布処理時に、例えば処理温度よりも高い温度を有する気体(以下、温度調整気体と呼ぶ。)を気体ノズル17に供給する。この場合、気体ノズル17に供給された温度調整気体は、気体ノズル17の気体噴出部17bから塗布処理中の基板Wの下面の一部に噴射される。これにより、吸着保持部11に接触していない基板Wの部分の温度が吸着保持部11に接触している基板Wの他の部分の温度(例えば処理温度)に一致するかまたは処理温度に近づく。
なお、基板Wの塗布処理時においては、気体噴出部17bから基板Wに噴射される温度調整気体の流量は、吸着保持部11により吸着保持される基板Wが、吸着保持部11の上面11uから引きはがされない程度に調整される。気体ノズル17に供給する温度調整気体としては、加熱された窒素ガスが用いられる。あるいは、気体ノズル17に供給する温度調整気体として、加熱されたドライエアを用いることもできる。
ところで、本実施の形態に係る塗布装置1においては、吸着保持部11が、塗布処理中の基板Wの保持状態を安定させるための構成を有する。以下、吸着保持部11の具体的な構成例について説明する。
[2]吸着保持部11の具体的な構成例
(1)第1の構成例
図4は、第1の構成例に係る吸着保持部11の分解斜視図である。図5は、第1の構成例に係る図4の吸着保持部11の平面図である。図6は、図5の吸着保持部11のA-A線縦断面図である。図5では、吸着保持部11の全体の平面図に加えて、吸着保持部11の外周端部の一部およびその周辺部分の拡大平面図が吹き出し内に示される。
図4に示すように、第1の構成例に係る吸着保持部11は、主として円板状部材40および円環状部材50から構成される。円板状部材40および円環状部材50は、例えば耐食性に優れた樹脂からなる。円板状部材40は、上から下に向かって並ぶ吸着部41、吸気経路形成部42および支持部43を有する。吸着部41は、吸着保持部11の上面11uを含み、基板Wの下面中央部を吸着保持可能に構成される。
上面11uの直径は、基板Wの半径を中心値とする基板Wの直径の15%の範囲内にある。基板Wの直径が300mmである場合、上面11uの直径は、130mm以上170mm以下の範囲内にあることが好ましい。上面11uの直径が基板Wの半径を中心値とする基板Wの直径の15%の範囲内にある場合、上面11uの直径がその範囲よりも小さい場合に比べて、基板Wの下面中央部が広い範囲に渡って吸着され、保持状態が安定する。また、上面11uの直径が上記の範囲よりも大きい場合に比べて、全体に渡って平坦な上面11uを有する吸着保持部11の作製が容易になる。
図6に示すように、円板状部材40においては、吸気経路形成部42および支持部43の直径は、吸着部41の直径に比べて小さい。それにより、吸着部41の外周端部およびその周辺部分は、吸気経路形成部42および支持部43の上方の位置で、円板状部材40の外方(側方)に向かって鍔状に突出している。
以下の説明では、吸着保持部11の中心を通って上下方向に延びる仮想軸を中心軸11cと呼ぶ。吸気経路形成部42には、中心軸11cから吸着保持部11の外周端部に向かって水平方向に直線状に延びる複数の横穴が形成されている。これらの複数の横穴の各々の内部空間は、上記の吸気経路vpの一部である直線状経路LPを構成する。図5に示すように、複数の直線状経路LPは、中心軸11cを中心として一定の角度ピッチβで形成されている。複数の直線状経路LPの内部空間は、吸着保持部11の中心部で互いに連通している。本例では、角度ピッチβは30°である。なお、角度ピッチβは15°であってもよいし、60°であってもよい。
図6に示すように、円板状部材40の最下部に位置する支持部43は、図1の回転軸12の上端部に取り付けられる取付部43aを有する。取付部43aは、中心軸11cを取り囲む筒形状を有し、中心軸11cを中心として他の部分から下方に突出するように形成されている。また、支持部43には、中心軸11cに沿うように連通孔43bが形成されている。連通孔43bは、複数の直線状経路LPの内部空間と円板状部材40の下方の空間とを連通する。
支持部43が回転軸12の上端部に取り付けられる際には、中心軸11cが回転軸12の軸心に一致するとともに、複数の直線状経路LPの内部空間が連通孔43bを通して回転軸12に形成された吸気経路vpの内部空間に連通する。
図4に示すように、円環状部材50は、底部51および外周壁部52を有する。底部51は円環形状を有する。底部51の内周端部は、円板状部材40の支持部43の外周下端部に接続可能に構成されている。外周壁部52は、底部51の外周端部から上方に向かって一定高さ延びるように形成されている。外周壁部52の上端部は、円板状部材40の吸着部41の外周下端部に接続可能に構成されている。
円環状部材50は、図4に太い実線の矢印で示すように、吸着部41の外周下端部と支持部43の外周下端部とを接続するように、円板状部材40に取り付けられる。この取り付け時には、円板状部材40と円環状部材50との接続部分が溶接される。それにより、吸着部41の周縁部の下方に円環状の空間が形成される。この円環状の空間は、吸着保持部11内の吸気経路vpの一部である環状経路RP(図5および図6)を構成する。環状経路RPは、平面視で複数の直線状経路LPを取り囲む。複数の直線状経路LPのうち中心軸11cと反対側の端部は、環状経路RP内の空間に開放されている。したがって、環状経路RPの内部空間と複数の直線状経路LPの内部空間とは互いに連通している。
図5に太い一点鎖線の円で示すように、本実施の形態に係る吸着保持部11の上面11uは、吸着保持部11の外周端部に沿った周縁部領域R1と周縁部領域R1に取り囲まれた中央部領域R2とに区画される。
本例の周縁部領域R1は、吸着保持部11の外周端部から一定幅の円環状領域であり、平面視で円環状部材50に重なる。上面11uの直径が150mmである場合、周縁部領域R1の半径方向の幅は、5mm以上30mm以下の範囲内にある。
吸着保持部11の上面11uにおいては、周縁部領域R1および中央部領域R2の全体に渡って基板Wの下面を吸引するための複数の吸引孔が形成されている。以下の説明では、吸着保持部11の上面11uに形成される複数の吸引孔のうち周縁部領域R1に形成される吸引孔を吸引孔vh1と呼び、中央部領域R2に形成される吸引孔を吸引孔vh2と呼ぶ。
複数の吸引孔vh1は、周縁部領域R1の複数の直線状経路LP上に形成され、上面11u上の空間と直線状経路LPの内部空間とを連通する。また、複数の吸引孔vh2は、中央部領域R2の環状経路RP上に形成され、上面11u上の空間と環状経路RPの内部空間とを連通する。これにより、図1の吸引装置14の作動時には、吸着保持部11の周縁部領域R1上の雰囲気が複数の吸引孔vh1、環状経路RP、複数の直線状経路LPおよび回転軸12の吸気経路vpを通して吸引装置14に導かれる。また、吸着保持部11の中央部領域R2上の雰囲気が複数の吸引孔vh2、複数の直線状経路LPおよび回転軸12の吸気経路vpを通して吸引装置14に導かれる。
複数の吸引孔vh1,vh2は、例えば0.1mm以上0.4mm以下の直径を有する円形の開口を有し、中心軸11cを中心とする仮想同心円上に配列されている。より具体的には、複数の吸引孔vh1は周縁部領域R1において中心軸11cを中心とする4つの仮想円上に配列され、複数の吸引孔vh2は中央部領域R2において中心軸11cを中心とする5つの仮想円上に配列される。図5では、仮想同心円の一部が二点鎖線で示される。
周縁部領域R1において複数の吸引孔vh1が配列される仮想円の半径は、図5の吹き出し内に示すように、最小の仮想円から第1のピッチpt1で順次大きくなるように定められている。一方、中央部領域R2において複数の吸引孔vh2が配列される仮想円の半径は、最小の仮想円から第1のピッチpt1よりも大きい第2のピッチpt2で順次大きくなるように定められている。第1のピッチpt1および第2のピッチpt2は、いわゆるPCD(Pitch Circle diameter)ピッチである。第1のピッチpt1は例えば1mm以上3mm以下であり、第2のピッチpt2は例えば5mm以上40mm以下である。
吸着保持部11の製造時には、複数の吸引孔vh1,vh2を形成するために、吸着部41に対してドリルを用いた穴あけ加工が行われる。周縁部領域R1においては、隣り合う各2つの仮想円のうち一方の仮想円上に形成される複数の吸引孔vh1と他方の仮想円上に形成される複数の吸引孔vh1とが中心軸11cを中心とする回転方向に千鳥配列(ジグザグ配列)されている。この場合、隣り合う各2つの仮想円上に形成される複数の吸引孔vh1が上面11uの半径方向に並ぶように配列される場合に比べて、近接する複数の吸引孔vh1間の距離を大きくすることができる。それにより、周縁部領域R1における複数の吸引孔vh1の形成が容易になるとともに、簡単な構成で第1のピッチpt1を第2のピッチpt2に対して十分に小さくすることができる。
ところで、複数の吸引孔vh1,vh2の全てが同じサイズで構成されると、最大の仮想円上に配列される複数の吸引孔vh1の各々で発生する吸引力が他の吸引孔vh1,vh2の各々で発生する吸引力よりも著しく大きくなる可能性がある。この場合、吸着保持部11により基板Wが吸着保持される際に、基板Wの一部が局所的に強く吸引されることにより基板Wが変形する可能性がある。そこで、本実施の形態においては、中心軸11cを中心とする最大の仮想円上に配列される一部の吸引孔vh1のサイズが、他の残りの吸引孔vh1,vh2のサイズよりも小さく設定される。具体的には、一部の吸引孔vh1の各々の開口は例えば0.1mm以上0.2mm以下の直径を有し、他の残りの吸引孔vh1,vh2の各々の開口は例えば0.2mm以上0.4mm以下の直径を有する。これにより、基板Wの一部が局所的に強く吸引されることに起因する基板Wの変形が防止される。
上記の第1の構成例に係る吸着保持部11においては、周縁部領域R1における吸引孔vh1の面密度は、中央部領域R2における吸引孔vh2の面密度よりも大きい。この場合、吸着保持部11により基板Wが吸着保持される際に、周縁部領域R1に対向する基板Wの部分が、中央部領域R2に対向する基板Wの部分に比べてより大きい吸引力で吸着される。それにより、吸着保持された基板Wの回転時に、周縁部領域R1上に位置する基板Wの部分が当該部分に作用する吸引力に抗して吸着保持部11の上面11uから浮き上がることが抑制され、基板Wの保持状態が安定する。
なお、周縁部領域R1における吸引孔vh1の面密度は、周縁部領域R1の面積で周縁部領域R1に形成された複数の吸引孔vh1の開口面積の合計を除算することにより算出することができる。また、中央部領域R2における吸引孔vh2の面密度は、中央部領域R2の面積で中央部領域R2に形成された複数の吸引孔vh2の開口面積の合計を除算することにより算出することができる。
本実施の形態に係る吸着保持部11においては、複数の吸引孔vh1,vh2はさらに以下の関係を有する。周縁部領域R1において各仮想円上で分散して配列される複数の吸引孔vh1の線密度は、中央部領域R2においていずれの仮想円上で分散して配列される複数の吸引孔vh2の線密度よりも大きい。この場合、複数の吸引孔vh1が周縁部領域R1における各仮想円上に分散して配列されるとともに、複数の吸引孔vh2が中央部領域R2における各仮想円上に分散して配列されることにより、基板Wの下面中央部が吸着保持部11上により安定して吸着保持される。
周縁部領域R1において各仮想円上に配列される複数の吸引孔vh1の数は、中央部領域R2においていずれの仮想円上に配列される複数の吸引孔vh2の数よりも大きい。この場合、簡単な構成で、周縁部領域R1における吸引孔vh1の面密度を中央部領域R2における吸引孔vh2の面密度よりも大きくすることができる。
中央部領域R2においては、複数の吸引孔vh2は、複数の直線状経路LP上で並ぶように配列される。そのため、中央部領域R2において各仮想円上で隣り合う各2つの吸引孔vh2の角度ピッチは、上記の角度ピッチβとなる。一方、周縁部領域R1において各仮想円上の隣り合う各2つの吸引孔vh1の角度ピッチαは、中央部領域R2におけるいずれの仮想円上で隣り合う各2つの吸引孔vh2の角度ピッチβよりも小さい。本実施の形態では、角度ピッチαは例えば0°よりも大きく4°以下であり、1°以上3°以下であることが好ましい。この場合、簡単な構成で、周縁部領域R1における吸引孔vh1の面密度を中央部領域R2における吸引孔vh2の面密度よりも大きくすることができる。
吸着保持部11においては、複数の吸引孔vh1のうち最大の仮想円上に配列される一部の吸引孔vh1の各々と吸着保持部11の外周端部までの距離(最短距離)md(図5)は可能な限り小さいことが望ましい。第1の構成例に係る吸着保持部11においては、距離mdは2mm以上4mm以下である。この場合、吸着保持部11により基板Wが吸着保持される際に、吸着保持部11の外周端部近傍に対向する基板Wの部分が吸着保持部11の上面11u上に吸着される。それにより、基板Wの下面中央部が吸着保持部11の上面11uから浮き上がることが抑制され、基板Wの保持状態がさらに安定する。
(2)第2の構成例
第2の構成例に係る吸着保持部11について、第1の構成例に係る吸着保持部11と異なる点を説明する。図7は、第2の構成例に係る吸着保持部11の分解斜視図である。図7に示すように、第2の構成例に係る吸着保持部11は、主として上円形部材60、下円形部材70およびシール部材79から構成される。
上円形部材60は、例えば耐食性に優れた樹脂からなり、円板状の吸着部61および筒状の外周壁部62を有する。外周壁部62は、吸着部61の外周端部から下方に延びるように形成されている。吸着部61は、吸着保持部11の上面11uを含み、基板Wの下面中央部を吸着保持可能に構成される。本例の吸着保持部11の上面11uの構成は、第1の構成例に係る吸着保持部11の上面11u(図5)の構成と全く同じである。
図8は図7の上円形部材60の下面図であり、図9は第2の構成例に係る吸着保持部11の縦断面図である。図9の断面図は、第1の構成例に係る図6の縦断面図に対応する。図8に示すように、上円形部材60の下面60bにおいても、上面11uと同様に、周縁部領域R1および中央部領域R2が区画される。
上円形部材60の下面60bには、周縁部領域R1に重なる環状溝部RGが形成されている。また、上円形部材60の下面60bには、中央部領域R2に重なる複数の直線状溝部LGが形成されている。複数の直線状溝部LGは、中心軸11cから外周壁部62に向かって水平方向に直線状に延び、中心軸11cを中心として一定の角度ピッチβ(図5)で並ぶように形成されている。
各直線状溝部LGは、中心軸11cから周縁部領域R1に向かって深さが漸次小さくなるように形成されている。環状溝部RGの深さは、周縁部領域R1の全周に渡ってほぼ一定であり、複数の直線状溝部LGの最大深さとほぼ等しい。上円形部材60の下面60bのうち、複数の直線状溝部LGおよび環状溝部RGにより取り囲まれる複数の部分の各々には、ねじ孔65が形成されている。
図7に示すように、下円形部材70は、円板状の支持部71および筒状の外周壁部72を有し、例えば高い剛性を有する金属材料からなる。支持部71の中央部には、上下方向に貫通する連通孔73が形成されている。また、支持部71には、連通孔73を取り囲むように、上円形部材60の複数のねじ孔65(図8)にそれぞれ対応する複数の貫通孔74が形成されている。
外周壁部72は、支持部71の外周端部から上方に延びるように形成されている。外周壁部72の外径は、上円形部材60の外周壁部62の内径よりもわずかに小さい。外周壁部72の外周面には、一定幅で周方向に延びる溝72gが形成されている。シール部材79は、外周壁部72の溝72gに嵌め込み可能なOリングである。図7に白抜きの矢印で示すように、外周壁部72の溝72gにシール部材79が嵌め込まれる。また、図7に太い実線の矢印で示すように、下円形部材70がさらに上円形部材60の内部に嵌め込まれる。この状態で、複数のねじ部材BL(図9)が、下円形部材70の下方から、下円形部材70に形成された複数の貫通孔74(図7)を通して上円形部材60の複数のねじ孔65(図8)に取り付けられる。これにより、図9に示すように、上円形部材60と下円形部材70とが接続される。
上円形部材60と下円形部材70とが接続された状態で、上円形部材60の環状溝部RGと下円形部材70の外周部との間に円環状に延びる空間が形成される。この空間は、上記の環状経路RPとして機能する。また、上円形部材60の複数の直線状溝部LGの底部と下円形部材70の支持部71との間に直線状に延びる空間が形成される。これらの空間は、複数の直線状経路LPとして機能する。
支持部71は、図6の支持部43と同様に、図1の回転軸12の上端部に取り付けられる取付部71aを有する。連通孔73は、取付部71aの内側で、中心軸11cに沿うように形成されている。
上記のように、第2の構成例に係る吸着保持部11においては、上円形部材60の下面60bに形成される複数の直線状溝部LGの各々は、深さが中心軸11cから周縁部領域R1に向かって漸次小さくなるように形成されている。それにより、各直線状経路LPの気体の流れ方向に直交する断面積は、吸着保持部11の中心から外周端部に向かって漸次小さくなっている。この構成によれば、各直線状経路LPに重なるように形成される複数の吸引孔vh2のサイズが同じである場合でも、複数の吸引孔vh2において発生する吸引力が均一化される。したがって、基板Wの下面中央部の全体が略均一な力で吸引される。
また、第2の構成例に係る吸着保持部11は、上円形部材60と下円形部材70とが複数のねじ部材BLにより接続された構成を有する。それにより、吸着保持部11の内部のメンテナンスを容易に行うことができる。
[3]検討および効果
(1)本発明者らの第1の検討
図10は参考形態に係る吸着保持部の平面図であり、図11は図10の吸着保持部のB-B線縦断面図である。図10および図11に示すように、本参考形態に係る吸着保持部99は、環状経路RPおよび複数の吸引孔vh2が形成されていない点を除いて基本的に第1の構成例に係る吸着保持部11と同じ構成を有する。
具体的には、本参考形態に係る吸着保持部99は、基板Wの下面中央部を吸着保持する平坦な上面99uを有し、図1の回転軸12に取り付け可能に構成されている。ここで、外周端部から吸着保持部99の中心を通って上下方向に延びる仮想軸を中心軸99cと呼ぶ。吸着保持部99の内部には、中心軸99cから吸着保持部99の外周端部に向かって水平方向に直線状に延びる複数の直線状経路LPが、中心軸99cを中心として一定の角度ピッチ(本例では、30°)で形成されている。複数の直線状経路LPのうち中心軸99cと反対側の端部は閉塞されている。吸着保持部99の上面99uには、平面視で各直線状経路LPに重なるように複数の吸引孔vhが一定の間隔をおいて形成されている。
本発明者らは、本参考形態に係る吸着保持部99を備える塗布装置を用いて、100μm以下の厚みを有する基板Wに塗布処理を行った。その結果、塗布処理後の基板Wには、目視で確認できる程度の塗布むらが発生した。ここで確認された塗布むらを、第1の塗布むらと呼ぶ。
図12は、参考形態に係る吸着保持部99を用いた塗布処理後の基板W上に発生した第1の塗布むらの一例を示す平面図である。図12では、塗布処理時に吸着保持部99の外周端部に重なる基板Wの部分(以下、被保持領域外縁と呼ぶ。)が点線で示される。図12にドットパターンで示すように、第1の塗布むらは、被保持領域外縁の複数の部分から基板Wの外周端部に向かって、複数の曲線が基板Wの中心を回転中心とする共通の回転方向に湾曲しつつ一定距離延びるように形成されている。
本発明者らは、第1の塗布むらの発生のメカニズムとして、以下に示す第1および第2のメカニズムを推定した。図13は、図12の第1の塗布むらの発生について推定された第1のメカニズムを説明するための断面図である。吸着保持部99に吸着保持される基板Wが高速で回転すると、図12の上段に太い一点鎖線の矢印で示すように、基板Wの外周部が吸着保持部99の上面99uよりも上方に浮き上がる現象が生じる。この現象は、小さい厚み(本例では100μm以下の厚み)を有する基板Wを回転させる際に生じやすい。基板Wの剛性が低いからである。
基板Wの外周部が上方に向かう力が吸着保持部99の外周端部近傍に形成された吸引孔vhで発生される吸引力を超えると、基板Wの被保持領域外縁と吸着保持部99の上面99uとの間に隙間が形成される。この場合、図13の上段に太い実線の矢印で示すように、基板Wと吸着保持部99の上面99uとの間の隙間を通して吸着保持部99の外周端部近傍の吸引孔vhに基板W周辺の雰囲気が進入する。それにより、吸着保持部99の外周端部近傍で、気体が局所的に流れることに起因して、基板Wの被保持領域外縁が局部的に冷却される。
一方、塗布処理が開始されることにより液体ノズル21から基板Wの中央部に供給されるレジスト液RLは、図13の上段に白抜きの矢印で示すように、基板Wの外周端部に向かって広がる。このとき、基板Wの被保持領域外縁の温度が局所的に低下すると、基板W上に塗り広げられるレジスト液RLが局所的に冷却される。基板W上でのレジスト液RLの流動性は、レジスト液RLの温度が高いほど高く、レジスト液RLの温度が低いほど低い。そのため、基板W上では、レジスト液RLの流動性が吸着保持部99の外周端部上で局所的に低下する。それにより、基板Wの被保持領域外縁の複数の部分で、図13の下段に示すように、レジスト液RLが滞留する。
基板Wの被保持領域外縁で一定量のレジスト液RLが滞留すると、滞留したレジスト液RL上をさらに流れる後続のレジスト液RLは、基板Wの局所的な温度低下の影響をうけにくくなる。それにより、後続のレジスト液RLは、基板Wの被保持領域外縁で一定量滞留したレジスト液RL上を乗り越え、基板Wの外周端部に向かってさらに流れる。このとき、上記の第1の塗布むらが発生する。
図14は、図12の第1の塗布むらの発生について推定された第2のメカニズムを説明するための断面図である。図14では、図10の吸着保持部99により互いに異なる2種類の速度で回転する基板Wの状態が、外観斜視図で示される。また、図14においては、吸着保持部99上に保持される基板Wが一点鎖線およびドットパターンで示されるとともに、吸着保持部99の上面99uが基板Wを透過した状態で示される。
図14の上段に示すように、基板Wの回転速度が比較的低い場合、吸着保持部99により吸着保持された基板Wは、吸着保持部99の上面99uに沿うように比較的平坦な状態で維持される。しかしながら、基板Wの回転速度が比較的高い場合には、基板Wの全体に上方へ向かう力が発生する。それにより、図14の下段に示すように、複数の吸引孔vhにより吸引されていない基板Wの部分が、上面99uから浮き上がるように変形する。
ここで、吸着保持部99の複数の吸引孔vhは、図10の複数の直線状経路LPに重なる。そのため、基板Wは周方向に波打つように変形する。図14では、図10の複数の直線状経路LPに重なる上面99u上の仮想線が二点鎖線で示される。
吸着保持部99による基板Wの塗布処理時には、基板Wの回転速度が多段階で変化する。基板Wの回転速度が短時間で大きく変化すると、吸着保持部99の複数の吸引孔vhにより吸着保持されている基板Wの部分と、吸着保持部99の外方で波打つように変形した基板Wの部分との間に大きな慣性力が発生する。このとき、吸着保持部99の外方の位置で、基板Wの一部に円環状のねじれが生じる。それにより、当該ねじれに起因して第1の塗布むらが発生する。
第1の塗布むらは、上記の第1および第2のメカニズムのうちいずれかのメカニズムに従って発生するものと推定される。上記の第1および第2のメカニズムを考慮して、本発明者らは、塗布処理時に基板Wの被保持領域外縁が吸着保持部99の上面99uから浮き上がることがなければ、吸着保持部99による基板Wの保持状態が安定し、第1の塗布むらは発生しないと考えた。また、本発明者らは、参考形態に係る吸着保持部99の構成では、基板Wの被保持領域外縁が吸着保持部99の上面99uから浮き上がることを抑制可能な吸引力が得られないと考えた。これらの点を考慮して、本発明者らは、上記の第1および第2の構成例に係る吸着保持部11を案出した。
(2)本発明者らの第2の検討
本発明者らは、気体ノズル17および気体供給系18を有しない点を除いて図1の塗布装置1と同じ構成を有する塗布装置により、100μm以下の厚みを有する基板Wに塗布処理を行った。その結果、塗布処理後の基板Wには、目視で確認できる程度の塗布むらが発生した。ここで確認された塗布むらを、第2の塗布むらと呼ぶ。
図15は、塗布処理後の基板W上に発生した第2の塗布むらの一例を示す平面図である。図15においても、図12の例と同様に、被保持領域外縁が点線で示される。図15にドットパターンで示すように、第2の塗布むらは、基板Wの中心を取り囲む一定幅の円環形状を示すように形成されている。第2の塗布むらの内縁は被保持領域外縁に位置する。
本発明者らは、第2の塗布むらの発生のメカニズムを推定した。図16は、図15の第2の塗布むらの発生について推定されたメカニズムを説明するための断面図である。
塗布装置は、基本的にクリーンルーム内に収容される。塗布装置を取り囲む空間には、所定温度(例えば23℃)に維持された清浄な空気の下降気流(ダウンフロー)が形成される。それにより、図16の上段に白抜きの矢印で示すように、塗布処理中の基板Wには塗布装置の上方から継続して気体が吹き付けられる。
一方、塗布処理が開始されることにより液体ノズル21から基板Wに供給されるレジスト液RLは、基板Wの中心から外周端部に向かって広がる。本例のレジスト液RLは、揮発性の溶剤を含む。この場合、図16の上段に太い波線の矢印で示すように、基板W上に塗り広げられたレジスト液RLの溶剤が気化する。このとき、塗布装置の上方の位置から基板Wに向かうダウンフローは、基板W上に塗布されたレジスト液RLの溶剤の気化を促進する。
ここで、基板Wのうち吸着保持部11に接触しない部分(以下、非接触部分ncと呼ぶ。)の熱容量は、他の部分(以下、接触部分と呼ぶ。)の熱容量よりも小さい。そのため、基板W上のレジスト液RLの溶剤の気化が促進されると、気化熱の影響により、接触部分に比べて非接触部分ncの温度が低下する。
レジスト液RLは、温度が低いほど硬化に要する時間が長くなる。そのため、非接触部分nc上に塗り広げられるレジスト液RLは、基板Wが回転することにより比較的流動しやすい状態にある。しかしながら、実際には、非接触部分ncであっても、基板Wの外周端部およびその近傍の領域では、回転速度が高いことによりレジスト液RLの溶剤の気化がさらに促進され、レジスト液RLが硬化しやすい。そのため、最終的には、図16の下段に示すように、基板Wの被保持領域外縁から一定幅の範囲を除いて略一定の厚みでレジスト膜RCが形成される。その結果、上記の第2の塗布むらが発生する。
上記のように推定されたメカニズムを考慮して、本発明者らは、塗布処理時に、吸着保持部11により吸着保持されない部分の温度が吸着保持部11により吸着保持される部分の温度に一致するかまたは近づくように、基板Wの各部の温度を調整することを考えた。これらの点を考慮して、本発明者らは、基板Wの非接触部分を加熱する気体ノズル17および気体供給系18を備える図1の塗布装置1を案出した。
(3)効果
上記の塗布装置1においては、回転保持装置10に第1および第2の構成例に係る吸着保持部11が用いられる。上記の吸着保持部11によれば、基板Wの下面中央部が上面11uから浮き上がることが抑制され、基板Wの保持状態が安定する。したがって、上記の回転保持装置10により回転される基板Wに処理が行われる場合に、基板Wの一部が吸着保持部11の上面11uから浮き上がることに起因して基板Wの処理が基板W上の複数の部分でばらつくことが防止される。その結果、第1の塗布むらの発生が抑制され、基板Wの全体に渡る均一な処理が可能となる。
上記の塗布装置1においては、回転保持装置10に、基板Wの非接触部分の温度を調整するための気体ノズル17および気体供給系18が設けられる。これにより、基板Wの塗布処理時には、基板Wの非接触部分の温度が接触部分の温度に一致するかまたは近づけられる。この場合、塗布処理中の基板Wの複数の部分間で温度差が発生することが抑制される。その結果、第2の塗布むらの発生が抑制され、基板Wの全体に渡る均一な処理が可能となる。
また、本実施の形態においては、基板Wの非接触部分ncの温度が気体ノズル17から基板Wに噴射される温度調整気体により調整される。この場合、基板Wの非接触部分ncの温度を調整するために、ヒータまたは紫外線ランプ等の発熱装置を吸着保持部11の近傍に設ける必要がない。それにより、基板Wの処理環境が過剰な熱の影響を受けない。
[4]第1の塗布むらについての確認試験
本発明者らは、上記の吸着保持部11による効果を確認するために、以下の確認試験を行った。まず、本発明者らは、図4~図6の吸着保持部11と基本的に同じ構成を有する吸着保持部を実施例の吸着保持部として作製した。また、本発明者らは、参考形態に係る図10の吸着保持部99と基本的に同じ構成を有する吸着保持部を比較例の吸着保持部として作製した。
さらに、本発明者らは、作製された実施例の吸着保持部を図1の塗布装置1に取り付け、基板Wの塗布処理を行った。また、本発明者らは、作製された比較例の吸着保持部を図1の塗布装置1に取り付け、基板Wの塗布処理を行った。
その後、実施例の吸着保持部を用いた塗布処理後の基板Wを実施例基板とし、比較例の吸着保持部を用いた塗布処理後の基板Wを比較例基板として、各基板の上面を目視で確認した。その結果、実施例基板には上記の第1の塗布むらは確認できなかった。一方、比較例基板には上記の第1の塗布むらが発生していた。この目視結果から、基板W上の膜の状態をより詳細に確認するために、各基板Wの複数の部分についてレジスト膜の膜厚測定を行った。
図17は、第1の塗布むらについての確認試験において膜厚測定の対象となる基板Wの部分を説明するための平面図である。図17では、被保持領域外縁が点線で示される。図17に示すように、本発明者らは、被保持領域外縁にほぼ重なる第1の円C1上で1.6°ピッチで並ぶ複数の部分を第1の測定対象部分群として決定した。また、本発明者らは、第1の円C1に同心でかつ第1の円C1よりも小さい半径を有する第2の円C2上で1.6°ピッチで並ぶ複数の部分を第2の測定対象部分群として決定した。さらに、本発明者らは、第1の円C1に同心でかつ第1の円C1よりも大きい半径を有する第3の円C3上で1.6°ピッチで並ぶ複数の部分を第3の測定対象部分群として決定した。
図17では、第1~第3の円C1~C3の各々において、1.6°ピッチで並ぶ複数の測定対象部分の一部が小さい黒点で示される。なお、図17においては、複数の測定部分間の関係が理解しやすいように、同一円上の複数の測定点間の角度ピッチが誇張して示されている。
図18は、第1の塗布むらについての確認試験結果を示す図である。図18では、第1~第3の測定対象部分群の各々について実施例基板および比較例基板の膜厚測定結果が示される。図18に示される各グラフにおいては、縦軸は膜厚を表し、横軸は図17の第1~第3の円C1~C3の各々における測定部分(測定位置)を表す。また、各グラフにおいて、縦軸に示される符号「tt」は、塗布処理により形成されるべきレジスト膜の厚み、すなわち目標膜厚を表す。さらに、各グラフにおいては、実施例基板の複数の膜厚測定結果を結ぶ線が太い実線で表され、比較例基板の複数の膜厚測定結果を結ぶ線が点線で表される。
図18に示すように、実施例基板の膜厚測定結果は、第1~第3の測定対象部分群のいずれにおいても、比較例基板の膜厚測定結果に比べて膜厚のばらつきが小さい。また、実施例基板の膜厚測定結果は、第1~第3の測定対象部分群のいずれにおいても、比較例基板の膜厚測定結果に比べて、膜厚が全体的に目標膜厚ttに近い。なお、第1および第3の測定対象部分群の膜厚測定結果によれば、比較例基板では、特に被保持領域外縁から基板の外周端部までの範囲で著しく膜厚のばらつきが認められる。この著しい膜厚のばらつきは、第1の塗布むらに対応する。
これらの結果、図10の吸着保持部99に代えて、上記の第1および第2の構成例に係る吸着保持部11を用いることにより、第1の塗布むらの発生が十分に抑制されることが明らかになった。
[5]第2の塗布むらについての確認試験
(1)塗布処理中の基板Wの温度について
本発明者らは、基板Wの塗布処理中に図1の気体ノズル17から基板Wに温度調整気体が供給される場合と温度調整気体が供給されない場合とで基板Wの温度の状態がどのように異なるのかを確認するために、以下に説明する温度調整確認試験を行った。
図19は、温度調整確認試験を説明するための塗布装置1の模式的断面図である。図19に示すように、本発明者らは、吸着保持部11上に位置する基板Wの部分に温度測定点が位置するように、塗布装置1上に非接触タイプの第1の温度センサs1をセットした。また、本発明者らは、気体ノズル17上に位置する基板Wの部分に温度測定点が位置するように、塗布装置1上に非接触タイプの第2の温度センサs2をセットした。
この状態で、気体ノズル17から基板Wに加熱された温度調整気体が供給されつつ基板Wの塗布処理が行われる場合の第1および第2の温度センサs1,s2の出力(温度測定結果)を記録した。また、気体ノズル17から基板Wに温度調整気体が供給されない状態で塗布処理が行われる場合の第1および第2の温度センサs1,s2の出力(温度測定結果)を記録した。
図20は、温度調整確認試験結果を示す図である。図20のグラフにおいては、縦軸が温度を表し、横軸が時間を表す。図20の横軸において、時点t1は、塗布処理が開始された後、基板Wへのレジスト液RLの供給が停止された時点を表す。時点t2は、塗布処理の終了時点、すなわち基板W上に塗り広げられたレジスト液RLの全体が硬化した時点を表す。また、図20の縦軸に示される符号「pt」は処理温度を表す。
さらに、図20のグラフにおいては、気体ノズル17から基板Wに加熱された温度調整気体が供給されつつ基板Wの塗布処理が行われたときの第1および第2の温度センサs1,s2の出力(温度測定結果)が、太い実線および太い一点鎖線で示される。さらに、図20のグラフにおいては、気体ノズル17から基板Wに温度調整気体が供給されない状態で基板Wの塗布処理が行われたときの第1および第2の温度センサs1,s2の出力(温度測定結果)が、点線および二点鎖線で示される。
図20の温度調整確認試験結果によれば、気体ノズル17から基板Wに加熱された温度調整気体が供給される場合には、気体ノズル17から基板Wに温度調整気体が供給されない場合に比べて温度センサs1,s2の出力のばらつきがやや小さい。また、気体ノズル17から基板Wに加熱された温度調整気体が供給される場合には、気体ノズル17から基板Wに温度調整気体が供給されない場合に比べて温度センサs1,s2の出力が処理温度ptにやや近い。これらの結果、図1の気体ノズル17から加熱された温度調整気体が基板Wに供給されることにより、塗布処理中の基板Wの複数の部分間で大きな温度差が生じることが抑制されることが確認された。また、図1の気体ノズル17から加熱された温度調整気体が基板Wに供給されることにより、塗布処理中の基板Wの温度が全体的に処理温度ptに近づくことが確認された。
(2)第2の塗布むらの発生状態
本発明者らは、図1の塗布装置1において、気体ノズル17から基板Wへの温度調整気体の供給態様を変更しつつ複数の基板Wの塗布処理を行い、気体ノズル17から基板Wへの温度調整気体の供給態様に応じた第2の塗布むらの発生状態を確認した。
具体的には、本発明者らは、4枚の基板Wのうち1枚目の基板Wについて、気体ノズル17から基板Wへの温度調整気体の供給を行うことなく塗布処理を行った。また、本発明者らは、4枚の基板Wのうち2枚目の基板Wについて、気体ノズル17から基板Wへ第1の温度の温度調整気体を供給しつつ塗布処理を行った。また、本発明者らは、4枚の基板Wのうち3枚目の基板Wについて、気体ノズル17から基板Wへ第2の温度の温度調整気体を供給しつつ塗布処理を行った。また、本発明者らは、4枚の基板Wのうち4枚目の基板Wについて、気体ノズル17から基板Wへ第3の温度の温度調整気体を供給しつつ塗布処理を行った。上記の第1~第3の温度は、処理温度ptよりも高い。また、第2の温度は第1の温度よりも高く、第3の温度は第2の温度よりも高い。
その後、本発明者らは、上記のようにして得られた塗布処理後の4つの基板Wについて、各基板Wの中心を通る直線上のレジスト膜の膜厚分布を測定した。図21は、気体ノズル17から基板Wへの温度調整気体の供給態様が互いに異なる状態で塗布処理が施された4つの基板Wにおけるレジスト膜の膜厚分布を示す図である。
図21においては、縦軸がレジスト膜の膜厚を表し、横軸が基板Wの中心を通る直線上の位置を表す。なお、横軸においては、「0」は基板Wの中心を表す。また、「150」は基板Wの表面上で基板Wの中心を通る直線の一端部を表し、「-150」は基板Wの表面上で基板Wの中心を通る直線の他端部を表す。また、本例では、横軸における「75」および「-75」の位置が、被保持領域外縁の位置を表す。
さらに、図21においては、点線が上記の1枚目の基板Wに対応する膜厚分布を示し、実線が上記の2枚目の基板Wに対応する膜厚分布を示す。また、一点鎖線が上記の3枚目の基板Wに対応する膜厚分布を示し、二点鎖線が上記の4枚目の基板Wに対応する膜厚分布を示す。
図21に示すように、塗布処理中に加熱された温度調整気体が供給されなかった1枚目の基板Wには、被保持領域外縁およびその近傍の位置で、膜厚が局所的に小さくなっている。このことは、1枚目の基板Wにおいて、第2の塗布むらが顕著に表れていることを示している。
一方、2枚目、3枚目および4枚目の基板Wについては、被保持領域外縁およびその近傍の位置に著しい膜厚の低下は認められない。したがって、第2の塗布むらの発生が抑制されていることがわかる。
なお、図21の結果によれば、被保持領域外縁およびその近傍の位置におけるレジスト膜の膜厚は、気体ノズル17から基板Wに供給される温度調整気体の温度が高いほど大きくなっている。したがって、塗布処理時には、被保持領域外縁およびその近傍の位置におけるレジスト膜の膜厚が他の位置におけるレジスト膜の膜厚により近くなるように、基板Wに供給する温度調整気体の温度を調整することが望ましいことがわかる。
2.第2の実施の形態
[1]第2の実施の形態に係る塗布装置の基本構成
第2の実施の形態に係る塗布装置について、第1の実施の形態に係る塗布装置と異なる点を説明する。図22は第2の実施の形態に係る塗布装置の基本的な構成例を示す模式的断面図であり、図23は図22の塗布装置1の模式的平面図である。図23では、図22に示される塗布装置1の複数の構成要素のうち一部の構成要素の図示が省略されている。また、図22に示される基板Wが一点鎖線で示される。
以下の説明では、第1の実施の形態と同様に、基板Wの下面のうち吸着保持部11に接触する部分(吸着保持部11により吸着保持される部分)を下面中央部と呼ぶ。さらに、本実施の形態では、基板Wの下面のうち下面中央部を取り囲みかつ吸着保持部11により吸着保持されない部分を下面周縁部と呼ぶ。
図22および図23に示すように、本実施の形態に係る塗布装置1においては、回転保持装置10が複数(本例では4個)の気体ノズル17を備える。複数の気体ノズル17は、図23に示すように、吸着保持部11により吸着保持される基板Wの周方向に並ぶように、等角度間隔(本例では、回転軸12に関して90°間隔)で設けられる。また、複数の気体ノズル17の各々は、気体噴出部17b(図23)のスリット状開口が吸着保持部11により吸着保持される基板Wの直径の方向に延びるように配置される。各気体ノズル17の気体導入部17a(図3)には、気体供給系18が接続される。
この塗布装置1においては、気体供給系18は、塗布処理時に、例えば処理温度よりも高い温度を有する温度調整気体を複数の気体ノズル17に供給する。この場合、高い温度を有する温度調整気体は、複数の気体ノズル17の気体噴出部17bから塗布処理中の基板Wの下面周縁部の複数の部分にそれぞれ同時に噴射される。それにより、基板Wの下面周縁部の複数の部分の各々に供給される温度調整気体の流量を過剰に大きくすることなく、基板Wの下面中央部の温度と基板Wの下面周縁部の温度とを互いに一致させるかまたは近づけることができる。その結果、基板Wの一部に過剰な流量で温度調整気体が供給されることによる基板Wの変形および破損が防止される。
[2]気体ノズル17の変形例
本実施の形態に係る回転保持装置10においては、基板Wの下面周縁部に温度調整気体を供給する気体ノズル17の構成は、図22の例に限定されない。以下、気体ノズル17の変形例について説明する。
(1)第1の変形例
図24は第1の変形例に係る気体ノズルの外観斜視図であり、図25は図24の気体ノズル170Aの平面図であり、図26は図24の気体ノズル170Aの下面図である。図24~図26に示すように、本例の気体ノズル170Aは、円環形状を有し、その内側に吸着保持部11を配置することが可能に構成されている。
図24および図25に示すように、気体ノズル170Aの上面170uは、平坦な一定幅の円環帯形状を有する。上面170uには、周方向に所定の間隔をおいて複数の貫通孔群g1~g8が形成されている。換言すれば、上面170uには、平面視で気体ノズル170Aの中心を基準として等角度(本例では45°)間隔で複数(本例では8個)の貫通孔群g1~g8が形成されている。各貫通孔群g1~g8は、複数の貫通孔h1~hn(nは2以上の自然数)を含む。複数の貫通孔h1~hnは、例えば0.5mm以上5.00mm以下の共通の内径を有する。
各貫通孔群g1~g8においては、複数の貫通孔h1~hnは、この順で気体ノズル170Aの内縁から外縁に向かう直線上に並ぶように配列されている。気体ノズル170Aは、後述する円環状の内部空間173(図28)を有する。複数の貫通孔h1~hnは、内部空間173と上面170uの上方の空間とを連通させる。
図26に示すように、気体ノズル170Aの下面170bは、上面170uと同様に、平坦な一定幅の円環帯形状を有する。下面170bには、周方向に所定の間隔をおいて複数の気体導入部材177が設けられている。換言すれば、下面170bには、平面視で気体ノズル170Aの中心を基準として等角度(本例では45°)間隔で複数(本例では8個)の気体導入部材177が設けられている。各気体導入部材177は、平面視で貫通孔群g1~g8のいずれにも重ならない位置に設けられる。より具体的には、各気体導入部材177は、平面視で貫通孔群g1~g8のうち隣り合う各2つの貫通孔群の中間に位置するように、下面170bに設けられている。
気体導入部材177は、気体入口177a、気体流路177bおよび気体出口177cを有する。下面170bにおける各気体導入部材177の取り付け部分には、貫通孔が形成されている。気体導入部材177の気体出口177cは下面170bの貫通孔上に位置決めされている。
このような構成により、気体入口177aに温度調整気体が供給されると、その温度調整気体は、気体流路177b、気体出口177cおよび下面170bの貫通孔を通して気体ノズル170Aの内部空間173(図28)に導かれる。内部空間173(図28)に導かれた温度調整気体は、さらに上面170uの複数の貫通孔群g1~g8から上面170uの上方の空間に噴射される。したがって、気体ノズル170Aを塗布装置1に設ける際には、複数の気体導入部材177の気体入口177aに気体供給系18(図22)が接続される。
気体ノズル170Aの下面170bには、さらに2つの固定部材178が取り付けられている。固定部材178は、例えばねじを挿入可能な貫通孔を有し、下面170b上から気体ノズル170Aの内側に突出するように設けられている。2つの固定部材178が、例えば塗布装置1の筐体にねじを用いて固定される。それにより、気体ノズル170Aが、吸着保持部11に対して予め定められた位置関係を有する状態で塗布装置1内に固定される。
なお、気体ノズル170Aに設けられる固定部材178の数は、2個に限定されない。気体ノズル170Aには、3個、4個または5個以上の固定部材178が設けられてもよい。この場合、複数の固定部材178は、下面170b上に等間隔で配置されることが好ましい。
図27は、塗布装置1における第1の変形例に係る気体ノズル170Aと吸着保持部11との位置関係を示す図である。図27に示すように、塗布装置1においては、気体ノズル170Aは、吸着保持部11を取り囲むように設けられる。なお、気体ノズル170Aの上面170uは、吸着保持部11の上面11uよりも低い高さに保持される。
図28は、図27の吸着保持部11および気体ノズル170Aの複数の部分の縦断面図である。図28の一段目には、図27のQ1-Q1線を含む鉛直面で吸着保持部11および気体ノズル170Aを切断した場合の縦断面図が示される。Q1-Q1線を含む鉛直面には、図24の貫通孔群g1が存在する。図28の二段目には、図27のQ2-Q2線を含む鉛直面で吸着保持部11および気体ノズル170Aを切断した場合の縦断面図が示される。Q2-Q2線を含む鉛直面には、図24の貫通孔群g2が存在する。
図28の三段目には、図27のQ3-Q3線を含む鉛直面で吸着保持部11および気体ノズル170Aを切断した場合の縦断面図が示される。Q3-Q3線を含む鉛直面には、図24の貫通孔群g3が存在する。図28の四段目には、図27のQ4-Q4線を含む鉛直面で吸着保持部11および気体ノズル170Aを切断した場合の縦断面図が示される。Q4-Q4線を含む鉛直面には、図24の貫通孔群g4が存在する。
図28の五段目には、図27のQ5-Q5線を含む鉛直面で吸着保持部11および気体ノズル170Aを切断した場合の縦断面図が示される。Q5-Q5線を含む鉛直面には、図24の気体導入部材177が存在する。なお、図28の各図においては、吸着保持部11および気体ノズル170Aの断面図とともに、吸着保持部11により吸着保持される基板Wの断面図も示される。
図28の各段の縦断面図に示すように、気体ノズル170Aは、上面部材171および下面部材172から構成される。上面部材171は、上面170uを形成する円環形状の平板部分と、平板部分の内縁から下方に所定高さ延びる内周壁と、平板部分の外縁から下方に所定高さ延びる外周壁とを有する。一方、下面部材172は、上面部材171の平板部分に対応する円環形状を有する平板部材である。
上面部材171の内周壁の下端部および外周壁の下端部に下面部材172の内縁および外縁がそれぞれ接続される。それにより、上面部材171の平板部分と下面部材172との間に円環状の内部空間173が形成される。内部空間173は、温度調整気体の流通路として機能する。上面部材171と下面部材172との接続は、溶接によって行われてもよい。あるいは、上面部材171および下面部材172は、例えばねじを用いて互いに接続されてもよい。この場合、上面部材171と下面部材172との接続部を通して内部空間173内の気体が漏れ出ないように、Oリング等のシール部材を上面部材171と下面部材172との接続部に設けることが好ましい。
図28の一段目の縦断面においては、気体ノズル170Aの上面170uに、図24の貫通孔群g1に属する複数の貫通孔h1~hnが形成されている。二段目の縦断面においては、気体ノズル170Aの上面170uに、図24の貫通孔群g2に属する複数の貫通孔h1~hnが形成されている。三段目の縦断面においては、気体ノズル170Aの上面170uに、図24の貫通孔群g3に属する複数の貫通孔h1~hnが形成されている。四段目の縦断面においては、気体ノズル170Aの上面170uに、図24の貫通孔群g3に属する複数の貫通孔h1~hnが形成されている。
上面170uのうち吸着保持部11に最も近接する部分には、気体ノズル170Aの内方かつ上方を向く傾斜部utが形成されている。鉛直方向に延びる軸に対する傾斜部utの傾斜角度は、例えば30°~60°の範囲内となるように設定される。図24の各貫通孔群g1~g8においては、気体ノズル170Aの内縁に最も近い貫通孔h1が傾斜部utに位置する。各貫通孔h1は、傾斜部utに対して直交する方向に延びるように形成されている。
気体ノズル170Aの縦断面図においては、傾斜部utは、気体ノズル170Aの内縁から外方かつ斜め上方に向かって一定長さ直線状に延びている。また、傾斜部utは、吸着保持部11により基板Wが吸着保持された状態で、基板Wの下面周縁部のうち内縁を含む部分に対向する。
気体ノズル170Aにおいては、複数の貫通孔群g1~g8のうち貫通孔群g1,g4,g7の貫通孔h1は、傾斜部utのうち上端部近傍の第1の領域に形成される。一方、貫通孔群g2,g5,g8の貫通孔h1は、傾斜部utのうち第1の領域に隣り合いかつ第1の領域の下方に位置する第2の領域に形成される。他方、貫通孔群g3,g6の貫通孔h1は、傾斜部utのうち第2の領域に隣り合いかつ第2の領域の下方に位置する第3の領域に形成される。
上記のように、複数の貫通孔h1は、傾斜部utにおける複数の領域に分散して形成されている。これにより、吸着保持部11により吸着保持された基板Wの回転時には、複数の貫通孔h1から噴射される温度調整気体が、基板Wの下面周縁部内縁およびその周辺部分に全体的に供給される。
ここで、気体ノズル170Aにおいて、周方向に直交して気体ノズル170Aの中心から気体ノズル170Aの外方に向く方向を半径方向と呼ぶ。図24の各貫通孔群g1~g8においては、貫通孔h2~hnは、上面170uのうち傾斜部utを除く領域上で、半径方向に沿って延びる一直線上に一定の間隔(本例では貫通孔h2~hnの内径)をおいて並んでいる。具体的には、本例の貫通孔h1~hnの各々は1.0mmの内径を有し、貫通孔h2~hnは2.0mmピッチで一直線上に配置されている。
気体ノズル170Aの周方向で互いに隣り合う各2つの貫通孔群においては、一方の貫通孔群の貫通孔h2~hnの形成位置と、他方の貫通孔群の貫通孔h2~hnの形成位置とが互いに異なる。それにより、気体ノズル170Aにおいては、複数の貫通孔群g1~g8の互いに対応する順の貫通孔が周方向に千鳥配列(ジグザグ配列)されている。これにより、吸着保持部11により吸着保持された基板Wの回転時には、複数の貫通孔群g1~g8の複数の貫通孔h2~hnから噴射される温度調整気体が、基板Wの下面周縁部のうち上面170uに対向する部分に全体的に供給される。
図28の五段目に示すように、気体ノズル170Aの下面170bにおける気体導入部材177の取り付け部分には、半径方向における略中央部に貫通孔172hが形成されている。気体導入部材177は、気体出口177cが貫通孔172hに重なるように位置決めされ、下面170bに取り付けられる。この状態で、気体導入部材177の気体入口177aは、気体ノズル170Aの内方を向く。
上記のように、気体入口177aに温度調整気体が供給されることにより、気体流路177b、気体出口177cおよび貫通孔172hを通して内部空間173に温度調整気体が供給される。ここで、貫通孔172hの上方に位置する上面部材171の部分には、貫通孔または開口が形成されていない。そのため、気体導入部材177から内部空間173に供給される温度調整気体は、最初に上面部材171に衝突することにより内部空間173内で円滑に拡散される。それにより、温度調整気体は、内部空間173から複数の貫通孔群g1~g8に円滑かつ均一に導かれる。
なお、吸着保持部11に基板Wが吸着保持された状態で、基板Wの下面と気体ノズル170Aの上面170uとの間の距離D1(図28の五段目参照)は、例えば0.5mm~10mm程度に設定される。また、吸着保持部11の外縁と気体ノズル170Aの内縁との間の距離D2(図28の五段目参照)は、例えば1mm~10mm程度に設定される。
(2)第2の変形例
図29は、第2の変形例に係る気体ノズルの下面図である。第2の変形例に係る気体ノズル170Bは、以下に説明する点を除いて第1の変形例に係る気体ノズル170Aと同じ構成を有する。
図29に示すように、気体ノズル170Bの下面170bには、図26の複数の気体導入部材177に代えて、一の気体導入部材179が設けられている。気体導入部材179は、基本的に気体導入部材177と同じ構成を有する。
また、本例では、下面部材172に複数の貫通孔172h(図28)が形成される代わりに、下面部材172の内部に気体流路172pが形成されている。図29においては、気体流路172pが一点鎖線とドットパターンで示される。
気体流路172pは、一の上流端と、複数(本例では8個)の下流端deとを有する。一の上流端は、図22の気体供給系18から気体導入部材179を通して供給される温度調整気体を受けることが可能となるように、下面170bにおける気体導入部材179の取り付け部分に位置する。複数の下流端deは、平面視で複数の貫通孔群g1~g8の互いに隣り合う各2つの貫通孔群の間に位置し、気体ノズル170Bの内部空間173に開放されている。
上記の気体導入部材179には、気体供給系18が接続される。これにより、気体供給系18から一の気体導入部材179に供給される温度調整気体が、気体流路172pを通して内部空間173内の複数の部分に供給される。
(3)第3の変形例
図30は、第3の変形例に係る気体ノズルの平面図である。第3の変形例に係る気体ノズル170Cは、以下に説明する点を除いて第1の変形例に係る気体ノズル170Aと同じ構成を有する。
図30に示すように、気体ノズル170Cにおいては、上面170uに12個の貫通孔群g11~g22が形成されている。これらの複数の貫通孔群g11~g22は、気体ノズル170Cの周方向において、等間隔で風車状に並んでいる。複数の貫通孔群g11~g22の各々は、気体ノズル170Cの内縁から外縁に向かって湾曲しつつ延びる曲線上に、複数の貫通孔が並ぶ構成を有する。さらに、気体ノズル170Cにおいては、上面170uの傾斜部utに、複数の貫通孔群g11~g22に属さない多数の貫通孔が形成されている。
第3の変形例に係る気体ノズル170Cにおいては、第1および第2の変形例に係る気体ノズル170A,170Bに比べて、温度調整気体を噴射可能な貫通孔の数が多い。それにより、基板Wの下面周縁部の複数の部分に対して、より均一に温度調整気体を供給することができる。
なお、複数の貫通孔群g11~g22の各々の半径方向において、互いに隣り合う各2つの貫通孔の中心間の距離は、各貫通孔の直径以下となるように定められることが好ましい。この場合、吸着保持部11により吸着保持された基板Wの回転時に、基板Wの下面周縁部のうち上面170uに対向する部分に全体的に温度調整気体を供給することができる。
(4)第4の変形例
図31は、第4の変形例に係る気体ノズルの平面図である。第4の変形例に係る気体ノズル170Dは、以下に説明する点を除いて第1の変形例に係る気体ノズル170Aと同じ構成を有する。
図31に示すように、気体ノズル170Dにおいては、上面170uに、複数の貫通孔群g1~g8(図24)に代えて、複数(本例では8個)のスリット状開口SLが形成されている。複数のスリット状開口SLは、気体ノズル170Dの周方向において、等間隔で並んでいる。各スリット状開口SLは、気体ノズル170Dの内縁近傍から外縁近傍まで直線状に延びるように形成されている。
このような構成により、気体ノズル170Dの使用時には、気体ノズル170Dの内部空間173から各スリット状開口SLを通して上面170u上の空間に温度調整気体が噴射される。
(5)第5の変形例
図32は、第5の変形例に係る気体ノズルの外観斜視図である。第5の変形例に係る気体ノズル170Eは、以下に説明する点を除いて第1の変形例に係る気体ノズル170Aと同じ構成を有する。
図32に示すように、気体ノズル170Eは、気体ノズル170Aの上面部材171の上端部を取り囲む板状の円環状部材180を含む。円環状部材180は、上面部材171の上面170uを取り囲む上面180uを有し、上面部材171と一体成形されている。上面170uと上面180uとは面一になっている。図32では、上面部材171の上面170uの外縁が一点鎖線で示される。
図33は、第5の変形例に係る気体ノズル170Eと吸着保持部11により保持される基板Wとの位置関係を説明するための縦断面図である。図33に示すように、上面部材171の上面170uは、基板Wの下面周縁部のうち内縁を含む一部分に対向する。一方、円環状部材180の上面180uは、基板Wの下面周縁部のうちの他の一部分に対向する。
吸着保持部11による基板Wの回転時には、上面170uの複数の貫通孔h1~hnから基板Wの下面周縁部の内縁を含む一部分に温度調整気体が噴射される。このとき、気体ノズル170Eの上面180uは、上面170uの上方に噴射された温度調整気体を基板Wの外周端部へ導く。それにより、基板Wの下面周縁部と、気体ノズル170Eの上面170u,180uとの間の空間では、図33に太い実線の矢印で示すように、吸着保持部11から基板Wの外周端部に向かう温度調整気体の流れが発生する。その結果、吸着保持部11により吸着保持される基板Wの上面にレジスト液が供給される場合に、基板Wの上面に供給されたレジスト液が外周端部を通して基板Wの下面に回り込むことが防止される。
[3]第2の塗布むらについての確認試験
本発明者らは、第1の変形例に係る気体ノズル170Aを備える塗布装置1において、気体ノズル170Aから基板Wへ所定温度の温度調整気体を所定流量で供給しつつ基板Wの塗布処理を行った。この塗布処理により得られた基板Wを実施例基板と呼ぶ。また、本発明者らは、基板Wへ温度調整気体の供給を行うことなく基板Wの塗布処理を行った。この塗布処理により得られた基板Wを比較例基板と呼ぶ。
その後、本発明者らは、実施例基板および比較例基板について、各基板Wの中心を通る直線上のレジスト膜の膜厚分布を測定した。図34は、第2の実施の形態の実施例基板および比較例基板におけるレジスト膜の膜厚分布を示す図である。
図34においては、図21の例と同様に、縦軸がレジスト膜の膜厚を表し、横軸が基板Wの中心を通る直線上の位置を表す。なお、横軸においては、「0」は基板Wの中心を表す。また、「150」は基板Wの表面上で基板Wの中心を通る直線の一端部を表し、「-150」は基板Wの表面上で基板Wの中心を通る直線の他端部を表す。また、本例では、横軸における「75」および「-75」の位置が、基板Wの下面周縁部の内縁(上述の被保持領域外縁)の位置を表す。さらに、図34においては、太い実線が実施例基板に対応する膜厚分布を示し、点線が比較例基板に対応する膜厚分布を示す。
図34に示すように、比較例基板においては、被保持領域外縁およびその近傍の位置で、膜厚が局所的に小さくなっている。このことは、比較例基板において、第2の塗布むらが顕著に表れていることを示している。
一方、実施例基板については、被保持領域外縁およびその近傍の位置に著しい膜厚の低下は認められない。したがって、第2の塗布むらの発生が抑制されていることがわかる。
3.他の実施の形態
(1)上記実施の形態に係る回転保持装置10においては、塗布処理後の基板Wに図12の第1の塗布むらが発生することを防止するために、第1および第2の構成例に係る吸着保持部11が用いられる。また、塗布処理後の基板Wに図15の第2の塗布むらが発生することを防止するために、気体ノズル17および気体供給系18が設けられる。しかしながら、本発明は上記の例に限定されない。
本発明に係る回転保持装置10は、第1および第2の塗布むらのうち少なくとも一方の発生を防止することができればよい。したがって、図1および図22の塗布装置1の各々には、吸着保持部11が設けられるのであれば、気体ノズル17および気体供給系18は設けられなくてもよい。また、図1および図22の塗布装置1の各々には、気体ノズル17および気体供給系18が設けられるのであれば、第1および第2の構成例に係る吸着保持部11に代えて、図10の参考形態に係る吸着保持部99が設けられてもよい。
(2)上記実施の形態に係る回転保持装置10は、塗布装置1に用いられるが、本発明はこれに限定されない。回転保持装置10は、塗布装置1に代えて基板Wに塗布処理以外の処理を行う基板処理装置に用いられてもよい。例えば、回転保持装置10は、所定の膜が形成された基板Wの上面をエッチングする基板洗浄装置に用いられてもよい。この場合、基板洗浄装置においては、吸着保持部11により吸着保持される基板Wの上面上にエッチング液が供給される。
(3)上記実施の形態に係る回転保持装置10においては、塗布処理後の基板Wに図15の第2の塗布むらが発生することを防止するために、気体ノズル17および気体供給系18が設けられるが、本発明はこれに限定されない。
塗布処理後の基板Wに図15の第2の塗布むらが発生することを防止するために、気体ノズル17および気体供給系18に代えて、基板Wの裏面を輻射熱で局部的に加熱可能なランプヒータが用いられてもよい。
(4)第2の実施の形態に係る図22の回転保持装置10においては、塗布処理後の基板Wに図15の第2の塗布むらが発生することを防止するために、基板Wの4つの部分を加熱する4個の気体ノズル17が設けられるが、本発明はこれに限定されない。第2の実施の形態に係る回転保持装置10には、基板Wの複数の部分に同時に温度調整気体を供給するために、2個、3個または5個以上の気体ノズル17が設けられてもよい。この場合、複数の気体ノズル17は、吸着保持部11により吸着保持される基板Wの半径方向に並ぶように設けられてもよいし、基板Wの周方向に並ぶように設けられてもよい。
(5)上記実施の形態に係る回転保持装置10においては、塗布処理中の基板Wの温度分布によっては、基板Wの全体の温度を均一化するために、気体ノズル17は処理温度よりも低い温度調整気体を基板Wに供給してもよい。すなわち、気体ノズル17および気体供給系18は、基板Wの複数の部分の温度を均一化するために、基板Wの一部を局部的に冷却可能に構成されてもよい。
(6)上記実施の形態に係る塗布装置1において、処理対象となる基板Wは、少なくとも一部が円形状の外周端部を有するが、本発明はこれに限定されない。処理対象となる基板Wは、少なくとも一部が楕円形状の外周端部を有してもよいし、少なくとも一部が多角形状の外周端部を有してもよい。
(7)上記実施の形態に係る塗布装置1においては、処理対象となる基板Wの外周端部には、リム部が形成されているが、本発明はこれに限定されない。処理対象となる基板Wの外周端部には、リム部が形成されていなくてもよい。
(8)第1および第2の実施の形態に係る図1および図22の回転保持装置10に用いられる気体ノズル17においては、気体噴出部17bとしてスリット状開口を有するが、本発明はこれに限定されない。
図35は、図1および図22の気体ノズル17における気体噴出部17bの他の構成例を示す外観斜視図である。図35では、気体ノズル17のうち気体噴出部17bおよびその周辺部の構成のみが拡大して示される。図35に示すように、気体ノズル17の気体噴出部17bは、一直線上に並ぶように配置された複数の縦孔により構成されてもよい。本例の複数の縦孔の各々は、上方に向く円形の開口を有する。この構成によれば、気体ノズル17の上端部の複数の縦孔から上方に向かって温度調整気体が噴射される。それにより、気体ノズル17から基板Wに向かうカーテン状の気流が発生する。なお、図35の例では、気体噴出部17bが10個の縦孔により構成されるが、気体噴出部17bを構成する縦孔の数は、10個に限定されない。10個よりも少なくてもよいし、10個よりも多くてもよい。
気体ノズル17の気体噴出部17bが一直線上に並ぶ複数の縦孔により構成される場合、各縦孔の円形開口の内径は、当該縦孔が形成される位置に応じて定められてもよい。図36は、図1および図22の気体ノズル17における気体噴出部17bのさらに他の構成例を示す外観斜視図である。図36の例では、気体噴出部17bを構成する13個の縦孔のうち、気体ノズル17の中心から一側部sp1までの範囲にある5個の縦孔のサイズが、気体ノズル17の中心から他側部sp2までの範囲にある8個の縦孔のサイズよりも大きい。より具体的には、図36の例において、気体ノズル17の中心から一側部sp1までの範囲にある各縦孔の内径は2mmであり、気体ノズル17の中心から他側部sp2までの範囲にある各縦孔の内径は1mmである。
このように、気体噴出部17bを構成する複数の縦孔のサイズを、位置に応じて定めることにより、気体噴出部17bの複数の部分から互いに異なる流量で温度調整気体を噴射させることができる。例えば、一側部sp1および他側部sp2がこの順で吸着保持部11の外周端部から遠ざかるように、図36の気体ノズル17が配置される。
この場合、吸着保持部11から遠ざかる方向に、大きいサイズを有する複数の縦孔と小さいサイズを有する複数の縦孔がこの順で並ぶことになる。それにより、吸着保持部11の外周端部近傍にある基板Wの部分に大きいサイズを有する複数の縦孔が対向し、吸着保持部11の外周端部から外方に所定距離離間した位置にある基板Wの部分に小さいサイズを有する複数の縦孔が対向する。したがって、吸着保持部11の外周端部近傍にある基板Wの部分には、吸着保持部11の外周端部から外方に所定距離離間した位置にある基板Wの部分よりもより多くの温度調整気体を供給することができる。その結果、基板Wの各部の温度をより高い精度で調整することが可能になる。
なお、図36の例では、気体噴出部17bが13個の縦孔により構成されるが、気体噴出部17bを構成する縦孔の数は、13個に限定されない。13個よりも少なくてもよいし、13個よりも多くてもよい。さらに、気体噴出部17bを構成する複数の縦孔のサイズは、2種類に限定されず、3種類以上であってもよい。あるいは、気体噴出部17bを構成する複数の縦孔の全ての縦孔のサイズが互いに異なっていてもよい。
(9)第2の実施の形態に係る図22および図23の各気体ノズル17は、吸着保持部11に対して位置調整可能に塗布装置1の筐体に取り付けられてもよい。図37および図38は、図22および図23の複数の気体ノズル17のうち一部の気体ノズル17について位置調整が行われる例を示す塗布装置1の模式的平面図である。
図37および図38に白抜きの矢印で示すように、本例の塗布装置1においては、複数の気体ノズル17の各々が吸着保持部11に対して近づく方向および離間する方向に位置調整可能である。図37の例では、4個の気体ノズル17のうち3個の気体ノズル17が吸着保持部11に近接するように固定され、1個の気体ノズル17が吸着保持部11から所定距離離間するように固定されている。また、図38の例では、4個の気体ノズル17のうち2個の気体ノズル17が吸着保持部11に近接するように固定され、2個の気体ノズル17が吸着保持部11から所定距離離間するように固定されている。
このように、吸着保持部11に対する複数の気体ノズル17の位置を適宜調整することにより、吸着保持部11上に吸着保持される基板Wの下面のうち半径方向における複数の部分(円環状の複数の部分)に所望の量の温度調整気体を供給することができる。
4.請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各要素との対応の例について説明する。上記実施の形態では、回転保持装置10が回転保持装置の例であり、吸着保持部11が吸着保持部の例であり、上面11uが上面の例であり、回転軸12および回転駆動部13が回転駆動部の例であり、回転軸12および中心軸11cが回転軸の例である。
また、周縁部領域R1が周縁部領域の例であり、中央部領域R2が中央部領域の例であり、吸引孔vh1が第1の吸引孔の例であり、吸引孔vh2が第2の吸引孔の例であり、角度ピッチαが第1の吸引孔の角度ピッチの例であり、角度ピッチβが第2の吸引孔の角度ピッチの例であり、直線状経路LPが直線状経路の例であり、環状経路RPが環状経路の例である。
さらに、気体ノズル17、気体供給系18および気体ノズル170A~170Eが温度調整部および気体供給部の例であり、気体ノズル170A~170Eの上面170uが第1の環状対向面の例であり、複数の貫通孔群g1~g8の複数の貫通孔h1~hnが複数の気体噴射口の例であり、気体ノズル170Eの上面180uが第2の環状対向面の例であり、処理液供給装置20が処理液供給装置の例であり、塗布装置1が基板処理装置の例である。請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
1…塗布装置,10…回転保持装置,11c…中心軸,11u,170u,180u…上面,12…回転軸,13…回転駆動部,14…吸引装置,15…カップ,15d…ドレイン,15x…底部,15y…外周壁部,16…排液案内管,17,170A,170B,170C,170D,170E…気体ノズル,17a…気体導入部,17b…気体噴出部,17v…気体供給経路,18…気体供給系,20…処理液供給装置,21…液体ノズル,22…処理液供給系,23…ノズル移動部,40…円板状部材,41,61…吸着部,42…吸気経路形成部,43…支持部,43b,73…連通孔,50,180…円環状部材,60…上円形部材,60b…下面,62…外周壁部,65…ねじ孔,70…下円形部材,71…支持部,71a…取付部,72…外周壁部,72g…溝,74,172h,h1~hn…貫通孔,79…シール部材,99…吸着保持部,99c…中心軸,170b…下面,171…上面部材,172…下面部材,172p…気体流路,173…内部空間,177,179…気体導入部材,177a…気体入口,177b…気体流路,177c…気体出口,178…固定部材,BL…ねじ部材,de…下流端,g1~g8,g11~g22…貫通孔群,LG…直線状溝部,LP…直線状経路,nc…非接触部分,pt1…第1のピッチ,pt2…第2のピッチ,R1…周縁部領域,R2…中央部領域,RP…環状経路,RG…環状溝部,RL…レジスト液,SL…スリット状開口,sp1…一側部,sp2…他側部,ut…傾斜部,vh,vh1,vh2…吸引孔,vp…吸気経路,W…基板

Claims (20)

  1. 基板の下面中央部を吸着保持しつつ回転させる回転保持装置であって、
    前記基板の前記下面中央部を吸着保持する上面を有する吸着保持部と、
    前記吸着保持部を上下方向に延びる回転軸の周りで回転させる回転駆動部とを備え、
    前記上面は、
    外縁に沿った周縁部領域と、
    前記周縁部領域に取り囲まれた中央部領域とを有し、
    前記周縁部領域には、複数の第1の吸引孔が設けられ、
    前記中央部領域には、複数の第2の吸引孔が設けられ、
    前記周縁部領域における前記複数の第1の吸引孔の面密度は、前記中央部領域における前記複数の第2の吸引孔の面密度よりも大きい、回転保持装置。
  2. 前記複数の第1の吸引孔は、前記周縁部領域において前記回転軸を中心とする少なくとも1つの第1の円上に配列され、
    前記複数の第2の吸引孔は、前記中央部領域において前記回転軸を中心とする少なくとも1つの第2の円上に配列され、
    前記周縁部領域における各第1の円上の前記複数の第1の吸引孔の線密度は、前記中央部領域におけるいずれの第2の円上の前記複数の第2の吸引孔の線密度よりも大きい、請求項1記載の回転保持装置。
  3. 前記周縁部領域における各第1の円上の前記複数の第1の吸引孔の数は、前記中央部領域におけるいずれの第2の円上の前記複数の第2の吸引孔の数よりも大きい、請求項2記載の回転保持装置。
  4. 前記周縁部領域における各第1の円上の隣り合う各2つの第1の吸引孔の角度ピッチは、前記中央部領域におけるいずれの第2の円上の隣り合う各2つの第2の吸引孔の角度ピッチよりも小さい、請求項2または3記載の回転保持装置。
  5. 前記吸着保持部は、
    平面視で前記中央部領域に重なりかつ前記回転軸から前記吸着保持部の外縁に向かって直線状に延びるように形成され、前記複数の第2の吸引孔において吸引される前記上面上の雰囲気を前記吸着保持部の外部に導く複数の直線状経路と、
    平面視で前記周縁部領域に重なりかつ前記複数の直線状経路を取り囲むように形成され、前記複数の第1の吸引孔において吸引される前記上面上の雰囲気を前記吸着保持部の外部に導く環状経路とを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の回転保持装置。
  6. 前記周縁部領域において、前記複数の第1の吸引孔のうち少なくとも一部は、前記回転軸を中心とする回転方向に千鳥配列された、請求項1~5のいずれか一項に記載の回転保持装置。
  7. 前記複数の第1の吸引孔のうち前記回転軸から最も離間した位置に形成された少なくとも一部の第1の吸引孔は、他の第1の吸引孔および前記複数の第2の吸引孔よりも小さい直径を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の回転保持装置。
  8. 前記上面は、円形状を有し、
    前記上面の直径は、前記基板の半径を中心値とする前記基板の直径の15%の範囲内にある、請求項1~7のいずれか一項に記載の回転保持装置。
  9. 前記吸着保持部が前記基板を吸着保持する状態で、前記基板のうち前記吸着保持部により吸着保持されない部分の温度を調整する温度調整部をさらに備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の回転保持装置。
  10. 前記温度調整部は、前記基板のうち前記吸着保持部により吸着保持されない部分の温度が前記基板のうち前記吸着保持部により吸着保持される部分の温度に一致するかまたは近づくように、前記基板のうち前記吸着保持部により吸着保持されない部分の温度を調整する、請求項9記載の回転保持装置。
  11. 基板の下面中央部を吸着保持しつつ回転させる回転保持装置であって、
    前記基板の前記下面中央部を吸着保持する吸着保持部と、
    前記吸着保持部を上下方向に延びる回転軸の周りで回転させる回転駆動部と、
    前記吸着保持部が前記基板を吸着保持する状態で、前記基板のうち前記吸着保持部により吸着保持されない下面周縁部の少なくとも一部の温度を調整する温度調整部とを備える、回転保持装置。
  12. 前記温度調整部は、前記下面周縁部の少なくとも一部に、温度調整気体を供給する気体供給部を含む、請求項11記載の回転保持装置。
  13. 前記温度調整気体は、前記下面周縁部の少なくとも一部に供給されることにより前記下面周縁部を含む前記基板の部分の温度を前記下面中央部を含む前記基板の部分の温度に一致させるかまたは近づけるように調整された気体である、請求項12記載の回転保持装置。
  14. 前記気体供給部は、前記基板の前記下面周縁部のうち当該下面周縁部の内縁を含む領域に前記温度調整気体を供給する、請求項12または13記載の回転保持装置。
  15. 前記気体供給部は、前記吸着保持部が前記基板を吸着保持する状態で、前記基板の前記下面周縁部における互いに異なる複数の部分に前記温度調整気体を同時に噴射することが可能に構成された、請求項12~14のいずれか一項に記載の回転保持装置。
  16. 前記気体供給部は、
    前記吸着保持部が前記基板を吸着保持する状態で、前記吸着保持部を取り囲みかつ前記基板の前記下面周縁部の少なくとも一部に対向する第1の環状対向面を含み、
    前記第1の環状対向面には、前記吸着保持部が前記基板を吸着保持する状態で、前記基板の前記下面周縁部の少なくとも一部に前記温度調整気体を同時に噴射する複数の気体噴射口が形成された、請求項12~15のいずれか一項に記載の回転保持装置。
  17. 前記複数の気体噴射口の少なくとも一部は、前記回転軸を中心とする回転方向に分散配置された、請求項16記載の回転保持装置。
  18. 前記第1の環状対向面は、前記吸着保持部が前記基板を吸着保持する状態で、前記基板の前記下面周縁部のうちの第1の環状部分に対向し、
    前記気体供給部は、前記第1の環状対向面を取り囲みかつ前記吸着保持部が前記基板を吸着保持する状態で前記基板の前記下面周縁部のうちの前記第1の環状部分を取り囲む第2の環状部分に対向するように設けられ、前記第1の環状対向面の前記複数の気体噴射口から噴射される温度調整気体を前記基板の外周端部へ導く第2の環状対向面をさらに含む、請求項16または17記載の回転保持装置。
  19. 前記吸着保持部は、前記基板の前記下面中央部を吸着保持する上面を有し、
    前記上面は、
    外縁に沿った周縁部領域と、
    前記周縁部領域に取り囲まれた中央部領域とを有し、
    前記周縁部領域には、複数の第1の吸引孔が設けられ、
    前記中央部領域には、複数の第2の吸引孔が設けられ、
    前記周縁部領域における前記複数の第1の吸引孔の面密度は、前記中央部領域における前記複数の第2の吸引孔の面密度よりも大きい、請求項11~18のいずれか一項に記載の回転保持装置。
  20. 基板に所定の処理を行う基板処理装置であって、
    請求項1~19のいずれか一項に記載の回転保持装置と、
    前記基板が前記吸着保持部により吸着保持されるとともに前記回転駆動部により回転される状態で、前記基板上に処理液を供給する処理液供給装置とを備える、基板処理装置。
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